八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」海老名「…」【後編】

361: ◆b8hpDiJuic 2015/09/09(水) 23:56:09.45 ID:HYVWmUssO
前スレ:

八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」海老名「…」【前編】




八幡「…………はっ?」


八幡(いや、何かすごい信じられないことが耳にないってきた気がするが…ついに幻聴まで…)


雪ノ下「あら聞こえてなかったのかしら?ならもう一度…」


八幡「い、いや、まて、雪ノ下!!聞こえてるから!!ちょっとまってくれ」


八幡(えっ、なに?二人とも俺のこと好きって…きっとあれだ奉仕部だからとかそういう)


雪ノ下「私も由比ヶ浜さんもLOVEの方であなたが好きよ。だから付き合って下さいと言ったでしょう」


由比ヶ浜「まぁ、ヒッキーだしね。そんな簡単に信じてもらえないよねぇ」

362: ◆b8hpDiJuic 2015/09/09(水) 23:57:17.21 ID:HYVWmUssO
八幡「いや、お前らなんで…」


雪ノ下「理由なら簡単よ。私はあなたに助けられてきたし、それにあなたは私を私として見てくれた」


雪ノ下「姉さんと私を一緒として見なかった。今でも覚えているわ『笑った顔が全然違うだろ』と言ってくれたこと」


八幡「…そりゃ、お前とあの人は違うだろ…そんな当たり前のことで」


雪ノ下「当たり前のことが、その人の境遇によったら当たり前じゃないのよ」


雪ノ下「もう一度言うわ。あなたは私を見てくれた。それだけのことで私はたまらなく嬉しいの」


雪ノ下「好きになるには充分な理由だと思うのだけれど?まだ足りないかしら…?」

363: ◆b8hpDiJuic 2015/09/09(水) 23:58:47.67 ID:HYVWmUssO
八幡「いや、大丈夫だから!?充分だから!?」


三浦「へぇ、ヒキオもそんなに風に慌てんだね」


八幡「いや、普通に慌てるだろ!?」


八幡(いきなりこんな状況になって慌てない方がおかしいだろ!?)


八幡(今まで同じ部活ってだけだったのにいきなり告白されるんだぞ!!しかも二人から!!)


雪ノ下「じゃあ、次は由比ヶ浜さんの番ね」


八幡「まて、由比ヶ浜も…その理由を…」


由比ヶ浜「だって言わないとヒッキー信じてくれないし、ゆきのんにだけ言わすのは何かフェアじゃないし」

364: ◆b8hpDiJuic 2015/09/10(木) 00:00:23.84 ID:S/XaFVSXO
由比ヶ浜「えっと…ヒッキーのこと好きになった時は…ごめんねよく分かんないの」


由比ヶ浜「気付いたら…その好きで。きっかけはそれはサブレ助けてくれたことだけど」


由比ヶ浜「でもでも、それだけじゃなくて!!ヒッキーの頑張ってる姿見てるとかっこいいって思うし」


由比ヶ浜「優しいとこもあるし、今回だって姫菜と優美子のこと助けてくれて」


由比ヶ浜「それからそれから…」


八幡「分かったから!!もう分かったから落ち着け」


由比ヶ浜「とにかくいっぱいヒッキーのこと好きなの!!」


由比ヶ浜「ゆきのんにも姫菜にもこの気持ちは絶対に負けない!!」

365: ◆b8hpDiJuic 2015/09/10(木) 00:01:53.71 ID:S/XaFVSXO
八幡「……っ!?」


八幡(すごい顔が熱くなってくるのを感じる)


八幡(二人ともこれだけ言ってくれているのだ。もう冗談で言ってるのではないとは分かっている)


海老名「すぐになんて無理だよね」


八幡(今まで雪ノ下と由比ヶ浜の独白を黙って聞いていた海老名さんが口を開く)


海老名「いきなりだもんね。それに私もいれたら女の子三人に詰め寄られてるわけだし……」


八幡(ぼそりと詰め寄られるなら、男の子にも詰め寄られてよって聞こえたが気のせいだろう…)


海老名「今、決めてなんて言わないよ。それは二人とも話したことだから…ね」


八幡(雪ノ下と由比ヶ浜は海老名さんの言葉に頷く)

379: ◆b8hpDiJuic 2015/09/18(金) 00:05:14.00 ID:/aaWkNkUO
八幡「…そんなこと言ったらいつまでも決めないかもしれないぞ」


雪ノ下「言っておくけど、自分に悪評を集める画策をしても無駄よ」


海老名「そうそう。そんなことしても私たちが君を信じてる限り意味ないしね」


由比ヶ浜「ヒッキーがみんなから何て言われても、あたしたちはヒッキーのこと好きでいるから」


八幡(たく…なんでこうエスパーが増えるんですかね)


八幡「…分かったよ…答えはちゃんと出すから」


八幡「待たせてしまうが…悪いな」
380: ◆b8hpDiJuic 2015/09/18(金) 00:06:14.94 ID:/aaWkNkUO
由比ヶ浜「誰が選ばれても、誰かも選ばれなくても、どんな結果でもヒッキーが決めたことなら受け入れるよ」


雪ノ下「あなたにはこんなに女の子から言い寄られるなんてこと、これから二度とないだろうからじっくり考えなさい」


海老名「もちろん私たち以外に好きな人いるとかなら
仕方ないけどね」


八幡「…んなもんいないから、ちゃんと考えはだす」


八幡(もしかしたら誰とも付き合わないってことになるかもしれない)


八幡(それに誰かを選ぶということは…他の二人を傷つけてしまうことになるかもしれない)


八幡(だけど、彼女たちはそれを全て分かっているのに、俺に真っ直ぐ想いをぶつけてくれている)


八幡(その想いに応えないことが、どんなことよりも彼女たちを裏切ることになってしまうくらいは俺にでも分かる)
388: ◆b8hpDiJuic 2015/09/19(土) 23:00:19.64 ID:NPn3ObQ0O
八幡「…さっきも言ったがしっかり考えるから待っててくれ。出来るだけ早く結論は出せるようにするから」


八幡(こんなことは雪ノ下が言っていたように、これから先あることはないだろう)


八幡(俺の言葉に彼女たちは頷いてくれる)


八幡(彼女たちのためにも今までのように逃げることも…気持ちに向き合おうとしないことも出来ないのだ)


八幡「これじゃあ…ぼっちなんて言えねぇな…」


八幡(呟いた言葉は今度は誰の耳にも入らなかったのか、返答はなかった)
389: ◆b8hpDiJuic 2015/09/19(土) 23:01:30.55 ID:NPn3ObQ0O
・・・・・・・・・・


八幡(あれから数日が経った)


八幡(海老名さんは元のグループにはいないものの、三浦や由比ヶ浜とはクラスでも談笑したりしている)


八幡(最近では主に川…川……川なんとかさんと一緒にいることをよく見かけるようにはなったが)


八幡(川なんとかさんは鬱陶しそうにしながらも、何だかんだでそれを受け入れているみたいで)


八幡(一緒に昼飯を食ったりしていることもあるみたいだし、仲良くしているようだ)


八幡(奉仕部では特に変わったことはない。多少…俺の近くに三人が寄ってくるようになったこと以外は…だが)


八幡(海老名さんが俺には変に態度で示すよりも、直接的にいったほうが効果があると二人にも言ってしまったからだ)


八幡(私だけが弱点を知ってるのはフェアじゃないとのことらしいが)


八幡(俺は毎日の部活でどぎまぎしないといけないので出来るだけ勘弁していただきたい…確かに役得ではあるが…)
390: ◆b8hpDiJuic 2015/09/19(土) 23:02:53.31 ID:NPn3ObQ0O
八幡(おかげでゆっくり出来る場所が家くらいしかなかったのだが…)


八幡「…えっと…何でこうなったんですかね?」


海老名「ん?私が来ちゃダメだったかな?」


八幡「そういうわけではないんだが…なんで俺の家に来たんだ?」


海老名「えっ、お泊まりしに」


八幡(はっ…?今何て言ったんだ)


八幡「いや…俺は某難聴主人公ではないんだが、難聴になってしまったようだ」


八幡「もう一度何しに来たか教えてくれないか?」


海老名「だから、お泊まりしに来たんだよ。ちゃんと小町ちゃんには許可取ってるよ」
391: ◆b8hpDiJuic 2015/09/19(土) 23:03:48.40 ID:NPn3ObQ0O
八幡(…気のせいじゃなかった。えっ、いきなり来てお泊まりとか急展開過ぎません?)


八幡(こんなライブ感あるのは、死神代行が出てくる少年マンガだけでいいよ)


八幡(いつから遊びに来ただけだと錯覚してした。完全催眠レベルじゃね?)


八幡(わけわからなすぎて何考えてるか俺すら分からなくなってきた)


八幡「……小町」


小町「小町的には小町が海老名さんと仲良くなれると思って許可しました♪」


海老名「いきなりでごめんね?迷惑だったかな…?」


八幡(そんな風に悲しそうにするのは反則なんですが…)


八幡「……分かったよ。てか、俺はこの家での発言権なんてないからな」
392: ◆b8hpDiJuic 2015/09/19(土) 23:05:25.58 ID:NPn3ObQ0O
八幡「…小町が決めたなら、仕方ない」


小町「さすがお兄ちゃん♪よく分かってる」


八幡(そもそも…発言権がないのは本当だしな。カマクラにすら俺は地位的に負けてるまである)


小町「じゃあ、海老名さん。小町の部屋に行きましょう♪」


海老名「うん、いいよ。また後でね。八幡くん」


小町「……ほほう。これはお兄ちゃんに聞いたことよりも色々聞かないとダメみたいだね」


八幡「…あんまりあれこれ聞き出そうとするなよ」


八幡(分かってるよーって言いながら小町は海老名さんを連れて自室に戻っていった)
397: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:01:14.40 ID:lgTDSA5oO

八幡(若干、今日の部活中もそわそわとしていたのはこういうことだったのか)


八幡(いきなり来たというのに小町は特に驚いた様子もなかったのは)


八幡(小町の連絡先は雪ノ下の由比ヶ浜にでも聞いて、前からこのことを計画していたんだろうな)


八幡(まぁ、泊まりに来たからといって俺から特に何もしなければいいだけだ)


八幡(小町にはああ言ったが、多分根掘り葉掘り聞くだろうからな)


八幡(ある程度の時間は小町に捕まってるはずだ)


八幡(明日が休日ってのも狙ってたんだろうな…これは小町だけかもしれないが)


八幡「……とりあえず風呂入るか…」


八幡(誰にいうわけでもないがそう呟いて、俺は風呂場に向かっていった)
398: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:02:32.40 ID:lgTDSA5oO
海老名「急に来て迷惑じゃなかったかな?」


小町「大丈夫ですよ。兄も何だかんだで受け入れてましたし」


海老名(私は結衣から小町ちゃんの連絡先を聞いて、小町ちゃんにこの事を提案してみた)


海老名(断られるかなと思っていたけど、予想に反して二つ返事で了承してくれた)


小町「それに小町も思わぬダークホースの海老名さんに色々聞きたいですしね」


海老名「やっぱりそうなるよね」


海老名(多分、そんなことになると分かってはいた。それでも今更誰かに知られて恥ずかしいとは思わないけど)


海老名(それに、小町ちゃんと仲良くなってるほうが色々といいだろうしね)
399: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:03:21.93 ID:lgTDSA5oO
小町「それでそれで兄のこといつから好きで、どこが良かったんですか!!」


海老名(小町ちゃんは目をキラキラさせながら私に問いかけてきた)


海老名(確かに雪ノ下さんや結衣が言ってたように、彼の妹とは思えないくらい社交的だ)


海老名「うーん、いつって言われてもなぁ…自覚したのは文化祭からだけど、その前から気にはなってたし」


小町「もしかして千葉村の時もですか?」


海老名「そうだよ。もっというなら、気になったのはクラスが一緒になって少し経ったくらいかな」


小町「えっ、そうだったんですか!?」


海老名(小町ちゃんが驚いた表情を浮かべる)


海老名(あの二人もこのこと言ったらビックリしてたし、そんなに驚愕することなのかな?)
400: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:04:12.36 ID:lgTDSA5oO
海老名「どこが良かったっていうのは…彼のわかりづらい優しさとか、何だかんだ言いながら頑張ってるとことか」


海老名「顔だけってわけじゃないけど、結構よく見るとカッコいいし、目が腐ってるのも私も『腐ってる』から特に気にならないし」


海老名「読書してるときの表情はいつもと違う雰囲気あってそれもいいし」


海老名「それから…」


小町「ストップ!!ストップです海老名さん!!一体何個出るんですか!?」


海老名「えっ?まだあるけどもういいの?」


海老名(強いていうならってとこがなかったから、とりあえず色々出してみたけれどダメだったのかな?)


