八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」4

867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:27:46.86
前回スレ:

八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」3



八幡「よっ、と……じゃ、ちょっと待っててくれ。すぐに支度してくるから」

沙希「ん、いいよ急がなくて。時間余裕あるし」

八幡「おう」

八幡(我が家に到着し、自転車を川崎に預けて俺は家の中に入る)

小町「あ、お兄ちゃんお帰り。まだ少し時間あるよね、ご飯どうする?」

八幡「いや、着替えたらすぐに出るから帰ってから食うわ。ちょっと外で川崎待たせてるんでな」

小町「え、沙希さんが!?」

八幡「ああ、あいつと偶然帰りに会ってな、そのまま予備校行くって言うから一緒に行くことにしたんだ」

小町「うう……あのお兄ちゃんが……小町嬉しいよ」ジーン

八幡「大袈裟なやつだな……んじゃ着替えてくる」

小町「はーい…………あ、そうだ、えっと……」
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:28:12.20
八幡(自室で手早く着替え、予備校用のカバンを掴んで玄関に向かう)

八幡「じゃ、行ってくるわ」

小町「あ、お兄ちゃん、これ持ってって」スッ

八幡「ん? チョコレート?」

小町「うん、頭使うしお腹空いたらこれ食べて。沙希さんの分もあるから」

八幡「さすが小町、気が利くな。八幡的にポイント高いぞ」

小町「お兄ちゃんと未来のお姉ちゃんのためですから!」ビシッ

八幡「何だその敬礼は。あと気が早えっての。まだ本格的に付き合ってもねえのに…………ま、ありがとな。んじゃ行ってくるわ」

小町「はーい、行ってらっしゃい」
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:28:39.97
八幡「待たせたな、行こうぜ」

沙希「ん、大丈夫。よろしく」

八幡(俺は再び自転車に跨がり、川崎が腰に腕を回してくる)

八幡(何回やっても慣れねえなこれ。正面から抱き付かれるみたいに恥ずかしいってわけじゃないんだが…………心臓が高鳴ってるのがわかる。背中に耳くっつけられたりしたらバレちまうかもな)
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:32:54.19
沙希(……こんなふうにしてるとわかる比企谷の身体付き)

沙希(少し猫背で縮こまってること多いからぱっと見わかりづらいけど、結構がっちりしてるんだよね)

沙希(回してる腕からもお腹固いのわかるし、腕組んだ時も思いのほかしっかりしてた)

沙希(こういう意外性も比企谷の魅力かな……あたしにとっては、だけど)

沙希(奉仕部の連中に言ったの失敗だったかも…………)

沙希(はあ…………しかしいつになったらこれに慣れるんだろ。あたしすごいドキドキしちゃってる)

沙希(胸、無駄に大きいからちょっとくらい当たってもドキドキしてるのバレてないと思うけど…………抱きついてるのに平静を保ってるようにするの大変なんだよね)

沙希(比企谷はどうなんだろ、少しは意識してくれてるのかな?)

沙希(………………)

沙希(………………)ピト

沙希(!!)サッ

沙希(嘘……一瞬耳当てただけだったけど比企谷の心臓、すごい早かった)

沙希(平然としてるように見えるけど実は比企谷も…………)

沙希(…………ふふっ)
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:33:40.24
八幡「着いたぞ」キキッ

沙希「うん、ありがと」

八幡(予備校の駐輪場に着き、自転車を置いて川崎と並んで歩き出す)

八幡(今日のコマの内容を二人で確認しながら建物に入った)

八幡(ちょっと前までは顔を合わせても一言挨拶するくらいだったのに)

八幡(思えば同じ予備校に通ってるというのも結構幸運だよな……)

八幡「あ、そうだ、川崎、これやるよ」

沙希「え、チョコ?」

八幡「小町がくれたんだ。お腹空いたら足しにしろって」

沙希「いいの?」

八幡「お前の分も貰ってんだ、遠慮すんなよ」

沙希「うん、じゃあ貰っとく。小町にお礼言っといて」

八幡「おう」

八幡(俺達は席に着いて準備していると講師が入ってくる。さて、スカラシップのためにも自分のためにも頑張りますかね…………数学以外)
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:34:50.01
八幡(今日の分の講義が終わり、片付けをしていると川崎がすまなそうに話し掛けてきた)

沙希「ねえ比企谷、さっきの古文でよくわからないとこあったんだけど…………時間ある?」

八幡「おう、いいぜ。自習室行くか」

沙希「ごめんね」

八幡「いいって」

八幡(これで少しでも長く一緒に居られることに喜んでしまう単純な俺がいる)

八幡(自習室に移動して空いてる席を見つけて座り、参考書を広げる)

沙希「これの変化形の時は~」

八幡「この場合~」

沙希「ふんふん」

八幡(川崎も頭は良い方なので説明するとあっという間に理解していく)

八幡「~ってわけだ。あとは何かあるか?」

沙希「いや、もう充分。あとは復習すれば自分でわかると思う」

八幡「そか。まあわからなかったらまた聞いてこいよ、教えられるとこなら教えてやるから」

沙希「うん、よろしく。じゃ、帰ろっか」

八幡「おう」

八幡(俺達は荷物をまとめ、予備校を出た)
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/29(月) 23:37:24.31
八幡(駐輪場に行き、二人乗りをして比企谷タクシーは走り出す)

八幡「そういやちょっと聞きたかったことあったんだが」

沙希「ん、何? スリーサイズ?」

八幡「聞けば教えてくれんのかよ…………そうじゃなくて昼の奉仕部での話なんだが」

沙希「うん」

八幡「俺が部室に入った時、ちょっと妙な雰囲気だったんだけど、お前何か言った?」

沙希「あー…………」

八幡「心当たりありそうだな」

沙希「ん、少しね」

八幡「俺が聞いてもいい話か?」

沙希「大したことじゃないよ。比企谷の悪口をちょっとは控えて欲しいって言ったの」

八幡「いや、別に俺がディスられるのはいつものことだぞ。俺自身気にしてねえし」

沙希「わかってるよ、あたしがイヤってだけ」

八幡「え?」

沙希「あたしがイヤだったんだよ…………」ギュッ

八幡「そっか…………その、サンキューな」

沙希「ん」

八幡(そこからは何も会話はなく、川崎の家に到着した)

八幡(例によって周りを見回し、人がいないのを確認する)

八幡「じゃあな沙希、また明日」

沙希「じゃあね八幡、また明日。小町によろしく」

八幡(手を振って別れ、俺はペダルを漕ぎ出す)

八幡(…………明日は金曜……いよいよ明後日、か)
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 11:55:05.14
八幡「ふぁ…………んー」

八幡(朝である。身体を起こし、伸びをする)

八幡(カーテンを開けて天気を確認したあと、階下に降りた)

小町「あ、お兄ちゃんおはよー」

八幡「おう、おはよう」

小町「最近お兄ちゃん自分で起きるようになったよね。やっぱり沙希さん効果?」

八幡「だろうな。万一遅刻したら申し訳ないし朝から会いたい気持ちめっちゃ強えし」

八幡(小町の用意してくれたトーストにジャムを塗りながら答える)

小町「何かもうすごい自然にそういうこと言うよね。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう」

八幡「小町の前だけだがな。川崎本人の前だとヘタレるし他のやつだと面倒なことになりそうだし」モグモグ

小町「そういえば明日告白するんだっけ?」

八幡「おう、一応映画のあとかなと思ってるが。ま、流れ次第だな」

小町「じゃあ今日はどっちにしても最後の普通の日ってわけだね」

八幡「そうだな。成功して幸せになるか、失敗して不幸のどん底に落ちるか…………」

八幡「………………」

八幡「な、なあ、小町」

小町「ここまで来て怖じ気付いてやめるなんて言ったら縁を切るからね」ニッコリ

八幡「お、おう」

八幡(笑顔なのに怖い)
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 11:56:00.82
八幡「んじゃそろそろ行くわ」

小町「うん、沙希さんによろしくー」

八幡(小町に見送られて俺は家を出た)

八幡(もしかしたら朝川崎んちに向かうこの習慣も今日で最後になるかもしれない)

八幡(明日失敗したらすべてが崩れてしまう。ならいっそのこと現状維持の方がいいのかもな)

八幡(でも、それでも)

八幡(俺は川崎に伝えたい。俺が川崎に抱いてるこの想いを)

八幡(この胸の奥でくすぶってる気持ち、ひとかけらも残さずさらけ出してやるよ。こんなふうにさせたのはお前なんだから覚悟しとけ、川崎沙希)

八幡(…………到着、っと)キキッ
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 11:57:30.81
沙希「あ、来てたんだ。ごめん、待った?」

八幡「いや、ちょうど今来たとこ。タイミング良かったわ」

沙希「そう? そんじゃ今日もお願いします運転手さん」

八幡「かしこまりましてございますお嬢様」

八幡(川崎は俺の言葉にクスッと笑い、荷台に乗る)

八幡(………………)

八幡(……い、今の笑顔)

八幡(すっげえ可愛かった)

八幡(付き合うフリをするようになってから笑ってるとこなんてたくさん見てるのに)ドキドキ

沙希「比企谷?」

八幡「ああ、すまん。行くぞ、しっかり掴まっとけ」

沙希「うん」キュッ

八幡(俺はペダルを漕ぎ始める)

八幡(最後かもしれないと思うとこの風景も名残惜しいぜ)

八幡(…………いかんいかん、自然にネガティブな方に思考が寄ってる。切り換えないと)

八幡(何としても成功させて川崎ともっと親密になってやる)

八幡(一緒に登下校したり弁当食べさせ合ったり休日に出掛けたり……あれ? 変わってなくね?)

八幡(ま、そりゃそうだ。フリで行動してんだからやることは同じに決まってる。違うのは心持ちだな)

八幡(どうなるかわかんねえけど)

八幡「うん、頑張ろう」

沙希「何を?」

八幡(…………声に出てた)

八幡「ま、色々とな。気にしないでくれ」

沙希「?」
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 19:09:09.37
優美子「おーい、ヒキオ! ちょっとこっち来るし!」

八幡(突然炎の女王こと三浦優美子に呼ばれたのは三限と四限の間の休み時間だった)

八幡(ていうか大声で呼ぶの止めてもらえませんかね。目立っちゃってるじゃないですか)

優美子「早くしろし!」

八幡(行きたくねえ……でも断ったり無視したりするともっと面倒臭くなりそうだ、仕方ねえ)ハァ

八幡「何だよ、金ならないぞ」

優美子「カツアゲなんかするわけないっしょ! あんたさ、なんか力あるらしいじゃん? ちょっと隼人達と腕相撲してみ?」

八幡「はあ? 何だよ突然」

隼人「結衣に聞いたんだ。鍛えてるんだって?」

八幡「んな大したことはしてねえよ、運動部に勝てるわけねえだろ。だからやんねえ」

隼人「まあまあそう言わずに。な?」

八幡「面倒くせえな……わかったわかった、一回だけな」ジロッ

八幡(余計なことを言った由比ヶ浜を睨むと、由比ヶ浜は舌をペロッと出して手を合わせて謝るポーズをする。可愛いじゃねーかちくしょう、川崎がいなかったら惚れちまうとこだったぞ)

隼人「じゃ、俺が相手するよ。お手柔らかにな」
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 19:10:10.05
翔「頑張れ隼人くん! サッカー部腕相撲大会優勝の腕力見せてやれー!」

八幡(何でサッカー部が腕力競い合ってんだよ…………てかいつの間にかクラス中がこっち注目してるし)

八幡(ま、どうせみんな葉山の格好いいとこを見たいんだろ。さっさと負けるか)

彩加「八幡頑張ってー!」

八幡(ちょ、ちょっとだけ頑張ろうかな……?)

隼人「よし、やるか」

八幡(葉山が机に肘を付けて構え、左手で机の端を掴む。俺も同じ体勢になり、葉山と手を握り合う)

八幡(横で叫びながら写メを取る海老名さんを視界に入れないよう顔を背けると、席に着いている川崎と目があった)

八幡(興味なさげだが、俺にぐっとガッツポーズをする。頑張れってことか?)

八幡(どうせみんな葉山が勝つと思ってるだろう。それを覆したら少しは格好よく見えるだろうか? クラスの誰でもない、川崎の目に格好よく写るだろうか?)

八幡(…………頑張ってみるか)

優美子「まだ力入れるなし。ほらヒキオ、力むなって」

隼人「やる気みたいだね。でも負けないよ」

八幡「ぼっちで文化部の俺に負けたら恥ずかしいぞ、せいぜい頑張れよ」

優美子「レディー……」
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 19:12:43.59
優美子「ゴー!」

八幡「ふっ!」

隼人「くぅっ!」

八幡(な、なんだコイツ!? すげえ力だ! ピクリとも動かねえ!)グググ

隼人(何だと!? 体格的には俺の方が有利のはず! 筋力は彼の方があるというのか!?)グググ

八幡(気を抜くと一気に持って行かれそうだ! 踏ん張れ俺! 戸塚と川崎が見てるぞ!)グググ

隼人(比企谷、君は実に意外性のあるやつだな! でも俺にもプライドがある! 負けない!)グググ

優美子「う、嘘、あのヒキオが……隼人と互角に…………」

翔「すげぇ! ヒキタニ君マジパネェ!」

姫菜「ふ、二人が手を繋いで熱く見つめ合って…………キマシタワー!」ブシャァァ

八幡(そんな外野の声は耳に入らず、少しでも有利な角度や体勢を求めて腕の力に神経を集中する)

八幡(が、意外な形で勝負は終わった)

平塚「もう授業の時間だ、さっさと席に着かんか」パコンパコン

隼人「うっ」

八幡「あう」

八幡(頭頂部に衝撃を受け、俺達は手を離してしまった。見上げると平塚先生が出席簿を持って立っている。どうやらあれで頭をはたかれたらしい)

八幡「ふう……じゃ、もういいな?」

隼人「ああ、時間を取らせたね」

八幡(これ幸いと俺は立ち上がり、さっさと席に戻る)

八幡(腕が痛え……)
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 19:16:52.35
沙希「や。さっきは凄かったね」

八幡(昼休みになり、いつもの中庭に行くと真っ先に川崎はそう言った)

八幡「勘弁してくれ。ちょっとムキになってめちゃくちゃ疲れた……腕が力入んなくて震えてんだけど。はぁ……」

八幡(俺は川崎の隣に座り、大きく溜め息をつく)

