小林「バイト始めたって?」 トール「はい!」【小林さんちのメイドラゴン】

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:14:55.90 ID:mtW+B4Ff0
~自宅~

トール「カンナも小学校に行き始めましたし、家事が終わってから暇なんですよね」

トール「ですから、近所に出来たメイド喫茶に努めることにしたんです」

小林「ほう、メイド喫茶か」

トール「はい!割引券差し上げますから、暇な時にでもお越しください!」

小林「うん、じゃあ今度、カンナちゃん連れて行ってみようかな」

カンナ「メイドきっさってなに?」

小林「メイドさんが接客してくれる喫茶店の事だよ」

カンナ「おおー」

SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/148670009
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:20:57.56 ID:mtW+B4Ff0
~翌日~

~メイド喫茶DLR前~


小林「こんな所にメイド喫茶ができてたんだ」

小林「前は病院だった気がするんだけど……改装したのかな」

カンナ「コバヤシー、はやくはやくー」

小林「うん、行こうか、カンナちゃん」

小林「……」

小林「それにしても、DLRって何の略だろ」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:22:39.47 ID:mtW+B4Ff0
メイド「いらっしゃいませ、お嬢様方~」

小林「あ、すみません2名で」

メイド「仰せつかりました、奥にお席へどうぞ~」

カンナ「おおおー、トール様みたいな格好してる」

小林「メイド喫茶だからね」

小林「それにしても、思ったより落ち着いた雰囲気の店だな」

小林「割と点数高いかも……」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:26:59.66 ID:mtW+B4Ff0
トール「あ、小林さんじゃないですか!来て下さったんですね!」ズサー

小林「うん、割引券もあるし、トールが迷惑かけてないか見学に来た」

トール「迷惑なんてかけてないですー!寧ろ貢献しまくってます!」

小林「本当に~?」

トール「本当です!その証拠をお持ちします!」

トール「という訳で、ご注文はいかがなさいますか?ご主人様」

小林「私は女なんだし、お嬢様じゃないの?」

トール「ご主人様って呼び方の方が、より従属性が高い気がしますから」

小林「まあいいけど……」

カンナ「わたしはオムライスがいいー」

小林「じゃあ、私も同じので」

トール「ガッテンです!」

小林「もうメイドじゃないよね、その喋り方」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:30:03.38 ID:mtW+B4Ff0
小林(それにしても……)

小林(かなり良い雰囲気の店なのに、全然お客さんいないな)

小林(見える範囲で一人しかいない)

小林(メイドさんの数は多いのにコレだと、売上やばいんじゃないのかな)

トール「おっまたせしました~♪」ズサー

小林「ずいぶん早いな」

トール「メイドの火力をもってすれば、この程度造作もないのです!」

小林「メイドに火力はいらんだろう」

カンナ「おいしそ」

小林「うん、そうだね、冷めないうちに食べちゃおう」

カンナ「いただきまーす」

小林「いただきます」

トール「ふふふ、ごゆっくり♪」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:34:41.30 ID:mtW+B4Ff0
小林「……」モグモグ

カンナ「……」モグモグ

小林「うん、普通においしい……けど」

カンナ「トール様が何時も作ってくれてるオムライスと同じ?」

小林「だね、これだとわざわざメイド喫茶に来なくてもよかったかも」

小林「ねえ、トール、他のメニューは……」

小林「あれ?」

小林「トール?」


シーーーン


小林「どこ行ったんだろ……」

小林「というか、他のメイドさんもいなくなってる」

小林「お昼休み?」

小林「いや、飲料店で全員出払うなんてありえないだろうし……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:44:10.39 ID:mtW+B4Ff0
周囲を見渡すが、誰もいない。

先ほどまでは、居たはずだ。


入り口付近で来客を待つメイドが。

テーブルを拭いているメイドが。

カウンターの奥の厨房で料理を作っているメイドが。

皿を洗っているメイドが。

テーブルに座って料理を食べていた客が。


確かにそこに居たはずだ。


なのに、誰もいない。

店内は、静まり返っていた。

まるで廃墟のように。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 13:46:51.77 ID:mtW+B4Ff0
いや、違う。

微かな、音が聞こえる。

水気を含んだ音が。


ピチャ、ピチャと。


その音は、先ほどまで客が座っていた方角から。

聞こえてきていた。


そこで小林は気づいた。

客が座っていたテーブルの下から。

足が見えている。

靴を履いたままの、人間の足が。


ひょっとして、病気か何かで倒れたのだろうか。

心配になった小林は、声をかけた。


「あの、大丈夫ですか?」


返事はない。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:11:31.13 ID:mtW+B4Ff0
「参ったな、店員さんに伝えようにも誰もいないし……」

