真美「真美と兄ちゃんの、約束の日」

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:14:04.03
今日がその日。



私は今日、高校を卒業した。アイドルはつい先日卒業したばかりだ。

IA大賞を獲ってSランクになって、たぶんもうアイドルとしてやり残したことは何もない。

彼と、あの日約束したことだから。



高校に入った頃に、自分を『真美』と名前で呼んだり、彼を『兄ちゃん』と呼ぶのはやめた。

いつまでも子供じゃいられないからね。亜美は今でも昔のままだけど……。


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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:16:13.43
真美「遅いなぁ……」



校門前で待ちぼうけすること30分。

さっきまで騒がしかった校内も、今はずいぶん閑散としている。



彼はいつも忙しい。

もっと楽をしても許される立場になったのに、同僚や後輩、部下の誰よりも精力的に働き続けている。

今日もきっとそうだろう。



彼が約束を覚えている保証だってない。

アイドルを卒業するまでは毎日のように顔を合わせていたけど、

今日この日のことは改めて約束することもなければ、話題に出ることもなかった。

あの日の約束が全てだ。



真美「30分どころじゃないよ、もう……」



それでも私は、彼を信じて待つ。

13歳の誕生日から一日だけ過ぎた、あの日あの時から───
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:21:27.57
双海医院 病室

P「ただの過労で個室は贅沢すぎだろ」

律子「お見舞いにアイドルが押しかけるんだから、個室じゃなきゃ色々まずいでしょ」

P「それもそうか」

律子「余計なことは気にしないで、休める時にしっかり休んでください」

P「ああ、なるべく早く復帰できるように、休養に務めさせてもらうよ」

律子「ほんとにわかってるんだか……」

P「俺が休むと誰に負担が行くか考えたら、な」

律子「私はプロデューサー殿より若いから大丈夫です」

P「人をおっさんみたいに……。明日は我が身だぞ?」

律子「年齢を追い越すことはできませんから、どうぞご心配なく」

P「病人にも容赦ないなぁ、律子は」

律子「ふふ、チヤホヤするのはみんなに任せますよ」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:24:03.72
私と亜美の13回目の誕生日の前日のことだ。

彼は連日寝る間も惜しんでの激務が祟り、過労で倒れた。

すぐにウチの病院に搬送され緊急入院となったけど、幸い症状は軽かったようだ。

翌日、私たちの誕生日当日には、りっちゃんと減らず口を応酬できるほどに回復していた。



律子「それじゃ、私は仕事に戻ります」

P「ああ、俺の仕事も残しておいてくれよ」

律子「まったくもう……今日ぐらいは仕事のことは忘れてゆっくり休んでください」

P「ありがとう。律子がいてくれて助かるよ」

律子「お、お大事に!///」

 バタバタ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:28:01.36
亜美「ぷぷっ、真っ赤になっちゃって。りっちゃんも乙女ですなぁ」

真美「そ、そだね」

P「悪いな二人とも。せっかくの誕生日にこんなザマで」

亜美「まったくだよ兄ちゃん。亜美たち、ほんとに心配したんだかんね?」

真美「真美たちのためにお仕事がんばりすぎたからなんだから、しょうがないよ……」

P「それで倒れてたら、かっこがつかないけどな」

真美「そんなこと……」

亜美「今年の分、来年のプレゼントをフンパツするということで手を打ってあげるよ?」

P「はいはい、言われなくてもな」

亜美「んっふっふ~、期待してるかんね~」

真美「……」

P「そういえば、今日は事務所でバースデーパーティだろ?」

P「俺のことは気にせずに、楽しんできてくれよ」

亜美「うん、兄ちゃんの分までめいっぱい楽しんでくるよ」

P「ははは、そうしてくれ」

真美「……」

真美「楽しめるわけないじゃん……」ボソッ

P「ん?なんだ真美?」

真美「なんでもない!」

P「そっか……ごめんな真美」

真美「べ、別になにもないし!なに謝ってんのさ?」

亜美「真美……」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:31:12.15
あの頃の私は亜美よりお姉ちゃんぶってたけど、亜美の方がずっといい子でしっかりしてたよね。

