ゲンドウ「お前がエヴァ初号機になれ」シンジ「できるわけないよ!」 【後編】

308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 21:22:56.14
前スレ:

ゲンドウ「お前がエヴァ初号機になれ」シンジ「できるわけないよ!」【前編】



病室

ヒカリ「鈴原!!」

トウジ「おう……いいんちょかいな……」

ヒカリ「鈴原……大丈夫なの……?」

トウジ「そうやな。なんかしらんけど、生きとるみたいや」

ヒカリ「そっか……」

トウジ「なんか、腹減ったな」

ヒカリ「そ、そうなの。私がお弁当でも作ってきてあげようか?」

トウジ「そら、ええなぁ。美味しそうや」

ヒカリ「特別だからね」

トウジ「ありがとな」

ヒカリ「お礼なんて言わないでよ。鈴原らしくないんだから」

トウジ「そうか? ワシはいつでも礼はきちっとするで」

ケンスケ「……」

マリ「わぉーん」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 21:30:02.45
ネルフ本部

ミサト「戻ってきてくれたのね」

シンジ「僕はただ守りたいものを守ろうと思っただけです。父さんのためでも、ミサトさんのためでもありません」

ミサト「それで結構。シンジくんの決意こそが大事だもの」

シンジ「僕はこれからもエヴァとなって戦います。あとどれぐらい戦えばいいのかわからないですけど」

ミサト「そうね。第3新東京市の英雄はまだまだ活躍しないとね」

シンジ「やめてください。僕はそこまで立派じゃないですから」

ミサト「……今更だけど、シンジくんに謝らなければいけないことがあるの」

シンジ「なんですか?」

ミサト「あなたが最初、エヴァになると決断したとき、私は――」

リツコ「やめなさい、ミサト」

ミサト「いいえ。ここまでシンジくんを騙していたもの。もう限界よ」

リツコ「そのことを話して、もしシンジくんの気が変わったらどうするつもり?」

ミサト「さぁ? 私はただ、大人の都合に振り回される子供を見たくないだけよ」

リツコ「ダメみたいね。今のミサト、作戦本部長の顔じゃないもの」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 21:37:17.77
シンジ「どういうことなんですか?」

レイ「……私が使徒との戦闘で負傷したというのは嘘、という話ですね」

シンジ「やっぱり。あんなに強い綾波が大怪我したなんて怪しいと思っていたんです」

ミサト「ごめんなさい。ネルフスタッフ総出で芝居を打ったわ。貴方をどうしてもエヴァにしたかったから」

レイ「碇司令の指示なの」

シンジ「父さんの……?」

ミサト「碇司令は是が非でもシンジくんをエヴァにさせるつもりだったみたい。貴方の性格を考えればその方法がいいだろうって」

シンジ「……」

レイ「碇くん、怒ってるの?」

シンジ「怒ってるよ。また父さんは周りの人たちに迷惑をかけたんだ。いつもいつもそうだ。あの人は他人の気持ちを考えたことがないんだ」

レイ「怒らないで。ペンペンを撫でさせてあげる」

マトリエル「……」カサカサカサカカサカサ

シンジ「やめてよ」

ミサト「ただね、どうしてそこまでして貴方をエヴァにならせたかったのかはわからないわ。私たちは命令で動いていただけで、詳細は知らないの」

シンジ「父さん……何が目的なの……」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 21:48:03.02
司令室

冬月「最強の使徒を退けたか。想像以上の成果といえるな」

ゲンドウ「これでスケジュールは大幅に前倒しとなる」

冬月「エヴァシリーズの再動といったところか」

ゲンドウ「ああ。これで人類にとっての大きな扉が開こうとしている」

冬月「お前の息子はすでに感づいているのではないか」

ゲンドウ「落ちていく砂は止められん。事は10年前から始まっている」

冬月「エヴァの稼働実験。ユイ君の死。エヴァ開発計画完全凍結。ネルフスタッフ大規模リストラ。他にも色々あった10年だ」

ゲンドウ「だが、これで全て整ったと言える。シンジは最強の使徒を退け、残るは3体だ」

冬月「欠番についてはどう考えている?」

ゲンドウ「これまで動きがないところを見るに使徒自体が生まれなかったと考えるのが自然だ」

冬月「万が一、欠番が時期と場所を変え、襲ってきたらどうする?」

ゲンドウ「すでに扉は開きかけている。欠番が現れたところで無意味だ。無論、残る3体もな」

冬月「なるほど。あとは……」

ゲンドウ「今のエヴァなど既に不要だ。初号機も零号機も弐号機も5号機も全てな。だが、壊れるまでは役に立ってもらう」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 21:55:46.30
葛城宅

アラエル「……」パタパタ


アスカ「なんか変な鳥がいるわね」

アスカ「……使徒?」

アスカ「なーんてね。もうどうでもいいしー」


アラエル「……」ピカーッ


アスカ「まぶしぃ……。カーテンしめよ」

アスカ「はぁ……。そろそろ6時か。シンジかミサトが帰ってくるわね」

アスカ「部屋に戻ろ」

『第三新東京市を救ってくれた碇シンジくんにインタビューをしたいと思います! 今のお気持ちをお聞かせください!!』

シンジ『やめてください! 今は友達の手当てをしているんです!!』

『碇シンジくんはとっても友達想いみたいです! では、スタジオにおかえししまーす』

アスカ「……」

アスカ「ねよっと」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:01:07.65
シンジ「アスカ、ただいまー」

シンジ「アスカー? 寝てるのー?」

ミサト「今日もダメみたいね」

シンジ「僕が戻ってきた日でも同じでしたよね。部屋から出ないどころか、声もきけないなんて」

ミサト「使徒と戦っていたシンジくんの姿は見ているはずなの。リビングに出てきている痕跡は残っているし、テレビは見てるはずよ」

シンジ「なんだか、連日あの日の僕が放送されてますよね」

ミサト「仕方ないじゃない。シンちゃんはこの東京を救ったんだから」

シンジ「恥ずかしいです」

ミサト「そのシンちゃんに一言ぐらいあってもいいんじゃないのー、アスカー? もう3日よ? 部屋から出てきなさい」

シンジ「……もういいですよ」

ミサト「でも……」

シンジ「アスカ、ごはんはまた冷蔵庫に置いておくから、温めて食べてよ」

ミサト「アスカー、シンジくんにありがとうはー?」

シンジ「いいですから、ほら、僕たちも夕食にしましょう」

ミサト「そうね」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:08:00.85
アスカの部屋

ミサト『アスカー、学校ぐらいは行きなさい』

シンジ『ミサトさんっ』

ミサト『だって』

アスカ「……」

アスカ「もう放っておいてくれたいいのに」

アスカ「私は誰とも顔を合わせたくない。一人で生きていくのよ」

アスカ「だって、そっちのほうが気楽だし、他人に気を遣う必要もないし、強がらなくてもいいし、恰好をつけなくてもいいし」

アスカ「エヴァになんて、別になりたくないし、学校にだって行きたくないし、友達だっていらないし」

アスカ「私は独りが好きだし、これでいいの。いいのよ、アスカ」

【本当にいいの?】

アスカ「いいに決まってるじゃない。どうして他人と仲良くしなきゃいけないのよ」

【そのほうが楽しいから】

アスカ「楽しくなんてないわ。ただ面倒なだけ」

【そう言い聞かしてるだけ】
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:19:08.55
アスカ「違う! 本当にそう思ってる!!」

ミサト『アスカー? どうかしたぁ?』

シンジ『何かあったの?』

【それは嘘。私は心配してほしいだけ。心配されることで安心してるだけ。ズルい女。卑しい女】

アスカ「違う!! 違う違う違う違う違う違う……!!」

【誰よりもエヴァに固執した私。負けず嫌いな私。怖がりな私。それを隠すために恥ずかしい設定とセリフを考えて戦おうとする私】

アスカ「やめてやめてやめてやめて……」

【その設定も昔、大好きな男の子と一緒にしていたヒーローごっこの影響。綺麗な思い出に縋る私。弱い私。気持ち悪い私。嫌いな私】

アスカ「そんな昔のことを思い出せないで!!!」

ミサト『アスカ! 開けなさい!!』

シンジ『どうしたんだよ、アスカ!!』

【自分の活躍をその男の子に見てほしかった。世界のために戦うなんて少しも考えてない。ただ、好きな男の子に強くて可愛い私をアピールしたかっただけ】

アスカ「それ以上、私に入ってこないで!! 私の心を覗かないでぇぇ!!!」

【私のことをもっと知ってほしいんでしょ? 広めないと。第三新東京市中の人たちに、私の声を届けないと】

アスカ「なっ……」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:26:07.04
ネルフ本部

マヤ「パターン青!! 使徒の出現を確認!!」

ゲンドウ「来たか」

リツコ「ミサトを呼び戻して」

マヤ「それが強力な通信障害が起こっているようで、無線はもちろん、携帯電話も使えません」

リツコ「妨害電波でも発生しているの?」

マヤ「通信を試みようとすると……」

【私の名前は式波・アスカ・ラングレー。14歳。今、一番気になっているのは碇シンジの好きな人!】

リツコ「なるほど」

マヤ「延々、アスカの自己アピールが流れているんです」

冬月「テレビはどうだ?」

ゲンドウ「こうなっている」

アスカ【ハーァイ。私は式波・アスカ・ラングレー。シンジー、みてるー? 私、シンジのことだーいすき!】

冬月「ふむ……。弐号機は再起不能か」


ゲンドウ「ああ。だが、問題ない」

317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:33:27.87
病室

アスカ【シンジー、私のこと、ぎゅってして!】

トウジ「なんや、これ。なんで式波がテレビにうつっとんねん。今日は漫才バトルスペシャルの日やいうのに」

ヒカリ「なにこれ!? 私、アスカに電話してみる!」

アスカ【シンジー、キス、しよ!】

トウジ「こんな甘々な式波は……アリっちゃアリやな……」

ヒカリ「もしもし、アスカ?」

【私の名前は式波・アスカ・ラングレー。14歳。今、一番好きなものは碇シンジ!】

ヒカリ「ダメ! 電話も同じようなことになってる!!」

トウジ「こんなことできんのは使徒ぐらいやろうけどなぁ」

ヒカリ「私、アスカのところに行ってみる! 多分、葛城さんの家にいると思うし!」

トウジ「シンジによろしゅういうといてくれ」

ヒカリ「うん!」

トウジ「式波も大変やな……」

マリ「くぅーん」
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:44:33.89
某所

「心の声が奏でる旋律は悲鳴か、それとも歓喜なのか」

サキエル「……」

「アラエルはただ彼女の、リリンの僕となった者の心を覗き見ただけさ」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

「そう。これがヒトの心。リリンの本質。妬み、僻み、愛憎、醜悪な部分が多数を占めている」

ラミエル「……」キャー

「ああ。とてもゼルエルを超えるだけの力があるとは思えない。だけど、その中に不思議なぬくもりがある」

サキエル「……」

「優しさ、好意、慈愛、美麗な部分だ」

「そうか。わかったよ。その美しも醜い心こそがリリンの力なんだね」

シャムシエル「……」ニョローン

「決して完璧ではないけれど、綻びもあるけれど、その不完全さを補うことでリリンは生きてきた。その繋がりを失うことを恐れるから、より強固な結びつきが生まれる」

ラミエル「……」キャー

「ありがとう、アラエル。ありがとう、リリン。僕はこの世界に、ヒトに興味が出てきたよ」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 22:55:50.87
ネルフ本部

ゲンドウ「使徒の位置は?」

マヤ「結果、出ました。上空10メートルから20メートルで滞空しています! 場所は葛城一尉の自宅、ベランダです!!」

冬月「近いな」

ゲンドウ「いけるな、レイ」

レイ「はい」

リツコ「ライフルを預けるわ。これで鳥を撃ちなさい」

レイ「了解」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「心配しないで、ペンペン。私は死なないわ」

マトリエル「……」ビシッ

レイ「いい子ね。行ってきます」

マヤ「最近のレイ、よく笑うようになりましたよね」

リツコ「不思議なものね。レイがあそこまで感情豊かになるなんて」

マヤ「あの大きなクモの影響でしょうか?」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 23:01:11.19
葛城宅 前

アラエル「……」パタパタ


レイ「見つけた。綾波レイ、零号機。目標を殲滅します」

【私の名前は式波・アスカ・ラングレー。14歳。今、一番してみたいことは、シンジに添い寝!】

レイ「……通信機は使えない。私の独断でやる」

ヒカリ「あれ!? 綾波さん!?」

レイ「委員長……」

ヒカリ「その恰好ってことは、どこかに使徒がいるの?」

レイ「上」

ヒカリ「え? もしかして、あの光ってる鳥?」

レイ「そう。危ないから離れて」

ヒカリ「それはできないの。私は、アスカを訪ねてきたんだもの」

レイ「そう。なら、耳を塞いでいて」

ヒカリ「どうし――」

レイ「発射」バァァァン!!!!
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 23:08:30.51
葛城宅

アラエル「……」ギョエェェェ


シンジ「な、なに、今の音……。銃声?」

ミサト「みたいね。シンジくん、ベランダから下の様子をうかがってくれない?」

シンジ「わかりました」

ミサト「今の銃声。ポジトロンライフルの音っぽいけど」

シンジ「ミサトさん、特に変わった様子はありません」

ミサト「ありがとう。ってことはどっかの悪ガキが花火でもしたんじゃない?」

シンジ「はた迷惑ですね。こんなときに」

ミサト「そうね。今は一刻も早く、アスカの部屋に入る方法を考えましょう」

シンジ「勝手に鍵を変えられているとは思いませんでしたね」

ミサト「家主の許可なくやってくれるわ」

ピンポーン

ミサト「あら、お客さん? ほいほーい、葛城ミサトの家よーん。どちらさまぁ」

ヒカリ『洞木ヒカリです。式波さんのことが心配できたんですけど……』
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 23:29:43.88
ミサト「どうぞ、入って」

ヒカリ「お邪魔します……。えっと、アスカは?」

シンジ「部屋にいるよ。さっきまで奇声をあげていたんだど、今は怖いぐらい静かになって……」

ヒカリ「あんなことがあれば奇声もあげると思う」

シンジ「あんなことってなにかあったの?」

ヒカリ「知らないの? テレビとか電話を使ったりとかしてない?」

シンジ「うん。それどころじゃなかったから」

ヒカリ「それなら、まだ傷は浅いかも……。いや、十分に深いだろうけど……」

ミサト「何か知っているならおしえてくれないかしら?」

ヒカリ「それは私の口からはとても……。先ほど、綾波さんが使徒を倒すところを見たんで、詳しいことは綾波さんにでも……」

ミサト「使徒が絡んでいることなのね。わかったわ。シンジくん、一度本部のほうへ行きましょう。洞木さんはアスカと話をしてみて。応えてくれるかはわからないけど」

ヒカリ「わ、わかりました」

ミサト「鍵はかけないまま出て行ってもかまわないわ。それじゃ」

シンジ「アスカのことをお願い」

ヒカリ「うん。やれるだけのことはやってみるつもり」
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/14(日) 09:04:57.41
マリかわいいわぁ
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:13:22.16
ヒカリ「アスカ? 起きてる?」

アスカ『ヒカリ……?』

ヒカリ「う、うん。そうだよ」

アスカ『どうか、したの?』

ヒカリ「あのね……その……」

アスカ『もしかして、私のこと、全部知ったの?』

ヒカリ「えっと、全部かどうかはわからないけど……」

アスカ『隠さなくてもいいわ。私、大体のことは知ってるから』

ヒカリ「え……」

アスカ『私のこと、電波にのって発信されてたでしょ?』

ヒカリ「……」

アスカ『もうおしまいね』

ヒカリ「アスカ?」

アスカ『ごめん、ヒカリ。私、もうこの部屋から出る気にならないから』

ヒカリ「ちょ、ちょっと、それってどういう意味? 引き籠るつもりなの?」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:20:00.25
アスカ『この世界では生きていけないもの。このまま……』

ヒカリ「待って!! あの、碇くんは何も知らないって言ってた!! だから、まだ大丈夫じゃないかな!?」

アスカ『無理よ。街を歩けば指さし笑われる。生暖かい目で見られる。そんな毎日を送りたいと思う? 私は思わない』

ヒカリ「うぅ……」

アスカ『折角来てくれたのに、何もできないでごめん。帰って』

ヒカリ「……できない」

アスカ『ヒカリも私をそうやって慰めるんだ。腫物を扱うように』

ヒカリ「そんなこと……」

アスカ『いいから、出て行って』

ヒカリ「お願い、私の話も――」

アスカ『出て行ってよ!! 話すことなんてないから!!!』

ヒカリ「……ごめん。それじゃあ、今日は帰るね」

アスカ『もう来ないで。私を惨めにさせないで』

ヒカリ「お邪魔しました」

アスカ『バイバイ、ヒカリ』
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:27:03.78
ネルフ本部

ミサト「そんなことがあったのね」

マヤ「とてもないですが、シンジくんには見せられません」

ミサト「見せる必要もないわ。シンジくんだって混乱するでしょうし」

リツコ「状況を見る限り、使徒の行為はアスカ本人にも伝わっているとみて間違いないはずよ」

ミサト「ちょっちヤバいわね」

リツコ「碇司令は既に新たなチルドレンを用意すると言っているわ。むろん、弐号機のね」

ミサト「なんですって!?」

リツコ「使えないエヴァに価値はないもの」

ミサト「リツコ……!」

リツコ「私個人の意見を述べるなら、確かにここでアスカとマリの回復を待つのも一つの手かもしれない。でも、使徒が現れた時、絶望しないための方法としては司令の判断が最良と言わざるを得ない」

ミサト「だからって……二人を切り捨てるなんて……」

リツコ「元々アスカは弐号機ではないわ。マリも既に人間とは呼べない」

マヤ「今も病室で遠吠えしていますからね」

ミサト「くっ……」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:28:32.31
まだ犬のままだったのか……
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:36:44.12
司令室

冬月「新たなチルドレンか」

ゲンドウ「ああ」

冬月「いいのか。全てのエヴァが不要になった今、新たなエヴァとなるチルドレンを増やすこともないはずだが」

ゲンドウ「これは規定事項だ」

冬月「なるほど。この渚カヲルなる少年は使徒か」

ゲンドウ「エヴァにもなれ、使徒にもなれる、最後の使者だ」

冬月「その前に出てくるはずの使徒は欠番か」

ゲンドウ「それはまだわからん。例外的に最後の者が動く可能性もあるというだけだ」

冬月「使徒の番狂わせか。異様な事態だな」

ゲンドウ「だが、我々の計画は狂わない」

冬月「……完成してしまったか」

ゲンドウ「人類を救済へと導くノアの箱舟。エヴァンゲリオンMark.06だ」

冬月「そして、全てをカオスへと導く、量産機か」

ゲンドウ「使徒も既存のエヴァも今や利用価値などない。あるとすれば露払い程度だ」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:46:50.29
市街 某所

「僕はわかったよ。ヒトのこと、リリンのことが」

サキエル「……」

「リリスより生まれし者たち。醜くも純粋な者たち。僕はそんな存在を愛おしく思う」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

「ああ。僕は行こうと思う。この姿で。リリンに近しい、この肉体で」

ラミエル「……」キャー

「アルミサエルは動き始めているようだね。僕はそれを彼らと見届けることに決めたよ」

サキエル「……」オロオロ

「もう君たちは自由だ。縛られていた翼は解き放たれた。どこにでも行くといい」

シャムシエル「……」ニョローン

「心配ないよ。君たちならどこへでもいける。どこでも生きていける。僕の力なんて必要ないはずだ」

ラミエル「……」キャー?

「17番目の使者、タブリス。その名はここで捨てていくよ」

カヲル「僕はカヲル。渚カヲル。リリンに最も近く、全く違う存在」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 22:52:10.62
ネルフ本部 休憩所

レイ「ペンペン、お手」

マトリエル「……」サッ

レイ「いい子ね」

シンジ「綾波。またペンペンを連れてきてるんだ」

レイ「ええ。私の友達だから」

シンジ「友達……」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「おかしい?」

シンジ「ううん。多分、本当の友達って綾波とペンペンみたいな関係なのかもしれないね」

レイ「どういうこと?」

シンジ「人間同士だと話したくないことだってあるし、一緒にいたくないときだってあるから」

レイ「なにかあったの?」

シンジ「アスカが……もう……」

レイ「弐号機の人?」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 23:03:18.48
シンジ「どんなに呼びかけても応えてくれないし、奇声はあげるしで、どうしていいのかわからないんだ」

レイ「そう」

シンジ「綾波は何か知ってる? アスカがおかしくなったとき、使徒もいたみたいなんだけど。それを綾波が倒したんだよね」

レイ「ええ」

シンジ「何か知ってるなら教えてよ」

レイ「……」

シンジ「綾波?」

レイ「……ごめんなさい。こんなときどう言えばいいかわからないの」

シンジ「そう、なんだ。よっぽどのことがあったんだ」

レイ「多分」

シンジ「わかったよ。もう聞かない。綾波、そろそろ帰るなら一緒に帰ろうか? ミサトさんの車に乗せてもらえばいいし」

レイ「ありがとう。でも、私は平気だから。碇くんは弐号機の人のところへ戻って」

シンジ「そっか。わかったよ。それじゃあまた明日ね」

レイ「ええ。また、明日。さよなら」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 23:12:05.74
シンジ「一体、アスカに何が……。これじゃあ誰も教えてくれそうにないな……」

【私の歌を聴いて!! たましぃーのるふらーん!!】

シンジ「え? アスカの声……?」

カヲル「歌はいいね。歌はリリンが生み出した文化の極みだよ。君もそう思わないかい、碇シンジくん?」

シンジ「君は……?」

カヲル「カヲル。渚カヲル。本日付けでエヴァンゲリオン弐号機に任命された者。君と同じようにね」

シンジ「弐号機に? 弐号機は今、マリさんが……」

カヲル「聞いた話だとその人はもうエヴァにはなれないらしいね」

シンジ「あ、まだあのままだから……。だったら、アスカが……」

カヲル「初代弐号機も戦える状態じゃないって聞いたよ。これを見る限る、元気そうではあるけどね」

シンジ「何を見ているの?」

カヲル「一緒に見るかい? 彼女の全てを。録画しておいたんだ」

シンジ「全てって……?」

アスカ【私の名前は式波・アスカ・ラングレー。14歳。今、一番ほしいものはシンジからのキス!】

シンジ「な……!?」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 23:22:25.32
カヲル「素晴らしいと思わないかい。これこそ、魂からの解放。ヒトでも翼を持てるという証明に他ならない」

シンジ「これって……」

アスカ【私の名前は式波・アスカ・ラングレー。14歳。アイドル志望。私の歌を聴いて!! ざーんこーくなーてんしのてーぜっ】

カヲル「身も心も震えるよ。この歌に。この生きざまにね」

シンジ「どうしてアスカがこんなものを……」

カヲル「彼女の深層意識が具現化したものだよ」

シンジ「どういう……」

カヲル「碇シンジくん。君が今、一番知りたかったことがこれに映っている。それだけのことだよ」

シンジ「えっと、渚くん、だっけ?」

カヲル「僕のことはカヲルでいいよ。僕も君のことをシンジくんと呼んでもいいかな」

シンジ「う、うん」

カヲル「ありがとう。あともう一つお願いがあるんだ」

シンジ「なにかな?」

カヲル「僕と友達になってくれないかい?」

シンジ「とも、だち……? 僕と?」
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 23:27:18.59
カヲル「うん」