小町「…いやぁ、まさか小町もここまでとは思ってなくて…」
401: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:05:09.55 ID:lgTDSA5oO
海老名「それくらいじゃないと彼は振り向いてもくれないだろうしね」


小町「……おおう、まさかこんなに兄の特性分かってるとは…」


海老名「聞いたことはないけど、彼が黒歴史って言ってるやつが関係してるのかなって」


小町「…それは…」


海老名「大丈夫。それを聞こうとは思わないよ。彼が自分から言ってくれるなら聞くけどね」


小町「……ありがとうございます…」


海老名(あそこまで元気に私と話していた小町ちゃんがこうなるってことは)


海老名(…そんなこと考えるのはやめよう)


海老名(私がどう思ったって彼の過去が変わるわけではないのだ)
402: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 21:06:15.34 ID:lgTDSA5oO
海老名「大丈夫。私はちゃんと彼のことが好きだから」


海老名「強力なライバルが二人も…いやぁもしからしたら三人かもしれないけど」


小町「やっぱりあの二人もそうなんですね。でも、じゃああと一人って?」


海老名「それはちょっと教えられないかな。まだそうってわけじゃないし、そうだったとしてもね」


海老名(多分…そうなんだとは思うけど、彼の話出すとぶっきらぼうにしながらも嬉しそうだしね)


小町「そうですかぁ、いやぁ、いつの間にこんなにお兄ちゃんがモテモテになったなんて驚きですよ」


小町「お兄ちゃんが幸せならそれでいいんですけどね。あっ、今の小町的に超ポイント高いです♪」
409: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 23:37:20.22 ID:YWP6dnOUO
海老名「それでも彼と付き合えるかは彼次第なんだけどね」


海老名(彼の気持ちが誰に向かうかは彼が決めることで)


海老名(結衣みたいに素直で真っ直ぐで可愛らしいわけでもない。…あと一部分は完全敗北しているし)


海老名(雪ノ下さんみたいに凛としていて、綺麗で聡明なわけでもない)


海老名(そして何より、彼と過ごした時間は彼女たちの方が多い)


海老名「…やっぱり不安だよ。恋ってこんなに不安になるもんなんだね…」


小町「絶対にいけますなんて言えないですからね…海老名さんだけなら押したらいつかはいけたかもしれないですけど」


海老名「まぁ、焚き付けたのは私なところもあるから頑張るしかないよ」
410: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 23:38:14.35 ID:YWP6dnOUO
海老名「彼を想う気持ちは負ける気ないからね」


小町「おお…その意気ですよ海老名さん!!」


小町「お兄ちゃんにこんなに素敵なお嫁さん候補が出来るなんて小町も嬉しいです♪」


海老名「…ちょっと!?お嫁さん候補って飛躍しすぎじゃないかな!?」


海老名(そんなとこまで考えたことなんて…ああ…そういえばあるかもしれない…)


海老名(アレをしてた時に何故か変なテンションになってそんなことを妄想してた気が……)


海老名「ほ、ほらっ!とりあえずは彼と付き合えないとね!!」


海老名「……それはそれでいいかもしれないけど」ボソッ
411: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 23:39:15.89 ID:YWP6dnOUO
小町「これはかなり期待できそうですね♪」


海老名「……とにかく少しでもこの機会に彼に近付かないとね」


小町「そのために泊まりに来たんですもんね。ここまでするなんて予想外でしたけど」


海老名「やっぱり彼は受けだろうから攻めないとね…ぐ腐腐」


海老名(おっと…いけないつい腐女子が入ってしまった)


海老名(小町ちゃんの前では出来るだけ出さないようにしようと決めてたんだけど)


小町「はは、大丈夫ですよ。兄から海老名さんはそういうのだって聞いてますから」


海老名「そうなの?でもなるべく出さないようにはするね」
412: ◆b8hpDiJuic 2015/09/21(月) 23:41:09.60 ID:YWP6dnOUO
小町「気遣いも出来るなんてますますポイント高いですよ」


海老名「ふふ、ありがとうね」


海老名(ここに来ることが少し怖かったけど、どうやら杞憂に終わったみたいで良かった)


小町「そろそろいい時間ですしお風呂どうですか?」


海老名「そうだね。入りたいけど…でもいいの?あんまり泊まりとかしたことないから勝手がわからなくて」


小町「全然いいですよ。じゃあ、案内しますね。あっ、小町は後でもいいですからお先にどうぞ」


海老名「そう?じゃあお言葉に甘えようかな」


海老名(私は持ってきた着替えを持って、小町ちゃんに連れられてお風呂場に行くのだった)
418: ◆b8hpDiJuic 2015/09/24(木) 21:11:31.68 ID:aQGRP1zLO
八幡(風呂場に行った後、自室から着替えを持ってきてないことに気付いた)


八幡(取りに戻り、いつものジャージと下着を持って風呂場の戸を開けると)




海老名「…えっ?」


八幡「…はっ?」


八幡「…………」
海老名「…………」


八幡(えっと…これは…)


八幡(理解するのに少しだけ時間がかかったが…)


海老名「…きゃっ!!えっなんで!?」


八幡「すまん!!わざとじゃないんだ!!」


八幡(俺は叫んだような声を上げて戸を閉める)


八幡(ちょっと待てよ…こんな展開どこのスクエアの漫画だよ!?)


八幡(確認するの怠った俺も悪いのかもしれないが、てか明らかに俺が悪いですね)
419: ◆b8hpDiJuic 2015/09/24(木) 21:12:38.16 ID:aQGRP1zLO
海老名「…えっと、先にお風呂頂いてもいいかな?」


八幡(戸を挟んで遠慮がちに海老名さんが聞いてくる)


八幡「あ、ああ…分かった!!出たら声かけてくれ」


八幡(あちらからも分かったと答えが返ってきて、俺はまた自室に戻り、ベットに突っ伏す)


八幡(やっちまったやっちまったやっちまったやっちまった)


八幡(こんな社会的に抹殺されないことをしてしまうとは)


八幡(忘れろ忘れろって思いながらも先程見た光景が浮かんできてしまう)
420: ◆b8hpDiJuic 2015/09/24(木) 21:13:43.50 ID:aQGRP1zLO
八幡(少ししか見えなかったが、小柄ながらも均整がとれた身体付きとか水色の布地とか…)


八幡(ダメだダメだ!!ちゃんと忘れないと!!)


八幡(足をバタバタさせながら必死に頭から消し去ろうとする)


八幡(そんなことをしているとガチャリと音がした)


八幡(振り向くと小町が戸を少しだけ開けてこちらを窺ってきていた)


小町「……どしたのお兄ちゃん?大丈夫…?」


八幡「……そんな若干引きながら聞いてこなくてもいいんじゃないですかね…」


小町「いや、なんか音がしてると思って見に来たら」


小町「頭抱えながら足バタバタさせてる姿目に入ってきたら引くでしょ…」
421: ◆b8hpDiJuic 2015/09/24(木) 21:14:35.15 ID:aQGRP1zLO
八幡「……それはそうだが…」


小町「でしょ?まぁ、いいや。それで何かあったの?」


八幡(さすがにさっきのことを言うのは、引かれるどころの話ではないので悟られないように…)


八幡「い、いや…何もなかったぞ。決して水色が見えたとかそんなこと思ってないからな」


小町「水色?何のこと言ってるの?」


八幡(やべぇ…すごい墓穴掘っちまった!?)


八幡「と、とにかく何もなかったから!!」


小町「…怪しい…けど、いいや。そういえば今は海老名さんがお風呂入ってるから覗いたりしたらダメだよ」
422: ◆b8hpDiJuic 2015/09/24(木) 21:15:27.56 ID:aQGRP1zLO
八幡「…の、覗くわけねぇだろ!?馬鹿なこと言うなって!?」


八幡(実際はもうしてしまってるんですけどね…)


小町「……本当にダメだからね」


八幡(じとっとして目で俺を少し睨み付けた後、小町は部屋に戻っていった)


八幡(いや、あれはそんなつもりなかったから、事故だから…)


八幡(問い詰められることもなかったので何とかなったが…普通に怪しまれるよなぁ)


八幡(とりあえず頭冷やさないとな…)


八幡(今度は足をバタバタさせることなく、じっとしていたら控えめにノックの音が響く)
428: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/26(土) 23:27:58.91 ID:JRsjxAKx0
エビさんがかわいい…!圧倒的ッ…!かわいさ…ッ!
433: ◆b8hpDiJuic 2015/10/02(金) 18:03:24.45 ID:UbN/BsJWO
八幡「……はい」


海老名「…えっと、あ、あがったから…その…入ってきたら?」


八幡「…分かった」


海老名「じゃあ、私、小町ちゃんの部屋に行ってるから」


八幡(少し時間をおいて海老名さんがドアの前からいなくなったのを感じて)


八幡(俺は着替えを持って、また風呂場に向かっていった)


八幡(今度は一応ノックをして、中に誰もいないのを確認してから戸を開ける)


八幡「…はぁ…家にいるのに疲れた…」


八幡(ゆっくり湯に浸かってこの疲れを取ろう…)
434: ◆b8hpDiJuic 2015/10/02(金) 18:04:59.99 ID:UbN/BsJWO
・・・・・・・・・・

八幡(風呂からあがり、俺は買っていたマッ缶を持って自室に戻ってきた)


八幡(風呂で火照った身体にマッ缶の冷たさと甘さが染み渡る)


八幡(戻る途中に小町の部屋からは二人の笑い声が聞こえてきた)


八幡(仲良くやっているようで何よりだ)


八幡(マッ缶を飲み干し、俺は部屋の電気を消して、目を閉じて、ベットに身体を預ける)


八幡(………目まぐるしい毎日だ…)


八幡(あの奉仕部での件以来、変わってしまった環境に、俺自身まだついていけないところもある)
435: ◆b8hpDiJuic 2015/10/02(金) 18:06:13.17 ID:UbN/BsJWO
八幡(教室では戸塚としか話すことはほとんどなかったが)


八幡(海老名さんや由比ヶ浜も話しかけてくるようになり、たまに三浦までもが来る始末だ)


八幡(昼では奉仕部で食うことも多くなったし、物理的に距離が近いのはやめていただきたい…)


八幡(さらに運の悪いことに、その光景を見た平塚先生は)


平塚『…いつの間に君は楽園計画を推し進めていたんだ…?』


八幡(…と、若干、こめかみをヒキつかせながら、拳を握っているし…早く誰かもらってあげて!!俺のライフがなくなる前に!!)


