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上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」【後編】

291 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:54:55.95


前回スレ:

上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」



1月2日


御坂美琴の病室にて。


「はぁー、昼間は酷い目にあったわ」

「そうか? なかなか楽しかったと思うけど」

「アンタはね。私は16820号に舐め回されたり、便乗してきた青髪の男に迫られたりで大変だったんだから」

「使われてなかったとはいえ、病棟を一棟潰すのは流石ですね、とミサカは当事者で無いフリをしてみます」

「レベル5が4人も集まればな。病棟一つで済んでよかったよ」


夜もふけたとある病室でやたら物騒な話に花を咲かせ?ているのは、“超電磁砲”御坂美琴とその恋人である上条当麻、そしてシスターズの10032号いわゆる御坂妹である。
三人が話しているのは今日の昼起こった「ロミオとジュリエット事件」のことだったり。


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292 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:55:58.05

かい摘まんで説明すると、美琴を独り占めしようと古病棟に立て篭もった御坂妹(当然本人は美琴を変態達から守ろうとしていただけだが)を倒すために立ち上がった勇者達(いい迷惑である)が魔王(御坂妹)の牙城(古病棟)に攻め込んだ。
おい括弧多すぎてよくわかんねぇぞ。

「私はもう能力使えないんだからね、今回はひたすら被害者なのよ? なのになんで私まで怒られなきゃ………ブツブツ」

「最後ノリノリで『ロミオー!!』って叫んでたのは誰ですかね?」

「あ、あれはアンタ達が無理矢理言わせたんでしょ! もう……恥ずかし過ぎてワケわかんない………」


牙城(古病棟)に攻め込んだ勇者達(本当にいい迷惑である)は我こそ魔王(御坂妹)を倒さんと各々の能力を解放した。
ベクトル操作でコンクリ片が飛び交い、原子崩しで病棟全体が蜂の巣となり、最後に選ばれし正義の闘士の「すごいパンチ」によって牙城(古病棟)は瓦礫の山と化した(この間わずか5分ほどである)。

「括弧が多い」

「えっ?」

「いえこちらの話です」

「それにしても流石レベル5だよな。億単位の修繕費用をポンと出せるなんて」

「払ったのは主に一方通行と麦野さんだけどね。あーあ、なんか楽しいことないかなー」

灰色の山を前にしてようやく自分達の悪行に気付いた上条達一行。
これにはさすがの冥土返しも苦笑い、………………………とはならず。
学区全体に響き渡るのでは、と思うほどの怒号によってこの事件は終息した。
事件の首謀者は私こと上条当麻と16820号(イロハ号と呼ばれているとか)ということにされてしまったが、まぁ間違ってはないので否定できない。
293 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:56:48.45

ところで、最近急速に個性を伸ばしつつある妹達だが、この16820号もそのうちの一人で。
なんでも自分と同じ顔なはずの「お姉様」に心底惚れ込んでいるのだとか。

「お姉様が楽しいことをご所望だと聞きまして」

噂をすればなんとやら。
廊下で聞き耳を立てていたのか、美琴が言い終えたのと同時に病室に入ってきたシスターズは16820号。
なにやら黒いテープで覆われたDVDケースを持っている。

「年始色のテレビ番組も見飽きたでしょう。昼間のお詫びにミサカお勧めの映画のDVDを持ってきました」

「あ、ありがとう」

「早速見ますか?」

「うん、暇潰しになればなんでも」

「では再生します」

と、DVDケースからディスクを取り出し………………、ちょっと待て、なんだそのピンク色(比喩)のディスクは。

「上映時間は118分です」

「ちょっと待て、それなんて映画?」

「“百合色な日々”ですが」

「よし、ちょっと一緒に外出ようか」

「えー?」ズルズル
294 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:57:26.12

~廊下にて~


「あのな、美琴はな、多少DQNっぽいところはあるが根は純粋無垢なお嬢様なんだよ」

「でもいずれ貴方の汚らわしい超電磁砲をぶち込むつもりなんでしょう?」

「それは否定しない」キッパリ

「ならば今からちゃんとした性教育を行っておかなければ。いざ本番になって拒絶されたら、○○ジンブレイカーの名が泣きますよ?」

「その卑猥な文字の伏せかたはやめろ。あとアレのどこがちゃんとした性教育なんだ?」

「アレとはなんですか、118分の上映時間のうち109分が濡れ場という垂涎の作品ですよ?」

「要するにAVなんじゃねぇか。あと妙にリアルな数字出すのやめてくれ」

「ちなみにOPが15分と非常に長いです」

「OPから濡れ場に入ってんのか、スタッフの顔が見てみたいよ」

「先程から文句ばかり垂れていますが、貴方はお姉様に“正しい性教育”をすることが出来るのですか?」

「当たり前だろう。いいか、見てろよ」


こういうのは掴みが大事なんだ。
そう、保健体育の授業と思えばいい。
病室のドアを開けて一言目。コレでまず話の雰囲気を変える。



「美琴、オナ‍ニーについてだが」



テレビが飛んできた。




.
295 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:58:42.44

1月3日、朝。


寒い。非常に寒い。
なぜ俺は床に寝ているのだろう。
そうだ、俺は昨日、美琴に正しい性生活について講釈しようと病室に入って……。
そこで記憶は途切れている。

まあいい、朝だ。

1月3日。
明日からは鬼畜ロリ教師による補習が始まる。
つまり実質的に冬休み最後の日となるわけだ。
年末年始を最悪な事件に見舞われ、病室で過ごすことになった美琴にはなんとかして良い思い出を作ってやりたい。

なにかないか。
そうだ、今日までは三が日。
初詣に行こうか。
もちろん美琴には振袖を着て貰ってぐふふ。

「おはようございます、よく眠れましたか?」

美琴が起きる前に病室に現れたのは、件の16820号。
今日はコイツに協力してもらおうか。

「この状況でよく眠れましたかと聞いてくる度胸だけは褒めてやる」

「あのあとお姉様が流石に可哀相と言って毛布をかけていたのですが」

「んなもん無いぞ」

「ミサカが夜中頂きました。お姉様の匂いのついた毛布、家宝です」

「それを迷いなく実行する辺り流石だな。それより美琴の振袖姿、見たくないか?」

「興味深いですね」

16820号の目の色が変わった。
先程までの虚ろな目はどこへやら。まるで獣のような目をギラギラさせ、俺の顔を覗き込んでくる。
296 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 20:59:42.22

「お前、振袖持ってないか?」

「ないです。必要とあらば用意しますが」

「いや、お前が買ってくると外に着て行けないようなの買って来そうだからいい」

「むぅ、見越されていましたか」

「まぁそれもアリ……ゲフンゲフン」

「とりあえず外出許可を取りに行きますか」


おっと、そうだった。
とりあえず冥土返しから外出許可をもらわなければ。
駄目と言われたらどうしよう。無理させるのはいけないから、諦めるか。
どこかから「過保護」とか声が聞こえてきそうだ。
297 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/23(木) 21:01:33.99

1月3日、10:30。


「こ、こんな感じかな……?」

そう言って目の前でくるりと回る天使。
無事医者から許可を貰うことが出来た俺達は白井に連絡して、振袖を持って来てもらった。
以下会話文のみ。

美琴「で、当麻は普通の格好なの?」

上条「上条さんは貧乏なので袴(だったっけ)などは持ってないわけですよ」

美琴「じゃあ……」

上条「待て、流石にそんなものまで買ってもらうのは俺のプライドが許さない」

美琴「むぅ……」

16820号「では、早く初詣に」

御坂妹「16820号、あなたは留守番です」

16820号「なぜですか、10032号。ミサカにはお姉様を見守るという使命が」

御坂妹「その使命とやらは建物ひとつぶっ潰してお姉様を危険に曝したうえ、夜にいかがわしい映画を見せるのですか」
298 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 21:01:55.76

上条「えっ、アレ見たの?」

御坂妹「見ました」

美琴「…………///」

上条「oh……」

16820号「結局10032号も見ていたではないですか」

御坂妹「どうしてもというならば力ずくでも……」パチッ

16820号「ミサカの能力は10032号を上回りますよ、それでもかかってきますか?」バチバチ

はい、姉妹喧嘩が始まりました。
優勢なのは16820号。しかし御坂妹も美琴を盾にしたりして果敢に戦っています。
ちなみに周りの機器は美琴の電磁波で壊れないよう、特殊なものが使われているので壊れる心配はないが。
それでもいくらかの機器は既に煙を上げ始めていたり。

「おいお前ら、美琴が危ないだろ」

「う……」

「すみません………」

よし、ここは大人な俺がこの場を治めるべきだよな。


「とりあえずその映画の感想を………」


テレビが飛んできた。


.
299 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 21:07:27.43

結局昼までの記憶が飛び飛びになってしまい、俺の冬休み最後の半日は既に終わってしまった。


そして残りの半日。


クリスマスほどではないとはいえ、俺を待っていたのはまたも不幸だったり………。


百合色な日々なんて実在しませんよ、あったとしてもまったく関係ありませんので悪しからず。


序章、完
303 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/24(金) 00:36:00.32
ダメだこの上条さん…(褒め言葉
305 :Are you enjoying the time of eve? :2010/12/24(クリスマスイブ) 11:31:33.75

もうだめ上条さん面白すぎるwwwwwwwwwwwwwwww
続きも楽しみにしてる
311 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:48:07.99


1月3日、昼。
最寄の神社までの道程中。


「テレビぶん投げるくらいの体力あんなら、もう退院してもいいんじゃねぇか?」

「私もそう思うんだけどね、でもゲコ太が冬休みいっぱいは入院しといたほうがいいって」

「そうかー、でも俺は明日から補習だし病院に入り浸れるのも今日までだぞ?」

「え………」ジワ

「く………!」


ちくしょう、ここが天下の往来でなければ。
いや、野外プレイもアリなのか? いいのか?
もしかしてコレは誘っているのか?
そうか、それなら仕方ない。


「そこの野獣。思考がだだ漏れです、とミサカはお姉様の前に立ち塞がります」

「えっ、マジ?」

「当麻……、それはさすがにちょっと………」

「冗談だよ冗談。あ、小銭が落ちてる」

「冗談とは思えなかったんだけど……」

馬鹿だなぁ。俺がそんな変態なわけないじゃないか。
たとえ変態だとしても、変態という名の紳士だよ。

それより、新年早々お金を拾うとはなかなか幸先いいじゃないか。
500円玉…………、いや、これは。

「コイン……?」

312 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:48:42.63

「見たことない模様ね、どこのゲーセンのコインかしら」

「いるか?」

「私はもう超電磁砲は撃てないからいいわ。それより、珍しいから当麻が持ってれば?」

財布の中に入れておけば、なにか少しでも運が良くなるかな?
さて、そんなことをしてる間に目的の神社に着きましたよっと。

……………あれ?


「なんか……、人、少ないな」

「うん、けっこう大きな神社なのに……」

大きな鳥居をくぐった俺達を迎えたのは圧倒的な人の波。
……………ではなく、広い境内を遠慮なく吹きすさぶ冷たい北風と。

「御坂さーん!」

「お姉様! あぁ、今日も麗しゅうございますわ……!」

「御坂さん、すごく可愛いです……!」

クリスマスでも世話になった白井黒子、初春飾利、佐天涙子の3人組。

「あら上条さん、明けましておめでとうございますわ」

「おぉ、こちらこそ。んで、なんでこの神社はこんなにスッキリしてるんだ?」

「あれ? 皆さん知らなかったんですか?」

「なにを?」

「ここの神主さん、おととい交通事故で大怪我しちゃったらしいんですよ」

「はぁ!?」


もう縁起悪すぎて誰もお参りに来ないんですよー、あははー。
ならば佐天さん、君達はなんでこんなとこにいるのかな?