沙希「いいじゃない。みんなちょっと意外そうな目で見てたよ。マイナス方面で見られるよりいいでしょ?」

八幡「どんな形であれ目立つのは嫌なんだよ…………」

沙希「でも引き分けだったら比企谷にとっては勝ちみたいなもんでしょ。あたしは応援してたし嬉しいよ」

八幡「おう…………その、お前が応援してくれたから少し頑張ったんだわ。格好悪く見られたくないからな」

沙希「うん、格好良かったよ。御褒美あげようか?」

八幡「ん? 何かくれるのか?」

沙希「お弁当、あたしが食べさせてあげる。箸も掴めそうにないんだったらちょうどいいでしょ」

八幡「そう、だな……力が入らないんだから仕方ねえか」

八幡(仕方ないわー、箸も持てないんだからマジ仕方ないわー)

沙希「何から食べる?」

八幡「じゃあとりあえず玉子焼きから」

沙希「ん、はい、あーん」

八幡「あー……」パク、モグモグ

沙希「美味しい?」

八幡「そりゃもう。元から美味いうえに川崎みたいな美少女に食べさせてもらってんだからな」

沙希「ふふ、ありがと」
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/30(火) 19:18:56.33
八幡(そんな風に川崎の手で昼飯を食べたためいつもより時間がかかったものの、まだ五限まで多少の時間はあった)

沙希「今日もいらない? 明日に取っとく?」

八幡(川崎は自分の太ももを指しながら聞いてくる)

八幡「ああ、そうだな…………いや、今日はお前が来いよ」

沙希「え?」

八幡「たまにはいいだろ、ほら。この前言ってたし頭も撫でてやるよ」

八幡(俺がベンチの端に寄って太ももを叩くと、川崎はしばらく逡巡したあと、ゆっくりと身体を倒す)

沙希「お、お邪魔、します」

八幡「おう」

八幡(そっと俺の脚に乗せられた頭を左手で撫でてやる)

沙希「ん…………」

八幡(川崎はピクッと身体を震わせた)

八幡「あー、嫌だったら言ってくれな」ナデナデ

沙希「ううん、平気……もっと、して」

八幡「おう」ナデナデ

八幡(相変わらず手触りいいなこいつの髪。シュシュ外してねえから手櫛は出来ねえけど)ナデナデ

沙希「ん……気持ち、いい」

八幡(なんかエロいな)ナデナデ

八幡(こうして俺は予鈴が鳴るまで川崎の頭を撫で続けてやったのだった)
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:45:27.15
八幡(さて、放課後になった)

八幡(いや、改めて言うほどのものでもなく、奉仕部に行くだけなんだがな)

八幡(由比ヶ浜みたいにお喋りするような相手もいない俺はさっさと教室を出る)

沙希「あ」

八幡「お」

八幡(廊下で川崎と鉢合わせた。こいつも似たような立場だもんな)

八幡(……ここで別れたら次に会うのは明日の昼か)

八幡「もう帰るのか?」

沙希「うん、今日は早く帰って家の事をやらないといけないから」

八幡(買い物とかもないんじゃ俺が必要な理由はない、か)

八幡「そうか。なら下駄箱んとこまで一緒に行こうぜ」

沙希「え、奉仕部はいいの?」

八幡「ちょっと遠回りするだけだ。早く行ったってやることなんかねえし」

沙希「そう……じゃ、一緒行こ」

八幡「おう」

八幡(俺は川崎と並んで歩き出す)
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:47:42.64
八幡「明日は朝11時くらいでいいんだよな?」

沙希「うん。でもちょっとくらい前後してもいいよ。結構適当なスケジュールなんだから」

八幡「ああ。じゃ、お前んちに着く15分くらい前にメール入れるわ。歩いてくからそれでもちょっとズレるかもしんねえけど」

沙希「え、自転車で来ないの?」

八幡「駅前とかぶらつくなら邪魔だろ。歩けない距離じゃないし」

沙希「ウチに置いとけばいいのに」

八幡「最後にはお前を家まで送るだろうからそれでもいいんだけどな」

沙希「ま、それは比企谷に任せるよ」

八幡「おう。明日俺が用意するもんとか必要なのあるか?」

沙希「そうだね……映画や夕御飯の資金とあたしへの愛情くらいじゃない?」

八幡「ああ、それはたっぷり持って行くから安心しろ」

沙希「うん。それじゃここで」

八幡「おう、また明日な」

八幡(下駄箱に着き、俺は川崎と挨拶して別れる。さすがにここで名前を呼ぶわけにはいかない)

八幡(さて、奉仕部行くか。あ、その前に図書室に寄って……)

八幡(………………あれ?)

八幡(なんか最後に恥ずかしいやり取りがあったような)

八幡(…………気のせい気のせい)

















沙希(た、たっぷりって言ってた…………お金の話だよね?)ドキドキ
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:49:12.71
八幡(図書室で本を借り、奉仕部に向かう)

八幡「よっす」ガラガラ

雪乃「こんにちは」

いろは「こんにちはです」

結衣「やっはろー、あたしより先に出てたのに遅かったね。どこ行ってたの?」

八幡「ちょっと図書室に本を借りにな。んで一色、お前毎日のように来てるけどいいのかよ?」

いろは「あ、今日はちょっと先輩に聞きたいことがあって来たんですよ」

八幡「あん? 聞きたいこと?」

いろは「はい、先輩が葉山先輩と引き分けたって噂がありますが本当ですか?」

結衣「あ、もういろはちゃんも知ってるんだ?」

八幡「なんで知ってんだよ…………」

雪乃「比企谷君と葉山君? 何かあったのかしら?」

いろは「何でもお二人が腕相撲をして決着が着かなかったらしいですよ。結衣先輩は見てたんですよね?」

結衣「うん、この前サッカー部の腕相撲大会で隼人君が優勝した話になってね。隼人君鍛えてるって言ってて、あたしがヒッキーも鍛えてるらしいよって言ったら優美子が隼人君と勝負させようって」

八幡「そこだよ。俺を話題に出すなよ。面倒臭いことに巻き込まれたじゃねえか」

結衣「えーでもヒッキーもノリノリだったじゃん」
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:50:41.14
八幡「誰がだよ、あんなリア充達の前に引きずり出しやがって…………」

いろは「でもやったんですよね?」

結衣「うん、優美子の合図で勝負始まったんだけどそこから凄いの二人とも。見てる方が疲れるくらい力入っててさ、ずっと動かないの。授業始まって平塚先生来てお流れになったけど」

いろは「へえー、葉山先輩って相当力ありますよね。それで互角なんですか、すごいじゃないですか先輩」

八幡「うるせえ、ついムキになった自分を今反省してんだから話しかけるな」

雪乃「反省って、別に悪いことをしたわけではないのでしょう?」

八幡「ぼっちにとっては目立つこと自体が悪なんだよ。だいたい葉山相手だったら何をしたってこっちにとってプラスにならんからな。そういった意味じゃ引き分けってのはベターだったかもしれん」

雪乃「ベストは?」

八幡「そもそも勝負をしないことだ。何もないのが一番いい」

結衣「えー、そんなのつまんないじゃん」

八幡「お前らはそれでいいかもしれんが、巻き込むなよ」

いろは「まあまあ。でも聞く限りそんな悪い噂は流れてませんよ。葉山先輩相手だからあれですけど、ただ単に腕相撲で引き分けたってだけなんですから」
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:52:21.59
八幡「とにかく、今度からは俺を話題に出すなよ」

結衣「えーっと、こういう時は善処します、って言えばいいんだよね?」

八幡「こら、政治家みたいな返答はよせ。やめる気が全然ねえってことじゃねえか」

いろは「しかし葉山先輩と互角ですか。ちょっと失礼しますね…………ってうわっ、何ですかこれ! 改めて触るとすごい固いじゃないですか!」ニギニギ

八幡「おい腕掴むな離せ。ぼっちにそういうことをするな。慣れてねえんだから挙動不審になるだろ」

いろは「今まで気付かなかったですけど、ええー……何でこんなに鍛えてるんですか?」サワサワ

八幡「話聞け。離せよ…………昔からなんやかんや力仕事押し付けられたり二人で協力しなきゃいけないのを一人でやってたからな。多少は鍛えてないとやってらんねえんだよ」

いろは「いやいや、多少どころじゃないですこれ。今まで数多く触った男子の中でもトップクラスですよ。こんなんだったら襲われても抵抗なんかできませんね」サワサワ

八幡「誰が襲うか。あとさり気なくビッチ宣言しやがって…………離せって」グイッ

いろは「ああっ、凄かったのに……じゃあ葉山先輩もそれくらいの筋肉があるんですかね?」
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/01(水) 17:53:01.85
八幡「あいつは俺より体格がいいからな、その分違うだろうが…………触ったことないのか?」

いろは「じっくりとはありませんねー。すぐにやんわりと振り払われちゃうんで」

八幡「なんだかんだあいつもガード固いな…………てか、サッカー部はいいのか?」

いろは「あ、そうでした、そろそろ行きます。では先輩方、今日はこれで失礼します。先輩、また触らせてくださいね」ガラガラ、ピシャ

八幡「誰が触らすか……ってもう行っちまいやがった」

結衣「ね、ねえヒッキー…………」

八幡「あん?」

結衣「ちょ、ちょっとあたしにも触らせてくれない?」

八幡「はあ?」
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 05:03:22.86
八幡「出やがったな元祖ビッチ宣言。だが断る」

結衣「何でだし!? いろはちゃんには触らせてたじゃん!」

八幡「あいつが勝手にやってきたんだ、許可を出した覚えはない」

結衣「ううー……いいじゃん減るもんじゃないし!」

八幡「あのな、逆の立場で考えてみろ。俺がお前の身体を触りたいって言ったら拒否するだろ?」

結衣「えっ、あ、あたしの身体を触りたいって、何言ってるの!? ヒッキーのスケベ! 痴漢! 変態!」

八幡「某政党並みにブーメラン返ってるからなそれ」
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 05:04:31.56
雪乃「比企谷君、少しいいかしら?」スタスタ

八幡「ん?」

雪乃「私の右肘、少し掴んでみてくれない?」スッ

八幡「? こうか?」ギュッ

雪乃「ええ。ところで比企谷君、あなたは私の腕に触ったわね? なら私があなたの腕に触れることに対して文句は言えないわよね」

結衣「なっ!」

八幡「おいそれは卑怯だろ。お前がやれって言ったからやったんだろうが」

雪乃「黙りなさい。私には部長として部員たるあなたの身体能力を把握しておく義務があるのよ」

八幡「何で文化部でそんな必要があるんだよ。今までそんなこと一回も言ってなかったじゃねえか」

雪乃「それにここであなたと二人きりになってしまうこともあるわ。いらぬ危険を回避するためにも知っておいた方がいいのよ」

八幡「だから襲わねえっつってんだろ。襲うつもりならとっくにやっとるわ」

雪乃「あら、今は我慢できても日々成長する私の美しさに抑えがきかなくなるかもしれないじゃない」

八幡「襲いたい気持ちがある前提で話すな。てか成長してんのお前? …………ひっ」ビクッ

八幡(つい雪ノ下の胸元に視線が行ってしまったが、ものすごい冷たい目で見られた。やめて! 石化しちゃう!)
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 05:05:31.74
結衣「ヒ、ヒッキー、ちょっとあたしの腕を掴んでくれない?」

八幡「いや、この流れで掴むわけねえだろ馬鹿かお前」

結衣「馬鹿じゃないし! 何でもいいから早く触らせてよ!」

八幡「もう取り繕わなくなってきたな…………あのな、俺彼女いるから他の女子にみだりにそういうことはさせられないんだ」

結衣「だからフリでしょ!」

八幡「そうだな。でもこの前の写真事件の時に言っただろ。軽はずみに女子と接触するのは極力避けるって。さっきはすげえ自然な流れでやられたから雪ノ下の肘は掴んじまったけど」

雪乃「…………そういえばそうだったわね」

八幡「それを約束したお前らに破らせるわけにはいかねえよ。一色にも少し強く言っとかねえとな」

結衣「あ、えっと……それはあたしが言っとくよ。ヒッキーは言わなくていいから」

八幡「ん? いや、こういうのは本人が言った方がいいだろ?」

結衣「だって、この前みたいになって、いろはちゃんまた泣いたりしたら可哀想じゃん」

八幡「え、何、あいつ泣いたの?」

結衣「あっ」
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 05:06:12.80
八幡「うわーマジか…………今度謝っとかねえと」

雪乃「いえ、やめておきなさい。それこそ蒸し返されるより忘れてもらった方が一色さんのためでもあるわよ。そもそもあれは一色さんの方に非があったのでしょう?」

八幡「ん、そうか…………」

八幡(泣くほど怖がらせちまった…………というか俺がそこまで怖かったのか)

八幡(今ならわかる。何で俺があんなに怒ったのか)

八幡(多分、あの時にはもう本気で川崎に惚れていたんだろうなあ)

雪乃「比企谷君?」

八幡「ん、ああ。とにかく俺の身体に触るのは止めてくれ。精神的にも良くないからな」

結衣「うー……」

雪乃「まあ今日のところは引いてあげるわ」

八幡「何で上から目線なんですかね…………次もねえから」
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 05:07:34.98
雪乃「でも実際どうしてそんなに鍛えているのかしら? さっき言っていたのが理由とは思えないのだけれど」

八幡「あー…………あれも嘘じゃないんだがな、一応自衛も兼ねてのことだ」

雪乃「自衛?」

八幡「中学生あたりだと俺みたいなのがイジメの対象になりやすいだろ? 最低限の反撃ができるくらいにはなっとかないとって思って小学校卒業辺りから鍛えだしたんだ」

結衣「イ、イジメって」

八幡「どこにでもあるだろそんなもん。まあ幸い暴力的なものはなかったし話くらいはしてくれてたから必要なかったんだが…………むしろそのせいで勘違いして色々黒歴史を作っちまったなぁ」

八幡(話し掛けられるだけで好意を持ったりとか…………今考えると有り得ねえよな。あの頃は若かった)

八幡「でも筋トレはもう習慣になっちまったし部活もやってなくて時間はあったからな、そのまんま続けてるわけだ」

雪乃「まさに文字通り継続は力なり、ね」

八幡「結局荷物持ちくらいにしか役に立ってないけどな」

八幡(…………ああ、いや、この前役に立ったか。川崎をウチに運んだとき)

八幡(あの時は鍛えておいて良かったと思ったもんな)
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 21:49:21.80
八幡「待たせたな」

義輝「おお、待っておったぞ。早速例のを頼む」

八幡「あいよ。お互い一回ずつスパコンKOでいいんだな」

義輝「うむ」

八幡(奉仕部が終わり、材木座と連絡を取った俺はゲーセンにやってきていた)

八幡(格ゲーで依頼された条件を達成しつつ、闘う)

八幡(材木座のキャラはローリングアタックがガードされると確反だから注意しないとな。というか修正が入るたびに弱体化していく俺のキャラは何なんですかね。イジメ?)

