雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【後編】

361: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:09:27.38 ID:r9vsrDnq0
前スレ:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【後編】





<<さらに翌日>>


雪乃「由比ヶ浜さん…その…
言いづらいと思うのだけど…今日…あなたのクラス…どうだったの…?」


結衣「それなんだけどね…優美子たち…みんな…誰とも喋らなかったんだ…」


雪乃「そう、彼らのボス猿だった葉山くんはどうなの…?」


結衣「隼人くんは…優美子や姫菜…戸部っちとなんとか話そうとするんだけど…
でもみんなの方がもう隼人くんを避けている感じになってさ…
昨日優美子たちが言ったように本当にみんなの関係終わっちゃったよ…」


雪乃「そうなの。まあ当然の結果だったかもしれないわね。」


「 「………」 」


翌日、私は由比ヶ浜さんに葉山グループの近況を聞いてみた。

予想通りあのグループはもう終わってしまったそうだ。

けど…今の私たちにしてみればそんなことはどうでもいい。

そう、そんなことより私たちはもっと大きな問題を抱えているのだから…

362: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:10:34.53 ID:r9vsrDnq0

結衣「ゆきのん…あの子がヒッキーに告白するのって…今日だよね…」


雪乃「そうね…」


結衣「ヒッキーは…あの子から告白を受けたらどうするんだろ…?」


雪乃「さぁ…知らないわ…」


結衣「私たち…どうしたらいいんだろ…?」


雪乃「本当に…どうしたらいいのかしらね…」


結衣「ゆきのんはどうしたいと思ってる?」


雪乃「私は…わからない…由比ヶ浜さんの方はどうなの…?」


結衣「私も…わからないよ…ゆきのんがわかんないことを私がわかるわけないじゃん…」


雪乃「…」


結衣「…」


部室内は気まずい雰囲気に包まれている。

その原因は、今日は彼女が比企谷くんに告白する日だからだ。

正直私たちは比企谷くんが彼女に告白される光景を見たくはない。

それなのに私たちは未だに比企谷くんに対して素直になれずにいる。

一体どうしたらいいのかと頭を悩ませていたその時だった。

363: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:36:49.58 ID:r9vsrDnq0

陽乃「ひゃっはろ~!」


結衣「陽乃さん!」


雪乃「姉さん…こんな時に何の用…?」


陽乃「ぶ~っ!あんまり歓迎されてないな~!
せっかくお姉ちゃんが比企谷くんのいい知らせとそれに悪い知らせを持ってきたのに!」


雪乃「比企谷くんの…いい知らせと悪い知らせ…?」


突然部室へ姿を見せた姉さん。

そんな姉さんが私たちに告げるいい知らせと悪い知らせとは…

364: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:38:09.60 ID:r9vsrDnq0

陽乃「まずはいい知らせから!
なんと比企谷くんが生徒会長になりましたー♪ドンドン!パフパフ~♪」


結衣「ヒッキーが生徒会長!?」


雪乃「まさか彼が本当に生徒会長になるなんて…姉さんは一体何を考えているの?」


陽乃「だって雪乃ちゃんよりも、
みんなから最底辺だと思われている比企谷くんにやってもらった方が面白そうじゃない!」


雪乃「結局いつもの姉さんの悪ふざけということね。それで悪い方の知らせは…?」


陽乃「それがね、比企谷くん以外の役員は決まらなかったの。シクシク、悲しいよぉ…」


下手な嘘泣きで誤魔化す姉さん。

まあ私の予想通りだと思った。

やはりまだ彼の噂が完全に絶たれたわけではない。

そんな悪評のある彼が生徒会長になってしまったのだ。

これでは誰も生徒会に入ろうとはしないだろう。

365: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:39:13.59 ID:r9vsrDnq0

陽乃「それでお姉ちゃんは二人にお願いがあるの。比企谷くんと一緒に生徒会やらない?」


結衣「ヒッキーと一緒に生徒会…?それいいかも!」


雪乃「私は…あの男の下に付くというのは屈辱なのだけど…」


比企谷くんと生徒会をやる。

これは悪くない話だと思った。

私たちは今一度関係を見直す必要がある。

それにはこの奉仕部という環境を変えなければならない。

そこへ先ほど姉さんが持ってきた生徒会入りの話は大変都合がいい。

比企谷くんとまた元の関係に戻れる。

既に葉山くんたちの件も片付いている。

もう私たちの心に比企谷くんに対するわだかまりはない。

今こそ彼と本心で向き合うべき時だ。

367: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:40:17.89 ID:r9vsrDnq0

陽乃「あれれ~?なんか二人ともニタニタしてるけどちょっとキモいよ~?」


結衣「き…キモくなんかないし!」


雪乃「とりあえず姉さんの話は参考にさせてもらうわ。」


陽乃「そう、でも返事はなるべく早くした方がいいよ。
もしかしたら他の誰かが立候補するかもしれないからね。
あ、そういえば他の誰かといえば…あの隼人をやっつけた子はどうしたの~?」


姉さんの質問に私たちは思わずビクッと震えた。

その反応を見て面白がった姉さんは私たちを問い詰めてくる。

観念した私たちは彼女がこれから比企谷くんに告白することを説明した。

368: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:41:06.14 ID:r9vsrDnq0

陽乃「へぇ、比企谷くんに告白ねぇ…これは面白いことになりそうだね!」


雪乃「どうせ失敗するに決まっているわ。
あのボッチで極度の人間不信な比企谷くんが相手なのよ。いい結果になるはずがないわ。」


結衣「そうだよね!ヒッキーは私たちのものなんだから!」


陽乃「まあ…その話は置いといてだけど…
それで二人はどうするつもりなの?
まさかと思うけどこのまま何もせずに見ているだけじゃないよね…?」


姉さんに問いかけられ私たちは何も答えられずにいた。

そんなの…姉さんに言われなくてもわかっている…

彼女の告白なんて見たくもない。

けど…私たちは…彼女を止める度胸も…

ましてや今の比企谷くんに告白をするような勇気も持ち合わせてはいない。

それなのにどうしたらいいの…?

369: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 20:41:37.83 ID:r9vsrDnq0

陽乃「う~ん…
この期に及んでまだ煮え切らないその態度…お姉ちゃんは悲しいなぁ…そうだ!」


陽乃「今回は見ているだけと決めてたけど前言撤回!
ここは二人に発破をかけるためにも比企谷くんに連絡を取って、
彼女ちゃんと比企谷くんの告白の場をセッティングしてあげよっと!」


雪乃「なっ…やめなさい!」


結衣「そうですよ!ヒッキーだって今はそっとしてほしいはずですよ!」


陽乃「ダメダメ!もう決めたことだから☆」


姉さんは新しい玩具を得た子供のように大層喜んでいた。

冗談じゃない。

私たちの恋心をあなたの遊びに利用されてたまるものですか。

371: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:00:53.70 ID:r9vsrDnq0

陽乃「メールを送ったしこれで比企谷くんの方はOK!彼女ちゃんにも伝えといてね!」


雪乃「姉さん…余計な真似をしてくれたわね!」


結衣「そんな…ヒッキーがあの子と付き合いだしたらどうするんですか!?」


陽乃「だったらその前に行動を起こすことだね。でもひとつだけ忠告しておくね。」


雪乃「忠告って何よ…?」


陽乃「既に手遅れだと思ったら綺麗さっぱり諦めなさい。
それがお互いのため、
そのまま未練がましく往生際悪いことしたら取り返しのつかないことになっちゃうぞ!」


そんな奇妙な忠告を残して姉さんは部室を去った。

それから姉さんと入れ替わるように彼女がこの部室へやってくる。

何やら廊下で姉さんと話をしている。

どうやら姉さんが比企谷くんとの告白の場をセッティングしたことを伝えているようだ。

もう時間がない。どんな手段を使ってでも彼女を止めないと…!

372: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:02:35.13 ID:r9vsrDnq0

少女A「先ほど、雪ノ下さんのお姉さんから比企谷くんとお話をする機会を頂きました。
一応お礼を述べましたがあとで雪ノ下さんの方からもお礼を言っておいてください。
本当にありがとうございます!」


雪乃「そう…それは…なによりだわ…」


結衣「そ…それで…ヒッキーとはどこで告白するの…?」


少女A「はい、屋上だとのことです。彼もよくそこにいるようですから!」


告白の舞台に屋上を選ぶとは…定番といえばそうだけど…

確か屋上は比企谷くんがよく一人でいる場所だったはず。

それに文化祭で相模さんが逃げ出した場所でもある。

あの男は屋上とよくよく縁があるようね。

373: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:04:03.25 ID:r9vsrDnq0

結衣「ねぇ…本当にヒッキーに告白するの…?」


少女A「もちろんです!もう決めていますから!」


雪乃「あんな男やめておきなさい。あなたのような人が関わるべきではないわ…」


結衣「そ…そうだよ!ヒッキーってぼっちだし目が腐ってるし猫背でキモいし!」


雪乃「それに元来のひきこもりで専業主夫志望。おまけにシスコンよ。」


結衣「それから…成績だって…良いのは国語だけだし…」


雪乃「そうね…数学は赤点だったわ…」


結衣「あと…あと…マッカン飲んでるし…甘党だし…それに…それに!」


私たちは彼女の前で比企谷くんの欠点を上げていった。

今の私たちに唯一できる抵抗だ。

正直こんなことみっともないと思える。

でも…他に方法がない…

お願いだから彼を諦めて…私たちはそう願いながら何度も彼の欠点を上げていった…

けれど…

374: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:07:12.58 ID:r9vsrDnq0

少女A「あの…今更何を言われようと私の気持ちは変わりませんけど…?
比企谷くんだって人間です。欠点なんていくらでもありますよ。
私は彼の良いところも悪いところも含めて好きになったのですから!」