シンジ「どうして?」

カヲル「僕は君たちに好意を抱いているからさ」

シンジ「好意?」

カヲル「好きってことさ」

シンジ「えっと、僕、男なんだけど」

カヲル「知っているよ。けれど、性別なんてものは関係ない。天使なら尚更さ」

シンジ「天使?」

カヲル「僕はね。全てを愛してしまっている。シンジくんのこともね」

シンジ「な、なにを言っているのかわからないよ、カヲルくん」

カヲル「わかってほしいとは思っていない。ただ知っておいてほしいだけさ」

シンジ「な、なにを?」

カヲル「僕の愛は本物だということを」

シンジ「ご、ごめん、カヲルくん!! 僕、これからすぐに帰らなきゃいけないんだ!! またね!!」

カヲル「それは残念だね。でも、また会えるよ。僕らは運命で結ばれているのだからね」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/17(水) 22:58:27.45
ミサト「早く帰ってアスカのケアをしてあげなきゃね」

シンジ「ミサトさん!! ミサトさーん!!」

ミサト「シンジくん、どうしたの?」

シンジ「あ、あの! さ、さっき、渚カヲルって子に話しかけられて……!」

ミサト「渚カヲル? それって、新しく弐号機に任命された子のこと?」

シンジ「本人がそう言ってました。でも、なんだかおかしいんです」

ミサト「おかしいってなにが?」

シンジ「い、いきなり、愛しているとか、言われて……僕、怖くなって……」

ミサト「シンジくん。世の中にはそういう人だっているの。現実を見なさい」

シンジ「それだけじゃないんです! アスカが歌って踊っている映像も見せられて……」

ミサト「なんですって!? シンジくん、それ見たの!?」

シンジ「はい。見ました。あれって、なんですか? アスカがあんな可愛い恰好でアイドルみたいなことはしないと思うんですけど」

ミサト「……きっと、合成映像かなにかよ。気にしちゃダメよ」

シンジ「そうですね。カヲルくんはどこか不思議な感じだったし……。あれはそういう映像ですよね」

ミサト「そうよ。だから、その話はアスカにしないでね」
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/17(水) 23:06:55.00
司令室

ゲンドウ「来たか」

カヲル「初めまして、お父さん」

ゲンドウ「貴様の父親になった覚えはない」

カヲル「僕はリリンの姿に近い。貴方は紛れもなく父親だ」

ゲンドウ「……」

カヲル「僕が使徒であることを知っているのにここへ呼んだのは何故かな」

ゲンドウ「10年前。貴様が依代にしている肉体もあの場にいたからだ」

カヲル「この体の持ち主がまだヒトだったときの話か」

ゲンドウ「あの日、あの場にいた者たちは全てエヴァになる資格がある」

カヲル「因果の光を浴びてしまった。故にエヴァになれる」

ゲンドウ「そう。それは使徒であってもだ」

カヲル「あのときは運が良かった。アダムとして拘束され、閉じ込められていた僕にとってはね」

ゲンドウ「だが、貴様は17番目に落ちた」

カヲル「今ではそれでよかったと思っているんだ。この世界に蔓延るリリンたちが好きになれたのだからね」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/17(水) 23:43:12.52
人がエヴァになるのにちゃんとした理由があっただと……
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 11:23:30.50
ゲンドウ「戯言ならば聞く気はない」

冬月「もう一つ、お前を招いたのには理由がある」

カヲル「それも察しはついているよ。力を司る天使がこの街に舞い降りたからではないのかい?」

ゲンドウ「使徒に対する認識は変化し、こちらに回る資金も増えた」

冬月「エヴァシリーズに関するものだ」

カヲル「神の器となり得なかったもの。10年前に消えた者。懐かしいね」

ゲンドウ「増えたからにはこちらもエヴァを増やさぬわけにはいかない。しかし今現在、エヴァとして追加できるのはお前のみだ」

カヲル「人間の醜い部分だね。抜け出せない鎖。解けない糸。多用される柵」

ゲンドウ「まだ使徒は残っている。そのときは働いてもらうぞ」

カヲル「お任せを。僕はもうしばらくリリンとして生きるつもりでいる。そして、リリンと共に生きるつもりでいる」

冬月「期待している」

カヲル「こちらこそ」

冬月「……信頼に足るとは思えんな」

ゲンドウ「それを利用するまでだ」

冬月「ふむ。地下のあれさえもエサにするか」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 11:28:19.26
葛城宅

ミサト「ただいまー」

ヒカリ「お帰りなさい。お邪魔してます」

シンジ「また来てくれたんだ」

ミサト「アスカの様子は?」

ヒカリ「……」

ミサト「そう……。何か食べていくでしょ? いーっぱい買ってきたら、遠慮せずに食べて行って」

ヒカリ「いえ。私はこれで」

シンジ「ゆっくりしていってもいいのに」

ヒカリ「いいの。また明日もいいですか?」

ミサト「毎日来てくれるのはうれしいけど、無理はしないでね」

ヒカリ「はいっ。それではお邪魔しました」

ミサト「いい子ね」

シンジ「アスカー、ごはんはー? アスカってばー」

ミサト「どうしたらいいのかしら、ホント」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 11:35:50.93
翌朝

ミサト「今日も学校に行かないつもり?」

シンジ「……」

ミサト「アスカ!」

シンジ「ミサトさん、やめましょう」

ミサト「これで何日目になると思っているの。流石に看過できないわ」

シンジ「けど、アスカにだって何か事情はあるはずです。気持ちの整理ができればきっとまたいつもの調子で出てきてくれますよ。ごはんだって食べてるみたいだし」

ミサト「あたしたちが出かけている間にね」

シンジ「そろそろ学校に行ってきますね」

ミサト「車に気を付けてね」

シンジ「はいっ。行ってきます」

ミサト「行ってらっしゃい」

ミサト「みんな、変わったわね」

ミサト「シンジくんとレイはいい方向へ。アスカとマリはダメな方向に」

ミサト「ちゃんと大人として支えてあげないと。シンジくんやレイまでおかしな方向へ行ってしまったら……」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 11:41:38.63
学校

トウジ「シンジー!!」

シンジ「トウジ! 退院したんだ!!」

トウジ「もう大丈夫やで。シンジのほうは怪我とかなかったんか?」

シンジ「僕は大丈夫。よかった、本当に」

ケンスケ「あのときのトウジ、結構熱かったよな。まるでヒーローのピンチに駆けつけた正義の味方みたいだ」

トウジ「ワシは正義の味方やあらへん。いつだってシンジの味方や」

シンジ「トウジ……」

カヲル「友情だね。初めてみたよ。想像以上に美しいね」

シンジ「うわ!?」

トウジ「なんやお前」

カヲル「初めまして。僕はカヲル。渚カヲル。よろしく、鈴原トウジくん」

トウジ「お、おう」

ケンスケ「どうしてトウジの名前を……」

カヲル「相田ケンスケくん。僕は君のことだって知っているよ。何せ好きな人たちの名前だからね。名前は存在を証明する手段の一つだから、覚えないわけにはいかない」
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 11:50:15.07
トウジ「何をわけのわからんこというてんねん」

カヲル「名前を訊ねることは相手の存在を自分の中で確立させるためだということさ」

ケンスケ「すごい、よくわからない」

カヲル「シンジくんはわかってくれるよね」

シンジ「ぼ、ぼくもよくわからないよ……」

カヲル「残念だ。同じエヴァ同士ならとは思ったのだけど」

トウジ「なんや、お前もエヴァなんか。それならシンジのことよろしゅうしてくれ。最近、嫁二号が調子悪いらしくてな」

カヲル「友達からの頼みなら、喜んで受けるよ」

シンジ「……あの、カヲルくん?」

カヲル「なんだい?」

シンジ「カヲルくんのいう、好きとか愛してるって、その、友達としてってことなの?」

カヲル「ヒトの感情を言語で表すのは不得意だけど、僕は友情を表現するときは好きや愛しているという言葉を使いたいね。そのほうがわかりやすいと思うから」

ケンスケ「好きはわかるけど、愛してるはまた意味合いが違ってくるような」

トウジ「愛してるはやめとけ。きしょくわるいからな」

カヲル「そう。ならこれからは好きという言葉を使っていくことにするよ。ありがとう、トウジくん」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 15:41:15.58
レイ「おはよう」

シンジ「綾波、おはよう」

レイ「碇くん」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

カヲル「君は……」

レイ「誰?」

カヲル「僕は渚カヲル。君と同じ運命を背負う者さ」

レイ「……」

トウジ「カヲルは転校生でええんか」

カヲル「転生したといってもいいかもしれないけれど、僕の立場では転校生が適した表現だね」

ヒカリ「渚くんってあなたのこと?」

カヲル「そうだよ、洞木ヒカリさん」

ヒカリ「え、あ、そう。先生が探してたから職員室に行ってほしいの」

カヲル「そうか。呼ばれてしまったんだね。確かに僕は教員に職員室を訪ねるように言われていた。でも、どうしても、僕はシンジくんたちに会いたかったんだ。わかってくれるかい?」

トウジ「わかったから、はよいかんかい」
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 15:46:48.26
ケンスケ「変わってるなぁ」

トウジ「まぁ、ああいう奴がおってもええやろ」

シンジ「そうだね」

レイ「……」

シンジ「綾波、どうしたの?」

レイ「なんでもないわ。少し見覚えがあっただけ」

シンジ「そういえば、僕もカヲルくんのこと、どこかで見たような……」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

ヒカリ「ペンペン、少し大きくなった?」

レイ「足が長くなったみたい」

トウジ「こいつ、これ以上大きくなったらどうなんねん」

ケンスケ「これはギネスにも載るんじゃないか」

シンジ「それだったらすごいね。綾波の一番の友達がすごく有名になっちゃうじゃないか」

トウジ「同時に綾波も有名人になるな」

レイ「私は……そんなのに興味、ないわ……」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 15:54:09.21
ネルフ本部 トレーニングルーム

レイ「ふっ」

カヲル「……」スッ

レイ「んっ」

カヲル「……」サッ

レイ「当たらない……」

カヲル「それもまた運命だよ」


シンジ「カヲルくん、すごい。綾波の攻撃を簡単によけていくなんて」

ミサト「凄まじい能力ね。彼はどこからスカウトしてきたわけ?」

リツコ「わからないわ。全て碇司令が手配したようだから」

ミサト「経歴、殆ど謎じゃないの」

リツコ「わかっているのは、彼の両親はネルフスタッフだったということだけね。無論、既にいないけれど」

ミサト「大量リストラで残ったメンバーなんてしれてるもんね」

リツコ「優秀だったアスカの母親であるキョウコすら、対象になってしまったもの。金の切れ目は縁の切れ目。資金がなければ優秀な人材も切らざるを得ない」

ミサト「縁っていえばシンジくんたちも不思議な縁よね。確かレイとマリも肉親がネルフスタッフだったんでしょ?」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:04:35.78
シンジ「え、そうなんですか?」

リツコ「一応ね。偶然だけれど」

シンジ「……」

レイ「ふんっ」

カヲル「それも当たらないね」

レイ「……どうして反撃しないの?」

カヲル「たとえ訓練でも僕は友達を殴るようなことはしたくない。傷つけるような行為だけはしない」

レイ「……」

ミサト「その心構えは立派だけど、訓練だからもうちょっち本番さながらでやってくれないと困るわ」

カヲル「わかりました。貴方が困るというのであれば、それなりの態度で臨みます」

ミサト「助かるわ」

レイ「えいっ」ブンッ

カヲル「そしてこれが答えになる」バキッ!!!!

レイ「づっ……!?」

シンジ「綾波!!」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:11:08.38
カヲル「悲しい結末になるだけなんだ。だから、僕は友達を傷つけたくない」

シンジ「カ、カヲルくん……」

ミサト「なるほど。どうやら渚くんだけレベルがダンチみたいね。別メニューを考えなきゃ」

カヲル「それは僕が困ります。僕はみんなと訓練がしたい」

ミサト「そういわれても……」

カヲル「ヒトであることを放棄した真希波さんとヒトの心を閉ざした式波さんとも訓練がしたいぐらいです」

ミサト「貴方、どうして二人のことを知っているの?」

カヲル「同じ仲間、友達のことを知っていて、おかしいですか」

リツコ「いいえ。ただ、情報の出どころは気になるわね」

カヲル「この星に生きる者、この星に流れる情報はどこでも摘み取れる。そういうものです」

リツコ「わけがわからないわ」

シンジ「カヲルくんって、どこからきたの?」

カヲル「前に住んでいたところは新練馬区さ」

シンジ「あ、そうなんだ」

ミサト「とりあえず、今日の訓練は終了にしましょうか。また明日ね」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:19:01.15
休憩所

レイ「……」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「ありがとう、慰めてくれているのね」

レイ「この嫌な気持ちはなに? これが悔しさ……?」

カヲル「それがヒトさ」

レイ「……」

マトリエル「……」ビクッ

カヲル「黒い感情こそヒトの特権。ヒトとして生きていく上で大切な要素となる」

レイ「貴方も、そんな気持ちになるの?」

カヲル「僕はその感情があることを知っているだけで、まだわからない。君たちが何故、そのような重く濁った心を持ちづけているのか理解できない」

カヲル「けれど、それこそがヒトである証なんだろうね。早くその領域に行きたいと願うばかりさ」

レイ「あまりよくないわ。こんなの気持ち悪いだけ」

カヲル「羨ましいとはこういったときに使うのかな」

レイ「私、もう帰るから。さよなら」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:30:25.05
カヲル「生物にとって不要なものだったはずなんだ。感情なんてね」

レイ「……」

カヲル「ヒトであることを捨てた真希波さんはとても幸せそうにしている。知っているかい?」

レイ「5号機の人のことは誰も教えてくれないもの」

カヲル「反対にヒトとしての心を閉ざした式波さんは今も苦しんでいる。心がまだ生きているからね」

レイ「貴方は何が言いたいの? 何を知っているの?」

カヲル「以前の君はまさに真希波さんだった。あのころは楽だったはずだ。ただ命令を聞けばいいだけだった。人形のように」

レイ「私は……」

カヲル「心を持つというのは辛いことだね。心があるだけで生きることに苦悩し、肉体は疲弊し、心が摩耗していく」

レイ「……」

カヲル「綾波レイとして、それでよかったのかどうか。僕にはわからないけれど」

レイ「……よかったと思える。そのおかげでペンペンとも会えた。碇くんのことを好きになれたから」

カヲル「僕もリリンに近づけてよかったと思える。だけど、黒い感情を持つことにはまだ抵抗があるよ。その先にある答えは分かりきっている。とてもとても深い悲しみだけだ」

レイ「生きていれば、そういうこともあるわ」

カヲル「そうだね。無駄話に付き合わせてしまったね。さようなら、綾波さん」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:38:25.28
市街

レイ「……」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「はっきり言った。碇くんが好きって。あの時、弐号機の人を止めようとしたときも私は同じようなことを言った」

レイ「よくわからないけど、その言葉を口にするだけで息苦しくなる」

レイ「好きってなに? 辛いこと? 悲しいこと?」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「ペンペンを想う気持ちとは違う。碇くんはまた別」

レイ「どうすればいいの……」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「ペンペン? そこはお尻だから這わないで」

マトリエル「……」サッ

レイ「私の携帯電話……?」

マトリエル「……」ビシッ

レイ「電話したら、いいの?」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:42:59.51
葛城宅

ヒカリ「お邪魔しました」

ミサト「ごめんね」

ヒカリ「いえ。また、明日も来ます」

ミサト「無理だけはしちゃだめよ」

ヒカリ「はいっ。おやすみなさい」

ミサト「はぁ……。アスカはまだ引き籠り続ける気か」

シンジ「やっぱり、僕に裸を見られたことが相当応えているってことですよね?」

ミサト「それもあるだろうし、あのときにいろんなこと口走ってたでしょ?」

シンジ「あれは使徒に操られていただけじゃないですか。アスカが気にすることは何もないはずなのに」

ミサト「まぁ、そういうことにしておきましょう」

ピリリリ

シンジ「え……? 綾波……?」

ミサト「レイから電話? ぶふふ、やるわねー、シンちゃん」

シンジ「なんだろう……? はい、もしもし」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:48:29.15
市街

レイ「あ、の……碇、くん……」

シンジ『珍しいね。綾波から電話をかけてくれるなんて』

レイ「迷惑、だった?」

シンジ『そんなことないよ。でも、急にどうしたの?』

レイ「わからない」

シンジ『え?』

レイ「あのときも私は言った。今日も新しい弐号機の人にも言ったわ」

シンジ『カヲルくんに何か言ったの?』

レイ「碇くんを好きになれてよかったって」

シンジ『え……』

レイ「それを言ったとき、苦しくなって、これってどういうことかわかる?」

シンジ『あの、綾波……』

レイ「碇くん、教えて。私は碇くんを好きにならないほうがいいの?」

シンジ『あ、えっと……その……それは、友達としてって、こと、なのかな……?』
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:54:08.55
葛城宅

レイ『そう……なの……?』

シンジ「ち、違うの?」

レイ『……』

シンジ「も、もしもし? もしかして、その……綾波は……」

レイ『使徒』

シンジ「え?」

レイ『碇くん、この続きはあとで』

シンジ「綾波!? 綾波!!!」

ミサト「どうしたの? 愛の告白うけちゃったわけぇ?」

シンジ「違います! 綾波が使徒と遭遇したみたいです!!」

ミサト「使徒ですって!?」

ピリリリ

ミサト「リツコ!?」

リツコ『使徒よ。すぐにこちらに来て。シンジくんを連れてね』
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 16:58:14.65
市街

アルミサエル「……」グルグルグルグル

レイ「使徒です」

ゲンドウ『殲滅だ。パーツは既にそちらに向かっている』

レイ「了解」

アルミサエル「……」グルグルグルグル

レイ「ペンペンは隠れていて」

マトリエル「……」カサカサカサカサカサ

レイ「攻撃は当たる?」

アルミサエル「……」シュルルルル

レイ「くっ」

アルミサエル「……」

レイ「ふっ」バキッ

アルミサエル「……」イテッ

レイ「当たる。これなら、パーツが届くまでの時間稼ぎぐらいは……」
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:04:44.43
カヲル「君もまたリリンに魅入られたんだね。そうか。君は僕と違う形で彼らに成ろうしているのか」

カヲル「僕がこの肉体を依代にしたように。君は綾波レイの肉体を依代にしようというんだね」

カヲル「その暁には共に生きていこう。この醜悪な世界で」


アルミサエル「……」グルングルングルン

レイ「これでっ」

アルミサエル「……」グニャァ

レイ「当たらない……」

アルミサエル「……」シュルルル

レイ「あっ――」



カヲル「……そういうことか」

カヲル「堕ちたはずのものたちを拾い上げることができるのも、リリンとしての強さか」

カヲル「いや、強さじゃないんだね。それが優しさ」

カヲル「難しいね。まだまだ僕には理解できそうにない」

カヲル「君はそれを理解したのかい、マトリエル」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:10:15.14
アルミサエル「……」ズブブブブ

マトリエル「……」ググッ

レイ「ペンペン……」

マトリエル「……」ビシッ

レイ「やめて……私を守らないで……」

マトリエル「……」

レイ「私が死んでも代わりはいるけど、貴方には代わりなんていないわ」

レイ「だから……!」

マトリエル「……」バイバイ

レイ「待って――」

アルミサエル「……!」

マトリエル「……」ピカッ!!!


カヲル「……悲しい光が空へと戻っていく」

カヲル「アルミサエルが知り得た感情が流れてくる。嫌な感覚だ」

カヲル「これがヒトになるということなら、僕は耐えよう」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:14:33.39
ネルフ本部

マヤ「市街で爆発を確認!!」

リツコ「使徒なの?」

マヤ「使徒の反応は消失。零号機は健在です」

リツコ「よかった……」

ミサト「状況は!?」

マヤ「使徒の殲滅は成功です。レイが一人でやってくれました」

ミサト「そうなの? レイ、聞こえる?」

レイ『はい』

ミサト「よく一人でやってくれたわ。ありがとう」

レイ『はい』

リツコ「シンジくんはどうしたの?」

ミサト「先にレイのところへ行かせたわよ。もうすぐ到着するんじゃないかしら?」

冬月「最後の仕上げだな」

ゲンドウ「ああ」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:18:11.33
市街

シンジ「綾波!! 怪我は!?」

レイ「……ないわ」

シンジ「そうなんだ。無事でよかったよ」

レイ「私、帰るから」

シンジ「あ、綾波。さっきのことなんだけど」

レイ「……」

シンジ「その、僕……」

レイ「私はもう誰も好きにならない」

シンジ「何を言って……」

レイ「人形でいい。そのほうが楽だから」

シンジ「綾波、どうしたの?」

レイ「碇くん。今までありがとう。もう、私には構わないで」

シンジ「綾波!?」

レイ「さよなら」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:23:53.93
ネルフ本部

レイ「……」

ミサト「おかえりー、レイ。はい、お水」

レイ「……」

ミサト「まさかあのタイミングで使徒と遭遇するなんてね。これからはもっと気を付けるわ」

レイ「……話はそれだけですか?」

ミサト「え? え、ええ、そうね」

レイ「失礼します」

ミサト「レイ……」

マヤ「前のレイに戻ったようですね」

リツコ「笑うレイは可愛かったのに」

マヤ「何かあったのでしょうか?」

ミサト「まさか……。待ちなさい! レイ!!」

レイ「……」

ミサト「ペンペンはどうしたの? あなたの傍にいつもいたはずよね?」
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:28:14.14
レイ「……」

ミサト「何があったのかいいなさい!」

レイ「……」

ミサト「レイ、話してみて」

レイ「貴方に話せば、ペンペンは戻ってくるんですか?」

ミサト「な……」

レイ「貴方に話せば、また誰かを好きになりたいと思えますか?」

ミサト「そう、いうことなのね……やっぱり……」

レイ「……失礼します」

ミサト「……」

マヤ「もしかして先ほどの戦闘で、飼っていたクモが……」

リツコ「みたいね。あの様子だと、泣くこともできないといった感じだけれど」

ミサト「あたし……どうしたら……」

リツコ「零号機の運用も危ういわね。司令に報告しておかなくていいの?」

ミサト「それどころじゃないこと、わかんないの?」
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:37:25.81
リツコ「エヴァが使えない事態よりも優先すべきことなんてある?」

ミサト「いい加減にして!! レイの気持ちぐらい考えなさいよ!!」

マヤ「あ、あの……先輩、それは流石に私もどうかと……」

リツコ「ミサト、あなたはレイに自分を重ねているだけでしょう」

ミサト「……何がいけないのよ」

リツコ「昔、南極からペンギンをこっそり拾い、日本に持ち帰って10日で死なせてしまったから、今のレイに同情しているだけでしょう」

ミサト「……」

リツコ「しっかりしなさい。作戦本部長さん」

ミサト「くっ……。司令に報告してくるわ」

リツコ「よろしくね」

マヤ「そんな過去が葛城一尉にあったんですか」

リツコ「ええ。その一件で父親と大喧嘩したらしいわ。困ったものよね」

マヤ「それっていつの話なんですか? そもそもどうして葛城一尉は南極に?」

リツコ「確か、14年前ね。南極に向かったのは父親の仕事の都合だったはずよ。ミサトの父親もネルフスタッフだったし出張でもしていたんじゃないかしら」

マヤ「14年前ってエヴァンゲリオンの開発が始まった時期じゃないですか。何か関係でもあるんですか?」
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:44:13.48
司令室

