雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final【後編】

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:29:43.52 ID:/USTzt5m0
前スレ:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final【中編】




雪乃「平塚先生、彼女は校則違反を犯しています。」


少女A「雪ノ下さん…何を言っているの…?」


雪乃「彼女の指輪、こんなモノを校内で付けているのは間違いなく校則違反です。」


私はこの女の左手を力強く掴み、校則違反を指摘した。

そして私の意見に同調するかのように平塚先生と由比ヶ浜さんも…

622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:31:08.55 ID:/USTzt5m0

平塚「確かに雪ノ下の言う通りだ。
副会長、生徒会役員でもあるキミがこれでは他の生徒に対して示しが付かないな。」


結衣「そうだよね!没収しなきゃ!」


少女A「そんな!?」


この女は急に怯えだした。

今までさぞ調子に乗って私たちを糾弾したのでしょうね。

けれどまさか自分が逆の立場になるとは思わなかったのだろう。

当然の報いだ。

私たち三人は力尽くでこの女の左手にはめ込まれている指輪の没収を行おうとした。

けど私たちのこの行動を良しとしない人たちが…

623: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:33:16.82 ID:/USTzt5m0

めぐり「待ってください!今はもう授業中じゃないんですよ!」


いろは「そうですよ!こんなの雪ノ下先輩たちの嫉妬じゃないですか!」


優美子「本当にやめろし!」


海老名「そうだよ。こんなの間違っているよ。」


沙希「アンタら醜いよ。」


京華「お姉ちゃん…この人たち怖いよ…」


小町「雪乃さん…結衣さん…平塚先生…これはないよ…」


相模「本当…今のあなたたちは文化祭の頃のうち以下だよ…」


平塚「黙れ小娘ども!文句を言うなら全員処罰を下すぞ!!」


結衣「そうだよ!私たちがやってることは正しいんだし!」


誰もが私たちの行動に反感を抱いている。

けれどみんな私たちの気迫に気圧されてそれ以上何も言えない。

それどころか泣き出す始末だ。

何を今更、こうなることはわかっていたはずでしょ。

最初に仕掛けてきたのはあなたたちの方だ。

ならばこちらも容赦なく戦うまでだ。

624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:35:14.83 ID:/USTzt5m0

雪乃「今まで散々コケにしてくれたわね。けどそれも今日でおしまいよ。」


少女A「お願い…雪ノ下さん…指輪だけは…やめて…」


雪乃「今更手遅れよ。早く指輪を寄越しなさい。」


少女A「嫌よ…これは八幡から貰った大切な指輪なの…」


雪乃「そうなの、でもあなたは私たちから比企谷くんを奪った。これはその報いよ。」


少女A「ダメ…やめてぇぇぇぇ!?」


この女は泣き叫びながら必死になって私に許しを請おうとしている。

冗談じゃない。誰が許すものか。

私たちの比企谷くんを奪い取り、さらにはこうして悪評まで広めた。

今こそ報いを受けてもらわなければ!

さぁ、あともう少しだ。

あの女がはめている指輪を取り出せる。

この指輪は元々私の手にあるはずだった。

本来は私が手にしていなければならないはずの指輪だ。

それを今こそ取り戻せるはず…!

けどその時だった。

625: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:36:46.93 ID:/USTzt5m0


「何…してるんだ…?」



突然、家庭科室の扉が開いた。

誰かがこの室内に入ってきたのだ。

この人の声を…私は知っている…

この数ヶ月、私と由比ヶ浜さんは彼が奉仕部へ来るのを何度も待っていたのだから。

私たちは恐る恐るうしろを振り返った。

そこにいたのは…

627: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/12(火) 20:47:03.77 ID:pxILCsBnO
八幡キタ━(゚∀゚)━!
702: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:07:42.03 ID:JUY01b4f0

八幡「大丈夫かおい…何があったんだ…?」


三浦「ハチオやっと来てくれた…」


いろは「先輩遅すぎです。危うく幻滅するところでしたよ!」


小町「そうだよお兄ちゃん。遅れてくるなんて小町ポイント低いんだから!」


そこには私たちがこの数ヶ月の間、待ち焦がれていた比企谷くんがいた。

先程まで泣き崩れていた誰もが比企谷くんに駆け寄り慰めてもらっている。

そんな最中、私たちは彼と目が合った。

703: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:08:20.80 ID:JUY01b4f0

八幡「あ…」


雪乃「比企谷くん…」


結衣「ヒッキー!来てくれたんだね!」


私たちはようやく会えた彼を暖かく迎えようとした。

けれど…

704: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:09:20.41 ID:JUY01b4f0

少女A「八幡…恐かった…恐かったよぉ…」


八幡「わかったからもう泣くな。遅れてすまん。けどもう大丈夫だから。」


比企谷くんは私たちのことなど目もくれず泣きじゃくるあの女の下へ駆け寄った。

彼は泣きじゃくるあの女の頭を優しく撫でながら慰めている。

私は今まで撫でられたことなど一度もないのに…羨ましく思った。

それから比企谷くんはこの場にいるみんなを外へ出るように指示を出した。

そして残ったのは私と由比ヶ浜さんに平塚先生。

それに比企谷くんとあの女の5人だ。

705: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:11:01.62 ID:JUY01b4f0

八幡「まずは…何があったか聞きたいんですけど…」


平塚「簡単に説明してやる。
我々は副会長が持っている指輪を没収しようとしただけだ。
生徒会役員が校内でそんな指輪をしているなど言語道断。
それに指輪なんて私が持っていないモノだぞ!けしからん!」


八幡「そうなのか…?」


少女A「うん…私のせいで…ごめんなさい…」


あの女は先ほどの威勢は何処へ行ったのかただひたすら比企谷くんに泣きついている。

本当ならなんて情けない姿をと思いたい。

けれど…妬ましい。

彼に慰めてもらえるあの女が…

けれどそれも今日でおしまいだ。

706: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:12:04.59 ID:JUY01b4f0

雪乃「比企谷くん部長命令よ。その女の指輪を没収しなさい!」


平塚「そうだ。比企谷、キミは生徒会長だ。部下の責任はキミが取るべきだ。」


結衣「ヒッキー!ほら、早く!」


私たちは比企谷くんにあの女の指輪を没収するように命じた。

これもあの女の自業自得だ。

自分の好いた男によって、

指輪を失わなければならないなんて皮肉な結末だと少しは同情するのだけど…

それにしても比企谷くんは先程から何をしているの?

早くその女の指輪を持ってきて。

そしてもう一度私たちと関係をやり直しましょう。

707: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:12:35.68 ID:JUY01b4f0

八幡「悪いが…それは出来ない…」


雪乃「何を言ってるの?これは部長命令よ!」


平塚「お前には選択権も拒否権もないことを忘れたのか!?」


結衣「そうだよヒッキー!」


まさか比企谷くんが私たちの命令に背くなんて…

私たちは揃って何故そんなことを言うのかと聞いた。

すると彼はこう言った。

708: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:16:05.02 ID:JUY01b4f0

八幡「こいつの代わりに俺が罰を受けます。俺はこの試食会の責任者ですから。」


少女A「そんな…ダメだよ八幡!」


雪乃「そう、あなたはそんなことを言うのね。」


平塚「よかろう比企谷。
ならばその女の代わりにお前に罰を受けてもらうぞ!」


比企谷くんは私たちの申し出を断った。

これまで彼が私たちの言うことを断ることなんて一度もなかった。

それどころか彼は私たちではなくあんな女の味方をしている。

私にとってそのことが一番腹立だしかった。

だからこの時、私たちには一切の躊躇もない。

唯、徹底的に彼とあの女に罰を下す。

それだけしか頭になかった…

709: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:17:33.53 ID:JUY01b4f0

平塚「まずはこいつから。兄貴譲りの…衝撃の!ファーストブリットォォォォッ!!」


八幡「がはっ…」


平塚「続いて撃滅のセカンドブリット!」


八幡「ごふぁっ…」


平塚「そして…抹殺のォォォッ!ラストブリット!!」


八幡「うげぇっ…」


少女A「八幡が…イヤァァァ…!?」


平塚先生はなにやらよくわからないことを叫びながら比企谷くんに三打の拳を打ち込んだ。

その拳をまともに喰らった比企谷くんは苦しみながら床に倒れこんだ。

710: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:18:24.76 ID:JUY01b4f0

八幡「う…げぇ…」


少女A「八幡…しっかりして…!」


平塚「待たせたな小娘。次はお前の番だ。その指輪を没収する。」


傷ついた比企谷くんはまるでヒキガエルのような唸り声を上げている。

けど二人がいくら泣き喚こうが私たちは容赦などしない。

この女さえ比企谷くんに近づかなければ彼が惑わされることもなかった。

さぁ、その指輪を渡してあなたも罰を受けなさい!

711: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:20:05.17 ID:JUY01b4f0

八幡「や…め…て…くれ…こいつには…手を出さないでくれ…」


少女A「八幡…ダメ…立ち上がらないで!」


平塚「ほぅ、比企谷め。
この私のラストブリットを喰らってもまだ立ち上がるとはこの死に損ないが。」


雪乃「比企谷くん見苦しいわよ。
その女には罰を下さなければならないの。いい加減理解しなさい。」


結衣「そうだよ。私たち怒ってるんだからね!」


今、私たちの怒りは頂点に達している。

そこで泣き喚く女に散々罵られ、一色さんや三浦さんたちからも誤解された。

それなのに何故比企谷くんはこんな女に味方するのか…私たちにはそれが理解できない。

712: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:21:37.77 ID:JUY01b4f0

八幡「ぶっちゃけ…俺には…
この状況がよくわからん…だからどちらが悪いのかなんて言うことはできない…」


雪乃「それなら私たちの味方をしなさい。あなたは私たち奉仕部の備品、当然でしょ。」


八幡「備品か…まあそうだよな…お前たちにとって俺ってそんなもんだよな…」


結衣「わかったなら早くして!ヒッキーだってこれ以上痛い思いするのは嫌でしょ!」


私に備品だと言われた比企谷くんは何か残念そうな顔を浮かべていた。

でも今の私にはそんなことなど露ほどどうでもいいことだと思った。

今の私にとってあの女の指輪を没収することこそが第一なのだから。


714: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:23:20.53 ID:JUY01b4f0

八幡「なぁ…雪ノ下…由比ヶ浜…平塚先生…
聞いてくれ…俺は…今まで…
自分が傷ついたところで誰も心配してくれるヤツなんていないと思っていた…」


八幡「けど…そうじゃなかった…」


八幡「こいつは…
『 』は俺がお前らの嘘告白を受けて自殺しそうになった時に助けてくれた…」


八幡「正直嬉しかった…
俺のことを命懸けで助けてくれるヤツが現れるなんて思わなかったからな…」


八幡「その後は優美子やいろはたちが集まってくれて…
俺は人を信じることができるようになった…だから俺は…『 』を守ってやりたい…」


彼は傷ついたその身体を無理やり立ち上がらせて私たちに向かってそう言った。

そんな…彼は何を言っているの…?

私たちはこの女のせいで悪評を広められたというのに…

何故こんな女に味方するの。

思えばあなたはいつでも私たちの味方だった。

それなのに…どうして…?

715: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:26:56.76 ID:JUY01b4f0

雪乃「あなたも…あなたもそうなの…?
かつて私が小学生の頃にイジメられていた時みたく私たちを見限るつもりなのね…」


八幡「ちがう…なぁ…二人とも聞いてくれ…
俺はお前たちと一緒に奉仕部をやっていた頃だって楽しかったと思ってる。」


結衣「だったら私たちの味方になってよ!
もうヒッキーだけだよ。ヒッキーしか私たちの味方はいないんだよ!?」


八幡「それは…」


私たちは再度彼に味方になってくれと命じた。

けどそれを聞いた彼の顔は重苦しいものになっている。

何故私たちの申し出に応えてくれないの?

