穂乃果「穂乃果は飽きた」【前編】<

1: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:25:20.08 ID:MAfiVdg6
――『穂むら』 居間

穂乃果「飽きた」

雪穂「何が? このおまんじゅう?」モグモグ

穂乃果「ちがうよー。私は穂乃果に飽きたの!」

雪穂「え? いきなり何言ってんのお姉ちゃん」

穂乃果「あのね、私はもう毎日毎日『高坂穂乃果』やるの正直飽きたんだよー。たまには他の人になりたいの!」

穂乃果「リーダーとか生徒会長とか! 私より向いてる人がいると思う!」

穂乃果「だから『高坂穂乃果』は他の人にゆずって、穂乃果じゃない別の人になりたい!」
2: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:25:47.82 ID:MAfiVdg6
雪穂「わけわかんないよ。そもそも他の人にって……なれるわけないじゃん……」

穂乃果「なれるよ! なろうと思えば何にだってなれる!」バン!

雪穂「わっ! いきなりテーブル叩くのやめてよびっくりするじゃん!」

雪穂(ヤバい……お姉ちゃんが壊れた)

雪穂「お姉ちゃんスクールアイドルと生徒会で疲れてるんだよ、きっと。毎日遅いし。ね、今日はもう寝よ?」

穂乃果「はー……考えてみればμ’sってみんな魅力的な子ばっかりだよねー! なりたいって憧れるのは自然なことだよ」

雪穂「聞こうよ妹の話」

穂乃果「なーなななーななーりたいなー!」

雪穂「それお姉ちゃんの歌じゃないでしょ?」

穂乃果「だって可能性感じたんだ!」

雪穂「自分の歌ならいいってものでもないよ!?」

穂乃果「そうだーススメー! よーし! そうと決まれば早速行動だよ!!」ダッ

雪穂「あっ!? お姉ちゃん!? ……行っちゃった……」
4: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:26:54.56 ID:MAfiVdg6




テクテク

穂乃果「さて張り切って飛び出してきたものの。どうしよう」

穂乃果「うーん……」テクテク

穂乃果「流石にこんなお願いを叶えてくれそうな人はいないよね。神様でもなければ……、あ」

穂乃果「そうだ! 困った時の神頼みだよ!!」
5: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:27:32.73 ID:MAfiVdg6
――神田明神

希「ん? ああ、穂乃果ちゃんやん」

穂乃果「希ちゃんやっほー!」

希「やっほー。穂乃果ちゃんはいつも元気やねぇ。今日はどうしたん?」

穂乃果「あ、うん。神様にお願いしようかなーって思って」

希「お願い?」

穂乃果「うん! ちょっと大変なお願いなんだけど、神様ならもしかしてって思ったんだ」

希「ふーん? よくわからないけど、お参りするなら歓迎するよー」

希「穂乃果ちゃんのお願いが何かは分からないけど、叶うとええね」

穂乃果「ありがとー希ちゃん! よーし気合入れてお願いするぞー!!」

希「ふふ、がんばってなー」
7: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:29:13.14 ID:MAfiVdg6
穂乃果「……よし! 気合入れていくぞー!」

穂乃果「お賽銭お賽銭……。うーん……よし! ここは奮発して……! えーい!!」500円玉

チャリーン

ペコ ペコ パン パン

穂乃果「ランチパック買おうと思ってとっておいた穂乃果のお小遣い! 神様これでどうかどうか……!」

穂乃果「穂乃果のお願いを聞いてください……!」

ペコリ

穂乃果「……」

シーン

穂乃果「…………」

シ――ン

穂乃果「………………やっぱりだめかぁ」
9: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:31:15.08 ID:MAfiVdg6
穂乃果「ちょっと期待はしてたんだけどなー。……ん?」

ヒラリ ヒラリ

穂乃果「あれ? 何か落ちてくる。何だろう……よっと」パシ

穂乃果「紙……?」

穂乃果「なんかおふだみたいだけど。うーん、変な模様みたいな字みたいなのが書いてある……でも読めないや」

ピラ

穂乃果「あ、裏にも何か書いてある……ええと」

『このおふだを まくらのしたにおいてねると あなたがなりたいと おもっているひとに なることができます』

穂乃果「なりたい人に……なれる?」
10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:32:09.17 ID:dzBeakao
マジかよ神田明神行ってくる
11: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:36:41.86 ID:MAfiVdg6
――『穂むら』

ガララ

穂乃果「たっだいまー!」ドタドタ

雪穂「あ、お姉ちゃんおかえり。ねえさっきの話だけど」

穂乃果「雪穂ごめんねー! 今から私寝るからー!」ダダダダ

雪穂「寝るっ!? た、確かにそう言ったけど!! もう!?」

穂乃果「それじゃ雪穂、起こさないでねー!!」

雪穂「えっ? あっ!? おねえちゃん!? 夕飯はーっ!?」

ガチャバタン

穂乃果「よっし! 寝るぞー!」

穂乃果「えっと、このおふだを枕の下に入れて……」ゴソゴソ

穂乃果「おっと着替え着替え。そしてカーテンを閉める!」シャッ
13: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:38:53.71 ID:MAfiVdg6
穂乃果「よーし準備万端! おやすみ~……」

穂乃果「えへへ……。次に目が覚めたら『穂乃果』じゃない新しい私かぁ~……。わくわくしちゃうね」

穂乃果「確か、私が『なりたい』と思ってる人になれるんだよね」

穂乃果「なりたい人、かぁ。でも改めて考えると、誰だろ……。やっぱりμ’sのメンバーかなぁ」

穂乃果「でも、それだけでもみんな魅力的で……私にはないもの、いっぱい持ってて……すごく素敵で……ふぁ……」

穂乃果「なってみたい、なぁ……。みんなに……」ウトウト

……………zzz
14: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:39:53.16 ID:MAfiVdg6




……!

(ん……)

……! ……さ………!!

(んぅ……なに……)

…………り! お……く…………い!

(誰……ねむいよ……)

こ……り! ……きて……く……だ……!

(この声……海未ちゃん? なんで……穂乃果の部屋に……? それに……)

……こと……! 

(誰かのこと呼んでるけど……もうちょっと寝てたい……)

海未「……起きてくださいっ!! ことり!!!!」
15: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:42:35.36 ID:MAfiVdg6
「うわぁっ!?」ガバァ

海未「ひゃっ!! ……ふぅ、ようやく起きましたか」

「海未ちゃん! いくらなんでも耳元でそんな大声出されたらびっくりするよ!」

海未「あ、すみません……。ことりが全く起きる気配がなかったので……」

「そうなんだ……。あれ? 海未ちゃんだけでなくことりちゃんまでいるの?」

海未「……? いるじゃないですか。まだ寝ぼけているのですか? まったく、居眠りなんてらしくないですよ」

「ふぅん? ことりちゃん居眠りしてたんだ?」

海未「え? ええ。確かに珍しいですよね。疲れでも溜まっていたのですか、ことり?」

「ねぇ海未ちゃん。海未ちゃんも疲れてるんじゃないの? ことりちゃんと間違うなんてさ」

海未「……これはかなり重症のようですね。ことり、今日はもういいですから、早めに帰って休んでください」

「そうだよことりちゃん! よくわかんないけど無理しちゃだめだよ?」

海未「…………あの、ことり」

「そう言えば、なんでさっきから海未ちゃんは私のこと見ながらことりちゃんって言うの?」

海未「え、あの……だって貴女が、南ことりじゃないですか」
16: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:45:17.34 ID:MAfiVdg6
「……あ、あはは。もう、海未ちゃんが冗談なんて言うと思わなかったからびっくりしたよ?」

海未「いえ、冗談でもなんでもないのですが」

ことり「ま、まだ言うの? 私がことりちゃんだなんて……そんなはず……」

(窓に映る私……じゃなくてことりちゃん……)

ことり「え」

海未「あの? どうかしましたか?」

ことり「……もしかして、私、ことりちゃんになってる?」

海未「…………もしかしても何も、貴女はことりですが」

ことり「…………」

海未「こ、ことり?」

ことり「えぇぇぇぇ!? ど、どういうことぉ――――っ!?」
18: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 23:06:00.27 ID:MAfiVdg6
海未「…………」ジーッ

ことり「はっ!?」

海未「ことり」

ことり「な、なに海未ちゃん!?」

海未「変なことを聞きますが。……貴女、ことりですよね?」

ことり「あ、ええっと。あはは……。や、やだなぁ。どこからどう見てもことりだよ?」タラリ

海未「そうですか? そうですよね……」

ことり「そ、そうだよ! そうに決まってるじゃん!!」タラタラ

海未「? やはり……どうにも今のことりと話していると、違和感がぬぐえないのですが……」

ことり「そ、それは海未ちゃんの気のせいじゃないかなぁ~」ダラダラ

海未「そうでしょうか。どうにも、今のあなたは南ことりというよりも……別の誰かを感じさせるような」

ことり?「だ、誰かって……? 私、じゃなかった、ことりが別の誰かのはずないよぉ?」

海未「ええ、分かってます。分かっているのですが……」ジィー

ことり?「ね、ねぇ海未ちゃん。あんまり見られると気になるんだけど」

海未「あ、すみません。ですがやはり今日のことりはどこか……そう、まるで中身が別の人のような……」

ことり?「あ、あははは……な、何を言い出すの?」ダラダラダラ

海未「そう言いながらも、顔色がよくないようですが? ことり」

ことり?「う」

海未「……正直に話した方が、いいのではないですか?」

ことり?「あっ! わた、ことり用事があるんだった! 急いでいかないと!」バッ

海未「あっ!? ことり!?」

ことり?「海未ちゃんごめんねーっ! またあとでーっ!!」ガチャ ダダダダッ

海未「あっ、待ち…………行ってしまいました」

海未「ことり、何かあったのでしょうか……」
29: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 09:19:02.57 ID:VVCH+/OD
――トイレ

パタン

ことり?「はぁ、はぁ、はぁ……は――っ」

ことり?「思わず逃げ出してきちゃったけど……こ、ここまで来れば一安心、かな」キョロキョロ

ことり?「あ、鏡。さっきは驚いてあんまりちゃんと見れなかったけど……」ヒョイ

ことり?「わぁー! すごい、本当にことりちゃんだ……!」

ことり?「ことりちゃん、髪長いよねー。この髪型も似合ってるし。すごい、さらさら……」

ことり?「ほっぺたもぷにぷにだぁ……」ペタペタ

ことり?「くるっとくるっと回ってみたりして」クルクル

ことり?「……やっぱりかわいいなぁ」

ことり(穂乃果)「そっかぁ。今は私――穂乃果じゃなくて、ことりちゃんなんだ……」

ことり(穂乃果)「じゃあ、あのおふだ……本当に本物だったんだ……」

ことり(穂乃果)「ふーむ」

ことり(穂乃果)「やんやんっ、おくれそうですっ♪」

ことり(穂乃果)「穂乃果ちゃんっ♪」ニコ

ことり(穂乃果)「えへへ……なんか自分のはずなのに自分じゃないから、照れるね」

ことり(穂乃果)「あ、そう言えば、ここ、音ノ木だよね……。どう見ても穂乃果の部屋じゃないし」

ことり(穂乃果)「私、自分の部屋で寝てたはずなんだけど……どうしてなんだろう?」

ことり(穂乃果)「もしかして……夢なのかなぁ」ツネリ

ことり(穂乃果)「いたた」

ことり(穂乃果)「痛かった……じゃあ、夢じゃないのかな?」

ことり(穂乃果)「あ、ことりちゃんのほっぺが赤くなっちゃった」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんねことりちゃん!? って今は私だっけ」

ことり(穂乃果)「……」

ことり(穂乃果)(ちょっと涙目でこっちを見つめてくることりちゃん、可愛いかも……)ドキドキ
32: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:38:46.59 ID:VVCH+/OD
ことり(穂乃果)「はぁー…………満足したぁ!」

ことり(穂乃果)(なんだか楽しくなってきて、いろんなポーズとったり、いろんな表情してみたりしちゃった)

ことり(穂乃果)「写真に残せなかったのが残念だよお」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんに知られたら怒られるかなぁ? で、でも大丈夫だよね! 今は私がことりちゃんなんだし!!」

ことり(穂乃果)「……後で何か御馳走しよう……うん。だからもうちょっとだけ、ことりちゃんを楽しんでもいいよね?」ビクビク

ことり(穂乃果)「うん。そうしよ。けってーい」

ことり(穂乃果)「さてとーあとは」

ことり(穂乃果)「んー……ことりちゃんになったわけだけど、いざなってみると……どうしようかな?」

ことり(穂乃果)「せっかくだしライブ……って言ってもいきなりは無理かなぁ。うーん……」

ことり(穂乃果)「いざなってみると、意外と思いつかないね」

ことり(穂乃果)「ゆっくり考えよっと」

ことり(穂乃果)「そうだ、慌てて海未ちゃんからも逃げちゃったから、さっきの説明もしておかないと……」

ことり(穂乃果)「でもどう言えばいいんだろう。『あのね海未ちゃん、私、ことりちゃんじゃなくて穂乃果なんだ!』」

ことり(穂乃果)「……こんなこと言っても信じてもらえそうにないよぉ……」

ことり(穂乃果)「誤魔化したままの方がいいのかなぁ。『ごめんね海未ちゃん。やっぱりちょっと寝ぼけてたみたい』とか」

ことり(穂乃果)「でもことりちゃんの振りをしてみんなをだまし続けるのも、なんだか……」

ことり(穂乃果)「あ。そう言えば今は私がことりちゃんってことは、本当のことりちゃんと、穂乃果はどうなってるんだろう?」

ことり(穂乃果)「うむむ……でもこんなこと、誰にも聞けないよねぇ」

「あっ、ことり?」
33: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:41:50.13 ID:VVCH+/OD
ことり(穂乃果)「えっ?」

絵里「こんなところでどうしたの?」

ことり(穂乃果)「あ、絵里ちゃん。うん、ちょっとね」

絵里「海未が探してたわよ? いきなり生徒会室を飛び出していったからって。……大丈夫なの?」

ことり(穂乃果)「そ、そっか。大丈夫。ごめんね、絵里ちゃんにも心配かけちゃって」

絵里「いいのよ。ことりに何もなければそれで」

ことり(穂乃果)「えへへ……ありがとう」

絵里「うふふ、どういたしまして。元と現生徒会長同士じゃない? 私がことりのことを気にするのは当たり前よ」

ことり(穂乃果)「あ、うん……? って、ちょっとまって。現生徒会長って……? 私のこと?」

絵里「そうよ。それ以外にいないでしょ?」

ことり(穂乃果)「な、なんで分かったの!? だって今の私はことりちゃんなんだよ?」

絵里「……何言ってるの? 分かるも何も、現生徒会長はことり、貴女だけでしょ」

ことり(穂乃果)「……え」
34: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:43:13.32 ID:VVCH+/OD
絵里「忘れたの? 私の後の生徒会長は、南ことり、ってちゃんと決まったじゃない」

ことり(穂乃果)「あ、そうなんだ? ……じゃなくて! そんなはずないよ!」

絵里「そんなはずない?」

ことり(穂乃果)「そうだよ! ことりちゃ……ことりは確かに生徒会だけど、会長はわた……じゃなくて穂乃果ちゃんでしょ!?」

絵里「穂乃果って……ええと、あなたの友達のことかしら?」

ことり(穂乃果)「……え? 穂乃果だよ? 高坂穂乃果! 絵里ちゃん知ってるでしょ!?」

絵里「あら、違った? ごめんなさい。私、その高坂さん?とはあまり話したことないから……」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……、何それ……だって絵里ちゃんと私は……」

絵里「ことりの友達なら、その子も海未みたいに生徒会に入ってくれればよかったんだけど。まあ、仕方ないわね。無理強いはできないもの」

ことり(穂乃果)「ま、待って待って……穂乃果、生徒会に入らなかったって……絵里ちゃんともあんまり話してないって……」

絵里「ことり、大丈夫? 真っ青よ?」

ことり(穂乃果)「なんで……? だ、だって穂乃果と絵里ちゃんは生徒会以外でもμ’sで……」

絵里「みゅー、ず? 石鹸……のこと?」

ことり(穂乃果)「も、もう……やめてよ絵里ちゃんそんな冗談……。μ’sだよ! スクールアイドル! 私たち9人の!」

ことり(穂乃果)「みんなで頑張って、いっぱいライブして……音ノ木坂の廃校だって阻止したじゃん!!」

絵里「スクールアイドル? ええと、ごめんなさい。ことりの言っていることがよくわからないのだけど」

ことり(穂乃果)「……うそ、だよね」

絵里「確かに、音ノ木坂の廃校を認めたくない気持ちは分かるわ。でも、もうどうしようもないことなの」
35: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:47:07.56 ID:VVCH+/OD
ことり(穂乃果)「え……廃校? 待って……なに、それ……そんな」

絵里「ことりや海未が一生懸命頑張ってくれたことは私も知ってる」

絵里「もちろん、私と希、それに学院の皆も。理事長……あなたのお母さんも、誰もが存続のために、精一杯努力してたわ」

ことり(穂乃果)「やめて……やめてよ……」

絵里「私も自分の母校がこんな形でなくなるのは悲しい」

絵里「でも、ことりたちが『それでも最後まで、音ノ木坂学院として、ちゃんとやりたい』って生徒会を継いでくれて、嬉しかったの」

ことり(穂乃果)「やだ、やだよ……」

絵里「だから、最後くらい、私も精一杯やりたいようにって。素直にあなたたちを応援することにしたのよ」

ことり(穂乃果)「やだ……最後なんて……そんなの、聞きたくないよ……」

絵里「そうね……。私も、辛いわ。もしかしたら、学院を続ける方法がなにかあったかもしれない、って思うこともある」

ことり(穂乃果)「…………じゃあ」

絵里「でも、きっと何かが足りなかったのよ。だから、失敗した。それに、もう……」

ことり(穂乃果)「…………」

絵里「ごめんなさいね。あなたたちはとっても頑張ってくれたのに、今更こんな話」

ことり(穂乃果)「ううん。私こそ、ごめんなさい……」

絵里「ことりが気にすることじゃないわ。廃校が決まったって言っても、今はまだ、私たちは音ノ木坂学院の一員よ」

絵里「最後の最後まで、残された貴重な時間を精一杯過ごしましょ。いつか、いい思い出になるように」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「じゃあ、私は行くわ。またね、ことり」スタスタ

ことり(穂乃果)「うん……じゃあね、絵里ちゃん」

絵里「でも……スクールアイドル、か……」ピタ

絵里「今更だけど、なんだかそういうのも面白そうだったかもね」

絵里「もし生徒の誰かがそんなことを言い出してたら……いいえ、今更言うことじゃないわね」

ことり(穂乃果)「あ……」

絵里「じゃあね。ことり、あなたのせいじゃないんだから、あまり気にしすぎないようにね?」

ことり(穂乃果)「……」
37: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:59:19.34 ID:rdqxBm/O
やっぱそうなるよなあ……
38: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:21:08.51 ID:4afVcbBC
シリアスか…
39: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:43:28.94 ID:VVCH+/OD
ことり(穂乃果)「……」

「ちょっとあんた、大丈夫? 顔色悪いけど……」

ことり(穂乃果)「う、うん……平気。……あ」

にこ「何だ、誰かと思えば生徒会長じゃない」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「にこちゃん? 何? 生徒会長とはいえ、あんた下級生でしょ? にこ、三年なんだけど」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめんなさい。にこちゃ……矢澤さん」

にこ「ま、いいけどね。前の会長もあんたも、にこの部活、廃部にしないでくれたし……気にして何度も見に来てくれたし」

ことり(穂乃果)(そうだ。μ’sができなかったから、にこちゃんも……)

にこ「まったく。希か、あんたくらいよ、あの部室に来るのなんて」

ことり(穂乃果)「ご、ごめん」

にこ「はぁ、別に怒ってるわけじゃないわよ。……衣装作るの、好きなんでしょ?」

ことり(穂乃果)「あ、え? う、うん……」

ことり(穂乃果)(って言っても、穂乃果じゃなくてことりちゃんが、だけど……)

にこ「……本当、感謝はしてるのよ? 実際に使うことはなかったけど、何着も衣装、作ってくれて……」

にこ「あんたの作る衣装、とってもかわいくて……着てると、本当にアイドルになったみたいで」

ことり(穂乃果)「そうなんだ……」

にこ「そうよ。それに悪乗りした希とあんたと一緒に衣装を着て、こっそり三人で歌ったりしたのは……楽しかったし……」

ことり(穂乃果)(やっぱりにこちゃん、アイドル好きなんだ……やりたかったんだ……)
41: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:54:16.49 ID:VVCH+/OD
にこ「あ、今のなし! 忘れなさい! いいわね?」

ことり(穂乃果)「は、はい!」

にこ「よし! でもま、感謝してる、ってのは本当だから。それは忘れなくていいわ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「ってまた呼び方……。いや、もういいわ。あんたの好きなように呼べば」

ことり(穂乃果)「ありがと……」

にこ「で?」

ことり(穂乃果)「え?」

にこ「何しょぼくれてんのよ。って言っても、大体わかるけどね。学院のことでしょ?」

ことり(穂乃果)「う、うん……廃校って……」

にこ「そうね。仕方ないことなんだろうけど……でもやっぱ、それで納得できるかって言ったら、ね……」

ことり(穂乃果)「ねぇ、にこちゃん?」

にこ「何よ生徒会長」

ことり(穂乃果)「もし、もしね? 誰かが『学院をなくさないために、一緒にスクールアイドルやろう!』って言ってたら……」

にこ「スクールアイドル? A-RISEみたいな?」

ことり(穂乃果)「うん。それで、音ノ木坂に生徒を集めるために、活動するの。そんなことを誰かが言ったら、一緒にやってくれた?」

にこ「…………そうね。まあ、そいつがどれだけ真剣かにもよるけど。もしかしたら、ね」
42: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:55:38.82 ID:VVCH+/OD
ことり(穂乃果)「じゃ、じゃあ」

にこ「でもね生徒会長。もう遅いわ。にこも卒業するし、今からじゃアピールの時間も場もないわ」

にこ「そもそも、ぽっと出が一年ちょっとでA-RISEレベルになるなんて夢も夢、奇跡みたいなもんよ。スクールアイドルって言葉でいうほど簡単じゃないのよ」

にこ「何より今から廃校の決定を覆すのは無理よ。大人の、決定だもの……」

ことり(穂乃果)「そんな……」

にこ「ああもう! あんたのせいじゃないんだから、泣くんじゃないわよ!!」

ことり(穂乃果)「ぐす……でも……」

にこ「にしても、意外だったわ。あんたがスクールアイドルに興味があったなんてね」

ことり(穂乃果)「え、あ、それは……」

にこ「いや、いまさらか。なるほど、だからアイドル衣装にも興味があったわけね。納得したわ」

ことり(穂乃果)「? うん」

にこ「……惜しかったかな……それに早く気づいていれば、アイドル研究部に勧誘できたかも……?」ブツブツ

にこ「……そうよね、この子ルックスもいいし……声も可愛い。にこには勝てないにしても、結構いい線行くんじゃない?……」ブツブツ

にこ「にこと生徒会長、そして希辺りも面白がりそうだし……ユニット行けたんじゃない、これ……」ブツブツ

ことり(穂乃果)「あの、にこちゃん?」
43: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:56:39.31 ID:VVCH+/OD
にこ「ぴぃーっ!? な、なに生徒会長!?」

ことり(穂乃果)「わ!? い、いやなにぶつぶつ言ってるのかなーって」

にこ「ななな何でもないわよ!?」

ことり(穂乃果)「そう……、なんか勧誘とかユニットとか……」

にこ「何でもないったら! ほらほら、あんた生徒会長なんだから忙しいんじゃない? もう行った行った!」

ことり(穂乃果)「わっ、わっ!? お、押さないでよ~!」

にこ「いいからもう行く! こんなところで突っ立ってても邪魔でしょ! にこも忙しいんだから」

ことり(穂乃果)「わ、分かったよぉ! いく、行くから~!」

にこ「……生徒会長。ことり、だっけ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

にこ「暇だったら、また部室来なさいよ……。あんたのファッションモデル位、いつでもやってあげるから……」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「これでも先輩なんだから、アドバイスくらい、できるかもしれないし……さ」

ことり(穂乃果)「う、うん……ありがとう」

にこ「じゃあね。生徒会長」
44: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:59:26.06 ID:58Trjfkj
悲しいなあ
47: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 17:30:16.80 ID:92bqbKCT
入れ替わりほんわか系かと思ったらそんなことなかった
48: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 17:31:20.14 ID:VVCH+/OD
――生徒会室

ことり(穂乃果)「戻ってきちゃった……。ま、まだ海未ちゃんいるかな?」

ことり(穂乃果)「しつれいしまーす……」

キィィ

ことり(穂乃果)「あ……誰もいないや。海未ちゃんも帰ったのかな?」

ことり(穂乃果)「ひとり、だね。立ってても仕方ないし……座ろっか……」

ことり(穂乃果)(改めて見回すと、何だか生徒会室も見慣れない部屋に感じる。一人だから? それとも……)

ことり(穂乃果)「私がことりちゃんになったって、お願いがかなったなんて、そんな気持ち、すっかり冷めちゃったよ」

ことり(穂乃果)(暗くなりはじめた窓に、泣きそうなことりちゃんが映る)

ことり(穂乃果)「夢ならいいのに……。μ’sは無くなってて、学院も……」

ことり(穂乃果)(穂乃果がことりちゃんになったから……? だから、誰もスクールアイドルをやろうって言わなかった?)

ことり(穂乃果)(だから……μ’sも無くなっちゃった。みんなとの思い出もなくなって)

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院も……無くなっちゃう……」

ことり(穂乃果)「こんな、こんなのないよ……。こんな世界なんて、ひどい、ひどすぎるよ……」

ことり(穂乃果)(なんでこんなことに? 誰のせい?)