冬月「まさか、綾波レイが使徒を匿っていたとはな」

ゲンドウ「手間が省けた」

冬月「残る欠番もどこかで死に絶えたか」

ゲンドウ「過程は違えど、収束する地点は変わらないということだ」

冬月「長かったな」

ゲンドウ「10年。それほどの時間を費やした」

冬月「故にここで失敗するわけにはいかんな」

ゲンドウ「その通りだ。では、行ってくる」

冬月「もう行くのか」

ゲンドウ「扉は開いた。この手でその先に触れてくる」

冬月「お前がそうすることで奴も黙ってはいないだろう」

ゲンドウ「番狂わせが起こっている以上、ここで決行する」

冬月「それもシナリオにあったのか」

ゲンドウ「無論だ」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 17:53:08.97
翌日 学校

トウジ「式波、まだ休みつもりか」

ケンスケ「今日で丸一か月だね」

トウジ「いいんちょ、式波はどないしてんねん」

ヒカリ「分からない。部屋から出てきてくれないし」

ケンスケ「まぁ、あんなことがあったんじゃあ、無理もないけど」

トウジ「正直、脳裏に焼き付いて離れへんけどな」

ケンスケ「実はさ、あの映像や音声、ネットで広められていて、今現在ファンクラブまであるぐらいなんだ」

トウジ「なんやて?」

ケンスケ「式波・アスカ・ラングレーで検索するだけで『何者?』『かわいい』『未来形アイドル』とか予測キーワードが勝手に出るぐらい」

トウジ「夢、かなっとるやんけ」

レイ「……」

ヒカリ「おはよう、綾波さん」

レイ「……」

ヒカリ「あ、あれ……?」
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 18:11:17.43
トウジ「なんや、綾波のやつ……」

ケンスケ「少し前の綾波に戻ったみたいだね」

トウジ「ああ……」

シンジ「おはよう」

トウジ「おはようさん。シンジ、綾波のやつどないかしたんか?」

シンジ「……」

ヒカリ「あれ? ペンペンがいないみたいだけど、今日は家に置いてきたのかな?」

シンジ「もう……ペンペンは……」

ケンスケ「昨日、使徒との戦闘があったってきいたけど」

トウジ「おいおい、マジか」

シンジ「僕もミサトさんから聞いて……」

ヒカリ「綾波さん……」

シンジ「今はそっとしておいたほうがいいと思う」

トウジ「なんやろなぁ。エヴァになるやつばっかりがつらい目におうてる気がするで」

カヲル「――戦いに身を置く者たちは、試練の連続なのさ」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 21:34:04.71
ミサトさんが本編以上の駄目人間で草
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:02:23.05
ヒカリ「渚くん、おはよう」

カヲル「おはよう、ヒカリさん」

トウジ「そらシンジたちはワシらより苦労してるのはわかってる。でもな、戦う以上に辛い目におうてるのが納得できん」

カヲル「トウジくんだって辛苦を舐めるようなことがいくつかあったはずだ」

トウジ「ワシは別にないぞ」

カヲル「サクラさんのこと、トウジくん自身も数日間の治療が必要になった」

トウジ「んなもん、シンジたちに比べたら屁のカッパや」

カヲル「トウジくんは優しいね。自分よりも苦しみ悩む人がいれば、自分は幸せだと考えている」

トウジ「な……」

ヒカリ「それは言い方が悪いと思う」

ケンスケ「まるで自分よりも下の相手を見て安心しているだけって言っているみたいだ」

カヲル「違うのかい?」

トウジ「なんやと!! ワシは本気でシンジの心配を……!!」

カヲル「他人を心配できるのは、自分にゆとりがある者の特権だよ」

トウジ「お前……!!」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:09:37.87
カヲル「……」パシッ

トウジ「ぐっ……!!」

カヲル「怒りと憎しみに満ちた拳。シンジくんのために君は僕に手を出した。これも友情だね」

トウジ「今の発言は取り消さんかい」

カヲル「僕は真実を口にしたに過ぎない。その事実は消せはしないよ」

シンジ「やめてよ、カヲルくん!!」

カヲル「どうしてシンジくんまで怒っているんだい?」

シンジ「怒るよ!! トウジに謝って!! トウジは僕の心配をしてくれてるだけなんだ!!」

カヲル「僕はまだヒトの心がわかっていないようだね。シンジくんのためを思ってのことだったのに」

ヒカリ「ど、どこがよ!」

カヲル「トウジくんは決してシンジくんの心配をしているわけじゃない。ただ、自分がどれだけ安全な場所にいるのかを確認しているに過ぎない。それを伝えたかった」

シンジ「酷いよ、カヲルくん!!」

カヲル「ごめんね、シンジくん。僕の発言はどうやら失言だったようだ。もっと学ぶことにするよ」

トウジ「胸糞悪いわ!! けっ!!」

ケンスケ「優しそうな顔をしているけど、人の気持ちを考えられないんだな。渚は」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:15:45.96
昼休み 屋上

カヲル「空が近い。まだ僕はこの大空に未練があるみたいだ」

シンジ「カヲルくん……」

カヲル「やぁ、シンジくん。どうしたの?」

シンジ「トウジに謝ってくれた?」

カヲル「謝罪の弁ならシンジくんに言ったよ」

シンジ「そうじゃなくて、トウジに謝ってよ」

カヲル「彼に謝る必要なないと思うよ。彼が気分を害したというなら、それは彼の心に問題がある」

シンジ「どうしてそんなことをいうの。友達になろうって言ったのはカヲルくんじゃないか」

カヲル「今でも僕とシンジくんたちは友達だ。それは変わらない」

シンジ「今のままだったら、カヲルくんは友達をなくすよ」

カヲル「シンジくんも僕から離れようというのかい」

シンジ「このままカヲルくんがトウジに謝らないなら」

カヲル「そうか。それは困るね。けど、このまま僕が謝ったところでトウジくんは許してくれると思う?」

シンジ「許してくれるくれないの問題じゃないよ。謝ることが大事なんだ」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:24:08.52
カヲル「僕の起こした行動について必ず罪を償わなくていけないということ?」

シンジ「必ずじゃないけど、カヲルくんはトウジに失礼なことを言ったんだ。それがわからないの?」

カヲル「うん」

シンジ「……」

カヲル「僕はね、ヒトの姿でありがながら、ヒトの心は持っていない。ヒトの心には関心があるし、惹かれもしている」

シンジ「何を言っているの?」

カヲル「昨夜もほんの少しだけヒトの心を見ることができた。自らを省みない献身。シンジくんにもそういうのはあるかな」

シンジ「え……?」

カヲル「僕はこの目で、この耳で、この肌で、感じ取ったよ。まだ真似をすることはできないけれど」

シンジ「何を見たの……」

カヲル「綾波レイ、いや、エヴァ零号機を庇い、空へと帰郷する天使の姿をね」

シンジ「それって、ペンペンのことなの?」

カヲル「彼はそう呼ばれ、愛されていたようだね。この世から弾かれる瞬間に受け取ったよ」

シンジ「昨日は……カヲルくん……あの場にいたんだ……」

カヲル「あの場所に使徒が現れることは分かっていたからね」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:30:46.25
シンジ「わかって、いた……?」

カヲル「そう。分かっていた。だから、誰よりも先にあの場で待っていた」

シンジ「なら、どうして綾波を……ペンペンを……助けなかったの……」

カヲル「使徒がヒトの心を知ろうとしていた」

シンジ「……」

カヲル「その行為を止める権利は僕にはない。むしろ、祝福すべきことだ」

シンジ「カヲルくんが何を言っているのか、全然、わからないよ……」

カヲル「アダムの生み出した者とリリスが生み出した者が共存しようとしている。世界においてこれほど幸福なこともないはずだ」

シンジ「分からないけど……僕は……」

カヲル「シンジくんもいつかその世界を愛おしく思える日がくるはずだ」

シンジ「――カヲルくん!!!」ブンッ

カヲル「……」パシッ

シンジ「どうして……!! どうして……!!」

カヲル「この拳にはどういう意味が込められているのかな」

シンジ「救えたじゃないか……!! カヲルくんがいたなら綾波もペンペンも救えたじゃないか……!!」
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:38:56.70
カヲル「救えた? 綾波レイはペンペンが救ってくれた」

シンジ「おかしいよ!! カヲルくんなら両方救えたじゃないか!!!」

カヲル「僕が加勢すればヒトの心を知ることができなかった。それでは意味がない。アルミサエルの行動は心を知ることだったのだから」

シンジ「わけがわからないよ、カヲルくん!!」

カヲル「僕らの目的はヒトの心を知り、共に生きていくこと」

シンジ「友達は傷つけないんじゃなかったの!? カヲルくんは嘘をついたの!?」

カヲル「綾波レイは無傷だよ?」

シンジ「……っ」

カヲル「シンジくん?」

シンジ「君は、友達じゃない」

カヲル「……」

シンジ「もういいよ。もう誰にも話しかけないで。君は相手を傷つけるんだ」

カヲル「傷なんてつけないよ。力をふるうことはない」

シンジ「心を傷つけているんだ。カヲルくんは無意識なのかもしれないけど」

カヲル「心を……? 分からない。形のないものを傷つけることがリリンにはできるのかい?」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:43:51.82
シンジ「カヲルくんは悲しんだりしたこともないの?」

カヲル「勿論、あるよ。誰かが消えていくのは悲しいね」

シンジ「友達に酷いことを言われて悲しくなったりしないの?」

カヲル「たとえば?」

シンジ「……」

カヲル「よかったら、教えてほしいんだ」

シンジ「カヲルくん……」

カヲル「シンジくん、教えてほしい。どんな言葉が悲しみに変わるのかを」

シンジ「君とは友達になれない」

カヲル「残念だね」

シンジ「悲しくないの?」

カヲル「シンジくんがそういうのなら仕方ない。そこに悲しみは生まれない。だって、シンジくんは消えない。ここにいる」

シンジ「……それじゃ、僕は戻るよ」

カヲル「うん。またあとでね」

シンジ「……」
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:48:48.29
放課後

レイ「……」

シンジ「綾波、一緒に本部まで……」

レイ「先、行くから」

シンジ「あ、ごめん……」

トウジ「ダメダメやな」

シンジ「笑ってたのに……昨日まで綾波は自然と笑ってたのに……」

ヒカリ「碇くん、また寄らせてもらってもいい?」

シンジ「うん。僕のほうこそいつもごめん」

ヒカリ「私がしたくてしてるだけだし、アスカには早く元気になってほしいから」

カヲル「献身的だね。その支えあいは感服するよ」

シンジ「それじゃ、トウジ。またね」

トウジ「おう。きぃつけてな」

シンジ「ありがとう」

カヲル「僕も一緒に行くよ、シンジくん」
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:53:38.06
市街

カヲル「今日の訓練、また一緒にできるね」

シンジ「……」

カヲル「もしかしたら、僕とシンジくんだけかもしれないね」

シンジ「カヲルくん」

カヲル「なにかな」

シンジ「僕とはもう友達じゃないんだ。話しかけないで」

カヲル「友達じゃなくても、会話はしてほしい。僕はシンジくんたちのことをもっと知りたいんだ」

シンジ「知られたくない。君にだけは」

カヲル「どうして?」

シンジ「カヲルくんにはきっとどう説明しても理解できないと思う」

カヲル「ヒトの心がわからないから?」

シンジ「うん」

カヲル「僕ではシンジくんたちの心を知ることはできないんだね」

シンジ「誰もカヲルくんに心を開こうとは思わない」
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 22:59:50.77
ネルフ本部 休憩所

カヲル「マトリエルはどうしてあんな行動をとることができたのだろう……」

カヲル「なぜ、ヒトが心を開いてくれたのだろう」

カヲル「ヒトに近づけたから? そうなのかい、マトリエル」

カヲル「僕もヒトに近づかなくてはいけないんだね。17番目ではなく、僕自身が18番目に堕ちなければわからない」

カヲル「それを叶えるのは……」

ミサト「渚くん。何しているの? 訓練の時間はとっくに過ぎているわ」

カヲル「申し訳ありません。シンジくんは僕と共に訓練をしたくないと言っていました」

ミサト「ケンカでもしたの?」

カヲル「いいえ。僕はシンジくんが大好きです。争う理由がありません」

ミサト「なら、どうして?」

カヲル「僕がヒトではないからでしょう」

ミサト「ヒトではない……?」

カヲル「このままでは分からない。だから、僕は行きます。ヒトに成るために。神が眠る場所へ」

ミサト「ま、待ちなさい!!」
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 23:08:09.11
トレーニングルーム

シンジ「誰も来ない。綾波もアスカもマリさんも」

シンジ「カヲルくんも……」

シンジ「僕だけじゃ何もできないよ、ミサトさん……」

マヤ『シンジくん!! 緊急事態です!!』

シンジ「な、なんですか?」

マヤ『使徒が本部に侵入!! 早急に目標を殲滅してください!!』

シンジ「使徒が……!?」

『僕のことだよ、シンジくん』

シンジ「その声……」

『カヲル。渚カヲル。捨てた名はタブリス』

シンジ「使徒、だったの……」

『そう。シンジくんたちと同じ肉体を持ちながらも、心は別物だったんだ』

シンジ「だから、綾波のことも僕のこともも裏切ったの……踏みにじったの……」

『いや。僕とリリンは分かり合えなかった。それだけだよ』
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 23:21:14.52
通路

『アダムから生まれた者とリリスから生まれた者が通じ合い、共存する。それは誰も叶わない夢物語だと思われていた』

シンジ「どこにいるんだよ!! カヲルくん!!」

『事の始まりは138億年前。そこで僕たちは生まれ、生き残るために戦うことになる』

シンジ「ミサトさん!! 応答してください!!」

『生き残ったのは第1使徒である、アダム。僕のことだ。そしてファースト・インパクトと呼称される出来事が起こり、宇宙は誕生した』

シンジ「ミサトさん!!! カヲルくんの、使徒の位置を教えてください!!」

『僕だけの世界だったはずなのに、リリスはリリンと呼ばれる者たちを星々に植え付けていた。存在するはずのなかった18番目の使徒が誕生した』

ミサト『シンジくん、聞こえる!?』

シンジ「どこにいるんですか!?」

ミサト『今から隔壁を開けていくわ! それに従って移動して!!』

シンジ「わかりました!!」

『2億年前。この星で異様に発達した知能と知識を有した小さき使徒が行動を起こす。彼らはその膨大な知識量と数で巨人を圧倒し、セカンド・インパクトと呼称されるものが起きたんだ』

シンジ「こっちか!」

『そのときから争い続けていた僕たちが通じ合うことなんてできるわけがない。シンジくんもそう思うはずだ。僕だってそう考えていたからこそ、対話なんていう方法は選ばなかった』
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 23:35:30.46
『けれど、14年前。生存競争に敗れ、新たな争いが起こるまで眠っていた僕をリリンは目覚めさせた』

シンジ「この下に……カヲルくんが……」

『時代と世界の変革には気が遠くなるほどの時間が必要になる。リリンはそれを無理矢理に短縮させようとした』

シンジ「カヲルくん!!」

カヲル「10年前。ここで小さな革命が起こった。宇宙を塗り替えるほどの爆発ではないけれど、それでも世界は大きく変わったんだ」

シンジ「ここ……見覚えが……」

カヲル「ニアサード・インパクト。まだ使徒も揃っていない段階で行動を起こしたリリンを包み込んだ因果の光」

シンジ「そうだ……ここで……僕は綾波やアスカと……」

カヲル「神の器として用意されたエヴァンゲリオン初号機。それに搭乗していた真希波・マリ・イラストリアスは時間を止められた」

カヲル「正確には宇宙という始まりと終わりのない時間の流れをその身に宿してしまった」

シンジ「マリさんとも……カヲルくんとも……」

カヲル「その場にいた渚カヲルという少年は零号機のテストパイロットだった。アダムはこの肉体を依代にすることでニアサードによる死滅の運命を乗り越えた」

シンジ「母さんも……ここに……」

カヲル「そしてシンジくん。君も光を浴びた。運命は残酷だね。君はエヴァになることを選んだわけじゃない。選ばれていただけなんだ」

シンジ「……」
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 23:48:44.74
カヲル「アダムを殺し、封印することで起こったニアサード・インパクト。そこで巨人だった使徒はリリンに近しいものとなる」

カヲル「リリンが争うのに有利な世界へと変わった。けれど、リリンにも制約ができた」

シンジ「制約……」

カヲル「選ばれた者だけが使徒と戦える。他のリリンでは使徒には敵わない」

シンジ「それが僕だっていうの?」

カヲル「疑問には思わなかったかい? 使徒を前にして君は闘争本能をさらけ出し、戦おうとした。幾度となく」

カヲル「サキエルもシャムシエルもラミエルも、君は衝動に任せて撃退したはずだ。それは使徒同士の争いで生まれる生存本能に他ならない」

シンジ「分からないよ。そんな話されたって僕は……」

カヲル「変わってしまった世界ではリリンを消すことが僕らの目的になっていた。アダムの世界へと回帰するためにね。けれど、結果は知ってのとおり」

カヲル「力では敵わない。だからこそ、イロウル、マトリエル、レリエル、バルディエルには君たちのことを調べさせた。そしてわかったことがある」

シンジ「なにを……」

カヲル「リリンは醜くも美しいと。圧倒的な力にも屈しないそんな君たちを好きになった。愛してしまった」

カヲル「アラエルとアルミサエルも同じだった。リリンのことを知りたかっただけなんだ。分かり合おうとしただけなんだ」

シンジ「誰のことを言ってるの」

カヲル「僕も知りたかった。けれど、無理みたいだね。だから起こそう。分かり合える世界にするために。シンジくんと僕が愛し合える世界にするために起こすしかないんだ。サード・インパクトを」
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/19(金) 23:58:08.80
ミサト『シンジくん!! 渚くんをそこで食い止めて!!』

リツコ『それ以上、行かしてはダメよ!!』

カヲル「悲しい世界だね。リリンにとっては住みやすいのかもしれない。けれど、消えていく者たちにとっては悲しい世界だ」

シンジ「何をする気なの……」

カヲル「分からないまま消えていく。それほど悲しいことはないと思わないかい? 僕は消えたくない。このままシンジくんと分かり合えないまま、消えたくはないんだ」

シンジ「やめてよ!! カヲルくん!!」

カヲル「僕を止めるなら今の内だよ。でないと、世界は変わる。君の知っている世界は消え、よく似た全く違う世界へと生まれ変わる」

シンジ「何がなんなのかわからないよ!!」

カヲル「シンジくんも綾波レイも式波・アスカ・ラングレーも真希波・マリ・イラストリアスも僕もいる。そしてみんなが分かり合えている世界。友達になれている世界だ」

シンジ「え……」

カヲル「君のお母さんもお父さんもいる。葛城ミサトも赤木リツコも鈴原トウジも相田ケンスケも洞木ヒカリもみんないる。けれど、違う。みんなが通じ合った世界なんだ」

シンジ「カヲルくんとも友達になれる世界だっていうの?」

カヲル「僕の望みはそれだけだ」

シンジ「僕は……」

カヲル「一度拒絶した相手と心を通わせるのは辛いことかい? 苦しいことかい? なら、僕を止めたほうがいい。シンジくんにとって、僕の望む世界は歪んでいるのだからね」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:07:17.47
シンジ「僕は……僕だって……本当は……」

カヲル「どうしたんだい、シンジくん?」

シンジ「うわぁぁぁぁ!!!」ブンッ

カヲル「それでは僕を止めることはできないね」パシッ

シンジ「うっ……」

カヲル「迷う必要なはいよ。君は言ったね。僕は相手を傷つけるだけだと。それは正しいと思うよ。ヒトの心が僕にはない。ヒトに心があることを知っているだけ」

シンジ「くっ……!」

カヲル「心を傷つけるという意味を僕は知りたい。シンジくんが好きだから。体も心も傷つけたくなんてない。でも、何をしたら傷つくのかわからない」

シンジ「う、動かない……こんなに強かったんだ……」

カヲル「どうやら、シンジくんでは僕を止められないみたいだね」バキッ!!

シンジ「ぐっ……!?」

カヲル「僕は行くよ。扉の先へ。そしてまた会おう、シンジくん。生まれ変わった世界で通じ合おう」

シンジ「待って……カヲルくん……!」

カヲル「すぐに会えるよ」

シンジ「僕だって……本当は……知りたい……カヲルくんと……分かり合いたかった……のに……」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:13:40.87
カヲル「さぁ、浴びよう。世界を飲み込む、転生の光を」

ゲンドウ「遅かったな。タブリス」

カヲル「どうして……ここに……」

ゲンドウ「10年前に起こったニアサード・インパクト。やはり第1の使徒だけでは足りなかった。小さな変革しか起こせなかった」

カヲル「……」

ゲンドウ「使徒を全て排したときに起こる宇宙の変革。私にはそれが必要だった」

カヲル「まさか……」

ゲンドウ「使徒は全て消し、世界を変える」

カヲル「そういうことだったのか。なら、リリンの親とはもう呼べないね」

ゲンドウ「もとより、親になったつもりはない」

カヲル「させはしないよ」ブンッ

ゲンドウ「無駄だ」パシッ

カヲル「……!」

ゲンドウ「ふんっ!」ドゴォ!!!!

カヲル「ごっ……!?」
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:19:38.29
シンジ「え……!? 父さん……」

カヲル「ごほっ……。すごいね、君のお父さんは」

シンジ「な、なにが……?」

カヲル「全ての使徒を消すつもりでいる。そう、18番目の使徒すらもね」

シンジ「え……え……」

ゲンドウ「そうだ。19番目の使徒、碇ゲンドウとなり、世界を塗り替える」

シンジ「な……!? 父さん、何を言ってるんだよ!?」

ゲンドウ「10年前から決めていたことだ。いや、アダムが南極で発見された14年前からだ」

シンジ「どういうことだよ!!! 父さん!!」

カヲル「貴方が望む世界には何がある」

ゲンドウ「ユイと二人だけの世界だ」

シンジ「母さん……と……?」

ゲンドウ「他の生き物など不要だ」

シンジ「ぼ、ぼくは……?」

ゲンドウ「お前など、計画の駒にすぎん」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:26:32.09
管制室

ミサト「司令……!?」

リツコ「……」

マヤ「どういうことなんですか……?」

冬月「始まったな。世界の終わりが」

ゲンドウ『貴様をエヴァにし、邪魔な使徒を消す。お前はそれだけのために今日まで生かされいた』

ゲンドウ『零号機も弐号機も仮設5号機も全てな』

シンジ『なんだよ……それ……なんだよ……』

ゲンドウ『よくやったな、シンジ』

シンジ『うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

ゲンドウ『静かにしろ』ドゴォ!!!

