夕張「クルマ買いました!」 【中編】

310 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:27:25.89


前スレ:

夕張「クルマ買いました!」 【前編】




工廠

夕張「とりあえず、今日はこんなもんかな」

金剛 Zzz

夕張「金剛さん寝ちゃってるし……毛布あったっけ?」

由良「夕張?まだやってたの?」

夕張「ん?何か用事?」

由良「用事も何も、時計見てる?」

夕張「ゲッ、もうこんな時間なの」

由良「没頭するのもいいけど、普段の仕事に支障が出ないようにね」

夕張「アハハー……努力はする」

由良「それとコレ、提督からの預かり物」ヒョイ

夕張「おっと。キー?」

由良「提督のクルマのスペアキーだって。修理している間なら乗っててもいいって」

夕張「んふー。そうそう、この為に今日の執務手伝ったんだから」

由良「あと伝言。『交通ルールは守りましょう』だって」

夕張「自分から嗾けといてよく言うわ……」

由良「全くよ。川内も帰って来ないし」

夕張「えー……あの二人まだ帰って来てないの?」

由良「明日非番だからじゃない?この鎮守府は暴走族しか居ないのかしらね」

夕張「否定できない……」

由良「あ、でも直ったら隣乗ってみたいかな」

夕張「モチロン」

夕・由「「後で感想聞かせてね」あげる」

夕張「分かってるじゃない」

由良「付き合い長いからね」

金剛「ダメダメ……ワタシが前を走るネー……」Zzz

夕張「あー……とりあえず、金剛さん運ぶの手伝って」

由良「そうね」
311 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:31:03.66

その頃の川内・摩耶in埠頭

川内「っぷー……」

摩耶「だいぶ慣れてきたみたいだな」

川内「番長!ハングオンの仕方が分かりません!」

摩耶「上半身だけで動くからダメなんだ。腰で移動だ腰で。あと番長言うな」

川内「というかさぁ、摩耶さんのバイク速過ぎだよー。何なのそれ」

摩耶「そりゃあ排気量からして全然違うからな」

川内「どれ位違うの?」

摩耶「それ(NSR)4台分」

川内「なにそれずるいー」

摩耶「ズルでもなんでもねーよ。リッターとニーハン比べること自体間違ってるっての」


摩耶のZRX1200
カラーはライムグリーン(ローソンレプリカカラー)
パッと見では分からないが、色々と改造されているらしい
エンジン周りよりも足回り、ブレーキ等を強化している

川内のNSR250
カラーはホワイト/レッドのレプリカカラー(所謂赤テラ)
提督が買って来て放置していたものを川内が譲り受けた
レストアついでに夕張がキャブとチャンバーを交換した以外はほぼノーマル

312 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:33:52.41

摩耶「そもそも、20年以上前のレーサーレプリカ相手に摩耶様が負けるかっての」

川内「摩耶さんのだって古そうじゃん……」

摩耶「そりゃ確かに10年前の型だから古いことには違いないけど、NSRよりマシだ」

川内「88年式とか言ってた」

摩耶「マジかよ。またとんでもないモン見つけてきたな」

川内「提督も自慢げに言ってたけど、これってそんなにスゴいの?」

摩耶「アタシが驚いてるのは程度が良いってとこなんだが……まあ、88に限らずNSRは確かにスゴかったらしいぜ」

摩耶「かつてレーサーレプリカブームってのがあってな。今と比べモンにならない位二輪が売れてた時代にヨ、ホンダはまんまレーサー仕様を放り込んできたって。とりわけ、ハチハチが一番過激だったと。あまりに市販車の状態で速過ぎるもんだから他のメーカーからバッシングを受けたって話だ」

川内「へー。じゃあこれスゴいバイクなんだ」

摩耶「あくまで当時の話だ。その後NSRは色々改良してより速くて扱いやすくなったみたいだし、バイクそのものも進化してるからな。今じゃインジェクション、ABSは当たり前だ。昔じゃ考えられないぜ」

摩耶「だから伝説と謳われた88も、今となっちゃただピーキーなだけの古いバイクだってこと」

川内「えー。何かショック……」

摩耶「何言ってんだ。確かに過去のバイクにはなったが、今でも充分速くて楽しいと思うぜ?」

川内「……そりゃあ、訓練生時代に乗ったバイクよりは全然速いけどさ」

摩耶「だから腕次第じゃ峠で最新SSにも……って流石に無理か。まあ格上相手でも結構イイ線行くと思うわ」

川内「そっかー。でも乗ってる分には楽しいから別にいっか」

摩耶「そうそう。結局は自分が気に入ったモンに乗るのが一番だ」
313 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:35:23.80

川内「よーし!もう一本!川内、行きます!」

摩耶「オイオイ勘弁してくれよ……お前は非番だろうけどアタシは出撃だってーの」

川内「そんなこと言わずにぃ。これでラストにするから」

摩耶「カーッ……そういうヤツは絶対言うこと守らないってのが相場なんだよ」

川内「ホントにこれで最後!お願い!」

摩耶「わーったわーった……ったく。ただ、何もなけりゃあな」

川内「??」

摩耶「一台なんか来るぞ……ヨシムラの音だなこりゃあ」

キィッ!

「おうおう、俺のシマを荒らしてるのは何処の誰だ!?」

摩耶「あん?」

川内「変なの来た」

天龍「俺の名は 川内「あ、天龍だ。久しぶり」

摩耶「なんだお前か。こんな時間に何やってるんだよ」

天龍「 」
314 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:37:18.35

川内「あれ?摩耶さん、天龍のこと知ってるの?」

摩耶「一応な。お前らは同期だっけ?」

川内「そうだよ」

天龍「せ、川内に摩耶さん……二人して何やってんだよ……」

川内「摩耶さんにバイクの乗り方教わってた!」ドヤ

摩耶「アタシは付き合わされてる。眠い」

天龍「あ、そう……」

摩耶「で、お前はなんだ?シマがどうとか」

天龍「あぁ、いや言葉の綾っつーか何ていうか……」

摩耶「いや別にどうでもいいんだけどさ。そのカタナ、まだ乗ってたのか」

天龍「いやあ、最近暇になったからまた乗り始めて」

摩耶「ふーん……」

川内「どしたの天龍?さっきから挙動不審だけど」

天龍「ばっ……バカ言うな!俺に怖いもんなんてねえ!」

川内「何言ってんの?」

天龍「大体、何でお前が単車乗ってんだよ!しかもNSRて」

川内「いやさぁ、ウチの提督が物好きで。買ったはいいけど乗ってなかったのが余ってたから、譲ってもらったんだ」

天龍「そう云えばお前んとこの提督はそんなんだったな」

川内「で、乗ってみたら楽しくてさ」
315 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:39:21.02

天龍「ところで川内……ちょっとこっち来い」ガシッ

川内「なに?夜戦?」

天龍「いいからっ」

摩耶「眠ぃ……」オオアクビ

天龍「お前、摩耶さんに乗り方教わってるって正気か」ヒソヒソ

川内「なんでさ。問題あるの?」

天龍「大アリだっ!摩耶さんはかつて『荒武者』と呼ばれ、地元では泣く子はもっと泣くトンでもないお方だったんだぞ!」

川内「訳が分からないよ」

天龍「走りに関しちゃ色々逸話があるってことだよ!俺なんか恐れ多くて目も合わせられねえ……」

川内「5へぇ」

天龍「ふざけんな!いいから、乗り方なら俺が教えてやっから。あの人は止めとけって」

川内「そんなこと言っても、天龍とじゃ所属が違うし」

天龍「そんなもん予定合わそうと思えばいくらでも合わせられるだろ。兎に角、怪我する前に止めとけ」

摩耶「……天龍」

川内「別に摩耶さん優しいよ?口は悪いけど」

天龍「バッカ、お前は全盛期のあの人を知らないから…… 摩耶「天龍!」

天龍「ひゃい!?」ビクゥ

摩耶「……火ぃ貸せ。オイル切れた」

天龍「は、はい!」

川内(番長と子分……)
316 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:42:43.98

摩耶「……お前、川内に余計なこと吹き込んでるんじゃないだろうな?」フー

天龍「滅相も無い!」

摩耶「あ、そ。別にどーでもいいけど」

天龍「はぁ。しかし何でまた川内に……」

摩耶「ただの興味本位。2ストって乗ったことなかったからな。教えるついでに乗らせてもらった」

天龍「ところで、前のマークⅡはどうしたんスか?」

摩耶「古くなったから売った」フー

川内「摩耶さーん。ラスト一本はー?」

摩耶「吸ったら行くよ。あ、折角来たんだからお前も付き合え」

天龍「あの、何を?」

摩耶「川内の相手。アイツ呑み込み早いし、お前となら結構良い勝負になると思うけど」

天龍「……ハッ。摩耶さんであっても流石に聞き捨てならないッスね。アイツと俺とじゃ歴が違いますよ歴が」

摩耶「速いヤツは最初から速いぜ?」

天龍「そんなヤツ摩耶さん以外で見たことないスねぇ……川内如き、俺の敵じゃねぇ!」

摩耶「おーおー言い切ったな。じゃあやってもらうか」

川内「なになに?」

摩耶「喜べ川内。天龍が夜戦の相手してくれるってよ」
317 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/01(月) 23:46:06.97

川内「ホント?天龍が?」

天龍「おうよ。お前との力の差を見せてやるぜ」

摩耶「あ、そいつのカタナな。パッと見ヨシムラ1135Rだけど、中身はナナハンのパチモンだからNSRでも充分勝てる見込みがあるぞ」

天龍「ちょっ」

川内「そのヨシムラなんたらを知らないからよく分かんない」

摩耶「乗ってるヤツと同じでビッグマウスってことだ」ケラケラ

川内「ふーん?」

天龍「ぬぐぐ……」


天龍のGSX750カタナ改
カラーはブラックメタリック
一見するとヨシムラのコンプリートマシン「1135R」だが中身は別物
だが改造点は多岐に渡りパワーはそれなりに出ている模様
自慢はクァンタムのサスと完全コピーの外装


天龍「ま、中身は違えどこのカタナも世界水準軽く超えてるからな。四半世紀前のレーレプなんて子供騙しだぜ!」

摩耶「カタナの方が古いだろうがアホ」

川内「やったー!夜戦だー!」

天龍「ブッちぎってやんぜ!」

摩耶「(ブッちぎるなんて久々に聞いた)で、コースだがその辺周って先にここに戻って来たヤツが勝ち」

川内「番長!説明が大雑把過ぎてコースが分かりません!」

摩耶「うっせぇ眠ぃんだ。最初の信号左行って二個目を右。しばらく道なりに行った後、S字の先でUターンで帰ってくる。分かったか?」

川内「押忍!」

摩耶「あと対向車来るかもしれないからセンター割るなよ。特に天龍」

天龍「げっ、俺?」

摩耶「お前は昔から先走ってすっ転ぶようなタイプだからな。直線勝負ならお前の方が分があるんだから、無理に抜こうとすんなよ」

天龍「うーっす……」
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/01(月) 23:55:42.67
おつでしたー
川内カワイイにゃあw

摩耶サマが言ってるけど、不人気だろうが周りが何言おうが自分のお気に入り乗ってるのが一番楽しいと思うなぁ
327 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/03(水) 23:21:53.67

小ネタ 鈴谷建造したから前から考えていた鈴谷ネタ雑談


提督「オーバーレブ!ってあるじゃん」

夕張「ああ、前から>>1がネタ出しに困っているマンガですね」

提督「放って置いてやれ。湾岸とかの汎用性が高すぎるんだ」

夕張「内容はMR2乗ってる女の子が主人公で、確かそのMR2に名前付いてましたね……パトリックさんだっけ」

提督「それブルヴァールだから。確かにあれもMR2だけど、SWだから」

夕張「知ってて言ってます」

提督「まあいい。それで、もしオーバーレブの主要キャラを艦娘に置き換えたら誰だろうと思ってナ」

夕張「ふむ……ではまず主人公の涼子ですね。元陸上選手ということで、スポーツ女子となれば……」

提督「やっぱり長良だろう。多分異論は無いと思う」

夕張「同感です。じゃあ次。S14のサワコ」

提督「足柄」

夕張「ほう。そのチョイスは何故に?」

提督「イメージ的にはイケイケお姉さんって感じだから」

夕張「あー……あの人がお立ち台女王とか言われても、何か想像出来るかも」

提督「だろ?今は何かお局様みたいな扱いばっかりな印象だけど、サワコのキャラにピッタリだと思うんだ」

夕張「では次。EG6のアイカさんは?」

提督「こっからが難しいんだよなぁ。最初の二人はすぐ思い浮かんだんだけど」

夕張「私的には、那智さんとかあなぁって」

提督「男勝りでクールな感じってなると、その辺りだよなぁ」

夕張「プジョーのサリは?」

提督「天然お嬢様だから、熊野か?」

夕張「熊野さんがメイド喫茶で働いたりネットアイドルやったりしますかね」

提督「それな。ノリの良さで云ったら愛宕だろうけどなぁ」

夕張「難しいですね……最後、FDの亜美」

提督「関西弁キャラだからな。それだけなら龍驤か黒潮だけど無理がある」

夕張「あの二人がセクシーパブ従業員だったら完全に犯罪の匂いしかしませんからね」

提督「となると……浦風」

夕張「いや、彼女駆逐艦ですよ。しかも広島弁だし」

提督「だって他に目立った方言キャラって思いつかないし」

夕張「確かに胸は戦艦クラスだからセクシーパブでも売れっ子になるでしょうけど、どのみちアウトでしょ」

提督「最初の二人が決まりすぎてるだけに、難しいなぁ」

329 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/03(水) 23:49:09.20

夕張「で、それがタイトルの鈴谷さんとどう繋がるんですか?」

提督「いやね、実は鈴谷にピッタリなオーバーレブのキャラ居るんだよ」

夕張「ほぉう」

提督「単行本が手元に無いから巻数は忘れたけど、中盤で出て来た青木カンナってヤツ」

夕張「あれ?どんなキャラでしたっけ?」

提督「あれ、最後に涼子とド突き合いしてたサンニー乗ってるビッチ」

夕張「アウトォ!」

提督「でも、鈴谷にピッタリだと……」

夕張「謝れ!今すぐ全国の鈴谷提督に謝りなさい!」

提督「で、熊野を掛けて長良とバトルする、と」

夕張「熊野さんは沙璃じゃないの!?」

提督「だから熊野か愛宕で悩んでたんじゃん。鈴谷がカンナだとしたら、奪い合いになる秀明ポジは熊野にしかならんし」

提督「涼子=長良に嫉妬ってなったら、それまで自分がアイドルだったのにって感じで那珂でも良いかなって思ったけど……流石に那珂にビッチキャラには合わないからなぁ」

夕張「鈴谷さんだって勝手にビッチ扱いされたら迷惑ですって!」

提督「でも鈴谷のエロ同人ってプリンツや愛宕並に多い気がするけど。>>1が好きなサークルでも鈴谷本出てたしな」

夕張「ノリも良いし重巡トップクラスの巨乳だからでしょうけど、そういうの風評被害っていうんですよ!」

提督「じゃあ鈴谷は処女ビッチ?」

夕張「せめて耳年増程度の表現にしてください」

夕張「というか散々引っ張ってこんなオチ!?信じられない!」


何かスミマセンでした。
330 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/03(水) 23:57:01.60

キヲトリナオシテホンペン


ウォンウォン……

天龍「やっぱ2ストはうるせぇなぁ。その辺にオイル撒き散らすなよぉ?」

川内「天龍のだって充分うるさいよ!」

摩耶「ハイハイ、やるぞー。3、2、1……」


摩耶「GO!」


川内「いっけえぇぇ!!」

天龍「行くぜオラァ!」

フロントをリフト気味にスタートする川内NSR。
750ccの排気量を持つ天龍のカタナに引けを取らない加速だ。

摩耶「おー速い速い。天龍のヤツ、口だけじゃないみたいだな」

摩耶「川内にはまだキツかったかぁ。でも天龍だしなぁ」スパー

最初の信号、左の直角コーナーに先に飛び込んだのは天龍のカタナだった。
スタートこそ互角だった両者だが、直線が続くにつれ徐々に排気量による地力の差が出始め、コーナー手前では天龍のカタナが前を行く形となった。
決して軽くない車体をヒラリと倒し、後輪を僅かに滑らせながらクリアーしていく。
331 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/03(水) 23:58:58.03

続く川内は――

川内「うわっ、後輪滑ってた!あんなのアリ!?」

川内「でもあれで行けるってことは、私にも出来そうね」

2サイクルエンジン特有の乾いた音を響かせ、川内もコーナーへ進入。
まだぎこちないライディングフォームだが、持ち前の運動神経を武器に見よう見真似で天龍のラインをなぞる。
後輪が滑り出す予兆はみられない。

川内「……いけたっ!よしっ!」

直線を挟んで次の右コーナー。
再び天龍は後輪を滑らせつつ駆け抜ける。
負けじと川内も突っ込み重視のラインで暴れるNSRを捻じ伏せる。
年々進化していたNSRの中で最もピーキーな特性を持つと云われた88年式MC18型だが、既に彼女の手中に収まっているようだ。

2コーナー目を抜けたところで、カタナが直線で稼いだアドバンテージは削られ、さながら戦闘機の攻防を思わせる接近戦と化していた。

天龍「なんだよアイツ、しっかり着いて来てんじゃねぇか」

天龍「フフフ……そうじゃなくっちゃ面白くねぇ。ここからが俺の本気だ!」←既に割と本気

パワーに任せて逃げようとする天龍のカタナ。
しかし川内のNSRは全く離れない。

川内「集中集中……」スーハー

川内「勝負どころを見誤るな、テールを追うな、前を見ろ……今は着いて行けているんじゃない、まだ引っ張られているだけ……」ブツブツ

自他共に認める夜戦バカな川内は、裏を返せば好戦的な性格とも取れる。
しかし夜戦という特殊な環境下。漆黒の闇の中で肌に受ける感覚を常に研ぎ澄ましてきた彼女は、同時に状況を冷静な判断力と大胆な即決性を身に付けていた。
特に改二改修を受けてからはその能力は更に磨かれ、豊富な運動量と相まってか冗談でも何でもなく正に「忍者」と呼ぶに相応しい。
最も、それが走りに直接影響するかは別問題ではあるが。
332 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/04(木) 00:00:25.51

摩耶「そろそろUターン付近か」スパー

摩耶「アイツ、普段はああなのに勝負事に関しちゃクレバーだからなぁ……仕掛けるとしたら、案外あの辺りだろうな」

Uターン前のS字コーナー。
天龍のカタナがアプローチで挙動を乱す。

天龍「ちぃっ!言うこと聞けってぇ、の!」

思いの他離れない川内NSRに焦りが出たのか。強引に車体を引き戻す。
一瞬のロス……川内がほぼノーブレーキで追走する。

川内「ブレーキミスったね……逃さないよ!」

天龍「流石に見逃さねえか……やっちまったな。だが!」

Uターン間際で二台が並ぶ。
インを取ったのは川内NSRだ。
しかし天龍のカタナがラインを潰すように被せて来る。

天龍「これでどうよ!?」

川内「………っ!」

逃げ場が無くなる川内。
333 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/04(木) 00:02:27.45

しかし彼女は――笑った。

川内「待ってました!」

天龍「……は?」

川内NSRがアウト側へ……二台のラインが交差する。

天龍「なんだそりゃあ!?」

仕掛けたつもりが思わぬカウンター攻撃。
突っ込み重視のライン取りをしていた天龍のカタナはまたも体勢を崩し、その隙にNSRが悠然と旋回。
2ストの瞬発力を活かして一気に加速する。

天龍「クソッ!なめた真似を……!」

慌てて加速体勢に移行する天龍だったが時既に遅し。
NSRは遥か前方へ。

川内「バイバーイ!」ノシ

天龍「ヌガーッ!潰す!絶っっ対潰す!」

しかしこの差は大きかった。
コツを掴んだのか、川内NSRは往路時よりも高いスピードレンジで旋回していく。
直線区間では天龍のカタナが若干差を詰めるものの、結局川内を捉えるまでには至らなかった。
334 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/04(木) 00:04:09.21

……パァーン

摩耶「おつ、来た来た。ああ?川内が頭かよ」

キィッ!

川内「勝利のV!」

摩耶「あれま。まさか勝てると思わなかった」

川内「えぇっ!?摩耶さん勝てる見込みあるって言ったじゃん!」

摩耶「見込みであって断言はしてねえよ」

天龍「チックショー!川内なんかに負けたぁ!!」

摩耶 m9(^Д^)

天龍「ええいっ指差して笑うな!」

摩耶「だってあんだけ大口叩いといて結局負けてんじゃねえか。てか、何で負けてんだよ」
335 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/04(木) 00:05:33.84

天龍「……摩耶さんはどっちが勝つと思ってたんスか?」

摩耶「普通に考えればお前だろ。あらゆる面で川内の方が分悪ぃし」

天龍 ガーン

摩耶「で、どこで差したのよ?」

川内「Uターン手前」

摩耶「やっぱそこか」

川内「その前に天龍がミスったから並べたけど、あれ無かったらちょっとキツかったかなぁ」

天龍「……Uターンする時、俺が川内のライン潰したんスよ。そしたら裏をかかれて、アウトからそのままスパーンと」

摩耶「お前のミスが発端か。ザマぁねえな」

天龍「ぬー……」

摩耶「まあソレ抜きで考えても、川内の大金星には違いないな」

天龍「確かに全然振り切れなかったから……どっかでヤられてかもしれないしなぁ」

摩耶「なんだ、今日は随分素直だな」

川内「Uターンまでは天龍の圧勝だったじゃない」

天龍「いや、そもそもミスったのだって俺自身が未熟だったんだし、あんだけ綺麗に抜かれりゃ認めざるを得ないっつーか……」

摩耶「ハハ、こりゃあ明日は嵐だな」

天龍「ひでぇ」

川内「でも楽しかったぁ。こういう夜戦もアリだね」

天龍「まあ、何だかんだで俺も楽しかったよ。またやろうぜ」

川内「うん!次も私が勝つからね!」

天龍「何言ってやがる。次は俺が勝つに決まってんだろ!」

摩耶「眠……」ファー


戦果報告

川内NSR vs 天龍GSX750カタナ改

対戦結果……S 勝利!!
343 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:08:49.56

小ネタ そういえば赤城FDの紹介してなかった

「おう赤城ちゃん。よく来たね」

赤城「こんにちはオジ様」
 
「クルマ見せてもらったけど、だいぶ上手くなったみたいだね」

赤城「分かるんですか?」

「伊達に長くこの業界やってないからね。丁寧に乗ってくれているみたいで嬉しいよ」

赤城「いえいえそんな。オジ様方の手腕があってこそです」

「なんのなんの。赤城ちゃんみたいな美人さんに頼まれたらさぁ、こっちもやる気になっちゃうからねぇ!」

赤城「もう、お上手なんですから」

「で、今回ちょっと仕様変更してみたよ。もう少し下からトルクが出るようになったから、だいぶ乗りやすくなってるハズだよ」

「それと、エアロも手を加えてみたんだ。カッコいいでしょ?」

赤城「ええ、流石の一言です。だいぶ印象が変わりました」

「FDも古さは否めないからねぇ。勿論見た目だけじゃないよ。効果は僕自身が実証済だww」

赤城「オジ様もまだまだ元気ですね」

「いやあ、やっぱり好きだからね。でもやってることはタダの暴走行為なわけだし、赤城ちゃんも無理は禁物だよぉ」

赤城「肝に銘じておきますわ」

「まあ僕が云える義理じゃないけどねぇ。頑張ってよぉ赤城ちゃん」

赤城「ハイ!有難うございますオジ様」

「いやぁアッハッハッハ」

加賀(あの人……髭の無いジャ○おじさんみたい)


赤城FD3S RX-7改
RE雨宮フルエアロの赤いV型
内装や快適装備を残しつつ、サイドポート加工、V字マウントの冷却系、大型シングルタービンで武装した本気仕様
パワーは最大450馬力
 
344 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:13:56.61

小ネタ 時雨がバンドやったらめっちゃエモそうという妄想

~~♪

提督「ん?なんだこの音」

金剛 ジー

提督「金剛?なにやってんだそんな所で」

金剛「シャラップ提督。今良いトコロネー」

提督「なんだよ、何があるってんだ……」

金剛「バンドよバンド。時雨がギターで浦風がベースネ」

提督「そういえばアイツ、永ちゃんのファンだったな……前に琵琶型ベースを自慢された」

金剛「えいちゃん……?榮倉奈々デスか?」

提督「その発想は無かった」

金剛「でも二人ともカッコいいネ!ブンブンサテライツみたいデース」

提督「ブンブンってことは打ち込みか?というか、金剛もそういうの聴くんだ」

金剛「ドライブ中にかけるとテンションMAXネ!」

提督「お前のハチロク、カーステはおろかエアコンすら無いじゃん……」

金剛「MP3プレイヤー持ち込んで聴いてマース」

提督「素直にオーディオ載せとけよ。どれ、二人の演奏は……?」

浦風 ←踊りながら機材を操作

時雨 ←不規則なステップを踏みながらテレキャスターを振り回している

提督「なにこれ」
345 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:23:24.61

提督「え?え?おっぱい揺れてるのは嬉しいけど……え?」

金剛「ワンダフォー。リズムにノってるヨ」

提督「いや、時雨はハードコアバンドのギタリストか?ATDIの頃のオマー・ロドリゲスみたいになってるじゃん」

金剛「もしくはレディオヘッドのトムかジョニーネ」

提督「あんだけ暴れて音外さないとかどういうことなの」

金剛「OH!浦風もベースに持ち替えたネ!」

提督「ピックガード無しのプレベってやっぱり永ちゃんか……つうか浦風も上手ぇな」

金剛「浦風はスティングも好きでしたヨ」

提督「アイツの趣味、年齢的に渋すぎだろ」

金剛「イイヨイイヨ!」

提督「……時雨が絶叫してる……」

金剛「FOO!」

提督 ←衝撃的過ぎて呆然

金剛「曲が終わったネ」

時雨「ん?やあ提督、金剛。どうしたんだい?」

提督「……むしろコッチがどうしたんだって聞きたい」

金剛「二人ともカッコ良かったデース!最高にエキサイトネー!」

時雨「え?二人とも僕達の演奏を見ていたのかい?ちょっと恥ずかしいな……」テレテレ

浦風「まだまだ下手じゃき、隠れて練習しとったのにぃ」

金剛「演奏終えたらいつもの二人ネ」

提督「……ど、どうしたんだ時雨!何か嫌なことでもあったのか!?山城にいびられたのか!?」ガシッ

時雨「??」
346 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:26:14.07

朝・工廠

夕張「ボディは何とかなりそうね。良かったぁ……リヤゲート歪んでる位は覚悟してたけど」

夕張「あとはエンジンホルダーも来たことだし、一回エンジン降ろしてみようかしら。そうなるとやること多いなぁ」

川内「あ、夕張だ。またやってるの?」

夕張「またっていうか、夜通しやってたから……そっちは?摩耶さんと出かけてたんでしょ?」

川内「まあね。天龍に会ったから一戦交えちゃった」

夕張「マジ?どうなったの?」

川内「勝ちっ!」ブイッ

夕張「おーやるぅ」

川内「ま、実のところあっちがミスってくれたおかげで勝てたようなもんだけどね」

夕張「それにしたって、乗り始めて数日しか経ってないんだから上々じゃない」

川内「まあまあ、そんなに褒めないでよ」テレテレ

夕張「それに比べて私は……初戦でぶつけて……」

川内「夕張って結構自虐的だよね」

夕張「あ、でNSRはどう?」

川内「バッチリ!直線は天龍の……カタナだっけ?ちょっと離されたけど、思った通りに動いてくれるし」

夕張「それなら何より。でも只でさえ古いバイクだし、2ストは今となっては気難しい所もあるから、メンテナンスは怠っちゃダメよ?」

川内「えー。夕張が直してくれるんじゃないのぉ?」

夕張「工具貸すから自分で直せる様にしなさい」

川内「ぶーっ。ケチ」

夕張「私は私で忙しいの。ワンエイティもこんな状態だっていうのに」
347 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:29:43.81