313 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:49:34.22

「だって面白いじゃないですか、こういうの」

「こちらとしては他人事ではないのデスガ………」

「あ……、そうでした。すみません、御坂さん」

「えっ? いやいや別にいいわよ!? 私は私でいま結構幸せだし……」

「わぁ御坂さん、さっそく惚気ですかー!?」

「ふぇ!? いいいいいやそそそそそんなこととと……………! あうあうあう…………」


その幸せというのは俺か?
俺のことだな?

「上条さん、目が怖いです……」

「ちょっとは自重しろこの類人猿、とミサカは回し蹴りを叩き込みます」バキーン

「ぐばぁ!! いきなりは卑怯だろ!」

「御坂さん、ホントにアレが御坂さんの……?」

「うん、馬鹿で変態でウニ頭だけど、いざって時はすごく頼りになるの」

そう言ってもらえるのは嬉しいが、その説明文にウニ頭って必要だったんですか美琴たん?

「そうなんですかー、でもウニ頭かぁー……」

「俺、売られた喧嘩は買うほうだよ?」

「年下の女の子に向かってなに言ってんのよ馬鹿!」

「だって! だって美琴たん!」

「たん言うなぁぁ!!」

美琴は能力を失ってるから少々は大丈夫、と思ってる時期が僕にもありました。
でも、美琴は能力を無くしてもなかなかの戦闘力を持っているようで。
ちぇいさー、という掛け声とともに側頭に回し蹴りを叩き込まれた俺は、今日3度目の気絶をすることとなった。


314 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:50:16.14






「おーいカミやん、大丈夫かにゃー?」

「おぉ土御門……、此処は……」

「神社の中の休憩所だぜい、女の子達はあっちでお参りしてるぜよ」

よかった、今回は長い時間気絶していたわけではないようだ。
土御門の指差すほうに視線を向けると、ちょうど美琴達が賽銭箱の前で柏手を打っているところだった。

「俺も行きますか……」

「新年早々災難だにゃー」

「あ、当麻、今から行くの? 賽銭ケチっちゃ駄目だからね?」

「あいよー」

賽銭箱の前にたどり着き、財布を開けて………。

………あれ?
そんなバナナ。
小銭が、小銭が500円玉しかない。
千円札しかない、どうしよう。

「…………仕方ない、500円。お願いしますよ神様」

なけなしの500円を放り込み、柏手を打つ。
何回だったっけ、まぁいいや。


315 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:51:08.78




「お守り。いまなら全部千円で。売ってあげられる」

「いらないよ、お守りなんて右手で触った途端に効果消えちまうだろうし」

「だったら。左手d」

「ねぇ上条さん、御坂さんとはもう?」

場所を休憩所に移してから数十分。
さすが女の子は話のネタが尽きないなぁ。

「俺はいつでも準備万端なんだけどな、美琴の嫌がることはしたくないからなぁ」

「あn」

「へぇー、さっきの見てるともう食べちゃったのかと」

「俺は飽くまで紳士なんですよー、ねー美琴たん」

「たん言うな、罰としてなんか飲み物買ってきて?」

「へいへい……」ドッコラショ

「ワタクシはアイスコーヒーでお願いしますわ」

「私はイチゴオレをお願いします」

「じゃあ私は抹茶オレで!」

「ミサカはカフェラテを」

「美琴は?」

「んー、じゃ、バナナミルクオレってやつ」

「了解しましたー」


………バナナミルク、なんかエロい。
製作者はもちろんわかったうえで販売してるんだよな?
アンタとはいい酒が呑めそうだ。

あぁいう果物+ミルク類は若い女の子に人気だそうな。
つまりそういうことだ。

316 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:52:30.25

「おっと……、一人で持っていくのは厳しいな」

「手伝うぜい、カミやん」

「おぉ、サンキュ。そういえば土御門はなんで此処に?」

「………取引がある。重要な、な」

「………初詣が終わったらさっさと帰ったほうがいいぜい、巻き込まれないようににゃー」


取引ね。まぁどうやら今回は俺達は関係ないみたいだし。
邪魔にならないように、コレ飲んだらさっさと帰るか。

「買ってきたぞー」

「あ、当麻!」

「ん、どした?」

「賽銭箱が盗まれたって……!」


……………はい?


「この休憩所はちょうど賽銭箱の死角になるのです、とミサカは補足しておきます」

「でも、いまこの神社には私達くらいしかいないのに……」

「ワタクシ達はずっと此処におりましたし……」


………え、ちょっと待って。
なんで皆の視線が俺に?
なんだ? 皆して俺にときめいちゃったとか?
いやいやいや、いくら貧乏な上条さんといえど、賽銭箱を盗むなんて罰当たりな真似は……!

317 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:54:52.08

「ち、違うわよ! 当麻はそんなヤツじゃないもん! ウニ頭だし!」

「そうですわね。しかし万が一ということも……、ウニ頭ですし」

「はぁ……このウニ頭……、とミサカは溜息を……はぁ……」

どうしよう土御門! 容疑をかけられた焦りと理不尽に罵られることへの怒りが爆発しそう!
一方通行がいればこの感情のベクトルも操作してくれるかな!?

「あ、ちょっと待ってくれ、“今回の相手”から電話だにゃー」

「あ、そう……」

「もしもし俺だ。…………………はぁ?」

「どうした?」

「カミやん、ここに来るまでにコインを見なかったか? 今回の取引の物で、重要なデータが入ってるんだが……」

おぉ、さすが腐れ縁。
見ましたよ拾いましたよ。
感謝しろよこの腐れシスコン。

「あぁ、それなら俺が拾っていま持ってるよ」

「よかった、アレひとつで学園都市全体がひっくり返りかねないシロモノだからな」

「たしか小銭入れに……」

………あれ。

「……………ない」

おかしいな。
確かに小銭入れに………。

――――――仕方ない、500円。お願いしますよ神様。

………ちょっと待ってくれ。
俺、500円玉なんて持ってたっけ。
持ってなかったよな。あはは。

318 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/24(クリスマスイブ) 23:56:46.42


「………………土御門」

「どうした?」

「………………寄付、しちまった」

「………………………は?」

「賽銭箱の中に……………」


次の瞬間。

土御門の口から放たれるはずだった怒号は、どこからか発せられた銃声によって掻き消されることになった。

「チッ……、敵方のテロリスト達だ!」

「みんな休憩所に逃げ込め!」


さすがは全員それなりの修羅場をくぐり抜けたつわもの達。
俺の声を聞くや否や、すぐに休憩所に飛び込んで身を伏せた。
直後、人のいない神社全体に銃弾の雨が降り注ぐ。

「バカだろオマエ! バカだろオマエ! 大事なことなので二回言いました!」

「うっせェ! 俺は気前よく500円神様にくれてやったつもりだったんだよ!」

「学園都市の機密データなんて高価なモノ賽銭にするなんてどうかしてるぞ!」

「あぁぁこれは夢だ夢なんだぁぁ!! ほら、ウニが二本足で歩いてる!!」

「愉快に現実逃避してんじゃねぇ! さっさとコインを取り戻してこい!」

「ちょっと当麻! いったい何が起こってるの!?」

「俺に聞くなぁぁ!!」


銃弾は幻想殺しじゃ消せないってのに。
美琴は能力使えないってのに。


―――――どうする、上条当麻。


320 :Are you enjoying the time of eve? :2010/12/25(土) 00:00:51.80


上条さんは変態じゃなくて変態という名の紳士だったか
321 :Are you enjoying the time of eve? :2010/12/25(土) 00:01:50.34
いいな、凄くいい。
変態ウニ頭と美琴の距離感が凄くいい。
336 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:38:04.67


1月3日、午後3時過ぎ、今日の天気は。


……………晴れ時々多量の鉛。


「なぁ、さっき巫女さんっぽいのを見た気がするんだが……」

「それ。わたsガガガガ……」

「あぁ!? 聞こえねぇ、なんだって!?」


随分と平和な会話だが一般人から見るとこの状況は決して日常的ではない(たぶん)。
科学の結晶である学園都市とはいえ、神聖な場所である神社に銃弾の雨が降らせるなど、罰当たりにもほどがある。


「やけに落ち着いてるが、なんか対策でもあんのか土御門?」

「対策? そんなもの必要ないぜよ」

「あぁ、やっと死ぬ気になったんだな。でも出来れば俺達は巻き込まないでほしかった。ほら、ちょっと足を一歩踏み出すだけで胸いっぱいにアツアツ新鮮な鉛を吸い込めるぞ?」

「一方通行もだけど、なんか最近みんな毒舌がキツイにゃー。グサグサくるぜい」

「ちょっと、アンタ舞夏の兄なんでしょ!? 一般人がなんでこんなやっかいごと持ち込んでんのよ!?」

「俺から見れば、君達のほうが一般人なんだがにゃー……」


その一般人をこんなベリーハードな状況に追い込んでるのはどこのどいつだ? ん?
いや、そんなくだらない話をしてる場合じゃない。今まさに降りかかっている銃弾はこの休憩所の屋根や壁をどんどんえぐりとっていく。
土御門本人は出来るだけ魔術を使うわけにはいかないし、美琴はいまや無能力者。唯一役に立ちそうなのはレベル4の白井くらいだが、これほどの相手には太刀打ちできまい。

337 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:39:06.53


「ほんとに落ち着いてるな、おい」

「心配ないにゃー。なんせこっちには学園都市が誇るレベル5、“超電磁砲”御坂美琴様がいるんだぜい? これくらいの相手なら一瞬で倒せるはずだにゃー」

「は?」

「ささ、御坂様、ちゃちゃっと頼むぜい」

「え、いやだから、私はもう能力は使えないって…………」

「………………」


「そうだったぁァぁぁぁああぁあぁぁああああーーーーーーー!!!!!!」

「えぇぇえええーーーーー!!!!??」


突然頭を抱えて膝をつく学園都市が誇る三馬鹿の一角。ねぇコイツ、どうやって殺そうか。
頭を抱えたくなるのはこっちだっつうの。
あぁ、美琴の眼差しがいい感じ。そのジト目はいろいろと情欲を誘いますいやそんなことより…………。


「バカだろオマエ!! バカだろオマエ!! はい、大事なことなので二回言いました!!」

「よし、とりあせず落ち着こうカミやん!! これはたぶん夢だ!!」

「テメエも現実逃避してんじゃねえか! よしわかった!! 土御門、オマエがおとりになってとりあえず死ぬ、これでどうだ!?」

「もう少し現実的な意見を頼む!!」

「わかった!! とりあえずテメエがおとりになれ!!(ゲシッ)」

「おおおーーー!!?」


とりあえずこのどうしようもない馬鹿を休憩所の外へ蹴りだす。
しかしソイツはゴキブリのようなスピードで戻ってきた。チッ、すぐにドアを閉めるべきだったな。
耳元でゼエゼエと息をしながら文句をたれる役立たず陰陽師。非常に耳障りだ。