そしてそんな彼が出した答えは…

717: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:29:18.07 ID:JUY01b4f0

八幡「好きにしてくれ…」


雪乃「それは何のつもりなの…?」


八幡「俺にはお前たちか…『 』かのどちらかを選ぶことはできない。
だからお前らが気の済むまで殴る蹴るなりしてくれたらいい。
だからこれで勘弁してくれ。」


少女A「そんな…八幡…やめて…!?」


彼の出した決断は私たちを失望させるものだった。

まるであの時と同じだ。

あの修学旅行の日、海老名さんに嘘告白を聞いてしまった時と同じ心境に陥った気分だ。

だからもう彼を許す気にはなれなかった。

719: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:31:03.08 ID:JUY01b4f0

平塚「よかろう比企谷。
最早何も言うまい。覚悟しろ!その身体欠片一つ消し去ってくれる!」


少女A「やめてください先生!八幡は何も悪くは…」


平塚「うるさい!女ごときが邪魔をするな!」


平塚「さあ、行こうぜ雪ノ下!由比ヶ浜!」


平塚「こいつは、この光は!私と…お前たちの輝きだァァァァァッ!!」


平塚先生は掌を頭上にかざして変なポーズを取っている。

特に輝いてなどいないけど今はそんな野暮なことは言わないでおこう。

720: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:32:13.89 ID:JUY01b4f0

平塚「ここから先は初めてだよなぁ比企谷!シェルブリットォォォォォッ!!」


少女A「待ってください。八幡はもうこんなにボロボロなんですよ。もうやめて!」


平塚「黙れ!これは喧嘩だ!
お前らが売った!私が買った!だからお前らをボコる!徹底的にだ!!」


少女A「何言ってるんですか…それが教師の言うことなの…?」


平塚「そうだ。私は教師だ。
だからこそ生徒を指導せねばならんのだ。
さぁ、もっとだ!もっと輝け!シェルブリットバーストォォォォォッ!!」


それは今まで平塚先生が繰り出したどの拳打よりも荒々しく激しいものだった。

けどその一撃だけでは終わらない。

平塚先生はさらに容赦なく比企谷くんへ拳を振るった。

721: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:33:38.05 ID:JUY01b4f0

平塚「比企谷…私とお前は…ラーメン食べに行く仲だよなぁ…」


平塚「私は常にお前たちのことを見守っていた…」


平塚「それなのに…お前は私を置いてあんな女と…」


平塚「ていうかお前…私を貰ってやると言ったじゃないか!」


平塚「何であんな女に指輪を渡すんだ!?」


平塚先生はその後もこれでもかという勢いで比企谷くんに暴力を振るった。

何度も立ち上がろうとする彼の髪を鷲掴みにして床に叩きつけ、

この室内にある胡椒や塩などを目潰しとして当てつけ、

それに彼の顔面を思い切り掴み脳点締めを行い、

さらに床に伏した彼のお腹に全体重を乗せた膝蹴りを当て悶絶させた。

722: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:34:11.12 ID:JUY01b4f0

八幡「ゲホッ…ゴホッ…」


結衣「平塚先生!ヒッキーをやっつけちゃえ!」


雪乃「そうね。これで彼も懲りるはずよ。」


私たちは平塚先生を応援していた。

これも彼を懲らしめるために必要なこと…

そう思っていた時だ。

723: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:35:01.13 ID:JUY01b4f0

少女A「先生やめてください!悪いのは私だから八幡は…」


平塚「喧しい!比企谷は私を激しくムカつかせた!だから徹底的にボコるだけだ!」


少女A「でも…このままじゃ八幡が死んじゃう…だからもう許して…」


あの女が比企谷くんを助けるために必死に懇願していた。

それを見た時、私はなんと惨めな姿をと思った。

けれど…

その時、偶然ガラスに映ったこの光景を見てしまった。

724: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:38:23.09 ID:JUY01b4f0

八幡「げほっ…」


大切な人を守るために自分の身を犠牲にする比企谷くん。


平塚「オラァッ!」


何かよくわからない理由で彼をボコボコにしている平塚先生。


少女A「もうやめてよ!」


それにそんな平塚先生を止めようとするあの女。

それに…


結衣「そこだやっちゃえー!」


雪乃「早く諦めなさい。比企谷くん。」


彼が傷つき倒れる様子を面白がって観ている目が異様なまでに腐った醜い二人の女たち。

それは紛れもなく私たち自身だ。

ガラスに映った自分たちの姿を目の当たりにして、

それまで怒りに駆られていた頭の中が急に冷静になってしまった。

これが…本当に私たちなの…

彼が傷つく姿を見て喜ぶなんて…私たちは何をしているの…?

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:39:21.86 ID:JUY01b4f0

結衣「ねえ…ゆきのん…」


結衣「私たち…ひょっとしたら…とんでもないことしてるんじゃ…?」


どうやら由比ヶ浜さんもこの光景を見て正気を取り戻したようだ。

けど平塚先生は比企谷くんへの暴行をやめようともしない。

むしろエスカレートする一方だ。

あんな激情に駆られた平塚先生を止めることなど不可能だろう。

そう思った時だ。

726: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:40:04.63 ID:JUY01b4f0

少女A「お願いします…」


少女A「この指輪は没収されてもいいです。」


少女A「だから八幡のことを助けてください…」


なんとあの女は私たちの前に大切にしていた指輪を差し出そうとしていた。


これには私たちも驚かずにはいられなかった。

727: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:40:35.32 ID:JUY01b4f0

雪乃「あなた…何を考えているの…?
これはあなたが彼から手渡された大切な指輪のはずでしょ!」


結衣「何でそんな大切な指輪を渡しちゃうの…?」


雪乃「それでは彼が虐げられている意味がないわ!彼の行いを無碍にするつもり!?」


やはりこの女は比企谷くんに相応しくない。

彼の行いを無碍にするなんて…

悲劇のヒロインを気取ろうとでもしていたのだろうか?

728: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:42:17.35 ID:JUY01b4f0

少女A「私だって…大切な指輪を失いたくない…」


結衣「それなら何で…?」


少女A「そんなの…八幡を助けるために決まってるじゃない…」


雪乃「それは…どういうことなの…」


少女A「目の前で大切な人が傷ついてるのに放っておけるはずないでしょ!?」


少女Aが泣きながらそう訴えた。

大切な人が傷ついている。

それを放っておけるはずがない…

その言葉を聞いた時、

私の中にある今まで解けなかった難解のパズルが瞬時に解けた気分になった。

729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:44:10.58 ID:JUY01b4f0

平塚「フン、指輪だけでは足りないな。これまでの非礼の数々を謝ってもらわないと。」


少女A「どうしろというんですか…?」


平塚「決まっているだろ!私たちの前でちゃんと土下座して謝らんか!!」


平塚先生はあの女に冷徹な命令を下した。

けどそんなことをあの女ができるはずがない。

何故なら私たちにはこれまでに埋めることのできない深い溝がある。

それなのに頭を下げるどころか土下座なんてするわけがない。

そう思っていた…

730: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:45:36.71 ID:JUY01b4f0

少女A「雪ノ下さん…由比ヶ浜さん…それに平塚先生…」


少女A「今まで…申し訳ありませんでした…」


少女A「だから…どうか…八幡を助けてあげて…」


なんとこの女は私の予想に反してその場で土下座を行い、私に指輪を差し出した。

なんてはしたない真似を…

この女にはプライドがないのだろうか…?

そう思ったのだけど…私はこの女の顔を覗き見た。

必死な顔をしていた。

比企谷くんを救うためにこの女はこんなことをやってみせたというの?

731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:48:05.98 ID:JUY01b4f0

平塚「ようやく土下座したか。だが…もう遅い!」


平塚「お前と比企谷は私を激しくムカつかせたからな!だから最後まで徹底的にやる!」


平塚「喰らえ比企谷!これが私の…自慢の…拳だぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


平塚先生は比企谷くんに渾身の力を込めた拳を放った。

そして次の瞬間、私たちの前に比企谷くんの血飛沫が舞い落ちた。



「 「イヤァァァァァァッ!?」 」



あの女は絶叫し、私と由比ヶ浜さんはその光景をただ呆然と見ているしかなかった…

732: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:50:09.89 ID:JUY01b4f0
ここまで
ゆきのん大勝利
734: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:51:12.06 ID:ja8/QARlO
これ平塚の勝利じゃん。。。
735: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:51:29.08 ID:CqgfANNY0
完全に逮捕案件
737: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:52:46.97 ID:fdbrHiSt0
懲戒免職どころか刑務所行きだな平塚教諭w
741: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:53:30.33 ID:EDJ6PP7x0
病院から警察に連絡いくだろ
平塚終了
742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/25(月) 01:53:38.45 ID:0MJ15QtDO
場合によっちゃ殺人未遂も追加で
779: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 20:48:52.44 ID:xrmxt8ZR0




……


………


『ゆきのん!やっはろ~!』


『あら、由比ヶ浜さんこんにちは。』


それはいつもと変わらない日常。

放課後、この奉仕部の部室へいつものように私たち部員が集まった。

私と由比ヶ浜さん。

それにもう一人…

780: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 20:49:29.57 ID:xrmxt8ZR0

『ウス、今日もダルいな。』


『ナマケ谷くんもこんにちは。相変わらず締まりのない顔をしているわね。』


『ヒッキーは本当にキモいんだから。』


『いきなり罵倒すんな。泣いちゃうだろ…』


比企谷くんもやってきて私たち三人は他愛のない話題で盛り上がっている。

なんということもないごく普通のことだ。

そんな時に部室へ誰かがやってきた。

この扉をノックせずに入るのは恐らく…平塚先生だろう。

781: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 20:49:57.87 ID:xrmxt8ZR0

『やあ諸君。やっているかね?』


『平塚先生、入る時はちゃんとノックするように何度もお願いしていますが…』


『もう諦めなよゆきのん。平塚先生はガサツだからね。』


『そのせいで結婚相手がいないからな。』


『なんだと比企谷!衝撃のファーストブリット!』


平塚先生から鉄拳制裁を受ける比企谷くん。

妙齢の女性に相手のことを尋ねるなんて馬鹿な真似をするのだから。

いい加減学習しなさい。

782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 20:50:56.07 ID:xrmxt8ZR0

『ハハ、ここはいつも賑やかだね。』


『あ、隼人くんだ!やっはろー!』


『何だよ葉山。また何か面倒なことでも起きたのか?』


『まあね。すまないが頼まれてくれないか。』


平塚先生に付き添われてやってきた葉山くん。

奉仕部は便利屋ではないのだけど…

結局、由比ヶ浜さんが乗り気になり葉山くんの依頼は引き受けることになった。


『そういえばお茶を出していなかったわね。すぐに用意するわ。』


私はみんなのために紅茶を用意した。

私と由比ヶ浜さんには専用のカップで、平塚先生と葉山くんには来客用の紙コップで、

最後に比企谷くんには…

783: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 20:51:49.64 ID:xrmxt8ZR0

『いつも思うのだけど…紅茶を淹れるのにその湯のみはどうなのかしら…?』


『別に構わんだろ。この方が俺らしくていいしな。』


『フフ、相変わらず捻くれているのね。』


『そういえば…
この前のバレンタインデーは義理とはいえ悪かった。これお返しのクッキーだ。
今日は3月14日のホワイトデーだから小町から持たされてな。他意なんかないぞ!』


『わぁっ!ゆきのんクッキーだよ。ヒッキーありがとね!』


『あなたがこんな洒落たことをするなんて今日は雪でも降るのかしらね?』


私たちは紅茶を飲みながら比企谷くんが持ってきてくれたクッキーを食べた。

それはとても暖かくて居心地のいい瞬間だ。

こんな平穏で心安らぐ日々がこの先もずっと続く。

そう信じていた。


………


……




785: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:15:51.98 ID:xrmxt8ZR0

「…」


「お…て…」


「お…き…て…」


「起きてください…」


「起きなさい!」


雪乃「今のは…夢…?」


結衣「あ、ゆきのんおはよう。ふぁぁ…」


ここは…先ほど見た夢と同じく奉仕部の部室だ。

今日は3月14日、あれから一ヶ月が経過している。

どうやら私と由比ヶ浜さんは部室でいつの間にか居眠りをしていたようだ。

786: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:16:50.73 ID:xrmxt8ZR0

結衣「意外だよね。ゆきのんが居眠りするなんて…」


雪乃「最近…どうにも寝不足で…ところで私を起こしたのは由比ヶ浜さんなの?」


結衣「ううん。ちがうよ。私もちょうど起きたところだから…」


それでは先ほど誰かが私を起こしたと思ったのは気のせい?

いいえ、ちがう。

誰か…もう一人…この部屋に居る。

私たち二人の他にこの部屋にいるのは…

もしかして彼…比企谷くんでは…?