八幡(条件を満たしたあとはお互い押しつ押されつで何プレイかしたが、混んできたので一旦離席して休憩スペースに向かう)
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 21:50:58.82
義輝「お主はいつも通りマックスコーヒーで良かったか?」

八幡「ああ…………いや、今日は俺が出そう」

義輝「ぬ、しかし依頼料を払わねば我の気がすまぬぞ。普通にやったらなかなか達成できぬものを果たせてもらったのだからな」

八幡「遠慮すんな。変わりにちょっと俺の話を聞いてくれればいいさ。コーラでいいんだな?」ピッ、ガコン

義輝「そうか、なら戴くとしよう」

八幡「おう…………その、この前はサンキューな」

義輝「我は何もしておらぬ。何かを言ったとしても実際に動いたのは八幡自身ではないか」

八幡「いいんだよ、俺が言いたいだけなんだから」

義輝「そうか…………で、例の川崎女史とはどうなったのだ? むろん言いたくないなら言わなくてもよいのだが」

八幡「ああ、明日昼から会う予定だからさ。そん時にガチ告白をしようと思ってる」

義輝「ほう。しかし良いのか? 我にそれを言っても」

八幡「むしろ事情を知ってるやつには言っておきたいんだよ。自分を追い込んでねえと直前でヘタレる可能性があるからな…………」

義輝「それだけ今の状況が心地良いということであろうな。しかしその中途半端なぬるま湯から出ようという心意気は充分に立派だと思うぞ」
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 21:52:46.99
八幡「………………なあ材木座、お前本当に材木座?」

義輝「…………くくく、バレてしまっては仕方ない。実はこの前までの我は仮の姿! しかし真の力に目覚めた我は」

八幡「やっぱいい。そのウザさは間違いなく本物だわ」

義輝「八幡!?」

八幡「ま、あの言葉があったから俺はそうすることにしたんだ。偽物の方が価値があることもある、か…………目から鱗だったよ」

義輝「うむ、良い言葉であろう?」

八幡「でもどうせなんかのゲームかラノベキャラのセリフのパクリだろ? どんなキャラだ?」

義輝「女子中学生に詐欺を仕掛けて小金をせしめる詐欺師だ」

八幡「おい!」

八幡(思わずツッコミを入れてしまった)

八幡(そこからしばらく雑談して、時計を見ると結構な時間になっている)

八幡「あー……そろそろ俺は帰るわ。明日の準備もあるし」

義輝「む、そうか。リア充爆発しろと言いたいところだが、我慢して成功を祈っておる」

八幡「どっちだよ………………なあ、材木座」

義輝「何だ?」

八幡「お前が友達で、良かったわ」
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 21:54:37.49
義輝「…………え?」

八幡「なんだ、違ったか?」

義輝「は、は、はち゛ま゛~ん゛!」ガシッ

八幡「うぜぇ引っ付くな、俺に引っ付いていいのは川崎と小町と戸塚だけだ」グイッ

義輝「うおお……は、八幡が我を友と……」グスングスン

八幡「ま、なんだかんだお前とは結構つるんでるし色々世話にもなってるしな。そういう関係じゃないっつっても無理があるだろ」

義輝「うう…………よ、よし、ならば友として明日の健闘を祈らせてもらおう」

八幡(材木座はそう言って拳を突き出してきた。俺は自分の拳をそれに当てる)

八幡「んじゃ頑張ってくるわ。失敗したら慰めパーティーでも開いてくれよな」

義輝「大丈夫、お主なら上手くいく。頑張るがよい」

八幡(俺は材木座と何度か拳を突き合い、別れを告げてゲーセンを出る)

八幡(もうすっかり暗くなっており、空を見ると星がいくつか瞬いていた)

八幡「明日も晴れそうだな……」

八幡(俺は自転車に乗り、ペダルを漕ぎ出した)
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 23:58:29.97
沙希「ん、こんなもんかな」

沙希(あたしは自分の部屋で明日の準備をしていた)

沙希(といっても大したものではない。家にいるときの服と出掛ける時の服を決めるくらいだけど)

沙希(明日は比企谷がウチに来る。以前来たときとは違い、二人っきりだ)

沙希(あたし以外はみんな朝から出掛けてしまう。そんで夕方まで帰ってこない)

沙希(もし比企谷に襲われても抵抗できないよね…………)

沙希「って、ないない!」ブンブン

沙希(変なこと考える前にさっさと寝ちゃお!)

沙希(電気を消してベッドに入る。だけど緊張してなかなか寝付けない…………遠足前の小学生かあたしは)

沙希(比企谷…………)

沙希(二人きりだからって女の子を襲うようなやつじゃないのはわかってる。でも…………)

沙希(…………この指が比企谷のだったらいいのに)

沙希「………………」モゾモゾ

沙希「ん………………」クチュ

沙希「ん……ん…………」クチュクチュ

沙希「ん、あ………………」クチュクチュ

沙希「ん………………んぅっ!」ビクンッ

沙希「ん……ふ…………ぅ」ポー

沙希「はぁ………………」クッタリ

沙希「また……比企谷でしちゃった…………」

沙希(あたし、いつからこんなふうになっちゃったんだろ…………比企谷のせいだよまったく)

沙希(責任、取ってよね…………)

沙希(………………お休み、八幡)
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/03(金) 00:00:10.38
やっぱりサキサキ出しとこう
一日一沙希

まあ意味ない内容の投下だしただの自己満足、作者のオナニーやね

また明日ノシ
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/03(金) 21:56:02.36
ちょっと埋め小ネタを投下します
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/03(金) 21:57:51.14
 ~陽乃さんの暗躍~



陽乃「おっかしいなあ…………いくら調べても比企谷君の彼女の正体が掴めない」

陽乃「カワムラサキ……カワムラサキ……うん、やっぱりクラスメートどころかどの学年にもいない」

陽乃「カワムラって子はいてもサキって呼ばれそうな名前じゃない」

陽乃「雪乃ちゃんやガハマちゃんの反応から察するに嘘じゃないと思うんだけど本人達には聞きづらいし…………うーん」

陽乃「ん? 同じクラスに川崎沙希?」

陽乃「いや、ないか。恋人の名前を間違えるなんて」

陽乃「! そうか、面倒事を避けようととっさに嘘を付いたんだ!」

陽乃「クラスメートというのは嘘で、多分学外の人間。目撃されたのは校門のあたりだから部外者でもおかしくない」

陽乃「考えてみれば悪評が広まってる比企谷君があの学校で奉仕部以外の女子から好意を持たれることはないよね」

陽乃「ならきっと近隣の高校の生徒のはず…………よし、すぐに名簿を手に入れないと」

陽乃「カワムラサキ…………本当に雪乃ちゃん以上に比企谷君に相応しいかきっちり確かめさせてもらうからね」




※こんなことをしてるから陽乃さんは本編には関わってきません
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/03(金) 22:02:53.86
 ~さーちゃんとけーちゃん~ in川崎家居間


京華「ねーねーさーちゃん」

沙希「ん? 何、けーちゃん?」

京華「さーちゃんはいつはーちゃんとけっこんするの?」

沙希「んなっ!? 何を言ってんのけーちゃん!?」

京華「え、だってすきなひとどうしってけっこんするんでしょ。さーちゃんははーちゃんきらいなの?」

沙希「えっとね、お互い好きってだけじゃ結婚はできないの。年齢とか生活のこととか」

京華「じゃあさーちゃんははーちゃんすき?」

沙希「う…………そ、そうだね、別に嫌いじゃないよ」

京華「あんまりすきじゃないんだ…………」ショボン

沙希「っ! ……あーもう! 好きだよ、あたしはあいつが大好きだって!」

京華「ほんと!?」

沙希「ほんとほんと。結婚したいくらいね」

京華「やった! はやくけっこんしていっしょにくらそ!」

沙希「え、あー……それはどうかな…………」

京華「こんどはーちゃんにもおしえなきゃ! さーちゃんがはーちゃんとけっこんしたいって!」

沙希「ちょ、ちょっと待って! それはダメ!」

京華「なんでー?」

沙希(くっ、何を言っても無駄そう……こうなったら)

沙希「あのね、実はもう結婚する約束してるの」

京華「え、そうなんだ!」

沙希「うん、だけど恥ずかしいから秘密にしてるんだ。だからけーちゃんが誰かに言っちゃうとなかったことになっちゃうかもよ」

京華「え……うん、わかった。だれにもないしょ」シー

沙希(これで時間稼いで……何とかしないと)
















川崎母(あの子、台所に私がいるのわかってるのかしら?)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 12:42:11.80
八幡「ん……っと…………」

八幡(目が覚めて身体を起こし、大きく伸びをする)

八幡(二度寝をしても構わない時間ではあるが、俺はそのままベッドから降り、階下に向かう)

カマクラ「ニャー」

八幡「よ」ナデナデ

八幡(居間にはまだ誰もいない、と思ったら珍しくカマクラが起きていて挨拶してきた)

八幡(返事をして撫でてやるとそれで満足したか、ソファーに寝そべりだす)

八幡(うむ、実に羨ましい生活だ。どうにかして替わってもらえないだろうか)

八幡(あー駄目だ、川崎のやつ猫アレルギーだもんな。却下却下)

八幡(朝飯……の前にシャワー浴びとくか。寝汗掻いたし)

八幡(脱衣所で寝間着を洗濯機に放り込み、シャワーで汗を流す)シャワー

八幡(トランクス一丁で居間に戻ると珍しく母親が起きていた)

比企谷母「土曜なのに随分早いじゃない、どしたの?」

八幡「ちょっとな。そっちこそ早くね?」

比企谷母「午前中に町内会の集まりがあってね。めんどくさいけど近所付き合いあるから」

八幡「お疲れさまです」

八幡(普段朝早くから夜遅くまで働いているのにそういうとこもきっちりしてる両親を俺は尊敬している)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 12:43:10.93
八幡(なんでこの両親から俺みたいなのが生まれたんだろうなあ…………とか思いながら冷蔵庫からマックスコーヒーの缶、通称マッ缶を取り出した)

八幡(あ、性格の話ね。外見は結構似ている。目以外)カシュ、ゴクゴク

比企谷母「それにしてもあんたいい身体してるわね。首だけすげ替えればモテモテになりそう」

八幡「どこのジョナサンだよ」

八幡(親類一同がスタンドに目覚めちゃうよ? 精神力ないとホリィさん状態になるけど。やだ、一族総出でやっつけられちゃう)

比企谷母「やっぱりその目がねえ…………他は悪くないのに」

八幡(このセリフは目以外は似ている自分たちを暗に褒めているよな……)

八幡「ほっとけ、これでもいいって言ってくれるやつはいるんだよ…………川崎とか」ボソッ

比企谷母「…………川崎? 誰?」

八幡(最後は小さく独り言のように呟いたのだが、しっかり聞こえていたようだ)

八幡「今日のデートの相手だよ。付き合ってるわけじゃないけどな」

比企谷母「え…………」バサ

八幡(何がそんなにショックなのか、新聞を取り落としていた。あれ、でもこの前もデートしたじゃん俺)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 12:45:14.24
小町「おはよーお母さんお兄ちゃん」

八幡「おう、おはよう小町。お前も早いな」

小町「だってお兄ちゃんと沙希さんとの運命の一日じゃん。たがらお兄ちゃんが出掛けるのを見送るために早起きしたんだよ。あ、今の小町的にポイント高い!」

比企谷母「ちょ、ちょっと小町、こっちに来なさい」グイッ

小町「わわっ、何、お母さん?」

八幡(何やら部屋の隅っこでボソボソと話してる母娘。まあだいたい想像は付くけど)

八幡(でもすいませんお母様、今聞こえた『え? まだフられてなかったの!?』は結構心に響きました。ガラスのハート砕けちゃうよ?)

比企谷母「八幡、これ持っていきなさい」

八幡「あん? って、おい!」

八幡(話が終わったかと思うと突然俺に金を渡してきた。しかもお年玉とかより全然多い)

八幡(まさか金の力でモノにしろ、なんて言うつもりじゃねえだろうな…………)

比企谷母「自暴自棄にならないでこれでたくさん遊んで気分転換しなさい。だから妙なこと考えちゃ駄目よ」

八幡「フられる前提で話すな! あとフられても自殺とかしねえから!」

八幡(愛されてるのかどうか実に微妙なラインだ)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 12:48:35.51
八幡(あれから親父も起きてきてみんなでなんだかんだ大騒ぎし始めた。いい加減鬱陶しくなったので結局朝飯を食わずに着替えてさっさと家を出ることにする)

八幡(が、玄関を出たところまで家族全員で見送られたのはちょっと…………そこまで大事件かこれ? 結局金は押し付けられたし)

八幡(コンビニで立ち読みして時間を潰し、本日二本目のマッ缶を買って飲みながら川崎家に向かう)

八幡(少し早めだったが、メールで確認するといつでも構わないと返信が来た。もう家族は出掛けたのだろうか)

八幡(しばらくして川崎家に到着。呼び鈴を鳴らすと返事があり、ドアが開く)

沙希「い、いらっしゃい」

八幡「おっす、かわ……川越」

沙希「…………川崎なんだけど、ぶつよ?」

八幡「すまん、何か言わなきゃいけない気がしてな。ちょっとやり直そう」

沙希「え?」

八幡(俺はドアを閉めさせ、再び呼び鈴を鳴らす)

沙希「はいはい、いらっしゃい」ガチャ

八幡(川崎が呆れた表情でドアを開けた)

八幡「おはよう沙希、エプロン姿も可愛いな」

沙希「んぐっ! …………あ、ありがと…………あがって」

八幡(予想しない不意打ちだったか一瞬で真っ赤になる川崎。しどろもどろになりながら言葉を紡ぐ。やだ、可愛い)

八幡「おう、お邪魔します」

八幡(俺と川崎の、長い一日が始まった)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 17:58:27.51
八幡(居間に案内されて腰を下ろした瞬間、腹が盛大に鳴る。結局朝起きてからマッ缶二本しか摂取してねえもんな)