ことり(穂乃果)「分かってる。私のせいだ……」

ことり(穂乃果)「私が穂乃果をやめちゃったからだ……」

ことり(穂乃果)「穂乃果をやめたいなんて言って……他の誰かになっちゃったから……」

ことり(穂乃果)「多分、この世界には穂乃果がいない……。それだけで、何もかも違っちゃったんだ……」

ことり(穂乃果)「私は、そんなつもりじゃなかったのに……」

ことり(穂乃果)「ごめん、みんな……。ごめんなさい、穂乃果、ことりちゃん……」ポロ

ことり(穂乃果)(あ、何だか……ことりちゃんを泣かしちゃった、みたい、だね……)

ことり(穂乃果)「な、泣いちゃだめだ。そんなのダメだよ」ゴシゴシ

ことり(穂乃果)「そうだ。なんとかしないと。でも、どうすれば……」
49: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 17:41:40.07 ID:VVCH+/OD
ガチャ

ことり(穂乃果)「あっ」

希「ことりちゃん、ここにいたんやね」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……。う、うん」

希「浮かない顔やね。生徒会長がそんな顔じゃあかんよ。それに、せっかくの可愛い顔が台無しやん」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい」

希「まあ、分からなくはないけど……学院が、無くなっちゃうって聞いたら、ね」

ことり(穂乃果)「う、うん」

希「でも、本当の理由は、それじゃないんやない?」

ことり(穂乃果)「え……?」

希「音ノ木の生徒はみんな、廃校のことで悲しんでる」

希「でも、もうどこかで諦めて、次第に仕方ないことだって思い始めてた」

希「えりちやうち、海未ちゃんもそう。そして……それはことりちゃんもそう」

希「それが悪いことなんやない。多分、それは当たり前のこと」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……」

希「でも、『今の』ことりちゃんの表情はそうやない」

希「まるで今日、初めて廃校のことを知ったみたいやよ。それだけやない、全部自分のせいだ、って顔やん」

ことり(穂乃果)「そ、そんな顔してるかな……私。分かんないよ」

希「うちでもなくても一目瞭然よ。多分、えりちや海未ちゃんでもそう思うんやないかな」

ことり(穂乃果)「そう……なんだ」

希「ことりちゃん、誰のせいでもないんよ。だから、気にせんでも……」

ことり(穂乃果)「ううん、違うよ。これは……私のせいなんだ」

希「ことり、ちゃん」
50: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:06:49.11 ID:VVCH+/OD
希「そうか……もしかして、とは思ったけど。やっぱり、そうなんやね」ジッ

ことり(穂乃果)「希ちゃん?」

希「あなたは……ことりちゃんじゃないんやろ? 違うか……ことりちゃんだけど、心か魂が別の人……そうやね?」

ことり(穂乃果)「わ、分かるの!?」

希「当たりみたいやね? ふふん、うちを甘く見たらあかんよ?」

ことり(穂乃果)「で、でも……こんなお話みたいなこと」

希「まあ普通なら信じられないやろうけど、ね。ことりちゃん、すっごく深刻な顔しとるし。嘘や冗談なんかやないんやろ」

ことり(穂乃果)「う、うん……」

希「それにね……スピリチュアルなことなら、うちにまかしとき♪」

ことり(穂乃果)「あはは……やっぱり希ちゃんは、希ちゃんだね……」

希「ふふ、やっと笑ったやん。やっぱりことりちゃんは、笑ってた方がかわええよ?」

ことり(穂乃果)「あっ、う……」

希「お、照れとるん? それにしても、あなたがいた場所にもうちがいるんやね。なんか、不思議な感じやん」

ことり(穂乃果)「うん……とっても優しくて、いつも助けられてたよ」

希「そ、そっか……。なんかあらためて言われると、恥ずかしいね……」

ことり(穂乃果)「えへへ。さっきのお返しだよ」

希「う。ご、ごほん。それで……あなたの知ってるうちとは違うかもしれないけど、話してみない?」

ことり(穂乃果)「うん。私も、聞いて欲しい……」
51: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:11:30.74 ID:2xlr9cFD
雰囲気いい
52: 名無しで叶える物語(試される大地)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:17:38.52 ID:q6A0oHBK
ぬ~べ~の枕返し思い出した
53: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:23:17.24 ID:VVCH+/OD




希「ふむふむ……それで、別の人になりたい、って思って、気が付いたらことりちゃんになってたんやね」

ことり(穂乃果)「う、うん……そう」

希「高坂、穂乃果さんか……。うーん、うちも知らない子やね」

ことり(穂乃果)「やっぱり、ここに穂乃果はいないんだね」

希「ほらほら、そんな顔したらあかんって。逆に言えば、あなたにはあなたがいるべき場所があるってことやん」

ことり(穂乃果)「いるべき、場所」

希「そうそう。だから、あなたは元の場所に帰らなあかんよ」

希「きっとその世界のうちやえりち、海未ちゃん、そしてことりちゃんはあなたを待ってる」

ことり(穂乃果)「うん」

希「にしても、高坂……高坂、か。どこかで……ああ、確かえりちの妹さんの友達に、高坂さんって子がいたかも」

ことり(穂乃果)「亜里沙ちゃんの? ならその友達って、雪穂のことかな」

希「亜里沙ちゃんのこと知っとるん?」

ことり(穂乃果)「うん。よく知ってるよ」

希「へぇ、やっぱりことりちゃん……違った、ええと高坂さんか。あなたの世界とほとんど一緒なんやね」

ことり(穂乃果)「そうなのかも」

希「うちはその雪穂さんとは会ったことないけど。確かに、そんな名前だったかも。和菓子屋さんの一人娘さんやっていうし」

ことり(穂乃果)「一人娘……じゃあ、やっぱり穂乃果はいないんだ……」

希「ほらほら、そんな顔したらあかんよ。何とかして元いた世界に戻るんやろ」

ことり(穂乃果)「う、うん。そうだね。でも、どうしたら……」
54: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:39:31.67 ID:VVCH+/OD
希「ねえ、ことりちゃ、じゃなくて高坂さん」

ことり(穂乃果)「あ、ことりちゃんでいいよぉ。希ちゃん、呼びづらいでしょ?」

希「そう? 確かに、うちはことりちゃんのことを高坂さん、って呼んでるのを誰かに聞かれたら困るか……」

ことり(穂乃果)「あ、そうだよね。今は私がことりちゃんだもんね。別の名前で呼んだらおかしいもんね!」

希「え、気付いてなかったん? てっきり」

ことり(穂乃果)「そこに気付くなんてすごいね希ちゃん!!」

希「……うん。うちもなんとなく、あなたのことが分かってきた気がするわ。でも、そういう子の存在って、大切なんかもしれんなぁ」

ことり(穂乃果)「?」

希「ああ、こっちの話やから、気にしないで。それじゃ、ことりちゃん、って呼ばせてもらうね」

ことり(穂乃果)「うん。でもやっぱり、ちょっと変な感じ」

希「あはは、それは慣れてもらうしかないなぁ。で、ことりちゃん。もう一度聞きたいんやけど」

ことり(穂乃果)「う、うん。何?」

希「別の人になりたい、って思っただけで、あなたはことりちゃんになったん? 何か、特別なことをしたんやない?」

ことり(穂乃果)「特別なこと……?」

希「そう。おまじないとか、そういうの。たぶん、何かあると思うんやけど……」

ことり(穂乃果)「おまじないって言っても……私は、寝て起きたらことりちゃんに……あっ」

希「何か思い出したん?」

ことり(穂乃果)「そうだ……! 私、お参りの時に拾ったおふだを……!!」

希「おふだ?」

ことり(穂乃果)「うん! あのおふだだ! あのおふだを……! そうだよ!」ガタッ

ことり(穂乃果)「穂乃果の部屋だ……! 行かなきゃ!!」ダッ

希「あっ、ことりちゃん!? ちょっと待ち!?」
63: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 20:44:24.15 ID:emLwwpZK
――『穂むら』

ことり(穂乃果)「はぁっ、はぁっ、着いた!」

ガララッ

ことり(穂乃果)「ただいまー!!」

雪穂「いらっしゃ……」

ことり(穂乃果)「雪穂!」ガタッ

雪穂「えっ!? あの?」

ことり(穂乃果)「私の部屋ってあるよね!! 入るよ!!」

雪穂「ちょ、ちょっと待ってください! 困ります! 勝手に上がられては!」ガシッ

ことり(穂乃果)「邪魔しないで!」グググ

雪穂「何なんですか!? やめてください! 人を呼びますよ!!」

ことり(穂乃果)「雪穂、お願い! 大事なことなの!」

雪穂「わけが分かりませんよ! そもそもあなた、誰なんですか!?」

ことり(穂乃果)「え……?」

ことり(穂乃果)「わ、私だよ? 雪穂、分かるでしょ?」

雪穂「すみませんが、初めてお会いする方だと。その制服、音ノ木坂学院の生徒さんですよね?」

雪穂「確かに、音の木坂の生徒で知っている人はいますが。あなたとお会いした記憶はないんですけど」

ことり(穂乃果)「そんな……だって、雪穂は……私、は……」

雪穂「……? ともかく、営業の邪魔です。申し訳ありませんが、お引き取りを」

ことり(穂乃果)「雪穂……」

雪穂「まだ、何か?」
64: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 20:45:18.68 ID:emLwwpZK
ガララ

希「はあっ、はぁっ、追いついた! ことりちゃん!!」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……」

希「その様子だと、間に合わなかったみたいやね……。ことりちゃん、それじゃダメなんよ。だって今のあなたは……」

ことり(穂乃果)「え、あ……」

雪穂「あの、あなたは?」

希「あ、ごめんね。うちは東條希。この子……南ことりちゃんと同じく、音ノ木坂学院の生徒やよ」

雪穂「はぁ、その東條さん……と南さんが、うちに何かご用でしょうか?」ジロ

ことり(穂乃果)「……」

希「実はね、うちの友達に絢瀬さんって子がいるんやけど。その子が妹さんから頼まれてね?」

雪穂「絢瀬……妹……? もしかして、亜里沙のことですか?」

希「そうそう。亜里沙ちゃんが前に高坂さんのところに遊びに来た時に、落とし物をしたらしくて。それを探してほしいって頼まれたんよ」

希「でも、そのお姉さん……絵里さんっていうんやけど、彼女はなかなか忙しくって。うちと、ことりちゃんにお願いされたんよ」

希「代わりに、高坂さんの家に行って探してきてくれないか、って」

ことり(穂乃果)「え……」

希「ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「あっ、そ、そうなんだよ! それで急いできたものだから」

希「ことりちゃん、一生懸命になるあまりちょっと慌てちゃったみたいなんよ。だから、迷惑かけちゃったかもしれんけど」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい。雪穂……ちゃん」

雪穂「……そういうことだったんですか。はぁ、それならそうとちゃんと言ってくださいよ」

希「ごめんね」

雪穂「いえ、こちらこそ事情も知らずにすみませんでした。ですから、もういいですよ」

雪穂「私は店番があるのでお手伝いできませんが、私の部屋は上にありますから」

希「ありがと。じゃあ、ちょっとお邪魔させてもらうね」

希「ほら、ことりちゃんも」

ことり(穂乃果)「う、うん。お邪魔……します……」
67: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:12:27.05 ID:emLwwpZK
――公園

ことり(穂乃果)「…………」

希「ことりちゃん……」





――ここだよ! ここが私――穂乃果の部屋なんだ!

――希ちゃん、ほら、どうぞ!

――えへへ、本棚とね、机と、ベッドがあるだけの普通の部屋だから、つまらないかもしれない……けど……。

――……え?

――な、なに……これ……。ここが、穂乃果の部屋のはずなのに……。

――私の部屋、こんなじゃなかった。これじゃ、物置みたい……。

――ここにあったはずの……ベッドも……ない……。

――お、おふだは……? あのおふだがないと、私は……。ほ、穂乃果に戻れないよ……?

――ねえ、どこ? どこに……あるはずでしょ? あるはずだよ、そのはずだよね!?

――嘘。どこにも……無い……そ、そんな……。





ことり(穂乃果)「あ、あはは……よく考えれば、当たり前……だよね……」

ことり(穂乃果)「ここには穂乃果はいないんだもん。穂乃果の部屋があるわけ、ない……よね……」ポロポロ

ことり(穂乃果)「雪穂も……私とは姉妹でも……ひっく、なんでも……ないんだ……」

希「……」

ことり(穂乃果)「この世界では、私はことりちゃんだから……。本当は穂乃果なのに……穂乃果のことは、誰も知らないんだ……」

希「!」

ことり「穂乃果は……一人ぼっちなんだ……!」
68: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:14:10.28 ID:emLwwpZK
希「ことりちゃん。ううん、穂乃果ちゃん!」ギュッ

ことり(穂乃果)「のぞみ、ちゃ……?」

希「ごめん、うちは今の穂乃果ちゃんの気持ち、本当の意味では分かってあげられないかもしれない」

希「でも、うちは知ってるから。あなたが、あなたは本当は『高坂穂乃果』ってこと。うちは知ってるから……」

ことり(穂乃果)「あっ……」

希「だから、あなたは一人じゃない。大丈夫、大丈夫だよ……」ギュウゥ

ことり(穂乃果)「あり、がとうっ……うぅ、あ……のぞ、み、ちゃん…………」ギュゥ

希「つらいよね。悲しいよね……でも、うちがいるよ。うちは、穂乃果ちゃんの味方やから……!」

ことり(穂乃果)「う……あ……あぁ……うわあぁぁぁぁぁん……! あああぁぁぁぁぁん……!」

希「穂乃果ちゃん……」ナデナデ

希「大丈夫、うちがついてる。きっと、大丈夫だから……」
69: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:45:55.25 ID:emLwwpZK
希「落ち着いた?」

ことり(穂乃果)「……うん」

希「なら、よかった。でも、無理しちゃあかんよ?」

ことり(穂乃果)「……大丈夫。ありがとう、希ちゃん。ごめんね。迷惑、かけちゃった」

希「ええんよ。一人ぼっちで不安になる気持ちは、うちも分かるつもりやし。それに、ことりちゃんのかわいい泣き顔、見せてもらったしね」

ことり(穂乃果)「の、希ちゃん!!」

希「ふふ、ごめんごめん。うん、でもやっぱりことりちゃんには泣き顔は似合わないんよ。元気に笑ってる顔が一番。きっとそれは、『穂乃果ちゃん』もそうやん?」

ことり(穂乃果)「……うん。そうかも。……そうだね。私も、みんなに笑顔でいて欲しい、って思う。そしてみんなも……そうだった」

希「せやね。うちもそう。周りのみんなに、いつも笑っていてもらいたい。だから穂乃果ちゃん、つらいときこそ、笑顔を忘れたらあかんよ」

ことり(穂乃果)「うん。ありがとう、希ちゃん。希ちゃんがいてくれて、よかった」

希「どういたしまして。ことりちゃんも……穂乃果ちゃんも二年生なら、ウチの後輩やもん。先輩のこと、どんどん頼ってええんよ?」

ことり(穂乃果)「あはは……言われなくても、もう、いっぱい頼っちゃってるかも」

ことり(穂乃果)(やっぱり……この世界でも、希ちゃんは希ちゃん、なんだね……。なんだか、安心する……)

希「さて……それじゃ、これからどうするか、やね」

ことり(穂乃果)「どうするか、って言っても……。穂乃果の部屋が無くなって、あのおふだも無いんじゃ、もう……」

希「そこなんやけどね。元々、この世界には『穂乃果ちゃん』がいないなら、あの部屋におふだがある可能性は低いと思うんよ」

ことり(穂乃果)「え、どういうこと……?」

希「つまりね、そのおふだが一番最初から『穂乃果ちゃんの部屋』にあったっていうならともかく、そうじゃないならまだ可能性はあるんよ」

ことり(穂乃果)「???」

希「ことりちゃん、さっき言ってたやん、『拾った』って。向こうの世界では、『穂乃果ちゃん』はおふだを何処かから自分の部屋に持ってきたんやろ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

希「なら、こっちの世界でも、その『元々あった場所』におふだがあるとは考えられん?」

ことり(穂乃果)「あ……! そ、そっか!!」

希「ね? ちょっと希望が見えてきたやん?」

ことり(穂乃果)「うん! うん!! そうだよ! きっとそうだ!!」

希「ふふ、元気出て来たみたいやね。それじゃことりちゃん、おふだを拾ったって場所、行ってみよう?」

ことり(穂乃果)「うん! 行こう希ちゃん、神田明神へレッツゴーだよ!!」
70: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:06:54.06 ID:emLwwpZK
――神田明神

希「はぁー、しかし、まさかこことはねぇ。さっき聞いたときもそうだったけど、やっぱりびっくりやん」

ことり(穂乃果)「どうしたの、希ちゃん?」

希「ん? えっと、そっちの世界のうちはどうかわからないけど。うち、ここで時々巫女さんやってるんよ」

ことり(穂乃果)「あ、やっぱりそうなんだ」

希「やっぱりってことは、そっちのうちも巫女さんやっとるんやね。他人とは思えないなぁ……って、当たり前か」

希「そもそも『穂乃果ちゃん』からすると、うちも、そっちの世界のうちも、同じ『東條希』って感じやろうしね」

ことり(穂乃果)「よくわからないけど、多分そうだと思うよー。希ちゃんは希ちゃんだもん」

希「ありがと。まあ、深く考えても仕方ない問題やね。……と、ここをくぐれば、境内やね」

ことり(穂乃果)「んー、あんまり人がいないね……」

希「平日の夕方やしね。うちらにとっては、探し物しやすくて好都合かもしれんね」

ことり(穂乃果)「うん、そうだね」

希「ことりちゃん、そのおふだ、どこで拾ったん?」

ことり(穂乃果)「ええと……お参りをして、帰ろうとしたときに、空から落ちてきて……」

希「ふむふむ……。落ちてきた、ってことは……どこか高いところに貼ってあったんかもしれんね」

ことり(穂乃果)「なるほど。確かにそうかも」

希「屋根とか、柱とか……建物だけでも結構あるし、一つ一つ見て回ろっか」

ことり(穂乃果)「了解だよ! 希隊長!」

希「希隊長……ふふ、よし! ではことり隊員! 調査開始や!!」
71: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:40:54.87 ID:emLwwpZK




希「うーん……建物に、柱、鳥居、植木まで、全部確かめたと思うんやけど……」

ことり(穂乃果)「それらしいのは、見つからなかったね……」

希「見落としたんかなぁ……」

ことり(穂乃果)「うぅん……しっかり見たつもりなんだけど」

ことり(穂乃果)「やっぱり、元々おふだなんてないのかなぁ……」ジワ

希「ことりちゃん、諦めたらあかんよ。無いと決まったわけじゃないんやし」

ことり(穂乃果)「でも、これだけ探して見つからないんじゃ、もう……」

希「ほら、俯いちゃダメやって。そうだことりちゃん、そのおふだって、どんなやつなん?」

ことり(穂乃果)「う、うん。えっとね。白くて長細い紙に、よくわかんない模様みたいな文字みたいなのが書いてあって」

希「ふむふむ……よくわかんない模様かぁ、まさに呪文とか、まじないの札っぽいやん」

ことり(穂乃果)「だよね。私もそう思ったんだ」

希「普通に買えるおふだとは違うんよね?」

ことり(穂乃果)「うん」

希「ふーむ……あ、じゃあ、あそこの女の子が持ってるやつみたいな感じ?」

ことり(穂乃果)「え、どれどれ……? あ、そうそう!! ちょうどあんな感じ……って」

ことり(穂乃果)「あ――――っ!! あ、あれ! あれだよ!!」
72: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:45:37.18 ID:emLwwpZK
希「あれって……えっ!? まさか」

ことり(穂乃果)「そう! 私が拾ったのはあのおふだだよ!」

希「や、やったやん! それじゃ、あのおふだを……ね、ねぇ!! あなた――!」

ことり(穂乃果)(よかった……これで……穂乃果は……)

ことり(穂乃果)「あ、あれ……?」

ことり(穂乃果)(何だろう……よく見たら、あの、女の子……。どこかで、見たような気が……)

希「あれ、聞こえてないんかな? あ、行っちゃう? おーい、そこのあなたー! ちょっと待ってー!!」

ことり(穂乃果)(私の知ってる人? 友達、とか……ううん、ちょっと違うような……でも、何だか妙な感じが……)

ことり(穂乃果)(あの後姿……髪の色、髪型……。黄色い、リボン? あれ……? あれって……、まさか……)

ことり(穂乃果)「……ほの、か?」

???「……!」ダッ

希「えっ? あっ!! 何で、ちょ、待ってー! 逃げないで―っ!!」

ことり(穂乃果)「なんで……なんで、穂乃果が……」

希「あかん……見失った。……? ことりちゃん、どうしたん?」

ことり(穂乃果)「あの子……穂乃果だった……」

希「えっ? それって……。本来の『穂乃果』ちゃん、ってこと?」

ことり(穂乃果)「う、うん。さっきの子が……私の、本当の姿……。でも……」

希「『穂乃果』ちゃんは、いま、ことりちゃんになってるんよね」

ことり(穂乃果)「うん。私は間違いなく『高坂穂乃果』だよ。でも、ならどうして……この世界には、穂乃果は、いないはずじゃ……」

希「なんだか……スピリチュアルやね、って言ってる場合じゃ、なさそうやね……」

ことり(穂乃果)「あの子は……いったい……?」
80: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:48:04.89 ID:tHSaatDP
――ことりの部屋

希「お邪魔しまーす」

ことり(穂乃果)「お、お邪魔しまーす」

希「ことりちゃん、ここ自分の部屋なんやろ。それ、なんか妙やん?」

ことり(穂乃果)「あはは……、そうなんだけど。でも、やっぱりここはことりちゃんの部屋で、穂乃果の部屋じゃないから、なんとなく」

希「ふぅむ。自分じゃない誰かになるっていうのは、いろいろ大変なんやね……」

ことり(穂乃果)「……そうだね。自分がなってみて、よくわかったよ」

希「でもことりちゃん。中に入ってからはうちの想像よりも落ち着いてるというか、慣れてるって感じやん」

ことり(穂乃果)「あ、私、ことりちゃんの部屋には何度も遊びに来てるしね」

希「そうなん? 仲良しさんなんやね」

ことり(穂乃果)「うん。あとはちょっと置いてあるものが違ったりするくらいで、私の記憶の中の部屋とあんまり差がないからかも」

希「なるほど。そう言われれば、ことりちゃんの家までも迷いなく歩いてたもんね」

ことり(穂乃果)「うん。学院とか、街は穂乃果の世界とまるっきり一緒だったから、迷わなくてすんでよかったよー」

希「せやねー。もし記憶と街並みが違ってたら……。高校二年生にもなって、迷子になったら恥ずかしいもんね」

ことり(穂乃果)「うぅ……本当に、そうならなくてよかったです……」

希「ふふっ、もしそうなったら、海未ちゃん辺りが心配で飛んできそうやね」

ことり(穂乃果)「その後怒られそうだよぉ……『何やってるんですか!!』って」

希「でも、海未ちゃんならそのあと安心して泣いちゃいそうやん?」

ことり(穂乃果)「そうかなぁ?」

希「うん。きっとそんな感じやよ」
81: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 20:04:01.07 ID:tHSaatDP
希「さて、それじゃ本題に入ろか」

ことり(穂乃果)「うん。あのおふだと、さっき神社で見かけた子のこと、だよね」

希「せやね。まず、あの子が持って行っちゃったけど……あのおふだが『穂乃果ちゃん』がことりちゃんになっちゃった原因なんやね?」

ことり(穂乃果)「そう。あのおふだを枕の下に置いて寝ると、他の人になれるって。それで、やってみたんだけど」

希「ふぅむ……にわかには信じられんけど、現に『穂乃果ちゃん』がことりちゃんになっとるのを考えると……本当みたいやね」

希「まさか、うちがバイトしとる場所にそんなスピリチュアルなものがあったなんて。びっくりやん」

ことり(穂乃果)「私も驚いたよー。目が覚めたら、ことりちゃんになってるんだもん」

希「……なら。もう一度あのおふだを手に入れて同じようにすれば、ことりちゃんは『穂乃果ちゃん』に戻れるかもしれんね」

ことり(穂乃果)「そうだね! だけど……あの子、どっかいっちゃったよ?」

希「ううん、問題はそこなんよね。あそこで見失っちゃったのは痛かったなぁ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね? 私がぼーっとしてたから」

希「ことりちゃんのせいやないよ。でもあの子、なんで逃げちゃったんやろ?」

ことり(穂乃果)「急に走って行っちゃったよね。別に私たち、何にもしてないのに……」

希「そう言えば。ことりちゃん、あの子のこと『穂乃果ちゃん』って言ってたけど」

ことり(穂乃果)「うん。遠かったけど、あの子は間違いなく、私――『高坂穂乃果』だよ」

希「うちは『穂乃果ちゃん』の本当の姿は知らないから、何とも言えないんやけど。本人がそう言うなら、確かなんやろうね」

ことり(穂乃果)「でも、なんでこの世界に私が? さっき、穂乃果の家に行った時も、雪穂は『穂乃果』のことは何も言わなかったし」

希「雪穂ちゃんの部屋はあったけど、『穂乃果ちゃん』の部屋はなかったよね。おそらく、雪穂ちゃんにお姉さんがいないんは間違いない」

希「あ、ごめん……ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「大丈夫だよ、希ちゃん。この世界には『穂乃果』がいないなら、あの子は穂乃果のそっくりさん、なのかなぁ」
82: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 20:08:42.44 ID:tHSaatDP
希「確かに、世の中には同じ顔の人がいる、なんて言うけど……どうも違う様な気がするんよ」