川内「そっちはどうなの?」

夕張「奇跡的に見た目ほどダメージは無いわ。正直ダメかと思ったけど」

川内「ふーん。どうせなら新しいボディにしちゃえばいいのに。こうパカッと」

夕張「……チョロQか何かと勘違いしてない?」

川内「え?出来ないの?」

夕張「アンタねえ……」

川内「ね、ね。直ったら、私と勝負する?」

夕張「一回勝った位で調子に乗らない」

川内「テヘッ。だよね」

夕張「そもそもバイクとバトルなんて怖すぎるから嫌だ」

川内「なんで?」

夕張「スピードレンジ、ブレーキのタイミング、ライン取り……全部が全部違うもの」

川内「そうなの?」

夕張「提督が言うにはね。確かに都高で見かけることもあるけど、お互いのことを信頼してないと絡んで走るのも難しいわ」

川内「夕張は私のこと信頼できないの?」

夕張「川内のことは信頼してるわよ。でもアンタはまだまだ初心者、私は……自分の腕そのものにまだ自信が無いし、当分は無理ね」

川内「ふーん。そんなもんかぁ」

夕張「ところで、立ち話する位なら手伝ってもいいのよ?」

川内「別にいいよ。どうせ暇だし」

由良「夕張、差し入れ持って来……って、川内も来てたの?」

348 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:31:21.98

執務室

提督「ヅホー。鉄火面乗らせてくんない?」ヘケー

瑞鳳「えー……どうせ都高とかで飛ばすんでしょ?」

提督「否定はしない」

瑞鳳「じゃあヤダ」

提督「何でだよぉ。夕張にクルマ貸しちゃったから乗るもん無いんだよぉ」

瑞鳳「嫌ですぅ。私は提督さんや夕張と違って普通に乗りたいからダメ」

提督「お前RSターボだぞ?ちょっとは踏みたくなるだろ」

瑞鳳「気持ちは分からなくないけど、公道でレースするような人は信用出来ませーん」

提督「サーキットだったら?」

瑞鳳「タイヤとオイル代出してくれるなら考えてあげる」

提督「むぅ……」

コンコン

瑞鳳「ハーイ、どうぞー」

金剛「Hey提督!ご機嫌イカがー!?」

提督「イカは嫌いなのです」

瑞鳳「そうなの?」

提督「いや、普通に食べるけど」

金剛「今はイカの話じゃないネ!ちょっと相談にのって欲しいヨ」
349 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:34:25.96

提督「は?クルマ買い換える?」

金剛「イエス!それで、どんなクルマがベストチョイスか考えているネ」

瑞鳳「ハチロクはどうするの?」

金剛「使えるパーツは比叡に譲るつもりデス」

提督「あんな仕様じゃ売るに売れないだろうしなぁ。で、候補はあるのか?」

金剛「NSXかS2000で考えてるヨ。他に良いのがあればそれも検討するネ」

提督「その二台を選択した理由は?」

金剛「コーナリング性能と、何処からでも踏めるパワーが欲しいヨ」

提督「フム……その二台ならS2かな」

瑞鳳「NSXじゃないの?排気量も大きくてミッドシップだし、条件的には有利だと思うけど」

提督「どっちに乗りたい?って聞かれたらNSX一択だけどナ、そういう次元の話をしてるわけじゃないだろ?」

金剛「イエー。どちらがより実戦的かデス」

瑞鳳「どういうこと?」

提督「どっちも乗ったこと無いから、あくまで仮定の話になるけどな。二台ともホンダが送り出したピュアスポーツには違いないけど、スタート地点が異なる」

提督「特に初期のNSXはラグジュアリー思考が強い。本気になったのはタイプR以降と考えて良い。それでも最初から本気だった32Rのニュルのタイムが殆ど変わらないってのもスゴいけどナ」

提督「一方S2は最初からマジだ。ホンダのFRはS800が最後だったせいか、過剰な程にナ」

提督「ただ瑞鳳の言う通り、NSXが有利な部分もある。排気量の差はどうしたってデカい」

提督「本当に速いエンジンってのは、俺はトルクが重要だと思ってるのヨ。だからってディーゼルが良いって話じゃないぞ?」

提督「金剛は分かるだろ。ハチロクにスーパーチャージャー付けてたしな」

金剛「イエス。低回転域からでもパワーが出るようにしたかったからネ」

提督「どんなにパワーがあるエンジンでも、ピークまで回せるトルクが無きゃ宝の持ち腐れだ。まあパワー出せばトルクはある程度ついて来るし、ノーマルならさほど気にしなくていいだろうけど」

瑞鳳「ああ……だからレブチューンモーターの評価ってボロクソなのね」

提督「ありゃあ最高回転数も低い上に上位互換が多過ぎるから……ってお前、ミニ四駆やるんか」

瑞鳳「嗜む程度にねっ☆」
350 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/05(金) 16:39:06.29

提督「で、話を戻すと……S2が優れていると思うのはパッケージングだ。それに尽きる」

瑞鳳「NSXは?」

提督「本気で造る気があったら既存のシャシーなんて使わずに最初からエンジン縦置きだろ。ちょうどホンダはF1で常勝、日本経済もバブル期で上昇中の頃だし。その分クッソ高くなるけど、ポルシェやフェラーリの層は取り込めたハズだ」

金剛「途中で韻を踏みましたネ」

提督「うるせえ。事実、JGTCでは最速の車両と評されたが、初年度はマクラーレンF1にはRとスープラと共にフルボッコにされて、後年は横置き故の重量バランスに頭を悩まし、結局は縦置きになった。他のMRもそうだったけどな」

瑞鳳「マクラーレンは仕方ないんじゃ……」

提督「まあな。でもNSXだって最初はル・マンGT2車両使ってたんだぜ?スープラに到っては原型が無いし」

瑞鳳「あー……エンジン3Sだし、グループCの足回り使ったりしてたものねぇ」

提督「別にNSXのネガキャンをしたいわけじゃないけど、その点S2のパッケージングは最初から完成されている。S2の方がよっぽど採算度外視ってわけ」

提督「あとは整備性だな。横置きミッドは狭くて面倒だし」

金剛「ふむ……」

提督「最初にも言ったけど、俺はどっちも乗ったことないからあくまで仮定の話だ。所詮スペックの数字だけで判断するガキンチョと変わらない意見だと思ってくれ」

金剛「例えば……排気量アップしてターボorスーパーチャージャーを付けたとして、ループウェイでインターセプターに勝つ事は可能デスか?」

瑞鳳「インターセプター?月光?雷電?」

提督「……まあそこまで仕上げることが出来るなら、な。NSXでもS2でもお前なら圧勝だろう」

提督「勿論、タダで墜とされないけどな」ニヤッ

金剛「上等ネ」ニヤリ

ドドドドドド……

瑞鳳「ふぇ!?なに!?ジョ○ョ!?」

叢雲「うっさい!仕事しろ!」←非番

提・金「アッハイ」

若葉「ブライアン・ダウン」
357 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:04:50.95

夜・由良部屋

由良「……何でいつの間にか私の部屋が溜まり部屋になってるの」

川内「気にしナーイ」ピコピコ

夕張「ちょっと!ぶつけてこないでよ!」ピコピコ

由良「ゲームなら自分の部屋でやりなさい!」

川内「だって夕張の部屋散らかってるし」

夕張「川内の部屋は何か……うん」

由良「……ほっんとにもう。コイツらは……」

川内「あ、ここってこんな感じで曲がれる?」

夕張「あー。そこ出口に大きめのギャップがあるから実際に通ったら死ぬ」

川内「おk、把握」

由良「さっきから何のゲームやってるの?」

川内「都高速バトル」

夕張「イメトレよ。イ・メ・ト・レ」

由良「ホントに自分の部屋でやってよ……んもぅ」

川内「由良もやる?」

由良「結構です」

夕張「由良さんったら付き合い悪いと思いませんこと?川内さん」ヒソヒソ

川内「ええ全くですわね夕張さん」ヒソヒソ

由良「いい加減にしないと引っ叩くわよ」

夕・川「キャーコワーイ><」

由良「何なのこの無駄に息の合ったコンビネーション……あとその顔やめて」
358 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:07:17.10

由良「というか、所詮ゲームでしょ?そんなんで何か分かるの?」

川内「んー……道を覚えてられる」

夕張「ぶっちゃけ私もこれで覚えました」

由良「地図でも見てればいいじゃない」

川内「でもさー、ほら……地図上じゃ予測は出来ても、見える風景って見ないと分からないしさ」

夕張「これが結構リアルでさ、行って見ると『ああ、ここか』って分かるのよ。十年前のゲームだけど、よく出来てるわ」

由良「ふーん……」

川内「いっそハンドル型のコントローラーでも使ってみよっか?」

夕張「アリねそれ」

由良「それは自分の部屋でやってよね、マジで」

夕張「それでも由良が言う通り、所詮ゲームっては思うよ。いくらリアルって云っても、やっぱり仮想現実でしかないから」

由良「クルマぶつけてもリスクがないって?」

夕張「そー。だからコイツ、わざと私にぶつけて無理矢理コーナリングしようとするし」

川内「勝てば官軍っしょ!というか、夕張が遅いんだって」

夕張「アンタがオーバースピードで突っ込み過ぎなだけでしょ」

由良「リアルファイトになりそうね」

夕張「……それと、百聞は一見にしかずでさ。実際に目で肌で経験したことには勝てないのね、やっぱり」

川内「ゲームでは最速でも実際は鈍足的なね」

夕張「ありがちww」
359 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:08:36.15

由良「じゃあ二人に質問。体験した結果、何処が違ったの?」

夕張「……視点かな。当たり前な話だけど、仮想と現実はイコールではないじゃない」

夕張「やっぱりゲームはゲームで楽しむ為に作られているからさ、全体がハッキリ見渡せるるように出来ている。で、いざ現実を目の当たりにすると見えないものの方が多い。カーブの曲線率や圧迫感も全然違う。初めて走った時は、こんなん命が幾つあっても足りないわって思ったわ。今でもそうだけど」

川内「私はまだ乗り始めたばっかりだからあんまり小難しいこと考えられないけど、空気感っていうのかな。それかなぁ」

川内「でも夕張の云うこともすっごく分かる。実践したらやっぱ怖いもん。特にバイクじゃ生身だし、伝わってくる空気は体験しなくちゃ分からないよね。所詮コントローラーじゃただ押すだけで何も伝わってこないよ」

由良「あら、川内にも怖いものがあるのね」

川内「艦娘とはいえ人間ですからww」

川内「一歩間違えれば命を落とす。戦場だってそれを忘れたら怪我だけで済まないでしょ。それと同じじゃない?」
360 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:09:30.28

夕張「と言うか、由良のその質問の意図がよく分からないんだけど」

由良「ん?なんとなくね、気になったから」

夕張「さいですか」

由良「夕張はまだしも、川内までハマり始めてるんだもの。ちょっとは理解したいかなって」

夕・川「……ほー」

由良「な、なによ二人して」

夕張「いや、だってやってることは違法行為だよ?普通止めない?」

川内「由良は真面目だからねー」

由良「止めたって聞かないじゃないアンタ達」

夕張「この前だって私のクルマ見てドンチャン騒ぎって言ってたじゃない」

由良「それはそうよ。ホントにウルサイんだから。川内のバイクはもっとウルサイし」

由良「でも頭ごなしに否定するより、相手を知ることもしなくちゃね。いつまで経っても、何で二人がそこまで入れ込むのか分からないもの」

夕張「むぅ……」

由良「本音を言えば賛成出来ないけど、そんなに楽しそうにされちゃ嫌でも気になっちゃうでしょ」
361 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:10:59.56

由良「それにホントは、私も巻き込みたいんじゃない?」

夕張 ギクッ

川内「え?マジなの?」

夕張「だってぇ……やっぱりウチで一番信用出来る人ってやっぱり由良だし、川内はバカだし……」

川内「オイコラww」

由良「うん。それで?」

夕張「その……由良が居たら、ちょっと……心強いなぁって……///」

由良「……なんでそんな乙女な顔してるのよ」

川内「もはや愛の告白だねこりゃ」

夕張「そ、そんなんじゃないもん!」

川内「ヒューヒュー」

夕張「うっさい!」

由良「もう……別に作業を手伝う位ならいつでもやってあげるから」

夕張「ホント!?」

由良「タダじゃやらないけど」

夕張「う……何が条件……?」

由良「そうね……じゃあ、今度の休み、ちょっと付き合って欲しいの。あ、川内もね?」

川内「え?私も?」

夕張「なにするの?

由良「ふふっ。秘密。ねっ?」
362 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:12:17.59

工廠

由良「ところで、ワンエイティは何か手を入れるんでしょ?」

夕張「まあねぇ……最初はいっそ全部作り変えてやろうと思ったけど、ちょっと考えが変わった」

川内「ああー……提督のせい?」

夕張「正解」

由良「どういうこと?」

川内「正確には提督のクルマ、だね」

夕張「この前Hakone行った時に、提督のクルマでバトルしたのよ、金剛さんと」

川内「ゴール手前でハチロクがエンジンブロー。姉妹にまで呆れられる始末で散々だったよね」ニヒヒ

由良「ああ、それがキッカケで金剛さんはココに異動したんだっけ」

夕張「そー。それはいいとして、提督のワンエイティがさ……スゴかった。ホントに同じクルマかって位に」

夕張「ワンエイティってさ、基本的にはスポーツカーじゃないのよ。あくまでスポーツも出来る安価なクーペなの」

由良「あおつらむきにスポーツカーな格好してるのに?」

夕張「確かに見た目はね。足回りも『901活動』のお陰で実は凝った造りをしてるんだけど」

川内「901活動?」

夕張「90年代までに、シャシー性能世界一を目指そうっていう日産独自の取り組みよ。R32系を筆頭に様々な車種にこの考えが取り入れられたわ」

夕張「で、S13系の発端はホンダのプレリュードにあるの。シルビア自体は元々人気車種だったけど、プレリュードの登場によってメインターゲットである若い世代の顧客をガバっと取られたの。そこで日産はそれを奪還しようと、割と本気で作ったのがS13シルビアであり、姉妹車のワンエイティね」

夕張「結果は当たりどころか、大ヒット。見た目もさることながら、素性の良いFR車ってこともあって、見事にプレリュードをやっつけたの。更に売れれば中古市場にも安価で出回るから、そこに走り屋系の兄ちゃん達が目を付けてまた人気が上がる。売れている車種だから色んなメーカーからもアフターパーツが販売されて……という具合に、今日までのイチサン人気を支えているってわけ」
363 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:16:01.26

夕張「これは余談だけど、プレリュードはデートカーとして市場を席巻していたワケですが、実は運転席側から助手席を倒せる機能があったらしくて……」

川内「ほう!」

由良「何のメリットがあるのよそれ」

夕張「分からない?若い男女がドライブデート、良い感じになったところで突然シートごと押し倒されたら……」ガバッ

川内「……優しくしてね///」

夕張「と、このように最強のナンパマシンとして大ヒットしたわけです」

由良「川内の小芝居はなんなの?」

夕張「そして車名の通り、まさに男女の前奏曲が……」ドヤッ

川内「これは夜戦突入不可避ですわ」ドヤッ

由良「顔がうるさい」
364 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:18:24.68

由良「話がとんでもない勢いで脱線しているんだけど」

夕張「おっと、そうだった。まあそんな時代背景もあってかS13って割と本格的に作られているんだけど、やっぱり走りが良いクーペってだけでスポーツカーではないのよ」

由良「でも人気があってアフターパーツも多いなら、ある程度は補えるでしょ?」

夕張「そうね。事実S13系はステージ問わずあらゆる所で使われているし、クルマ自体の懐はかなり広いわ」

夕張「で、提督のワンエイティね。そういう意味ではワンエイティ離れしているのよ」

由良「どういうこと?」

夕張「このクルマ、最大で500馬力オーバーなんだけど……」

由良「500って……あんまりピンと来ないんだけど、そんなにスゴイの?」

夕張「あー……艦とは桁が違うからねぇ。言うなれば、軽巡が戦艦クラスにまでパワーアップさせた機関を載せていると思って」

由良「つまりノーマルに対して遥かにキャパオーバーってことか」

川内「最初めっちゃ振り回されてたもんね、夕張」

由良「川内も乗ったの?」

川内「隣にね。面白かったよ」
365 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:19:40.19

夕張「それでも何とか乗りこなせたのが今では不思議でね……その時はあまりに必死で考えられなかったけど」

由良「ちなみに、夕張のクルマでどれ位出てるの?」

夕張「300ちょいってとこかな。エンジンはあんまり手を入れてないけど、ノーマルのカダロク値が205だから、およそ100馬力の差。コンパクトカー一台分のパワーアップね」

由良「クルマってそんな簡単にパワーが上がるんだ……」

夕張「車種にもよるけど、ワンエイティはターボ車だからね。今となってはSR20で500馬力を出すこと自体は難しくないわ。遥かに手間がかかるだけで」

夕張「私が注目したのはボディ。これがワンエイティ離れしている要因と考えているわ」

夕張「見てもらえば分かる通り、ワンエイティはファストバックスタイル……つまり、荷台との区切りが無いハッチバックなんだけど、後ろの開口部が広いからボディ剛性が弱いの。それがワンエイティの特徴であり弱点とも云えるわ」

夕張「ところが提督のワンエイティはその弱さを感じられない。だから私でも500馬力の高出力車でも乗ることが出来た」

川内「なんで?」

夕張「結局どんなにパワーがあっても、それを伝え受け止めるのは四つのタイヤとボディでしょ。ハチハチのNSRがピーキーと呼ばれる所以もそこにあって、足回りの剛性が高過ぎるから、その分限界を越えると一気に破綻するの」

由良「力の逃げ場が無い分、反動が一瞬で自分に返って来るってことね」

夕張「そういうこと」

川内「よく分からない……」

夕張「手押し相撲だと思えばいいわ。お互いが押している分には倒れたりしないけど、少しタイミングを外されたら押していた方がバランスを崩しちゃうでしょ?」

川内「あー……なるほど」
366 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:21:33.33

夕張「提督のクルマは、それが絶妙なの」

川内「剛性って結局硬さなの?」

夕張「半分正解。それだけならむしろ強度って云うべきね」

夕張「例えばダイヤモンド。鉱物最高の硬度を持っているけど、それはあくまで摩擦や引っかき傷だけで、瞬間的に与えられる力……靱性って云うんだけど、これはそんなに強くないの」

川内「靱性?」

由良「ダイヤは刀で切ることは出来ないけど、ハンマーでは簡単に砕くことが出来るってこと」

川内「マジで!?勿体無い!」

由良「驚くポイント間違っているわよ」

夕張「クルマにおける剛性はボディの強度は勿論だけど、この靱性も重要なの。いかに強大な入力を効率良く受け止めることが出来るか……その点に置いて、提督のワンエイティとしては有り得ない程ズバ抜けている」

由良「海外のクルマは兎に角強度重視らしいね」

夕張「おっ、よくご存知で。特に欧州車は硬さを重視する傾向があって、力を「いなす」っていうのはどっちかと云うと日本的な考えだね」

川内「なんでそんなこと知ってるの?」

由良「TVでヨーロッパの工業特集みたいな番組があったんだけど、向こうだとクルマをガンガンぶつけるのが日常茶飯事だって……」

川内「うわぁ……」

夕張「その国の交通事情もあるけど、バンパーはぶつける為に付いているって考え方だからねww」

夕張「提督のクルマはパッと見だとリヤ周りにロールバーが付いているだけだけど、見えない所には丁寧な補強がされていたの」

夕張「それもただ補強をするだけでは、さっきの靱性が失われてしまう。そこで力をいなす、逃がす部分を作ってあった。これによって粘りを生んでいたの。クルマをよく知り尽くした素晴らしい内容だったわ」

川内「それと夕張が乗れたことに何の関係があるの?」

夕張「さっきも言った通り、ハチハチのピーキーさは剛性の高さに関係しているもの。つまり、限界を超えるとあっという間に破綻するんだけど、ここに粘りが加わることで限界を超えても破綻するまでにまだ幅がある」

夕張「全体的に踏んで安定させる方向に振ってあるけど、それを作り出しているのがボディだったのよ!」
367 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:22:49.82

川内「お、おー……」

夕張「フッ、私としたことが熱くなり過ぎたわね……」

由良「理屈は分かったわ。要するに、提督のクルマを参考に改めて作り直すってことね?」

夕張「まあそういうことね。特にシャシー側に重点を置いて補強を見直していくわ」

由良「ふーん……じゃあ、エンジン関係はやらないの?」

夕張「うーん……今回はまずそっちかな」

由良「じゃあ、あそこにあるエンジン用と思われるクレーンはなに?」

夕張「そ、それは後々やりたいから買っておきました……」

由良「あんまり工廠を私物化すると、また叢雲に怒られるわよ」

川内「今更な気がするけどね」

夕張「あと、なるべくクルマ全体の重心を下になるようにすれば、少ないパワーでも充分速くする事が出来るはずよ」

川内「ハーイ。重心を下にすると何が起こるの?」

夕張「一番の恩賜は安定性ね。車高を下げても重心は下がるけど、あくまで車高が下がっただけだから効果は薄いわ。更にサスのストローク量が足りなくなったり、最悪それが原因で姿勢を崩す可能性もある。サーキットならまだしも、都高がメインである以上、それは避けるべきよ」

由良「具体的にはどうするの?」

夕張「まずはボディ各部の軽量化ね。上が軽くなれば自ずと重心は下がるし。勿論ただ軽くすればいいってわけじゃないから、各部のバランスを見ながらね」

夕張「それで……実はここに、余っているボーキを使って作り上げたルーフパネルがありまして……これを使おうかと」フフフ

由良「資源を勝手にくすねるな」

夕張「欲を言えばカーボンが良いんだけどね……工廠にオートクレープ(焼き入れする釜)置かせてくれるなら、いくらでも作れるんだけどなぁ」

由良「ピザ釜でも作ってなさい」

川内「カーボンってススのことでしょ?砲身掃除すれば幾らでも出るけど?」

由良「そのカーボンじゃないって」

夕張「やることは沢山あるわよぉ。ウフフ、燃えてきたぁ!」スパナクルクル

由良「ま、手伝うって言っちゃったからね……やりますか」

川内「私のNSRは?」

由良「工具貸すから自分でやりなさい」

川内「えーっ!贔屓だ差別だ横暴だー!」
368 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/07(日) 20:40:18.82
提督ワンエイティも充分反則仕様になってきてるじゃないですかやだー

一旦終わり。
次は小ネタ挟んでまた本編やります。
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/07(日) 23:27:05.78
おつでしたー
川夕か…悪くないw
376 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/08(月) 20:07:40.55

小ネタ 時雨の演奏動画投稿

時雨「青葉に手伝ってもらって、演奏動画を撮ってみたよ」

提督「ほう、動画ねぇ……」

時雨「映像によって客観的に見ることで、また新たな発見があると思ったんだ」

提督「そうだな。自分では普通だと思っていたことが実は悪癖だったりすることもあるしな」

時雨「ただ……それを青葉が勝手に投稿サイトにアップしてしまったらしいんだ」

提督「またアイツは……」

時雨「僕もアップされたものはまだ見てないんだ。よければ提督も見てみないかい?」

提督「おう。いいぞ。そういえば何を弾いたんだ?」

時雨「ミッシェルのシャンデリヤだよ」

提督「お前、よくあんな鬼畜カッティング曲を弾く気になったな……」

時雨「カッティングはちょっと自信があったからね。でも右手首が捥げるかと思ったよ」

提督「とりあえずシャンデリヤだな……検索っと」


【TMGE】艦娘(白露型)のコスプレでギターを弾いてみた【シャンデリヤ】

377 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/08(月) 20:10:21.37

時雨「……コスプレ……」

提督「まあ、青葉なりに気を使ったんじゃないか?」メソラシ

時雨「でもコスプレとは心外だね」

提督「とりあえず、動画を見てみよう」


登録タグ 演奏してみた TMGE 時雨(艦娘) カッティングの鬼 駆逐弦鬼 全編ギターソロ
俺の時雨がこんなにアベフトシなわけがない 時雨ちゃんprpr


時雨「タグからしてバレてるじゃないか……」

提督「最後のタグは見なかったことにしよう」

再生……

提督「おー、綺麗に撮れてるな」

時雨「なんだか恥ずかしいかな……」///

提督「しっかし、ホントよく弾けるなこんなん……俺なんか速攻で諦め……ん?」


しぐれぇぇぇ    時雨ちゃんマジ天使  しれぇ    カッケエェェェ
     那珂ちゃんのファンやめて時雨ちゃんのファンになります
  カッティングスゲー 上手い       何で弾けるのwww


提督「おお、コメントも賞賛の嵐だな」

時雨「ぼ、僕はあくまで技術の評価をしてもらいたいんだけどな……」


  時雨ちゃんprpr 時雨ちゃんprpr 時雨ちゃんprpr
 rpr   時雨ちゃんprpr 時雨ちゃんprpr   時雨たーん  prpr
 白露型って意外とおっぱい大きいよね しれぇ  さっきから雪風が混じってるぞwww
     この右手でシコシコされたい  ←憲兵さんコイツです


提督「」

時雨「」


この動画は、現在ご視聴することが出来ません(BGM 蛍の光)
378 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/08(月) 20:13:04.18

朝・食堂

山城「ハァ……不幸だわ……」

最上「山城のソレ、久々だね……急にどうしたのさ」

山城「あら最上……居たの。ハァァァァー……」

最上「今に始まったことじゃないけど、人前でそんな大きな溜め息吐かれると、こっちまで気が滅入っちゃうよ」

山城「ならば他人にこの不幸をばら撒くまでよ……ウフフ……」

最上「ただのテロだね」

山城「私より幸福な人間は皆肥溜めに落ちて養分になってしまえばいいのよ……」

最上「今ドキ肥溜めがある所の方が少ないんじゃないかな……」

山城「だからこそよ……不幸の極みじゃない」

最上「それにホラ、溜め息吐くと幸せが逃げるって言うじゃないか」

山城「逃げるだけの幸せが私にまだ残っているのかしらね……」

最上「……ボクで良ければ、はn 山城「聞いてくれるの!?」

最上「え、あ、うん。ボクと山城の仲じゃないか」

山城「流石最上ね……後で山城スタンプを贈呈してあげる」

最上「山城スタンプって何!?」

山城「姉様が夜な夜な何処かに出掛けているの……帰って来るのはいつも朝方だし」

最上「ボクはスタンプの方が気になるんだけど」

山城「問い詰めても上手い具合にハグらかされるの……こんなこと今まで無かったのに」

最上「扶桑にだって知られたくないこともあるんだよ。山城にだってあるでしょ?」

山城「私が姉様に隠し事……?そんな罪深いこと出来るわけないじゃない!」

最上「あ、そう……」
379 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/08(月) 20:16:01.87