八幡「なあ川崎、催促して悪いけど昼飯ってもう出来てる?」

沙希「ん、もうちょっとだね。はい、お茶」

八幡「サンキュ、実は朝飯食ってなくってさ、すげえ腹減ってんだ」

沙希「へえ…………」ニヤリ

八幡(あ、何か悪いこと考えてやがる)

沙希「そんじゃ少し急ぐかな。肉じゃが作ってるけど好き?」

八幡「お、好きだぞ。というか嫌いな男なんていないだろ。男を落とす料理って言われてるくらいだし…………あ」

沙希「え? ちちち違うし! 冷蔵庫見て出来そうなのがそれだっただけだし!」

八幡「落ち着け。由比ヶ浜や三浦が混じってんぞ」

沙希「うう…………でも結構自信作だから。家族みんなも美味しいって言ってくれるしね」

八幡「そいつは楽しみだな」

沙希(焦らそうと思ったけどそんな気なくしちゃった……)

沙希「ご飯と漬け物だけでも先に食べる?」

八幡「いや、待ってる時間もそれはそれで悪くないから。全部出来てからでいい」

沙希「そう? じゃあちょっと鍋見てくるからゆっくりしてて。テレビ付けてもいいからね」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 17:59:47.32
八幡(川崎はそう言って台所へと向かう。その背中に一言断ってトイレを借りた)

八幡(玄関そばのトイレから出て気付いたが…………俺の靴がきっちり揃えられてる)

八幡(え? いつの間に? 細かいとこまで気が効き過ぎじゃね? オカンスキル高過ぎだろ)

八幡(居間に戻り、台所の川崎の姿が見える位置に陣取る)

八幡(部屋着なのだろうか、太ももを惜しげもなく晒すホットパンツ姿はとても新鮮だ。忙しなく動くたびにフリフリと揺れるポニーテールは見ていて飽きない)

八幡(二つの鍋が火にかけられているが、匂いから察するに肉じゃがと味噌汁だろう。その片方を頻繁に確認していた)

八幡(そのたびに少し屈んで、逆にこっちに突き出されるヒップの丸みに俺まで前屈みになってしまう)

八幡(いかんいかん、これ以上は目の毒だ。川崎に見つからないうちに移動しとこう)ススス

八幡(しばらくして台所から声がかかる)

沙希「お待たせ、今持っていくからねー」

八幡「おう、手伝うか?」

沙希「いいよ、お客さんだし座ってなって」

八幡「わかった」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 18:01:04.98
八幡(しばらくしてお盆を持った川崎が居間にやってきた)

八幡(俺の前に次々と料理を並べていく。ご飯、味噌汁、肉じゃが、漬け物)

八幡(ひとしきり並べたあと、今度は自分の分を持ってきて俺の対面に置く。さすがに俺よりは少な目だった。エプロンを外し、川崎も腰を下ろす)

沙希「じゃ、食べよっか」

八幡「おう、いただきます」

沙希「召し上がれ。あたしもいただきます、っと」

八幡(さて、まずは味噌汁から)ヒョイ、ズズ

八幡「!」

八幡(え、何これ? めっちゃうめえ)ズズ、ゴクゴク

八幡(出汁から違うのか? ウチと味が全然違うし豆腐がすげえ美味い)パクパク

八幡(…………あれ?)

八幡「えっと、すまん川崎」

沙希「何?」

八幡「味噌汁、おかわりあるか? その、全部飲んじまった」

沙希「はあ? もう?」

八幡「いや、何か美味くて……気が付いたら…………」

沙希「仕方ないねぇ」フフッ

八幡(川崎は苦笑いしながらも器を受け取り、よそってきてくれた)

八幡「しかし美味いな、出汁が違うのか? ウチのよりこっちが正直好みだ」

沙希「そ、そう」

八幡「あと豆腐の味が濃厚なんだが……今日のために高級品買ったりしてないよな?」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 18:04:07.11
沙希「そんなことしないよ。ウチにあるもので作ってるって言ったでしょ」

八幡「そ、そうだったな」

沙希「ま、豆腐って別に作るの難しくないからね」

八幡「えっ!? まさか手作りなのこれ? 市販のじゃなくて?」

沙希「うん、時々作るよ。こっちの方がみんな喜ぶし」

八幡「そりゃそうだろ。こんな味の濃い豆腐なんて初めてだぜ。めちゃくちゃ美味い」

沙希「そ、そう。まあお弁当にはなかなか入れられないからね豆腐は」

八幡「そうだな。さて、そろそろ肉じゃがを、っと」

八幡(俺はじゃがいもを箸で掴む)

八幡「!」

八幡(か、形が崩れない!? 普通は鍋の水分で煮崩れするんだが…………箸でしっかり掴めるぞこれ)ヒョイ、パク

八幡「! 何だこれ、すげえほくほくじゃねえか! 味もしっかり付いてるし……ええー?」

沙希「ああ、水を使ってないからね。酒、醤油、野菜の水分で蒸らす感じでやるんだ。焦げないようによく見てないと駄目だけど、その分美味しく出来るからさ」

八幡(肉や玉ねぎ、人参なども余計な水分がないせいか、しっかり味が付きながら歯応えも丁度良い)

八幡(ヤバい、胃袋が落とされちゃう! くっ、肉じゃがなんかに絶対負けない!)

沙希「ね、比企谷」

八幡「な、何だ?」

沙希「おかわり、いっぱいあるからね」ニコッ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 18:05:38.98
八幡(肉じゃがには勝てなかったよ…………)

八幡(結局ご飯も三杯も食べてしまったし)

八幡(川崎はん、あんたなんちゅうもんを食わせてくれるんや。ウチの食事が味気なくなったらあんたのせいやで!)

八幡(ちなみに川崎は俺に食後のお茶を出してくれたあと、台所で洗い物をしている)

八幡(美味い美味い言いながら食べたのがよっぽど嬉しかったのか、時折鼻歌を歌いながら食器を片付けていった)

八幡(やがて洗い物も終わり、エプロンを取ってこちらにやってくる)

沙希「お待たせ、よっと」

八幡(川崎は広めのスペースに女の子座りをし、俺の方に手を伸ばして誘うポーズをする)

沙希「いいよ、来な」

八幡「え?」

沙希「するんでしょ、膝枕」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/04(土) 20:53:47.93
八幡「あ、ああ」

八幡(元々その予定なのだ。なのだが…………)

沙希「?」

八幡(わかってんのか? ホットパンツだぞ。生足でムチムチな太ももがアレなんだぞ)

沙希「あ、そうだった」スクッ

八幡(何かを思い出したように川崎は立ち上がる。ホットパンツだと恥ずかしいことに気付いたか。ちょっと残念だけど仕方ないな)

沙希「よっ、と。比企谷、せっかくだから耳掃除してあげるよ。あたしこう見えても上手いんだ」

八幡(なん……だと……?)

八幡(川崎は耳かきの棒やらウェットティッシュやらをテーブルに用意し、再びさっきのように座る)

沙希「ほら、おいで」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 08:04:34.63
八幡「……じゃあ、よろしく頼む」

八幡(俺は横になっていつものように川崎の太ももに頭を乗せようとする。が、そこで止められた)

沙希「あ、向き違う。そうじゃなくて縦になって。その方が頭の収まりがいいから」

八幡「えっと、こうか?」

八幡(川崎に対して真っ直ぐになる)

沙希「うん、そう。頭が脚の間に収まるから。そしたら横向いて耳みせて」

八幡(なるほど。普段ベンチとかでは無理な体勢だ)

八幡(てか太ももの感触がヤバい。暖かくて、柔らかくて、すげえ気持ち良い)

沙希「じゃ、始めるよ。何かあったら言って」

八幡「おう」

八幡(川崎はまず耳を指で揉んできた)

沙希「最初にこんなふうにマッサージしとくと血行が良くなって垢が取れやすくなるのさ」クニクニ

八幡「へえ」

八幡(耳のマッサージか。なかなか気持ち良いな)

沙希「ん、こんなもんかな。ちょっと一回ウェットティッシュで拭くからひんやりするよ」

八幡「あいよ」

八幡(耳の外側や裏側を軽く拭かれる。その後のすっきりした感触が心地いい)

沙希「少し汚れてるね。見えないとこだけどちゃんと洗わないと駄目だよ」

八幡「おう、気を付けるわ」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 08:05:03.70
八幡(ひとしきり拭いたあと川崎は再びマッサージをする。冷えた耳がじんわりと温かくなった)

沙希「よし、っと。んじゃまずは外側からね」

八幡(耳かきを手にし、カリカリと表面を撫でるように掻いていく)

沙希「」カキカキ、スーッ

沙希「」カキカキ、スーッ

八幡(やべ、自分でも耳垢が取れてるのがわかる)

八幡(恥ずかしい…………もっとちゃんと耳掃除やっとけば良かった。でも自分でやるの得意じゃないんだよな……家族に頼むような歳でもないし)

八幡「悪いな、その…………結構溜まってるだろ」

沙希「ん、そうだね。やりがいがあるよ」カリカリ

八幡(川崎は実に楽しそうに言った。嫌悪感とかはないみたいだ、良かった…………)

沙希「んじゃ、そろそろ穴の中に行くよ」

八幡「よろしく」

八幡(手前から掻いていき、耳垢を取りながら少しずつ奥まで入ってくる)

沙希「あんた意外とこういうとこ無頓着なんだね。どんどん取れちゃう」カキカキ

八幡「お恥ずかしい限りです…………なんつーかちょっと苦手でな」

沙希「ふうん。ならあたしが定期的にしてあげるよ」カリカリ

八幡「え、マジ?」

沙希「ほら動かないで……うん、するの好きだしね」カリカリ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 08:05:55.49
八幡「なら、時々でいいから頼むよ」

沙希「うん」カキカキ

八幡(しかし改めて考えるとすげえシチュエーションだな)

八幡(手作りの昼飯食べて、膝枕してもらって、挙げ句の果てに耳掻き)

八幡(何この幸せ環境。俺明日死ぬんじゃね?)

八幡(てかまた決心が鈍ってきた。だって今後も耳掃除してくれるって言ったけど、告白して失敗したらなかったことになるよな絶対)

八幡(現状維持ならこの幸せ環境をまた味わえるってことだが…………ううー)

八幡(ま、いいや。それは後で考えるとしてとりあえず今は満喫しとこ)

沙希「よし、おっけ。反対側するから逆を向いて」

八幡「あいよ」クル

八幡(寝返りを打つようにし、反対側の耳を向ける)

八幡(同じようにマッサージからの流れで俺の耳がどんどん綺麗にされていく)

沙希「あ、奥にちょっと大きいのがこびりついてるね。少し強くするけど痛かったら言って」

八幡「わかった」

八幡(緊張したが川崎は絶妙な力加減で丁寧にそれを剥がしていく)

八幡「んぁ、ああああ」

八幡(ペリペリと耳奥で響く剥がれる音と爽快感に俺は思わず声を上げてしまった)

八幡(死にたい…………)ズーン
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 08:06:33.51
沙希「ふふ、たくさん取れたよ。お疲れ様」

八幡(あえてそれに言及してこない優しさが沁みるぜ)

沙希「じゃ、このまんま寝ちゃおっか」ナデナデ

八幡(そう言って川崎は俺の頭と背中を撫でる。それヤバい、ヤバいって!)

八幡(さっきからくすぶっていた眠気が一気に襲いかかってきて目蓋が重くなる)

八幡(てかさっきから黙りっぱなしだ俺。何か言わないと……でも、眠い……)

八幡「……お休み……沙希……」

沙希「ん、お休み、八幡」ナデナデ

八幡(その言葉を聞いて俺は意識を手放した)
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 08:32:37.78
違和感0で既に結婚後の空気
川崎さんはポテンシャルが高すぎる
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 11:42:11.25
乙!
もう結婚しろよ!
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 19:45:12.23
八幡(…………)

八幡(ゆっくりと意識が覚醒していく)

八幡(それと同時に眠る直前のことも思い出す)

八幡(横向に寝ている俺の右頬に感じる柔らかいものは川崎の太ももか)

八幡(正直名残惜しいけどこのあと夕食と映画があるんだ。目が覚めたなら起きないとな)

八幡「ん…………」

沙希「あ、起きた?」

八幡(首を捻って見上げると編み物をしている川崎と目が合った。相変わらず巨乳で顔の全部は見えないが)

八幡「おう、どんくらい寝てた?」

沙希「四時間ちょっとかな? 結構ぐっすりだったよ」

八幡「マジか、起こしてくれても良かったのに」

沙希「別に映画さえ間に合えばいいかなって。すごい気持ち良さそうに寝てたし」

八幡「ああ夢も見ないほどだった。よく眠れたよ」ゴロン

八幡(俺は身体を転がして仰向けになる)

沙希「ふふ、それなら良かった」

八幡(川崎は手にしていた編み物をテーブルに置き、微笑みながら俺の頭と頬に手を添えてそっと撫でてきた)

八幡(え、何これ? そんな顔でこんなの母親にもされたことないんだけど)

八幡(…………ヤバい、なんか泣きそう)
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 19:45:38.30
八幡(俺は誤魔化すように両腕で目を隠す)

八幡「じゃあそろそろ出掛けるか。軽く何か食べときたいしな」

沙希「そうだね、あたしも着替えよっかな」

八幡(川崎が撫でるのを止めたので俺は身体を起こした)

八幡「さすがにその格好じゃな。しかし家だとお前そんなんなんだな」

沙希「ん? いや、普段はホットパンツなんて穿かないよ」

八幡「え、そうなのか? 今日はなんでまた?」

沙希「比企谷は膝枕してもらうならこっちの方がいいでしょ?」クス

八幡「! う、いや…………その」

沙希「ふふ、じゃ、あたしは着替えてくるから。覗いてもいいけどバレないようにね」

八幡「覗かねえよ!」

沙希「覗きたくないの?」

八幡「言わすな! 我慢してっから早く着替えてこいって」

沙希「はいはい。ちょっと待っててね」

八幡(川崎が編み物を片付けて居間を出て行くと同時に俺は大きな溜め息をつく)

八幡「マジで覗いてやろうかあいつめ……」

八幡(いや、覗かないけどね)
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/05(日) 19:51:02.65
ニヤニヤしながら見てるぞww
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 00:04:39.68
>>65

それは見てるんじゃなくて監視してる目だwww
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 10:21:37.00
八幡(ボーっと待っていると着替え終わった川崎が戻ってきた)

沙希「お待たせ」

八幡「おう…………ん?」

八幡(髪はいつも通りポニーテール。服はワンピーススタイルだが、腰の部分を絞っている)

八幡(胸でかっ! 腰細っ!)