338 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:40:36.17


「おいおいおいおい!! ホントに死ぬとこだったぞ!!」

「ギャグ展開だ、どうせ死なねえよ」

「ちくしょう、アニメで培った俺のクールさが……」

「しかし、こんなに派手にドンパチやってんのにアンチスキルの一人も来ないのはおかしいな」


新年早々こんなに大々的に爆竹を鳴らす家なんてないだろう。
今は銃で済んでいるが、いつ重火器を持ち出してくるとも限らない。
こういう敵にはアンチスキルもそれなりの仕事をしてくれるはずなんだが………。


「あぁ、ステイルが人払いのルーンを貼っているからな」

「は? ステイルが近くにいるのか? だったら早く救援に……」

「いや、帰った」

「帰った?」

「なんでも小萌先生に映画に誘われちまったんだってよ、強引に」

「電話しろ。今すぐ」


おいおい、小萌さん、いい仕事してくれますね。
タイミング良すぎですよホント。神社に誰もいなかったのはそのせいだったのか。
大方、美琴の友人達はそのルーンが貼られる前から神社にいたのだろう。俺達が普通に神社へ来れたのは、おそらく俺の右手のおかげなんだろうな。
ちくしょう、今回もいい具合に不幸を運んでくれたようだ。


「もしもし、ステイルか? 今すぐ戻って……………、はぁ?」

「なんだって?」

「カナミン死ぬほどおもしれぇ、だってよ」

「電話かせ」

「はいよ」

339 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:42:21.77

「もしもし、とっとと戻って人払いのルーンを外せ。さもないとインデックス放ったらかしてロリとイチャコラしてたって神裂に言うぞ」

『な……! それはやm(バキイ)』

「おぉぉいカミやーん!!!」


返事を待つことなく、携帯を反対折りして通話を切る。
これでステイルは戻ってくるだろう。あとはどうやって時間を稼ぐか。
それに、コインも取り戻さなくてはならない。


「賽銭箱の窃盗のほうは任せてください、とミサカは提案します」

「おお、そうか! 妹達がいたか!」

「お姉様の一件でいま学園都市には百体以上のシスターズがいます、そのチカラを使えば賽銭泥棒などすぐに捕まえられるはずです」

「よし、頼む。中に入ってるコインが大事なモンなんだ」

「了解です、ミサカネットワークを使って学園都市内にいるミサカ全員に通達します。感謝しろよこの役立たず、とミサカはかつての想い人に蔑みの視線を送ります」

「うぐ……!」

「ははは、たしかに近代兵器が相手じゃカミやんは役立たずだにゃー」

「テメエにだけは言われたかねえよこのシスコン魔術師ーー!!」

「二人ともやめなさいって………!!」


冷静を欠いた俺達の間に美琴が割って入る。
その時突然、ひっきりなしに続いていた銃弾の嵐が途絶えた。

「いよいよか……」

(新手が来るか………?)

340 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:43:55.33

辺りが静寂に包まれ、皆それぞれが神経をとがらせる。
白井は初春さんと佐天さんを壁際に寄せてそれを塞ぐようにして針を構え、俺は隣で不安そうに見つめてくる美琴を己の身体で包むように抱きよせた。
土御門の顔には、今までのような軽さは見られない。


「カミやん、いざとなったら俺がおとりになる。その間にこの休憩所を出て東へ走れ。人払いのルーンとの境界線が一番近いところだ。あと白井……、だったか、もしもの時はその子達を頼むぞ」

「………お前はどうするんだ」

「……一般人を巻き込んでしまった責任ってやつだ、後は頼む」

「土御門………」


「はーい、話し合いは終わりましたかァー??」


扉が開かれ、不愉快な声が部屋全体に響いた。
迷彩服を着込んだ数人の男達と共に休憩所に入ってきたその男は他のテロリストと違い、黒いローブを着こんでいる。こいつは………。


「……魔術師か」

「そうだよォー? 銃撃ばかりだったからただの武装集団と勘違いしちゃったかなァー??」

「いちいちムカつく喋り方すんな、テメエ」

「ふん、知っているんですよォ? 幻想殺しと言われるその右手、“この世の現実”に対してはまったくの無力であるとねェ??」

「そうだな、だがテメエみてえなムカつく魔術師には絶大な力を発揮してくれるんだぜ?」

「おっと」


俺が拳を握り込むのと同時に男が手を挙げ、それを見たテロリスト達が銃の照準を定めなおす。
どうやらこの男がこのテロリスト集団の頭のようだ。
ちくしょう、銃が相手じゃ俺はただのガキでしかない。
この際、腕の中でかすかに震えている美琴だけでもなんとかして逃がさなければ。

341 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:47:14.58

「ほォ、どうやらその娘をよほど大事に思っているようですねェ??」

「んだと?」

「そこの娘、こちらへ来なさい」

「な………! テメエ!! 美琴に手を出すんじゃねえ!!」

「来ないのならば、この場で皆殺しにしてブツを奪い取るまで、ですよォ?」

「く……!」

「出来ればそんなことしたくないんですけどねェ……、死体の処理って大変ですからねェ?? ヒャハハハハ……!!!」

「頭イカレてんぜこの野郎………」

「当麻、私………」


話を聞いていた美琴が、俺の腕の中から顔を出した。
まさか、言うとおりに人質になる気なのか。


「だめだ、行くんじゃない」

「お姉様!」

「…………みんなの、ためだもん」

「美琴………!」

「御坂さん……」

「ふふ、さすがは学園都市が誇るレベル5。他のガキどもとは違って頭がいいようですねェ?」

「私を知ってるんだ? じゃあアンタ達全員、私一人で簡単に倒せるってこともわかるわよね?」

「えェ知ってますよォ? 今は能力を失って無能力者同然だってこともねェ……??」

「く……!」

「一応縛っておきなさい、暴れられると面倒ですからねェ?」


目の前で美琴の身体に縄が巻かれていく。
おい、俺を差し置いて緊縛プレイだなんて、いやその、亀甲縛りでお願いします、でもなくて。
俺と美琴はまだアレもまだなんだぞ? とてつもなくピュアな仲なんだぞ? こんなところで一切合財奪われてたまるか。

342 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/28(火) 23:50:19.69

「………おい、土御門」

「なんだ?」

「……さっさとおとりになれよ」

「えっ、このタイミング?」

「テメエ自分から進んで囮になるっつっただろ! 女の子を助けて殺すだなんて、このうえない名誉だろうが!!」

「女の子だけならなぁ!! 残念ながらカミやんも含まれてる時点で“女の子を助けて成仏END”は成り立たねえ!!」

「んだと!? 美琴じゃ不満だってのか!!? だったらテメエにはもう“カッコつけてイイトコ見せようとしたけど、要領悪くてイタイ死にかたになっちゃった☆END”しか残ってねえなあ!!」

「いやいや“仲間を失った孤独を背負う一匹狼END”も残ってる! だいたい人払いのルーン張ってるっつうのに入ってきたカミやんが悪いんだろ!!」

「あぁ!? もとはと言えばテメエの取引相手がコイン落としたりするからだろうが!! だいたい今回の取引相手って誰だよ!!?」

「それは機密だから言えねえな!! 言っちゃうけどな!!」

「おォ言えよさっさと!!」

「……麦野沈利」




「…………………………………はい?」

その瞬間、目の前を見覚えのある電子線が通り抜けた。
それを追って視線をずらすと、着弾点と思われる場所には既に数人のテロリスト達が倒れ伏している。


「なーにやってんだよ、超電磁砲」


この方こそ、学園都市230万人の頂点、7人しかいないレベル5の第四位。
通称“原子崩し(メルトダウナー)”。


「なんか、か弱いオンナノコっぽくなってんじゃん」


麦野沈利サマ………。



続く

345 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/29(水) 01:38:32.63
乙!
なんかギャグなのかシリアスなのかよく分からなくなってきたなw
351 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/30(木) 23:45:49.99




「アンタ本当に超電磁砲? なんでそんな奴らにお縄もらっちゃってんのよ」

「私は能力使えないんだってば! 言ってる暇あんなら助けてよ!」

「ほぉー、第三位様が第四位に助けを求めるなんてねェ……」

「それいつまで引きずってんのよ!」


突如あらわれた学園都市の第四位、麦野沈利。
今回の土御門の取引相手ならばおそらく俺達を助けてくれるはず。………だと信じたい。
この暴君の登場は魔術師達にとって望ましくない展開だったようで、一通り美琴の麦野の会話?を聞き終えた魔術師は小さく舌打ちをした。


「チッ……、第四位も到着してしまいましたか」

「へー、私のことも知ってんのね」

「知ってますよォ? 攻撃力だけなら第三位にも勝るとも劣らないとさえ言われる“原子崩し”麦野沈利。
 あらゆる障害物を無視して放たれる電子線は学園都市の上位2名を除いてすべての事象を破壊し尽くす………」

「最後のほうの説明は気に入らなかったけど、まあそんなところね。アンタ達も例外じゃないのよ?」

「………撃て」


麦野の挑発に、テロリスト達は銃弾の嵐で応対する。
しかしこれくらいの“常識的”な攻撃で倒れるレベル5ではない。
テロリストの持つ銃器から放たれた銃弾はすべて、彼女に辿り着く前に文字通り“消滅”していた。
麦野の表情が、怖い。口の端を吊り上げ、まるで般若のような……、いったいどっちが悪役だかわからなくなる。


「おもしろい、私に真っ向から歯向かうつもりね。2人とも!! やりたい放題よ!!」

「「了解(です)!!」」


そうやら麦野は一人ではなかったようだ。
どこに隠れていたのか、見覚えのある金髪の少女と背の低いロリッ子まで飛び出してきた。

352 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/30(木) 23:47:11.66


「チッ! 応戦しなさい!!(ぐいっ)」

「きゃ………!」

「美琴!」


麦野達一行とテロリスト達が入り乱れての大混戦の中、魔術師は美琴を連れて……………、消えた。
どこかの物陰へ隠れたとかではなく一瞬で。あれも魔術なのか?
まずい、俺の右手が魔術を無効化出来ても、見えないのでは対処が出来ない。
だが、美琴はあくまで人質。すぐに危害を加えたりはしないはずだ。
と、思案している間に人払いのルーンを解除し終えたのか、赤髪の不良神父が戻ってきた。
……………ん? その後ろにもう一人、白い物体が……。


「とうま!」

「インデックス!? なんでこんなとこに……!?」

「僕が連れてきたんだよ。それより、人払いのルーンを一部解除しておいたぞ」


インデックスとステイルを休憩所の中へ引き入れる。
そうだ、人払いを解除したのならもう脱出は出来るはずだ。
外は相変わらずアイテムとテロリスト達の戦闘が続いているが、白井ならそれくらいテレポートで飛び越えられるだろう。


「よし、白井。初春さんと佐天さんを安全なところへ頼む。そのままアンチスキルを呼んでくれ」

「わかりましたわ。絶対にお姉様を取り戻してくださいな」

「あぁ、当然だ」


二人の手を取り、休憩所から消える白井。これで一般人の避難は出来た。
しかしステイルはなんでインデックスをこんな危ないところに連れてきたんだろうか。


「奴の正体はもうわかってる。反学園都市組織に所属するハグレ魔術師の一人、通称“霊装写し(コレクター)”だ」

「コレクター? なんだそりゃ」

「………聞いたことがある」


おっと土御門、テメエ今までどこに……、いや今はそれどころじゃない。

353 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/30(木) 23:49:48.45

「そう、本人のチカラは大したことないんだけど、色んな道具を自分の手足のように自由自在に操るんだよ」


インデックスの説明によると、霊装写し本人は決して強い魔力は持っていないのだが、モノの“複製”を作るのが非常に得意なのだそうだ。
もちろんここで言う「モノ」とは、魔術関係の武具や道具などのことである。そしてそれらを自由自在に扱い、格上の魔術師すら倒してしまう厄介なハグレ者。
ちなみになぜ“ハグレ者”と呼ばれるのかと言うと、特定の宗派を持たない魔術師をそう呼ぶことがあるのだとか。