八幡(…まぁ、そんな感じで変化しているのだが…)


八幡(さすがに今までぼっちだった奴が、いきなりこんな境遇になるのは色々と疲れもくる…)


八幡(周りからしたから贅沢な悩みだと言われるだろうが…)
437: ◆b8hpDiJuic 2015/10/02(金) 18:13:36.32 ID:UbN/BsJWO
八幡(しばらく目を閉じたままそんなことに耽っていると)


八幡(小さくガチャリと部屋の戸が開く音がした)


八幡(……まさか…な…)


八幡(俺はうっすらと目を開いて誰が来たのか確認する)


八幡(まぁ…そこにいたのはやはりというか案の定というか…海老名さんだった)


八幡(彼女は俺が寝ていると思っているのか、なるべく音を立てないようにしながら近づいてくる)


八幡(ベットのすぐ近くまで来ると、彼女が座りこむ気配がした)
438: ◆b8hpDiJuic 2015/10/02(金) 18:16:38.03 ID:UbN/BsJWO
海老名「……起きてる?」


八幡「………ああ」


八幡(…少しだけ間があって、再び彼女が口を開く)


海老名「ねぇ…こっち…向いてくれないかな?」


八幡(…俺はそれに返答はせず、無言で海老名さんの方に振り向く)


八幡(目を開けると、いつもと違い眼鏡を外している海老名さんがそこにいた)


海老名「…えへへ、来ちゃった…ってこういうときは言えばいいのかな?」


八幡「…あながち間違ってはいないな…」


八幡(暗い部屋の中、漏れている月の光に照らされている彼女の顔は)


八幡(眼鏡を外していることもあるのか、なんだか儚く見えた)
444: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 19:43:19.40 ID:RyGulVbpO
海老名「……なんか恥ずかしいね…眼鏡かけてないのもそうだけど」


海老名「こんな風に二人っきりでいるのも…」


八幡(少しずつ海老名さんの顔が朱色に染まっていく)


八幡(多分、俺の顔も海老名さんの表情に比例して、同じようになっていることだろう)


海老名(でも…嬉しいよ。君とこうやって二人でいられるのは)


八幡「……っ‼よくそんなこと言えるな…俺なら恥ずかしさで悶え死にしそうだ」


海老名「大丈夫だよ。私も今そうだから…」

445: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 19:51:16.50 ID:RyGulVbpO
八幡「……風呂上がりには時間が経ちすぎてると思うけどな」


海老名「ふふ、そうだね」


八幡(さすがにあの空気は…ちょっとキツすぎます)


八幡(あんな周りにフワフワしたスクリーントーン使われるであろう雰囲気は、今まで経験したことないからな)


八幡「…で、どうかしたのか?」


海老名「ん、どうもしないよ?ただお話がしたかったから」


海老名「まぁ、本当はもっとちがうこともあったけどね」


八幡「…なんとなく察したが、そういうのは某悪魔星のべリアさんだけにしとほしいんだが…」
446: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 20:03:20.58 ID:RyGulVbpO
海老名「やっぱりバレちゃったかかぁ…しかもそれ結衣とかには分からないよ」


八幡「だろうな。あんたは分かるみたいだが」


海老名「そうだね…ねぇ、私もそのお姫様みたいなことしてもいいのかな?」


八幡(何言ってんだ?っと言葉にしたかったがそれは出来なかった)


八幡(言い終わるとすぐに彼女は俺のベットの中に潜り込んできた)


八幡「ちょ!?何して…!?」


八幡(俺はとっさに反対側に寝返りをうった)


海老名「……何って、本当にしたかったことだよ」


八幡「でも、あんた……これは…」


海老名「私もやり過ぎかなとは思ってるよ…でも、お願い……」
447: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 20:13:03.70 ID:RyGulVbpO
八幡「……今回だけだからな」


八幡(消え入りそうな声でお願いされて…断れるわけがないだろ)


海老名「うん、ありがとう」


八幡(お礼を言うと海老名さんは恐る恐るといった感じで、俺の身体に腕を回してきた)


海老名「ごめんね…これもいいかな?」


海老名「迷惑かもしれないけど…」


八幡「もうここまでしてきたんだ。何も言わねぇよ」


八幡「それに、あんたが唐突に何かするのには、少しは慣れてきたからな」


八幡「……するなら勝手にすればいい」


八幡(学校で色々とされたお陰か、それとも色々とされたせいかは分からないが)
448: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 20:21:29.52 ID:RyGulVbpO
海老名「普段の君ならそんなこと言わないと思うけどね?」


海老名「深夜テンションってやつなのかな?」


八幡「……そういうことにしておいてくれ」


八幡(背中越しに感じる海老名さんの体温が、心地良いと感じるのは気のせいなのか……)


海老名「うん…そういうことにしておくね」


八幡(少しだけ腰に回されてる腕に力が入る。けれど、決して苦しいわけではなくて)


八幡「そんなにくっつかれると恥ずかしいんだが…」


海老名「いいじゃんいいじゃん。こんな機会めったにないんだから」


八幡「まぁ、それはそうなんだが」


海老名「それにね…好きな人とはこうしてみたかったから」
449: ◆b8hpDiJuic 2015/10/05(月) 20:30:11.78 ID:RyGulVbpO
海老名「私ね…こんなに乙女なところがあるなんて驚きだよ」


八幡「何言ってんだ?海老名さんは充分にそうだろ」


八幡(やはり俺自身、夜中でテンションがおかしいのか)


八幡(それともこんな状況になって浮かれているのか)


八幡(いつもの俺からは絶対に言わないような言葉が口から出ていく)


海老名「…っ!?そんなこと言うのは反則だと思うな」


八幡「いつもそんな風に反則してくるのはそっちだろ」


海老名「それはそうなんだけど…なんか悔しいな…」

455: ◆b8hpDiJuic 2015/10/08(木) 00:23:44.19 ID:zBl3ZD3iO
八幡「それに……こんなの言うのはどうかと思うが…役得ではあるしな」


海老名「…私なんかにこんなことされても…君はそう思ってくれるの?」


八幡「当たり前だろ。そもそもぼっちの俺が恋人なんていたことあるわけないんだからな」


八幡「こんなことされるの初めてなんだよ……」


八幡「だからって誰でもいいってことじゃないが……でも、あんたなら…その、いいけどな」


八幡(顔から火を吹くとはこういうことをいうのだろうな)


八幡(ぺらぺらと今の俺の口は何でも言ってしまいそうだ)

456: ◆b8hpDiJuic 2015/10/08(木) 00:25:38.55 ID:zBl3ZD3iO
海老名「だから、そういうの反則だって…嬉しすぎてどうにかなりそうだよ」


海老名「もう、本当に…好き…好きだよ」


八幡「……ありがとうな」


八幡(彼女の…いや、彼女たちの好意は素直に嬉しいと思う)


八幡(こんな俺をちゃんと見てくれて、真っ直ぐに想いを伝えてくれて)


八幡「本当に俺にはもったいないな…」


海老名「結衣も雪ノ下さんも…そんなこと思ってないよ。もちろん、私も」


八幡「それでもだ。今の折れば人生の絶頂期にいると言っても過言ではないな」

457: ◆b8hpDiJuic 2015/10/08(木) 00:26:19.89 ID:zBl3ZD3iO
八幡「こんな美少女たちに言い寄られることなんて、これから先の人生で絶対にないだろうからな」


海老名「…美少女って……結衣や雪ノ下さんは分かるけど…私は…」


八幡「あんたも俺からしたら充分に美少女なんだよ…恥ずかしいから…あんまり言わせんな」


海老名「本当に今日はどうしたの?何か悪いもの食べた?」


八幡「悪いものも何も、今日の晩飯はここで同じものだったんだからそれはねぇよ」


八幡「ただ、海老名さんたちが真っ直ぐに来てくれるなら…俺もそうじゃなかったらフェアじゃないし」


八幡「俺も、もう逃げないって決めたから…」


八幡「雪ノ下からも、由比ヶ浜からも、そして海老名さんからもな」

458: ◆b8hpDiJuic 2015/10/08(木) 00:27:28.25 ID:zBl3ZD3iO
海老名「…今の最高にカッコいいよ。あの二人に見せれないのが残念だよ」


八幡「一人だけに言うだけでこんなに恥ずかしいんだ。あと、二人もいたら言えるわけねぇ」


八幡(現在進行形でさっきよりも顔の熱さが増しているんだから。これ以上とか無理ゲー過ぎる)


海老名「誰が選ばれても…最初はギクシャクするだろうけど、みんな君を恨んだりしないかな」


海老名「君がちゃんと考えて決めてくれたことなら…私たちはちゃんと受け止めるから」


海老名「……本音を言ったら私を選んでほしいけど、君が一緒にいたいと思う人なら私は……」


八幡(彼女は一旦そこで言葉を止めた。少しだけ背中越しの彼女が僅ながら震えているのを感じた)


海老名「ふふ、私にそんなこと言える資格なんて本当はないんだけどね…」

459: ◆b8hpDiJuic 2015/10/08(木) 00:28:21.74 ID:zBl3ZD3iO
海老名「"とべっち"や"隼人くん"を傷つけて…優美子にもいっぱい酷いこと言ったり」


海老名「そんな醜い私が…本当に君に選ばれてもいいのかなって、なのに…こんなにも君に選んでほしくて」


海老名「不安で不安で仕方ないのに…もっともっと自分は冷たい人間なんだって言い聞かせて…」


海老名「誰かを踏みにじってでも、君と一緒にいようと考えてる自分が…私は大嫌い…だから…だから…っ!?」


八幡「もういい…もういいんだ…」


八幡(悲痛な彼女の告白に俺は気づいたら彼女の身体を抱き締めていた)


八幡「俺はあんたが何を抱えていて、どれだけ苦しい思いをしてるのか…」


八幡「正直言ったら少ししか…もしかしたら全く分かってないのかもしれない」

472: ◆b8hpDiJuic 2015/10/17(土) 01:28:18.72 ID:wNuDSyNKO
八幡「でも…俺がこんなこと言うのもなんだが、もうそんな風に自分を追いつめないでくれ」


海老名「……八幡くん」


八幡「こういう時に何か気のきいたことを言えたらいいんだろうが」


八幡「俺はそんなこと出来なくて悪いな」


海老名「ううん、そんなことない…そんなことないよ」


海老名「こうやってちゃんとしてくれてる。君は受け止めてくれてるんだって」


海老名「それだけでもすごく嬉しいから」


八幡「別に俺は…ただしたいようにしてるだけだ」

473: ◆b8hpDiJuic 2015/10/17(土) 01:28:52.36 ID:wNuDSyNKO
八幡「やっぱり今の俺はおかしいな。普段なら絶対にこんなことしないし、言わないわ」


海老名「いいんじゃないかな。今の君なら誰にだってかっこよく映ると思うけど?」


八幡「やめてくれ…ぼっちは注目されることにひどく敏感なんだよ」


八幡「今の、俺がぼっちかと言われたら、そんなことないって言われるのがオチだろうけどな」


海老名「そうだねぇ。今じゃ教室でも普通に話してるもんね」


八幡「あんたや由比ヶ浜は分かるんだが、三浦や川崎までくるのは何なんだよ」


八幡「おかげで視線が痛くて仕方ない」

474: ◆b8hpDiJuic 2015/10/17(土) 01:29:21.76 ID:wNuDSyNKO
海老名「優美子は色々と気にかけてるんだよ。ああ見えて面倒見いいしね」


八幡「ああ、確かにな。オカン属性高いよなあーしさん」


海老名「それ優美子の前で潰されちゃうから言わないほうがいいよ。何がとは言わないけどね♪」


八幡(いや、一体ナニを潰すんですかねぇ……恐ろしすぎるだろ)


八幡「ま、まぁ…それは良いんだ。でも何で川崎まで来るんだよ」


八幡「それも海老名さんに連れられというのもあるが、そこそこな頻度だしな」


海老名「まぁ、それはね…ほら、サキサキにも色々あるんだよ」


海老名(サキサキも八幡くんのこと気になってるなんて…言っても信じはしないだろうけど)

475: ◆b8hpDiJuic 2015/10/17(土) 01:29:58.56 ID:wNuDSyNKO
八幡「そうか…大体は下向かれてるし、顔は赤いし、何か怒らせるようなことしたのかと思ってたんだが」


海老名「はは、そういうのはないから。安心して」


海老名「ただ、ほらサキサキも八幡くんみたいに一人の時のが多かったから慣れてないだけなんだよ」


海老名(本当はただの照れ隠しなんだけどね。あんなサキサキ可愛すぎて)


海老名(サキサキには悪いけど正直気付かれてなくて良かったなんて思っている)


八幡「ならいいんだが…あいつ目がキリッとしてるから睨まれると怖いんだよなぁ」


海老名「はは…それはさすがにサキサキも怒るかもね」

476: ◆b8hpDiJuic 2015/10/17(土) 01:30:53.56 ID:wNuDSyNKO
八幡「……まぁ、よく言えば綺麗な目はしてると思うけどな」


海老名「ん?」


八幡「怖い印象はあるが、話してみるとそんなに悪いやつじゃないしな」


八幡「結構家族思いなとこあって、見た目もいいし、あんな感じじゃなかったらかなりモテてるだろうに」


海老名「ふぅ~ん…八幡くんはサキサキみたいなのが好みなのかなぁ?」


八幡(あれ?布団に入ってるのに何でこんなに寒いんだ?ちゃんと窓は閉めたはずなんだが)


海老名「八幡くんはひょっとしてサキサキのことが好きなのかなぁ?」


八幡(あっ、見つけたわ冷気の原因…ニコニコしながらなのにそんな空気出せるんですかね?)