そう思った私は目をぱっちり開かせて周囲を見回した。

787: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:17:33.23 ID:xrmxt8ZR0

少女A「ようやく起きましたね。お二人共おはようございます。」


結衣「そんな…」


雪乃「また…あなたなのね…」


少女A「随分といいご身分ですね。部室で呑気にお昼寝なんて…
それなら部室じゃなくてさっさとお家に帰ったらどうですか?
ここはあなた方の寝室じゃありませんよ。」


どうやら私たちを起こしたのはこの女…少女Aだった。

まったく、寝起きにこんな女の顔を拝むだなんて…

正直最低な気分だ。

788: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:17:59.95 ID:xrmxt8ZR0

雪乃「それで…要件は何かしら。」


結衣「もしかして…依頼…?」


少女A「依頼?馬鹿なことを言わないでください。
こちらへ来た要件はこれです。雪ノ下さんこの書類に署名して頂けますか。」


この女は私たちの前に一枚の紙を出した。

それは退部届け。

氏名欄には『比企谷八幡』と記されている。

これは比企谷くんが奉仕部を辞めるためのモノだ。

789: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:19:46.02 ID:xrmxt8ZR0

少女A「あとは部長であるあなたの署名さえ頂ければ受理されます。早く書いてください。」


雪乃「ふざけないで!
部外者であるあなたがこんなモノを提出するなんて…私は認めない…」


結衣「そうだよ!大体これってヒッキーが書いたの!?」


少女A「いいえ、この退部届けは八幡が書いたものではありません。私が書きました。」


雪乃「なら論外よ。本人の意思を無視してよくもこんなものを捏造するわね…」


私はこの女が持ってきた退部届けの用紙をクシャクシャにしてゴミ箱へ捨てた。

別にこのやり取りは今回が初めてなわけじゃない。

何故ならこの一ヶ月間、ずっと同じことを繰り返しているのだから…

790: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:20:54.78 ID:xrmxt8ZR0

結衣「いい加減にしてよ…
もうこの一ヶ月ずっと同じことして!こんなの嫌がらせだし!?」


雪乃「私たちは彼を辞めさせるつもりもないし彼にもその意思はない。
あなたがやっていることは単なる独りよがり。
由比ヶ浜さんの言うようにくだらない嫌がらせにしか過ぎないわ。」


少女A「嫌がらせですか?
確かにあなたたちにしてみればそうかもしれません。
けどあなたたち…忘れてませんよね?あの日、一ヶ月前に起きたことを…」


この女がこんなことをしてくるようになったのは一ヶ月前。

それはあの事件が発端だ。

そう、一ヶ月前のバレンタインの試食会で起きたあの事件について…

793: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:27:38.06 ID:xrmxt8ZR0

『八幡!お願い…しっかりして!?』


『平塚先生!一体何やってるんですか!』


『これは…その…カズマが徹底的にボコれと言ったので…』


あの日、比企谷くんが平塚先生から徹底的に暴行を受けた直後のことだ。

小町さんたちは戸塚くんや材木座くんに戸部くん、先生方を連れて室内へと戻ってきた。

駆けつけた彼らは室内の惨状を見るなりすぐに平塚先生を取り押さえた。

それからあの女は警察に通報して平塚先生は傷害罪で逮捕されてしまった。

その後が大変だった…

794: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:28:15.95 ID:xrmxt8ZR0

『平塚先生が逮捕されたって!』


『なんでも生徒会長の比企谷をボコボコにしたそうだ。』


『あの人よく体罰してたからな。いつかやると思ってたよ。』


『けど何でそんな真似を?』


『どうやら雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣がやらせたらしい!』


『教師を言うこと聞かせて比企谷を殴らせたと?何それ恐い…』


『しかもカズマって男も関わっているらしいぞ。』


『おのれカズマ!毒蟲が!』


『カズくん最低だよ。』


教育指導の教師が生徒を、それも生徒会長に暴行を振るった。

それだけでも大事なのにさらに、

これまでにも平塚先生による比企谷くんへの暴行が問題視されてしまい…

平塚先生は懲戒免職の処分が下さて教師としての職を失った。

それに平塚先生という唯一の後ろ盾のなくなった私たちは、

この学校一の悪人として扱われるようになった。

何で…どうしてこんなことに…

796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:28:53.03 ID:xrmxt8ZR0

少女A「あの日、あなた方は八幡を容赦なく傷つけました。
八幡が…あの後3週間近く入院していたのをあなたたちは知ってましたか…?」


雪乃「けど…だからといってあなたにそこまでする権利はないはずよ…」


結衣「そうだよ…私たちヒッキーと離れたくないし…」


彼と一緒に居たい。

その想いをこの女に言ってみせた。

けれどこの女に私たちの想いが伝わるはずもなかった。

797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:31:18.26 ID:xrmxt8ZR0

少女A「離れたくないって…ふざけないで!
それなら何で八幡を傷つけたの?彼が傷つく姿を見てなんとも思わなかったの!?」


雪乃「あの時は…私たちも冷静ではなかったから…」


結衣「ほら、優美子たちに色々言われたあとで頭に血が上っていたみたいな…」


少女A「そんな理由で彼を傷つけていいことになるわけないでしょ。
何でそんなこともわからないの!あなたたち…八幡に甘えるのもいい加減にしてよ!?」


雪乃「とにかく退部届けを出すならせめて比企谷くん本人を連れてきなさい。
そうでなければ私たちはこの退部届けを受理することなどできるはずがないわ。」


少女A「八幡をこんなところへ行かせるわけないでしょ。
それに私が八幡にここへは行かないようにきつく言ってありますからね。」


結衣「何でそんなことをするの?それじゃあヒッキーここへ来れないじゃん!」


少女A「当然ですよ。
彼を傷つけるようなあなたたちがいるこの部室に近づけさせることなんて出来ますか?」


そう言ってのけたこの女の目が私には酷く冷酷に見えた。

まるで私たちのことを何か汚らしいモノを見ているようにすら思えてならない。

けどそれだけでは収まるはずもなかった。

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:36:40.35 ID:xrmxt8ZR0

少女A「むしろ雪ノ下さんたちが八幡の前で謝るべきですよね。
彼に傷を負わせたのはあなたたちなんだから。
言っておきますが八幡はまだあの時の傷が残っていて満足に身体を動かせないんですよ。」


雪乃「けど…あれは…」


結衣「平塚先生がやったことだし…」


少女A「そうですね。あなたたちは悪くありませんよね。
あの日、八幡が重傷を負わされて平塚先生が警察へ連行されていく時、
先生方があなたたちのことを問い質したらお二人はこう言いましたよね。」



『私たちは何もしていない。平塚先生が勝手に暴行を行っていた』



あの時、確かに私たちはそう言った。

仕方がない。それが事実なのだから…

私たちは比企谷くんに手を出してはない。

それなので学校側が私たちに罰を与えることはなかった。

でもその答えに誰も納得などしなかった。

801: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:38:23.96 ID:xrmxt8ZR0

『雪ノ下と由比ヶ浜は平塚先生を利用して比企谷を傷つけた』


『自分たちの手も汚さずに…最悪じゃね?』


『比企谷の恋人の副会長は土下座までしたのにそれすら許されずにトドメ刺したとか…』


『恐っ!女の恨みは恐ろしいわな!』


私たちに流される最低最悪な悪評の数々…

噂は瞬く間に炎上して止めることなど出来やしない。

それに小町さんたちも…

803: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:41:00.62 ID:xrmxt8ZR0

『よくもお兄ちゃんをあんな目に!二度とお兄ちゃんに近づかないで!』


『先輩に重傷負わせて何の罰も受けないとか。本当雪ノ下先輩たち最低ですね。』


『あーしはアンタらのこと絶対許さないし!』


『確かに修学旅行の件はゴメン。けどこれは…』


『ほら、比企谷くんに謝りに行こうよ。私も協力するから!』


『本当アンタらって最低だね。』


『八幡はウチのことを救ってくれた。その人を傷つけるなんて…』


あの場にいた小町さん、三浦さん、海老名さん、一色さんたちからも散々罵られた。

気づけば私たち二人はこの学校で最も恐れられる悪女と化していた。

804: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:43:17.38 ID:xrmxt8ZR0

少女A「まあ…あなたたちが八幡に謝罪するとは思えませんけど。
お二人とも2年前の事故の件を有耶無耶にして終わらせていますからね。」


結衣「だって…あの事故は…
仕方ないじゃん。ほら、こういうのはタイミングが大事だし…」


少女A「タイミングなんてこの2年でいくらでもあったはずですよ。
むしろこの2年間あなたは何をしていたの。
まさか八幡の方から声をかけてくれるとでも思っていたわけじゃないですよね?」


雪乃「いい加減あの事故の件を蒸し返すのはやめなさい。
それにあなたが私たちに比企谷くんと会わせてくれるなんて到底思えないのだけど。」


少女A「ええ、仰る通り私はあなたたちを八幡に会わせたくなんかありません。
今のあなたたちが八幡に何をするのかわかりませんからね。
けれど…八幡はそうでもないみたいですけどね…」


比企谷くんは私たちと会おうとしてくれている…?

その言葉に私たちは思わず反応した。

807: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:45:04.86 ID:xrmxt8ZR0

少女A「クリスマスの時に聞いたけど八幡はいつかあなたたちともう一度話し合いたいと…」


雪乃「その時…彼はなんて言っていたの?」


少女A「いつまでもあなたたちから逃げるわけにはいかない。そう言ってました。
それともうひとつだけ言っておくことがあります。
あのあなたたちがやらかした屋上での嘘告白、八幡はあなたたちのことを信じてた。
決してそんなことをやるような人たちじゃないって一ヶ月前のあの日までね。」


結衣「それなら私たちがヒッキーと仲違いする理由なんてないってことだよね!」


今の話を聞いて、

由比ヶ浜さんはまるで欲しがっていた玩具を買って貰えた子供のように喜んでいた。

でも私は安易にこの話を喜べない。

この女はさっきこう付け加えていたはずだ。

『一ヶ月前までは』と…

808: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:46:54.56 ID:xrmxt8ZR0

雪乃「つまり、今はもうちがうということね。」


少女A「そうです。一ヶ月前のあの日以来八幡はあなたたちを信じられなくなった。
今ではもう疑心暗鬼に駆られて見ている私たちの方がつらい…どうしてこんなことに…」


結衣「だからそれは誤解だよ!ちゃんと話せばヒッキーだってわかってくれるよ!」


少女A「ちゃんと話せばって…どうやってお話しするんですか?
八幡はあなたたちが恐くてこの部室に近づけないし私だって行かせるつもりはない。
それにあなたたちがわざわざ八幡のところへ行くとは思えませんしね…」


やはりこの女は簡単に比企谷くんに会わせようとはしてくれない。

それどころか追い打ちをかけるようにある話を始めた。

それは奉仕部の存亡に関わるものだ。

809: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:49:44.35 ID:xrmxt8ZR0

少女A「最後くらいあなたたちなりの誠意を見せてほしかったのですが…」


雪乃「最後とはどういう意味なの…?」


少女A「これは昨日の職員会議で決定したことらしいですけど
奉仕部は今月で廃部が決定しました。当然ですよね。顧問がいなくなったんですから。」


雪乃「そんな…奉仕部がなくなるなんて…」


結衣「それじゃあヒッキーもう来れないよ…」


少女A「まだそんな心配してるの?
最後くらいこんな部活から八幡を開放してあげるくらいの誠意があればいいのに…
あなたたちは本当に救えませんね。」


そう吐き捨てながらあの女は部室を出て行った。

私たちの方から出向かなければこの先ずっと彼とはわかりあえない。

そんな話を聞かされて私たちはどうすべきか悩んだ。

811: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/26(火) 21:51:11.67 ID:xrmxt8ZR0