バースデーパーティだって、私が雰囲気悪くしても亜美がフォローしてくれてたし。

思い返すと、あの頃の自分の何もかもが恥ずかしい……。



美希「ハニー!おはよーなの!」ダッ

亜美「ミキミキ、ストップ!」ガシッ

真美「点滴刺さってるんだから、抱きついちゃダメ!」ガシッ

美希「えぇー?ミキは深刻なハニー分不足なの!」

春香「美希ぃ。病院なんだから静かにしなきゃダメだよー」

亜美「は、はるるんも!ゆっくり……足元に気をつけて」

真美「そーそー、そのへんからホフク前進で!」

春香「こ、転ばないよ、もー!」

P「はは、来てくれてありがとな、春香、美希」

春香「意識が戻ったと聞いて、飛んできました!」

美希「ハニーのことが心配で、お昼寝もできなかったの」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:34:57.62
P「今日は番組の収録だったか?」

春香「はい。私と美希の分は早く終わったので……」

春香「千早ちゃんと真と雪歩も、終わり次第駆けつけるそうです」

美希「ハニーのところに急いできたくて、ミキお仕事がんばったんだよ」

P「動機はあれだが……うん、偉いぞ美希」

美希「あはっ、もっとほめて♪」

春香「私も頑張りました!」

P「はは、わかってるよ。春香はいつも頑張ってるもんな」

春香「えへへ///」

美希「むぅ」

P「すまないな、お前たちにも迷惑をかけて」

春香「やめてくださいよー。私の方がいつも迷惑をかけてるんですから」

美希「そうなの。春香はもっと反省したほうがいいと思うな」

春香「ほう?そんなことを言うのはこの口か?」グイー

美希「はなひてー!」

P「こらこら、アイドルなんだから顔はやめとけ」

春香「はーい」

美希「うぅ……春香め、覚えてるがいいの!」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:37:09.72
亜美「もー!病室なんだから騒いじゃダメだよ?」

春香「あ、亜美にそんなこと言われるなんて……」

美希「屈辱なの……」

亜美「病院の娘に対して失礼だね、チミタチは」

真美「はいはい、亜美も調子に乗らない」

真美「兄ちゃんも、今日は絶対安静。仕事の話は禁止だかんね?」

P「はーい、気をつけまーす」

真美「パパからみっちりとお説教してもらおうか?」

P「ごめんなさい……」

春香「おお!真美、ナースみたい」

美希「亜美、ナース服用意して」

亜美「お?双海真美改造計画?」

真美「うぇ!?やめてよ、もー」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:40:14.65
響「は、はいさーい……」ソー

春香「あ、響ちゃん」

美希「あはっ、響が空気読んでるの」

亜美「あはははは」

真美「ぷっ……くはっ……ぷふっ」プルプル

響「……」

貴音「なにを立ち止まっているのです、響?」

響「自分、もう沖縄に帰りたいさぁ……」

貴音「はて?」

美希「もー、響ってば。冗談なの」

響「冗談でもやっていいことと悪いことがあるぞ!」

P「そうだ。今のは美希が悪い」

美希「えー」

響「プロデューサー……」ウルウル

P「おー、よしよし。よく来てくれたな、響」ナデナデ

響「えへへ……///」

春香美希「「あ、ずるい!」」

P「貴音もありがとな」

貴音「いえ、あなた様の身を案じるのは当然のことです」



結局それから事務所のみんなが駆けつけて、

いくら個室でもうるさすぎるってことで師長さんに怒られた。

こういうとき身内は損だよね。

私は結構静かにしてたのに、一番怒られるんだもん……。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:43:37.53
それからみんなで事務所に移動して、私と亜美のバースデーパーティ。

せっかくみんなにお祝いしてもらった誕生日だけど……あまり思い出したくない。

当時はつくづく子供だったんだなぁ、と思う。

今はもう大人になれたのかな?ちょっと前に彼に聞いてみた。

そしたら「俺も自分が大人かどうかなんてわからない」だって。

オトナってそんなものなのかな。



亜美「兄ちゃん、帰ったよー!」

真美「ただいまー」

P「おう、おかえり」



事務所では日常の光景だったけど、自分ちの病院でこんなやりとりをするなんて思わなかった。

もうすっかり夜だし、こんな時間に病室に出入りするなんてもちろんダメ。

でも「誕生日ぐらい許してくれるっしょ」と、亜美に押し切られてしまった。

案の定、あとで怒られたけどね!



