雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【前編】

1: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:54:28.43 ID:LHNP8DqU0
俺ガイルss

修学旅行後の話です

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2: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:54:43.02 ID:LHNP8DqU0

結衣「ヒッキーは今日も部活に来ないね。」


雪乃「あんな男、もう来ない方がいいわ…」


修学旅行で比企谷くんが海老名さんに偽告白してから数日が経過した。

あれ以来、彼は奉仕部を無断欠席している。

その事について私と由比ヶ浜さんは呟いていた。

3: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:55:09.15 ID:LHNP8DqU0

結衣「でもあんな偽告白は…ないよね…」


雪乃「そうね、結局彼のやり方は何の解決にもならないわ。
もっとも私は彼のことなんてどうでもいいのだけど…」


結衣「そ…そうだよね…ヒッキーのことなんて全然気にしてないし!」


嘘だ…

私たち二人は互いに本心を語ろうとしない。

由比ヶ浜さんは比企谷くんに恋心を抱いている。

愛犬のサブレを助けてもらい彼女は比企谷くんに恋をした。

それにこの私も…

文化祭での一件以来、彼を少しばかり気になっている。

だからこそ海老名さんへの嘘告白は納得がいかなかった。

4: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:55:35.33 ID:LHNP8DqU0

「…!」


結衣「今…扉から音が…」


雪乃「ひょっとして…」


私たちはそっと部室の扉を開いてみた。

するとそこには比企谷くんが急いで階段を駆け下りようとする場面だった。

恐らくさっきの私と由比ヶ浜さんの会話を聞いていたのだろう。

でも私はこれでよかったと思っている。

彼は私たちの思いを蔑ろにした。これはそんな彼に与えられた罰。

その事を少しは悔いてもらわなければ…

5: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:56:11.01 ID:LHNP8DqU0

平塚「雪ノ下、由比ヶ浜、それと…比企谷は…あいつは今日もいないのか。」


雪乃「平塚先生、ちゃんとノックをしてくださいと何度も…」


結衣「まあまあ、ゆきのん押さえて。
ところで先生が来たってことはもしかして…奉仕部への依頼…?」


平塚「まあそんなところだ。さぁ、入ってくれ!」


比企谷くんが廊下を駆け下りた数分後に顧問である平塚先生が部室を訪れる。

平塚先生は私たちに一人の少女を紹介した。

私はこの少女に見覚えがある。

以前、文実の委員をやっていた少女だ。

確か私たちと同じ2年生で普通科C組の生徒だったはず…

名前は…覚えてないから少女Aでいいわ。

6: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:56:41.08 ID:LHNP8DqU0

少女A「あの…平塚先生の紹介で悩みがあるので相談を受けて欲しいんですけど…」


結衣「そうだよ、ここはどんな悩みを解決しちゃう奉仕部なんだよ~♪」


雪乃「由比ヶ浜さんその回答は誤解を生じさせるわ。
正確にはその悩みを解決するその手助けを行うもので直接手助けするわけではないのよ。」


少女A「そうなんですか…でもそれでもいいんです!彼を救えるならそれでも!!」


彼…?

どうやらこの少女の悩み事とは男の子が関係しているようだ。

もしかして恋愛関係の相談…?

そう察した由比ヶ浜さんはさっそく彼女の相談事に飛びついてしまった。

7: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:57:31.32 ID:LHNP8DqU0

結衣「そっか!やっぱり女の子の悩みって恋愛だよね!」


少女A「はい…恥ずかしながら…
でも私は彼のことを知っているけど…
彼は私が彼を好きなことも…そもそも彼はたぶん私のことを知らないと思うの…」


雪乃「なるほど、今のところは遠くから眺めている一方通行な片思いなのね。」


結衣「勿体ないよね。
こんなに可愛いのに…でも大丈夫!そういう依頼なら大歓迎だからね!!」


雪乃「そうね、この依頼は承ったわ。」


由比ヶ浜さんの指摘する通り、彼女は可愛い部類の女子だ。

整った顔にショートボブな黒髪、私ほどではないけど清楚な佇まい。

所謂男子に好かれるタイプであることは間違いない。

そんな彼女をここまで夢中にさせた男子とは一体誰のことなのか、

私は依頼を抜きにしても個人的に少しだけ興味が湧いてきた。

8: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:58:30.96 ID:LHNP8DqU0

雪乃「少し話が脱線してきたわね。
話を戻すのだけど彼を好きになった経緯を教えてくれないかしら。」


少女A「わかりました。私が彼を好きになったのは文実での作業の時なんです。」


結衣「え…じゃあその人のことを好きになったのってつい最近なんだ!」


少女A「雪ノ下さんは文実の作業に関わっていたから知っていると思いますけど、
あの文実の作業で委員が何人も出て行って残ったメンバーで作業していたじゃないですか。
あの時、私も最後まで残って作業していたんですけどもう自分のことで一杯一杯で…」


少女A「あの作業量は正直一人で賄いきれるものじゃありませんでした。
今でも思いますけどよくあの状態で文化祭をやり遂げられたなと不思議に思います…」


少女A「それに実行委員とはいえ、
自分のクラスの催し物にも少しは手伝わなきゃいけないし…
それが原因で仲のいい子たちにも少し距離を置かれて…もうあの頃はお手上げでした…」


彼女の話を聞き私は少し居心地が悪くなった。

その原因の一端に私も関わっているのだから…

9: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:59:08.31 ID:LHNP8DqU0

少女A「けどそんな時、一人だけ私を助けてくれた人がいたんです。それが彼でした。」


少女A「彼は文実の仕事を全然休まずに私以上の作業をこなしていたのにも関わらず、
こんな私を見かねて作業をいくつか肩代わりしてくれたんです。
そのおかげでクラスにも顔を出せる余裕が出来て友達とも疎遠にならずに済みました。」


少女A「雪ノ下さんもあの時の文実を知っていたらわかりますよね。
あんな状況下でそれがどれだけ大変か…
それも自分が一番大変なのに…ろくに話したこともない私の負担を減らしてくれて…
それ以来、彼を意識しだしたんです。」


結衣「へぇ、そんなことがあったんだ。」


雪乃「でも今の話だけど少し気になることがあるわね。」


そう、私は彼女の話についてひとつだけ疑問を抱いていた。

それは彼女の負担を減らしてくれたその『彼』についてだ。

確かあの時の文実メンバーに男子はほとんど残っていなかったはず…

恐らく文実を手伝っていた生徒会にその彼とやらがいるのではと私は推測した。

10: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 23:59:37.32 ID:LHNP8DqU0

少女A「でも彼は…」


結衣「その彼はどうしたの…?」


少女A「彼はあれだけ頑張ったのに報われませんでした…」


雪乃「一体どういうことかしら…?」


それから彼女は悲痛な表情を浮かべて語り始めた。

11: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 00:00:10.72 ID:cYicD3Fd0

少女A「私…文実のスローガンを決める会議の日に休んだんです。」


少女A「それから急に何故か彼が悪い噂が出て…」


少女A「なんでもスローガンを決める時にみんなの前で悪態をついたとか…」


少女A「あの優しい彼がそんなことをするはずがありません!きっと何かの間違いです!」


結衣「スローガンで悪態…?」


雪乃「それって…」


少女A「それだけじゃないんです!
文化祭のエンディングセレモニーで彼が委員長を泣かせたとかいう噂まであるんです!
私にはどうしても彼がそんなことをしたとは信じられないんです!?」


私と由比ヶ浜さんは彼女がいう『彼』とやらの正体を察することができた。

1.文実の仕事を一日も休まずに男子生徒。

2.スローガンの会議で悪態をついた。

3.実行委員長を泣かせた。

以上の条件に該当する彼とやらは一人しかいない。

12: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 00:00:52.15 ID:cYicD3Fd0

少女A「私…彼が…比企谷八幡くんのことが好き…」


少女A「この前の修学旅行でも何故か他の男子の告白を邪魔したとかいう噂まで流れて…」


少女A「でも私にはわかる!彼はそんなことをするような人じゃない!」


少女A「それに彼…苦しんでいる…最近の彼は見ていられないんです…」


少女A「私はもう…彼がこれ以上…悪く言われるのに耐えられないんです…」


結衣「そんな…彼ってヒッキーのことなんだ…」


雪乃「それであなたは…私たちに何をしてほしいの…?」


そして彼女は私と由比ヶ浜さんの前でこう話を切り出した。

13: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 00:01:19.00 ID:cYicD3Fd0

少女A「私は彼があんな噂通りの人だとはどうしても思えません。」


少女A「だから協力してください。」


少女A「彼の無実を!」


少女A「彼が…比企谷くんが…無実だということを…!」


少女A「彼を…比企谷くんを救いたいんです!!」


彼女はその瞳に涙を零しながら私たちに訴えた。

比企谷くんを救いたい…

その気持ちに嘘偽りはないようだ。

けれど…

14: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 00:02:17.57 ID:cYicD3Fd0

雪乃「もし…もしもの話だけど…彼を救えたらあなたはどうしたいの…?」


少女A「それは…その時は…彼に私の想いを伝えたいと思っています。」


結衣「つまり…告白ってこと…?」


少女A「私は…彼を救って…それにこの想いを伝えたい。それが私の依頼です!!」


フフ…フフフ…

これは…何なのかしら…?

今の私はこの場を取り乱さないように必死に冷静さを装っていた。

私は今ほど姉さんのような強固な外面を装う仮面を欲したことがなかった。

15: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 00:03:38.32 ID:cYicD3Fd0

比企谷くんを救って…彼に想いを伝えたい…ですって…?


彼女は私たちが比企谷くんを思っていることに…恐らく気づいていないはず…


だからこんな依頼を図々しくもお願いしてきたのね。


こんな依頼…今すぐにでも断りたい…


でもそれも無理…だってさっき受けてしまったもの…


何でこんな軽はずみに依頼を受けてしまったのだろう…?