山城「いっそのこと尾行でもしようかしら……」

最上「瑞雲飛ばせばいいんじゃない?」

山城「ダメよ。すぐバレるわ」

最上「じゃあ……川内に頼んでみる?」

山城「何で夜戦バカが出て来るのよ……」

最上「ホラ、改二になってから忍者っぽくなったでしょ。尾行なんかもお手の物かなーなんて」

山城「あのねぇ……いくらそれっぽい格好してるからって、流石にそれは無理でしょ」

川内「出来るよ」

最上「うわ、ビックリ」

川内「扶桑さんの尾行でしょ?多分出来るよ」

山城「どうやって?」

川内「例えばー……こんなんとか」

ヒュンッ

最上「す、スゴいっ!天井から逆さになってぶら下がってる!忍者だ!」

川内(反転)「どう?名付けて忍法『逆さまになっても髪の毛下がらない』の術」

最上「そっちなの!?」

川内(反転)「夕張が見てたアニメにこんなん出てきて、試しにやったら出来ちゃった」

最上「え、えー……」

山城「ふざけないでちょうだい」

最上「山城……」

山城「スカートも下がってないじゃない!」

最上「真顔で何言ってるのさ!?」

川内(反転)「まあ、どうせ下はスパッツだから捲れても問題ないけどねぇ」ピラ

最上「川内は少し恥じらいを持とうよ!」
380 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/08(月) 20:18:11.98

川内「で、なんだっけ。扶桑さんの尾行?」

山城「ええ、お願いできる?相応の謝礼なら出すわ」

最上「あのー山城……提案しといてなんだけど、やっぱり扶桑にだってプライバシーがあるんだし……」

山城「……貴方も西村艦隊の一員なら、姉様の最期は分かっているハズでしょ?」

最上「……!」

山城「私はもう……二度と姉様を見失うようなことはしたくないの」

川内「でも艦娘じゃなかったら赤の他人でしょ」ケロ

最上「 」

山城「余 計 なこと 言 わ な い で く れ る ?」

川内「ま……艦娘である以上、艦の頃の因果からは逃れられないよねぇ」

最上「ボク、時々川内の性格が怖いとさえ思うよ……」

川内「で、さ。尾行するにしても何か前情報みたいなのないの?何時頃出掛けるとか、行きそうな所とか」

山城「いつも23時頃に出かけているわ。行き先はサッパリね」

川内「ふーん……出かける日に法則性は?何曜日に出るとかさ」

山城「以前は週の中頃だったけど、ここ最近はほぼ連日よ。恐らく今日も出るわ」

川内「了解。じゃあ今夜早速だね」

最上「ホントに大丈夫なの……?」

川内「どうだろうね……尾行するのって初めてだし」

山城「少しでも何か情報が手に入れば構わない。深追いはしなくていいわ」

川内「あら、いざという時はとっ捕まえる位は考えていたけど」

山城「それは貴方の判断に任せる。私用で同僚を使っているのだから、事を大きくするのは避けたいもの」

最上「その辺りの分別はあるんだね」

山城「これでも旗艦経験者ですから。例え姉様であっても冷静さを欠いてはダメよ」

最上(川内を尾行につける時点で冷静では無い気がするけど……扶桑のことだから仕方ないか)

川内「ま、やるだけやってみるけど、期待しないでよね」
385 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:20:39.72

小ネタ 鈴谷リベンジ

鈴谷「ちょっと提督!この前の何よアレ!」

提督「んん?なんのことですかな?」

鈴谷「惚けるなっ!>>327の鈴谷雑談!建造記念とか言ってひとッつも鈴谷が出てきてないじゃん!」

提督「何を言ってる。ネタとしてちゃんと出ているだろう」

鈴谷「私そのものを出せ私をぉぉぉ!!」

提督「そんなこと言っても、基本的には由良張内の軽巡三人で話を進めたいみたいだしなぁ」

鈴谷「それなら最上型も一応軽巡!艦これでは重巡・航巡だけど!」

提督「とは云ってもなぁ……」

鈴谷「キャラ的にも鈴谷は動かしやすいでしょ!ホラ、出番を!」

提督「仕方ない、こんなこともあろうと一応用意しておいたモノが……」

鈴谷「なになに!?」

HCR32スカイラインGTS-t タイプM

提督「どうだ。バリモンのサンニーだぞ」

鈴谷「 」

提督「やっぱりお前に似合うクルマはこれしか無いと思ってな。いやぁ、探すの大変だったわぁ」

鈴谷「提督……このクルマってさ……」

提督「ああ、そうだ。例のビッt 鈴谷「鈴谷パンチッ!」ドゴォ

鈴谷「鈴谷パンチッ!鈴谷パンチッ!鈴谷パンチッ!」ドドドド

最上「いけない!鈴谷が寝惚けて鈴谷パンチを乱発している!」

熊野「起きなさい鈴谷!今日の占い・カウントダウンが始まりますわよ!」


ネタにしているけど、鈴谷は結構好きなんだ。



386 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:22:35.11

昼・執務室

金剛「ヌワー……デスクワークは慣れてない分、疲れるネー……」グデー

提督「慣れてないって、前の鎮守府でやってなかったのか?」

金剛「榛名と霧島がやってたヨ」

提督「全く、お前もココに来た以上はそれなりに秘書艦の仕事もしてもらうからな。ちゃんと覚えろよ」

金剛「Mu……出撃するか走りたいデース……」

提督「そういえば気になっていたんだが、Hakoneで会った時に『この辺荒らしまわってるヤツが居る』とか言ってたよな」

金剛「Oh!そうデース。ワタシは会ったことないデスが」

提督「ふーん……じゃあ、どんなヤツか分からないのか」

金剛「イエース。霧島はエンカウントしたみたいだけど、着いて行けなかったと言ってたネ」

提督「霧島もそこそこ腕は立つ方だろ?それが着いて行けなかったって相当だな」

金剛「そうネー。そこらの連中に負けることはまず無いデス。例えプロジェ○トDが来ても沈まないヨ」

提督「ハイハイ。で、俺らを見て反応したって事はソイツもワンエイティなのか?」

金剛「……ん?」

提督「車種だよ車種。霧島のことだから調べてある筈だろ」

金剛「アー……うん、そうですネー……」メソラシ

提督「お前、まさか知らないのに絡んで来たのかよ」

金剛「イヤー……アンノウンなワンエイティが居るから、てっきり……」

提督「あのなぁ……」

金剛「そのお陰で思わぬ大物が掛かったのでノープロブレムネー!」

提督「まあ、そういうことにしておいてやる」

金剛「でもでも、ちゃんと霧島が調べてくれたネ。確かグレーのGTOヨ」

提督「は?GTO?」
387 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:23:57.02

提督「よりにもよって一番峠に似合わないのが来たな……」

金剛「ワタシ、そのGTOってクルマをよく知らないのデスが、速いんデスか?」

提督「ノーマルはな。当時32Rと真っ向から張り合えた数少ないクルマだ」

提督「3LのV6ツインターボで280馬力にトルクは43.5キロ。80スープラの2JZが登場するまで国内最高値だ。三菱らしく電子制御満載の4WDに、国産初のアルミ4ポット異径対向キャリパー、マイチェンしてからはこれも国産初のゲトラグミッション、純正でも18インチで武装して……挙句オプションにAPロッキードの6ポットまで用意していた。このキャリパーのせいでRがブレンボを付けるようになったとも言われている」

金剛「聞くだけだとかなりのハイスペックネー」

提督「そう、数値上はな」

金剛「どういうことデス?」

提督「兎に角重いんだよ。そんだけ詰め込んだせいか車重は1.7トンだ。今となっては35Rもそれ位あるから気にならないだろうけど、重さの大半がフロントに寄ってるもんだから、まあフロントヘビーで曲がらない。しかもエンジンルームはFFベースの横置きだからギッチギチに詰まっていて整備的にも排熱的にもしんどい。本気で速くしようとするとそれらが足を引っ張るのよ」

提督「そんなもんで三菱の旗艦は後発のランエボに奪われ、GTOはマイナー扱い。今ではGTOと云えば鬼塚になり、ネットでは『神のGTO』とネタにされる始末。華々しいデビューとは裏腹に、実に淋しい終わりを迎えている」

金剛「どこぞの不幸姉妹の様ですネー」

提督「だが性能そのものは侮りがたいぞ?エンジン自体は頑丈、戦車のようなボディ、何よりハイパワー4WDだ。N1耐久(スーパー耐久の前身)ではRキラーの筆頭として凌ぎを削っていた。結局勝てなかったけどな」

金剛「それでも、霧島が負けるとは思えないヨ」

提督「それな。確かにちょっと考えにくい」

金剛「マシンがモンスターか、ドライバーがモンスターか……」

提督「本当にGTOだとしたら、どっちも当てはまりそうだな」
388 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:26:35.20

夜・工廠

川内「夕張ー、夜偵って何処置いてあったっけ?」

夕張「何に使うのよ」

川内「山城に扶桑さんの尾行を頼まれた」

夕張「何の為に……」

川内「扶桑さんが夜中黙って出掛けるから、何処に行ってるのか突き止めて欲しいってさ」

夕張「どうせ安請け合いしたんでしょ」

川内「だって山城スタンプ貰えるって云うからさあ」

夕張「山城スタンプってなに……」

川内「そもそも最初に質問していたのは私!で、夜偵何処だっけ?」

夕張「ハイハイ……右の棚の上から三段目。これ、鍵」

川内「ホイホイ、サンキュ」

由良「なに?どうしたの?」ガラガラ

川内「うわっ!由良がクルマの下から出て来た!」

由良「そんなに驚かなくたっていいでしょ。足回りを弄ってたのよ」

川内「何に乗ってるのそれ。楽しそう」

由良「この油塗れの姿を見て楽しそうと思うの?」

川内「でも楽しんでるでしょ」

由良「ええ、まあ」キリッ

夕張「それよりアンタも少しは手伝ってくれてもいいのよ?」

川内「私のNSRは?」

夕張「工具貸すから以下略」

川内「絶対やるもんか」

由良(その台詞、湾岸が元ネタだって何人気付いているのかしらね……あえて突っ込まないだけかもしれないけど)
389 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:28:13.84

鎮守府外

扶桑(私服) キョロキョロ

川内「目標確認。これから尾行に当たります」

山城『了解。くれぐれも注意するように』

川内「あいよー。いやぁ、私服の扶桑さんって新鮮だわぁ。何あの超弩級美人」

山城『何を今更。姉様の美しさは今に始まったことじゃないわ』

川内「ところでさー」

山城『何よ。あんまり無駄口叩かないで頂戴』

川内「いや、今時トランシーバーて……」

山城『倉庫に転がってたのを拝借してきたわ』

川内「携帯あるんだから、そっちにすればいいじゃん」

山城『こういうのは雰囲気作りも大事なのよ』

川内「実は結構楽しんでいるでしょ……」

山城『細かいこと気にしてないで、黙って姉様を追いなさい』

川内「へいへーい……とりあえず目標は市街地に向け移動中」

山城『姉様の様子は?』

川内「何か妙に警戒しているね」

山城『姉様は案外目ざといから、気を抜いたら見つかるわよ』

川内「分かってるってもう……」

川内 トランシーバーを見つめる

川内 トランシーバーを口元へ

川内「ドラーゲナイ……ドラーゲナイ」

山城『ぶっ飛ばすわよアンタ』
390 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:30:36.16

川内「目標、大通りから埠頭方面へ移動」

山城『姉様の様子に変化は?』

川内「んー……鼻歌交じりに歩いているね」

扶桑「未来だの……願いだの……今にも……ああいう風になりそう……」

川内「でも何か唄が暗いって云うかダークな感じ」

山城『それはいつものことよ。カラオケに行こうもんなら空気を一瞬で御通夜モードに叩き込むことが出来るわ』

川内「扶桑さんもカラオケ行くんだ……」

山城『お世辞抜きで半端じゃなく上手いわよ』

川内「へー……って、あれ?」

山城『どうしたの?』

川内「目標消失。どっか建物入った?」

山城『ちょっと何してるのよ!?』

川内「おかしいなぁ……今まで居たのに」

山城『アンタがお喋りばっかりしてるから!』

川内「山城だって普通に会話してたじゃんよ……」

山城『いいから探しなさい!草の根分けてでも探しなさい!』

川内「草の根って……この辺倉庫ばっかだし」

山城『倉庫ですって?何でそんな所に』

川内「こっちが聞きたいよ。着けてったらココだったんだもん」

山城『周辺に不審な点は?』

川内「なーんも。人っ子一人居ないし……待って。何か聞こえる」

山城『……なに?』

川内「野太い獣の咆哮の様な……なんだろ。動物が居るとは思えないし」

山城『それより姉様!姉様は!?』

川内「だからちょっと待ってって。近付いて来る……」

ヴォオォォォォー……

川内「なに……あれ……」ゾクッ

山城『ちょっと何この音!?』

川内「クルマ……クルマ……なの?」

山城『川内!川内!?何が起きてるの!?』

川内「はは……あんなのが居るんだ……あんなのが……」

山城『応答しなさい川内!川内!?』
391 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:32:18.59

朝・工廠

川内「……ということで、写真の解析お願いします」

夕張「はぁ。まあお疲れ」

川内「いやー、あんなトンでもないクルマが居るんだね。柄にもなくビビッたわぁ」

夕張「結局扶桑さんは見つからなかったんでしょ?」

川内「まあね。明け方まで粘ったけど成果無し。念の為夜偵を飛ばしてそのクルマを追跡したけど、何枚か写真撮った後に振り切られちゃったみたい」

夕張「夜偵を振り切るって、どんなクルマなのよ……」

川内「だから解析してもらうんじゃない。せめてあのクルマの正体だけでも知りたくて」

夕張「ハイハイ。お、取り込み完了っと」カチッ

川内「で、どう?これで何か分かる?」

夕張「画像が暗いから、車種位しか分からないわね」カタカタ

川内「何てクルマ?」

夕張「これは……三菱のGTOね。最近殆ど見ないけど」

川内「だからロンリロンリー切なくてぇ」

夕張「そっちじゃねえ」

川内「だってクルマは全然知らないし」

夕張「それにしても、そんなに怖がるようなシロモノではないと思うけど……これが一体どうしたのよ」

川内「何て云うかさ……コイツが居る間鳥肌が止まらなかった」

夕張「風邪でも引いたんじゃない?」

川内「レ級を目の前にして同じこと言える?」

夕張「考えたくないわね……」

川内「つまり、そういう寒気がしたのよ。このGTOとかいうのに」

夕張「へー……だとしたら、ある意味レアなモノを見たわね」

川内「どうせならもっと面白い方が良かったけどなー。山城スタンプも貰えなかったしさぁ」

夕張「欲しかったのね……スタンプ」
392 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:33:35.34

提督「GTOねぇ」

夕張「ええ。提督なら何かご存知かと思いまして」

提督「俺が現役の頃なら兎も角、今聞かれたところで大した情報は持ちえてないぞ?」

夕張「ですよねー……」

提督「岩崎にでも連絡してみるかー……まだアイツの方が詳しいだろうし」

川内「あんな只ならぬ雰囲気を持ったクルマなら、提督も知ってると思ったのにぃ」

提督「しっかしHakoneに現れるっていうののと恐らく同一だろうなぁ」

夕張「Hakoneでも?」

提督「ホラ、最初金剛姉妹と遭遇した時、この辺を荒らしている~とか言ってただろ?どうやらそれも黒いGTOなんだと」

夕張「車種が車種だけに、そう考えるのが妥当ですよね」

川内「そんなにマイナーなのコレ」

提督「ここまで本気仕様のGTOは、現役の頃でも滅多に居なかったな。昔はRと並ぶ湾岸マシンだったんだけど」

夕張「どっちかって云うと、ドレスアップマシンですからねぇ……白色のフルエアロでN 提督「神ネタは嫌いなのです」

川内「丁度扶桑さんを見失ってからコイツに出くわしたんだけど、まさかこれに扶桑さんが乗ってるとか有り得ないよね?」

夕張「まっさかー」

提督「……境遇的に似ているし、何より三菱だからな。有り得なくない」

夕張「ああ、『フソウ』繋がりで……って馬鹿!」

川内「はぁしれはしれ~いすゞのトラック~♪」

夕張「川内も歌わない!しかも違うし!」

夕張「そもそも!ホントに不幸なクルマと云ったら、ST205セリカでしょ!異論は認めない!」

川内「なにそれ」

提督「レギュレーション違反をやっちまった挙句、美味しい所を全てインプやランエボに持って行かれた悲しきWRCマシンよ……先代がチャンピオンマシンだから、余計に悲惨に見えるのな」

川内「違反は自業自得じゃないの?」

提督「トヨタはWRC復帰するみたいだし、次は『バレないように』やれよと言いたいところだ……」
393 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/11(木) 22:35:20.56

提督「あと個人的にはパルサーGTi-Rとかも不幸キャラっぽい気がする。外車ならフォードRS200とか」

川内「へー。よく知らないけど」

夕張「何で全部ラリーカーなんですか」

提督「だってお前がセリカとか言うから。WRCは珍車・迷車・不幸車の宝庫だぞ?」

夕張「どうでもいいですよ。それにF1だって充分酷いじゃないですか。ファンカーとか六輪車とか」

提督「ティレルP34は名車だろいい加減にしろ」

川内「話に全く着いて行けないんだけど」

提督「おっとスマン。まあGTOについては知り合いに聞いてみるわ」

川内「結局扶桑さんもクルマも分からず仕舞いかぁ」

提督「さっきは冗談のつもりで言ったけど、扶桑さんを見失ってからソレが現れたんだろ?偶然かも知れんが、その辺りも調べてみた方がいいかもな」

夕張「流石に扶桑さんがそういうのに乗るとは思えませんけど……」

提督「人通りの無い埠頭で、入れ替わるように出て来たならちょっとは疑いもするさ」

川内「ねえ提督。提督が現役の頃にも、こういう雰囲気のクルマって居たの?こう見るとゾクッって来るような」

提督「……居たよ」

川内「どんなのどんなの?」

提督「魔物さ……Rの形をした、な」

川内「ふーん?」

夕張「提督?」

提督「いや、何でもない。とりあえず扶桑さんも気になるけど、この件は一旦保留だ」

夕・川「ハーイ……?」


403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/12(金) 11:19:51.94

山城も姉様と同じで超弩級美人なんだよなぁ
言動がアレなだけで
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/12(金) 12:05:25.34
その辺りがむしろかわいい
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/12(金) 12:31:15.93
>>403
カッコカリ後の母港ボイスが破壊力抜群なんじゃよ?
407 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:00:18.82

都高速・湾岸線 大黒々PA

夕張「さて、大黒々に来たわけだけど」

由良「何しに?」

川内「勿論、聞き込み調査!」

由良「何の?」

川内「GTOに決まってるでしょ!」

夕張「川内たっての希望です」

由良「何で私まで……」

川内「まあまあ。たまには三人で出掛けるのもいいでしょ?」

由良「いいけどさ……でも、ここに来てどうするの?」

夕張「実は提督の友人、岩崎さんにアポを取ってもらってあるの」

川内「その岩崎って人の方が詳しいこと知ってるかもって、提督が言ってたからね」

由良「じゃあ、提督はどうして来なかったの?」

川内「面倒だって」

由良「ハァ。で、岩崎さんってどんな人なの?」

夕張「提督と同年代の、爽やかイケメン開業医。ちなみに未婚」

川内「これはなかなかの優良物件ですよお姉さん」

由良「ふむ……確かにアリね」

川内「思いの他喰いついた」

夕張「ただしスピード狂だけど」

由良「……やっぱ無いわ」

川内「手のひら返しキタ」

由良「イケメン開業医でも、スピード狂の方はちょっと」

夕張「でも実物はホントにカッコいいよ?提督なんて鼻くそレベル」

由良「由良はリアリストなので、そういうことする人はご遠慮願いたいわ」

夕張「さいですか」

川内「でもそんなにカッコいい人なら、ちょっと気になるかな」

夕張「そういえば川内も初対面よね。ビックリするよ?」

川内「マジか」

由良「むしろ川内の方が喰いついてる気がするんだけど」

川内「これでも女ですからねっ!」
408 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:01:27.99

由良「で、その岩崎さんは何処に居るの?」

夕張「約束した時間はそろそろだけど……あの人、気配消すの上手いから」

川内「そうなの?」

夕張「かつて都高で名を馳せた時は『ある暑い夜の日、突如現れて最速になった』なんて噂があったらしいし……現れる時はいつも唐突なのよ」

「そうかなぁ」

夕張「そうですよ。最後に会った時も提督と一緒になって私にドッキリ仕掛けてくるし……」

川内「結構お茶目な人なのかな」

由良「その辺はやっぱり提督さんの友達ね」

「まあね。提督とは気が合うんだ」

夕張「提督もだけど、歳を考えてちょっとは自重してください!」

「善処はしてみるよ」

夕張「お願いしまs……って!?」バッ

由・川「へ?」クル

岩崎「やぁ夕張ちゃん。久しぶり」

川内「うわっ!いつの間に背後に!?」

由良「全然気付かなかった……」

夕張「ちょっと岩崎さん!居るなら普通に声掛けてくださいよ!」

岩崎「アハハ、ゴメンゴメン。ところで、君達二人は初めましてだね」

川内「あ……川内型軽巡洋艦、一番艦の川内です!」

由良「同じく軽巡洋艦、長良型四番艦・由良です。はじめまして」

岩崎「うん、よろしく。ところで由良ってことは改長良型で由良型一番艦になるんじゃなかったっけ?」

由良「細かく分類するとそうなりますが、艦娘としては長良型に属しています」

岩崎「そうなんだ。やっぱり勝手が違うのかな」

川内「へー。だから長良達と制服違うんだ。知らなかったよ」ポエ

由良「おい現役艦娘」

夕張「岩崎さん、何でそんなことを知ってるんですか?」

岩崎「読書が趣味だからね。大戦期の本や小説も色々読んで、気になったことは自分で調べていたんだよ」
409 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:02:47.69

川内「それにしても……」

由良「ホントにカッコいい人が来た……」

岩崎「そうかな?提督だって、なかなか男前だと思うけど」

夕・由・川 ( ´_ゝ`)

岩崎「三人とも、どうしたんだい?」

川内「いや、提督おっぱい星人だし」

由良「タバコ臭いし」

夕張「最近お腹出てきてるし」

川内「聴いてる音楽はみんな変なのばっかりだし」

由良「オナラも臭いし」

夕張「その上子供っぽいし」

夕・由・川「ナイナイナイ……」

岩崎「見事な全否定だね。提督泣いちゃうよ?」アハハ

川内「それより!聞きたいことがありまーす!」

岩崎「川内さんは元気だね。僕に分かることであれば」

川内「まずはコチラの写真をご覧ください……」ピカー

夕張「なんで探照灯なんか持って来てるのよ。下から照らすな」

由良「小芝居入れないと死ぬ病気なの?」

川内「雰囲気が大切って山城が言ってたから」ピカー

夕張「いいからソレしまって。眩しい」
410 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:03:59.37

岩崎「ふむ、これが提督が言っていた例のGTOかい?」

夕張「ええ。岩崎さんなら何か知ってるんじゃないかと提督が……」

川内「ね!ね!どうなの!ねぇ!」

由良「川内は少し落ち着きなさい」

岩崎「残念だけど僕も詳細は分からないな」

川内「そんなぁ……」

岩崎「ゴメンね。僕も何度か見かけた位だから」

夕張「……え?」

川内「見かけたって、ホントに!?」

岩崎「うん」

川内「どうだった!?どうだった!?」

由良「さっきから川内は何でそんな食い気味なの?」

夕張「知らない」

岩崎「そうだね。確かに川内さんはどうしてこのGTOが気になるんだい?」

川内「……そのクルマを見た時、すっごい寒気がしたんだ。夜戦でも体験することがない程の、強烈な寒気」

岩崎「うんうん」

川内「でもその寒気の正体が分からないのも嫌だし……それに、何て云うのかな。すごく、惹かれる」

岩崎「惹かれる?このクルマにかい?」

川内「うん。だからこそ、このクルマが何なのか知りたい。じゃないと気持ち悪い」
411 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:04:51.95

岩崎「……成る程。よく分かったよ」

由良「私には川内の言ってることがよく分からないんだけど……」

岩崎「由良さんの言う事は最もだと思うヨ。クルマは所詮機械、無機物の集合体でしかない」

岩崎「だけどね、あまりに高度な機械は時として得体の知れない何かに変貌するのも事実さ。例えば君達が使っている艤装……だっけ。愛着を持ったりしないかい?」

由良「え、それはまぁ……」

岩崎「ならばその逆の感情。川内さんが感じた寒気を覚えるような機械があっても不思議ではないと思わないかい?」

由良「ちょっとオカルト染みてませんか?」

岩崎「うん。僕もそう思うよ」クス

夕張「私はちょっと分かるかな。たまにこう……感動したり高揚感を覚えたり、無機物なのにまるで意思を持って問いかけられるような、そんなことがあるの」

由良「そりゃあ、造りに感動したりはするけど……」

岩崎「実はね、僕も昔そういうクルマに出会ったことがあるんだ。そういう魔力みたいなものを持ち合わせたクルマって、確かに存在するよ」

岩崎「そして……このGTOにも、同じものを感じた」

川内「やっぱり!」

岩崎「僕もコイツを見た時は身体が震えたね。川内さんと同じく寒気で震えたのか、それとも武者震いか、あるいは両方か。ああいう感情は久々に体験したよ」

夕張「………!」

由良「どうしたの、夕張」

夕張「ううん……何でもない」
412 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/12(金) 20:05:47.72

岩崎「そういえば、夕張ちゃんのワンエイティは大丈夫なの?」

夕張「え、ああハイ。あともう少しで直りそうです。でも、どうしてそれを?」

岩崎「黄色のワンエイティが事故ったって聞いたから、もしかしてと思ったんだ。そういう情報って案外耳に入るんだよ」

夕張「えー……じゃあ私がぶつけたって話、結構広まってるのー……恥ずかしい……」アタマカカエ

岩崎「広いようで狭いコミュニティだからね。あと、この前青葉ちゃんって云ったかな。その娘に会った時にも聞いたんだ」

川内「何故ここで青葉の名前が……」

由良「都高に自転車で行こうとして、時雨に酸素魚雷を撃たれてドッグ行きになったハズじゃなかったっけ」

川内「言葉だけ聞くとまるで意味が分からないね」

岩崎「じゃあ、今日は何で来たの?代車かい?」

夕張「代車と云えば代車ですね……提督のクルマですから」

川内「私は自分のNSRで来たよ!」

岩崎「若いのにまたスゴイのに乗ってるね。懐かしいなぁ」

川内「岩崎さんもNSRに乗ってたの?」

岩崎「いや、僕が乗っていたのはスズキのガンマっていう、NSRのライバルだよ」

川内「へー、やっぱりライバルとか居るんだぁ」

夕張「……あの、岩崎さん。もしかして、あのGTO……」

岩崎「うん。撃墜す(おとす)よ」

夕・由・川「!!」

岩崎「まあ、僕も歳を取ったからね。相手になるかは分からないけど」

夕張「……負ける気なんか無いのに。さっき笑ってましたよ」

岩崎「よく気付いたね」

夕張「何て云うか……GTOを見たって話をしている最中、ふと岩崎さんの雰囲気が変わったんです。そしたら、少し笑っていたから……」

岩崎「……いい歳して、公道レースなんて馬鹿げているだろう?」

夕張「いえ、そんな」

岩崎「……僕はもう降りれない。死んでも悲しむ人は居ないからね。例え愚かな行為だと分かっていても尚、どうしようもなく血が滾るんだ」

岩崎「皆も僕みたいになっちゃダメだよ。折角可愛く生まれたんだから」

夕・由・川「………」

岩崎「それと、提督に伝えておいてくれ。『ケリを着けるなら今だ』って」

夕張「……ケリ?」

岩崎「詳しいことは本人に聞いてごらん。なかなか口を開かないと思うけど」
418 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:37:22.08

執務室

コンコン

夕張「夕張です。提督、起きてますか?」

提督「ん。おお早かったナ。入っていいよ」

夕張「失礼します」ガチャ

提督「おかえり」

夕張「ただいまです」

提督「で、どうだ。岩崎のヤツ何か知ってたか?」

夕張「数回目撃しただけで、詳しい事は何も……」

提督「ま、だろうな」

夕張「ただ、自分が撃墜すると言ってました」

提督「それも予想通りだ」

夕張「あと……ケリを着けるなら今だ、とも」

提督「……それは俺宛か」

夕張「ハイ……」

提督「余計なことを」チッ

夕張「あの、提督……」

提督「ああ、どうせ聞きたいんだろ?顔に書いてある」

夕張「……スミマセン」

提督「ま、別にいいけどさ。昔のことだし」ボリボリ

夕張「提督?何処へ?」

提督「黙って着いて来な。見せたいモンがある」

419 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:40:01.73

街外れ・貸しガレージ

夕張「あの、ここは?」

提督「俺が借りてるガレージ。たまに来ては中のモンを動かしている」

夕張「中のモノ……?」

提督「まあ、見てみりゃ分かる」

ガラガラガラ……

夕張 ゾクッ

夕張(な、何よこの威圧感……っ)

提督「……昔、俺が乗っていたクルマだ」

シャッターを開けた途端、むせ返るような……それでいて鋭利で冷たい空気に、思わず夕張は慄いてしまう。

狭く薄暗いガレージの中、ひっそりと佇むソレはまさしく得体の知れない機械だった。

ただ息を殺し、しかしいつでも飛びかかれる臨戦状態を保った獣……
いや、獣という表現すら生ぬるい。

これは、本当にクルマなのか――?