「じゃあ、さっき一瞬で目の前から消えたのは………?」

「おそらくプルツヘイム、ハデスの兜とか呼ばれているやつかな」

「ハデス?」

「ギリシャ神話に登場する新世代の神々の長、ゼウスの長兄にあたる冥界の王だ。
 単純に“死”や“あの世”のことを差す単語としても使われる。本物はもちろん並みの人間に扱える代物じゃない」

「へぇ、けっこう有名どころの武器をコピーしてんだな」

「有名なものっていうのは、それなりに強いチカラを持っているからレプリカでも十分な能力を持ってるんだよ。
 そうやっていろんなところに伝わる霊装をコピーしていってるから、どこの宗派にも属さないのかも」

「へぇ……」


って、そんな呑気に談義でしている場合じゃない。
美琴を助けだしてコインも取り返さなければ。…………アレ(コイン)ってやっぱりかなり重要なもんだったりすんのかな。

「重要も重要。見つからなかったら本気で切腹することになるな」

「落としたのは麦野達なんだろ?」

「連帯責任ってやつだにゃー………」


暗部モードなのにニャー語が出ている辺り、けっこうマジでやばいのかもしれない。
え、これギャグ展開なんだよね? 違うの?
じゃあ美琴をあの変態ロリコン魔術師の近くに置いておくのはかなりまずいんじゃないか。


「賽銭箱泥棒を捕捉したようです、とミサカは報告します」

「おぉ、それで?」

「……………この神社に追い込んだようです」


事態は着実に混乱を極めていく………。

354 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/30(木) 23:51:17.03





あの一件以来、能力を失ってしまった。
途方もない努力の末、手に入れたレベル5というチカラを。
それでも、もう一度アイツと歩いて行けるなら、それならばどんなモノでも捨てる覚悟はあった。

でも………。


「やっぱり、私は当麻の足手まといになっちゃってるよね……」


能力があればあんな奴ら一瞬で片づけられるのに。
能力を持たない私はただの女子中学生。戦闘訓練を積んだ男達に勝てるはずもない。


「おい、べらべら喋ってんじゃねえ」

「うっさいわね、麦野さん達が暴れまわってるんだから、これくらいの声聞こえやしないわよ」


私をさらってきたリーダー格の男は、一人の部下と思われる男に私の見張りを押しつけて戦場へと戻って行った。
コイツだけなら、なんとか倒せないだろうか。
しかし、コイツも訓練を積んだテロリスト。なかなか隙を見せてくれない。


「妙な真似すんじゃねえぞ、テメエ殺したとこで俺達は損なんてないんだからな?」

「く……!」


あんな奴らに当麻達と麦野さんが負けるとは思えない。それはコイツらもわかってるはず。
このままでは私は人質にされてしまう。そうなれば当麻は………。


「へへ、なかなか可愛いじゃねえか、殺すにゃ惜しいな」

「ちょ、ちょっと顔寄せないでよ、息臭い……」

「強気な女をヤんのもなかなかあばばばばばばばばばばb!!!」


突然、男が泡を吹き出し倒れてしまった。
今のは電撃? でも、私は能力なんて使ってないし、使えないし……!
それに妹達もこの場所はわからないはず……。
それに倒れた男の背後から現れたこの人は………。

355 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/30(木) 23:54:50.75

「いまのうち。はやく逃げて。」

「アンタは……」

「私は。ただの通りすがりの魔法少女。近づいても気付かれないのも。私の能力なの」

「そ、そう………」


どこからか取り出してきたハサミで私を縛っていた縄を切ると、またどこから取り出したのかゴツイ警棒を構えた。
どっかで見た気がするんだけど……、気付かれないのって能力とかじゃなくて……。


「それ以上考えないほうがいい………」

「ごめんごめんごめんって!! それにありがとう! よし、すぐに当麻のとこに……」

「待って。いまは戻らないほうがいい」

「へ?」

「いまの貴方は。…………足手まとい」

「………!」


……確かに、その通りだ。今の私が戻ったところで、なんの力にもならない。
それどころか、またみんなの足を引っ張って………。


「お姉様!」

「え? あ、10032号……」

「すぐにこの機械を付けてください」

「なに、これ?」

「ミサカネットワークにお姉様の脳を繋ぐためのデバイスです」

「ミサカネットワークに? なんで……」


「お姉様の能力を抑えているリミッターを、………解除します」


続く
368 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 22:55:59.52


数十分後、賽銭箱を盗んだ不良達が呟いた一言。


「誰だよ、こいつら……」


1月3日、午後3時半。


俺の目の前では相変わらずアイテムとテロリスト達の戦闘が続いている。
本来、銃器しか持たない男達が相手ならばレベル5である麦野沈利の敵ではないと思うのだが……。
ならばなぜこんなに時間がかかっているのかというと………。

「オラオラァァ!! 男のくせにちょこまか逃げ回ってんじゃねェよ三下ァァ!!」

「ひぃぃ……!」

「安心しなァ、今回コロシは御法度になってっから、命だけは助けてやんよォ。
 その代わり、どっか潰しとかなきゃ逃げられちゃマズイからねェ。
 どこにする? 腕? 脚? あ、目ん玉いってみようか!! 脳みそまで抉っちゃったらゴメンねェ!!? ヒャハハハハ!!」

どうやらこの状況を楽しんでおられるようで、さきほどから反撃出来なくなった敵を一人一人丁寧に刻んでいるようです。
しかしこの女、どこぞの魔術師も顔負けの悪役っぷりである。
え? 俺達の助っ人なんじゃないかって? 他人ですよ、他人。こんな悪人が知り合いなわけないじゃないですか。たぶんね。
そして既にテロリスト達の大半は戦意を喪失しており、一方的な鬼ごっこが続くだけ。
気付けば最初麦野とともに出てきた二人の少女も、戦いに巻き込まれないよう(というか麦野の“遊び”に巻き込まれないよう)にと、ちょこんと俺の影に隠れていた。

「こうなった麦野は止まんないんだよ……」

「ウニ頭さん、原子崩しが来たらその超便利な右手で弾いといてください」

「いや、俺は美琴を助けに行かないと……」

とはいえ、あの原子崩しの弾幕を通り過ぎる頃には俺の身体は右手を残してこの世から消えていることだろう。
童貞のまま死ぬのはどうしても避けたい………。ていうか流行ってんのか、ウニ頭という呼称は。

…………………おや?

369 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 22:56:51.81

「……? どうしました? 麦野のほうを超ガン見して……?」

「ハアハア、麦野の揺れ乳は最高なわけよ……」

……どうやらこの金髪の少女と俺は気が合うらしい。年上、巨乳というルックス的には俺の趣味どストライクの麦野沈利。
この惨劇を見る限り、性格は受け付けないところがあるが見てくれだけならこの上ない逸材である。

「あ、麦野、後ろ!」

「おっと!!(バシュッ!)」←※原子崩しの発射音。

「今度は超右です!!」

「超右ってどんくらい右なのよ!!(バシュッ!)」

「むぎのん! 左!」

「むぎのん言うんじゃねェウニ頭ぁぁあああああああ!!!(バシュゥッ!)」

「うぎゃあああああ!!?」

危うく新年早々、冥土に渡るところだった。ていうか俺の時だけ出力が若干あがってなかったか?
ちくしょう、このうえなく自然な流れで右から左に揺れる巨乳を見られるはずだったのに。
いいじゃないか、むぎのん。可愛いし。あといつから俺の名前はウニ頭になったんだ?

「へぇ、当麻は麦野さんみたいな巨乳が好きなんだ?」

「えぇ好きですよ、年上で巨乳。見た目だけならパーフェクトですね」

「パーフェクトねぇ……」

「ちなみに今も左に敵はいなかったのですよ。でも敵がいるとは言ってないから嘘にはなr………」

「ふーん、私というモノがありながら贅沢なもんね当麻………」

警告音がする。俺の頭の中で赤色灯が猛烈な勢いで回り出した。
土御門は。土御門はどこに行った? いまこそ囮になる時だってんのに。
あ、アイツ休憩所のなかで妹の写真に祈りを捧げてやがる。祈ってる暇あんなら命削ってでもテロリストに対抗しろクズ陰陽師。
そうだ白井は、白井ならテレポートでここから脱出……。ダメだ、白井はとっくに離脱したじゃないか。

370 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 22:57:48.28

そうだ、美琴は甘えん坊だから頭を撫でながら笑いかければ誤魔化せるはずさ。

「よし、落ち着こう。ほらほら、夢なんか見てる場合じゃないぞステファニー」

「なに神木に話しかけてんのよ」

あれあれ。滝のように流れる汗で前が見えない。やけにゴツゴツしてると思ったら木だったのか。
ガサガサゴリゴリしてて肌荒れなんてレベルじゃないぞなんて言いそうになっちゃったよ。
HAHAHA、俺としたことがクールさを失うなんて。

「あぁそっちにいたのか、いやこれは決して浮気とかではなくてだな」

「歯を食いしばりなさい」

冷や汗が止まらない。冬の寒さと相まって激クール。というかステファニーという、とびきりファニーなジョークにはノーコメントを貫くんだな。 
いや、そも考えてみれば今の美琴は能力を使えないはず。なら大丈夫だ。
女子中学生の打撃技の威力なんてタカが知れている。

「や、やぁ美琴さん。奴らに捕まっていたのでは……?」

「また能力使えるようになったから、此処に来るまでに出会った奴はみんなやっといた」

「アレレレレレレレ? ノノノ能力復帰シタノ? オ、オメデトウゴザイマス美琴サン」

なぜだかわからないが美琴たんの能力は戻ったみたいだ。
でも、他ならぬ俺を殺そうなんてことはしないはず。だって俺達は恋人同士なんだから。

「……この際、なんで二度と能力使えないなんて嘘ついてたのかは言及しないであげる。
 でも、浮気性な当麻にはちょっとだけゆで卵の刑ね?」

「ゆで卵? それで許してくださるんですか?」

ゆで卵の刑か。もしかして塩無しでいくつものゆで卵を食わされるというアレか。
だが、スーパー貧乏な上条さんを甘く見られては困る。
ゆで卵など喉に詰めて窒息どころか、数日分のタンパク源として自ら進んで食おうじゃありませんか。

「うん、電子レンジで温められた生卵みたいにしてあげる」

どうやら今日が俺の命日のようだ。

「黒子ー、当麻の右手、抑えといてねー」

「了解ですの、お姉様(ガシッ)」

「あれ、白井さん? いつ御戻りになられたので?」

「つい先ほどですの。アンチスキルはもうすぐ到着するはずですから安心してくださいな」

371 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 22:59:04.71

「そそそうか、じゃあ此処は麦野達に任せてアンチスキルを出迎えに……」

「上条さん…………」


―――――――地獄に堕ちろ、この類人猿。


「悪魔だ! 悪魔がいる! 悪魔が俺を暗闇の底にいざなってるよ!!」

「往生際が悪いですわよ上条さん!!」

「童貞のまま死ねるかァ!! 美琴の痴態を見るまではぁぁ!!」

「大声で言うなこの馬鹿ーーーーー!!(バチバチバチィ!!)」

「うぎゃあああああ!!」

確実に人を殺せるほどの電撃が襲いかかってくる。
少しでも触れれば体中の血液が沸騰してボン、だ。俺の愛する美琴たんはいつの間にこんなに残忍な子になっちゃったんだろう。
もしかしてアナタを殺して私も死ぬってやつか? 最近ツンデレのツンの部分が少ないと思ったら、ヤンデレになっていたのか。

「…………あ」

人生が終わるか否かの瀬戸際で、転がっていた小石に躓いてしまった。
ダメだ。終わった。やっぱりあの時、爆発なんか無視して美琴を食ってればよかったんだ。
さっきコインを賽銭にして神様に願ったばかりだったのに。


…………ポフッ。


372 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 22:59:59.09



………………………あれ? 