「 「アッハハハハ!馬鹿だ!馬鹿がいる!!」 」




そんな時、突然誰かの笑い声が聞こえてきた。

由比ヶ浜さんは唖然としていたけど私はこれと似たようなことを聞いた覚えがある。

あれは文実のスローガン決め会議の際に比企谷くんが意見した、


『人~よく見たら片方楽してる文化祭~』


あの時、誰もが今の由比ヶ浜さんと同じく唖然とした中で一人だけ爆笑していた。

これは姉さんの笑い声だ。

881: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:23:51.36 ID:d55hgFNB0

陽乃「あー、雪乃ちゃんたちはやっぱり面白いねぇ♪」


結衣「陽乃さん…」


雪乃「姉さんよくも私の前に顔を出せたわね!あなたのせいで私たちは…」


今の光景を見てお腹を抱えて爆笑している姉さんに私は怒りがこみ上げた。

こうなったのも全て姉さんの所為だ。

一ヶ月前のあの日、わざとらしく我が家のハイヤーをみんなの前に見せた。

あんなことをすればどうなるのか姉さんなら予想できていたはずなのに…

882: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:24:39.17 ID:d55hgFNB0

陽乃「へぇ、私のせいだって言うんだ?
ここまで事態が深刻だっていうのに未だに誰かの所為にする癖が治らないなんて…
これはもう重症だね。」


結衣「そんな…だって陽乃さんが…
みんなの前で車を見せなければ知られることもなかったんですよ!」


陽乃「え~?お姉ちゃん悪いことしたのかな~?
あの時は可愛い妹を連れて帰ろうとしただけだよ?それって悪いことになるの~?」


姉さんは惚けた振りを装いながら私たちを冷やかしている。

そんな姉さんの態度は今の私たちにとっては腹立だしいだけだ。

883: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:25:18.23 ID:d55hgFNB0

陽乃「まあちょっとは悪かったと思うよ。
まさかお姉ちゃんもこんな事態になるとは思わなかったからね。
でも、事故の件に関しては二人に問題がなかったとは言わせないよ。」


雪乃「だからもう事故の件は片付いていると何度も言ってるはずよ。」


陽乃「片付いてる…?
私も夏の花火大会の時に比企谷くんがうちのハイヤー不思議そうに見て、
雪乃ちゃんが事故の話をしていないことに気づいたんだよ。
あの時はお姉ちゃんも、
雪乃ちゃんが比企谷くんに事故のことを話したと思ってたから恥かいちゃった。
まったく雪乃ちゃんのせいだからねプンプン!」


どうやら姉さんは夏の花火大会の時に、

比企谷くんが我が家の車を見て私が彼に事故の件を話していないことに気づいたようだ。

私はそのことを今まで全然知らなかった。

きっと私を想って二人は言わなかったのだろう。

884: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:26:23.14 ID:d55hgFNB0

陽乃「確かに事故の件はお母さんたちが処理してくれたよ。
でもそれはあくまで普通の対応だからね。
だからといって雪乃ちゃんが何もしなくていいという話じゃないんだよ?」


雪乃「それなら私は何をしたらよかったの…?」


陽乃「簡単だよ。一応形だけでも謝っておけばよかったんだよ。
親や保険会社が責任取ってくれたから自分は何もしないのは甘えだと思わないのかな?」


形だけでも謝れだなんて…

まさに人付き合いで仮面をつけている姉さんならではの発想だ。

そんなのは嘘や欺瞞でしかない。

その行為に何の意味があるの…?

885: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:27:54.85 ID:d55hgFNB0

陽乃「こんなの嘘や欺瞞だと雪乃ちゃんは思うだろうね。
けど事故の被害者である比企谷くんに対して何も言わない方が卑怯だと思わないの?」


雪乃「仕方ないでしょ…私が事故を起こしたわけではないのだし…」


陽乃「いい加減学びなよ。そんなことだからこんな事態になったんだよ。
それとついでに言っておくけど今回の件はお母さんの耳にも入っているからね。」


雪乃「え…なんですって…?」


陽乃「当然だよ、ここまで噂が広まってるんだから。
うちの親は県会議員で建設会社の社長、その馬鹿娘が学校で騒動を起こした。
そうなれば各家庭の親御さんに知れ渡り我が家の今後のお仕事に差し支えるわけだしね。
だからお母さん雪乃ちゃんにカンカンだよ。」


姉さんの話によると、

両親はわざわざ比企谷くんの家まで出向いて謝罪したらしい。

そこで両親は比企谷くんの前で深々と頭を下げてお詫びしたそうだ。

そのことで特にお母さんは私に対して心底失望したとか…

只でさえ苦手な母なのにまた厄介なことになったものだ。

886: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:29:46.20 ID:d55hgFNB0

陽乃「それにしてもよくもまあここまで見事に事態が悪化したよね。
私の思惑としては事故の件を改めて説明してそれで和解に持ち込めればと思ってたけど…
けどここまで拗れるとはさすがのお姉ちゃんも思わず引いちゃうほどだよ。
どうしたらこんな風になるの?」


結衣「これというのも…全部あの子のせいだよ…」


雪乃「そうね。
あの女が比企谷くんを救うなんて依頼をしなければこんなことにならずに済んだのに…」


陽乃「比企谷くんを救う依頼ねぇ。
考えてみればあなたたちは随分と難易度の高い依頼を引き受けたもんだよね。」


比企谷くんを救うことが難易度の高いことだと呟く姉さん。

何故彼を救うことが困難なのか、ふと疑問に思ってしまった。

887: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:30:17.19 ID:d55hgFNB0

雪乃「何故…彼を救うことが困難だというの…?」


陽乃「あれれ?まさか知らずにこの依頼を引き受けたの?」


結衣「だってヒッキーを救うっていうのがおかしいし。ヒッキー別に困ってなかったし…」


陽乃「そうかな。部外者の私から見ても彼を取り巻く環境はかなり最悪だったと思うよ。」


姉さんは比企谷くんを救うというこの依頼をこなす上であるいくつかの要因を上げた。

それは3つの要因。

その3つの要因を姉さんは淡々と説明した。

888: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:35:44.56 ID:d55hgFNB0

陽乃「まずこれはもう解散しちゃったけど隼人のグループ。
いつも奉仕部というか比企谷くんに無理難題を押し付けてきたでしょ。あれはやばいね。」


結衣「でもそれは…隼人くんが私たちを頼ったからで…」


陽乃「自分たちのグループの問題を余所に頼むことがそもそも間違いなの。
以前彼女ちゃんが指摘してたけど、
依頼を解決できなかったら隼人は間違いなくその責任を奉仕部に押し付けていたはずだよ。
あいつがここへ依頼しに来ていたのは今思えばそういうことだったんじゃないかな~?」


雪乃「そうかもしれないわね…」


由比ヶ浜さんは残念そうな顔をしているけど私はこの話に辻褄が合うと思う。

そもそも修学旅行の件。

あんな厄介な問題を私たちに押し付けなければこんな拗れたことにはならなかったはずだ。

いなくなって改めて思い知らされる。

やはりあの男は私にとって害でしかないのだと…

889: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:36:29.06 ID:d55hgFNB0

陽乃「それと次は静ちゃん。」


結衣「何で平塚先生…?」


陽乃「だって静ちゃんいつも問題事を押し付けてばかりで責任は取らないんだよ。
こんなわけのわからない部に強制入部させて逆らえば暴力で脅す。
たまにいいこと言ってるけどやってることは最悪じゃないの?」


陽乃「大体奉仕部って無償で動くんだよね。
つまり解決したところで比企谷くんの利益になるようなことは何もない。
それどころか動く度に悪く言われるなんて、
比企谷くんはこの部活やっていいことあるのかな~?」


雪乃「確かに…そうね…」


度重なる比企谷くんに対する暴行…

冷静になって考えると教師としてあの対応はどうかと…

だからあの人結婚できないのではないのか?

890: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:37:36.66 ID:d55hgFNB0

陽乃「それと最後は奉仕部。」


陽乃「もっと正確に言うと雪乃ちゃんとガハマちゃんの二人だね。」


結衣「そんな…何で私たちなの…」


雪乃「どういうことよ姉さん!?」


最後に私たちの名前を上げる姉さん。

何故私たちが…

そう思った私たちは姉さんに抗議した。

姉さんは私たちの抗議に呆れた顔を見せながらこう答えた。

891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:38:16.82 ID:d55hgFNB0

陽乃「まさか無自覚なんてね…
考えてみなよ。あなたたちはこれまで比企谷くんとどう接してきた?」


結衣「どうって…普通にお話したりしてたし。」


雪乃「そうよ。彼を蔑んだことなんて一度もないわ。」


陽乃「コラコラ、嘘はいけないぞ!わからないならお姉ちゃんが教えてあげるよ~♪」


それから姉さんはまるで無邪気な子供みたいな笑顔で語りだした。

私たちがこれまで比企谷くんに行ったことについて…

892: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:38:52.65 ID:d55hgFNB0

陽乃「まずガハマちゃん。
最初にクッキーを作る依頼を口実にしながら、
2年前の事故の件を知らせることもなく比企谷くんに接したね。」


結衣「それは…あの時はまさかヒッキーが奉仕部にいるとは思わなかったから…」


陽乃「でも会った時にちゃんとお礼なり言っておけば彼も気を遣わずにすんだよね。
どうして自分の都合ばかり気にして比企谷くんの気持ちを考えてあげなかったのかな?」


結衣「だって…タイミングが…」


陽乃「それはさっき彼女ちゃんに言われたでしょ。
タイミングなんてこの2年間でいくらでもあったはずだって。
それが出来なかったのは単にガハマちゃんに打ち明ける勇気がなかっただけじゃん。」


姉さんは由比ヶ浜さんに反論を受け付けないほどの正論を叩きつけた。

それだけでなく…


陽乃「ガハマちゃん。もっと人の気持ち考えなよ。」


修学旅行で由比ヶ浜さんが言ったことをそのまま突き返すという皮肉まで。

私は彼女のために抗議しようとそれができない。

何故なら次は私の番だから…

893: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:41:33.70 ID:d55hgFNB0

陽乃「続いて雪乃ちゃん。
あなたもガハマちゃんと同じ…ううん。あなたはもっと悪質かな。」


雪乃「何故私が悪質なの…?」


陽乃「だってそうでしょ。
こんな人助けのボランティアを謳った部活を作っておきながら、
あなたは嫌な問題を全て比企谷くんに押し付けた。要は甘えていたわけ。」


雪乃「私は甘えてなど…」


陽乃「思いっきり甘えていたよ。
例えば最初の依頼、ガハマちゃんのクッキー作りだけど美味くなるまで続けさせるだっけ。
結局最後は比企谷くんが女子の手作りならなんでもOKですませたよね。
あれって雪乃ちゃんに発想できた?できないよね。
きっと馬鹿の一つ覚えみたく美味く出来るように最後までやらせていたはずだよ。」


陽乃「続いて隼人が持ち込んだテニス勝負だね。
何でその場でちゃんと断ろうとしないの?
あの勝負ってあなたたちが勝っても何も得がないよね。
しかも雪乃ちゃんは部長だよ。毅然とした態度で断らなくてどうするの?」


陽乃「それにチェーンメールの件もそうだよ。
雪乃ちゃんは何かやった?何もやってないよね。
まず雪乃ちゃんはF組じゃないから満足な対応ができない。
それなのに犯人捜しだって自分だけ息巻いてたとか滑稽にしか思えないよ。」


陽乃「他には夏合宿だっけ。
あれは随分と危ない橋を渡ったよね。下手したら警察沙汰だったはず。
小学生同士のイジメなんて放置しておけばいいじゃん。
どの道、部外者のあなたたちは何かできるほど親しい関係じゃないんだし…
それよりも小学校側に子供を脅してたのがバレてたらどうなってたと思う?
全員なんらかの処分を受けてたよ。責任も取れないのによくもやらかすよね。」


姉さんはどこで知ったのかこれまでの奉仕部の活動の欠点をネチネチと上げていった。

何故あなたにそこまで言われなければならないの…?

それは全部私たちが頑張ってきた結果なのだから。

894: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:42:17.47 ID:d55hgFNB0

陽乃「私だって雪乃ちゃんが頑張っていたらこんな小姑みたく言わないよ。
問題はこれが全部比企谷くんの頑張ったことだから。
雪乃ちゃんたちはそんな比企谷くんにおんぶに抱っこ状態だったでしょ。
あなたたちはうまいこと彼に乗っかっただけなのが問題なの。」


結衣「そんなことない!私たちだって頑張ったし!」


陽乃「へぇ、それじゃあたとえば?言ってみなよ。」


結衣「それは…ほら…文化祭の時…
いなくなったさがみんをヒッキーが連れ戻すために…
私たちが時間稼ぎしてライブをやりました…」


由比ヶ浜さんの言葉を聞いて私は思い出した。

確かに私たちは彼に頼ってばかりではない。

文化祭の時、逃げ出した相模さんを比企谷くんが探すための時間稼ぎを行った。

あれこそ私たち奉仕部が一丸となって成し遂げたことのはずだ。

895: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:42:43.53 ID:d55hgFNB0

陽乃「ああ…あのライブ…」


陽乃「あれが…あなたたちが一丸となって頑張ったって…」


陽乃「プ…ププ…」


陽乃「アハハハハハハ!本当に笑わせてくれるね!!」


姉さんは先ほどみたくまた爆笑している。

何故笑うの…?

