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上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」【前編】

3 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:18:46.69

このSSは自分が以前VIPで書いた

上条「よぉデレデレ」御坂「デ…デレデレって呼ぶなぁ//////」



の続きとなります。

なので

・上琴はすでに付き合っています

・クリスマスSSですが、あまり関係ないかも……



注目記事




6 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:23:16.21


12月23日。


世間は専らクリスマス直前という雰囲気に酔いしれる日。

ここ学園都市も例外ではない。
本来、科学の結晶ともいえるこの街でそんな宗教イベントが存在するというのも可笑しな話だが、そこに住む人々にとってはそんなことは気にならないようだ。

――――そんな日のとあるファミレスで……。


「そうよ! 明日はクリスマスイブじゃない!」


ガタッと勢いよく立ち上がった少女は片手は拳を握り、余った片手で目の前に座るツンツン頭の少年を指差す。


「あー、そういえばそうだな。 上条さんはクリスマスとずっと無縁だったからすっかり忘れてましたよ、」


指を差された少年は持っていたコップの水を飲み干すと、急に顔を険しくしてテーブルに身を乗り出した。


「……………それで、だ」
7 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:24:25.77


「な、なによ………?」

「実はな…………」


少女は立ち上がった姿勢のまま、ゴクリと喉を鳴らす。
少しだけ頬を紅くして。


(なに? もしかしてなんか予定してくれてるとか? だだだったら、クリスマスなわけだし、いろいろ……)


「…………補習があるんだ」


.
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:25:28.59



俺のハンバーグに雷が落ちた。


.
9 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:26:59.37

美琴「もう一回言ってみなさい」

上条「いやですね、美琴さん! これにはやむにやまれぬ事情があってですね!」


雷が落ちたというのは決して比喩ではない。
もちろん屋根のあるファミレスで雷が落ちるわけがない。
落としたのは目の前に座る一見すると普通の容姿端麗な少女。
しかし彼女は常盤台が誇る電撃使い、“超電磁砲”御坂美琴様であったりする。


美琴「補習!? アンタはいつ冬休みに入るのよ!」

上条「補習は明日までです! あと三が日が終わったら皆より早い新学期が始まります!」

美琴「明日まで………」


怒れる雷神と化していた美琴は俺の言葉を聞くと急に飛ばしていた電撃をしまい込み、今度は顔を赤くして俯いてしまった。


美琴「明日まで、なら………」


そのまま席に座り、両手を膝に揃えてモジモジしながらチラチラとこちらを伺ってくる。
どうやらデレモードに入ったようだ。

※一応説明しておくが、人一倍鈍感な上条当麻も、御坂美琴が俗に言う“ツンデレ”であるということはさすがに認識している。…………という設定。
10 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:30:11.88

美琴「明日も、今日と同じ時間に終わるんでしょ……?」


実を言うと俺は今日も幼女マスクの鬼畜先生の補習を受けていた。
昼休憩の時に美琴から連絡が入り、補習が終わり次第ファミレスにて合流となったわけだ。
美琴もクリスマスにまで補習が割り込むとは思わなかったのだろう。
俺も思ってなかったですよ、はい、………ちくしょう。


上条「一応そのはずだけど……」

美琴「なら大丈夫じゃない、びっくりさせないでよ、もう……」

上条「あぁ、終わってから行くのか。 でもお前、門限は?」

美琴「なんとかなるわよ」

上条「おいおい……」


美琴は相変わらず顔を赤くしたまま、テーブルに置かれたパフェをつついている。
クリスマスにまで門限がついて来るのも少し堅苦し過ぎないかとも思うが、私情で校則を破るのも良くない………はず。
11 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:32:57.73

美琴「ていうか、絶対なんとかするわよ。 だって………」

上条「ん?」

美琴「その、当麻との初めてのデートがクリスマスイヴなのよ? もう絶対、外せない、っていうか、えっと、その………」

上条「…」


こうなった美琴には勝てない。
なんでこの人は的確に俺の急所を突いてくるんですかね?


上条「わかった、補習が終わったら電話する」

美琴「すぐに電話すんのよ! 一分一秒だって無駄に出来ないんだから!」

上条「了解しましたお姫サマ」

美琴「お姫っ……………!!」


ボンッという効果音とともにさらに顔を赤くしたツンデレお姫さんは、言葉に詰まったのかまたパフェをつつきだす。
ぶつぶつとお姫様、とか、ずるい、だとか呟いているのは聞こえないふりをしておこうか。

さて、俺達のやり取りがまるで恋人達のようだという声がどこからか聞こえてきそうなので一応説明しておこう。

それは昨日、12月22日のこと。

数日前から様子のおかしかった美琴に振り回されたあと、白井からとある装置を使って美琴に簡単な洗脳?を施していたことを告げられた。
しかもそれはその日、つまり昨日の朝には解けているはずだったもの。

演技をしていたことがばれ、逃げ出した美琴を追いかけた俺はラブラブちゅっちゅであはーんあはーんな出来事により晴れて両想い→交際に至ることとなったわけである。
(適当とか言うな、真実は君の脳内で補完してくれ)
12 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:37:22.04

そして不幸なのが売り?だった私こと上条当麻は、学校帰りに名門女子中学生とファミレスデートをするほどに進化した。
この分の不幸が後々まとめて襲い掛かってくる、……………とは思いたくない。

…………と、考えているうちに目の前に座っていたはずの美琴が消えて、代わりに左腕に心地良い暖かさが。
目を向けると俺にピッタリとくっついて、いそいそとパフェをこちらの席に寄せる御坂嬢の姿。


美琴「……えへ」

上条「……あの、美琴さん?」

美琴「パフェ、食べる?」


あれ? まだ洗脳が効いてる?
13 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:41:04.66

美琴「……もう、明日はまた余計なことに関わって入院なんてのは許さないから」

上条「大半は不可抗力なんですがね」

美琴「いつか死ぬわよ?」

上条「そりゃ出来ないな、俺には美琴を守るって使命があるわけだし」

美琴「なっ………!!」


またも顔を染める美琴、やっぱりまだ洗脳が効いてんのか?