電撃がこない。
それになんか暖かくて柔らかいモノに包まれているような……。

「こ、この類人猿………!」

「麦野さん………」

……なんだろう、俺の頭を優しく包むこの柔らかな物体は。
少しだけ、顔をあげてみると。

「テメエ………」

そこにあったのは絶賛殺戮中の麦野沈利の御顔。
…………つまり、この豊満な二つの物体は……。

「麦野を押し倒すなんて、超度胸ありますね」

「ちちち違う!! こ、これは石に躓いて……!!」

「あっ……! う、うごくな……んっ……!」

「すすすみませんむむむ麦野様!! いますぐ退きますんで……!!」

「当麻………」

「はっ!!」

やばい、我らがお姫様の怒りのボルテージがやばい。
いやですね、これはですね、いや確かに少しはラッキーだとか……いやその……。

「テメエ………コロス……」

こちらもやばい。いくら俺といえど、レベル5二人を同時に相手にするのは……。

そんな時。


「ちくしょう!! なんだよアイツら! 同じ顔が何十人も!!」


賽銭泥棒と妹達が合流した。


373 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 23:01:07.43






その頃、休憩所の中では……。

「本当に大丈夫なのかい? 幻想殺しの手には余るんじゃないのかい?」

「大丈夫だにゃー、なんならステイル、お前が助太刀に行ってもいいんだぜい?」

「遠慮しとくよ、さっきから馬鹿馬鹿しい会話しか聞こえてこないしね」

「お腹すいたんだよ……」

外の戦闘を尻目に高みの見物をしているのは、土御門、ステイル、インデックスの三名。
土御門は妹の写真を握りしめ、ステイルは煙草を吸いながらルーン作成、インデックスは空腹で床にへばりついて……。
まぁ、一言でいえば緊張感が皆無なのである。

そこへ……。

「見つけましたよォ?? さぁ、さっさとコインを渡しなさい」

「げっ、見つかったかも」

「生憎だがにゃー、俺達はコインを持っていないんだぜい。持ってたらとっくに騒動に紛れて逃げてるっての」

「はァ?? ならばまだあの原子崩しが持っているんですかァ??」

「ま、そんなとこだな」

「そうですか、ならば貴方がたにはもう用はありませんねェ」

そう言って、ごそごそと大きな棍棒のようなものを取り出す魔術師。
三人は互いの顔を見合わせ……。

「ステイル、まかせた!!」

「いいだろう、塵はt(ドカッ!)ぶべら!!」

「ステイル! この犠牲は忘れないんだよ!」

「この状況で長ったらしい詠唱するなんて馬鹿かアイツ………」


374 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 23:02:20.72



「お姉様、そいつらが賽銭箱泥棒です!!」

三人ほどのスキルアウトと、それを追ってわらわらと神社に入ってくる妹達。
ちなみに既にこの場所ではテロリスト達との攻防戦と、俺と二人のレベル5との熱い攻防戦が繰り広げられている真っ最中。
このうえ賽銭箱ドロが混じったら……。

「あー! アナタは幻想御手の時のカメレオン男ですの!!」

「あー! テメエはビルぶっ潰した風紀委員!!」

どうやらまたも知り合いとの邂逅があったようだ。

「反省したと思いきや、今度は賽銭泥棒とは……。風紀委員として見過ごすわけにはいきませんわね」

「………へっ、あれから俺もレベル4になったんだぜェ? 簡単には負けねえよ……」

「白井黒子さん、その男、ミサカ達の手に余るので御助力をお願いします」

「当然ですの」

はい、今度は高位能力スキルアウトvs白井+妹達が始まった模様です。

「当麻、今度は妹達にも色目使おうっての!?」

「よそ見とはいい度胸だなァ、ウニ頭ァ!!」

「……隙アリ!」

「うっせェ、テメエら屑テロリストはお遊戯でもしてろォ!!(バシュッ!)」

「うぎゃあああ!!」

詳しく実況したいが、いまは美琴と麦野の攻撃を防ぐのに精一杯だ。
途中に一瞬だけテロリストが出てきたのでわかると思うが、未だテロリスト達との攻防も続いているのである。

そして。

「カミやん! こっちも頼む!!」

「とうま! とうまの出番なんだよ!」

恥知らずな陰陽師どもが休憩所から魔術師を率いて飛び出てきた。

375 : ◆aP6AvzX03I :2011/01/04(火) 23:03:40.48

「当麻! おとなしくゆで卵になりなさい!」

「ウニ頭ァ! 私の身体弄っといてタダで帰ろうってのかァ!?」

「盗んだ賽銭はいりません、中に入っていたコインを返せばまだ生き残る余地があります、とミサカは……」

「へっ、攻撃さえ当たらなければどうってことねえんだよ、いつかみたいに崩すビルも無えしなァ」

「なかなかやりますわね、ですが風紀委員としてアナタを放ってはおけませんわ!」

「麦野、コインも超探すべきでは……」

「テロリスト達は。私にまかせて」

「な、なんだこの巫女、どっから現れあばばばばばばば!!」

「さァ、私がなぜ霊装写しと呼ばれているかをたっぷりと……」

「ちょっと待って! いまそれどころじゃ……!」

「お姉様の危機と聞いて、とミサカ16820号も合流します」

「ちくしょう、テメエが賽銭盗もうなんて言うから……!」

「むむむ、霊装写しでも、ほぼすべての魔術に精通してる私がいれば……」

「結局、麦野は一度暴走したら誰にも止められないわけよ……」

「バカテス二期楽しみだなぁ」

「カミやん、アイツが今持ってんのは……」

「お姉様、能力が戻ったのなら……」

「カメレオン男! 大人しくお縄に……」

「当麻、大丈夫だよ、優しくしてあげるから……」

「盗んだ賽銭戻せば……」


「あああああああテメエらうっせぇぇぇぇええええええええええ!!!!!!」


続く
399 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/02/11(金) 00:02:26.96


「だいたいな、まずお前ら誰と戦ってんだ!!?」

「当麻」

「ウニ頭」

「幻想殺しですねェ」

混乱を極めた現状を打破しようと投げかけた言葉は、たった三秒も経たずに元の場所へと戻ってきていた。
ちくしょう、これを機会に向けられた殺意をどこかに転嫁しようと思ったのに!

「違うだろ! ちょっとだけ、ちょっとだけでも俺の話を聞いてください!!!」

そう言いながら手慣れた土下座を素早くこなし顔をあげると、目の前には槍があった。
おそらく魔術師の腕から放たれたのであろうその槍は既に回避不可能な位置に存在し、その運動エネルギーの発散をいまかいまかと待ちわびている。
それでも身体に染みついた戦闘の記憶からだろうか、俺は無意識のうちに身体を捩り、回避運動を開始していた。
だが、到底間に合わない。あとわずか、当たる―――――!

「私の当麻に手ェ出してんじゃないわよ!」

突然視界に紫電が走り、眼前へ迫っていた槍を包みこみその動きを止めた。
―――否、止まってはいない。その物体の運動エネルギーは明らかに増大している。
そう、逆の方向へと。

「な………!!!」

当然そのようなことを予想していなかったのであろう魔術師は、自分が放った時分よりもさらに破壊力の増した槍撃を受けることとなる。
が、そこは不殺を掲げる美琴のこと。槍は直前で僅かにその軌道を変え、放心している魔術師の顔を掠め背後の灯篭に突き刺さっていた。

「な……! ななな………!」

「アンタ、まさかこの程度のチカラで私達に喧嘩売ったわけじゃないわよね?」

「グ、グングニルだぞ!? そんな、ただの電気ごときにィ……!」

言い終わるが早いか、魔術師の足元に円状の魔法陣が現れ、境内の砂地を漆黒に塗り潰してゆく。

「なァにが科学ですかァ!! 太古より人間が培ってきた魔術が、そのようなものに遅れなどォ!!!」

魔術師が掲げていた右手を振りおろしたのと同時に、魔法陣の内側に存在する灯篭、木々、石畳、建物の全てが浮き上がり、さらにその質量を武器として加速し美琴へと襲いかかった。
避けられる速さではない。助けなければ、と手を伸ばすが当然届くはずもない。
しかも美琴は…………、微動だにしない。

400 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/02/11(金) 00:04:15.37

「美琴!!!」

ゴキ、という鈍い音が鳴り響き、同時に衝突の余波が砂を巻き上げ視界を奪う。
数瞬の後、砂埃の収まった視界に現れたのは……。

「ただの電気……?」

「な……なぜ………!?」

「魔術だかなんだかよくわかんないことばっか、私も言わせてもらうけど」

美琴は動いていなかった。
先程までとまったく同じ場所にまるで仁王のごとく立っている。
あれほどの物体の衝突を、動かずしてただ砂鉄を操るのみで受け止めたのだ。

「私は、レベル5よ」





魔術師達の騒動から少し離れた鳥居の下では、別の戦闘が続いていた。

「チッ……! 以前よりも腕を上げてますわね…!」

「逃げんじゃねえぞジャッジメントォ!! テメエは俺がこの手で! ズタズタにしてやんだからよォ!!」

白井黒子は苦戦していた。
相手はカメレオンのような顔をした、『偏光能力(トリックアート)』を操るスキルアウトただ一人。
しかしスキルアウトとはいえその男は既にレベル4の大能力者でしかも喧嘩慣れもしている厄介な相手。

「アナタ…、それほどの努力が出来ますなら、もっと正しい方向に能力を使ったらどうですの!?」

「くだらねェなァ、そんなくだらねェことなんかしたとこでよォ、なんか俺に得があるってのか!?」

「まぁたしかに得はありませんけども……」

黒子は先程から防戦一方である。
相手の位置を演算に組み込むテレポーターにとって、光を捻じ曲げる偏光能力は天敵と言っていいだろう。

401 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/02/11(金) 00:05:33.11

(しかし偏光能力は攻撃能力を持たず、奴の攻撃はナイフを振り回すだけの一辺倒なモノ。テレポートで逃げている間は大丈夫ですわ。それより問題なのは……)

黒子が相手の攻撃をかわしながらチラリと視線をやったのは、休憩所の近くでなにやらモゾモゾと動く同じ容姿の女子中学生達。
そう、先程スキルアウト達とともにこの神社に入ってきた妹達(シスターズ)である。
いくらかの妹達はスキルアウトの中でも簡単に倒せなかったキツネ目の男と戦闘中であり、残りの妹達はというと…。

「アナタ達、まだ見つかりませんの!?」

「もう少し、もう少しだけお待ちください、とミサカは捜索を続けます」

取り戻した賽銭箱をぶちまけ、数十人がかりで件のコインを探していた。

(レベル3といえど、偏光能力に対しては相性の良い能力だと思うのですけれど……、コインが見つかるまではなんとか持ちこたえなければ……!)