487: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:34:26.15 ID:0dNGn51NO

八幡「そういうわけじゃねぇよ。ただあいつと俺は何処となく似てるなとか思ったことはあるが」


海老名「まぁ、確かにサキサキも君と一緒でどちらかといえば一人でいることのが多いしね」


八幡「あとはかなりのブラコンだな。俺もかなりのシスコンだが、あいつも大概だ」


海老名「で、そんな似ているサキサキに興味でも出てきたのかなぁ?」


八幡(いや、だから怖ぇよ…)


八幡「だからそういうわけじゃないって言ったろ。ただ似てるって思っただけだ」


海老名「ふぅん…まぁ、いいんだけどね。サキサキ可愛いなんて女の私から見ても思うんだもん」


海老名「ねぇ?やっぱり男の子からしたら……その大きい方がいいの?」

488: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:34:52.98 ID:0dNGn51NO

八幡「ん、何がだ?」


海老名「えっ!?それは…その……ねのことなんだけど」ボソボソ


八幡(何か言ったみたいだが、俺の耳にはよく聞こえなかった。え、なんだって?)


八幡(海老名さんは顔を真っ赤にしながら言うか言わまいか悩んでいるみたいだったが、深呼吸を一回すると意を決したように言ってきた)


海老名「だから‼胸って大きい方がいいのかなって……」


海老名「君も、ほら、ちゃんと男の子だからさ…そういった部分も必要なのかなって…恥ずかしいんだから言わせないでよ」


八幡「は!?いや、その……別にそんなことは…」


海老名「そうなの?でも結衣がたまにヒッキーが見てるなんて言ってるのはなんでかな?」

489: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:35:20.04 ID:0dNGn51NO

八幡(おぅ…ばれてぇら…)


海老名「女の子はそういうのには敏感だから気をつけないとダメだよ」


八幡「はい…肝に命じておきます…」


海老名「でも、君になら多少はいいって結衣も思ってるだろうけどねぇ」


八幡「はぁ?さっきと言ってること違いすぎてないか?」


海老名「そりゃあ、知らない人からそんな目線で見られたら気持ち悪いってなるけど」


海老名「結衣は君のことが好きなんだよ。好きな人が魅力的だと思ってくれてるとこがあるなんて嬉しいからね」


八幡「……そういうものなのか?」

490: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:35:46.36 ID:0dNGn51NO

海老名「そうなんだよ。だからってそんなとこばかり見てたらただの気持ち悪い人だから気をつけてね」


八幡「いや、見ようと思って見てるわけじゃないんだが……」


八幡(まぁ…俺も男なんでそんな目で見ないこともないが)


海老名「それで話を戻すけど、君は……その大きいほうが良かったりするのかな?」


八幡(上目遣いでそんなこと聞いてくるのやめてくれませんかね…しかもあざといなんて感じねぇし)


八幡「別にそんなことはねぇけど……そんなとこだけで決めたりしないし、外見なんて人を作る一つのファクターでしかないしな」


八幡(その外見のファクターである目で、そこそこな思いはして気はしたが、それはただの黒歴史だ)


海老名「じゃあ、八幡くんから見て私ってどうかな?」

491: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:36:13.42 ID:0dNGn51NO

海老名「ほら私って優美子たちと一緒にいるから目立ってるだけで、部類的には地味な方だから…」


八幡「そうか?俺からしたら充分可愛いと思うけどな」


海老名「えっ!?ちょっと八幡くん!?」


海老名(彼の口からこんなことが聞けるとは全く思っていなかったし)


海老名(例え言ったとしても、こんなはっきり言われるなんて想像なんてしていなかった)


八幡「あの二人といるからじゃなくて、海老名さんだって負けてねぇよ」


八幡「って俺はいったい何言ってんだろうな。まぁ、これも深夜テンションってやつで聞き流してくれ」


海老名「聞き流してくれって…そんなこと出来るはずないよ…だってこんなに嬉しいのに」

492: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:36:40.24 ID:0dNGn51NO

海老名「君って色々と無自覚でそういうこと言うよね。あざといって分かってるのかな?」


八幡「はぁ…俺があざといって?それなら小町はあざとい通り越して別の何かになっちまうな」


海老名「全く…そんなんだから結衣や雪ノ下さんも君に惹かれたんだよ」


八幡「それだよ…俺はあいつらに好意持たれるようなことした記憶はないんだけどな」


海老名「理由ならあの時に言ってくれたと思うけど?」


八幡「いや、別に何か考えて言ったようなこともねぇし。ただただ思ったこと口にしてただけなんだが…」


海老名「それでもあの二人にとったら大事なことだったんだよ」


八幡「そういうものなんかね?こういった経験ないから全く分かんないわ」

493: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:37:09.87 ID:0dNGn51NO

海老名「それで話を戻すけどね。君は私のことどう思ってるのかな?」


八幡「どう思ってるって言われてもな…わるいがよく分からないっていうのが本音だ」


八幡「そりゃあ、俺みたいなやつに好意持ってくれるのは素直に嬉しいけどな」


八幡「でも…どうしても考えてしまうんだ。結局は今までのようになるんじゃないかって…」


八幡「頭では分かってる。雪ノ下に由比ヶ浜、それに海老名さんだってそんなことはしないだろうって…」


海老名(彼の声は震えていた…きっとあの事が原因で誰かを好きになるっていうこと事態がトラウマなんだって小町ちゃんは言っていた…)


八幡「…俺は臆病なんだよ…みんなそんなことしないって思ってても…」


海老名「……大丈夫だよ」

494: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:37:36.19 ID:0dNGn51NO

海老名(私は思わず彼の身体を強く抱きしめた)


海老名「大丈夫だから。私たちはそんなことないから…」


海老名「すぐには信用出来ないかもしれないけど……ごめんね…何て言ったらいいか分かんないや…」


海老名(すごく自分が不甲斐ないと思ってしまった。彼は私を助けてくれたのに…)


海老名(私は彼に対して何もしてあげられない……言葉すらかけてあげられないのが、辛くて情けなかった)


海老名「ごめんね…好きって気持ちは本当なのに何も出来なくて…」


八幡「……そんなことねぇよ」


海老名(彼はゆっくりと私の腕を離すと、私の方に身体を向ける。そして優しく私の身体を抱きしめた)

495: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:38:03.41 ID:0dNGn51NO

海老名「えっ!?八幡くん…」


海老名(突然のことに私は驚きを隠すことが出来なかった。私はしてはいいか分からなかったけど、おずおずと彼の背中に腕を回した)


海老名(彼は私の腕を引き離すでもなく、私たちはしばらく無言でお互いを抱きしめあっていた)


海老名(彼とこんなにも密着する状況に、自然と心臓が高鳴りだす)


海老名「……えっと、どうかした?」


海老名(私が問いかけると、一度深呼吸をして彼は口を開いた)


八幡「…ありがとな」


海老名「いきなりお礼なんて言ってどうしたの?…そんな言われることしてないよ?」

496: ◆b8hpDiJuic 2015/11/26(木) 13:38:34.38 ID:0dNGn51NO

八幡「ちゃんと分かってる…みんなの気持ちが本物なんだって」


八幡「踏み出せないのは俺が臆病なだけで…今までのようになるかも知れないっていうのも言い訳にしかならないけどな」


八幡「…今のこの状況が心地よくて…みんなが待ってくれることに甘えて」


八幡「俺も葉山のことは言えないな…結局は俺も今を壊すことを何処かで怖がってたんだ」


八幡「俺がどんな答えを出してもみんな受け入れてくれるか、不安だったとこもあった」


海老名「そんなことないよ……私もあの二人も君が考えて出した答えならちゃんと受け入れてくれるから」


八幡「ああ、だから…ありがとな。俺はもう怖がらないから…」


八幡「悪いな…なんかみっともないところ見せちまって」

501: ◆b8hpDiJuic 2015/11/27(金) 00:18:55.87 ID:vdHcsokDO

海老名「ううん、いいの…君はもっとそういうとこ見せてもいいんだよ」


海老名「一人で抱え込まないで、もっと私たちを頼ってよ…」


八幡「……ずっとぼっちだったから。人に頼るとかあんまりしたことがなくてな」


八幡「だから、色々と迷惑とかかけちまうかもしれないが……その、なんだ…なるべく頼るようにする」


海老名「うん…うん、きっと結衣も雪ノ下さんも同じだと思うから」


海老名(やっぱり私は狡い女だとつくづく思う)


海老名(フェアじゃないのなんて分かってて、分かってるけど…今の彼を知ってるのは私だけ)

502: ◆b8hpDiJuic 2015/11/27(金) 00:19:25.51 ID:vdHcsokDO

海老名(私はあの二人に対して優越感を感じてる。なんて酷く歪んでるんだろうと自分ですら呆れてしまう)


海老名(多分…いや、きっと私はこの歪みを直すことは出来ないのだと思う)


海老名(こんな私を彼は受け入れてくれるだろうか?)


海老名(今…彼の近くにいるのは私だけど、彼の心に一番近いのは誰?)


海老名(こんなに近くに彼の体温を感じても不安で不安で仕方がなくて…)


海老名(ギュッと彼の身体をさらに強く引き寄せる。この不安が少しでも紛れるように)


八幡「……どうかしたか?」


海老名「何でも…何でもないよ。大丈夫…私は大丈夫だから」

503: ◆b8hpDiJuic 2015/11/27(金) 00:19:56.28 ID:vdHcsokDO

八幡「…そうか」


海老名(彼はそれだけ言うと、優しく私の頭を撫でてくれる)


海老名「うん、そうなの。だから大丈夫。大丈夫だよ」


海老名(きっと彼は薄々分かってるんだろう。私のこの醜い部分を……)


海老名(それでも彼は何も言わない。否定するわけでも、肯定するわけでもない)


海老名(それが彼の優しさなのか、ただただ面倒だからなのか分からないけど、今の私にはひどく心に染み渡る)


海老名「…もっと…して?」


海老名(自分でもなんてあざといんだろうなって思ってしまう)

504: ◆b8hpDiJuic 2015/11/27(金) 00:20:23.17 ID:vdHcsokDO

海老名(なんだか…やっぱりダメだなぁ)


海老名(溶かされていく…こんな甘いものを知ってしまったらもう逃げられない)


海老名(いつもは他人に興味ないって雰囲気だしてるのに、こういうときだけするりと入ってくるのは卑怯だ)


海老名(私の頭を撫でてくれてる手は、さっきよりも柔らかくて、心地よくて…)


海老名(この雰囲気もあるんだろう。彼と私しかいなくて、彼のベッドに二人でいるこの状況も)


海老名(そこだけ切り取るとまるで恋人同士の戯れみたいに思えてくる。だから今の私はこんなにも彼に甘えてるんだろう)


海老名(この時間を少しでも長く味わいたいのに、この心地よさは私を眠りに落とす)


海老名(まどろみの中で聞こえた八幡くんのおやすみという声は、きっとこの続きを夢で見させてくれると思いながら、私は意識を手放した)

531: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:43:11.55 ID:XKNR6nieO

海老名(カーテンの隙間から漏れる太陽の光が目をくすぐってくる)


海老名(その感触でゆっくりと目を覚ます。寝ぼけた上に眼鏡をしてないからぼんやりする視界をなんとか定める)


海老名(最初に視界に入ってきたのは、いつもとは違い少し幼く見える寝顔をしてる彼だ)


海老名(えっ!?なんで…‼)


海老名(そのことに驚き声をあげそうになるけど、気づいたら彼の隣で眠りについていたことを思い出す)


海老名(そっか…昨日はあのまま寝ちゃったんだ…)


海老名(沢山…色々なこと言ったけど、どう思ったんだろう?)