P「楽しんできたか?」

真美「う、うん」

亜美「あはは、来年は兄ちゃんが盛り上げてね」

P「おう、とっておきのサプライズを用意してやろう」

亜美「それ、今言っちゃダメっしょ」

真美「あはは……」



こういうときの亜美って、ほんとに気遣いのできる『出来た子』だと思う。

なんで私の方が先に生まれちゃったんだろ……。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:47:44.88
P「亜美、真美。遅くなったけど誕生日おめでとう」

亜美「ん!」

真美「ありがと、兄ちゃん」

P「倒れる前に、プレゼントを用意できてればよかったんだけどな」

真美「いいって。兄ちゃん、いつも真美たちのためにがんばってくれてるもん」

P「おいおい、そんなこと言われたら泣くぞ?」

亜美「マジで!?」

P「なんだ亜美?」

亜美「写メ!」スチャ

P「病人なんか撮るもんじゃないだろ」

亜美「泣いてる兄ちゃん激写して、みんなに送る!」

亜美「真美、早く兄ちゃん泣かして!」

真美「それはダメっしょ!」

亜美「えー?真美、ノリが悪いよー」

P「ノリで泣かされてたまるか」

亜美「違うよ!亜美はね、今日たくさんプレゼントとお祝いをしてもらったから……」

亜美「だから、みんなにお返しがしたかったんだ……」

P「……」

P「うん、イイ話みたいに言っても泣かないし、ごまかされないから」

亜美「ちぇ~」テヘペロ

真美「……」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:52:35.63
いつからだったかな。

彼に対して、ちょっと前までは亜美と同じように振る舞えてたのに。

この頃にはそれができなくなっちゃった。

これが思春期ってヤツ?だったらズルイよね。

亜美はそんなの全然なくて、今でも兄ちゃん兄ちゃんってじゃれついてるんだから。



このときだって、亜美ってばこんなこと言うんだよ!



亜美「兄ちゃん、やっぱプレゼントちょうだい!」

P「今なにもないぞ?」

亜美「うん、ちかたないからチューでいいよ!」

真美「なに言ってんの、亜美?」

P「ごめん、俺も急に耳が悪くなったみたいだ」

亜美「チューだよチュー!チュっと吸ってHAAAAAN!だよ」

真美「チューって……」

P「あのなぁ……そんなに俺を困らせたいのか?」

亜美「なんで?こんなにせくちーでぷりちーな美少女とチューできるんだよ?」

亜美「むしろご褒美だよね、ご褒美!」

P「ご褒美で社会的に抹殺されたくないっての」

亜美「ゴタクはいいから!ほら、兄ちゃん早く!んー」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 22:57:13.34
P「……」

真美「……」

亜美「んーーー!」

P「てい!」

 ピシッ

亜美「あたっ!なにすんのさ兄ちゃん!」

P「デコピンだ」

亜美「むー!いけずにもほどがあるよ、兄ちゃん!」

P「冗談でもそんなことして、好きでもないやつに本気にされたらどうするんだ」

亜美「こんなこと兄ちゃんにしかやらないよー」

P「だから、そういうのが誤解されるんだって」

亜美「もー。ほんとニブチンだね、兄ちゃんは」

真美「に、兄ちゃんにだって、そんなことしちゃダメだよー」

亜美「またまたー、真美まですっとぼけちゃって」

真美「へ?」

亜美「真美も兄ちゃんにチューしてもらいたいんでしょー?んん?」

真美「兄ちゃんに……チュー……?」

真美「ふあ……///」

亜美「んっふっふ~」

真美「ちがっ、違うから!勘違いしちゃダメだかんね、兄ちゃん!///」

P「お、おう」

亜美「あれー?デレいおりんがいるよー?」

真美「亜美!///」

P「全力で拒絶されると、さすがにちょっと傷つくな、はは……」

真美「あ、うん……」

亜美「にひひ♪」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:05:05.29
彼は昔からこうだ。

対立する事務所からも一目置かれるほどアイドルプロデューサーとしては敏腕なのに、

仕事以外では女心って言葉を知らないらしい。

これって亜美はかなり直接的にアプローチしてるし、私の方も……普通気づくでしょ?