沙希「? どうかした? あ……似合わない?」

八幡「い、いや、似合ってるぞ。その、見惚れてたんだ」

沙希「ふふ、ありがと」

八幡「しかし本当スタイルいいなお前。実際何でも似合いそうだ」

八幡(Tシャツにジーンズでもキマりそう)

沙希「そんなことないよ。これ、本当は普通のワンピースなんだけどそのまま着るとウエスト大きく見えちゃうんだ」

八幡(胸が大きくて服が押し上げられてるからですねわかります。腰で服を絞ってる分いつもより強調されてるし)

沙希「あんたの好きな胸が無駄にでかいからね」クスッ

八幡「…………な、何言って」

沙希「いや、チラチラ見てるのわかってるからさ」

八幡「……仕方ねえだろ。男なら見ちゃうんだよ」

沙希「大丈夫だよ。比企谷ならいくら見てもいいから」

八幡「お、おう」

八幡(なんて返せばいいのかわからん…………)

沙希「じゃ、ちょっと戸締まり見てくるから玄関行ってて」

八幡「おう、その前にちょっとトイレ借りるな」

沙希「はいはい」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 10:24:26.72
八幡(トイレで用を足し、玄関に来たところで川崎もやってきた。さっきの格好に加えてカーディガンを羽織り、ポシェットを持っている)

沙希「はい」

八幡「ん、サンキュ」

八幡(俺は渡された靴べらを使って靴を履き、立ち上がった)

八幡(川崎が履き終わるのを待ち、一緒に家を出て鍵をかけるのを確認する)

沙希「よし、行こ」

八幡「おう、とりあえず駅前の方に向かうか」

沙希「うん。あ、そうそう、比企谷」

八幡「なんだ?」

沙希「腕を組むのと手を繋ぐの、どっちがいい?」

八幡「うっ…………く、組む方で」

沙希「胸が当たるから? このスケベ」

八幡「ばっ、ちげえよ! その、俺、緊張すると手に汗掻くほうだから…………」

沙希「ま、いいや。よいしょっと」グイッ、ギュッ、ムニュッ

八幡(おぅふ、擬音三発の腕組み。柔らかいのが当たってます)

沙希「今日は楽しもうね、八幡」

八幡「……そうだな、沙希」

八幡(俺達は駅前に向かって歩き出した)
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 22:27:49.98
八幡(駅前まで歩くには多少距離はあるが、今の俺達には苦になるようなものでもない。雑談しながら向かうことにした)

八幡「夕飯はどうする? 何か食いたいものあるか?」

沙希「特に希望はないけど…………比企谷は?」

八幡「川崎の料理食った後だとなぁ…………あれ以上の味に期待は出来ないから食えりゃどこでもいい。奢ってやるから好きなとこ言えよ」

沙希「それは褒め過ぎでしょ……どこでもいいの? 回らない寿司とかフランス料理とかでも?」ニヤッ

八幡「構わねえぞ」

沙希「えっ」

八幡「あ、でもマナーとか良くわかんねえからフランス料理は勘弁な」

沙希「いやいや冗談だってば。だいたいあんたそんなお金あるの?」

八幡「フフン、今日の俺はそこらのサラリーマンより金持ちだぜ」

沙希「なんでそんなに持ってるのさ…………」

八幡「緊急時のためにと小さな頃からコツコツと貯めてたお年玉持ってきたからな」

沙希「使えるわけないでしょ! 何考えてんの!?」

八幡「冗談だ冗談。親がくれたんだよ」

沙希「まったく…………親御さんが? 随分気前いいんだね」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 22:29:22.63
八幡「気前いいっつーか……理由聞いたら笑うぞ? これで気分転換しろ、自暴自棄になるなって渡されたんだ」

沙希「? よくわからないんだけど…………」

八幡「つまり何かやらかしてこっぴどくフられても自殺とかするなよって言われてるんだ」

沙希「ぶふっ! あ、あんたどんだけマイナス方向に信頼されてんの?」クックッ

八幡「我が子への愛があるのかないのか判断しづらいだろ? ま、そんなあぶく銭だからぱぱっと使っちまおうぜ。高級店でも全然構わねえからさ」

沙希「…………それの使い道、あたしが決めていいってこと?」

八幡「おう」

沙希「ちょっと図々しいこと言ってもいい?」

八幡「遠慮すんなよ」

沙希「じゃあ、夕御飯は奢ってくれなくてもいいからさ…………あたしに何かプレゼントしてよ」

八幡「ん、いいぜ。何が欲しい? 服でも買うか?」

沙希「ううん、それは比企谷に考えて欲しい」

八幡「え?」

沙希「比企谷が、自分で考えたものをあたしにプレゼントしてほしいな」

八幡「…………めっちゃハードル高いんだけど」

沙希「別に今日中じゃなくてもいいから。比企谷が考えた比企谷からのプレゼントが欲しいの…………ダメ?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/06(月) 22:30:18.91
八幡「う…………わ、わかった。考えとく。でも期待はすんなよ、俺のセンスは壊滅的だからな」

沙希「ふふ、逆に期待で胸をいっぱいにしとくよ。わくわくして待ってるから」

八幡「難易度上げるなって。こんなの慣れてねえんだから」

沙希「じゃ、やる気出るようにお礼の前払いしといてあげる」グイッ

八幡「うおっ」

八幡(突然組んでいた腕を引っ張られてバランスを崩し、身体が川崎の方に傾く)

八幡(そして俺の頬に川崎の唇が押し付けられた)

八幡「! お、お前、今!」

沙希「やる気出た? よろしくね」ニコッ

八幡「あー……くそっ…………なるたけ頑張るわ」ボリボリ

沙希「うん」ギュウッ

八幡(照れ隠しに頭を掻きながら答えると、川崎は組んでる腕の力を強めてより密着してくる)

八幡(最後まで理性持つかな俺…………)

八幡(そんな心配をしながら俺達はららぽーとに到着し、中に入っていった)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/07(火) 18:07:05.79
八幡(特に目的もなくぶらぶらと歩き、何か目に付いたら立ち止まって眺める)

八幡(それは服だったり靴だったり本だったり。時には手に取って相手に薦めてみたりもした)

八幡(一人だと、いや、他の誰かとだったとしても味わうことのないであろう感情が俺の心を満たしていた)

八幡(端的に言えば俺はこのウィンドウショッピングを楽しいと感じていたのである)

八幡(これ、あんたに似合いそうと俺に服を当ててくる川崎に見惚れ、雑貨屋でよくわからないものを手に取って、何に使うんだろと二人で悩む)

八幡(楽しい。たわいもない会話が楽しい。たわいもないやりとりが楽しい)

八幡(だけど数メートル移動するだけでもいちいち腕を組んでくるのはちょっと気恥ずかしかった。止めさせるつもりは一切無いが)
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/07(火) 18:08:38.22
八幡(結局夕飯は地下にあるファーストフードでいいかということになり、エスカレーターは混んでいたので階段で降りることにする)

八幡(ファーストフードの店は階段から近いのだが、階段自体が建物入口から遠いので人の姿は俺達以外にはない)

八幡「川崎、ちょっといいか?」

沙希「ん、どしたの?」

八幡(俺は踊場で立ち止まり、組まれていた腕はそのままに川崎の正面に回る)

八幡(そのまま空いている腕を川崎の腰に回してぐいっと抱き寄せた)

沙希「あ…………」

八幡(川崎は小さな声を上げて俺にされるがままにもたれかかる)

八幡(離れようともしなければ抵抗もしない。いや、川崎も空いた腕を俺の背中に回してきた)

八幡(しばらくそうした後、俺は身体を離す)

八幡「悪い…………ちょっとこうしたくなったんだ。気を悪くしたら謝る」

沙希「ううん、大丈夫…………嫌なわけ、ないじゃない」

八幡「そ、そうか、とりあえず行こうぜ」

沙希「もう、終わり?」

八幡「っ!」

八幡(なんだよ、そんな潤んだ瞳で見られたら間違いを起こしちゃうだろ!)

八幡「いや、ここ、いつ人が通るかわかんねえし……やった俺が言うのもなんだけど」

沙希「ホントに…………不意打ちばっかしてくるんだから……」

八幡「それはお互い様だろ。さっきのお礼の前払いとか」

沙希「あ、あれはその…………もう! いいから行くよ」グイッ

八幡「わかったわかった、引っ張るな」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/07(火) 20:42:02.08
八幡(結局別々の会計だったので俺が川崎の分を払うことはなかった)

八幡「別にこれぐらいなら奢ってもいいのに」

沙希「これぐらいだからいいの。さっさと食べよ」

八幡「おう…………ってカウンターか? 二人用のテーブル空いてんぞ」

沙希「…………テーブルだと正面に座るでしょ」

八幡「? そうだな」

沙希「あたしは比企谷の隣に座りたいの」

八幡「! そ、そうか。ならカウンターにするか」

沙希「うん」

八幡(俺達はカウンター席を確保し、買った物をつまみはじめる)

八幡「これ食ってちょっとしたら映画にちょうどいい時間だな」モグモグ

沙希「そうだね。もうすぐ公開終了なんでしょアレ? だったらそんな混んでないだろうし急がなくていいよね」モグモグ

八幡「おう。結構いいタイミングで観に来てるよな。ただ公開時間をネットで調べる時にネタバレ見たりしないように苦労したぜ」モグモグ

沙希「ネットあるあるだね」モグモグ

八幡(適当な雑談で時間を潰す)

八幡「よし、そろそろ行くか」

沙希「そうだね。あ、比企谷、口元ソース付いてるよ」

八幡「…………」スッ

沙希「…………何で身構えてんのさ?」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/07(火) 20:42:41.39
八幡「いや、またお前の口で取るんじゃないかって……」

沙希「っ! こ、こんな公衆の面前でするわけないでしょ!」

八幡(周りに誰もいなかったらやってくれるんですかね?)

沙希「ああもう、ほら」

八幡(川崎は紙ナプキンを取り、俺の口元に当てて拭う。子供扱いだが、別に悪い気はしない)

八幡「ん、サンキューな。んじゃゴミ捨ててくるわ。一緒に捨てるからまとめようぜ」ガサガサ

沙希「うん、ありがと」ガサガサ

八幡(俺はまとめたゴミを捨て、入口で待っていた川崎と合流する)

八幡「よし、行くか」

沙希「うん」

八幡(俺達は映画館に向かって歩き出す。そしてごく自然に川崎は俺の手を取る)

八幡「あ…………」

沙希「たまにはこっちでもいいでしょ」キュ

八幡「…………そうだな」ギュッ

八幡(俺は繋がれた手を少し強めに握り返した)
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:05:33.77
八幡(映画館に着いた俺達はチケットを購入する)

八幡(前もって二人分の金額を用意していた俺はさっと支払い、チケットを受け取ってその場を離れた)

八幡(川崎は財布をポシェットから出そうとしていたが、繋いだ手を離さなかったのでもたついていた隙を狙った俺の大勝利である)

沙希「もう…………」プクー

八幡(頬を膨らまして唇を尖らす川崎も可愛い! …………じゃなくて)

八幡「さっき階段で変なことしちまったからその詫びってことにしといてくれよ」

沙希「だから、あたしは全然嫌じゃなかったって言ってるじゃない」

八幡「それでも突然あんなことするのは良くないだろ」

沙希「なら、せめて飲み物代くらいは出させてよ」

八幡「ん、じゃあゴチになるわ」

沙希「買ってくるよ。何が良い?」

八幡「手、離れるけどいいか?」

沙希「………………一緒に買いに行こ?」

八幡「おう」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:06:05.75
八幡(買った飲み物を持って指定の席に座り、少しするとブザーが鳴って照明が消える)

八幡(しかし映画って予告は本当に面白そうだよな。予告は)

八幡(ちなみに今回見るやつはアクション含みの恋愛もので、この前とは逆になっている。この前のヒロインが主人公だからな)

八幡(まあヒロイン視点で展開するから派手なアクションにはならんよな。本来なら恋愛ものに興味はないのだが、この前見たやつがヒロイン視点だとどう写るのかは見てみたい)

八幡(そして予告やCMが終わり、本編が始まった)
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:07:24.81
沙希「うう…………」グスグス

八幡(上映が終わり、照明が点くとやはり川崎は泣いていた)

八幡(俺だってあの大団円の感動的な結末にちょっとウルッときたのだ。前回のあれで泣いた川崎がこうなるのは予想の範囲内である)

沙希「良かった……良かったね…………」グスグス

八幡(こいつがホラー系に弱いのは知ってたけどこういうのにも弱いんだな、別の意味で)

八幡「おい、大丈夫か?」

沙希「うん……ごめんね、すぐ落ち着くから」グスグス

八幡(そう言ってハンカチを目に押し当てる川崎。掃除のおばちゃんが微笑ましくこちらを見ているのが気まずい)

八幡(だからって無理に連れ出すわけにもいかないしな)ナデナデ

八幡(しばらく頭を撫でていてやると、ようやく泣き止んで顔を上げた)

沙希「ごめん、行こっか」

八幡「おう」

八幡(川崎は立ち上がって俺と並んで歩き出すが、そこから何も言わない)

八幡(まあしばらくはこいつも気恥ずかしいだろ。今は話し掛けないでおくか)
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:08:20.10
優美子「うっさい、消えろし!」

八幡(映画館を出たところで聞き覚えのある声がした。てかこの特徴的な語尾は三浦のものだ。自分が言われたのかと思ってビクッとしてしまったぞ)

八幡(そちらを見ると三浦と海老名さん、そして軽薄そうな男二人組がいた)

八幡(状況から察するにあの女子二人をナンパしているといったところか。二人の顔を見る限り迷惑そうだが、てか三浦は明らかに怒っているが、男共はニヤニヤしているだけで怯んだ様子はない)

八幡(立ち去ろうとしてもさり気なく道を塞いだりして逃がさないようにしている。海老名さん、ちょっと泣きそうだぞおい)

八幡「あー…………ちょっと行ってくるわ」

沙希「あたしも行くよ。人数いる方がいいでしょ」

八幡(うーん、あまり川崎を危険な可能性に晒したくはないんだが…………俺と離れて一人にさせると今度はこいつが他の男にナンパされるよな多分)

八幡「わかった。でもあんま近付くなよ」

沙希「うん」

八幡(川崎が数歩後ろから付いて来るのを確認し、俺はそちらに向かう)
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:10:52.56
八幡(そして声をかけている方、仮にナンパ男と名付けよう、後ろでにやついてるのはチャラ男な。ナンパ男が三浦の腕を掴んだ)

ナンパ男「いーじゃんいーじゃん、カラオケも飲みも奢っちゃうよー」

優美子「ちょ、離せし!」

チャラ男「くっくっ」ニヤニヤ

姫菜「うう…………」オドオド

八幡「あのー、ちょっといいっすか?」

ナンパ男「あん?」

姫菜「ヒキタニ君!? サキサキ!?」

優美子「ヒキオ!? あ、サキサキも……」

八幡(すげえ。あの三浦ですらサキサキ呼びしてるとは)

八幡「嫌がってるじゃないですか、やめましょうよ」

ナンパ男「うっせーな、関係ねーだろ」

八幡「いや、一応そいつらの知り合いなんで……」

チャラ男「だから何だよ、すっこんでろ」ドン

八幡「おっと……」

八幡(突き飛ばされて少しよろめいてしまう)

沙希「あっ。比企谷、大丈夫?」

チャラ男「ん? ……おー、こっちも超レベル高えじゃん!」

ナンパ男「マジだ! おっぱいもでけーし、もろタイプ!」

チャラ男「なあ、そんな根暗男なんかより俺らと遊ぼうぜ」

八幡(そう言ってチャラ男は川崎に手を伸ばす。あの、男連れの女をナンパしないでくれますかね?)
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:12:54.37
八幡(ひとこと言ってやろうと思って口を開く)



「おい」



八幡(え、何、今どっかから低くて怖い声がしたんだけど)

八幡(しかし周りの目は俺に集まっていた。え? ひょっとして俺の声なの?)