「えーと、救急車呼んだ方がいいですか?」


そう言いながら、小林はテーブルに近づいた。

水音が強くなる。


ピチャ、ピチャ


料理でもこぼれたのか。

それとも、出血でもしてるのか。


不安なイメージは強くなる。

そして、その席を覗き込んだ時。

音の正体が判った。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:11:57.21 ID:mtW+B4Ff0
そこには、客が倒れていた。

若い女性が、床に倒れていた。

そして、その女性の上に。

メイドさんがいた。

まるで、覆いかぶさるようにして。

何をやってるのか、最初は解らなかった。

介抱してるのだろうか。

いや、いや、違う。

違うのだ。

そのメイドさんは。

違う事をしていたのだ。

ピチャピチャと音を立てて。

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:13:10.60 ID:mtW+B4Ff0
ああ、ああ、何てことだ。

信じられない。

信じたくない。

そのメイドさんは。

客の首筋に、唇を近づけ。

八重歯を皮膚に食いこませて。

下で肌を味わいながら。

一心不乱に。

貪っていたのだ。












性的な意味で。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:13:43.80 ID:mtW+B4Ff0
小林「な、何してるんですか」

メイド「……」ピチャピチャ

客「……」ビクッビクッ

小林「あ、あの」

メイド「……」ピタッ


メイドは、やっと小林の声に気付いたのか。

客を貪るのをやめて、こちらを見た。


そして、ニコリと笑った。


メイド「お客様、今、ご奉仕して差し上げます」


フラリと立ち上がり、こちらに近づいてくる。

そのスカートの中からは、何か液体が滴っていた。

ポタリ、ポタリと。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:14:17.18 ID:mtW+B4Ff0
小林「い、いや、いいです、もう帰りますから!」

カンナ「こばやしー、料理は?」

小林「べ、別のお店で食べようね、カンナちゃん」

カンナ「わかったー」

小林「お、お金はここに置いておきますから!お釣りはいりません!」


小林は店の扉を開けようとする。

だが、開かない。

鍵がかかっているようだ。

絶賛営業中なのにね。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 14:15:09.70 ID:mtW+B4Ff0
「お客様、お客様、お待ちください、お客様」


メイドさんが近づいてくる。

扉の元に。

小林のもとに。

必死に扉のノブを回すが、開く気配がない。


ガチャガチャ

ガチャガチャガチャガチャ


「な、なんで!?」


そうしているうちに。

メイドさんの手は、小林の身体に。


「た、たすけて……」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:10:29.86 ID:YQdDpEln0
メイドの手が、小林に触れる直前。

小林の足元から細い糸のような光が放出された。


「コバヤシをいじめちゃ、めー」


カンナだ。

雷竜であるカンナが、体内から電撃を放出したのだ。

電撃の糸はメイドに絡みつく。


「しびれますっ」


そう言い残し、メイドは床に倒れた。


「あ、ありがとうねカンナちゃん、助かった」

「……」

「カンナちゃん?」

「……はっ、ちょっと気を失ってたのー」

「だ、大丈夫?」

「今日は充電してなかったから、電気がたりないだけ」

「そっか」


ほっとしながらも、小林はメイドの様子を注意深く観察する。

カンナの電撃で気絶しているようだ。

だが、どうしてこのメイドは客を襲っていたのだろう。

どうして客をレイプしていたのだろう。

なぜレズレイプしていたのだろう。

不思議な話だ。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:11:50.34 ID:YQdDpEln0
小林「うーん、正直ちょっとこのメイド喫茶は怖いかな」

小林「外に出たいけど……扉があかない」

カンナ「ふきとばすー」

小林「いや、駄目だよカンナちゃん、外に誰か歩いてたら巻き添えになる可能性あるし」

カンナ「んむー……」

小林「店の奥にも扉があるみたいだし、あっちから出れないか見てみようか」

カンナ「わかったー」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:12:23.69 ID:YQdDpEln0
~バックスペース~


小林「失礼しまーす」

小林「……」

小林「こっちも、誰もいないな」

小林「というか、随分奥まで廊下が続いてるな」

小林「もしかして、バックスペースの方が店内より広いんじゃないか」

カンナ「まっくらー」

小林「うん、暗いね……スマホのライト機能で照らしてみよう」


スマホからの光で、廊下が照らされる。

何の変哲もない廊下が、奥まで続いていた。

その途中に、誰かが倒れている。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:13:17.86 ID:YQdDpEln0
「あの……」


倒れているのは、女性だった。

声をかけても反応が無い。

気絶しているようだ。

よく見ると、服は半ば脱がされ、下着が見えてしまっている。

この人も、このメイド喫茶の客だったのだろうか。


「いったい、いったいこのメイド喫茶DLRで、何が起こってるんだ……」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:15:43.57 ID:YQdDpEln0
小林たちは、バックスペースを一通り調べた。

