提督「朝潮型、索敵!」

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 22:21:03.24

羽黒「あ、あの……」

提督「羽黒よ、君はいつから朝潮型になったのだ」

羽黒「い、いえ……その……」

提督「みなまで言うな。 君の気持ちはよーく分かるぞ」

羽黒「……はい?」

提督「私は朝潮型の容姿、性格、幼さ、あどけなさ、小ささ……すべてが大好きだ」

羽黒「は、はぁ……?」

提督「君がそんな、私に愛される朝潮型に憧れる気持ちは分かる」

羽黒「えっと……」

提督「だがしかし、君には君の良い所があるんだ」

羽黒「いやあの……」

提督「私は各方面からロリコンだの犯罪予備軍だの適当なことを言われがちだが、

   羽黒のような綺麗な女性も好きだ。ぱふぱふされたいし、太ももに挟まれたいとも思う!」

羽黒「ぱ、ぱふぱふ……!?」

提督「だから羽黒、君は君のままでいてくれ」キリッ

羽黒「提督……」

提督( 決まった…… )ニカッ

羽黒「う、うわぁあああああん」ボロボロ

提督「あれ!? な、ななな何で泣いちゃったの!?」




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64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:43:36.40
前作

提督「朝潮型、整列!」


提督「朝潮型、出撃!」


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 22:45:09.38


    ~ 数分後 ~



提督「……なるほど、廊下を歩いていたら大潮に無理矢理代理を頼まれたと……」

羽黒「は、はい……あの、なかなか言い出せなくてすみませんでした」

提督「いや、君が謝ることではない。いや、むしろ私に謝らせてくれ。

   調子に乗りすぎた結果、羽黒を泣かせてしまって割とガチでへこんだ。すまない……」

羽黒「い、いえそんな……私が泣き虫で……」

提督「とにかく、大潮のワガママに付き合わせてしまって悪かったな。

   素直に来てくれそうにないから、たまには私の方から彼女らに会いに行くとしよう」

羽黒「はい……あっ、多分みんな、今はお風呂に入っているので……」

提督「風呂だな、分かった。 双眼鏡どこにしまったっけ」

羽黒「あ、あのぉ……そういうのは……」

提督「うそうそうそ……冗談だ。 ふぅ、では羽黒は自室へ戻っていいぞ。悪かったな」

羽黒「い、いえ……それでは、私はこれで……」コツコツコツ…

提督「あ、そういえば」

羽黒「はい?」

提督「太ももで挟むのは別に嫌じゃないんだよな?」

羽黒「………………」


    バタン!


提督「…………あれ」

羽黒「いやぁああああーーーーーー!!」



8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 23:07:05.99

~ 駆逐艦寮 会議室 ~



朝潮「えー、今回の議題ですが……特にテーマを定めていませんので、話したいことをどうぞ」

大潮「ハイハーイ!」

朝潮「どうぞ」

大潮「最近の、朝潮型の任務について!」

朝潮「私たちの任務についてっと」キュッキュッ

霞「珍しく気が合うわね。私も、大潮と同意見だわ」

朝潮「他に同意見の人は?」

荒潮「はーい、私もかしら」

霰「……じゃあわたしも」

満潮「全員同じ、朝潮だってそうなんでしょ?」

朝潮「えぇ……まぁたしかに」

霞「最近の私たちの任務……ひいてはあのゴミクズ司令官の課す任務に、皆が不満を抱いているのは明白ね」

朝潮「ふ、不満というわけでは……司令官にだって、何かお考えが……」

荒潮「まぁそうかもしれないわねぇ」

大潮「えぇー、だとしても理由くらい言ってくれたっていいじゃんかねー?」

提督「ふむ……そんな風に思っていたのか……」


一同「し、司令官!?」


満潮「いつからそこにいたのよ……」

提督「君たちがお風呂から上がってきたところからだ」

荒潮「あらぁ~、いけない司令官ねぇ」

霰「ぜんぜん……きがつかなかった……」

朝潮「はっ……もしかして、隠密行動の訓練ですね、司令官!」

提督「うむ、その通りだとも」

霞「ふーん、さすが私たちの司令官ね。 あ、もしもし憲兵さんですか?」

提督「何事もなかったように憲兵呼ぶのやめてェ!?」

霞「はぁ……冗談よ。で、説明してくれるんでしょうねぇ?」

提督「説明? なんのだ?」

霞「とぼけないで! 最近の、私たちに向けた不名誉な任務の数々についてよ!」

荒潮「今思えば、あれは那珂ちゃんのCD販売のお手伝いから始まったのよねぇ……」

霰「次は空母の人たちがのむ……お酒の運搬……」

満潮「次は倉庫の棚卸し」

霞「それからも、やれ大掃除だの探し物だの……完全に私たちを舐めてるとしか思えないわ」

大潮「司令官! 大潮はもっと出撃して、ドーンと戦いたいです!」

提督「なるほど……それが君たちの不満か……。 朝潮はどう思う?」

朝潮「私は……私も皆と同じ意見です。 我々は艦娘としてこの鎮守府に存在しています。

   それは戦うためであり、守るためでもあります。それなのにずっと出撃もせず、

   ただ雑務をこなすだけの毎日……私たち艦娘にとって、それは非常に辛い気持ちになります」

提督「そうか。君たちの言うことはよーく分かった。 では先ほど君たちにお願いしようとしていた任務を伝える前に、

   “理由”とやらを話しておかなければならないようだな」

一同「…………」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 23:23:02.08

提督「実は少し前から、大規模な作戦が展開されているんだ」

霞「は? 私たち、そんなの聞かされてないわよ!?」

提督「作戦が開始された頃、君たちはちょうど那珂のCD販売の件で忙しかったみたいだから、伝えそびれていた」

満潮「それにしたって、ずいぶん時間が経っても私たちが知らないってどういうことよ」

提督「今回の大規模作戦は、他方の鎮守府と協力して行われている。

   そして……うちの鎮守府からは駆逐艦は出さない話になっているんだ」

朝潮「それは……私たちの練度が、まだ足りていないということでしょうか?」

提督「いいや、断じてそんなことはない。だが、大本営のお偉いさま方には、

   艦娘としての練度より、スペックの高さを重要視されてしまった。

   結果的に、うちからは戦艦や空母、重巡を派遣。駆逐艦は別の鎮守府から、陽炎型や夕雲型が参加している」

一同「…………」

提督「私はそれが悔しくて……なかなか君たちに伝えられずにいた。 本当にすまなかった」

朝潮「最近は妙に鎮守府が静かだと思っていたら、そういうことだったのですね……」

霞「でも、雑用なら私たちじゃなくて……他の駆逐艦の子でもいいじゃない」

提督「そうだな。他の子たちでも良かったが、ああいう雑務はある程度練度が高くて、

   昔からこの鎮守府にいる君たちの方が……頼みやすくてな」

満潮「なるほどね……私たちしか頼める相手がいないってことね」

提督「そうなんだ。頼りになるのは君たちだけなんだ」

荒潮「そう考えると、なんだか悪い気はしないわねぇ」

霰「わたしたちは……ここに、必要な存在……」

提督「うむ、その通りだな……私も大変助かっている」

大潮「そっか……ごめんなさい司令官! 大潮、そうとは知らず、招集無視して羽黒さんに行かせてしまって!」

霞「……は? え、待って大潮、そこんとこ、もう少し詳しく」

大潮「今朝司令官に会った時、朝潮型全員で司令室に集まるように言われたんだけど、

   また変な任務を任せられるだろうと思って、近くにいた羽黒さんに押し付けてきたんだー」

満潮「あんたバカなの……」

荒潮「大潮ちゃん、そういうのはまず、きちんと私たちに言いましょうねぇ」

大潮「え、だって皆、任務に不満あるって……」

霰「それはそれ、これはこれ」

朝潮「大潮……たとえ不満があっても、司令官の招集命令を無視する行為は軍規違反よ。

   その軍規違反には私たちも巻き込まれるし、その招集がもっと重要な意味を持っていた場合、

   取り返しのつかない事態になっていたことも考えられるわ。

   私たちが司令室に行かないことで、こうして司令官直々にご足労頂いてしまって……。

   寛容な司令官だから良かったものの、他の鎮守府だったらどんな処罰が下されていたことか……」ガミガミ

大潮「あ……えっと……」

霞「はぁ……一番艦が大潮じゃなくて、本当に良かったわ」

霰「朝潮が一番艦……わたしたちの旗艦でよかったと再確認した……」

荒潮「でも大潮ちゃんが二番艦……私たちのお姉さんにあたるのよねぇ」

満潮「そうそう、一番の不満はソコよねぇ」

大潮「ガーン……大潮、皆からの信用なさすぎてショック!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 23:42:31.19


朝潮「ま、まぁまぁ……。それより、やはり司令官は私たちの尊敬するお方であることが分かりました!

   この朝潮、司令官の指示する任務であれば、なんでもお受けする覚悟です!!」

提督「ん? 朝潮」

朝潮「はい!」

提督「今、何でも受けるって言ったよな?」

朝潮「は、はい!」

提督「リーダーである朝潮が任務を承諾したということは、朝潮型全員が承諾したということにもなるよな?」ニヤッ

朝潮「…………あ、はい、おそらくは」

霰「え」
荒潮「あら?」
霞「ちょ…」
満潮「あ……」

提督「よーし、よく言った朝潮! では遠慮なく君たちに次の任務を与えよう! それは――――」


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 23:54:12.88


~ 数時間後 ~



朝潮「ではこれより、会議を続行します……」

霞「はぁ……なんだか結局、あのクズにうまく乗せられたわね……」

荒潮「まぁどの道、私たちにお願いするしかなかったみたいだし、仕方ないといえば仕方ないのだけど」

霰「なんだか……腑に落ちないきぶん……」

朝潮「えっと……ごめんなさい。私があの時……」

満潮「朝潮は悪くないわ。いいから続けてちょうだい」

大潮「そうそう! 誰も悪くない!悪くない!」

満潮「あんたは少しは反省しなさい」

朝潮「……コホン。では今回の議題ですが、先ほど司令官が仰られた任務……

   『 裏山での索敵 』について、情報交換を交えつつ作戦を練っていこうと思います。

   まずは鎮守府の裏山について、挙手により情報交換を行いたいと思います」

荒潮「はぁい」

朝潮「どうぞ」

荒潮「裏山って、行ったことはないけれど、向こうの窓に見える山のことよねぇ?」

霰「そう……だとおもう」

荒潮「あれって、どう考えても鎮守府の表側にあるのに、なんで裏山って呼ばれてるのかしら?」

満潮「言われてみればそうね……第一鎮守府の裏って海だし」

霞「私も裏山っていう認識だけど、そもそもこの『裏山』って、誰が最初に言い出したわけ?」

大潮「たしかに! 今回の任務では、この謎が成功の手掛かりになるかもー!?」

満潮「ならないから、少し黙ってて。 おせんべいあげるから」

大潮「やーりぃー! ちょうど小腹が空いててさー!」バリバリ

霰「たべてても……うるさい……」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 00:09:06.29