海老名(話のなかで彼が私の頭を撫でてくれて、抱き締めてくれたこともはっきりしていく頭と共に思い出してくる)

533: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:43:40.72 ID:XKNR6nieO

海老名(こんなキャラじゃなかったはずなのになぁ…)


海老名(もっと私は淡白なものだと思っていた。優美子にしつこく男の子を勧められたときのように)


海老名(たったひとつ…ただ彼に、比企谷八幡を好きになった)


海老名(それだけのことで私は変わってしまった。腐っているから上手くいかないなんて思っていたのに)


海老名(結局は私の気持ち次第だったってことなんだね)


海老名(後悔がないわけじゃない…どう言ったって私は…人を傷つけたのだから…その事を私は背負わないといけない)


海老名(彼の優しさに甘えちゃいけない)


海老名(そんなことを分かってはいるけど、ついそばにいる彼に甘えようとしてしまう)

534: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:44:10.31 ID:XKNR6nieO

海老名(昨日あれだけ彼に慰めてもらったのになんて貪欲なんだろうか)


海老名(そう頭じゃいけないって思っても心は覚えてしまった優しさを求めている)


海老名(布団の中をまさぐって、彼の手を見つけるとそのまま自分の手を重ねる)


海老名(それだけで今の単純な私の心は満たされてしまう)


海老名「…大好き」


海老名(無意識に口から零れた言葉に、私は顔を真っ赤に染める)


海老名(はぁ、いきなり一体何を言ってるの私は!?もう本当におかしいよ‼)

535: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:44:54.91 ID:XKNR6nieO

海老名(恥ずかしさで軽く悶えていると、その気配に気付いたのか彼が目を覚ます)


八幡「……んっ、ん?」


海老名(あっ、起こしちゃった…)


海老名(朝日が眩しいのか、目を細めて光に慣らしながらゆっくりと目を開ける)


海老名(そこには見慣れた彼の特徴でもある濁った瞳に私が映っている)


八幡「…海老名さんか…」


海老名(しばらくお互いにじっと目を見ていると、少しずつ彼もこの状況が分かったのかいきなり飛び起きる)


八幡「は!?なんで海老名さんと一緒に寝てんだよ!?てかなんで俺ん家に海老名さんが……ってそうかそういや泊まりにきたんだったな……」

536: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:45:24.47 ID:XKNR6nieO

八幡(えっ、じゃあ何?俺は付き合ってもない子と一緒に寝たの?)


八幡(寝たと云っても真っ当な睡眠だけってことだけど、昨日の俺のテンションおかし過ぎだろ)


八幡「ああ…なんだ…その悪かったな。昨日は俺も変だったみたいだ」


海老名「えっ、ああ気にしないでいいよ。私も……その、嬉しかったし……ドキドキしたし…」


八幡(ぼそぼそ言ってるけど聞こえちゃってるんですよね…難聴系主人公ならえっ、なんだって?でいけるんだろうが)


八幡(そこからお互いに恥ずかしさから口を閉ざして無言になってしまう)


八幡(正直な感想を言うと、こんなにしおらしい海老名さんを見るのはレアなので役得だとは思いはする)


八幡(いつもは海老名さんぐ腐腐系女子だしな…てか、自分で思っといて何だがぐ腐腐系女子ってなんだよ…)

537: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:45:59.94 ID:XKNR6nieO

八幡(そんな静寂もいつかは破られるわけで…)


小町「お兄ちゃん海老名さん知らない……」


八幡(小町よ来てくれたのはありがたいけど、この光景を見てその汚物に向けるような眼差しは止めてくれ)


海老名「あっ、小町ちゃんおはよう。大丈夫だよ私が勝手に入っただけだから」


八幡(海老名さんのフォローで小町の目が元に戻ってくれた)


小町「そうだったんですね。いやぁ、てっきりそこのごみぃちゃんが無理矢理連れ込んだのかと思いましたよぉ」


八幡「そんなこと出来る度胸ないのくらい分かってるだろ…」


小町「確かにそうなんだよね。……そんなに積極的ならあの二人がそこまで苦労するわけないだろうし…」ボソッ

538: ◆b8hpDiJuic 2016/01/27(水) 23:46:42.27 ID:XKNR6nieO

海老名「あはは…それで小町ちゃんどうしたの?」


小町「ああ、朝ご飯出来たら探してたんですよ。まさかお兄ちゃんと一緒にいるとは思ってませんでしたけど」


海老名「そうだったんだ。ごめんね手間かけて」


小町「いえいえ大丈夫ですよ。それじゃあ下で待ってますね」


海老名「うん、分かった。すぐ行くね」


八幡(ドアが閉められてトタトタと小町が階段を下る音が聞こえる)


海老名「それじゃあ私達も起きよっか」


八幡「そうだな…」


海老名「あっ、そういえばいい忘れてた。おはよう八幡くん」


八幡「……ああ、おはよう」

549: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:53:16.76 ID:c59OECcTO

・・・・・・・・・・

海老名(小町ちゃんの作ってくれた朝ご飯を食べた後は、特に何をするというわけでもなく)


海老名(小町ちゃんは友達と予定があるということで出ていった)


海老名(彼と二人きりになれたからといって何か特別なことをしたわけじゃない)


海老名(ただ、一緒にTVを観て談笑したり、彼の持っている本を読んだりして何処にでもある普通の日常を過ごした)


海老名(そんな普通なことが彼がいるだけでとても幸せで、そして幸せな時間は過ぎるのが早い)


海老名「もう、こんな時間かぁ…」


海老名(小町ちゃんも帰ってきて、時計の針は夜の8時を示していた。明日は学校なので帰らなければいけない)


海老名「そろそろお暇させてもらうよ。昨日今日とありがとうね」

550: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:53:44.45 ID:c59OECcTO

小町「海老名さん帰っちゃうんですか?もっと色々とお話ししたかったのに…」


八幡「仕方ないだろ明日からまた学校なんだしな」


小町「うぅ…それは分かってるけどさ」


海老名「ふふ、ありがとう。呼んでくれたら出来るだけ来るようにはするから」


小町「はい、分かりました♪じゃあ、お兄ちゃんしっかりと送るんだよ」


八幡「ああ、分かってる」


海老名(えっ、そこ即答なの!?)


海老名「えっ?別に送ってもらわなくても大丈夫なんだけど…」


海老名(普段の彼なら渋りそうなとこをだったから、少しばかり戸惑ってしまう)


小町「いやいや駄目ですよ。こんなお兄ちゃんでも盾くらいにはなってくれるでしょうから。いくらでも使って下さい」

551: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:54:10.35 ID:c59OECcTO

八幡「小町ちゃんそれはさすがに酷すぎない?まぁ…いいか。そういうわけだから送るわ」


海老名「そ、そう…ならお言葉に甘えようかな」


八幡「ん、じゃあ、ちょっと上着とか取ってくるから少し待っててくれ」


海老名(そう言って彼は自室に一度戻っていった)


小町「へぇ、あのお兄ちゃんがここまでするなんて」


海老名「どういうこと?」


小町「そりゃ専業主夫が夢なんて言ってるお兄ちゃんですから、前なら面倒臭がって渋々って感じだったんですけど」


小町「さっきのは最初からそうしようって思っていたみたいだったので、お兄ちゃんも変わってきたんだなぁって」

552: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:54:36.47 ID:c59OECcTO

小町「きっと、皆さんのお陰なんでしょうね」


海老名(やっぱり色々言ってもちゃんと彼のこと考えてるんだね)


海老名(そんなことに思いを馳せていると、準備が出来たのか彼が戻ってきた)


八幡「悪い待たせた。それじゃ、小町。留守番頼むな」


小町「はーい、気を付けてね。海老名さんまた来て下さいね♪」


海老名「うん、こちらこそありがとう。またね」


海老名(小町ちゃんに別れを告げて、私は彼と一緒に彼の家から出ていく)


海老名(いくら街頭があるとはいえ、この時間から自転車は危ないとのことで徒歩で送ってくれるみたいだ)

553: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:55:06.50 ID:c59OECcTO

海老名(外に出ると、深まる秋の空気からか少し肌寒いと感じる)


八幡「前と同じくらいのところでいいのか?」


海老名「えっ!?…ああ、うん、大丈夫だよ」


海老名(彼は分かったと言って私の前を歩き始める。歩調は私に合わせてくれているのかゆっくりとした感じで)


海老名(私は歩きながらチラチラと彼の顔を覗き込む)


海老名(いつもと違う雰囲気だからか、何だか妙に見惚れてしまう)


海老名(そんな雰囲気に私も呑まれてしまっているのか、自分でも気付かないうちに彼の手を掴んでいた)


八幡「…え、海老名さん!?」

554: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:55:41.08 ID:c59OECcTO

海老名「これは‼…その、えっと…ほら、寒かったから‼だから…」


海老名「…だから、こうしたら温かいかなって……ダメかな?」


海老名(自分でも苦しい言い訳をしているなんて分かっているが、それ以外のことを思いつかなかった)


海老名(振りほどかれるかと思ったけど、私の予想に反してそのままでいてくれた)


八幡「…寒いなら仕方ないな…」


海老名「うん…」


海老名(ドキドキと自分の心臓が高鳴ってるのが分かる。これよりも昨日はもっと密着してたはずなのに、それ以上の恥ずかしさを感じている)


海老名(お互いに恥ずかしさからか無言のまま歩みを進めている)

555: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:56:22.27 ID:c59OECcTO

八幡「…その、ありがとな」


海老名「えっ?な、何が?」


八幡「いや、小町も楽しそうだったし、ほら俺がこんなだからあんまり家にも友達呼ぶことなくてな」


八幡「それに俺は特に何も思ってないが、親も仕事が忙しいからあんまりいなくてな。口では言わないけど寂しい思いしてるだろうから」


八幡「だから来てくれてありがとな。ただ、今度から俺にも言ってくれ少し…というかかなり驚くから…」


海老名「うん、分かった。そうするね」


海老名(良かった迷惑じゃなかったんだ…)


海老名「また、行ってもいいかな?」

556: ◆b8hpDiJuic 2016/01/28(木) 22:56:56.35 ID:c59OECcTO

八幡「…俺の家でのヒエラルキーはカマクラより下だからな。小町がいいなら俺もいい…」


海老名(それって殆んど大丈夫って言ってるようなものだよね)


海老名(隠す気があるようでない答えに私は笑みを浮かべる)


海老名(きっとこんな捻た優しさに私はどうしようもなく惹かれるんだろう)


海老名(月明かりに照らされて浮かんでいる私達の影が繋がっていることが幸せで)


海老名(そこから前に別れたところまで話すことはなかったけど、それでも私の心を満たしてくれた)


海老名(帰り際に繋いでいた手を離すのが名残惜しくて、でも、彼はぶっきらぼうだけどまた明日なと言ってくれた)


海老名(私もまた明日と言って手を離し、彼の帰る後ろ姿を少し眺めた後、残っている温もりを感じながら残りの帰路についた)

562: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:47:36.99 ID:kgxSJIesO

・・・・・・・・・・


八幡(海老名さんが泊まりに来てから数日、特に何があったわけでもなく)


八幡(まぁ、相変わらずあの3人の距離が物理的に近いのには役得ではあるけど、精神的になかなか疲弊はするが…)


八幡(そろそろ彼女たちからの告白に答えを出さないといけない。そう思いつつも何故か足踏みしてしまう)


八幡(もう…分かってはいるのにな)


雪ノ下「じゃあ、今日はこのくらいにしましょうか」


八幡「…ああ」


八幡(結局この日もそんなことばかり考えながらいると1日が終わってしまった)


八幡(帰る準備をしていると奉仕部のドアからノックする音が聞こえた)