今更後悔しても何も始まらない…


だって私と由比ヶ浜さんはこれから依頼を遂行しなければならないのだから。


この目の前にいる憎っくき恋敵から大事な人を取られるかもしれない忌々しい依頼を…
20: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/04(月) 04:33:41.64 ID:MNhttjvP0
こういうの新しいな
期待
49: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:08:17.63 ID:ZqGJmtIY0

<<二日後>>


雪乃「あれから二日、今日も比企谷くんは部室へは来ないようね。」


結衣「ねぇ、今日はあの子が来る日だよ。」


雪乃「そうね…」


結衣「ゆきのん…どうするつもり…?」


雪乃「どうするつもりもないわ…私たちは依頼通りに動くだけなのだから…」


あの少女Aから相談を受けてから二日が経過した。

私たちは彼女に比企谷くんの周りを調査するという口実を得て二日の猶予を与えられた。

けど本当は調べる必要なんてない。

私と由比ヶ浜さんはあの一件の当事者、

比企谷くんが会議で悪態をついたことや委員長を泣かせたことなど最初から把握していた。

猶予が欲しかったのは単にこの二日間で気持ちの整理をしたかったに過ぎない。

するとそこへ彼女が…少女Aがやってきた…

50: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:10:37.64 ID:ZqGJmtIY0

少女A「お待たせしました。それで何かわかりましたか…?」


結衣「う…うん…」


雪乃「わかったことを説明するわね…」


それから私と由比ヶ浜さんは文実で彼が悪態をついた理由を述べた。

彼が悪く言われる原因は文実の実行委員長であった相模南さんにあることを…

相模さんの責任追求を避けるために比企谷くんが敢えて泥を被ったことを淡々と説明した。

51: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:11:26.72 ID:ZqGJmtIY0

少女A「何ですかそれ…?」


少女A「つまり比企谷くんは相模さんが負うべきだった責任を被ったわけですか…?」


少女A「酷い…酷すぎる…!?」


少女A「でも…私も同罪ですね…
同じ文実メンバーなのに彼が苦しんでいた原因をわかってあげられなかったなんて…」


少女A「けど…それでも…私は…相模さんのやったことは許さない!」


少女A「私はこれから相模さんのところへ行ってきます!」


相模さんへの嫌悪感を露骨に剥き出しにする彼女。

ここまでの彼女の反応は私の予想通りだ。

でもこの件に関していくつか問題がある…

そんな時、由比ヶ浜さんが私にこっそりと内緒話を持ちかけてきた。

52: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:12:26.10 ID:ZqGJmtIY0

結衣「ねぇ…ゆきのん…これからどうするの…?」


雪乃「それはどういう意味かしら…?」


結衣「だって…このまま上手くいけば…この子ヒッキーに告白しちゃうんだよ!」


結衣「そうなったら私…嫌だよ…」


結衣「ヒッキーと離れたくないし…」


由比ヶ浜さんは彼女が比企谷くんを救おうとするこの行動を良しとはしていない。

私だって同じだ。

由比ヶ浜さんならともかく、

こんな誰ともわからない赤の他人に比企谷くんを奪われる気なんて毛頭ないのだから…

だから私は意地悪く彼女にある難題を与えてみた。

53: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:14:14.35 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「落ち着いて、あなたの気持ちは良くわかったわ。
けれどあなたはこの問題の本質を理解していない。
それを知らずに相模さんを糾弾するということは、
文化祭での比企谷くんの行いを無駄にすることに繋がるのよ。」


少女A「比企谷くんの行いが無駄ってどういうことなんですか…?」


雪乃「これは本当なら教えるつもりがなかったのだけどこの際仕方がないわね。
実は文化祭で相模さんが実行委員長になった後、私たち奉仕部にある依頼をしてきたの。
その依頼内容は文化祭を成功に導き、それに相模さん自身の成長を促すものだったわ。」


雪乃「だから依頼を受けた比企谷くんは文化祭で相模さんを屋上で発見した時、
彼女を追い詰めるような真似をして無理やりにでも立ち直らせて会場へと連れ戻した。
その結果、彼女は誰にも糾弾されることもなく文化祭も無事に成功できたわ。」


結衣「つまりさがみんを悪者にするってことは、
それはヒッキーが文化祭で頑張ったことが全部無駄になっちゃうってことなんだよ。」


少女A「そんな…相模さんは奉仕部に…それも比企谷くんに依頼して…
その依頼をやり遂げるために彼は泥を被ってみんなからのバッシングを浴びたと…!?」


彼女は信じられないという表情を浮かべて困惑していた。

無理もない。比企谷くんを好いている彼女にこんな話を告げるのは酷だ。

でも私は内心これでよかったと思っている。

私には彼女に比企谷くんの現状をどうにか出来るとは思えないからだ。

所詮彼女は比企谷くんに少しだけ優しくしてもらった程度の、

彼の上辺しか興味を示さなかっただけの人…

私のように才もなければ由比ヶ浜さんのような包容力もない単なる凡人。

そんな彼女に私や由比ヶ浜さんにだって出来ないことを、

彼女程度がやれるわけがないとこの時は高を括っていた。

54: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:16:12.62 ID:ZqGJmtIY0

少女A「わかりました…正直お話はショックでしたけど…
それでもやっぱり彼は噂通りの人なんかじゃないことがわかっただけでもよかったです。」


雪乃「そう、それはなによりだわ。
それならこの件はもうおしまいにしましょう。
終わった事をこれ以上蒸し返すのは誰にとっても良い結果は得られないはずよ。」


少女A「いいえ、私はそうは思いません。」


結衣「ちょ…何言ってんの…?」


少女A「だって…これってつまり相模さんや一部の人たちだけ助かって…
肝心の比企谷くんは救われないままじゃないですか!そんなのっておかしいですよ!?」


少女A「だから私…やっぱり相模さんのところへ行ってきます!」


どうやら私は彼女のことを見くびっていたようだ。

彼女は私たちの説得など無意味だというように行動を起こした。

奉仕部の部室を飛び出し彼女はある場所へと向かう。

そして私と由比ヶ浜さんは彼女を追って2-Fの教室までやってきた。

すると教室からある女生徒たちの口論が聞こえてくる。

それは勿論、彼女と相模さんによるものだ。

55: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:18:37.68 ID:ZqGJmtIY0

相模「ちょっと…!アンタいきなりやってきてどういうつもり!?」


少女A「だからさっきから言っているじゃないですか!
あなたが文実の仕事を放棄したことを全部公表してほしいと言っているんです!!」


雪乃「やっぱり…こんなことに…」


結衣「ストップ!ストップ!二人とも落ち着いて!?」


私たちは2-Fのクラスで口論する相模さんと彼女をなんとか引き離した。

けどそれで治まったわけじゃない。

相模さんは事の次第がわからず、彼女は相模さんへの怒りを露にしており、

正直、修羅場は避けられない状況だった。

56: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:19:35.47 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「こんな時に限って…比企谷くんはクラスにいないのね。」


結衣「こういう時こそヒッキーがいてくれたらいいのに…」


少女A「比企谷くんがいないのは迷惑が掛からずちょうどいいじゃないですか。
相模さん、今すぐにあなたが文実でやったことをクラス内で公表してくださいよ!」


相模「だからうちが何をしたってのよ!?つーかアンタ誰!何の用なわけ!?」


少女A「あなたの文化祭での仕事をさぼっていたことについてですよ。
私はその時の文実メンバーです。
相模さんが真面目に仕事をしていたなら私のことを覚えているはずですけど…?」


彼女の言葉に相模さんは思わず顔を背けてしまう。

それもそのはず、相模さんが文実の仕事に参加していた回数など片手の指で数える程度。

それに相模さんにしてみればあの件はこれ以上蒸し返されたくないもの…

57: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:20:23.49 ID:ZqGJmtIY0

相模「あの件はもう思い出したくないから…うちは被害者だし…」


少女A「あれだけ他人に…いえ…比企谷くんに迷惑をかけておいてあなた何を言ってるの!」


相模「うるさい!大体悪いのはヒキタニじゃん!あいつが悪口言ったのが悪いし!?」


相模さんは屋上での一件を蒸し返してきた。

これを言われるとこちらも立場が悪くなる。

さらにこのやりとりを見かねた三浦さんや葉山くんまでもが割り込んできた。

58: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 20:21:20.58 ID:ZqGJmtIY0

三浦「さっきからいい加減にしてくれる!
他所のクラスに乗り込んできて終わったことをネチネチと文句言ってきてさ!
一体何なの!?」


少女A「関係ない人は黙っていてください!私は相模さんに用があるんです!」


結衣「ほら、優美子も落ち着いて!」


葉山「でもクラスメイトがこんな目に遭っているんだ。見過ごせないな。」


雪乃「葉山くんまで…」


当事者でもない人間が集まってくるなんて…

これではますますややこしいことになってしまう。

でもこれはいい機会かもしれない。

私は彼女にこっそりとこの件に関して更なる問題を告げてみせた。

65: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:11:59.17 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「あなた、悪いことは言わないからこれ以上問題を大きくするのはやめなさい。」


少女A「何を言っているんですか!このままじゃ比企谷くんが…!?」


雪乃「無駄よ、彼が悪く言われるもうひとつの原因があるわ。それはここにいる葉山くんよ。」


少女A「葉山くんって…このF組の人気者の…?」


雪乃「さすがに葉山くんのことは知っているようね。
なら教えてあげる。F組の実行委員を選出する時に相模さんは葉山くんに勧められたの。
つまり相模さんをこれ以上糾弾するということは葉山くんも糾弾するのと同義になるわ。」


その言葉を聞いて彼女は俯いてしまう。

それはそうだろう。

葉山くんを敵に回すということはこの学校での自分の立場が危ぶまれるということに繋がる。

悪く思わないでほしい…

私だって本当ならこんなことしたくない。

けどあなたにこれ以上面倒事を起こしてほしくないから仕方なくやっているのよ。

これで彼女も比企谷くんのことを諦めてくれる。

そう思った…のだけれど…

66: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:16:48.64 ID:ZqGJmtIY0

少女A「葉山くん!
相模さんを庇うのはあなたにも責任の一端があると認めているということですね!」


葉山「ちょっと待ってくれ!一体何の話だ!?」


少女A「そうですね、いきなりお話を振ってごめんなさい。
それでは改めて説明させてもらいます。
2-Fでの文化祭実行委員を選出する時、あなたは相模さんを推薦しましたね。
けど相模さんは実行委員の仕事を放棄していた。
その間、相模さんは何をしていたのでしょうか?」


葉山「確か…クラスの出し物の手伝いをしていたはずだ。」


少女A「出し物の手伝いって…相模さんは実行委員長だったはずですよ!
何であなたたちはその時点で相模さんを実行委員に連れ戻そうとしなかったんですか!?」


結衣「だから…それは…」


相模「だって…雪ノ下さんのお姉さんが…実行委員も楽しめって言ったから…」


急に相模さんは姉さんの話を振ってきた。

この女…どこまで責任転嫁すれば気が済むのか…

私は相模さんにこれ以上余計なことを言うなという目で睨みつけながらこう言った。

67: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:20:21.46 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「それは相模さんの解釈が間違っていたのよ。
姉さんが言いたかったのは文実の仕事と両立させながら文化祭を楽しめということなの。
それをあなたが勝手にさぼりの口実に利用していたに過ぎないわ。」