ことり(穂乃果)「?」

希「上手く説明はできないんやけどね。それに、このタイミングで『穂乃果ちゃん』のそっくりさんが出てくるなんて、タイミングが良すぎるやん?」

ことり(穂乃果)「それは確かに、そうかも」

希「ううん……何か、引っかかっとるんやけど……」

ことり(穂乃果)「あうぅ……考えれば考えるほどわかんなくなっちゃうよぉ!」

希「仕方ない。ひとまずあの子の正体については置いておこうか」

希「まずはどうにかしてあの子を捜しだして、おふだを譲ってもらわんと」

ことり(穂乃果)「うん!」

希「とはいったものの、どうしたらええんやろ。流石に街をしらみつぶしに探すわけにはいかんし……」

ことり(穂乃果)「会えても、また逃げられちゃうかもしれないしね」

希「そうやね。何とか、向こうから会いに来てくれるようなきっかけがあればいいんやけど」

ことり(穂乃果)「向こうから……」

希「流石に、こんなことお巡りさんに相談しても無理そうやし……。呼びかけるにしても、どこにいるかもわからんし……」

ことり(穂乃果)「きっかけ……呼びかける……。……!!」

希「うぅん……難しいなぁ」

ことり(穂乃果)「あの、希ちゃん。ちょっといいかな?」

希「うん? ことりちゃん、何か考えがあるん?」

ことり(穂乃果)「えへへ。ちょっと、思いついたんだけどね?」
84: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:06:41.24 ID:tHSaatDP
―― 翌日 音ノ木坂学院 生徒会室

ガチャリ

絵里「失礼します」

ことり(穂乃果)「あ、絵里ちゃん! 来てくれたんだね、ありがとう!」

希「お、えりち来たね」

絵里「ことりが大事な話があるっているからね。それで、何かしら? って、希もいるのね」

希「うん、うちも一枚噛んでるんよ」

絵里「希も……? まさか、ろくでもないことじゃないでしょうね?」

希「うわえりち、いくらなんでもそれはひどいやん。うち傷つくよ?」

絵里「はいはい。じゃあ、何なの? まあことりの発案なら、悪ふざけなんかじゃないんでしょうけど……」

ことり(穂乃果)「えへへ。ちょっと待ってね。来てくれるようにお願いした人が、まだいるの」

絵里「他に? 誰かしら」

ガチャ

にこ「しつれいしまーす、来たわよー」

ことり(穂乃果)「あ、にこちゃん! 待ってたよぉ!」

にこ「あー、生徒会長、にこに何か用な……げっ!?」

希「わー、にこっち、うちの顔見るなりそれはないやん?」

にこ「な、なんで希がここにいるのよ!?」

絵里「あら。ええっと、あなたは確か……矢澤さん?」

にこ「うぇえ!? ちょっと生徒会長!? 元生徒会長までいるじゃない!?」

にこ「にこ、何もしてないわよ!? 何なのよこの集まり!?」

希「まぁまぁにこっち。何もとって食べようってわけじゃないんやし。落ち着こ、ね?」

にこ「この状況で落ち着けるわけないでしょうがっ! ことりっ! 早く説明しなさいよっ!!」

ことり(穂乃果)「もうちょっとだけ待って? 呼んだのはあと、一人だから」

希「そうそう」

絵里「希は知ってるみたいね。私も知ってる人?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよぉ。あ、来たみたい」
85: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:08:43.82 ID:tHSaatDP
コンコン

ことり(穂乃果)「どうぞ~」

ガチャ

海未「失礼します」

海未「ことり、急に生徒会室に来てほしいだなんて……何かあったのですか?」

ことり(穂乃果)「ごめんね海未ちゃん。ちょっと、聞いて欲しい事があるんだぁ」

絵里「最後の一人は海未だったのね」

希「これで全員やね」

海未「絢瀬先輩と、東條先輩もですか。ええと、そちらの方は……? 三年生、ですよね?」

にこ「微妙に引っかかる言い方なんですけど……。あんたは、確か生徒会よね。ことりの友達だっけ?」

海未「はい、二年の園田海未といいます」

にこ「……三年の矢澤にこよ。で、こと……生徒会長? 全員そろったみたいだけど」

ことり(穂乃果)「うん、みんな、来てくれてありがとう! 実は今日は、みんなに聞いてもらいたいことがあるんですっ!」

絵里「さっきもそう言ってたわね。何かお願い?」

ことり(穂乃果)「うんっ、とっても大事なお願いなの!」

絵里「何かしら……。希は内容、知ってるのよね?」

希「ふふ、えりち。うちに聞かんでもすぐわかるよ」

海未「私たちに手伝えることなのですか?」

にこ「生徒会の仕事なら、にこ、いる意味ないんじゃない……? 帰りたいんですけど」

希「まぁそう言わないで、ことりちゃんの話、聞いてあげて?」

ことり(穂乃果)「お願いっていうのはぁ……、音ノ木坂学院で、ライブをしちゃいたいんですっ!!」

「「「……………」」」




「「「えええぇぇぇぇっ!!?」」」
86: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:44:29.97 ID:tHSaatDP
にこ「ちょ、ちょっと!? ライブって、アイドルとかがやるあのライブ!?」

ことり(穂乃果)「そうだよぉ」

にこ「そうって……じゃあことり、あんた本当にスクールアイドルやる気なの!?」

ことり(穂乃果)「うん!」

絵里「す、スクールアイドルって……? ええっ、ちょっとことり、どういうこと? なんでまたいきなり!?」

海未「そうです! ことり、どういう風の吹き回しなんです!? 本気なんですか!?」

ことり(穂乃果)「本気も本気だよぉ。ちょっとね、思うところがあったの」

海未「思うところが、って……それだけで」

にこ「そうよ! 前にも言ったでしょ!? スクールアイドルって、そんな簡単なもんじゃないのよ!?」

絵里「生徒会の仕事もあるでしょ!? スクールアイドルって、部活みたいなものよね? 無理よ!」

ことり(穂乃果)「無理じゃないよぉ。だってことり、スクールアイドルと生徒会を両立させて頑張ってた人、知ってるもん」

希「ふふ、せやね」

絵里「希、何笑ってるのよ?」

海未「気のせいか、私も東條先輩の視線を感じるのですが」

希「気のせい気のせい」
87: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:45:51.22 ID:tHSaatDP
ことり(穂乃果)「それでね? みんなにも手伝ってもらいたいんだぁ」

絵里「手伝う、って……衣装とか、舞台作ったりとか?」

海未「絢瀬先輩、いいんですか? いつの間にかライブする流れになってますが……」

希「あ、うちは元から賛成やからね」

絵里「希……」

希「一応言っておくけど、発案者はことりちゃんやからね。うちがたきつけたんやないんよ?」

ことり(穂乃果)「そうだよっ! これは正真正銘、ことりのアイディアなのです!」

絵里「なんでまた突然こんな……」

ことり(穂乃果)「……だって、このままじゃ、オトノキは無くなっちゃうんだよ?」

海未「ことり……?」

ことり(穂乃果)「確かに、廃校は決まっちゃったかもしれない。でも、だからってみんな悲しそうなままでいるなんて、私は嫌だな」

絵里「……それは」

ことり(穂乃果)「うん、今からじゃどうしようもないことかもしれない。可能性なんて、無いかもしれない」

ことり(穂乃果)「でも。だからって何もしないでいいってことは、無いんじゃないかな。奇跡じゃなきゃ無理かもしれないけど、でもやってみなければ分からないよ?」

にこ「……」

ことり(穂乃果)「それに……絵里ちゃん言ったでしょ? 私たちはまだ、音ノ木坂学院の一員だって」

絵里「あ……」

ことり(穂乃果)「だから、証を残したいんだ。今ここに、『私たちがいた』って、確かな証を」

海未「証……ですか」
88: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:51:04.78 ID:tHSaatDP
ことり(穂乃果)「うん。みんなの心にいつまでも残るようなライブができたら。きっとそれは……いつになっても、色褪せない思い出になると思うの」

ことり(穂乃果)「いつか、思い出してもらえる……ううん、いつまでも忘れないでいられるような、そんな証。学院が無くなっても、どこに行っても、思い出は消えないでしょ?」

海未「そう……ですね」

ことり(穂乃果)「それにね? 私たちの歌で、みんなを笑顔にできたら……きっと、どんな悲しみも乗り越えられると思うんだ」

ことり(穂乃果)「知ってる? アイドルは、みんなを笑顔にさせるんだよ。そんなすごい力があるんだよ?」

にこ「! 笑顔に……させる……」

ことり(穂乃果)「……たとえ、奇跡が起きなくても。笑顔でみんな、オトノキから旅立っていってほしい。それが、音ノ木坂学院の一員である、私の想いだから」

ことり(穂乃果)「いつでも、笑顔でいて欲しい。これは、どんな時も変わらない、私の願い。だから」

希「ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「……それにあの子……泣きそうだった。……だから、穂乃果も……」

絵里「え?」

ことり(穂乃果)「ううん。だからね? ライブをしたいの!」

海未「ことりの考えは、分かりました……」

にこ「……」

絵里「それで改めて聞くけど、ことり。私たちに何をしてほしいの?」

にこ「にこ、なんとなく、分かっちゃったけど……」

ことり(穂乃果)「うん、みんなにはね? ことりと一緒にスクールアイドルになってほしいのです!」

「「「す、スクールアイドルにぃ――――っ!!!???」」」
89: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:10:46.69 ID:tHSaatDP
ことり(穂乃果)「あ、あれ? そんなに驚くことかなぁ」

希「あはは、いやまあ、普通はこういう反応やろうね」

絵里「ちょっとことり、いきなりすぎるわよ!! 私たちにもスクールアイドルやれなんて!! できっこないでしょう!?」

海未「無理です! いくらことりのお願いでも無理です! あ、あんな破廉恥な衣装を着て歌って踊るんでしょう? 無理ですぅ! は、恥ずかしいぃ……!」

ことり(穂乃果)「できるよぉ、無理なんかじゃないよ?」

絵里「簡単に言うけどね……」

ことり(穂乃果)「だって絵里ちゃん、バレエやってたでしょ? ダンスは得意だって言ってたよね?」

絵里「え、ええ……確かに、そうだけど……」

希「ふふ、実はうちも踊りはちょーっと得意なんよ?」

絵里「えぇ? 本当かしら……?」

希「あっ、えりち。信じとらんね? まあ、すぐに信じるやろうけど」

ことり(穂乃果)「うんうん。希ちゃん、本当に踊り上手なんだよ?」

絵里「ことりまで……」

ことり(穂乃果)「それに海未ちゃんも、日舞やってるでしょ? 海未ちゃん運動得意だし、歌も上手だもん。アイドルも出来るよ!」

海未「確かに、運動は得意ですが……。それとこれとは……」

ことり(穂乃果)「違わないよぉ。衣装だって、海未ちゃん一人じゃなくて、ことりやみんなと一緒なら、恥ずかしくないでしょ?」

ことり(穂乃果)「みんなと一緒のライブなら、きっとうまくいくよぉ」

海未「そうでしょうか……。まあ、私一人じゃないのなら……。ことりが真剣なことは、分かりましたし……」

希「大丈夫。海未ちゃん、うちもしっかりサポートするから」

海未「東條先輩……。はぁ、仕方ありませんね……」

絵里「まぁ、私も廃校には納得いってない部分もあるしね……。正直、不完全燃焼、って気もしないでもないから……」

希「お、えりちも乗り気になってきたやん?」

絵里「そ、そんなんじゃないわよぉ」

にこ「……にこは反対よ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん」

希「にこっち……」
90: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:33:59.16 ID:tHSaatDP
にこ「生徒会長……ことりの気持ちは、にこも分かるつもり。正直言えば……にこだってスクールアイドル、やりたい気持ちもあるわ」

希「なら……一緒に」

にこ「でも。これでもにこはアイドルってものにプライドを持ってるの。いきなりライブ? 中途半端で無様を晒すのはごめんだわ」

にこ「ことりが真剣なのは、にこにも伝わってきた。でもね、気持ちだけではいいパフォーマンスはできないのよ?」

絵里「それは、そうよね……」

海未「確かに……」

にこ「昨日今日思いついたくらいの考えで、スクールアイドルを、ライブをやろうなんて、ふざけてるにもほどがあるわよ」

にこ「もっとも、全校生徒の前でみっともない姿を見せたいのなら、別だけど」

絵里「矢澤さん……」

海未「流石に、言い過ぎでは……」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり、あまり気にしない方が……」

にこ「何よ、にこは間違ったことは言ってないわ」

希「……」

絵里「希、あなたからもことりに何か言ってあげないの……? これじゃ、いくらなんでもことりが……」

ことり(穂乃果)「にこちゃん」

にこ「……何よ」

ことり(穂乃果)「もし今、私がにこちゃんを納得させるだけのものを見せられたら、にこちゃんも、スクールアイドルやってくれる?」
91: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:35:03.82 ID:tHSaatDP
にこ「……今? 練習も無しに?」

ことり(穂乃果)「うん。流石に場所は、ここじゃ狭いかもしれないけど……」

希「あ、なら講堂……はいきなりだと無理やね。じゃあ、屋上ならどう?」

絵里「ちょ、ちょっと希?」

海未「東條先輩!? 何言ってるんですか?」

にこ「にこを納得させるだけのものが、あんたに見せられるわけ? こんないきなりで?」

ことり(穂乃果)「うん」

海未「ことり!? 無茶です! 準備も練習も無しにダンスなんて……」

にこ「いいわ。見せてもらおうじゃない」

絵里「矢澤さん!」

ことり(穂乃果)「約束だよ? 私が、にこちゃんを納得させるだけのものを見せられたら」

にこ「二言はないわ。あんたと一緒にスクールアイドルでもなんでもやってあげる。でも、ちょっとでも無様なものを見せたら、二度とこの話はしないで」

ことり(穂乃果)「分かったよ」

絵里「ことり、いいの? こんな無謀な……。希、あなたも何で止めないのよ」

希「えりち、大丈夫」

絵里「大丈夫、って……」

ことり(穂乃果)「それじゃ、行こう?」

にこ「ええ、いいわよ。見せてもらおうじゃない、あんたの実力とやらをね」
93: 名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:57:53.91 ID:YjNCSTgw
オラなんだかワクワクしてきたぞ
96: 名無しで叶える物語(らっかせい)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 23:55:12.00 ID:YZVeg1mc

ほんと面白い
98: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:48:41.95 ID:7eHl3kHm
――音ノ木坂学院 屋上

ガチャ バタン

にこ「屋上か。ここ、あんまり来たことなかったけど。結構いい場所ね」

絵里「風が気持ちいいわね……」

ことり(穂乃果)「だよねっ! それじゃ、この辺でいいかな」

希「そうやね。踊るのに十分な広さもあるんやない?」

海未「東條先輩、ことりも……本気ですか?」

絵里「そうよ、いくらなんでも……」

海未「ことり、今からでも遅くありません……。せ、せめて練習の時間を」

にこ「ダメよ、これはことりから言い出したことよ」

海未「矢澤先輩。ですが……」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん、いいの」

にこ「ほら、当人がこう言ってるわ」

にこ「それに、今、にこを納得させるくらいのパフォーマンスができないようなら、結局は同じよ」

にこ「付け焼刃でライブなんてどのみちうまく行かないわ」

絵里「それは、そうかもしれないけど……」

ことり(穂乃果)「ありがとう、絵里ちゃん。大丈夫だよ、海未ちゃん」

にこ「その自信がどこから来るのか知らないけど。言っておくけど、にこの目は厳しいわよ? 下手なダンスをお情けで許すつもりもないから」

ことり(穂乃果)「当然だよ。アイドルを見続けてきたにこちゃんに認められなきゃ、意味ないもん」

にこ「言うわね。じゃあ、いつでもどうぞ」

希「ことりちゃん、準備は?」

ことり(穂乃果)「いつでもいいよ。って言っても、音楽が無いから、アカペラだけどね」

希「分かった。しっかりね。うち、応援しとるから」

ことり(穂乃果)「うん、ありがとう、希ちゃん」
100: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:53:24.65 ID:7eHl3kHm
ことり(穂乃果)(……よし。この世界での、私のスクールアイドルとしての、第一歩だね)

ことり(穂乃果)(やろう、ことりちゃん。穂乃果に、力を貸して。一緒に、踊ろう?)

ことり(穂乃果)(もう一度、最初から。奇跡を目指して……!)

絵里「本当に、やる気なのね」

海未「無謀にもほどがあります。どうしたというのですか、ことり……」

希「……ことりちゃん、ここが正念場やよ……」

にこ「ふん……」

ことり(穂乃果)(出し惜しみなんか無しだよ。今までのすべてを込めて。私が出せる精一杯を!)

ことり(穂乃果)(にこちゃんに認めてもらう。でもそれだけじゃない。にこちゃんに、みんなに、あの楽しい時間を過ごしてもらうために)

ことり(穂乃果)(例え、世界が違っても。何もかも、終わっちゃうとしても。みんなの幸せを願う、この想いは、消さない!)

ことり(穂乃果)(もう一度、一緒にスクールアイドルを……そして、学校のため、みんなのため……そして、『あの子』にも笑顔を届けるために)

ことり(穂乃果)(私は……いくよ!)

ことり(穂乃果)「聞いてください。『STRAT:DASH!!』」
101: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:57:25.74 ID:7eHl3kHm
絵里「……聞いたことない曲名ね」

海未「オリジナル、でしょうか。でも、いつの間に」

希「始まるよ、みんな」

にこ「……!」

 ―― I Say……

 ―― Hey,Hey,Hey,STRAT:DASH!!

絵里「え……こ、これは……!?」

ことり(穂乃果)(また、この曲を絵里ちゃんたちの前でやる日が来るなんて、夢にも思わなかったな)

 ―― うぶ毛の小鳥たちも いつか空に羽ばたく

海未「まさか……? ことり……?」

ことり(穂乃果)(あの時は、穂乃果と、ことりちゃんと、海未ちゃんで踊ったよね)

ことり(穂乃果)(今は、穂乃果/ことりちゃん、だけだけど……想いは、一緒だよ)

海未「気付きましたか? 絢瀬先輩」

絵里「ええ。……きっと、本来は複数で踊る構成よね、これ……。それを、一人用にアレンジしてる……?」

海未「ことりが練習をしているところは、私も見たことがありません。即興のはずです……。ですが、この完成度は……」

にこ「……どういう、ことよ……。こんなの、初心者ができることじゃない」

にこ「音楽こそないけど、アカペラでもわかる歌唱力の高さ……半端なレベルじゃないわ……! この子……一体……!?」

 ―― 君も感じてるよね 始まりの鼓動

希「がんばれ、ことりちゃん……!」

ことり(穂乃果)(伝わるよ、希ちゃんの想い。希ちゃんが応援してくれる。穂乃果は、一人じゃない!! だから、何だってできる!!)

 ―― 眩しい光に照らされて変われ……START!!

にこ「う、嘘よ……こんなの……こんなライブ、にこだって、出来ない……! この子……まさか、A-RISE、レベル……?」

ことり(穂乃果)(ううん、できるよ、にこちゃん。だって、にこちゃんは誰よりもアイドルが好きで、アイドルのことを知ってるもん)

ことり(穂乃果)(だから、また一緒に)

海未「ことり、あなたは……」

絵里「すごい、すごいわ……!」

にこ「そんな……本当、に……?」

希「ことりちゃん……すっごく、輝いとるよ……!」

 ―― きっと(きっと)君の(夢の)チカラ(いまを) 動かすチカラ

 ―― 信じてるよ……だから、START!!
103: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:59:47.79 ID:eqkKOB9G
ああああいいなあ
104: 名なしで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 19:01:24.22 ID:IcHmUZny
グッとくる!
105: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:00:56.31 ID:7eHl3kHm




ことり(穂乃果)「はぁ、はぁ……」

ことり(穂乃果)(……出し切った、かな……。私、ちゃんとできた、かな……?)

ことり(穂乃果)(ありがとう、みんな……。ありがとう、ことりちゃん……)

ことり(穂乃果)「ありがとう、ございました……」

希「……」

海未「……」

絵里「……」

にこ「……」パチ……

海未「あ……」パチ……パチ

絵里「……!!」パチパチパチ

ことり(穂乃果)「あっ……みんな……?」

希「ことりちゃんっ」

ことり(穂乃果)「希、ちゃん?」

希「やったやん、ことりちゃん! ほら!!」

パチパチパチパチパチ……!

絵里「ハラショー!! 素晴らしかったわ、ことり!!」

海未「驚き、ました……」

ことり(穂乃果)「え、あ……、ありがとう……」

絵里「本当、感動したわ! すごいわね、スクールアイドルって!! 私も、やってみたくなっちゃったわ!!」

希「そうやね。うちも、何だか泣きそうになっちゃったし。想像と、実際見るのじゃ迫力も大違いやん」グス

海未「あなたの想い、伝わりましたよ。とても、素晴らしかったです……。それしか、言葉がありません……」

ことり(穂乃果)「よかった……。みんなに、楽しんでもらえたなら、ことりは、嬉しいよ……」

にこ「生徒会長……いえ、ことり」

ことり(穂乃果)「あ……にこ、ちゃん」
106: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:03:19.83 ID:7eHl3kHm
にこ「……お疲れ様。よかったわよ」

ことり(穂乃果)「う、うん。ありがとう」

にこ「でも、やっぱり舞台が飾り気のない屋上じゃね。衣装も制服のままだし、音楽だって用意しなきゃ」

にこ「ライブまでやること、山積みよ? そこんところ、ちゃんと考えておきなさいよね」

ことり(穂乃果)「そ、そうだよね……って、それじゃ?」

にこ「あー……その……ああ、もう。すごかったわよ! 圧倒されたわ! あんたに! にこだって感動したわよっ! 悪い!!」

絵里「別に悪くはないんじゃない?」

希「にこっち、素直やないなぁ」

にこ「うるさいっ!」

ことり(穂乃果)「にこちゃん、じゃあ、ことりと一緒に」

にこ「聞かなくてもスクールアイドルやるわよ、二言はないって言ったでしょっ!」

にこ「ふんっ! 何よ、こんなすごいことができるなら、最初っからにこと一緒にスクールアイドルやりなさいよ! 宝の持ち腐れじゃない!!」

絵里「まあ、確かにこれだけのものを見たら、ね。眠らせておくのはもったいないわよね」

にこ「ほんとよ。なんで今頃」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……それは、いろいろありまして……」

にこ「でもねことり! にこはやられっぱなしじゃないからね! すぐにあんたに追いついて、抜かしてあげるわよ!」

にこ「その時は、あんたもにこのファンにしてあげるんだから!!」

ことり(穂乃果)「うんっ! ことりもにこちゃんと一緒にアイドル出来るの、すっごく嬉しいよっ!」

絵里「あら、ことり。にことだけなの?」

ことり(穂乃果)「もちろん、絵里ちゃんも一緒にだよっ!!」

絵里「うふふ、ありがとう。ことり、あなたのダンス、すごかったわ。でも、私も負けないわよ」

希「おっと、うちを忘れてもらっちゃ困るやん。うかうかしてると、うちがみんなを負かしちゃうよ?」

絵里「言うわね。希こそ、私を甘く見てもらっちゃ困るわ」

にこ「ちょっと、スーパーアイドルにこにーを舐めないでよね? すぐに誰が一番か教えてあげるわ」

ことり(穂乃果)「ふふ、みんなと一緒なら、ことりももっともっと頑張っちゃうよぉ」

海未「……」

希「海未ちゃん? どうしたん?」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん?」

海未「ことり……いえ、あなたは……誰、ですか……?」
107: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:33:33.34 ID:AfODZIQZ
あっ……
108: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:33:46.52 ID:AFJKGGGL
うみちゃん…
109: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:26:18.02 ID:7eHl3kHm
ことり(穂乃果)「えっ……?」

絵里「海未? いきなり、何を?」

希「海未、ちゃん……何、言ってるん?」

にこ「そうよ。そもそも、この子はどこからどう見てもことりじゃない。学年も生徒会も一緒なあんたが分からないわけないでしょ?」

希「そうやよ。ことりちゃんのことは、海未ちゃんが一番知ってるやん?」

海未「だからこそ、です」

にこ「どういうことよ」

絵里「海未、詳しい説明が聞きたいわ」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「あくまで私の感じたことによる推測から、ですが。今のことりは、私が知ることりとは違います」

絵里「それはまあ、いきなりライブやりたいとか、スクールアイドルやりたいとか言い出したしね」

海未「確かにそれもありますが、そういうことではありません。もっと根本的な部分から、異なっているように思う……いえ、感じるのです」

にこ「根本的な? 何よそれ」

希「……」

海未「自分でもこんな非現実的なことを言うのはどうかと思うのですが……」

海未「あえて言うのなら、ことりの中に入っている精神が『ことりのものではない』、そんな気がしてならないのです」

ことり(穂乃果)「……!」
110: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:28:30.91 ID:7eHl3kHm
絵里「ちょっと待って。精神が、ことりのものではない? それって、心が別人、ってこと? 誰かと入れ替わったとか?」

にこ「そんなわけないじゃない。それじゃまるで漫画よ」

海未「ですが、そうでもなければ説明がつきません」

海未「絢瀬先輩や矢澤先輩も、おかしいと思いませんでしたか。いくらなんでも、さっきの歌やダンスは完成度が高すぎます」

にこ「それは……そうだけど」

絵里「たまたま私たちが目にする機会がなかっただけで、ことりの才能が埋もれてたって可能性も……」

海未「万に一つ、そうだったとしても。加えて、技術的なことを抜きに考えても、先ほどのパフォーマンスから感じる印象は『ことりらしく』ありません」

にこ「印象?」

海未「そう……まるで、太陽のような。温かくも力強いそれは、優しさこそ同じでも、ことりのそれとは似て非なるものです」

絵里「言われて思い返せば、確かにそうね」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり、いえ。『あなた』が誰かはわかりませんが、少なくともことり自身や、私たちのことをよく知ってはいるのでしょう」