まあ、だからこそ他の娘たちも抜け駆けできないんだろうけどね。



P「二人とも、明日は学校だろ?夜更かししてないで、戻って寝ろ寝ろ」

亜美「えー?今日はここでお泊り会しようぜー」

P「ダーメ!」

亜美「兄ちゃんが寂しくないように、添い寝したげるよ?」

P「この病院だけじゃなく、社会からも追い出されるわ」

真美「だめだよ亜美。兄ちゃん疲れてるんだから、ちゃんと休ませてあげないと」

亜美「あ……うん、そうだよね。ごめんね、兄ちゃん……」

P「いいって、いい暇つぶしになったよ。ありがとな、二人とも」

真美「うん」

亜美「うん!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:13:51.63
ズルイなぁ。

亜美みたいな子が急にしおらしくなったら、私でも可愛いって思っちゃうもん。

亜美は普段彼と一緒にいられる機会が少ないから、この日はいつも以上に甘えてたみたい。

ううん、亜美だけじゃない。

はるるんもミキミキもひびきんも、他のみんなも、いつもより彼との距離が近かった。

なのに私だけ、彼との距離が遠いみたいで……。

だいぶ思いつめてたんだろうね、このときの私。



真美「それじゃ、そろそろ戻ろ、亜美」

亜美「うん、そだね」

真美「おやすみ、兄ちゃん。お大事にね!」

亜美「おやすみー。また朝に来るね!」

P「おう、おやすみー」

P「……っと、真美」

真美「ん、なに?」

P「なにかあったら俺に言ってくれよ」

P「俺に言いにくいことなら、律子でも音無さんでもな」

真美「うん……」

P「それじゃ、おやすみ」

真美「おやすみ……」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:21:48.31
女心はわからなくても、私たちのことはやっぱりよく見てるよね。

それだけ私が態度に出してたってことかもしれないけど。

いつでもこうして、私たちのことを気にかけてくれている。



でもね、やっぱりわかってない。

このときの私は、『みんなのプロデューサー』の優しさなんか欲しくなかったんだよ。

幼くたって女の子なんだから。

切なくてもどかしくて、だからあの日の私は───
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:24:47.18
真美「兄ちゃん……」

真美「兄ちゃん、起きて」

P「ん……」

真美「起きた?」

P「真美か?朝じゃ……ないよな?」

真美「うん、まだ2時ぐらい」

P「どうした?寝れないのか?」

真美「んーん……」

P「じゃあ……おい、なんてかっこしてるんだ」



一番お気に入りの、とびきり可愛い上下お揃いの下着。

勝負下着なんて気合の入ったものより、男の人は可愛い方が好きって耳年増な友達から聞いたっけ。

常夜灯だけの病室は薄暗かったけど、彼の顔色が変わるのは目に見えてわかった。

すぐに目を背けた彼には、私がどう見えたのかな?
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:31:14.85
P「服を着るんだ」

真美「ヤダ」

P「着てくれないと話ができないだろ」

真美「別に話がしたいわけじゃないもん……」

P「だったら、なにを……」



一瞬だけこっちを見て、またすぐに顔ごと背ける。

動揺が手に取るように分かって、ちょっとだけ嬉しくて誇らしかった。



言っておくけど、下着姿で病室まできたわけじゃないよ。来てから脱いだだけで。

私、そんな変態じゃないからね!
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:35:19.91
P「真美、頼むから……な?」

真美「お願いするのは真美のほう。兄ちゃん、こっち見て」

P「ダメだ、服を着ろ」

真美「こっち見て」

P「……」

真美「見てってば!」

P「ダメだ!」

真美「おっきな声出しちゃダメだよね。誰か来ちゃう」

P「……っ」

真美「なんてね。ここは防音がしっかりしてるから、ちょっとぐらい怒鳴っても大丈夫」

真美「でも、ナースコールなら確実に人が来るよ」

P「……!」チラッ

真美「うん、兄ちゃんからは届かない所に置いといたから」

真美「言いたいことはわかるよね?こっち見て」

P「……わかった」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:39:42.88
真美「どう、かな?」

P「……」

真美「真美の……こんなかっこ見てもなんとも思わない?」

P「……」

真美「こたえてよ!」

P「……言えない」

真美「どうして?なにかあるんだよね?」

P「あっても言うべきことじゃない」

真美「もういいよ……」

P「真美?おい……」

真美「動かないでね、兄ちゃん。動いたら……」ズイッ

P「やめ」

真美「ん」

P「!」

 チュ…ッ

真美「……ふはっ」

P「……っ」

真美「へへっ、兄ちゃんにファーストキスあげちゃった」

P「なんてことを……」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:43:42.58
P「なんで、こんな……」