シンジ『う……ぇ……!?』

ミサト「シンジくん!!!」

ゲンドウ『所詮は初号機。全ての追加資金をつぎ込み改良に改良を重ねたMark.6の敵ではない』

ミサト「あのパーツは……エヴァ……。司令もエヴァになったの……」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:35:11.17
地下 実験施設

カヲル「自身もリリンの僕となったんだね」

ゲンドウ「リリンは既に私の敵だ」

シンジ「意味がわからないよ!!! 父さん!!! ずっと、ずっと、綾波もアスカもマリさんも僕までも騙してたの!?」

ゲンドウ「なんとでも思えばいい。いくらでも吠えろ。事態は変わらん」

シンジ「なんのために命がけで戦ってきたんだ……僕は……父さんに褒めてほしいから……」

ゲンドウ「いくらでも褒めてやろう。だが、お前は私の世界には不必要だ」

シンジ「あぁ……あああ……ぁぁあああああああ……!!! あああぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

カヲル「……」

ゲンドウ「18番目の代表格である、エヴァンゲリオン初号機が消えれば残りは塵芥も同然だ」

シンジ「あぁぁぁぁぁ!!!!」

ゲンドウ「もうすぐ会えるぞ、ユイ」

カヲル「シンジくん。逃げるんだ」

シンジ「カ、カヲルくん……?」

カヲル「君は生き残らなくてはいけないみたいだ。このまま19番目の使徒に世界を作り替えさせてはいけない」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:41:36.31
シンジ「待ってよ……もう、僕はわけがわからなくて……!!」

カヲル「今は分かろうとしなくていい。でも、君は世界に必要な人間なんだ」

シンジ「なんだよ!! どうして僕なんだよ!!!」

カヲル「君しかいないんだ。因果の光を浴びても、君は運命に抗えるかもしれない」

シンジ「なんで……なんで……」

カヲル「不思議だね。数分前まで知りたかったことが、手に取るようにわかるよ」

シンジ「カヲルくん……」

カヲル「僕はシンジくんを傷つけた。トウジくんもケンスケくんもヒカリさんも……」

カヲル「君たちは僕を嫌うだろう。これからもずっと僕は君たちにとっては敵であり、友達じゃないかもしれない」

カヲル「けれど、僕はそれでも君たちを愛している」

シンジ「カヲルくん……待ってよ……僕……どうしたらいいんだよ……」

カヲル「僕は君を助けたい。だから、逃げてほしい。生きてほしい。そして、託したい」

シンジ「カヲルくん!!!」

カヲル「また会えるよ。この世界をシンジくんが守るなら」

シンジ「嫌だよ!! どうしたらいいのかわからないのに!! 一人にしないでよ!!! カヲルくん!!!」
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/20(土) 00:46:23.22
管制室

マヤ「隔壁が閉まっていきます!!」

ミサト「どうして!?」

マヤ「分かりません!!」

リツコ「一度、ウイルスを送り込まれたわね。そのときに誰かが操作できるようにしておいたとしか考えられない」

シンジ『カヲルくん!! おいていかないでよ!!!』

ゲンドウ『ここに閉じ込めても時間稼ぎにしかならんぞ』

カヲル『それで十分だ。貴方の思い通りにはならない』

ミサト「渚くん!!」

カヲル『シンジくんをお願いします』

ミサト「リツコ!!」

リツコ「早く行きなさい」

ミサト「ありがとう!」

冬月「さて、どうなるか……」

シンジ『カヲルくん!!! やめてよ!!! 独りにしないでよ!!! ここを開けてよ!!』
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 14:46:54.82
実験施設

シンジ「開けてよ!! カヲルくん!! 聞きたいことがたくさんあるんだ!! 出てきてよ!!」

ミサト「シンジくん」

シンジ「どうして僕なの!? どうして僕がエヴァにならなきゃいけないの!? カヲルくんはどうして……僕たちの……」

ミサト「来なさい、シンジくん」

シンジ「だれか……おしえてよ……おしえて……」

ミサト「しっかりして」

シンジ「ミサトさんが教えてくれるんですか……?」

ミサト「あたしは何もしらないわ。シンジくんに教えてあげられることは何もないの」

シンジ「無責任じゃないか!! どうして僕ばっかりに苦しいことをさせるんだ!! おかしいよ!!」

ミサト「ごめんなさい。とにかく今はここから離れましょう」

シンジ「嫌だ!! もう誰のいうことも聞くもんか!! 僕は……!!!」

ミサト「聞き分けのないことを言わないで。ここにいたって何も解決しないのよ。みんなで今後のことを考えましょう」

シンジ「みんなって誰ですか? アスカも綾波もマリさんもカヲルくんも、みんなもう……」

ミサト「いいから一緒に来て」グイッ
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 14:51:23.05
病室

マリ「くぅーん」

ミサト「――ここにいて」

シンジ「……」

マリ「わふっ」

ミサト「ロックはかけておくから誰も入ってこれないし、出ることもできない。いいわね」

シンジ「……」

ミサト「作戦が決まったら迎えにくるわ。それまで我慢しててね」

シンジ「……」

ミサト「それじゃ」

シンジ「もう……僕は……エヴァになんてならない……必要がないんだ……誰も褒めてくれないじゃないか……がんばっても……いいことなんてないじゃないか……」

マリ「くぅーん」スリスリ

シンジ「トウジたちを守ったのだって……本当は褒めてほしかったからなんだ……父さんにああいわれ……やっと気が付けた……」

マリ「くぅーん?」ペロペロ

シンジ「最低だ……俺って……」
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 14:59:01.26
作戦会議室

ミサト「少し遅れちゃったかしら?」

リツコ「いいえ。これから始めるところよ」

ミサト「さてと、どうやって司令の計画を阻止するか、考えますか」

マヤ「……」

リツコ「……」

ミサト「どうしちゃったの? 早く意見を出し合いましょ」

リツコ「貴方がシンジくんを迎えに行っている間に冬月副司令から通達があったわ」

ミサト「通達?」

マヤ「全ネルフスタッフは碇司令に協力しろと」

ミサト「まって! 司令の計画は人類を消すことなのよ!?」

リツコ「厳密にいうと少し違うみたいね」

ミサト「詳しく教えて」

リツコ「これが副司令から出された計画書よ」

ミサト「人類補完計画……?」
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 15:10:29.42
リツコ「この計画は14年前、南極にて発見された化石が発端となっているみたいね」

ミサト「それって……」

リツコ「そう。貴方がペンギンを持ち帰ったときのことよ」

ミサト「……」

リツコ「それまで自然保護組織でしかなかったネルフが大きく変わった瞬間でもあるわね」

ミサト「ええ。お父さんが南極に行ったのだって、温暖化の影響を調査するためだったし」

リツコ「当時の総司令であった綾波ユイはアダムの化石から使徒と人類の決戦が近いことを予測し、対使徒の決戦兵器の開発に着手することになる」

マヤ「それがエヴァンゲリオンですね」

リツコ「ええ。試作機である零号機の開発には成功したものの、アダムの化石を流用したとされる初号機は起動実験にて大破。そのとき多くの犠牲者が出たと記録されている」

ミサト「その事故のことは知っているけど、死傷者はいないはずでしょ」

リツコ「誰も死亡者がいるとは言っていないわ。犠牲者がいただけ」

ミサト「怪我をした人が多かったの?」

リツコ「いいえ。ヒトでいれなくなった者や使徒との戦いを避けられない者が出たのよ」

ミサト「まさか……」

リツコ「そう。エヴァになった子どもたちのことね」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 15:28:52.61
リツコ「真希波・マリ・イラストリアス。当時14歳。彼女は初号機のテストパイロットとして選出。しかし、実験中の事故により体組織が大きく変貌」

リツコ「肉体の劣化および成長が完全に停止したことが発覚する」

ミサト「マリって何歳なの……?」

リツコ「10年前で14歳よ。単純な足し算で答えはでるわ」

ミサト「な……」

リツコ「渚カヲル。当時14歳。新練馬区で育つ。零号機のテストパイロットとして選出。同事故により行方不明となる」

ミサト「それがアダムの魂を宿してここへ現れた」

マヤ「そうなりますね」

リツコ「綾波レイ。当時4歳。綾波ユイの娘。実験の見学中に事故に巻き込まれる。使徒に対する闘争心が異様に高く、また運動能力も異常に跳ね上がった」

ミサト「それって……」

マヤ「シンジくんとレイは実の兄妹というわけではありません。それぞれの連れ子です」

リツコ「司令と総司令が結婚したのはその3年前だから、シンジくんとレイは1歳だったはず。シンジくんも事故後は親戚に引き取られていたし、その事実は知らないはずよ」

ミサト「レイにそんな素性があったなんて」

リツコ「式波・アスカ・ラングレー。当時4歳。まだ惣流・アスカ・ラングレーだった時期ね。ネルフスタッフであった惣流・キョウコ・ツェッペリンの娘」

リツコ「ネルフの大規模リストラで職を失い、その後家庭崩壊。キョウコは酒を浴びる毎日だったけれど、アスカは母親の研究の結晶であるエヴァになることを決心したとあるわね」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 15:41:41.87
ミサト「その話はちょっちだけ聞いたわ。アスカ自身、否定しているけど母親の研究にこうして関わりに行ってるのは……」

リツコ「変わってしまっても母親は母親。アスカも心の底から見捨てることはできなかったのよ」

マヤ「そのアスカも同事故で使徒に対する敵愾心は私たちよりも強いです」

リツコ「同時に恐怖心も私たち以上に持っているのが最近の戦闘データから読み取ることができるわね」

ミサト「それも10年前の出来事が原因なのね」

リツコ「碇シンジ。当時4歳。碇司令の息子。彼もまた実験の見学中に事故に巻き込まれる。使徒に対する憎悪は誰よりも強いことがわかっているわ」

ミサト「みんな使徒と戦うための体になっているというわけね」

リツコ「ただ、レイが少しの間、飼っていたクモがいるでしょ」

ミサト「ああ。ペンペンだっけ?」

リツコ「あの子、使徒だったのよ」

ミサト「え……。で、でも、それなら、みんなが反応してもいいと思うけど」

リツコ「そう。子供たちはそれぞれ使徒と戦うために適した心を持つようになった。けれど、ペンペンは皆に受け入れられていた。これは何故なのか」

ミサト「……」

リツコ「私は一つの仮説を提唱したい。使徒は人類の害になるものではなく、共存できると」

マヤ「私も先輩の意見には賛成です。ペンペンだけが特別だったとは思いたくありません。現にあの渚くんだって友好的ではありました」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 15:52:53.82
ミサト「人類の敵だと教えられてきたけど、全部違う。碇司令にとって都合のいい事実を信じていたのかもしれないってことね」

リツコ「私はそう考えているわ。それにネルフスタッフの大規模リストラにも面白い事実があったわ」

ミサト「あれにも?」

リツコ「私たちへの説明はこうだった。使徒が人類と近しい体躯のため、人類の脅威とはならず資金を大幅カットされた」

マヤ「人件費も維持できないから、大多数にはネルフから去ってもらうと」

ミサト「私はそう聞いたけど」

リツコ「しかし、渚カヲルはこういっていた」


【アダムを殺し、封印することで起こったニアサード・インパクト。そこで巨人だった使徒はリリンに近しいものとなる】

【リリンが争うのに有利な世界へと変わった。けれど、リリンにも制約ができた】


ミサト「まさか……」

マヤ「都合のいい世界に変えたのは碇司令です」

リツコ「事故後、エヴァンゲリオンの開発は頓挫した。それは資金不足ではなく、開発計画に根本的な問題があったから。だからこそ人類を勝たせるために司令は世界を変えたのよ」

ミサト「なら、あのリストラも……全部……」

リツコ「碇司令が原因、ということね」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:04:11.33
ミサト「なんてことなの……あの日……ネルフを去るときにみせた日向くんの涙はなんだったの……?」

マヤ「人類が平和に暮らせるなら満足ですと言っていましたね」

ミサト「いまじゃ、田舎の農作業を手伝ってるっていうのに……!!」ガンッ!!!

リツコ「碇司令がここまでする理由。それは綾波ユイに他ならないわね」

ミサト「その人は今、どこにいるのよ。引っ張ってきて司令を説得させればいいじゃない」

リツコ「事故から5年後。彼女は交通事故で死んだわ」

ミサト「あちゃ……」

リツコ「元々司令は綾波ユイに対して「世界に必要なのはお前だけだ」と語っていたらしくてね。綾波ユイの死が今回の一件につながったとは思えないけれど」

マヤ「ただシンジくんを無理矢理エヴァにさせた遠因ではあるかもしれませんね」

ミサト「何が何でも成功させて妻に会おうとしていたわけね」

リツコ「ここまで話しての結論だけど、ミサトは司令に協力する?」

ミサト「そうね。あたしも一介の雇われ作戦本部長。上からの指示には従うしかないわ。でもね、そんな馬鹿馬鹿しい計画に巻き込まれたシンジくんたちを救うほうを優先させるわ」

リツコ「つまり、クビになってもいいと?」

ミサト「首の一つや二つくれてやるわ。こんなところで働くぐらいなら、風俗で働いてやるんだから!」

マヤ「不潔です。でも、葛城一尉の気持ちには共感できます。私もここに居たくはありません」
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:11:16.49
リツコ「私も同意見よ」

ミサト「よっし。これから辞表を叩き付けてシンジくんたちと一緒にここから出ましょ。みんながいればなんとかなるわよ」

リツコ「上手くいけばいいけど」

マヤ「どういうことですか?」

リツコ「副司令を敵に回すということなのよ」

ミサト「いいじゃない。あんな上司のいうことに従い続けるなんて、人としておかしいわ」

マヤ「ですね。どうして司令に協力的なのでしょうか。自分も消されてしまうかもしれないのに」

リツコ「綾波ユイが冬月副司令の教え子だったというのに何か関係でもあるのかしら……」

ミサト「そうなの!?」

リツコ「記録ではそうなっているわね」

マヤ「もしかして……副司令って……」

冬月「――そこまでにしてもらおうか」

ミサト「副司令……!?」

リツコ「何か?」

冬月「答えはでたかね? 君たちの命運を決める大事な答えだ。慎重に言いたまえ」
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:13:00.24
ほへー設定が上手く味付けされてるなぁ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:19:47.76
そもそも原作で冬月がゲンドウに協力してたのってなんでだっけ
昔から疑問だった
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:32:18.05
病室

マリ「わん! わん!」

シンジ「もういいんだ……何をしたってうまくいかないのは昔からだった……」

シンジ「他人のためになると思ってやったことでも怒られたし、迷惑がられたし……」

シンジ「何をやってもダメなんだ……全部裏目になるんだ……」

シンジ「元々要領なんてよくなかった……少しうまく行ったら調子にのって失敗して……」

マリ「くぅーん」ペロペロ

シンジ「今回もそうじゃないか。エヴァになれて、誰かを守れるぐらい強くなった……でも、それだけじゃないか……」

シンジ「本当にほしかったものなんて手に入れてない……結局はぬか喜びしただけなんだ……」

シンジ「綾波でもない、アスカでもない、ミサトさんでもない、トウジでもない……世界にでもない……」

シンジ「父さんに必要とされたかった……だけなんだ……だから、がんばったんだ……戦ったんだ……」

マリ「くぅーん……」

シンジ「世界のことなんてどうでもいいんだ。友達が危険な目に遭おうが関係ないんだ」

シンジ「みんなを守ることで褒められたかっただけなんだ……最低だ……最低な人間なんだ……」

マリ「わふっ」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:37:23.60
ミサト「シンジくん!!!」

シンジ「ミ、サトさん……?」

ミサト「早くここから逃げなさい!!」

シンジ「どうかしたんですか?」

ミサト「説明している暇なんてないの!! とにかくここから逃げて!! マリと一緒に!!」

マリ「わんわん!」

シンジ「何があったんですか?」

ミサト「いいから――」

リツコ「ミサト、ナニヲシテイルノ? シレイ ノ スウコウ ナ ケイカク ヲ セイコウ サセマショウ」

ミサト「ちっ……」

シンジ「え……? あれ……?」

ミサト「もうリツコはエヴァ量産機となってしまっている。こちらの声なんて届いていないわ」

シンジ「ど、どういうことですか!?」

ミサト「いいから逃げるの!! ほら、立って!!! マリもあたしについてきて!!」

マリ「わんっ!」タタタッ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 16:48:24.10
エレベーター前

ミサト「このエレベーターは地上へ直通しているわ。とりあえずこれに乗って外へ行きなさい。そのあとはレイとアスカをなんとか説得してエヴァとしてみんなで戦って」

シンジ「……」

ミサト「聞いているの!?」

マリ「わんっ」

ミサト「マリはちゃんと聞いているわよ」

シンジ「……また僕に戦わせるんですか。もういいじゃないですか。僕はがんばりましたよ。どうして僕なんですか。どうして僕を頼ろうとするんですか」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「僕はもう戦えません。誰も僕に期待なんてしないでください。僕は普通の中学生です。世界を救うなんてできっこないんです」

ミサト「……」

マリ「くぅーん?」

シンジ「もう放っておいてください……」

ミサト「碇司令は人類補完計画というものを考えていたわ」

シンジ「……」

ミサト「それは本当に愛した人間とのみ生きていける世界へ人類を導き、永久の平和をもたらすという壮大な計画。その世界では自分の愛した人間と二人きりでいられるですって」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:00:19.40
シンジ「……」

ミサト「けれど、本当は碇ゲンドウと綾波ユイだけが生きる世界にしようとしていた。その世界に碇シンジの存在も綾波レイの存在もない」

シンジ「……」

ミサト「確かにここで貴方が戦っても誰も褒めてくれないかもしれない。だって、世界が救われたことすら誰も気が付かないもの」

シンジ「……」

ミサト「でも、あたしだけはちゃんと褒めてあげる。シンジくんのこと、きちんと褒めてあげる」ギュッ

シンジ「ミサトさん……」

ミサト「ごめんなさい。今までシンジくんがつらかったのも知ってる。悩んでいたのも知ってる。けど、何もできなかった」

シンジ「……」

ミサト「あたしじゃ貴方を慰めてあげることはできなかった。心の隙間を埋めることはできなかった。けど、あたしはシンジくんのこと、大好きよ」

シンジ「……っ」

ミサト「ここで逃げだしてもいい。隠れてもいい。それでシンジくんを嫌いになんてならない。今まで誰が守ってきてくれたのか知っているもの」

シンジ「ミサト……さん……」

ミサト「今までありがとう、シンジくん。本当に偉いわ。シンジくんを悪くいう奴がいたらあたしの前に連れてきなさい。どれだけシンジくんががんばってきたのか教えてあげる」

シンジ「ぼ、くは……そんなに……えらく、なんて……」
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:07:58.98
マヤ「シレイ ノ リソウ ハ フケツ ジャ ナイ」

日向「スウコウ ナ リネン ヲ」

青葉「ジンルイ ノ キュウセイシュ ト ナル ヒト ノ タメ ハタラク」

シンジ「あ、あの人たちは……」

ミサト「リストラしたネルフスタッフを呼び戻したのよ。この日のためにね」

シンジ「僕は……」

ミサト「行きなさい、シンジくん。感謝はしても恨んだりなんてしない」

シンジ「どうしてそこまでしてくれるんですか!?」

ミサト「大人が子どもを守るのに理由なんてないでしょ?」

シンジ「ミサトさ――」

ミサト「逃げなさい!!」ガシャン

シンジ「待ってよ!! ミサトさん!! 僕も戦う!! 戦います!!! エヴァになって戦うから!!! そんなことしないでよ!!! 僕に守る価値なんてないんだ!!!」

マリ「わん!! わんわん!! わぉーん!!」

ミサト「またねっ」

シンジ「いやだぁぁぁ!!」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:14:03.35
市街

シンジ「ミサトさん!! ミサトさん!!! うごけよ!! なんで動かないんだよ!! このエレベーター!!!」ガンッ!!ガンッ!!!

マリ「わんっ! わんっ!!」

シンジ「うぅ……どうして……カヲルくんも……ミサトさんも……僕のためなんかに……」

マリ「わぉーん!!!」

トウジ「なんや。誰かと思ったらシンジやないか。こないなとこでなにしてんねん」

シンジ「トウ……ジ……」

トウジ「なんかあったんか?」

シンジ「もう……何をしたらいいのか……わからないよ……」

トウジ「……」

マリ「くぅーん」ペロペロ

シンジ「僕は……どうしたら……いいの……」

トウジ「シンジ。立たんかい」

シンジ「え……」

トウジ「歯、くいしばれぇ!!」バキッ!!
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:20:00.41
シンジ「ぐっ……!?」

トウジ「おかしいなぁ。前のシンジやったら、ワシのパンチは受け止められてたはずや」

シンジ「な、なにを……いきなり……」

トウジ「お前、シンジによーにとるだけで、シンジやないな」

シンジ「……」

トウジ「ワシの知っとるシンジは強くてかっこええんや。お前みたいにナヨナヨしとらん」

シンジ「僕は……」

トウジ「あいつは確かに弱気なところもあったけど、やるときはやる男や。お前みたいに弱虫やない。お前、だれやねん」

シンジ「僕は……僕は……」

トウジ「なんや!! きこえへんど!! はっきりいうてみぃ!!」

シンジ「僕は!! エヴァンゲリオン初号機、碇シンジだ!!!」ドゴォ!!!