あなただってあのライブに参加していたはずなのに…

897: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:43:54.41 ID:d55hgFNB0

陽乃「あー、面白かった。けど今のは最高に笑えたよ。」


結衣「何で笑うんですか!あの時私たちは必死で時間稼ぎを…」


雪乃「由比ヶ浜さんの言う通りよ。
彼を行かせるために私たちは時間を稼いだ。その結果、彼は相模さんを探し出せた!」


その後、彼は相模さんに暴言を吐いて無理やり連れ帰った。

確かに比企谷くんのやり方はよくなかった。

けどそのことを姉さんに否定される筋合いはないはずだ。


陽乃「やっぱり文化祭の頃からあなたたちは歪んでいたんだね。」


雪乃「歪んでいたってどういうこと…?私たちは歪んでなんて…」


陽乃「おまけにこれまた自覚無しとは酷いね。」


姉さんは私に対して『歪み』を指摘した。

歪みなんて…一体…何のことなの…?

898: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:45:32.35 ID:d55hgFNB0

陽乃「そもそもあのライブだけど、
確かにお姉ちゃんも楽しかったよ。可愛い妹と壇上で一緒に歌えたし…
でも本来あれはちがうんじゃないかな?」


結衣「ちがうってどうしてですか…?」


陽乃「それじゃあ言うね。
相模ちゃんの依頼、引き受けたのは一体誰だったかな?」


雪乃「それは…私が…相模さんの依頼を引き受けたから…」


陽乃「そう、引き受けたのは雪乃ちゃんだね。
それならあの時、
相模ちゃんを探しに行くのは比企谷くんじゃなくて、
相模ちゃんから直接依頼を受けた雪乃ちゃんの役目になるよね。
それを何で比企谷くんに押し付けたの?」


確かに姉さんの言うことはある意味正しいのかもしれない。

けどそれは無理な話だ。

何故なら私は文化祭では副委員長の職務に携わっていた。

その私が持ち場を離れて相模さんを探しに行くことなんて不可能だ。

899: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:48:01.99 ID:d55hgFNB0

陽乃「なるほど、確かに副委員長の雪乃ちゃんが持ち場を離れちゃダメだよね。
もっともな言い訳だね。でもあの場には生徒会長のめぐりが居たよ。
だからあの場をめぐりに任せてあなたも探しに行くべきだったんじゃないかな?」


雪乃「そんなの…今更な話よ…
第一、私たちがいなければあのライブは成立しなかったはず…」


陽乃「ライブは私に任せれば良かったんだよ。
お姉ちゃんは雪乃ちゃんの分までフォローしてあげたよ。」


結衣「そんな…だってゆきのんがいたからあのライブは盛り上がったんだし!」


私と由比ヶ浜さん。私たち二人がいたからこそあの時間稼ぎは成功したはずだ。

けれど姉さんはそのことに納得などできるはずもなかった。


陽乃「うん、ライブは大成功。
あなたたちは学校のみんなから賞賛を浴びた。
それに相模ちゃんも逃げたという汚名を被せられることもなく文化祭を全うできた。
うん、よかったね。」


雪乃「いい加減冷やかすのはやめなさい。何が言いたいの!」


陽乃「それじゃあ言うよ。雪乃ちゃんたちは…」



「卑怯だよね…」



姉さんは私たちのことを卑怯と罵った。

何で…どうしてあの女みたいなことを言うの…?

900: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:49:34.55 ID:d55hgFNB0

陽乃「雪乃ちゃん…
比企谷くんが相模ちゃんを見つけ出せると期待したのはよかったよ。
けどその後、比企谷くんがどうやって相模ちゃんを呼び戻せると思ったの?」


雪乃「それは…彼が…」


陽乃「改めて考えてみれば無理な話だよね。
文実のスローガン決め会議で比企谷くんは相模ちゃんに暴言を吐いた。
それであの時の比企谷くんと相模ちゃんの仲は最悪だったはず。
そんな比企谷くんじゃ相模ちゃんを連れ戻すのは普通に考えれば不可能だよ。」


そういえばそうだった。

スローガン決めの会議で彼は相模さんに暴言を吐いた。

確かに姉さんの言うように、

あの時の比企谷くんでは相模さんを連れ戻すなど普通なら不可能なはずだ。

901: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:50:19.19 ID:d55hgFNB0

陽乃「まあ雪乃ちゃんでも無理だね。
雪乃ちゃんは文実で相模ちゃんの仕事を全部奪っていたから。
あれなら最初から雪乃ちゃんが委員長になればよかったのにね。」


雪乃「そんなの結果論よ。あの時どうすればよかったのかなんてわかるはずがないわ。」


陽乃「そうでもないよ。
雪乃ちゃんはある程度の予想は付いたはず。
誰が行こうがあの時の相模ちゃんを呼び戻すなんて無理だとわかっていた。
それは勿論雪乃ちゃんも含めて。だから敢えて比企谷くんを行かせた。
本来なら自分がやるべきことの身代わりになってもらうためにね。
上手くいけば儲け物、失敗しても自分は咎められることもないと判断したのかな。
その思惑通り、相模ちゃんは連れてこれたけど代わりに比企谷くんの悪評が広まった。」


陽乃「つまりあなたは自分が逃げるための口実が欲しかったんだよ。
それももっともらしい理由がね。
そのために彼を利用した。そして上手いこと責任逃れをやってのけた。」


陽乃「わかるかな?
あのライブこそ雪乃ちゃんが依頼を受けておきながら、
面倒で嫌なことを比企谷くんに押し付けて逃げたことの証だよ。」


姉さんはあのライブの件をこれでもかというほど攻め立てた。

勿論否定しようと思った。

けれど…何も言い返せない…

結果がその通りだから…

姉さんの言うようにライブで会場は大盛り上がりした。

でもその裏で彼は相模さんの説得を行っていた。

無理かもしれなかった私の願いを彼は叶えてくれたのは事実だ。

彼と相模さんの間にトラブルが起こることなど私には予想できたはずなのに…

902: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:50:52.93 ID:d55hgFNB0

結衣「やめてよ陽乃さん。ゆきのんだってつらいんだよ!」


陽乃「あらあら、他人事のように言ってるけどガハマちゃんも同じでしょ。」


続いて姉さんの矛先は由比ヶ浜さんに向けられた。

今度は何を言う気なの…?


陽乃「あの文化祭の時、ガハマちゃんは何をしていたの?
相模ちゃんの依頼であなただけ何もしていないように思えるけど…」


結衣「それは…私はクラスの出し物に加わっていて…
でもゆきのんが休んだ時に言ったんです。

『私とヒッキーを頼ってよ』

だからゆきのんが私を頼ってくれたことが嬉しくて…」


由比ヶ浜さんは、

文実の作業で過労により倒れた私をマンションで勞ってくれた時のことを話してくれた。

確かにあの時の由比ヶ浜さんの言葉に私は救われた。

だからこそあのライブで彼女を頼ることができたのだから。

903: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:51:45.83 ID:d55hgFNB0

陽乃「私とヒッキーを頼ってよ…か…
ガハマちゃん、それはちょっと狡いんじゃないかな。」


結衣「狡いって…私はゆきのんを心配して…」


陽乃「あなたが言ったことはつまり保険でしょ。
自分は何も出来ない。
でもそこに無理やり比企谷くんを入れることで助けることを成立させる。
ガハマちゃんは何もせずいざとなれば比企谷くんに丸投げ出来てあとは知らんぷり。
それで丁度いいタイミングに現れて雪乃ちゃんに協力を申し出てライブを行う。
いやぁ、いいとこ取りだなんてガハマちゃんも雪乃ちゃんに負けず劣らずの策士だね!」


姉さんは最低な解釈で由比ヶ浜さんを煽った。

豪快に笑う姉さんとは対照的に青ざめた顔になる由比ヶ浜さん。

やめて…彼女を傷つけないで…

904: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:53:31.97 ID:d55hgFNB0

陽乃「それにガハマちゃんは比企谷くんを文化祭の打ち上げに誘おうとしたらしいね。
それってさ、あの時の比企谷くんにしてみればかなり酷い仕打ちになるんじゃないの~?」


結衣「酷いってどうして…?」


陽乃「だってそうでしょ。
文化祭で比企谷くんは屋上で相模ちゃんに暴言を吐いたって噂されてたんだからね。
そんな彼を打ち上げに行かせていたらどうなっていたと思う?
間違いなく彼はその場でバッシングされていただろうね。
それであなたはどうしてたかな?
そんな比企谷くんは置いて素知らぬ顔でもしてお友達とお喋りでもしてたのかなぁ?
うわっ!自分で誘っておきながらあとは知らぬ存ぜぬだなんて…私でもやらないよ!」


結衣「ちがう…そんなことしないよ…」


陽乃「そんなことしないって…
そもそもそんな場所へ誘おうとすること自体配慮が足りてないよね。
まさに追い打ちってヤツ~?」


結衣「だからちがう!私はヒッキーが…そんな…」


姉さんの言葉に由比ヶ浜さんはもう何も言えずにいた。

何もそこまで言う必要はないはず…

けど話はまだ終わらなかった。

905: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:54:57.78 ID:d55hgFNB0

陽乃「それで話を戻すけどさっきの歪みのことだけどね。
これは以前比企谷くんにも言ったけどこの部活の理念は確か…
飢えた人に魚を与えずその取り方を教えるんだっけ?」


雪乃「そうよ…私たちはこれまでその方針でやってきたのだから…」


陽乃「でも文化祭ではその方針がズレていたんじゃない?
雪乃ちゃんは相模ちゃんの仕事を殆ど請け負っていた。
あれじゃあ飢えた人にそのまま魚を与えていただけだよ。本人全然成長しないよね。」


結衣「でもそれはあの時のさがみんがサボッていたから…」


陽乃「それこそ雪乃ちゃんが諌めなきゃならないことでしょ。
ていうか文実で私が煽った時もそうだよね。
雪乃ちゃんは何と言われようと頑なに拒否するべきだった。
何故それができなかったのかな~?」


姉さんの私に対する鋭い詰問。

そして姉さんは核心を突く一言を発した。


陽乃「答えは簡単。
雪乃ちゃんは他人を嫌うことは出来るけど嫌われるのが嫌だから。」


雪乃「な…何を…言って…」


陽乃「否定しちゃダメだよ。それで全ての辻褄が合うんだから。
雪乃ちゃんは一見孤立しがちだけどみんなの憧れ。
努力しているというのも要は他人から嫌われたくないから憧れの存在として偽るだけ。
昔イジメられてたもんね。その時の斜め上の発想でそう振舞うようになったんだよね。」


結衣「でも…それは悪いことじゃないですよ!」


陽乃「勿論それが悪いことにはならないよ。
問題はその嫌われるようなことを自分でやろうとせず人に押し付けることがダメなの。」


それから姉さんはこう語った。

文実で相模さんや姉さんの意見を否定できなかったのは、

あの場で私がみんなの嫌われ者になる度胸がなかったからだと…

それだけではない。

ライブの時も私が比企谷くんのような嫌われ役になりたくないから

その役を押し付けたのではないのかと改めて問い詰めてきた。

906: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:55:26.50 ID:d55hgFNB0

陽乃「さてと、文化祭で彼はこの学校のほとんどの人たちから嫌われちゃったね。」


結衣「それは…けどヒッキーには私たちがいるし!」


雪乃「ええ、私たちは彼を見捨てはしなかったわ。」


確かに文化祭の後でも私たちは彼を見捨てはしなかった。

あの屋上での一件のあとでも私たちの仲に影響はなかった。

むしろ以前よりも絆を深めたのだから…

907: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:56:13.47 ID:d55hgFNB0

陽乃「それなら修学旅行での件。
あなたたちは比企谷くんが行った嘘告白を目撃して彼を見捨てた。」


結衣「それは…」


雪乃「あれは葉山くんたちが悪いのよ。」


陽乃「確かに一番悪いのは大事なことを黙っていた隼人だね。
けどあの時、雪乃ちゃんたちはあっさりと比企谷くんを見捨てた。
それも自分たちが受けたふざけた依頼をただ一方的に押し付けて…
その結果、彼はまた人から誤解をされるようになった。」