提督「魔王……かつて、そう呼ばれたクルマだ」

夕張「魔……王……?」

ミッドナイトブルーに包まれたBNR32――。

月夜の仄暗い空の下……魔王と呼ばれるクルマが、そこに居た。
420 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:41:30.22

夕張「なん……なんですか、これ……」

提督「Rだよ。今更珍しいもんでもないだろ」

夕張「見れば分かりますよ!そうじゃなくて……!」

提督「それ以上に何があるんだ」

夕張「こんな殺気を放つようなR、普通なワケがないでしょ!」

提督「クルマは機械だ。人間と違って、殺気なんか放つわけないだろ」

夕張「でも、この雰囲気は異常です!深海棲艦じゃあるまいし、こんな……!」

提督「なあ夕張。アイツ、GTOを撃墜(おとす)って言ったんだろ?」

夕張「え……ええ、ハイ……」

提督「それな、遠回しに『関わるな』っていう忠告だぞ?」

夕張「……は?」

提督「アイツ女には甘いからなぁ。だから結婚出来ないんだよ」

夕張「どういう意味ですか……あとその言葉、完全にブーメランですけど」

提督「人間の感覚ってのは案外正確なもんでさ。お前にとってこのRが本当に殺気を放っているように感じるなら、それは事実でもあり、場に呑まれているだけでもある」

夕張「どっちですかそれ……」

提督「まあ聞け。川内がGTOに感じた寒気みたいなもんは、今まさにお前が感じているものと同等だろう。で、そういうモンに関わると大抵ロクでもない目に合う」

提督「そりゃあ、普段深海棲艦とも対峙するお前らにとったら何を今更って思うだろうが、たかが移動手段の機械がそんな空気を放つなんてやっぱり異常なわけ」

夕張「だから、そう言ってるじゃありませんか!」

提督「もう一度言うぞ?機械が殺気を放つなんて有り得ないんだ」

夕張「っ!?」

提督「お前、神社にあるお稲荷さんとか壊す事出来る?」

夕張「触らぬ神に祟りなし……ってことですか?」

提督「そういうこと。ま、勉強になったろ」

夕張「……全然納得いかないんですけど」

提督「いずれ分かるさ。今の生活を続ける限り、な」
421 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:43:58.56

それから数日後!

夕張「……で?」

由良「なあに?」

川内「何でクルマ屋?」

夕張「むしろショップって感じね」

由良「ちょっと考えていたんだけど、二人ともダートに興味ない?」

夕・川「ダート?」

夕張「なに?ダートラでもやるの?」

由良「正確に言えばラリーね。まずは地方大会のラリーに出てみようと」

夕張「ラリーねぇ……」

川内「卓球やテニスで打ち返し続けることでしょ?」

由良「そっちじゃない」

夕張「面白そうだけど……やっていいものなの?」

由良「提督さんに確認したよ。そしたら……」

(提督「米空軍だってNASCARのスポンサーやってたんだし余裕っしょ」)

由良「……って、鼻ほじりながら応えてくれたわ」

川内「容易に光景が想像出来る分、絵面が酷い」

由良「念の為大本営にも確認したら、常識の範囲であれば普段の趣味にまで言及しないし、艦娘のイメージアップにも繋がるからって快くOKしてくれたよ」

夕張「という事は、スポンサーも……!?」

由良「あ、流石に普通の部費程度しか出ないって。但しちゃんと宣伝してこいとのご通達です」

夕張「そういうことなら金をくれ!!」デチクショオォ

川内「でさー、このクルマ屋に来たのは何の為?」

由良「提督さんの知り合いに、そういうのに強い人が居るからって紹介してもらったの。ベース車両も見つけてもらったの」

夕張「妙に仕事が早いわね……実は結構前から計画してたでしょ」

由良「ふっふーん♪」
422 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:45:12.70

川内「ねえねえ。そのラリーに強いってどんな人?哀○翔?」

由良「その人はカブトムシに強い人じゃない?」

夕張「SSの撮影した後、ホントにラリーやるようになったんだっけ……」

由良「えーとね、その人元艦娘らしいんだけど、今はこのショップの専属ドライバーとして雇われているんだって」

川内「元艦娘!?スゴいじゃん!」

「どーもー。お待たせしましたー」

由良「あ、はじめまして。市川鎮守府所属、長良型軽巡四番艦の由良です。本日は宜しくお願いします」フカブカ

「ワタシはフランスから来た元・アッガーノ型四番艦、ピャン・ラニョティです。どうぞゴヒイキに」

夕張「おうコラ待てや」

「なんですカー。そんなに怖いカオしてー」

夕張「色々アウトだからでしょ!何よアッガーノ型って!?」

川内「むしろイタリアっぽい」

「退役こそしていますが、これでも貴方達の先輩ですヨー」

夕張「アンタ男じゃない!私達は艦・娘!これじゃあ漢隊コレクションになるでしょうが!」

由良「なにをグダグダ言っているの夕張。折角ピャンさんのご好意でクルマも安く譲って頂けるのに」

夕張「このツッコミ所しかない状況で何でそんな普通なの!?」

由良「ピャンさんはスゴい人なのよ。モンテカルロラリーをルノー・5で制したり、晩年はクリオ・マキシを巧みに操りFFの神様とまで呼ばれていたの」

「後輪?なにそれ?美味しいの?」

夕張「完全にジャン・ラニョッティじゃない!」ガビーン

夕張「愛称で考えたらジャコウでも良かったでしょ!?シャポウ・ジャコーみたいな!」
423 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:48:53.20

由良「よく分からないけど、まずはクルマを見せてもらいましょう。お願いします、ピャンさん」

「OK!こちらネー」

川内「アハハ。楽しいね」

夕張「私がおかしいの……?この状況に着いて行けない私がおかしいの……?」

由良「もう。夕張ったら、いい加減にしなさい」

川内「細かいこと気にしすぎだよぉ」

夕張「アンタ達が大雑把過ぎるのよ……」

「今回キミ達に紹介するのは、このマッスィーンさ!」

由・川「ぉおーっ!」

夕張「何よもうー……って、インテR?」

「ウイー!DC2インテグラ・タイプR!98スペックですヨー」


DC2インテグラ・タイプR
インテRをラリー競技用に改造したマシン。
内装はロールケージが張り巡らされ、助手席側にはラリーコンピューターも装備。
エンジンはレギュレーション上ほぼノーマルだが、その他必要な装備は全て揃っている。
ラリーカーなので勿論ナンバー付き。
カラーはホワイト。
424 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 01:52:07.32

夕張「……思っていた以上に本格的ぃ……」

「このままでも充分ラリーに参加できますヨー」

「ただし、パーツは殆どリビルド品や他の選手が使わなくなった余りモノだから、古いモノも多いヨ。気に入らない所は自分達でどんどん変えてクダサイ」

川内「スッゲー!カッコイー!」

由良「まさかここまでのモノを……本当にあの金額でいいんですか?」

「ウイー!提督さんにはお世話になったから、大丈夫ハカセよ!」

夕張「アンタ絶対日本人だろ」

川内「ねえ由良。どれ位の金額なの?」

由良「ちょっと耳貸して」ゴニョゴニョ

川内「うー……それって安いの?」

夕張「え?幾ら?」

川内 ゴニョゴニョ

夕張「……は?ここまで揃ってるのに?ウソでしょ?」

川内「あ、やっぱ安いんだ」

夕張「ピャン様。先程までの数々の非礼、心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした」ドゲザ

「全く気にしてないので顔を上げてくださーい。ワタシこまりんこネ」


こうして我らが三水軽巡トリオは新たなマシンを手に入れ、
未踏のステージに向け着々と準備を進めるのであった!

頑張れ軽巡!負けるな軽巡!
市川鎮守府艦娘ラリー部の戦いは、これからだ!

続く!
435 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 22:07:32.17

小ネタ ジャン・ラニョッティ

フランスの英雄。元プロレーサー。
ラリードライバーのイメージが強いが、ル・マン等の耐久レース、フォーミュラにも参戦していたりする。
ルノーのワークスドライバーとしてその名を轟かせ、96年に引退後はルノー名誉広報部長に任命されている。
WRCドライバーの例に漏れず、頭のネジが全部ぶっ飛んでいるようなドラテクの持ち主だが、特に晩年のクリオ・マキシでのドライビングは圧巻で「これホントにFF?」と目を疑いたくなる、有り得ない挙動と速度でドリフトをかましていた。
その前は5ターボを操っていたので駆動方式は問わず人々を魅了していたが、一部では彼をFF神と崇めているとか。
陽気でサービス精神旺盛な人柄。得意技は360度ターン。
ちなみに、TAXiのスタントドライバーもこなしている。


「これがワタシの簡単なプロフィールです」フゴフゴ

夕張「何でメロン熊の頭被っているのよ」

※被り物が好きらしい。
436 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 22:08:47.98

小ネタ2 重大な事実

工廠にて夕張ワンエイティを整備中……

由良「ところで夕張」

夕張「ん?どっか分からないことある?」

由良「じゃなくて、提督のクルマ。>>364で軽巡が戦艦並みの機関を載せた感じって説明したでしょ?」

夕張「ええ。ワンエイティはミドルクラスだし、例えとしてはピッタリだと思うけど」

由良「由良って九万馬力あるんだけど」

夕張「へ?」

由良「長門さん(=八万二千馬力)より出力あるんだけど、この場合ってどうなのかな?」

夕張「 」←五万七千馬力

全 く 知 ら な か っ た 。
437 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 22:10:14.28

朝・工廠

夕張「あー……っ」

由良「やっと終わったね……」

夕張「長かったぁ……ありがとね、由良」

由良「どういたしまして」

叢雲「夕張、装備開発依頼書よ……ってアンタ達、またやってたの」

夕張「あ、おはよー……」

由良「眠ーい……」

叢雲「徹夜明けの割には随分清々しい顔してるわね。修復終わったの?」

夕張「何とかね。由良が手伝ってくれなきゃ、まだ半分も終わってなかったわ」

叢雲「そう。ところで……何でまたクルマが増えているのかしら」

由良「ああ……その件については提督さんにも許可を貰っているけど」

叢雲「それはおかしな話ね。私が聞いたのはあくまで競技用のクルマだけで、そこのオレンジ色のオープンカーについては知らされていないわ」

由良「オレンジ?」

夕張「へ?そんなの何処に……」

提督のワンエイティ
瑞鳳の鉄火面
金剛のハチロク
ラリー用インテR

何処かで見たようなオレンジ色のS2000 ←New!

夕張「何か有名レースゲームにも出てきた某峠の魔王号みたいなS2が居るーっ!?」

由良「そんな!?いつの間に……!?」

叢雲「あんな派手なクルマなのに、今まで気付かなかったわけ?」

438 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 22:11:36.06

叢雲「アンタ達じゃないなら、一体誰のクルマなのよ?」

夕張「そういえば金剛さんがS2かNSXに乗り換えるとか言ってたような……」

叢雲「へえ。じゃあそこのオンボロは処分するのかしら」

夕張「さあ……どうだろ」

叢雲「ま、この際どうでもいいわ。いちいち注意するのも面倒になってきたし。はいコレ、今日中にお願いね」

夕張「あ、うん」

叢雲「……それと」

夕張「?」

叢雲「ラリーの方だったら、私も応援するわ。頑張ってね」ニコッ

コツコツコツ……

夕・由「………」

夕張「……デレ?」

由良「由良、わかんない」

夕張「あの娘、ホントに駆逐艦よね……?」

由良「改二になってから色気増したよね」

夕・由良(私達も改二……なりたいなぁ)
439 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/13(土) 22:12:31.70

提督「お、ようやく直ったか」

由良「あ、提督。おはようございます」

夕張「……おはようございます」

提督「何か立ち姿が変わった様な……気のせいか」

由良「補強の部分を見直したので、その影響もあるかもしれないですね」

夕張「………」

由良「夕張?」

夕張「ひゅいっ!?」

由良「どうしたの、ボーっとして」

夕張「寝てない!寝てないってば!」

由良「え?寝てたの?」

提督「ま、どうせ今日も徹夜してたんだろ。今日は暇だからのんびりしてな」

由良「それはちょっと嬉しいかも」

金剛「Hey!提督!ワタシのニューマシン見てくれました!?」バァン

提督「むしろ年中通して暇な方だから、平常運転とも云えるけどな。アイツみたいに」

由良「アハハ……」

金剛「ムム、何かバカにされた気がするデース」

提督「そんなことはないよ。ハハッ」


金剛のS2000
カラーはオレンジ。
どう見てもアレにしか見えないが別モノである。
エンジンは2.4L化、ボディ各部にカーボンを奢る。勿論GTウイングもカーボン。
ハチロクとは違い今回は快適装備も残している。
NAながら約300馬力を発生。

提督「あれ・スーチャーは?」

金剛「とりあえずNAのまま様子をみて、改めて考えるネ」

提督「どうせ付けるだろ」

金剛「タブンネ」

由良「カッコ良いですね、このクルマ」

金剛「イエー!良いマシンに出会えましたヨー!」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/14(日) 08:14:18.22
おつですー
叢雲はラリーならokてのは公道じゃないからってことかにゃ…?
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/14(日) 17:02:52.84
そりゃあ、全員自覚してはいるけど、軍関係者が公道暴走で大事故とかやらかしたら大変どころではないからな
445 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/16(火) 03:48:29.82

小ネタ ここの人達ならやりかねない

瑞鳳「んぅ~……」

川内「あれヅホにゃん。難しい顔してどうしたの?」

瑞鳳「今ネットオークションで競り合ってるんだけど……何なのコイツ、サクラかな」

川内「私のこと?」

瑞鳳「何の話?」

川内「で、どんなの落とそうとしてるの?」

瑞鳳「中古のザウルス・ジュニア」

川内「なにそれ」

瑞鳳「日産の入門者向けレーシングカーだよ」

川内「へー。ヅホにゃんレースに出るの?」

瑞鳳「んっとね。レースはレースなんだけど、これを使って面白いことしようかなって」

川内「なになに?」

瑞鳳「これをベースに、小さなグループCレプリカを思ってるんだ」

川内「グループC?」

瑞鳳「プロトタイプスポーツカーとも云うんだけど、80年代から90年代初期まであったカテゴリーで、速さだけじゃなく燃費の良さも要求されたレーシンカーよ」

瑞鳳「日本車ではロータリーとして唯一ル・マンを制した787Bが有名ね。でもこのカテゴリーで特に猛威を振るったのはポルシェの956/962Cかな」

瑞鳳「基本的には長距離の耐久レースなんだけど、最終的に予選セッティング用のブースト時には1000馬力を軽くオーバー。最高速は富士のストレート(約1.5キロ程度)で400キロを超えたりと、グループBと並ぶモータスポーツ狂気の歴史と云っても過言ではないわね」

川内「なにそれこわい」

瑞鳳「全くね。当時日産ワークスとして参戦していたレーシングドライバー、星野一義氏と長谷見昌弘氏に『生きて帰って来れてて良かった』と言わしめるほど、アホみたいな速さだったらしいわ。ぶっちゃけ終わってくれて心から安堵したって」
446 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/16(火) 03:49:37.61

川内「……で、何で終わっちゃったの?速過ぎるから?」

瑞鳳「それもあるだろうけど、終了直前に当時F1がターボを禁止したこともあって、F1と一部を共有出来るような大幅なレギュレーション改正を行ったの。でも、それまでのグループCの有り方を全面否定するような改正だったし、日本のメーカーもバブル崩壊によってそれどころじゃなくなったからねぇ……目論見は大失敗して、グループCは衰退。あっけなく幕を下ろしたわ」

川内「はー……そんなのがあったんだねぇ」

瑞鳳「カテゴリ自体は無くなったけど、今でもプロトタイプスポーツカーは数多く存在するし、スーパーGTに出場していた紫電やモスラーなんかは見た目はまんまグループCだったけどね」

川内「ほんでほんで?それがどうしたの?」

瑞鳳「うん。FRPで新しくボディを形成して、それをザウルスのシャシーに載せ変えて小さいグループCマシンを作ろうかなって。だからザウルスじゃなくてもいいんだけど……あっ」

瑞鳳「やったー!落とせたーっ!」

川内「おお、おめでと」

瑞鳳「よーし。これでマーチ85Gジュニアが作れる……っ!」

川内「あ、それが作ろうとしているグループCのクルマ?」

瑞鳳「うん。85年に日産がマーチ社のシャシーを使って作製したマシンで、参戦初年度はスカイラインとシルビアの名を冠していたの」つ模型

川内「スカイラインってヅホにゃんのクルマだよね?前面に名前が書いてあるのに、全く面影無いんだけど……」

瑞鳳「あくまで名前だけ借りた別のクルマだよ。次の年からはR85Vって名前になってたし」
447 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/16(火) 04:04:07.15

川内「でさ、それ作ってどうするの?」

瑞鳳「最終的な目標はK4GPっていう耐久レースに出場することだね」

川内「また知らない単語が……」

瑞鳳「富士スピードウェイで軽自動車を使って行われる草レースよ。規模は国内でも随一と云っていいわ」

川内「軽でやるんだ。何か面白そう」

瑞鳳「このK4GPは基本的に市販車をベースにするんだけど、軽のエンジンであればほぼ何でもアリの上位クラスが存在するの」

川内「えっ、何でもアリ?」

瑞鳳「そうなの。このザウルスジュニアみたいな小型フォーミュラのシャシーをベースに軽のエンジンを載せて、オリジナルのレーシングカーを作っちゃうの」

瑞鳳「往年のレーシングカーを模したモノ、子紫電みたいなオリジナルのボディを架装したもの、中には軽自動車の形のまま中身だけフォーミュラだったりと、兎に角バラエティに富んでいて見るだけでも飽きが来ないわ」

川内「じゃあ完成したら皆でそれに出ようよ!」

瑞鳳「勿論!幸いドライバーが出来そうな人はウチに沢山居るからね」

川内「提督、夕張、あと岩崎さんも誘ったら来そうだなぁ……ヅホにゃんは?」

瑞鳳「私はメカニックでいいかな。川内も乗ってみりゅ?」

川内「乗りゅー」

瑞鳳「よーし!じゃあ頑張っちゃおっかな!」

川内「おー!」


三水ラリー部に続き、耐久レース部発足か!?

続く?

461 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 21:29:00.58

夜・環状線外回り

夕張「うん。パワーよりシャシーが勝っている感じかなぁ」

由良「そうね。何となく安定感があるね」

夕張「いい仕事してますねぇ、由良さん」

由良「いえいえ。そういえば、エンジンは結局手を加えたの?」

夕張「鏡面加工とバランス取り、ついでにポート研磨。ホント、地道な作業だった……」

由良「真摯に機械と向き合う以上、それは仕方ないじゃない」

夕張「まあねぇ。別に苦じゃなかったしね」

由良「じゃあ、特別何か変えたわけじゃないんだ?」

夕張「ピストンをRNN14用のクーリングチャンネル付きに、アウトレットパイプをもう少し抜けが良くなるように形状を変更。あとはフライホイールを軽量化した位かな。劇的な変化はないけど、充分アップデートされていると思う」

由良「ホント、短い期間によくそれだけやったわね……」

夕張「……というかさ」

由良「なあに?」

夕張「いや、随分平然としてるけど……横に乗ってて、怖くないの?」

由良「え?なんで?」

夕張「提督の横に乗った青葉は気絶してた」

由良「そうなんだ」

夕張「クールね……」

由良「一応夕張のことは信頼しているし、私が乗っている以上はまた無理して事故を起こしたりすることもないだろうから」

夕張「あははー……」グサッ

由良「それに私もこのクルマに携わった以上、ちゃんと見届ける義務があると思わない?ね?」

夕張「んー……まぁそういうことならいいんだけど」
462 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 21:30:57.46

由良「それにしても不思議な感覚ね」

夕張「なにが?」

由良「明らかに周りとスピードがかけ離れているのに、恐怖心をあまり感じないの」

由良「……何て云うか、このクルマも通常のスピードで自然と流れているような、そんな感覚」

夕張「明らかに速度差があるのに?」

由良「だから不思議なのよ。こういう風に飛ばす人達って、やっぱり周りを威圧するような走り方をするじゃない」

夕張「あー……うん」

由良「隣で見ているからっていうのもあるんだろうけど、夕張の運転は無理矢理こじ開けるような感じがしない。すっごく自然」

夕張「それは多分、提督からの受け入りだと思うな。不必要な敵を作るなって」

由良「敵?」

夕張「そう。由良の言う通り、所謂走り屋と呼ばれる人って自己を中心に走る人が大半なの。遮るモノがあればホーンやパッシングでどかしたり、小さな隙間があれば無理にこじ開けたりしてね」

夕張「そうやって自分に都合の良いことだけ主張を繰り返してると、世の中上手く出来てるもんで、しっかり自分に返ってくるって」

由良「因果応報ってことかな」

夕張「そういうこと。公道を走る以上、全てのクルマはガレージや駐車場にちゃんと帰ることが大前提だから、無理は絶対しない、敵を作らないっていうのは散々言われてたわね」

夕張「その為には見極めることが必要で、退く場面ではキッチリ退くこと。一時的に譲ったフリをしただけじゃ、意味が無いって」

由良「ちょっとややこしくない?」

夕張「そう思う。だから、いつも意識しながら走ってるかなぁ」

由良「ふーん……あ、無理した結果が事故に繋がったってこと?」

夕張「……うん」ズーン

由良「あ、ゴメン」
463 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 21:34:00.44

夕張「とりあえずテスト走行の結果は上々ね」

由良「みたいね。そろそろ帰る?」

夕張「そうねぇ……今夜はもうこれくらい……」ゾクッ

由良「どうしたの?」

夕張「……後ろ、何か来る」

由良「え?」クルッ

夕張「……速いっ!」

由良「何よ……あれ……」


由良は思わず絶句した。

徐々に存在感を増して近付いて来るソレはまるで――


由良「化け物……」

夕張「何がクルマは只の機械よ……この前のRといいコイツといい、まるで魔窟じゃない!」

由良「な、なんなのよアレ!ホントにクルマ!?」

夕張「私だって分かんないわよ!兎に角、ちゃんと三点(ハーネス=シートベルト)着けて!追うわよ!」

由良「追うって……冗談でしょ!?」

夕張「行けるトコまで!無理はしないから!」

由良「ちょっ……!」

只のクルマに、存在するだけで寒気を覚え、圧倒されるなど理解しがたい。

しかし、彼女は知っている。

提督の青い“魔王”R……そして今目の前に現れた、黒銀の凶獣。


夕張「コイツが例のGTOってわけね……いいじゃない!」

464 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 21:53:01.45

七色大橋手前――。

臨戦態勢を整えた夕張のワンエイティが加速する。

今回エンジンを組み直すに当たって、夕張が特に意識したのはトルク感とレスポンスだ。

公道……とりわけ都高というステージにおいて、最高速の数字よりも到達するまでのスピードが重要と考えたのだ。
足回りとボディの見直しに合わせて、エンジンはあえてピークパワーを追わず、踏めば即ブーストが立ち上がるように施工した。

期待通りの結果だった。大成功といえる。

しかし今は、パワーが欲しい。
ありったけの大出力が。

ワンエイティが先導するも、後ろに居るGTOはまるでこちらの様子を伺うように悠然としている。

一方の夕張は既に全速力……隣に由良が乗っている為、これ以上のペースアップは無謀だ。余力など殆ど無いに等しい。

大橋を越え、しばらくすれば湾岸線への分岐点にぶつかる。
パワーはどう考えてもあちらが上。当然最高速勝負になってしまえば、夕張のワンエイティは一瞬で置いて行かれ、あっという間に消えてしまうだろう。