トウジ「がっ……!?」

シンジ「はぁ……はぁ……」

トウジ「いったぁ……。そうやろ。だったら何を悩んでねん。無敵のヒーローにできんことはない。しゃきっとせい。今のシンジを見たら、サクラだって悲しむわ、ボケ」

シンジ「トウジ……」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:27:45.58
トウジ「何があったかは聞かん。聞いたってワシは何もできんからな」

シンジ「そんなこと……」

トウジ「渚に言われて腹が立ったわ。自分にな。確かにワシはシンジを見て安心しとっただけかもしれんってな」

シンジ「え?」

トウジ「自分よりも苦労してるやつがおる。そう考えると楽になってた自分がおったからな」

シンジ「そうなんだ……」

トウジ「すまんな。ワシはお前に殴られなアカン」

シンジ「そんなことない! 僕だって……トウジたちを本気で守りたいなんて……思ってなかった……」

トウジ「シンジが謝ることはあらへん。お前のやりたいことやってきたらええ」

シンジ「……」

トウジ「もしお前の邪魔をするってやつが出てきたら、ガツンとかましたる!! 安心していってこい。お前のやることに文句一ついわせたるかい」

シンジ「ありが……とう……トウジ……」

トウジ「泣くやつがあるかい。これぐらい、当たり前やろ」

シンジ「……行ってくる。今度は迷わない。自分のやりたいことをしてくる」

トウジ「行って来い。んで、また学校帰りに菓子でもくおうや」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:34:37.17
葛城宅 アスカの部屋

アスカ「……」

ヒカリ『ご飯は食べた?』

アスカ「……」

ヒカリ『今日も何も答えてくれないんだね、アスカ』

アスカ「……」

ヒカリ『もういい。疲れちゃった』

アスカ「……」

ヒカリ『はっきり言うね。私がこうしてアスカの様子を見に来てるのは友達だからとか委員長だからとか理由をつけていただけ』

アスカ「……」

ヒカリ『渚くんって転校生が言ってたわ。自分よりも苦しみ悩む人がいれば、自分は幸せだと考えているって。本当にその通りだと思う』

ヒカリ『私は塞ぎこんだアスカを見て、心のどこかでは笑っていたのかもしれない。この人よりは自分は出来ている人間だって、そんなことを思ってたのかもしれない』

ヒカリ『渚くんは誰よりもヒトの心を理解していたのかもしれないね』

アスカ「……」

ヒカリ『だから、これからも私は毎日アスカに会いにくる。自分よりも駄目な人を見たいから、会いにくると思うんだ』
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:45:10.60
アスカ「……なら、笑えばいいじゃない。取り繕った言葉で私を慰めて、何が楽しいのよ」

ヒカリ『怒った? 怒ったからしゃべってくれたの?』

アスカ「帰りなさいよ!!! ヒカリに何がわかるっていうのよ!!! 私の気持ちなんて誰にも分るわけないんだから!!!」

ヒカリ『分かるわけないよ。だって、アスカはその気持ちを隠しているんだもん。なのに気が付いてほしいなんて虫のいい話はないと思う』

アスカ「くっ……」

ヒカリ『心配してほしいだけなら私が心配してあげる。構ってあげてほしいだけなら私が構ってあげる。でも、それだとアスカは何も答えてくれない』

ヒカリ『もっと心配してほしいから、もっと構ってほしいから何も言わないんでしょ? そんな人なら見下してもいいよね』

アスカ「うるさい……うるさい……うるさい……うるさい……」

ヒカリ『こんな人だとは思わなかったなぁ。使徒と戦ってる姿なんてとってもかっこよかったのに、今じゃクラス委員長ってだけの女の子にこうして笑われても叫ぶだけなんだもん』

アスカ「黙れ……黙れ……黙れ……黙れ……黙れ……」

ヒカリ『私にしてくれた色々な話も殆ど嘘なんじゃないかって思えてきた。エヴァとして成績優秀だったなんて信じられないし』

アスカ「やめて……やめて……やめて……やめて……」

ヒカリ『本当のアスカはきっとカッコいいほうじゃなくて、今のほうなんだよね』

アスカ「否定しないで……私を……否定しないで……」

ヒカリ『優しくしなきゃ。もっと気遣ってあげなきゃ。そうしないと、アスカが泣いちゃうもの』
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 17:55:34.34
アスカ「やめてぇぇぇぇぇ!!!!」

アスカ「そうよ!! 心配してほしくてなにが悪いのよ!! 構ってほしくて何がいけないのよ!!!」

アスカ「ママにだって心配されたこともない!! 構ってもらえた記憶もない!!!」

アスカ「エヴァになったっていっても褒めてもらえない!! 危険な訓練をしたっていっても心配なんてしてくれない!!!」

アスカ「そんな私の何がいけないっていうのよぉぉ!!!!」

アスカ「シンジに心配されてうれしかった!! ミサトに受け入れてもらえてうれしかった!! ヒカリが毎日来てくれて喜んでた!!!」

アスカ「だからもっと!! もっと!! 私を構いなさいよ!!! 心配してよ!!! 甘えさせてよ!!!」

アスカ「みんなはママに愛されていたんじゃない!!! 私はないのよ!!! いつもいつもお酒を飲んで、暴力を振るうママしか私は知らないの!!!」

アスカ「だから、いいじゃない!! 私のことが気になるんでしょ!? 気にしなさいよ!!! それであなたも満足なんでしょ!? それでいいじゃない!!」

アスカ「わたしを……あいしてよ……」

ヒカリ『アスカ……』

アスカ「怖いのに……戦うのなんて……怖いのに……使徒となんて戦いたくない……ないの……」

アスカ「ヒーローの設定を考えたって……怖いものは怖いの……」

アスカ「自分を偽りきれない……あんな設定だけじゃ……むりなの……むりなのよ……」

ヒカリ『怖かったんだ……。ごめんね。アスカが怖がってるなんて、少しもわからなかった』
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 18:24:53.15
アスカ「かっこ悪い私のことはみんなが知ってる……だから、みんなが私を哀れんでる……」

アスカ「みんな私を遠くから見るだけになる……それが嫌なの……怖いの……」

アスカ「ここから出たくない……そんな自分を見るのが……嫌なの……」

ヒカリ『もう一度だけ、信じてみない?』

アスカ「なにを?」

ヒカリ『自分を。いつまでも私はアスカを見て安心したくない。私はアスカを見て、変わらなきゃって思いたい』

アスカ「……」

ヒカリ『アスカは気づいてないだけ。考えてるほどみんなアスカを遠ざけない。もっと近い存在だと思ってるから』

アスカ「でも……私は……もう……」

シンジ『アスカ!』

アスカ「え……」

シンジ『今、ミサトさん、ううん、世界が危ないんだ。父さんの所為で。僕とまた一緒にエヴァになってくれないかな? マリさんはこんな状態だし、戦えないんだ』

マリ『わん! わん!』

アスカ「シンジだってもう知っているんでしょう? 私がどんな人間なのかって……」

シンジ『なんのこと?』
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 18:34:17.00
アスカ「しらばっくれないで……あれ、見たんでしょ……」

シンジ『あれって……』

ヒカリ『だから、碇くんはまだ見てないし、聞いてもないってば』

シンジ『ああ、あれ。僕はああいうアスカもいいと思うよ』

アスカ「え……ほんと……?」

シンジ『普段のアスカからは想像できないけど、ああいうアスカもいていいと思う』

アスカ「本気で言ってるわけ?」

シンジ『ああいうアスカは可愛いよ』

アスカ「……」

シンジ『僕はもう行くよ。綾波のところにもいかなきゃいけないから。もし一緒に戦う気になってくれたら、ネルフ本部まで来てほしい』

アスカ「……」

シンジ『別に来なくてもいいんだ。大事なことだからアスカがちゃんと決めてほしい。もう一度エヴァになるかどうかは。それだけは強要したくないんだ』

アスカ「シンジはどうするの? 一人でも戦うの?」

シンジ『決めたんだ。僕は僕のやりたいようにするって。誰のためでもない。自分だけのために。自分のしたいことをするんだ』

アスカ「自分のしたいこと……」
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 18:44:37.62
ヒカリ『碇くん、行ったよ。追いかけなくていいの?』

アスカ「バカシンジのくせに……こういうときだけ、変なこというんだから……」

ヒカリ『アスカも自分のしたいことをしてきたらいいじゃない。それでもしアスカを笑う人がいるなら私が言ってあげる』

ヒカリ『貴方はアスカを笑えるほど、出来た人間なんですかって』

アスカ「ふふ……。ヒカリだって、笑ってたくせに」

ヒカリ『戦うアスカを笑う資格なんて、私にはないよ』

アスカ「――ありがと、ヒカリ。色々と」

ヒカリ「あ、アスカ……出てきてくれたの……」

アスカ「行かなきゃ。バカシンジに世界なんて救えるわけないじゃない。このアスカ様がいないとね」

ヒカリ「うんっ」

アスカ「行ってくるわ。ヒカリ、帰ってきたら一緒にお風呂にでも入りましょ」

ヒカリ「楽しみにしてるね」

アスカ「それじゃ」

ヒカリ「あ、待って! アスカにこれを渡そうと思ってたの。受け取って」

アスカ「これは……眼帯と包帯……。なーる、そういうことね。私の設定ノートに新たな1ページが刻まれたわ」カキカキ
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 18:48:56.73
綾波宅

レイ「私は人形でいい……。こんなに悲しいなら……心なんていらなかった……」

レイ「訓練していればよかった……訓練だけに没頭できた……」

レイ「お母さんに言われたことをしていれば……みんなが私を必要としてくれた……」

レイ「だから……言われた通りにしてきた……」

レイ「それは人形……でも、こんなに苦しいなら……私は……」

ピンポーン

レイ「誰……? この家に来る人なんて……」

ピンポーン

レイ「……」

キャー!

ニョロニョロ

レイ「まさか……使徒……? どうして……?」

ドンドンドン!!

レイ「……逃げ場はない。ここで戦うしかない」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 19:10:26.87
レイ「……」ガチャ

サキエル「……!」

レイ「ふっ!」グキッ

サキエル「……」イタイイタイ!!!

シャムシエル「……」パシンッ!!

レイ「つっ……! でも、まだ……!」

ラミエル「……」キャー

レイ「あ……」

ラミエル「……」グリグリグリグリグリグリグリグリ!!!!!

レイ「くっ……ん……それ、やめ……て……」

サキエル「……」ガオー!!!

ラミエル「……」キャー?

サキエル「……」メッ

ラミエル「……」キャー…

レイ「敵意がない……? 戦うつもりはないの……?」
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 19:16:45.10
シャムシエル「……」ニョロニョロ

レイ「……」

サキエル「……」ブンブンッ

レイ「そう……」

ラミエル「……」キャー

レイ「さっぱりわからないわ」

サキエル「……」ションボリ

レイ「彼は話すことができていた。貴方たちは話すことはできないの?」

サキエル「……」コクッ

レイ「そう」

ラミエル「……」キャー!

レイ「何をするつもりなの?」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

レイ「その紙に何かを書きたいの?」

サキエル「……」コクコクッ
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 20:46:25.36
サキエル「……」カキカキ

シャムシエル「……」ニョロニョロ

ラミエル「……」キャーッ

レイ「……」

レイ(この子たちは何をしようとしているの?)

レイ「……でも私には関係がないこと。私は命令されてから考える。言われたことしかしない人形だもの」

レイ「それでいいの。そうして生きたほうが苦しまなくていい。悩まなくていいから」

レイ「それで……きっと忘れられるから……ペンペンのことも……碇くんのことも……」

レイ「だから……」

サキエル「……」デキター

レイ「え?」

サキエル「……」スッ

レイ「これは……絵……?」

サキエル「……」

レイ「この絵は……なに……? 足の長い何かが……描かれている……」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 20:48:08.49
まさか……ペンペンか?
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 20:52:08.91
シャムシエル「……」ニョロニョロ

レイ「この物体はなに? 私と何かあるの? 繋がっているの?」

ラミエル「……」キャー

レイ「もしかして……ペンペン……?」

サキエル「……」コクコクッ

レイ「ペンペン……」

シャムシエル「……」カキカキ

レイ「何を書いているの……?」

シャムシエル「……」スッ

レイ「ありがとう……? どうしてお礼を言うの?」

ラミエル「……」グリグリグリグリグリグリグリ!!!!!

レイ「テーブルを掘らないで」

ラミエル「……」キャー

レイ「テーブルに文字が……。『つたえてほしい 言われた』……? ありがとうを伝えてほしいと言われたの?」

サキエル「……」コクコク
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 20:58:28.13
レイ「ペンペンが……そういったの……?」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

レイ「どうして……お礼を……?」

サキエル「……」カキカキ

ラミエル「……」キャー!!

サキエル「……」サッ

レイ「これは私……? 私とペンペン……?」

サキエル「……」

レイ「どうして私、こんなに笑っているの……? どうしてこんなにうれしそうなの……?」

ラミエル「……」グリグリグリグリ!!!!!!!!

シャムシエル「……」ガリガリ

レイ「壁を傷つけないで」

ラミエル「……」キャー

レイ「……『たのしかった いっしょにいられて しあわせ もっといっしょにいたかった まもれて よかった』……」

サキエル「……」コクコクッ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:04:33.74
レイ「そう……ペンペンがそう言ったのね……」

シャムシエル「……」ニョロン

レイ「そう……」

サキエル「……」

レイ「ありがとう……。感謝の言葉。それを言わなければいけないのは私のほう……」

レイ「ペンペンがいたから、私は楽しいことを学べた。ペンペンがいたから好きというのがどういうことかわかった。

レイ「碇くんのことが好きって、気が付けた」

レイ「だから、ありがとう……」

サキエル「……」クイッ

シャムシエル「……」コクッ

ラミエル「……」キャーッ

レイ「貴方が幸せだと感じたように……私も幸せだった……」

レイ「貴方がいたから……私は……人間になれた気がする……」

レイ「だけど……私も……」

レイ「もっと……一緒にいたかった……もっと……もっと……」
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:10:36.77
シンジ「――綾波!」

レイ「いか、り……くん……」

シンジ「綾波、どうしたの!? 何かあったの!?」

レイ「碇くんっ」ギュッ

シンジ「うわっ!?」

レイ「私……碇くんのことが好き……」

シンジ「な、なにを急に……!? そ、それより、その……大変なことが……!!」

レイ「大事な家族が気づかせてくれたことだから」

シンジ「綾波……泣いてるの……?」

レイ「だから、この気持ちを碇くんには伝えたかった」

シンジ「……」

レイ「私は人形じゃない。人形には戻りたくない。お母さんがいなくなって、心をなくしたあのときには戻りたくない」

シンジ「綾波は人形なんかじゃないよ。楽しいときには笑うし、悲しいときには泣けるじゃないか」

レイ「碇くん……」

シンジ「なにより綾波は優しい。どこにでもいる普通の女の子じゃないか」
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:16:42.71
レイ「ありがとう……」

シンジ「あ、えっと、とにかく今は大変なんだ」

レイ「何かあったの?」

シンジ「父さんが世界を壊そうとしている。よくわからない理由で、理不尽な理由で」

レイ「碇司令が……」

シンジ「僕はそれを止めたい。できれば綾波にも協力してほしいんだ」

レイ「……」

シンジ「絶対じゃない。嫌なら嫌って言ってほしい。エヴァになることを強制なんてしたくないから」

レイ「……行くわ」

シンジ「いいの?」

レイ「ペンペンがいた世界を壊したくないもの」

シンジ「綾波……」

レイ「行きましょう。エヴァのパーツを回収しないといけないわ」

シンジ「そうだね。まずはネルフ本部にいこう。マリさん、ついてきて」

マリ「わんわん!」タタタッ
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:25:06.24
ネルフ本部

シンジ「なんとかして中に入れないかな」

レイ「ロックはかけられていないみたい」

シンジ「それなら……」ピッ

マリ「くぅーん?」

シンジ「よし、開いた――」

日向「シレイ ノ リネン ヲ リカイ デキナイ ニンゲン ハ コロセ」

シンジ「うわっ!?」

レイ「あの装備はエヴァ? もしかしてエヴァ量産機……エヴァシリーズ……完成していたのね……」

シンジ「どういうこと!?」

レイ「エヴァに選ばれなくてもエヴァになれるパーツのこと。でも、ヒトでなくなり、エヴァに体を取られてしまう。5号機の人が使ったシステムと類似点が多いらしいわ」

シンジ「どうしてそんなことを……?」

レイ「一年前、弐号機の実験時に赤木博士が話していたもの。弐号機は量産機のプロトタイプだって」

シンジ「マリさんみたいな人を増やして何をするつもりなんだ、父さんは……」

マリ「わん! ワンワン!! ウゥゥゥ!! ワン!!」
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:32:19.67
レイ「それは分からない。世界を壊すための駒に過ぎないのかもしれない。けど、今は……」

日向「コロセ コロセ コロセ」

レイ「前に進まないと」バキッ

日向「ウッ」

シンジ「そうだね。考えてもあの人のことなんてわかるわけないんだ。急ごう」

レイ「こっち」

シンジ「うんっ! マリさん、ついてきて!!」

マリ「わんっ!」タタタッ

日向「マテ ニンゲン シレイ ノ リレン ヲ リカイシロ」

シンジ「ついてくるけど、エヴァのパーツなしじゃまともに戦えないし」

レイ「5号機の人なら戦えるかもしれないわ。彼女はパーツがなくてもエヴァと変わらないから」

シンジ「だからって、マリさんだけに戦わせるなんてできないよ」

マリ「くぅーん」ペロペロ

シンジ「顔は舐めないで!!」

レイ「碇くんは優しいのね」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:37:23.44
通路

シンジ「もうすぐ更衣室だ。がんばろう、綾波!!」

レイ「ええ」

マリ「ワン!! グルルルル……!!」

シンジ「な……あれは……」

青葉「シレイ ノ タメ ニ ハタラク」

加持「タネ ヲ マクコト シカ デキナイ」

シンジ「知らない人ばかりだ……」

レイ「ネルフを去ってしまった人だと思う」

マリ「ワン!! ワンワン!!」

レイ「突破しないとエヴァのパーツは回収できないみたい」

シンジ「パーツなしで戦うしかないのか……」

レイ「私が囮になる。碇くんはその隙にパーツを回収して」

シンジ「そんなのできるわけないよ!! 綾波が危ないじゃないか!!」

レイ「でも……」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:45:31.75
シンジ「ここまで来たんだ。僕も一緒に戦う。綾波を一人になんてさせない」

レイ「……うれしい」

シンジ「いつだって一緒だよ、綾波」

レイ「ええ……」

マリ「くぅーん?」

青葉「ハタラク ハタラク ハタラク」

加持「タネ マク タネ マク タネ マク」

シンジ「くる……!!」

レイ「……」ザッ

「ふん!! やーっぱり、私がいないと何にもできないみたいね!! バカシンジとエコ贔屓は!!!」

シンジ「この声……」

アスカ「――紅き烈風、アスカ様。参上」

シンジ「アスカ!! その腕の包帯はどうしたの!?」

レイ「眼帯……。怪我をしたの?」

アスカ「違うわ。これは私の内に封じ込めた使徒を抑え込むための拘束具なのよ。ぐっ……!! 左目と右腕が疼きだしたじゃない……!! 私は使徒に侵されてから、この疼きと戦ってたのよ……!!」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 21:52:57.33
シンジ「そうだったの!? アスカ、体は大丈夫!?」

レイ「あと、頭も」

アスカ「鎮まれ……。ふぅー。ええ、この程度のことはなんてことないわ。その代りに私は使徒の持つ強大な力を使いこなせるようになったもの。代償としては安いもんよ」

シンジ「来てくれたんだね。ありがとう、アスカ」

アスカ「別に! シンジのことが心配できたんじゃないんだから!! 勘違いしないで!!」

マリ「くぅーん」

アスカ「とにかく!! バカシンジと依怙贔屓はさっさとパーツを回収!! ここは私とイヌメガネが引き受けたわ!!」

シンジ「いいの? そんなボロボロの状態なのに」

アスカ「私はあんたみたいに軟弱じゃないのよ! 早くいって!」

シンジ「わかった。マリさんのこと、お願い」

アスカ「りょーかい!! イヌメガネ!!! こっちよ!!」

マリ「ワォーン!!!」

青葉「ハタラク シレイ ノ タメ ニ」

加持「タネヲ マク シカ デキナイ」

アスカ「好きなだけまいてろぉぉ!!! うおりゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:05:34.82
更衣室

シンジ「あった!! これで戦える!!」

レイ「早く装着しましょう」スルッ

シンジ「ちょっと綾波!! ここで着替えないでよ!!」

レイ「一刻を争うわ」

シンジ「そ、そうだけど……。綾波って時々大胆なことするよね」

レイ「そう?」

『おりゃぁぁぁぁぁ!!!!』

『ワオワオーン!!!』

レイ「……」ゴソゴソ

シンジ「見ちゃダメだ……見ちゃダメだ……見ちゃダメだ……見ちゃダメだ……見ちゃダメだ……」

シンジ「……」チラッ

レイ「なに?」

シンジ「ごめん!! は、早く着替えよう!!」

『まけてらんないのよぉぉ!!! あんたたちにぃぃぃぃ!!!!』
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:10:37.06
通路

アスカ「これでもか!! これでもか!!!」ポカポカ!!!

シンジ「アスカ!! お待たせ!!」

アスカ「おっそいのよ!! こっちはもう片付いたわ」

加持「ウゥ……タネヲ……マクシカ……」

シンジ「やっぱりすごいね、アスカって」

アスカ「ふん!! シンジに褒められたって、全然うれしくないんだからね!!」

シンジ「そういえば仮設5号機はどこにあるの?」

アスカ「さぁ。今日が現場復帰の私にわかるわけないじゃない」

レイ「あれは完全に廃棄されたみたい」

シンジ「それじゃあマリさんはこのまま戦わないといけないの?」

マリ「くぅん」モジモジ

アスカ「いいじゃない。結構役にたつわよ。こんなんでも」

シンジ「けど、エヴァになれなきゃ危ないよ。父さんだってエヴァになってるんだし」

レイ「なら、あれを使いましょう」
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:16:12.97
格納庫

シンジ「ここに何があるの……?」

レイ「ここ」ピッ

アスカ「これって……」

シンジ「3号機……!?」

レイ「そう」

マリ「わんわん!」

シンジ「でも、3号機は使徒に浸食されているから封印されたんじゃ……」

アスカ「しかも、性質悪いわよ。私がどんな目にあったかわすれた――。ぐ!! 左目が痛い……!! 右腕も……!!! あぁぁ!!!」

シンジ「アスカ!?」

アスカ「平気よ。私の心配なんてしないで」

シンジ「そんなわけにはいかないよ。アスカが苦しんでるのを黙ってみているなんてもうしたくないんだ」

アスカ「そんなこと言っても全然心に響かないんだから!」

レイ「けど、現状ではこれ以外にエヴァのパーツはないわ」

マリ「わん! わん!」カチャカチャ
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:25:59.73
シンジ「マリさん!! 勝手に装着しないで!!」

マリ「くぅーん?」

レイ「もう手遅れ」

アスカ「シンジ!! このイヌメガネの半径3メートル以内には入らないで!!」

マリ「わふ……!?」

シンジ「マリさん!!」

マリ「うぅ……ぅぅぅ……!!」

アスカ「バカシンジ!! 近づくな!!!」

シンジ「だけど、あんなに苦しそうにしているじゃないか!!」

マリ「ぐ……うぅぅ……あぁぁ……!! んん……くっ……!!」

マリ「あぁぁぁぁぁ!!!! っとぉ。ふぅー。なんとかなったぁ」

シンジ「え……」

マリ「ようやく理性が戻ったにゃぁ。いやー、実際ちょー焦ったぁ」

アスカ「あんた、なんともないわけ?」

マリ「やっぱり拘束具がないとね。エヴァのパーツは本来本能を抑制させるためにあるんだしさ」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:35:16.76
シンジ「そうなんですか?」

アスカ「そんな話聞いたことないけど?」

マリ「私たちは使徒と戦うために呼ばれた。使徒を前にすると戦わなきゃって本能で思っちゃうから呼ばれた。それは聞いた?」

シンジ「はい。だから僕たちはエヴァになれるんだって」

マリ「んで、本能だけじゃ暴走して使いものにならないっしょ。だからこのパーツにはその暴走を抑える役割があったわけ」

レイ「貴方が使ったシステムはそれを破棄するものだったのね」

マリ「そーいうこと。本能を無理矢理暴走させる、ザ・ビースト。まぁ、使いこなせなかったから王子様の体中をペロペロしちゃったけど」

アスカ「どーいうことよ!!! エロシンジぃ!!!」グイッ

シンジ「まってよ!! 確かに顔とか手は舐められたけど……!!」

レイ「それより、パーツに浸食したはずの使徒は?」

マリ「んー? なんか大人しくなってるっぽい。くらーいところに閉じ込められて反省でもしたんじゃない?」

レイ「そう」

マリ「それはそうと、王子様っ。私のペロペロはきもちよかったぁ? もういっかいしてあげようかぁ? ふふふ」

シンジ「ま、まって! それどころじゃなくて……!!」

アスカ「エロメガネ!! あんた本当に大丈夫なんでしょうね!?」
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:46:10.57
「やはりそれに手を出したか」

シンジ「誰……!?」

冬月「否、そこに縋るしかなかった」

マリ「冬月先生か。邪魔する気満々ってとこかぁ」

冬月「邪魔をしているのは君たちのほうだ。碇の理想郷はすぐそこにある。このまま静観しておいてはくれないかね」

マリ「私は最初っからゲンドウくんの考えには反対していた。世界にたった二人きりなんてロマンチックではあるけど、つまんないじゃん」

冬月「下らぬ競争もない。嫉妬もない。憎しみもない。美しい世界だとは思わないか」

マリ「思わない。多少醜いほうが楽しいって」

冬月「価値観の相違だな。議論しても無意味だ」

マリ「そうなるにゃ。で、冬月先生は元教え子すらも手にかけちゃう気?」

冬月「君が立ちふさがるというのなら、そうなるな」

マリ「じゃ、戦うしかないってことか」

冬月「優秀な生徒だったのに。残念だ」

マリ「そりゃどーも」

冬月「では、終焉の幕を上げるとするか」
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 22:54:54.26
シンジ「え……」