結衣「アハハ…そっか…やっぱり…そうだよね…」


雪乃「それなら単刀直入に言わせてもらうわ。
もうあなたからの依頼なんてどうでもいい。彼に告白するのをやめてほしいの!」


少女A「ここにきて随分勝手なことを言いますね。
お二人とも最初は快く引き受けてくれたじゃないですか。正直約束違反だと思いますが?」


雪乃「依頼が比企谷くんへの告白だなんて知っていたら誰が受けるものですか。」


少女A「そうですね。
確かに私も最後まで相談内容を伝えずに依頼したのは悪かったと思います。
でもこれだけは聞かせてください。」


少女A「私に告白をやめろというからには絶対に答えてください。」


ついに私たちは彼女と全面対決をすることになった。

けれどその火ぶたが切って落とされたと同時に彼女から告げられたある問いかけ。

それは…

375: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:07:41.65 ID:r9vsrDnq0




「雪ノ下さん、由比ヶ浜さん、お二人は比企谷くんとはどんな関係なのですか?」




376: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:08:41.29 ID:r9vsrDnq0
とりあえずここまで

ゆきのん&ガハマvs少女Aの戦いが始まる
381: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 21:51:11.44 ID:5aGlPFI5O
手のひらぐるんぐるん回してる奉仕部組が勝てる要素0
384: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 22:46:03.31 ID:uK22YWz1o
今のところ、雪乃「比企谷くんの足を掬うことになった。」だからなあ…
そして未だに無反省という
386: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 23:16:10.98 ID:5y+8pI9V0
しかし八幡が一言も喋らないssも珍しい
387: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:04:53.96 ID:60WbjshX0

雪乃「どんな関係って…それは…」


結衣「ヒッキーとは…その…」


少女A「ハッキリ答えてください。
あなたたちは私の告白を止める気なんですよね。
それ相応の理由があって止めようとしているのではないのですか?」


結衣「私は…ヒッキーとは…友達だし…気になる人だから…」


少女A「それが由比ヶ浜さんの理由ですね。雪ノ下さんはどうなのですか?」


雪乃「私は…その…」


彼女の突然の問いかけに私は何故か言葉を濁らせていた。

由比ヶ浜さんと同じく気になる友達とでも言えばいいのに…何故かそれが言えない…

それにはある理由があるからだ。

388: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:06:21.53 ID:60WbjshX0

『なぁ雪ノ下。俺と…』


『ごめんなさい、それは無理。』


『あなたと友達になることなんてありえないわ。』


かつての私と比企谷くんのやりとりが頭の中で蘇ってくる。

そうだ、私は以前彼の申し出を真っ向から拒否してしまった。

それに文化祭の時もだ…

あの申し出を拒否したのなら…

今の私と彼の関係とは一体何なの…?

私はこの彼女の真剣な告白を止めるほど比企谷くんと強い関係なの…?

389: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:07:43.05 ID:60WbjshX0

少女A「雪ノ下さん、何故答えられないのですか?」


結衣「ゆきのん!言っちゃいなよ!じゃないとヒッキーが!?」


雪乃「うぅ…私は…比企谷くんとは…その…」


一生懸命言おうとしているのに何故か言葉が出ない。

どうしてだろう…?

私は比企谷くんの一体何だというの…?

友達でもなければ部活仲間でもない…知り合い…いいえ…そんな安っぽい関係じゃない…

それなら何…?

私は自分自身に必死にこう言い聞かせていた。


『なんでもいいから彼女の前で彼との関係を言わなければ…!』


けれど…無理だ…

どんなに自分に言い聞かせても…意固地になっても…

この場で彼との関係を見い出すことはできなかった。

390: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:08:13.71 ID:60WbjshX0

少女A「雪ノ下さん、何故答えられないのですか?」


結衣「ゆきのん!言っちゃいなよ!じゃないとヒッキーが!?」


雪乃「うぅ…私は…比企谷くんとは…その…」


一生懸命言おうとしているのに何故か言葉が出ない。

どうしてだろう…?

私は比企谷くんの一体何だというの…?

友達でもなければ部活仲間でもない…知り合い…いいえ…そんな安っぽい関係じゃない…

それなら何…?

私は自分自身に必死にこう言い聞かせていた。


『なんでもいいから彼女の前で彼との関係を言わなければ…!』


けれど…無理だ…

どんなに自分に言い聞かせても…意固地になっても…

この場で彼との関係を見い出すことはできなかった。

392: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:09:12.44 ID:60WbjshX0

少女A「返答無しって…呆れますね。
雪ノ下さん、あなたは比企谷くんの友達ですらなかったのですか?」


雪乃「ぐっ…黙りなさい!
だからといってこのままあなたを比企谷くんの前に出すわけにはいかないのよ!」


結衣「そうだよ!悪いけど屋上には行かせないよ!」


こうなれば力づくでも彼女の行動を阻止しなければならない。

そう思い至った私たちは部室の扉の前に立ち彼女を部室に閉じ込めようとする。

正直こんなのただの悪足掻きにしか過ぎない。

傍から見たら随分醜い光景だと思われるかもしれない。

けれど仕掛けてきたのは向こうからだ。

ならばこちらもどんな手段を使ってもそれを阻止してみせる。

393: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:10:04.01 ID:60WbjshX0

少女A「まさか強硬手段に出るなんて思いもしませんでした。」


雪乃「悪く思わないで。こっちも必死なのよ。」


結衣「お願いだからヒッキーへの告白なんかやめてよ!」


少女A「はい、わかりました。やめます。なんて大人しく言うと思いますか?
でもあなたたちが必死なのは伝わりました。それではもうひとつ質問させてください。」


私たちに行動を妨害されても彼女は臆することもなく挑もうとしてくる。

そして彼女は私たちの前であることを問いかけてきた。

それは…今の私たちにとって…最も聞いてほしくない問いかけだった。

394: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:10:50.26 ID:60WbjshX0




『何で比企谷くんは奉仕部にいないのですか…?』




396: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:12:46.97 ID:60WbjshX0

少女A「初めて奉仕部へ来た時からおかしいと思っていました。
私は最初に平塚先生から比企谷くんがこの部に所属していることを聞いて、
先生に紹介されて彼に会いに来ました。」


少女A「ですが居たのは雪ノ下さんと由比ヶ浜さんのお二人だけでした。
この部室に彼の姿はどこにもなかった。
それどころかあなた方は最初から彼が奉仕部にいなかったように振舞っていた。」


少女A「それから私は彼がこの部室にいないのは、
もしかしたらあの文化祭や修学旅行の噂の所為ではないかと思い奉仕部に依頼をした。」


少女A「でもあの二つの噂を確かめていくうちにわかったことがあります。」


少女A「それは…!」


少女A「あなたたち、この部室から比企谷くんを追い出したのではないのですか!?」


彼女の問いに思わず私たちは体中に鳥肌が立った。

ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう…!

そうじゃない。そうじゃないのよ…!?

私は…私たちは…そんなこと…していない…

そうよ…私たちは彼を追い出してなどいないはずよ…!?

397: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:16:10.64 ID:60WbjshX0

結衣「ち…ちがうよ!
ヒッキーはいろはちゃんの件で忙しいんだよ!それに生徒会長にもなっちゃったし!」


少女A「そういえば先ほど比企谷くんが生徒会長に決まったそうですね。
ですがそれは今日決まったことですよ。
私が依頼をした時は彼が立候補するなんて話は出回ってすらいませんでしたが…?」


雪乃「そもそも…あなたは何故私たちが彼を追い出したと思っているの…!?」


少女A「恐らく原因はあの修学旅行の噂だったのではありませんか?」


少女A「今のお二人の反応からして、
詳しくは聞きませんがあなた方も比企谷くんに以前から…その…気があったのでしょう。
そこへ彼が嘘の告白をしてしまった。
先日の件でわかりましたがあの嘘告白はあなたたちも知らなかったようですからね。
その時にあなたたちは仲違いを起こしてしまった。そうではないのですか?」


そうだ。私たち三人が仲違いした理由。

それは彼女が言うように修学旅行の嘘告白にある。

あの比企谷くんによる海老名さんへの嘘告白。

あれが私たちの仲違いした原因だ。

確かにあの時、真相を知らなかった私たちは彼を見捨ててしまった。

でも今はちがう。

真相を知った今なら彼を信じることができるのだから。

398: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:16:47.61 ID:60WbjshX0

雪乃「確かにあの時は彼を軽蔑したわ。だって仕方ないでしょ!」


結衣「そうだよ!裏で姫菜たちがあんなことになってるなんて私たち知らなかったし!」


少女A「だからあなたたちは比企谷くんを見捨てた。その結果、彼は部室に来なくなった。
確かに何も知らないあなたたちが彼を軽蔑してしまうのは無理もないかと思います。
ですがこんなことを言いたくはありませんが、
同じ部活の仲間を見捨てて知らなかったはないと思いますよ?」


少女A「思えば文化祭と修学旅行の依頼は本当に比企谷くんが引き受けたのですか?」


彼女は怒鳴り散らす私たちに対してそう問いかけてきた。

何故比企谷くんが文化祭と修学旅行の依頼を引き受けたのかと…?

そんな疑問を抱く彼女は自らの考えを私たちに明かしてみせた。

399: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:18:52.35 ID:60WbjshX0

少女A「今回、私はあなたたちと共に依頼人であった相模さんや戸部さんと接しました。」


少女A「あなたたちは当初、私に比企谷くんが二つの件の依頼を受けたと説明しましたね。」


少女A「でも彼らの口からは、
相模さんからは雪ノ下さんの名前が、戸部くんからは由比ヶ浜さんの名前が挙げられました。」


少女A「それで私は思いました。
もしかしてこの二つの依頼を受けたのは、
比企谷くんではなく雪ノ下さんと由比ヶ浜がそれぞれ受けたものではないのかと!」


少女A「つまりあなたたちは相模さんや葉山くんたちと同じように、
比企谷くんにあの二つの依頼を受けた責任を押し付けたのではありませんか!!」


私たちにとっては耳が痛くなるような詰問だ。

彼女は私たちをジワジワと追い詰めていく。

けど…ちがう…そんなはずはない…

私たちと彼の関係は間違いなく強い絆で結ばれているはず…

こんないきなり現れた彼女ごときに罵られる道理はない。

400: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:21:02.07 ID:60WbjshX0

結衣「ちがうよ!あんなの言い間違えただけだよ!きっとそうだよ!」


少女A「言葉の綾だとでも言いたいのですか?
けどそれだとあなたたちは無意識に比企谷くんを利用していたということになりますよ!」


雪乃「いい加減にしなさい!
確かに私たちはあなたの言うように一時は比企谷くんを見離した。
けど今はちがうわ!真実が明るみになった今こそ私たちはわかりあえる!
私たちには何人にも犯されることのない深い絆があるのよ!!」