まるで赤子と大人―
いや、イージス艦を相手に大戦期の軽巡で突っ込むようなものか。

夕張はつい、自嘲気味に笑った。

夕張「余裕見せてくれちゃって……冗談じゃないっての」

由良「まるで姫や鬼クラスに遭遇した様なプレッシャー……追われているからってだけじゃ、ないよね」

夕張「川内がコイツを見た時、寒気が止まらなかったって。ようやく共感できたわ。色々存在がおかしいもの」

由良「勝ち目は……聞くまでもないよね」

夕張「せめて環状線なら何とかなったかも知れないけど、ココじゃ流石に無理」

由良「なら、もう諦めた方が……」

夕張「少しでもデータが欲しいの。ただの機械が、どうしてあんな空気を纏い、生きているようにさえ思えるのか……それだけでも充分興味深い事例じゃない」

由良「でも、あんまり深入りすると危険だわ」

夕張「提督にも言われた……岩崎さんも遠回しに関わるなって言ってたんだって」

夕張「でも出逢っちゃった以上、ハイそうですかとはいかないでしょ!」
465 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 22:02:38.54

湾岸線に突入と同時に、それまで大人しかったGTOが一変する。

まるで遊戯は終わりだとでも云う様に……大柄な車体をよじらせつつ加速して、生き物の如くエンジンが咆哮する。

正真正銘の化け物だと、夕張は思わず笑った。
得体の知れないドロドロとした熱気で、今にも息が詰まりそうになった。

それでも夕張は何とか喰らいつこうと、新たにハンドル部分に用意していたスクランブルブーストのスイッチを押した。

プラス50馬力のパワーアップ……マージンを考えると、僅か数十秒ほど。
あのGTOの前では、子供騙しにしかならないであろう。

それでも、ただ置いていかれるのは気に食わない……データを取るというのは、最早建前でしかない。

250……260……270……

徐々に速度は上がるものの、やはりGTOは更にその上を行く圧倒的な加速で、ワンエイティを突き放す。
まるでこちらが止まっているかのようだ。


夕張「やっぱり相手にならないか……」


警告のアラームが鳴り始める。
GTOは既に闇に紛れてしまい、姿を確認する事は出来ない。

アクセルを緩めると、同時に張り詰めていた緊張が一気に解けた。


夕張「ホントに何なのあの加速……いくらなんでも反則でしょ……」

由良「ほんのちょっとの間だったハズなのに、生きた心地がしなかったわ……」

夕張「ねー……岩崎さん、あれを撃墜する気なんだよ?」

由良「あんなの相手にするって、狂ってるとしか思えないんだけど……」

夕張「しかも提督達が現役の頃、ああいうのがゴロゴロ居たんだって」

由良「……無理っぽいー……」

夕張「ホント、都高は魔の巣窟だわ……」
466 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 22:03:52.64

朝・夕張の部屋

川内「え、じゃああのクルマに会ったの!?」

夕張「まあねぇ……すぐ置いて行かれちゃった」

川内「で、実物見てどうだった?」

夕張「言ってた意味が分かったわ……ホント、何なのかしらあのGTOは。まるで魔物よ。後ろに居る間、ずっと睨まれている気がしたもの」

川内「でしょ?だから言ったじゃん」

夕張「悔しいけど、私の手に負える相手じゃないわアレ……」

川内「およ?いつもなら『さぁどうしてくれようか』ってなるところなのに」

夕張「クルマ乗り換えるか、ワンエイティ辞めるかどっちかね」

川内「それって、どっちも一緒じゃないの?」

夕張「ワンエイティのガワを被った何かを作れっていうの」

川内「え?作んないの?」

夕張「……確かに最初は思っていたわ。RB26に載せ変えて、リヤメンバーも移植して、全く違うクルマにしてやろうって」

夕張「でもこの前、提督のワンエイティ乗ったら考えが変わったのよ。現状のままでも速くすることが出来るなら、まずは一通りやってみようって決めたの」

川内「で、その時になったらまた手段を考えるってことだね」

夕張「そういうこと。あくまで選択肢の一つに留めておくことにしたのよ」

川内「ふーん」

夕張「まあインテRが来ちゃったし、瑞鳳も何か始めるみたいだから、ワンエイティに関わる時間が減っちゃいそうねぇ……」

川内「あ、インテで思い出したんだけど……この前五十鈴から連絡来てさぁ」

夕張「何でインテから五十鈴が出てくるのよ。で、それで?」

川内「何か見せたいものがあるから、演習ついでに今日コッチに来るって」

夕張「見せたいもの……?なんだろう?」

川内「改二で大きくなったおっぱいでも自慢するんじゃない?」

夕張「それはうざい」

川内「元々大きいのにね」チラ

夕張「ちょっと。何で今私の胸を見たのよ」
467 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 22:06:34.66

執務室

コンコン

提督「どぞー」

長良「こんにちはぁ」ガチャ

五十鈴「失礼します」

提督「おお、お前らか。久々だな」

長良「ご無沙汰しておりますっ」ビシッ

五十鈴「なんだか懐かしいわ」

提督「ああ、そうだな。演習は午後からだし、それまではゆっくりしてくれ。ただ演習をしに来たわけじゃないだろ?」

長良「あれっ?バレました?」

提督「何故か皆俺のトコに報告してくるのよ。この前なんか、どっかのビス子がシンガー・ポルシェ買ったとかなんとか」

五十鈴「それって確か一千万以上しますよね……」

提督「中身は964以降のモンとはいえ、不安なくナローポルシェに乗れるなら安いもんだろ」

長良「それより、由良と夕張は?」

提督「知らん。どうせ工廠に居るだろうから、覗いてみるといいさ」

長良「了解ですっ!じゃあ、ちょっと行ってみますね」

五十鈴「ではまた後で」ガチャ

若葉「ウェルカーム」ドンッ

長良「うわっ、ビックリした」

五十鈴「若葉じゃない。何でそんなトコに立ってるのよ」

若葉「ウェルカムマシュマロモンスター」

長良「??」

若葉「ウェルカーム」

五十鈴「な、なに?」

若葉「ウェルカムマシュマロモンスター」ムニッ

五十鈴「~~~~っ!?」

長良「若葉さん!?何してんの!?」

提督「なんだ、どうした?」

長良「わ、若葉が歌いながら五十鈴の胸を鷲掴みに!」

提督「なんだって!?そりゃあ大変だ!」カメラカマエ

長良「何撮る気ですか!?」

若葉「………」ムニムニ

五十鈴「……あっ、ちょ……んぅ……ダメ///」

長良「コラ!いつまで揉みしだいてるの!離れなさい!」

若葉 ピタッ

五十鈴「はぁ……はぁ……な、なんなのよぉ」ナミダメ

若葉「ドントクラーイ。ママはマシュマロモンスター」スタスタ

長良「コラー!待ちなさーいっ」

提督「ガッデム!撮り逃した!」

叢雲「また工廠にワケ分かんないクルマが……って、どういう状況なのコレ……?」

468 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 22:07:43.70

工廠

瑞鳳「うーん……また随分渋いのが来たものね」

由良「自分だって年代的に変わらないじゃない」

瑞鳳「まあね」

長良「どもー。誰か居ますかー?」

由良「あら、姉さん達。久しぶりね」

瑞鳳「でも何で五十鈴の顔は真っ赤なの?息も荒いし」

五十鈴「き、気にしないで……」

由良「姉さん達が居るってことは、もしかしてこの二台って……」

長良「うん。私と五十鈴のクルマ」

五十鈴「折角だから見てもらおうと思ってたの」


長良のAW11 MR2
スーパーチャージャー付きの後期型。
見た目は普通のMR2だが、中身も普通。
運転を学ぶ為にとノーマルの素性を生かしたチューンが施されている。
AE101ヘッドの4A-Gが自慢。
カラーはホワイト/グレーのツートン。

五十鈴のジェミニ
初代PF60の後期型。
長良と同様、見た目は至って普通。
ローダウン、吸排気系交換、軽量化とライトな仕上がり。
FCRキャブがポイント。
カラーはダークグリーン。


長良「どう?カッコいいでしょ。ミスターっていうんだ」

瑞鳳「まんまで来たわね」

長良「どういうこと?」

瑞鳳「なんでもない」

由良「五十鈴姉さんはジェミニなのね」

五十鈴「そう。FRの初代ジェミニ」

由良「てっきりベレットかと思ってた」

五十鈴「い、いいじゃない!気に入ってるんだから!」
469 : ◆v5iNaFrKLk :2015/06/24(水) 22:09:19.59

夕張「おっはよー……って何コレ。タイムスリップでもしたのかしら」

川内「うわ、古いクルマが増えてるっ」

長良「あ、夕張に川内だ。久しぶり!」

五十鈴「二人とも元気そうね」

夕張「そっちこそ。いつ以来だっけ?」

長良「この前の大規模作戦以来じゃないかな」

五十鈴「そしたら二ヶ月近いわね」

夕張「ああ、そっかぁ……何だかもっと前のような気がするわ」

川内「ところでさー。このクルマ、二人のなの?」

長良「うんっ!ミスターとジェニーだよ」

五十鈴「ちょっと。勝手に名前付けないで」

川内「え?名前付けない?」

夕張「私は特に……アンタ付けてるの?」

川内「ヌー子さん」

夕張「由来が分かんない」

川内「NSRだからヌー子」

夕張「だからなんでよ」

由良「あれ?夕張も最初チャッピーって名前付けてなかった?」

夕張「それは提督が黄色のワンエイティだからって、勝手に呼んでただけよ」

長良「あ、確か小池○子がVシネで乗ってたヤツ?」

夕張「そうそう、ドリフトウォーズ。なんで知ってんのよ」


瑞鳳(人が多いからゴチャゴチャしてるなぁ……)
478 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 18:32:17.56
てす
479 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 18:36:36.42
うp出来たのはいいけど、画像大き過ぎてビビる。
今回はこんなコースが出ます故、覚えてもらえると幸いです。
481 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 18:58:32.55

小ネタ 鋼鉄の朝

真っ暗な海の上、二対の塔が燃えていた――

こんな所に塔?

また一つ、炎が灯る

何故か酷く幻想的にさえ思えた

そうか、これはきっと夢なんだ

沈んでいく、沈んでいく

耳鳴りが止まない

消えてくれ、消えてくれ

もう止めてくれ、お願いだから

朝が来る、光が――

時雨「……ああああああああぁあぁあぁっっ!!」


ガバッ

扶桑「キャッ」

時雨「ハァ……ハァ……え?」

扶桑「時雨、大丈夫……?」

時雨「あれ……扶桑?どうして?」

扶桑「ベンチでウトウトしている所を見かけたものだから……」フトモモポンポン

時雨「………」

扶桑「あ、あら?もしかして私、余計な事をしちゃったかしら……実は何か用事があったのに、私のせいで寝過ごしちゃったとか……」オロオロ

時雨 ギュッ

扶桑「……し、時雨?珍しいわね、どうしたの……?」

時雨「……扶桑。扶桑は今、ちゃんとココに居るんだよね……?」

扶桑「ええ、私はココに居るわ」ナデナデ

時雨「もう僕らを置いて行ったり、しないよね……?」

扶桑「………」

時雨「扶桑……?」

扶桑「……ええ。当たり前じゃない」ニコ
 
時雨「そう……だよね、うん」ギュウッ

扶桑「もう、本当にどうしたの?」

時雨「何でもないんだ……本当に……何にも……」

扶桑「フフ。変な時雨」
482 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 19:00:04.10

夕張「で、もしかして二人が見せたかったものってコレ?」

長良「だけじゃないんだなー。コレも見てっ!」

川内「何これ、何の免許?」

夕張「ちょっ、これA級ライセンスじゃない!」

五十鈴「一応私も」サッ

長良「どう?驚いたでしょ?」

夕張「……いつの間に」

由良「ということは、一度は競技に参加したことがあるってことよね?」

川内「なんで分かるのー?」

夕張「B級ライセンスなら講習を受ければすぐ貰えるんだけど、A級ライセンスは後任競技に参加後、試験を合格してようやく取得出来るの」

由良「A級になれば全ての国内競技に有効だから、全日本タイトルにも出場することが可能よ」

川内「なるほどー。レースをする為の免許証ってことだね」

長良「まあ面倒だったけどねー」

夕張「でも何でまた」

長良「たまたま知り合いの人にヴィッツの競技車両を貰ったんだけど、乗ってみたら面白くなっちゃって」

五十鈴「で、長良の性格だからね。どうせならトコトンやろうってなってライセンスを取っちゃったってワケ」

夕張「既に前例が居たのね……」

由良「思いもよらなかった……」


483 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 19:01:53.70

長良「ちょっと聞いたんだけど、夕張達もラリーに参戦するってホントなの?」

夕張「誰から聞いたのよ」

長良「ピャンさん」

夕張「ま た ア イ ツ か」

長良「ピャンさんには色々お世話になってるんだ」

五十鈴「元・艦娘ってこともあって、各地の艦娘からの相談にのってるみたいよ」

由良「クルマ好きな艦娘って、そんなに居るものなの?」

長良「その辺の事情はよく分からないけど、軍関係の人にはクルマ好きな人は結構多いみたいだし、その影響で興味持つ娘も多いんじゃないかな」

川内「なんだ、夕張と同じじゃん」

夕張「まあ、そうなるわね」

五十鈴「それで、さっきから気になってたんだけど、もしかしてこのハチロクで出る気なの?滅茶苦茶本気仕様じゃない」

川内「それ、金剛さんのクルマだよ」

五十鈴「ウソ!?」

夕張「パッと見下手な競技車両より作り込まれてるからねぇ……」

由良「私達のクルマは奥にあるインテRよ。いずれはアレで出場しようと思っているわ」

長良「ドライバーは夕張、ナビは由良ってとこかな?」

夕張「順当に行けばそうなると 川内「ハイハイ!私も出たい!」ノシ

五十鈴「え?川内走れるの?」

川内「夕張が行けるなら私にも出来るんじゃない?」

五十鈴「どっから来るのよ、その自信」

由良「あら、川内もなかなかの腕前よ?天龍にも勝ったみたいだし」

長良「天龍にって……あのカタナに?」

川内「まあね。結構ギリだったけど」

夕張「でも、クルマは一台しかないけど」

由良「誘った手前、川内にも乗せる機会をあげたいんだけど……」
484 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 19:02:48.17

瑞鳳「じゃあ勝負しましょう」ニパー

長良「わっ、ビックリした」

五十鈴「今まで空気だったものね……」

夕張「勝負って、私と川内で?」

瑞鳳「うん。タイムアタックで速かった方がドライバーの権利を得られるの」

由良「そうね……確かにそれなら互いの実力も見られるし、いいかもしれない」

川内「いいじゃーん!やるやるっ!」

夕張「それは構わないけど、どういうルールでやるの?」

瑞鳳「そうね。ただやるんじゃ場数を踏んでいる夕張の方が有利だから、クルマはインテRを使って、コースは……」

長良「それなら私達がいつも使っている練習場があるから、そこでやるのはどう?」

瑞鳳「ホント?じゃあ、そこを使わせてもらいましょ」

川内「フッフッフ……まさか私が夜戦以外で燃えることがあるなんてね」

夕張「あら。仮にも現役の首都高ランナー相手に勝てると思ってるの?」

川内「現役って言っても数ヶ月じゃん」

夕張「アンタなんか数週間もないじゃない!」

五十鈴「白熱してるわねぇ」

長良「面白いことになってきたね!私も参加していい?」

由良「それじゃあ姉さんの一人勝ちでしょ」

瑞鳳「でも、参考として一本走ってもらった方がいいんじゃないかしら」

長良「そうそう!」

川内「負けないよ!」

夕張「私だって!」
485 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/02(木) 19:13:21.34

夕張「ここが練習場?」

長良「そうだよ。カート用のサーキットなんだけど、今は辞めちゃって空き地になってる所を使わせてもらってるんだ」

五十鈴「民家からも離れてるし、結構遠慮なく走れるのよね」

川内「そんなことより!早く勝負!」

瑞鳳「まずは長良に走ってもらうのが先じゃない?」

由良「そうね。参考が欲しいところだし」

長良「よっし。じゃあやりますか!」


長良MR2タイムアタック開始――!


瑞鳳「では解説に五十鈴さん、お願いします」

五十鈴「さっきからノリノリね、アナタ。さっきも言った通り、ココは元々カート用だから一般的なミニサーキットと比べると道幅はちょっと狭いわね」

瑞鳳「これがコース全体図(>>478)ね。結構オーソドックスな構成だと思うけど」

五十鈴「道幅の狭さに加えて複合コーナーになっている箇所もあるから、難易度もそこそこ高めだと思うわ」

瑞鳳「目安となるタイムは?」

五十鈴「んー……45秒を切れれば結構速いと思う。私のベストが44秒2だけど、長良なんか43秒半よ」

瑞鳳「速っ」

五十鈴「試しに私もMR2で計ってみたけど、そこまでのタイムは出なかったわ……ココでの長良はある意味化け物よ」

瑞鳳「五十鈴が遅いだけじゃないの?」

五十鈴「最初はそう思ったわ。だけど、一度ピャンさんが走った時は慣れてないとは云え、ようやく44秒切る位だったから……」

由良「姉さんのタイム、43秒6」

瑞鳳「元プロを負かすって、どういうことなの……」

夕張「よし!次は私ね!」

瑞鳳「いよいよ夕張選手がコースイン!この後じっくりお伝えしますっ」

五十鈴「ホント、そのノリはなんなの?」


その頃の青葉――

青葉「ハッ!なんだか役目を奪われた気がします!」

古鷹「あ、役揃った。五光」

青葉「え、ちょ」

490 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:05:01.36

夕張コースイン――!


夕張「何気にサーキットって初めてなのよねぇ……しかもワンエイティじゃなくてインテRだし……どうしたものかしら」


右に大きく回る1コーナー。

まずは様子を見る為、定石通りのアウト・イン・アウトで旋回していく。


夕張「軽っ。クルマ軽っ。なにこれ」


早速、愛機である180SXとの違いを体感する夕張。

駆動方式の違い、ターボの有無――相違点を挙げていけばキリが無い。

加えてこのインテグラは競技車両。元々軽いDC2の車体は更に軽く仕上がっている。

夕張の180SXとの車重差は推定200キロ以上。戸惑うのも無理もない。

1コーナーの出口から、間髪入れずに2コーナーの右ヘアピンに進入する。


夕張「これ、ライン取り考えないと旋回しながらのブレーキングになるわね……ちょっと嫌だなぁ」


3速から2速に落とし、クリップポイントを抜けてからアクセルオン。

まだ慣れない車両での走行故か、無難な操作で乗り切るつもりのようだ。


夕張「うわ、アクセル踏んでてもベタッと曲がってく……これホントにFFなの?」


一般的なイメージとして、駆動と旋回の両方を前輪で担うFFはアクセルオンでアンダーステア。つまり車体が外に逃げてしまい、曲がりにくいとされている。

しかしそれも遠い過去の話。

とりわけDC2インテグラ・タイプRは格上の相手でさえも引けを取らず、コーナリングマシンとしても名高い。
新車発表から20年近く経過した今でもその性能は今でも充分な戦闘力を有すると痛感する。

そして立ち上がったところで……


夕張「VTEC切り替わった!面白ーい!」


ホンダ伝家の宝刀、VTECエンジンである。

その性能は周知の通り。B18Cが噂通りの鋭い吹け上がりを見せ付ける!


夕張「この感じをワンエイティにも……って、無理よね流石に」


左の3コーナーをアクセルオフで抜ける。

一瞬落ちた回転数が盛り返し、再び高回転側のカムに切り替わる。

そしてこのコースでは数少ないストレートに突入――。


夕張「ホンダのNAに拘る人の気持ちが分かる気がする……これはちょっと癖になるわぁ」

491 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:06:30.79

どこまでも伸びていくようなエンジンに酔いしれそうになりつつも、すぐさま4コーナー目の左ヘアピンが立ち塞がる。

3速に入ったギヤを2速に入れ、立ち上がり重視のラインを選択。


夕張「スローイン・ファストアウト。基本よね」


破綻する様子が一切無い挙動。

ブレーキを残しつつ曲がり、出口が見えたらアクセルオン……引き渡されて以降、基本的な整備以外は殆ど行っていない。

若干サスペンションにヘタリを感じるものの、これ以上何処を弄れば良いのか分からない程の高い完成度だ。


夕張「正直コレ、やることあるのかしら……」


続く右の5コーナー。

このコースでは最もキツいヘアピンである。


夕張「1速……じゃダメね、このまま2速かな」


僅かなブレーキングで体勢を整え、綺麗な弧を描きつつ駆け抜ける。

流石にギヤ比が合わない所もあるようだが、致命的でもなさそうだ。

5コーナーを過ぎ、右の6コーナー、そして出口でRが絞られる右の高速7コーナーに突入。

少し車体が振られるようだが、それでも難なく曲がっていく。


夕張「うわ、出口がキツくなってるじゃない」


アクセルオフでノーズがインを向け、最終のS字に備える。

旋回しながら再びアクセルオフ。

思った通りのラインに乗り、ホームストレートに向けアクセルを踏み込む。


夕張「よし!コースとクルマは分かってきた!次は本気のアタック!」
492 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:08:14.94

五十鈴「初めてのクルマに初めてのコースだというのに、ちゃんとレコードラインが構築できている感じがするわね。流石現役の都高ランナーといったところかしら」

瑞鳳「それにしてもあのインテR、良く出来てるねぇ。グイグイ曲がっちゃうんだもの」

五十鈴「そうね。このコースとの相性はかなり良さそう」

長良「でもセオリー通り過ぎて面白みが無いなぁ」

川内「ねー。どうせなら思いっきり横向ければいいのに」

瑞鳳「長良は兎も角、川内がそういうこと云うのはどうなの……」

川内「ん?いやさっきの長良の走り方と比べると、夕張のタイムはあまり伸びなさそうだなぁって思ってさ」

五十鈴「根拠は?」

川内「何となく」

五十鈴「アンタねぇ……」

川内「駆動方式の違い?っていうのはよく分からないけど、多分夕張よりかは踏んでいけると思うな、私なら」

瑞鳳「川内らしい自信溢れる発言ね……」

五十鈴「その自信が何処から来るのか謎なんだけど」

長良「アハハ。面白くていいじゃない」

瑞鳳「あ、そろそろ帰って来るね。タイムはどうかな?」

由良「んー……」ピッ

川内「どう?どう?」

由良「45秒フラットね。五十鈴姉さんの言う通りなら、ある程度速いタイムじゃないかな」

長良「おー。初めての割には中々だね」

五十鈴「そうね。44秒台に入れられるかも」


その後、5周する間に44秒5を記録。

流石に五十鈴のベストには届かなかったものの、初めて尽くしの環境では充分な成果と云える。
493 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:10:01.26

夕張「私のタイム、どうだった?」

由良「44秒5がベスト。上出来よ」

夕張「よっし!これなら川内に負けないでしょ!」

川内「ふっふーん。それはどうかな~?」

夕張「あらぁ?随分と自信があるようだけど、初心者の貴女に破れるかしら?」

川内「まあね。長良と夕張の走り方を見てちょっと分かっちゃったんだよねぇ」

夕張「ム。何が分かったって云うのよ」

川内「ヒ・ミ・ツ♪」

夕張「何よそれ」

川内「結果が語ってくれるんじゃないかな。まあ見ててよ」ノリコミ

夕張「……外から聞くと乾いた良い音ねぇ。それにしても川内のヤツ、いつもながら随分自信有り気みたいだけど」

由良「最近練習してるみたいだし、何か策があるんじゃない?」

夕張「練習って云っても、二輪とワケが違うのよ?ヒール&トゥだって出来るかどうか……」

由良「あら、知らないの?最近サニトラを使って走り込んだりしてるみたいよ」

夕張「マジですか?」

由良「あくまで基本的な部分みたいだけどね。この前も提督さんと一緒に定常円旋回と8の字周りをしているのを見かけたわ」

夕張「そ、それが何だっていうのよ。私だって走りの面は散々提督から教わってるし……」

由良「そうは言っても川内のセンスはかなり有るみたいだし、悠長に構えてると追い越されちゃうかもしれないよ?」

夕張「うー……」

川内、コースイン――ッ!
494 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:12:00.06

ウォームアップを済ますと、早速と云わんばかりに全開モードの川内。


川内「おー。流石にトラックとは違うなぁ……これなら振り回しても大丈夫そうね」

川内「夕張はあんまりやらなかったけど、このクルマは積極的に向きを変えていった方が速い気がするんだよねぇ」

川内「最初の右ヘアピンなんかもぉ……よっと!」


派手なことをはせずグリップ走行に徹した夕張とは対照的に、さながらジムカーナを彷彿とさせるテールスライドで2コーナーをクリアしていく。

しかし無闇にリアを流すドリフトというわけでもなく、車体が出口に向いた瞬間即座にアクセルオン。

鋭い立ち上がりを見せ、続く左の3コーナーへ。

アクセルは踏んだまま、左足ブレーキで突っ込んで行く。


川内「それにしても、エンジンの回り方がヌー子にソックリだなぁ。高回転に入った瞬間の感じとか……同じメーカーだから?」


短い直線からのブレーキング。

特訓の効果か、ヒール&トゥもしっかり出来ている。


川内「ここは良いとして次のコーナーだね……よし!」


クリッピングポイントを奥目に取り、次の右ヘアピンに備える。

そして先程夕張がシフトダウンを躊躇ったポイント。

川内は1速に落とすと、更にサイドブレーキをポンピングの要領で引き、強引に曲げていく。


川内「そんでっ!2速!」


一瞬で吹け上がろうとするエンジンにも即座に対応。

スパッと2速に上げると、そのままホームまで続く一連のコーナーを駆け抜ける!