朝潮「えっと……裏山という名称についてなら、私は照明弾の使用訓練の時に、妙高さんから聞いたわ。

   ちょうどあの裏山のてっぺん辺りを照らすように……みたいな感じで」

荒潮「あー……そういえば、たしかに重巡の人は裏山ってよく言ってる気がするわぁ」

霰「わたしも、そんな気がする」

満潮「今思えば、戦艦や空母の人たちは『あの山』って表現することが多いわよね。

   山の名前なんて知らないから、当然といえば当然だけど」

霞「つまり……重巡を中心にその呼び方が広がってるって、考えていいのかしら?」

朝潮「重巡の方々から教えを受けている軽巡や駆逐艦が、その呼称を真似ていると考えれば、そんな気もするわね。

   はい、では他に疑問点や知っていることがあればどうぞ」

大潮「ハイハーイ!」

朝潮「どうぞ」

大潮「噂によるとあの山…………出るらしいよ!」

霞「で、出る? 出るってつまり……」

荒潮「幽霊が出るってことかしら?」

大潮「そう! でも出るのはソレだけじゃない!」

霰「わたしもきいたことある……鬼がでるって」

満潮「は? 鬼?」

大潮「霰正解! そう……夜になると、あの山には鬼が現れて人間を食べちゃうって……

   そして、食べられた人間の怨念が、あの山には充満してて……」

霞「フン! くだらないわね。大潮は放っておいて、朝潮、さっさと次を……朝潮?」

朝潮「…………」

荒潮「どうしたのかしら~?」

霰「朝潮……かたまってる……」

朝潮「…………。 はっ! い、いやなななんでも……では他に―――」

大潮「以前にも裏山の索敵をしたみたいなんだけど、その時に行方不明者も出たみたいなんだよね~。

   その艦娘は鬼に食べられ……そしてその魂は、今もなお裏山を彷徨っているとか……」

朝潮「…………」ブクブクブク

霞「うわっ、ちょっ、朝潮!? 大丈夫!?」

大潮「うわーー! 朝潮が泡噴いて倒れたーーーー!!」

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 00:21:36.48



~ 数分後 ~




朝潮「皆さん、先ほどは失礼しました」

満潮「そういえば朝潮って、こういう怪談とかって苦手なんだっけ」

荒潮「さっきの様子だと、もう苦手っていう範疇に収まらない気もするわねぇ」

霰「朝潮の弱点……」

朝潮「では気を取り直して、今回の議題、子猫の肉球についてですが―――」

霞「ほら見なさい大潮。 アンタのせいで朝潮がおかしくなったわ」

大潮「えー、大潮のせいー?」

荒潮「脳内が完全にお花畑になっちゃってるわねぇ」

朝潮「まず肉球というのはイヌ科の植物が耳の中に持っている直径12kmのテニスボールで―――」

満潮「ちょっとこれどうすんのよ……」

霰「朝潮のかたちをした……大潮みたいになった……」

大潮「私、ここまで酷くないー!」

霞「これは重症ね……。朝潮、アンタ今日はもういいから、その辺で休んでなさい」

朝潮「心配いらないわ荒潮。この通り、私は全然大丈夫だから」

霞「私は霞。はいはい、もう分かったから席に着きなさい」

朝潮「……タイヤキ君がそういうなら……」スチャ

霞「誰よタイヤキ君って」

荒潮「……となると、代わりは誰がやるの? 霞?」

霞「えっ……私? それはちょっと……」

大潮「ハーイ! じゃあ二番艦の大潮がやるー!」

満潮「そうね。大潮以外なら誰でもいいと思うけど」

大潮「ガ―――ン!」

霰「わたしも……朝潮の代わりは……無理……」


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 00:37:46.00


   コンコン



???「あ、あの~……」

大潮「入ってまーす!」

満潮「トイレかよ」

荒潮「はーい、どうぞ~?」


   ガラガラガラ……


羽黒「は……羽黒です……」

霞「羽黒さん? 大潮に仕返しなら、どうぞ構わないですが」

羽黒「あっ、いえ、そうではなくて……その……

   朝潮ちゃんたちが困っているだろうから助けてやれって……司令官さんが……」

朝潮「いえ、問題ありません司令官!」

満潮「いやいや問題大有りでしょう。特に朝潮が」

霰「たすけてくれるって……具体的にはどういう……」

羽黒「はい……。実は私、去年の今頃に、その任務を請け負ったことがあるんです」

荒潮「あら? そうなの?」

羽黒「はい。なので、色々アドバイスとか……できると思います……たぶん」

霞「へぇ~。それは心強いわ。じゃあせっかくだし、議長を羽黒さんにお願いしたいんですけど」

羽黒「ぎ、議長!? そ、そんな私……作法も知らないし、そもそもそんなことをやるタイプじゃ……」

霰「基本的にゆるい会議だから……きっとへーき……」

荒潮「そうよねぇ。人数もだいたい6~7人だし」

羽黒「じゃ、じゃあ……議長やります……」

大潮「さすが羽黒さん! 残りの司会進行、書記、記録係、時計係その他諸々も全部お願いします!」

羽黒「え……えぇ!? それ全部って、無理無理! いつもは誰がやってるの?」

満潮「いつもはぜーんぶ朝潮がやってるわ」

羽黒「え……」

朝潮「無理なんてことはありません司令官。この朝潮……3分と経たずにこの会議室を消し炭にしてみせます!」

霞「見てのとおり、今は朝潮がこんなんだから任せられなくて」

羽黒「いやいや……そもそもこういうのって、皆で分担してやるものだよね……?」

一同「…………」

満潮「そう言われてみればそうよね……」

霰「これは……逆転の発想……!!」

荒潮「のちに朝潮依存症として、後世に伝えていかなきゃならなくなるレベルねぇ」

霞「朝潮にはホント、頭が上がらないわ」

羽黒「じゃ、じゃあ私が議長でいいから、残りは皆で決めよう……?」

大潮「ハイハーイ! じゃあ大潮はおせんべい係ぃー!」

霞「ゴミ大潮。ゴミ箱はそこの扉を出て右に行ったところにあるわよ」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 00:46:47.14


~ 数分後 ~


大潮「それではジャンケンの結果、大潮が! 司会進行を務めまーす!」ドヤァ

満潮「これはもう、いきなり前途多難ね……。あ、記録係は私」

霰「わたしが書記……この書くやつ、一度やってみたかった……」

荒潮「私がその他諸々でいいのよねぇ? まぁ主に、ネジの外れた朝潮の面倒係ってとこかしらぁ」

霞「私が時計係。やるからにはキッチリやるから」

羽黒「わ、私が議長です……。皆さん、よろしくお願いします……」

朝潮「私はセキセイインコを務めさせて頂きます」

荒潮「あらぁ、楽しみだわ」

大潮「よーし! じゃあ、まず、えーっと、今回の任務の概要のおさらいをしたいと思いまーす!」

霰「任……務の……が……ぃ―――」キュッ……キュッ……

大潮「今回の任務は『 裏山での索敵 』です!

   具体的にどうすれば任務達成かというとー……えーっと……どうすればいいの?」


    ズコー!


霞「アンタねぇ……司令官の話をまるで聞いてないじゃない……」

大潮「いや~、難しくて何言ってるかわっかんなくて~」

羽黒「えっと……今回の任務は、去年の時と同じです。この辺り一帯の山に謎の生物を確認。

   住民に危険が及ぶ可能性があるため、これを捜索、確保せよとの決定が市で行われました。

   本来は市のお役人の方のお仕事なんですが、あの裏山だけは鎮守府が管理している山です。

   なので裏山に限っては、私たちがその任務を請け負う……ということらしいです」

大潮「ほえー」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 01:17:33.18

満潮「まぁ司令官は、『どうせこの辺りには出ないから、探索して、何もいないことを確認すればいい』って言ってたけどね」

羽黒「そうですね……。去年私が妙高姉さん達と探索した時も、それらしい生物は見かけませんでしたし……」

大潮「ううん! だからって油断は禁物だよ! もしかしたらその生物って、幽霊とか鬼なのかもしれないし!!」

朝潮「幽霊……鬼……幽霊……鬼……悪霊退散悪霊退散南無阿弥陀仏横浜中華街……」

荒潮「ちょっと~大潮ちゃん。またそんなこと言って、朝潮を怖がらせたらダメよぉ~?」

大潮「えー! だってぇー。 あ、ねぇねぇ! 羽黒さんもその噂、聞いたことあるでしょ?」

羽黒「え、まぁ……たしかにそういうのが出るって話は聞いてたけれど、何も見ませんでした」

霞「ホラ見なさい。まったく、大潮がそんなことを言い出すもんだから朝潮が……」

朝潮「ニンニク……あと十字架も用意しなきゃ……」

荒潮「それ違うわよ~朝潮」

大潮「うーん……じゃあ、去年の探索で行方不明者が出たっていうのはー?」

羽黒「あ……あの……それ、たぶん私のことかも……」

大潮「えぇ!? じゃ、じゃあここいにいる羽黒さんは…………妖怪!!?」

霞「そこは幽霊って言うところじゃないの」

羽黒「ち、違うの。私は裏山で一時的に妙高姉さん達とはぐれてしまっただけで、ふもとで合流できたから……」

大潮「なーんだ、そういうことだったのかー」

霞「何つまんなさそうにしてんのよ。あ……だいぶ時間が経ったわ、次の話進めて、大潮」

大潮「えーっと……じゃあ裏山探索に必要な道具とかについて! 必要そうなものをじゃんじゃん挙げてー!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 01:23:31.16