真美「なんで?わかんないわけないっしょ?」

真美「ここまでしても、真美の気持ちにしらばっくれるの?」

P「俺は……!」

真美「プロデューサーだから?真美はアイドルだから?」

真美「もういい!」

P「よくない!」

真美「いいから言うこと聞いて、兄ちゃん。次は大人のキス」

P「いいかげんにしろ!」

真美「うるさいな!」

 ドサッ

P「ぐっ……!?」

真美「なに簡単に押し倒されてんの?ほら、女の子ぐらい軽く押し返せるでしょ?」

真美「ほんとは期待してるんじゃない、兄ちゃん?」

真美「アイドルだプロデューサーだ……って、自分からはなにもできないもんね」

P「やめろ……やめてくれ……」

真美「やめないよ。もう我慢できないもん……」

真美「はるるんだってミキミキだって……亜美にだって、兄ちゃんをとられるなんて我慢できない」

P「俺は、そんなつもりはない」

真美「じゃあさ!もし誰かに今みたいに迫られて、兄ちゃんほんとに断れる?」

真美「断れないよね。今だって力ずくで拒絶できるのにしないんだから」

P「それは……」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:49:03.37
真美「真美のこと、嫌い?」

P「嫌いなわけないだろ」

真美「だったら好きって言ってくれる?そしたらやめてあげる」

P「……」

真美「いいよ、言わなくても。真美のこと、好きじゃなくてもいい」

P「俺は……」

真美「聞いて。真美は兄ちゃんのものになりたい。真美のこと、兄ちゃんの好きにしていいから」

真美「だから、ね?兄ちゃんも真美のものになって……」

真美「お願い……」

P「真美……」

真美「ん……」

 チュ…チュブ

真美「ん……んむっ……チュパッ……くちゅ、んん……」

P「んん……」

 チュル…レロ…チュ

真美「ん……ぷはっ」

P「……」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/26(日) 23:52:51.05
真美「変なの。大人のキスってよくわかんないや」

真美「でも、これで真美は兄ちゃんのもので、兄ちゃんは真美のものだよね。へへっ///」

P「……ごめん」

真美「え?」

P「ごめん、真美……ごめんな……」

真美「やだ、謝らないでよ兄ちゃん。真美がやったことなんだよ?」

P「違う……」

真美「それに、ほら!真美のこと好きにしていいんだよ?」

真美「兄ちゃんからしたら、まだちょっと子供かもしれないけど……」

真美「兄ちゃんのお願いだったら、真美どんなことでもがんばるよ!だから!」

P「そんなことしなくていい!」

真美「なんで?」

真美「真美のこと、そんなに嫌い?嫌いになっちゃうぐらいイヤだった?」

P「違う!」

真美「……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/27(月) 00:02:31.18
真美「ごめんなさい……」

真美「真美がひどいことしたから……兄ちゃん、そんな辛そうなんだよね?」

P「違うんだ、真美……」

真美「ごめ、ごめんなさい……」

真美「真美、謝るから……もうこんなことしないから……」

P「いいんだ、真美はなにも悪くない」

真美「……?」

P「真美がこんなに思いつめていたのに、俺は気づいてやることができなかった……」

P「いや、わかっていて見て見ぬふりをしたんだ」

P「アイドルとプロデューサーだとか、年の差だとか……そんな建前が、真美より大切なわけないのにな」

P「悪いのは俺の方だ。ごめんな、真美」

真美「兄ちゃん……?」
27 :1 :2013/05/27(月) 00:06:09.08
P「こんなこと、絶対に言わないつもりだった……」

P「もし言うことがあっても、真美が大人になってからだと思ってた」

真美「大人に、なってから……?」

P「それが正しいと思い込んでいたんだ。でも……」

P「真美のおかげでわかったよ。そんなもの、俺の独りよがりだ」

真美「な、なに言ってるの、兄ちゃん?」

P「聞いてくれ、真美」

真美「う、うん」

P「俺は……真美のことが好きだ」

真美「え……?」

P「何度でも言うよ。真美が好きだ」

真美「好き?真美が?」

P「ああ」

真美「あ!またいつもみたいに妹としてとか?」

P「違う」

真美「じゃ、じゃあ……プロデューサーとアイドルとしての好き?」

P「違うよ」

真美「う、ウソだよ。真美が悪い子だから意地悪してるんでしょ?」

P「言っただろ。真美は悪くないよ」
28 :1 :2013/05/27(月) 00:10:47.23
真美「だって!真美に無理やり……キスなんかされて、イヤだったんでしょ?」