川内「いいじゃん!キッチリ着いて来てくれる!楽しーい♪」
495 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/10(金) 17:13:17.71

長良「おお~。やるねえ川内」

五十鈴「何だか一昔前のターマックラリーでも見ているようだわ」

瑞鳳「見ていて気持ちが良いね」

夕張 ポカーン

由良「……っと。川内のタイム、44秒5」

一同「「「おぉ~」」」

瑞鳳「あっさり45秒切ったどころか、夕張のタイムと並ぶとはねぇ」

長良「多少荒削りだから、もう少し乗れば44秒切りも出来るかもしれないよ」

五十鈴「……ところで、夕張が口開けたまま固まってるんだけど」

瑞鳳「それは大変。口の中が乾いて雑菌が繁殖する可能性があるから、水を入れてあげましょ」

五十鈴「それ、どっかの鎮守府が寝ている雪風にやったヤツ……」

瑞鳳「実は丹陽かも知れない」

五十鈴「同一艦じゃない!まだ本家に実装されてないものは禁止!」

長良「本家って何?」

瑞鳳「それにしても、あれだけ滑らせてる割には速いわねぇ……どうして?」

長良「このコースってカートだと充分な広さだけど、クルマじゃやっぱり狭いからね。夕張みたいな正攻法でやっても、コース幅が邪魔して案外タイムが伸び難いんだ」

瑞鳳「??」

五十鈴「思ってる以上にスピードが乗らないってことよ」

長良「そういうこと。だから、ヘアピンなんかでは思い切って向きを変えてあげた方が速くなるんだよ」

五十鈴「でも、それで云ったら夕張も割と早めに向きを変えていた気がするけど」

瑞鳳「そうよね。普段は先の見えない都高で走ってるんだし」

長良「んー……それでもやっぱり滑らせることに抵抗があるっていうか、何処かで決め付けてたんじゃないかな。FFだから、サーキットだからグリップ!みたいなさ」

夕張「うっ……」グサッ

由良「図星みたいね」


最終的に、川内のファステストタイムは44秒2を記録。

43秒台入りはならなかったものの、彼女が持つ潜在能力の高さを見せ付ける結果となった。
502 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 20:53:18.19

小ネタ 祝!阿武隈改二

川・由「おーっ」

阿武隈 ドヤッ

川内「久しぶりに会ったと思ったら、改二になってる!」

由良「おめでとう阿武隈。私も嬉しいわ」

阿武隈「えへへ……今までと勝手が違うから、慣れるまでちょっと大変そうだけど……」

川内「え?そんなことなかったけど」

由良「川内は殆ど変わらなかったじゃない」

川内「ところでさ、これ何するの?飛行甲板?」

阿武隈「大発と甲標的に対応する為の艤装だって」

川内「マジ?甲標的も積めるなんて反則じゃん」

阿武隈「流石に雷巡程の火力は出せないけど……」

川内「そこまで行ったらもう軽巡じゃないでしょ」

夕張「いいわねー……私にも使える様にしてくれないかしら」

阿武隈「ちょ、急に出てこないでよ」

夕張「ねえ、ちょっと私にも……」

阿武隈「貸すわけないでしょ!」

由良「私も……ちょっと気になるかな……」テレッ

阿武隈「いくら由良の頼みでもダメ!」

川内「じゃあ夜戦しようよ夜戦!」

阿武隈「やらないったら!」

夕・由「改二……改二……」ジリジリ

川内「やーせーんー!」

阿武隈「あーもう皆うるさーい!」


由良改二もあんな格好になるのかな?
503 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 20:55:39.03

川内「どうだったー?」

由良「44秒2よ。夕張より全然速い」

川内「ふっ、こんなトコだね」

夕張「 」

長良「おーっ、やるねぇ」

五十鈴「私のベストにも並ぶなんて……」

瑞鳳「じゃあ、今回の勝負は川内の勝ちだね」

夕張「 」

由良 夕張の口に水を注ぐ

夕張「……ンッブィ!ゲホゲホッ!」

由良「いつまで呆けてるの。終わっちゃったよ」

夕張「ゲホッ……もうちょい優しくしてよ……」

由良「丁度良いかと思ったから。で、何か言いたいことは?」

夕張「はぁ……私の方がスローリィ?」

由良「そうなっちゃうわね」

夕張「悔しいけど……負けは負けね……」

川内「あれ、何かアッサリ」

由良「終わりってことでいいの?」

夕張「泣きの一戦、お願いします!」

由・川「ですよねー」

瑞鳳「そんなにドライバーになりたいの?」

夕張「川内に負けたまんまなのが気に食わないだけっ」

瑞鳳「ああ、そういう……」
504 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 20:57:15.52

長良「でも、再戦したところで今の夕張じゃ勝ち目無いと思うよ?」

五十鈴「川内の方がインテRとの相性良さそうだしね」

瑞鳳「もうお互いの愛機で一戦やっちゃうのは?」

長良「あ、それアリ」

五十鈴「でも川内はバイクでしょ?クルマの方が有利なんじゃない?」

長良「川内のバイクって何だっけ?」

川内「ヌー子だよ。本田ヌー子」

由良「NSRね」

瑞鳳「で、夕張はワンエイティ。結構良い勝負になると思わない?」

川内「……その案乗ろうかな。一度夕張と本気でヤリ合いたかったんだよね」

由良「今のは本気じゃなかったの?」

川内「あ、今だって本気だったよ?そうじゃなくて、夕張とあの黄色いワンエイティを墜としたいわけ。それも、都高でね」

川内「勿論リスクは承知の上。でもどうせなら、自分が不利な所でやった方が燃えるでしょ」

長良「すっごい分かるソレ!」

瑞鳳「おなじく」

五十鈴「アンタ達は黙ってなさい」

夕張「………」

川内「で、どうする?あとは夕張が決めていいよ」

夕張「――ソレ、遊びで云ってるんじゃないわよね」

川内「当然」ニヤリ

ゴゴゴゴゴ……

瑞鳳「何で不穏な感じになってきてるの?」

由良「これじゃあ、どっちが再戦望んでいるのか分からないわね」

長良「都高かぁ……私も参加していい?」

五十鈴「バレたらライセンス取り消されるわよ」

長良「でもさー、アレ使ったら結構良いセン行くと思わない?」

五十鈴「そりゃあ、AWに比べたらねぇ……」

瑞鳳「何の話?」

長良「秘密兵器ってとこかな」

由良「それはいいけど、あんまりあの二人を煽るようなことしないでよね?」

長良「大丈夫大丈夫!」
505 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 20:59:51.20

数日後・夜、都高深峰線

叢雲「で?何で私を連れて来たの?」

提督「偶には長年世話になってる秘書艦様とドライブデートがしたくてな」

叢雲「無理矢理クルマに押し込むような真似をしないと、女を誘うことも出来ないワケ?」

提督「だって、そうでもしないと乗ってくれないだろ?」

叢雲「アンタから誘われたことなんて今まで記憶にないんだけど」

提督「そうだっけ?」

叢雲「別にいいけど。で?」

提督「で……って?」

叢雲「私を横に乗せた本当の理由」

提督「……今度だけは、独りじゃ怖くてなぁ」

叢雲「今回に限らず、いつも怖がってるんじゃなかったの?だから毎回夕張達を連れて行くんでしょ」

提督「……察しがいいこと」

叢雲「今更何を怖がる必要があるのよ。とっくの昔に失くしたもんだと思ってたけど?」

提督「バカ言え。今まで一度足りとも怖くないなんて……思ったことはあるけど、恐怖心は常に持っているよ」

叢雲「ふーん」

提督「なんだよ。何か言いたげだな」

叢雲「ちゃらんぽらんのクセに、随分気弱な発言だと思ってね」

提督「……俺は小心者だよ」

叢雲「知ってた」

提督「テメェ……」

叢雲「結局は不安や恐怖から逃れる為でしょ。とっくの昔から知っているわ」

506 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 21:04:58.76

叢雲「それでも解せないわ。別に夕張や川内でも乗せておけばいいじゃない。何で私なの?」

提督「……お前となら、まだ乗り越えられると思ったんだよ」

叢雲「はぁ?」

提督「一番長く付き合いがあって、俺のことを一番理解してくれているお前だから、今夜は隣に居て欲しかったんだよ」

叢雲「私は統計的にアンタの性格を当てはめただけ。勝手なイメージで私を見ないでちょうだい」

提督「それでも、内面を一番読めてるのはウチじゃお前だ」

叢雲「今アンタとの距離が近い立場に居るのは夕張でしょ」

提督「……今はお前じゃなきゃダメなんだ」

叢雲「どうしても?」

提督「どうしても」

叢雲「……まあ、どのみちこの状態じゃ降りることも出来ないしね。貸しにしとくわよ?」

提督「すまんな。ワガママで」

叢雲「何を今更」

提督「……だな」

叢雲「もう一つ。本当に乗り越える気があるなら、今夜でしっかりケリをつけなさい。こんな煩くて乗り心地の悪いクルマ、二度と乗りたくないから」

提督「分かってるよ」


西行きの湾岸線合流。

提督の前に現れたのは、一台の青いクルマだった。


提督「ああ……やっぱりお前はインプよりそっちの方が似合うわ」


BNR34スカイラインGT-R・改 “迅帝”

VS

RPS13 180SX・改 “インターセプター”
507 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 21:07:57.07

同時刻・湾岸線大黒々PA


長良「お待たせー」

由良「姉さん、遅い。全然遅い。見てよコレ」

夕張 ガルル

川内 ガルル

長良「おー、睨み合ってるぅ」

由良「ホントにこの二人は……一度火が付くと面倒なのよね」

長良「アハハ。由良も大変だねぇ」

由良「そういえば五十鈴姉さんは?」

長良「明日遠征入ってるから寝るって。瑞鳳はどうしたの?」

由良「今日はこの近辺の空母揃って飲み会ですって。ただその代わり……」

青葉「恐縮ですっ!」ヒョコッ

由良「青葉さんが来たわ」

青葉「何やら愉快なことになっていると聞いたので、同行取材をと思いまして!」

長良「確かに愉快な状況ではあるね」

由良「で、何で姉さんのクルマが変わってるの?」

長良「ああ、コレ?ピャンさんからステップアップを勧められて、ちょっと借りてるんだ」

青葉「ほぉ……これは……」
508 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 21:11:14.27

長良のメガーヌRS

まさかの元ニュルFF最速マシン。
ピャン氏が所属するショップの開発車両らしい。
ノーマルから比べて若干のパワーアップ、足回りの変更もあるようだ。
カラーはグレー。


青葉「何ですかコレ」

由良「ルノーのメガーヌRS……実車は初めて見るわ」

長良「いやぁ、こんな凄いクルマがあるなんて知らなかったよ。ミスターじゃ太刀打ち出来ないわ」

青葉「見た目からして只者では無さそうなのは分かりますけど、そんなに凄いんですか?」

由良「ニュル・ブルクリンク北コースでFF最速タイムを保持していたの。今はシビックに抜かれちゃったみたいだけど」

長良「7分54秒だったかな。昔のGT-RやNSXよりも速いんじゃない?」

青葉「日本を代表するスポーツカーの記録を破るなんて、やっぱり世界は広いんですねぇ」

由良「どちらも20年位前の記録だけどね。今のGT-Rは……7分8秒だって」ケンサク

青葉「おおぅ……最早別世界」

夕張「ニュルならBMWのM3CSLに乗りたい!」

川内「その前にニュルって何!?美味しいの!?」

長良「喧嘩してても仲が良いよね、アナタ達」

509 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 21:20:33.30

長良「ところでさ、川内ってバイクじゃなかったの?」

由良「提督さんに相談したら、バイクで都高は不利な上に危ないからせめて四輪にしてやれって」

長良「その結果がアレ?」

青葉「あのクルマなら青葉を知ってます」

由良「まあ、条件としては悪くないと思うけど」


Z34フェアレディZ・ニスモ

まさかのニスモZ。勿論新車。
流石にガタが目立つワンエイティに代わり、提督が鬼の72回ローンで秘かに購入。
変更点は少なく、ほぼノーマル。
慣らし完了後、まだ数回しか乗ってないらしい。
川内にキーを渡した際の顔は、FXで金を溶かした人のようだったとか。
カラーはホワイト。


夕張「何で川内がZなのよ!私だって運転どころか、存在すら知らなかったのに!」

川内「へっへーん!羨ましいだろー。新車だぞー」

夕張「羨ましいわよ!後で感想聞かせなさいよ!?」

長良「うっひゃあ。ニスモZじゃない。あれ提督さんのクルマ?」

青葉「みたいです。青葉が思うに、両者のいがみ合いが深まった原因の一端になってますよねアレ」

由良「夕張にバレたら確実にオモチャにされそうだからって隠してたらしいの」

長良「それにしても太っ腹だなぁ。確か600万近いでしょ」

青葉「ろっ!?」

由良「そうね。私が同じ立場なら貸さないわ」

青葉「で、でも乗換えを考えているなら、いつものワンエイティの方が良いと思いますけど……」

由良「あのクルマは相当ピーキーで、いくら川内でも乗るのは厳しいみたいよ。かと云ってサニトラじゃ相手にもならないし、インテRで行くにも車検切れだし、泣く泣くといったところね」

※前回の練習場にはローダーで持って行きました。

川内「夕張でも乗れたんだから私も乗れると思うけどなぁ」

夕張「あそこは道幅広いから何とかなったのよ。あんなの都高じゃ怖くて乗れないわ」
510 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/19(日) 21:23:02.93
メガーヌとニスモZ……唐突な現行車種の登場に>>1も困惑気味。
いよいよこのSSも500を突破したことだし、更新ペースを早くしたい。

続く!
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/19(日) 21:32:01.03

更新ペース遅くてもいいから失踪だけはなしで...

現行車なんてこのSSじゃ珍しい
これワンエイティで勝てるんですかね...?
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/19(日) 21:33:06.58

夕張には勝ってほしいがどうなるかね
517 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:05:34.19

川内「で、どう行く?」

夕張「そうね。横羽経由で環状線に入って一周。最初の案内板を越えたらスタート。内か外かは……」

川内「内がいい!」

夕張「……内回りね。分かったわ」

由良「何か理由あるの?」

川内「提督が有利なのは内回りって言ってた」

長良「何で?」

夕張「殆ど3速で行けるからでしょ。シフトチェンジが少なければ運転に集中出来るもの」

長良「あ、そっか」

川内「コッチは新型だからね。悪いけど、今回も勝たせてもらうよ」

夕張「言ってくれるじゃない……」

長良「じゃあ由良と青葉さんは私のクルマに」

青葉「了解ですっ!」

由良「二人も乗って大丈夫なの?」

長良「いやぁ……正直着いて行くだけで精一杯だと思うけど、離されないように頑張るよ」

青葉「フフフ……これは中々良い画が撮れそうです」

長良「ん?画って?」

青葉「最近、都高を走る方々に声を掛けて同乗走行をさせてもらっているんです。その際カメラを回して走行シーンを撮影しておりまして」

由良「前は自転車で侵入してたみたいだしね」

長良「え?マジ?」

青葉「流石に今はバイクで移動してますよ」

由良「バイク?いつの間に買ったんですか?」

青葉「陸自払い下げのオフロードバイクなんですが、弱m……いえ、交渉したところ、快く譲って頂きました」

由良(今弱みって言いかけた……)
518 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:09:42.70

長良「時に青葉さん。都高については詳しいよね?」

青葉「青葉は走り屋さんではないですが、情報についてはそれなりに」

長良「じゃあさ。夕張ってココだと結構速いの?」

青葉「そうですね……『美少女が乗っている黄色のワンエイティ』として、そこそこ名前は売れているみたいです。しかし都高は人外魔境ですからね。格付けしたら恐らくB級といったところでしょうか」

長良「じゃあ本気でかかれば私でも何とかなるかな」

青葉「それは青葉の口からは何とも」


川内「じゃあ、ケリつけようよ」

夕張「当然。これ以上負けっぱなしは尺だからね」


Z34 フェアレディZ・ニスモ

VS

RPS13 180SX・改 “快速メロンちゃん”


夕張「……って、ちょっと!誰が呼んでるのよソレ!」

青葉「一部の方達がそう呼んでるらしいです。正体がバレてるわけでもないのに、偶然の一致といいましょうか」

夕張「どうせなら何かこう厨二臭い通り名にしてよ!色物じゃない!」

青葉「青葉に言われましても。ちなみに、メロンっていうから巨乳なのかと思ったら、貧相だったという報告も……」

夕張「ソイツ連れて来なさい!今すぐ!実験台にしてあげるから!」

ギャーギャー

由良「……ん?」

長良「どうしたの由良。早く乗りなよ」

由良「あ、うん……」

由良(今、扶桑さんっぽい人が居た気がするけど……まさかね?)

519 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:13:41.26

夕張180SX・車内

夕張「さて、と……まさか川内がニスモZに乗ることになるとはね」

夕張「でも、いくらメーカー直系のワークスチューンとは云え、私のワンエイティが劣るという理由にはならないわ」

夕張「ただ黙って今を迎えたワケじゃない……各部を手直ししているし、パワーもZと同等」

夕張「それに、都高ならまだ私に分がある」チラッ

夕張「……そう言ってこの前は負けてるし、油断は禁物ね」

夕張「水温、油温、油圧、ブースト……全て正常」

夕張「行こう、ワンエイティ」

夕張(それにしても、快速メロンはないわぁ……)


川内Z・車内

川内「んふふー。新車だ新車ー。何事も新しいモノは気持ちが良いよねぇ」

川内「しっかし夕張が本気を出してきた以上、こういう速そうなクルマじゃないと勝てそうにないしね」

川内「普段意識してなかったけど雰囲気あるよねぇ……どう見たって速いもん、夕張のクルマ」

川内「でも提督だって、このZだったら負けることはないって言ってくれたし」

川内「……あれ、もしかして提督が乗ったら負けないってことだったりして」

川内「うーん。ま、何とかなるか」

川内「さあ……」クスッ


私 と 夜 戦 し よ ?

520 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:15:23.05

長良メガーヌ車内

長良「いいねえ。二人とも、何か速そうなオーラ出してるじゃない」

由良「でも川内はまだ初心者よ?いくらZに乗っていても分が悪いんじゃない?」

長良「確かにね。でもこの前のタイムアタックだって、川内がひっくり返しているんだし、やってみないと分からないよ」

由良「それはそうだけど……」

♪ヒャクマンゴクノォホコリヨカ~ガ~ミィサキィ~

青葉「おや、メールが」

由良「何故に加賀岬……」

青葉「最新の情報は常にチェックしておかないと。それに結構良い歌ですよ?」

由良「ふーん」 ←提督の影響でコールター・オブ・ザ・ディーパーズにハマった

長良「私、音楽には疎いから……」←と言いつつ、ランニング時に聴くのは主にピロウズ

青葉「何やら誰も得をしない裏設定が公開された気がしますが、それよりちょっと大変なことが都高で起こっているようですよ」

521 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:19:05.33

由良「大変なこと?」

青葉「迅帝と遭遇したという報告が入りました」

長良「何それ?」

由良「迅帝って……確か提督さんの友達の岩崎さんのことよね」

青葉「そうです。ただ、目撃者の証言によると青いR34型だったそうなんです」

由良「でも岩崎さんのクルマは新型のWRXでしょ?」

青葉「その通りです。青葉も以前お会いしたことがありますが、その時も確かに青いWRXでした」

青葉「そもそも、今現在岩崎さんのことを迅帝と呼ぶ人は当時を知る人以外は殆ど居ません。あくまでやたらと速いWRXの人という程度です」

青葉「一方、迅帝の話は人によって差異はあれど、確実に根付いています。真偽は分からずとも、かつて最速と謳われた青いR34型が居た、と」

長良「ねえ、何の話?」

由良「似たクルマという可能性もあるでしょ」

青葉「否定できません。迅帝Rはアブフラッグエアロのフルチューンと云われています。今回目撃されたRも仕様も同じ。外見だけなら真似しようと思えば真似できますし、青いR34型は今でもそう珍しくはありません」

青葉「ですが恐らく本物でしょう。何せ一緒に走っていたのが紫色のワンエイティのようですから」

由良「……それって、まさか」

青葉「間違いなく司令官です。迅帝の伝説とは違い、司令官の話は殆ど知られていませんが」

長良「ねえ、だからどういうこと?」

由良「要するに、ウチの提督さんとその友達が競り合ってるってこと」

青葉「しかもそのどちらも、かつて都高でトップクラスの実力を誇った、と」

長良「でもそれって随分前の話でしょ?」

由良「そう。提督さんの話は夕張から聞いたけど、何で今更……」

青葉「そこまでは分かりませんが、もしかしたら鉢合わせる可能性もありますよ」
522 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:21:46.30

何やら不穏な情報に戸惑う由良達をよそに、夕張の180SXと川内のZは完全なバトルモードに突入していた。

先行するのは川内Z……ほぼテール・トゥ・ノーズの接戦である。

大黒々線から横羽線に合流――一般車両はかなり少ない。

パワー的にはほぼ互角だが、3.7Lの大排気量によって生み出されるトルクと、空気抵抗に勝るZがやや有利か。


川内「流れが良いね。環状線に入る前に勝負付いちゃうかな!?」


一方の夕張はブースト圧を最大限にして追走。こちらも負けていない。

夕張「ブースト1・2キロで380馬力。今度はスクランブルじゃなくて、キッチリ出せる最大パワーよ!」


♪カガミィサキィ~

青葉「またしても新情報……イッ!?」

長良「変な声上げてどうしたの?」

由良「今度は何?」

青葉「……最近トップクラスの実力と噂されている“暴食の殲滅者”がこちらに近付いてきているとの情報が……」

長良「随分物騒な名前だね」

由良「そもそも、その情報は何処から来ているのかしら」

青葉「青葉が地道に構築したネットワークですよ。それより気を付けてください。何せその人は……」ピカッ

長良「っ!?」

由良「な、なに?」

青葉「来ました。あの赤いFD3S型……間違いありませんっ」


「フフ。またお会いしましたね、夕張さん」


青葉「横須賀所属の正規空母……赤城さんです!」
523 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/20(月) 12:27:19.72
補足。

・迅帝RはJGTCカルソニックもどきではなく、首都高バトル0のOPに出てきた34Rのイメージ。
・快速メロンちゃん……実は夕張がとっさに名乗った偽名が原因っぽい。

赤城さんの通り名、自画自賛ですが気に入ってますww
では、夕立のレベリングしてきます。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/20(月) 15:22:40.53
久々に見たらMEGANE出ててびっくり
トロフィーRを一度だけ街中で見たけどかっこかわいかったなあ
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/20(月) 17:53:36.20
乙!良いね実に湾岸的な盛り上がりかただ。


530 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:17:29.66

小ネタ 鈴谷アフター


鎮守府裏・ガレージ


鈴谷「……うーむ」

摩耶「あっちぃー……クソあっちぃー」ダラダラ

熊野「暑いのは同意ですが、流石に言葉遣いが下品ですわよ」

摩耶「しゃーねぇだろー……暑いもんは暑いんだっ」

鈴谷「あれ?二人とも何してんのさ」

熊野「あら鈴谷。貴女こそこんな所でどうされたの?」

摩耶「……あ、ガジガジ君買ってこようぜ」

鈴谷「今確実に鈴谷の髪見て連想したよね」

摩耶「で、難しい顔してどうしたんだよ」

鈴谷「いやさ、これなんだけど……」


HCR32スカイライン

>>385にて提督から譲り受けたスカイライン。2ドア。
吸排気、車高調、ブーストアップ+αのお約束仕様。
見た目は羽無し&GT-Rバンパー。ガンメタのTE37Vがポイント。
カラーはブルーイッシュシルバー。


摩耶「へえ、サンニーか。見た目からして馬鹿(提督)の趣味かコレ」

鈴谷「何か鈴谷に是非乗ってもらいたいって云って、無理矢理押し付けられた」

熊野「色合いは鈴谷に合いますけど……もっとエレガントなデザインの方がよろしいんじゃなくて?」

鈴谷「エレガントは兎も角、確かにこんな厳つい感じは趣味じゃないしねー」

摩耶「タダで貰えるんだったら貰っとけばいいだろ。クルマは有って困らないんだし」

鈴谷「えー……後で何かありそうで怖い」

熊野「あら、そんな些細なこと。一捻りで黙らせてしまえば解決しますのに」

摩耶「お前が言うと冗談に聞こえねぇ……」

熊野「私、冗談を言ったつもりはありませんが」

摩耶「やめてやれ」
531 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:18:48.26

鈴谷「でさ、どうしようか」

摩耶「お前が乗らないならアタシが乗る」

鈴谷「も、貰ったのは鈴谷だしっ!」

摩耶「でも趣味じゃないんだろ?」

鈴谷「そうだけど……色合いとか、後ろのランプは丸くて可愛いし……」

摩耶「実は気に入ってるのか?」

熊野「ところで、ガジガジ君はどうされたの?」

摩耶「今それ聞くのかよ。最上型マイペース過ぎるだろ」

鈴谷「えー……どうせなら32アイスが良いー」

熊野「でしたら、このクルマでガジガジ君を買いに行きませんこと?」ポンッ

摩耶「あー……もうそれでいいや。ホレ、運転」

鈴谷「え?摩耶が運転するんじゃないの?」

摩耶「コレは鈴谷のクルマなんだろ?なら運転するのは持ち主がするべきだ」

鈴谷「ちょ、マニュアルなんて運転出来ないって!」

続け
532 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:33:17.13

小ネタ 市川鎮守府のクルマ達

①サニートラック

丸目のロングボディ。
主に輸送用として設立当初から配備されていたが、今ではタダのオモチャ。
夕張が整備を覚える為にあちこち手を加え、川内が練習の為に振り回しているので結構ガタガタ。
1.3L化、ワタナベ・エイトスポーク、室内には小型扇風機を設置。
提督の趣味で東名サニーを模したカラーリングにされてしまったので、無駄に派手。


②キャラバン(E24)

ハイエースでダンケダンケなら、ウチはキャラバンでウラウララーじゃ!
……等と、意味不明な供述をry
主に艦娘達の遠征・お出掛け用にネットオークションで購入。落札価格5万円。
最近クーラーの効きが悪くなったと不評が出ているとか。
ブラックのボディにインパル・シルエットホイールが特徴。


夕張「ホント日産の旧型車が好きですよね」

提督「何を言う。どちらも実に機能的なクルマだろうが」

夕張「キャラバンは同意しますが、サニトラは完全にオモチャ扱いじゃないですか」

提督「率先してオモチャにしているお前が言うな」

夕張「ところで、仮にですけど今後本編に増えそうなクルマを予想してみてくださいよ」

提督「そうだな……唐突にメガーヌが出て来たから、外車はもっと出していいかもな」

夕張「やっぱりポルシェとかフェラーリですかね?先日>>1が湾岸でナローとディーノに遭遇して大興奮していたみたいですし」

提督「それもアリだが、もうちょいマニアックなトコにいきたくない?」

夕張「マニアック……例えば?」

提督「パンテーラ」

夕張「古っ」

提督「国内で初めて300キロ突破したのはパンテーラだぞ?」

夕張「ゲーリー・アラン・光永パンテーラですね」

提督「国産ならスープラ・シルビア・ランエボの定番所もいいけど、マークⅡ兄弟やセフィーロみたいな4ドア勢があってもいいよな」

夕張「それまでこのSS続きますかね?」

提督「それは知らん」


>>1が通っていた幼稚園の送迎バスは、この型のホーミーでした。
533 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:36:43.12

夕張「あのFDって……もしかして」ピッ

夕張「川内、聞いてる?後ろからとんでもないのが来ちゃったんだけど」

川内『なに?あの赤いの、夕張の知り合い?』デンワゴシ

夕張「あれ多分赤城さんよ。前に私がぶつけた時、一緒に走ってた……」

川内『ああ、そうなの?ウチだけかと思ったら、他の鎮守府でもこんな事してる艦娘って居るんだね』

夕張「そういえば青葉さんの映像見てなかったわね、アンタ」

川内『しっかしさぁ……気に食わないなぁ』

夕張「なにがよ」

川内『折角夕張と夜戦を楽しもうと思ったのに、空母が横からしゃしゃり出てくるなんてさー……うん、ウザい』

夕張「ちょっと?川内?」

川内『で?赤城さん、速いの?』

夕張「少なくとも私よりは速いわ、間違いなく」

川内『ふーん。私とどっちが速いと思う?』

夕張「一応言っておくけど、アンタが敵う相手じゃないし、そもそもZは提督のクルマなんだから無理しちゃダメよ」

川内『あのねぇ、私怒ってるの。水差されて。ホンット最悪』

川内『だからさー。環状まで多少はセーブしようと思ったけど、もう本気で踏むからね。いつまでも後ろに居られても邪魔だし』

夕張「本気って……今の話聞いてた?」

川内『夕張もちゃんと着いて来てよね。今夜を楽しみにしてたんだから』プツッ

夕張「川内!?ああ、もう……今の、完全にキレちゃった時の声だ……」
534 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:37:55.24