少女A「それではその真実が明るみにならなければ、
あなたたちはずっと比企谷くんを軽蔑して見捨てていたとでも?
それは随分とご立派な絆ですね。」


雪乃「このっ!なんてことを!!」


結衣「ゆきのん!ダメー!?」


気づけば私は彼女の頬を思いっきり叩いていた。

その頬は真っ赤に染まり痛々しさを物語っていた。

私は珍しく暴力に訴えてしまった自分を情けなく思ってしまう…

何故なら彼女の言ったことに言葉で反論できず暴力という方法で抵抗してしまった。

いつもの私ならありえない行動…

私の心に少なからずの罪悪感が押し寄せた。

401: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:22:07.47 ID:60WbjshX0

結衣「だ…大丈夫…!?」


少女A「痛っ…これは…気にしなくていいですよ…
私も思わず熱くなりすぎましたからね。お相子ということにしておきましょう。」


雪乃「私も…謝らないわよ…
最初に私たちと比企谷くんの関係を罵ったのはあなたの方なのだから。」


少女A「あなたたちと比企谷くんの関係ですか…では再びお聞きします。
あの二つの件は正直私から見てもあまり後味の良いものだとは思えません。
けれどそれでも比企谷くんなりに頑張って依頼を成功にこぎつけたと私も思っています。」


結衣「そうだよ!ヒッキーは頑張ってくれたんだよ!」


少女A「ですがあなたたちから見てその結果は不都合だったのではありませんか…?」


この女は一度謝罪したのにさっきよりも鋭い詰問を迫ってきた。

あなたはこれ以上私たちに何を言う気なの…?

402: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:25:09.88 ID:60WbjshX0

少女A「雪ノ下さん、私もあなたの噂は予々お聞きしています。
不躾ですがあなたはこの学校で一番の成績優秀な全校生徒の模範と讃えられる生徒です。」


少女A「それに由比ヶ浜さんも男女問わず人気のある人です。それは素直に認めます。」


少女A「そんなあなたたちにしてみればあの依頼の結果はどうでしたか?
鮮やかでしたか?見事で華々しい解決でしたか?いえ、そうではありませんでしたよね!」


少女A「比企谷くんは方法を問わずに問題を解消した。確かに結果は成功を収めた。
けれどあなたたちにしてみればその結果は不満しかない。
何故ならその方法が人前で胸を張れるような行為ではなかったからですよ!」


少女A「これがどういう意味かわかりますか?
あなたたちは常に他人から賞賛されて華々しい人生を辿っている。
それに対して失礼ですが…比企谷くんはそういったことに縁のない人…」


少女A「そんな彼と共に行動をしていたのに、
雪ノ下さんも由比ヶ浜さんも気味が悪いほど悪評が立ちませんよね?」


少女A「あの二つの悪い噂は常に彼のみが悪いと称されあなたたちには害すら及ばない。
それは確かに実行した彼が悪いと思われるのは当然のことなのかもしれません。
でもあなたたちは一回でも悪く罵られる彼を庇いましたか…?
彼だって血の通った人間ですよ?他人から悪く罵られれば心が傷つきますよ!!」


結衣「ちがう…そんなことないよ!私たちだって一応みんなにフォローしたもん!」


雪乃「それに私たちの行動には落ち度がなかったわ!」


確かに比企谷くんが悪く言われていた時のことは仕方がない。

でも私たちが悪く言われるのは間違っている。

何故ならあの二つの依頼で私たちには何の落ち度もなかったのだから。

けれど彼女はそんな私たちに対してこう言ってのけた。

403: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:29:04.77 ID:60WbjshX0

少女A「あの二つの依頼でお二人に何の落ち度もなかったですって…?」


少女A「そんなはずはありませんよね!
たとえば文化祭、
エンディングセレモニーが終わった直後でも雪ノ下さんは相模さんの行動を責めなかった。
その前に比企谷くんが相模さんに暴言を吐いて傷ついていたと思われていましたからね。
悔しい話ですがあの時の相模さんを周りが責め立てることは出来なかったはずですよ。」


少女A「ですが雪ノ下さんは文実の副委員長でした。
比企谷くんの暴言とは別に相模さんがあの場から逃げ出した責任を問い質す必要があった。
でもそんなことはしなかった。それを怠った理由は何故ですか!?」


少女A「それで先ほど雪ノ下さんのお姉さんに会って私はあることを思い出しました。
文実の委員が仕事をサボりだしたのはあなたのお姉さんが有志の受付に来た直後ですよね。
それでわかりましたよ。」


少女A「あの時、あなたはお姉さんと相模さんの安っぽい挑発に軽々しく乗ってしまった。
その結果、文実の作業に明らかな支障をきたす結果になった。
だから相模さんを問い詰めることができなかった。
何故ならあの時もしも相模さんを問い詰めていたら、
雪ノ下さん!あなた自身にも責任問題が生じる可能性があったからですよ!!」


少女A「あなたは自分の責任逃れを行うために、
相模さんと同じく比企谷くんにその罪を擦り付けたのですね!!」


この女…何を言っているの…?

私が…比企谷くんに…罪を擦り付けた…?

何をどう解釈したらそんな馬鹿げた妄想を思いつくの…?

その彼女の馬鹿げた妄想が今度は由比ヶ浜さんに矛先を変えたわ。

404: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:31:24.39 ID:60WbjshX0

少女A「由比ヶ浜さんはグループ仲間である、
戸部くんの恋路を応援するために彼の依頼を聞き入れた。
ですが最後に彼らの問題を解消したのは比企谷くんですね。」


結衣「私はヒッキーに罪なんか擦り付けてはいないよ…」


少女A「でもあなたも比企谷くんの嘘告白に納得していませんでしたよね。
修学旅行後は葉山くんグループと何事もなく仲良く行動していた。
汚れ仕事だけ彼に押し付けて自分は葉山くんたちと仲の良いままってなんですかそれ?
正直あなたの行動は軽蔑します。それに…!」


少女A「由比ヶ浜さんはあの後、
比企谷くんに何であんなことをしたのか聞きましたか?
聞いていませんよね!あなたも昨日修学旅行の事実を知ったばかりでしたよね!」


少女A「あなた…自分で依頼を受けたくせに比企谷くんに全ての責任を負わせましたね!
仲の良い友達の依頼だからと軽々しく受けて都合が悪くなれば全て比企谷くんの所為に!
由比ヶ浜さん…あなたは…姑息で卑怯ですよ!!」


結衣「ちがう…ちがうよ!私だってヒッキーのことを心配してたもん!?」


由比ヶ浜さんも私と同じく涙ながら彼女に訴えている。

けど彼女は由比ヶ浜さんの言葉を信じる気など微塵もない。

なんて…女なのだろか…

そしてこの女は私たちの前でこう言い捨てた。

405: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:32:27.61 ID:60WbjshX0

少女A「もうこの際だからハッキリ言わせてもらいます。」


少女A「あなたたちにとって比企谷くんとは利用価値のある使い捨ての道具だった。」


少女A「とりあえず使い道があれば手元に置いて手懐けていただけ。」


少女A「比企谷くんが頑張った綺麗なところだけを、
まるで自分の手柄のように振る舞い都合の悪い部分は彼に全て押し付けていた!」


少女A「そして利用価値がなくなれば容赦なく切り捨てる。」


少女A「要はそういうことなのでしょう。」


少女A「何が絆ですか!馬鹿らしい!」


少女A「今ならわかります!
彼を最も苦しめていたのは相模さんでもましてや葉山くんでもない!
雪ノ下さんに由比ヶ浜さん!比企谷くんを本当に苦しめていたのはあなたたちだ!!」


え…?

今…この女…何て言ったの…?

私たちが比企谷くんを苦しめていた…?

可哀想に、くだらない妄想に因われてしまったのね。

今すぐに精神科へ行ってカウンセリングを受けるべきだわ。

406: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:34:13.18 ID:60WbjshX0

結衣「ちがう…ちがうよぉ…私たちはヒッキーを…そんな風に思ってなんか…ウグッ…」


少女A「私の前で泣かれても困ります。それよりも邪魔だからそこ退いてもらえますか?」


結衣「でも…グスッ…退いたら…告白しに行くんでしょ…?」


少女A「はい、行かせてもらいます。それが当初の依頼でしたよね。」


結衣「嫌だよ…ヒッキーに告白なんかしないで…お願いだよ…う゛ぇぇ…」


少女A「冗談じゃありません。
何であなたに邪魔されなきゃいけないんですか。ほら、邪魔だから退いてくださいよ。」


彼女は泣きじゃくる由比ヶ浜さんを力づくで押しのけて扉を出ようとする。

でもそれでも彼女が部室を出ることはできなかった。

何故ならまだ私がいるからだ。

407: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:35:07.23 ID:60WbjshX0

雪乃「ダメ…通さないわよ…」


少女A「退いてください。」


雪乃「嫌よ…」


少女A「お願だから退いてください。」


雪乃「嫌よ…嫌ぁ…」


少女A「退いて…」


雪乃「絶対嫌!」


私は惨めな抵抗を続けた。

涙を流しながら扉の前にたち彼女がこの部室を出ていくのを必死に止めている。

先ほどまでとはちがい虚しい抵抗だ。

もう反論する言葉が見つからない。

目の前にいるこの憎たらしい女に全部言われてしまった。

それでもこの女をここから通したくない。

それが私にできる最後の抵抗だった。

けれど…

408: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:35:39.77 ID:60WbjshX0





「「「「「 退きなさいッ!! 」」」」」






409: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:36:45.45 ID:uzPuZASro
少女Aさんが逞しすぎて、もう枢斬暗屯子にしか見えない
410: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 01:37:14.63 ID:60WbjshX0