満潮「普通の登山として考えると、何と言っても水分……飲料水よね。あとは遭難しないように方位磁石とか」

霰「飲料…水…………方位……じ……あれ、どんな漢字だっけ」キュッ……キュッ……

荒潮「虫がたくさんいそうだし、虫除けスプレーとか必要そうよねぇ」

霞「靴は? あんまり今の靴を汚したくないんだけど」

荒潮「あぁ~、司令官が選んでくれたやつだったわねぇ~」ニッコリ

霞「べ、別にそんなの関係ないわよ! ただ汚れるのが嫌なだけだから!」

満潮「あとは雨具とか。山の気候は変わりやすいとか言うし」

大潮「じゃあじゃあ! おやつがいくらまでか決めようよ!」

霞「はァ? 遠足じゃないんだから」

朝潮「工廠から高速建造材を持って行くといいわ」

荒潮「焼き尽くすつもりかしらねぇ~」

大潮「羽黒さんは!? 何か持って行くもの!!」

羽黒「え、えぇ~っと、前の時はたしか夜遅くなった時のために探照灯を……。

   あと、前回の教訓を活かして、はぐれた時のために照明弾とか持って行くといいかも……」

霞「なるほどね。さっ、時間が迫ってるから他に意見があれば急いで」

大潮「武器持って行こうよ武器!」

満潮「何に使うつもりよ」

大潮「鬼が出るかもしれないし! あ、那珂ちゃんのCDの売れ残りあったでしょ? あれを手裏剣みたいにしてさー」

荒潮「あら~、弱そうねぇ」

羽黒「あの……那珂ちゃんのCDをそんな風に使っちゃ……」

霞「そんな無駄な荷物持って行けないわ。却下よ却下」

朝潮「待って! 今から業者に連絡して悪霊退散のお札を5000枚発注してくるわ!」ガタッ

荒潮「はーい、座っててね~」

羽黒「あ、あの……山に入るなら、服装とか―――」

霞「はい終わり! 10分経ったので次! 早くしなさい大潮!」

羽黒「あうぅ……」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 01:41:32.71

大潮「えっとじゃあ次は、探索時間とかルートとか!」

霰「え、あの……」

大潮「じゃあ参考までに羽黒さん! 去年のことを教えて!」

羽黒「は、はい……。探索期間は一週間。去年は早めに昼食を済ませて、ヒトヒトマルマルには入山した……と思います」

大潮「うんうん! で、帰りは?」

羽黒「日によって違うけれど、だいたいヒトナナマルマルくらいには戻ってきました……たぶん」

霞「なら、今年もそれで良さそうね」

満潮「で、探索ルートは?」

羽黒「そ、その辺りのことは那智姉さんがやってたから……」

荒潮「那智さんは大規模作戦に参加中だし、自分たちで考えるしかないわねぇ」

大潮「よーし! じゃあ地図を用意しよう!」

霞「地図ってどこにあるの?」

満潮「さぁ……いつも朝潮が持ってくるから」

荒潮「朝潮、地図の場所、分かるかしら?」

朝潮「司令官の執務机の二番目の引き出しよ」

荒潮「あら? そんな所に?」

朝潮「二重底になっているから、秘書艦の私しか知らないわ」

満潮「それ、地図じゃない何かでしょ……」

大潮「なになに! お宝の予感!?」

朝潮「お宝といえば……たぶんお宝ね……」

荒潮「それは私たちに話していい情報なのかしら?」

霞「あのクズ……いかがわしいものを隠しているに違いないわ……」

羽黒「で、あの……地図は……?」

大潮「まぁいいや! 山の中を適当にぐるぐる回ってれば大丈夫だと思いまーす!」

羽黒「え、えぇ~、それはちょっと……さすがに危険じゃ……」

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 01:52:45.28

霞「はい時間よ。とりあえず次」

大潮「よーし! なんだか良い感じ! じゃあお次は……何か決めといた方がいいことある?」

満潮「去年の羽黒さんじゃないけど、私たちもはぐれた場合どうするべきか決めておくべきね」

大潮「いいねぇ! いいねぇ! 羽黒さん的にはどうしたらいいと思う?」

霰「え、あ……ちょっと待っ―――」

羽黒「えっと……山の中は案外声が遠くまで響かないことが多いから、使用可能であれば無線を使ったり、

   夜なら照明弾を使ってみたり……色々やってみてダメだった場合、道が分かれば下山。

   分からなければむやみに動かない……っていうのを足柄姉さんから聞いたことがあります」

大潮「ふむふむ、なるほどー!」

霞「あとは……まぁ一応、今回の任務において旗艦を務めるのは誰かってことね」

大潮「そっかー、リーダーねぇ」

朝潮「それなら私がやるわ。私が必ず撃滅させてみせる」

荒潮「こんな状態の朝潮に任せるわけにはいかないし、誰かが代理を務めた方がいいわよねぇ」

満潮「そんなの、羽黒さんでいいじゃない、重巡なんだし」

羽黒「む、無理です無理です! 私は着任も皆さんより遅いですし、練度だって相当劣りますし……」

大潮「えぇー、謙遜しすぎだって羽黒さん」

羽黒「そんなこと……。 やっぱり、二番艦の大潮ちゃんがやるべきじゃないかと……」

霞「それは却下。大潮が旗艦なんて務めたら、戦闘でもないのに大破続出ね」

大潮「いやぁ~、それほどでも」

霞「褒めてないわよ……」

羽黒「じゃ、じゃあ霞ちゃんは? しっかりしてるし……」

霞「私、これでも朝潮型の末っ子よ?」

羽黒「それを言ったら私だって妙高型の……」

霞「なら羽黒さんでいいじゃない。同じ末っ子でもその資格があるってことなんだし」

羽黒「はうぅ……じゃ、じゃあ私……やります……」

荒潮「霞ちゃんに押し勝てるのは、司令官くらいねぇ」

満潮「霞、時間は大丈夫? そろそろこの会議室を空ける時間じゃない?」

霞「うん、いい時間ね。大潮、そろそろまとめでお願い」

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 02:00:05.53

大潮「じゃーあ、これまでに出た案を再度確認、決定したいと思いまーす! 議長、どうぞ!」

羽黒「え、私?」

大潮「最終決定は議長の仕事でーす!」

羽黒「は、はい……。じゃあ、がんばります……。

   えーっと、霰ちゃん、ホワイトボードを見せて。満潮ちゃんは最終決定の記録メモを」

霰「…………どうぞ」

満潮「りょーかい」

羽黒「まずは持ち物……えっと、お水と、方位じしゃくと、クツ……と、虫と雨具……以上です」

満潮「水、方位磁石、虫……虫!?」カキカキカキ

荒潮「それって、私が言った虫除けスプレーのことじゃないかしら?」

満潮「あ、あぁー、そういうことね。変な略し方しないでよ霰」

霞「ん、ちょっと待って? 他に羽黒さんが探照灯とか何とか言ってなかった?」

羽黒「そういえば……はぐれた時のためにって……」

荒潮「ホワイトボードには書いてないけど……霰?」

霰「話がはやすぎて……ついていけなかった……」

満潮「いつもこんな感じのテンポじゃなかった?」

霰「朝潮みたいに要点まとめて、すばやく書けない……」

大潮「それならストップって言ってくれればよかったのにぃー」

霰「言おうとしたけど、大潮が話を聞かずに、すぐ次の議題に進んじゃうから」

大潮「えぇ~、また私のせいー?」

朝潮「妖怪のせいです」

荒潮「は~い、持ち物はまた後にして、羽黒さん、続きをどうぞー」


21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 05:48:12.24

羽黒「えっとなになに……次は……探索の時間は『前と同じ』」

満潮「探索時間、前と同じ……」カキカキカキ

羽黒「探索ルートは『適当に回る』」

満潮「探索ルート、適当に回る……」カキカキカキ

霞「いやいやいや、何よこれ」

霰「これは……言われた通りに書いただけ」

荒潮「探索時間についてはあとで羽黒さんからもう一度聞けば済む話だけれど、

   探索ルートは……どうしてこんな結論になったのかしら?」

霰「大潮が適当に回ろうって言った……」

羽黒「私もやめた方がいいと言おうとしたのですが……」

大潮「えっ! いやー、まぁ、言ったけど! 他の案を挙げる前に霞が終わらせちゃうからー!」

霞「私のせい!? 仕方ないじゃない、時間がおしてたんだから」

荒潮「それじゃあ、とりあえず探索ルートについても後にして、羽黒さん続きを……」

羽黒「ええっと……『はぐれたらCDをシュリケンみたいに投げて助けを呼ぶ』……え?」

霞「霰……アンタ、ふざけてるわね?」

霰「ごめん。そこだけ本当にながくて書けそうになかったから、適当に書いた」

満潮「適当すぎでしょ……」

羽黒「あの、今回の会議のまとめは以上となります……」

大潮「よーし! 大変だったけど、なんとか時間内に終わったぞー!」

満潮「ねぇ、ちょっと」

大潮「なにー?」

満潮「この記録報告書って……あとで司令官に提出するのよね……」


一同「…………」


荒潮「場所を変えてもう一回、最初から話し合いましょっかぁ」

霞「私たち、朝潮がいないと本当にポンコツね……」


23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 09:56:09.35


~ 翌日 司令室 ~


提督「そうか……そういえば朝潮は、怖い話とかは苦手だったな」

朝潮「面目次第もありません……深海棲艦相手であれば平気なのですが……」

提督「いや気にするな。朝潮は良くやってくれてるよ。今だって、こうして秘書艦としての仕事もやってくれているし、

   なんだったら索敵任務の方は抜けてもらっても構わないぞ?」

朝潮「いいえ司令官。お気持ちはありがたいですが、やはり私は、あの子たちが心配です」

提督「ははっ、相変わらず妹想いだな、朝潮は」ナデナデ

朝潮「し、司令官……///」

提督「まぁ、今回ばかりは朝潮が一番心配なんだけどなぁ」

朝潮「うぅ……」

提督「ところで会議の記録報告書がまだ提出されていないんだが、どうなってるんだ?」

朝潮「あ、はい。私は会議の時の記憶がすっかり抜けてしまっているので」

提督「本当に大丈夫か朝潮……」

朝潮「なので、もうまもなく羽黒さんと大潮が提出しに訪れるかと――――」


  コンコン


羽黒「失礼します……羽黒です……」

提督「お、噂をすればだな。 いいぞ、入ってくれ」


24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 10:35:44.71

  ガチャ


大潮「司令官……大潮……記録報告書を……持ってきました……」

提督「おおご苦労……っておいおい、二人ともひどい顔してるぞ。大丈夫か?」

羽黒「すみません……昨日から会議をしていたのですが……思った以上に……時間がかかりまして……」

大潮「さっきようやく終わったので……持って、きました……」

提督「なんでそんなに時間がかかるんだ」

朝潮「ごめんなさい。私、参加できなくて」

羽黒「いいの朝潮ちゃん……。それより元気になったみたいで……良かった……」

提督「二人は全然元気そうじゃないけどな」

大潮「朝潮……いつもありがとう……」

朝潮「え? えっと、急にどうしたの……?」

提督「まぁとにかく、この報告書はしっかり目を通しておくから、二人はしっかり休養をとってくれ」

羽黒「はい……」

大潮「じゃあ司令官……よろしくー……」トボトボ

提督「あぁ。 ……あ、羽黒」

羽黒「はい」

提督「羽黒は去年の経験者として、重巡洋艦として、期待している。皆のこと、よろしく頼むぞ」

羽黒「…………はい。 失礼します」



   コツコツ パタン   



朝潮「司令官」

提督「なんだ?」

朝潮「羽黒さんの件ですが……いかがなさるおつもりですか?」

提督「うーん……正直どうしようかと思っていたが、これはいい機会だ」

朝潮「今回の索敵任務……もしや羽黒さんのために……?」

提督「いやいや、これは単なる偶然と、ちょっとした思いつきだよ」

朝潮「そう……ですか」

提督「ただちょっと、彼女にとっては試練であり、大きな分岐点でもあるがな」


25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 11:01:40.73


~ 翌日 ヒトヒトマルマル ~



大潮「じゃあこれから、いよいよ索敵任務を開始しまーす! いえぇーい! どんどんぱふぱふー!」

荒潮「いきなり元気いっぱいねぇ」

霞「っていうか何で大潮が仕切ってるのよ。旗艦は羽黒さんでしょ?」

羽黒「はうっ! ご、ごめんなさい!」

霞「いや別に羽黒さんを責めたわけじゃ……」

羽黒「あっ、そ、そうですよね! 霞ちゃんはそんな子じゃないのに……ご、ごめんなさい……!!」

霞(私たち、生きて帰ってこられるかしら……)

満潮「まぁでも良かったじゃない。初っ端から大雨とかじゃなくて」

霰「温かくて、風もあって……きもちのいいお天気……」

大潮「うんうん! なんだかバイキングに行くみたいで楽しみ!」

霞「それを言うならハイキングでしょ。どんだけ食い意地張ってんのよ」

羽黒「そ、それじゃあ出発しますが……体調の悪い人はいませんね? 朝潮ちゃんは……平気?」

朝潮「はい、今のところ問題ありません。対策もバッチリです」

羽黒「対策?」

朝潮「これです」


26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 11:31:00.50

荒潮「これって……」

朝潮「どんな悪霊が出ても、これで完全に消し飛ばすことができると、司令官から教えて頂きました」


一同「…………」


霞( あれって……拍子木、よね? )