厨房ではコンロに火が付いていて、鍋の中身が湯だっていた。

休憩所にあるコーヒーカップからは、まだ湯気が出ていた。

無人のトイレの前に、女性物の靴が並べて置いてあった。

明らかに先ほどまで人がいた痕跡が残っていた。


だが、誰もいない。

従業員であるはずのメイドは、ただの一人もいなかった。


更に、外部へ出る扉や窓には、全て施錠されていた。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:30:21.56 ID:YQdDpEln0
小林「うーん、外に出れないな……困った」

カンナ「コバヤシ、コバヤシ」クイクイ

小林「ん、どうかしたのカンナちゃん」

カンナ「こっちに、階段あった」

小林「階段?」

カンナ「うん」

小林「あ、そうか、確かに外から見たこの建物には上の階があった」

小林「てっきり各階に別のテナントが入ってるのかと思ってたけど」

小林「もしかして、この建物全てがメイド喫茶のバックスペースなのかな」

小林「……」

小林「広すぎない?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:30:51.83 ID:YQdDpEln0
確かに階段はあった。

だが、その先も暗いままだった。

照明のスイッチらしきものはあるが、入り切りしても点灯しない。


「……先に進んでみるしかないか」


意を決した小林とカンナは、スマホの光を頼りに二階へ登って行った。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:31:42.38 ID:YQdDpEln0
二階に上がると、微かに声が聞こえだ。

複数の人間の声だ。


「従業員の人たちは、この階にいるのかな?」

「何とか事情を話して外に出して貰わないと……」


2階には複数の部屋があるが、どこから声が聞こえるか判らない。

仕方なく、手前の扉から確認していくことにする。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:32:12.23 ID:YQdDpEln0
「失礼しまーす」

小声でそう言いながら小林は扉を開けた。

中には沢山のロッカーが並んでいる。

更衣室のようだ。

メイドさん達は、毎日ここで着替えをしているのだろうか。


「けど……誰もいないな」


スマホの光で部屋の中を見渡しながら、小林は呟く。

部屋の中には食べかけのお菓子や、衣服が散乱している。

あまり掃除は行き届いていないようだ。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:32:45.33 ID:YQdDpEln0




「……あれ、けど」


小林は、少し不審に思う。

何故、衣服が散乱しているのだろう。

ロッカーがあるのだから、その中に入れればいいのに。

そう考えた時、ロッカーの中から、ガタリと音がした。


「だ、誰かいるの?」


小林はそう声をかける。

だが、ロッカーからは何の反応もない。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:34:07.80 ID:YQdDpEln0
その時、小林は想像してしまった。

もしかしたら、このロッカーの中には。

並んでいる全てのロッカーの中には、メイドさん達がいるのではないか。

隠れているのではないか。

そして、誰かがロッカーを開けるのを。

手ぐすね引いて待っているのではないか、と。


どうなるのだろう。

もし、そんなメイドさんのロッカーを開けてしまったら。

自分はどうなってしまうのだろう。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:34:52.61 ID:YQdDpEln0
小林は、去ろうとした。

更衣室から去ろうとした。

君子危うきに近づかず、という言葉もある。

自分があの客のように、レズレイプされてしまう可能性があるなら尚更だ。


だが、その時、小林の足元で声がした。


「コバヤシ、いまここから音がした」

「あけてみるー」


制止する暇もなかった。

カンナは、ロッカーの扉に手をかけ。

開けた。

開けてしまった。
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:46:54.31 ID:YQdDpEln0
ロッカーの中には、人がいた。

女性がいた。

その女性は、小林の上にのしかかってきた。


「う、うわああああ!」


思わず小林は女性を押しのける。

女性は力なく、そのまま床に崩れ落ちた。


「はぁ、はぁ、はぁ、び、びっくりした……」

「コバヤシ、だいじょうぶ?」

「う、うん、大丈夫……けど、この人、どうしたんだろう」


女性は眠っているようだった。

衣服に乱れはない。

何故ロッカーの中に居たのだろう。


「コバヤシー、こっちのロッカーにもおんなのひと、いる」

「え?」



30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:47:29.92 ID:YQdDpEln0
カンナの言うとおりだった。

別のロッカーにも、別の女性が押し込まれていた。

その女性はうまく荷物に支えられる形で、ロッカーに収まっている。

念の為に、全てのロッカーを見てみた。


全てのロッカーに、女性が詰められていた。


小林と同年代と思われる派手な女性。

もっと小柄な、学生くらいの年齢の綺麗な少女。

カンナと同じくらいの背格好をした、可愛い女の子。


様々な女性が、ロッカーの中で眠っていた。

いや、気絶しているのだろうか。

揺すってみても、目を覚まさない。
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:53:27.40 ID:YQdDpEln0
小林「何この光景、怖いんだけど」

小林「全員私服で、年齢もバラバラ……って事は、お客さんなのかな」

小林「お客さんを捕まえて、ロッカーの中に閉じ込めてる……って事?」

小林「猟奇的すぎでしょそれ」

小林「……」

小林「よ、よし、警察に電話しよう」

小林「さっきまでは、まあ、個人間の恋愛のトラブルとかの可能性もあったけど」

小林「ダメだこれ、もう私の手には負えない」


小林は、スマホを弄って110番を入力する。

だが、反応はない。

アンテナが1本も立っていないのだ。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 15:58:53.35 ID:YQdDpEln0
小林「くっ、なんで!」