私は声も出せずに怖気づき、気づけば腰を抜かして床に座り込んでしまう。


それから彼女は座り込む私を心配する様子も見せず部室を出ていった。


結局、私たち二人は彼女の恋路を邪魔することはできなかった。


それどころか知られたくもない…


いや…私たち自身ですら知り得なかった…真実を暴かれ…


醜い自分の本性を晒されてしまった…


起き上がらなければ…まだ間に合う…彼女を…あの女を追わなければ…


でも無理だ…どうしても…立ち上がる気力が沸かない…


目の前が真っ暗だ…何も見えない…


もう…おしまいだ…


なにもかも…終わってしまった…

454: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:46:34.41 ID:Muaqe6Er0

結衣「ゆきのん…?」


結衣「ねぇ、ゆきのん大丈夫…?」


雪乃「由比ヶ浜さん…どうしたの…?」


結衣「だって…床に座り込んでからずっとブツブツ呟いていたから…」


雪乃「そう、でも大丈夫よ。気にしないで。」


どうやらあれから私は意識を途切れさせていたようだ。

私らしくもない。不覚だ。

それにしても…あの女に尽く言われてしまった。

こうまで言われるとむしろ清々しくなってしまうものね。

気分を落ち着かせた私はこれまでのことを振り返ってみた。

奉仕部が…私たちがこれまでやってきたことを…思い出していた。

455: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:47:05.25 ID:Muaqe6Er0

雪乃「そういえば由比ヶ浜さん…
この奉仕部が最初に行った依頼はあなたのクッキー作りからだったわね。」


結衣「そうだね。私が作ったクッキーがあまりにも酷くて食べられなかったよね。」


雪乃「そうね、あれは木炭だったわ。それで私たちは何度も特訓を重ねたわ。」


結衣「でも最後は…
ヒッキーが男は女の子が作るものならなんでいいって理由で簡単に解決しちゃった。」


雪乃「それから材木…あれは置いといて戸塚くんのテニスの件ね。」


結衣「さいちゃんがテニス部を強くしたいって依頼でゆきのんはさいちゃんを扱いたよね。」


雪乃「それで途中から葉山くんたちが乱入して何故か勝負に…」


結衣「私はテニス未経験でゆきのんも途中でガス切れ。最後はヒッキーが頑張ったね。」


雪乃「続いて川崎さんの弟さんから依頼もあったわ。」


結衣「ゆきのんはサキサキと最後まで喧嘩腰で…
最後はヒッキーがサキサキのスカラシップのことを伝えて解決だったね。」


雪乃「そして忘れもしない夏の林間学校での出来事。
小学生の鶴見留美さんを助けるために、
私たちは葉山くんたちと揉めながらなんとか彼女を救う手立てを考えた。」


結衣「あれも最後はヒッキーが斜め下のやり方で終わらせたよね。」


今までのことを振り返ると比企谷くんの存在は私たちにとって大きかった。

今更彼を失うことなんて出来ない。

でもあの女は比企谷くんに告白をしに行ってしまった。

もう駄目なのだそうか…?

私たちと比企谷くんの関係はこれでおしまいなのか…?

そう思った時だった。

456: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:48:13.65 ID:Muaqe6Er0

私の携帯からコール音が響いてきた。

それは着信不在の怪しげな連絡だった。

恐る恐る掛かってきた携帯に出るとそこからはある声が聞こえてきた。


『雪ノ下さんに言われて来たんだが…アンタが俺を呼び出したのか…?』


『はい。初めまして…じゃないですけど…私のことを知っていますか…?』


聞こえてきたのは二人の男女の会話だった。

私はこの二人の声に聞き覚えがあった。

457: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:48:50.96 ID:Muaqe6Er0

雪乃「これは…比企谷くんとあの女の声だわ!」


結衣「えっ!これってどういうことなの!?」


何故あの二人の会話が携帯から流れてくるのか疑問に思った。

けれど今の私たちにはそんなことはどうでもよかった。

それよりも問題はこの二人の会話にあったからだ。

458: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:49:54.14 ID:Muaqe6Er0

『アンタの顔…何度か見たことある…名前は知らんが…確か文実にいたよな…』


『はい、あなたと一緒に文実の作業を行っていました。』


『それじゃあ俺を呼び出した要件は文実で相模に暴言を吐いた件か?
まあそうだよな。あの件で俺を責めに来たわけか。
真面目に働いていたアンタからしてみれば俺みたいな不良委員は目の敵なわけだ。』


『いいえ、そんなつもりで呼んだわけではありませんよ。』


『え…ちがうの?それなら修学旅行の噂か。
クラスの罰ゲームで俺が何を仕出かしたのか聞いて来いって言われたのか…?』


『そんなことは聞く気もありません。
それにしても比企谷くんって被害妄想が酷すぎますよ!
男子なら女の子を目の前にしたらもっと夢のある妄想を膨らませてもいいと思います!』


『悪いけどそういうのは懲りてるんだわ。
中学じゃこっ酷くフラれて…最近も仲が良かったと思ってたヤツらに見捨てられてさ…』


『そうですか。そうですよね。
今のあなたからしたらよく知らない私なんて警戒しちゃいますよね。』


『でも…大丈夫ですから…心配しないで…』


『私はあなたの味方です。』


それは今の私には吐き気を催すような会話だった。

あの女がこれから比企谷くんに告白をしようとする流れだ。

この会話を聞いてさっきまで抜け殻だった私の心の奥底から感情が沸き上がってきた。

このまま諦めてなるものか。

その決意が私を再び立ち上がらせた。

459: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:50:37.53 ID:Muaqe6Er0

雪乃「由比ヶ浜さん行くわよ!」


結衣「行くって…どこへ…?」


雪乃「屋上に決まっているでしょ!このままでは終われないわ!」


結衣「そっか!そうだよね!ヒッキーを取られるわけにはいかないもんね!」


決意を新たにした私たちは部室を出て屋上へと駆け上った。

急がなければ…時間はもうない。

あの女が比企谷くんに告白する前になんとしても阻止しなければ。

そして屋上の扉が見えてきた。

460: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:54:15.30 ID:Muaqe6Er0

『アンタに悪意がないのはわかったよ。それで俺に何の用があるんだ?』


『それは…実は…私…その…困りましたね…こういうのは初めてで緊張して…』


『でも思い切って言いますね。』


扉を開けようとする瞬間、二人の声が聞こえてきた。

どうやらあの女が告白をする直前らしい。

緊張しているなんてよくも白々しいことが言えるわね。

あなたさっきまで私たちに喧嘩を売っていたじゃない。

その度胸はどこへ行ったの…?


『比企谷くん!私は…あなたのことが…!』


まずい…!

あの女が告白を遂げてしまう。

ダメだ。絶対に許さない。

そう思い至った私たちは扉を開けると同時に比企谷くんに向かって大きな声でこう叫んだ。

461: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:54:52.11 ID:Muaqe6Er0




「 「待って!あなたのことが好き!!」 」




462: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 02:57:44.34 ID:Muaqe6Er0

私と由比ヶ浜さんは屋上に駆け上りほぼ同時に同じことを叫んだ。

それは比企谷くんと、

さらに私たちに告白を遮られ、呆気に取られているあの女にもしっかりと伝わった。

暫くその場には静寂な空気が流れた。

誰も話そうとする雰囲気ではない。

けれどそれからある動きがあった。

比企谷くんのあの腐った目から一筋の涙がこぼれ落ちたからだ。

その涙を見た瞬間、私は思わず心の中でこう叫んだ。


『やった!彼の心を掴んだ!』


その瞬間、私たちの心は歓喜に酔いしれた。


――――――


――――


――

493: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 17:47:36.71 ID:Muaqe6Er0

<<12月某日>>


八幡「ウス、お前らいるか?」


結衣「ゆきのん!ヒッキーが!ヒッキーが来てくれたよ!」


雪乃「あら、幽霊部員谷くんがようやく来たのね。随分な殿様出勤じゃないかしら。」


八幡「幽霊部員谷くんって何だよ?それもう名前の原型が谷しかねーだろ。」


私たちが屋上で比企谷くんに告白してから1ヶ月が過ぎた。

既に世間はクリスマスムードに染まっている。

そんな最中に比企谷くんが部室へと足を運んでくれた。

494: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 17:49:14.99 ID:Muaqe6Er0

八幡「今日は生徒会の用事で来たんだ。
来学期の部活の予算編成に関する書類を各部長に提出してもらわなきゃいけないからな。
奉仕部も部員は少ないが一応部活動だ。もう書いてあるか?」


雪乃「勿論書いてあるわ。
ところで今日はこの後暇かしら?わかっているわ。
ぼっちのあなたなら暇に決まっているわよね。そうよ、そのはずよね。」


結衣「そうだよ!ゆっくりしていきなよ!ゆきのんが美味しい紅茶淹れてくれるよ!」


八幡「悪いが暇じゃねえんだよ。
この後、海浜総合高校の連中と打合せに行かなきゃいけないんだ。
なんでも合同のクリスマスイベントをやるんだとよ。
クリスマスなのに仕事させられるとは思わなかったがな…」


そういえば平塚先生がこの前そんなことを話していた気がする。

それなら話は簡単だ。

私たちは奉仕部、比企谷くんにイベントの協力を申し出ればいい。

それにしても彼はなんでも自分で背負い込むタイプだと呆れ果てる。

こういう時こそ私たちを頼るべきなのに…

きっと私たちに迷惑がかると思って遠慮しているのね。

その優しさは時に残酷だということをいい加減知ってもらわないといけないわ。

496: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 17:50:18.47 ID:Muaqe6Er0

雪乃「ねぇ、比企谷くん。そのイベントなのだけど…」


結衣「そうだね!よかったら私たちも…」


いろは「せんぱ~い!ていうか会長~!」


八幡「お、いろはじゃねーか!」


そこへタイミング悪く現れたのは、

かつて私たちとサイゼで出会した1年生の一色いろはさんだった。

ちなみに彼女は現在、サッカー部のマネージャーを辞めて生徒会に入ったらしい。

497: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/12(火) 17:51:31.78 ID:Muaqe6Er0

いろは「もう!予算の書類をもらうだけなのに遅すぎますよ!
こんなところで油を売ってないで早く生徒会室に戻ってきてください!」


八幡「遅いって…まだここに来て5分も過ぎてないんだが…?」


いろは「こんなところに5分もいるなんて時間かかり過ぎなんです!早くしてください!」


雪乃「こんな…ところ…?」


何故だろう…?

一色さんは私たちの存在に目もくれず比企谷くんを急かす真似をしている。

それにしても先程から妙に一色さんの言動が気になる。

彼女の言動に所々棘を感じるのは気の所為だろうか…?