少女A「その皺寄せを残った文実メンバーが被ったんですよ。
こんなこと少し考えればわかるはずじゃないですか!それなのに…!?」


葉山「だが…ヒキタニが相模さんを泣かせたのは事実だ…他に方法があったはずだよ。」


三浦「つーかどんな理由でも女の子を泣かせるのは許さないし!」


相模「そ…そうだよね…!あいつはうちを泣かせた!これは本当のことじゃん!」


相模さんたちは再び屋上での件を蒸し返してきた。

相模さんがこうまでして地位を守ることに骨質するなんて…

私は今になって相模さんの依頼を受けたことを心底後悔した。

68: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:22:22.85 ID:ZqGJmtIY0

少女A「私は…屋上にいなかったのでわかならいのですが…
相模さんが比企谷くんに言われた暴言とはどんな内容だったのですか…?」


相模「あいつはうちのことを『自分と同じ最底辺の人間』だとかそれから…」


相模さんは彼女に屋上で言われたことを全て話した。

その話に脚色はない。

私自身も比企谷くんから聞いていた内容と同じだからだ。

でも相模さんが話を終えた後、彼女は失望したかのようにため息をついた。


少女A「はぁ…どうしてこんなことに…」


相模「ほらわかったでしょ!比企谷がどんなに最低だってことが!」


相模さんがさらに比企谷くんを貶そうとする。

その言葉に彼女は失望していた。

けれど彼女が失望したのは比企谷くんに対してではなかった。

69: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:26:34.29 ID:ZqGJmtIY0

少女A「あの…誰が最低ですって…?
比企谷くんが最底辺の住人ならこの学校のみんなはそれ以下になりますよ!
それよりも比企谷くんがあなたに言った暴言とやらに何か間違いがありましたか!」


相模「はぁ…?女の子に暴言吐いたんだよ!最低じゃん!」


少女A「それまであなたが仕出かしたことを思えば彼の暴言なんて可愛いものですよ。
それに彼が相模さんに暴言を吐かなければあなたは、
文化祭の仕事を放棄して逃げ出した委員長のレッテルを貼られていたはずですよね!
それを比企谷くんが暴言を吐いてくれたことで敢えて彼は泥を被ってくれたんです!
そのことにいい加減気づいたらどうですか!!」


相模「それは…そんな…」


彼女は確実に相模さんを追い詰めていった。

このままではまずい。

そう思った私は彼女を止めようとするのだけど…

70: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:29:24.11 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「これ以上はやめなさい。
あなたの気持ちはわかるけどあの時比企谷くんが相模さんから受けた依頼は…」


少女A「確か相模さんの成長を促すために文化祭を成功させるものですよね。
でも雪ノ下さんにお聞きしますが相模さんって…文化祭でちゃんと成長したんですか?」


雪乃「それは…」


少女A「どう考えてもしてませんよね。
私がこのクラスに駆け込んできた時も相模さん何をしていたか知っていますか?
お友達と一緒に比企谷くんの悪口を言っていましたよ。
この人全然成長してないじゃないですか!」


相模「びぇぇぇぇぇ!?」


結衣「さがみん泣かないで!」


限界だったのか相模さんはとうとう泣き出してしまう。

さすがにこれ以上は無理だと判断した葉山くんが彼女と相模さんの間に仲裁に入った。

71: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:30:47.95 ID:ZqGJmtIY0

葉山「もう勘弁してあげてくれ。
相模さんは充分傷ついている。これ以上はさすがにやり過ぎだろ。」


少女A「正直まだ問い詰めたいんですけど…
まあもういいでしょう。それでは最後に相模さんにやってもらうことがあります。」


結衣「さがみんにやってもらうことって…何なの?」


少女A「決まっているじゃないですか。
今のことを相模さんの口から直接学校のみんなに伝えてもらうんですよ。」


雪乃「待ちなさい!それは…!?」


それは相模さんにとっては追いうちになる。

このままでは相模さんは不登校にすらなりかねない。

そんな結果は誰も望んではいないと私は彼女に言ったのだけど…

72: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:32:53.84 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「これ以上相模さんを追い詰めるのは…!」


少女A「でもこうなったのは全て相模さんの自業自得ですよ。
あ、そうですね。
今日はもう遅いから明日のHRにクラスのみんなの前で公表してもらいましょう。
それとあの屋上で聞いていた目撃者の証人も必要ですね。葉山くんお願いできますか?」


葉山「そんな…俺が…!?」


ここで葉山くんが指名されるなんて…

彼女のいう通り相模さんが事実を公表してそれに葉山くんが証人になればどうなるか…

葉山くんもまた相模さんと同じく比企谷くんを貶めたとして犯人扱いされる可能性がある。

特に葉山くんは相模さんを実行委員に推薦している。

今の比企谷くんほどではないけど彼もまた謗りを受けるはず。

そんな話をこの男が飲むはずがない。

73: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:33:57.19 ID:ZqGJmtIY0

葉山「悪いがそんな提案は受け入れられない。
俺たちのクラスでこれ以上揉め事を起こすのはやめてくれないか。頼む、この通りだ!」


少女A「あなた…私に謝ってどうするんですか?謝るなら比企谷くんにしてくださいよ!」


三浦「アンタ…隼人が頭下げているのに調子に乗るんじゃないよ!」


結衣「優美子!暴力はダメだって!?」


泣きじゃくる相模さん。

彼女に頭を下げようとする葉山くんにそれを受け入れない彼女…

そんな彼女に殴りかかろうと迫る三浦さんとそれを止めようとする由比ヶ浜さん。

今ほどこの場に比企谷くんが居てくれたらと私は心底願った。

けど彼はいない…何故ならこれは彼のために行われているのだから…

74: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:36:44.99 ID:ZqGJmtIY0

少女A「相模さんが言わないのならそれでもいいですよ。
その代わり私がみんなの前でこの事実を公表したいと思います。
私はこれでもクラスではそれなりに発言力がある方です。
だから私のことをみんな信じてくれるはず。」


相模「グスッ…ならそうすればいいじゃん…うちはもう…」


少女A「でもこれだとあなたは間違いなくみんなから恨まれますよ。
それなら自分から自白して、
文化祭の怠慢を認めれば少しはみんなの受け止め方もマシになるはずじゃないんですか?」


相模「そんな…うち…どうしたら…
そうだ!助けてよ雪ノ下さん!文化祭で雪ノ下さんに依頼した時みたくうちを助けて!!」


雪乃「…」


相模さんは苦手な私にまで泣きついてきた。

けど…今の私は相模さんを助けることなんて出来ない。

私は彼女の依頼で今この場に来ているのだから…

それから相模さんは私がダメだとわかれば、

由比ヶ浜さんに葉山くん、さらには仲が悪い三浦さんに次々と泣きついた。

けれど誰も相模さんを助けようとはしない。

それどころか…

75: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:39:18.48 ID:ZqGJmtIY0

葉山「相模さん、ここは彼女の意見を呑んだ方がいい。」


相模「で…でも…」


葉山「このままだと彼女の口から屋上での一件を伝えられてしまうよ。
そうなればいくら俺でも庇うことはできない。なら自分の口から言った方がまだマシだ。」


相模「わかった。葉山くんも協力してくれるよね?」


葉山「勿論だ。みんなの前で一緒に謝ってあげるからね!」


相模「わかった。葉山くんが一緒ならうちも…」


一見、葉山くんが相模さんを庇っているかに見えるこの光景。

けど私の視点ではこれはまったくの別物に見える。

葉山くんはこの状況下で自分に降りかかるダメージを最小限ですむ選択を選んだからだ。

一緒に謝るというのも全ては相模さんの所為であり、

葉山くんはその巻き添えにあったという口実が欲しいだけに過ぎない。

けれど最後まで一緒に謝罪するということで彼のクラスでの立場は守られる。

まったく…この男はどうしてこうも小狡いのかしら。

今ならわかる。

あの時、屋上で相模さんへ暴言を吐き…

何も反論しなかった比企谷くんの方がどれほど正々堂々としていたのか。


少女A「あ、それと相模さんが謝るのはどうでもいいことですけど、
比企谷くんに全くの非がなかったことをこれだけは絶対みんなに伝えてくださいね!」


それを相模さんと葉山くんに告げる彼女。

私はこの時の葉山くんの表情を見逃さなかった。

笑顔の仮面が一瞬崩れ落ちて苦い表情を浮かべていたのを…

76: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:41:47.10 ID:ZqGJmtIY0

雪乃「これで要件は終わったわね。けどやりすぎだったわ。」


少女A「そうでしょうか。当然のことだと思いますよ。」


結衣「でも…これじゃあさがみんが…」


少女A「私の依頼は比企谷くんを救うことです。
彼を陥れた人がこれからどうなろうが知ったことではありませんよ。」


彼女はまるでやり遂げたような顔で爽やかにそう言ってのけた。

好きな人のためにここまでやれるものなのかと私はこの時ばかりは思い知らされる。

けれど依頼はまだ終わったわけではない。

78: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:45:22.69 ID:9KBR3ORB0
この女怖ぇよ
80: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:46:54.73 ID:h4usRvUX0
少女Aさんかっこ良過ぎる。
とっくに奉仕部超えてる
82: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:50:21.75 ID:ZqGJmtIY0

少女A「お二人には引き続き依頼を継続してほしいのですがお願いできますか?」


雪乃「わ…わかったわ…次はどうすればいいのかしら?」


少女A「勿論、この前の修学旅行の件です。
比企谷くんが告白を邪魔したという噂を私はどうしても信じることができませんから…」


結衣「でも…さがみんの件を解決したからこれでもうヒッキーは大丈夫なんじゃ…?」


少女A「そうは思えません。
また誰かが彼を貶めているかもしれませんからね。
私は比企谷くんのために徹底的にやりたいと思っています!それじゃあ頼みますね!」


こうして彼女は一足早く学校を下校していった。

そして翌朝の2-FでのHR…

相模さんは葉山くんに付き添われクラスのみんなの前で文化祭での自らの行いを公にした。

その時の相模さんは号泣しながら語りだしその姿はあまりにも情けないものだったという。

ちなみに本来なら誰よりもこの話を知らなければならないはずの比企谷くんは、

その日に限って寝坊して相模さんの謝罪を聞くことができなかったそうだ。

本来謝罪しなければならない人間が不在だなんて、

どこまでも愚かで報われない結末なのかとこの時ばかりは私も相模への同情を禁じ得なかった。

85: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 21:54:21.77 ID:pJQ4kV3MO
少女Aさんの行動力すげえ
ただこんなことを八幡は望んでない上に葉山とかがこの状況をなんとかしたいって奉仕部に依頼したとしたら八幡がまた泥をかぶって解決しそうなんだよなあ…
90: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/05(火) 22:00:42.76 ID:h4usRvUX0
>>85
大丈夫、少女Aさんなら八幡が何かやらかす前に止めることができる。
132: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:11:08.75 ID:y/GhGeJl0