カンナ「コバヤシ、この女の人たち、どうしよ」

小林「ううん、申し訳ないけど、ロッカーの中に置いておくしかないかな」

小林「助けたいけど、流石に人数が多すぎる」

カンナ「わかったー」


倒れていた女性も、再びロッカーに詰めなおされる。

扉を閉めて、元通りにしておく。


小林「電波が通じないとなると、何とか扉の鍵を探すしかないのか……」


小林は、更衣室を後にした。
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:03:34.82 ID:YQdDpEln0
廊下に出ると、再び声が聞こえた。


微かな声。

囁くような声。

睦言のような声。


小林「……次は、隣の扉を開けてみよっか」

カンナ「わかったー」

小林「あと、カンナちゃん、扉開ける時は注意してね」

カンナ「うん」


そっと、扉を開ける。

仮に中に人がいたとしても、気づかれないように。

少しだけ。

少しだけ。




扉の隙間から、中を覗いてみる。

そこには、複数の人影があった。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:18:52.03 ID:YQdDpEln0
大半は、メイドさんだった。

店内で見かけた、清楚系のメイド服を着たメイドさん。

彼女達は、四つん這いになり何かを貪っていた。


何を貪っているのだろう。


考えるまでもなかった。

メイド達の中心で横たわる女性。

彼女が、この部屋で唯一の獲物だった。

唯一、メイドでない存在が彼女だった。


彼女の手や足は、メイドの手で押さえつけられていた。

複数のメイドの手が、彼女の衣服の中に潜り込んでいた。

顔を押さえつけられ、メイド達の唇で印をつけられていた。

身もだえも、嬌声も、全てメイドに封じられていた。


「お嬢様、お嬢様、ご奉仕します」

「サービスします、誠心誠意尽くします」

「だって私達は、メイドですから、お嬢様のメイドですから」


それは、決して奉仕ではなかった。

奉仕させられているのは、寧ろ女性の方だった。

だが、メイド達はそのことに気づいていない。

メイド達は決して達することなく、熱心に、女性の身体を一方的にむさぼっていた。
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:24:57.83 ID:YQdDpEln0
小林「うわあ……」

カンナ「わー」

小林「これガチなやつじゃないか」

小林「集団レズレイプじゃないか」

小林「しかもよく見たら……部屋の隅で、裸の女性が何人か気絶してる」

小林「……そうか、もしかして」

小林「さっきの更衣室に閉じ込められてた女性は、備蓄なんだ」

小林「メイド達の餌が尽きないように、あそこに女性を備蓄してるんだ」

小林「ああやって、貪りつくされた女性が力尽きたら」

小林「また別の女性を更衣室から連れてくるんだ」

小林「お、恐ろしい……」

カンナ「コバヤシー」

小林「ん、どうしたのカンナちゃん」

カンナ「あのメイドたち、目が赤い」

小林「え?」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:30:15.72 ID:YQdDpEln0
小林「確かに、あのメイド達、目が赤い」

小林「なんでだろ」

カンナ「あれは、亜竜なの」

小林「亜竜?」

カンナ「竜以外の生物が、竜の影響を強く受けると、竜の因子を受け継ぐことがあるの」

カンナ「それが、亜竜」

小林「つまり……あのメイド達は、ドラゴンになっちゃってるって事?」

カンナ「変身とかはできないけど、力は強くなってるし、少しくらいなら魔法もつかえるの」

小林「なんでそんなことに……トールがこの店で働き始めたから影響を受けちゃったとか?」

小林「いや、けどトールと暮らしてる私は何も異常がないし……」



そこまで話した時、小林は気づいた。

部屋の中から聞こえていた声が、止んでいることに。



恐る恐る中を覗くと。

真ん中にいた女性は、白目をむいて気絶していて。

メイド達は、その赤い目で、小林の事をみつめていた。
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:38:59.87 ID:YQdDpEln0
「う、うわあっ!」


思わず、声を出して扉から離れる。

どうしよう、どうすれば。

そう悩んでいる間に、扉からメイド達が。


這い出してきた。


メイド達は、四つん這いだった。

何故か、四つん這いだった。


それが、今のメイド達の生態に適しているからだろうか。

適しているから、そう進化したとでもいうのだろうか。


1階にいたメイドは、ちゃんと二足歩行していたというのに。


メイド達は、小林に向かって、こう言った。


「お嬢様、お嬢様、新しいお嬢様」

「いっぱい、いっぱい、ご奉仕します、お嬢様」

「メイド、お好きなんですよね、こんな店に来るくらいですし」

「いっぱい、包んであげます、メイドである私達で、たくさん、たくさん」

「ご寛ぎ下さい、お眠りください、お食べください」

「どんなお嬢様でも受け入れてさしあげますから」

「さあ、さあ、さあ、さあ、大丈夫です、怖がらなくていいですから」

「ふふふふふ、クスクスクスクスクス、あははははははは」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:44:20.07 ID:YQdDpEln0
「か、カンナちゃん!」