513: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:33:49.90 ID:5klR60630

三浦「ハチオ!遅いし!心配して様子見に来たんだよ!」


海老名「ハロハロ~ハッチ~♪」


八幡「優美子に姫菜まで、お前らそんなに俺が頼りないのかよ!?」


いろは「そうですよ!なんてったって先輩は学校一の泣き虫さんなんですからね!」


続いて現れたのは三浦さんに海老名さんだ。

由比ヶ浜さんから聞いたが彼女たちも今度の生徒会に入ったらしい。

私から言わせれば彼女たちは葉山くんのグループから比企谷くんに乗り換えた卑怯者だ。

514: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:34:20.79 ID:5klR60630

いろは「それじゃあ先輩、
他の文化部の予算の書類提出してもらいに行きますよ。
あんまり遅いと愛しの奥さまに叱られちゃいますからね~!」


八幡「奥さまって…先輩を茶化すんじゃねえ!
まあ確かにあいつを怒らすのは恐い。
この前も海浜の会長相手に、
『何を言っているのかわからないから日本語で話せ!』と堂々と啖呵切っていたからな。」


三浦「そうだよ、アンタにはあれくらいしっかりした奥さんが性に合ってるんだからね!」


海老名「大切にしなきゃダメだよ~♪」


雪乃「あの…比企谷くん…」


それから比企谷くんは一色さんに連れられて他の文化部の方へと向かってしまった。

私はすぐに彼を追いかけようとするのだけど…

515: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:34:59.65 ID:5klR60630

三浦「ねぇ、アンタら何してんの…?あーしらのハチオにまた酷い目に合わせる気!」


結衣「優美子!ゆきのんはそんなつもりじゃないよ!」


海老名「それは信じられないよ由比ヶ浜さん。
二人とも1ヶ月前に自分たちが仕出かした悪ふざけをもう忘れたわけじゃないよね?」


比企谷くんがいなくなった直後、二人の声色がドスを利かせたように変化した。

それにかつては友人であったはずの由比ヶ浜さんに対しても他人行儀な態度を見せている。

由比ヶ浜さんも怯え出す始末。

そんな私たちのところにまた人がやってきた。

それは…あの女だ…

今から1ヶ月前、私たちと比企谷くんの仲を引き裂いたあの女…

少女Aが私たちの目の前に現れた。

516: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:36:20.15 ID:5klR60630

少女A「優美子、姫菜、二人ともこんなところにいたの。
早く生徒会室に戻ってきてください。仕事は山ほど溜まっているんですよ。」


三浦「はいはい、わかってるし!奥さま!」


姫菜「ていうか奥さんがここにいるってことは…
生徒会室には南ちゃんだけ?あの子だけで大丈夫なのかな~?」


少女A「姫菜、心配することはないわ。
南はあの文実の頃とはちがいもう仕事を放り出すことはしません。」


三浦「ハチオもアンタもお人好しだよね。
南を生徒会の庶務に任命してクラスで孤立している立場から救うなんてさ!」


少女A「別にお人好しというわけでは…
これは彼が提案したことだから。
孤立する寂しさをよく知るあの人だからこそ南を受け入れたのでしょうね。」


私たちの前に姿を現した彼女は三浦さんたちと話をしている。

ちなみに今度の生徒会にはあともう一人、あの相模南さんも庶務として所属している。

これは聞いた話だけど会長の比企谷くんと副会長の彼女からの推薦だったそうだ。

あの文実での真相を公にして以来、

孤立している相模さんをもう一度成長させる機会を与えたいということらしい。

恐らくこれは相模さんにとって最後のチャンスなのだろう。

この生徒会でかつての失敗を挽回しなければ、

学校に居場所がないことを相模さんもわかっていることだから…

それから三人は話を終えると思い出したかのように私たちに視線を合わせてきた。

518: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:38:04.33 ID:5klR60630

少女A「さて、お二人ともあれ以来ですね。お久しぶりです。」


雪乃「あなたも…副会長になったそうね。」


少女A「はい、おかげさまで…
まだ不慣れですがこれからも公私共に八幡を支えていきたいと思っています。」


結衣「八幡って…この子…ヒッキーのことを名前で呼んでる…!?」


雪乃「このっ!」


私たちの比企谷くんを横から奪い取り、

さらには彼に取り入って生徒会の副会長になったこの憎たらしい女。

それだけではない。

あの三浦さんたちとも仲良くなり彼女たちから彼の奥さまなどと茶化されている。

比企谷くんの良妻気取りとはどこまで私たちを嫉妬させるのだろうか…!

519: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:41:13.99 ID:5klR60630

雪乃「よくも私たちの比企谷くんを奪い取ってくれたわね。
私はあなたが仕出かしたこの仕打ちをこれから一生忘れはしないのだから!」


三浦「何言ってんの?逆恨みもいいとこだし!
つーか由比ヶ浜もまだ二人で奉仕部やってんだ。ハチオにあんなことしたのに!」


海老名「悪いけどこの学校であなたたちの味方をする人はもう平塚先生くらいだよ。
このまま諍いが起きればあなたたちは今度こそ居場所を失って学校から追われるからね。」


雪乃「三浦さんに海老名さん…あなたたち…私を脅しているの…?」


既に私たちと彼女たちは一触即発の状態だ。

たとえるならまさに東西の冷戦状態…

そこへあの女が私に向かってあることを切り出してきた。

520: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:43:09.50 ID:5klR60630

少女A「雪ノ下さん、由比ヶ浜さん、今日はお話があってこちらへ伺いました。」


雪乃「要件は何なの?私が以前あなたを叩いた仕返しならいつでも受けて立つわよ。」


少女A「いいえ、私は仕返しなんてしません。
というよりこれから先もあなたに何かをするつもりもありませんよ。」


結衣「なら何で私たちのところに来たの…?」


少女A「女同士腹を割って話したいと思いまして。
私がここへ来たのはあなたたちに二度と八幡に会ってほしくないことを伝えに来ました。
もう八幡はあなたたちの便利な道具ではありません!」


少女A「彼はこの学校の生徒会長であり私の大事な人です!」


少女A「まだあなたたちは、
八幡の厚意に甘えているみたいですがそれも今日限りにしてください。
今日ここへ八幡を越させたのはあなたたちに対するせめてもの情けです。
私は今後一切あなたたちを八幡に近づけさせはしないのでそのつもりでお願いします!」


な…なんて…

なんてことを言うの…この女は…

比企谷くんを二度と私たちに会わせないですって…!?

ふざけないで!

彼はあなたのものでもなんでもないはずよ!

それに何が情けよ。あなたごときに同情される謂れはないわ!

521: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:44:47.72 ID:5klR60630

海老名「ねぇ、雪ノ下さんに由比ヶ浜さん。
私たちも葉山くんと一緒にハッチには酷いことしちゃったよ。
あなたたちがあんなことを仕出かした翌日、
私と優美子は修学旅行の件についてハッチに謝りに行ったのよ。」


三浦「正直許してもらえると思わなかったけどね。
でもあいつはもう終わったことだから気にすんなって言ってくれたし。
申し訳なく思ったよ。だからあーしらは今までの償いも兼ねてハチオの生徒会に入った。
ハチオが会長でこの奥さまが副会長の生徒会にね!」


海老名「ちなみに由比ヶ浜さんは知らないから言っておくけど、
あの依頼をした戸部っちも反省して今じゃサッカー一筋で頑張っているよ。
この前なんかあの茶髪のロン毛を坊主にして私に友達からやり直してほしいってね。
みんな前に向かって歩き出しているよ。」


三浦「悪いこと言わないからもうハチオのことは忘れなよ。それがアンタらのためだし。」


結衣「優美子…姫菜…そんな…やめてよ…
前みたく名前で呼んでよ!何で私のことそんな他人みたく言うの!?」


由比ヶ浜さんは三浦さんと海老名さんが、

自分のことを他人のように扱う光景に恐怖を感じている。

かつては友達と思っていた存在がこうも手のひらを返すなんて…

一体…私たちが何をしたというの…?

522: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:46:47.02 ID:5klR60630

八幡「お~い!『 』何やってるんだよ?」


そこへ比企谷くんたちが戻ってきた。

比企谷くんがあの女の名前らしきものを呼んでいるけど、

私の耳はあの女の名前なんか受け付けていない。

それよりも彼を取り戻さなければ…彼は奉仕部の部員で…それで彼は…彼は…


少女A「なんでもありません。さぁ、行きますよ。八幡!」


八幡「おい…こんなとこで手を繋ぐな。みんなに見られて恥ずかしいじゃねーか!」


少女A「いいんです!見せつけているんだから!」


いろは「まったくいつもいつも見せつけてくれますね!」


三浦「アンタらお似合いの夫婦だし!」


海老名「ぐ腐腐腐!こういうほのぼのなのもありだよね~♪」


あの女はまるでわざとらしく比企谷くんとの仲を見せつけて私たちの前を去った。

取り巻きの一色さんや三浦さんたちがガードを固めて私たちは近づくことすらできない。

そして極めつけは…ああして比企谷くんと手を繋いでいることだ。

気の所為か…あの女の声が頭の中に響いてくる…
523: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:49:35.06 ID:5klR60630


『私は掴んだこの手を二度と離さない』



黙れ…黙りなさい…

本当なら彼の手を掴むべきは…私だった…

比企谷くんの隣にいるべきはあの女ではない。

この私だったはずなのに…

あの女が彼の手を掴んでいることすら私には憎たらしい…!

524: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 00:50:59.11 ID:5klR60630

結衣「何で…」


結衣「何で…なの…」


結衣「何でこんなことになっちゃったの…?」


結衣「ヒッキー!戻ってきてよ!」


雪乃「比企谷くん…」


比企谷くんの姿が見えなくなったと同時に私たちはその場に泣き崩れた。

それから私たちはあることを思い出していた。

こんなことになった発端である1ヶ月前。

私たちが屋上で比企谷くんに告白をした直後のことを…

542: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 07:34:47.75 ID:sYL3PnBb0
言うタイミングが悪かったんだよ。猜疑心を残してしまったまま八幡に謝罪もせず、好きですって言われてもAの仕掛けた罠に嵌ったと言わざる得ない。
所でAの名前くらいそろそろ明かしてもいいのでは?
546: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 10:54:32.53 ID:2jKfFdom0
何をしたというか
何もしなかったのが駄目なんだよなぁ…
555: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 22:57:02.08 ID:5klR60630

<<1ヶ月前 屋上にて>>


雪乃「ハァ…ハァ…」


結衣「よかった…間に合ったんだ…」


八幡「雪ノ下…由比ヶ浜…お前ら…」


少女A「…」


あの日、私たちは少女Aの告白を阻止することに成功した。

あの女の告白を遮り私たちが比企谷くんに告白をして想いを伝えたと思ったのだけれど…

556: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 22:58:12.31 ID:5klR60630

八幡「そ…そうか…」


八幡「そういう…ことか…」


八幡「ふひ…ひ…」


雪乃「比企谷くん…?」


告白をしたというのに比企谷くんの様子がどうもおかしい。

何故なのか…?