姉さんの言うように私たちは修学旅行で彼を見離してしまった。

それは一時の感情による過ちだったかもしれない。

けど問題はそれだけではなかった。

908: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:57:17.85 ID:d55hgFNB0

陽乃「ここでひとつ、ある問題が出てくるね。
雪乃ちゃんって比企谷くんが入部した時、静ちゃんにあることを頼まれていたよね。
それが何だったか覚えているかな?」


雪乃「ええ、比企谷くんの孤独体質の更生を頼まれたわ。」


陽乃「そうだね、彼の孤独体質の更生。
けどさぁ、修学旅行の件で比企谷くんの悪評は広まり、
周りから疎まれ、さらに酷く孤立してしまったよ。
この状況でどうやってその更生を行うわけ?」


陽乃「それにあなたたちは彼を見捨てた。
あなたたちから見捨てられたら比企谷くんがどうなるかわかるよね。」


姉さんの鋭い指摘が私の心に突き刺さった。

修学旅行の時点で彼に対する周囲の反応は最悪だった。

そんな彼を中途半端に見離せばどうなるかなんて…

彼は学校のみんなから孤立して結局孤独体質が悪化するだけだ。


結衣「でもヒッキーには私たちがいるから…」


陽乃「だから自分たちだけが比企谷くんのいいとこを知っていればいい。
そう思ったわけだね。
でもそれはちがうんじゃないの?それじゃあ彼の孤独体質の改善にならないよ。」


姉さんはこう言った。

私たちが仲良くなることと彼の孤独体質の改善はまったくの別物だと。

その私たちの勝手な解釈で彼の状況を利用しているようなものだとそう言ってのけた。

909: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:58:24.26 ID:d55hgFNB0

陽乃「それにしても考えてみれば本当に酷い話だよ。
比企谷くんは孤独体質の改善だと言われて奉仕部に強制入部させられた。
けど雪乃ちゃんやガハマちゃん、それに静ちゃんからの後始末を押し付けられてばかり。
それなのに肝心の自身の更生とやらは何もなされていないからねぇ。」


陽乃「それでもし修学旅行の件を誤解されたままでいたら彼はどうなっていたかな?」


陽乃「彼の人間不信はさらに酷くなってそのうち誰も信じることができなくなるよね。」


陽乃「おまけにそれを助長した雪乃ちゃんたちは、
罪の意識なんて感じずにその後もずっと彼に面倒事を押し付けていたのかな?」


陽乃「そう考えたらあの彼女ちゃんに正せてもらえて正解なんじゃないの。」


姉さんはあざ笑うかのようにあの女が私たちに行った仕打ちを肯定してみせた。

あの女のやり方が正しいなんてありえない。

現に私たちの仲は引き裂かれてしまったのだから。

910: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:58:51.44 ID:d55hgFNB0

陽乃「結局あなたたちは試食会でみんなに指摘された通りだったね。」


陽乃「三浦ちゃんからはさっさと謝りに行けと言われた。」


陽乃「いろはちゃんには空気が読めてないと言われた。」


陽乃「相模ちゃんにはあなたたちは比企谷くんを見下していると…」


陽乃「川崎ちゃんからは園児の妹ちゃんでも謝ればすぐにすむって言われてるし…」


陽乃「まさにその通りじゃん。
みんなから指摘されたことこそがあなたたちは歪んでいるなによりの証拠だね。」


まさかここまで言われるとは思わなかった。

でもあそこまで敵視される筋合いはないはずなのに…

911: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 19:59:46.22 ID:d55hgFNB0

陽乃「みんなが敵意を向けていたのはあの子たちが比企谷くんと信頼を築いたからだよ。」


雪乃「けどそれでどうして…私たちはみんなと顔見知りのはずなのに…」


陽乃「それはガハマちゃんにならわかるんじゃないかな。」


結衣「私になら…?」


以前の由比ヶ浜さんは二つのグループを行き来していた。

葉山くんグループと私たち奉仕部。

でもそれが何を意味するのかがわからない…


陽乃「たとえばの話だよ。
一方のグループで認められていたことが、
余所のグループではそれが変だと指摘されたという経験はあるかな?」


結衣「あ、それは…」


陽乃「うん、つまりそういうことだよ。
あなたたち奉仕部が比企谷くんに行っていたことがもう一方の…
まあこれは今現在彼女ちゃんを含めて比企谷くんと親しい人たちのことだね。
その人たちにしてみれば異常だと思われていたんだよ。」


雪乃「けど…彼女たちには…関係ないはずよ!」


陽乃「そうでもないよ。
仲のいい人が不当な目に合っているんだから…
今まであなたたちが比企谷くんへ行ってきた数々の愚行。
それは本来なら許されるべきものじゃないの。」


陽乃「思い出してみなよ。
車の事故から始まってそれから今日まで比企谷くんとの間に何があったのか…」


その話を聞き私はこれまでのことを思い出していた。

きっかけとなった車の事故

比企谷くんの奉仕部への強制入部

テニスの勝負

夏の合宿

文化祭

修学旅行

それにあの屋上での嘘告白に先月の試食会での出来事

全ての事柄において彼のみが嫌なことを背負わされている…

912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:01:49.20 ID:d55hgFNB0

陽乃「それに三浦ちゃんたちは一応比企谷くんに謝っているからね。
対して雪乃ちゃんとガハマちゃんはバレンタインの試食会を口実にちょっかいを出しただけ。
あの子たちが雪乃ちゃんたちにムカついたとしてもそれは仕方のないことだと思うよ。」


陽乃「それにあなたたちが本来すべきことは、
バレンタインのチョコを上げることでも愛の告白をすることでもない。」


陽乃「まず比企谷くんに面と向かって謝ることだった。」


陽乃「それなのにあなたたちは…
修学旅行からもう数ヶ月も経ってるのに前に進めていない。」


陽乃「だからあなたたちはこの学校のみんなから敵意を向けられるようになってしまった。」


陽乃「雪乃ちゃん、試食会の時に私の質問を覚えているかな?」


試食会で姉さんが言ったあの質問。


『集団を最も団結させる存在はなんでしょう?』


あの時は気にも止めなかった。

けどあの言葉にどんな意味が隠されていたのか今ならわかる気がする。


陽乃「今の雪乃ちゃんになら集団を団結させる存在がわかるよね。」


雪乃「集団を団結させる存在…まさか…」


陽乃「そう、それはすなわち『敵』だよ。」


敵と聞いて色々と気づかされた。

今回の騒動で私と由比ヶ浜さんはみんなの敵となっていた。

だから私たちはみんなから挙って糾弾されたわけだ…

913: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:03:02.45 ID:d55hgFNB0

陽乃「今、みんなの敵意は雪乃ちゃんとガハマちゃんに集中しているよ。」


陽乃「それもあなたたちの非道な行いから比企谷くんを守るために。」


陽乃「雪乃ちゃんは以前世界を変えたいと言っていたね。」


陽乃「もしかしたらそれが実現されているのかもしれないよ。」


陽乃「今までぼっちだった比企谷くんをみんなが守る優しい世界にね。」


陽乃「よかったね。
比企谷くんの更生ができて優しい世界も作れて何もかもが雪乃ちゃんの理想通りじゃん!」


私たち自身が悪役となることで比企谷くんとその周りのための優しい世界を作ってみせた。

姉さんはそう語ってみせた。

私が否定した彼の自己犠牲を…私たちがこんな形で…やってみせるなんて…

嫌だ…そんなの…冗談じゃない…

914: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:03:58.30 ID:d55hgFNB0

結衣「嫌だよ…こんな形でヒッキーとお別れなんかしたくないよ…」


雪乃「姉さん…いい加減にして…私たちは…」


陽乃「どうやらまだ納得がいかないようだね。
それならある人をあなたたちに会わせてあげる。
姿はすっかり変わり果てているけど二人が知ってる人だから安心していいよ。」


それから姉さんは部室にある人を招いた。

招かれたその人は…年齢は30~40代くらいの中年の女性。

髪型はショートヘアだけど手入れがなされていないようでボサボサ。

それに不健康な生活を送っているのだろうか肌も荒れていた。

私にはわからなかったけど由比ヶ浜さんはこの人が誰なのか気づいたらしい。

915: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:05:05.51 ID:d55hgFNB0

結衣「あの…ひょっとして…平塚先生ですか…?」


平塚「あぁ…久しぶりだな…雪ノ下…由比ヶ浜…」


雪乃「嘘…この人が…あの平塚先生なの…!?」


そう、私たちの前にいたのは試食会で暴力事件を起こして逮捕までされた平塚先生だ。

かつてのクールで知的な彼女の面影はどこにもなかった。

やつれ果てて何かに怯えているそんな弱々しい女性しかいなかった。


雪乃「せ…先生は…あの後…逮捕されたとお聞きしまたしたが…?」


平塚「ああ…だが…親が弁護士を雇ってくれてな…
それで比企谷の家に多額の示談金を払ってなんとかムショ行きだけは免れたんだ。」


陽乃「でもその後は大変だったよ。
静ちゃんあの事件で教員免許剥奪されちゃってね。もう教職に戻れないの。」


確かにあれだけの事件を起こしたのだから教員免許剥奪は仕方ないのかもしれない。

けど…それだけでここまでやつれ果てるものなの…?

916: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:06:40.90 ID:d55hgFNB0

平塚「あの事件の後…
実家から勘当を言い渡された…親にもう二度と顔を見せるなと言われたんだ…」


結衣「そんな…」


平塚「それだけじゃない。
あの事件でこの学校の誰かが私の素性をネットに公開したんだ。
そのせいで再就職すら満足にできない状況だ。」


雪乃「あ…」


平塚「ついでにな…髪を切った理由だが…
夜道を歩いてたら誰かに変な液体をぶちまけられたんだ。それがもう酷い異臭で…
臭いが落ちなくて仕方なく切ったんだ…」


平塚先生の話は悲惨すぎた。

私はこのことを警察に通報すればよいのではと助言したが、

警察からは『これもアンタの自業自得なんじゃないの?』と言われたそうな…


平塚「担当した警察の人な…
自分の子供も教師に理不尽に虐げられたと言って相手にしてくれなかったよ…」


平塚「酷いよな…今までの自分の行いがこうまでしっぺ返しになるなんて…」


平塚「今更悔やんでも無駄だが…」


平塚先生は涙ながらそう語った。

これがかつては私が一度は憧れた平塚先生の姿だなんて…

信じられない。いえ、信じたくもない。

何がどうなったらここまで人生を転落させてしまうのだろうか。

917: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:07:26.23 ID:d55hgFNB0

陽乃「雪乃ちゃん、ガハマちゃん、今の静ちゃんは二人にとっては他人事じゃないよ。」


雪乃「姉さん…何が言いたいの…?」


陽乃「わからないかな。二人も静ちゃんと同じだって言いたいんだよ。」


結衣「同じって…?」


陽乃「静ちゃんがこうなったのは過ちを犯したから。
そして今はこうして制裁を受けてしまい世間から蔑まれている。」


陽乃「二人も同じだよね。みんなから見離されている。
もうわかるよね。この静ちゃんの姿はこれからあなたたちが辿る末路なんだよ。」


このボロボロにやつれ果てた平塚先生こそが私たちの末路…

そんな…嫌だ…

こんな…惨めにやつれ果てた挙句に…比企谷くんに想いを伝えられないで終わるなんて…

918: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:09:28.61 ID:d55hgFNB0

結衣「もうやめてよ…陽乃さんは私たちをイジメて楽しいんですか!?」


陽乃「あらあら、私は別にイジメているわけじゃないよ。
これはあなたたちが成長するために必要なことだからやっているだけなんだから。」


雪乃「成長…?」


陽乃「試食会で静ちゃんが言ってたよね。」


『人は間違い、傷つきながら成長を遂げていく』


陽乃「今回の件で雪乃ちゃんたちは間違い傷ついた。
まあ一番傷ついたのは静ちゃんにボコボコにされた比企谷くんだけどね。」


陽乃「これであとは成長するだけだよね!」


その話を聞いて苦笑いする平塚先生とは対照的に、

姉さんは妙に楽しそうな顔をして言ってみせた。

間違って傷ついたから成長しろですって…?