海未「だから、私や絢瀬先輩のことも知っていたし、ことりそっくりに振舞えていたのでしょう?」

海未「少しばかり突飛なことを言い出したとはいえ、先ほどの部室では私も含め、皆があなたをことり本人だと思っていましたし」

海未「あまりことりのことを知らない人なら、違和感すら覚えなかったでしょうね」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「答えてください。あなたは、誰なんですか? ことりの姿を使って、何が狙いなのです?」
111: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:29:16.42 ID:7eHl3kHm
絵里「海未、そんな言い方! ことりも、なんで黙っているの?」

希「えりち……」

絵里「希、あなたは何か知っているの……? なら、教えて」

希「それは……」

にこ「……ことり」

ことり(穂乃果)「にこちゃん、絵里ちゃん……海未ちゃん。隠していて、ごめんなさい」

海未「!」

にこ「ことり、本当なの?」

絵里「嘘よね? 冗談、なんでしょ、ことり……」

にこ「希、あんた……」

希「ごめんにこっち。でも、みんなも信じて欲しい。あの子は、決して悪い子やないんよ」

にこ「……それは、分かってるけど」

海未「…………」

ことり(穂乃果)「話します、私の――『高坂穂乃果』の、こと」
112: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:51:27.70 ID:7eHl3kHm




海未「……高坂、穂乃果。それが、あなたの名前ですか」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「別の、世界から……心だけが……」

にこ「にわかには信じがたい話だけど、信じざるを得ないみたいね……」

絵里「あなたの世界と、私たちの世界はほとんど一緒なのね。だから、私たちのこともよく知っていた……」

ことり(穂乃果)「はい。みんなとは、とても仲良しだったんです」

にこ「にこたちに対するあんたの自然な態度を見てれば、それは分かるわ。本当に、仲が良かったって」

海未「あの、東條先輩」

希「うん。ことりちゃん……『穂乃果ちゃん』は、嘘は言ってないんよ」

絵里「希、あなたは全部知ってたのね。だから……こんなことを」

ことり(穂乃果)「ごめんなさい。全部、私がお願いしたことなんです。黙っててもらうのも。だから、希ちゃんは悪くないの」

希「ううん。うちだってみんなを騙してたようなもんやん。『穂乃果ちゃん』だけが悪いわけやないよ」

にこ「ま、あんたの気持ちも分かるわ。いきなり別人になった、なんてこと言われて、信じられるかっていったらね?」

海未「……」

絵里「それに、部室でのことり、真剣そのものだった。さっきのダンスや歌も」

絵里「何より、音ノ木坂のことを大切に想ってくれている。それが伝わったから、私はあなたのことを信じられるわ」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……」
113: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:52:23.62 ID:7eHl3kHm
にこ「にこもね。信じるっていうか、信じたいのよ。あんなすばらしいライブができる、あんたって子をね」

希「うちも、信じてるよ。『穂乃果ちゃん』、うちはあなたの味方やからね」

絵里「私もよ。あなたの世界でも、私は先輩だったのよね。なら後輩の困りごとですもの。あなたが自分の世界に戻れるように、力を貸すわ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……、のぞみ、ちゃん……えり、ちゃ……あり、がとう……ぐすっ」

にこ「ちょ、ちょっと何泣いてんのよ!?」

ことり(穂乃果)「だ、だって……なんだか……ひっく……嬉しくって……」

にこ「あーもう! わけわかんないわね!? あああ、涙で顔ひどいことになるわよ? ほらハンカチ!」

ことり(穂乃果)「ぐしゅぐしゅ……ふぁりがほぉ……」

絵里「ふふ、こんな泣き虫な子が、悪いことなんてできっこないわね」

海未「…………」

絵里「だから、海未も。信じてあげても、いいんじゃない? ことりの……『穂乃果』の、こと」

海未「ですが……。なら、私は……私の知っている、幼馴染の、ことりは……?」

ことり(穂乃果)「ごめん、なさい。それは、私も分からないんだ……」

海未「そんな……」

ことり(穂乃果)「私が気が付いたら、もう『ことりちゃん』の姿になっていて……だから……ごめんなさい、海未ちゃん」

海未「……っ!」タッ

絵里「海未!? どこへ!?」

ことり(穂乃果)「あっ、待って! 海未ちゃん!!」ダッ

にこ「こと……じゃなくて、えっとほのか、だっけ……? ああもうわかりづらい!! 待ちなさいよことりっ!!」

絵里「矢澤さん!? 私も行くわ!!」

希「あっ、みんな!?」
116: 名なしで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 22:25:03.18 ID:IcHmUZny
海未の気持ちがわかるわ。
ことり押しの自分にはことりなのにことりじゃない何とも言えない複雑なモヤモヤした気持ちを感じる。
引き込まれるけどモヤモヤする~
118: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 23:37:39.28 ID:w3pYiJPc
穂乃果推しの俺もなんだか複雑だわ…
ストーリーには凄い引き込まれてる
121: 名無しで叶える物語(西日本)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 10:10:54.87 ID:VRVQVp5e
海未ちゃんの反応こそ普通の感性だと思うな
122: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:47:19.50 ID:MmCoQW0+
――公園

ことり(穂乃果)「やっぱり、ここだね」

海未「……」

ことり(穂乃果)「……見つけたよ、海未ちゃん」

海未「……ことり。いえ……高坂さん、でしたか……?」

ことり(穂乃果)「うん。今は、ことりちゃんの姿をしてる、けどね」

海未「……改めて話すと、やはり別人ですね。同じ声をしていても、ことりとはまるで違って聞こえます」

ことり(穂乃果)「そっか……。やっぱり海未ちゃんには分かっちゃうんだね」

海未「幼馴染、ですからね」

ことり(穂乃果)「……ごめんね」

海未「なぜ、謝るのですか? あなたもこうなるとは分からなかったのでしょう? なら高坂さんが悪いわけでは」

ことり(穂乃果)「ありがとう、海未ちゃん。それでも、私の身勝手なお願いが、すべての原因だから。だから、ごめんなさい」

海未「…………」

海未「それにしても」

ことり(穂乃果)「え、うん」

海未「私がここにいると、よく、分かりましたね……」

ことり(穂乃果)「あはは……小さい時から、ここではよく遊んだからね。ことりちゃんと海未ちゃんと……穂乃果で」

ことり(穂乃果)「私にとってもことりちゃんと、海未ちゃんとの思い出がいっぱいある場所だから」

海未「思い出の場所、ですか」

ことり(穂乃果)「うん。だから、海未ちゃんもそうなのかなって」

海未「そうですね。確かに私にとっても、ここは……ことりとの思い出が詰まった場所です」

海未「幼い頃、誰にも声を掛けられずにいた私が、はじめての友達――ことりと出会った場所……」

ことり(穂乃果)「そっか……」

海未「そう言えば、高坂さんは先ほど、私とことりとあなたで一緒に遊んだ、という風なことを言いましたね?」

ことり(穂乃果)「そうだよ。小さい頃は、いつも私たち三人は一緒だったから」

海未「ですが、あいにく私にそんな記憶は……」
123: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:48:47.94 ID:MmCoQW0+
ことり(穂乃果)「あ、うん。海未ちゃんにとっては、そうだと思う」

海未「どういうことですか?」

ことり(穂乃果)「その……こっちの世界には、『穂乃果』はいないから……」

海未「え……?」

ことり(穂乃果)「私もちゃんと分かってるわけじゃないんだけどね。この世界には、元々『高坂穂乃果』って子は、存在してなかったみたいなの」

海未「ま、待ってください……。存在、していなかった……? な、なら、あなたは、ここに、あなたを知る人は……」

ことり(穂乃果)「そう、だね」

海未「……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんも、海未ちゃんも。私の世界では、幼馴染だったけど……ここでは、私が一方的に知っているだけの人、なんだよね」

ことり(穂乃果)「そんな『よく知らない人』が、自分の大事な幼馴染の身体を取っちゃったら、怒るのも当然だよね」

ことり(穂乃果)「だから、本当に、ごめんなさい」

海未「謝らないでください。私は、よく知らずにあなたに酷い態度を……」

海未「あなただって、つらいのに……」

ことり(穂乃果)「やっぱり、海未ちゃんは優しいね」

海未「損なことは……。というか、やっぱり? あなたの世界の私も、同じような感じなのでしょうか」

ことり(穂乃果)「うん。真面目で、かっこよくて、かわいくて、優しくて……とっても素敵な、私の幼馴染なんだ」

海未「……なんででしょうか。別の世界の私のことだと分かっているのに、恥ずかしくなってきますね……」

ことり(穂乃果)「ふふっ、海未ちゃん真っ赤だよ?」

海未「高坂さんのせいでしょう! はぁ、そうやって私をからかうところは、どことなくことりにも似ていますね」

ことり(穂乃果)「そうかなぁ?」

海未「あなたの世界では、あなたとことりとは幼馴染というのですから、どこか影響されているのかもしれませんね」

ことり(穂乃果)「うーん、私には分からないや」
124: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:50:02.49 ID:MmCoQW0+
海未「……高坂さん」

ことり(穂乃果)「うん」

海未「正直なところ、私はまだ……あなたについて、考えと気持ちを整理できていません。ですから、すぐに先輩たちのように出来るとも、言えません」

ことり(穂乃果)「……うん。それは、仕方ないよ」

海未「ですが、先ほどの屋上での歌とダンス。そして部室で語ったあなたの想い。それは本物だとは、分かっています」

海未「大切な幼馴染である『ことり』、そして、この世界でたった一人でも、音の木坂と私たちのことを想ってくれている『穂乃果』」

海未「私は、あなたをどう受け止めていいのか、分からないのです……」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「ひどいことを言っているとは、思います。ですが……きっと、心を決めて、あなたのことを、受け入れますから……。だから、今は……」

ことり(穂乃果)「気にしないで。私は、大丈夫だから」

ことり(穂乃果)「私こそ……。海未ちゃん、私がもう少しだけ、あなたの大切な幼馴染――『ことりちゃん』でいることを、許してくれますか?」

海未「私にそんな権利はありませんよ。それに……あなたがことりの姿で良からぬことをしようなどとは、今更思いません」

海未「きっと、ことりも……あなたになら、許してくれるはずです」

ことり(穂乃果)「ありがとう、海未ちゃん……」
125: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:53:25.58 ID:MmCoQW0+




にこ「はぁ……。何よもう。散々探して、やっと見つけたと思ったら、なんかもう終わってるじゃない」

希「まあ、ひとまず何とかなったみたいやね」

絵里「私たちが慌てて追いかけるまでのことじゃなかったのかもしれないわね」

希「海未ちゃんもことりちゃんもいい子やからね」

にこ「あーもう、心配したのが馬鹿みたいよ」

絵里「まぁまぁ」

希「何はともあれ、一段落やね」

絵里「全部が解決したわけでは、なさそうだけどね」

にこ「ま、そこは仕方ないんじゃない? 海未の気持ちも分からなくはないしね。いきなり答えが出るような問題でもないし」

絵里「でも矢澤さん、あなた、結構あっさりことりのこと、受け入れてたんじゃないの?」

にこ「う、うるっさいわねぇ! いいじゃない! 大体、元生徒会長だって同じようなもんでしょ!!」

絵里「あ、う。ほ、ほら。さっき言ったでしょう? ことりの音ノ木坂学院への想いは本物だと伝わったから、あの子を信じられたのよ!」

にこ「にこだってそうよ! あの屋上でのことりのパフォーマンス、あんなすごいのをできる子が悪いヤツなわけないじゃない!!」

希「はいはい。喧嘩しちゃあかんよ。うちらはみんなことりちゃん――『穂乃果ちゃん』の味方、それでいいやん」

絵里「ん、そうね」

にこ「ま、おんなじスクールアイドルグループやるんだしね。敵になるつもりはないわよ」

絵里「それじゃ、ことりと海未も連れて、戻りましょっか」

希「やるべきことは山積みやしね」

にこ「ライブを成功させるためにも、時間は無駄にはできないものね」

絵里「ええ! さぁ、忙しくなるわよ~!」
127: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 23:59:12.02 ID:MmCoQW0+
――『アイドル研究部』

絵里「さて、それじゃ私たち『音ノ木坂学院スクールアイドルグループ(仮)』の当面の目標と、課題の確認よ」

ことり(穂乃果)「えっと、ライブだよね?」

海未「確かにそうですが、その前に考えなければならないことがたくさんあります」

にこ「ことり、屋上でにこが言ったこともう忘れたの?」

ことり(穂乃果)「ええとぉ……なんだっけ?」

海未「はぁ、まずは曲です。ちゃんとしたライブをやりたいのなら、ちゃんと曲を用意しなければ」

絵里「ダンス……曲に合わせた振り付けも考える必要があるわ。もちろん、メンバー全員合わせての練習もしなきゃね」

にこ「衣装もよ。制服でパフォーマンスをするのも確かに一つの手だけど、折角のアイドルなんだから見た目にもこだわらないと」

希「それから、舞台もやね。学院の中でやるなら、講堂か体育館あたりが候補になりそうやね。これは他の使用予定を避けて、あらかじめ申請しておけば問題ないはず」

ことり(穂乃果)「そ、そっかぁ……。そうだよね、準備にもいろいろあるんだよね」

海未「そんなことで本当に大丈夫なのですか、ことり……」

希「多分、元の世界でもこんな感じだったんやろうなぁ……」

にこ「あのすごいパフォーマンスを見せたのが本当にこの子だったのか、にこ自信なくなってきたわ……」

ことり(穂乃果)「うぅ……そんなに言わなくてもぉ……」

絵里「はいはい、みんな、ことりをいじめないの」

ことり(穂乃果)「えーん、絵里ちゃぁーん!」ダキ

絵里「よしよし」ナデナデ
128: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:02:03.31 ID:kwSE68pu
海未「絢瀬先輩、あまりことりを甘やかさないでください!」

絵里「ねぇ海未」

海未「何ですか?」

絵里「ことりは私のこと、名前で呼んでるんだし。その『絢瀬先輩』っていうの、止めない?」

希「お、えりちなかなかいいこと言うやん。うちもことりちゃんみたく、『希ちゃん』って呼ばれたいなぁ」

絵里「私も海未に名前で呼んでもらいたいのよね。その方が何だか、お互いの距離が縮まりそうじゃない?」

海未「な……し、しかし……先輩方を二年の私がそんな風に呼ぶのは……」

にこ「別にいいんじゃない? にこも、ことりには自由に呼ばせてるし」

ことり(穂乃果)「うん、『にこちゃん』って呼んでいいって言ってくれたもんね!」

にこ「いいっていうか……うん、まあそんな感じよ」

絵里「あ、じゃあ矢澤さん。私も『にこちゃん』って呼んでいい? それとも『にこにーちゃん』の方がいいかしら?」

にこ「……お願い、呼び捨てでいいから『にこ』にして。にこもあんたのこと『絵里』って呼ばせてもらうから」

絵里「そう? ちょっと残念ね……。まあ、いいわ。さあ海未。『絵里ちゃん』って呼んでみましょう!」

海未「ええ!? ちょっと待ってください、絢瀬先輩!」

絵里「ちがうでしょ。『絵里ちゃん』!!」

海未「え、えりちゃ……えり、えりち……」

希「なんかうちの呼び方になってるやん」

海未「えり、ち……ちゃ……」

絵里「いい感じよ、海未!」

ことり(穂乃果)「ファイトだよっ! 海未ちゃん!」

海未「えり……えりち……えり……無理です! こんなの無理ですぅ!」

絵里「えぇ!?」

海未「これならまだ呼び捨ての方がましですぅ~!」

にこ「そっちの方が失礼な気がするけど。海未の中での基準がよくわからないわね……」

希「まぁ、無理強いするもんやないし。ええんやない?」

絵里「そんな……」

ことり(穂乃果)「大丈夫だよ! 私は『絵里ちゃん』ってちゃんと呼ぶからね!」

絵里「ありがとう、ことりぃ~!」ダキ

ことり(穂乃果)「よしよし」ナデナデ

にこ「何この茶番……」
129: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:36:31.57 ID:kwSE68pu
絵里「さて、気を取り直して、さっきあげた課題を見ていきましょうか」

希「あ、舞台の確認と使用申請はうちがやっておくよ。第一候補が講堂で、無理なら体育館でどう?」

海未「いいのではないでしょうか? 私も希と一緒に舞台を押さえておきます。生徒会の私がいた方が、話が進みやすいかもしれませんし」

にこ「そうね。じゃあ、そっちは頼んだわよ」

絵里「振り付け担当は、私とことりでどう?」

にこ「異議なし。バレエの経験がある絵里と、あのダンスを見せたことり。あんたたちなら任せられるわ」

ことり(穂乃果)「うん! 絵里ちゃんとならすごくいいのができそうだよ!」

絵里「とはいえ曲が決まらないとどうしようもないわね。曲のあてはある?」

希「ことりちゃんが屋上でやったのは、『穂乃果ちゃん』の世界で作った曲やね?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ。作ったのは私じゃないけどね。他にもいっぱいあるけど、大体作曲は同じ人かな」

にこ「流石のことりも作曲まではできなかったのね。なんかちょっと安心したわ」

絵里「でも、それじゃあどうするの?」

にこ「んー……ここが『穂乃果の世界』と同じなら、この世界にもことりが言う『曲を作った人』がいるんじゃない? その人に頼めば?」

ことり(穂乃果)「そ、そうだよ! にこちゃんナイスぅ!」

海未「ですが、ことり。その人はあなたのことを知らないのでは?」

ことり(穂乃果)「うーん、きっとそうだけど……でも、大丈夫だよ! あの子、本当は音楽大好きなんだもん!」

海未「その根拠のない自信はよくわかりませんが、他に当てもありませんし、仕方ないですね」

希「それじゃ、曲作りができる人を探すのは、ことりちゃんの担当やね」

ことり(穂乃果)「任せてっ! すっごくいい曲、作ってもらうから!!」

絵里「ふふ、期待してるわよ」
130: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:37:38.84 ID:kwSE68pu
ことり「あ、そうだ。衣装はどうしよう……? いつもはことりちゃんが作ってくれたけど、今は私だから……」

希「そっか、その問題もあるんやね……」

海未「少しくらいなら、私たちも手伝えると思いますが……」

希「にこっち、何かいい案ある?」

にこ「うーん……一応部室には、『ことり』が作ってくれたアイドル用の衣装があるけど……」

にこ「にこと、希と、ことり用だけなのよ」

海未「それを使ったとしても、数が足りませんね……サイズの問題もありますし……」

絵里「ねぇ、ことり」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん、どうしたの?」

絵里「あなたの部屋に、『ことり』が使ってたアイディアノートみたいなもの、あるかしら?」

ことり(穂乃果)「たぶん。ことりちゃんの部屋だから、あんまりよく見てないけど……あると思うよ」

絵里「なら。『ことり』には悪いけど、探して持ってきてくれないかしら?」

にこ「なんでよ?」

絵里「一から作るのは無理だけど、デザインが決まってる衣装なら、私が作るわ」

希「ああ、そっか。えりち衣装つくるの得意やもんね」

ことり(穂乃果)「ええ~!? 絵里ちゃんすごーい!!」

海未「絵里にそんな特技が……知りませんでした」

絵里「ふふ、自分で言うのも何だけど、結構自信あるのよ? 『ことり』には勝てないかもしれないけど、期待して?」

にこ「オッケー。絵里、衣装づくりはにこも手伝うわ。アイドル研究部部長の意見、役に立つはずよ」

絵里「ありがと、にこ。じゃあ、お願いするわね」

海未「これで大体の分担は決まりましたね」

にこ「そうね。それじゃ各自、行動開始。いいわね?」

絵里「時間は限られてるわ。みんな、しっかりね」

ことり(穂乃果)「じゃあみんな、はりきっていこう!」

「「「「おーっ!!」」」」
132: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:45:33.18 ID:4F0E/9+y
めっちゃいいわ
おつ
136: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:55:14.26 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「よし! みんなそれぞれ頑張ってるんだ。私も任されたことをしっかりやらないと!」

ことり(穂乃果)「まずは、曲を作ってくれる人を探して、お願いするところからだね!」

ことり(穂乃果)「えへへ。私たちの曲なら、当然あの子以外にはいないよね!」

ことり(穂乃果)「それじゃ、早速一年生の教室へいこう!」

ことり(穂乃果)「あ……」

♪~

ことり(穂乃果)「これ……ピアノの音だ」

ことり(穂乃果)「そっか。この世界でも、同じなんだ」

ことり(穂乃果)「行ってみよう」

――『音楽室』

カララ……

ことり(穂乃果)「しつれいしまーす……」

ことり(穂乃果)「いたいた。ピアノを弾いてるあの赤い髪の子は……」

ことり(穂乃果)(うん、間違いない。真姫ちゃんだ)

♪~♪♪~

真姫「~♪」

ことり(穂乃果)(音楽に合わせて、身体が揺れてる……ふふ、なんだか、楽しそう)

ことり(穂乃果)(気持ちよさそうに演奏してるし、邪魔しちゃ悪いよね……)

ことり(穂乃果)(やっぱり、音楽好きなんだね)

ことり(穂乃果)(あ、歌い出した……。やっぱり、真姫ちゃんの歌、いいなあ……)
137: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:58:28.06 ID:d3NRzTvv




真姫「……ねぇ、そこのあなた」

ことり(穂乃果)「え? あ、私?」

真姫「他に誰もいないじゃない。さっきからずっといるけど、何か用なの?」

ことり(穂乃果)「あっ……演奏、いつの間にか終わってたんだね。とっても上手で、聞き入っちゃってたよ」

真姫「あ、ありがと……。って、そうじゃなくて。盗み聞きみたいな真似、趣味悪いわよ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい」

真姫「べ、別にそこまで怒ったわけじゃないけど……。……誰かに聞かせたの、はじめてだけど、褒めてくれたし……」

ことり(穂乃果)「え? ごめん、聞こえなかった」

真姫「な、何でもないわよっ。そんなことより、わざわざ私のピアノが終わるまで待っていたでしょ? 何か、用があるんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「う、うん。実は真姫ちゃんにお願いが……あ、その前に自己紹介しなきゃだね」

ことり(穂乃果)(そうだよ、海未ちゃんが言ってたっけ)

――『ことり、今のあなたはともすれば勢い任せに行動しがちです』

――『あなたの世界とこの世界はほとんど同じかもしれませんが、あなたの記憶と違う部分もあることを忘れないでください』

――『特に、人間関係に関しては。あなたは知っていても、相手はあなた――ことりのことを知らない、ということもありますからね』

ことり(穂乃果)(そうだ。この世界の真姫ちゃんは穂乃果のことはもちろん、多分ことりちゃんとも会ったこと無いよね)

ことり(穂乃果)「危ない危ない。また、雪穂の時みたいになっちゃう所だった」

真姫「何ぶつぶつ言ってるのよ」

ことり(穂乃果)「な、何でもないよっ!? ええっと、そうだ自己紹介。私、二年の南ことり! 多分はじめまして、だよね?」

真姫「直接話すのは初めてだけど、名前は知ってるわ。それにあなた、生徒会長でしょ」

ことり(穂乃果)「あっ、知っててくれたんだ。じゃあ、真姫ちゃんには必要なかったね」

真姫「そんなことはないけど。むしろ、生徒会長が私のことを知ってた方が意外だわ」

ことり(穂乃果)「あはは。まあ、ちょっとね」
138: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 01:01:49.91 ID:d3NRzTvv
真姫「それはそれとして、さっきから、初対面なのに名前呼び?」

ことり(穂乃果)「あっ、もしかして、嫌だった!?」

真姫「……別に、いいわよ。あなたの方が先輩なんだし」

ことり(穂乃果)「そんなの気にしなくていいのに。私のことも『生徒会長』じゃなくて、名前でいいよ!」

真姫「あいにく今日初めて会話した人、それも上級生をいきなり名前で呼ぶ気は私にはないわ」

ことり(穂乃果)「えぇぇ……」

真姫「ちょっ、そんな泣きそうな顔しないでよ! ま、まずは『南さん』……からで」

ことり(穂乃果)「うぅ……でも真姫ちゃん、慣れたらちゃんと名前で呼んでね?」

真姫「わ、分かったわよ……」

ことり(穂乃果)「約束だからね!」

真姫「はいはい、ちゃんと守るわよ。……それで?」

ことり(穂乃果)「あ、うん、実はね」

真姫「ああ、待って。こちらから用件を当ててあげましょうか」

ことり(穂乃果)「え? 分かるの?」

真姫「大体はね。……私にライブ用の曲を作ってほしい、ってとこでしょ?」

ことり(穂乃果)「すごーい! 正解だよ! ねぇねぇ、なんで? なんで分かったの!?」

真姫「ちょ、ちょっと!? 南さん、近いわよ!」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめん……」

真姫「ふぅ……南さん、私が思ってたのとずいぶん性格が違うのね。まあいいわ」

真姫「それで、なんで分かったか、よね。簡単よ。あなたたち、スクールアイドルやるんでしょ?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ。真姫ちゃん、知ってたの?」

真姫「まぁね。たまたまクラスの子が噂してたの、聞いたのよ」

真姫「それで、私のところに来るなら、おそらく作曲関係だと思ってね」

ことり(穂乃果)「それなら話が早いね!」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん! 改めてお願いします、ことりたちのライブ用の曲を、作ってほしいの!」

真姫「悪いけど、お断りするわ」
140: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 01:22:26.70 ID:Z1CQckp5
おつ
だよねえ
143: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 20:30:33.95 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「えっ……そ、そんな……」