それから彼は呆然と立ち尽くす私たちの前であることを語り出した。

557: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 22:59:03.72 ID:5klR60630

八幡「これって…つまり…あれだろ…」


八幡「俺がやらかした修学旅行での嘘告白…
あれをお前らが今こうして俺の前で再現したってことだよな…?」


八幡「それ…誰からの依頼なんだ…?」


八幡「この子の親友とかが…心配してお前らに告白を阻止する依頼をしたのか…?」


八幡「いや…まあ…そんなことは…どうでもいいか…」


そんな…彼は明らかに誤解していた。

修学旅行の再現…?

馬鹿を言わないで!

私たちは真剣な想いで告白したのよ。

誤解を解こうと私たちは彼に弁解してみせた。

けれど…

私たちの口から出てきた言葉は思いもよらぬものだった。

558: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:00:20.39 ID:5klR60630

雪乃「そ…そうよ…その通りよ…あなたなんかに本当に告白するとでも思ったのかしら…」


結衣「ヒッキーったら…本当にキモいんだから…」


八幡「ハハ…そうだよな…そうに決まってるよな…」


ちがう…私たちは一体何を言っているの…?

今こそこの想いを伝えるべきなのよ。

それを今更恥ずかしがっていてどうするの…!?

そんなことを思っている時だった。

比企谷くんが急に歩き出した。

その歩き方はフラフラしていて…いつ倒れてもおかしくはない弱々しいものだった。

私は…この時の彼から何か危うい感じがしたのだけど…でも…恐い…

近寄ることもできない。

だから彼に駆け寄ることもできなかった。

私たちには何故かそれが許されるべき行いとは思えなかったからだ。

けどそんな比企谷くんの手を掴んだ人がいた。

彼の手を掴んだのは…

559: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:00:51.81 ID:5klR60630

少女A「待って…行かないで…!」


八幡「なぁ…離してくれないか…頼む…」


少女A「行かせない…
それにどこへ行く気ですか…?屋上の扉がある場所とは逆の方向に向かってますよ…」


八幡「どこへ行くって…そうだな…もう誰もいないところへ行きたいだけだ…」


少女A「それってまさか…あの…こっち…向いてもらえますか…?」


あの女に言われて比企谷くんは私たちの方へ顔を向けた。

彼の顔を見て私たちは思わず驚きを隠せなかった。

彼の腐った目から涙が溢れ出していたからだ。

560: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:02:58.74 ID:5klR60630

八幡「ウグッ…ヒグッ…悪い…みっともないもの見せちまったな…でも…止まらないんだ…」


八幡「グスッ…でもこれが比企谷八幡って男なんだ。」


八幡「普段は孤高のエリートぼっちだなんて振舞っているが…
結局ボロが出ればこうして人前で泣きべそかいちまう惨めな男だよ…」


八幡「今日だって半ば強引に生徒会長にさせられたが…
俺が会長になっちまった所為で他の役員なんて一人も集まらなかった。
これからたった一人で生徒会やらされるかもしれないんだ。本当に惨めな思いだよ。」


八幡「だからよかったな…アンタ…
雪ノ下たちのおかげでこんな惨めな男に勘違いで告白する前に止めてもらえて…」


八幡「そうでなきゃ…俺みたくクラスでぼっちになっていたところだぞ…」


八幡「だから俺の前から消えてくれ。これ以上俺なんかと関わるとろくなことがないぞ。」


比企谷くんはあの女に自分が如何に惨めな存在かを言い聞かせていた。

その彼の目はこれまで以上に濁っている…

こんなはずじゃなかった。

ここまで彼を傷つけるつもりなんてなかったのよ。

これというのも…全てはこの女の所為よ…!

561: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:03:52.15 ID:5klR60630

少女A「まずは…あなたを傷つける結果になって…ごめんなさい…
こんなことになるなんて思わなかった。
私がもっと注意していれば比企谷くんを傷つけることはしなかったのに…」


八幡「ハハ…謝るなよ…これがいつもの俺なんだ…
そう、いつものことだ。
一人だけ貧乏くじを引いて不器用で無様な生き方しかできない。
それが比企谷八幡という男なんだ。」


八幡「だから俺なんかに告白するな。
こんな俺を好きになってもいいことなんて何もありゃしない。
見返りを求められても俺はアンタに何もしてやれない。むしろ傷つけるだけだ。」


八幡「わかったら退いてくれ。俺は…もう…行かなきゃならない…」


それから比企谷くんはあの女の手を無理やり解いて再び歩こうとした。

でも…待ちなさい…

そっちに…扉はないわよ…?

まさかあなた…!?

彼がこれからやろうとしていることに気づいた私は急いで彼を止めようとするのだけど…

562: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:05:32.57 ID:5klR60630

少女A「ダメッ!行かせない!今…あなたを一人にさせはしない!」


八幡「おい…離してくれ…さっきから言っているだろ!俺なんかと一緒にいると…!?」


少女A「だから何ですか!それがあなたを見捨てていい理由になるもんか!
比企谷くん…あなたここから飛び降りて…自殺しようとしていますね…
そんなこと…絶対にさせない…!」


八幡「何だよ…わかってるじゃんか…
そうだ。俺が修学旅行でやった嘘告白を俺自身にしっぺ返しされて…このザマだ…
みっともねえ男だろ…それに加えて自分に失望して…自殺するまであるんだからな…」


少女A「なら尚更あなたの手を離さない!死んだって離すものですか!」


あの女は比企谷くんの手を固く握り締めている。

今すぐ彼の手を離しなさい。

それは本来私の役目よ。

あなたなんかが私の役を横取りしないで!

563: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:07:05.27 ID:5klR60630

少女A「今のあなたは…人のために頑張ったのに…
誰からも理解されない…それをわかってあげられる人もいない…
身体も心も擦り切れてボロボロじゃない。」


少女A「もう我慢しないで…泣きたいなら思い切り泣いたらいい…
今のあなたをみっともないとか…惨めだなんて…誰も言わない…言わせない!」


少女A「比企谷くんは学校一の嫌われ者でも最底辺の住人でもない。
あなたはこの学校で一番の心の優しい人です。
だから自分のことをこれ以上傷つけないで…」


少女A「あなたが傷つく姿を見るのは…私だってつらい…」


少女A「今あなたが自殺なんかしたら…
私だってあなたのあとを追って自殺しますよ…その自信があるから…グスッ…」


あの女が涙を見せながら比企谷くんに優しい言葉を投げかけてきた。

いけないわ比企谷くん…!

その女に惑わされてはダメ…!

彼女は悪女よ!

あなたを堕落させるだけだわ…!?

564: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:08:58.82 ID:5klR60630

八幡「なぁ…何でアンタ…
俺なんかのために泣くんだよ…?俺は…アンタのことを何も知らないんだぞ…?」


少女A「あなたは…たぶん知らない…でも私はあなたを知っている…」


少女A「それはあなたにとってはほんのちっぽけな出来事だったのかもしれない。」


少女A「でもそのあなたの何気ない優しさに私は救われた。」


少女A「だから今度は私があなたを救いたい。」


少女A「お願い、私にあなたを救わせて。」


あの女の甘言に比企谷くんは思わず反応してしまった。

その言葉は本来私が彼に言わなければいけないことよ。

あなたごときが彼に想いを伝えるなんて許さない…!