P「確かに、あんな形ではしたくなかったかな」

真美「ほら……」

P「真美から……好きな娘からキスされて嫌なわけないだろ」

真美「ほんとに?」

P「ああ」

真美「ほんとに、真美のこと好き?」

P「好きだよ」

真美「はるるんより?ミキミキより?」

P「ああ」

真美「あずさお姉ちゃんでも、りっちゃんでもなくて?」

P「ああ」

真美「……亜美よりも?」

P「他の誰でもなく、俺は真美が好きだ」

真美「うあ……兄ちゃん……にいちゃん…………」ポロポロ

P「うん、泣いていいぞ。ほら」

真美「にいちゃん!!」
29 :1 :2013/05/27(月) 00:15:24.72
思い出してみると、若気の至りというか、若さ故の過ちというか……。

ゆきぴょんじゃないけど、穴掘って埋まりたいほど恥ずかしいことしてるね。



自分が子供だという自覚はあったから、当時は正直に言うと諦めてた。

だって、まわりは自分より年上で、彼にお似合いで、彼のこと好きな娘ばっかりだったんだよ。

だからこそ、こんな馬鹿なことをしちゃったんだけど……。

でも、彼は私を選んでくれた。

大好きな彼が、私のことを好きって言ってくれたんだ!



今でも、思い出すと顔がニヤけちゃう……へへっ。

いけないいけない。引退しても私は元Sランクアイドル!