「おー」


カンナの放電。

糸のような電撃は、メイド達を数人痺れさせる。

だが、それは焼け石に水だった。

メイドは、部屋から出てくる。

次々と。


「カンナちゃん、もう一度……!」

「……」


充電不足。

そう、今のカンナは連続して電撃を放てない。

その隙に、メイド達は床を這い接近してくる。

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:47:53.51 ID:YQdDpEln0
メイドの手が小林たちを掴みとる前に。

何とか小林は、カンナを抱えて飛びのいた。


「……あ、寝てたの」

「カンナちゃん、あっち!」

「わかったー」


小林は、抱えたカンナをメイド達に向ける。


放電。

命中。

沈黙。

移動。

放電。

命中。

沈黙。

移動。


放電後に気を失うカンナと、それを守り移動する小林。

じり貧と思われていたが、2人は何とかメイド達を全て気絶させることに成功する。
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 16:53:43.25 ID:YQdDpEln0
小林「はぁ、はぁ、はぁ、疲れた……普段から運動してなかったツケがこんな所で……」

カンナ「コバヤシ、だいじょうぶ?」

小林「わ、わたしは、平気」ハァハァ

カンナ「けど、辛そう」

小林「た、確かに……これが続くと、辛いかも」

カンナ「ごめんなさい、私がちゃんと充電しておけば……」

小林「悪いのは、カンナちゃんじゃないよ、寧ろ助かってる」ナデナデ

カンナ「あ……」

小林「ありがとうね、カンナちゃん」

カンナ「んぅ!」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:13:47.91 ID:YQdDpEln0
小林「さて、メイドさん達を撃退したのはいいけど、ここからどうしよう」

カンナ「鍵さがすー」

小林「そっか、メイドさん達の服を漁れば鍵が出てくるかも」

小林「よし、さっそく……」


小林は、メイドさん達の服を探ろうとした。

だが……。

清楚系のメイド服を着て倒れている彼女達を見て、罪悪感が湧く。

彼女達は気絶してる。

その様子は、先ほどとは打って変わって普通の人間と変わりない物だ。

普通の、可愛らしいメイドさんにしか見えない。


彼女達のポケットを調べても、本当にいいのだろうか。

何か、背徳感が半端ないのだけど。


そんな葛藤を振り切って、小林はメイドのポケットに手を入れて探り始める。

布質の柔らかいメイド服を通して、彼女達の身体の形が感じられる。

何故かドキドキする。

小林は別にレズビアンではないのだけれども、メイドだけは別腹なのだ。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:19:58.34 ID:YQdDpEln0
何人かのメイドから、鍵を入手することができた。

鍵には名前が書いてある。


「冷凍庫の鍵」

「勝手口の鍵」

「3階への鍵」


冷凍庫の鍵は、不要だろう。

勝手口の鍵でなら外への扉を開けられただろうが……途中で折れてしまっている。

残るのは3階への鍵。


更に上の階へ、行く必要があるのだろうか。

鍵が見つからない以上、仕方ないのだけれども。


「コバヤシー、3つ目の扉に、階段があった」

「ふう、じゃあ、上に行ってみようか」


小林は、ため息をつきながらそう言った。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:26:46.95 ID:YQdDpEln0
階段を上がると、扉があった。

施錠されている。

先ほどの鍵で開くのだろうか。


カチリ


試してみると、鍵はあっさりと、回った。

そっと扉を開けて、中の様子を見てみる。


そのフロアは広かった。


2階までは幾つかの通路と部屋で、間切りがしてあった。

その逆で、3階は壁が存在せず、全てのスペースが1つの部屋として設置されている。

何らかの倉庫として使われているようだった。

そこには、大量の荷物が置いてある。


木箱。

壊れたテーブル。

薄汚れたキグルミ。

布が被せられた大きな荷物。

蛍光灯の束。


「ここは、無人なのかな……」

「それとも、荷物の影に誰かが潜んでいるとか……」


小林が、そう呟いた直後、荷物の一部が、グラリと動いた。
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:30:24.53 ID:YQdDpEln0
ズルリ、と音がする。

何かが這いずっている音だ。

何が、這っているのだろう。


メイドか。

メイドなのか。


それは、ある意味で正解で。

ある意味で不正解だった。


這っているのは。

先ほど見えていた、荷物だった。

それは、それは荷物では、なかったのだ。

布の被せられた荷物、ではなく。








巨大な身体を持つ、メイドだったのだ。
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:37:52.65 ID:YQdDpEln0
そのメイドは巨大だった。