偏光能力が実際にどういうものなのか、推測でしかないがおそらく光子に干渉することの出来る能力なのだろう。
テレポーターにとっては天敵だが、応用に富んだ電撃使いならばおそらくは偏光能力とも優位に戦えるはず。

(それにしても……)

いったんテレポートで相手と距離を置いた黒子が視線を向けたのは、必死でコインを探す妹達。

(殿方達の目も気にせず、四つん這いになって……お姉様と同じスペックのヒップと生脚が丸見えですの……げへへ……!)

「チッ……、埒があかねえ。俺も本気出させてもらうぜェ」

「げへへ………、………へ?」

楽園のような景色に意識を飛ばしていた黒子が声のした方向に視線を戻した時。
――――そこには誰もいなかった。

(しまった…………!)

すぐさま演算を開始し、テレポートで距離をとる。
その瞬間、同時に今までいた場所の土が抉られ、弾け飛んだ。

「なっ……!?」

「へへェ、レベル4になったんだ、自分の姿を消すことくれェ出来て当たり前だろォ?」

思っていたよりも近くで声がする。
またもテレポートで距離をとるが、これではじり貧になるのは目に見えている。

(これは、本気で取り掛からないといけませんわね……!)

402 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/02/11(金) 00:06:55.38




さらにもう少し離れた本殿の近くでは、スキルアウトの中でも念動力の能力を持つキツネ目の男と……。

「ここなら、邪魔はいません、とミサカ16820号は挑戦的な眼差しを送ります」

「へへ……いいじゃねえか、相手にとって不足無しだ………」

16820号が向かい合っていた。
二人はたがいに目を離さず徐々にその間合いを詰めていく。
それはあたかも野生の地、アフリカの草原で火花を散らすライオンのように。
そしてお互いがそれぞれの間合いに入った瞬間、二人は全力で大地を蹴っていた。

「いざっ!」

「おぉっ!」


「………ですからミサカは頭の天辺からつま先まで、すべてお姉様と同一なのです、とミサカは薄い胸を張ります」

「マジで? いやあ俺昔から御坂美琴のファンでさー。ていうかホントだったんだなクローンがいるって」

「お姉様を呼び捨てにするとは…」

「すいませんでした、御坂様です。な、なあ、俺と写真撮ってくんねえかな?」

「ううむ…、ミサカの肖像権はお姉様に属しますので、それは承知しかねます…」

「えー…、一枚だけ! 一枚だけでいいから! ……それか本物と話すチャンスを…。金ならいくらでも出す!」

「そうですね、金額によっては……。ですが、とりあえずこの騒動が落ち着かない限りはちょっと…」

「なあ、いったいなんでこんなに荒れてんだ? 賽銭箱ごときでこんな騒ぎにゃならねえだろ?」

「とあるコインが行方不明のようでして、それが重要なモノだとかなんとか」

「コイン? ………もしかしてこれか?」

「あ」

「そうみたいだな、よし、本物の御坂美琴との会話でどうだ?」

「く……! それを交渉材料にするとは……!」

「駄目なら絶対渡さねえ。こう見えても俺はレベル3の念動力者だからな」

「しかたありませんね……。お姉様の電話番号をお教えしましょう、それでよろしいですか?」

「マジで? やった! こうなったらもうこんなことしてる場合じゃねぇ! 向こうで本物の御坂美琴の活躍をこの目に焼き付けなければ!」

「………はぁ、コインは取り戻しましたが……」


――――あとでお姉様に大目玉を食らいそうです……。

403 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/02/11(金) 00:08:31.19




広場は膠着していた。
たかがレベル5など、と甘く見ていたのであろう魔術師は顔を青くしたまま動かない。
美琴の圧倒的な能力に怖気づき誰も動こうとしない中、今まで黙って成り行きを見ていた麦野が口を開いた。

「………そう、レベル5。学園都市の最高位」

ゆっくりと、しかし確実に魔術師の方へ歩みながら、少し低い声で。

「私よりも序列が上ってのは気に入らないけど、超電磁砲が強いのは確かよ。私とタイマン張れるくらいだし」

「麦野さん……」

「レベル5ってのはね、頂点なのよ。能力者達のね、だから……」

なるほど、戦力の差を説明することで平和的に解決しようというわけか。
そういえば麦野の声はこころなしか少しばかり優しくも聞こえる。

「同じレベル5の私も馬鹿にしたってことで、ブ・チ・コ・ロ・シ・かくていね♪」

前言撤回、すぐにでも虐殺を始める気だ。

「ちょちょちょっと麦野さん! 殺すのはダメー!!」

「離せ超電磁砲!! コイツの脳みそ吹っ飛ばして連中のボスんとこに送りつけてやんだからよォ!!!」

もはやへたりと腰を抜かし完全に戦意を喪失している魔術師達をさらに細切れにしようとする麦野。
美琴はそれを必死に抑えようとするが、体力で麦野に勝てるはずもない。

「アンタ達! 早く逃げなさい! 言っとくけど私でも麦野さんは止められないんだからね!」

「は、はひぃぃぃ………」

「…………勝負あったかにゃー」

「……土御門、テメエ今までどこでなにしてやがった?」

「おいおい、オレは能力も魔術も使えない“一般人”だぜい? こういう時くらい安全なところにいてもいいじゃないかにゃー」

「はぁ……こっちは死にかけてたってのに……」

「ま、それはどうでもいい」


「いよいよ、仕上げだ」


続く
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/11(金) 02:59:35.05
なんか平和だなwwwwww
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/12(土) 06:08:53.50
16820号がいいキャラしてるな
427 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:34:39.91


その男は、特になんの変哲もない、中流の魔術師を父として生まれた。
ごく自然と父親と同じ道を歩むこととなったその男は、ある時、自分の限界を知ることとなる。

――――自らすらも“世界樹(ユグドラシル)”に捧げたオーディーンのみが持つことを許された武具。

それは北欧系の魔術結社との小競り合い。その中で見た圧倒的な力。

――――“主神の槍(グングニル)”だ。

そう言い放ち高々と槍を掲げた彼女の姿は、いまだ男の脳裏に焼き付いている。
かろうじて生き残った男はそれまで自分が培ってきた魔術、そして己の才能の限界に打ちひしがれた。
しかしそれと同時に、自分がこれから成すべきこと、そしてこの世界で生き抜いていくための知識を見出していた。

それが、霊装による武装。

自分の力が脆弱なのであれば、霊装で補えばいい。
だが強力なモノが必要だ、ならば既に存在する霊装のレプリカを作ればよい。
男の才能は、ここで目覚めた。
本物に比べれば見劣りはするが、それでも十分過ぎるほどの威力を持つ。
中流に過ぎなかった男は、いつしか数十人の部下を持つほどになった。

そして男は慢心しなかった。
自分自身が持つ魔力自体は脆弱であることを理解し、さらなる霊装を求め続けた。
それが常に死と隣り合わせにある、暗部組織で生き抜いていくための知恵。
写し、創り、使い続けた。

だが、男は気付いていなかった。
そんな研鑽の日々を積み重ねた結果、脆弱だったはずの自身の力は数年前の自分をはるかに凌駕する域まで達していたことに。
気付かず、さらに研鑽を重ねた。

霊装写しとしてではない魔術師としての力が、この日、とある神社で解放されることとなる。


428 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:35:29.97




「数千年も人類が培ってきた魔術が……!」

魔術師の足元から、またも漆黒の魔法陣が現れた。
だがさっきとは違う。先のとは違い素人目に見てもわかる、魔力の迸り。
そして魔法陣から巻き上げられた黒い光が、魔術師の右手に集められていく。

「科学などというモノに負けるわけにはいかないンですよォォォ!!!!」

今までの攻撃は本気ではなかったのか、しかも美琴は能力が戻ったとはいえ病み上がりの身。
俺も自慢ではないが、これまで数々の魔術をこの右手で受け止めてきた。
だからわかる、アレは美琴の持つ超電磁砲以上の破壊力を持っている。ならば、此処であの魔術と美琴を相対させるわけにはいかない。
しかし同じレベル5の麦野は既に興味を失い、神社の出口近くまで移動してしまっている。
先程からの魔力の奔流に気付き、こちらに向かって来てはいるものの、美琴と魔術師の間に割って入るのは到底間に合わない。
役立たず陰陽師を始めとして、ヘタレ炎術師と大食いシスターもここではあてにできない。
つまり、いま美琴を守ることの出来るのは自分しかいない。

そう考え付くよりも先に、身体が動いていた。
境内に敷かれた砂を踏みしめ、右手を突き出しながら美琴の前に立ち塞がり―――。

「さがってて」

突き出された右手とともに、動きを制される。
目の前でいまにも振りかざされようとしている強大な力と対峙してなお、美琴は怖気づきもしていなかった。
その瞳に宿るのは、ただ自分は負けないという強い意志。
そう、いまさら思い出したが美琴の負けず嫌いはなにも俺に対してだけではない。
そしてそれは決して自惚れではない。自らの力を過信しているわけでもない。
たとえ自分より強い相手と相対しようとも、正しい目的の為ならば絶対に退くことはない。美琴はそういう人間だ。

「消え失せろ、小娘がァァァ!!!」

俺の動きが制止されたその一瞬を突いて、ついに魔術師の手から漆黒の光条が放たれた。
それとほぼ同時に美琴の右手からも、音速の数倍まで加速させられたコインが放たれ……。

それぞれの攻撃はちょうど放った両者の中間地点で激突した。
衝突の衝撃波によって土砂が巻き上げられ、傍らにいた俺達を襲う。

「うわっぷ……!」

激しい閃光と土煙りが、辺り一帯の視界を奪う。
第二の衝撃がないところを見ると、どうやら二人の攻撃は相殺したようだが……。

「美琴!」

取り戻した視界に現れたのは、ガクリと地面に膝をつく美琴の姿だった。

429 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:36:58.82


「あぅ…!」

見た目には目立った外傷はない。魔術師の攻撃の直撃を食らったわけではなさそうだ。
おそらく美琴自身の能力に病み上がりの身体がついてこれなかったのだろう。
苦しそうに肩で息をする美琴に、二撃目を放つ体力は見受けられない。

「あははァ……勝負ありましたねェ……」
「へん……、けっこうな力持ってんじゃない。武器を多く使ってたから、てっきり自分自身の力の弱さを補うためのモンだと思ってたんだけど…」
「そのつもりでしたよォ、しかし、やはり私には相応の力があったようですねェ……?」
「模造品を作ってる間に知らないうちに力がついてたってとこかしら? 自分が弱いって諦めながらも、しっかり努力出来てんじゃない。ひねくれさせとくには惜しいわね……」
「なんとでも言いなさい、能力があるとわかった以上、然るべき力を持って科学の代表とも言えるアナタを消し去ります」
「く……!」

魔術師のほうは再び魔法陣を形成し始めている。
さきほど制止され、美琴と俺の距離は十メートルは離れているだろうか。
このままでは間に合わない。長らく運動不足だった身体に鞭を打ち、足元で滑る砂に舌打ちしながら美琴へと駆け寄る。
その瞬間、魔術師と目があった。
口元をニヤリと歪め、また視線を戻す。

間に合わない――!