八幡(自分でも信じられないうちに勝手に口が言葉を放っていく)

八幡「誰に断って人の女に話し掛けてんだてめえ」

チャラ男「いって! いってえ! 離せよ!」

八幡(俺はいつの間にか川崎に伸ばされてたチャラ男の腕を掴み、強く握っていた)

ナンパ男「っ! この…………ひっ」

八幡(ナンパ男が三浦から手を離してこっちに来ようとしたが、俺がそちらを睨むとビクッと怯む。この時ばかりは腐った目に感謝しとこう)

チャラ男「くっ、離せよ! …………あがっ! が、あ、あ…………」ヘナヘナ

八幡(チャラ男が掴まれてない腕を振り上げたので俺はさらに力を込める。以前雪ノ下に習った『痛い手首の掴み方』である)

八幡(これは女性の力でもかなり痛い。ソースは俺。まあ実体験だ)

八幡(チャラ男は痛みのあまりその場にしゃがみ込んでしまった)

ナンパ男「お、おい、もう止めてやってくれ」オロオロ
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:15:16.78
八幡(ナンパ男がうろたえながら話し掛けてくるが、俺はそれを無視してチャラ男に言う)

八幡「お前、今この手で何をしようとした?」ギリギリ

チャラ男「がっ……あっ……」

八幡「俺の女に手を出そうとしてたよな」ギリギリ

チャラ男「すいません! すいません! 許してください!」

沙希「比企谷、その辺で」ポン

八幡「あ? …………あっ、か、川崎」

八幡(川崎に肩を叩かれ、俺は勝手に動いていた身体と口の自由を取り戻す)

沙希「あたしは何もされてないからさ。ね?」

八幡「え、えと…………」パッ

チャラ男「うう…………」

ナンパ男「おい、だ、大丈夫か?」

沙希「あんた達、さっさと行きなよ。ナンパ自体はいいけど嫌がってる相手にしつこかったり強引だったりはやめときな」

ナンパ男「は、はい。おい、行こうぜ」

チャラ男「うう……す、すんませんっした」

八幡(二人はそそくさと街の喧騒の中に消えていく)

八幡(……………………)

八幡(あー、やっちまった)

八幡(川崎は気にもとめていないようだが、誰かに見られてたら変な噂が流れるかもしれん。三浦や海老名さんの方が見れない。いや、またあの時のように怯えられてるんだろうが)
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:16:40.79
八幡(さすがに自分に怯える女子の表情なんて見たいものでもないので、顔を逸らしながら川崎にそっと話し掛ける)

八幡「わりぃ、あの二人のフォローを頼めるか? 俺は話し掛けない方がいいだろ。怖がられるしちょっと離れてるから」

沙希「そんなことないと思うけど…………ま、わかったよ」

八幡(俺はその場を離れてビルの壁に向かって頭を付き、うなだれる)

八幡「なんか、色々やらかしちまったなぁ…………」

八幡(思い返すのも恥ずかしいことばかりだ。行動も、セリフも)

八幡(だけど川崎に何かされるよりは断然マシか。そこだけは良かったと思おう)

八幡(うん、考えてみりゃこれ以上下がる評判なんてねえんだ。それにさっきの反応を見る限り川崎はいつも通りに接してくれてる)

八幡(ならクラスメートを、川崎の友達の海老名さんを、由比ヶ浜の友達の三浦を助けられただけプラスだと考えよう。うん、マジ俺ポジティブ…………はぁ)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/08(水) 14:17:39.87
沙希「なに溜め息なんかついてんの?」

八幡「おっと、二人は大丈夫か?」

沙希「うん。今は帰ったけどまた今度お礼するって」

八幡「え? 来んの?」

沙希「あれはわざとキレキャラを演じていたんだって言っといたよ。んでそれを見られたのが恥ずかしいから今は話しないでってのも」

八幡「あー、それならまだマシかな……」

沙希「あの二人はもういないからあたし達も移動しよ。その…………さっきのでちょっと目立っちゃってるから」

八幡「マジか、とっとと逃げよう」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/09(木) 03:18:16.74
1乙!

八幡かっこいい。濡れた//
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 02:03:44.91
八幡(俺達は繁華街を抜け出し、近くにあった公園に入る)

八幡「あー……すまなかった、川崎」

沙希「何か謝られるようなことあったっけ?」

八幡「いや、なんつーか色々と…………な」

沙希「ふふっ、何それ?」

八幡「うるせーよ」

沙希「じゃ、あたしからも。ありがとう。ごめんね」

八幡「…………俺は何もしてないぞ」

沙希「何言ってんのさ。あのキレ八幡はあたしのために怒ってくれたからなんでしょ?」

八幡「何だよキレ八幡て…………その、お前に何かされるって思ったら、な」

沙希「『何をしようとした? 俺の女に手を出そうとしてたよな』だっけ?」

八幡「やめろ! …………その、悪かったな。お前を所有物みたいに言っちまって」

沙希「そんなの気にしないよ。むしろ女だったらああいうこと言われてみたいものだからね」

八幡「はあぁー……自分でもショックだ。あんな一面が俺にあったなんてな。一色の時も今回も」

沙希「あんた普段あんまり怒らないでしょ? だから大きく爆発しちゃうのかもね…………でもさ、格好良かったよ」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 02:04:57.37
八幡「そんなわけないだろ。いくらお前のことだっていっても我を忘れるほどだなんて情けないったらありゃしねえ」

沙希「少なくともあたしにはそう見えたからいいの。今日観た映画のヒーローみたいだった」

八幡「あー、そういや似たようなことやってたな…………え、なに、無意識に真似てたの? 流されやすすぎじゃね? ま、俺はあんなイケメンじゃないけどな」

沙希「ううん、あたしにとっては比企谷が一番のヒーローだよ」

八幡「はは、ありがとな」

沙希「でもあの映画、本当に面白かったね。その、また泣いちゃったし」

八幡「ああ、最後は俺ですらウルッとしたわ」

沙希「それにあの二人の関係も良かったな。小さな頃から一緒で逆になかなか想いを伝えられないとかさ」

八幡「…………俺は別に羨ましくねえかな」

沙希「そう?」

八幡「だってさ、もし今の俺にそんな関係のやつがいたとしたらさ」

沙希「うん」

八幡「川崎は俺にあの依頼をすることはなかっただろ?」

沙希「え? ……うん、多分」

八幡「だったら今お前とこうしていることも、お前にこんな気持ちを抱くこともなかったはずだろうな。そんなのは嫌だ」

沙希「比企谷…………?」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 02:05:43.80
八幡(立ち止まって言葉を紡ぐ俺に、数歩先で川崎も立ち止まり、訝しげに俺の方を振り返る)

八幡(振り向いたときに揺れるポニーテールの髪が頭上の月の光に照らされ、一枚の絵のようなその美しさに目と心を奪われた)

八幡(何も考えず、何も思わず、するりと俺の口は動く)
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 02:06:45.26






八幡「沙希、俺はお前が好きだ」





227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 23:57:13.36

番外編で>>117ー122を沙希視点で投下します
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 23:58:30.50
沙希(はあ、また泣いてるとこ見られちゃった…………)

沙希(ま、いっか。初めてってわけでもないし。それに、その、頭も撫でてもらったし)

優美子「うっさい、消えろし!」

沙希(映画館を出たところで聞き覚えのある声がした。これ、三浦の声じゃない?)

沙希(そちらを見ると三浦と海老名、そしていかにもといった軽薄そうな男二人組がいた)

沙希(これはナンパされてんのかな。でも二人の顔を見る限り迷惑そう…………当たり前か。三浦はああ見えて葉山一筋だし海老名はそういったこと自体に消極的だし)

沙希(あいつらさり気なく逃がさないように立ち回ってる…………海老名がちょっと泣きそうだね)

八幡「あー…………ちょっと行ってくるわ」

沙希(うん。あんたならそう言うと思ってた)

沙希「あたしも行くよ。人数いる方がいいでしょ」

八幡「わかった。でもあんま近付くなよ」

沙希「うん」

沙希(一瞬だけ比企谷は渋った表情をした。たぶんあたしを少しでも危険から遠ざけたいとか思ったんだろう)

沙希(でも比企谷は時々自分を犠牲にして突飛なことをする。それが無茶なことだったらあたしはそれを止めたい。なら少しでも近くにいた方がいい。数歩離れて比企谷に付いていく)
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 23:59:10.08
沙希(声をかけている方…………モブ男1と2でいいか。モブ男1が三浦の腕を掴んだ)

モブ男1「いーじゃんいーじゃん、カラオケも飲みも奢っちゃうよー」

優美子「ちょ、離せし!」

モブ男2「くっくっ」ニヤニヤ

姫菜「うう…………」

八幡「あのー、ちょっといいっすか?」

モブ男1「あん?」

姫菜「ヒキタニ君!? サキサキ!?」

優美子「ヒキオ!? あ、サキサキも……」

沙希(ええー…………三浦ですらサキサキ呼びしてんの……)

八幡「嫌がってるじゃないですか、やめましょうよ」

モブ男1「うっせーな、関係ねーだろ」

八幡「いや、一応そいつらの知り合いなんで……」

モブ男2「だから何だよ、すっこんでろ」ドン

八幡「おっと……」

沙希「あ。比企谷、大丈夫?」

沙希(比企谷が突き飛ばされてよろめいたので、とっさに声が出る)

モブ男2「ん……おー、こっちも超レベル高えじゃん!」

モブ男1「マジだ! おっぱいもでけーし、もろタイプ!」

モブ男2「なあ、そんな根暗男なんかより俺らと遊ぼうぜ」

沙希(誰が根暗男だっての。比企谷はあんたらなんかよりずっとずっと良い男だよ)
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/11(土) 23:59:53.78
沙希(って…………え、なにコイツ。あたしに伸ばしてるこの手、明らかに胸に来てる)

沙希(誰が触らせるもんか。思いっきりひっぱたいてやるから!)

沙希(だけどその手があたしのところまで伸びることはなかった)

「おい」

沙希(え、今の声…………比企谷?)

八幡「誰に断って人の女に話し掛けてんだてめえ」

モブ男2「いって! いってえ! 離せよ!」

沙希(比企谷がいつの間にかあたしに伸ばされてたモブ男2の腕を掴んでいた…………え? 人の女?)

モブ男1「っ! この…………ひっ」

沙希(モブ男1が三浦から手を離して比企谷につかみかかろうとしたけど、比企谷がそちらを睨むとそいつはビクッと身体を竦める。以前の、ううん、あの時よりももっと目つきが鋭い)

モブ男2「くっ、離せよ! …………あがっ! が、あ、あ…………」ヘナヘナ

沙希(モブ男2が掴まれてない腕を振り上げたかと思ったら突然崩れるようにへたり込んだ)

沙希(多分比企谷が掴んでいる手に力を込めたんだろう。その痛みで立っていられなくなったんだと思う)

モブ男1「お、おい、もう止めてやってくれ」オロオロ
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 00:00:42.51
沙希(モブ男1が比企谷に懇願するが、比企谷はそれを無視してモブ男2に言う)

八幡「お前、今この手で何をしようとした?」ギリギリ

モブ男2「がっ……あっ……」

八幡「俺の女に手を出そうとしてたよな」ギリギリ

沙希「!」

モブ男2「すいません! すいません! 許してください!」

沙希(お、俺の女って…………あうう)////

沙希(じゃない、とりあえず比企谷を止めないと)

沙希「比企谷、その辺で」ポン

八幡「あ? …………あっ、か、川崎」

沙希(あたしが肩を叩くと比企谷は我に返ったように困惑の表情になる)

沙希「あたしは何もされてないからさ。ね?」

八幡「え、えと…………」パッ

沙希(比企谷が手を離すとそいつは手を押さえながらその場にうずくまる)

モブ男2「うう…………」

モブ男1「おい、だ、大丈夫か?」

沙希「あんた達、さっさと行きなよ。ナンパ自体はいいけど嫌がってる相手にしつこかったり強引だったりはやめときな」

モブ男1「は、はい。おい、行こうぜ」

モブ男2「うう……す、すんませんっした」

沙希(二人はそそくさと街の喧騒の中に消えていった)
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 00:01:43.33
沙希(それを見送ったあと、比企谷がそっと耳打ちしてくる)

八幡「わりぃ、あの二人のフォローを頼めるか? 俺は話し掛けない方がいいだろ。怖がられるしちょっと離れてるから」

沙希「そんなことないと思うけど…………ま、わかったよ」

沙希(比企谷はそう言って少し離れていった。あたしは海老名達の方に振り向く)