565: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:11:39.70 ID:5klR60630

八幡「俺を…救う…?」


少女A「はい…」


八幡「俺は…この通り…目が腐っていてみんなから気味悪がられているぞ…?」


少女A「気にしてない…私は比企谷くんを見た目で好きになったわけじゃないから…」


八幡「それに…将来の夢は…専業主夫だし…」


少女A「それは…ちょっと困るかな…
将来は私が子供生みたいから旦那さまには外で稼いでもらわないと…」


八幡「ていうか…俺は…ぼっちで友達なんてろくに…」


少女A「それなら私が…私がいます…あなたと友達…いえ…恋人になってもらえますか…?」


八幡「いきなり友達じゃなくて…
恋人なんて段階ぶっ飛ばしすぎだろ…顔に似合わず大胆だな…」


少女A「よく言われるね。
そういえば私の名前まだ言ってませんでしたね。私の名は『 』と言います。
これからよろしくね!」


あの女が自分の名前とそれに想いを比企谷くんに告げた。

私の耳には入らなかったがあの女の名前を聞いた比企谷くんが彼女に告白の返事を出した。

566: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:13:47.10 ID:5klR60630

八幡「なぁ…『 』…」


八幡「正直…今の俺を好きになってくれる人が現れるなんて夢にも思わなかった…」


八幡「今まで俺は小町や戸塚以外のヤツから優しくされたことがない。
情けない話だが今だってこの好意が信じられなくて正直恐くて膝が震えるくらいだ。」


八幡「でも心のどこかで会ったばかりのアンタを…いや…『 』を信じたい気持ちがある!」


八幡「だから俺からも言わせてくれ。
『 』を好きになっていきたい。どうかこんな俺とこれからずっと付き合ってくれ!」


少女A「はい。喜んで…!」


そして二人は私たちのことを気にも止めずにその場から去ろうとする。

今の事態に戸惑いながらも私は比企谷くんを追いかける。

けれど追いかけようとする私たちを、

比企谷くんとこの場を去ろうとするあの女が一瞬だけ後ろの私たちを振り返り睨みつけた。

その目はこう語っていた。

567: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:14:35.73 ID:5klR60630


『私たちに近づくな!』



その目を見た瞬間、私たちはそのあまりの恐ろしさに硬直して動けなくなった。

それからあの女は何事もなかったかのように、

比企谷くんに寄り添いながら彼と共に屋上から立ち去った。

568: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:15:36.67 ID:5klR60630

<<現在>>


以上が1ヶ月前に私たちと比企谷くんとの間に起きた出来事だ。

けれどこの件はこれで終わったわけではなかった。

なんとその翌日、あの出来事は全校生徒の間に瞬く間に知られることになった。

どうやら誰かがあの時の屋上の出来事を噂にして流したらしい。

その噂は私と由比ヶ浜さんにまで影響を及ぼしてしまった。

570: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:18:17.30 ID:5klR60630

『屋上で嘘告白して…やられたヤツを自殺まで追い込むとか酷過ぎだろ…』


『他人の告白を邪魔するなんてその馬鹿女たちは何考えてんだ?』


『やられたのは確か文化祭や修学旅行で噂のあるヒキタニってヤツらしい。』


『告白を邪魔した女子はあの雪ノ下雪乃に由比ヶ浜結衣だって話だぞ!』


『それじゃあこれってあの雪ノ下さんたちがヒキタニを懲らしめるためにやったの?』


『いや待て、あの三浦さんや海老名さんがヒキタニの噂はちがうって言ってたぞ!』


『それなら何であの二人はこんな馬鹿な真似をしたの?』


『そういえば私…
この二人がいる奉仕部で女の子たちが喧嘩してるの見たよ。
すごい言い争っていてその女の子が二人に頬をぶたれて相当やばい修羅場だったから!』


『つまり…あの二人はヒキタニが告白されるのが面白くないから嫌がらせしたと…?』


『最悪じゃね?』


『つーか人としてどうよ?』   


『ていうか比企谷だから。今度生徒会長になったっていうし!応援してあげようか!』


噂は直ちに学校中を駆け巡り、誰もが面白がって私たちの悪評を広めていった。

それと同時に何故か比企谷くんの好感が上がり、

彼の生徒会にもあの女をはじめ、三浦さんや海老名さんなど次々と立候補者が現れていく。

私たちも彼のいる生徒会に立候補したのだけど…

この悪評が原因で推薦人の最低人数である30人を集めることが出来ず、

立候補することが叶わなかった。

572: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 23:20:18.54 ID:5klR60630

雪乃「それから私たちはみんなから腫れもの扱いされるようになったわ。」


結衣「私たち…ヒッキーとまた仲良くやりたかっただけなのにね…」


雪乃「全てはあの女の所為…」


雪乃「あの日、あの女は私の携帯に自分が比企谷くんに告白するのを聞かせていた。
そして屋上へ私たちを呼び出した後はその出来事を噂にして全校生徒に広めていった。」


雪乃「なんて姑息で卑劣で卑怯な女なのかしら!許さない…絶対に許さないわ!」


私と由比ヶ浜さんから比企谷くんを奪い取りさらには私たちに悪評を広めたあの女…!

あの女の犯した罪を金輪際許す気はない。

私はあの女への怒りに燃えていた。

576: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/14(木) 00:19:36.36 ID:HLqz/svfO
乙です
告白からの手のひら返しとかツンデレってレベルじゃねーな
あの二人何しに屋上行ったんだよ……
577: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/14(木) 00:24:47.40 ID:jrJHJYpJ0
ツンデレが染み込んでしまっているんだろう
613: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:02:15.33 ID:jG8z5Dp30

陽乃「うわ、そう考えちゃうんだ。雪乃ちゃんの考えって斜め上すぎ!」


雪乃「姉さん…来ていたのね…」


陽乃「たったいま来たばかりだよ。
さっき廊下で比企谷くんたちとばったり行き違いになって驚いたよ!
彼の目から濁りが取れて綺麗になってるんだもん!
あの彼女ちゃん…いえ…今は比企谷くんの奥さんが彼の目の濁りを取ってくれたんだね!
私は雪乃ちゃんかガハマちゃんがやるかと思ってたんだけどなぁ…」


さすがは私の姉だ。

私の怒りのツボを心得ている。

けれど今はこんな姉を気にしても仕方がない。

さっさとあの女から比企谷くんを取り戻す算段を考えなければ…

614: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:04:25.72 ID:jG8z5Dp30

陽乃「あの、言っておくけどあの子から比企谷くんを取り戻そうとか考えない方がいいよ。
ていうか言っておくけど、
あなたたちにあの屋上での告白を携帯で聞かせたりしたのは彼女ちゃんじゃないから~♪」


結衣「え…?何で陽乃さんがあの日ゆきのんの携帯に掛かってきたのを知ってるの?」


陽乃「そりゃそうだよ。
その携帯を掛けたのは私だもん。
ちなみに屋上での出来事を噂として流したのもぜ~んぶお姉ちゃんの仕業だよ!」


雪乃「な…っ!?」


陽乃「少し考えればわかることじゃん。
比企谷くんとあの子の告白の段取りをしたのはこの私だよ。
それに雪乃ちゃんの携帯番号なんてうちの家族とガハマちゃんしか知らないでしょ。」


姉さんの突然の発言に私は驚きを隠せずにいる。

けどそんなことはどうでもいい。

ならば姉さんも私の敵だ。あの女と一緒にあなたも私が…!

615: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:05:44.42 ID:jG8z5Dp30

陽乃「雪乃ちゃんが怒るのは最もだけどさ…その前にお姉ちゃんの話を聞いてね。」


雪乃「今更何を話す気よ!実の妹ではなく赤の他人に加担して何を考えているの!?」


陽乃「まあ結果としてはそうなっちゃったからね。
屋上で見ていた理由は、
元々はあの告白の光景を噂にして比企谷くんの好感を上げるためだったの。
高校生なら男女の告白シーンなら話題になるじゃない。そう思ったんだよ!」


結衣「じゃあ携帯で私たちにあの告白を聞かせたのは…?」


由比ヶ浜さんの問いかけに、

姉さんは満面の笑みを浮かべて私たちにこう言ってきた。

616: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:06:45.68 ID:jG8z5Dp30

陽乃「それは二人に諦めてもらうためだよ。」


結衣「諦めてもらって何で…!?」


陽乃「実は二人がこの部室で、
あの彼女ちゃんと口論しているのをお姉ちゃんがバッチリ聞いちゃっていたの!」


陽乃「それで思ったんだ。これはもう二人に勝ち目はない。さっさと諦めてもらおうとね。」


雪乃「だから私たちに…
比企谷くんを諦めさせるためにあの告白を聞かせたというの…?ふざけないで!?」


私はこんな馬鹿な真似をした姉さんを怒鳴り散らした。

なんてことをしてくれたのだと…

私たちは姉さんの所為でこんな目に合っているのに…!?

617: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:08:20.96 ID:jG8z5Dp30

陽乃「へぇ、二人とも私と彼女ちゃんの所為だっていうんだ?
これがテストの問題なら二人とも赤点、追試決定で居残りだぞ!
まあどうせ今の二人じゃ正解にはたどり着けないだろうから答え合わせしてあげるよ♪」


雪乃「はぁ…?何を言っているの!全部姉さんと…あの女の所為じゃない!」


結衣「そうだよ!二人が手を組んで私たちからヒッキーを奪ったんでしょ!」


陽乃「あらあら、ガハマちゃんまでそういう考えなんだ。」


陽乃「確かにお姉ちゃんがトドメを刺したものかもしれないけど始まりはちがうよね?」


始まり…?

そういえば私たちが仲違いした原因はそもそもなんだったのかしら…?

あの女が比企谷くんに告白したが原因…?

ちがう…もっと前…

葉山くんや相模さんのことを暴いた件について…?

いいえ…あんなものは私たちには関係ないわ…

それよりも…もっと前…

618: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:08:57.53 ID:jG8z5Dp30

『あなたのやり方、嫌いだわ。』


『もっと人の気持ち、考えてよ…』


思い出した。

修学旅行での嘘告白の時だ…

私たちは彼を拒絶する言葉を吐いてしまった。

あの出来事こそ私たち三人が仲違いしてしまったそもそもの始まりだった。

でも今更あのことを悔やんだって何も出来ないじゃない。

それをどうしろというの…?

619: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:09:59.13 ID:jG8z5Dp30

陽乃「雪乃ちゃんとガハマちゃんは修学旅行で、
比企谷くんに全部の責任を押し付けていたってあの彼女ちゃんから指摘されたよね。」


陽乃「それで二人は彼のことを道具としか見ていなかったって。」


陽乃「その話だけどさ、私も同感なんだよね。」


結衣「そんなのちがうし!」


雪乃「由比ヶ浜さんの言う通りよ!私たちは彼を道具だなんて思っていないわ!?」


私たちは姉さんの言葉に真っ向から反論する。

そうだ、彼を道具扱いなんて…

そんなことはしていない。

絶対に…!

620: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:12:05.71 ID:jG8z5Dp30

陽乃「それなら聞くよ。
以前いろはちゃんの件でサイゼで出会した時、
比企谷くんが取ろうとした方法を説明したよね。その時、雪乃ちゃんはなんて言った?」


『それでは結局一色さんの名誉を傷つけることに変わらないわ。』


陽乃「あの方法、つまり比企谷くんがいろはちゃんの応援演説をわざと失敗する。
それは確かにいろはちゃんの名誉を傷つけちゃうのは確かだったろうね。
でもそれよりも確実に比企谷くんが傷つくという心配をしなかったのは何故かな…?」


雪乃「それは…」


陽乃「もうわかっているはずでしょ。
あなたたちはあの彼女ちゃんが指摘したように比企谷くんを道具として見ていなかった。
だから比企谷くんの心配をする必要なんてないと心のどこかで思うようになったんだよ。」


結衣「ちがいます!そんなことは…!」


私たちは姉さんの言葉に必死になって反論しようとした。

けれど…

言葉が出ない。

何を話せばいいのかわからない…

どうして…?

何故…何も言えないの…?

まさか…姉さんの言っていることが正しいから…?