美琴「………ずっと、守ってくれる?」

上条「当然だろ?」

美琴「ずっと一生よ? 途中でいなくなるなんて許さないんだからね?」

上条「あぁ、約束だ」


そう、約束した。

レベル5という本来は人を守る立場である美琴。
俺が守らなきゃ誰が守るって言うんだ。


―――――そう、約束だ。


.
14 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:43:05.72



黒子「お 姉 様 は!!」


ところ変わって風紀委員117支部。
バン! と机を叩き肩を怒らせ震わせどす黒いオーラを発しているのは美琴の常盤台の後輩である白井黒子。


黒子「おねぇだばわぁ……またあ゛の類人猿とぉ……!」

初春「し、白井さん、落ち着いてください」


机に突っ伏した黒子をなだめているのは頭のお花畑が特徴の(比喩で馬鹿にしているわけではない、悪しからず)初春飾利、黒子の同僚である。


佐天「あはは……、泣いてるのか怒ってるのか……」


少し離れたソファーでお茶を飲みながら苦笑いを浮かべているのは黒の長髪が美しい佐天涙子、初春の同級生であり黒子達の友人である。
ついでに言うと彼女は風紀委員ではなく、この支部にはただ遊びに来ているだけだ。

突然、黒子が顔をあげ、なにかを決心したように叫び出した。
15 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:44:20.02

黒子「こうなったらっ!! なんとしてでも明日のクリスマスイブデート(憎悪)を阻止してやりますの!!」


まずは寮官を味方につけてぐふふ………、等と呟く黒子を尻目に、眼鏡をかけた少女が初春達にお茶を持ってきた。
黒子達の風紀委員の先輩、固法美偉。


固法「いくら恨めしいからって、人の恋路を邪魔するのは感心できないわよ?」

黒子「私は! あの腐れ類人猿よりも前からお姉様との恋路を歩んでましたの! 横取りしたのはあの猿ですわ! キィーーーーーーッ!!!」

佐天「あはは……、もうどこから突っ込んでいいのやら……」

初春「もう白井さん、机が汚れますよう……」


ガンガンと机に額を打ち付ける黒子をなだめる初春。
佐天と固法はある程度こうなることは予想していたのか、顔を見合わせて苦笑を浮かべていた。

と、そんな時。


女「あのー」


いつのまにか入口に見知らぬ女性が立っていた。
16 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:45:20.21

女「えーと、一応チャイム鳴らしたんですが、返事がなかったので……」

固法「すみません! えっと、ご用件は……?」


先程の黒子の暴走で呼び鈴が聞こえなかったのだろう。
固法は初春と佐天にとりあえず黒子を奥に連れていくように伝えると、急いで苦笑する女性の応対を始めた。


女「こちらの支部はあの方と仲がいいと聞きまして」

固法「あの方?」

女「えぇ、実は……」


.
17 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:47:13.10

場所はそのまま1時間後。


女「では、よろしくお願いします。 突然お伺いしてすみませんでした」

固法「いえいえ、ではまた明日」


深くお辞儀をして去って行く女性を見送ると固法は視線はドアに向けたまま、奥で話を聞いていたであろう3人に声をかける。


固法「どうやら117支部が表舞台に立つ時が来たようよ」

初春「あの、固法先輩、白井さんが……」


初春に言われ視線を向けると、そこにはよだれを垂らしながら笑う黒子の姿が。


黒子「うふ……ぐふぇ……ぐへへへへ……」

佐天「うわぁ……」

黒子「……さて、初春サン、佐天サン?」


しばらく不気味な笑みを湛えていた黒子は、よだれを拭くと初春と佐天に視線を移す。


初春「は、はい!」

佐天「なななんでしょうか!?」


不気味過ぎる黒子に圧倒されたのか、2人は直立し敬礼をしてみせた。


黒子「こうしてはいられませんわ。お姉様のクリスマスイブデート、友人である私達が成功するよう支えるべきですの」

「「はい?」」

黒子「善は急げですの! まずは明日のお姉様のお召しものを調達しに行きますわよ!」


言い終わるが否や、黒子は2人の手をとり人間とは思えない速さで117支部を後にした。


固法「風紀委員の仕事は……、まぁ今日はいいか」
18 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:51:08.64
PCからに切り替えます

話が動くまではこのまま退屈な文が続きますがご了承を…
20 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:53:44.15



さらにところ変わって……。


打ち止め「ねぇねぇ、明日はクリスマスイブなんだよ、って、ミサカはミサカは貴方に報告してみたり!」

一方通行「あァ? それがどォしたァ?」

打ち止め「アナタはクリスマスに興味ないの? って、ミサカはミサカはわかりきった質問を投げかけてみたり……」

一方通行「わかりきってンなら聞くな、俺はそンなキャラじゃねェ」

打ち止め「うーでもでも! ミサカは興味ありありなんだよ! って、ミサカは……!」


とある一室で問答を繰り広げているのは、学園都市第一位の超能力者“一方通行”と、妹達(シスターズ)の官制用個体である通称“打ち止め”。
量産型能力者計画にて標的となった妹達が一方通行と共にいるのは随分不釣り合いに見えるが、様々な紆余曲折を経て2人は自他共に認める相棒(パートナー)となった。
(一方通行は頑として認めようとしないが)


番外個体「ミサカも興味あるなー、クリスマス」

打ち止め「ほらほら! ミサカ達にとって初めてのクリスマスなんだよ! もうワクワクが止まらないって、ミサカはミサカはアナタに懇願してみる!」

一方通行「あァー?」


話を聞き付けて来たのは妹達の文字通り“番外個体”。
他の妹達と違いレベル4に相当する能力を持ち、身体年齢も少し上回る。
番外個体も元は一方通行とは敵対関係だったのだが、これもまた紆余曲折を経て生活を共にするようになった。


番外個体「なんか最近街に色んな電飾が付いてるのもそのクリスマスってやつなんでしょ? ミサカも見てみたいなー」

打ち止め「それそれ! きっと夜になったらもっと綺麗になるはず! もう行きたい行きたい行きたーい!! ってミサカはー!」

一方通行「ああァうっせェ!!」

21 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:56:54.53


耳元で鳴り響くステレオおねだりに我慢が出来なくなったのか、一方通行はガバッと立ち上がったかと思うとなにか遠いものを見るような目でクリスマスについて語りはじめた。


一方通行「いいかァ、クリスマスってのはなァ……」

「「ふむふむ」」

一方通行「まず街は溢れかえった人混みで寿司詰め状態、真っ直ぐ歩くのもままならねェ」

「「ほうほう」」

一方通行「だからどこの店に行こうが、人が多くて入れたもんじゃねェ、そして」

「「そして?」」

一方通行「一番ムカつくのは、これみよがしに見せつけてくるカップル連中だァ」

「「…」」

一方通行「あと、“恋人いないやつら集まろうぜ”みたいにつるんでる連中も気にいらねェ」


打ち止め「…………えーと、つまりアナタにとってクリスマスは孤独との闘いで、楽しみたくても一人もつるむ友達が居なかった、ってことでいいのかな? ってミサカはミサカはアナタの心の嘆きを代弁してみたり……」