サイゼ―――


結衣「結局ヒッキーは今日も部活に来なかったね。」


雪乃「そうね、でも今はその方が都合いいのだけど…」


結衣「でも今度は修学旅行についてだよ。どうしたらいいのかな?」


雪乃「そうね、どうしましょうか。」


相模さんが文化祭での一件をみんなの前で公表してから一日が過ぎた。

今の私と由比ヶ浜さんは心中穏やかではない。

今度は修学旅行での一件について追求しなければならない。

それなのでこうして気分転換に場所を変えて話し合っていたのだけれど…

そんな時、誰かが私たちに声を掛けてきた。

133: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:11:59.80 ID:y/GhGeJl0

陽乃「雪乃ちゃ~ん!ガハマちゃ~ん!ひゃっはろ~!」


めぐり「お~い~」


雪乃「この声は…姉さん!」


結衣「それに城巡先輩まで!」


なんと私たちに声を掛けてきたのは姉さんと生徒会長の城巡めぐり先輩だった。

それにもう一人…

亜麻色の髪をした見覚えのない女の子がいた。

134: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:13:01.60 ID:y/GhGeJl0

結衣「もしかして…いろはちゃん…?」


いろは「あ、結衣先輩!やっはろーです!」


雪乃「由比ヶ浜さんはこの子と知り合いなの?」


結衣「うん、一色いろはちゃん。1年生の後輩でサッカー部のマネージャーだよ。」


いろは「雪ノ下先輩ですよね。初めまして!一色いろはです!これからもよろしくです!」


サッカー部のマネージャー。

つまりあの葉山くんの関係者、道理で由比ヶ浜さんと顔馴染みなわけだと納得できた。

けど姉さんと城巡先輩、それに一色さん、この三人が集まって何を話しているのかしら?

135: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:13:51.49 ID:y/GhGeJl0

陽乃「実はさっきまでここに比企谷くんがいたんだよ。」


めぐり「でも¬~あなたたちを見つけたら彼すぐに帰っちゃったのよ~」


結衣「ヒッキーもさっきまでいたんだ。」


雪乃「比企谷くんまで一緒だったということは…何か相談事があったわけね?」


姉さんは『ご名答!』という大げさなリアクションを取りながら、

4人で集まった理由を説明してくれた。

事の発端はこの一色いろはさんにあった。

近々私たちの通う総武高校では生徒会選挙が行われる。

その生徒会長になんと1年生である一色さんが立候補することになったそうだ。

けれどそれは彼女の意思によるものではなく他者に無理やり立候補されたという話だ。

136: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:15:22.26 ID:y/GhGeJl0

雪乃「そんなことが起きていたなんて…
城巡先輩、どうして私に知らせてくれなかったのですか?」


めぐり「私はちゃんと平塚先生に相談したんだよ~
でも雪ノ下さんたちは別件で忙しいから手の空いている比企谷くんにお願いしたの~」


陽乃「ちなみに比企谷くんを呼び出したのはお姉ちゃんだよ!」


いろは「でも先輩の解決方法が…」


結衣「ヒッキーはどんな方法を言ってくれたの?」


どうやら比企谷くんが考えた方法は一色さんの応援演説でわざと失敗を仕出かして、

それを自分の所為にして一色さんのダメージを極力少なくして終わらせようというものだ。

あの男はまたそんなことをやろうとしていたのね…

137: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:16:51.92 ID:y/GhGeJl0

雪乃「ダメよそんなこと…それでは結局一色さんの名誉を傷つけることに変わらないわ。」


陽乃「いろはちゃんだけが傷ついちゃうか。
もうひとり、傷ついちゃう人がいると思うんだけどなぁ…」


結衣「そ…そうだ!他の人が生徒会長に立候補すればいいんだよ!そうすれば…!」


いろは「でもその他の人って誰ですか?
こんなこと城巡先輩を前にして言いたくはないですけど、
生徒会長の職なんてこの学校のみんなが面倒臭くてやりたがらないのが定番ですよ。」


めぐり「現役の私を目の前にしてそういうのはちょっと酷いなぁ~傷ついちゃうよぉ~!」


陽乃「でも今のガハマちゃんの案は悪くはないよ。
だからお姉ちゃんが比企谷くんにこういうことを提案してあげたの。」


陽乃「比企谷くんに生徒会長をやってもらおうってね!」


雪乃「なっ…!?」


姉さんの発言に私は思わず絶句した。

あの男が…比企谷くんが生徒会長…?

この姉は何を血迷ったことを言っているのかと思わず耳を疑ってしまった。

138: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:18:11.40 ID:y/GhGeJl0

陽乃「今、雪乃ちゃんかなり失礼なこと考えてない?お姉ちゃんがまともじゃない的な…」


雪乃「当然よ!あの男にそんな大役が務まるはずがないわ!よくて庶務がいいところよ!」


いろは「それにうちの生徒会に立候補するには推薦人を30人集めないとダメですよ。」


結衣「30人って…ヒッキーにそんな人数集められないよ!?ただでさえボッチだし…」


総武高校では30人近くの推薦人を集めてようやく生徒会の役員に立候補できる。

30人といえば約一クラスの人数だ。

けれど比企谷くんにそんな人数を集めるだけの人望はない。

それを姉さんはどうする気なのだろうか…?

139: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:19:38.75 ID:y/GhGeJl0

めぐり「そこは私の出番かな~」


雪乃「城巡先輩が…どういうことですか?」


陽乃「実はめぐりに頼んで30人の推薦人を集めてもらうことになったの。」


結衣「でもめぐり先輩はヒッキーとは学年もクラスも違うし大丈夫なんですか…?」


めぐり「うちの学校ではクラスや学年が違っても立候補者を選べるからね~
それに…比企谷くんには文実で悪いことしちゃったから…
はるさんに事情を聞いたけど…これはその罪滅ぼしみたいな感じかな~」


いろは「城巡先輩がいるならこの案でうまくいきますね!
これで私は会長にならずにすむし万々歳!全て円満に解決ですよ~♪」


そんな…これはそんな簡単に解決するような問題ではないわ。

仮に比企谷くんが会長になれたとして他の役員はどうなるの…?

彼のことをよく思わない人たちはこの学校にごまんといる。

彼が会長だということを不服に思う人たちの所為で他に役員が集まらなければ、

今度の生徒会は会長が比企谷だけの一人ぼっちの生徒会になってしまう。

こんなの笑い話にもならない…

それなら私が生徒会長をやるべきだ。

何故なら私には人望もあるしなによりやり遂げる自信と能力が備わっているのだから。

172: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:25:19.52 ID:v+WBokAm0

陽乃「能力は…比企谷くん成績は悪くないし…
それに文化祭でもあの子きっちり仕事こなしてたから大丈夫でしょ。」


陽乃「それに人望に関してなら問題ないんじゃないかな。
だって今日あの相模って子が文化祭で仕出かしたことが公になっているそうだよね。
それで少しは比企谷くんの名誉が回復しているみたいだし。
あれって雪乃ちゃんたちがやったことなんでしょ…?」


雪乃「あ…それは…」


結衣「まあ…そうかもしれないし…そうじゃないみたいな…」


めぐり「おや~?二人とも調子悪いけど大丈夫~?」


いろは「でもこれで相談は解決したし私たちは失礼しますね。」


相談が解決したことにより一色さんと城巡先輩はお店から出ていった。

それに乗じて私たちもお店から出ようとしたのだけど…

141: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:23:51.61 ID:y/GhGeJl0

陽乃「は~い!二人は残ってもらおうか!少し気になることがあるしね。」


結衣「あ、やっぱり…」


雪乃「まあ何を聞きたいのかは予想がつくけど…」


それから私たちは姉さんに強制的にこれまでの近況を説明した。

修学旅行での比企谷くんによる海老名さんの嘘告白の件。

それにより私たちと比企谷くんの関係に亀裂が入ったこと。

さらに最近現れた『少女A』による依頼の件を説明してみせた。

説明を終えると姉さんは全てを把握したかのようにこう言い出した。

142: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:25:28.45 ID:y/GhGeJl0

陽乃「なるほど!突然のダークホースが出現とはこれはお姉ちゃんも予想外だよ!」


雪乃「それにしては驚いているようには見えないのだけれど…?むしろ嬉しそうね。」


結衣「あの子…本気でヒッキーのためになんとかしようとしているんです。
でもこのままだと…その所為でみんなが傷ついちゃうんです…
陽乃さんなんとかなりませんか!」


陽乃「…」


由比ヶ浜さんは少女Aの行動を止められないかと姉さんに懇願してみせた。

けれど姉さんの返答は意外なものだった…

143: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:27:39.89 ID:y/GhGeJl0

陽乃「いいんじゃないの。別に誰が傷ついたってさ…」


雪乃「姉さんあなたは…!由比ヶ浜さんは真剣に悩んでいるのよ!?」


陽乃「え~?お姉ちゃんおかしなこと言ったかな~?
だって考えてみてよ。そもそもその人たちが傷つく原因って何?
最初に比企谷くんを傷つけたのが原因だよね?ならお相子ってことじゃないかな。」


結衣「そんな…そんなの…ヒッキーだって望んでないし!」


陽乃「まあそうだろうね。彼はいつものことだと思って気にも止めない。けど…」


陽乃「彼のことを身近で見ていた人はそうは思えなかっただけのことだよね。ちがう?」


陽乃「静ちゃんが文化祭の時に言っていたよ。
比企谷くんが傷つくのを見て痛ましく思う人間もいるって…
これって雪乃ちゃんたちのことかと思っていたけど…
他にもそう思える子がいたってことだよね。
うん、比企谷くんにとって喜ばしいことだと思うよ!」


姉さんの言葉に私たちは反論出来なかった。

少女Aの比企谷くんへの想いは恐らく本物のはず。

あの葉山くんを相手に臆することなく立ち向かったのだからそれは間違いない。

だからこそ私たちは内心焦っている。

このままいけば彼女は間違いなく比企谷くんに告白する。

彼女の想いが本物ならそれはきっと私たちにとって望ましくないことが起きるだろうと…

144: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:29:23.11 ID:y/GhGeJl0

陽乃「二人とも嫌そうな顔してるよね。
それなら二人がその子よりも先に比企谷くんに告白しちゃえばいいじゃん。」


結衣「え…でも…ヒッキーのこと…そんな好き…ってわけでもないし…」


雪乃「そうよ、勘違いしないでほしいわ。」


陽乃「ふ~ん、この期に及んでまだそんな態度取るんだ。どうなっても知らないよ~?
今の傷心気味の比企谷くんに告白したらきっと彼は受け入れちゃうかもね。
そしてフラれるみたいな。今の比企谷くんの物まね似てた~?」


姉さんは私たちを冷やかしながらそう言った。

確かに姉さんの言うように、

今更こんな天邪鬼な態度を取っている場合でないのはわかっている。

けれどまだ素直になれない自分たちがいるのもまた事実…

こればかりはどうしようもないのよ。

145: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:30:33.85 ID:y/GhGeJl0

陽乃「まあ私は今回特に何もしないよ。眺めているだけだから。
それと今言ったように比企谷くんもいろはちゃんの件があるから、
二人が抱えている案件には関われないからしっかり頑張ってね。ところで…」


結衣「あの…陽乃さんどうして私たちの顔をジッと見てどうかしたんですか?」


雪乃「気持ち悪いわね。ハッキリ言いなさいよ。」


陽乃「う~ん…それじゃあ言わせてもらうけど…」


それから姉さんは私たち二人の前に立ち、あることを告げて去っていった。

それは…

146: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/06(水) 18:31:03.77 ID:y/GhGeJl0




「二人とも、目が濁ってきているよ…?」





その言葉を聞いたと同時に私たちは互いの目を見つめ合った。

本当だ…まるで比企谷くんの目みたいに濁り出している…

一体どうして…?