満潮( 拍子木だわ )

荒潮( 拍子木ねぇ )

霰( まちがいなく拍子木 )

大潮「あぁー! 知ってるそれ! マッチ一本火事のもと~カンカン!ってやつ!」

朝潮「……火事?」

大潮「でもそれって、冬の乾燥した時期に――モゴモゴ!」

霞「さぁ大潮、お喋りはそれくらいにして、さっさと山に入るわよ!」

大潮「ちょっと霞~! なにし――ムグッ!」

霞「アホ大潮! 朝潮が拍子木のことをそういう道具だと思い込んでるんだから、

  わざわざ本当のことを言う必要なんてないでしょうが!」(小声)

大潮「お、おぉー! なるへそ~」(小声)

朝潮「あ、あの……何か変かしら?」

満潮「いやいやいや! なーんにも変じゃないわ!」

荒潮「そうそう! それスゴク効くらしいから、もう安心ねぇ」

霰「もうなにも……こわくない……!」

大潮「うんうん! これで幽霊なんて一発大破! まぁ、鬼に効くかは知らな―――ゴフッ!」

霞「―――朝潮もこれで大丈夫だし、じゃあ羽黒さん、よろしくお願いするわ」

羽黒「は、はい! それではこれより、入山します!」

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 12:18:59.53

~ 裏山 ~



霰「ここが……裏山……」

満潮「大潮が大袈裟に言うもんだからどんなトコかと思ってたけど、普通の山じゃない」

荒潮「傾斜もきつくないし、陽の光は届くし……これなら朝潮も平気よねぇ」

朝潮「えぇ。なんだか拍子抜けだわ」

荒潮(でも拍子木は手放さないのね……)

霞「まぁでも、今回ばかりは朝潮はお休みだから。何も考えずに僚艦として行動していればいいわ」

朝潮「そうね……お言葉に甘えさせて頂くわ」

羽黒「皆さん、少しでも何か不審なものが見えたら、不確かでも発言してください。

   あと、基本的には複縦陣を維持するようお願いします」

一同「はーい」

荒潮「あ、そういえば虫除けスプレー……誰か持ってきたかしら?」

羽黒「え? わ、私は大潮ちゃんが用意するって聞いたけど……」

大潮「えっ、いやいや! 『私たち』が用意するって言っただけで、誰も大潮が持ってくるなんて―――」

満潮「……その『私たちが用意する』っていうのを、私たちは聞いてないんだけど」

霰「…………」ウンウン

霞「私も持ってないわよ。荒潮が持ってくるだろうと思って」

荒潮「……あらあらー?」

大潮「えっとつまり……誰も持ってきてない?」


    チ~ン


羽黒「ま、まぁまぁ! 別に無くて困るものでもないし……」

朝潮「虫除けスプレーなら私、持ってるわ」

一同「えっ!?」

満潮「な、なんで!? 朝潮、会議にはほとんど参加してなかったじゃない!?」

朝潮「そうだけど、山に行くなら必要だと思って」

霰「さすが朝潮……」

朝潮「特に荒潮は虫に刺されやすいから」

荒潮「ありがとう朝潮、助かるわぁ」

朝潮「満潮はスプレーしてても何故か蚊に刺されるから、かゆみ止めも持ってきたわ」

満潮「あ、ありがと……」

霞「さすが朝潮型の旗艦……恐れ入ったわ」

羽黒「ご、ごめんなさい……私……頼りない旗艦で…………」

霞「いや、だから羽黒さんを責めてるわけじゃ……」

羽黒「あっ……私ったらまた! ご、ごめんなさい!」

霞「…………」


29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 14:23:09.84

~ ヒトサンマルマル ~


大潮「そうそう! 特に山は虫や動物がいっぱい! 地盤も不安定!

   急に大声を上げたり、急に走り出したら大けがに繋がることもあるんだから!」フンス

一同(あなたに言われたくない)

霰「ちょっと疲れた……」

満潮「そうね。あれから二時間くらい歩きっぱなしだし」

羽黒「では、そろそろ休憩に……しますか?」

霞「賛成」

荒潮「どこかに休める場所、あるかしら?」


     サラサラサラ……


大潮「ん? 何か聞こえない!?」

朝潮「これは……水の音?」

大潮「川……川だよきっと! カワカワカワ!!」

霞「どこに第二次攻撃しかけるつもりよ」

大潮「向こうの方から聞こえる! よおぉおし! 大潮、一番乗りぃいいい!!」タッタッタッ

羽黒「あ、待って大潮ちゃん……!」

満潮「こら大潮! 言ってるそばから走るな!」

大潮「うわー! 蜘蛛の巣に引っかかったぁ~!」

霰「何がしたいんだろう……」

荒潮「あんな大声出しちゃって、大丈夫かしら?」

大潮「ひえー! 蜂の大軍が襲ってきたぁああああーー!!」

満潮「自業自得ね」

霞「急に走り出して大声を上げると大けがに繋がる……身を持って教えてくれてるんでしょ?」

大潮「うわぁああーーー!! 見てないで助けてぇーーー!!」

羽黒「あわわわ……」

朝潮「大潮だめ! 無暗に走り回ったら――――」

大潮「うわぁあーーーー…………あ? あぁあああああ―――――」ズゴゴゴゴゴ

霰「大潮が……きえた」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 14:24:25.42

霞「ちょっ、バカ! その辺の崖から落ちたのよ!!」

荒潮「大潮ちゃーーん? 無事なら返事してーーー!」

満潮「大潮ーーー! 無事じゃなくても返事しなさーーーい!!」

羽黒(そんな……大潮ちゃん……私の監督責任……)

朝潮「大潮ーーー!!」

大潮「みんなーーー!!」

羽黒「……はっ、大潮ちゃん? 無事!?」

大潮「見て見てーー!! ほら、川があるーー! ここで一休みしようよぉーー!!」

羽黒「よ、よかった……」ペタン

霞「あっの大バカ……こっちの気も知らないで……」

荒潮「大潮ちゃんが頑丈で良かったわねぇ」

満潮「ま、ともあれ休憩できる所が見つかったみたいだし、結果オーライね」

朝潮「そうね。大潮にはきちんと注意しておくとして、私たちも行きましょう」

大潮「あっ! みんなー! 気を付けて下りてきてねーーーー!!」

霰「……本日二度目の、あなたが言うな…………」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 14:59:47.11

大潮「ゴクゴク……ぷはぁ! 川の水って冷たい! オイシー!」

霞「まさか飲料水すら朝潮以外に誰も持ってきていないとはね……不甲斐ないわ」

大潮「いいじゃん! 水ならこーんなにたくさん!」

満潮「たまたま行った所に川があって、たまたま川の水が綺麗だったってだけでしょ」




朝潮「ほら霰、お水」

霰「え……でもこれ、朝潮の……」

朝潮「私は川の水でいいわ。霰は冷たい水だとよくお腹壊しちゃうから、常温水の方がいいでしょう?」

霰「あ……ありがとう、朝潮……」

朝潮「えぇ、どうぞ」

霰「ゴクゴク……」

朝潮「おいしい?」

霰「う、うん……おいしい」

朝潮「うん、よかった」ニコッ




羽黒「…………」

荒潮「羽黒さん、どうかしました?」

羽黒「えっ、ううん。 朝潮ちゃんって本当に皆のことを良く分かってるんだなぁって……」

大潮「そりゃもちろん! 朝潮型のネームシップだから!」フフーン

霞「なんで大潮が偉そうにしてんのよ」

羽黒「朝潮ちゃんを見てると、なんだか妙高姉さんを思い出すなぁ。

   私たちのことをいつも気遣ってくれていて、優しくて、笑顔を見ると安心できて……」

荒潮「私たち艦娘は本当の姉妹ではないけれど、どの艦種においても一番艦っていうのは、

   なるべくしてなった存在……そう感じざるを得ないわね」

満潮「そうね……今となっては、朝潮は本当の姉のような存在であり、憧れでもあるわ」

羽黒「うん。私にとっても、妙高姉さんは本当の姉で……憧れ……」


32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 17:16:23.41

霞「はぁ……妙高さんかぁ、今頃は戦場よねー」

大潮「うおおーー!! 私も戦いたかったーー!!」

満潮「まぁそうだけど、実際怖くもあるわ。能天気な大潮が羨ましい限りよ」

羽黒「怖いから戦いたくない……うん……皆そうだよね……」

荒潮「でもこうして温かい山の、涼しい川のそばでゆっくり過ごしていると……。

   本当に自分はこんなことしてていいのかって、思っちゃうわよねぇ」

霞「クズ司令官の言いたいことも分かるけど…………なんだか、やるせないわね」

大潮「もぉおぉおーーー! みんな暗いよ! 私たちの鬼退治だって立派な任務だって!!」

満潮「私たちは桃太郎かっ」ペチッ

大潮「あいたぁ!」

荒潮「それに、大声出さないっていう約束、もう忘れてるわね?」

大潮「あっ……」ムグッ

霞「それに、背中に変な虫ついてるわよ」

大潮「えっ、うそ、とって―――うわぁ!」ツルッ

羽黒「大潮ちゃん!?」

霰「見て、大潮がこけてる」

朝潮「ふふっ、もう何してるの」

大潮「うぎゃ~、服がビショビショだぁ~」

朝潮「大潮はてっきり泥まみれになると思ったけど、予想は外れて水浸しね。はい、タオル」

大潮「うおおぉ~、さすが朝潮用意がイイー! フェックショイ!」

霞「ほら早く拭きなさい、風邪ひくわよ」

大潮「うぅ~、あざじお~、拭いて~」

朝潮「もう、仕方ないわね」クスッ

霰「大潮……こどもみたい……」


一同「はははははっ」


羽黒( すごいなぁ……朝潮型のみんなって…… )

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 18:48:10.55


~ フタマルマルマル 桟橋 ~



羽黒「はぁ……」

羽黒( こんなに静かな海の向こうで……こんなに綺麗な星空の下で……皆戦ってる……。

   妙高姉さん、足柄姉さん、那智姉さん……他の戦艦や空母の方たちも…… )

羽黒「本当に私……どうしてここにいるんだろう……」

大潮「あれ、羽黒さんだー!」

羽黒「えっ……お、大潮ちゃん?」

大潮「なになに? 何か見えるの?」

羽黒「あはは……何も見えないよ。あ、星は綺麗だけど」

大潮「おぉー、絶景ですなー!」

羽黒「大潮ちゃんは、どうしてここに?」

大潮「実は大潮、少し感傷に浸ろうと思いましてー」

羽黒「感傷? 驚いた……まさか大潮ちゃんの口から、感傷に浸るなんて言葉が出るなんて」

大潮「もぉー、羽黒さんまで皆みたいに言うー」

羽黒「あはは……ごめんなさい。 何だか今日の山登りで、大潮ちゃんの扱い方がうつっちゃったのかな?」

大潮「大潮だって、ブルーな気持ちになる時くらいあるのにぃー」

羽黒「でもどうしたの? お昼は全然そんな素振り見せなかったのに」

大潮「だって……なんだか大潮、今日は失敗ばっかりな気がして……」

羽黒「あ……失敗してる自覚はあったんだね……」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 19:05:06.92

大潮「朝潮がまだ本調子じゃない今こそ、二番艦である大潮が代わりにリーダーシップを発揮して!