ミサト「シレイ ノ ユメ ハ アタシ ノ ユメ」

リツコ「スベテ ハ シレイ ノ シナリオ ドオリ ニ」

マヤ「シレイ ノ ケイカク ハ フケツ ジャ ナイ」

シンジ「ミサトさん!!! ミサトさん!!!」

冬月「今の葛城一尉は有象無象の量産機でしかない。君の声は届かんよ」

アスカ「人間のすることじゃないわね」

シンジ「カヲルくんのほうがまだ人間らしかった……!!」

冬月「せめて、人間らしく戦わせてやりたかったが、エヴァ量産機はこのために作られたのだから仕方あるまい」

レイ「このためってどういうことですか?」

冬月「君たちのような反乱分子を制圧するために用意された保険。エヴァを止めるのはエヴァでなければならない」

マリ「にゃるほど。エヴァンゲリオンが敵になることも想定してたってわけだ」

冬月「当たり前だ。エヴァはリリンの僕である前に人間なのだからな」

レイ「だから、量産機はヒトであることを捨てるんですね」

冬月「ヒトである以上、飼い主に噛みつくかもしれん。そうならないための薬は必要になる」
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:02:27.89
シンジ「どうして……こんなひどいことができるんだ……!!」

冬月「理想の実現には犠牲も必要になる」

シンジ「そんな理想なんて……!!」

冬月「君とっては何の価値もないかもしれない。しかし、我々にとってはヒトの命よりも価値あるものだ」

マリ「我々……?」

冬月「話は終わりだ。どのような過程を進むにしろ、結末は同じだ」

ミサト「シンジ クン オトナ ノ キス ヲ シテアゲル」

シンジ「ミサトさん!! もとに戻ってよ!! ミサトさん!!」

ミサト「コノツギ モ サービス サービス」

シンジ「そんな……ミサトさんと戦うなんて……」

マリ「王子様。ここは私たちに任せて、先にいっちゃって」

シンジ「え……」

アスカ「こっちは戦いのプロフェッショナルよ。素人はいたって邪魔なだけ」

レイ「碇くん。貴方は碇司令を止めないといけないわ」

シンジ「みんな……」
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:09:45.59
冬月「ふっ。そうなるか」

アスカ「シンジだけは通してもらうわよ」

冬月「追うことはせん。私ではエヴァと戦えない」

レイ「碇くん、行って」

マリ「すぐに追いつくって」

シンジ「うん! 先に行って待ってるから!!」

アスカ「待たなくていいわよ!! さっさと終わらせてきて!!」

シンジ「わかった!!」

冬月「運命を知らない子ども。己の限界などまだ見えもしていない。愚かしいことなのか、それとも羨望を向けるべきものなのか」

マリ「爺の戯言をきいてられるほどこっちも暇じゃないってね!!!」

マヤ「シレイ ハ フケツ ジャナイ」ガキィィィン

マリ「っと! やるかぁ、伊吹ちゃん? 一応、私より後輩なんだから、その辺はわきまえてほしいにゃあ」

リツコ「シレイ ノ タメ ニ」

レイ「ばあさん」

リツコ「ナンデスッテ?」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:18:16.50
ミサト「シレイ ノ ユメ ヲ カナエルタメ ニ」

アスカ「あのミサトがまさか操り人形になっちゃうなんてね。傑作だわ」

ミサト「シレイ ノ ユメ ヲ」

アスカ「私のこともシンジのことも覚えてないみたいね」

ミサト「シレイ ノ」

アスカ「私のママもそんな目をしてたわ。嫌な目。この世で一番嫌いなもの」

ミサト「アタシ ハ」

アスカ「くっ……!! 左眼がうずく……!! 使徒が暴走しようとしている……!!」

アスカ「ダメよ……この力を使えばミサトを殺しちゃう……!! そんなのは絶対にダメ……!!」

ミサト「アタシ ハ シンジ クン ナニ モ シテ アゲラレナカッタ」

アスカ「ミサトだけは無傷で帰ってきてもらうんだから……!! 鎮まれ、私の闇の力……!!」

ミサト「レイ ニモ アスカ ニモ マリ ニモ ナニモ ナニモ ナニモ ナニモ」

アスカ「行くわよ、ミサト。そのウナギみたいなパーツ、ひん剥いてやるわ!!!」

ミサト「ユルシテ ユルシテ ユルシテ ユルシテ」

アスカ「どりゃぁぁああああ!!!!!」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:23:46.05
実験施設

シンジ「ここだ……。まだカヲルくんと父さんがここに……?」

ゴゴゴゴゴ……

シンジ「隔壁が……開く……」

ゲンドウ「来たか。シンジ」

シンジ「父さん……」

ゲンドウ「お前から来るとは予想外だが、手間が省けた」

シンジ「カヲルくんはどうしたの?」

ゲンドウ「タブリスのことか。床をよく見ろ」

シンジ「床……?」チラッ

ゲンドウ「ふんっ」ドゴッ!!!

シンジ「ごほっ……!?!」

ゲンドウ「敵を前にして視線を下げるな」

シンジ「くっ……これが大人のやり方なの……?」

ゲンドウ「そうだ」
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:33:57.53
カヲル「来てくれたんだね……シンジくん……」

シンジ「カヲルくん……!! 磔に……!?」

ゲンドウ「奴には世界改変の生贄になってもらう」

シンジ「生贄……?」

ゲンドウ「17番目に堕ちたといえど、その魂は創生の主であるアダムだ。あの魂にはまだ利用価値がある」

シンジ「そうやって……自分以外は道具としてしかみてないんだね……父さん……」

ゲンドウ「ユイだけは別だ」

シンジ「母さんはもう死んだじゃないか」

ゲンドウ「貴様がユイのことを母と呼ぶな。貴様はユイから生まれたわけではないのだからな」

シンジ「な……」

ゲンドウ「知らなかったか。だろうな。教えたことがなかった。教える必要もなかったが」

シンジ「母さんは……母さんじゃないの……」

ゲンドウ「お前の母親はお前を産み落としてすぐに目の前から消えてもらった。ユイとの結婚には邪魔だったからな」

シンジ「そ、れ……本当のこ、となの……?」

ゲンドウ「一夜限りの相手だったが、まさかの副産物だ。だが、金で解決できただけマシだった」
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:43:08.29
シンジ「なんだよ……それ……」

ゲンドウ「お前を引き取ったのは、この日のためだ」

シンジ「え……」

ゲンドウ「14年前。アダムが見つかり、世界創造の術を手に入れた。そしてその4年後、お前の目の前で世界を変えた」

ゲンドウ「当初からエヴァンゲリオンの開発は暗礁に乗り上げていた。莫大な予算。追いつかぬ技術。人員の不足。開発できるだけの土壌がまだなかった」

シンジ「だから、人類でも使徒に勝てるようにしただろ。どうしてそれが僕なの」

ゲンドウ「知らぬ子どもを使うよりは実の息子を使ったほうがはるかに良い。少し煽てれば掌で踊ってくれるからな」

シンジ「そんな理由で……僕は……」

ゲンドウ「お前は、よくやってくれた」

シンジ「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

ゲンドウ「初号機ではMark.6に勝てはしない。教えたはずだ」

シンジ「だまれぇ!!! 父さんだけは!!! 父さんだけは許さない!!!」

ゲンドウ「無駄だ。フィールド、全開」ギィィィン

シンジ「ぐっ……!!」

ゲンドウ「子どもが親を超えるなど、ありえない」
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:52:55.85
カヲル「シンジくんの痛みが伝わってくる……」

ゲンドウ「そしてお前はまだA.T.フィールドすらまともに使いこなせていない」

シンジ「こんのぉぉ……」

ゲンドウ「A.T.フィールドにはこういう使い方もある」ピカッ

シンジ「え――」

ドォォォン!!!

ゲンドウ「ロケットパンチ」

シンジ「ぐ……ぁぁ……」

ゲンドウ「まだ立ち上がるか」

シンジ「僕は……決めたんだ……僕のやりたいようにするって……決めたんだ……」

ゲンドウ「結局は一緒か」

シンジ「一緒にしないでよ!! 僕は父さんみたいに他人を道具扱いしたりしない!!!」

ゲンドウ「我を通すならば冷徹になれ。誰かを道具にしなければ理想は築けない」

シンジ「そんな理想なら僕はいらない!!! 自分一人が叶える理想なんて必要ない!!! みんなで叶えるから理想なんじゃないか!!!」

ゲンドウ「下らん。全員が貴様に同調するとでも思っているのか。思い上がりも甚だしい」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/23(火) 23:54:39.37
くっそ熱い
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 00:00:34.23
シンジ「そうだよ。僕に合わせる必要なんてないんだ。強要したりなんてしない。みんなが自分の意思で決めればいいじゃないか」

ゲンドウ「それは対立を生み、争いを生む。醜悪なだけだ」

シンジ「ケンカしたっていい。なぐり合わないとわからない不器用な人だっているんだ」

ゲンドウ「理解できんな」

シンジ「父さんに理解してもらおうなんて思ってないよ。だから、戦うって決めた」

ゲンドウ「闘争に身を投じるか。愚かしいことだな」

シンジ「人間はバカだよ。汚い部分だってある。カヲルくんがそういった」

カヲル「……」

シンジ「でも、そんな僕たちをカヲルくんは好きだって言ってくれた。きっと、嫌な部分も含めて好きだっていってくれたんだ。僕たちを認めてくれたんだ」

ゲンドウ「戯れ言を」

シンジ「ヒトじゃないカヲルくんがわかってくれたことなのに、父さんは分からないんだね」

ゲンドウ「分からんな。分かりたくもない」

シンジ「なら、こうするしか、ないじゃないかぁぁぁ!!!!」

ゲンドウ「ロケットパンチ」ドォォン!!!!

シンジ「うわぁぁぁぁぁ!!!」
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 00:11:14.83
カヲル「シンジくん!!」

シンジ「く……そ……」

ゲンドウ「そんな世界に嫌気がさしていた。ユイも同じだった」

シンジ「まだだ……まだ……」

ゲンドウ「ユイはいつもいっていた。「世界から争いがなくなればいいのに。そうしたら失われた自然も元に戻るはず」と」

シンジ「これなら……!!! プログレッシブナイフで!!」ジャキン

ゲンドウ「理想論者と罵るだろう。だが、そんなユイがこの宇宙で最も美しいと思えた」

シンジ「これで!!!」

ゲンドウ「だから、叶えてやることにした。争いのない世界をユイに見せてやることにした」ギィィィン

シンジ「A.T.フィールド……!」

ゲンドウ「では争いのない世界とはなんだ? どうすれば争いは消えるのか? 導き出される答えは一つしかない」

ゲンドウ「愛し合う二人だけの世界だ」ドォォン

シンジ「う……!!」

ゲンドウ「この世に愛し合う男女しかいなければ争いは生まれん。そして自然も豊かになる。これこそ理想郷にふさわしい」

シンジ「そんなの母さんだけの理想じゃないか……」
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 00:17:57.77
ゲンドウ「……」グルグル

カヲル「腕を回し始めた……! いけない! シンジくん!!」

シンジ「え?」

ゲンドウ「大車輪ロケットパンチ」ピカッ

シンジ「ひっ――」

ドォォォォォン!!!!

ゲンドウ「何度も言わせるな。ユイのことを母と呼ぶな。虫唾が走る」

シンジ「ず……う……」

ゲンドウ「そろそろ幕引きだな。シンジ」

シンジ「ぐぅ……ぅ……」

ゲンドウ「息子が父親を越えることはできない。永遠にな」

シンジ「黙れ!!! 父さんなんてお金をたくさん使っていい装備をそろえただけじゃないか!!!! 大人は汚いよ!!!」

ゲンドウ「ふんっ」ドゴォッ

シンジ「お……ぇ……!?」

ゲンドウ「これが大人の力だ」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 00:26:08.96
カヲル「やはり運命には抗えないんだね……」

ゲンドウ「終わりだ」ガシッ

シンジ「ぐ……ぎ……」

ゲンドウ「悔しいか? だが、それもすぐに忘れることができる。新たな世界では負の感情など生まれない」

シンジ「くそ……!! くそ……!!」

ゲンドウ「もっとも、碇シンジも生まれないがな」

シンジ「いやだ……いやだいやだいやだ……!! このまま……父さんの好きにさせるなんて……!!!」

ゲンドウ「さらばだ。ロケットパン――」

アスカ「スーパー!!! イナズマ!!!! キーック!!!!」

ゲンドウ「む……」ギィィィン

アスカ「ちっ!!!」

シンジ「アスカ……!」

アスカ「何情けない顔してんのよ!! ホント、私がいないとダメなんだから!」

ゲンドウ「ベンチウォーマーが加勢したところで何も変わらん」

アスカ「言ってくれるわね!! 大魔王は勇者にやられるって相場がきまってるのよ!!」
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 00:35:50.77
シンジ「ミサトさんたちはどうなったの!?」

アスカ「パーツを全部ひん剥いたら気絶したわ。今は格納庫で寝てる。早く戻らないと風邪ひくかもね」

シンジ「それってどういうこと?」

アスカ「うるさい!! 今は目の前のボスを倒すわよ!!!」

シンジ「う、うん」

ゲンドウ「19番目の使徒に楯突くリリンが哀れでならんな」

マリ「お、やってるやってるぅ。こりゃ、いい時に参加できそうだにゃぁ」

レイ「碇くん、怪我はない?」

シンジ「大丈夫だよ。みんなこそ、無事だったんだね」

マリ「ま、量産機に負ける3号機じゃないし」

レイ「あとは……」

ゲンドウ「レイまで歯向かうか。ユイとは似ても似つかんな」

レイ「貴方を倒すことに躊躇いはない。ペンペンがいた世界を失くしたくないから」

マリ「誰だって今いる世界には愛着があるもんだ」

アスカ「こっからが本番よ。くっ……!! ふふ。私の左眼と右腕も暴れだそうとしているわ。楽しくなりそうじゃない。今日のパーティーは」
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 01:14:44.56
マダオマジマダオ
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 13:43:26.98
マダオが本編以上にどうしようもねぇな
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 21:53:35.80
格納庫

ミサト「うぅ……」

リツコ「すぅ……すぅ……」

マヤ「さむぃ……」

冬月「所詮は量産機か。足止めすらもできなかった」

冬月「これで碇の下に四体の選ばれしエヴァが揃う」

冬月「垣間見るのは激動の混沌か、それとも平常なる安寧か」

冬月「まぁ、どちらでもいい。どちらに転ぼうとも、ユイくんには会えるからな」

冬月「さて、まだ役に立ってもらうぞ」カチャカチャ

ミサト「うっ……うぅ……」

冬月「弐号機も3号機も零号機も甘いな。量産機の装備を剥がすだけでは倒したとは言えん。そうしたヒトとしての心が惨劇を生む」

ミサト「アタシ ハ リソウ ノ タメ ニ」

リツコ「スベテ ハ フクシレイ ノ タメ ニ」

マヤ「フクシレイ ハ フケツ ジャ ナイ」

冬月「世界は終わりを迎えた。そして世界が始まる」
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:05:57.52
実験施設

アスカ「これが私の内に秘められたアルティメット・ジャスティス・パワー!!!」

アスカ「紅空炎爆弾(ポジトロンライフル)!!!」バァァァン!!!!

ゲンドウ「きかんな」ギィィィン

アスカ「うそでしょ!?」

マリ「だったら、こいつはどうだぁ? サンダースピア!!」シャキン

ゲンドウ「……」

マリ「うにゃ!!!」

ゲンドウ「Mark.6には届かん」ギィィン

マリ「にゃろぉ……!!」

レイ「ロンギヌスの槍」ジャキン

ゲンドウ「む……」

レイ「これなら」ブンッ

ゲンドウ「無力は罪だ」ボキッ!!!

レイ「そんな……折るなんて……」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:18:07.70
シンジ「何をしても攻撃が弾かれる……」

マリ「ゲンドウくんのA.T.フィールドは特別仕様っぽいなぁ。私たちじゃどうにもできないって感じだ」


レイ「ロンギヌスの槍まで無効化された……」

アスカ「それ普通の槍じゃない。どういう設定なのよ? 面白かったら私の設定ノートに書き加えてもいいわよ?」

レイ「貴方の真似をしただけ」

シンジ「綾波も恐怖と戦ってるんだね」

マリ「かわいいとこあるぅ」

アスカ「……。あぁぁぁ!! 右腕が暴れだしそう……!! これ以上は抑えきれない……!!! あぁぁ……!!」

ゲンドウ「万策は尽きたか。では、こちらからいくぞ」

シンジ「しまっ――」

ゲンドウ「ブロウクンマグナム」ドォォォン!!!!

アスカ「きゃぁぁぁ!!!」

シンジ「うわっ!?」

レイ「くっ……。これが碇司令の力……」

マリ「予算をいくら横領したらそんな高性能のエヴァになるんだか」

497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:30:20.74
ゲンドウ「諦めろ、シンジ。プロトタイプが新型機に勝てると思うのか」

シンジ「それでも……やらなきゃ……」

ゲンドウ「大人しくしていればいい。お前たちは世界の輪廻から弾きだされたことも気が付けず、消えるだけだ。痛みも苦しみもない。完全な無へと旅立つ」

アスカ「結局は死ぬってことじゃない。そんなのまっぴらごめんよ!!」

レイ「私が死んでもこの世界は壊させない。ペンペンがいたことを消させない」

マリ「ゲンドウくん強情ー。民主主義にのっとって、多数決で負けってことになんない?」

ゲンドウ「ユイに会うために費やした時間をお前たちの塵にも劣る理念で無駄にすることはできん」

シンジ「父さんは他人のことなんて一つも考えない。きっと母さんが生きていれば、父さんを止めていたと思うよ」

ゲンドウ「何度言えばわかる。貴様の母ではない。ユイを母と呼んでいいのは、レイだけだ」

レイ「え……」

アスカ「それって、依怙贔屓とバカシンジが……」

マリ「戸籍上は兄妹の関係になるね」

レイ「私と……碇くんが……兄妹……」

アスカ「ふぅーん。兄妹なの。ふぅん」

マリ「姫、顔がにやついてるけど、なにかんがえてんの?」
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:41:37.28
シンジ「僕の母さんは碇ユイって人だけだ。他には知らない」

シンジ「優しくて、花が大好きで、いつもいい匂いがしていて……」

シンジ「みんなが自然と幸せになる。そんな人だった」

ゲンドウ「ああ、そうだ。だからこそユイを選んだ」

シンジ「今の父さんを見たら、母さんは怒るよ。ううん、絶対に嫌いになる」

ゲンドウ「知った風な口を利くな」

シンジ「父さんこそ、母さんがどんな人だったのか忘れてる。父さんみたいな人が一番嫌いだったはずだよ。自分本位で他人を道具のように扱う人なんて」

ゲンドウ「黙れ」

シンジ「二人きりになれば争いは生まれないって言ったけど、そんなことはないんだ。きっと父さんと母さんは二人きりでケンカをする」

ゲンドウ「そんなことはない」

シンジ「自分以外の人間が一人いるだけで争いは生まれる。だって、人には心があるから」

シンジ「ヒトの心が分からない父さんが、争わないわけがないんだ。きっとたくさん喧嘩して傷つけあって、二人だけの世界が嫌になって、無様に死んでいくんだ」

ゲンドウ「ロケットパンチ!!!」ドォォォン

シンジ「ぐぁ……!?」

ゲンドウ「随分と喋るようになったな、シンジ。エヴァになったことで気が大きくなったか。だが、その小さな力では何も変えられん」
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:54:52.53
レイ「碇くん!」

アスカ「シンジ!?」

マリ「お……? もしかして……。だったら……」

シンジ「く……う……」

ゲンドウ「いくら吠えようとも、お前には否定するだけの力がない。残念だったな」

シンジ「もういいよ……母さんに会いにいけばいい……」

ゲンドウ「なに……」

シンジ「絶望する父さんが……目に浮かぶ……」

ゲンドウ「……言い残したことはもうないな?」

シンジ「……」

ゲンドウ「死ね」グルグルグル

カヲル「リリンの王だった者が新たな使徒になり、リリンを滅ぼす。そして創生させる新世界。築き上げられた文化の極みは崩壊し、宇宙は衰退していく。悲しいね」

ゲンドウ「必殺、ブロウクンファントム」ピカッ

シンジ「ごめん……みんな……僕は……」

マリ「大チャーンス!!! モード反転!! 裏コード!!! ザ・ビースト!!!」
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 22:55:49.49
文字だけ読むとすごく熱い場面なのに、実際はコスプレした少年といい大人が…
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:01:50.11
>>501
言うなよ!コスプレした子持ちのおっさんがスーパーロボットな必殺技で脳内厨二設定で武装した子供(実子含む)と戦ってるとか絶対に言うなよ!
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:00:55.45
アスカ「え……!?」

レイ「そのシステムは……!」

マリ「ワンワンワンワンワン!!!!」ダダダダダッ

ゲンドウ「なに……」

マリ「ガァァァウ!!!」バキッ

ゲンドウ「ぐ……!!」

シンジ「マリさんがA.T.フィールドを突破した!?」

レイ「違う。突破したんじゃない。司令のフィールドが消えてるだけ」

マリ「ガルルルルル!!!」ガブッ!!

ゲンドウ「おのれ……。離れろ、野獣め」ドゴォ!!!