沙希「………………何?」

姫菜「いやー…………ヒキタニ君格好良かったね!」ニヤニヤ

優美子「まさかヒキオに助けられるとはね」ニヤニヤ

姫菜「『俺の女』だって。サキサキ愛されてるね!」ニヤニヤ

優美子「しかも手を出そうとしたらあんなに怒るなんてびっくりしたし。大事にされてんね」ニヤニヤ

沙希「あ、あれは、その、そう! 演技なの! あいつら追っ払うためにキレたように見せてたんだよ」

姫菜「へー」ニヤニヤ

優美子「へー」ニヤニヤ

沙希「うう…………」

優美子「ていうかこんな時間に二人でいるだけでちょっとやそっとの関係じゃないじゃん」

姫菜「サキサキもすっごいお洒落してるしね。どこ行ってたの? もしくはどこ行くの?」

沙希「えっと、そこの映画館で映画観てたんだよ。んで今ちょうど見終わって出てきたとこ」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 00:04:02.00
姫菜「映画館デートかー。定番といえば定番だね」

優美子「あー、これはもう結衣に勝ち目はないかな…………てか何でヒキオはあっちにいるん?」

沙希「……らしくないとこ見せたから恥ずかしいんだと思う。あと怖がらせたらよくないってさ」

優美子「そんなの気にしないのに。むしろプラス要素じゃん」

沙希「…………あのさ、一応あたし達まだデート中なんだ。もういいかな?」

姫菜「あ、ごめんね引き留めちゃって」

優美子「あーし達ももう帰るし。来週またちゃんとお礼するけどヒキオによろしく言っといて」

沙希「あ、ちょっと確認させてもらっていい?」

姫菜「ん? 何?」

沙希「比企谷のアレ、怖くなかった?」

姫菜「…………ちょっとだけね。でもサキサキがいたし」

優美子「それにヒキオはあーしらに危害をくわえたりしないっしょ。そんくらいわかるし」

沙希「そう…………その、ありがとう」

優美子「何でお礼?」

姫菜「優美子、サキサキはヒキタニ君のことをわかってもらえて嬉しいんだよ。ね?」

沙希「う、うっさいね、あたしもう行くよ。あんた達ももう変なのに絡まれないようにね」

優美子「ん。ありがと、またね」

姫菜「ばいばい、ヒキタニ君にもよろしく」

沙希(二人と手を振って別れる。そして二人がいなくなって気付いたけど周囲から視線を感じる)

沙希(ちょっと目立っちゃったからね…………早く比企谷とここを離れよう。あたしは何やら溜め息を付いている比企谷に声をかけた)
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 00:04:39.78
ここまで
また明日ノシ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 00:07:50.16
ニヤニヤ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 12:34:20.39
あ、いまさら気づいた
ナンパシーンを八幡視点と沙希視点で書いたのは二人がみた二つの映画をなぞったのか
八幡視点だとアクション多めで沙希視点だとラブ多めなんだな
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:11:08.12
沙希「え、えっと、その……ごめん」

八幡(川崎は目を逸らして俯く)

沙希「あ、あはは、あたし、耳おかしくなったのかな…………いっつも寝る前とかに妄想してたようなセリフが聞こえちゃったよ」

八幡「…………」

沙希「その、もう一回、言ってくれる?」

八幡(もとより一度で俺の想いを伝えきれるなんて思ってない。何度だって言ってやる)

八幡「川崎沙希」

沙希「は、はい」

八幡(川崎との距離は五歩程度)

八幡「お前ちょっとぶっきらぼうだけど、凄く家族思いだし優しいよな」

八幡(俺は一歩川崎の方に踏み出す)

八幡「家事も得意だし、特にお前の料理は俺の胃袋を完全に落としちまった」

八幡(俺は川崎に一歩近付く)

八幡「お前の全部を知っているわけじゃないけど、お前の良いところはいっぱい知っている」

八幡(俺はまた一歩近付く)

八幡「だけどもっとお前のことを知りたい。お前の近くにいたい」

八幡(さらに一歩。もう手を伸ばせば届く距離。あと一歩の距離で俺は止まる)
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:11:47.38





八幡「好きです。俺の彼女になってください。演技や偽物でなく、本物の恋人になってください」




249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:12:18.53





沙希「………………はい」




250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:13:23.40
八幡(そう短く返事をした川崎は残りの距離、あと一歩を詰めて俺の身体にもたれかかってくる。俺はその身体をそっと抱きしめた)

沙希「ひき、比企谷っ、うれ、嬉しいっ、好きって、言ってくれてっ」

八幡(川崎は肩を震わせ始めた。俺の胸に顔を埋めていて表情は窺えないが、泣いているようだ)

八幡「おいおい、何で泣くんだよ」

沙希「だって、だって」グスグス

八幡「はは、今日の川崎は泣き虫だな」ナデナデ

八幡(しばらく撫でていてやるとようやく落ち着いたか、少しだけ目を腫らした顔を上げた)

沙希「比企谷、好きって言ってくれてありがとう。あたしもあんたが好き。大好き」

八幡「お、おう」

八幡(川崎の顔なんて見慣れてるはずなのにドキッとしてしまった)

沙希「…………ねぇ」

八幡「おう、何だ?」

沙希「ん」

八幡(! 川崎は俺の方に顔を向けたまま目を閉じる。こ、これはあれだよな、その、キ、キ、キスってやつ……)

八幡(ほんの一瞬だけ過去の悪戯やドッキリのトラウマが思い起こされるが、川崎はそんな奴じゃない。俺は吸い込まれるように顔を近付けていく)

八幡(俺達の唇の距離がどんどん狭くなり、やがてゼロになった)
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:15:20.00
沙希「ん…………」

八幡「ふ…………」

八幡(なんだこれ)

八幡(全身に幸福感が広がる。何も考えられなくなる)

八幡(俺は川崎を抱きしめる力を無意識に強くしていた)

八幡(どれくらいそうしていただろうか? 唇が離れた時にはお互い息が少し荒かった。呼吸が疎かになっていたようだ)

沙希「はぁ…………ね、比企谷」

八幡「何だ?」

沙希「ちょっと座らない? あたし幸せ過ぎてへたり込みそうなんだけど…………」

八幡「奇遇だな。俺はそれプラス緊張からの解放で足がガクガクだわ」

八幡(俺達はお互いを支え合うように寄り添いながらベンチまで歩き、腰を下ろす)

八幡(座っても川崎は俺に体重を預けっぱなしだった。俺は川崎の腰に手を回して力を込める)

沙希「ん…………ねえ比企谷。これ、夢じゃないよね? あたし達、付き合ってるんだよね?」

八幡「ああ。俺の方こそ夢みたいだわ。川崎みたいな女子と付き合えるなんてな。フリだけでも嬉しかったのに」

沙希「そういえばあの依頼ももう終わりだね」

八幡「そうだな。どうだった? 俺は依頼に応えられたか?」

沙希「うん。元から好きだったけどおかげでもっと好きになったよ」

八幡(そう言って川崎は腕を俺の身体に回し、強く抱きしめてくる。俺は空いた反対の手でしばらく川崎の頭を撫で続けた)
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:17:16.84
乙です
ニヤニヤが止まらないwwwwww
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:19:50.38
えんだあああああああああああああああ
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:29:06.79
いあああああいいいいいいい
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 21:57:17.17

普段は八雪派だが、これは良いものだ。
しかし、偽物から本物になったと知ったゆきのんの心境や如何に
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 22:07:03.38
ブラックコーヒーがMAXコーヒーになってやがるッッッ!!
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/12(日) 23:14:58.22
乙です
甘い、甘いよ……最高だが
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 00:01:55.58
奉仕部+1に知らせなきゃな(使命感)
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 00:08:41.83
沙希「…………ねえ比企谷。聞かせてもらっていい?」

八幡「何だ改まって」

沙希「本当にあたしでいいの?」

八幡「お前……ふざけたこと言わないでくれよ」

沙希「え?」

八幡「お前でいい、んじゃない。お前がいい、んだよ」

沙希「あ…………」

八幡「さっきも言っただろ、お前の良いところ知ってるって。妥協して選んだとかじゃねえんだからさ」

沙希「で、でもあたし愛想良くないし周りにもちょっと不良っぽいって思われてるし」

八幡「その方がいい。周りにお前の魅力を知ってほしくない。知っているのは俺だけでいい」

沙希「あ、あと結構寂しがり屋だから構ってほしくて束縛しちゃうかも」

八幡「あんまり世間から必要とされない俺を必要としてくれんなら嬉しい限りだ」

沙希「それに、それに」

八幡「川崎」グイッ

沙希「あ……んっ」

八幡(俺は川崎の顔を起こさせ、唇を自分ので塞ぐ。今度はすぐに離れるが)

八幡「…………お前が、いいんだ」

沙希「うん…………ありがと」

八幡(川崎は照れくさそうに小さく呟いて再び俺の胸に顔を埋めた)
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 00:09:28.16
八幡「それにむしろ俺が聞きたいくらいなんだが」

沙希「え? 何を?」

八幡「俺で、いいのか?」

沙希「…………ふざけたこと言わないでよ。比企谷でいい、んじゃない。比企谷がいい、の」

八幡「俺、嫌われ者でぼっちだぜ」

沙希「ぼっちなのはあたしだって似たようなもんだよ」

八幡「捻くれ者で目が腐ってるぞ」

沙希「他の女が近付かなくて好都合じゃない」

八幡「それに、それに…………」

沙希「……それに?」

八幡「…………何だよ、川崎は俺の口を塞いでくれねえのか?」

沙希「んなっ!?」

八幡「早くしないと延々と自分を卑下し続けるぞ。これに関しては何時間も言える自信がある」

沙希「も、もう…………じゃ、目、瞑ってよ」

八幡「おう、ほら」

沙希「ん…………と。こ、これでいいでしょ。だからあまり自分を卑下しないで」

八幡「ん。ありがとうな川崎。好きだぜ」

沙希「あたしも」

八幡「じゃあ、これからもよろしくな、彼女さん」

沙希「うん、これからもよろしく、彼氏さん」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 18:44:24.69
沙希「でも正直な話さ」

八幡「ん?」

沙希「比企谷から告白してくれるなんて思ってなかった」

八幡「俺に好かれてるとは思ってなかったってか? 結構アピールしてたつもりだが……演技に見えたか」

沙希「ううん、好意は持ってくれてるんじゃないかとは思ってた。ただそれを伝えてくれるとは思ってなかったんだ」

八幡「なんだそりゃ」

沙希「だってあんた、恋愛関係には臆病でしょ?」

八幡「…………まあ、そうかもな」

沙希「誰かがあんたを好きになっても勘違いだと否定して、自分が誰かを好きになっても気のせいだって自分を認めない。違う?」

八幡「違…………わなかっただろうな」

沙希「だからあたしからいかなきゃ駄目だなって思ってた。実はあたしも今日あんたに告白するつもりだったの」

八幡「そっか……悪いな、もっと早く言えば良かったか。俺がヘタレなせいで考えさせちまった」

沙希「ううん、悪いことなんてないよ。今こうしていられるんだし」

八幡(川崎は俺に抱き付く力を少し強めてきた)
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 18:45:15.99
八幡「それでもヘタレなことには変わんねえけどな。今日だって自分を追い込んでなきゃ言えなかったかもしんねえし」

沙希「追い込む?」

八幡「小町とかにな、今日川崎に告白するって言ってきたんだ。んで、もし言えなかったら縁を切るからって言われた」

沙希「ふふっ、あんたには死活問題だね」

八幡「そんくらいしないとこのヘタレ精神をどうにもできないからな」

沙希「…………ありがとう比企谷、勇気を出してくれて」

八幡「ま、こんな勇気を出そうと思ったのも本気で俺を惚れさせたお前がいたからなんだけどな。お前を好きになって良かったぜ」

沙希「うん…………」ギュッ

八幡(川崎が強く、とても強く抱き締めてくる。ずっとこうしていたいが、もう夜も更けてきた)

八幡「川崎、送ってくからそろそろ帰ろうぜ。親御さん心配させるわけにもいかねえからな」

沙希「………………」

八幡「川崎?」

沙希「比企谷、さっきあんた言ってたよね。小町に言って自分を追い込んだって」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 18:46:27.58
八幡「ああ。それがどうかしたか?」

沙希「あたしもね、似たようなことを親に言ってきたんだ。それであたしを嘘つきにしてほしくないんだけど…………」

八幡「そうなのか。いいぜ、告白でもなんでも受けてやるよ」

沙希「えっと、はしたないって思わないで。あと嫌いにもならないでほしい。わがままかもしれないけど」

八幡「何だよ、やけに慎重だな。俺が川崎を嫌うわけねえだろ」

沙希「あたし、あたしね、親に…………」

八幡「おう」

沙希「今日、比企谷とデートだって説明して…………」

八幡「ああ」

沙希「今日は、帰らないからって言ってきちゃった…………」

八幡「……………………え?」

沙希「頑張ってきなさいって応援までされちゃったの…………」

八幡「か、川崎?」

八幡(川崎は上気して頬を赤くし、潤ませた瞳で俺を見つめる)

沙希「ホテル…………行こ?」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 22:05:53.19
八幡「ホ、ホテルって、お前」

沙希「あたし、比企谷とそういうことがしたい…………比企谷はあたしとしたくない?」

八幡「そ、その聞き方は卑怯だろ…………したいに決まってんじゃねえか」

沙希「じゃあ」

八幡「でもいきなりすぎんだろ。付き合ってその日にって」

沙希「いきなり、じゃないよ」

八幡「え?」

沙希「ずっと、ずっと比企谷としたいと思ってた。そうなれたらいいなって思ってた。いきなりじゃない、むしろようやくって感じなの」

八幡「川崎……」

沙希「それに、あたしもちょっとヘタレなとこあるから、言えるときに言っとかないとまた恥ずかしがって言えなくなると困るし…………」

八幡「………………」

沙希「ご、ごめん、あたし重いかな…………もちろん比企谷がどうしても嫌だって言うなら別に」

八幡「その台詞は男女逆だろ…………本当にいいのか?」

沙希「! いいに決まってるでしょ。比企谷だったら初めての恐怖も性に対する嫌悪感も一切ない。あたしは」

八幡(川崎は一旦そこで言葉を切って俺をまっすぐに見る)

沙希「あたしは比企谷に抱かれたい」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 22:06:27.08
八幡「くっ…………」

八幡(あまりにまっすぐな目につい視線を逸らしてしまった。照れ隠しに頭をかきながら返事をする)

八幡「わかった、今夜はお前を抱く…………いや、抱かせてくれ」

沙希「うん!」ニコッ

八幡「うわぁ、いい笑顔だ…………まあ考えてみりゃこの前ウチに泊まった時にもしそうな雰囲気だったもんな」

沙希「結局手でしあうだけで終わっちゃったもんね。今日は最後まで…………ね?」

八幡「ああ。ただし俺初めてだからな。上手くできるかわかんねえし、理性トんで優しくできないかもしれねえぞ」

沙希「大丈夫。比企谷になら何をされてもいいから」

八幡「…………後悔、するんじゃねえぞ」

沙希「後悔するくらいめちゃくちゃにしてくれるの?」

八幡「んぐっ、お、お前…………!」

沙希「ふふっ」

八幡(くそっ、開き直ったか恥ずかしがるラインが随分高くなってやがる。このままじゃペース握られっぱなしだ)