   皆から頼られ慕われるおねーさんになりたいのに!!」

羽黒「うーん……頼られてるかどうかは別として、慕われているとは思うな」

大潮「え~、なんかバカにされてるだけなような気もするんだけどー」

羽黒「ううん。だって、皆の笑顔の中心には、いつも大潮ちゃんがいるもの。

   朝潮型駆逐艦の中で、大潮ちゃんはとっても大事な笑顔の源だと思うよ」

大潮「ほ、本当?」

羽黒「はい、本当です」

大潮「そっかー。まぁ、そういう捉え方をすれば少しはマシかなぁ。

   あー、でも、やっぱり大潮の目指す、なりたい自分にはなれていないような感じ」

羽黒「なりたい自分?」

大潮「そう! 言葉では言い表しにくいんだけど、大潮はそんな、理想の自分に近づいていきたいんだぁ」

羽黒「なりたい自分……かぁ。 私は……私は、どうなりたいんだろう」

大潮「あぁ~、あと、胸も大きくないたいなぁ」

羽黒「えぇ!? きゅ、急にどうしたの!?」

大潮「戦艦とか空母とか重巡の人って、ほとんどの人がナイスバディーでしょ?

   大潮もあれくらい胸が大きければ、もっと強くなれるのかなぁって」

羽黒「い、いや……それは関係ないんじゃないかな……」

大潮「羽黒さんだって大きくて羨ましい! ねぇ、どうやったらそんなに大きくなるの!?」

羽黒「えぇっ!? こ、これはそんな……別に……!」

大潮「えぇ~、ケチケチしないで教えてよ~」

羽黒「ほ、本当に何も……へ、変な目で見ないで!」

大潮「よ~し、言わないなら揉んで調べるのみ!!」ワキワキ

羽黒「ひ、ひえっ……」

大潮「とりゃー!」

羽黒「いっ……いやぁああああーーーー!!」

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 19:33:05.69

~ 数分後 ~


羽黒「うぅ……大潮ちゃん……酷いよ……」シクシク

大潮「えへー、ごめんごめん。ついー」

羽黒「大潮ちゃんだって、大きくなればきっとそうなるから……」

大潮「うーん、そんな兆しは見えないんだけどなぁ」ストーン

羽黒「大丈夫。今はそう思うかもしれないけど、きっと何年後かには……何年後かには……」

大潮「……? 羽黒さん?」

羽黒「あ、ごめんなさい……。 ちょっと、昔のことを思い出しちゃって」

大潮「昔のこと?」

羽黒「えっと……私がまだ、艦娘になる前の話なんだけどね……」

大潮「うん」

羽黒「小さい頃から私は引っ込み思案で、何をするにも誰かの後ろについて回ってた……。

   でも、こんな私でも大人になったら立派な女性になれると……ずっとそう思ってて」

大潮「へぇー」

羽黒「ははは……でもダメみたい。今でも私は弱くて泣き虫で、いつも妙高姉さんの背中に隠れてばかり……。

   何年後かの自分は大丈夫だろうって、いつもそうやって逃げてきたの」

大潮「……はっ! つまり……大潮の胸もペッタンコのまま……」

羽黒「え!? あっ、違うの! そういうことが言いたいわけじゃなくてぇ!」アタフタ

大潮「?」

羽黒「その……つまり私も、感傷に浸っているってことなのかな……。 大潮ちゃんと同じだよ」

大潮「羽黒さんも、ブルーな気持ち?」

羽黒「うん。例の大規模作戦だって、私だけ不参加なのは、私が弱くて皆の足を引っ張ることになるから。

   なにより、司令官さんから不参加の旨を伝えられたとき、少しホッとしてしまうくらいに、私は弱虫だから」

大潮「…………」

羽黒「それに今回の任務でも、旗艦の私が何の役にも立たないダメダメで……」

大潮「ふぅーん、そっかぁ。別に私から見れば、羽黒さんはそんなんじゃないけどなぁ」

羽黒「え?」

大潮「演習の時は強いなぁーって思うし、今日だって先頭に立って色々指示してくれてたし」

羽黒「うぅ……そうかなぁ……私からしてみれば全然そんなことは……」

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 20:23:18.23

大潮「う~ん、よし! じゃあ分かった!」

羽黒「ど、どうしたの?」

大潮「羽黒さんも大潮も、今の自分に納得できてない! 私たち、似た者同士!!」

羽黒「たしかに……そうだけど……」

大潮「うん! そうだよ! だから一緒に頑張ろう!!」

羽黒「一緒に……」

大潮「うん! 一緒に! 一人で一人前になるのは難しいだろうけど、二人で頑張ればなんとかなる!!

   もう、そう思い込んでやらないと、結局前に進まない気がするから! そういうことにしようよ!!」

羽黒「そういうことに……する?」

大潮「そう! 二人で頑張ればお互いの悩みは必ず解決する!

  そういうことにすれば、きっと前に進めるはずだって!」

羽黒「大潮ちゃん……」

大潮「ふふん!」

羽黒「くすっ……ふふふふふ、あははははははっ」

大潮「あーっ! 笑ったなー? 真剣な話してるのにー!」

羽黒「あははは、ごめんごめん。なんだかおかしくって。……うん、でも確かに大潮ちゃんの言う通りかも」

大潮「でしょー?」

羽黒「似た者同士の私たち、頑張ろうね!」

大潮「いよーし! 明日からもアゲアゲでいきましょー!!」


羽黒( 妙高姉さん…… )


大潮「明日こそ鬼をとっちめて―――」


羽黒( 私……なりたい自分になります )


大潮「あっ、でもやっぱり素手じゃ適いっこなさそうだなぁ」


羽黒( どうなるか分からないけれど……とにかく一歩、前に踏み出す。 今ならそれが……できそうな気がします )


大潮「はっ! じゃあ結局、胸を大きくするには何を頑張ればいいんだろう? 羽黒さん!!」

羽黒「えぇ!? も、もう! その話はもういいでしょー!!」

大潮「私たち、おっぱい同盟の同志でしょう!?」

羽黒「何でそうなるのぉ~!」


38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 21:01:51.92

~ 探索最終日 朝 ~



大潮「司令官! これ、今日のデイリー任務表です!」

提督「おぉご苦労。夜間に遠征に出た部隊はどうなってる?」

大潮「成功です。全員無事帰投して、今は寮で休養をとっています!」

提督「午前演習の進捗は?」

大潮「先ほどようやく3回分が終わりました。 そのうち2回、旗艦の羽黒さんがMVPです!」

提督「へぇ、羽黒、最近はりきってるな」

大潮「はい! あっ、大潮、コーヒーのおかわり持ってきますね!」

提督「おう、よろしく頼む」

大潮「……よいしょっと」ガサコソ

提督「ふふっ、大潮も何だか秘書艦が様になってきたな」

大潮「え! 本当ですか、司令官!!」

提督「あまり調子に乗るなよ? 最初の頃に比べて、だ」

大潮「いやぁ~、それほどでも~」

提督( こういう所は変わってないんだよなぁ…… )

提督「いやしかし、急に秘書艦をやらせてくれって言い出した時は、何の冗談かと思ったぞ」

大潮「大潮だって、朝潮型の二番艦ですから!!」

提督「まぁ、ちょうど朝潮には休んでもらいたかったから承諾はしたが、例外中の例外だからな?」

大潮「分かってますってー司令官」

提督「本当に、その猪突猛進なアグレッシブさだけは見習いたいよ」

大潮「えへへー。 さぁどうぞ司令官! 大潮の淹れたて特性コーヒーです!」

提督「うむ。 では頂きます」ズズズ……

大潮「……ど、どうですか?」

提督「朝潮の淹れてくれたコーヒーの方が、格段に美味いな」

大潮「ガーーーン!! 大潮、大ショック!!」

提督「だが、確実に近付いている。努力の賜物だな」

大潮「本当ですか!? いやったぁーーー!!」

提督「おいおい、だからって調子に――――」

大潮「良かった~。 司令官にそう言ってもらえると思って、大潮、コーヒーをたくさん作った甲斐がありました!!」

提督「……へ?」

大潮「どうぞ司令官! どーんとお飲みください!!」大ジョッキズドーン!