川内が駆るニスモZは、名前の通りメーカー直系のチューニングマシンではあるが、あくまでノーマル。

購入後に変更した点といえば、精々機械式LSDが追加した程度である。

夕張180SXだけならば実力的に互角の勝負が出来るものの、赤城RX-7の闖入によって状況は一転。

実力・経験・クルマの完成度……どれも赤城が上回る。


川内「……ああー、どうしてやろうかなぁ」


しかし、彼女にとっては些細な事だった。

唐突に現れて我が物顔で抜きにかかるRX-7が気に入らない。

道を譲って先行させてしまえばいいが、どう見ても喧嘩を売られている。

チラチラとミラーに映るRX-7のライトが腹立たしい。

川内の顔から、笑みが消えていた。


川内「当然……墜とされる覚悟はあるんだよね?」


VQ37が低く吼える。
535 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:39:01.30

長良「ちょちょちょっ!川内速いって!」

青葉「流石、夜戦ニンジャーと呼ばれるだけありますね。まるで流れるようです」

長良「赤城さん入った途端、ペース上がりすぎだよぉ」

由良「でも……キツいのは川内の方だと思う」

長良「確かに。赤城さんはまだ余裕ありそうだし……」

青葉「あとは最後尾につける夕張さんがどう動くか、ですが」

由良「今は様子見ってとこなのかな」

青葉「それでもこのペースに着いて行く辺り、流石ですね」

長良「とにかく!このままじゃ引き離されちゃうから、本気で行くよ!」

青葉「わわっ!」

由良「姉さん、これ借り物でしょ!」

長良「ちょっと黙ってて!」

青葉「コッチも火が点いちゃってますよぉ!」
536 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:43:28.41

狭い横羽線を驚異的なペースで駆け抜ける川内Z。

猫の目のように目まぐるしく状況が変わる都高で、まるで全てを見切っているかのように一般車両の間を縫う様は、流石歴戦の艦娘……取り分け夜戦に情熱を注ぐ川内型一番艦と云うべきか。

しかし由良の言葉通り、余裕は微塵も無い。


川内「……っ!」


どんなに必死で踏み込んでも、まるでサーチライトの如くRX-7のヘッドライトが室内を照らしてくる。

離れない――。

大粒の汗が首筋を伝う。


赤城「なかなか良い腕前ね。だけど、詰めが甘い」


空港西トンネル手前の下り左コーナーで、いよいよ赤城が動きを見せる。

ブレーキングのポイントを奥に取り、アウト側からZを抜きに掛かった。

荒れた路面をものともせず、ほぼカウンターステア無しの見事なコーナリング。

一方無理なペースと重い車重が祟ってか、Zのタイヤは熱ダレ気味。

ズルズルと外に逃げて行く車体は、川内が思い描くラインと大きな誤差が出ていた。


川内「~~~っっ!!」


あっさり先行を許してしまったことが更に彼女の気に触れたのか、尚もアクセルを緩めようとしない。

必死に食らいつこうとするものの、コーナー出口で挙動が乱れてしまった。

赤城RX-7は既に遥か前方。

たった一つのコーナーで、ここまで差が付いてしまうのか。

云い様もない敗北感が込み上げる。

修正に気を取られている内に、今度は夕張180SXが抜いて行った。


夕張『無茶し過ぎよ!諦めなさい!』

川内「やだっ!」

夕張『タイヤもエンジンもタレてきてるでしょ!それ提督のクルマなんだから、これ以上無理すると何が起きるか分からないわよ!?」

川内「このまま負けるなんてヤダッ!」

夕張『意地張るなっ!今回ばかりは相手が悪過ぎる!』

川内「うぅ~っ……!!」
537 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/23(木) 23:44:50.68

由良「赤城さん、流石に鮮やかね……」

青葉「一方の川内さんは大きく乱れてしまいました」

由良「むしろ、ここまで走れたことが驚異的よ」

長良「同感っ。正直私もキツい」

由良「Zがアレだものね。二人乗っているコッチだって相当厳しくなるわよ」

長良「これ以上はリスキーかな……川内も諦めてくれるといいけど」

青葉「しかし何で赤城さんも夕張さんも、まだ余裕があるのでしょう?川内さんに離れることなく着いて行っていたのですし、条件は同じハズでは?」

長良「クルマの差もあるけど、一番は『自分のクルマじゃない』ってトコじゃないかなぁ」

青葉「どういうことでしょう?」

長良「例えば、艤装に限らず普段使っているモノを変えると、勝手が分からなくて扱いにくかったりするでしょ?」

青葉「そうですね。性能も大事ですが、やっぱり使い慣れたモノが一番です」

長良「それと同じで、普段使っていないモノ。ましてや初めてのクルマで慣れないコースを走るワケだから、本人が気付かなくても負担は大きかったんだと思うよ」

青葉「しかし、先日行ったというタイムアタックは?川内さんと夕張さんの差をなるべくイーブンにする為、初めてのコース・初めてのクルマで走ったとお聞きしましたが」

長良「小さいとは云えサーキットを走るのと、都高を走るのは全く違うよー」

由良「サーキットと違ってエスケープゾーンゾーンは無いし、一般車両の動きも見なないといけないし……見ている以上に磨り減っちゃいそうよね」

長良「そういうことっ。ホント狂気沙汰だよ」

青葉「確かに命が幾つあっても足りないと思います」

長良「それに、あっちの二人は慣れている分ペース配分も出来ているんじゃない?短距離ランナーが長距離走れないのと同じでさ」

青葉「そうなると、ここから先は夕張と赤城さんの一騎打ちですか」

由良「提督さん達の動きも気になりますね」

青葉「もしかしたら、この先の大井Uターンで鉢合わせる可能性もあるし……ん?誰か携帯鳴ってますよ?」

由良「あ、大井からラインだ」

青葉「……監視されてるんですかねぇ」

長良「なにそれ怖い」
546 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:48:32.11

小ネタ 浜風いじり

浜風←本日の秘書艦

提督 カリカリ

浜風 カキカキ

提督 ハンコポン

浜風「提督、サインお願いします」

提督「ん」

浜風「……ここの計算は……」デンタクパチパチ

提督「時に浜風よ」

浜風「何でしょうか」

提督「その前髪さぁ……」

浜風「『前が見えるのか』という質問ですか?よく聞かれますが、特に差し支えは……」

提督「いや、バンドでもやってた人なのかなと。銀髪だし」

浜風「……は?」

提督「ということで、メインストリーム嫌い御用達だったハズが、テレキャスに代わってすっかりギタボの定番ギターになってしまった、この白いフェンダー・ジャズマスターを持ってみてくれ」

浜風「あの……提督?意図が全く見えないのですが……」E:ジャズマス

提督「おお、似合う似合う。ストラップでパイスラッシュとは中々エロいな」

浜風「何処見てるんですか」

提督「どうせマカロンが好きなんだろ。で、お気に入りのカフェでよく分からん作家のよく分からん小説とか読んでるんだろ」

浜風「い、いいじゃないですか別に!」←図星

提督「しょっちゅう空の写真とか撮ってそう」

浦風「お、よう分かっとるねぇ。なんやトイカメラ持って花だの高架線だの撮ってるきぃ」

提督「やはりな」

浜風「浦風は何処から出て来たの!?」

提督「海外旅行に行くならインドかロンドン」

浦風「『モデル』ではなく『被写体』と呼べ」

提督「行く気も無いイベントのフライヤーを部屋に貼っている」

浦風「好きな漫画家は○本大洋と南○太」

提督「服を買う時は下北か高円寺」

浦風「メガネでカーディガンを着こなす細身の男が好み」

浜風「アーーッ!!アーーッ!!私は何も聞こえなーいっ!!」

提督「コピペにあるようなの適当に言ったのに、全部当たりかよ」

浦風「そういうのを通過したんよ」


wikiのコメ欄に「(浜風は)シューゲイザーが好きそう」と書いた人、怒らないから名乗り出なさい。
547 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:50:39.03

夕張「川内はこのまま降りてくれればいいけど……アイツやたら負けず嫌いだからなぁ」


川内Z、スローダウン――。

夕張180SX……ブースト、タレ無し。油温・水温、正常の範囲。

タイヤの接地感、充分。その他異常、無し。

まだいける。


夕張「由良から言ってもらった方が言う事聞きそうね。ちょっと任せておこう」ピッ

夕張「もしもし由良?ちょっと川内にTEL入れて、この先どっかで降りさせて」

由良『それはいいけど、夕張はどうするの?』

夕張「このまま赤城さんを追うわ。リベンジもしたいしね」

由良『分かった。無理しないでよね』

青葉『あ、夕張さーん。ちょっとよろしいですか?』

夕張「どうしたんです?」

青葉『実は青葉の情報網によると、司令官と迅帝を見かけたという情報が入ってまして』

夕張「迅帝って岩崎さんのことでしょ?何で今更その呼び方を……」

青葉『いえ、この呼び方だからこそ意味があるんです。情報によると青いR34型と紫色のワンエイティが競り合っていたそうなので、片方は恐らく司令官、青いR34は……』

夕張「そっか……今岩崎さんのことを迅帝って呼ぶ人は居ないけど、現役時代の岩崎さんと同じクルマだから……」

青葉『そういうことです。迅帝が復活したと既に大騒ぎになってますよ』

夕張「でも、何で今それを?」

青葉『目撃場所から考えて、もしかしたらこの先で遭遇する可能性があるからですよ。低い確率だとは思いますが、念の為ご報告をと思いまして』

夕張「了解です。仮に遭遇する可能性があるポイントは?」

青葉『大井ですね。湾岸からのUターン』

夕張「……それ、確実にぶつかるわ」

青葉『なんとっ!?』

由良『どうして言い切れるの?』

夕張「R相手に最高速勝負なんか持ち込むハズないでしょ。岩崎さんが前でも多分Uターンするよ」

青葉『成る程っ。確かに』

夕張「というかね……」


夕張「 既 に 遭 遇 し ち ゃ っ た っ ぽ い 」
548 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:53:11.61

赤城「おや、あの二台は……」


大井ジャンクション。

先頭を走る赤城の前に現れたのは、二台のクルマだった。

一台は見覚えがある。以前PAで見かけた提督の180SXだ。

そしてもう一台、見覚えの無いR34GT-R……。

見ているだけでヒリつくような空気を放つソレは、何処かで聞いたことがある。


赤城「そう……これが、迅帝……」


かつて都高の帝王として君臨していた、伝説として語られている存在。

大事故によって死亡したとも伝えられているが、今目の前に居る。

では、あのワンエイティは……?

他者を圧倒する存在感を示すR34に対し、まるで闇に溶け込むあのクルマ……。

存在感が無いハズなのに、まるでナイフの切っ先を向けられているような、静かな狂気。

さながらステルス戦闘機。

以前見た時は、こんな雰囲気は感じなかった。


赤城「……そういえば、かつて環状において迅帝以上とも云われたワンエイティが存在していたらしいですね」

赤城「確か、インターセプター」


そうか、それならば納得がいく。

俄かに信じられないことだが、御伽噺だと思っていたあのワンエイティも実在していたのだ。

血沸き肉踊る……昔やったゲームの魔王も、こんな気分だったのだろうか。


赤城「本来の予定とは違いますが、まさか伝説級の二台に逢えるとは。これだから、都高は面白いわ」


赤城RX-7、撃墜体勢。

加速、加速――っ!!
549 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:54:05.23

提督「言うなれば、俺とアイツは陰と陽だ」

叢雲「どういうこと?」

提督「アイツが都高で名を上げていく一方、やっぱりワンエイティで速いってうのは絵空事みたいでさ。当時、誰も信じてくれなかったのヨ(笑)」

叢雲「こんな地味なクルマに乗ってるせいじゃない?」

提督「まあな。むしろ乗り換えてからの方が売れたなぁ」

叢雲「そもそも、ここで名前が売れたところで何が残るの?」

叢雲「プロとして稼げるわけでもない、非合法の上にしか存在出来ないアンタ達は何を理由に?」

提督「さあな。結局は自己満足でしかないし」

提督「ゲームのハイスコアと一緒じゃないか。名前を刻んだところで誰が得するわけでもないし、リセットされれば消えちまう。それでもスコアを伸ばそうとあの手この手でプレイを積み重ねる。後になって振り返れば無益な時間だろうが、その瞬間はそれが全てなワケだ」

叢雲「本当に無益ね」

提督「まあな。でも伝わるヤツには伝わる。だがクルマなんて走ればいい。こんな行為は何とも馬鹿げていて無意味だ」

叢雲「そこまで分かっていて尚、か。救いようがないわ」

提督「俺もヤツも救って欲しいなんて思ってないさ。気が付いたら戻れなくなった、ただそれだけだよ」

叢雲「あら、私には降りる理由を探しているようにしか見えないけど?」ニヤニヤ

提督「……お前ホンット、可愛くねえなぁ」

叢雲「後ろ、何か来てるわよ」

提督「っと……なんだ。タイミング良過ぎないか、夕張ぃ」
550 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:56:08.77

提督・岩崎組と夕張・赤城が邂逅する頃――。


川内「………」

由良「いつまでブスくれてるのよ。充分走れていたじゃない」

川内「でも負けた。あの赤いのはおろか、夕張も平然と私を抜いた……」

由良「ココは夕張のホームよ。不利なことなんて分かっていたハズでしょ?」

川内「でも、悔しいものは悔しい……」

由良「全く。なら次負けないようにすればいいだけのことでしょ。こんな所でイジけているだけなら、誰でも出来るわ」

川内「別にイジけてなんかっ……ないし……」

長良「ハイ川内。ポカリ飲みな。奢ってあげるから」

川内「ソルティライチが良かった……」

長良「図々しい!」ペットボトルでゴン!

川内「痛っ!」

長良「あーっ!でもホント疲れた!こんなの二度とやりたくないっ!(笑)」

由良「姉さんもお疲れ様」

長良「でも素直に降りてくれて良かったよ。正直私も目一杯だったからさ」

川内「……それでも着いて来てたじゃん」

長良「たまたまだよ。夕張のラインをなぞったから上手く行っただけだから」

川内「………」クピクピ

青葉「ああ、どうもコンバンワ。ええ、ハイ……え!?それは確かなんですか!?」

長良「どうしたんだろ?」

由良「さあ……」

青葉「んー。またまたトンでもないことになりそうですよ」ピッ

長良「なになに?今度はお化けでも出たの?」

由良「お化けって……」

青葉「いえ、あながち間違いじゃないですよ。この写真を見てください」つスマホ

由良「これは……?」

青葉「最近巷を賑わす謎のクルマです。その見た目から“戦艦”と呼ばれています」

長良「陸にも戦艦っているんだね」

由良「これが一体?」

青葉「どうにもコレが湾岸線で目撃されたらしいんですよ。いや、今日は一体何なんですかねぇ」

長良「もしかして、これもヤバめなヤツ?」

青葉「ヤバめもヤバめ。曰く付きとでも云いましょうか。見たら不幸になるとか、一週間の間に事故に合うとか、ドライバーは深海棲艦とか……」

由良「最後は流石に嘘でしょ」

青葉「人の噂なんて面白くなる様に尾ひれ羽ひれ付いて伝わるものです」

長良「青葉さんが言うと説得力あるね……」
551 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:57:23.39

青葉「ドライバー、目的、出現する日時など全て不明。逆にエンカウントするのが珍しいので、そんな噂が出たのでしょう」

青葉「分かっているのは、三菱のGTOということだけ。何でもつばさ橋で340キロ近く出ていたなんて話も……」

川内「GTO……?」ピクッ

由良「川内?」

川内「ちょっと、それ見せて」ガバッ

青葉「あっ、優しくぅ」

由良「変な声出さないでくださいよ」

川内「……やっぱり、アイツだ」

青葉「ご存知なのですか!?」

川内「ちょっと前に山城から扶桑さんの尾行調査を頼まれたことがあったんだけど、その時にコイツと出くわしたんだ」

青葉「で、では正体を!?」

川内「それは分からないけど、扶桑さんを見失った直後にコイツが現れたから、何か関係あるかもしれないなかなって」

青葉「確かに夜中扶桑さんが出掛ける姿を何度か目にしましたが、まさか扶桑さんが“戦艦”のドライバーという可能性が……」メモメモ

川内「だから分からないんだって」

由良「……そういえば、さっきパーキングで扶桑さんっぽい人を見かけたわ」

青葉「な、なんとぉ!?」

由良「私服だし遠目で見ただけだから断定は出来ないけど、あんな綺麗な人はそうそう居ないと思うし……」

青葉「こ、これは大スクープですよぉ!謎の“戦艦”は戦艦・扶桑だった!」

長良「でも決定的な証拠が無いよ」

青葉「今から湾岸に行っても会えないですかね……」

川内「会えたところで、着いて行くのは無理だよ。あのクルマは……異様過ぎる」

長良「異様……?」

川内「長良が最初に言ってたじゃん。お化けでも出たのって」

川内「あれは間違いなく……化け物だよ」
552 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 13:58:42.81

~~♪ピッ

夕張「あ、もしもし提督!?こんな所で何やってるんですか!?」

提督『おお夕張。奇遇だな』

夕張「奇遇だなじゃないですよ!何で岩崎さんがR乗って、しかも提督とバトってるんですか!?」

提督『ん?何であのRが岩崎だと思ったんだ?』

夕張「どう見たってかつての迅帝のクルマじゃないですか!そもそも提督と一緒に走りそうな人なんて、岩崎さん以外居ないでしょ!」

提督『失敬な。俺にだって一緒に走る知人位……』

夕張「黙れボッチスター」

提督『うるせえ!まあこっちもワケ有りなんだよ。というかお前も、厄介なモン連れて来るんじゃねえか』

夕張「私は本当に偶然です!今夜川内と決着つけようと思ったら、赤城さんに会っちゃって……」

提督『今やってたのかよ!?Zは?俺のZは!?』

夕張「戦線離脱しただけですよ。無事だから安心してください」

提督『ホッ……』

叢雲『アンタ達、またバカな事やってたの?』

夕張「アイエッ!?叢雲なんで!?」

叢雲『この馬鹿に拉致されたのよ。いい加減解放してもらいたいわ』

夕張「それはご愁傷様……」

叢雲『冗談じゃないわ、全く』


提督『とりあえず先に言っておくけど、見ての通り俺と岩崎とで勝負してるの。余計な真似すんなよ』

夕張「私は邪魔する気ありませんよ。どうせ着いて行けないし。だけど……」

提督『赤城さんだなぁ……やる気満々じゃねえか』

夕張「まさかこのまま三つ巴ですか?」

提督『だから俺の相手は岩崎であって、お前らなんかお呼びじゃねえの。散れ散れ』

夕張「そんなこと言われても……」

提督『ああ、じゃあもう何とかして赤城さんを抑えろ。その間に逃げるから』

夕張「どの道無茶な注文ですねコンチクショー」

提督『泣き言なんて聞きたくないよ。何とかしな』

提督『あ、それと同じ相手に二回も負けたり、この前みたいに事故ったりしたら承知しねえからな。負けたら罰としてアイス一週間抜き!』

夕張「ぐっ……分かってますよ!」

叢雲『何なのそのしょうもない罰』

提督『じゃあ震電10個作るまで帰れまテンとか?』

叢雲『悪くないわね』

夕張「せめて作れるものでお願いします」
553 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 14:02:28.26

提督と夕張が馬鹿な会話をしている間にも時間は進む。

赤城RX-7は180SXとGT-Rを標的として捉え、撃墜体勢に移行。

最大420馬力を搾り出す13B……数字上では迅帝Rはおろか提督180SXにすら及ばない。

しかし、赤城もココで出会ってしまった以上、避けて通ることなど出来なかった。


赤城「都高を突き詰めれば、セブンはRに敵わない……確かにその通りでしょう」


分かってはいる。

RX-7の動きは、自身の見慣れた艦載機と同様。

急降下、急旋回……高度なチューンドマシンを地上の戦闘機と例える者が居るが、それが一番似合うのは他ならずRX-7である、と赤城は確信している。
そしてGT-Rは戦闘機ではなく、対地用の爆撃機だ、と。

だがここは地上だ。
クルマは空を飛ばない。

三次元的に動き回る戦闘機とは違い、クルマは平面状を走るもの。

ノーマルで徹底された車体の軽さが、かえって仇となる。

ネガティブに捉えれば、安定性に欠いた不安定な機体。

戦闘において重要視すべきことは、最大限の能力を常に発揮できる安定性と信頼性。
GT-Rの美点はそこにある。

それでも、赤城はRX-7を選んだ。
このクルマを信用して。

RX-7の美点とは何か。

軽量コンパクトなロータリーエンジン?

50対50の最適な前後重量バランス?

いや、違う。


赤城「不完全だからこそ、進化してきたんです。分かっているから付き合えるんです」


そしてもう一台、180SXが居ることがより彼女の闘志を燃えさせた。

成り立ちは違えど、同じFR……現状の都高で考えられる、最高のFR使い。

意識しないハズがない。


赤城「まずは前に出させてもらいますよ、インターセプター!」
554 : ◆v5iNaFrKLk :2015/07/29(水) 14:06:10.33

一方の夕張。

実力派どころか、かつてのトップランカー二人と現役のトップランカーの中に居るワケだが……


夕張(場違い感半端ねぇぇぇぇっ)


青葉の情報通りなら、夕張の実力も決して侮れない位置まで来ているものの、この面子を相手にするのは厳しいところ。

しかし赤城へのリベンジを果たしたいのもまた事実。


夕張「と云うか、提督も岩崎さんも速過ぎ……どうなってるのアレ」


環状線外回りに入っても尚、三台のペースは変わらないどころか更に加速する。

芝ふ公園の複合コーナー。

迅帝、提督、赤城、夕張と続けざまに進入。

突っ込みでは提督・赤城が迅帝に肉薄する。

しかし、圧倒的なパワーとトラクションで迅帝Rが引き離そうとする……が。

提督が離れない――。


夕張「ええー……何で着いて行けるのよ。どういうことなの……」


目を疑う光景だった。

あろうことか、後輪を滑らせながらコーナーを脱出する。

スピードレンジが高い都高では、多少の空転は致し方ない、が。

あの速度は何だ。

提督の180SXに機能的なエアロは装着されていない。

速度が上がれば上る程、如何に空気の流れを制するかがポイントとなる。

特に後輪駆動でリヤが軽くなりがちな180SXには、大型のGTウイングは挙動の安定・抑制の為にも有効な手段だ。

しかし夕張の知る限り、フロントのアンダーパネルとリヤに装着された小型スポイラー程度。

ほぼ足回り等のメカニカル部分のみでトラクションを稼いでいることになる。

常軌を逸脱し過ぎて理解が追いつかない。


夕張「でも、なんて綺麗なの……」


ミッドナイトパープルの流麗な車体に映りこむ、水銀灯とビル郡の光。

一切の隙も無くコントロールされるその姿。

刹那に広がるその光景に、思わず息を飲んだ。


夕張「これが、インターセプター……」
562 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:47:18.49

川内「青葉ぁ、それ何見てるの?」

青葉「リアルタイム中継ですよ。こちらが夕張さんのクルマに付けられたカメラの映像を。合わせてGPSを介した位置情報を表示しています」タブレット

長良「見せて見せてー」

青葉「コレは出撃時に使用している中継システムを簡素化したものですが、やはり精度抜群ですね」

由良「あ、成る程」

長良「それって提督が使ってるヤツ?」

青葉「その通りです。今となっては珍しいモノではありませんが、私達艦娘を陰から支える技術の一つですね」

夕張『速い速いぃ~っ!置いてかないでぇ!』

長良「音もバッチリだね」

由良「完全にテンパってる」

青葉「コレを応用すれば、スピードやタイム計測は勿論、装着しているクルマの状態……例えばアクセル開度やGの掛かり方、水温・油温等のあらゆるデータを確認することが出来るそうですよ」

長良「すっごーい。私も欲しいなぁ」

青葉「夕張さんがテストしている最中なので、仕上がれば装着してもらえると思います」

川内「で、今どの辺なの?」

青葉「霞トンネルに入った所です。迅帝、司令官、赤城さん、夕張さんの順ですね」

長良「でもスゴいもんだね。何だかんだ離されずに着いて行ってる」

563 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:48:07.46

霞トンネル――。

白銀に輝くトンネル内を駆ける3台の獣……と、夕張。

近未来的な景色とは裏腹に、右へ左へ連続する先の見えない高速コーナーのせいで、精神は確実に削がれる。

しかし、走ることを止めない。

瞬きをすれば、途端に姿を消してしまうような“迅帝”と“インターセプター”

かつての伝説を目の前にして、虎視眈々と墜とす機会を伺う赤城。

そして、この狂乱に紛れ込んでしまったと言わざるを得ない夕張。

漫画的な表現をすれば、体験したこともないスピード域に対応出来ずにグルグルと目を回しながらマシンを操っているような。

それでも最後尾で必死に喰らいつき、三台から離されずに留まり続けているのは見事だ。


夕張「死ぬ!死ぬ!無理無理っ!」

提督『夕張ー、無理しなくていいぞー』

夕張「こんな時に話しかけないでください!何でそんなに余裕なの!?」

提督『いつも岩崎相手にしてたら、自然とこうなる』

夕張「んなバカな!」

提督『しっかし俺もヤツも歳かなぁ。赤城さんはまだしもお前すら振り切れないとは、昔よりキレがなくなったかなぁアッハッハ』

夕張「あーっ!ムカつく!その言い方すっごいムカつく!」

叢雲『アンタも充分余裕ありそうね……』

夕張「と云うか、どうする気ですか。どう見ても膠着してますよコレ」

提督『時機に終わるさ。正直エンジンがタレてきてるし。アイツと赤城さんも苦しいハズ』

夕張「それならさっさと終わって欲しいもんですけどねぇ……」

提督『だから、お前も無理しなくていいんだって。降りるなら今の内だぞー』

夕張「意地ですよ!意地!」

提督『そんなもんトイレに捨てて流しちまえ。こんな所で使う言葉じゃない』
564 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:48:50.44

夕張「そもそも何で今更こんなことしてるんですか!?」

提督『俺が都高走るなんて今に始まったことじゃないだろ』

夕張「そうじゃなくて!今になって岩崎さんがRを引っ張り出して、提督とバトルになってるかってことですよ!」

提督『ああ、そっち?それ今無理』

夕張「ハァ!?」

提督『赤城さんが来た』


トンネル出口、上りながら急旋回する左コーナー。

赤城RX-7が提督のインに着き、提督180SXと並ぶ。

ブレーキング勝負はほぼ互角。

旋回性とトラクションで有利なRX-7が、CPから引き離しにかかる……が。


赤城「……っ!?」


グリップを失い乱れる挙動を抑えつけクリアーしようとするも、提督180SXは既に眼前に居た。

そして不幸にも、出口先の数百メートル先に進路を塞ぐ一般車の影。オーバーテイクするにも、距離が足りない。

テンポを乱された赤城は減速。その隙に提督180SXは射程圏内から離脱していく。


赤城「……最も得意とする区間で決めきれなかった」

赤城「マシンの熱ダレ……いえ、これは勝負所を見誤った私が未熟。セブンは応えてくれていた」

赤城「これがかつての伝説。まだまだ精進が必要ね」


赤城RX-7、スローダウン――。
565 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:49:53.50