「ふぅ……仕方ないわね……」

美琴は膝をついたまま、立ち上がらない。

「自分に能力があるってのにもっと早く気付いてれば、こんなに性格捻じ曲がることもなかったんでしょうね……。
 人の言うこと無視して病み上がりな身体のまま出てきた私が言えることじゃないかもしれないけど……」

俺はなおも走る。あとたった数メートルが異常に長く感じる。

「それでも、それでも私は私を支えてくれる人を裏切るわけにはいかない。
 それに、ここで私が負ければアンタの為にもならないのよ。だから………」

魔術師が俺のほうに気を取られている間に、美琴は着物の袖の中から拳銃を取り出し―――。


………え?


「えええぇぇ!? 拳銃!!?」


「……だから、オシオキ♪」


パンッ


430 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:38:52.68




「お姉様……!」

魔力と超能力の激突による衝撃は、離れたところで戦闘を続ける黒子達のもとにも届いていた。

「今の閃光は…、超電磁砲の……?」
「おォおォ、よそ見とはいい度胸じゃねえか!!」
「くっ……!」

地面が揺れるほどの衝撃だったのにも関わらず、姿を消しているスキルアウトはそれさえ戦術として組み込んでくる。
どうやら黒子が思っていた以上に戦い慣れしているようだ。

(このままではジリ貧ですの……!)

神社の境内という開けた場所に置いて、姿を消すことの出来る能力者を相手に選んでしまったのは間違いだったのかもしれない。

(あっちのキツネ目のほうを相手に選んでおけばよかったですわね……。しかしそうすると、この野蛮な男をお姉様の妹様に任せてしまうということ……。あぁ、でも苦戦する妹様をこの黒子が颯爽と助け上げて、妹様から攻略していくというのもアリですわね……!)

まだあらぬ妄想に浸れる余裕があるだけマシだろうか。
白井黒子はレベル4の空間移動能力者。ナイフしか攻撃手段を持たない相手の攻撃など、かわすことは造作もない。
しかし、問題なのはこちら側の攻撃手段も通用しないという事実。
相手の男が姿を消している限り、位置を把握することは出来ない。
足跡すらも消しているほどの用心深さだ、むやみに声を出して捕捉されるような馬鹿な真似はしないだろう。

空間移動というのは汎用性に優れた能力である。
攻撃手段は限られるが、瞬間的に自身を含む事象を移動させることが出来るこの能力は、おそらく他のどの能力に対しても相性の良い能力だろう。
奇襲であればレベル5の御坂美琴も倒せそうだが、数百メートルの範囲を索敵出来る電磁波のレーダーをどう掻い潜るかが問題だ。
しかも電撃の射程はほぼ無限。結局、正確な空間移動が有視界内に限られるという能力の限界により、結標ともども返り打ちにされてしまったが(本編参照)。

だが、それはレベル5を相手にした場合であり、自分と同ランクのレベル4を相手にする時などは空間移動はある意味反則的なほどの力を持つ。
………はずだった。

(そう、妹様を救うというのも、今の状況からするとかなり困難なことになりそうですけれど……)

正直なところ、レベル3であっても電撃使いである妹達のほうがこの男の能力には相性がよさそうだ。

「白黒さん! ミサカが御助力いたします!!!」

その時、少し離れたところからこちらに駆けてくる少女が黒子の視界に入った。

「アナタは!?」
「ミサカは誇るべきお姉様の妹の一人、ミサカ16820号です!」

ビシっと決めポーズをとる少女は、さきほどキツネ目のスキルアウトと共にどこかに消えていた妹達だった。
ここに来たということは、キツネ目は既に撃破したのだろう。
それなりのレベルの念動力者を一人で倒すとは、さすがは御坂美琴の妹といえるかもしれない。

「ハッ! どんな能力者が来ようが、俺の敵じゃねぇ!」
「おっと、ミサカの能力を甘く見ていると痛い目をみることになりますよ?」

次の瞬間、黒子の見慣れたモノよりは少しばかり控え目な雷撃が放たれた。

「ぐぁぁああ!??」

控え目とはいえそれは数十万ボルトの電圧を持つ電撃。まともに受ければ感電死だってありうる攻撃である。
油断してそれを真正面から受けた男は、一時的に能力が解除されたのか、数分ぶりにその姿を現した。

「自分の周囲数メートルの範囲の空間であれば、ミサカでも電撃で満たすことは可能です。
 姿を消していようが近接での攻撃手段しか持たないアナタなどミサカの敵ではありません」
「はぁ……随分とあっさりと……」
「あ、白黒さん、ちなみに目的のものも既に回収しましたので早くお姉様のところに戻りましょう!」
「白黒さんって……」

目的のモノというのは先程まで探していたコインのことだろう。
またもビシっとポーズをとる146820号の背後から、ぞろぞろと残りの妹達が向かってきている。
それを確認した黒子は、いまだ転がるスキルアウトにくるりと顔を戻した。

「さて……」

よもやこの人数相手にまだ反攻してこようとは思うまい。

「ちくしょォォ……ガキがァ……!」

先程の衝撃も気になることだ、憂いが消えた以上、ここに長居する必要はない。

「風紀委員として、器物損壊、暴行、傷害の現行犯で拘束いたしますの!」

431 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:40:02.09





…と……こと……!

あれ? ここはどこだろう。
たしか私は、変な魔術師と対峙してて……。
16820号に渡された麻酔銃を撃ったところまでは覚えている。魔術師は油断していたし、当麻に気を取られていたから弾は当たったはず。
16820号は学園都市特製の即効性麻酔だと言っていたから、魔術師の攻撃を食らったわけでもない。
なら、なんで私は倒れて……?

「美琴! しっかりしろ、みこと!」

あ、当麻の声が聞こえる……。
そっか、麻酔銃を撃った後、急に視界が暗転して……。そのまま倒れちゃったのかな…?

「お姉様…? 外傷はないようですし大丈夫なはずなのですが……」

何号かはわからないけど、妹の声も聞こえる……。
けど、身体が動かない。まるで意識と切り離されたように、動いてくれない。
皆の声は聞こえるし、誰かに抱きかかえられてる感触もある。なのに目は開かないし、声も出ない。


………だからだろうか、さっきから遠慮ナシに私の身体を触りまくっている輩がいるのは。


「お姉様、お姉様、げへへ………!」
「あぁミサカとは見た目は同じでも、一目でそれとわかる肌の美しさはお姉様独自のモノ……!」
「………」

聞こえている声は二人分だが、手の感触は明らかにそれより一人多い三人分。
まぁ、この状況、メンツからしてそんなことをしてくる人間は限られている。
アイテムの三人はもちろん、友人である妹にご執心な金髪アロハも、赤髪の不良神父もこんなことはしてこない。
当然残るのは私に一番近い人間で、なおかつこの頃自身の欲求を抑えきれなくなりがちなウニ頭だけ。

「ここは念のため、私が人工呼吸を…!」
「ならばミサカは念のため、優しく心臓マッサージを……!」
「………」

不穏なセリフと共に唇に近づいてくる誰かの荒い息遣いと、心臓マッサージと言いながら撫でたり揉んだりしてるだけの一組の手の感触。
さらには着物の裾をまくって太ももを触られる感触まで。
意識がはっきりしてるせいか、全力ではないとはいえ能力は問題なく使えそうだ。
ためしに少しだけ火花を散らしてみる。パチッという小気味良い音とともに伝わる、確実な発電の手ごたえ。
よし、とりあえず焦がす手前くらいまでの電流でこの不届き者達に天誅を―――。

「おっと」

私が火花を散らした直後、誰かの手が私の頭の上に置かれた。
途端に使えなく能力。これはつまり、置かれた手が誰のものであるのかを明確に表している。
しばらく止まっていた手が、能力を封じられたのをきっかけにまたその動きを再開した。

………プチ。

どこかで、なにかが切れる音がした。


「いつまで触っとんじゃぁぁあーーーッ!!!!」


予想とは反して、私の足は勢いよく動いてくれた。
ムエタイの闘士もびっくりな速さで蹴りあげられた膝が、私を抱き抱えていた当麻の顔面を抉る。
その反動で頭に添えられていた右手が離れたのを確認した瞬間、私は遠慮なく能力を解放していた。

432 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/03/29(火) 01:40:47.80





「……お姉様」
「………なによ?」
「心配して介抱していたミサカ達に、容赦ない電撃を浴びせるのはいささか理不尽ではないでしょうか?」
「……あれを本気で介抱だと言い張るアンタにびっくりだわ」

思っていたよりも元気に復活してくれた美琴は、それと同時にどぎつい膝蹴りをプレゼントしてくれた。
その瞬間にいつもと違って短パンを履いてない足元にゲコ太プリントのパンツが見えたのは秘密だ。

「………ねぇ、あの魔術師は?」

ようやく怒りが収まったのか、美琴はまた俺の膝の上に戻りキョロキョロと辺りを見回す。

「アイツならそこに転がってるよ」

俺が指さした“そこ”には、土御門達につつかれながら横たわっている魔術師がいた。

「しっかしいきなり拳銃なんて取り出すからびっくりしたぞ」
「麻酔銃よ、16820号が念のためにって私にくれたの」
「そうです、今回まったく役に立ってないウニ頭さんと違ってミサカはお姉様の安全にしっかりと貢献しているのです!」
「悪かったな、役に立ってなくて」

確かに。今回はいろいろいろ理不尽なことも重なり、俺の出る幕はほとんど無かったような気がする。
とはいえ別になにもしなかったわけじゃない。オレはオレで懸命に動き回っていたんだ。

「よっと……」

オレが心の中で不満を叫んでいると、ふいに美琴が立ち上がった。まだふらつく足どりを、急いで俺の手で支える。
「まだフラフラしてんのに、なにやってんだ」と、目だけで語りかけると、美琴は身体の不調に多少表情を歪めながらも柔らかく微笑んできた。

「………まだ、終わってないのよ」

そう言った美琴が向かった先には、倒れたまま動かない魔術師の姿。


――――ねぇ、聞こえてる?