ピシッという効果音と共に硬化した一方通行。
番外個体はもう声が出ないほどの笑いに腹を抱えて転がり回っている。

22 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 00:57:58.98


打ち止め「大丈夫だよアナタ、今年からはミサカ達がいるんだから……」

一方通行「打ち止めァ……」

打ち止め「だから明日は楽しいクリスマスに、しよ?」

一方通行「うゥ…………」

打ち止め「アナタ……」

一方通行「だが断る」

打ち止め「なんでなんでなんでぇ!?」

一方通行「キャラじゃねェっつってンだろ、行きたいなら黄泉川達と行けばいいじゃねェか」

番外個体「んだよ冷たいなこのモヤシ」

一方通行「ンだとォ?」

番外個体「そのまんまの意味だよ甲斐性なし」

黄泉川「はいはいそこまでー」


あわや高位能力者同士の喧嘩が始まるかというところで、彼らの保護者である黄泉川が割って入った。


黄泉川「んで、なんの話してんの?」

打ち止め「クリスマス!」

番外個体「ミサカ達はどうしても街に出たいんだけど、どっかの誰かがついて来てくれないって」

一方通行「だァから……」

黄泉川「あぁ、だったらちょうどいいじゃん?」

一方通行「はァ?」
23 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:00:22.25

黄泉川「明日はお客さんが来るから、あんた達は街にでも遊びに出といて欲しいんじゃん」


鶴の一声、ではないが、居候の身分では一方通行に拒否権はない。
結局一方通行は、仕方ねェ、と頭をかきながら渋々了解した。


打ち止め「やっほーいクリスマス!」

一方通行「つーかお客さンってのは誰なンだ、珍しい」

黄泉川「学園都市の有名人さんじゃん、まぁその辺は気にしなくていいからクリスマス、楽しんできなって」

一方通行「チッ……」

番外個体(最終信号と3人で歩いてたら夫婦+子供に見えないかな? そそそそんなわけないかなな……)


24 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:04:05.28

12月23日、夜。 常盤台女子寮。


美琴「えへ……えへへ………」

門限ギリギリに部屋に戻ってきたお姉様はもんのすごく上機嫌だった。
鼻歌をうたいながらシャワールームから出てきたと思うと今度はクマのぬいぐるみに抱き着いてニヤニヤしながらベッドのうえを転がりだした。

こんなお姉様もとても可愛らしいのですけども、その原因があの類人猿となると心の底から殺意が湧いてきますわね。
お姉様との交際という幸せの絶頂にいるのですから、針の一本や二本刺したところでなんの支障もないはずですわよね、ふふふ……。


美琴「あ、そうだ、黒子ー」

黒子「はいですの!」

美琴「明日は夜まで出かけるから、寮官のごまかし、お願いできるかな?」


ピシッ、と、持っていた櫛の歯が数本折れ床に落ちた。


美琴「あ……、ごめん、迷惑だよね、やっぱり自分でなんとかする」

黒子「い、いえこれはお姉様に対してではなく、お姉様にそんな顔をさせるどこぞの類人猿に対しての感情の顕れですの! わかりましたわ、寮官は私がなんとか抑えますから、お姉様は心行くまで逢瀬をお楽しみくださいまし!」

美琴「逢瀬って……、うん、ありがとう黒子」

黒子「あぁお姉様! 私はお姉様から労りの言葉を授かるだけでも幸せですの!」

美琴(こういうのがなければホントに良い子なんだけどなぁ……)


………さて、明日お姉様の着る召しものは用意できた。
問題はどうやってこれを着てもらうか。
お姉様の性格からしていくら殿方の為といえどアレを着るとは思えない。
ならばやはり力ずくか、しかしレベル5のお姉様には私だけではとても……。

………味方をつけますか。

となったら、すぐに手配しなければ。


黒子「もしもし初春? 調べて欲しいことが……えぇ……もちろん風紀委員の仕事ですの……」
25 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:08:16.11


あと数時間で日付が変わるという時間。
黒子は隣のベッドで電話を始めた。


黒子「えぇ……金に糸目はつけませんわ……」


………普通に考えて女子中学生が言う言葉ではないような気がする。
なんかさっきから物騒なことばかり聞こえてくるような……。

まぁそんなことより、明日だ。
思えば昨日、あんな風に想いが通じ合ってからというもの、当麻は当たり前のようにそばにいてくれて。


美琴「えへへ………えへ…」


昨日のことを思い出すと、自然と顔がにやけてしまう。
仕方ないよね、まだ一日しか経ってないわけだし。


それにしても。


―――――嫌な予感がする。


26 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:10:06.30

漠然とした不安。

特にひっかかることはないのに、なにか大変なことが起こりそうな予感。

明日のことは楽しみだけど、なにかどこかで不安を感じている。
それはデートが失敗するだとか、嫌な奴に会ってしまうだとかそんなレベルでなく。

なにか大事なものを失ってしまうような、そんな予感。


美琴「気のせい、だよね」


当麻は自分のことを不幸だとか言ってるけど、私も結構な不幸体質だと思う。
色んなことに巻き込まれて、まあ自分から首突っ込んだのもあるんだけど。
量産型能力者計画はその最たるもの。

今では1万人近い妹がいるなんて幸せだー、なんて思えるけど。
1万人以上の妹を守れなかった事実はいまだ私の心を蝕んでいる。


美琴「もう、なにも起きないでよ……」


定期的に訪れる不安と後悔の波に、私はただベッドの中で小さくなるだけ。
世界という大いなる意思の前で、自分はこんなにも無力だ。

…………と。


美琴「あ、メール……」


枕元に置いていた携帯電話からメールの着信を告げられた。
送り主は……。
27 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:12:40.76
タイトルからも不穏な空気が
滲(にじ)み出てるんだが…
28 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 01:15:55.43