人前でみっともない姿は……えへ、えへへ///
30 :1 :2013/05/27(月) 00:20:55.60
P「落ち着いたか?」

真美「うん……」

真美「でも嬉しすぎて、まだなんだかよくわかんないや」

P「そっか」ナデナデ

真美「へへっ///兄ちゃん、大好き!///」

P「俺もだよ。ほら、もっとこっちに……」

 グイッ

真美「うん……」

 ギュッ

真美「こうしてると、兄ちゃんの『好き』が伝わってくる……」

真美「真美の『好き』もわかる?」

P「わかるよ。今すごく幸せだからな」

真美「うん!」
31 :1 :2013/05/27(月) 00:23:31.15
真美「兄ちゃんは真美のどこが好き?」

P「ん?そうだな……」

真美「全部ってのはダメだかんね」

P「おいおい、厳しいな」

真美「真美はそんなに甘くないから!」

P「そういうことなら……」

P「うん、やっぱり全部だ」

真美「えー?」

P「そういう真美は、俺のどこが好きなんだ?」

真美「ん?もちろん全部っしょ!」

P「おい」

真美「えへへ///」
32 :1 :2013/05/27(月) 00:25:43.38
真美「ね、兄ちゃん?」

P「なんだ?」

真美「真美たち恋人同士?」

P「……」

P「真美、それは……」

真美「ごめん……また兄ちゃん困らせちゃった」

P「いや……」

真美「真美もわかってるんだ。どんなに好きでも……許してもらえないことなんだって」

P「ああ……俺ひとりの問題で済むならまだいい」

P「発覚したら事務所にもみんなにも迷惑がかかるし、たぶん真美もアイドルを続けていられなくなる」

真美「うん……」

P「なにより、もう二度と会うことも許されなくなるだろうな」

真美「やっぱ、そうなるよね……」

真美「そんなの、絶対に耐えられない……」

P「俺もそうだ。だから……」
33 :1 :2013/05/27(月) 00:28:50.83
P「真美が高校を卒業するまで、俺は待つよ」

真美「高校を?」

P「そうだ。真美も待ってくれるか?」

真美「そんなに?真美、あと3年で結婚できるよ?」

P「それでも、16歳はまだ子供だ。せめて高校はでてから、な」

真美「6年も待たなきゃいけないんだ……」

真美「でも……うん、わかったよ!」

P「うん」

真美「それまでにトップアイドルに……ううん、その中でもトップになって」

真美「やりのこしたことがなにもなくなってから、アイドルも卒業する」

P「ああ、俺が絶対に頂点まで連れて行く」

真美「うん!そんで誰からも文句のつけられない兄ちゃんのお嫁さんになる!」

P「はは、こんな可愛い嫁さんがもらえて嬉しいよ」

真美「へへっ///」
34 :1 :2013/05/27(月) 00:31:39.64
真美「恋人同士じゃなくても、真美、兄ちゃんのことずっと好きだからね」

P「俺もだよ」

真美「高校の卒業式の日……待ってるから迎えに来て」

P「必ず行くよ。約束だ」

真美「うん、約束!」

 ギュッ

真美「それまでは、もうこんなこともできないね……」

P「ほんとは、今だってダメなんだけどな」

真美「いけず!」

P「すまん」

真美「今だけは……ね?」

P「ああ……」

真美「ね、兄ちゃん?」

P「ん?」

真美「もう一度だけ……今度は兄ちゃんからキスして」

真美「そしたら真美、約束を信じて待ってられるから……」

P「……」

P「わかった、目を閉じて……」

真美「ん……」



無理やりだった大人のキスとは違う、唇と唇を合わせるだけの優しいキス。

とろけそうなほど甘くて、でもちょっぴり切なくて……少しだけ大人になれた気がした。
35 :1 :2013/05/27(月) 00:35:23.69
「約束を信じて待つ」なんて子供ながらに言ってたけど、ずっと私の心の支えだったんだよ。

真美、6年も待ったんだから……兄ちゃん!



P「真美、遅くなってごめん」

真美「女の子を待たせすぎだよ、兄ちゃん」

P「すまん。今日に限ってトラブル続きでな」

真美「もー、そういうことじゃないっしょ」

真美「兄ちゃんは、いつまでたってもニブチンだよね」

P「ああ、そうか……6年も待たせてごめんな」

真美「うむ!ちゃんと迎えに来てくれたから許す!」

P「はは……ん?」

P「兄ちゃん……って、昔の口調に戻ってるな」

真美「まあね。今日だけは、あの日の続きだから」

P「そっか……そうだな」
36 :1 :2013/05/27(月) 00:39:52.43
P「でも、あの頃の真美っていうよりは、もっと前の、出会ったばかりの頃の真美って感じだな」

真美「そっかな?自分じゃわかんないけど」

P「おう、あの頃の真美はもっとよそよそしくて、かなり気難しかったからなぁ」

真美「う……兄ちゃんにだって、無かったことにしたい時代があるっしょ?」

P「そうだなぁ、思春期とか思春期とか」

真美「うっさいうっさい!///兄ちゃんのバカ!///」ポカポカ

P「ははは、真美は相変わらず可愛いなぁ」

真美「ふーんだ!///」

P「ま、ここで立ち話もなんだし、今からデートをしよう」

真美「で、デート?」

P「ドライブがてら……まあ、デートなんてロマンチックな場所じゃないけど」

P「そこで、話をしよう」

真美「うん……」
37 :1 :2013/05/27(月) 00:42:12.61
兄ちゃんのことは信じてるけど、全然不安がないかと言ったら嘘になるかな。

6年って、やっぱり長いもんね。

兄ちゃんは仕事が恋人って感じだったから、他の娘と……とかは心配してないけど。

ずっと真美のこと好きでいてくれた?

早く聞きたいよ……。



ドライブ中は、アイドルを辞めてからのこととか、進路のこととかを話した。

ちなみに、亜美は医学部に進んで病院を継ぐつもりみたい。

真美もいちおう進学するけど……。



会話は弾んでも、やっぱり二人とも上の空って感じ。

兄ちゃんと二人っきりでそわそわ落ち着かないのって、ちょうどあの頃以来だと思う。

やだなぁ、意識しちゃってるのバレてるんだろなぁ。

女心はわからないくせに、そういうところだけ妙に鋭いんだから。
38 :1 :2013/05/27(月) 00:44:13.52
ドライブといってもほんの近くで、着いた先は真美たちみんなの思い出の場所。

かつて765プロ事務所があったたるき亭ビル。

今では事務所も大きくなって、こことは比較にならないような立派なビルに移転したけど。

いろんな思い出の詰まった、真美たちの宝箱。



真美「え?入っちゃっていいの?」

P「ああ、鍵は借りてきた」



カチャっという心地よい開錠音に続いて、少し軋んだ音を立ててドアが開かれる。

この音、変わらないなぁ……懐かしい。



ここに来るのは移転以来だから、何年ぶりになるんだろ?