他人事だと思っているからそんな風に言えるのだろう。

けれど…どうすればいいの…

私たちは比企谷くんとどう接すればいいの…?

お願い…誰か教えて…

919: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:10:23.20 ID:d55hgFNB0

結衣「待ってるだけじゃダメなんじゃないかな。」


雪乃「由比ヶ浜さん…?」


結衣「私…文化祭の時にヒッキーに言ったんだ。」


『待たないでこっちから行くの!』


結衣「私たちここで動かなきゃダメだよ!
そうじゃなきゃもう二度とヒッキーとわかりあえないよ!?」


由比ヶ浜さんの言葉に私も思った。

このままだと私たちは間違いなく平塚先生と同じ末路を辿る。

けど今ならまだ間に合うかもしれない。

もう一度彼と話合って今度こそわかりあわなければ…


陽乃「ここまで言ってようやく動くんだね。まあ手遅れかもしれないけど頑張れば?」


雪乃「姉さんに言われなくてもそのつもりよ。でも比企谷くんは生徒会室よね。」


結衣「あそこはあの子や優美子たちがいるからヒッキーには近づけないよ。」


まず比企谷くんと話し合うにはこれは当然なことだが彼に近づかなければならない。

以前の私たちならそれは簡単だった。

けれど今はちがう。

試食会での事件以降、

あの女はいつも比企谷くんに付き添うようになり私たちは彼に近づくことができなかった。

920: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:10:51.11 ID:d55hgFNB0

陽乃「それならお姉ちゃんが助け舟を出してあげる。」


雪乃「助け舟ですって…?」


陽乃「そうだよ。
なんと比企谷くんはこの後ある人のお葬式に出席するの。そこなら話せる機会があるよ。」


姉さんからの提案は私たちにしてみれば実に都合のいいものだ。

けれど気になることがある。

比企谷くんは誰のお葬式に出席するの…?

921: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:11:31.11 ID:d55hgFNB0

陽乃「隼人だよ。」


雪乃「え…葉山くん…?」


結衣「どうして…隼人くんが…」


陽乃「あ、二人とも知らないんだっけ?実は隼人二日前に死んじゃったの!」


平塚「私たちはこれから葉山の葬式に出席するんだ。だから二人を呼びに来たんだ。」


葉山くんが死んだ。

なんでも転校先の学校で交通事故にあったとか…

いつもの私ならその事実を知れば多少は驚いたのかもしれない。

けど…今の私たちに彼の死を悼む余裕はなかった…

922: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:13:02.02 ID:d55hgFNB0

陽乃「これは天国にいる隼人がくれた最後のチャンスかもね。
でもお姉ちゃん思うんだけどなんかこれ呪いみたくて逆に気味が悪いよ」


結衣「でも行かなきゃ。じゃなきゃ一生後悔するよゆきのん!」


雪乃「そうね、いつまでもこの部室に閉じこもっているわけにはいかないわ。」


こうして私たちは姉さんに連れられて葬儀場へ向かった。

まだ間に合うはず。

葬儀場までの道中、私たちは最後の希望を心に抱いていた…

923: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:15:29.52 ID:d55hgFNB0

葬儀場―――


「この度はお悔やみ申し上げます。」


「いえ、不甲斐ない息子のためによくお出でくださいました。」


私たちは葬儀場へ到着した。

そこでは葉山くん…いえ…彼自身というよりも彼の両親の関係者が来訪していた。

それは私の両親は勿論のこと、この街の有力者などの姿が見受けられた。

彼の家は弁護士だ。そういった類の人たちと関係があってもおかしくはないのだろう。

私たちと同行した姉さんと平塚先生も別行動を取り葉山くんのご両親に挨拶をしている。

それに…見つけた…

924: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:16:00.30 ID:d55hgFNB0

八幡「この度はお悔やみ申し上げます。
総武高校生徒会として全生徒の代表としてやってきました。」


比企谷くんだ。

学校側に命じられたのかそれとも自分の意思で来たのかわからないが彼の姿があった。


少女A「葉山くんが亡くなるなんて…」


いろは「葉山先輩とは12月にあんな別れ方をしたっきりですからね。」


相模「まさかこんな形で再会はないよね…」


他にもあの女や一色さんに相模さん。

さらに…

925: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:16:49.47 ID:d55hgFNB0

三浦「隼人…アンタバカだよ…」


戸部「隼人くん…本当に死んじまったんだな…」


海老名「最期くらいは和解したかったよ…」


かつての葉山グループである、

三浦さんに海老名さん、戸部くんが葉山くんの柩の前で泣き崩れていた。

かつて葉山くんは修学旅行の一件で奉仕部に無理な難題を押し付けた。

その一件が暴かれて彼らのグループは解散してしまった。

そして葉山くんは彼と親しかった人たちから見離された。

けれどそんな葉山くんでもこうしてその死を悼んでくれる人がいる。

こんなこと思いたくはないのだけど今の私が死んだら誰がその死を悼むのか…?

由比ヶ浜さんと姉さんくらいか。あとは両親…

学校関係者は…以前ならともかく今はもう期待できない。

比企谷くんは…どうなのだろうか。

彼は私が死んだら悲しむのか…?

そんな不謹慎なことを思っていた時だ。

926: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:18:10.45 ID:d55hgFNB0

八幡「俺は小町に連絡するから少し三浦たちのことを慰めてやってくれ。」


少女A「わかったよ八幡。」


いろは「早く戻ってきてくださいね。」


どうやら比企谷くんはお家に連絡を取るためにその場から離れた。

これはまさにチャンスだ。

あの女がいないのなら話は滞りなく進むはず。

そう思った私たちは彼を尾行した。


八幡「ああ、今日は帰りが遅くなるから…」


比企谷くんは人気のない場所で携帯を取り出して小町さんに話をしている。

それから連絡を終えてあの女がいるところへ戻ろうとした。

話しかけるなら今しかない。

決意した私たちは思い切って比企谷くんに話しかけた。

927: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 20:20:04.17 ID:d55hgFNB0

雪乃「久しぶりね比企谷くん。」


結衣「やっはろーヒッキー。」


八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…そうか…お前らも葉山の葬儀にきてたのか…」


比企谷くんは私たちも葉山くんの葬儀に参加しているのだと思っている。

この葬儀は姉さんに連れられて来ただけ。

それに葉山くんが亡くなったことすら私たちは先ほど知ったばかりだけど…

まあそんな話はどうでもいい。

それよりも問題は…


雪乃「比企谷くん…その…」


結衣「ヒッキー。私たちは…あの…」


私たちは比企谷くんに今までのことを謝罪しようとしたのだけど…

いざ面と向かって話すと何から話していいのかわからない。

けれどこれが私たちにとって最後の機会だ。

これを逃せばもうその機会はないはず…

944: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:27:02.22 ID:d55hgFNB0

八幡「………その…すまなかったな。」


結衣「ヒッキー?」


八幡「本当なら俺の方から出向くべきだった。
それなのにわざわざお前たちの方から来てもらうことになるなんて…」


雪乃「え…ええ…いつまでも待っているわけにはいかないものね。」


比企谷くんは私たちに対して意外な反応を見せてくれた。

なんと彼の方から詫びてきたからだ。

それから彼はこう言ってくれた。

945: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:27:46.03 ID:d55hgFNB0

八幡「『 』から聞いたかもしれんが奉仕部のことだが…」


雪乃「その…奉仕部が…廃部になると聞いたわ。」


結衣「私たちの部活が無くなるなんてヒッキーだって嫌だよね。」


八幡「その件だが…
鶴見先生に掛け合って臨時顧問を引き受けてもらった。
これで4月からも奉仕部を存続させることができる。」


奉仕部が存続される。

その知らせは今の私たちにとっては実に喜ばしいものだ。

これでいつ比企谷くんが奉仕部に帰ってきても迎えることができる。

あとは彼と和解するだけ。

いいえ、そんな必要はないのかも。

何故なら私たちはこうしてわかりあえているのだから。

彼が奉仕部を守ってくれたことこそがなによりの証だ。

そう思っていた。

次に起きる彼の行動を見るまでは…

946: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:28:31.71 ID:d55hgFNB0






八幡「だから………これでもう許してください………」






947: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:29:16.75 ID:d55hgFNB0

雪乃「比企谷くん…あなた…何をしてるの…」


結衣「ちょっとやめてよ…ヒッキー!」


比企谷くんは私たちの前で土下座をしていた。

何でこんなことをするの…?

彼のありえない行動に私は混乱した。


八幡「すまない…けど…お前たちが…恐いんだよ…」


八幡「あの試食会で…見ちまったんだよ…」


八幡「俺がボコられているところをお前らが笑っているのを…」


そんな…あの時…私たちは笑ってなんていない…

でも彼にはそう見えてしまったのかもしれない。

試食会の時、私たちはみんなに糾弾されて頭に血が昇っていた。

だから…

948: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:30:22.64 ID:d55hgFNB0

八幡「それだけじゃない…」


八幡「あいつが…『 』が土下座していたよな…」


八幡「何であんなことさせたんだよ…?」


八幡「なぁ…雪ノ下…由比ヶ浜…
俺はお前たちがあんなことをやるようなヤツらだとは今でも思えない…」


八幡「俺に不満があるなら俺だけに言えばいい。
でも他のヤツらは巻き込まないでくれ。
こんなぼっちな俺を信じてくれる大事な人たちなんだよ…」


八幡「だからお願いだ…もうあんなことしないでくれ…やるなら俺だけにしてくれよ…」


彼は私たちの前で土下座を続けた。

ちがう…私たちがあなたに求めているのはこんなことじゃない。

私たちは…あなたと…

950: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:31:02.71 ID:d55hgFNB0

結衣「ヒッキー!土下座なんてやめてよ!」


雪乃「そうよ私たちはこんなこと求めてはいないの!私たちはあなたに…」


私が言おうとした時だ。


少女A「あなたたち…何してるの…?」


またしてもあの女がタイミング悪く現れた。


少女A「こんなところまで八幡を土下座させるなんて…あなたたちは…」


結衣「ち…ちがうの!これはその…」


雪乃「そうよ!これは…!?」


比企谷くんが戻ってくるのが遅いと気になったこの女が心配して様子を見に来たらしい。

それだけではない。

この騒ぎを聞いたこの葬儀の来訪者たちが続々とこの場に押し寄せてきた。

951: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:33:18.30 ID:d55hgFNB0

『おい…あれ…誰か土下座されてるぞ?』


『ちょっと待て?土下座させてるのは…』


『あの娘…雪ノ下議員のお嬢さんじゃないか!?』


誰かが私のことに気づいたようだ。

葬儀の場で雪ノ下家の娘が学校の同級生を土下座させた。

葬儀の参列者に挙って誤解されてしまった。

まさしく最悪の事態だ。

952: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:34:04.92 ID:d55hgFNB0

雪ノ下母「雪乃さん…あなた…なんてことを…」


雪乃「お母さん…その…これは…」


雪ノ下母「こんな場所で…その少年を土下座させるなんて…」


雪ノ下母「それにその子は比企谷くんでしょ…あなた…彼に何をしたの…?」


さらに私が姉よりも苦手であった母にこの場を見られてしまった。

母の目はこう語っている。


『この馬鹿娘…なんてことをしてくれたの…』


母はこの間の試食会での暴行事件で比企谷くんに謝罪していたと姉さんから聞かされた。

あの母が自らで向いて頭を下げたのだ。

それなのに私が比企谷くんに土下座をさせてしまった。

こんな光景を目の当たりにすればどうなるのかなんて…

最悪だ。

私は取り返しのつかない過ちを犯した。

953: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:35:32.00 ID:d55hgFNB0

雪ノ下母「雪乃!あなたという子は!」


雪乃「お願い…お母さん…話を聞いて…」


雪ノ下母「話ですって…?
あれだけ騒ぎを大きくしただけでは飽き足らず…
こんな場所で比企谷くんを土下座させてどんな言い訳をする気ですか!?」


結衣「ちがうんです!これは誤解です!」


雪ノ下母「黙りなさい!
衆目の場でこんなことを仕出かして…
どれだけ親に恥をかかせれば気が済むの!
もうあなたとは親子の縁を切ります!これからは勝手に生きなさい!?」


私は激怒した母から絶縁を言い渡された。

同じだ…

私も平塚先生と同じく家族から見離されてしまった…

それから私は由比ヶ浜さんを連れてその場から逃げ出した。

あてなんてない。

けどここにいたくはなかった。

955: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:37:14.73 ID:d55hgFNB0




……


………


雪乃「…」


結衣「ゆきのん!しっかりして!」


気づけば私たちは学校の部室へ戻っていた。

街を彷徨っているうちに由比ヶ浜さんが私をここまで連れてきてくれたらしい。

いい判断だと思う。

たぶんマンションに戻れば否応なく姉さんか母さんが待ち構えているはずだ。

今の私にあの二人と話すような気力は残ってはいない…

それにしても…まさか…ここまで拗れるなんて思わなかった。

これは死んだ葉山くんの呪いなのではないのか…?