真姫「ごめんなさい。でも、何を言われようと、そんな気はないの」

ことり(穂乃果)「な、なんで……?」

真姫「……ピアノも歌も、ただの息抜き。暇つぶしにやってるだけだから」

真姫「作曲ともなれば、時間もかかるでしょ。正直、そこまで力を入れてやるつもり、ないの」

ことり(穂乃果)「そんな……そんなの、嘘だよ。だって、真姫ちゃん音楽好きなんでしょ? なら……」

真姫「……あなたが私の何を知ってるのかは知らないけど。私のことは私が決めるわ」

ことり(穂乃果)「……真姫ちゃん……でも」

真姫「しつこいのと、強引な人は嫌いよ。いくらあなたが上級生で、生徒会長だからって、私のことに口出ししないで」

ことり(穂乃果)「あ……」

真姫「悪いけど、私も忙しいの。南さん、曲作りなら私以外にもできる子はいるはずよ」

ことり(穂乃果)「……」

真姫「ライブ用の曲は他の誰かに頼んで。もう行くわ。それじゃ」

ガララ……ピシャ

ことり(穂乃果)「……他の人じゃ、ダメだよ。μ’sの曲は、真姫ちゃんじゃなくちゃ……」

ことり(穂乃果)「でも……。無理やりじゃだめだよね。どうすればいいんだろう……
144: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 20:34:37.34 ID:d3NRzTvv




キーンコーンカーンコーン

――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「うぅぅ……結局、真姫ちゃんを説得するアイディアなんて浮かばなかったよ……」

ことり(穂乃果)「にこちゃんの時みたいに認めてもらうには……勝負、とか?」

ことり(穂乃果)「あうぅ……ダメだぁ、そもそもピアノじゃ真姫ちゃんには勝てないし……歌でも勝てるかどうか……」

ことり(穂乃果)「みんなに相談してみようかな……」

ガチャ

ことり(穂乃果)「ねぇ、みんな。ちょっと相談が……あれ?」

ことり(穂乃果)「誰も、いないや……あ、メモがある」

『 ことりへ。各自の今日の予定です。
 
  絵里:衣装制作のため買出し

  希 :ライブ舞台確認、その後使用申請交渉に職員室

  にこ:絵里に付き添い

  海未:生徒会室。学院への提出用資料作成      』

  
ことり(穂乃果)「そっか。みんな、頑張ってくれてるんだ」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよね! 私も頑張らないと! ファイトだよっ!」

ことり(穂乃果)「って言っても、どうしよう……。やっぱり、もう一度真姫ちゃんと話してみようかな」

ことり(穂乃果)「でも、強引なのは嫌い、って言ってたし……ううん」

ことり(穂乃果)「……ん? なんだろう、あのロッカー……何か、挟まってる」

キィ

ことり(穂乃果)「あ、これ……にこちゃんが言ってた、『ことりちゃん』が作ったっていう衣装……?」

ことり(穂乃果)「わぁ……すごい! 穂乃果が知ってるのとはちょっと違うけど、すっごくかわいい!!」

ことり(穂乃果)「えっと、こっちがにこちゃん用だね。こっちが、希ちゃんかな?」

ことり(穂乃果)「じゃあこれがことりちゃん用だよね。うん、二人のに負けないくらいかわいいっ!」

ことり(穂乃果)「ちょっと、着てみたいかも……」ウズウズ

ことり(穂乃果)「ことりちゃん用の衣装……今の私なら、着れるよね? 着てもいいよね、ことりちゃん?」

ことり(穂乃果)「うん! いいよぉ、穂乃果ちゃんっ」

ことり(穂乃果)「よしっ! ありがとうことりちゃんっ!」グッ
145: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 21:18:25.65 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「新しい衣装を着るときって、何だかドキドキするねっ!」

ことり(穂乃果)「一応、カーテン閉めて……っと」シャッ

ことり(穂乃果)「えっと……鏡鏡……よし」

ことり(穂乃果)「ではっ! ごめんね! 脱ぐね、ことりちゃん!」

シュル……ゴソゴソ……パサ……

ことり(穂乃果)「あっ、脱いだ服、掛けておかないと皺になっちゃうかな」カチャ

ことり(穂乃果)「改めてみると、ことりちゃんって意外とスタイルは穂乃果と似てる……かな?」

ことり(穂乃果)「うーん。でも雰囲気とかは全然違うよねー。はあ、ことりちゃん可愛くてうらやましいな~」

ことり(穂乃果)「…………」

ことり(穂乃果)「……なんだろ、今は一応、自分の身体なんだけど……」

ことり(穂乃果)「鏡に映ってることりちゃんの下着姿に、ちょっと罪悪感が……」ズキ

ことり(穂乃果)(でもちょっと困り顔のことりちゃんも可愛い……)ドキドキ

ことり(穂乃果)「はっ、そんなことやってる場合じゃなかった! 着替え着替え」

ことり(穂乃果)「えっと……これを着て……こっちが上着? あ、このスカート、中にパニエがあるんだね」

ことり(穂乃果)「このリボンを……、あと、アクセかな? ……よしっ! かんせーい!」

ことり(穂乃果)「うわぁ……っ!」

ことり(穂乃果)「すっごい! 実際に着たら想像よりも何倍もかわいいよっ!!」

ことり(穂乃果)「デザインだけじゃなくて、縫製もすごく丁寧で……」

ことり(穂乃果)「こっちの世界のことりちゃんも、衣装づくり好きなんだって伝わってくるね……」

ことり(穂乃果)「こんなに可愛いんだもん。すぐ脱ぐのももったいないなぁ」

ことり(穂乃果)「ちょっと、歌いたくなってきちゃったかも」
147: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:05:41.73 ID:d3NRzTvv
 ―― だって……ぎゅっとー らぶでせっきーん……!

海未「……?」

 ―― ふだんより、そーわそわぁ…… いつもよりぃかぁわいく~

希「これ……? そっか、ふふ……っ」

 ―― そして! 純情はせーいぎ! じゅーんすいよ! キミよふりむいてぇ

「なんだか楽しそうにゃー♪」

「うんっ、それにとっても上手だねっ! 誰が歌ってるんだろう?」

 ―― 見せて 見せてっ どうか見せてっ

 ―― うんとがんばっちゃ~う!

真姫「この歌声……? どこから……? あ……っ」

 ―― つかまえて ぎゅっと もっと 私を……見て……





ことり(穂乃果)「ふぅ。結局、一曲歌いきっちゃった……」

ことり(穂乃果)「みんなライブに向けて頑張ってるのに、何だか私だけ遊んじゃってて悪い気が」ズーン

カチャ キィ

ことり(穂乃果)「わっ!? ご、ごめんなさいっ! かわいい衣装があったから、つい!!」

ことり(穂乃果)「さ、さぼってなんかいませんっ! す、すぐ私も出かけちゃいますっ!」

真姫「……何慌ててるのよ。イミワカンナイ」

ことり(穂乃果)「ふぇ!? 真姫ちゃん?」

真姫「……」カミノケクルクル
148: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:25:35.80 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「な、なんで真姫ちゃんがここに!?」

真姫「その……何だか楽しそうな歌声が聞こえてきたから、つい……」

ことり(穂乃果)「え? あ……そ、そう言えば気分が乗ってきたから、窓開けて歌っちゃってた……」

真姫「ええと……邪魔、だった?」

ことり(穂乃果)「う、ううん! そんなことないよ! いらっしゃい、真姫ちゃん!!」

真姫「うん……」クルクル

ことり(穂乃果)(自分じゃ分からなかったけど、真姫ちゃんに聞こえたってことは、結構大きな声だったんだろうな……)

ことり(穂乃果)(皆に聞かれたよね? うぅ……なんか、今更恥ずかしくなってきちゃった……)

ことり(穂乃果)(さっきの音楽室での真姫ちゃんも、こんな気持ちだったのかな)

真姫「ねぇ」

ことり(穂乃果)「はっはい!? なに、真姫ちゃん!?」

真姫「南さんが来てるそれ……アイドルのライブ衣装ってやつ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

真姫「そう……。似合ってるわよ」

ことり(穂乃果)「あ、ありがとう」

ことり(穂乃果)(褒めてもらえるのは嬉しいけど……ちょっと照れるね)

真姫「それにあなた……歌、うまいのね……。正直、驚いたわ」

ことり(穂乃果)「えへへ……、みんなにいっぱい教えてもらったからね」

真姫「そう、なんだ……。友達、多いのね」

ことり(穂乃果)(あ……、この世界の真姫ちゃんは、花陽ちゃんや凛ちゃんとまだ友達じゃないのかな……)

真姫「ねぇ、南さん。あなたは……なんで、いつもそんなに楽しそうなの?」
150: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:42:01.01 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「え? 楽しそう?」

真姫「ええ。あなたの目、いつもキラキラしてるわ」

ことり(穂乃果)「そうなの? 自分じゃ分からないや」

ことり(穂乃果)「でも、楽しそうに見えたなら……それはきっと、夢に向かって、好きなことに一生懸命、だからかも」

真姫「好きなことに……」

ことり(穂乃果)「うん。私は歌が好き、スクールアイドルが好き。そして、この音ノ木坂学院と、メンバーの皆が大好き」

ことり(穂乃果)「だから、スクールアイドルで、ライブでその素晴らしさをみんなに伝えたい。もちろん、真姫ちゃんにも」

ことり(穂乃果)「そう、想って。願いが叶うように、悔いを残さないように、いつも全力で走ってるんだ。みんなと一緒に」

ことり(穂乃果)「だからいつもわくわくして、とっても楽しいって感じてるのかも」

ことり(穂乃果)「ほんとのこと言うと、真姫ちゃんにも、この楽しさを知ってほしい……かな」

真姫「……」

ことり(穂乃果)「あっ! でもね。無理にとは言わないよ。だって、好きなことだからこそ一生懸命になれるんだもん」

ことり(穂乃果)「楽しいはずのことが、我慢してるうちに楽しくなくなっちゃうなんて、そんなの、つらいから」

真姫「……あなたは……好きなことを、素直に好きって言えるのね。……ちょっと、羨ましいわ……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん?」

真姫「ううん、何でも」

ことり(穂乃果)「そっか。あ、ごめん。長々とお話ししちゃったね」

真姫「べ、別に……気にしてないわ」

ことり(穂乃果)「ありがと、真姫ちゃん。私、そろそろ行くね?」

真姫「え……」

ことり(穂乃果)「みんなライブのために頑張ってくれてるから、私だけ遊んでたら怒られちゃうし」

真姫「でも……楽曲、無いんでしょう?」

ことり(穂乃果)「そうだけど……、それは何とかするよ! 大丈夫!!」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、また気が向いたら、アイドル研究部に遊びに来てね!」

真姫「あ……」

ことり(穂乃果)「歓迎するから! じゃあね!」

真姫「待って!!」
151: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:07:10.48 ID:d3NRzTvv
ことり(穂乃果)「……真姫ちゃん?」

真姫「その……前に、音楽室で言ってた、作曲のことなんだけど」

ことり(穂乃果)「う、うん」

真姫「……えっと……やっぱり……手伝っても、いいわよ……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん……!」

ことり(穂乃果)「嬉しいけど……でも、いいの? 無理は、しなくても……」

真姫「無理なんてしてないわ」

ことり(穂乃果)「でも」

真姫「嘘や冗談なんかでもない。私が、やりたいのよ。それとも……今更、迷惑?」

ことり(穂乃果)「そんなことないよ! 真姫ちゃんが曲を作ってくれるって、すっごく嬉しい!!」

真姫「そ、そう……。その……あんなに歌がうまいのに、楽曲がないなんて……もったいないって、思ったから……」

真姫「……それに……あなたみたいに、自分の気持ちに素直になれたら……私も、変われるかな、って……」ボソ

ことり(穂乃果)「?」

真姫「何でもないわ。でも、流石アイドルね。衣装を着て、歌ってるあなた、すごくかわいかったわ」

ことり(穂乃果)「そ、そっかな……ありがとう。えへへ……なんか、そう言われると照れちゃうね」

真姫「くすっ、南さん、耳まで真っ赤よ」

ことり(穂乃果)「うぅ……、い、言わないでよぉ……」

真姫「何だか生徒会長どころか、上級生とも思えないわね。……ことりさん、って」

ことり(穂乃果)「あっ、真姫ちゃん、いま……!」

真姫「あっ、う。や、やっぱり変だった?」

ことり(穂乃果)「ううん! でもね、真姫ちゃん。私には『さん』付けもいらないよ?」

ことり(穂乃果)「そのまま、名前で呼んでほしいな」

真姫「ヴェエエ!? それって呼び捨て? だ、だって私は一年生で、あなたは上級生よ? いくらなんでも呼び捨ては……」

ことり(穂乃果)「大丈夫! 私は気にしないし、慣れてるから! メンバーの皆も、誰も気にしないしね!」

真姫「慣れてるって、何よそれ……本当、イミワカンナイ」

ことり(穂乃果)「えへへ。それじゃ、改めて、よろしくね! 真姫ちゃん!」

真姫「ええ。よろしく……ことり」
159: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 12:29:07.88 ID:nDqmDIWU
なかなか素直になれない真姫ちゃん
163: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:54:03.11 ID:d3lmVxt7
――翌日 一年生教室

キーンコーンカーンコーン

教師「――それではホームルームの連絡は以上だ。日直、号令」

「きりーつ、礼」

<ネェネェ ブカツイコー?
<シッテル? アタラシイオミセ,デキタンダヨ~
<ホントウ!? ミニイキターイ

ガヤガヤ……

「かよちーん! 一緒に帰ろうにゃー!」

「うん。あ、あれは……?」

真姫「……」

タタタ……

「ん? あ、西木野さんだにゃ。なんか走ってっちゃったね」

「うん。なんだか珍しいね、あんなに急いで。どこ行くんだろう……?」

「そういえば、西木野さん、朝からそわそわしてたような……アイドル研究部が、どうとか……」

「かよちん?」

「ううん。何でもない。凛ちゃん、帰ろっか」

「うん! ねぇねぇ、帰りにラーメン食べていこうにゃ~」

「えぇ~!? またなのぉ!? あんまり食べると、夕ご飯、食べられなくなっちゃうよぉ?」

「平気平気! それじゃ、いっくにゃー!」

「わゎっ!? ひ、引っ張らないでぇっ!? ……だ、ダレカタスケテェ~!!」



165: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:00:11.70 ID:d3lmVxt7
――『アイドル研究部』

コンコン

「あっ、来た来た! はーい! どうぞー!」

ガチャ

真姫「し、失礼します……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、待ってたよー!」

希「へぇ、この子がことりちゃんの言ってた子やね。あ、中入って入って」

海未「ようこそ、アイドル研究部へ。ええと……」

真姫「あ……西木野、真姫です。よろしく、お願いします」

絵里「ハラショー! 歓迎するわ! またにぎやかになるわね!」

にこ「ちょっとことり、この子一年生じゃない。本当に曲作りできるの?」

ことり(穂乃果)「大丈夫! 真姫ちゃんの曲はどれもいい曲なんだよ!」

にこ「ふぅん。ま、ことりが言うなら大丈夫なんだろうけど」

海未「にこ、いきなりそれは失礼ですよ。すみません、真姫」

真姫「別に、気にしていません。それより、ことりの言う通り、本当に先輩後輩気にしない呼び方なんですね」

絵里「ええ。私たちは同じスクールアイドルって仲間でしょ? だから真姫も先輩とか気にしないでいいのよ」

希「そうそう。敬語もいらないんよ。ま、誰かさんは難しいみたいやけど」

海未「な、なんでこっちを見るんですか希! 仕方ないでしょう! こればかりは今更変えられません!」

ことり(穂乃果)「確かに敬語じゃない海未ちゃんって、想像できないかも……」

海未「ことり!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめぇんっ!」

真姫「……くす。本当に、ことりの言う通りね。仲いいのね、あなたたち」
166: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:06:26.45 ID:d3lmVxt7
ことり(穂乃果)「うん! みんな私のとっても大事な人で、大好きだから! あ、もちろん真姫ちゃんもだよ!」

真姫「ちょ、ちょっと止めてよ……いきなり何言ってるのよ……」

にこ「あらぁ~? ひょっとして真姫ちゃんってば、嬉しいの? 照れてるのぉ?」

真姫「なっ、何よそれ! イミワカンナイ!」

にこ「またまたぁ、ことりに大好きって言われて、嬉しいんでしょ? 頬真っ赤にしちゃてぇ~」

真姫「し、してないわよっ!」

絵里「うふふ、真姫も思ったよりすぐに打ち解けてくれそうね」

希「そうやね。舞台の申請も通ったし、これで楽曲もOK。練習、本格的に始められそうやね」

絵里「ええ。ふふ、いよいよダンスの練習もできるわ。腕が鳴るわね」

海未「絵里、楽しそうですね」

絵里「まあね。やっぱり私、踊るの好きなのかも」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんのダンス、すごいもんね! 私も頑張らなきゃ!」

海未「私もです。日舞とは違うとはいえ、負けていられませんからね」

真姫「……ねぇ。そういえば、さっきことりが『どれもいい曲』って……どういう意味?」

真姫「私、まだ一つも曲作ってないんだけど……」
167: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:17:05.31 ID:d3lmVxt7
ことり(穂乃果)「えうっ!? そ、それは……」

にこ「きき聞き間違いじゃないの?」

絵里「そうそう! たぶん緊張してたから変な風に聞こえたのよ!! ねぇことり!」

ことり(穂乃果)「うんうん! そうだよ真姫ちゃん!!」

真姫「そう? ……そうかしら?」

にこ「……ちょっとことり……『あんたのこと』、教えてないの?」ボソ

ことり(穂乃果)「ご、ごめん。まだ……」ボソ

にこ「まぁ……事情が事情だしね……。話したとこで信じられるかってこともあるし……」ボソボソ

真姫「二人して、何こそこそ話してるのよ?」

ことり(穂乃果)「なっ、なんでもないよぉっ!?」

真姫「? それと、あなたたち、ライブ用の曲がないって話だったわよね?」

ことり(穂乃果)「あ、うん。そうなんだ」

海未「それで困っていたんです」

真姫「でも、それって変じゃない? ほら、ことりが歌ってた歌とかあるんでしょ?」

真姫「それをライブでもやればいいんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「ええと……それはその……」

海未「実はですね……。ことりが歌う歌は、どれもちゃんとした曲ではないんです」

海未「歌詞とメロディーはあるのですが……」

真姫「??? よくわからないけど……。それじゃあ、ライブ用の曲っていっても、一から作曲するんじゃなくて」

絵里「ええ。ことりの歌を編曲する……というか、ちゃんとした曲をつけてあげて欲しいのよ」

真姫「なるほどね。それなら、そんなに時間はかからないと思うけど」

希「良かった。恥ずかしい話だけど、うちらにはそういうことできる人がいなくてね~」

にこ「本当、ことりってそういうとこ抜けてるんだから……」

ことり(穂乃果)「うっ……返す言葉もないです……」

ことり(穂乃果)(……でも。真姫ちゃんを誘ったのは……それだけじゃないんだ)

ことり(穂乃果)(ライブでやるのは、『向こうの真姫ちゃん』の作った曲だけど……)

ことり(穂乃果)(こっちの真姫ちゃんにも……曲作りの楽しさと、この素敵なみんなを知ってほしかったから……)
168: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 23:16:44.60 ID:d3lmVxt7
真姫「……ことり?」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめん。それじゃあ、今日はどうする?」

絵里「そうね。今日はことりと真姫はライブ用と練習用に歌を録ってきて。明日から、それをもとにダンスの練習も始めましょ」

にこ「それまでにこは絵里と衣装作成を進めておくわ。材料は揃えておいたから」

希「それでええんやない? ならうちは明日からの練習場所を探しておくんよ」

海未「私はどうしましょうか。学院への資料は提出しましたので……」

にこ「なら、衣装の方手伝ってくれない?」

海未「わかりました。絵里やにこほどの腕はありませんが……」

にこ「そんなの気にしないわよ。海未が手伝ってくれるだけでありがたいわ」

にこ「そうだ、折角だし真姫ちゃんの分も追加しとく?」

絵里「それはいいアイディアだわ! 流石にこね!」

真姫「ええっ? ちょ、ちょっと! 作曲はするけど、アイドルやるとまでは言ってないわよっ!?」

希「まぁまぁ。いいんやない?」

真姫「待ってよ!? ことりっ、あなたからも言ってやってよ!」

ことり(穂乃果)「えっと、私も……真姫ちゃんといっしょにやれたら嬉しい、かな」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、どう……?」

真姫「ことりっ!? で、でも……私が、アイドルなんて……」

ことり(穂乃果)「もし本当に嫌なら……これ以上は、言わないけど」

真姫「~~~~っ! ずるいわよっ、そんな顔!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね」

真姫「……ちょっとだけ、時間を頂戴。すぐには……決心できないから」

ことり(穂乃果)「……うん」



にこ「……いぇーい!」

絵里「ハラショー!」

ハイタッチ パァン!

真姫「そこっ!! まっ、まだ入るって言ってないわよっ!!」

希「まぁ、もう加入したようなもんやん?」

真姫「希っ!!」
174: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:34:48.04 ID:Y62o9cua
 ――何だかんだ言いながらも……メンバーとして真姫ちゃんも加わり、私たちはライブに向けて本格的に動き出した。





真姫「ひとまず、練習用の、だけど、ことりの歌を基に曲をつけてみたわ」

ことり(穂乃果)「おぉ~! 真姫ちゃんさっすがぁ!」

にこ「へぇ、こんなすぐにできるなんて、なかなかやるじゃない」

真姫「まぁ……メロディーが最初からあったからね」

真姫「それに、ことりの歌う歌って、不思議と私のフィーリングに合うのよ。どうしてなのかしら?」

ことり(穂乃果)「あはは……不思議だよね……」

ことり(穂乃果)(だって、『真姫ちゃん』が作った曲だからね……同じセンスの持ち主だから、当然だよね)

絵里「ねぇねぇ、早速聴いてみましょうよ!」

希「あっ、ずるいよえりち。うちも聴きたい!」

にこ「ちょっと! ここは部長のにこが優先でしょ!?」

海未「あっ……その、私も……」

真姫「もう、慌てなくても曲は逃げないわよ……」

ことり(穂乃果)「っていうか、イヤホンじゃなくてスピーカーから流せばよかったんじゃ……」
175: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:35:21.74 ID:Y62o9cua




海未「ダンス自体の練習も大切ですが、ライブを踊り切るには大前提として、スタミナがなければなりません」

海未「ということで、まずは体力の向上を目指してトレーニングです!」

絵里「確かに一理あるわね。具体的には?」

海未「そうですね……まずはランニングでもしてみましょうか。始まったばかりですし、軽く10kmくらいですかね」

希「じゅ、じゅっきろ!? 海未ちゃん、そ、それはちょっと……」

にこ「に……にこはぁ、スーパーアイドルだしぃ? そんなことしなくても大丈夫にこっ」

真姫「そ、そうよそうよ。それにまだ私はやるって決めたわけじゃ……」

海未「何か言いましたか? 希、にこ、真姫?」

のぞにこまき「「「な、何でも……」」」

海未「では、行きますよ!」

絵里「なんだか海未、楽しそうね? っと、ボーっとしてないで私も続かないとね」

ことり(穂乃果)「あはは……実はちょっと、こうなる気はしてたんだよね……この世界でも、海未ちゃんの厳しさは同じ、かぁ」





タッタッタッ……

絵里「はっ……はっ……見慣れた街でも、こうしてみんなと走るとなんか新鮮ね」

ことり(穂乃果)「だねっ、はっ、はっ、なんだかこういうの、楽しいよね!」

絵里「ええ! よし、ゴールまでもうちょっとね。ふふ、ことり、負けないわよ~?」ダッ

ことり(穂乃果)「あっ、絵里ちゃんずる~い! なら私だって!!」ダッ

海未「ことり、絵里! ああ、もう、これは競争じゃないんですよ!?」ダッ

にこ「ひぃ……ひぃ……なんなのよ、あの子たち……化け物なの……?」

希「えりちや海未ちゃんはともかく、ことりちゃんまであんなに体力があるなんて……」

真姫「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

にこ「ま、真姫ちゃん? 大丈夫なの?」

真姫「ぜぇ……いみ……ぜぇ……わかん……な……」ガクリ

にこ「ちょっとぉぉぉ!?」

希「あ、あかん!? メディック! メディーック!!」
176: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:35:54.04 ID:Y62o9cua




絵里「みんな、衣装ができたわよ!」

海未「おお、ついにですね!」

にこ「ふふっ、デザイン自体は『ことり』の案だけど、にこたちの努力の結晶、とくと見なさい?」

ことり(穂乃果)「どんな衣装なんだろう、ドキドキするね!」

真姫「……なんでことりが知らないのよ」

希「まぁまぁ、デザインと実物じゃ別物、ってのはよくあることやん」

海未「そ、そうですよ」

絵里「それじゃ、お披露目よー。……じゃーんっ!」

ことり(穂乃果)「わぁ……っ!!」

希「ええやん! 流石えりちやん!」

にこ「ちょっとぉ! にこも手伝ったのよ!? にこのことも褒めなさいよ!」

絵里「ええ、にこがいたからこそ、出来た衣装だものね。ありがとう、にこ」

にこ「ふ、ふんっ! す、スーパーアイドルたるもの衣装もしっかりしてないといけないから! それだけだから!」

真姫「な、なかなかいいんじゃないの……? か、可愛いし、いいと思うわよ……?」クルクル

海未「で、ですが……ちょっとスカートが短くありませんか? わ、私はもうちょっと長めのを……」

ことり(穂乃果)「ダメだよ海未ちゃん! 一人だけロングスカートじゃ合わないでしょ?」

にこ「ことりの言う通りよ。諦めなさい。……下にジャージなんて、許さないわよ?」

海未「うっ!? な、何故それを……!」
177: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:50:38.99 ID:Y62o9cua




ことり(穂乃果)「どうしたのにこちゃん。みんなを集めて」

真姫「そうよ。練習しないの?」

にこ「ちっちっち。甘いわねあんたら」

にこ「練習も大切だけど、アイドルにはそれと同じくらい大切なことがあるのよ!」

にこ「特に、ライブを成功させるためにはね?」

絵里「何かしら……準備はしっかりやっていると思うけど……」

海未「ええ、練習も順調に進んでいます。もちろん、まだまだ課題は残っていますが」

にこ「まったく、絵里も海未もダメね。はぁ、にこがいなかったらどうなってたやら」 

ことり(穂乃果)「ねぇねぇ、にこちゃん。それって何なの?」

真姫「そうよ。勿体付けないで教えなさいよ」

希「あっ、うちなんとなくわかったかも」

ことり(穂乃果)「本当? 希ちゃんすごい! ねぇねぇ、何なの?」

希「ふふふ……アイドル、そしてライブの成功に大切なもの! それは……」

絵里「それは……?」

海未「ごくり」
 
希「ずばり! 宣伝! アピール! プロモーションやん!」

ことり(穂乃果)「おぉ~! そっか! そうだよね!」

真姫「確かに、私たちのことをもっと知ってもらわなきゃいけないものね」

希「うちらだってアイドルなんやから、PV撮って動画サイトにアップするとかもありやん?」

絵里「いいわね! あ、じゃあライブ告知のチラシやポスター作ったりとかも!」

ことり(穂乃果)「みんなにチラシを配って、私たちのこと知ってもらうんだね!」

海未「そういうことなら、生徒会室にいくつか使えそうなものがあったはずです」

真姫「まぁ……チラシ配りはともかく、ポスター作りとかなら、私も手伝わないでも無いわよ」

ことり(穂乃果)「よーし、それじゃ早速やろう!」

絵里「ええ、ほらにこ、ボーっとしてるとおいてくわよ?」

にこ「……ぬぁんでよ!!」
178: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:23:21.61 ID:Y62o9cua




凛「それでねー? そのラーメン屋さん、ちょっと見つけにくいけどすごくおいしくって」

花陽「へぇ~……そうなんだ。よかったね、凛ちゃん」

凛「うん! 今度かよちんも一緒にいこ! そこはライスもね、とってもおいしいんだよ!」

花陽「そうなの!? もちろんだよぉ」

凛「やった! 楽しみにゃー!」

花陽「ふふ……っ、凛ちゃん、本当に好きなんだね。……あれ?」

凛「どうしたのかよちん? あ、何だろあそこ。人だかりができてるにゃー」



<よろしくおねがいしまーす!」
<みなさん、見に来てくださいねー!