かつて『765プロ』と貼り出されていた窓には、今はなにもない。

最低限残されていた事務机には薄く埃が積もり、長く使われていないことが伺える。

他の誰かの場所になっていないことに少しだけホッとするけど、

空っぽの空き箱みたいな思い出の場所は、やっぱり寂しい。
39 :1 :2013/05/27(月) 00:46:57.19
真美「よく鍵を貸してくれたね」

P「ああ、またここを借りることになったからな」

真美「ええ!?それって、まさか……?」

P「いやいや、業績不振で都落ちってわけじゃないから安心してくれ」

真美「だ、だよね?みんな頑張ってるし、真美が引退したぐらいで傾かないっしょ?」

P「Sランクアイドルが辞めたら、そりゃあ痛手だ」

真美「うぐっ……でも、兄ちゃんやりっちゃんがいるんだし」

P「うん、ありがたいことに俺の業績を評価してもらってな」

P「765プロの子会社ってことで、新設する事務所の社長を任されたんだ」

真美「へ?」

P「というわけで、ここが俺の社長としての新しい職場」

P「立ち上げはもうちょっと先だけどな」

真美「そ、そうなんだ。おめでと」

P「おう、ありがと」

P「他のみんなにはまだ知らせてないけど、真美には真っ先に報告したくてな」

真美「うん……」

真美「に、兄ちゃんなら当然ていうかさ、むしろ評価されるの遅すぎ?」

真美「兄ちゃんの実力を一番最初に見抜いてたのは真美だかんね!」

P「そうだっけ?」

真美「そうだよー!」
40 :1 :2013/05/27(月) 00:49:16.88
真美「……」

P「……」

真美「ここは、真美と兄ちゃんが初めて会った場所だよね」

P「ああ」

真美「充分ロマンチックじゃん?」

P「はは、そうだな」

真美「ね、兄ちゃん……」

P「ん?」

真美「真美の気持ちは、あの日から少しも変わってないよ」

真美「兄ちゃんは?」

P「……」

P「真美、左手を出して」

真美「左手?うん」
41 :1 :2013/05/27(月) 00:51:36.90
左手って……うん、こっちだよね。

やだ、ちょっと震えてる。

にいちゃん、気づいてるかな?



P「これを受け取ってくれ」

P「俺の気持ちも……あの日からなにも変わってないよ、真美」



左手の薬指に、さっきまでなかった可愛いデザインリング。

うん、シンプルだけど可愛いって、真美の好みがわかってる。

たぶんプラチナとサファイアかな。測ったように真美の指にぴったり。

これって、あれだよね?
42 :1 :2013/05/27(月) 00:54:11.55
真美「給料の3ヶ月分ってヤツ?」

P「6年も待たせたから、奮発して6ヶ月分だけど」

真美「6ヶ月!?今の兄ちゃんの半年分て、ものすごい金額だよね?」

P「ん?いやいや、当時の給料の半年分な」

P「仕事人間のおかげで当時から蓄えはあったから、あの約束のあとすぐに作ったんだよ」

真美「作った?」

P「真美のために作った、世界でひとつのデザインリング」

真美「そうなんだ……///」

真美「で、でもさ!そんな前から作っちゃって、もし無駄になったりしたら……」

P「そうだよなぁ。今更だけど、サイズが変わってなくてよかったよ」

P「いざプロポーズでリングが指に合いませんでした……じゃ、愛想つかされそうだしな」

真美「そうじゃなくて!その……」

P「え?もしかして気に入らなかった?」

真美「ちがっ、違うよ!」

真美「真美のためだけのリングだもん。すごく、嬉しい……」

P「お気に召していただいて光栄です」

P「で、他に無駄になるようなことなんてあるか?」

真美「ないよ……あるわけないっしょ」

真美「真美は、何年でも何十年でもずっと兄ちゃんのこと好きなんだから!」

P「俺も、真美以外の誰かを好きになるなんてありえないよ」

真美「兄ちゃん……」グスッ
43 :1 :2013/05/27(月) 00:57:29.74
えへへ、やっぱり兄ちゃんだ。

子供の頃からずっと大好きだった兄ちゃん……。



P「6年も待ったのは俺も一緒だ。だから、これ以上は一日でも待てない」

真美「うん……」ポロポロ

P「結婚しよう、真美」



二人で一緒に生きていこう。

二人で世界中の誰よりも幸せになろう。



真美「うん!真美のこと幸せにしてね、兄ちゃん!」



おわり
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/27(月) 00:59:12.80
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/27(月) 01:04:56.71
乙!!!

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