―――――――――

from:当麻

無題

本文:おやすみ、美琴


――――――――


美琴「………えへ」


………そう、今は信じ合える人がいる。
守ってくれるって約束もした。


美琴「おやすみ、当麻…………」


こうして、美琴の今年の12月23日は終わった。


その身にふりかかる災難を知らぬまま……。


36 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 13:32:42.37



12月24日、朝。


イン「とうま! 朝なんだよ!」


朝早く、風呂場に飛び込んできたのは上条宅の居候のシスター、インデックス。
こいつの頭には食うことしかないのか、まったく。


上条「あぁー、朝か……」

イン「今日は短髪が来るんだよね!? クリスマスだからもちろん御馳走作ってもらえるよね!?」

上条「それは美琴に聞いてくれー……もう少し寝る……」

イン「ダメなんだよ! また昨日みたいに寝坊して朝ご飯作る時間がない! とか言われたら、私は今度こそ死んじゃうかも!」

上条「それで死んでたら命がいくつあっても足りませんよおやすみー……」

イン「末代まで祟ってやるんだよ! がぁーーーっ!!」

上条「あぁだだだだだ! シスターが祟るとかどうなんだよ!」


俺は剃刀のような歯で噛みついているインデックスをなんとか引き剥がすと、補習の準備をするために寝室へ。
しっかし冬に風呂場で寝るのは覚悟していたとはいえ、やはり寒い。
明日からはもっとちゃんと防寒対策をしないと、魔術師に殺される前に寒さで凍え死んでしまいそうだ。


イン「ねぇとうま、聞いてる?」

上条「はいはい、でも今日は帰るの遅くなりそうだから、早めに作って置いていったんでいいか?」

イン「じゃあいらない」

上条「…………………………………………………はい?」


気のせいだろう。 いや、気のせいだろう。
たとえ天地がひっくりかえろうとも、美琴がデレデレになろうとも、あのインデックスさんが晩御飯はいらないなんて……。
37 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 13:40:08.06

イン「レンジで温めるようなご飯はいらないんだよ」

ステイル「今日はせいぜいあの超電磁砲とやらと突っつきあってればいい」


どうやら気のせいではないようだ。 そうか、これは多分魔術師のしわざだな。 
インデックスの隣に赤と黒のトーテムポールのようなものが見えるのも多分魔術師のしわざだ。
おのれ魔術師、……………………………ん?


上条「ステイル!? なんで俺の部屋に!? 不法侵入だ! 無断家宅侵入罪だ!」

イン「私が入れたんだよ、とうまが寝てる間に」

ステイル「やれやれ、朝からこの子を悲しませるなんて、君はどれだけの罪を負えば気が済むんだい?」

上条「待て、部屋の中で炎をだすな! 燃える! 燃え移るぅ!!」


なんてことだ、部屋の天井が黒く変色しちまった。
これでこの部屋を引き払うときに莫大な金がかかるのは確定……。


イン「ここにいてもクリスマスのご馳走は期待できないんだよ! てことで私はステイルと一緒に近くの教会に出てくるんだよ!」

ステイル「まぁそういうことだ、君は下品に性の日を祝ってればいい」

上条「てめえら……、しっかり負の置き土産を残しやがって……」

ステイル「そういえばもうひとつ、言っておかなければならないことがあったな」


ピッと放り出されたタバコの吸い殻をなんとか床に着く前にキャッチ。
この不良神父は俺に恨みでもあんのか、あるか、あるよな。


ステイル「今日は、少しきな臭い空気が漂ってる」

上条「は?」

ステイル「君のそばに置いておくとあの子が危ないってことだよ、詳しくは土御門に聞いてくれ」

上条「……あ、ああ、わかった」

イン「じゃあ行ってくるんだよ! 短髪によろしくね!」


………きな臭い? 
また魔術師がらみの事件でも起きてんのか?
38 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 13:44:00.57



土御門「いよー、カミやん、今日も朝から女の子といちゃいちゃかにゃー?」

上条「あぁ、なんで俺の周りの女の子はみんなスキンシップが過激なんですかね?」

土御門「愛情の裏返しってやつじゃないのかにゃー? そのうち過激なスキンシップも快楽として享受出来るようになるぜよ」


登校路を一緒に歩いているのは金髪にサングラスの土御門元春。
俺の悪友であり、悪友であり、悪友である。


土御門「そんな顔しないでほしいんだがにゃー、…………ときにカミやん」

上条「なんだ?」

土御門「…………話がある」


土御門の目つきが変わる。どうやらまた魔術方面でなにかあったらしい。
そういえばさっき赤髪のエセ神父もなんか言ってたな。
まったく、きのう美琴に危ない真似をするなと釘を刺されたのに……。


土御門「めんどくさいとは思うなよ、今回は御坂美琴にも危険が及ぶかもしれないからな」

上条「……それは聞き捨てならねぇな、なにがあったんだ?」

土御門「まだわからない、敵が魔術師であることは間違いないんだが、それ以外は……」

上条「とりあえず気をつけろ、ってことか」

土御門「…………ま、そうだにゃー。 超電磁砲も第三位の超能力者、そう簡単にはやられないはずだしにゃー」

上条「わかった、今日は気をつけとく」

土御門「よろしく頼むぜい」


40 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 13:50:04.79



12月24日、午後4時。


そんなことがあったから、補習も全然頭に入らなかった………、というのはもちろん言い訳だが。
だかしかし、気をつけろと言われても俺は便利な能力も魔術も使えないわけで。
必然、いつもと変わらない日常となる。

ただ、今までと違うのは。


青ピ「ん? 校門のところに誰かおる?」


こんな不幸な俺にも彼女が出来たこと。


上条「よぉ美琴、待っててくれたのか」

美琴「うん、どうせ暇だし」


可愛い女の子が校門で笑顔で迎えてくれる。
うん、これはもう不幸じゃない。


青ピ「カミやん……、これはどういうことか、くわーーしく教えてもらえんかなぁ?」


おっと、すぐ近くで不幸が芽生える音が。


美琴「なによ、アンタそっちの気があるの? 当麻に手は出させないわよ」


ギュ、と俺の腕に抱き着く美琴。
目の前で順調に不幸が育っていく。
美琴さん、今この場所でその行動はNGだ。
そしてその勘違いもNGだ。 
41 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 13:54:27.30