マリ「きゃいん!」

シンジ「マリさん!!」

ゲンドウ「姑息な真似をしてくれる。本能に特化させたところで足に噛みつくのが関の山だ」

アスカ「そういうことね。イヌメガネ。あんたの行動は無駄にしないわ」

マリ「くぅーん……」
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:10:39.23
シンジ「どういうこと?」

アスカ「あんた、バカぁ? あいつはA.T.フィールドの形を拳に変えて、こちらに飛ばしてきてるのよ。つまり、あのロケットパンチを発射する瞬間は完全無防備、丸裸じゃない」

シンジ「あ……」

レイ「司令がロケットパンチを使うときは私たちも攻撃できる」

アスカ「そういうことね。でも、口でいうのは簡単だけど、やるのは厳しいわね。どっちにしろパワーでは圧倒的に負けてるんだし」

レイ「全て、一瞬で決まる」

アスカ「しかも一回でも仕掛けたらこっちの狙いがバレるから、チャンスは一度きりね」

シンジ「一発勝負ってことか」

アスカ「一人はロケットパンチを使わせる役、残りの二人が総攻撃を仕掛ける。いいわね」

レイ「誰が囮になるの?」

アスカ「攻撃を仕掛ける二人はできるだけ息の合ったほうがいいわよね」

シンジ「だったら……」

アスカ「依怙贔屓とバカシンジで決まりじゃない。囮役は私ね」

シンジ「どうして!?」

アスカ「兄妹なら呼吸も阿吽ってやつでしょ。しっかりやんなさいよ」
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:19:50.65
レイ「貴方は危険な役をしたいだけ」

アスカ「違うわ。適材適所よ。この呪われた左眼と右腕があれば多少の危険も平気だし」

レイ「それは設定」

アスカ「うっさいわね。私の作戦に文句でもあるわけ?」

シンジ「……」

アスカ「うぐ……!! 右腕が血を欲してる……!! 悪魔の声が……聞こえてくる……!!」

シンジ「アスカ。僕と一緒に攻撃を仕掛けよう。綾波、本当にごめん」

レイ「いいわ。私が囮役になる」

アスカ「待ちなさいよ!」

レイ「きっとあなたのほうが適任だから」

アスカ「なんでそう言い切れるわけ?」

レイ「思い出して。碇くんとユニゾン作戦を実行したときのことを。あのときの二人は完全にシンクロしていたもの」

アスカ「それは……そうだけど……シンジとシンクロとか今更言われると……意味が違ってくるっていうか……」モジモジ

シンジ「危険な役を押し付けてごめん」

レイ「大丈夫。気にしないで」
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:30:07.60
ゲンドウ「最後の悪足掻きか」

シンジ「綾波、死なないで」

レイ「私は死なないわ」

シンジ「え……」

レイ「碇くんが守ってくれるもの」

シンジ「……うんっ」

ゲンドウ「いくら策を弄したところで、Mark.6の装甲を破ることはできん」

アスカ「いくら強いっていっても所詮は後期に作られた新型機。規格度外視で作られたプロトタイプに秘められたブラックボックスが覚醒したら手も足も出ないって相場が決まってるのよ」

ゲンドウ「一理ある。だが、そのブラックボックスを使いこなせればの話だな」

アスカ「行くわよ、シンジ!! 瞬間、心、重ねて!!」

シンジ「分かってるよ。もう一度、あのときを思い出す」

レイ「零号機、行動を開始します」タタタッ

ゲンドウ「レイからか。ユイの面影を残すお前が、最大の嫌悪だった」

レイ「これで……! カシウスの槍」シャキン

ゲンドウ「同じ槍で何ができる」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:38:53.72
レイ「ふっ!」

ゲンドウ「届かんな、レイ」ギィィィン

レイ「つっ……。もう一撃……」

ゲンドウ「やめろ、レイ」グイッ

レイ「く……!」

ゲンドウ「ユイに似てきたな。それが腹立たしい。まるでユイの人形を見ているようで吐き気がする」

レイ「私は……人形じゃ……ない……!」

ゲンドウ「少し前のお前は従順な人形だった。ユイが死に、心をどこかに置いてきたお前は考えることをやめていた」

レイ「槍がうご……かない……!」

ゲンドウ「時間が過ぎるのは早かっただろう。一日が終わるのがすぐだっただろう。言われたことをしていれば居場所を与えられ、安堵していただろう」

レイ「……」

ゲンドウ「そんなお前を人形と言わず、なんと呼べばいい」

レイ「……私は綾波レイ、零号機」

ゲンドウ「なに……」

レイ「もう人形じゃ、ない!」ガキィィン!!!
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:45:23.09
ゲンドウ「抗う力があったか」

レイ「決まって」ブンッ

ゲンドウ「しかし、全てに抗うことはできない」ドゴォッ

レイ「がっ……はっ……!?」

ゲンドウ「まずはレイ。貴様からこの世の果てに送ってやる」

レイ「……」

ゲンドウ「消し飛べ。ロケットパンチ」ピカッ

レイ「くっ――」

シンジ「ユニゾン開始!!!!」

ゲンドウ「シンジ……!」

シンジ「アインス!!!」ドゴォ!!!

ゲンドウ「ぐっ……ぬ……!」

アスカ「ツヴァイ!!!」バキッ!!!

ゲンドウ「づっ……!」

シンジ・アスカ「「ドライ!!!」」ガキィィィン!!!
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:53:39.58
ゲンドウ「小癪な……」

シンジ「ユニゾン!!!」

アスカ「キーック!!!!」

ゲンドウ「バカな――」

シンジ・アスカ「「うおりゃぁぁぁぁぁ!!!!!」」ドォォォン!!!!

レイ「決まった……」

シンジ「はぁ……はぁ……」

アスカ「どうよ……これなら……はぁ……流石の魔王も……はぁ……」

ゲンドウ「――やるな。このMark.6に傷をつけたことは褒めてやる」

シンジ「そんな……」

アスカ「ちっ……これが限界だっていうの……」

レイ「勝てない……」

ゲンドウ「いいものを見せてもらった礼に、こちらも最大出力を見せてやろう」ゴォォォォ

シンジ「な……」

ゲンドウ「Mark.6にのみ与えられた神の真槍。ドリルランサー」ギュィィィン!!!!
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/24(水) 23:58:41.53
アスカ「ドリルですって!?」

ゲンドウ「消えろ。ドリルの力でな」ギュィィィィン!!!!

シンジ「やっぱり……父さんは……倒せないんだ……」

キャー!!!

レイ「この……声……」

ラミエル「……」キャー!!!

ゲンドウ「堕天使がこの期に及んで何をするつもりだ」

ラミエル「……」グリグリグリグリグリグリグリ!!!!!

ゲンドウ「邪魔だ」ギュィィィィン!!!!

ラミエル「……」キャー!!!!!!

レイ「あぁ……」

アスカ「あんな使徒じゃかなうわけないでしょうが」

カヲル「――それでも奇跡の火種にはなったね」

シンジ「カヲルくん! 磔になってたんじゃ……」

カヲル「彼らが助けにきてくれたよ。堕ちた天使は翼の傷を舐めあうのが決まりらしい」
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 00:05:39.11
ゲンドウ「タブリス……」

カヲル「リリンの王。いや、第19の使徒、碇ゲンドウ。僕はタブリスとしてこの生存競争を勝ち抜くことにしたよ」

ゲンドウ「そうか」

カヲル「力を貸してくれるかい?」

サキエル「……」コクッ

シャムシエル「……」ニョロニョロ

ラミエル「……」キャー

カヲル「ありがとう」

ゲンドウ「使徒とヒトが共に向かってくるか」

シンジ「使徒と一緒に戦える。二人しかいない世界じゃ絶対にありえない奇跡なんだ」

ゲンドウ「その奇跡に価値などない」

シンジ「あるよ。奇跡の価値は、そんな世界が僕は大好きだって思えること」

ゲンドウ「お前がこのねじ曲がり、穢れた世界で生きたいと願うならば、倒してみろ」

シンジ「言われなくたって!!!」

カヲル「行こう、シンジくん。僕たちの世界を守るんだ」
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 00:13:01.12
アスカ「一斉攻撃!!!」

レイ「了解」

シンジ「ロケットパンチにだけは気を付けて!!」

サキエル「……」コクッ

ラミエル「……」キャー!!!!

ゲンドウ「ドリルランサーの錆にしてやろう」ギュィィィン

シャムシエル「……」シュルルル

ゲンドウ「触手が……!」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

ゲンドウ「触手を絡ませ、ドリルを止めるとはな。だが……」

シャムシエル「……!」

ゲンドウ「まだ、これがある。唸れ、ロケットパン――」ピカッ

カヲル「今だよ。僕たちの想いを叩き付けよう」

アスカ「でやぁぁぁぁ!!!!」

シンジ「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 00:20:41.02
レイ「えいっ、えいっ」ポカポカ!!!

ラミエル「……」グリグリグリグリグリグリグリ!!!!!

シンジ「父さんだけは許さない!!! 許さない!!!」ゲシッ!!!ゲシッ!!!!

ゲンドウ「なぜだ……なぜ……A.T.フィールドが展開しない……!!」

シャムシエル「……」パシン!!!パシン!!!!

サキエル「……」ポカポカ!!!

ゲンドウ「なぜだ……なぜ、私を拒絶する……Mark.6……」

カヲル「シンジくんが暗闇から見つけ出したのはほんの些細な綻びかもしれない」

アスカ「おんどりゃぁぁぁぁ!!!!!」ドゴォ!!!!

ゲンドウ「ぐ……」

カヲル「それでもそこから差し込む光には強さがあった。闇を打ち消すだけの強さがね」

ゲンドウ「まさか……あの二人の攻撃をうけて……フィールド発生装置に不具合が……」

カヲル「故障したエヴァのパーツでは戦えない。貴方が身に着けているのは、ただの重たい鎧でしかない」

アスカ「これでラストぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」バキッ!!!!

ゲンドウ「これが……ヒトの力か……侮った……」
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 06:53:31.26
シリアスな場面なんだけど、絵面考えるとちっちゃい使徒がわちゃわちゃやってたりコスプレ美少女たちが戦ってたりと微笑ましいのが何とも
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 07:14:09.02
しかもコスプレおっさんをタコ殴りっていうね
いやホント熱い場面なんだけど

ちまい使徒かわいいよ使徒
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 09:30:05.90
逆に考えるんだテッカマンの様な絵面だったらと
あら不思議、一気にシリアスな戦闘シーンになる
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 21:42:55.25
カヲル「ここまでにしよう」

シンジ「でも、カヲルくん! 父さんは……!!」

カヲル「これで終演でいいんだ、シンジくん。これ以上、憎しみをぶつけても誰も幸せにはならない」

アスカ「そうはいうけど、こいつのおかげでこっちは人生を狂わされたのよ」

カヲル「まだ14年の月日しか経過していない。君の世界はまだいくらでも道があるはずだよ」

アスカ「ちっ……」

カヲル「あなたの敗北でいいね?」

ゲンドウ「好きにしろ。Mark.6は壊れた。お前たちに対抗する術はない」

シンジ「父さん。ここまでされても謝りはしないんだね」

ゲンドウ「お前の言葉で己の信念を曲げるぐらいなら、こんなことはしない」

シンジ「最低だ……貴方は……」

レイ「碇くん……」

シンジ「みんなを困らせても反省もしないんだ。最低な人間だよ」

ゲンドウ「なんとでもいえ。敗者に言い訳はできない」

シンジ「……もう、僕の前には現れないでください」
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 21:50:15.00
ゲンドウ「貴様と話す理由は失せた。お前に頼まれなくとも顔を見せることはない」

シンジ「さよなら、父さん」

ゲンドウ「ああ……」

シンジ「――みんな、帰ろう」

レイ「ええ」

アスカ「あー、つっかれたぁ。早く帰って、お風呂にでもはいろーっと」

レイ「そうね」

カヲル「彼女はどうするつもりなんだい?」

マリ「わんっ、わんっ」

シンジ「しまった。マリさんをあのままにはできないよね」

アスカ「エヴァのパーツをつけさせた治るんでしょ。あとで初号機にでもならせてあげれば?」

シンジ「それもそうだね」

ラミエル「……」キャー!!!!

カヲル「どうしたんだい、そんなに怯えて。もう僕たちが悪い夢をみることはないんだ」

「夢は続いている。まだ醒める時間ではない」
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 21:59:48.95
アスカ「誰!?」

シュッ!!

レイ「何か、飛んでくる……」

アスカ「あまいっちゅーの!!! フィールド、全開!!!」

ガキィィィン!!!

「無駄だ。投擲された刃は心の壁を容易く浸食し、破壊する」

アスカ「これって……!!」

グサッ!!

アスカ「いやあぁぁぁぁああああ!!!!」

シンジ「アスカ!!!」

カヲル「あれはアンチA.T.フィールド兵器。完成していたのか」

アスカ「痛い痛い痛い痛い!!!」ゴロゴロゴロ

レイ「動かないで。大丈夫だから。足にダーツの矢が刺さっただけ」

アスカ「痛いもんは痛いのよ!! あんた、バカぁ!? 早く抜きなさいよ!!」

冬月「――ご苦労だったな。エヴァンゲリオンたち。運命の子どもたち」
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 22:12:57.63
レイ「えいっ」

アスカ「きゃぁ!! もっと優しく抜きなさいよ!!」

シンジ「危ないものを投げないでください!!」

冬月「これはヒトでもエヴァンゲリオンと対等に戦える兵器だ。ここで使わずしてどうする」

カヲル「……」

冬月「察しはついているのだろう、アダムの化身」

カヲル「19番目の使徒はたった今、生存競争の舞台から降りた。世界を改変する権利はリリンが持っている」

冬月「そうだ。幾多のヒトを総称してリリン。世界を変える権利はリリンにある。それはつまり……」

カヲル「貴方にも当然、ある」

冬月「そういうことだ」

シンジ「父さんと同じことをしようっていうんですか?」

冬月「似て非なるものだ」

カヲル「貴方が望む世界には何があるんだい?」

冬月「ユイくんに謝らなければならない。15年前の過ちを」

シンジ「母さん……? どうしてまた母さんの名前が……」
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 22:45:01.18
カヲル「15年前……。まだネルフが自然保護団体だったときの話だね」

冬月「全ての始まりは俺がまだ京都の大学で教鞭を振るっていたときになるか」

アスカ「大学ですって?」

冬月「あるとき、天才が二人大学へやってきた」

シンジ「その二人って……」

冬月「一人はそこで本能をむき出しにしている真希波。もう一人は綾波ユイといった」

レイ「お母さんが貴方の……」

冬月「教え子になる。ユイくんと真希波はとにかく優秀でな。若くして入学を許可された」

シンジ「そんな話、知らない……」

レイ「お母さんは15歳のときに大学へ行ったみたい」

シンジ「そ、そうなんだ……」

冬月「真希波は10歳にも満たなかったか」

シンジ「母さんもすごいけどマリさんがそんなにすごい人だったなんて……!!」

マリ「わんわん!!」

冬月「ユイくんと真希波、そして碇は同じ研究室でな。俺はそこで助教授をしていた」
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 22:54:00.93
冬月「一目ぼれだった」

シンジ「え……」

冬月「この歳でまさか恋をするとは思わなかった」

アスカ「きもっ」

カヲル「素敵なことじゃないか」

レイ「それは、この人に?」

マリ「わふっ」

冬月「ユイくんは優しかった。誰に対しても接し方を変えず、自然を慈しむ。女神のようだった」

シンジ「……」

冬月「いつも目で追いかけていた。彼女がペンを走らせる姿。食事をする様、学友と会話。全てを追いかけた」

アスカ「ストーカーじゃない」

シンジ「やめてくださいよ……そんなの聞きたくありません……」

冬月「そして卒業を翌年に控えたある日。俺は過ちを犯した」

アスカ「そ、それって……」

冬月「その1年後、綾波レイが生まれた」
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:06:45.92
レイ「……」

カヲル「愛とは時として非情な定めを担う。そういうことだね」

冬月「身籠ったことが発覚しても、ユイくんは誰も言わなかった。俺の罪を赦してくれた」

シンジ「……」

冬月「感謝の意を込めて、ユイくんの進路希望先であった自然保護団体ネルフへの紹介状を書き、俺の根回しでユイくんを総司令の座へと昇らせた」

アスカ「とんだクズね。そんなことで女を黙らせるなんて」

冬月「ユイくんは黙っていた。決して俺が交渉し、黙らせたわけではない」

レイ「そんな話、聞きたくありません」

冬月「だが、俺も老い、先は短い。限界も見えている。だから、常世への心残りを解消したいと考えた」

シンジ「それが……謝罪だっていうの……」

冬月「一言だけいいたい。あのときは乱暴してすまなかったと。俺も若かったと」

カヲル「ヒトを好きになるのは大変だね」

冬月「まったくだ」

シンジ「もうたくさんだ……なんで……こんな話をきかなきゃいけないんだ……」

レイ「お母さん……私は望まれない子どもだったの……」
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:13:58.88
大人が原作以上にクズで草
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:14:39.22
>なんでこんな話を聞かなきゃいけないんだ
原作より生々しくて子供達の心中計り知れない
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:15:03.22
冬月「だから、もう一度会いにいかなければならない。そのために世界を変える。ユイくんが生きていた世界を取り戻す」

シンジ「ふざけないでよ!!! そんな理由で世界を変えるなんて!!! おかしいよ!!!」

冬月「何を拒絶することがある。お前の義理の母親が戻ってくるんだぞ」

シンジ「母さんをもてあそぶな!!!」

アスカ「こいつだけは生かしておけないわね」

カヲル「まだ戦うというのかい。それがシンジくんの答えなら、僕は従うよ」

冬月「……もう手遅れだ。全ては始まり、終わりへと向かっている」

シンジ「え……」

ミサト「フクシレイ ノ リソウ ヲ」

リツコ「フクシレイ ノ ユメ ヲ」

マヤ「フクシレイ ハ フケツジャナイ」

シンジ「ミサトさん……!!」

アスカ「なんで復活してんのよ!!」

冬月「量産機のパーツを壊さなかったお前たちのミスだ。量産機故に頑丈ではあるがな」

マリ「わんわんわんわん!!!」
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:26:17.80
冬月「ヒトの心は強く脆い。短い時間でも共に過ごした日々は、絆という鎖で結ばれる。それは頑丈であるが脆弱でもある」

ミサト「シンジクン……シンジクン……」ギュゥゥ

シンジ「やめてよ! ミサトさん!! 目を覚ましてよ!!!」

アスカ「もう一度パーツをひん剥けば!!!」

加持「タネヲ マクシカ デキナイ」ガシッ

アスカ「誰よ!! はなして!!! この!!! この!!!」

レイ「わたしは……だれ……わたしは……いらない子……?」

カヲル「サキエル、シャムシエル、ラミエル。シンジくんたちを助けるんだ」

サキエル・シャムシエル・ラミエル「「……」」ガオー!!!!

冬月「お前たちにはこれでいいだろう」シュッ

カヲル「アンチA.T.フィールド……!」

サキエル・シャムシエル「「……」」イタイイタイイタイ!!!!

ラミエル「……」キャァー!!!!キャァァァァ!!!!

カヲル「心の壁を侵す魔の矢。あまりにも醜いね」

冬月「堕天使となった使徒は脅威ではない。――世界は既に変わり始めている」
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:39:08.23
カヲル「まさか……!」

冬月「ここにあるのはアダムの器。そこにいるのはアダムの魂。碇ゲンドウが堕ちた段階でリリンが望む世界へと変貌し始めている」

カヲル「リリンの王を継いだのか。だから、あなたの理想郷へと塗りつぶされていくんだね」

ゲンドウ「冬月先生……」

冬月「すまんな、碇。先にユイくんに会わせてもらうぞ」

ゲンドウ「貴方にだけは渡したくなかった……」

冬月「ユイくんは誰のものでもない。お前はただ結婚しただけだ」

ゲンドウ「分かっています。だからこそ、妻にしたかった。妻にした。冬月先生では手の届かないところにユイを置きたかった」

冬月「願いは叶う。お前の計画を聞いたとき、俺はそう感じた」

ゲンドウ「貴方の世界に私はいますか」

冬月「愚問だな、碇。お前の存在は俺に上書きされる」

ゲンドウ「やはりか……」

冬月「俺のリビドーが世界を、宇宙を変貌させる」

アスカ「気持ち悪いっ」

シンジ「やめてよ!!! 母さんを汚すな!!! うわぁぁぁぁ!!!!」
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:48:07.88
平原

シンジ「……ここ……は……?」

【変わろうとする世界。変わり果てた終焉の園】

シンジ「綾波なの……?」

【私は綾波レイ。私は式波・アスカ・ラングレー。あたしは葛城ミサト。誰でもそう。誰でもない】

シンジ「よくわからないよ……」

【世界は変わる。ヒトも変わる。変わらないのは誰?】

シンジ「僕も消えていくの……?」

【消える。書き換えられる。違うけど同じ貴方が生まれる】

シンジ「違う僕が?」

【同じ世界。違う世界。望む世界。望まぬ世界。今いる世界には戻れない】

シンジ「このまま変わっていくんだ……ゆっくりと……眠るように……」

シンジ「気持ちいいな……ここ……風が心地いい……」

シンジ「もう……それでいいのかもしれない……」

シンジ「あの世界ではいいことなんてなかった……僕の母さんは母さんじゃないし……父さんだって一言も謝ってくれないし……嫌な話ばかりだ……」
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/25(木) 23:58:43.81
【受け入れるのね。変わる世界を。終わる世界を。始まりの世界を】

シンジ「うん。次の世界ではエヴァにならなくていいんだ。綾波もアスカもマリさんもカヲルくんもいる。母さんだっているかもしれない」

シンジ「母さんが悲しい過去を持っていることはないんだ。そんな世界なら僕は受け入れる」

【奇跡の価値は?】

シンジ「使徒と友達になれたこと。そんなことは分かってる。次の世界ではそんなこと起こらないんだ。あの喜びだってきっと忘れるんだ」

【綾波レイに好意を寄せられたことは?】

シンジ「うれしかったよ。けど、それだけじゃないか。次の世界ではそれ以上にうれしいことが待っているんだ」

【式波・アスカ・ラングレーと仲良くなれたことは?】

シンジ「楽しかった。でも、それだけだ。次の世界でもきっとアスカは僕と友達になってくれる。そう信じられる」

【葛城ミサトが褒めてくれたことは?】

シンジ「暖かい気持ちになれた。照れ臭かったけど、母さんに褒められたみたいで……」

【鈴原トウジとケンカしたことは?】

シンジ「今思えば、ケンカしなくても仲良くなれた気がする。でも、ケンカした分だけトウジからは勇気をもらえた」

【あなたの世界は?】

シンジ「嫌なことが多いけど、嬉しいことがあった。辛いことばかりだったけど、楽しいことがあった。それだけは間違いない」
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/26(金) 04:43:27.57
最初のころからは想像も出来ない昼ドラ以上のドロドロ展開……

よく考えたら原作もそうだったな
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:01:30.12
【その世界は?】

レイ「私はわからない。あの世界がよかったのかどうかなんて。けど……」

【ヒトに成れた気がした】

レイ「碇くんのおかげで。ペンペンのおかげで。私はヒトになれた。心をしった」

【ヒトに戻れた気がした】

レイ「お母さんは優しかった。突然、消えてしまったけれど、それはよく覚えている」

【だからあの世界を嫌いになった】

レイ「悲しいという感情もなかった。ただ空っぽになっただけ」

【人形と呼ばれた」

レイ「私は人形だった」

【つまらない世界だった】

レイ「色を失くした」

【嫌いな世界だった】

レイ「もう一度、お母さんに会いたい」

【世界が形を変えていく。望むものに変わっていく。でも、それは誰が望んだもの。誰が手に入れたもの】
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:10:18.50
アスカ「ママが戻ってくるなら、それでもいいと思った。パパが帰ってくるなら、そんな世界でもいいと思った」

【それは自分が望んでいたから】

アスカ「エヴァになってもいいことなんて何もなかった。辛い訓練。苦しい訓練。毎日が嫌だった」

【自分がそれを望んだ】

アスカ「私には他に選択肢なんてなかった」

【好きな子に自分を見てほしかった。私を思い出してほしかった。私が忘れていたから】

アスカ「私は……」

【ママが好きだったから。ママを救いたかったから。エヴァになろうと思った】

アスカ「でも、何も変わらなかった」

【本当にそうなの?】

アスカ「何も変わってない」

【本当にそうなの?】

アスカ「変わったことなんてあったの?」

【思い出せた。誰が好きだったのか。自分が気になっていたアイツのことを思い出せた】

アスカ「ママは戻ってきてない。だから、それでいい。誰が望んだか分からない世界でも生きていける気がする」
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:17:11.76
【自由がほしかった】

マリ「わんわん!」

【窮屈な世界で生きてきたから】

マリ「くぅーん」

【机に向かうだけの時間。ノートに文字を書く毎日。知っていることを反復するだけの授業」

マリ「わぉーん」

【そんな世界から抜け出したくて、本能に従った。本能を解放するシステムを構築した】

マリ「わふっ」

【全てが思い通りになった、あの世界。自分がエヴァになれることを喜んだ世界】

マリ「わんっ!」

【エヴァが好きだった。自分を演じなくてもいいエヴァが好きだった。そんな世界】

マリ「……」

【愛着があるんでしょう? 好きなんでしょう? 私はそのままでいいの?】

マリ「ワンワンワン!!」

【そう。よくない。吠えているだけじゃ意味がない。好きだった世界に戻ろう。嫌な世界を受け入れよう】
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:26:25.64
シンジ「母さんが酷いことされた。母さんは本当の母さんじゃない。父さんは人間としてダメだ。エヴァになって怖い目にあった。痛いこともあった。辛いことばっかりだ」