だが、決して人間の身体が肥大化したのではなかった。


組み合わさっているのだ。

複数のメイド達が組み合わさり、巨大なメイドとして形成されているのだ。

よく見れば、それが判る。

メイド達は、お互いの手や足を握り。

顔や股間を寄せ合い。

密着し、同調し、結びついていた。


その体を構成するすべてのメイドさんは。

小林を見て、ニコリと笑った。


「おじょうさま」

「わたしたちは、おじょうさまを、おもって」

「こんなに、こんなに、おおきく、なってしまいました」

「これで、いっぱい、ごほうし、できます」

「いままでの、なんばいも、なん十ばいも、なん百ばいも、なん千ばいも」

「ああ、ああ、なんて、しあわせ、なんでしょう、おじょうさま、おじょうさま」



46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:46:05.77 ID:YQdDpEln0
巨大なメイドさんは、他の荷物を蹴散らしながら突進してくる。


「おじょうさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


あんなものに飲み込まれたら、死ぬまで離してもらえない気がする。

それどころか、捕まった時点でメイド達の身体で圧死してしまう。

……そんな結末に、ほんの少し後ろ髪を引かれるメイド愛好家の小林ではあったが。

何とかメイドの突進を回避する。


「カンナちゃん!お願い!」

「がんばるー」


カンナからの電撃がメイドを貫く。

だが。


「おじょうさま、おいかけっこ、ですか」

「わかりました、おつきあいします」

「おじょうさまの、お遊びに、つきあうのも」

「メイドのつとめです、から」

「そのかわり」

「つかまえたら」

「つかまえたら、ふ、ふふふふ」


47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:47:37.90 ID:YQdDpEln0
巨大さ故。

いや、群体であるが故、この程度の電撃では効果はないようだ。


例えば、もっと、もっと大きな電撃なら。

全てのメイドを一網打尽にできるほどの電撃ならば、或いは。


だが、カンナの充電が不十分な今、そんな電撃を放つことはできない。

ここに来るまでに1階や2階のコンセントを調べたが、全て通電していなかった。

だから、ここ3階でも、それを試すのは難しいだろう。


仮にコンセントが生きていたとしても、そこにカンナを留まらせなければ充電はできない。

そんな悠長なことをしていると、あのメイドの突進を受けてしまう。
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:53:34.84 ID:YQdDpEln0
「おじょうさまぁぁぁぁぁ、どちらにおられますかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


メイドさんは、荷物の物陰に隠れた小林たちを探している。

探しながら、荷物を破壊し、机を砕き、壁をたたいている。


「どうしよう、どうすれば……」

「コバヤシ、私が」

「え?」

「私が囮になるから、にげて」

「カンナちゃん……」

「私なら、多分平気」

「ダメだよ、そんなの」

「けど……」

「ここで逃げても、私1人だとすぐにメイドに捕まっちゃうよ」

「ううー……」

「それに、こんな可愛いカンナちゃんを放ってなんて、逃げられるはずないって」

「コバヤシ……」


そこまで会話とした時、小林たちが隠れていた荷物が破壊された。
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 17:58:44.44 ID:YQdDpEln0
「みつけ、ましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


見つけられた。

見つかってしまった。


メイドさんは、小林を掴もうと手を伸ばしてくる。

その動きは、緩慢だ。

回避することは容易い。

容易いのだが……。


もう、隠れるところがないのだ。

倉庫にある荷物は、ほとんど破壊されてしまった。

その残骸が倉庫の中に散乱している。

走るのに支障が出るほどに。


このままでは、何時かは捕まる。

あのメイドの緩慢な動きでも、端に追い込まれてしまえば、何時かは。


「私は、レズレイプされてしまうのだろうか」

「ドラゴンレズレイプされてしまうのだろうか」

「集団ドラゴンレズレイプされてしまうしか、ないのだろうか」

「……」

「……いや、生き残るすべは」

「まだある!」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:05:28.00 ID:YQdDpEln0
小林は、走った。

カンナを抱えて走った。

散乱した残骸のせいで、素早く走ることはできない。

だが、走ったのだ。


メイドが、くるりと、こちらを向く。


「にげられ、ませんよ、おじょうさま」

「すぐに、すぐに、おいつきます、から」


そう言いながら、迫ってくる。

メイドには、散乱した残骸など関係ない。

全て、全て踏み潰して突進してくる。

その移動速度は、小林よりも、早かった。









だが、メイドが追い付いてくるよりも早く、小林は「そこ」に到達できた。
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:09:47.68 ID:YQdDpEln0
床に飛び散る残骸の一つ。

破壊された何らかの清掃重機の中に内蔵されていたであろう。


バッテリーの元へ。


バッテリー外箱の表示ランプは「充電済み」になっていた。

恐らく、この店の電源が落ちる前に充電してあったのだろう。

つまり、この中にはたっぷりと詰まっているはずなのだ。



カンナの力の源が。



52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:17:22.27 ID:YQdDpEln0
「カンナちゃん!」