土御門「カミやーん、これはもうデルタフォース解散の危機だにゃー」

上条「ちょっ! 土御門てめぇには昨日言っただろ!」

青ピ「ブ・チ・コ・ロ・シ・かくていね♪」


あぁ、今日も綺麗に不幸の花が咲いた。


美琴「やめなさい!」


獣のような目で俺に襲いかかってきた青髪ピアス、もとい変態。
しかしそれは俺に覆いかぶさる前に撃ち落とされた。


青ピ「あふぅん!」

上条「おぉ美琴様! マイエンジェル!!」

美琴「当麻は私のモノなんだから! 渡さないわよ!」

上条「その見解は少し違いま……」

美琴「アンタも男相手にフラグ立ててんじゃないわよ!」

上条「コイツとフラグ立つぐらいだったら死んだほうがマシだ!」

青ピ「なんやて!? ひどい! 僕との関係は遊びやったんか!?」

42 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 14:06:03.04

上条「はああ!?」

美琴「あ、あ、あああアンタ、言うに事欠いておおお男なんかと……!!」

上条「美琴さん!? さすがにコレはないですからね!?」


隣に立つ大男を指差し、必死に弁論。
自分でも言ってる意味がよくわからない。
というか今この場がどんな流れが出来ているのかわからない。


美琴「そ、そりゃ私は同性愛にも理解はあるから否定はしないけど……でも当麻が……」

上条「そこは否定してくださいね!? 顔赤くしてどんな妄想してるんですか!?」

美琴「でも! 今は私と付き合ってるんだから! 私だけを見てよ!」

上条「ちょっ!? なんで涙目になってるんですか美琴さん!?」

青ピ「カミやん! 僕と彼女どっちがええんや!?」

上条「美琴」キッパリ

美琴「当麻………////」

上条「そんな嬉しそうにしないでくださいよ!? そもそも前提からして間違ってますからね!?」


43 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 14:08:04.37






収集のつかなくなったデルタフォースをなんとか退け、とりあえず着替えるため寮への帰路につく。
もちろん隣には俺を窮地から救ってくれた天使付き。


上条「いやいや、先程は助かりました」

美琴「言ったでしょ、一分一秒無駄に出来ないって」


まだちょっとツンツンしているが、今の俺には光り輝いて見える。
ただ、不幸というのは重なるもの。

またも見慣れた顔が俺達の前に立ち塞がった。


黒子「見つけましたわ、お姉様」

美琴「げ、黒子………」

結標「なんで私まで…」

黒子「お姉様、なにも言わずに私について来て下さいな」

美琴「はぁ?」


立ち塞がった白井と結標と呼ばれた女の子は紙袋を手に、美琴に手招きをした。


黒子「お姉様、ちょいとこちらへ……」

44 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 14:10:51.97

渋々黒子のそばに行った美琴は警戒しながらも差し出された紙袋の中を覗く。
以下会話文のみ。


美琴「……なにこれ?」

黒子「今日のお姉様の衣装ですの」

美琴「はぁ!? 無理無理! こんなの絶対着れないわよ!」

黒子「いえいえ、お姉様に合わせて購入しましたの、きっと可愛いですわよ?」

美琴「無理! 騙されないから!」

黒子「どうしても、着ないともうしますの?」


(と、ここで黒子が傍観にまわっていた結標を呼び寄せた)


黒子「いくらお姉様といえど、レベル4のテレポーター2人を同時にお相手できまして?」

結標「報酬はちゃんと用意してるんでしょうね?」

黒子「当然ですの、しかしアナタも特異な趣味がおありですのね?」

結標「アンタに言われちゃおしまいよ」

美琴「力ずくでも、ってワケね……!」

上条「お、おいお前ら……」

45 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 14:12:28.65

美琴「いいわ! 相手してあげるわよ! ついて来なさい!」


俺が制止する間もなく、美琴は街灯や鉄筋入りのビルを使って、文字通り飛んでいってしまった。


黒子「追いますわよ!」

結標「はいはい」

上条「おおい…」

黒子「悪いようにはしませんのでご安心くださいまし、上条さんは自宅にてお姉様が帰るまでに心の準備をしていてくださいな」

上条「はぁ?」


心の準備? なんだそりゃ。
まぁ、美琴も心なしか楽しそうにしてたし、白井だし、大丈夫か。


『御坂美琴も危険が及ぶかもしれないんだからな』


…………やっぱり、追いかけるか。

クリスマスってこんなに疲れるもんだっけか?

48 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 18:38:54.60


学園都市第三位、“超電磁砲”御坂美琴は休日で無人の建設現場にいた。
その建設現場は砂と土の敷き詰められた見晴らしの良い広場と、資材置場、そして鉄骨で骨組みのみ作られている建設中のビルから成る。

超電磁砲はその広場で待ち構えていた。

レベル5、学園都市の頂点。

しかしこちらはレベル4の大能力者が2人。
勝ち目は、……………ある。


美琴「ここなら、周りを気にせず戦えるわ」


私がこのくだらない作戦に参加したのは、それなりの報酬が用意されていたから。

だがそれだけではない。

超電磁砲が第三位?
確かに彼女は学園都市の広告塔としての意味合いが強いが、しかしそれでも原子崩し達より上位とは思えない。

要するに、私は超電磁砲が気に入らない。

だから参加した。
真っ正面から超電磁砲を叩き潰してやる。


黒子「多少の怪我は仕方ありませんわよ!」


先手は、白井黒子。

持っていた針を移動させ、超電磁砲の服を狙う。
なるほど、これなら傷つけずに戦意を喪失させることが出来るわけだ。
しかしこの攻撃は超電磁砲が真上に飛び上がったために空を切る。


黒子「お姉様! 素っ裸にしてさしあげますわげぇへへへへ………!」

美琴「ふふふ、いくらテレポーターといえど、磁力で不規則に動き回る私を補足出来るかしら!?」

49 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 18:50:07.20

白井は超電磁砲を追って針を次から次へ撃ち込んでいく。
戦力を計るため私は安全圏から2人の闘いを見ていたが、なるほど、脚力で跳ぶわけではない、翼で飛ぶわけでもない磁力で不規則に動き回る敵の動きは予測が立てられない。