442 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 00:50:03.02


ぼんやりとした意識の中。

彼は傍らから聞こえてくる会話に耳を傾けていた。


……なるほど、あの時彼女が取り出した拳銃は麻酔銃だったのか。
男に気を取られていたがために、そんなモノさえ避けることが出来なかった。
もちろんそれは自分の実力不足によるもの。
自分の実力では手負いの小娘一人倒せなかったのだ。

気付けば、先程から続いていた会話は終わり、代わりにこちらへと近づいてくる足音が。
足音はすぐそばで止まり、その主の声が頭上から降り注ぐ。

「ねぇ、聞こえてる?」

聞き覚えのある声。これは自分がつい先ほどまで対峙していたあの少女のものだ。
しかしこの質問はなにを意図しているのだろうか。
自分は今、地面に伏している。それはこの少女の放った麻酔弾によるもの。
話しかけている相手がいま、麻酔によってまともに口を聞ける状況ではないことは彼女が一番知っているだろう。

「まぁ、聞こえてないならそれでもいいんだけど」

いいのかよ。

「いや、そこはちゃんと聞かせてやれよ」

間髪いれずに男のツッコミが入る。
意識はあっても口の聞けない自分の代わりに言葉にしてくれるのはありがたい。

「もちろん冗談よ。……あのね、私は人の生体電流も感じ取れるのよ。アンタの脳の電気信号を見る限り、意識はあるわよね。
 だから私の声はちゃんとアンタに届いてるハズ、わかった?」

なるほど。流石は科学の頂点、レベル5の電流使い。こと電気の扱いに関しては能力の限界すら見せてはくれない。

「………アンタ、正直言って強いわよ」

当然だ。でなければこのような任務を受けるはずもない。

443 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 00:52:42.06

「偶然………、偶然私が能力を取り戻したのと、麻酔銃を持っていたのと……それと当麻がいい感じに囮になってくれたのと……」

「あ、やっぱり上条さん、囮としてしか使われてなかったんですね」


………違う。


「なんだかんだで私、運がいいのよね。だから今回もそう」


違う。


「だから………、そう、アンタは強いわ、間違いない」

「――――違う!!!」

「……!」

持てる全ての力を振り絞りようやく、ようやく声を出すことが出来た。
第三位の超電磁砲が勝ったのは偶然?………違う、そうではない。

「………必然、です、すべて……!」

「………必然?」

「そう……能力も満足に使えぬ少女一人仕留められない私の、失態です……!」

コレが彼女の暮らす“表”の世界の出来事ならば、彼女の言うとおり、自分は運が悪かっただけかもしれない。
しかし自分、自分達が身を置いている“この世界”は。“この世界”は違う。
過程など問題ではない、大事なのは結果。そこに過程を顧みる『感情』など存在しない。

「結果が、すべてなのです………。私は、しくじった……」

思い出すのは、未だ魔術を自由に使えなかった自分。
どれほど努力を積み重ねようと、どれほど他者と自分の溝を埋めることに躍起になっても、越えられぬ壁がそこにはあった。
結果を出せぬ以上、いくら努力をしたところで「よく出来ました」などと褒め称えてくれる輩などいようはずもない。
だからだろうか、“模造”という自分の才能に目覚めた時は例えようのないほどの喜びに浸ったたものだ。
それからは部下もつき、自分を慕う者さえ現れた。

しかし――――。

444 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 00:55:36.63

「まァしくじったからといって組織に殺されるようなことはありません……。
 しかし………霊装写しとまで言われた私の魔術師としての居場所はこれで無くなった……」

連れて来た部下達の姿は既になく、イヤホンで繋いだ無線機からはただ虚しくノイズが流れるのみ。
考えてみれば、自分の能力は他者の武具に依存するもの。そもそもが自分の力ではないのかもしれない。
自分はいったいどれだけ脆い土台の上に立っていたのだろうか。
ひとたび辛酸を嘗めさせられるようなことがあれば、すぐにこれだ。部下は去り、慕う者も見放すだろう。

これを機に、魔術の世界から足を洗うのも悪くはない……。

私の言葉の意味を理解したのか、少女の目も人を見下すそれに変わっていた。

しかし……。


「あっきれた! アンタの“強さ”ってその程度だったの!?」

「………はァ??」

彼女の口から発された言葉は、自分が予想していたものとは正反対のものであった。

「ずっと頑張ってきたんでしょ? 魔力の弱さを補うために、必死でやってきたんでしょ?
 なのに、なに? たった一度失敗しただけでもう諦めるっていうの!?」

「………!」

「並の努力じゃなかったんでしょ!? そんな簡単に捨てていいもんじゃないでしょ!?
 それに、アンタ最後はレプリカの武器に頼らずに、自分の力で私の超電磁砲と張りあってたじゃない!」

確かに。言葉では言い表せないほどの努力を重ねてきた。
そしてその甲斐あってか、いつの間にか自分の魔力も向上しており、模造した武具頼らぬ戦い方も見つけられた。
………しかし、もう遅い。

「もう遅いのですよ。部下は去り、名は地に落ちた。組織からも疎んじられるでしょう……。
 もはや私に寄るべき場所はありま………」

そこで、言葉を切った。
なぜならば彼女の眉毛が綺麗に八の字を描いていたから。
いぶかしげに、まるで「アンタ本気で言ってんの」とでも言いだしそうな表情で。

445 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 00:57:17.80

「………私もさ、自分で言うのもなんだけど、努力で能力手に入れたクチでさ」

そして突然軽く苦笑を浮かべたかと思うと、しゃがみこんで瞳を閉じたまま語りかけて来た。

「でもさ、努力ってだいたい人には見えないじゃない? 私の場合、付いてきたのはレベル5という結果だけ。
 まるで初めからレベル5だったかのように見られて、羨ましがられて、嫉妬されて、疎んじられる」

「………」

「だからさ、私、アンタが羨ましい」

そう言ってにっこりとほほ笑んでくる少女。
正直言って、自分には彼女がなにを言いたいのかがよくわからない。
今度は自分がいぶかしげな表情で彼女を見つめてみる。すると、彼女は自分を挟んで反対側の方を指さしてきた。

「アンタ、ずっとこっち向いてたから気付かなかったんだろうけど……」

そこには去ったはずの部下達が数人、正座しながら心配そうな目で自分を見つめていた。

「アンタにはまだ“過程(努力)”を知っている、そしてまだ尊敬してくれてる仲間がいるじゃない。
 だから私、アンタが羨ましいの」

「あ……」

「一度の失敗がなんだってのよ。アンタはまだやり直せる、ついてきてくれる仲間もいる」


そうか、残っていたのか。
私の過去も苦悩も、そして今回の失態を知りながらなお自分についてきてくれる部下、いや、仲間が。
私が彼らに微笑みかけると、彼らも安心したのか柔らかな微笑みを返してくれた。

………随分と、肩が軽くなった気がする。


「あ、言っとくけど、やり直すなら暗部以外でね?」


彼女は最後に、また困難なことを言ってのけた。
しかし今の自分ならばそれも可能のような気がする。否、出来る。

魔術の才能を与えてくれなかった神よりも私を救ってくれたこの少女に、仰向けになったまま頷きかける。
その日の私は生涯の中で一番無様で、そして誇らしいものとなった。


446 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 00:59:46.68


1月3日、午後6時過ぎ。


波乱の元となった魔術師は麻酔が切れるや意気揚々と本国に帰り、土御門達は取引を完遂した。
魔術師が帰った直後に警備員が到着、境内の惨状を見て頭を抱える黄泉川先生に事情を伝えなければならなかったのだが……。
しかしそこは白井黒子がうまく取り繕ってくれたので、ややこしい言い訳を考えずに済んだ。
幸い、白井も妹達も怪我はなかったようで、戻ってきた初春さんや佐天さんとまた楽しそうに談笑していた。

さて、今の俺はというと、俯きながら俺の袖を引っ張ってきた美琴と一緒に二人で賽銭箱の前に突っ立っている真っ最中。

「…………あの魔術師が羨ましいって?」

「………ちょっとだけ、ね」

俺は、美琴がレベル5になるまでどんな努力をしてきたのか知らない。
恐らくは白井もそうだろうし、初春さんや佐天さんだって知らないだろう。
そして人に心配をかけるのを良しとしない美琴のこと。両親にさえその苦難は言ってないんじゃないだろうか。

「………だけど、さ」

くるりと俺のほうへ向きなおって微笑みかけてくる美琴。
その顔に、先程までの暗さはまったく見受けられなかった。

「アンタは、私を私として見てくれる。“レベル5の超電磁砲”としてじゃなく、“御坂美琴”として」

そこで美琴は話を区切り、財布から取り出した5千円札(ちくしょう)を惜しげもなく賽銭箱へ放り込んだ。
そしたまた俺の方へと向き直る。

「だから当麻が私のことをあんまり知らないって意味じゃないよ、ってことだけ、言っておこうかなって。
 私の過去のことも、これから話してく予定だし、ね」

「そうだな、いろいろ聞かせてもらいたいな」

俺は去年の7月以前の記憶は無いけれど。
誰も知らない美琴の過去を知ることが出来る栄誉はありがたく受け取りたい。

「………鈴、鳴らすか」

「2回目、だけどね。大丈夫かな?」

「そんなケチな神様に頼んでダメなら、上条さんに頼んどけ」

「………次からそうする……」

447 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 01:02:08.72

冬の午後6時過ぎ。

辺りは既に暗くなり、わずかな照明で照らされた神社にがらんがらんと鈴の音が響きわたる。
それに呼応するかのように、黒く塗りつぶされた空からはふわりと白い光が落ち始めた。

「…………雪、降ってきちゃった」

「…………そうだな、そろそろ帰るか」

「………うん」

まだ病み上がりの身体である美琴にこの寒さは辛い。
こういう時の為に余計に着て来た上着を美琴の肩にかけ、休憩所でのんびりと煎じ茶を飲んでいた御坂妹、16820号と合流する。

「あれ? 黒子も帰っちゃったの?」

「報告書の作成のため、先に帰宅するとのことです、とミサカは伝言の役目を遂行します」

「あ、お姉様……」

「ん、どしたの? 16820号」

「その……コインを取り戻す対価として、お姉様の電話番号を教えてしまいました。
 後日熱烈なファンの男から電話がかかってくるかもしれませんので、軽くでいいので話の相手をしてやってください……」

「あぁ、そういうことなら別にいいわよ。コイン、取り戻してくれてありがとね、16820号」

「……!」

美琴の言葉に、不安から一気に歓喜の表情へと変わる16820号。
うーむ、あれほど感情がしっかりしている妹達は他にいないんじゃないだろうか。

「さて、美琴が風邪ひく前に帰るぞ」


そして、歩きだす。

向かう先は病院だが、今のメンツならばそんなことは気にならないくらいポジティブな空間だ。


448 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 01:04:12.70


「というかそもそも、アナタがコインを賽銭箱に投げ込んだりしなければ、もっと楽に解決したのでは?」

「うぐっ……!」

「しかも当麻は今日はなにもしてないしねー」

「ちょ、美琴さん!? そういうの割と本気で傷つくからヤメテください!」

「ではお姉様、役立たずは放っておいて、ミサカ達だけの映画鑑賞と洒落込みましょう」

「おい、公共の場でピンク色のDVDをチラつかせるな」

「大丈夫です、今回は18禁ではありません」

「そうか、よかった」

「21禁です」

「悪化してるからな!? オマエのそのとどまることを知らない美琴への情欲は悪化の一途を辿ってるからな!?」

「まぁ後でミサカが要約を兼ねた感想文を400字で書いてあげますので、期待していてください」

「800字で頼む」


失言――――。


そう思った時には既に遅く。


三が日を彩ったこの騒動は、俺の三度目の気絶で幕を下ろすのであった。


449 : ◆vUZM4zZuJ2Cr :2011/05/08(日) 01:06:34.97




「うん、なかなか素晴らしいんだね?」

「……なにを見ているのですか?」

「16820号くんから貰ったDVDなんだね、君も見るかい?」

「セクハラです」

「ごめんごめん、ナース物となるといささか興奮が抑えきれなくてね? ほら、君も着てるナース物」

「セクハラです」

「いやいや僕としたことが少し取り乱しちゃったね?」

「少しなんですか」

「僕を誰だと思ってるんだい? …………むむむ、これは!!」

「………」

「…………奇跡と、呼べるのかもしれないね?」

「いったいなにがあったんですか、先生………」


Fin.


454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/08(日) 01:43:56.23
終わりか
寂しいけど仕方ないな
乙!
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/05/09(月) 01:09:06.92
超乙!ずっと待ってた…!
ありがとう面白かった
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) :2011/05/09(月) 23:42:48.71
面白かったー

一気に読んできたよ

乙です!
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/20(金) 01:28:02.30
乙!
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2011/05/20(金) 02:08:44.63
乙でした!
自作も楽しみに待つことにします

この書き手のSS:

上条「よぉデレデレ」御坂「デ…デレデレって呼ぶなぁ//////」


上条「御坂はゲコ太が好きなのか。」


上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」



 

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