563: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:48:12.01 ID:kgxSJIesO

八幡(最初は気のせいかとみんな思ったのか反応をしなかったが、再びノックの音がする)


雪ノ下「どうぞ」


八幡(雪ノ下が来客に声をかける。こんな時に誰だと思いながら、ドアが開くとそこにいたのは思ってもいない奴だった)


由比ヶ浜「……戸部っち」


海老名「……………」


戸部「…うっす…」


雪ノ下「…こんな時間に依頼かしら?もう帰るつもりでいたのだけれど」


八幡(周りの空気で何かを察したのか雪ノ下は刺のある言い方で対応する)

564: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:48:46.91 ID:kgxSJIesO

戸部「…そういうわけじゃなくて…ただちょっと海老名さんとヒキタ…比企谷君に話があって」


八幡「…戸部……分かった俺はいいが…」


八幡(問題は海老名さんだ。またあの時のようになるかもしれない)


八幡(海老名さんはしばらく俯いて沈黙していたが、顔を上げると返答する)


海老名「いいよ…」


八幡(戸部はその応えにホッとしたのか、少しだけ安堵の表情を浮かべている)


八幡(それといつものあの軽い雰囲気が少し成りを潜め、いつになく真面目な感じだ)


戸部「んじゃ、前話した場所で待ってるっす…」

565: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:49:12.93 ID:kgxSJIesO

八幡(戸部はそれだけ告げると部室から出ていった。さっきまでの穏やかな雰囲気と変わって、重たい沈黙が流れる)


八幡「…本当に良かったのか?」


海老名「うん、いいの…ほら行こう?」


八幡(そんな風に促す彼女だが、声は少しばかり震えていて、眼鏡の奥の瞳は沈んでいるように見えた)


由比ヶ浜「姫菜……ヒッキー、姫菜をお願い…」


雪ノ下「…そうね。この事はきっとあなたたちにしか出来ないのでしょうね。でも、もし何かあったらすぐに言ってちょうだい」


海老名「…ありがとう」


八幡(わずかに表情に明るさが戻ると、彼女は部室から出ていく)

566: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:49:39.38 ID:kgxSJIesO

八幡(俺は雪ノ下と由比ヶ浜に目配せをする。二人の表情からは心配と、俺に任せるといった雰囲気が伝わってくる)


八幡(それに応えるように静かに頷いて海老名さんの後を追う)


八幡(少しだけ見えた二人の顔からは心配の色は消えていた)


・・・・・・・・・・


八幡(いつもの俺のベストプレイスに着くと、戸部と海老名さんはお互いに下を向いたまま黙りこんでいた)


八幡「悪いな待たせたか?」


八幡(なるべく刺激を与えないようにするつもりではいるが、どうしても言葉に刺が付きそうなのを抑える)


戸部「いや、呼んだのはこっちだから…それに本当に来てくれるとは思ってなかったし」


八幡「それで話ってなんだ?」

567: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:50:05.78 ID:kgxSJIesO

八幡(あの時のように、出来るだけ海老名さんに来ないよう俺が話を進めようとする)


八幡(戸部は何かを考え、大きく深呼吸すると急に膝を着くと)


戸部「この間はすみませんでした‼」


海老名「……‼」
八幡「…はっ!?」


八幡(膝を着いて頭を下げる戸部。急な戸部の土下座に俺たちは二人とも困惑する)


戸部「俺って馬鹿だから全部ヒキタ…比企谷君のせいにして…」


戸部「でもそんなことしても意味無くて、海老名さんが好きなのは比企谷君で、好きな人を馬鹿にされたら誰でも怒るって」


八幡「戸部…いや、俺は別に、てかそろそろ頭を上げてくれ」

568: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:50:31.92 ID:kgxSJIesO

八幡(戸部は立ち上がり、俺たちを正面から見据える)


戸部「それに気づいたっしょ。隼人君や奉仕部に頼んで海老名さんと付き合えたって自分の力でしたわけじゃないって」


海老名「……戸部…君」


戸部「自分で頑張ってもないのに比企谷君を責める俺は最低で…」


戸部「だから…許してほしいわけじゃない。ううん…違うっしょ本当は許してほしくてびくびくしてて…」


戸部「でも、俺は馬鹿だけど馬鹿なりに考えて、二人に謝らないと前に進めないって思ったから‼」


戸部「海老名さんには迷惑かけまくったし、比企谷君にはいっぱい傷つくようなこと言って…すみませんでした‼」


戸部「俺の自己満だけどこれだけはしたかったから」

569: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:50:57.98 ID:kgxSJIesO

八幡(戸部は再び頭を下げる。それを見て何だか胸の奥から何か込み上げてくるのを感じた)


八幡「俺はそもそもお前に怒ってもないし、謝られることもされたとも思ってない」


八幡(戸部は頭を上げてると、俺を真っ直ぐ見て俺の言葉に耳を傾ける)


八幡「だから…俺から言えるのは気にするなってだけだ。どうしても言葉がいるなら俺はお前を許す」


戸部「…比企谷君……ありがとう」


八幡(あとは海老名さんだが…)


八幡(彼女は下を向いてずっと押し黙っているままだ)


八幡(時折、何かを言おうとするが結局それを飲み込むといったことを繰り返している)

570: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:51:23.05 ID:kgxSJIesO

八幡(戸部はその様子をじっと見つめていたが、しばらくすると諦めたような顔を浮かべる)


戸部「……そりゃそうだよな。今更こんなことを言っても仕方ないって分かってたから」


八幡「戸部…」


戸部「わざわざ来てくれてありがとうっしょ。信じてくれなくてもいい…けど、さっき言ったのは本気だから」


戸部「だから、ありがとう」


八幡(戸部はそう言うとゆっくりと校舎に戻っていく)


八幡(その姿を見ながら、これでのいいのかと海老名さんに問いかけようとした)


海老名「……っ戸部君‼」

571: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 22:51:49.94 ID:kgxSJIesO

八幡(問いかけようとしたその時に、海老名さんは戸部の名前を叫んだ。戸部はその声で振り返って驚いている)


戸部「海老名…さん」


海老名「……私も…私もごめんなさい‼君を悪者にして、みんな壊してしまって…」


海老名「恨んでくれていい、憎んでくれていい…君の好意を知っていって踏みにじった私を」


海老名「私こそ許してくれなんて言わない‼」


海老名「だから謝らないで…君は悪くないの…」


海老名「ごめん……ごめんね」


八幡(涙を流しながらそう叫ぶ彼女に、戸部は戸惑っていたが、戸部は明るく笑みを浮かべる)

572: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 23:22:09.12 ID:kgxSJIesO

戸部「海老名さんこそ悪くないっしょ。俺と一緒で海老名さんも比企谷君と付き合いたかっただけなんだし」


戸部「負けたのは悔しいけど、俺が海老名さんにとって本物になれなかっただけだから」


海老名「…戸部君…でも私は‼」


戸部「だから‼海老名さん頑張ってほしいっしょ‼俺は海老名さんが好きだから‼」


戸部「海老名さんには笑っていてほしい‼みんなと…比企谷君と笑っていてほしい‼」


八幡(お互いに涙を流してそれぞれの思いをぶつけていて、それを俺はとても綺麗だと感じている)


八幡(きっとここにいる人間以外からしたらすごくみっともないと思える状況なのかもしれない)


八幡(戸部は前に進むことを選んだ…だからこそぶつかることも選べたのだろえ)

573: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 23:22:37.06 ID:kgxSJIesO

海老名「でも…それじゃ戸部君は‼」


戸部「俺は…辛くないって言ったら嘘だけど、それでも海老名さんには笑っていてほしい‼」


八幡「…受け入れてやれよ。俺が口を挟むことじゃないかもしれない」


八幡(そんな真剣な…本物の思いに、俺の口が勝手に言葉を発していた)


八幡「でも、戸部は選んだんだ。どれだけ悩んだのかも俺は戸部じゃないから分からない」


八幡「それでも…海老名さんに対する言葉は全部本物だと思う。今それを聞いた俺でもそれは分かるくらいだ」


八幡「だったら一緒にいた海老名さんならもっと分かるはずだろう?」


海老名「八幡君……そんなのそんなの…痛いくらい分かるよぉ……」

574: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 23:23:03.02 ID:kgxSJIesO

戸部「海老名さん…やっぱり比企谷君には敵わないっしょ」


八幡「そういうわけじゃねぇよ。海老名さんも分かってた。ただそれだけだ」


戸部「それでも…うーんやっぱりこういうのは惚れた男のがよく効くってことで」


八幡(泣きながら笑うなんて器用なことをしている戸部の顔はとても清々しそうだ)


戸部「それじゃあ勝手だけど海老名さんのことよろしくお願いします‼」


八幡「ああ、その依頼確かに承った」


八幡(もう一度笑顔を浮かべ、今度こそ戸部は校舎に戻ろうとする)


海老名「翔君‼」

575: ◆b8hpDiJuic 2016/02/19(金) 23:23:30.93 ID:kgxSJIesO

八幡(海老名さんはまた戸部を呼び止める。しかし戸部は戻る足を止めようとしないが海老名さんは言葉を続ける)


海老名「ごめん…そしてありがとう‼」


八幡(戸部は一瞬足を止めて、振り向かないまま片手を大きく上げる)


戸部「俺も頑張るっしょ‼ありがとう‼」


八幡(戸部はそれだけ言うと走って戻っていった。その背中は何処か誇らしげで、俺には大きく見えた)


八幡「俺も選らばないとな…怖がらずに…」


八幡(不意に手に暖かいものが触れる。海老名さんの手が俺の手を握る。それにつられ彼女の顔を見ると)


八幡(海老名さんも戸部と同じように清々しい顔をしていて、俺の方を向くと優しく微笑んだ)

580: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:29:28.80 ID:VQqKJUYcO


・・・・・・・・・・


八幡(戸部の件があった次の日に、いつもの様にベストプレイスで昼食を取りながら、昨日のことを考えていた)


八幡(俺も選ばないとな……いや、本当はもう分かってる。俺が誰を想っているかなんて)


八幡(結局は俺も今を壊したくないと…そう思ってしまっていたんだろうな)


八幡(でも、それでは前に進むことなんて出来ない。あの嘘の告白をしなかったら、葉山達のグループは停滞していたかもしれない)


八幡(けれど…海老名さんは方法はどうあれ、あの関係を壊してでも俺に想いを伝えてくれた)


八幡(雪ノ下も由比ヶ浜も今が変わるのは分かっていただろう。それでも俺に真っ直ぐ好意を示してくれた)


八幡(戸部も自分の気持ちに決着をつけるために、本音をぶつけてきてくれた)


八幡(なら俺も選んで伝えないといけない。それが今を変えてしまっても、それで何かが壊れてしまっても)


八幡(冷めていくぬるま湯に浸かるより、そんなレプリカの安寧より…俺が求めていたものが、きっとそこにあるだろうから)

581: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:29:57.56 ID:VQqKJUYcO

八幡(しばらく考えに耽っていると、俺の前からコツコツとした音が耳に入ってきた)


八幡(本当に最近はよく絡むな)


八幡(顔を上げると、俺の予想通り平塚先生がそこにいた)


平塚「どうやら君も選んだようだな」


八幡「先生…そうなるんですかね」


八幡(先生は俺の隣に座り、まるで分かっていたかのようにそう俺に話しかける)


平塚「確かに何かを選ぶということは怖いことかもしれない。身近なことで言えば進路の事とかな」


平塚「だが人生は取捨選択の連続だ。それで何かを得て、何かを失ってしまう」

582: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:30:24.31 ID:VQqKJUYcO

平塚「君は選ばれない辛さを知っている。だからこそ戸惑ってしまった」


平塚「選ばれなかった人が傷ついてしまうのではないかと、離れるかもしれないと」


平塚「でもな比企谷。それで私は君達がの関係が壊れるとは思ってないよ」


平塚「彼女らは君のその不器用なところなんて承知の上だろうしな」


八幡「…それはそれで複雑っすけどね」


平塚「ふふ、今回私が言ったことはお節介だったかもな」


平塚「どんな選択をしようと、君が考えて伝えることを彼女達は真っ直ぐ受け止めてくれるさ」


平塚「それにどんな結果になろうと私は君の味方だ。だから思い切りやってこい。君のために、彼女達のために」

583: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:30:55.90 ID:VQqKJUYcO

八幡(平塚先生は立ち上がり、柔らかい微笑みを俺に向けると、校舎に戻っていった)