やはり白井一人では手に余るか。
テレポーターの戦いを見せてやる。


結標「白井! 合わせなさい!」

黒子「了解ですの!」


まずは資材置場にある鉄板を使い、超電磁砲の飛ぶ方向へ移動させる。


美琴「おぉっと!」


これは超電磁砲がすんでのところで方向を変えて避ける。
ここからだ。

さらに鉄板を数枚、超電磁砲の飛ぶ方向と、その周りに移動。
これで超電磁砲が次に飛ぶ方向は限定された。


美琴「うわっ!?」


超電磁砲はこれもかわしたが、方向を変えた先には既に白井がテレポートさせた鉄板が数枚。

スピードの出ていた超電磁砲はそのまま背中から鉄板に叩きつけられた。


美琴「きゃふ………っ!!」

結標「今だ!」


超電磁砲の体勢が大きく崩れたこのチャンスを逃すわけにはいかない。
御坂美琴を捕獲するために作戦前に渡された睡眠ガス、これを口元もしくは直接気管内に転移させればこちらの勝ちだ。

50 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 18:51:43.75

勝利を確かなものにするため、私と白井が落下する超電磁砲の背後へと自分自身を転移させた直後。

超電磁砲の身体が青白く光った。


結標「チッ……!」


10億ボルトの超高電圧を自在に操る能力、電気操作系の頂点。
その雷撃を、すんでのところで自身を転移させかわす。


美琴「いったぁ……、油断したわ……」

黒子「どうですかお姉様? 今ならまだ身体の隅々まで舐め回す程度で済ませてあげますのよ?」

美琴「………私がそんな簡単に降参すると思ってんの?」


超電磁砲が再び空中へ飛び立つ。


結標「もう一度よ白井!!」

黒子「言われなくとも!」


先程と同じく、鉄板を転移して行く手を塞ぐ。


美琴「二度も同じ手は通用しないわよ!」


御坂美琴の目の前に現れた鉄板は、雷撃によって大穴を開けられ、その威力を失う。


結標「チッ…! 白井!!」

白井「了解!!」


今度は転移する鉄板をそれぞれ10枚重ねにして質量を増やし、超電磁砲の行動を押さえ込む。


――――――はずだった。


51 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 18:54:29.33


美琴「甘い!!」


激しい火花と閃光が走り、青白い電撃と共に空に黄金色の軌跡が描かれた。

“超電磁砲”(レールガン)

高電圧によって強力な磁場を作りだし、電磁誘導で音速の3倍以上の速度で弾を打ち出す、御坂美琴にしか出来ない文字通りの必殺技。
しかも今回の弾はいつものコインではなく、先程打ち砕いた鉄板の破片。

質量はコインの数十倍、威力は――――。


美琴「“超電磁砲”の名前はダテじゃないわよ」

結標「くっ……!」


10枚重ねられ鉄塊と化していた鉄板は、超電磁砲によって粉々に砕かれていた。


美琴「自分の飛ぶ方向に鉄板が来るなら、私はそれを待ち構えてればいいってわけよ」


―――見誤っていた。

10億ボルトという電圧。

それはジャンボジェット機の機体にも穴を開けてしまう自然界最強の雷と同じ電圧。


美琴「んじゃ、そろそろこっちからもいくわよ?」


52 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:00:53.12


超電磁砲の身体から紫電が走る。


結標(…………今までと違うレベルの雷撃がくる!)


次の瞬間、建設現場は凄まじい電流と閃光によって満たされた。
人を殺すほどではないとはいえ、この広いフィールド全てをカバーする電撃。

自分自身の転移距離が短い白井黒子は…………。


黒子「あばばばばばばばばば!!」


当初の予想通り、白井はここでリタイア。
だが私は建設現場のはるか上空に自身を転移することでこの攻撃をかわした。

あの雷撃は凄かったが此処までは届かない。
それにこの転移で私は超電磁砲の視界とレーダーから消えたはず。
今なら気づかれずに仕留められる……!

建設中のビルの頂上に降り立ち、催眠ガスをかまえる。
確実ではないが、超電磁砲の周りにガスを撒き散らせば効果はあるはず。


結標「……ん?」


転移させようとした時、超電磁砲が動いた。
地面から黒い砂を引き出し、つむじ風のようにして自身を覆っていく。


結標(砂鉄……? これじゃあ正確な位置がわからない……!)

53 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:03:04.22

砂鉄の嵐は周りの砂をも巻き込み、辺り一帯の視界を塞いでしまった。


結標「ふん……一時的に身は隠せても……!」


しばらくして砂ぼこりがやみ、超電磁砲の姿が――――――。


……………ない。


結標(まずい!!)


急いで辺りを見渡し、建設中のビルの中、鉄板や鉄骨が組み合わさって身を隠せそうな場所に滑り込んだ。

雷撃が来ないところを見ると、あちらもまだ私の位置は捉えてないのだろう。
しかしお互いに相手の居場所がわからない場合、電磁波のレーダーを持っている超電磁砲のほうが圧倒的に有利だ。

かといって下手に自身を転移させれば、超電磁砲に背中を曝してしまうかもしれない。

……動けない。


結標「……!?」


突然、目の前に砂鉄の槍が現れた。


結標(見つかった!? なんで!?)


それを紙一重でかわし、一つ下の階へ転移。
だが、砂鉄の塊はこちらの位置がわかっているかのように追いかけてくる。

54 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:05:06.35


結標(なんで!? 私自身のテレポートは目視でもレーダーでも追いつけないはず……!)


砂鉄の追跡から逃れるため、ビルの最上階に自身を転移させたとき。

――――――――気づいた。


結標(私はここに、追い込まれて………)


直後、肩を掴まれた。
転移はもう間に合わない。


美琴「つーかまーえた♪」


雷撃が、来る。


結標「きゃぁぁあああああ!!」


55 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:06:59.55





結標「く……、これが、レベル5……!」


零距離からの雷撃をくらった結標は、目の前に立つ年下の少女を見上げた。
学園都市の頂点、その第三位。


美琴「ちょっとてこずったけど、ざっとこんなもんよ」

結標「くぅ……!」

黒子「完敗ですの……」


隣にはボロボロになりながらもなんとかついて来た白井黒子。


結標「あなた、なんで私の位置がわかって……?」

美琴「あぁ、あれはね」


美琴が姿を消した直後、結標も転移によって身を隠した。
美琴に結標は捕捉出来なかったはず。


美琴「あのビル、ほとんど鉄骨と鉄板で出来てたでしょ?」

結標「あ……」

美琴「ビル全体に微弱な電流を流してたのよ、僅かだけど電流が乱れたところに敵がいるってわかるの」

結標「そんなことまで……!」


ハッキングさえも可能なほど精密に電流を操れる、それも美琴がレベル5たる理由の一つ。

56 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:13:35.49

美琴「ビルの中にいるってわかった時点で鉄骨使って電気流してもよかったんだけど、それじゃ芸がないでしょ?」

結標(……………完敗、ね)