【母さんが本当の母さんになるかもしれない世界がある。アスカが幼馴染になっている世界がある。綾波が転校生になっている世界がある。マリさんがイヌになっている世界がある】

シンジ「そんな世界がいい。エヴァにならなくていい世界がほしい。父さんがいない世界がいい。そう思った」

【ペンペンがいた世界が消える。綾波が不器用にほほ笑む世界を失くす。アスカの魅力を知った世界が無くなる。ミサトさんが優しい世界を手放す】

シンジ「どちらがいいんだろう」

【どちらにいたいの?】

シンジ「きっと、違う世界にも嫌なことはあるはずなんだ」

【好きな部分しかない世界】

シンジ「カヲルくんは醜い部分も受け入れた。嫌なところも含めて愛しているっていった」

【僕にそれができるの?】

シンジ「やらなきゃいけない気がする。自分の都合で世界を変えたって、また同じことを繰り返すんだ」

【ペンペンがいた世界】

レイ「忘れたくない」

【心配してくれる人がいる世界】

アスカ「悪くない」
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:32:34.27
シンジ「戻らなきゃ。僕らがやってきたことを無駄にしちゃいけないから」

シンジ「トウジたちとまた笑いあいたい。綾波とも話したい。アスカと口喧嘩したっていい。違う世界じゃなくて、元いた世界で」

【好きだから】

シンジ「好きだ。綾波やアスカがいる世界が。使徒と仲良くれた世界が。僕は好きなんだ」

【辛いことが多いけど】

シンジ「みんな同じ」

【苦しいことが多いけど】

シンジ「どんな世界でも苦しむんだ。だったら、知っている世界で苦しみたい」

「シンジ……」

シンジ「え……」

ユイ「この変わりゆく世界を止めるにはどうするかわかるわね」

シンジ「母さん……」

ユイ「この先にいるわ。行きなさい」

シンジ「うん」

ユイ「そして、思い切り殴ってきて。あの人だけは許しちゃダメよ」
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:40:12.13
冬月「書き換えもすぐに終わる。ユイくんはもうこの世界にいるだろう」

カヲル「僕の存在も希薄になってきた気がするよ」

冬月「ようやく会えるな。ユイくん。あの日のことを謝ろう。そして、もう一度だけ……」

シンジ「ここにいたんですね」

冬月「俺のことは父さんと呼んでもいいぞ。この世界ではそうなる」

シンジ「貴方は母さんを傷つけたじゃないか」

レイ「私のお母さんを苦しめた」

アスカ「アンタが余計なことしなけりゃ、ママとパパは離れなくて済んだかもしれないのに」

マリ「わんわん!!!」

冬月「逆恨みか。その黒いものも数分で消滅する。あと少しの辛抱だ」

シンジ「この憎しみだけは忘れたくない」

レイ「貴方が敵であることを覚えておきたい」

アスカ「タダで済むと思わないことね」

マリ「ガルルルルル」

冬月「次の世界ではお前たちの望みも叶う。俺はヒトがもつ願望の代弁者だ。何故、憎悪を向けられねばならないのか」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:46:47.85
シンジ「……行くよ。みんな」

レイ「ええ」

アスカ「早くやりましょう。消えちゃう前に」

マリ「わぉーん!!」

冬月「手遅れだ。世界は終わったのだからな」

カヲル「まだ間に合うかもしれない。シンジくんが特異点を潰してくれるのなら」

冬月「無駄なことだ。俺はユイくんと会う」

シンジ「会わせるもんか。絶対に……!!」

冬月「エヴァでない貴様になにができる」

アスカ「エヴァのパーツがなくったって!!! こちとらには一万二千時間の戦闘訓練と譲れないものがあるんだからぁぁ!!!!」ドゴォ!!!!

冬月「ぐ……!?」

レイ「あなたの好きにはさせないって決めた」バキッ!!!

冬月「がっ……! ま、まて、会えなくなってもいいのか。最愛の人に……」

シンジ「貴方に会わせるぐらいなら、僕は会えなくてもいい。母さんが悲しむだけだから」ドゴォ!!!

冬月「がはっ!?」
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:52:32.48
カヲル「――世界が色を戻していく」

シンジ「はぁ……はぁ……はぁ……」

アスカ「間に合ったわけ」

カヲル「リリンの王は潰えた。リリンの意思を統括しているのは、今やシンジくんになる」

シンジ「僕が……」

カヲル「王の血を受け継ぐ者だからね」

シンジ「……」

カヲル「君の望む世界には何があるんだい?」

シンジ「綾波がいて、アスカがいて、ミサトさんがいて……みんながいる世界……」

カヲル「嫌いな人も憎い人もみんながいる世界なのかい?」

シンジ「うん。でも、いなくなってしまった人はいなくていいと思う」

カヲル「それはシンジくんのお母さん?」

シンジ「じゃないと父さんたちを否定した意味がなくなるから。ごめん、綾波、アスカ」

レイ「謝らないで。私は構わない。碇くんがいる世界で十分だもの」

アスカ「ママが元気になる世界も捨てがたいけど、このままでも別にいいわ。それなりに面白いこともあったし」
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 13:57:40.71
カヲル「このまま生存競争は終息していくことになる。次の戦いまではまた長い時間を待たなくてはいけない」

シンジ「また戦うの?」

カヲル「……そうだね。リリンと他の使徒が共存していける世界になった。争う理由はないね」

シンジ「うん」

カヲル「僕とまた友達になってくれるかい」

シンジ「トウジたちに謝ったら」

カヲル「そうだね。彼らには随分と酷いことを言った。まずはそこからだ」

シンジ「それじゃあ、早く戻ろうよ」

アスカ「あの二人はこのままでいいわけ?」

ゲンドウ「……」

冬月「ぐ……ユイ……くん……」

シンジ「カヲルくん」

カヲル「分かってる。この施設は完全に封印しよう。隔壁を全て閉じておくよ」

シンジ「ありがとう」

レイ「……さよなら。お父さん」
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:02:34.87
病室

ミサト「う……うぅ……」

シンジ「ミサトさん!!」

ミサト「あ……れ……? あたしは……」

シンジ「よかった。目を覚ましてくれて……」

ミサト「シンジくん、ずっと看病していてくれたの? ありがとう」

シンジ「いえ。ミサトさんも大変でしたから」

ミサト「そういえばあたし、副司令に無理矢理服を脱がされかけたあとの記憶がないんだけど、どうなったの?」

シンジ「今は休んでいてください。また詳しい話はしますから」

ミサト「そう? それならそうさせてもらおうかしら」

シンジ「ただ、これだけは言っておきます」

ミサト「なに?」

シンジ「戦いは終わりました」

ミサト「……そう。ありがとう、シンジくん。よくやったわ。すごいわね」ナデナデ

シンジ「や、やめてくださいよ……もう……」
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:16:11.22
病室

リツコ「私たちの意識がなくなっている間にそんなことがあったのね」

アスカ「ここに報告書は作っておいたから、一応見てみて」

マヤ「すごい。もうこんなものが」

レイ「量産機になった人たちは三日間、昏睡状態でしたから」

マヤ「そうなんですか」

リツコ「なるほど……。サードインパクトは未然に防がれ、碇ゲンドウ、冬月コウゾウは地下施設に封印、か」

アスカ「殺してもよかったけど、そんなことしたくないわ。あいつらが楽になるだけなんだから」

リツコ「生きることは苦しみの連続。暗い世界では殊更でしょうね」

マヤ「これからネルフはどうなるんですか?」

リツコ「元の自然保護組織に戻していけばいいわ。これからのことは分からないけど、戦うことはなくなったのだから」

マヤ「いいですね!」

リツコ「そういえば、マリはどうしたの?」

レイ「お墓参りにいくって言っていました」

リツコ「誰の?」
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:26:02.23
墓地

マリ「せーんぱい。元気してたぁ? にゃんて、死人に言っても仕方ないか」

マリ「とりあえず、先輩が心配していたことはなくなったにゃ」

マリ「ずっと言ってたもんね――」


【夫はいつか暴走する。いえ、もうしている。貴方が成長しなくなったことが証明しているわ】

【それじゃあ、どうすんの?】

【きっとあの人はレイやシンジを道具にするはず。使徒がどのような形でくるのかわからないけれど……】

【手はあんの?】

【パーツを用意するわ。人間にそのまま装着できるパーツ。拘束具といってもいい】

【拘束具?】

【シンジたちを守るもの。それが絶対に必要になる日がくる】


マリ「で、本能を抑制するための拘束具を先輩は作った。使徒が現れても心が乱れて暴走しないように」

マリ「だから碇シンジも綾波レイも姫も私も、理性を保ったまま戦えた。ありがと、先輩。ずっと守っててくれて」

マリ「ま、私が搭載しておいた裏コードのことは謝るよ。保険ってやつだから、ゆるしてほしいにゃ」
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:31:02.31
マリ「さてと、いくかぁ」

シンジ「どこへ行くの」

マリ「ありゃ、王子様。奇遇だね」

シンジ「僕も母さんに会いたくなって」

マリ「ここに来たって会えないよ」

シンジ「そうかもしれない。それでも来たかった」

マリ「そっか。ま、ごゆっくり」

シンジ「……また、会える?」

マリ「さぁ。それは風だけが知っている。なんてね」

シンジ「さようなら」

マリ「姫のこと泣かせたら承知しないから」

シンジ「え……」

マリ「元気でね」

シンジ「マリさんも」

マリ「バイバイ、世界の王子様っ」
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:34:43.98
某所

カヲル「僕はこれからこの世界で生きていく。君たちはどうするつもりなんだい?」

サキエル「……」

カヲル「そうか。途方に暮れているんだね。路頭に迷うから」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

カヲル「動物園? 君たちはヒトだ。そんなところで見世物にされて満足かい?」

ラミエル「……」キャー!

カヲル「携帯電話のストラップにはラミエルは大きすぎるね」

サキエル「……」サッ

カヲル「……そこに行こうというのかい」

サキエル「……」コクッ

カヲル「そこが君たちのエデンとなるのなら、僕は止めない」

サキエル「……」コクコクッ

カヲル「また会いに行くよ。シンジくんたちとね」

サキエル「……」バイバイ
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:42:42.30
数ヶ月後 葛城宅

シンジ「ミサトさーん!! おきてくださーい!!」

ミサト「ううん……おはよぉ……」

シンジ「しっかりしてください。明日からミサトさん一人なんですよ」

ミサト「え? なんで?」

アスカ「なんでって、前から言ってるでしょうが」

ミサト「えー、シンちゃんがいなきゃ朝起きれないじゃない」

シンジ「自分で起きれるようになってください」

アスカ「大体、ミサトだってもうすぐ南極調査に行くんでしょ。そのとき遅刻ばっかしてたらクビになるわよ」

ミサト「いやだわー」

アスカ「それがアンタの仕事でしょうが」

シンジ「僕がいなくてもちゃんとごはんは食べてくださいね」

ミサト「そうね。いつまでもシンちゃんに甘えていられないわ。それより、南極のお土産はなにがいい?」

アスカ「んー。ペンギンなんていいんじゃない?」

ミサト「それだけはダメ」
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:47:00.45
通学路

シンジ「ミサトさんの所為で遅刻しそうだね」

アスカ「早く走りなさいよ!」

レイ「あ……」

シンジ「おはよう、綾波」

レイ「おはよう……」

シンジ「もしかして、待っててくれたの?」

レイ「いけなかった?」

シンジ「いや、いけないというか、綾波が遅刻するかもしれないのに」

レイ「遅刻するときは碇くんと一緒だから、平気」

シンジ「綾波……」

アスカ「……」

カヲル「――近しい人間ほど、その愛情には気が付かない」

アスカ「きゃ!? 急に出てこないでよ!!」

カヲル「同居していると自分の想いがどういうものだったのか、わからなくなる。そういうものさ、人間なんてね」
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:52:13.50
アスカ「あんたが人間を語んな」

カヲル「日々勉強だよ。些細な揺らぎも僕にとっては知識となる」

アスカ「あっそ」

シンジ「本当に遅刻しちゃうかも。急がないと」

レイ「そうね」

アスカ「大体、あんたたち兄妹なんでしょ。そんなに仲良くしてていいわけ?」

シンジ「それは……」

レイ「兄妹だけど、血は繋がっていないもの」

アスカ「……」

カヲル「あのときの話をよくきいていなかったのかい。シンジくんには碇ユイの血は混じっていないよ」

アスカ「でも、兄妹じゃない」

カヲル「戸籍上はね」

アスカ「だったら、ダメじゃない」

シンジ「なにが?」

アスカ「……。ぐっ!! 封印したはずの闇の波動が……うごめきはじめたわ……!! はぁ……はぁ……!! 早く、学校にある結界にはいらないと……!!」
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 14:57:50.28
学校 校庭

ヒカリ「おそいわよ」

シンジ「ごめん」

トウジ「まだ5分前やんけ。そういったんなや」

ヒカリ「みんなが集合しているんだから、5分前もなにもないでしょ」

ケンスケ「まぁまぁ、こうして無事に全員がいることを喜ぼうじゃないか」

トウジ「せや、ケンスケのいうとおりや」

ヒカリ「もう! さっさと点呼とって!!」

トウジ「番号!!!」

レイ「1」

アスカ「にっ!」

シンジ「あ、えっと、さん」

カヲル「4」

ケンスケ「5!」

トウジ「鈴原班、全員おるで。おらぁ、バスにのるぞー」
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:04:03.78
バス 車内

ヒカリ「ねえねえ、アスカ。約束通り、まずはこれから乗りましょう」

アスカ「わかってるってば。そう焦らなくてもジェットコースターは逃げないわよ」

カヲル「遊園地か。初めての場所だね。楽しいかな」

ケンスケ「渚は行ったことないって言ってたな。お化け屋敷にも動じなさそうだけど」

カヲル「そんなことはないよ。どういうものかわからないけれど、僕もヒトの身だからね。予想外のことが起これば感情をあらわにする」

ケンスケ「それは楽しみだ」

レイ「すぅ……すぅ……」

シンジ「綾波、もう寝ちゃってる」

アスカ「あれね。楽しみすぎて徹夜したとみた」

シンジ「それ、アスカのことじゃないか」

アスカ「私は別に眠たくないもの」

シンジ「帰るとき、ずっと寝てそうだね」

アスカ「帰るときはどうでもいいじゃない」

レイ「すぅ……すぅ……」
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:08:40.91
遊園地

ヒカリ「あー! 楽しかったぁー」

アスカ「そうね……」

トウジ「なんや、顔真っ青やないか」

アスカ「うるさいわね……内に秘められた青の衝動が……」

レイ「大丈夫?」

ケンスケ「エヴァとして戦っていた英雄もジェットコースターには弱かったか」

シンジ「アスカって怖がりだから」

アスカ「怖がりじゃないわよ!!!」

カヲル「それはよかった。次はあれに入ろう」

アスカ「え……?」

ヒカリ「わぁ! 面白そう!」

ケンスケ「まぁ、こういう場所にきたら、入らないわけにはいかない」

アスカ「あ、あれって……」

レイ「お化け屋敷」
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:12:59.90
お化け屋敷

トウジ「いくで!」

ヒカリ「ドキドキするー」

シンジ「暗いから足元に気を付けて」

レイ「ありがとう」

アスカ「ほ、ほんきでいくきぃ? あ、あんた、ばかぁ……」

カヲル「腰がひけているね」

マリ「にゃー!!」

ケンスケ「うわぁ!?」

アスカ「きゃぁー!!」

マリ「いらっしゃい、勇者たち。この呪われた屋敷にようこそ」

シンジ「マリさん!?」

アスカ「イヌメガネ!! こんなところでなにしてんのよ!?」

マリ「アルバイトにきまってんじゃん。ネルフよりこうしたところで働きたかったしね。どう、私の猫娘姿。にゃーお」

シンジ「ああ、うん」
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:16:28.56
マリ「さぁ、はいったはいった」

アスカ「ちょっと!! 押さないでよ!!!」

マリ「生きて出てこれたら、ほめたげる」

カヲル「生と死すらもここでは意味をなさないということか」

シンジ「よし……いくよ……」

レイ「ええ」

アスカ「待ちなさいよ!!」

シンジ「何が出てくるんだろう……」

アスカ「うぅ……」

シンジ「そんなにくっつかないでよ。歩きにくいよ」

アスカ「うっさいわね!! あんたが歩きにくいからって誰もこまら――」

サキエル「……」ガオー!!!

アスカ「きゃー!!!」

カヲル「サキエル。こんなとこで働いているのかい」

サキエル「……」コクッ
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:19:47.15
アスカ「いやー!! だしてー!!」

シャムシエル「……」ニョロニョロ

アスカ「ぎゃー!!」

シンジ「アスカ!! 走ると危ないよ!!」

レイ「待って」

ラミエル「……」キャー!!!

アスカ「キャー!!!」

ラミエル「……」キャー?

カヲル「みんな、ここにいたんだね」

サキエル「……」ガオー

カヲル「君たちを見て怖がる人は多いだろう。けれど、それを悲しむことはないんだ」

サキエル「……」

カヲル「またね。僕たちは今、修学旅行中なんだ」

サキエル「……」ションボリ

シンジ「カヲルくん、怖がってあげないと……」
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:27:07.29
休憩所

アスカ「もうだめ……」

ヒカリ「アスカ、しっかりして」

トウジ「なっさけないのぉ。ほんまにエヴァやったんかぁ」

レイ「はい、お水」

アスカ「ありがと……」

シンジ「……」

カヲル「君の守ったものは大きかったね」

シンジ「……今でも時々思うんだ。本当によかったのかなって」

カヲル「世界を変えたほうがよかったのかもしれない。そう思うのかい」

シンジ「だって、みんなとは友達のままでいられたかもしれない。母さんだって優しいままいてくれたかもしれない」

カヲル「都合のいい世界が待っていたかもしれない」

シンジ「綾波やアスカは何もいわないけど、家族が戻ってくる可能性を僕が捨ててしまった。マリさんだって普通の体に戻れたのに」

カヲル「それは僕も同じだね」

シンジ「僕だけの意思で決めてよかったのかなって、やっぱり今でも思うんだ」
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 15:34:38.48
カヲル「エヴァにならずに済んだ世界線。そこに行こうとは思うかい」

シンジ「……」

カヲル「あのときシンジくんが出した答えたが全てだよ。正解なんてないんだ」

シンジ「うん……」

カヲル「それに……」


アスカ「次はあれにのるわよ」

レイ「観覧車……」

トウジ「なんであんなもんにのらなあかんねん」

アスカ「いいじゃない。あれも定番よ」

ケンスケ「激しい乗り物には乗りたくないだけだろ」

アスカ「うるさいわね!!」


カヲル「この世界にも良いことはある。僕はみんなを見ているとそう思う。シンジくんが守ってくれたこの時間を大切にしたいと心から思うよ」

シンジ「……僕も」

カヲル「さぁ、この醜くも美しい世界を生きていこう。みんなでね」
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 16:39:19.51
ええ話や……
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 23:02:31.35
アスカ「なにしてんのよ! 次、いくわよ!!」

シンジ「わかったよ。すぐに行くから」

レイ「次はバンジージャンプをすることになったから」

シンジ「そ、そうなの」

ヒカリ「一度でいいからやってみたかったの」

トウジ「これで胆のでかさがわかるってもんやな。シンジぃ、勝負や!」

シンジ「えー、そんなのむりだよ」

ケンスケ「第三新東京市の英雄も高いところはダメなのか」

トウジ「ほんまにエヴァやったんかぁ?」

シンジ「エヴァだよ。僕はエヴァンゲリオン初号機だったんだ」

トウジ「なら、それを証明してみぃ」

シンジ「わ、わかった。やるよ。飛んでやる」

トウジ「それでこそ、エヴァやな」

ヒカリ「もう。男子ってどうしてああなのかしら」

アスカ「ほーんと、バカよね」
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 23:08:16.20
シンジ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


トウジ「おー、飛んだ飛んだ」

ケンスケ「飛ぶまでのタイムは4分5秒だ」

トウジ「まぁまぁやな」

カヲル「おめでとう。シンジくん。新記録だ」

ヒカリ「飛んだことがないんだから、新記録は新記録だけど」

レイ「碇くん……」

アスカ「あんなのに4分もかけるなんて、バカシンジはてんでダメね」

レイ「……」

アスカ「なによ」

レイ「無理はしなくてもいい」

アスカ「無理なんてしてないわ!! 私の足にからみつく神の蛇がいなけりゃとんでたの」

レイ「その設定は無理があると思う」

アスカ「なんでよ!!」

カヲル「シンジくん。この世界に産まれたことがなによりの幸福だった。ありがとう」
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 23:15:49.26
ネルフ本部

リツコ「シンジくんたちは修学旅行だったわね」

ミサト「ええ。今頃は遊園地で羽をのばしてるんじゃない?」

マヤ「いいですねぇ。私も行きたいなぁ」

リツコ「今度の休暇に行ってきなさい」

マヤ「そこは先輩と一緒がいいです」

日向「葛城一尉、あ、いえ、葛城一佐」

ミサト「どうしたの? 復帰して間もないし、まだ感覚が戻らない?」

日向「違います。それが地下でおかしな反応があるのですが」

ミサト「なんですって?」

青葉「これです」ピッ

【ここでは俺がアダムだな】

【ああ。問題ない】

リツコ「まだ生きていたの。ありえないわ。いいから、そっとしておきなさい。もうネルフの地下はディラックの海に等しい空間になっている。人類には手出しができないわ」

マヤ「気持ち悪い」
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 23:25:04.76
遊園地 ベンチ

シンジ「まだ変な感じだ……」

レイ「おめでとう」

シンジ「な、なにが?」

レイ「新記録」

シンジ「それはカヲルくんが勝手にやったことじゃないか。でも、少しうれしいよ」

レイ「ふふっ。そう」

アスカ「ちょっと、何してるわけ。バスに戻る時間でしょ」

シンジ「ああ、もうそんな時間だったんだ。急がなきゃ」

アスカ「……おめでとう」

シンジ「アスカ……」

アスカ「い、行くわよ!」


【僕はエヴァンゲリオンになった。辛いことがたくさんあった。けれど、今の僕だから言えることがあるんだ】


シンジ「――みんな、ありがとう」


END
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 23:36:55.37
これがシンですか
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 00:24:49.76

おめでとう
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 00:51:50.33
おめでとう
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 04:24:16.55
おめでとう

マダオたち気持ち悪いなww
使徒が最後まで可愛かった

584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 13:00:41.25

綺麗に終わって良かった
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 00:52:43.13
展開を脳内で想像して笑うただのシュールギャグかと思いきやこれは綺麗なエヴァ
このシリーズSS:

ゲンドウ「お前がエヴァ初号機になれ」シンジ「できるわけないよ!」【前編】


ゲンドウ「お前がエヴァ初号機になれ」シンジ「できるわけないよ!」 【後編】



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とあるSSの訪問者

物凄く面白かった
いろんな小ネタが絡み合って伏線も設定も見事で引き込まれた
トウジが戦ってるあたりで涙が出て悔しかったけど間違いではなかった

とあるSSの訪問者

最初仮面ライダーみたいなものかと思ったがそうではなかったと思ったら話の展開が似ていなくも無かった。
原作以上に少年漫画らしい展開でとても面白く、新しいエヴァの形であるとも言える。
大人、しかも親を乗り越える子供達のお話、というテーマが上手く作られていて、読んでいて爽快だった。


お知らせ
サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
ページ転移に数字送りを実装
多少の軽量化

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

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