八幡「と、とりあえずホテル街に向かうか。詳しくねえけどあっちに行けばあったよな確か」

沙希「うん。でも週末だから混んでるかもしれないね」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/13(月) 22:07:28.59
八幡「まあ全滅ってことはないだろ。何軒か回れば…………あ、そうだ」

八幡(ベンチから立ち上がり、腕を組んでこようとした川崎に向き直る)

沙希「ん?」

八幡(俺は川崎の背中に腕を回して引き寄せ、その白い首筋に唇を付けて思いっ切り吸った)

沙希「あっ、んんっ!」

八幡(ビクンっと川崎は身体を震わせて艶やかな声をあげる。それを聞いて俺は川崎を解放した)

沙希「な、何したの? 変な声出ちゃったんだけど…………」

八幡「ん、しるし付けた」

沙希「え? あ……」

八幡(川崎は俺が吸った部分に指を当てて軽くなぞる。自分では見えないだろうが、そこにはキスマークがついている)

八幡「お前が、俺のものだっていうしるしだ。もう今夜は逃がさねえからな」

沙希「うん…………クーリングオフは効かないからね? あたしの身も心もあんたのものにしちゃってよ」

八幡「行くか」

沙希「うん」

八幡(俺が肘を突き出すと川崎がそれに腕を絡めてくる。逸る心を抑えながら俺達はホテル街に向かって歩き出した)
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/14(火) 19:00:37.04
八幡(パタンと背後で扉が閉まる。一応開けようと試みたがノブが回ることはなかった)

八幡「うえっへっへっ、これでもう逃げることも出来ないぜ」

沙希「いやっ、襲われちゃう、来ないでっ」

八幡「…………」

沙希「…………」

八幡「くくっ」

沙希「ふふっ」

八幡(ホテルの部屋に入ったところで小芝居をし、俺達は笑い合う)

八幡「とりあえず入るか」

沙希「そうだね。でも洋タイプなのに玄関で靴を脱ぐんだねここ」

八幡「少しでも掃除が楽なんじゃねえの? 知らんけど」

八幡(俺は靴を脱いで上がり、川崎に手を差し出す)

八幡(川崎はその手を取ってバランスを取りながら自分の靴を脱いだ)

八幡(そしてごく自然な流れで俺のと一緒に靴を揃えて並べる。うーむ、育ちがいいのかオカンスキルが高いのか)

沙希「へえ、ラブホってこんな内装なんだ。あんまり普通のホテルと変わんないね」

八幡「場所によって違うらしいけどな。部屋中鏡に囲まれてたり、中には川が流れてるとこもあるらしいぞ」

沙希「川って…………それ何の意味があるの?」

八幡「さあ? まあ物珍しさで客は入るんじゃねえか?」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/14(火) 19:03:19.16
沙希「えっと、シューターは…………あった、これだね」

八幡「だな。そばにカプセルも置いてあるし」

八幡(俺達がこのホテルを選んだ理由、それがこのシューターと呼ばれるものだ)

八幡(入口の機械で部屋を選び、一度その部屋に入るとドアがロックされて、金を払わないと解除されない仕組みだ。その支払い方法がこのシューターである)

八幡(カプセルに代金を入れてシューターに放り込むとフロントに送られ、ロックが解除されて外に出られるようになるのだ)

八幡(そう、この一連の流れで一切他人と会話や顔を会わすことはない。ここ重要。超重要。対人スキルが著しく低い俺達には大変ありがたいことである)

沙希「で、あっちにある小扉がデリバリー用なんだね……ってもやっぱり高いね」パラパラ

八幡「ん、ああ、それメニューか。ま、それは仕方ないだろ」

沙希「そうだね。よっと」ポフッ

八幡(一通り見回して満足したか川崎はポシェットを傍らに置いてソファーに座る)

八幡(俺もその隣に腰を下ろすと、すぐに川崎が身体を寄せてきた)

八幡「やめるなら、今が最後のチャンスだぞ」

沙希「嘘つき、やめる気なんかないくせに」

八幡「まあな。でもお前もだろ?」

沙希「当然」

八幡(俺達は自然に唇を重ねる)
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/14(火) 19:05:31.59
八幡(互いの背中に腕を回して強く抱き締め合う)

八幡(長いキスを終えて離れると、川崎はくったりと力が抜けて俺にもたれかかってきた)

沙希「はぁ…………あたし、キスにすごく弱いみたい…………自分じゃエッチな方だって思ってんのに、これくらいで」

八幡「おいおい、エロさなら俺の方が上に決まってんだろ」

沙希「そんなんあたしだって負けてないよ」

八幡「んじゃ全力で色々やんぞ。引くなよ?」

沙希「ふふっ、大丈夫。だって比企谷になら何をされたって嬉しいし、何をされたってきっと気持ち良いから」

八幡「…………お前、俺のこと好き過ぎだろ」

沙希「知らなかった?」

八幡「新しく知った。めっちゃ嬉しい」

沙希「ん」

八幡(俺達は再び強く抱き締め合い、頬を軽く擦り合わせる)

八幡「川崎……舌、出してくれ」

沙希「え……うん」

八幡(川崎は軽く口を開けて言われるままに舌を出す。俺はそれをれろりと舐めた)

沙希「んうっ」ピクッ

八幡「嫌だったか?」

沙希「ううん…………でも、すごいぞくっと来た……」

八幡「今から」

沙希「ん?」

八幡「今からお前の舌を徹底的に犯す。俺の舌と激しく擦り合わせて、丹念に舐め回して、唇で挟んでお前の唾液ごと強く吸い上げる。いいな?」

沙希「………………」

八幡(川崎は何も言わず、目をとろんとさせながら舌を突き出してきた。まるで早くしろと言わんばかりに)

八幡(俺は遠慮なくその舌をくわえ込み、自分の口内に招き入れた)
349 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:45:16.08
八幡(ちゅうっ、と舌に付着している唾液を吸い、飲み込む)

八幡(まるで蜜のように甘く感じられ、俺は夢中でその舌を貪った。唾液がなくなってもその味を求めて舐め回す)

八幡(しかしそれだけでは飽きたらず、今度は川崎の口内に俺の舌をねじ込んだ)

沙希「んむっ……んぅ…………」

八幡(川崎は驚いた声をあげたが抵抗はしない。どころかさらに大きく口を開けて俺の舌を招き入れる)

八幡(俺は後頭部に手を回して逃げられないように抑え、ぐいぐいと唇を押し付けながら川崎の口内を蹂躙し始めた)

八幡(歯や歯茎を舌でなぞり、舌同士を絡め合い、唾液を吸い上げる)

八幡(それを幾度も繰り返していると突然川崎が抵抗し始めた)

八幡(とは言っても身体に力がまともに入らないので俺を突き放そうとしてもまったく効果はないのだが)

八幡(それらを無視して川崎の舌を自分の口内に招き入れて強めに吸う)

沙希「ん、ん、んーっ、ん…………んんっ! んんーっ!」ビクビクッ

八幡(川崎が身体を仰け反らしながら痙攣させ、ひときわ大きなうめき声をあげた。あれ? これって…………)
350 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:46:16.52
八幡(身体の痙攣が収まるまで舌を責め続け、ふっと全身が脱力したのを確認して俺は唇を離した)

八幡(お互いの舌の間でつうっと唾液が糸を引き、妙に艶めかしい)

沙希「あ……あ…………」ポー

八幡(まだ川崎はぼうっとしており、目の焦点がいまいち合ってない)

八幡(抱き寄せるとゆっくりと抱き返してくる。俺はそっと頭を撫でてやった)

沙希「ん…………ば、かぁ」

八幡「何が?」ナデナデ

沙希「抵抗、したのに…………止めて、くれなかった」

八幡「嫌だったのか?」ナデナデ

沙希「そうじゃ、ないけど……」

八幡「はは、お前イっただろ? キスだけでイくなんてどんだけ敏感なんだよ」

沙希「うう…………はあ、自分でもびっくりしたよ」

八幡(ようやく落ち着いたか川崎の喋りがしっかりしてきた)

沙希「はあ、シャワー浴びてこようかな? 下着も濡れちゃったし」

八幡「ぬ、濡れたって、お前…………!」

沙希「んん? 確かめてみる?」

八幡(そう言って川崎はワンピースの裾を下着がギリギリ見えないところまで捲り上げた。露わになった太ももがすごくエロティックに見える)
351 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:47:17.44
八幡「……っ! 馬鹿なこと言ってねえで行くなら行ってこいって」

八幡(暴走しそうになるのを何とか堪え、川崎を促す。が、川崎はそんな俺の態度を見て、ニヤリと笑った)

八幡「な、何だよ?」

沙希「あんたさ、あたしを追いやって一人でするつもりだったでしょ」

八幡「う……」

沙希「馬鹿みたい。何のためにあたしがいるのさ。あたしを使ってよ。何で言ってくれないの?」

八幡「だ、だってよ、今もうギリギリいっぱいいっぱいでいつ暴発するかわかんねえからさ…………変なタイミングで出たら情けないし…………」

沙希「それ、キスだけでイったあたしへの当て付け?」

八幡「ち、違えって! それに、使うって言ってもどこをどうすりゃいいのか、どこまで許されるのかなって…………」

沙希「何それ、何度も言ってるでしょ。あたしの身体はもう比企谷のものなんだから、好きなとこを好きなように使っていいって」

八幡(川崎は指を自分の口に当てる)

沙希「比企谷が望むなら手でだって口でだってしてあげる。あ、でもあそこはシャワー浴びてからにしてほしいな」

八幡「…………っ!」

八幡(あ、危ねえ! 今セリフだけで出そうになった)
352 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:48:19.23
八幡(これ以上何かある前にさっさと川崎に出してもらった方がいいか…………)

八幡「じゃあ…………その、お前の手でこの前みたいにしてもらいたい」

沙希「手? 口とかじゃなくていいの?」

八幡「ああ。その、キスしながらしてもらいたいんだ」

沙希「わかった。他にしてほしいことがあったらどんどん言って」

八幡(川崎はそう言って俺のズボンに手をかける。そのままベルトを外してファスナーを下ろし、いきり立った肉棒をさらけ出した)

沙希「…………っ、すご……おっき……」

八幡(目を見開いたが忌避感などはないようだ。まじまじと見てくる)

沙希「えっと、どうすればいいの?」

八幡「右手で握って……そう、そこ。んで左の手の平を先っぽに当てるんだ、お前のその手に出すから……それで右手を上下にしごいてくれ」

八幡(俺の指示通りに川崎は手を動かす。やはり自分でするのとは快感が段違いだ)

八幡(俺は川崎の頭に手を回して引き寄せ、キスをする)

八幡(ただし今度は舌を入れない。押し付けるだけだ。ぶっちゃけ声を出さないようにするのがメインだしな)

八幡(実際今キスして口を塞いでなければ快感で情けない声が出ていただろう)
353 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:50:40.15
八幡(より快感を求めて勝手に腰が動く。さっきから幾度も限界を迎えそうになっていたのだ。あっという間に射精感が押し寄せてくる)

八幡(俺は唇を離して思いっきり両手で川崎を抱き締めた)

八幡「かっ、川崎っ、もう、出る! 出すからな! お前の手に、出すから!」

沙希「うん、いいよ。出しちゃお。我慢しないで、気持ち良くなってあたしの手に出して」

八幡「あ、あ、あ…………あうっ! うっ! うっ!」

八幡(俺は大量の精液を吐き出し、川崎の手を汚していく。精液が尿道を駆け抜けるたびに身体を震わせてうめき声を上げ、腰を揺する)

沙希「ん、熱っ…………ほら、頑張って。全部出しちゃって」

八幡「うっ……うっ……はぁ」

八幡(全部出し切って力が抜けたのを確認して川崎はしごくのを止めた。左手は大量の白濁液が付着している)

沙希「ふふ、凄くたくさん出たね。ほら、もう脱いじゃお。汚れちゃうよ」

八幡「あ、ああ」

八幡(俺は川崎と身体を離し、下半身に穿いているものを脱ぐ)

八幡「ふう……なあ、川……って何やってんだお前!?」

沙希「ん、見てわかるでしょ? 手に付いたあんたの精液を舐めとってるだけじゃない」
354 :エロ注意 :2015/07/15(水) 19:51:51.27
八幡「いいってそんなの! 汚いし不味いだろ?」

沙希「確かに美味しくはないけどさ、汚くなんかないよ、比企谷のだもん」

八幡「う……」

沙希「比企谷、見てて」

八幡(川崎はある程度の量を舐めとり、口に含んだあと顎をあげて喉を見せる)

八幡(その喉がコクン、と音を鳴らした)

八幡「! お、お前、今」

沙希「ふふ、比企谷の、飲んじゃった」

八幡(あー、と口を開けて口内を見せてくる。そこには舐めとったはずの白濁液が確かに無くなっていた)

沙希「もう一回見せてあげる」

八幡(再び手に付着したものを舐めとる川崎。そして喉を晒したあと、俺の手を取ってそこに当てさせた)

沙希「んっ…………」コクン

八幡(俺の精液が喉を通る感触が指に伝わる。飲み干したあとの口内はやはり何も無かった)

沙希「男って飲んでくれると嬉しいんでしょ? どうだった? …………って聞くまでもないか」

八幡(川崎の視線の先には再び固く反り返った俺の肉棒があった)

沙希「でも少しは落ち着いたでしょ?」

八幡「あ、ああ」

沙希「じゃ、お互い色々汚れちゃったし一回シャワー浴びたいからさ…………一緒に入ろ?」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/15(水) 19:53:23.11
今回はここまで
次回はお風呂でイチャイチャやね

エロ注意といいつつそんなにはエロくないよな
ギリギリ少年誌レベル

またノシ
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/15(水) 19:58:24.25
>>1乙!
青年誌レベルのような気がするのは俺だけだろうか……
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/15(水) 20:12:24.85
今の少年誌って進んでるんだなー(棒)

とりあえず乙です
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/15(水) 20:33:55.40
と、とらぶるとかあるし…
次回スレ:

八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」5



関連スレ:

シリーズ一覧及び・この書き手SSまとめ

(川崎沙希好きの書き手です)

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