生徒「がんばってねー!!」

ことり(穂乃果)「ありがとーっ!」

にこ「にこたちの活躍ぅ、ぜひぜひ、見に来てにこっ!」



花陽「あ、あの人……生徒会長さんだよ」

凛「でも、一緒にいる人は、リボンを見ると三年生にゃ。凛と同じくらいちっちゃいけど」

花陽「凛ちゃんそんなこと言っちゃダメだよぉ。でも、何やってるんだろう」

凛「何か配ってるみたいだにゃー。かよちん! 貰いにいこ!」

花陽「あっ、凛ちゃん!?」
179: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:27:57.05 ID:Y62o9cua
絵里「よろしくお願いしまーす! 音ノ木坂学院スクールアイドルグループ(仮)でーす!」

真姫「……ねぇ。やっぱりその名前何とかしない?」

絵里「でも、『これ!』っていう、いいアイディアが浮かばないし……」

海未「とはいえ、いつまでも(仮)というのも不味いのは確かです」

希「ライブまでに何か考えないとやね」



花陽「スクール、アイドル……? それに、ライブ、って……」

凛「あっ、あれ西木野さんだにゃ! でも何で生徒会長さんや先輩たちと一緒に?」

花陽「もしかして、西木野さんがお昼休みや放課後に行ってたのは……」

凛「なるほどー。先輩たちと遊んでたってことかにゃ」

花陽「そっか……」

凛「……かよちん?」

花陽「何でもないよ。……凛ちゃん、いこっか」

凛「あっ、かよちん!?」
181: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:29:42.49 ID:HHj+S1TT
おつ
かよちん一筋縄ではいかなそう
185: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 16:55:13.38 ID:SQZYn7AW
海未「ふぅ……チラシ配りというのも、なかなか簡単ではないのですね」

にこ「まぁ、みんながみんなアイドルやライブに興味があるってわけじゃないからね」

にこ「むしろ、そういう人にいかに興味を持って貰うか、魅力を知ってもらうかが、アイドルの腕の見せ所ってこと」

真姫「にこちゃんのキャラ作りも、こういう時には人目を引くから強いわよね」

にこ「当然でしょ。でもぉ、にこにーはぁ、銀がナンバーワンだだからぁ、何もしてなくても人を集めちゃうにこっ!」

真姫「急に変わるのやめてよ。キモチワルイ」

にこ「なによぉっ!!」

絵里「ふむふむ、チラシ配り一つでも……奥が深いわね……」

ことり(穂乃果)「でも、頑張ったおかげでたくさんの人が貰ってくれたよ! 応援してくれる人もいたし!」

希「そうやね。期待に応えられるように、ますますしっかりやらんとね」

真姫「ええ。あら、あれは……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん? どうしたの?」

真姫「あそこ、同じクラスの子がこっち見てたのよ。確か、小泉さんと星空さん、だったわね」

希「んー、でも行っちゃうみたいやね。残念だけど、あんまり興味ないんかな?」

ことり(穂乃果)「……そんなはずないよ!」

絵里「ことり?」

ことり(穂乃果)「私、ちょっと行ってくる! 興味ないなんて、そんなはずないもん!」

にこ「あっ、ちょっと待ちなさいよ!?」

真姫「ことり!? いきなりどうしたのよ……!?」
186: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 16:57:48.19 ID:SQZYn7AW




凛「かよちん、よかったの?」

花陽「え? 凛ちゃん、何?」

凛「さっきのチラシ貰わなくて。かよちん、アイドル好きでしょ?」

花陽「うん。それは、そうなんだけどね」

凛「ならどうして……?」

花陽「……」

<おーい! ちょっとまってぇ~!

凛「にゃ?」

花陽「あっ……」

ことり(穂乃果)「はぁはぁ、よかった追いついて~」

凛「ああっ、さっきチラシ配ってた人だにゃ!」

花陽「生徒会長さん……」

ことり(穂乃果)「あ、やっぱり生徒会長として知られてるんだね。じゃあ、改めて初めまして。南ことりです」

凛「初めまして! 一年の星空凛です!」

花陽「小泉、花陽です……」

花陽「それで……何か、ご用でしょうか?」

ことり(穂乃果)「うん。ええっと、さっき聞いてたかもしれないけど、今私、みんなとスクールアイドルやってるんだ!」

ことり(穂乃果)「今度ライブやるの! もしよかったら、見に来てほしいな。これ、どうぞ!」

凛「あっ、これがチラシかにゃ?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ! 見てみて!」

花陽「……」

凛「へぇぇ……すごいにゃ。あっ、メンバーのなかに西木野さんもいる!」

ことり(穂乃果)「ふふ、そうなんだ! 真姫ちゃんもね、一緒にスクールアイドルやってくれてるの!」

花陽「本当に、メンバーなんだ……」

凛「意外だにゃー。凛、西木野さんのことはあんまり知らないけど、アイドルやるイメージなかったにゃ」

ことり(穂乃果)「確かに一見するとそう思うかもしれないけどね。真姫ちゃん、すっごく音楽好きなんだよ。ピアノも上手だし!」

凛「そうなの!? 知らなかったにゃー!」
187: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 17:02:52.42 ID:SQZYn7AW
真姫「ちょっと……本人のいないところで勝手に何言ってるのよ」

ことり(穂乃果)「わぁ!? 真姫ちゃん!?」

凛「まさかのご本人登場だにゃ!」

花陽「西木野、さん」

真姫「ごめんなさいね、小泉さん。うちのリーダーが迷惑かけたでしょ?」

花陽「そ、そんなことないよ」

真姫「まったく。ことり、小泉さんはおとなしい子なんだから、あなたみたいに勢い任せに迫られたら困っちゃうでしょ」

凛「あれ? 凛の心配は?」

真姫「……星空さんはその、気にしなさそうだし……むしろ似た者同士って気がするから、大丈夫かなって」クルクル

凛「何気に酷いにゃ! 多分合ってるけど!」

真姫「それはそうと、ことりのことだから、大方ライブに無理やり誘ったりしたんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、私、そんなことしてないよぉ」

真姫「本当かしら? 海未もよく言ってるわよ、『ことりはすぐ周りが見えなくなるんですから』って」

ことり(穂乃果)「えええ!? いくらなんでもそんなことない……はずだよ……ね?」

真姫「そこで言い切れない辺り、自覚はあるのね……」

花陽「……西木野さん、生徒会長さんと仲良いんだね」

真姫「ヴェエエ? あっ、これは違うのよ? その、なんていうか……」

花陽「……なんで……」

真姫「えっ?」

花陽「…………なんで、西木野さんは……」

真姫「小泉さん?」

花陽「っ! な、何でもないんですっ、ごめんなさいっ!」タッ

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんっ?」

凛「あっ、待ってかよちん! 凛も行くね! 生徒会長さん、西木野さん、それじゃっ!」タタタ

真姫「行っちゃったわね。小泉さん、急にどうしたのかしら……?」

ことり(穂乃果)「……花陽ちゃん」
189: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:50:38.36 ID:SQZYn7AW
――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「うぅーん……」

ガチャ

絵里「あら? まだ唸ってるの? ことり」

ことり(穂乃果)「うん? あ、絵里ちゃん」

絵里「チラシ配りから帰ってきてからずっとそんな調子じゃない。みんな心配してるわよ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい……」

絵里「あの一年生たちを追いかけた後で、何かあったの? トラブルとか」

ことり(穂乃果)「ううん、そういうわけじゃないんだけど……」

絵里「でも、あなたには気になることがあったのね」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「ふぅむ。秘密にしなきゃいけないことじゃないなら、話してみたら? 何か力になれるかもしれないわよ?」

絵里「私たち、同じスクールアイドルじゃない。それに言ったでしょ? 私はあなたの味方だって」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……」

絵里「私の方が先輩ですもの。後輩の悩みの解決を手伝うのも、先輩の役目よ」

ことり(穂乃果)「ありがとう、絵里ちゃん。実はね……」
190: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:57:03.49 ID:SQZYn7AW




絵里「なるほど……。その子は本当はアイドルに興味があるはずなのに、そっけない態度を取ったから腑に落ちない、か」

ことり(穂乃果)「うん。花陽ちゃんは、にこちゃんに負けないくらい、アイドルが大好きな子なんだ」

ことり(穂乃果)「だから、ライブにも興味持ってくれると思ったんだけど……」

絵里「とはいえ、それは『向こう』のその子のことで、『穂乃果』だから知っていることなのよね」

絵里「『こっち』のその子はあなたのことをよく知らないはずだし、ことりが無理に迫ったところで、多分ダメだと思うわ」

ことり(穂乃果)「そうだよね……。もしかしてこっちの花陽ちゃんは、アイドル好きじゃないのかなぁ……」

絵里「うーん……、でも今まで『向こう』と『こっち』で性格が大きく違う子はいなかったんでしょ?」

ことり(穂乃果)「うん。みんな私が知っている性格のままだったよ」

絵里「なら、きっと本当はアイドルに興味があるんじゃないかしら。それとも、アイドル、嫌いみたいだった?」

ことり(穂乃果)「ううん、そんなことないと思う。でも……」

絵里「ねぇことり。どうして、そこまで気にするの? その子のこと」

絵里「こういう言い方はよくないけれど、その子だけがファンなわけではないでしょう? 他にも応援してくれる人はいるし……」
191: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:58:02.30 ID:SQZYn7AW
ことり(穂乃果)「……花陽ちゃんは、『私たち』の最初のファンになってくれた人だったんだ」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんがいなかったら、私たち、きっと最初のライブでくじけちゃってた」

ことり(穂乃果)「そして、私たち三人だったグループにも入ってくれて……そこから、μ’sはさらに大きくなっていったの」

絵里「μ’sって、あなたが前に言っていた……」

ことり(穂乃果)「うん。私たちのグループの名前、そして、私たちの絆……」

絵里「……そう。その子はあなたにとって、大切な人なのね」

ことり(穂乃果)「うん。メンバーでもあり、ファンでもある。とっても大切な人の一人だよ」

絵里「そういうの、素敵ね。それにしても、ファン第一号、か。ふふ、それじゃあこの世界では、私たちがそうなのかしら?」

絵里「あの屋上でのことりの歌とダンス、あれにすっかり心を奪われて、一緒にスクールアイドルやることになったんだものね」

ことり(穂乃果)「あはは、そうかも」

絵里「……ことりはその子たちにも、グループに入ってほしいのね?」

ことり(穂乃果)「うん。皆でまた一緒に出来たら、きっと……楽しいと思うんだ。花陽ちゃんも凛ちゃんも、そして私たちも」

絵里「じゃあ……もう一度、会ってみたら? でも、無理矢理とか、強引に誘うはダメよ」

絵里「私たちスクールアイドルの、そしてあなたの想い、しっかり伝えるの」

絵里「あなたの本気はこうして私やにこ、海未に伝わったのよ? ちゃんと向き合えば、きっと、その子も応えてくれると思うわ」

絵里「それにね? こうして唸ってるだけなんて、らしくないわよ?」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……うん! そうだよね! 当たって砕けろだよ!」

絵里「その意気よ!」

ことり(穂乃果)「ありがとう絵里ちゃん! それじゃ、行ってくるね!!」

絵里「がんばりなさい。ことり」
192: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 20:37:54.82 ID:SQZYn7AW
―― 一年生教室

凛「今日も西木野さんは授業終わるなり出て行っちゃったにゃー」

花陽「……そうだね」

凛「ねえかよちん、気になってるんでしょ?」

花陽「何のこと?」

凛「アイドル研究部の人たち。かよちんアイドル好きなんだし、西木野さんと一緒に見てきたら」

花陽「いいんだよ、凛ちゃん。もう、いいの」

凛「かよちん……?」

花陽「……」

生徒「小泉さん? 二年生の人が来てるよ? 呼んできてほしいって」

花陽「二年生が?」

凛「だれかにゃー? かよちん、何か約束とかしたの?」

花陽「……ううん。特にそんな覚えはないけど……。あっ」

ことり(穂乃果)「こんにちは」

凛「わっ、生徒会長さんだにゃ!」

花陽「な、なんで一年生の教室にぃ!?」

ことり(穂乃果)「二人とも……ちょっと、お話、いいかな?」

凛「お話?」

花陽「それって……?」
193: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 20:41:10.24 ID:SQZYn7AW
――中庭

ことり(穂乃果)「ごめんね? 突然。びっくりしたよね」

凛「本当にゃ! 生徒会長さんが凛たちの教室に来るから、何か怒られるのかと思ったにゃ」

花陽「凛ちゃん! 生徒会長さん相手にだめだよぉ! そもそも上級生だよぉ!?」

凛「あっ、ご、ごめんなさい」

ことり(穂乃果)「ううん。凛ちゃんも花陽ちゃんも、上級生とか気にしなくていいよ?」

凛「生徒会長さん、なんか思ったより大雑把にゃー」

花陽「凛ちゃん!」

ことり(穂乃果)「あはは。でも、その方がお話しやすいでしょ? 先輩後輩じゃなくて、仲のいい友達みたいな感じで!」

凛「そうかも!」

ことり(穂乃果)「あ、あと『生徒会長』じゃなくて、名前で呼んでいいよ~。私はもう、名前で呼ばせてもらってるしね!」

花陽「ええっ、生徒会長さんのことを、名前で!?」

凛「ますます上級生とは思えないにゃー! でも凛は、そっち生徒会長……じゃなくて、ことりちゃんの方が好きかも!」

ことり(穂乃果)「ふふっ、ありがと、凛ちゃん!」

花陽「それで、えっと……お話っていうのは、やっぱり……ライブのことですか?」

ことり(穂乃果)「うん。まあ、分かっちゃうよね?」

凛「ねえかよちん。折角ことりちゃんが誘いに来てくれたんだよ? 見に行かない?」

花陽「凛ちゃん……でも……」
194: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 21:27:54.80 ID:SQZYn7AW
ことり(穂乃果)「ねぇ、花陽ちゃん。歌は、好き?」

花陽「えっ……歌、ですか……。はい、好きですけど……」

凛「かよちん、アイドル好きだもんね! 歌もよく歌ってるにゃ!」

花陽「あっ、それは、そのぅ……」

ことり(穂乃果)「よかった! じゃあせっかくだし、私の歌、聴いてもらっていいかな?」

花陽「えええっ!?」

凛「いきなり過ぎるにゃー!」

ことり(穂乃果)「ふふっ、そうかも。でもね、私はアイドルだから。いろんな人に歌を聴いて欲しいの」

ことり(穂乃果)「上手く言えないことも、言葉に出来ない気持ちも、歌を通してなら伝わるって思うから」

花陽「……歌を、通して……気持ちを……」

ことり(穂乃果)「じゃあ、歌うね?」

凛「なんだかドキドキするにゃー! 楽しみにゃー!」

花陽「凛ちゃん、静かにしないと……あ」

 ―― だからしゅーんとーしーなーいでー♪
 
 ―― ねぇーはーなしきーくよー♪

花陽「……!」

 ―― 好きになるとわーかるー♪

 ―― ステキなものわーかるからー♪

凛「なんだか元気になる歌にゃー。凛、この歌好きになりそう!」

 ―― いつもほーんきー そんなのはー おーたがいおーなじー♪

 ―― ずーっとー いっしょだとー おーもうんだー♪

花陽「この歌……ことりちゃんからの……メッセージ……?」

 ―― すごいことがしーたいー♪
 
 ―― あたらしさをみーたいよねー♪

凛「ことりちゃん、ダンスもすごいにゃー! なんだか凛までうずうずしちゃう!」

花陽「なんだろう……。ことりちゃんの歌、聴いているだけで、胸が……」ジワ

凛「かよちん?」

花陽「ご、ごめんね。何でもないの、でも……」ゴシゴシ

 ―― そう、だーいじょうぶだよ!
195: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:00:41.76 ID:SQZYn7AW




ことり(穂乃果)「……ありがとうございましたっ!」ペコ

ことり(穂乃果)(伝わったかな……私の、想い)
 
凛「……すっごい!」

花陽「凛ちゃん?」

凛「ことりちゃんすっごいにゃ! 凛、感動したにゃ! ブラボーにゃ!!」

花陽「……うん! その、とっても良かったです! 歌もダンスも、すごい上手で!」

ことり(穂乃果)「えへへ……ありがと! でも、まだまだ練習しないといけないんだけどね」

花陽「ええぇ!? あんなに上手なのに?」

ことり(穂乃果)「うん。まだまだ目標は遠いからね……」

花陽「そうなんですか……」

凛「本当、すごすぎにゃ! なんだかかよちんがアイドル好きな理由、ちょっとわかった気がするにゃ!」

凛「あんなに楽しそうなことりちゃんを見てたら、凛も踊りたくなってきちゃったもん!」

ことり(穂乃果)「うん、スクールアイドルってすっごく楽しいんだよ!」

ことり(穂乃果)「歌もダンスも、もちろんだけどね」

ことり(穂乃果)「なによりみんなで一緒に歌って、踊って、夢に向かって頑張るのが、楽しいんだ!」

凛「へぇぇ……ねぇねぇことりちゃん! それって、凛も一緒に出来る?」
196: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:02:31.93 ID:SQZYn7AW
花陽「凛ちゃん!?」

凛「かよちん! かよちんも一緒にやろう?」

花陽「ええっ!? わ、私も?」

凛「うん! その……凛は可愛い服は似合わないかもしれないけど、かよちんには似合うにゃ! だから」

ことり(穂乃果)「凛ちゃん! 自分に似合わないなんて、そんなこと言っちゃだめだよ!」

ことり(穂乃果)「凛ちゃんもとってもかわいいんだから!」

花陽「そうだよ凛ちゃん」

凛「そう……? でも凛、髪も短いし、男っぽいし……スカートだって、変だし……」

ことり(穂乃果)「それ以上言っちゃダメ! 凛ちゃん、自分で自分の可能性をなくしちゃダメだよ!」

凛「自分の……?」

花陽「……可能性……」

ことり(穂乃果)「うん。みんな、自分の中には無限の可能性があるんだよ」

ことり(穂乃果)「それを信じていれば、なくさなければどこまでもいけるの。どんな夢だって、叶えられるんだよ」

凛「不思議にゃ……ことりちゃんのダンスを見た後だと、本当にそんな気になってくるにゃ」

ことり(穂乃果)「ふふ、ちょっとでもそう思ってもらえたなら、嬉しいな」

花陽「……でも。もう、西木野さんが」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん?」

花陽「西木野さんがいるなら、もう、私なんかが入っても……迷惑じゃ……」

ことり(穂乃果)「? なんで?」

花陽「その……あんな綺麗で、ピアノも歌も上手な人がいるんなら、私の居場所なんて、ないんじゃないかなって」

花陽「それに、私はことりちゃんみたく踊りも歌も上手くないし。気も弱くて、声も小さいですし……」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん」

花陽「はっ、はい!」

ことり(穂乃果)「アイドルってさ、最初から歌もダンスも上手な人しかやっちゃいけないの?」
197: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:03:15.15 ID:SQZYn7AW
花陽「えっ……それ、は……」

ことり(穂乃果)「私もね、最初は歌も踊りも、ダメダメだったんだよ?」

凛「ええっ? あんなに上手だったのに」

ことり(穂乃果)「でも、みんなが教えて……いつも支えてくれたから、今の私になれたの」

ことり(穂乃果)「いいじゃない。最初はうまくいかなくたって。ちょっとずつでも、変わっていけたなら」

花陽「……変わって……」

ことり(穂乃果)「かわいい衣装を着て、いつもと違う自分になって。みんなに想いを伝えて、みんなの想いを受け取って」

ことり(穂乃果)「そうやって、一歩ずつでも進んで、いつか理想の自分に並んで、追い越せたら」

ことり(穂乃果)「それって、すっごく素敵だと思わない?」

凛「……うん」

花陽「……はい」

ことり(穂乃果)「それができるのも、スクールアイドルなんだよ?」

花陽「スクールアイドル……」

ことり(穂乃果)「って、花陽ちゃんには今更こんな話、するまでもなかったかな?」

花陽「いいえ。ことりちゃんのおかげで、思い出しました……」

花陽「私、やっぱりアイドルが好きだってこと。私も『ああなりたい』って想ってたこと」

花陽「ことりちゃんたちと一緒に、スクールアイドルをしてる西木野さんにあこがれて……先を越されたって勝手に嫉妬して」

花陽「勇気を出せなかった私自身を嫌いになって……大好きだったアイドルまで、嫌いになっちゃうところでした」

ことり(穂乃果)「そっか」

花陽「でも……今なら、勇気を出せる気がするんです。ことりちゃんの、歌のおかげで」

花陽「お願いします! 私も一緒に、アイドル、やりたいですっ!!」

凛「うん、凛はやっぱり、こっちのかよちんが好きにゃー!! あっ、凛も! 凛もかよちんと一緒にやりたいにゃー!!」

花陽「……どう、ですか?」

ことり(穂乃果)「もっちろん!! 大歓迎だよっ!!!」
199: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:41:36.64 ID:SQZYn7AW
――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「という訳で! 新メンバーのおしらせです!」

凛「一年の星空凛です! よろしくお願いするにゃー!」

花陽「こっ、小泉花陽です! よろしくおねがいしましゅっ!」

真姫「噛んだわね」

希「それを指摘する真姫ちゃんもなかなかの鬼やね」

花陽「うぅ……いきなり失敗しちゃったよぉ……」

凛「かよちん、大丈夫?」

花陽「うん、平気……」

海未「舌を噛んだりしてませんか? 無理はしないでくださいね?」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん、ファイトだよっ!」

にこ「しかしまあ……増えたわねー」

絵里「ハラショー!! いいわね! うーん、なんかこう、充実してきたわ!」

にこ「はいはい。絵里ちょっとうるさい」

希「って言いながらも、にやけてるにこっち」

にこ「にっ、にやけてなんかいないわよぉっ!」

希「うんうん。そうやね。アイドル研究部がいきなりこんな賑やかになったんやもん、嬉しいよね」

にこ「違うっての! ちょっと希! その顔やめなさいよ!!」
200: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:45:05.48 ID:SQZYn7AW
真姫「しかし……八人か、結構な大所帯になったわねー」

絵里「花陽と凛の分の衣装も大急ぎで作らないとね。そうだ、振り付けとフォーメーションも見直さないといけないか」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね絵里ちゃん」

花陽「す、すみません……」

絵里「ほーら、そんなことで謝らないの。花陽も凛もことりにとって大事な人だったんでしょ?」

絵里「なら、その二人が加入してくれたのは私たちにとって大きなプラスになるはずよ」

ことり(穂乃果)「……絵里ちゃん……。ありがとう……」

絵里「その分、練習は厳しくなるわよ~? しっかりね」

ことり(穂乃果)「うん!」

花陽「はっ、はい!」

凛「頑張るにゃ!」

海未「さて、花陽たちが加入したばかりですが、そろそろ決めた方がいいのではないでしょうか?」

真姫「そうね。ちょうどいい区切りかもしれないし」

花陽「? 何の話だろう?」

ことり(穂乃果)「さぁ……」

にこ「この子は本当に……すぐ重要なことを忘れるわね……」

希「まぁ、それが今のことりちゃんやし」

ことり(穂乃果)「えへへ……」

海未「ことり……褒められていませんよ……」

真姫「決めなきゃいけないってのは、私たちのグループ名よ。いつまでも(仮)なんて、恥ずかしくてライブどころじゃないわ」

海未「ええ」

ことり(穂乃果)「あ、そっか」

絵里「それなんだけどね……?」

海未「絵里、何か案があるのですか?」

絵里「ええ! みんな、きっと気に入ると思うわ」

にこ「へぇ? どんなの?」

絵里「うん……」
201: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:46:34.96 ID:SQZYn7AW
「「「「「「『μ’s』!?」」」」」」