「いただきます」


小林は、カンナとバッテリーを抱えて走る。

少しでも時間を稼がないといけない。

カンナが充電する時間を。


だが、それは果たされなかった。


何かが背中に当たった衝撃と共に、小林は地面に倒れこむ。

起き上がることができない。

何故ならば、小林の上には。

メイドの、巨大な手が乗せられているからだ。


「つかまえ、ました、おじょうさま」

「ふ、ふふふふ、ごほうし、して」

「さしあげますねぇぇぇぇぇぇぇ」


メイドの巨大な手から、沢山の手が伸びる。

その手は小林の頬を撫で、首筋を擽り、手を握り、足を掴んだ。

そのまま、小林をメイドの中に、取り込もうとする。

疲れ切った小林は、抵抗すらできない。


目の前に、メイドが見える。

掌を構成したメイドの顔が。

その顔が、近づいて。

小林の頬に、キスを。
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:25:08.95 ID:YQdDpEln0
その直前、凄まじい雷光が巨大メイドの上半身を吹き飛ばす。

それでも相殺できなかった電撃は、そのまま壁を破壊して空を貫く。



カンナの持つ最大の攻撃。

サンダーブレスの一撃である。



巨大メイドを構成していたメイド達が、ポトポトと地面に落ちる。

残る下半身や、腕も、その後を追うかのように崩れ落ちる。



メイド達は、同調していた。

肉体だけでなく、恐らくは意識も。


群体であるが故に「多少の欠損」には耐えられた。

だが「大多数の欠損の痛み」には耐えられなかったのだろう。

痛みはフィードバックを起こし、全てのメイドに伝達されてしまったのだ。



「コバヤシー」

「ああ、カンナちゃん……」

「コバヤシ、だいじょうぶ?しびれなかった?」

「うん、平気平気……またカンナちゃんに助けられたね」

「そんなことない、私の方がコバヤシにたすけられた」

「ふふふ、じゃあ、お互い様だね」クスッ

「んぅ!」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:31:08.95 ID:YQdDpEln0
メイド達は生きていた。

亜竜化の影響か、電撃に対する耐性があったのだ。

だが、それでも全員が意識を失っていた。

亜竜としての力を失うほど、力を消耗していた。


「うーん、メイドさんのポケットから鍵を入手したんだけど……」

「おー、4階の鍵」

「……けど」

「うん」

「この壁に空いた穴から、外に出られるよね」

「けがの、こうみょう?」

「だね、3階くらいの高さなら外に人がいるって事もなかっただろうし」

「ドラゴンに戻ってだっしゅつするー、コバヤシ、つかまって」

「うん」


ドラゴン化したカンナにつかまり、小林はほっと溜息をつく。


「終わった」

「全て終わったんだ」

「帰ろう、私達の家へ」


こうして、悪夢のような時間は終わりを告げた。
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:40:29.65 ID:YQdDpEln0
~数日前~

~メイド喫茶L~


トール「さあ!メイド喫茶ラブリーの皆さん!召し上がってください!新メニューです!」

メイド1「わーい、コック長の料理美味しいんですよね~」

トール「コック長じゃなくて、メイドですから」

メイド1「はーい」

メイド2「美味しいですけど、この肉、何の肉ですか?」

トール「私の肉です」

メイド2「またまたー」


トール「正直、小林さん以外に私を食べさせるのは業腹ですが」

トール「この実験に成功すれば、恐らく小林さんも食べてくれるはずです」

トール「より美味しさの増した、私の尻尾を」

トール「見れば食べずにはいられない、魅了の料理を」

トール「ふふふ、待っててくださいね、小林さん……」


メイド1「ごちそうさまでーす」

メイド2「うーん、何だか身体が」

メイド1「あれ、そういえば……熱く」

メイド2「なって……き……ま……」


バタン

バタン


トール「うーん、また失敗しましたか」

トール「ま、仕方ありません、テキトーに解毒しておきますか」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:49:54.48 ID:YQdDpEln0
こうして、トールのバイト先は竜因子によって汚染された。

メイド達は全て、トールの料理の実験台になっていた。


彼女たちにとって、それは回避し得ぬ、災害であった。

バイトのトールが持ち込んだ、災害だった。

バイトハザードである。
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 18:51:16.48 ID:YQdDpEln0
トールは「メイド達のに入り込んだ竜因子を解毒した」と考えていた。

だが、全てを除去することはできなかったのだ。


メイド達は、仕事が終われば、帰宅して自分の生活に戻る。

普通の人間として、普通の生活している。



だが。

自分の周囲にドラゴンがいる場合にのみ状況が変わるのだ。

そのドラゴンが強い欲望を抱くと、それに同調して亜竜化してしまうのだ。



結論から言うと。

「メイド喫茶に勤めるトールが、勤務時間内に小林に対して強く欲望を感じた時」にだけ。

メイド達は「同性への性的欲求を抑えられないメイドラゴンレズビアン」へと変貌してしまうのだ。
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:07:15.81 ID:YQdDpEln0
トール「ああ、小林さん、今頃仕事してるなんでしょうか、ああ、カッコいい小林さん、ハァハァ」