提督「ぜ、前言撤回だ……」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 21:18:22.54

提督「と、ところで……大潮……」ウオェップ

大潮「何でしょうか司令官!」

提督「索敵任務もいよいよ今日で終わりだが、何か変わったことはあったか?」

大潮「残念ながらないですねー。 鬼も幽霊も、全然出てこないです」

提督「いや、出てこなくて良かったよ……。一応、任務が終わったら報告書にして市へ提出せねばならんのだが、

   その辺りも大潮に任せて大丈夫なのか?」

大潮「もちろん! 大潮にお任せください!!」

提督「よし、頼んだぞ。 あぁ、あと、今朝方に司令部から連絡があったんだが、どうやら例の大規模作戦、一区切りついたようだ」

大潮「ということは……勝ったんですね!」

提督「そうだ。まぁ完全な勝利ってわけではないが、敵の深海棲艦が撤退してこちらの防衛ラインが随分と伸びたそうだ。

   今は戦艦や空母が残党の処理をしているらしい」

大潮「じゃあ、妙高さんとかは?」

提督「重巡は本作戦でかなり酷使してしまったからな……。一足先に各鎮守府に撤退したそうだ。

   妙高たちも今晩には鎮守府に戻るだろう」

大潮「そっかー! 羽黒さんも喜びますね!!」

提督「大潮は索敵任務で羽黒と随分仲が良くなったみたいだな」

大潮「はい! 大潮と羽黒さんは、同志ですから!」

提督「同志?」

大潮「おっぱい同盟の!!」

提督「おいおい……なんだよその素晴らしい同盟……」

大潮「へへーん、いいでしょー」

提督「頼む! 私も仲間に入れてくれ! 羽黒と大潮のおっぱい同盟に!! もうむしろ、羽黒のおっぱいに入れてくれ!」

大潮「えぇー、司令官はおっぱい無いでしょ?」

提督「小さいのもまた良いが、大潮に言われたくない!」

大潮「あー! 言ったなぁー! 大潮の方が、司令官よりあるんだから!!」

提督「はーん、そんなこと言うなら証拠を見せてみなさい」

大潮「ぐぬぬ……よーし! 大潮の方がすごいってところ、見せてやるんだからー!!」ヌギヌギ

提督「えっ、本当に脱ぐのか……」

大潮「当たり前です! さぁ、司令官も!!」

提督「え、いや、ちょっ……大潮……分かったから脱ぐな!! ほら、着ろ着ろ!」サワサワ

霞「おーい、大潮ー。 そろそろ行くわ…………よ…………」


提督「あ」
大潮「あ」


霞「そこのクズ」

提督「はい」

霞「歯を、食いしばりなさい」

提督「死にたくありません」

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 21:47:09.76

~ ヒトヒトマルマル 鎮守府正門 ~




提督「今日が最終日となるな。山の中での索敵任務も慣れてきただろうが、慣れ始めが一番危険だ。各員、体調は万全か?」

朝潮「は、はい……。私たちは大丈夫ですが……司令官は……」

霰「ひどい顔……」

提督「山中の探索は大いに結構だが、今の私の顔に関する探索はやめてくれ」

荒潮「何か訳ありみたいねぇ」

満潮「まぁ、どうせロクな理由じゃないんだろうけど」

提督「よし、それでは羽黒、大潮」

羽黒「はいっ!」

大潮「ハーイ!」

提督「皆のことを頼んだぞ。最後まで慢心せず、皆揃って帰ってくるんだ」

羽黒「私……頑張ります!」

大潮「お任せください!」

提督「そして霞」

霞「なによ」

提督「あれは本当に誤解なんです。機嫌を直してください」


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 22:04:42.69

~ ヒトロクマルマル 山中 ~



羽黒「やっぱり怪しいものは何一つ見えませんね……」

大潮「あーあぁ~、埋蔵金でも眠ってるんじゃないかと思って、少しワクワクしてたのに」

霞「いつからそんな話になったのよ」

荒潮「何もないならそれで良かったじゃない。その方が大潮ちゃんも、報告が楽でいいでしょ?」

大潮「うーん、まぁそれもそうなんだけどさー」

霰「それにしても……大潮が秘書艦やってるなんて、びっくりした……」

満潮「ホントそれよねぇ。朝潮を休ませるっていうのは分かるけど、なんで代わりが大潮なのかしら」

霞「ほんっと、あのクズ何考えてんのかしらまったく!」

霰「霞が嫉妬してる……」

霞「し、してないわよ嫉妬なんか!! 大潮が秘書艦なんて出来るのかって言ってるのよ!!」

大潮「できてるできてるー!」

荒潮「二回繰り返すと、嘘っぽく聞えちゃうのよ~?」

霰「実際、想像できない」

大潮「えぇ~」

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 22:11:07.43

朝潮「大潮はきちんと秘書艦をやれている。昨日、司令官がそう言っていたわ」

霞「そ、それは! あのクズが大潮に甘いから……!」

朝潮「司令官がそう言っていなくても、大潮ならきちんとやれるって、私は思ってたいたわ」

大潮「朝潮ぉ……!」

朝潮「どんな時でも元気で、皆を笑顔にしてくれる存在。思わず足踏みしてしまう困難に直面しても、

   大潮はお構いなしに進んで、どんどんと道を切り開いていってくれる……。

   まぁ……結果的に失敗に繋がることもあるけれど、それが大潮の良い所だと思うわ」

霞「う……」

荒潮「……うんうん。そう言われてみれば、そんな気もするわ」

霰「朝潮が言うなら……そうなんだと思う」

朝潮「朝潮型のみんなに良い所があるし、悪い所もある。

   私たちはそれを補い合えるから、鎮守府内最強の駆逐隊なんだと思うわ」

羽黒「うん、そうだね。 朝潮型駆逐隊って、私の目から見ても、そういう所が素敵だもの」

大潮「えへへー、なんだか照れるなぁ」

霞「はぁ……仕方ないわね。ここまで言われたら、もう大潮もバカにはできないわ。

  ……さっ、下山するには少し微妙な時間になっちゃったけど、どうするの?」

羽黒「少し空も曇ってきたし……もう引き返そうか?」

大潮「あ、待って! あっちの細い道って、まだ行ってないんじゃない?」

霰「たしかに……。ずっと後回しにしてたところ」

満潮「進軍か撤退か……私は別にどちらでもいいけれど」

朝潮「そうね。私も今回は、判断を羽黒さんと大潮に任せるわ」

荒潮「異議なーし」

大潮「大潮としては……ちょっと進んでみたい!」

羽黒「そうだね。今日が最後だし、後から悔いが残らないようにしたいよね」

大潮「よーし! なら決定! みんな行くぞー!」

一同「了解!」

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 22:50:21.80

大潮「…………」

霞「ねぇ……なんかここ……」

満潮「薄気味悪い感じがするわね……」

羽黒「だ、大丈夫だよ。太陽が隠れて、少し薄暗くて湿気が多いからそう感じるだけで……」

朝潮「こわい」ブルブル

一同「えっ……」

朝潮「怖い……だめ……おうちかえる……」

荒潮「あ、朝潮?」

霰「また朝潮のスイッチが切り替わった……これ以上すすむのは危険かも……」

霞「そうね……少し肌寒い感じもするし、なんだかここ、気味が悪いわ」

大潮「……あ、ちょっとあれ! 何かある!」

羽黒「え、どれどれ……立て札かな?」

霞「何か書いてあるわ」

大潮「おんら……やま?」

荒潮「もしかして、この山の名前かしら?」

羽黒「おんらやま……そんなの、聞いたことないけれど……」

霰「それ、『うら』って読む……んだと思う」

満潮「うら?」

霰「温羅と書いて『うら』って読む。 つまりこの山は……」


一同「温羅山(うらやま)!?」


荒潮「なるほど。鎮守府の表側にあるのに『裏山』なんておかしいと思ったら……」

大潮「うーん! なんだかスッキリしたぁ。最後に山の謎が解けて良かった良かった!」

霰「あの……これ、あんまり良くないかも……」

満潮「な、なによ霰……いつにも増して暗い声で……」

霰「温羅っていうのは……古い伝承によって伝わるものなんだけど…………」

荒潮「伝承……日本昔話みたいなものかしら……?」

霞「ちょ、ちょっと霰……何もったいつけてんのよ……」

羽黒「霰ちゃん教えて……温羅って、一体なんのことなの!?」






霰「温羅は…………温羅の正体は………………『鬼』なの」



      ピカッ!  ゴロゴロゴロ……  ドォーーーン!!





霞「いやぁああああああああああっ!!」

満潮「ちょ、ちょっと霞! お、おおお脅かさないでよ!」

荒潮「こんな絶妙なタイミングで雷が鳴るなんて……朝潮、大丈夫?」

朝潮「…………」チーン

荒潮「あらら……」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 23:06:26.12

大潮「み、みんな落ち着いて! たかが山の名前と雷でそんな……あ痛っ!」

羽黒「大潮ちゃん、大丈夫?」

大潮「うん、平気。 なんか後ろに石があっ…………て……」

満潮「うそ……それ……墓石……じゃないの?」

霞「待って……向こうにもあるわ……あっちにも……あっちにも!」

霰「きっと、鬼に襲われた人のお墓……」

羽黒「お、落ち着いて! 鬼なんて……鬼なんていないからっ!」

満潮「は……早く帰らない? 私たち……なんだかここに長くいたら危険な気が……」

大潮「そ、そーだね! うん、鬼が来ないうちに……!」


       ガサガサッ


荒潮「いま……何か音がしたわ……」

羽黒「ま、待って荒潮ちゃん……音なんて……」


    ガサガサガサッ!


霞「き、聞こえたわ! お、鬼が来たんだわ……。ここまで来た……私たちを食べに……!」

満潮「は、はやく逃げないと……!」

霰「急に動いたら……鬼にこちらの位置がバレるかも……」

羽黒「だめ……皆、鬼がいる前提で話しちゃだめ……」


    ガサッ! ダダダッ!! ガサガサガガサッ!!!


大潮「こ、こっちに向かってきてる!?」

荒潮「みんな、周囲に気をつけ―――――」


   ウオォオオオオーーーーーーーーーーン!!


一同「で……出たぁあぁあああああああああああっ!!!」


45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 23:14:52.26


~ 鎮守府 玄関 ~



大潮「ゼェ……ゼェ……」

羽黒「ハァ……ハァ……」

霞「まさか……本当に……出るなんて……」

荒潮「おまけに大雨……雷……泥まみれね……」

霰「食べられ……ちゃうかと……」

満潮「でも……ここまで逃げれば……さすがに鬼も………」

羽黒「みんな全力疾走だったけれど……大丈夫? 怪我はない?」

大潮「大潮……疲れたけど……平気……」

霞「派手に転んで泥まみれよ……」

荒潮「私も……でも大丈夫よ」

霰「ひざ……すりむいちゃった……」

満潮「登山用に貰った靴が真っ黒だわ……」

羽黒「うんうん。でも皆、大きな怪我はなさそ―――――あれ、朝潮ちゃんは?」


一同「…………」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 23:26:50.85

大潮「ま、まさか朝潮……」

満潮「お……置いてきちゃったんじゃないかしら……」

霰「走るのに夢中だったからあまり覚えてないけど……ありえる」

霞「そんな……まだ、山の中にいるって言うの……?」

羽黒「そ、そうだ……無線は!? 朝潮ちゃんに連絡は……!?」

荒潮「だめよ……。朝潮のバッグは私が持ってあげてたから……ここにあるわ」

満潮「じゃ、じゃあ朝潮は……何も持たずにあの山の中に、一人取り残されているの!?」

大潮「…………大潮、行ってくる!!」

羽黒「待って大潮ちゃん!!」ガシッ

大潮「離してッ!!」

羽黒「外は真っ暗で大雨、風も強いのに……こんな状況で一人で飛び出して行ったら、大潮ちゃんが危ないよ!!」

大潮「なら朝潮は、もっと危険な目に遭ってるかもしれない!!」

羽黒「そうかもしれないけど、でもダメ!!」

大潮「イヤ! 離してッ!!」

羽黒「絶対離さないッ!!」

荒潮「ちょっと大潮ちゃん、落ち着いて……!」

霞「そうよ! アンタの気持ちも十分わかるけど、羽黒さんの言うことももっともだわ!」

霰「それに大潮……すごく疲れてる……」

満潮「あんた秘書艦なら、まずは司令官に報告でしょうが!」


提督「満潮の言う通りだ」コツコツコツ


大潮「し、司令官……」

提督「だいたいの状況は察した。私からも言おう。羽黒の言うように、今から朝潮の捜索を行うことは許さん」

大潮「どーして!! 朝潮が……朝潮が死んじゃうかもしれないのに!! 司令官のバカ! 人でなし!!」

提督「何と言おうがダメだ。君たちは汚れを落としてから食堂で食事をとりなさい。そして、冷静になれ」

大潮「朝潮が助けを待ってるかもしれないのに! そんなことできない!」

提督「大潮、朝潮は賢い。彼女は君のようにすぐ熱くならず、こういう時こそ、冷静に事に当たる。

   長い間、近く見てきた私には分かる。朝潮は無事だ」

大潮「そんな……! そんなこと言って…………」

提督「大潮、君は秘書艦失格だ」

大潮「うぅ……うっ……うわぁあああん!! 司令官のバカァーーーー!!!」

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 23:35:22.43

~ マルマルマルマル 食堂 ~




霰「もう……消灯時間……」

満潮「そうね」

荒潮「眠くない?」

霞「ぜんぜん」

荒潮「大潮ちゃんは?」

大潮「…………」

霰「雨、まだ降ってる」

満潮「そうね」

一同「・・・・・・・」

霞「はぁ……一時は朝潮抜きでも何とかやっていけると思ったけど、そんなことなかったわね」

満潮「そうね」

霞「それ以外言えないの?」

満潮「そうね……」

一同「・・・・・・・」

霰「雨、まだ強い」

霞「霰も、同じこと二回言わないでよ」

霰「最初は『降ってる』って言った。さっきは『強い』って言った」

霞「同じようなもんよ」

一同「・・・・・・・」

満潮「どうして私……あんなに逃げよう逃げようなんて言ったのかしら。腰抜けすぎ。食われた方がマシよ」

荒潮「私だって、ずっと朝潮の手を握っていたのに……いつの間にか手放していたわ」

霞「艦娘が雷であんな声あげるなんて屈辱どころの話じゃないわ。死にたい」

霰「そもそも……私があの場で変なこと言わなければ……」

一同「・・・・・・・・」


大潮「うわぁあああああああぁあーーーーーーーーー!!」


霞「ひぃいっ!?」

満潮「な、何よ急に! 驚かさないで!!」

荒潮「大潮ちゃん、ずっと突っ伏してたから、おでこが赤いわ」

霰「ついにこわれた?」

大潮「きぃいーー!! 色々考えたけど、やっぱり司令官の言うことには納得いかない!!」

荒潮「納得いかないって言っても……」

大潮「そんな弱気じゃダメ!! ちょっともう一回、司令官の所に行ってくる!!」

霞「こら大潮、勝手に―――――」






提督「その必要はない」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/17(土) 23:47:47.33