八幡(本当にあんたはなんてかっこいいんだよ。もっと早く出会えてたらあんたに心底ほれてたんだろうな)


八幡「……もう迷わない」


八幡(こんな俺でも声をかけてくれる人がいる。見守ってくれる人がいる。支えてくれる人がいる。)


八幡(そして想ってくれる人達がいる)


八幡(何がぼっちだよ。もうそんなこと言えねぇな…)


八幡(どんな結果になっても、それを受け入れる覚悟はした)


八幡(きっと分かってはいたんだ。たから前に進むために、俺はもう逃げない。)

584: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:31:24.94 ID:VQqKJUYcO

・・・・・・・・・・


八幡「なぁ…聞いてほしいことがあるんだ」


八幡(奉仕部の部室でいつものように依頼者を待っているなか、俺は三人に話しかけた)


八幡(三人は何かを察していたのか。俺の方を見て、俺が話し出すのを待ってくれる)


八幡「回りくどいことを言ってダラダラ長引かすのもあれだから単刀直入に言う」


八幡「この間の答えを出した」


八幡(その言葉に緊張が走るのが嫌でも分かった。俺も何だか口が重くなるように感じた)


雪ノ下「…大丈夫よ。あなたが決めたことだもの、私達はそれで責めたりしないわ」


由比ヶ浜「うん、きっとヒッキーがいっぱいいっぱい考えてくれたことだもん」

585: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:31:54.31 ID:VQqKJUYcO

八幡「雪ノ下…由比ヶ浜」


海老名「私達はどんな結果でも受け入れるよ。だから君の答えを私達に聞かせて?」


八幡「海老名さん…」


八幡(彼女達の優しさが心にすっと入ってくる。目から何か込み上げてきたが、今はそれをグッと堪える)


八幡「こんなに気持ちをぶつけられたのは初めてでな。最初は戸惑った。過去のように何かあるのかとも考えた」


八幡「でも、例え裏切られても俺はそれでもいいと思えた。俺にとってここはそう思える場所になった」


八幡「俺はもうぼっちなんかじゃない。そうみんなが教えてくれた…だから…」


八幡(結局何か回りくどいことを言ってるが、でも、俺自身この思いを伝えることを止めることが出来ない)

586: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:32:22.48 ID:VQqKJUYcO

八幡「雪ノ下。俺はお前に憧れている。その気高さに、その真っ直ぐな姿勢に、俺はそんな雪ノ下をとても綺麗だと思っている」


八幡「由比ヶ浜。お前の優しさには何度も助けられてきた。お前の笑顔に、明るさに、いつも俺を見てくれていたことに、俺は救われてたんだ」


八幡「海老名さん。一番あんたには驚愕させられた。いきなりあんな風にしてくるんだからな。でも、嬉しかった。俺に好意をぶつけれくれたことが」


八幡「…言葉だけじゃ、まだまだ言い切れないくらい俺は…ここが、みんなが大事だと思ってる」


八幡(目から必死に堪えていたものが溢れ出す。どんなにみっともなくても俺は)


八幡「だから…俺は選んだんだ。それが残酷なことでも、俺はもうみんなの気持ちから逃げない‼」


八幡(気持ちを伝えると決めた時、真っ先に浮かんだのは彼女と過ごした日々だった)


八幡(強いけど弱い。そんな彼女のそばに俺はいたいと思ったから)

587: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:32:52.80 ID:VQqKJUYcO

八幡「俺は、海老名さんのことが好きです。俺と付き合って下さい‼」


海老名「…‼八幡くん」


八幡「それが俺が決めた答えだから…」


八幡(緊張の糸が切れたのか俺は床に座り込む。そんな俺に海老名さんが駆け寄ってくる)


八幡「悪いな…こんなみっともなくて」


海老名「そんなこと…そんなこと全然ないよ‼」


雪ノ下「そうよ比企谷君。今のあなたはとても…そのかっこいいと思うわ」


由比ヶ浜「うん、ありがとう…ヒッキー。えへへ、そんな風に思っててくれて」

588: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:33:38.75 ID:VQqKJUYcO
海老名きゅ

八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…その、俺は…」


雪ノ下「言ったでしょう。あなたが決めたことなら責めたりしないと」


由比ヶ浜「ヒッキーはヒッキーがしたいようにしていいんだよ。それにさっき言ってくれたことすごい嬉しかった…」


八幡(俺は海老名に支えられながら立ち上がる。俺を見ながら二人は笑ってくれている)


八幡「ありがとうな…」


雪ノ下「あなたが素直にお礼を言うなんて天変地異でも起こるのかしら?」


八幡「うるせぇ、たまには素直になるのも悪くないって思ったんだよ」


雪ノ下「冗談よ。それと海老名さんおめでとう」

589: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:34:15.60 ID:VQqKJUYcO

海老名「う、うん…でもいいのかな…私…」


雪ノ下「何を言ってるのかしら?そんな弱気じゃ彼を捕まえておけないわよ」


雪ノ下「私も由比ヶ浜さんもまだ彼を諦めるなんて言ってないのよ?」


海老名「へ、へぇ…それはどういうことかなぁ?」


八幡(笑顔なのに雰囲気怖いんですけど、あと…やっぱり怖いんですけど)


雪ノ下「それだけ本気ということよ。あなたがしっかりしないならあなたから奪うくらいするわ」


由比ヶ浜「あたしも…ヒッキーのことこの中じゃ一番前から好きなんだから‼だから姫菜には悪いけど、あたしも諦めないからね」


海老名「ふふ、じゃあ私も頑張らないとね。でも絶対に八幡君のこと離したりしないから」

590: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:54:46.82 ID:VQqKJUYcO

雪ノ下「それでいいのよ」


八幡「おいおいお前らなぁ…」


雪ノ下「あなたも海老名さんのことちゃんと捕まえてないと駄目よ。最も離れられたら私が拾ってあげるわ」


由比ヶ浜「あっ、ゆきのんズルい‼ヒッキーあたしが拾ってあげるからね‼」


八幡「いや、俺は物かよ…」


海老名「堂々とNTR宣言なんて二人ともやるね。でも、残念でした。さっきも言ったけど私は離したりしないから」


八幡(そんなことを言いながら俺達は笑い合っていた。平塚先生が言ったように、この関係は壊れなかったのかもしれない)


雪ノ下「さて、折角、恋人になれたんだもの。ここにいるだけじゃあなた達に申し訳ないわ」

591: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:55:16.06 ID:VQqKJUYcO

雪ノ下「海老名さんと比企谷君は今日はもう帰っていいわよ。あとは私と由比ヶ浜さんで何とかするわ」


海老名「…‼うん、分かったよ。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」


八幡(海老名さんは自分と俺の鞄を持つと、俺の手を引っ張ってドアまで俺を連れていく)


八幡「お、おい!?本当にいいのか?」


雪ノ下「ええ、いいわよ。由比ヶ浜さんもそれでいいかしら?」


由比ヶ浜「うん、大丈夫だよ。ほらヒッキーちゃんと姫菜を送ってくんだよ」


八幡「まぁ、お前らがそういうならいいが…その……また明日な」


海老名「こっちこそ二人ともありがとうね。……本当にありがとう」


八幡(俺と海老名さんは奉仕部の部室から出ていく。ドアを閉める時、二人の顔は夕日で見えなかった)

592: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:55:55.80 ID:VQqKJUYcO

雪ノ下「……行ったわね」


由比ヶ浜「うん……そう…だね……」


雪ノ下(由比ヶ浜さんは我慢の限界だったのか、目からな涙がとめどなく流れ出している)


由比ヶ浜「…ゆきのん…ヒッキーが決めたことだけど、やっぱり悔しいよぉ‼」


由比ヶ浜「ずっとずっと前からあたしはヒッキーのこと好きで…ヒッキーの隣にいたかった‼」


雪ノ下(泣きじゃくる由比ヶ浜さんを私は抱き締めた。気付いたら流れていた涙を、彼女に見られたくなかったのかもしれない)


雪ノ下「そうね。悔しいわね」


由比ヶ浜「でもヒッキーが選んだことだから、あたしはヒッキーが好きだから幸せになってほしい…」

593: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:56:36.76 ID:VQqKJUYcO

雪ノ下(やはりあなたは強いわ。こんな時でも彼の幸せを願えるなんて)


由比ヶ浜「選んでほしかった‼選んでほしかった‼ヒッキーに好きって言ってほしかったし‼」


雪ノ下「私も‼私も彼に選ばれたかったわ…」


雪ノ下「私も彼の隣にいたかった。彼はちゃんと私を見てくれてた」


雪ノ下「だから彼に選んでほしかった‼彼に好きって言ってほしかったわ‼」


雪ノ下「でも…私達は伝えるのが遅かったのよ…彼女のように何かを失ってでも、本気で彼の隣にいようとしなかった」


雪ノ下「それが彼女と私達との差だったのよ…」


雪ノ下(きっと甘えていたのね…どこかで彼が私達以外といようとするはずないと。なんて傲慢な考え…)

594: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:57:09.59 ID:VQqKJUYcO

由比ヶ浜「ゆきのん…でもね。ヒッキーがちゃんと伝えてくれたのは嬉しかった…」


由比ヶ浜「いつもヒッキーは色々考えてたと思うの…それを言ってくれることなかったし」


由比ヶ浜「でも今日はそんなことなかった。ちゃんとヒッキーの気持ちが分かって良かった」


由比ヶ浜「しばらくは辛いかもしれないけど、それでもヒッキーと一緒にいたいって…」


由比ヶ浜「恋人じゃなくても、ヒッキーが辛い時に支えられたらなって思うから」


雪ノ下「……あなたは本当に強くて…そして優しい」


雪ノ下(比企谷君も言っていた優しさに、私もきっと何度も救われてきたのでしょうね)


由比ヶ浜「えへへ、そんなことないよ。ただ諦め悪いだけかも」

595: ◆b8hpDiJuic 2016/03/07(月) 03:57:42.88 ID:VQqKJUYcO

雪ノ下「そうね…海老名さんには悪いけど、私達もまだ諦めたわけじゃない。想い続けるくらいはいいわよね」


由比ヶ浜「ゆきのん…うん、そうだよね‼」


雪ノ下(気付いたらお互いの目から流れていた涙は止まっていた)


雪ノ下(私は窓の外を眺める。部室を茜色に染めている夕焼けが眩しいけど、とても暖かくて)


雪ノ下「ねぇ…結衣。これからは結衣と呼んでもいいかしら?」


由比ヶ浜「ゆきのん!?……うん、いいよ。雪乃」


雪ノ下(結衣も私と同じように外の夕焼けを眺める。私の心も暖かさに包まれながら)

599: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:11:35.98 ID:URTJ+53QO

海老名(彼の手を引っ張って部室から出ていく。きっと雪ノ下さんのあの言葉は、結衣のためのことだったと思うから)


八幡「……」


海老名(無言で私に連れられている彼も、そのことは何となく察しているんだろう)


海老名「ねぇ…本当に後悔はないの?」


八幡「そりゃ…あいつらを傷つけてしまったかもしれない。でも、それじゃあ駄目だと思ったからな」


海老名「答えを出さないでズルズルするっていうのは…君なら考えたはずだよね?」


八幡「まぁ…な…けど、それは三人の気持ちを踏みにじることになっちまう」


八幡「どんなに辛くても俺は逃げないって決めたからな」

600: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:12:04.35 ID:URTJ+53QO

海老名「でも…私よりあの二人の方が一緒にいた時間は…」


八幡「……なぁ、これから少し時間あるか?」


海老名「えっ?」


八幡「俺はちゃんとあんたと話したいからな」


海老名「う、うん…大丈夫だけど」


八幡「なら決まりだな」


海老名(彼はさっきまで引っ張られていたように、今度は私を引っ張って行く)