621: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:13:15.77 ID:jG8z5Dp30

雪乃「でも…私たちの告白は…あれは…あの想いは本物だったわ…」


陽乃「嘘、それも間違っているよ。雪乃ちゃんたちの告白は本物じゃなかったはずだよ。」


結衣「そんなことない!私たちの想いは本物でした!」


陽乃「それなら何で比企谷くんは二人の告白を嘘告白と思ったのかな~?
それに二人は比企谷くんが嘘告白だと思ったことをちゃんと否定しなかったのかな~?」


陽乃「答えは簡単、その想いが偽物だったから。
だから比企谷くんはそれが嘘告白だと思った。
それに雪乃ちゃんたちも恥ずかしさのあまり自分たちから否定してしまった。
その想いが本物だったら絶対に否定されなかったはずだからね。」


陽乃「そもそも二人が比企谷くんに告白するきっかけは何だったのかな?
比企谷くんが好きだから一大決心して告白しに行った?
ちがうよね。あの彼女ちゃんが比企谷くんに告白するのが面白くないからが理由でしょ。」


陽乃「そんな嫉妬によるヤケクソの告白に本物の想いが込められているわけない。
だから比企谷くんはあなたたちの告白を本物だと思えなかった。つまりそういうことだよ。」


私たちは姉さんの言葉にただ沈黙していた。

姉さんはその沈黙こそが肯定だとでも言うかのように私たちを嘲笑った。

正直何も言えない自分たちに腹が立つ。

つまり姉さんはこう言いたいのだろう。

私たちの想いが偽物であの女の想いこそが本物であったと…

冗談じゃない。誰が認めるものですか…!

622: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:16:58.26 ID:jG8z5Dp30

陽乃「そんなあなたたちだから敵を見誤ってしまった。
たぶん雪乃ちゃんは最初あの彼女ちゃんのことを自分以下の存在としか見てなかったよね。
あんなショボい子に何も出来やしないって…」


陽乃「でも結果はどうだった?
あの子は雪乃ちゃんやガハマちゃんに出来なかったことを次々とやってしまった。
隼人や相模ちゃんに鉄槌を下して、
比企谷くんの名誉を回復させたばかりかあなたたちから彼を勝ち取った。
正直これは賞賛に値するね。うん!すごい!」


陽乃「でもこれって何で出来たかと思う…?
それは彼女ちゃんにとって比企谷くんが大事な人だからだよ。
あの子は比企谷くんを道具としてではなく愛する人として見ていたから出来たことなの。」


陽乃「比企谷くんのことを道具としか見ず、
彼のために何も行動を起こさなかった雪乃ちゃんたちじゃ最初からあの子に勝ち目はなかったのよ。」


陽乃「結局雪乃ちゃんたちも、
比企谷くんの悪評を広めていた連中と同じで彼とは上辺だけの関係だったんだね…」


姉さんは私たちの前でそう言い捨てた。

私たちが比企谷くんのために何もしなかった…?

そういえば…私たちは最後にいつも彼を頼っていた。

彼のやり方は…確かに褒められたものじゃない。

でもそれでも最後はちゃんと依頼が叶えられていた。

それなのに私たちは彼に何もしなかったなんて…

そんな…そんなはずが…

623: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:19:15.32 ID:jG8z5Dp30

陽乃「でもお姉ちゃんは今回二人のことを褒めてあげたいんだよ!
なんと言っても雪乃ちゃんたちは今回比企谷くん抜きで依頼を達成できたんだからね!」


雪乃「依頼を達成って…何を言っているの…?」


陽乃「彼女ちゃんからの依頼を見事やり遂げたでしょ!胸を張っていいんだよ!
あ、ごめん。雪乃ちゃんには張れる胸がなかったね。
まあそれはともかくこれって全部彼女ちゃんからの依頼だったんでしょ。」


『比企谷くんを救って…それにこの想いを伝えたい。』


陽乃「その依頼通り二人とも頑張ったじゃない!」


陽乃「それも奉仕部の理念に従って依頼を遂行したよね。
奉仕部は魚に餌を与えるのではなくてその餌の与え方を教えるって理念で、
二人とも直接手を出さずにいたから彼女ちゃんが殆ど解決したことになるね!」


私たちがいつの間にか奉仕部の理念に基づいて依頼を遂行していたと語る姉さん。

正直聞いているだけで虫酸が走る。

でも話はそれだけではなかった。

624: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:20:13.16 ID:jG8z5Dp30

陽乃「そしてあなたたちは比企谷くんと同じ自己犠牲に及んでいた。」


陽乃「あの屋上での告白。残念ながら二人の告白は嘘告白だと思われちゃったね。」


陽乃「でも結果的に比企谷くんと彼女ちゃんは結ばれる結果に終わったよ。」


陽乃「見かたを変えれば、
これは修学旅行で比企谷くんの行ったことの成功した例になるわけ!
つまり雪乃ちゃんたちもまた比企谷くんと同じ自己犠牲で彼を救ったことになるの!」


陽乃「さっすが雪乃ちゃんにガハマちゃん!
この学校のみんなが二人を貶してもお姉ちゃんだけはちゃ~んと褒めてあげるよ!」


そう言いながら姉さんは私と由比ヶ浜さんの頭を撫でてきた。

やめて…触らないで…!

こんなはずじゃなかったのに…

私たちが皮肉にもあの女のために奉仕部の理念に従って依頼を遂行していたなんて…

そんなこと…考えたくもないわ…!?

625: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:21:39.11 ID:jG8z5Dp30

陽乃「ていうかさ、お姉ちゃん忠告しておいたよね。
既に手遅れだと思ったら綺麗さっぱり諦めなさいってさ。
何でその忠告を無視して屋上であんな告白しちゃったの…?」


雪乃「それは…あの時はまだ手遅れではなかったからよ…」


陽乃「あの時点でとっくに手遅れだったよ。
告白するならあの彼女ちゃんが奉仕部に依頼しに来た時点で、
危機感を察してさっさと比企谷くんと和解して告白すればよかったのに。
それが出来きずに往生際悪い真似しちゃったからこんなことになっているのよ。」


結衣「そんな!だってヒッキーのこと諦めたくないし!」


由比ヶ浜さんの言う通りだ。

私だってまだ彼のことを諦めたくない。

けどそんな時だった。

ある言葉が頭に浮かんできた。

それは…葉山くんの件を解決した時に三浦さんと海老名さんに言った時のあの言葉だ。

626: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:22:07.45 ID:jG8z5Dp30


『一度引き裂かれた関係は二度と元には戻らない』



そんな…あれは葉山くんたちに言った言葉よ。

私たちはそうじゃないはず…

そうよ…私たちはまだ元に戻れる。

そうに決まっている…そうに…決まって…

627: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:23:13.14 ID:jG8z5Dp30

陽乃「あら~雪乃ちゃん壊れちゃったかな?」


陽乃「まあ面白いものが見られたから私はもういいや。行くね。」


陽乃「ところで私の知り合いにあなたたちに依頼したいってヤツがいるの。」


陽乃「どうせ雪乃ちゃんたち暇でしょ?
その依頼ちゃんと受けておいてね。お姉ちゃんからのお願いだよ!」


姉さんは何やら私たちに依頼を託して部室から出ようとする。

けれど部室を出ようとする姉さんは何かに気づいたかのように私たちにこう告げた。

628: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:23:53.36 ID:jG8z5Dp30

陽乃「ていうかあらら…?」


陽乃「やだ!雪乃ちゃんたち…とうとう目が以前の比企谷くんみたく腐り果ててる~♪」


陽乃「本当に雪乃ちゃんは面白いね!バイバ~イ!」


そんなことを言い残して姉さんは教室から出ていった。

私たちの目が腐っている…?

それを聞いて私と由比ヶ浜さんは互いの目を見つめ合った。

本当…だ…

あの比企谷くんと同じ…いえ…それ以上に目が腐り果てているじゃない。

まさか…これが彼を裏切った報いだとでもいうの…?

結局私たちと比企谷くんはこれで終わりなの…?

いいえ、そんなはずはない。

まだ彼を諦めたくはない。あの女の魔の手から必ず取り戻してみせる…!

そんな時だ。

部室の扉をノックする音が聞こえてきた。

どうやら先ほど姉さんが言っていた依頼人がやってきたようだ。

630: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:25:21.25 ID:jG8z5Dp30

『やぁ、久しぶりだね。』


『俺は…キミたちの所為で友達も居場所も全て失ってしまった…』


『これまで取り戻そうと必死に頑張っていたんだ。でもダメだった…』


『それで諦めて今度は新しい居場所と友達を作ろうとしたんだ。』


『けど、それもダメだったよ。何故か俺の悪い噂が出回っていてね…』


『俺は何も悪いことなんてしていないのにどうして…と散々嘆いたさ…』


『だからキミたちに頼みたい。どうか俺をキミたちの居場所に入れてくれないか?』


『この部はどんな願いも叶えてくれるんだろ…!』


『頼むよ。もうここしか縋る場所がないんだ。』


姉さんの紹介で現れたその男は、

どこかで見覚えのある顔をしていたけど…

目が異様なまでに腐っていてかつての面影がまったくなかった。

そういえば…確か私たちもこの男の所為でこんなことになってしまったのよね。

さてと、この依頼…

どうしてくれようかしら…


End

631: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:29:08.72 ID:jG8z5Dp30
これにておしまい

やっぱり最後は陽乃さんに〆てもらうのが一番です
補足しておきますが屋上での噂を流したのは全部陽乃さんの仕業なので少女Aちゃんはまったくの無実です
だからゆきのんは逆恨みすることすらできません

まあそんなわけで色々とありましたがゆきのんはヒッキーを見事救い出したのです
めでたしめでたし!
632: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:29:25.19 ID:/301Pu5VO
乙。
面白かった。
633: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:29:53.27 ID:lXLPz/JAO
乙!
完走お疲れさまでした
638: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:33:35.88 ID:qY7jkap0O
お疲れ様でした!、

はるのんほど最終的な答え合わせに適したキャラっていないよな
641: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:36:32.10 ID:JSP3dYIo0
軽くホラーだな……
世にも奇妙で出てきそうな

645: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 00:45:00.90 ID:nMdMffWwo
乙!
オリキャラが出てくる話なのにスッキリ纏まるとは驚きだ
というか原作に本当に足りないキャラ・立ち位置がある意味くっきり示された気がする

このシリーズ:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【前編】


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【後編】




続編シリーズSS:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」 after


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」(比企谷八幡の場合)


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」final


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とあるSSの訪問者

雪のんたちは自分のしでかしたことにきずいていないからこうなった

とあるSSの訪問者

いろんな俺ガイルss見てきたけど個人的にはベスト3には入るな

とあるSSの訪問者

賛否両論かと思ったけど、高評価のが多い感じだな
俺はもちろんこのSS好きだぜ!


お知らせ
サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
ページ転移に数字送りを実装
多少の軽量化

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

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