大潮「あーっ! 司令官!!」

荒潮「羽黒さんも」

提督「少しは落ち着いたか?」

大潮「落ち着けなぁーい! 落ち着いてる司令官の方がおかしい!」

提督「まぁ、落ち着けるわけないか。……だが、いつもの調子には戻ったみたいだな」

大潮「そんなのはいいからー! 大潮に早く出撃許可をー!!」

羽黒「大潮ちゃん、まずは司令官さんの話を聞いて? ね?」

大潮「うぅぬぬ……」

提督「山での事情は、先ほど羽黒から聞いた。

   大潮、満潮、荒潮、霰、霞、そして羽黒も……まずはよく帰って来てくれた」

満潮「全員じゃないけどね」

提督「あぁ、皆も心配している朝潮の捜索についてだが……

   少しはみんな落ち着いたようだし、今の君たちであれば、朝潮の捜索を許可しよう」

大潮「ホント!?」

提督「ただし、ひとつだけ編成に関する条件を設ける」

霰「条件……?」

提督「条件……それは、大潮、満潮、荒潮、霰、霞を含む艦隊で、捜索に当たることだ」

霞「は? それって要するに、いつものメンツで行けってことじゃない。そんなの当然よ」

荒潮「わざわざ条件にするくらいだから、何か深い意味があるのかしら?」

提督「いや、これは言葉通りの意味だ。索敵任務で山のことを知っている君たち五人が集団で行動することが、

   最も捜索を成功させやすく、かつ安全であると私が判断したからだ」

大潮「なーんだ! それなら大丈夫! みんなの気持ちは一緒だから……ねっ!」

一同「」コクン

大潮「よーっし! なら今すぐ用意をして―――」

提督「話はまだ終わっていないぞ」

大潮「……え?」

提督「君たちに救ってもらいたいのは、朝潮だけじゃない」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:04:08.50

満潮「どういうこと?」

羽黒「妙高姉さんたちが……まだ戻っていないんです……」

大潮「え……もう撤退して、今頃帰投してるはずじゃ……!」

提督「撤退中に敵艦隊と遭遇し、妙高が大破。那智と足柄も中破したそうだ。

   現在は近くの島に身を隠しているようだが、迂闊に動いてしまえば追撃されかねない」

霞「その妙高さん達を助けに……って、ちょっと待って! 妙高さん達が出撃してる海域って……」

羽黒「南方海域……危険な海域です」

提督「現在稼働可能な艦娘の中で、南方海域へ出撃可能な練度を持つ艦娘は、君たち朝潮型しかいない。

   妙高ら救出の条件は、大潮、満潮、荒潮、霰、霞を含む艦隊で出撃することだ」

羽黒「…………」

霞「何言ってんのよ! それってつまり、朝潮か妙高さん達か、どっちを救うか選べって言いたいの!?」

提督「何もどちらか一方を切り捨てよと言っているのではない。ただ単に、どちらを先に救出するかというだけの話だ。

   無論、救出が遅れれば遅れるほど危険性は増すがな」

大潮「そんなの選べられるワケない! 朝潮は私たちの大事な姉だし、妙高さんたちも羽黒さんの大事な姉なんだから!!」

提督「そんなことは、私も重々承知の上だ」

霰「なら……私たちを、二つの部隊に分けるとか……」

提督「言ったはずだ。どちらの救出も、君たち全員の力が必要になる。隊を分けると言うのなら、私は出撃を許可しない」

荒潮「もう完全に……どちらか選ぶしかないのかしら……?」

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:15:36.19

霰「わたしは……朝潮を先に救いたい」

満潮「でも鎮守府全体として考えれば……駆逐艦一隻よりも、重巡三隻を救いに行くのが当然よね……」

霞「ちょっと満潮! アンタ、朝潮よりも重巡三隻の方が大事だって言いたいの!?」

満潮「そんなこと言ってないじゃない! これは一般論で!」

霞「一般論!? そんな選択肢を口に出す時点で、アンタは朝潮のことをそういう風にしか見てないのよ!!」

満潮「なんで霞にそんなこと言われなくちゃならないのよ! だったら霞はどうだって――――」

大潮「あぁああああもうっ!! 喧嘩するなぁぁああーーーーーー!!!」

一同「!?」ビクン

大潮「こんな時、朝潮がいれば皆もっと冷静になれるのに……どうして朝潮がいないだけでこうなっちゃうの!?」

一同「…………」

大潮「大潮はもうイヤ! 朝潮におんぶに抱っこなのは、もうイヤだ!!

   大潮は……朝潮型の二番艦として、朝潮がいなくても皆を引っ張っていける、立派な自分になりたい!

   皆だってそうなんじゃないの!?」

一同「…………」

羽黒「大潮ちゃん……」

羽黒( まただ……ずっと感じていた胸の痛み。 私、こんな所で何やってるんだろうっていう気持ち……。

    いま大潮ちゃんは……変わろうとしているんだ……。なら私は? 私は……大潮ちゃんの同志――― )




羽黒「司令官さん!」

提督「どうした、羽黒」

羽黒「妙高姉さんの救出……私に行かせてください!!」

提督「君と、大潮たちとでか?」

羽黒「いいえ。私ひとりでです」

提督「ダメだ。練度の高い重巡なら一隻でも構わんが……羽黒、君の練度では許可できない」

羽黒「お願いします司令官さん! 私を、出撃させてください!!」ペコリ

提督「ダメだ」

羽黒「お願いします! お願いします!!」

大潮「羽黒さん……」

羽黒「私だって……もうイヤなんです……。弱い自分はイヤ……逃げる自分はイヤ……頼ってばかりの自分もイヤ……。

   もう……妙高姉さんたちの背中に隠れるだけの自分は……イヤなんです……」ポロポロ

提督「羽黒……そうワガママを言われても―――――」

羽黒「イヤったらイヤなんですーー!! 司令官さんのおたんこなすぅううーーーー!!!」

提督「お、おおおたんこなす!?」

羽黒「私は……強くなりたいんです! 強くなりたい! 強くなりたい! 強くなりたい! 強くなりたぁああーーい!!」

提督「ちょ、ちょっと羽黒、いったん落ち着こう?」

羽黒「ハァ……ハァ……」

提督「…………」

羽黒「強くなりたい…………それが私の……なりたい自分なんです」

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:34:00.94

提督「はぁ……わかった。私の負けだよ、羽黒」

羽黒「えっ……」

提督「まさか羽黒の口から、あんな大声で『おたんこなす』が聞けるとは思わなかった。これは大潮の影響か?」

大潮「ええっ!? 大潮のせい!?」

霞「この中の誰かって言われたら、間違いなく大潮ね」

提督「それに、私は羽黒のその決意をずっと心待ちにしていたよ。その決意が本当ならば、君は必ず強くなれる」

羽黒「あ、ありがとうございます」

提督「文句を言われるのは覚悟して、遠征から帰ったばかりの川内型の連中でも叩き起こしてくるかぁ」

羽黒「那珂ちゃんたちを、ですか?」

提督「あぁ。羽黒を旗艦として、四隻で妙高らの救出へ向かってもらう。くれぐれも無理はするな」

羽黒「し、司令官さん……私、精一杯がんばりますね!!」

提督「期待してるよ。じゃあ私は直接川内たちの所に行ってくるから、羽黒は司令室に寄ってから出撃の準備を整えておくといい」

羽黒「司令室に寄ってから……というのは?」

提督「机の二番目の引き出しが二重底になっている。そこにあるものを持って行きなさい」

羽黒「そこに……一体何が?」

提督「羽黒のその決意を、形にするものだ」

羽黒「は、はい……よくわかりませんが、ありがとうございます! 羽黒、行ってきます!!」タッタッタ

提督「おう。 ……あ、くれぐれも他の引き出しは開けるんじゃないぞーー!!」

霰「朝潮が言ってた二段目の引き出し……」

荒潮「てっきりえっちな本でも隠してあると思っちゃったわぁ」

提督「何言ってるんだ。もっと見つかりにくい所に隠すぞ」

霞「どこかに隠してるってワケね、最低のクズだわ」

提督「なっ、言ってる場合か! 君たちにもやることがあるだろう!!」

満潮「そうね。朝潮が、私たちを待っているわ」

大潮「あっ、でも羽黒さんが抜けたら旗艦は!?」

霞「は? なに寝ぼけてんのよ?」

荒潮「やっぱり眠いのかしら?」

霰「いまさら……」

満潮「そんなの一人しかいないじゃない」

提督「大潮、旗艦は君だ。皆のことを、よろしく頼んだぞ」

大潮「そっか……大潮が旗艦……。 はい! 大潮にドーンと、お任せください!!」


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:36:04.51


~ マルフタマルマル 温羅山 ~



荒潮「すごい雨……」

大潮「みんな大丈夫!? きちんと合羽着てる!?」

霞「今さら何よその質問!」

満潮「こんな大雨で、着てないわけがないじゃない!」

霰「……着ててもビショビショだけど」

荒潮「この辺りのハズよねぇ? 私たちが逃げ出したのって」

大潮「う、うん……。ほら、あそこに立て札もある」

満潮「うっ……まさかこの場所に戻ってくるなんてね……」

霞「で、でも! よくよく考えたら鬼なんているはハズないわ! 誰もその姿は見てないんでしょ!?」

霰「……赤い目だけは見えた」

荒潮「霰ちゃ~ん、みんなを怖がらせるような発言は控えましょうねぇー」

霰「あ、また……ごめん」

大潮「あさしおーーーーー!! いたら返事してーーーーーー!!!」

一同「…………」

満潮「雨の音しか聞こえないわね」

荒潮「もう少しだけ、呼びかけてみましょう?」

霰「うん……」

霞「あさしおーーー!!」

荒潮「あさしおー! どこーーー!?」

霰「あさしおー……」

満潮「あさしおーーー!! 何とか言いなさーーーい!!」

大潮( どうしよう……このまま闇雲に叫んでもダメな気がする……。

    こんな雨じゃコッチの声なんて聞こえっこない! どうする……どうする……)
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:47:00.51

荒潮「あら? わたしの探照灯……電池切れかしら?」

満潮「なによこんな時に……!」

大潮「探照灯……光……そうだ。 羽黒さんも言ってた……。

   声で気づかないなら、照明弾を射出して私たちがいることを気付かせればいいんだ……!!