青葉「赤城さんが退きましたね」

由良「夕張は?」

青葉「まだ着いてっていますよ。やりますね」

長良「でも、夕張もそろそろキツいと思うなぁ」

青葉「それでも迅帝と司令官のペースは変わらないのですが、それは……」

由良「もうお化けね」

川内「赤城さん退いたんでしょ?じゃあそろそろ終わるよ」スマホポチポチ

青葉「して、その根拠は」

川内「勘」

長良「わー、すっごい根拠」

由良「で、川内は何見てるの?」

川内「中古車情報サイト」

由良「何でよ」

川内「夕張と勝負する為だよ。シルビア……か。良いかも」

青葉「勝つことが目的なら、もっと速いクルマを選べばいいんじゃないでしょうか。ランサーとかインプレッサとか」

川内「だーかーらー。それで勝っても面白くないじゃん」

青葉「勝負はより確実で最善の方法を取るべきだと思いますが……」

川内「ワレアオバに言われてもなぁ」

青葉「ほっといてください!」

川内「CBR900かぁ。これ速そう」

由良「バイクは普通に速いヤツに行くのね」

川内YZF600……サンダーキャットだって!雷猫!カッコ良い!」

由良「サンダーキャットって、山猫のことよ?」

川内「……え?」
566 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:50:38.29

数日前・市川PA

提督「おう、コッチだ」スパー

岩崎「いい加減、タバコ止めたらどうだい」

提督「それは医者の視点か?」

岩崎「一般論として、かな。僕らもいい歳だからね」

提督「それをお前が言うのかよ。インプはどうしたんだ」

岩崎「あっちは街乗り用だからね」

提督「何が街乗りだよ(笑)。で、何でまた今更Rなんだ」

岩崎「別に今更なんて思っていないさ。僕らより上の人達だって乗っているんだから」

岩崎「しばらくインプレッサを乗っていたけど、やっぱり僕はRが好きなんだなって再認識出来たよ。いや、むしろ―」

提督「本当に好きなのはRB26、だろ」

岩崎「お、ご名答」

提督「ホントに変わらないなぁ……お前は」

岩崎「君こそ全く変わっていないじゃないか。あのワンエイティが証拠だよ」

提督「いやいや、俺だって好みも変わるさ。それに、いい加減ガタも来てるからさ……つい買っちゃったんだよね」

岩崎「何を?」

提督「Z」

岩崎「魔王の次は悪魔かな?」

提督「アホ言え。34のZだよ。ニスモのヤツ」

岩崎「似合わない」

提督「うっせ」
567 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:51:25.52

岩崎「……魔王はどうする気なんだ?」

提督「どうするも何も、今までと変わらねえよ」

岩崎「このままガレージの肥やしかい?」

提督「今更乗れって云うのか。アレに」

岩崎「夕張ちゃんなら、喜んで乗ってくれそうだけど」

提督「絶対嫌だ」

岩崎「分からないね。いつまでも過去に捉われていたら、進むモノも進まないよ」

提督「……そんなんじゃねえよ」

岩崎「誰よりもあのRが好きだったじゃないか」

提督「Rは今でも好きだよ。クルマが好きになったキッカケだしな。でも……あのRは別だ」

岩崎「まだ忘れられないのかい?彼女のことを」

提督「………」

岩崎「元々アレは彼女のクルマだったしね。手元に置いておきたいのも分からなくもないが……」

提督「これ以上、あのクルマのせいで誰かが狂うのを見たくないんだ」

岩崎「狂う?僕らはとっくに狂っていると思っていたけどなぁ」

提督「お前、ココを走ることに抵抗は無いか?」

岩崎「……あるよ。どんなに取り繕っても、僕らの行為は正当化出来ない。出来るはずもない」

岩崎「それでも、僕らはここに居る。いつだって忘れたりしないさ」

提督「だから何だってんだよ。口では認めていようと、やってることは結局同じだろ」

岩崎「だからだよ。僕らはその業を一生背負って生きていくしかない。愚か者としてね」

岩崎「それに、身体に悪いものは旨いものって言うしね」

提督「本音はそれかい」

岩崎「元々そんな所から始まってるんじゃない?そして引き返せなくなった。自分から登っておいて降りることが出来なくなった猫みたいなものさ」

提督「降りれない猫ね……確かにその通りだわな」
568 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:52:07.79

岩崎「久々に走ろうか」

提督「はぁ?」

岩崎「いつまでも吹っ切れないなら、さっさと終わらせようじゃないか。“環状のインターセプター”さん」

提督「終わらせる?」

岩崎「そのままの意味だよ。僕のRがワンエイティを潰す」

岩崎「完膚なきまで叩き潰して、その次は……魔王だ」

提督「ああ?お前、環状で俺に勝ったことないだろ」

岩崎「それ以外では負けた記憶がないなぁ」

提督「オメーのハンペンRに俺が千切られるワケねぇべ」

岩崎「ハンペンって……何処の方言なのソレ」

提督「おっと。つい地元の方言が」

岩崎「君は茨城出身なのかい?」

提督「いや、神奈川生まれの神奈川育ち」

岩崎「ああ、そう……」

提督「まあ、いいや。受けてやるよ」

岩崎「……本気で来い。僕らの因縁、いい加減ケリをつけよう」

提督「そうだな。終わらせるか、俺らの青春を」


叢雲「男ってバカな生き物ね……」
569 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:52:55.35

夕張「赤城さんが道を譲ってる……前に出るのはいいけど」

夕張「出たら出たで何すればいいか分からないわ……」

夕張「さて、と……どうしたものかしら」

夕張「竹橋を過ぎたし、環状線なら江戸橋、京橋、銀座……京橋か」ブルッ

夕張「でも今の私なら大丈夫だ。問題ない」


環状線で屈指のツイスティック区間を抜け、神田橋ジャンクションへ。

先頭の迅帝、夕張の予想に反して左側の深峰・向島方面のレーンを選択。

多少ペースを落とす……。


夕張「深峰線?また湾岸へ出るのかしら?」

提督『あー、夕張。多分このまま横浜まで行くから、先に帰ってもいいぞ』

夕張「横浜までって、湾岸で勝負したら提督が不利じゃないですか。だから大井でUターンしたんでしょ?」

提督『そんなこと言ってたらアイツの相手なんか務まらねえよ。このクルマでもある程度の最高速勝負は出来る』

夕張「で、でもぉ……」

提督『いいから帰れって。今日はこれで仕舞いだ。じゃあな』ピッ

夕張「あ、ちょっと!?なんなのよもう!」

夕張「でも……何か嫌な感じ。少し寒気がするような」


ジャンクションを過ぎた辺りで、無意識にルームミラーを確認する。

今しがた抜いた商用車のバンのライトが見えた。

クルマの通りは少ない。渋滞の情報も無い。流れは最良である。

それでも、胸につっかえる不安感。

以前見かけた、あの黒いGTOを見た時のような……。

そしてもう一度、確認……環状の方からクルマが来るようだ。影も見える。

しかし、やたら低く幅が広い。

――何より、速い。


夕張「まさか……」


Z15A GTO・改 “戦艦”

出現――
570 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:53:47.34

漆黒に染まったそのGTOの姿は、かつての大日本帝国の戦艦を髣髴とさせる、圧倒的な存在感を示していた。

しかし、この寒気は何だ。

ゆっくりと夕張の背後に着く。

まるで周りだけ時間の流れが違うような、この空気は……。


夕張「またコイツ……一体何なの!?」


青葉「せ……“戦艦”が……」アワワワ

川内「!?」ガバッ

川内「やっぱりコイツだ……!」


叢雲「後ろに何か来たわよ……知り合い?」

提督「いや、全くの初対面だ」

叢雲「何なのアイツ……このプレッシャー、まるで深海棲艦じゃない」

提督「赤城さん以上にややこしいヤツが来ちまったなぁ……どっから嗅ぎつけたのやら」

叢雲「どうする気?」

提督「さてね……見逃してくれるようなヤツでもなさそうだし、このままランデブーかね」

叢雲「アンタの目的はどうするのよ。決着つけるんでしょ」

提督「とは言ってもねぇ……来るぞ」
571 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/04(火) 14:54:46.53

小ネタ ある日の峠

川内「んーっ!夜通し走ったけど、やっぱりヌー子に乗るのは楽しいなぁ。提督に感謝だね」

川内「でも、もう少し低回転からパワーが出てくれると楽そうだなぁ……」

川内「摩耶さんはリッターのSSに乗れって言ってたし、いっそ大型免許も取ろうかな」

川内「ま、いっか。今度夕張に相談してみよっと」

「アナタが最近売り出し中のNSRさんっぽい?」

川内「ぽい?」

夕立「おはようございます。もしかして川内さん?」

川内「およ、夕立じゃない。何してるのこんな所で」

夕立「それは夕立の台詞っぽい。川内さんが噂のNSRだったの?」

川内「え、私噂になってるの?照れるなぁ」

夕立「みーんな噂してるよ。NSRに乗ったすっごく速い女の子。まさか川内さんとは思わなかった」

川内「私は気紛れに走ってるだけだよ。で、夕立は?」

夕立「同じっぽい。たまにココに来るの」

川内「へー。もしかしてあのバイクがそう?」

夕立「うん。ZX9Rなんだけど、ちょっと扱いづらいっぽい」

川内「うわー、速そうだね」

夕立「ところで川内さん。夕立、お願いがあるっぽい」

川内「ん?なになに?」

夕立「ココは夕立のテリトリーだから、あ ん ま り 調 子 に 乗 ら な い で く れ る ?」ザワッ

川内「……それは私への宣戦布告かな?」

夕立「最近なかなか速い人が居なくって、夕立つまんない。でも、川内さんが相手なら楽しめるっぽい!」

川内「勝負したいのなら受けて立つよ。でも……」


川内「噛 み つ く 相 手 を 間 違 え る な よ 、犬 っ こ ろ 」

夕立「さあ……」クスッ


素 敵 な パ ー テ ィ ー し ま し ょ う ?


夕立には夢繋がりでユメタマを。
こんな展開考えたけど、続けるかは微妙っぽい!
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 16:47:55.58

違うとわかっていても、霞や大井という単語を見ると艦これキャラの方が出てきてしまう
579 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:21:45.73

提督「しかし、とんでもねえなアイツ……コイツで勝てるかなぁ」

叢雲「確かに雰囲気は凄いけど……ホントにクルマなの、アレ」

提督「都高ってのは面白いモンでさ。時々居るんだよ、ああいう得体の知れないヤツが」

叢雲「……前の人は?」

提督「あれは自他共に認める化け物だよ。ただ、アイツが正統派なら後ろのGTOは……異形だな」

叢雲「異形?」

提督「そうだな。何だろな……三式機龍化したメカキングギドラ」

叢雲「……よく分からないわ」

提督「いや、俺にも分かんね。上手い例えが見つからねえや」

提督「要するに、有り得ないのよ。少なくとも今まで生きてきた中であんなGTOは知らないね」


深峰線に突入する四台。

新環状線と呼ばれる中でも、高速コーナーを主体に構成された区間だ。

新木場ランプ手前、夕張180SXをあっさりパスするGTO……提督180SXに照準を合わせる。

S字進入で二台が並ぶ。


夕張「パワーは岩崎さん位ありそうね……でもっ」

夕張「GTO相手にブレーキングで負けられないでしょ!」


パワーは劣っていても、重量級のGTOならばコーナーで勝負出来ると踏んだ夕張がブレーキングで差を詰めた……だが。


夕張「ちょちょちょっ!立ち上がり速すぎでしょ!」


コーナー脱出時には、有り余る強大なトルクと四輪駆動の利を活かし、夕張を置き去りにする。

加速するGTOの巨体が揺れる。


夕張「はっやーい……何の冗談よ」

夕張「詰められたのは入り口だけ……コーナーまで速いんじゃ、どうしょうもないじゃない」


高速域は、迅帝RとGTOの独断場。

2Lターボ車の180SXはじわじわと離されていく。

250キロ級のハイスピードバトル……夕張はまだ、これより先のスピードは知らない。


夕張「計算上280キロ位までは出せるはずだけど……そこまで持って行ったことないのよね」

夕張「最高速トライ……行けるかっ」


湾岸線、合流――!
580 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:22:47.04


提督「こっから先はヤバい領域だぜ……湾岸じゃ、あの二台には勝てそうも無い」

叢雲「……ちょっと、今何キロ出てるのよ」

提督「290!」

叢雲「に……っ!?バカじゃないの!?」

提督「40ノットの島風だって、時速に直せば約74キロだしな。軽く4倍だ」

叢雲「海上だから出せるんでしょ!ココは公道よ!」

提督「一応300はギリで越えるんだよ、このクルマ。でも、そこから先に持って行くのは無理……」

叢雲「あの二台は……?」

提督「320は出るだろう。もしかしたらGTOの方が上かも知れん。元はと云えば高速ツアラーだしな」

叢雲「高速って言っても限度があるでしょ!」

提督「……並ぶぞ」


最高速トライ。

何かあれば一瞬で全てが吹き飛ぶ狂気の世界。

水を得た魚のように、GTOの速度が増していく。

海底トンネルに入る頃には、下り勾配も相まって既に300キロに迫っていた。

提督の180SXとGTOが横並びになる。

300、301、302……いかに提督といえど、180SXに余裕は無い。
581 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:23:49.59

一瞬、提督は横に並ぶGTOを見た。

ハッキリ言って、最高速勝負に持ち込めるようなクルマではない。

抜かされるのも時間の問題。ならばせめて、ドライバーの顔だけでも拝んでやろうと、そう思ったのだ。

オレンジ色のナトリウムランプに照らされるその横顔は、彼のよく知った顔だった。


扶桑 ニコッ

提督「……ふ……そう……?」


扶桑が微笑んだその直後――

ガシャン!


提督「ッ!?」

叢雲「な、何よ今の音!?」


エンジンルームから突如鳴り響いた破壊音。


提督「エンジン死んだわ……クラッチ間に合って良かったぁ」

叢雲「ちょ、そんな急に壊れるもんなの!?」

提督「こんな使い方してるんだ。壊れる時は壊れるさ」

叢雲「……一応聞くけど、もしクラッチ切ってなかったらどうなってたの?」

提督「エンジンロックして、どっかに吹っ飛んでたな。おお怖い怖い」

叢雲「き、気楽に言うわね……」

提督「しっかし、前兆は無かったんだけどな。俺だけじゃなく、コイツも鈍ってたのかね」
582 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:24:59.81

夕張「ちょ、提督白煙出てる!何!?なんなの!?」

提督『あー、もしもし夕張?生きてるかー?』

夕張「コッチの台詞ですよ!どうしたんですか!?」

提督『分からん。ロッカーアームが飛んだのかね』

夕張「白煙出てますって!どう考えてもロッカーアームどころじゃないですよ!」

提督『マジでか。そりゃあ吹けないワケだ。中から死んだかなぁ』

夕張「何でそんなに落ち着いてるんですか!?信じらんない!」

提督『生憎SRのブローは慣れっこだからねぇ……』

夕張「兎に角、このままじゃ立ち往生ですから出口まで押しますよ!」

提督『凹ませるなよぉ』

夕張「保障できません!大人しくしててください!」

提督『俺のワンエイティが死んでいく……』

夕張「うっさい!」
583 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:25:43.49

大井ランプ出口付近

提督「うーむ……やっぱりバラさないと分からんな」

夕張「………」

提督「何でお前がそんな顔してるんだよ。理由はどうあれ、いずれは壊れたんだ。それが偶々今日だったってだけだろ」

夕張「それは……そうですけど……」

叢雲「で、今夜はどうする気?夕張のクルマ、二人しか乗れないみたいだけど」

提督「お前は夕張に乗せてもらえ。俺は適当に帰る」

夕張「適当にって……ワンエイティはどうするんですか?」

提督「明日ローダーで持って行ってくれ」タバコ

夕張「人任せですか」

提督「ま、適当にやっといてくれ」

夕張「あっ、ちょっと!何処行くんですか!」

提督「テキトーに帰るわ。じゃな」ノシ

叢雲「この辺ってタクシー拾えるの?」

夕張「多分居ないと思う……」

叢雲「ま、アイツなら何ともないでしょ。さっさと帰りましょ」

夕張「え、ええ……」
584 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:26:55.39

叢雲「……何なのかしらね」

夕張「エンジンが壊れた理由?詳しく見てみないことには……」

叢雲「違うわよ。アイツといい扶桑さんといい、何でこんな馬鹿げたことしてるのかってことよ」

夕張「扶桑さん……?」

叢雲「あの黒いクルマ、ドライバー扶桑さんだったわ」

夕張「ハァ!?」 

叢雲「私も見たから間違いないはずよ」

夕張「おおう……もうワケが分からない」

叢雲「それはコッチの台詞だわ。どういうことなの」

夕張「まさか本当に扶桑さんがGTOのドライバーだったなんて……」

叢雲「それと……クルマってあんなに速くなるものなの?」

夕張「車種によるね。提督のクルマでもギリギリ300キロ出るみたいだけど……」

叢雲「出てたわ。304キロ。バカかと」

夕張「そんなに出るの!?ヒエー……」

叢雲「このクルマは?」

夕張「め、メーター読みで270キロ……」

叢雲「話にならないじゃない」

夕張「 」

叢雲「離れていった……公道で300キロだっていうのに」

叢雲「ホント、狂ってるわ」

夕張「………」
585 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:27:47.64

翌日

夕張「うーん……ロッカーアームは外れてるけど、これだけが原因とは思えないわ……」カチャカチャ

川内「ロッカーアームって?」

夕張「簡単に言えばバルブを支える部品なんだけど、SRは高回転域でコレがズレることがあるのよ。でも提督のエンジンはラッシュアジャスターを廃しているし、下手するとバルブスプリングが波打ってブローした可能性もあるわね」

川内「???」

夕張「要は、持病の尺が悪化したってこと」

川内「ふーん……」

夕張「と云うか、何で着いてきたのよ」

川内「私もさ、クルマ買おうと思ってるんだ」

夕張「マジ?」

川内「大マジ」

夕張「何買うのよ」

川内「考え中ー。シルビアとか良いなって思うけど」

夕張「ランエボとかにしとけばいいじゃない」

川内「皆それ言うんだけど、そんなに良いの?」

夕張「ワンエイティよりはよっぽど速いよ。四駆だし」

川内「じゃあ、何で夕張はワンエイティに乗ってるの?」

夕張「パーツは多いし、人気車種だから色々なノウハウもあるからね。運転も含めて沢山の技術が学べると思ったからよ」

夕張「でも単純に速い車に乗りたかったら、ランエボやインプレッサ、二駆ならFDやS2なんかが良いんじゃない?シルビア・ワンエイティは年式の割に高くなってるし」

川内「じゃあ、やっぱりシルビアにしよっと」

夕張「人の話聞いてた?」

川内「ただ速いだけじゃ面白くないし、FDは赤城さん、S2は金剛さんのクルマでしょ?被るじゃん」

夕張「それはそうだけど」

川内「うん!決めた!シルビアにする!」

夕張「それはいいから、ローダーに積むの手伝ってよ」
586 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:28:35.22

執務室

金剛「ヘーイ!提督ぅ!私とバトルしてくだサーイ!」バンッ

叢雲「アイツなら帰って来てないわよ」カキカキ

金剛「ワッツ?何処行ったデース?」

叢雲「知らないわ。昨夜大井で別れたっきりだもの」

金剛「何かあったデスか?」

叢雲「アイツのエンジンがおシャカになって一晩放置。今夕張と川内が取りに行ってるわ」

金剛「リアリィ?じゃあ、私とのバトルは?」

叢雲「さあ?壊れ方の程度が分からないけど、あの様子じゃ当分無理じゃない?」

金剛「シット!折角ループウェイを走りこんだっていうのに!」

叢雲「あのねぇ……アンタもいい加減にしなさいよ」

コンコン

叢雲「はーい。どなた?」

扶桑「失礼します」ガチャ

叢雲「悪いけど金剛。席を外してもらえる?」

金剛「どうかしましたカ?」

叢雲「いいから。あとコレ、今度の哨戒任務の内容だから確認してちょうだい」

金剛「……オーケー。提督が帰って来たらバトルの件伝えてくださいネ」
587 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:29:50.98

扶桑「ふふ、提督は人気者ね」

叢雲「ココの連中は揃いも揃ってバカばかりで嫌になるわ」

扶桑「あら。皆素直で良い子達ばかりだと思うけれど」

叢雲「……で、昨夜のアレは何なの?」

扶桑「アレ……とは?」

叢雲「昨夜の都高での件よ。貴女は良識のある大人の女性だと思っていたけど、私の見当違いだったかしら?」

扶桑「ああ……都高、ですか。提督のクルマはどうなったの?」

叢雲「さあ?今夕張達が取りに行っているけど、クルマに関しては無知だから知らないわ」

扶桑「そう。じゃあ、当分あのワンエイティが動かないのかしら。だとすれば……」


扶桑「……ようやく“魔王”に逢える……」


叢雲「魔王……?貴女何言って……」

扶桑「……昨夜でようやく証明された。私のクルマは、インターセプターはおろか迅帝さえも凌駕する……」

扶桑「私も伝言お願いします。私を相手にするなら、魔王でなければ話にならない、と」

叢雲「ちょっと!まだ何も聞いちゃいないわよ!」

扶桑「ねえ叢雲さん。提督の目に、私はどんな風に映っていたのでしょうか」

叢雲「知らないわ、そんなこと」

扶桑「そうよね……では、失礼します」ガチャ

バタン

金剛「………」

扶桑 ニコッ
588 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:30:48.33

夜・工廠

夕張 カチャカチャ

金剛「バリー。居ますカー?」

夕張「あら、金剛さん。どうしましたか?」

金剛「提督のクルマがブローしたって聞いたヨ。昨日、何があったネ」

夕張「湾岸で踏み抜いたらブローってトコですね。エンジン降ろしてみましたが、クラッチはイってるわバルブは欠けて腰下までヤられてるわで、もうズタズタですよ」

金剛「Oh……なかなか酷い有様ネー」

夕張「もう新たにエンジン作り直さなくちゃダメかも知れません。ただ、提督はZ買ったみたいだし、もしかしたらこのまま廃車ってことも考えられますね」

金剛「ワッツ?Z買ってたんデスか?」

夕張「34Zのニスモですよ。私も昨日知りました」

金剛「それで、肝心の提督は……」

夕張「帰って来ませんね……負けて凹むような性格では無いと思うのですが……」

金剛「負けた?誰にデスか!?」

夕張「負けたっていうのは語弊がありますけど、例のGTOと走っている最中に壊れたんで……」

金剛「Mu……昼間扶桑と叢雲が話していた件デスね。GTOのドライバーが扶桑だったとは」

夕張「……私も驚きました」

金剛「実はそれで一つ聞きたいことがあるヨ」

夕張「何でしょう?」

金剛「魔王……とは、何デスか?」

夕張「……!!」
589 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:31:50.71

金剛「知ってる顔ですネ」

夕張「ええ……」

金剛「扶桑が言ってたヨ。『やっと魔王に逢える』と」

夕張「扶桑さんが?何でソレを……」

金剛「I Don't know.よく分かりませんが、ターゲットはその魔王ネ」

金剛「その魔王とは何デスか?まさか、ツチヤケーイチのDVDじゃないハズですネ?」

夕張「……私もちょっと前に知っただけですから、詳しいことは分かりませんが……」

夕張「かつて提督が乗っていたという青い32Rです。今でも離れたガレージに保管されています」

金剛「ワオ」

夕張「2.8LにRX6のツインターボ。あまりの速さから、畏怖を込めて魔王と呼ばれたそうです」

夕張「一度だけ実物を見ましたが……ハッキリ言って異常な雰囲気なクルマでした」

金剛「異常?」

夕張「佇んでいるだけなのに……まるで喉下にナイフを突き立てられているような、そんな空気を纏っていたんです」

金剛「オカルトっぽいネー」

夕張「そう思います。悪魔のZが実在したら、きっとこんな妖しさを持っているんだろうなって」

夕張「でも提督はただ保管しているだけで、ずっと乗っていないそうなんです」

金剛「どうしてソレを扶桑が知っていたか……デスね」
590 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 22:32:22.68

夕張「でも、扶桑さんが魔王の為にあのGTOを仕上げたというのなら、少し納得出来ます。あのGTOも、大口径を直に向けられるような殺気がありましたから」

金剛「Mu……」

夕張「私が知っているのはこれ位です。大した情報ではないですが……」

金剛「ノンノン。充分ヨ」

夕張「いえ……」

金剛「それにしても、提督がそんなモンスターを隠していたとは驚きネ」

夕張「そして扶桑さんのGTO……これからどうなっちゃうのかな」

金剛「ところでバリー!Hakoneのリベンジネー」

夕張「……へっ?」

金剛「ワタシはインターセプターとバトルする為にココに来ましたが、インターセプターがサタンになってしまっては流石にクラス違いヨ」

金剛「バット、いずれはサタンにも勝ちますが、その前に……バリーにパーフェクトウィンをしておかないとネー」

夕張「ええっ!?私アレで勝ったなんて思ってませんよ」

金剛「コレはワタシの問題ネ。バリー、いざ尋常に勝負!デスよ!」

夕張「え、えー……」
591 : ◆v5iNaFrKLk :2015/08/05(水) 23:18:00.81

小ネタ 現在の夕張ワンエイティの仕様を妄想する

エンジンはGT-SSタービンとポンカムの定番仕様。
なるべく高額にならないように流用パーツや、自作品が目立つ。
エンジン本体は手を加えていないものの、バランス取りはしたらしい。
その内排気系も自作したり、I/Cを中置きにしたりと色々企てている。
パワーは最大約380馬力。

足回りは車高調は勿論、S14用のメンバーを使って強化。
ブレーキはローターとパット、ブレーキホースを交換。そろそろキャリパーも交換したい。
タイヤはフロント215-17インチ、リヤは235-17インチでギリギリか。
ホイールはガンメタの5本スポーク。勿論5穴化してある。

ニスモのカッパーミックスクラッチとLSDを装備。
ミッションはノーマルだが、ファイナルは色々変えてるようだ。
フライホイールは自分で軽量化した。

エアロは提督に派手と言われたが、実は後期純正風エアロ。
低めのGTウィングが無かったら東北仕様に見えなくもない。
パステルイエローに穴開きカーボンボンネットが映える。

ロールバー装着の為、後部座席は取り払い。
快適装備は残しているので、街乗りも出来る(燃料ポンプの音がうるさいが)。
シートは中古の黒いセミバケ。ハンドルはナルディ・クラシック。
MP3プレイヤーを繋いで、お気に入りの曲をかけては熱唱している。

596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 00:03:44.66
おつ
俺のワンエイティが死んでいく……>これはウザいwww
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 00:42:29.75
>>582
提督『俺のワンエイティが死んでいく……』
唐突なタカに草
あのシーンいいシーンなのになんでこんなにウザくなるんだw
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 04:03:53.20
乙でした
魔王…いったい何月なんだ
このシリーズSS:

夕張「クルマ買いました!」 【前編】


夕張「クルマ買いました!」 【中編】


夕張「クルマ買いました!」 【後編】



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