そんなことを考えながら私たちはその場で呆然とするしかなかった。

174: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:27:59.42 ID:v+WBokAm0

<<翌日>>


結衣「ゆきのん、言われた通り連絡したから。優美子たち30分後にみんな来てくれるって。」


雪乃「そう、あなたがいてくれて助かるわ。さすがね由比ヶ浜さん。」


結衣「えへへ~♪ゆきのんに褒められちゃった!」


姉さんたちとの話合いから翌日、私たちは奉仕部にある人たちを招こうとしている。

それは修学旅行の噂の当事者である葉山グループのメンバーと、

それにこの問題を追及しようとしている少女Aのことだ。

私たちは彼女の要望に応えるべく、こうして話し合いの場を設けることになった。

175: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:29:27.58 ID:v+WBokAm0

結衣「でも…本当にこれでいいの?さがみんの時みたくまたみんなが傷ついちゃうよ?」


雪乃「そうね、けれどこの修学旅行の件は比企谷くんにこそ非があるわ。
彼が海老名さんに嘘告白をしなければこんなことにはならなかった。
今回責められるべきは間違いなく彼よ。」


結衣「そうだね…ヒッキー酷すぎるよ…
私たちに相談もなくあんなことして…もっと私たちのことを考えてくれないと!」


雪乃「それに今回は対策も考えてあるわ。
本当ならこんな手は使いたくなかったけど、ちゃんと彼のことを呼んであるわね?」


私がそう言うと由比ヶ浜さんは勿論!と笑顔で応えてくれた。

それからすぐに部室の扉をノックする音が聞こえてきた。

そして私たちの了承を得て入ってきたのは…

176: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:32:21.00 ID:v+WBokAm0

葉山「やぁ、待たせたね。」


雪乃「悪いけど葉山くん、
由比ヶ浜さんに頼んであなただけはみんなよりも早くに来てもらったわ。
要件はわかっているわね?」


葉山「結衣から事情は聞いている。この間の修学旅行についてだね。」


結衣「これから修学旅行でのヒッキーの嘘告白について話をしなきゃいけないから…」


そう、部室を訪れたのは葉山くんだ。

何故彼だけ先に部室に招いたのか?

それはこれから行われる修学旅行の一件に関する追求のために改めて確認を取るからだ。

177: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:33:12.10 ID:v+WBokAm0

雪乃「私は彼女に戸部くんは奉仕部に依頼して告白を実行しようとしたことを説明するわ。」


雪乃「これだけはさすがに伝えなくてはいけない。」


雪乃「けどそれだけよ。
最初の事情はどうあれ比企谷くんは、
私たちに相談もなしに最後はあんな方法で戸部くんの告白を未然に終わらせてしまった。」


雪乃「これだけは彼をどう擁護しても変えることが出来ない事実。」


雪乃「その結果、彼は大勢の人を傷つけてしまった。」


その大勢とは告白の当事者である海老名さんに戸部くん。

それにこのことを事前に知らされなかった由比ヶ浜さんやこの私も傷ついた。

だからこの件は間違いなく彼に責任がある。

葉山くんを呼び出したのはその最終確認にしか過ぎない。

178: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:34:51.24 ID:v+WBokAm0

葉山「ヒキタニのやり方はよくなかった。もっと他に方法があったはずだ。」


結衣「そうだよね。せめて私たちに相談くらいしてほしかったのに!」


雪乃「やはり比企谷くんに責任があるということは曲げようのない事実なのね。」


その確認に葉山くんも頷いている。

やはり彼の責任は問われるべきものだ。

私は最悪のケースを予想して葉山くんにある対策を授けた。

179: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/07(木) 19:39:24.28 ID:v+WBokAm0

雪乃「今回はいざとなれば比企谷くんにも同席してもらおうと思っているわ。」


結衣「でもヒッキーはいろはちゃんの件があるからここには来れないはずじゃ?」


雪乃「だから葉山くんに来てもらったのよ。
一色さんは葉山くんの所属するサッカー部のマネージャーだから連絡は取れるわよね。」


葉山「あぁ、その点に関しては問題ない。
いろはの連絡先は知っているし今日も部活には出ていないが学校には居るはずだよ。」


雪乃「それなら大丈夫ね。
最悪の場合は一色さん経由で比企谷くんを呼び出して、
彼の責任を追求してこの件を解決させる。
この方法ならあなたたちグループの仲も安泰だし誰も傷つくことはないわ。」


雪乃「それに比企谷くんに非があるとわかれば彼女も諦めてくれるはず…」


雪乃「さぁ、そろそろみんなが集まる頃よ!」


この時の葉山くんは、

何やら少しだけ微妙な表情を浮かべていたけどこの時の私は気にも止めなかった。

それからこの話し合いの場に続々と人が集まってくる。

海老名さんに三浦さんに戸部くんとその他の葉山グループのメンバーたち。

それに彼女も…

これで準備は整った。

あとはこの件で全ての決着をつけるだけだ。

217: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:28:34.51 ID:BAF27zhM0

葉山「みんな、よく集まってくれたね。」


海老名「ハロハロ~」


三浦「一体何なの?あーしら今日はこれからカラオケ行きたかったんだけど!」


戸部「つーか隼人くん一番乗りとか気合入ってね?」


大岡「だな。」


大和「それな。」


結衣「紹介するね。隼人くんと仲の良いみんなだよ!」


雪乃「彼らは全員、戸部くんと海老名さんが告白していた時にいた目撃者たちよ。」


少女A「奉仕部のお二人、彼らを集めていただきありがとうございます。
今回、みなさんに集まっていただいたのは他でもありません。
これより比企谷くんが修学旅行で行ったあの告白の件について話し合いたいと思います。」


彼女の言葉に集まった葉山グループメンバーは全員苦い顔を浮かべた。

まあその気持ちはわかる。

ここに集まった人たちにしてみれば、

あの戸部くんの告白は一世一代とはいかなくともそれに近いものだった。

それを邪魔した比企谷くんのことを今更蒸し返すなんて誰がしたがるものかと…

218: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:29:30.32 ID:BAF27zhM0

三浦「あれはヒキオが悪いし!戸部の告白を邪魔してたし!」


少女A「確かに一見比企谷くんが戸部くんの告白を邪魔しているように思えますが、
でも考えてみてください。そもそも何で彼はそんな馬鹿な真似をしたのでしょうか?
いえ、その前に彼はそんな馬鹿げた行動をするような人間ですか?」


大岡「だが間違いなくやってたしな。」


大和「俺ら見てたし…」


この場にいる彼女以外の人たちはみんなあの告白の場にいた目撃者だ。

現に私だってあの場にいた。

彼が海老名さんへ嘘告白を行ったというのは紛れもない事実なのだから…

219: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:32:10.36 ID:BAF27zhM0

雪乃「まずあなたに伝えておくことがあるわ。
修学旅行に行く前日に戸部くんと葉山くんから奉仕部にある依頼があったの。
その内容は海老名さんへの告白を必ず成功させたいというものだったわ。」


結衣「その戸部っちからの依頼をヒッキーが引き受けて私たちも結構動いたんだよ!」


少女A「それじゃあ…比企谷くんがあの行動に出たのは…」


雪乃「でも勘違いしないでほしいの。
私たちは練りに練って最高のデートスポットへ導いて彼らに告白の場を設けたわ。
以前あなたにも言ったかもしれないけど、
奉仕部の理念は魚に餌を与えるのではなく餌を取る方法を教えること。
私たちの方針は直接行動を起こすわけではないの。」


結衣「あの嘘告白は…ヒッキーが勝手にやったことだから…私たちも知らないし…」


これが私たちの知る限りの話だ。

今の話に私も由比ヶ浜さんも事実を述べている。

けれどそれでも彼女はこの話に納得できた様子ではなかった。

220: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:33:39.23 ID:BAF27zhM0

少女A「何かこの話…おかしくないですか…?」


雪乃「おかしいとはどういうことかしら。」


少女A「そもそも何故戸部くんは奉仕部に今回の告白の件を依頼したのですか?
戸部くんは海老名さんとはグループ間の交友があるのだから奉仕部を頼るのではなく、
事情に詳しいグループ内のお友達に助けてもらえばよかったはずですよね?」


戸部「いや…俺も最初は隼人くんに頼んだんだけど…
そしたら隼人くんが奉仕部に頼んだ方がいいって言ったんよ!
それに結衣っちも俺の依頼を引き受けてくれたしさ!マジ感謝ッス!」


雪乃「これに関しては特に問題はないはずよ。
由比ヶ浜さんは葉山くんたちのグループと関わりがあるし海老名さんとも交友がある。
奉仕部としても十分バックアップ出来る体制だったわ。」


私は戸部くんの不十分な説明をフォローする形で彼女に言い聞かせた。

既に私たちと葉山くんの根回しは完璧だ。抜かりはない。

けれどそれでもまだ彼女は不服そうだった。

そんな彼女の鋭い視線が今度は海老名さんに移っていた。

221: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:35:24.99 ID:BAF27zhM0

少女A「今度は海老名さんにお聞きします。
こんなことをいきなり聞くのも失礼かと思いますが、
あなたはこの戸部くんの告白の件を事前に知っていましたか?」


海老名「え~と…これはもうぶっちゃけてもいい流れなのかな~?
まあ同じグループにいるからね。修学旅行で何かあるとは感づいていたよ。」


少女A「それでは核心を突く質問をひとつだけします。
もしあの時、比企谷くんの妨害がなければあなたは戸部くんの告白を受け入れましたか?」


海老名さんに対する予想外の質問に思わずこの場にいる誰もが驚かずにはいられなかった。

やられた…!