ことり(穂乃果)「絵里ちゃん、それって……」

絵里「うふふ」ウインク

希「『μ’s』かぁ……確か、芸術の女神さんたちのことやね」

絵里「そ。私たちにぴったりじゃない?」

海未「確かに……。いいのではないでしょうか?」

花陽「私たちが、め、女神……あわわ……」

にこ「スーパーアイドルにこにーにはぴったりにこ!」

凛「よくわかんないけど、なんか素敵な響きにゃー!!」

真姫「でも、それって本来は9柱じゃなかった? 私たちは8人じゃない?」

絵里「いいのよ、それは。ね、ことり?」

ことり(穂乃果)「! 絵里ちゃん、もしかして……」

真姫「? いいって何がよ。イミワカンナイ」

にこ「ま、他にアイディアがある人もいないみたいだしね。賛成の人ー」

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」

にこ「にこも賛成。ってことで、全員異議なしで決定ね」

絵里「ええ! 今日から私たちは『μ’s』よ!!」



ことり(穂乃果)(無くなっちゃったと思ってた『μ’s』が、また……ここでも……)ジワ

ことり(穂乃果)(ありがとう、みんな……)
202: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:49:40.05 ID:SQZYn7AW
――二年生教室

キーンコーンカーンコーン

ことり(穂乃果)「よぉっし! 授業終わりー! 海未ちゃーん! 練習いこーっ!!」

海未「はい。ライブも近づいてきましたからね。ですがことり、もう少し授業も真面目にですね……」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……みんなとの練習が楽しくて、それを考えたら、つい……」

海未「まったく……。とはいえ、その気持ちは私も分かりますが……」

ことり(穂乃果)「だよねっ! だから授業中から放課後が待ち遠しくてさ~」

生徒1「あっ、南さん。ライブやるんだって? 応援してるからね!」

生徒2「私も! 見に行くよー、がんばってねー!」

生徒3「楽しみにしてるからねっ、ことりちゃん!」

ことり(穂乃果)「ありがとーっ! 私、精一杯がんばるからねーっ!」

海未「ほら、ことり。いつまでも手を振っていないで。部室に行くんでしょう?」

ことり(穂乃果)「えぇ~。でもぉ、ファンは大切にってにこちゃんが……」

海未「それはそうですが、練習に遅れてしまうではないですか」

ことり(穂乃果)「ふふふ~、なんだかんだ言ったって、最近は海未ちゃんも結構ノリノリだよね~」

ことり(穂乃果)「歌にも踊りにも、衣装にも段々抵抗なくなってきちゃってるし」

海未「なっ、そ、そんなことは……」

ことり(穂乃果)「もう、素直じゃないなぁ~」

ことり(穂乃果)「認めちゃった方が楽だよぉ? ほらほら。本当はかわいい衣装、着たいんでしょ?」

海未「い、いい加減にしてください、ことり! ……こ、こんな場所で……そんな」
203: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:50:30.78 ID:SQZYn7AW
生徒1「やっぱり……。園田さんもだけど、特に南さんって雰囲気変わったよね」

生徒2「うん。でも悪い意味じゃないよね」

生徒3「そうそう。生徒会長って堅いイメージだけど、南さんは明るくて、親しみやすいよね」

生徒2「どっちかっていうと前は穏やかな雰囲気だったよね。今は元気が溢れてる、って感じ?」

生徒1「だよねぇ。でも、ここまで変わると、まるで別人じゃない?」

生徒3「本当に別人だったりして!」

生徒2「そんなわけないじゃない」

生徒1「だよねぇ~」



ことり(穂乃果)「あっ……」

海未「どうしました? ことり」

ことり(穂乃果)「あ、うん。何でもない。行こう、海未ちゃん」

海未「ええ。絵里たちが待ってますしね」

ことり(穂乃果)(そうだよ……。忘れてた。この世界の私は『高坂穂乃果』じゃない。『南ことり』なんだ)

ことり(穂乃果)(この世界でも、みんなと友達になって、スクールアイドルやれて、μ’sができて、つい、気にしなくなってたけど)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんの性格は、穂乃果とは違う……。『私』は、ことりちゃんじゃない……。)

ことり(穂乃果)(私が、『私らしく』振舞ったら、『ことりちゃん』が消えちゃうってことになるんじゃないかな……)

ことり(穂乃果)(でも、ことりちゃんになろうとする私は……本当の、私じゃない……)

ことり(穂乃果)「……私は…………」
209: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:18:14.96 ID:4Zm6my+V
――屋上

絵里「……ストップ! ことり、テンポがずれてるわよ!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめん絵里ちゃん」

にこ「またぁ? 今日何度目よ?」

凛「ことりちゃんが失敗するの、珍しいにゃ」

真姫「本当ね。いつもならこれくらい簡単にこなすのに」

絵里「どうしたのよことり。あなたにとっては特別難しいところでもないでしょ?」

希「具合悪いの?」

ことり(穂乃果)「ううん、大丈夫……」

花陽「こ、ことりちゃん、無理しちゃだめだよ?」

真姫「そうよ。あなたは私たちμ’sのリーダーなんだから」

凛「凛たち、まだ入って日が浅いし、ことりちゃんに引っ張ってもらってるしね」

希「そうやね。ことりちゃんがうちらの要、って言っても過言じゃないからね」

花陽「は、はい! 歌もダンスも上手で、いつも明るいことりちゃんは、私の目標なんです!」

花陽「だから私は、ことりちゃんにいつも元気でいて欲しいです」

ことり(穂乃果)「……元気な、私……」

海未「……ことり?」

にこ「ふっふっふ。これはチャンスよ。ことりが不調の間に、このにこにーが一気に差を詰めてあげるわ!」

希「わーにこっち卑怯ー」

にこ「うっさいわよ! ことりっ! にこに負けたくなかったらしっかりすることね!」

にこ「うかうかしてると、リーダーだって、センターだって奪っちゃうんだから!」

ことり(穂乃果)「うん……」

にこ「……ちょっと……」

希「これは……重症やね……」

花陽「ことりちゃん……」
210: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:21:00.02 ID:4Zm6my+V
絵里「ふぅ……まぁ、ことりだって調子が良くない時もあるわよね。時間もちょうどいいし、今日はこの辺にしましょ」

凛「えぇ~、もう終わり? 凛、もっと踊りたいにゃー」

海未「ふふっ、凛、やる気があるのはいいことですが、無理は禁物ですよ」

希「ライブも近いし、怪我でもしたら大変やからね」

絵里「ええ。それじゃ、各自整理運動をして終わりね。にこ、このあとちょっといい? 衣装を少し修正したいの」

にこ「ん、いいわよ。じゃあ、着替えたら部室に行くわ」

真姫「あ……花陽、よかったら一緒に帰らない?」

花陽「うん、いいよ。凛ちゃんもいい?」

凛「もっちろんにゃー! かよちんと真姫ちゃんと一緒に帰るの、凛も楽しみにしてたんだー!」

凛「真姫ちゃんにも凛のおすすめラーメン屋、教えてあげるね!」

真姫「なによそれ……、もう……」

希「さて、うちはどうしよっかな。って、しまった! 色々切らしてた! 買い物に行かないとあかんやん!」

海未「ことり、私たちも帰りましょうか」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり?」

ことり(穂乃果)「あっ、ごめん。海未ちゃん、何?」

海未「いえ、一緒に帰りましょう、と」

ことり(穂乃果)「う、うん。帰ろっか」

海未「……やはり、どこか具合が悪いのではないですか?」

ことり(穂乃果)「大丈夫っ、ほら、いつも通りだよっ」

海未「なら、いいのですが……」
211: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:27:20.80 ID:4Zm6my+V
……ちゃん……

ことり(穂乃果)「……ん……」

……か、ちゃん……

ことり(穂乃果)「んぅ……ん……」

……のか、ちゃん……

ことり(穂乃果)「誰か……呼んでる……?」

……ほのか、ちゃん……

ことり(穂乃果)「はぁ~い……私は、ここだよぉ……」

……穂乃果ちゃん……

……のか……ちゃ

……か……

ことり(穂乃果)「え……何で、いっちゃうの……? 私は、ここにいるのに……」

……

ことり(穂乃果)「待ってよ! 行かないで! 私は……、穂乃果は、ここだよ!」
212: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:28:25.07 ID:4Zm6my+V
ことり(穂乃果)「あ、そこの人っ!」

「どうかしたの?」

ことり(穂乃果)「教えて! さっき私のことを呼んでた人、どこに行っちゃったの!?」

「あなたのことを呼んでた人? うーん、分からないや。ごめんね」

ことり(穂乃果)「そんな……だって、確かに穂乃果のことを」

「穂乃果の? あれ? 私、呼ばれたかなぁ?」

ことり(穂乃果)「えっ……? あ……。あなた、は……!」

穂乃果「どうしたの? そんなびっくりして。あっ、もしかして穂乃果の顔に何かついてる?」

ことり(穂乃果)「な、なんで……? なんで、私がいるの?」

穂乃果「? どういう意味?」

ことり(穂乃果)「え、だって……私は、ここにいるのに……なんで、私が?」

穂乃果「??? それじゃさっぱりわからないよぉ! もう、今日のことりちゃん、変だよ?」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん、って……。だ、だって、私は」

穂乃果「ことりちゃん、何言ってるの? だって、『穂乃果』は私なんだよ?」

穂乃果「それに、あなたはどこからどう見ても『南ことり』でしょ?」

ことり(穂乃果)「でっ、でも! 私は!」

穂乃果「今更ずるいよ。穂乃果は飽きたんでしょ? 穂乃果はやめたんでしょ?」

穂乃果「他の誰かになりたくて……だから、あなたはことりちゃんになったんでしょ?」
213: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:32:39.50 ID:4Zm6my+V
ことり(穂乃果)「それは……」

ことり「そうだよぉ。だってもう、みんながあなたを『南ことり』って言ってるんだよ?」

ことり「もう、私じゃなくて、あなたが『ことり』なんだよぉ」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん!?」

ことり「一生懸命頑張って、スクールアイドルを作って、みんなを連れてきて」

ことり「ことりじゃできなかったことをやれたんだよね。そんなあなたを、みんな『ことり』として見てる」

ことり「だからもう、元々の『ことり』はいなくなっちゃったんだぁ。みんな、あなたに取られちゃった」

ことり(穂乃果)「ち、違うよ! そんな、つもりは……」

穂乃果「じゃあさ。あなたがことりちゃんじゃないなら、あなたは……誰なの……?」

ことり「穂乃果ちゃんなの? でもおかしいよね。あの世界には、『高坂穂乃果』なんて子はいないもん」

ことり(穂乃果)「私は……」

穂乃果「『高坂穂乃果』? それとも『南ことり』? ねぇ、答えてよ。誰なの?」

――あなたは、誰なの?





ことり(穂乃果)「わぁっ!?」

ことり(穂乃果)「あ……」

ことり(穂乃果)(この天井……ことりちゃんの、部屋だ……じゃあ)

ことり(穂乃果)「夢……」

ことり(穂乃果)(鏡に映るのは、もうすっかり見慣れた……自分/ことりちゃんの顔……)

ことり(穂乃果)「目が覚めても、私はまだことりちゃんのまま……。そう、だよね……」

ことり(穂乃果)「汗ぐっしょりだ……。気持ち、悪い」

ことり(穂乃果)「シャワー……浴びよう……」

ことり(穂乃果)(私は……『高坂穂乃果』でいて、いいのかな……。それとも『南ことり』に……?)

ことり(穂乃果)「もう……わかん、ないよ……穂乃果、ことりちゃん……」
214: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:08:10.58 ID:4Zm6my+V
――屋上

ガチャ

ことり(穂乃果)「おはよぉー」

絵里「おはようことり。早いわね」

ことり(穂乃果)「えへへっ、ちょっと、早く目が覚めちゃったんだぁ」

絵里「そう。早起きはいいことだけど、夜更かししたりしてないわよね? ちゃんと眠れてる?」

ことり(穂乃果)「だいじょうぶ。ちゃーんと早寝早起きしてますっ」

絵里「ならいいけど……。ねぇ、ことり」

ことり(穂乃果)「なに、絵里ちゃん?」

絵里「ええと、なんだか今日のあなた……」

ガチャ

ことり(穂乃果)「あっ、凛ちゃん。おはよぉ~!」

凛「おはよー! みんな早いにゃー! 凛、一番かと思ったのにー!」

花陽「はぁ、はぁ……凛ちゃん走るの早いよぉ……」

真姫「まったく、無駄に朝から元気なんだから」

希「おはよ~。ふふっ、みんなやる気満々やね」

にこ「ま、それくらいじゃないと困るわよ。本番までできることはやらないとね」

海未「確かに、にこの言うことも一理ありますね。時間は無駄にはできませんし」
215: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:08:56.46 ID:4Zm6my+V
ことり(穂乃果)「あっ、みんなおはよぉ。今日も練習、がんばろうねっ!」

希「おはよう。って……」

花陽「ことりちゃん、だよね?」

凛「なんか……ちょっと感じが違うにゃ」

ことり(穂乃果)「え? そうかなぁ? いつも通りのことりだと思うよぉ?」

にこ「あんた……」

ことり(穂乃果)「ほらほら、そんなことより練習しちゃおう? チャイム、なっちゃうよ?」

絵里「……まあ、いいわ。時間が限られてるのは確かだものね」

絵里「それじゃ準備運動をしたら、早速昨日の続きからね」

ことり(穂乃果)「うんっ! 海未ちゃん、一緒に柔軟しよっ?」

海未「……」

ことり(穂乃果)「……海未ちゃん?」

海未「あ、すみません。ええ、始めましょうか」
216: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:36:29.20 ID:4Zm6my+V
――放課後 通学路

ことり(穂乃果)「すっかり遅くなっちゃったねぇ。海未ちゃん、早く帰ろっ?」

海未「……ええ」

ことり(穂乃果)「でも、みんなすっごく上手くなったよねぇ」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんと海未ちゃんが、練習メニューをちゃんと考えてくれてるおかげかも?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃんが曲を作ってくれて、希ちゃんのおかげで舞台も準備できてるし」

ことり(穂乃果)「にこちゃんの知識とアイディアで、演出とかの計画も出来てきたね~」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんも凛ちゃんも、みんなに負けないようにって頑張ってるし」

ことり(穂乃果)「メンバー以外の子も、いろいろ手伝ってくれてるよね」

ことり(穂乃果)「これなら、ライブも上手く行くんじゃないかな? 何だか今から楽しみだよぉ」

海未「……そう、ですね」

ことり(穂乃果)「……海未ちゃん? どうしたの?」

海未「ことり」

ことり(穂乃果)「う、うん」

海未「やはり何か……無理、していませんか?」

ことり(穂乃果)「えっ? そ、そんなことないよぉ? ほら、ことりは元気だよ?」

海未「……嘘ですね」
217: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:39:42.99 ID:4Zm6my+V
ことり(穂乃果)「嘘、なんて……」

海未「まるわかりですよ、ことりの嘘は。それに……時間は短くても、私たちは、いつも一緒にいたでしょう?」

海未「いまさら隠し事は無しですよ。それとも……私には話せませんか?」

ことり(穂乃果)「そんなこと、ないけど……。本当に、何でもないんだよ? 海未ちゃん……」

海未「なら、私の目を見て、同じことが言えますか?」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり。……いえ、『穂乃果』」

ことり(穂乃果)「あ……」

海未「何か、迷っているのでしょう? 悩んでいるのでしょう? ……話してください」

ことり(穂乃果)「で、でも……」

海未「私たちは、同じスクールアイドル……μ’sでしょう?」

海未「あなたはいつも誰かの助けになってきた。あなたがいたから、私たちはつながった」

海未「だから、今度は私が……あなたの助けになりたいのです」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」
226: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:31:13.23 ID:rCyuM4rB
――公園

海未「あ……、いつの間にか、またここに来てしまいましたね」

ことり(穂乃果)「うん……」

海未「もう夕方ですし、遊んでいる子もいませんね。みんな家に帰ったのでしょうか」

海未「誰もいないですし、話をするにはちょうどいいかもしれません。ことり、少し、座っていきませんか?」

ことり(穂乃果)「……うん、いいよ」

海未「小さな公園ですが、もう、何度来たのでしょうか……。数えきれませんね」

海未「ふふ。楽しい思い出がいっぱい詰まった場所だから、辛いとき、悲しい時につい、惹かれてしまうのかもしれません」

海未「あなたも、自分の世界ではそうだったのではないですか?」

ことり(穂乃果)「どう、だったのかなぁ……。よく、分からなくなっちゃったよ……」

海未「ことり……」

ことり(穂乃果)「ことり、か。ねぇ、海未ちゃん。私は……誰、なのかなぁ?」

海未「え……?」

ことり(穂乃果)「なんだかよく、分からなくなっちゃった」
227: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:33:17.67 ID:rCyuM4rB
海未「分からなく、とは……?」

ことり(穂乃果)「そのままの意味だよ。私は、誰なのかなって」

ことり(穂乃果)「私が最初にこっちの世界に来て、海未ちゃんに怪しまれた時、誤魔化して逃げちゃったでしょ?」

海未「そういえば、そんなこともありましたね」

ことり(穂乃果)「その時はね、ことりちゃんのふりをした方がいいのかなぁ、って思ってたんだ」

ことり(穂乃果)「でもその後、絵里ちゃんたちは、今の私の心が『高坂穂乃果』のものだって知って……」

ことり(穂乃果)「私がいつしか自然に、『穂乃果』らしく振舞っても、気にしないでくれてた」

海未「ええ、そうですね。私もいつの間にか、そうなっていました」

ことり(穂乃果)「でも」

ことり(穂乃果)「事情を知らない人からしたら、そうじゃないんだ」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんが、まるで別人になったみたい、って思っちゃうんだよ」

海未「それは……誰かが、教室で言っていた……」

ことり(穂乃果)「ねぇ、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)「この顔も、身体も、立場もことりちゃん……『南ことり』のもの、なんだよね?」

ことり(穂乃果)「幼馴染の海未ちゃんから見たら、よく知ってる人でしょ?」

海未「え、ええ……」

ことり(穂乃果)「じゃあ私のことを知らない人から見たら、私は? やっぱり『穂乃果』じゃなくて、『ことり』だよね?」

海未「それは……」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院の二年生で、生徒会長で、海未ちゃんの幼馴染で……」

ことり(穂乃果)「穏やかで、優しくて、でも時には強くて、衣装づくりが大好きな、そんな女の子……」

ことり(穂乃果)「みんなそうやって、『私』……『南ことり』のことを見るはずだよね」

ことり(穂乃果)「なら、それにふさわしくなくちゃ」

海未「で、ですが……」

ことり(穂乃果)「確かに、今の私の心は『ことり』とは違う、別の人のものだよ」

ことり(穂乃果)「でも、その心は……『高坂穂乃果』っていう、この世界には、元々いなかったはずのもの」

ことり(穂乃果)「いないはずの人が、本来いた人のことを塗りつぶして、消しちゃうなんて……許されないよ……」

海未「そんなことは……」
228: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:35:04.91 ID:rCyuM4rB
ことり(穂乃果)「ううん。最初から、私が願ったことだもん。『穂乃果』じゃなくて『別の誰か』になりたい、って」

ことり(穂乃果)「それで、願いがかなったんだもん。だから、ちゃんと、『この世界』のことりにならなくちゃ……」

ことり(穂乃果)「みんなが知ってる、ことりでいなくちゃって……」

海未「だから、ですか」

ことり(穂乃果)「うん。私はことりちゃん……ううん、『ことり』にならなくちゃいけないの」

海未「……」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんや希ちゃん、にこちゃん。それに……海未ちゃんが知っている、『本当のことり』に……」

ことり(穂乃果)「だから私は、『穂乃果』でいちゃ、いけないんだよ……」

海未「……ふぅ……」

ことり(穂乃果)「海未、ちゃん?」

海未「一体どんな悩みかと思えば、そういうことですか」

ことり(穂乃果)「そっ、そんな言い方ないよっ! 海未ちゃん! ことり、これでもすっごく考えたんだよぉ!?」

海未「まったく。あなたに一言忠告をしておきましょうか」

ことり(穂乃果)「えっ、忠告?」

海未「ええ。確かに、あなたの世界では幼馴染なだけはあって、あなたのことりのふりは上手ですよ」

海未「ですが、私は『あなたが本当は高坂穂乃果だと知っている』以上……あなたがどれだけ上手にことりになりきっても……」

海未「決して『本当のことり』にはなれませんよ」

ことり(穂乃果)「そ、そんな……じゃあ、ことりは……、私、は……どう、すれば」

海未「簡単なことです。無理なんてしないで、ありのままのあなたでいればいいんですよ」

ことり(穂乃果)「だ、だってそれじゃ……『ことりちゃん』が、消え」

海未「消えませんよ」

ことり(穂乃果)「えっ……」
229: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:36:28.22 ID:rCyuM4rB
海未「私が、覚えています」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「見損なってもらっては困りますね。ちょっとあなたと一緒にいた位で、『幼馴染のことり』のことを忘れるわけがないでしょう」

海未「絵里や希、にこもきっとそうです」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんたちも……」

海未「ええ。『今のことり』であるあなたに接しているからといって、それで『昔のことり』を忘れるわけではないはずですよ」

ことり(穂乃果)「そうかな……」

海未「それに……。ことり、いえ『穂乃果』」

海未「前に、私が言ったことを覚えていますか?」

ことり(穂乃果)「え?」

海未「最初にあなたのことを知った時には、私はあなたをどう受け止めていいか、分かりませんでした」

海未「姿形は、私の記憶と寸分たがわない幼馴染の少女。当たり前ですよね。身体は、当人のものなのですから」

海未「ですが、その内に宿した心は……別の世界の、私の知らない人」

ことり(穂乃果)「……」

海未「混乱していたとはいえ、その時は、あなたにずいぶんとひどいことをしました……」

ことり(穂乃果)「ううん、気にしてないよ」

海未「……ありがとうございます。あの時、私は約束しましたね」

――きっと、心を決めて、あなたのことを、受け入れますから……

海未「今なら、ちゃんと言えます。あなたは……『高坂穂乃果』ですよ」ギュ……

ことり(穂乃果)「あ……」

海未「このぬくもりを感じている心は、紛れもない『あなたの心』でしょう?」

海未「誰よりも音ノ木の、みんなのことを考え、走ってきた『穂乃果』の心でしょう?」

ことり(穂乃果)「う、ん……」

海未「それに、人は、自分以外の誰かの代わりをすることなんて、出来ないんですよ。例え、不思議な力で別の人の姿になっても」

海未「今まで歩いてきた道は、あなたが歩いた道。『高坂穂乃果』だからこそ、歩んでくることができた道です」

海未「自信を持ってください、『穂乃果』。他の誰でもない、あなただからこそ、その想いに動かされ、私たちは集まった」

海未「そして、一つになった」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」
230: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:39:40.19 ID:rCyuM4rB
海未「それにですね? まだ何一つ目標は達成できていませんよ? ライブだって、これからなんですから」

海未「こんなところで悩んでる時間なんて、ありますか?」

ことり(穂乃果)「……そう、だね」

海未「とはいえ、本当の意味で『穂乃果』の辛さを分かってあげられる人は、誰もいないのかもしれません」

海未「私のこの言葉も、結局は気休めでしかないのかもしれません」

ことり(穂乃果)「そっ、そんなことないよ!」

海未「ふふ、ありがとうございます。それでも、これだけは信じてください。私はいつでも、あなたの味方でいますよ」

海未「ことりだけでなく『穂乃果』のことも、大切な友人として想っています」

海未「だから『穂乃果』。あなたは迷わず、まっすぐ、あなたらしくいてください」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……ありがとう……」

ことり(穂乃果)(まっすぐ、私らしく、か……)

ことり(穂乃果)(そうだよね。穂乃果は他の誰かになる、なんてそんな器用なこと、出来ないもん……)

ことり(穂乃果)(どんな姿になっても、どんな世界でも、どこまで行っても、穂乃果は穂乃果なんだ)

ことり(穂乃果)(こんな当たり前のこと、わかんなかったなんて……)

ことり(穂乃果)(でも、それを教えてくれる人がいる。私……μ’sのみんなと、海未ちゃんと出会えて……よかった)

ことり(穂乃果)「……よぉっし!」

海未「ようやく、いつもの『今のことり』……『穂乃果』の顔に戻りましたね」

海未「凛のセリフではないですが、やはり私はそちらの『ことり』の方が好きですよ」

ことり(穂乃果)「あっ、うぇ!? す、好きって……」

海未「あっ、今のは無し、無しです! 口が滑ったといいますか……」

ことり(穂乃果)「えへへ……。うん! 私……『穂乃果』も、みんなが……海未ちゃんが、大好きだよっ!!」
238: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:14:15.46 ID:QOrlqyrH
――音ノ木坂学院 講堂