メイド1「……」

客「え?こっちに来てほしいって?どうして?ちょ、何ですか、い、いや、やめっ、もごもご」



トール「今夜の食事、どうしましょう、小林さんには美味しい物を食べてほしいですし、例えば私とか、ハァハァ」

メイド2「……」

客「え、トイレが壊れてるから奥にあるトイレを使ってほしい?判ったわ」



トール「昨日お風呂で小林さんの背中を流してる時、小林さん少し顔が赤かった気がします、ハァハァ」

メイド3「……」

客「ひ、引っ張らないで!やめて!た、たすけっ……!」



トール「……はっ、妄想していたらもうこんな時間……」

トール「それにしても、最近、お客さん少なくないですか?」

メイド1「そうですねえ、というか、来たお客さんが何時の間にか居なくなってる事もちらほら」

トール「食い逃げですか?いけませんね」

メイド2「けど、何故か不満感とかはないんですよね、不思議です」



メイド達は、亜竜化している間の記憶を一切持っていない。

それどころか、都合の悪い部分は記憶を捻じ曲げ「何の問題もない」と解釈してしまうのだった。

これが、メイド達がトールから受け継いだ48のメイド技の一つ「脳内改ざん」である。
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:16:37.68 ID:YQdDpEln0
トールの欲望は、小林が来店した時、ピークを迎えた。


「小林さんが、小林さんが私を見に来てくれました」

「ふ、ふふふ、うれしい、凄く嬉しい」

「食べてくれています、小林さんが、私の料理を、このメイド喫茶で」

「そうだ、そうです、私が個人的に立ち上げた4階の実験室に置いてある、あの料理を」

「あの料理を、小林さんに食べていただきましょう、そうすれば、そうすれば、ふふふふ」


メイド達の亜竜化も、最高潮に達する。

全ての思考、全ての意識が「同性への従属的性欲」への変換される。

それは、竜因子の元の持ち主であるトールに逆流してくるほどの勢いだった。

トールの「意識」と、メイド達の「性欲」が混ざり合う。


トールの意識が、メイド達に流れ込み。

メイド達の性欲が、トールを満たす。

良循環。


こうして、トールは群れの頭になった。

こうして、メイド達はトールの手足となった。
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:21:41.03 ID:YQdDpEln0
~4階~


トール「ふ、ふふふ、小林さん早く来ないかなあ」

トール「下の階のメイド達を倒したんだし、もう来るはずですよね」

トール「楽しみです、小林さんの驚く顔が」

トール「まさかメイド達の頭が私だなんて、思ってもみなかったでしょうし」

トール「そうです、驚いて私に詰問するんです」

トール「どうしてこんなことをしたのかって」

トール「けど、けど答えは決まっています、全ては愛故にです」

トール「小林さんへの愛が元凶なのです」

トール「小林さんは、きっと悩むでしょう」

トール「そこで私が手を指し延ばします」

トール「小林さんが、私と共に来てくれれば、全て解決するのですよ、と」

トール「小林さんは、私の手を取ってくれます」

トール「きっと、とってくれます」

トール「そうすれば、あとはもう、ドラゴンレズセックス祭りの開催ですよ」

トール「幕開けですよ!」

トール「ああ、小林さん、まだかなあ、早く来ないかなあ」

トール「こばやしさぁん……」


トールの欲望は、流れ出す。

下の階で気絶しているメイド達の竜因子を、再び刺激する。

亜竜化が、始まる。

先ほどよりも、強い亜竜化が。
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:24:41.54 ID:YQdDpEln0
~自宅~


小林「はー、疲れた……」

カンナ「おなかすいたのー」

小林「トール、ご飯出来てる?」



シーーーン



小林「……あれ」

カンナ「コバヤシ、トール様は……」

小林「そ、そっか、トールもあのメイド喫茶に居たんだった」

小林「この家に居てくれるのが当たり前みたいに思ってたから、すっかり忘れてた」

カンナ「むかえにいくのー」

小林「そうだね、迎えに行ってあげないと」

小林「けど、1階から3階までは居なかったし……」

小林「4階に避難してたのかな?
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:30:20.38 ID:YQdDpEln0
こうして、トールを迎えに戻った小林たちは。

復活した強化亜竜メイドさん達に行く手を阻まれ。

油断していた所を捕縛され。

何人ものメイドさん達に愛撫され。

ひゃんひゃんひゃんと鳴かされて。


最後の最後に「小林さん来ないふぇぇぇぇ」と泣いていたトールと4階で再会することになるのだが。



それはバイトハザート2でのお話。







おわり

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