私自身も彼女が海老名さんに対してここまで攻めて来るとは思ってもみなかったので、

この事態に狼狽えずにはいられなかった。

222: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:36:24.02 ID:BAF27zhM0

海老名「その質問は…ちょっと卑怯だよね。いきなり過ぎて正直引いちゃったよ。」


少女A「そうですね、確かに私も女ですから今の質問は失礼しました。
でも私は戸部さんの告白の結果がどうなろうと口外する気はありません。
雪ノ下さんと由比ヶ浜さんはどうですか?」


雪乃「私は依頼人の事情を口外する気はないわ。」


結衣「私だって同じだよ!姫菜は友達だし!」


三浦「あーしらだってそうだよ!」


三浦さんの返答に他の葉山グループメンバーもコクンと頷いた。

けれどただ一人だけ顔色を悪くする者がいた。

それは勿論海老名さんだ。

223: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:37:15.02 ID:BAF27zhM0

海老名「まいったな…これは…ちょっと勘弁してほしいんだけど…」


雪乃「確かにこんなに人が見ている前で誰が好きかなんて言うのはどうかと思うわね。」


少女A「それならこの場に戸部くんと海老名さんを二人きりにしてみましょう。
戸部くんだってここで改めてキチンと告白すれば後腐れもなくスッキリしますよね?」


戸部「俺的にリベンジできるならそれでも超OKッス!」


海老名「アハハ…これって私の逃げ場がどんどん封じられていくよね…」


彼女の提案により再び告白の場を整えられていく。

これに対して海老名さんは引きつった笑顔でこの部室で誰かを探している。

そんな海老名さんが私たちにこっそり内緒であることを尋ねてきた。

224: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:37:45.09 ID:BAF27zhM0

海老名「ねぇ、比企谷くんは…ここには来ないの…?」


雪乃「彼は…あの修学旅行から一度もここへは来ていないわ…」


結衣「姫菜に嘘告白してからずっとね…」


海老名「あ、そうだったんだ…
じゃあこれって…ハハ…自業自得ってことか…もう彼を頼ることはできないわけだね…」


海老名さんの口から自業自得という言葉が出た。

何故この事態が海老名さんにとって自業自得なのか…?

それに比企谷くんとどう関係するのか私はふと疑問を抱いたその時だった。

225: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:40:44.61 ID:BAF27zhM0

葉山「悪いがこんなことはやめてくれないか。」


少女A「葉山くんでしたね。どうしたんですか?」


葉山「こんな場所でいきなり告白するなんて馬鹿げている。姫菜も嫌がっているだろ!」


少女A「嫌がっているって…つまり海老名さんは戸部くんのことが好きではないのですか?」


戸部「えっ!海老名さんそうなん!?」


この彼女の発言に戸部くんが思わず反応する。

そしてこの部室にいる誰もが海老名さんに注目した。

海老名さんは暫く口を閉ざしたまま俯いていたが、意を決してこう切り出した。

226: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:41:26.21 ID:BAF27zhM0

海老名「ごめん…今も…
それに修学旅行の時も…私は…戸部っちのことをそういう風に見てないから…」


戸部「そんな…マジっすか…」


三浦「海老名よく頑張ったね。これでこの件はもうおしまい。それでいいね!」


葉山「そうだな、こんな場所でいきなりだったんだ。二人とも落ち着くべきだ。」


海老名さんを慰める三浦さん。

それに落胆する戸部くんとこの二人を宥めようと今はこの場から出ようとする葉山くん。

誰もがこの急展開に戸惑うばかりだが彼女はまだ納得した様子を見せずにいた。

227: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:42:47.20 ID:BAF27zhM0

少女A「待ってください!
海老名さんには悪いのですがこの話にもう少しだけ付き合ってもらえませんか!」


三浦「アンタいい加減にしなよ!海老名が今どんな気持ちかわかってんの!?」


少女A「海老名さんがつらいのはわかります!
けど私だって必死なんです!好きな人の名誉に関わる大事な問題なんですから!」


結衣「とにかくみんな落ち着いて!」


雪乃「あなたは海老名さんからこれ以上何を聞くつもりなの!?」


三浦さんは海老名さんに追い打ちをかけようとする彼女に敵意を向けている。

そんな彼女もまた比企谷くんを救うために必死になっている。

私たちはこの二人を抑えるのに精一杯だ。

けれど私はこうも思った。

今の私たちが彼女のように比企谷くんのために必死になれるのかと…

228: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:43:54.67 ID:BAF27zhM0

海老名「ごめん、私は大丈夫だから気にしないで。それで私に何を聞きたいのかな?」


少女A「今の海老名さんに質問するのは酷だと思うけどごめんなさい。
でもどうしても聞かなければならないことがあります。
海老名さん…今の反応からして以前から戸部くんの気持ちに気付いていたはずですよね?
ひょっとしてあなた…誰かにこのことを相談しましたか?」


結衣「私は…姫菜からそういう相談は受けてはいないよ。」


大岡「ああ。」


大和「俺も受けてない。」


三浦「あーしも…」


葉山「…」


彼女の海老名さんに対する質問でグループ内の誰もがNOという返答だった。

けれど私は今になってあることを思い出した。

それは修学旅行に行く前日、

戸部くんから依頼を持ち込まれた直後に海老名さんが奉仕部にやってきたことだ。

あの時、海老名さんは何をしに奉仕部にやってきたのだろうか…?

ひょっとして私たちに戸部くんとのことを相談したかったのではないのか?

そういえば海老名さんは私たちの前でこう言っていた。

229: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:45:01.62 ID:BAF27zhM0

『今のグループが変わっちゃった気がして…』


『これまで通り仲良くやりたいの。』


『修学旅行でもおいしいの期待しているから…!』


まさか…

もしもこの考えが正しければ…

あの時、私たちは海老名さんから相談を…いえ…依頼を受けていたということになる。

彼女はこのグループの仲が好きだ。

だから海老名さんは戸部くんに告白なんかしてほしくなかった。

その想いがあの言葉に含まれていたとしたら…

そしてこの言葉の真意を比企谷くんだけが知り得たのならあの嘘告白にも納得がいくわ。

230: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:46:43.90 ID:BAF27zhM0

海老名「悪いけど誰に相談していたのかなんてそれは言えないよ。」


少女A「何故ですか?ここには関係者しかいません。今更だと思いますよ。」


雪乃「待って!海老名さん率直に聞きたいのだけど…
以前あなたが部室を訪れた時に比企谷くんはあなたの相談の真意を理解していたの?
だから彼はあのような行動に出たの!?」


結衣「え…姫菜…?あの時の相談ってそういうことだったの!?」


私の疑問に対して海老名さんは頷いただけだ。

本当はもっと問い質したいところだけどこれだけで充分な回答が得られた。

つまり彼だけは海老名さんとそれに戸部くんの両者の依頼を受けていたことになる。

そうなればどうなるか…?
231: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:48:05.02 ID:BAF27zhM0

戸部くんだけの依頼なら私たちが取った対応で何も問題なかった。


けれどそこに海老名さんからの依頼が絡めば話は全く別物になる。


片方は告白を成就させ、もう片方は告白を受け付けたくもないという真逆のもの…


私たちは知らないうちに似て異なる依頼を受けていたことになる。


全ては裏で複雑に絡まった仕組みだったと私は愚かにも今になって理解してしまった。

232: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:49:03.78 ID:BAF27zhM0

少女A「何ですか…それ…?」


少女A「あなたたち…比企谷くんになんてことを依頼したんですか…?」


少女A「そんな異なる二つの依頼…どう考えても叶えられるわけないじゃないですか!」


少女「つまりこういうことですよね!
比企谷くんが嘘告白したのは戸部くんの海老名さんへの告白を成功させたいという依頼と、
海老名さんのこれまで通り仲良くやりたいという依頼が悪い具合に重なってしまった。」


少女A「それにこの結果って…
当事者の海老名さんも戸部くんもまったく無傷で比企谷くんだけが酷い目にあってる!?」


少女A「何でこんなことに…あなたたちは比企谷くんをなんだと思っているんですか!!」


彼女の怒りは凄まじかった。

大切な想い人である比企谷くんを傷つけられたその怒りは既に頂点に達している。

先程まで彼女に喰ってかかってきた三浦さんでさえ怖気づく始末。

もう誰にも彼女の怒りを抑えることが出来なかった…

233: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:50:42.92 ID:BAF27zhM0

海老名「はぁ…もうこれ以上は隠していても仕方ないね。
そうだよ、私が戸部くんの件に関して相談を持ちかけたのは比企谷くん。
彼は私と同種だからきっと私の状況を理解してくれると思ったからだよ。」


雪乃「やっぱり…比企谷くんはこのことを知っていたのね。」


海老名「それにもう一人は…隼人くん。」


三浦「隼人が…それどういうことだし!?」


海老名「奉仕部に相談する前に隼人くんにも相談してもらったの。
けど…隼人くんは戸部くんの説得がうまくいかなかったみたいだけどね…」


戸部「え…隼人くん!それマジなんか!?」


葉山「それは…その…」


葉山くんは戸部くんに問い詰められ言葉を詰まらせていた。

次々と暴露されていく真実。

それは私と由比ヶ浜さんが把握していなかったもの…

でも葉山くんが事前に海老名さんからも相談を受けていた。

つまり葉山くんもまた比企谷くんと同じく、

戸部くんと海老名さんの両方の事情を知っていたということになる。

それを知っていながら奉仕部に依頼したということは…まさか…?