   たしかカバンに……あれ……あ、そういえば……持ってきてない……」

  「あるわ。はい、これ」

大潮「おぉ、ナイス! いよーし、皆離れて!! 照明弾撃つから!!」スチャ

満潮「大潮にしてはナイスアイデアね! これで朝潮も気づいてくれるわ!」

霞「失敗したら承知しないわよ!」

大潮「発射方向に障害物なし! 仰角よし! 方位よし! 心の準備……よし! ありったけの照明弾、発射ァ!!」



   バァン! バァン! バァン!   ブゥオオオオ……



大潮「これで全部! お願い朝潮……気付いて!!」

霞「あさしおーーーー!!!」

満潮「あーさーしーおぉーーーー!!」

荒潮「あさしおーーー!!」

霰「あさしおー……!」


  カーン……

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 00:56:41.22

大潮「しっ! みんな静かに!!」

霰「なにか……きこえる……」


   カーン……  カーン……


霞「なに……? また鬼とか言わないでしょうね?」

満潮「違うわ……なんだろう……」


  カーン……  カーン……  カーン……


荒潮「小さな木板を叩きつけるような……甲高い音……これってもしかして……」





一同「拍子木!!」





大潮「朝潮だ……朝潮の拍子木だよっ!!」

荒潮「きっとそうだわ! カバンは私が持っていたけれど、朝潮ってば、拍子木だけは手放さなかったから……!」

満潮「朝潮……生きているのね……」

霞「あっちの方から聞こえるわ!」

大潮「よーし、皆急いで……いや、慌てず急ごう!!」

一同「了解!」

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:03:24.65

   カーン……  カーン……  カーン……



満潮「何ここ……建物?」

大潮「霰、探照灯で照らして!」

霰「了解」


一同「………………」ゴクリ


朝潮「うっ……まぶしい……」

大潮「朝潮……」

朝潮「ふふっ……みんな、遅かったじゃない」

大潮「あ……あぁ……あ……朝潮ぉおおおおおっ!! うわぁああああん!!!」ガシッ

朝潮「でも、絶対に来てくれるって信じてた。大潮なら、皆を導いてくれるって」

大潮「うわぁあああん! あざじおぉおごわがっだよぉおおおおっ」

朝潮「もう、大潮ったら」ナデナデ

荒潮「朝潮……大丈夫? 怪我はない?」

朝潮「あの時、逃げ出そうとして足をくじいたみたい」

霰「朝潮、痛む?」

朝潮「平気よ霰。他に外傷はないし、動かなければ平気」

霞「雨は!? 濡れたんじゃない? 寒くない!?」

朝潮「それも大丈夫。雨が降り出す前にこの小屋の中にいたから」

満潮「そ、そう? なら良かったけど、よくこんな場所見つけたわね?」

朝潮「あの子たちが、連れてきてくれたのよ」

荒潮「あの子たち……?」

霞「……あ、赤い瞳……もしかして鬼……」

朝潮「いいえ違うわ。もっとよく見てあげて」

満潮「あれは……」

霰「……きつねの……親子?」

朝潮「あの時に現れたのもこの子たちだったのよ」

大潮「そっか……。キツネさん、鬼と間違えてごめんなさい!

   あと、朝潮のことを助けてくれて、ありがとうございました!!」

親キツネ「ウオォン」

霞「ぷっ……大潮ったら、きつねと会話してる。そんな泣き腫らした顔で」

大潮「う、うるさーい!」

荒潮「それにしても朝潮……すごく落ち着いているけど、怖くなかったの?」

朝潮「えぇ、この子たちがいてくれたから。それに―――」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:14:22.49

霰「それに?」

朝潮「あれを見て」

満潮「あれは…………ぼ、墓石!? こんな所にも……」

霞「朝潮……アンタもしかして、また平気な顔して壊れちゃってるとか……」

朝潮「もう、失礼ね。その墓石に書いてある文字を、見てほしいの」

荒潮「よいしょ……えーっとなになに……『クチクカン アサシオ ココニネムル』?」

霰「朝潮の……お墓……?」

大潮「ってことは……ここにいる朝潮は…………ゾンビ!?」

霞「いやだから、せめて幽霊って言いなさいよ」

満潮「でもこれ……どういうことなの?」

朝潮「ずっと考えていたのだけれど、この墓石はきっと、ずっと昔に活躍した駆逐艦朝潮の墓石だと思うの」

荒潮「先代の朝潮……ううん、もっと昔かもしれないわね……」

朝潮「この山は鎮守府のすぐ近くと言っても、敷地の外にある。でも、管理は鎮守府が行っていて市の役人すら通さない。

   司令官の説明を聞いてから、ずっとこのことが引っかかっていたのよ」

霰「この墓石と山の存在が……何か関係あるってこと?」

朝潮「えぇ。これは私の推測だけど、きっとこの山自体が、艦娘たちのお墓になっているんだと思うわ。

   肉体は無いだろうけれど、戦闘で活躍し、華々しく散った艦娘たちの魂だけが、

   この場所に帰ってきて……眠っているんだと思う……」

霞「な、なら……温羅山っていう名前は……」

朝潮「艦娘が眠る神聖な場所を荒らされないように、昔の人がわざと怖い名前を付けたんじゃないかしら」

大潮「そっかぁ……あ、でも、それって朝潮がこの場所を怖がらないのと何か関係があるの?」

朝潮「ただ何となく……見守られているような温かさがあったの。

   案外、大潮たちを私の所まで導いてくれたのも、過去に沈んだ朝潮だったのかもしれないわね」

大潮「あ、朝潮が余裕の笑顔で幽霊ジョークを……」

霞「弱点を克服して、もはや怖い物なしってとこね……」

荒潮「ところで任務で言われていた謎の生物って、そこのキツネさんのことかしら?」

満潮「そういえば任務だと、その生物を確保しろって言っていたわね……」

朝潮「何言ってるの。キツネはキツネ。全然謎の生物なんかじゃないわ」

大潮「うん! そうだね! 朝潮を助けてくれたし、悪さもしてないし!」

霞「まぁ、バカみたいに散々驚かされはしたけどね」

霰「あの時の霞の声は、ちょっとかわいかった」

霞「んなっ……!! なにバカなこと言ってんのよ!!」

満潮「あの霞がカミナリ苦手だったなんてねぇ」プププー

霞「に、苦手なんかじゃないわよー!!」


一同「はははははっ」


荒潮「あら?」

霰「雨……止んだ……」

朝潮「さっきまでの大雨が嘘みたいね」

大潮「よーし! じゃあ皆、これより帰投します! 大潮について来てー!」


一同「了解!」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:26:10.28






~ マルゴーマルマル 鎮守府桟橋 ~



大潮「うおぉおおおおーーーーー!! すごい! すごいすごいすごい!!」

荒潮「綺麗な朝焼けね……」

霞「昨日の朝から動きっぱなしでさすがに疲れたけど、そんな疲れも吹っ飛ぶって感じねぇ」

満潮「虹もかかってるわ……」

霰「虹……久しぶりに見た」

朝潮「本当はまっすぐ司令官の元へ戻るべきだけど、少し寄り道して正解だったわね……」

大潮「……!? 見てあっち! 羽黒さんだ!」

霞「…………合計七人……全員無事よ!」

荒潮「良かった……本当に良かったわ」






羽黒「大潮ちゃーーーーん!!」

大潮「羽黒さーーーーーーん!!」

羽黒「私やったよ! 妙高姉さんたちを、救うことができた!!」

大潮「大潮も! 朝潮のこと見つけた! やったぁ~……やったぁーーー!!」

羽黒&大潮「ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!」




満潮「なんだか羽黒さん、本当に大潮に似てきたわね」

霞「自分に自信が持てるようになったのは良いことだけど、

  変なトコまで似せてしまうのは姉妹として申し訳ない気分にもなるわ……」

荒潮「まぁいいじゃない。二人とも、あんなに嬉しそうなんだから」

霰「うん……良かった」

朝潮「大潮も羽黒さんも、今回の任務のMVPね」

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:40:24.13

羽黒「大潮ちゃんの言った通りだったね」

大潮「え?」

羽黒「二人で一緒に頑張れば、悩みは必ず解決する。そういうことにしておけば、きっと前に進めるはずだって……。

   私……本当に強い私になれたよ。なりたい自分に、一歩近づけたよ!」

大潮「うんうん! 大潮も!」

羽黒「えへへっ」

大潮「へへ-ん!」

羽黒「私たち、これからもずっと同志でいようね!」

大潮「もちろん! 大潮と羽黒さんは、永久におっぱい同盟の同志だね!!」

羽黒「え、その同盟はちょっと……」

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:41:52.24

霞「はいはい。お二人さん、仲睦まじそうで何よりね」

朝潮「羽黒さん、この度はご迷惑をおかけしました」

羽黒「ううん。朝潮ちゃんが無事で本当に良かった」

朝潮「……羽黒さんも、無事に改二になれたのですね」

羽黒「うん。すごく急だったけど、私も妙高姉さんたちと同じ、第二改装を受けられたんだ」

満潮「ふーん……じゃあ二段目の引き出しには、その改二実装の計画書が入っていたワケね」

大潮「いいなぁー。大潮にも早く改二実装の話、来ないかなぁー」

荒潮「大潮ちゃんにだってそのうち来るわよ。昨晩だって、咄嗟に照明弾を取り出して見事朝潮を見つけ出したじゃない」

羽黒「ホントに? さすが大潮ちゃんだね!」

大潮「あぁ、コレ? あはは、実はこれ―――――」

霰「その照明弾……何か変」

大潮「え?」

朝潮「本当だわ。私たちがいつも使うのとは、少し形状が違うようだけど……」

羽黒「それってもしかして、旧型の照明弾じゃない? 光量が弱いから今は使われていないはずだけど……?」

荒潮「雨のせいだと思っていたけれど、確かに光はいつもと比べて弱かったわねぇ」

霞「大潮……アンタそれ、どこから持ってきたのよ」

大潮「えぇ!? これ、大潮が持ってきた照明弾じゃないよ!?」

満潮「……は?」

大潮「照明弾を持ってくるの忘れた~とか思ってたら、霰が渡してくれたから」

霰「わたし……ちがう」

大潮「あれ? ……じゃあ、荒潮?」

荒潮「知らないわ。霞じゃないの?」

霞「いや、私でもないけど……」

満潮「…………私でもない」




一同「……え?」




大潮「え、ちょっと待って……じゃ、じゃあ大潮に照明弾を手渡してくれたの…………誰……?」


一同「…………」ゾクゾクッ


大潮「う……うわぁあーーーー!!  出たぁあああああああーーーーーーーーーーーー!!!」











(おわり)
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:42:19.82

以上となります。今回は朝潮型の二番艦、大潮を主軸としたお話になりました。
姉らしく気丈に振る舞う大潮の苦悩と奮闘を、彼女らしい形で表現できていたら幸いです。
いつもコメントを下さる皆さん、ここまで読んでくださった紳士の皆さん、ありがとうございました。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 01:43:04.71

ポンコツ朝潮が可愛かった
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 02:08:09.43

大潮やるな、見直した。次は誰の話になるんだろ
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 02:09:40.53
セキセイインコとか化した朝潮可愛い
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 09:32:05.58

最初は大潮大丈夫か?と思ってたが>>50でやられた。
ポンコツ朝潮も面白かったけど全体的にいいわ・・。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/19(月) 11:23:46.32
前スレも凄く面白かった
これ他の子の話も読みたくなるなあ

この書き手のSSまとめ
(朝潮メインの人・新作もこちらに)


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