美琴「で、黒子?」

黒子「はい、ですの……」

美琴「なんでこんな事までしたワケ? 味方まで付けてさ、ただあの服を着てほしいからってだけじゃないわよね?」


美琴は腰に手をあて、悪い子供を叱るような姿勢で黒子を問い詰める。


黒子「それは……」


観念した黒子が全てを白状しようとしたその時。
あとを追ってきたのか、美琴の後ろからとある人物が現れた。
さきほど置いてけぼりにした上条当麻。
建設中のビルをここまで(最上階)まで自分の足で登ってきたのだとすると、なかなかの根性だ。


上条「おいおい美琴、あんまり乱暴しちゃ駄目ですよー」

美琴「にゃ……」


ポン、と美琴の頭に手を置く上条当麻。


黒子「いまですの!」


この隙を逃さず、黒子は持っていた催眠ガスを美琴の口元に転移させた。


美琴「へ、なに? あぅ…………っ!!」

57 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 19:15:56.23

黒子の目論見通り、油断していた美琴は電撃を飛ばす間もなく催眠ガスを吸い込んでしまった。
体から力が抜け、その場に倒れこみそうになった美琴をあわてて上条が受け止める。


美琴「むきゅぅ………」

上条「美琴!!」

黒子「大丈夫ですわ、後遺症の危険のない即効性の催眠ガスですの」

上条「催眠ガス?」

黒子「えぇ上条さん、お姉様を少しだけ、お借りできまして?」

上条「美琴を? でも……」

黒子「30分でお返ししますわ、直接お部屋にお届けしますの」

上条「まぁ、なら……」


白井だし、まぁいいか、と上条は美琴を黒子と結標に引き渡す。


黒子「では上条さん、楽しみに待っていてくださいな」

結標「あーあ、負けた負けた」


にっこりと笑って美琴と共に消える黒子。
結標も後を追って消えてしまった。


上条「なんなのでしょうか、今日の上条さんの扱いは………」


61 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:15:27.84


その頃……。


Prrrrr、Prrrrr


pi


一方通行「なんだァ? 今日は忙しいンだよ」

土御門『冷たいにゃー、せっかく一緒にクリスマスという熱ーい夜を過ごそうと思ったのににゃー』

一方通行「あァ、火葬場で年越したいってンなら手伝うぜェ」

土御門『なんか最近毒舌に磨きがかかってないかにゃー?』

一方通行「そりゃ多分、同居人のせいだなァ」


チラ、と番外個体のほうを見る一方通行。
番外個体は打ち止めと共に街のイルミネーションに目を奪われているのか、一方通行の視線には気づかない。


土御門『感情豊かになってオジサン、嬉しいにゃー』

一方通行「あァそォか、多分今が人生で一番幸せな時期だろォから、今のうちに死んどけェ」

土御門『……これ以上無駄話続けると本気で傷つくから、本題に入るぞ』


一方通行はこれくらいで傷つくタマかよ、と心の中でツッコミながらも、電話からの声に耳を傾ける。
しかし仕事の話にしては急だ。

62 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:16:06.46

土御門『今日はずっと街中にいるんだな?』

一方通行「あァ、ガキどもが連れてけ連れてけ煩ェからな」

土御門『なら、出来るだけ第7学区にいて欲しいんだ』

一方通行「なンだ、仕事じゃねェのか」

土御門『いや、仕事だが不明な点が多すぎて具体的な対処が出来ない、ただ、第7学区が中心になりそうだということだけはわかってる』

一方通行「他の奴らは?」

土御門『既に待機済みだ、…………そうそう』


一方通行「ン?」

土御門『さっきテレポーターvs超電磁砲を目撃したんだにゃー』

一方通行「テレポーター? ……ってアイツが?」

土御門『もう一人、常盤台の白井黒子ってのもいたんだがにゃー、結果、気になるかにゃー?』

一方通行「どっちが勝とうと俺には関係ねェだろ」

土御門『ほほー気になるかー』

一方通行「切るぞ」

土御門『おおい! そりゃないぜい!』


必要な話は済んだようなので電話を耳から離し、通話を切ろうとした時、一方通行の視界に見慣れた姿が目に入った。

63 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:19:41.87

向こうも一方通行に気づいたのか、チッ、と舌打ちをしながらも歩み寄ってくる。


一方通行「よォ、また超電磁砲と闘りあったらしいなァ」

結標「あーもうあれは反則よ反則、なんなのレベル5って、いろいろ反則的過ぎるでしょ?」

一方通行「その口ぶりだと負けたみてェだな、しかも2人がかりで」

結標「……誰から聞いたのか知らないけど、その通りよ」


結標は小さく両手をあげて“お手上げ”のジェスチャーをして、さらにため息をついた。


結標「で? 女の子2人も連れて、随分と豪勢じゃない?」

一方通行「俺が連れ回されてンだよ見りゃわかンだろォが」

結標「へぇー、……じゃ、じゃあ私も面倒見てあげようか?」

一方通行「はァ?」

結標「どうせ第7学区うろうろするんだし丁度いいじゃない、……あ、邪魔はしないから」

番外個体「………チッ」

打ち止め「ん、人数は多いほうが楽しいよね! って、ミサカはミサカは広い心で受け入れてみたり!」

一方通行「あァ? …………ったく」

土御門『おーい』

一方通行「ンだァ? まだなンかあンのかァ?」

土御門『…………気をつけろよ』


いつにない土御門の真剣な声色に、一方通行と結標は顔を見合わせる。
もう、仕事は始まっているのだ。


一方通行「オマエもな」


一方通行はそれだけ伝えると、雪がちらつきだした空を見上げた。
………何かが起きそうだ。

64 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:24:20.97




私こと上条当麻は困惑していた。

テレポーター2人を見送ったあとクリスマスに染まった街を一人トボトボと歩き続け、ようやくついた自分の部屋。
玄関の戸を開け一番に目に飛び込んできたのは、部屋の真ん中に置いてある巨大な箱だった。


上条「なんだこりゃ……?」


よく見ると綺麗にリボンが巻かれ、メッセージカードまで付いていたり。


『美琴より愛を込めて』


と書いてあるメッセージカードはとりあえず保留。
なんだこれは。 怪し過ぎる。
今朝も土御門に気をつけるよう言われたのに、こんな怪しい箱を開ける馬鹿がどこにいるだろうか。

と、眺めていると箱の中から微かな物音が。


…………気になる。


開けてはならないのに開けてみたくなる、人間の性。

65 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:26:31.08

上条(………おのれ魔術師!!)