236: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:54:08.19 ID:BAF27zhM0

少女A「あの…今度は葉山くんにお聞きします。
あなたが戸部くんと海老名さんのお二人の事情を把握していたということはですよ、
葉山くんはこの告白は最初から絶対に成功しないと予想できていたはずですよね…?」


隼人「いや…それは…」


少女A「それなのにあなたは奉仕部に戸部くんの件を依頼した。
つまりこれってもうこの件は葉山くんには既にお手上げな状態だった。
そこであなたは奉仕部に依頼するという形でその責任を押し付けた!ちがいますか!?」


雪乃「押し付けたって…私たち奉仕部は葉山くんに利用されたというの…?」


私は葉山くんを睨みつけながら思考を辿らせた。

戸部くんと海老名さんの両者からの相談を葉山くんは事前に知っていた。

けれど彼は戸部くんについては頼んでいたけど海老名さんについては何も話していない。

それに葉山くんも奉仕部が必ず依頼を承諾すると踏んでいたはずだ。

この部には彼と仲の良い由比ヶ浜さんがいる。断られる理由がない。

そして比企谷くんもまたこの事実に気づいた。

だからあんな嘘告白を実行しなければならなかった。

全ては彼女の指摘した通りだ。

なんて…なんて姑息で卑劣な…

私もまた彼女と同じく葉山くんに対して激しい怒りの感情を抱いた。

237: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:56:26.50 ID:BAF27zhM0

葉山「と…とにかく落ち着いてくれ!
そうだ。比企谷を呼んでこの事実を確認してもらおう!まずはそれからだ!」


少女A「待ってください!今比企谷くんをここに呼ぶ必要がありますか!?」


葉山「彼もこの件の関係者だ。呼ばない理由はないはずだ!」


雪乃「葉山くん…あなたは…!」


葉山くんは私が先ほど彼にだけ授けた対策をすぐに実行していた。

恐らく葉山くんは比企谷くんを呼び出して彼に全ての泥を被ってもらおうするのだろう。

比企谷くんの性格なら、

この修羅場を自分に非があるということで解決させるのは目に見えている。

その対策も元々は私が考えたもの…

あぁ…なんということだろう…私の立てた案がここにきて完全に裏目に出ている…

そして葉山くんは一色さんの携帯と連絡が繋がったようだ。

けれど…何か様子がおかしい…?

何故か彼の顔が青ざめている。それから彼は何故か私に携帯を手渡してきた。

葉山くんに代わってその携帯を取ってみるとなんとその相手は…

239: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 23:01:17.60 ID:nNWUP0Ni0
魔王きたか、にしても清々しいまでの責任転換の連続
252: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 23:58:45.35 ID:BAF27zhM0

陽乃『ひゃっはろ~!』


雪乃「姉さん…どうして一色さんの携帯に姉さんが出ているの!?」


陽乃『あれ?言ってなかったかな~?
お姉ちゃんもいろはちゃんの生徒会の件を手伝っているって。
だから今は比企谷くんと一緒に三人で打ち合わせしていたんだよ~!』


雪乃「そこへ葉山くんがタイミング悪く連絡してきたのね。彼が青ざめるのも納得だわ。」


陽乃『いきなりだったからわからないんだけどちょっと事情を説明してくれないかな~?』


私は一色さんの代わりに出た姉さんに今起きている状況をすべて説明してみせた。

それから姉さんは笑い声を上げながら葉山くんに対してこう告げた。


『自分がやらかした後始末をこれ以上他人に押し付けるな。』


それが姉さんから葉山くんへの返答だった。

それから一色さんの携帯への連絡は途切れた。

けれど葉山くんは諦めもせず、

何度もかけ直すが結局繋がらず比企谷くんをこの場に呼び出すことはできなかった。

253: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:00:38.65 ID:UHGTTsig0

葉山「あ…あぁ…」


少女A「いい加減何か話したらどうですか!葉山くんはすべて把握していたんですよね!」


三浦「隼人!答えてよ!」


戸部「隼人くん!話してくれよ!」


雪乃「そうよ葉山くん!あなたは話すべきだわ!今のあなたにはその義務があるはずよ!」


葉山くんは言葉を濁しながら要領の得ない話ばかりを始めた。

その光景に嫌気がさしたのかある意外な人が私たちの前で真相を語り出してきた。

254: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:03:10.44 ID:UHGTTsig0

海老名「あぁ…だから言いたくなかったんだよ…絶対こうなるってわかっていたから…」


雪乃「海老名さん…どういうことかしら…?」


海老名「これは嘘告白した直後に比企谷くんに聞いたんだけど…
葉山くんはあの嘘告白をする直前に比企谷くんにだけこっそりとある依頼をしていたの。」


少女A「その依頼は海老名さんと戸部くんの告白をどうにかしてほしいというものですね。」


海老名「まあそうだったらしいね。
その結果、彼は私の期待通りに私と戸部くんが無傷ですむ方法で問題を解消してくれた。
でも彼だけは…比企谷くんだけは…すごく傷ついたみたいだけど…」


結衣「何で…だよ…姫菜…
何で…そんな依頼をヒッキーにだけ頼んだの!私たちにも言ってくれたらいいのに!?」


由比ヶ浜さんが海老名さんの襟首を掴みながら問い質した。

けど今の私にはわかる。

これは比企谷くんにだからこそ依頼できたことなのだと…

もしこの問題を私や由比ヶ浜さんが知れば恐らくちがう対応を取ることもできたはずだ。

でもそれは海老名さんや葉山くんが望むべきものではなかったはず。

それに先ほど海老名さんはあの嘘告白をする直前に葉山くんが依頼してきたと言った。

つまり比企谷くんには他の策を考える時間も猶予もなかった。

だから彼にもあの状況で最善で、それに最短な解消方法はあれしか思いつけなかったのだろう。

255: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:04:56.19 ID:UHGTTsig0

少女A「あなたたちは比企谷くんを利用して全ての責任を押し付けた。そういうことですね。」


海老名「まあそうなるね。彼には悪いことしちゃったかな。
でも彼なら大丈夫かなと思っていたんだよ。
ヒキタニくんには結衣や雪ノ下さんもいるから、
あとで二人からちゃんとフォローしてもらえるだろうと思っていたし…」


結衣「そんな…フォローって…」


雪乃「あなた、随分勝手な期待を押し付けてくれたわね。」


あんな回りくどい相談で気づけるわけがない。

むしろよく比企谷くんが気づけたと感心するほどだ。

私も由比ヶ浜さんも戸部くんからの依頼しか聞いていない。

だから私たちの視点からも比企谷くんが最低の行いをやったとしか思えなかった。

その結果、彼にのみ責任を負わせてしまったのだから…

256: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:05:44.10 ID:UHGTTsig0

少女A「ところで海老名さん、
何故こんな回りくどいやり方で戸部くんの告白を無下にしたんですか?
少し嫌なこと聞きますけど戸部くんが嫌いならハッキリそう言えばいいだけですよね。」


海老名「そうだね…
たぶん私はこのメンバーの男子と恋愛するのは無理だと思う…
それは私が腐っているっていうのもあるけどもうひとつ大きな理由があるの。」


戸部「大きな理由って一体何なんすか…?」


そう言い出すと海老名さんはみんなの前で携帯の画面を見せつけた。

それはあるメールの内容。

日付は1学期の頃に送られたものだった。

そのメールにはこう記されている。

257: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:06:15.27 ID:UHGTTsig0

『戸部は稲毛のヤンキーでゲーセンで西高狩りしている』


『大和は三股している最低のクズ野郎』


『大岡はラフプレーで相手校のエース潰し』


これは私も知っている。

以前、葉山くんに相談されたチェーンメールの内容だ。

それをみんなの前で公開して海老名さんは何をするつもりなのか…?

258: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:07:14.70 ID:UHGTTsig0

海老名「これ…みんな見覚えあるよね。
1学期の頃に私たち2-Fのクラスに送られてきたチェーンメールだよ。」


三浦「それ戸部たち三人の悪口が書かれたヤツだよね。あ、もしかして…?」


雪乃「三浦さんは察しがついたようね。
今だから言うけど私たちはそのチェーンメールの犯人は、
そのメールに書かれている戸部くんたちのうちの誰かだと思っているの。」


私の言葉に戸部くん、それに他の二人が気まずそうな顔を見せた。

今更この話題が出てくるとは思いもしなかったのだろう。

現に私だって今まですっかり忘れていたのだから…

260: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:14:06.02 ID:UHGTTsig0

少女A「なるほどわかりました。
海老名さんが戸部くんを好きになれない理由は、
そのチェーンメールを送った犯人が戸部くんかもしれないからですね。」


海老名「うん、私は正直犯人なんかどうでもいいと思っているの。でも…」


少女A「その犯人が告白してきたらと思うと話は別ということですね。」


海老名「うん、こんな陰湿なメール送っている人が告白してきたらと思うとね…
告白を断ったら何をされるかわかったものじゃないから。
でもこれは私じゃなくてもこんなメールを送る人が告白したら嫌がるに決まっているよ。」


戸部「ちょ…待ってよ海老名さん!俺そんなことしてないって!?」


海老名「じゃあこの場で犯人が誰なのか名乗りを上げてよ!
わかってる…そんなの無理だよね…だからこのグループの男子とは付き合えないの…」


海老名さんの言葉に戸部くんたちは顔を背けてしまう。

彼らは先程まで自分たちには非がないと思っていたのだろう。

それがチェーンメールの件を出されてしまい、

葉山くんや海老名さんだけを糾弾するわけにはいかなくなってしまったからだ。

261: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:16:47.15 ID:UHGTTsig0

結衣「ねぇ…姫菜…
もしも今からでも犯人が名乗りを上げて…戸部っちが無実なら告白を聞いてあげられる?」


海老名「無理だよ…あれからもう何ヶ月経っていると思うの…?
今まで犯人探しされなかったのをいいことにずっとこのグループで友達やってるんだよ。
そんな人が今更犯人として名乗れるわけがないよ…」


三浦「ねえ!この男子の中に犯人がいるんしょ!なら男らしく名乗ったらどうなん!?」


業を煮やした三浦さんが戸部くんたち三人を怒鳴り散らした。

けど三人はそれでも口を閉じたままだ。

恐らく犯人は自分の犯行をバラされたくないと未練がましく黙秘している。

それに無実の二人はどうすることも出来ずに狼狽えるだけ…

まったく呆れる…

私たち奉仕部はこんな人たちを守るために一度は依頼を受けたというの…

そんな時、海老名さんのメールをジッと見ていた彼女がみんなの前で思わぬ爆弾発言を炸裂させた。

262: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:17:24.71 ID:UHGTTsig0




少女A「あの…このメールの犯人ってもしかして…大和って人じゃないんですか…?」




263: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:18:11.43 ID:UHGTTsig0


「 「えっ!?」 」



大和「ちがう!俺じゃない!?」


雪乃「あなた…根拠のない言いがかりならやめなさい!何か証拠でもあるの!?」


少女A「証拠というほどでもないのですが…
このメールを読むと戸部くんと大岡くんはバレたら、
停学かもしくは退学処分になりそうな悪事を働いている文面に対して…
大和くんだけは三股とか一人だけ情事を書かれていて変だなと思ったんです。」