思わずそんなことを疑うほど私たちは運に見離されていた。

956: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:37:43.85 ID:d55hgFNB0

雪乃「私たち…彼に…完全に拒絶されてしまったわね…」


結衣「そうだね…でも…まだ大丈夫だよ!」


雪乃「何故…そんなことが言えるの…?」


結衣「アハハ…ほら…これはタイミングが悪かったんだよ!そうだよ!きっと…」


由比ヶ浜さんは力なくそう答えた。

タイミングだとか言っているけど恐らく由比ヶ浜さん自身もこう思っているのだろう。

もう手遅れであると…

958: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:38:40.27 ID:d55hgFNB0

「…」


結衣「今…扉から物音が…」


雪乃「ひょっとして…まさか…?」


意気消沈していた私たちの耳に聞こえてきた物音。

私たちはすぐに扉を開けた。

かつてこれと似た光景を思い出したからだ。


雪乃「比企谷くん!」


私は辺りを見回した。

けど…既にそこには誰もいなかった。


結衣「ねえ…小包が置いてあるよ…?」


そこには二つの小包と…それに同封されていた一通の手紙が置いてあった。

私たちはその手紙を読んだ。

963: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:41:25.48 ID:d55hgFNB0

雪ノ下、由比ヶ浜、俺だ。比企谷だ。


まず面と向かえず手紙にして伝える形になることを許してくれ。


今回は本当にすまなかった。


試食会の時だが、俺はなんとかみんなを諌めようと考えた。


でもどうにかするにしても、


お前らは怒り狂っていて『 』も泣き崩れていて冷静に話も聞けない状況だった。


それに俺では葉山みたく誰かを簡単に宥めるようなことはできない。


だから平塚先生の鉄拳制裁を受けることでその場を治めようと思った。


だがまさか…こんなことになるなんて…


雪ノ下、一応お前の母ちゃんにはさっきのことは誤解だと言っておいた。


だが俺の説得なんかでどこまでうまくいくかはわからない。


俺ができるのはここまでだ。あとはお前自身で親と向き合ってくれ。


それと今日はホワイトデーだからプレゼントを用意しておいた。


お前らのお気に召すのかはわからん。もし気に食わないのなら捨ててもいい。


最後に…こんなことになって本当にすまない…


比企谷くんからの手紙には以上のことが書き綴られていた。

それから私たちは小包の方を開いてみせた。

その中に入っていたのは…

964: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:42:10.26 ID:d55hgFNB0

雪乃「これは…クッキー?」


結衣「そっか、今日はホワイトデーだもんね。」


由比ヶ浜さんの言葉で私も気づいた。

ホワイトデーといえば、

バレンタインデーでチョコを受け取った男子がその時のお礼を渡す日だ。

私たちは彼に何も与えられなかったのに…

姉さんが言ったように私たちは今まで本当に彼に甘えていたようだ。


結衣「うん、美味しいね。」


雪乃「そうね。比企谷くんが作ったにしては中々の味だと思うわ。」


私たちは紅茶を飲みながら彼がプレゼントしてくれたクッキーを食べた。

美味しい…

きっと何度か練習してこうして美味しく作ったのだろう。

でも何故かしょっぱい気がする。塩の加減を間違えたのだろうか…?

いえ、ちがう。このしょっぱさは…

965: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:43:01.34 ID:d55hgFNB0

結衣「アハハ…なんか…涙が止まらないや…」


雪乃「そうね…どうして止まらないのかしら…」


私たちの涙がクッキーに落ちてしまうからだ。

さっき見た夢と同じ光景なのに…ここには彼が…比企谷くんがいない…

葬儀場で比企谷くんと会った時に真っ先に謝罪すべきだった。

それなのに私たちはそのことを疎かにしてしまった。

選択を誤ったのは他の誰でもない。私たち自身だ…

966: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:49:22.97 ID:d55hgFNB0

それから―――


雪乃「今日も依頼なんてこないわね…」


結衣「そうだね…」


あの葬儀場での出来事から数ヶ月が経過した。

私たちは3年生に進級した。

あの日以来、姉や母は私に一切干渉しなくなった。

噂の火消しそれどころではないのだろう。

それに一度だけ母からメールを貰った。

大学までは面倒を見るがその後はもう知らない。あとは勝手に生きなさいと書かれていた。

結局、私も平塚先生と同じく親から見捨てられたようだ。

部活は比企谷くんの言ったように奉仕部はその後も存続している。

けれど依頼はひとつも入ってこない。

元々奉仕部の依頼は平塚先生を通していたものだから、

その平塚先生がいなくなれば依頼がこなくなるのは当然のことだ。

あの女からの比企谷くんを救うという依頼、

まさかあれが私たちにとって最後の依頼になるのではと最近では思うようになっている。

それから私たちは職員室へ部室の鍵を戻しに行こうとした矢先、ある光景を目にした。

967: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:50:23.22 ID:d55hgFNB0

八幡「うぅ…痛…まだ痛むな…」


少女A「八幡、無理しちゃダメだよ。ほら、掴まって。」


八幡「ああ、いつもすまねえな。」


比企谷くんとあの女だ。

彼らも今日の生徒会活動を終えて帰ろうとしているのだろう。

あの二人は今や学校の誰もが認めるカップルだ。

本当なら彼の傍には私たちがいたはずなのに…

969: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:50:55.00 ID:d55hgFNB0

結衣「ヒッキー幸せそうだね。」


雪乃「そうかしら…」


結衣「本当なら…私たちがヒッキーの傍にいたはずなのにね…」


雪乃「そうね…そうだったのかもしれないわね…」


結衣「私たち…どこで間違えたんだろうね…」


どこで間違えたのか…?

もしかしたら最初から全て間違えていたのかもしれない。

私たちの出会うきっかけとなった車の事故。あれがそもそもの間違いだった。

けどこんなこと今更悔やんでも始まらない。

そんな光景を目の当たりにして、

居た堪れなくなった由比ヶ浜さんは一足先にその場から立ち去った。

一人になった私はこちらに気づかない比企谷くんにあることを語りかけた。

970: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:53:14.51 ID:d55hgFNB0

雪乃「比企谷くん…」


幸せそうな比企谷くんを眺めながら私は自分の左手を見つめた。

実は由比ヶ浜さんにも知らせていないことがひとつだけあった。

それは…

971: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:55:43.90 ID:d55hgFNB0

雪乃「これをいつかあなたに返さなくてはいけないわね。」


指輪だ。

試食会の時にあの女が比企谷くんを守るために差し出された指輪。

その指輪はあの事件の後、紛失されたかと思われたが実は私が密かに所持していた。

いつか彼ともう一度向き合いたい。

その時はこんな薄汚れた心ではなくかつてのような純粋で真っ白な心で…

そして彼にこの指輪を返した後は改めて彼から指輪を受け取りたい。

今度こそちゃんと彼と向き合い近しい関係になるために。

そんなことを思った。だから…

972: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:56:51.85 ID:d55hgFNB0






「ねえ比企谷くん。いつか、私を助けてね。」







end
973: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:57:28.07 ID:casAekVbo

窃盗やんけ!
975: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:58:19.61 ID:Eq7yKBNAO
何ドヤ顔しとんねん
盗んでるだけやんけ(ボコッー
977: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:59:38.87 ID:d55hgFNB0
こうしてゆきのんはヒッキーの指輪を手に入れて勝利しました。
ヒッキーを救い、それに少女Aとヒッキーを土下座させておまけにゆきのんを勝利させる。
全てやり遂げました
ただし幸せになれるとかそんなことは別問題ですけどね
978: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 22:59:49.02 ID:FHMCvUz+0
乙です
こういう展開があってもいいですね
981: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 23:03:01.06 ID:0vqTE93AO
雪ノ下家から解放されたからある意味勝利してるなあ
989: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/06(金) 23:49:21.52 ID:vhblvqLx0
散々利用した上に他人に送った指輪を奪い、挙げ句ボコ殴りして入院までさせた相手に居場所残して貰ったのに、「私を助けてね」って、凄ぇや。
991: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/07(土) 00:06:08.92 ID:50joW+e70
でも何だかんだで楽しかったし、完結して良かった。ゆっくり休んでください。

このシリーズSS:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final【前編】


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final【中編】


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final【後編】



このシリーズ一覧:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 after


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」(比企谷八幡の場合)


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final


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とあるSSの訪問者

こいつのSSカスだから2度とまとめんな
作者にもキャラにも敬意がないゴミクズだからタイトルを見かけるだけで腹が立つ

とあるSSの訪問者

でも、最後まで読んだんでしょ?

とあるSSの訪問者

奉仕部の女2人は八幡に寄り添うというより憐れみの目で傍観するだけ、依頼の解決にも役立ちもせず文句はいうって感じなので、個人的にはスカッとした。
不快に思う人もいるだろうけど面白かったよ。

とあるSSの訪問者

普通に読み応えあるし展開が気になって思わず読み切った

とあるSSの訪問者

しね

とあるSSの訪問者

とても面白かったです!
その後などもあると嬉しいです。
もし気が向いて時間があればよろしくおねがいします。

とあるSSの訪問者

しねとか言ってるやつガキだなw
自分の好きなキャラのアンチあったらすぐ批判とかww
俺はゆきのんめっちゃ好きだけどこの話嫌いじゃない

とあるSSの訪問者

いや、面白かったけど…なんか矛盾とかあっていっそう作者と口論してこいよって思っちゃった

続編欲しい

とあるSSの訪問者

一番可哀想なのは彼女だと思った、名前つけてあげろよ

とあるSSの訪問者

原作で突っ込まれない点を指摘するのはいいんだけど、結局オリキャラ無双させたいがために都合よくキャラを改悪しちゃってて色々キツイな

とあるSSの訪問者

面白かったです!

とあるSSの訪問者

キャラ改悪、特に葉山と平塚先生のが酷いが、原作で疑問に思ってたところに切り込んでくれた良いSSだと思うわ
原作が八幡と奉仕部によってねじ曲げられた間違った話で、このSSは少女Aによって本来あるべき話に矯正されてるのな

とあるSSの訪問者

このSSは賛否両論だけど、、
そんな風に賛否両論なるのは、魅力があるからなんだろう、、

好き嫌いは激しいだろうけど、、

とあるSSの訪問者

原作のおかしなところに突っ込んでるのはいいな
相模を探しに行くのは本来依頼を引き受けた雪乃のはずで相模が八幡の説得に応じるはずないじゃんってのはなるほどって思った

とあるSSの訪問者

ご都合主義的な部分とかコメディ部分を悪く解釈したらこうなってもおかしくはないかなぁ…
胸糞だけど面白かったわ。

とあるSSの訪問者

面白かった!SSの醍醐味出てた!個人的には最後なんやかんや雪ノ下由比ヶ浜八幡と仲直りして欲しかった〜読んでてここまで引き込まれたの久しぶり!とりあえず黒髪ボブちゃん強すぎた笑笑
八幡はピュアすぎたし!平塚先生はそっちにいって欲しくなかったかな〜平塚先生きっかけで仲直りして欲しかった〜
とりあえず書いた人すごいわ

とあるSSの訪問者

全員歪んでたな。ほど良く地獄で面白い。

とあるSSの訪問者

彼女さん頭良すぎてヤバイ

とあるSSの訪問者

普通に面白かった
ああいうヒロインもいいと思う

とあるSSの訪問者

面白かったです
ゆきのん好きですが読み応えがあり楽しめました。


お知らせ
サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
ページ転移に数字送りを実装
多少の軽量化

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

旧ブログはこちら  旧ブログ

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