ことり(穂乃果)「……よし! みんな、ばっちりだね!」

絵里「ええ。リハーサルで一通りやってみたけど、特に問題なさそうね。あとは、本番を待つだけよ」

希「照明や音響も有志の子たちが手伝ってくれるしね。本当、みんなには感謝しなきゃやね」

海未「曲も衣装も間に合いましたし、フォーメーションも何とか形になりましたか……。凛、花陽。よく頑張りましたね」

花陽「はっ、はい! ありがとうございますっ!」

凛「えへへっ、凛たちがみんなの足を引っ張っちゃいけないもんね!」

真姫「ことりや絵里たちのおかげね。一生懸命なあなたたちについていこうって、そう思えたから練習もがんばれたし」

花陽「うんっ! ことりちゃん、元々上手だったけど、なんだか最近、ますます素敵になったみたいです!」

希「確かに。流石はことりちゃんやね」

ことり(穂乃果)「そっ、そうかなぁ? えへへ……」

海未「そうですよ。あなたがあなたらしくいる。だからこそ、みんなあなたに惹かれて、ついていけたのだと思いますよ」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

にこ「うふふっ、ついにスーパーアイドルにこにー伝説の幕開けにこ。あー、もう、今から待ちきれないぃ~!」

凛「凛も、その気持ちわかるにゃー! 早く踊りたくてうずうずしっぱなしにゃー!」

真姫「さっきまで練習で散々踊ったのに何言ってるのよ。それに本番は明日でしょ」

ことり(穂乃果)「でも、なんだか早く明日にならないかなぁって思うよね!」

凛「うんうん!」

希「ふふ、みんなやる気十分やね。うちも負けへんよー」

絵里「はいはい。それじゃ、本番直前の、最後の確認をしておきましょう?」

にこ「まあ、今更だけどね。みんなもう一度、ポジションについておさらいするわよ」

にこ「まず、センターはことりね。まあ、悔しいけど今はあんたが頭一つ抜けてるわ」

絵里「そうね。今の実力から言うと、順当な場所ね」

希「うちらのリーダーやし。それにμ’sはことりちゃんから始まったんやもんね」

にこ「言うまでもないけどセンターは一番目立つ場所で、ライブの顔と言っても過言ではないわ。しっかりやんなさいよ!」

ことり(穂乃果)「うんっ! 頑張るよ!」

絵里「それで、二列目からは……」
239: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:15:08.14 ID:QOrlqyrH




絵里「それじゃ、今日はこれでおしまいね。みんなしっかり休んで、明日に備えること!」

にこ「真姫ちゃん、大丈夫~? 緊張して眠れなかった、なんてことやめてよ~?」

真姫「なっ、そんなことあるわけないじゃない! にこちゃんこそ、寝坊して遅刻したりしないでよねっ!」

にこ「こっ、このにこが遅刻なんてするわけないでしょっ!」

希「ほらほら、本番直前にけんかしたらあかんよ」

花陽「でっ、でも、なんだかどきどきして不安になってきちゃいました……」

凛「だいじょうぶにゃ! 凛知ってるよ、かよちん、練習いっぱい頑張ってたもん!」ギュ

海未「そうですよ。自信を持ってください、花陽」

花陽「あっ……うん。凛ちゃん、海未ちゃん。ありがとう」

絵里「みんな忘れ物無いようにねー。あと、最後の人は戸締りしっかりね」

希「にこっち、えりち。せっかくだし、どこか寄って行かない?」

にこ「別にいいわよ。それじゃどこ行く?」

絵里「そうね……あんまり遅くなってもいけないし、なら……」

凛「ねぇねぇかよちん! 今日はお泊りしない?」

花陽「えっ!? お泊りって、いきなりなのぉ!?」

凛「うん! だって一緒なら、安心して眠れそうな気がするにゃー! あっ、真姫ちゃんもどう?」

真姫「ヴェエ!? 私も!? ちょ、ちょっと待って! ママに聞いてみるから……」

ガヤガヤ……
240: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:40:07.25 ID:QOrlqyrH
ことり(穂乃果)(いよいよ明日はライブ、かぁ……。ようやく、ここまで来たんだね)

ことり(穂乃果)(って、まだ始まってもいないのに、感動するのは気が早いよね)

ことり(穂乃果)「……ふふっ」

ことり(穂乃果)(最高のライブにするためにも、頑張らなきゃ! だからことりちゃん、もう少しだけ、力を貸してね……)

ことり(穂乃果)「……よしっ!」

海未「ことり、みんな出てしまいましたよ。私たちもそろそろ行きましょう?」

ことり(穂乃果)「あ、うん。ごめん海未ちゃん。でももうちょっとだけ、いいかな」

海未「何か問題でもありましたか?」

ことり(穂乃果)「ううん。そういうことじゃないんだけどね。もうちょっとだけ……ここを見ていたいの」

海未「……仕方ないですね。私は外で待っていますから。あまり遅くならないようにしてくださいね」

ことり(穂乃果)「うん。ありがとう、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)(場所は同じでも、『向こう』のμ’sのファーストライブは、私と海未ちゃんとことりちゃんの三人で)

ことり(穂乃果)(お客さんも、たった一人だったな……)

ことり(穂乃果)(それが、同じファーストライブでも、今度は八人で、絵里ちゃんや希ちゃんまでいて)

ことり(穂乃果)(こんなに違うなんて……なんだか、不思議だね……)
241: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:44:14.27 ID:QOrlqyrH
ことり(穂乃果)「あ、あそこの扉、開けっ放しだ。ちゃんと閉めておかないと……あれ……?」

ことり(穂乃果)「扉のところに、誰か……。あ、あの後姿……もしかして!」

???「……」スッ

ことり(穂乃果)「あっ、待って! ――穂乃果っ!?」

???「……!」タッ

ことり(穂乃果)(行っちゃう! なんで!?)

ことり(穂乃果)(って、今はそんなことより!)

ことり(穂乃果)「あのっ!!」

???「……」ピタ

ことり(穂乃果)(止まった……? やっぱり穂乃果なの? ……それとも? ううん、考えるのは後!)

ことり(穂乃果)「私たち、明日ここでライブをやるの!! あなたにも、ぜひ見に来てほしいなっ!!」

???「…………」

タタタ……

ことり(穂乃果)「行っちゃった……。でも、私の声、聞いてくれたんだよね?」

ことり(穂乃果)(ライブ、あの子も来てくれるかな……。ううん、きっと来てくれる。そんな気がする)

ことり(穂乃果)(すべては、明日だね……)
247: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 21:48:11.52 ID:pr/HwpiF
―― ライブ当日 更衣室

ガチャ

絵里「もうすぐ出番よ。みんな、そろそろ着替えは終わった?」

ことり(穂乃果)「うん! 私はオッケーだよ!」

ことり(穂乃果)(やっぱりことりちゃんの衣装は素敵だな……すっごくかわいくて、着てるだけで幸せになれるよ)

ことり(穂乃果)(みんなもとっても似合ってる。それに、とってもかわいくて……なんだか、楽しそうで……)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんが衣装作りが好きな理由、分かるような気がする……)

にこ「こっちもばっちりよ! んー、着てみて改めて思うけど、やっぱりこの衣装デザインいいわねー。流石ね」

希「うんうん。そう言えばうちとにこっち、ことりちゃんの衣装は元からあったけど。みんなと合わせるためにちょっとだけ手直ししたんよね」

にこ「ええ、時間もないし苦労したけど、その甲斐はあったわね。絵里や海未が手伝ってくれたおかげよ、手間かけさせて悪かったわね」

絵里「そんなでもないわよ。ほんのちょっと、手を加えただけだし」

海未「そうです。それに私は手伝ったといっても本当に少しだけですし」

にこ「それでも、よ。ありがと……」

絵里「うふふ、どういたしまして」

希「前にこの衣装を着た時は、なかばおふざけだったけど……まさか今度はみんなに見せることになるなんて……思いもしなかったんよ」

にこ「にこもよ。今度は部室でのアイドルごっこじゃない。正真正銘のスクールアイドルとして、みんなの前に立つわ」

にこ「……そのきっかけをくれたことりには、感謝しないとね……」

希「にこっち……」

凛「かよちん、り、凛……変じゃないかにゃ? リボン、曲がってない? 帽子、ずれてないかにゃ?」

花陽「大丈夫! どこもおかしくないよ。凛ちゃん、すっごく素敵だよ!」

ことり(穂乃果)「そうそう! 自信もっていこう! 今の凛ちゃん、とってもかわいいよ!!」

凛「にゃ、にゃ……そんな、凛、かわいい……? えへへ……ありがと、ことりちゃん」

花陽「うん! 私も見蕩れちゃうくらいにかわいいよっ! 凛ちゃん!」

凛「にゃぁ……。そ、それはかよちんの方もにゃ! すっごくかわいくって、凛、ほれぼれしちゃうにゃ!!」

花陽「は、はうぅ……そ、そんな、恥ずかしいよぅ……」

凛「あははっ、かよちん真っ赤にゃ! そんなかよちんも可愛くて好きにゃー!」ギュッ

花陽「も、もう! 凛ちゃん!!」
248: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 21:52:24.64 ID:pr/HwpiF
真姫「まったく……いつまで騒いでるのよ。ライブ、始まっちゃうわよ?」

海未「そうです。見に来てくれた方や、手伝いのみんなの準備も完了しています。あまり待たせては悪いですよ」

絵里「ふふ、主役が遅れたら、話にならないものね。それにしても……私がスクールアイドル、か。本当、まさかこんな日が来るなんて、ね」

海未「私もですよ、絵里。もしもこのことを以前の私に言ったら、とてもじゃないですが信じないでしょうね」

真姫「それ、私も同じだと思うわ。今でもちょっと、夢かなって思ってる」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん……。ううん、夢なんかじゃないよ!」ギュッ

真姫「きゃっ!? ことりっ! いきなり抱き付かないで!」

ことり(穂乃果)「えへへ、ごめんね。でも、なんだかドキドキして……抑えられないんだ」

絵里「ふふ、それ、私もよ。もしかして、みんな同じじゃないかしら」

希「せやね。うちも同じやよ。でも、ことりちゃんでもドキドキするんやね」

花陽「わ、私もですっ! 緊張して、目が回りそうですぅ!」

にこ「ふんっ! ライブ前で緊張するなんて、みんなまだまだねっ!」

真姫「とか言っちゃって、にこちゃんだって膝がくがくしてるじゃない」

にこ「ちっ、違うわよっ!? こっ、これは武者ぶるいよ!!」 

凛「凛もドキドキしてるけど、同じくらいわくわくしてるにゃー!」

海未「そうですね。私も不安がないわけではないですが、それ以上に楽しみに感じています」

ことり(穂乃果)「おぉー! まさかあの恥ずかしがり屋の海未ちゃんが!!」

絵里「これは意外だったわね……」

希「うんうん、成長の証やね。ミニスカもちゃんと穿けるようになって……」

ことり(穂乃果)「慣れさせるために練習でもさんざん着せた甲斐があったね……」

にこ「にこたちの苦労、報われたのね……」

海未「か、からかわないでくださいっ!!」

ことり(穂乃果)「あはは、ごめんね? でも海未ちゃん、その衣装がとっても似合ってるのは本当だよ!!」

海未「う……、そ、そんなこと言うのは卑怯です……。それに、ことりだって、とても似合っていますよ」

ことり(穂乃果)「うん……ありがとう、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)(ことりちゃん……。いよいよだよ。あなたに恥じないように……私は全力を尽くすよ!)

ガチャ

生徒「ことりちゃん、みんな。そろそろ時間だよ! ステージで待機お願い」

絵里「時間ね。それじゃ、いきましょう?」

ことり(穂乃果)「うんっ!」
249: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 22:18:45.73 ID:pr/HwpiF
――講堂 ステージ

ことり(穂乃果)(……始まるよ。私たちのライブが)

ことり(穂乃果)(最初は、もう一度『あの子』に呼びかけるきっかけになれば、って思ってた)

ことり(穂乃果)(でも、思い返せば……やっぱりそれだけじゃなかったんだ)

ことり(穂乃果)(私はやっぱりオトノキが好きで、スクールアイドルが好きで、みんなを好きなんだって、改めて分かった)

ことり(穂乃果)(だから、私はまた、μ’sとして、みんなとここにいる)

ことり(穂乃果)(穂乃果の世界みたいに廃校を阻止する、そんな奇跡を起こせるかなんて、正直分からない)

ことり(穂乃果)(それでも、この想いは本物だから)

ことり(穂乃果)(オトノキに、みんなに。私たちの想いを……笑顔と、幸せを、届けるために)

ことり(穂乃果)(穂乃果は、穂乃果らしく……精一杯、歌うよ)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんと……。だから……穂乃果と、一緒に……)

真姫「いよいよ、ね……」

にこ「この幕が開いたら……にこたちのステージが始まるのね」

花陽「お、お客さん……来てくれてるのかなぁ?」

希「幕のせいで聞こえ辛いけど、声はするし、結構入ってくれてるみたいやね」

絵里「出来たばかりのグループなのに……みんなには感謝しないといけないわね」

凛「うぅ、凛、やっぱり不安になってきちゃったにゃ……」

海未「だ、だらしないですよ凛。こ、ここまで来たら覚悟を決めてですね……」

絵里「海未、あなたの方が大丈夫なの? 震えてるわよ?」

海未「す、すみません……ですがいざとなるとやはり……」

にこ「ちょ、ちょっとしっかりしてよ!」

真姫「不味いわね……凛と海未を見てたら、緊張がぶり返してきたわ」

ことり(穂乃果)「みんな……」

希「このままじゃあかんよ。ことりちゃん……」

絵里「ことり、何か緊張を和らげる方法は……」
250: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 22:20:16.65 ID:pr/HwpiF
ことり(穂乃果)「あ……! そうだ!! みんな! 『あれ』、やろうよ!」

にこ「あれ? あぁ、あれね。いいんじゃない?」

希「そうやね。景気づけにはぴったりやん」

凛「賛成にゃー! 凛、あれ大好きにゃー!」

花陽「うん! なんだか勇気が湧いて来るもんね!」

真姫「仕方ないわね……。ほら、やるならさっさとやりましょ」

海未「ですね。やりましょうか」

絵里「それじゃ、みんな輪になって」

ことり(穂乃果)「みんな、いくよっ!」

ことり(穂乃果)「1!」

希「2!」

絵里「3!」

にこ「4!」

海未「5!」

真姫「6!」

凛「7!」

花陽「8!」

ことり(穂乃果)(さあ、ことりちゃん。穂乃果と一緒に……行こう! 『9!!』)

ことり(穂乃果)「幕が……上がる……!」
252: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 23:43:52.07 ID:pr/HwpiF
にこ「え……」

真姫「嘘……」

希「これって……」

\わあああああああぁぁぁぁ…………っ!!!!!!/

絵里「まさか……」

海未「私たちを見に、こんなに……!?」

<μ’sーっ!!

<素敵だよー!! 応援してるよーっ!!

花陽「は、はわぁ……ま、満員だよぉ」

凛「すごいにゃ……!」

<みんなー! かわいいよーっ!!

<がんばってー!!

ことり(穂乃果)「……みんな、来てくれたんだ……!」

絵里「私たちの努力は……無駄じゃなかったのね」

海未「ええ……みんなが、私たちを……」

にこ「μ’sのライブを、待ってた……!」

真姫「……本当、夢、みたい……」

凛「かよちん……」ギュ

花陽「凛、ちゃん……」ギュッ

希「あかんよ、こんなん……もう、泣きそうやん」ジワ

にこ「み、みんな……な、何泣いてんのよ」ウルウル

にこ「ほら、アイドルは笑顔笑顔! ステージの上ではにっこり笑顔、にこっ!」

ことり(穂乃果)「うん……そうだよね」ゴシゴシ

絵里「さぁ、ことり。まずはμ’sのリーダーから一言、よ。がんばって」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……うん!」
253: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 23:44:53.89 ID:pr/HwpiF
ことり(穂乃果)「ええっと! 初めまして! 音ノ木坂学院スクールアイドルグループ、『μ’s』です!!」

ことり(穂乃果)「今日は私たちのライブに集まってくれて、どうもありがとう!!!」

ことり(穂乃果)「こんなにたくさんの人が、私たちのライブを見に来てくれて……私は、とっても嬉しいです!!」



ことり(穂乃果)「……皆さんも知っていることとは思いますが、この音ノ木坂学院は、廃校の危機に瀕しています」

ことり(穂乃果)「皆さんの多くが、そのことで悲しい思いや寂しい思いをしていると、私は感じていました」

ことり(穂乃果)「でも! だからって、いつもみんなが悲しい顔をしているのは、とても辛いことだと思うんです」

ことり(穂乃果)「だから、私は……私たちμ’sは、みんなに笑顔を届けられれば、と思って、活動を始めました」



ことり(穂乃果)「この学院の未来のことは、正直、分かりません。仮に廃校を阻止するとしたら、それは奇跡のようなものが必要かもしれません」

ことり(穂乃果)「でも、音ノ木坂学院は、まだここにあります! そして私たちは、まだ音ノ木坂学院の一員です!」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院が今ここにある。私たちが確かにここにいる、その証を残したい。いつになっても、消えない思い出をみんなと作りたい」

ことり(穂乃果)「そんな想いを込めて、願いを込めて、このライブを決めました」

ことり(穂乃果)「私たちのライブが、私たちの歌が……私たちの想いが。皆さんの心に少しでも残ったなら」

ことり(穂乃果)「いつか旅立つときに、皆さんを笑顔にする……そんな思い出になれたなら」

ことり(穂乃果)「それは、とっても素敵なことだと思うんです」

ことり(穂乃果)「そして、私たちが少しでも、みんなを幸せにできたなら……きっと、奇跡だって、起こせると思います」

ことり(穂乃果)「だから、聴いてください。私たちの、想いを」

――μ’s!! ミュージック……スタートッ!!
262: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:20:41.95 ID:ZgG5k45p




ことり(穂乃果)「終わったんだね……私たちの、ライブ」

ことり(穂乃果)「なんだかあっという間だったなぁ……」

ことり(穂乃果)「まさか、はじめてのライブであんなたくさんのお客さんが来てくれるなんて」

ことり(穂乃果)「すごかったなぁ。みんなびっくりしてたし。私も本当に、夢の中にいるみたいだったよ」

ことり(穂乃果)(でも胸に手を当てるとまだ、熱が残っているみたい……)

ことり(穂乃果)(それに、目を閉じると、応援してくれるみんなの姿が、精一杯踊るみんなの姿が……はっきりと見えるよ)

ことり(穂乃果)(私たち、上手く……やれたかな)

ことり(穂乃果)「ふふっ、このライブのことをあっちのみんなが聞いたら、どう思うかな?」

ことり(穂乃果)「初ライブで、満員にしたんだよって言ったら、信じてくれるかな? にこちゃんあたりは、悔しがったりしそうかも」

ことり(穂乃果)「『ふんっ! スーパーアイドルにこにーなら、それくらい楽勝よ!』なんて言ったりしてね」

ことり(穂乃果)「でも……さっきまで、あんなに人がいたのに。もう、すっかりがらがらだね」

ことり(穂乃果)「なんだか、ちょっと寂しいな……」

ことり(穂乃果)「凛ちゃんがもっともっと踊ってたかった、っていう気持ちがよくわかるよ」

ことり(穂乃果)(凛ちゃんも花陽ちゃんも、真姫ちゃんも、短い練習時間だったのに、一生懸命頑張ってくれて)

ことり(穂乃果)(絵里ちゃんと希ちゃんとにこちゃんは、いつもみんなのことを気にかけていてくれて)

ことり(穂乃果)(そして海未ちゃんは、私が迷ったときに、支えてくれて……)

ことり(穂乃果)(そして、ことりちゃん……。今は、穂乃果が『ことりちゃん』を借りちゃってるけど……)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんが、穂乃果と一緒に、踊ってくれた気がしたんだ……だから)

ことり(穂乃果)「みんながいたから、あそこまで、やれたんだよね」

ことり(穂乃果)(やっぱり私、みんなが好きだなぁ……)

ことり(穂乃果)(学院がこれからどうなるのか、未来は分からないけど……)

ことり(穂乃果)(でも、このライブを喜んでくれたなら。私たちの歌で、みんなが何かを感じてくれたら……嬉しいな……)

コツ

ことり(穂乃果)「あっ。あなたも、来てくれたんだね……」

「……うん。すごく、よかった……」

ことり(穂乃果)「そっか……えへへ。ありがとう……穂乃果」
264: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:55:21.79 ID:ZgG5k45p
ことり(穂乃果)(改めてしっかり見ると、この子……本当に……穂乃果だ)

ことり(穂乃果)(まさかとは思っていたけど……やっぱりびっくりするなぁ。正直、まだちょっと信じられないよ)

穂乃果「どうかした?」

ことり(穂乃果)「あっ、ううん! 何でもない!」

ことり(穂乃果)(自分自身の姿に戸惑ってた、なんて言えないし……言っても、理解できないよね)

ことり(穂乃果)(そう言えば穂乃果の声って、あんな感じなんだね。こうして聞くと、何だか変な感じ……)

ことり(穂乃果)(って、今はそんな場合じゃなくて!)

ことり(穂乃果)「えっと、ちゃんと会うのは初めまして、だよね?」

穂乃果「うん、そうだね」

ことり(穂乃果)「それじゃ、まずは自己紹介からだね」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院二年生、生徒会長とスクールアイドル『μ’s』やってます、南ことりです」

ことり(穂乃果)「ええと……もしよければ、あなたの名前も教えて欲しいな」

穂乃果「…………」

ことり(穂乃果)「だめ、かな?」

穂乃果「………………くすっ」

ことり(穂乃果)「?」

穂乃果「ふふっ……あははっ」

ことり(穂乃果)「へっ?」

穂乃果「そっかぁ。そうだよね、今はあなたが『南ことり』だもんね。自己紹介って、そうなっちゃうよねっ」

ことり(穂乃果)「えっ、あれっ? 私、何か変なこと言った?」

穂乃果「ううん、ふふ……どこも変じゃないよぉ」

ことり(穂乃果)「で、でも……」

穂乃果「あっ、ごめんね? 笑っちゃって。でも、自分自身の自己紹介を聞いてたら、なんだかおかしくなっちゃったんだぁ」

ことり(穂乃果)「? ど、どういう意味……? って、『自分の自己紹介』? それって……まさか」

穂乃果?「うんっ、流石にわかっちゃうよね? じゃあ、私も自己紹介させてもらうね?」

穂乃果(ことり)「音ノ木坂学院二年生、生徒会長……だけど、今はこの体を借りちゃってますっ、『この世界の南ことり』、です」

穂乃果(ことり)「初めまして、だねっ。ことりちゃん……ううん、『穂乃果』ちゃんっ」

ことり(穂乃果)「…………えぇぇぇぇぇぇっ!!??」
268: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 00:00:19.96 ID:M0ioUtY7
ことり(穂乃果)「えっ、えっ!? 今目の前にいる穂乃果はことりちゃんで、ことりちゃんが穂乃果で、私はことりちゃんだけど穂乃果で穂乃果なのにことりちゃん!?」

穂乃果(ことり)「わっ、穂乃果ちゃん、落ち着いてぇ!?」

ことり(穂乃果)「うわぁ穂乃果が穂乃果の心配してる!? あれっ、じゃあ私が穂乃果で、ことりちゃんは……どっちだっけ……!?」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんねっ!? ことりが変なこと言ったから! 『ことり』は私だよぉ! あなたが『穂乃果』ちゃんだよっ!」

穂乃果(ことり)「だ、だからしっかりしてぇ! 穂乃果ちゃぁ~ん!!」





穂乃果(ことり)「お、落ち着いた? 穂乃果ちゃん?」

ことり(穂乃果)「う、うん。大丈夫。ごめんね、ことりちゃん」

穂乃果(ことり)「ううん、ことりこそごめんね。突然変なこと言って、混乱させちゃったよね」

ことり(穂乃果)「そんなことないよ。むしろ、私の方が心配かけちゃってごめんね」

ことり(穂乃果)「それにしても……」ジィー

穂乃果(ことり)「? どうしたの? ことりの顔に、何かついてる?」

ことり(穂乃果)「あ、ううん。そういう訳じゃなくて、自分を外から見るのって、不思議な感じだなーって」

穂乃果(ことり)「そうかも。ことりもね、お話ししながら自分ってこんな顔なんだぁ、って思ってたんだぁ」

穂乃果(ことり)「鏡で見るのとは全然違うよねっ」

ことり(穂乃果)「うんうん! でもこうして自分と向かい合って話すって、ちょっとくすぐったい感じかも」

穂乃果(ことり)「その気持ち、ことりも分かるよぉ。普通に鏡で自分の顔を見ることあっても、お話はしないもんね」

ことり(穂乃果)「だよねっ。でも、見た目は穂乃果だけど……話してるとやっぱり『ことりちゃん』なんだなぁ、ってわかっちゃうね」

ことり(穂乃果)「海未ちゃんが前に、『同じ声でもことりちゃんとは違って聞こえる』って言ってたことが、分かる気がするよ」

穂乃果(ことり)「そっかぁ。確かにことりも、今こうして目の前にいるあなたは、自分とは違うなぁって感じるかも」

穂乃果(ことり)「本当に、まさか……こんなことになるなんて……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん?」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃん、ごめんなさい。ことりの……せいなの」
269: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 00:01:12.14 ID:M0ioUtY7
今夜はここまでです
270: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 00:26:09.33 ID:RdmnEfcQ
うあぁいいところで
272: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 01:24:55.84 ID:7wzG3Hon
最近のいちばんの楽しみ
次回スレ:

穂乃果「穂乃果は飽きた」【後編】




このシリーズ:

穂乃果「穂乃果は飽きた」【前編】


穂乃果「穂乃果は飽きた」【後編】


関連記事
タグ:

コメントの投稿



お知らせ
サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
ページ転移に数字送りを実装
多少の軽量化

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

旧ブログはこちら  旧ブログ

スポンサーリンク
最新記事
カテゴリ
人気記事
RSSリンクの表示
リンク