結衣「言われてみればそうだよね…!」


三浦「大和!いい加減に吐きな!」


大和「わかった!言う!言うから!?」


大和とかいう男は三浦さんに首根っこを掴まれながら情けない姿で号泣しながら自白した。

けど…それだけだ…

彼が犯人だと判明しただけで海老名さんが戸部くんの告白を受け入れるわけでもなく、

ましてや葉山くんが私たち奉仕部を利用した件が解決したわけでもない。

ただひとつだけハッキリしたことがある。

この葉山くんのグループは…もうおしまいだと…

264: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:19:44.85 ID:WtCZILvm0
Aさん冴えてるねー
265: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:19:46.46 ID:Ge3bSq8c0
死体蹴りどころか爆薬仕込むレベルの追い討ちである
266: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:20:12.86 ID:UHGTTsig0

戸部「な…なぁ…海老名さん…
これで犯人はわかったし…改めて俺の告白…受けてくんね…?」


海老名「無理だよ…絶対無理…
戸部くんは葉山くんが動くまで自分たちで問題を解決させようともしなかった。
そんな卑怯な人を好きになることなんて…出来るわけがないよ…」


少女A「でも海老名さんだって卑怯者ですよ。
無関係の比企谷くんに嘘告白なんてさせるんだから…
正直そこで泣きべそかいている大和くんと何ら変わらないじゃないですか。」


海老名「アハハ…厳しいこと言ってくれるね…でもそうだね…うん…その通りだよ…」


彼女の言葉に海老名さんの眼鏡から一粒の涙がこぼれ落ちた。

今、海老名さんは自分の罪を認めたのだ。

相模さんの時とはちがい誰かに縋ろうとしない姿は潔いところだ。

けれどまだやらなければならないことがある。

今回の件でもう一人問い質さなければならない者がいることを…

268: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:22:59.48 ID:WtCZILvm0
この雰囲気で告白しようとする
戸部のメンタル
269: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:23:31.75 ID:UHGTTsig0

少女A「さて葉山くん。あなたはどうするつもりですか…?」


葉山「確かに最後にヒキタニを頼ったのは悪かった。
けど彼があんな方法を取るとは思わなかったんだ。それがわかっていたら頼まなかった…」


少女A「あんな方法って…!
あなたが比企谷くんに頼んだのは戸部くんが嘘告白をする直前ですよ!
何でそんなギリギリになってから頼んだんですか!?」


葉山「俺だって戸部が告白するまでなんとか諦めてくれるようにと色々努力した!」


結衣「そういえば隼人くんって、
修学旅行中は姫菜と戸部っちを二人きりにさせなかったけどそういうことだったんだ…」


雪乃「けど戸部くんはあなたの意思に反して告白しようとした。そうなのね?」


私の質問に葉山くんはただ黙っていた。

なんと愚かな男なのだろうか…

私はこの男にかつてないほどの失望感を抱かずにはいられなかった。

こんな依頼だと知っていれば誰が受けるものかと…!

270: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:27:31.59 ID:UHGTTsig0

葉山「それで…俺たちは…どうしたらいい…?
相模さんの時みたくこのことをクラスのみんなの前で謝罪でもすればいいのか?」


少女A「いいえ、この件は相模さんの時とはちがいあくまで個人間の問題です。
クラスのみんなの前で謝罪する必要なんてないのは部外者である私でもわかります。」


三浦「なら…あーしらはどうしたらいいの…?」


少女A「どうしたらいい…ですか…?今回のことで少しでも責任を感じているなら…」


少女A「今すぐ比企谷くんの悪い噂をあなたたちで止めてください!」


少女A「あの噂の出処ってどう考えてもあなたたちですよね!
修学旅行で海老名さんたちの告白を目撃していた、
あなたたちグループの誰かが比企谷くんが告白の邪魔をしたという噂を流していた!
彼はこんな馬鹿げた茶番劇に協力させられた挙句悪い噂を立てられたんですよ!
この件で一番の被害者は戸部くんでも…ましてや海老名さんでもない!比企谷くんだ!
今あなたたちが恥を思うならそのくらいのことはやってもらいますからね!!」


普段は平穏なこの部室に彼女の怒号が飛び交った。

私だって彼女と同じ気持ちだ。

葉山くん如きに体良く利用されてその結果、比企谷くんを裏切ってしまった。

その償いは他の誰でもない…あなたたちでやってもうわなければ…

271: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:32:00.76 ID:UHGTTsig0

三浦「わかった…
ヒキオの噂はあーしが責任を持って止めるから。ヒキオにもあーしから謝っておくよ。」


葉山「優美子待ってくれ。それはキミがやる必要は…」


三浦「隼人…もう無理しないで…
あーしも隼人だけに問題を押し付けていたのは悪かったから。
けど実際問題を押し付けられていたのは…ヒキオだけだったけどね…」


海老名「結局私たちは、
都合の悪い問題を全部比企谷くんに押し付けた卑怯者の集まりだったわけだ。ハハハ…」


三浦「そうだ。いい機会だしもうあーしらがこうして集まるのは今日でやめようか!」


結衣「ちょっと待って!どうしてそうなるの!?」


海老名「当然だよ結衣。私たちのグループはこれで終わったんだよ。
みんな仲が良かったように見えて実は誰も本音を語らない偽物の関係…
それに比企谷くんを傷つけることで延命させてその寿命がようやく尽きただけなんだよ。」


葉山「待ってくれ!俺たちが仲違いすることは…!?」


葉山くんは必死に三浦さんと海老名さんを説得している。

けれど彼女たちは葉山隼人という男に…いや…ちがう…

このグループの男たち全員に失望している。

仲間の中傷を流す卑怯な大和くん、その中傷が流れているのに何もしない大岡くん。

他人を頼り自分の意思だけでは告白する勇気も出せない戸部くん。

それに全ての責任を他人に押し付けて平然としている葉山くん。

由比ヶ浜さんも葉山くんと一緒に二人を止めようとしているけどそれは無理よ。

これだけ醜い本性を晒してしまった彼らを女性陣が受け入れることは不可能なのだから…

273: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:33:53.72 ID:UHGTTsig0

三浦「あーしらはもう行くよ。邪魔したね。」


結衣「ねぇ…みんな…本当にこれでおしまいなの?もう仲良くできないの!?」


海老名「無理だよ、比企谷くんを傷つけておまけに…これだよ…
私たちみんなここで関係をリセットした方がお互いのためだから。
むしろこのままズルズルと関係を引き伸ばす方が危ないよ。」


雪乃「そうかもしれないわね。一度引き裂かれた関係は二度と元には戻らないのだから…」


『一度引き裂かれた関係は二度と元には戻らない』


思わず口に出してしまった言葉だが私にも心当たりがある。

事情も知らずに比企谷くんを蔑み、一度は彼を見捨ててしまった。

でも私たちは葉山くんたちとはちがう。

真実を知った今こそ比企谷くんともう一度関係をやり直すことができるはずだ。

この絶望しかない場面ではあるが私の中に淡い希望が生まれた。

274: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:36:47.02 ID:UHGTTsig0

少女A「戸部くん、今度告白する時は誰にも頼らずに自分一人ですることをお勧めします。」


戸部「こんな時に優しいこと言ってくれるんすね…」


少女A「私も…これから…片思いの人に告白する身ですから…
正直どんな返事がもらえるのかは恐いです。もしかしたら断られるかもしれないから…」


少女A「でも告白ってそういうものじゃないですか。
誰かに好きになってもらうのってそれくらい大変なことだって思いませんか?」


戸部「ハハ、そうっすね…俺…勘違いしてたんだな。
必ず告白成功させたいって結衣っちたちに頼んだのが間違いだったわ。
ヒキタニくんには悪いことしちまったわ…あとで俺からも謝っておかねーと…」


戸部くんは自らの行いを恥じて、比企谷くんの謝罪を決意して部室を去った。

それと同じく葉山くんも部室から出た。

けれど葉山くんの目は私を睨みつけていた。彼の目はこう語っている。

275: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:37:48.64 ID:UHGTTsig0


『よくも俺の王国を崩してくれたな!』



そんな怨念めいた恨み言が伝わってくる。

冗談じゃない。逆恨みもいいところだ。

あなたの所為で私は大切なものを失いそうになってしまった。

これはそんなあなたに下された罰だということを絶対に忘れないで…!

276: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:38:50.74 ID:UHGTTsig0

少女A「これで比企谷くんの悪い噂は解決しましたね。」


結衣「結局今回もみんな傷ついちゃったけど…」


雪乃「葉山くんに関しては手ぬるいくらいよ。彼にはもっと苦しんでもらいたいわね。」


これで彼女の依頼通り比企谷くんの悪い噂が流れた文化祭、修学旅行の件は片付いた。

でも彼女の依頼はこれで終わったわけではない。

まだ肝心なことが残っている。

279: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:44:18.01 ID:UHGTTsig0

少女A「明日、私は比企谷くんに告白しようと思います。」


結衣「明日って…そんな…早すぎだし!?」


雪乃「待ちなさい!今…彼は他のことで忙しいのよ!タイミングが悪いわ!?」


少女A「でも私は…もうこの想いを我慢することはできません!
だから私は比企谷くんに告白します!どんな結果になろうと後悔したくないから!!」


そう告げて彼女は部室を立ち去った。

私と由比ヶ浜さんは口には出さないがその表情は歪んでいる。

私たちは心の中でこう思った。

280: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:44:51.75 ID:UHGTTsig0

『やめて!』 『彼に告白なんかしないで!』


悔しいけど彼女の比企谷くんに対する想いは紛れもなく本物だ。

もうこれだけは認めるしかない。

恐らく彼女の想いは間違いなく比企谷くんに伝わってしまう。

どうにかしたい…けれど…どうしたらいいの…?

私はかつてないほど心の葛藤に苦しんだ。

281: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:47:28.29 ID:UHGTTsig0
ここまで
恋する暴走特急少女Aちゃんの活躍は続く

それと書いてて思いましたが葉山グループ男性陣で唯一無罪な大岡はかなり可哀想な気がします
282: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:48:12.58 ID:Y1S2bmbAO
>>281
乙でした。スカッとした!
284: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:51:13.42 ID:mXfjrcBR0
乙!
少女Aさん可愛過ぎ
葉山は学校中から信用を失うといいな
雪ノ下の身勝手さがどんどん増してるw
285: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/09(土) 00:52:04.15 ID:bn0Yqgip0

清々しいまでのブレイク、少女A超頑張れ
次スレ:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【後編】




このシリーズ:

雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【前編】


雪乃「比企谷くんを救うことになった。」【後編】


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