海老名(上の階にどんどん向かって行き、行き着いた先は屋上だった)

601: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:12:42.69 ID:URTJ+53QO

八幡「ここでいいか…」


海老名「…どうしてここに?君にとったらここは…」


八幡「別にそんな嫌だったとは、今では思ってねぇよ」


海老名「………それで話って」


八幡「多分、あんたは信じられないと思ってんだろうな。俺が雪ノ下や由比ヶ浜を選ばれなかったことに」


海老名「…!?そうだよ。だって、それは…君の事は本当に好きで、正直選んでくれたことはすごく嬉しい‼」


海老名「もうこのまま幸せに浸かっちゃえばいいじゃんって私の心は言ってくるよ‼」


海老名「…でも…あの二人より私が幸せになる資格なんて…ないよ」

602: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:13:21.47 ID:URTJ+53QO

海老名「いっぱい壊して、いっぱいみんなを傷つけて…いっぱい後悔して…そんな私が、私が…」


八幡「…そんなもん俺には関係ねぇよ。あんたがそれを抱えるって云うなら、俺も一緒に抱えてやる」


八幡「俺みたいが奴が何か出来るかは分からねぇけど、俺はあんたと一緒にいたいって思ったんだ」


八幡「似合わない事言ってるのは重々承知してる上で言う。俺は……姫菜さんが好きなんだ。好きな女の子ぐらいは俺も守りたいんだよ」


海老名「……!?そんなの反則だよ…」


海老名「ねぇ…私は幸せになっていいの?」


八幡「ああ」


海老名「私はみんなと…奉仕部にいていいの?」


八幡「むしろあいつらが離してくれねぇよ。もちろん俺もな」

603: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:14:07.40 ID:URTJ+53QO

海老名「…私は…私は…君と一緒にいていいの?」


八幡「ああ、俺が好きなのは姫菜さんだからな」


海老名(もう…なんで君はいつも私がほしいものをくれるの)


海老名(私は彼の身体に体当たりするように飛び込んだ。彼は優しく私を抱き止めてくれる)


海老名「私も君が…八幡君が好き‼だからこんな私で良かったら、私と一緒にいて…」


八幡「俺の方こそ…俺なんかで良かったらいてくれ」


海老名(私はうん、うんって言いながら彼の胸に顔を押し付ける。そんな私の頭を彼は撫でてくれる)


海老名(私は彼に甘えるようにそうして、彼も私が飽きるまで撫でる手を止めなかった)


海老名(恋人になれた私達を、夕焼けだけが暖かく包みこみ、見守っていた)

604: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:14:44.91 ID:URTJ+53QO
・・・・・・・・・・


海老名(その後のことを語ると、私達の周りはそんなに変化することはなかった)


海老名(あの彼が告白した次の日、奉仕部に行くと変わらず私を迎えてくれた)


海老名(そのことに思わず泣きそうになったけど……)


雪ノ下『言っておくけど昨日言ったことは嘘じゃないわよ』


由比ヶ浜『そうだよ。私も雪乃もまだまだヒッキーのこと諦めないんだから‼』


海老名(なんて、堂々と宣戦布告してきた。もちろん私はそれに負けるつもりなんて全然ないし、彼を離す気なんて考えられない)


海老名『いいよ。私と八幡君の間に入れるならね。私は八幡君の彼女なんだから、絶対離さないけどね』


海老名(そんなこと言いながら私達は笑い合った)


海老名(マッ缶を買いに行っていて、後から来た彼が、その光景を見ながらポカンとしながらも何処か優しい表情をしていた)

605: ◆b8hpDiJuic 2016/03/08(火) 21:15:25.97 ID:URTJ+53QO

海老名(戸部…ううん、翔君とはあれからも交流は続いていた)


海老名(八幡君と付き合うことになったのを伝えると素直に祝福してくれた)


戸部『海老名さんが幸せならそれでいいっしょ。ヒキタニ君も海老名さんもよろしく』


海老名(また彼の呼び名がヒキタニ君に戻っていたけど、八幡君も戸部に比企谷って言われるのは、何か違和感しかないとか言ってたので大丈夫みたいだ)


海老名(優美子にもその事を伝えると、私を抱き締めながら良かったと何度も言ってきた)


三浦『でも、ヒキオ…海老名泣かせたら、あんた泣かすから覚悟しときなよ』


海老名(そんな優美子を見て、彼が縮こまってしまったのは想像に難くないだろう。私もそれをみて思わず笑ってしまった)


海老名(結局のところ私が思っていたほど、そんなに簡単に壊れるものじゃなかったんだろう)

608: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 01:04:49.86 ID:ia3PyFcIO

平塚『やはり君を奉仕部に入れて良かったよ。生徒に先を越されたのは癪だがな……』


海老名(平塚先生は私を呼び出して、色々と話をしてくれた。途中で婚活の失敗談とかになってたけど…早く誰かもらってあげて‼)


平塚『だが、まぁ…君達が幸せなら教師としてはとても嬉しく思うよ。これからも彼らと一緒にいてやってくれ』


海老名(慈愛に満ちた表情でそう笑う先生は、本当になんでこんなかっこよくて綺麗なんだろうと思った)


海老名(私が男で、後10年早く産まれてたなら心底惚れてたんだろうなぁ)


海老名(きっと色々分かってた上で、この人は私をあの場所に入れてくれた)


海老名(あの時、奉仕部に入れてほしいとお願いして本当に良かった)

609: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 01:05:22.37 ID:ia3PyFcIO

葉山『姫菜すまなかった…』


海老名(また別の日、隼人君が私を呼び出して謝罪してきた)


海老名(私としてはもう何も気にしてはいないし、寧ろ利用していたのは私の方だ)


海老名(この際だったから彼に私が思っていて、考えていたことを全て話した)


海老名(隼人君は怒るわけでもなく、ただただ苦虫を噛む潰したような表情をしていた…)


葉山『…そうか…俺には羨ましいよ。そんなになって想えることが…今になって気付くなんてな』


海老名(私も…今なら分かるよ。君のしたかったこと、守りたかったことが…)


海老名(でも、君も目を逸らさないでほしい。そうすれば分かると思うから。君を想っていてくれる人が近くにいることを)

613: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:44:06.32 ID:ia3PyFcIO

海老名(色んなことがあったこの数日、今日は彼と…何かこういうのは恥ずかしいけど初めてのデートだ)


海老名(恋人になる前から結構飛ばしてた気はするけど、恋人になってから今日が初めてなのでやはり気分も違う)


海老名「あっ、こっちこっち」


八幡「おう、悪いな。待たせたか?」


海老名「大丈夫だよ。待ち合わせには まだ時間結構あるし、君ならギリギリに来るかなって」


八幡「最初からはさすがにな…それにそんなことしたら小町にどやされちまう」


海老名「ふふ、小町ちゃんならいいそうだね。それじゃあ、八幡君も来たことだし行こうか」

614: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:44:49.90 ID:ia3PyFcIO

海老名(そう言って進もうとした時、彼は私の手を取って歩き出す)


八幡「まぁ…なんだ…このくらいはな」


海老名「えっ、ああ…そ、そうだね」


海老名(手を繋ぐってことだけなのに、何だか猛烈に恥ずかしくて)


海老名(今まで私が彼を落とすのにどれたけ全力だったのかよく分かった)


海老名(改めてこうするとやっぱり…でも嬉しいよ)


海老名(彼もきっと恥ずかしいはずなのに、こうしてくれることがすごく嬉しくて)


海老名(周りからは私達はきっと何処にでもいるカップルに見えるんだろうけど)


海老名(私はどんな恋人達よりも幸せだと感じている)

615: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:45:24.11 ID:ia3PyFcIO

・・・・・・・・・・


海老名「今日はありがとう。楽しかったよ」


海老名(太陽も沈んで、空が真っ暗になり始めたころ。私の彼の初めてのデートも終わりかけていた)


八幡「そうか。それなら良かった」


海老名「うん、君があんなに積極的に何かしてくれるなんて思ってなかったしね」


八幡「あんまり言わないでくれ…今でもこうやってるの恥ずかしいんだよ」


海老名(そう…彼は今日はずっとこうして私の手を繋いでくれていた)


海老名(デートとしては…ららぽで服やアクセサリーなどのウィンドウショッピングとか、本屋に行ってお互いにおすすめの本を紹介したり)


海老名(至って普通のことばかりだったけど、それが彼といるだけでとても楽しかった)

616: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:46:05.15 ID:ia3PyFcIO

海老名(でも、そんな楽しい時間ももう少しで終わってしまう)


海老名(まだこの時間を終わらせたくなくて、私は彼の手をギュっと握る)


八幡「……どうかしたか?」


海老名(彼は歩くのを止めて私の方を向いてくれた。私はじっと彼の目を見つめる)


海老名「えへへ…何だか寂しいなって」


海老名「こんな風に思うんだ…でも寂しいんだけど悪くないよ。寂しいけど暖かいの」


八幡「…そうか」


海老名(そう言って穏やかな表情をする彼を見てると、無意識のうちに身体が動いた)

617: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:46:39.08 ID:ia3PyFcIO

海老名(私より高い背、それに合わせるために私は背伸びをする)


海老名(目を閉じて彼の唇に自分の唇を重ねた)


海老名(目は閉じているけど、彼がすごく驚いているのが分かった)


海老名(さっきよりも強く彼の手を握って、自分も結構緊張してることには後になって気付いたけど)


海老名(唇を離すと、お互いに照れくさそうにそっぽを向いたけど、すぐにまた見つめ合う)


海老名(さっきまで感じていた寂しさは、いつの間にか薄らいでいって)


海老名(私達は惹かれ合うように、自然とまた唇を重ねる。寂しさは完全に消えた)


海老名(ああ、こんなにも……私は…)

618: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:47:26.28 ID:ia3PyFcIO

海老名(ファーストキス…いや実際はもうセカンドキスだけど、レモンの味がするなんてことなかった)


海老名(でも、何だか甘い感じがして、とても幸せで)


海老名(やはりこういうのはあれだろう。定番の二人は幸せなキスをして終了ってなるんだろうけど、プラスαがあってもいいはずだ)


海老名(私は唇を離すと、彼の腕に自分の腕を絡ませる)


海老名(そして自分のありったけの気持ちを言葉にするんだ)


海老名(偽りのない。私の彼への想いを)


海老名「ずっと前から、これからもずっと好きです。私と一緒にいて下さい」


海老名(やはり私の青春ラブコメは始まったばかりだ)

619: ◆b8hpDiJuic 2016/03/09(水) 02:55:18.03 ID:ia3PyFcIO
これで終わりです
長いこと時間がかかってしまって申し訳ありませんでした

最後はすごい駆け足でデートの中身とか全く無いですが
海老名さんと八幡を恋人にって感じだったんでこうなりました

物足りないって方もいるとは思いますが
気が向けばイチャイチャしてるだけのを別ので書いてみたいとは思ってます

それよりもまずあーしさんのを完結させてになりますが

あーしのが完結さたらサキサキとか織裳ととか色々浮かんだのがあるんで
書けたらいいなと

今度はもっと早く書けるよう頑張っていきたいと思います
ここまでお付き合い下さって本当にありがとうございました
621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 07:51:38.44 ID:k9/IxtiDo
お疲れ様でした
素晴らしいです
次回作も期待しています
622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 12:42:49.09 ID:ti/a+vp7o
お疲れ様でした
624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 21:15:18.41 ID:VLB3TDIwO
乙乙~
イッチのせいで海老名さんに目覚めてしまったやんけ...(恍惚)
628: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:19:00.46 ID:OW2fUOsd0
おつ 海老名さん可愛かった
629: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/15(火) 03:40:12.87 ID:a43+xpoFO
乙です
海老名さん可愛かったし奉仕部の関係もよかったです

このシリーズSS:

八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」海老名「…」【前編】


八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」海老名「…」【後編】


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まじ、海老名さんが可愛かった!!
海老名好きにめざめた


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サイトを見やすいように改造しました

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多少の軽量化

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

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