意を決して包装を解き、一気に蓋を開ける。
そこに入っていたのは………。


上条「みこ、と…………?」


そこに入っていたのは、御坂美琴。
俺の彼女。


美琴「んぅ……」


美琴は眠っているのか、時折身体をよじったりしている。
いや、そこは問題じゃあない。

問題は美琴の服装。

いわゆるボディコン?というものなのだろうか。
全体が赤色で、胸元と裾に白いファーのようなものが付いているのはおそらくクリスマスカラー。
肩を露出し、丈が短いので美琴の綺麗な脚があらわに……。
いや、正直に言おう。
パンツが見えている。
横を向いて眠っているので服がたわみ、慎ましい胸元もギリギリまで見えていたり……。

※「御坂美琴」で画像検索すると出てくるアレです。


美琴「ん……」


目を覚ましたのか大きく身をよじる美琴。
それによって裾が捲り上がり、腹部まであらわになる。
俺はもう目を離すことが出来ず、その様子を見守るだけ。

66 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:28:02.49

美琴「寒ぃ………、あれ? 当麻?」

上条「美琴………」

美琴「ちょっと当麻! 鼻血! 大丈夫!?」


美琴はまだ自分の姿に気づいてないのか、箱の中から上目使いで俺を見上げてくる。
しばらくしてあまりの寒さに自らの肩を抱いた時、ようやく気づいたのか美琴は服と同じくらい顔を真っ赤にして箱の隅へと飛びすさった。


美琴「ちょ、ちょっと待って!! なんなのよコレ!? ………ひゃあ!?」


箱の隅に行ったはいいが思ったよりも強度のなかった箱の壁は美琴がぶつかった衝撃を受けて簡単に壊れてしまい、美琴はそれとともに背中から倒れ込んでしまった。

目の前でM字開脚するサンタさん。

俺の理性はここで跡形もなく吹き飛んだ。


上条「………美琴」

美琴「ふぇ!? んぅ………!」


いまだ状況を把握しきっていない美琴の唇を、自分のそれで塞ぐ。
相手はまだ中学生? それがどうした。


67 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:29:27.66

美琴「だ、だめ、当麻……! まだ心の準備が……!」

上条「なに言ってんだこんな格好までして、誘ってんだろ?」

美琴「こ、これは知らない間に……! あぅ……!」


本気で嫌がる美琴を押さえ付け、あらわになった肩と首に顔を埋める。
もう自分でもなにをしているのかわからない。
ただ目の前の獲物を貪る肉食獣のように美琴の身体を漁る俺は、多分今まで生きてきた中で最低な行為をしているのだろう。
だが、止められない。

そんな時。


地響きのような巨大な爆発音と共に、部屋全体が大きく揺れた。


上条「なんだ!?」


我に帰った俺は美琴を押さえ付けていた手を離し、辺りを見渡す。


美琴「なに!? すぐ近く……!?」


68 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:31:15.16

直後、俺と美琴の携帯電話が同時に着信を告げる。
俺の携帯には土御門から。
美琴の携帯には白井から。


上条「もしもし!? 土御門、これは……!?」

土御門『カミやん、いますぐそこから出ろ!!』

上条「は!?」

土御門『敵の正体がわかった! その魔術師が使うのは魔術でもなんでもない!』

上条「魔術師が魔術を使わない!?」

土御門『奴が使うのは、プラスチック爆弾だ!!』


爆弾? 魔術師が?
まさか、今のも………!?


上条「ソイツの目的は!?」

土御門『カミやん自身だ! それとその近くにいる人間……!』

上条(俺と……、美琴!?)


と、突然、先に電話の終わった美琴が俺の手を引っ張った。


美琴「当麻! 行くわよ!」

上条「行くってどこに!?」


美琴の話によると、今朝、アンチスキルに学園都市第7学区に爆弾を複数設置したという電話が入ったらしい。
しかしそれ以外、設置した場所も目的もなにも言わずに切れたので、いたずら電話だろうと特に警戒しなかった。

69 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:33:50.29

上条「そしたら本当に爆発が起きたと………」

美琴「幸い今のところ怪我人は出なかったらしいけど、爆弾を見つけなきゃ、次は大変なことになるかもしれないじゃない!」

上条「おいおい、爆弾探すのはアンチスキルに任せるべきじゃ……!」

美琴「この人の多さと渋滞でアンチスキルの爆発物処理班がまともに動けないらしいのよ、下手に市民に知らせたらパニックになるから、私達で探すの!」


土御門の話を聞く限り、その爆弾を仕掛けたのは魔術師。
そしてその狙いは俺達。
どう考えてもこれは罠だ。
しかしだからと言って爆弾を放置すれば関係のない人達に被害が及ぶ。

選択の余地はない。


大きなため息をついて気持ちを切り替え、走り出す。


70 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/14(火) 20:35:27.25



俺の人生最悪のクリスマス・イヴが始まった。


87 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 21:59:08.30

第二章「幸福を砕くもの」

88 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:00:22.27



「―――――――――――――さっきはドジなだけなんて言ったけど」


「“幻想殺し”ってのがホントにあるなら

神様のご加護とか

運命の赤い糸とか


そういうものもまとめて消してしまってるんだと思うよ?」


「……ごせつめいを」


「君の右手が本物ならね、その右手があるだけで『幸運』ってチカラもどんどん消していってるんだと思うよ?」


クリスマスが聖夜だなんて、誰が言ったんだ。
少なくとも今年のクリスマスに、奇跡なんて起こらなかった。


「何が不幸って、君。そんな力を持って生まれてきちゃった事がもう不幸だよね♪」


神様でも殺せる男のくせに。

俺はたった一人の少女さえも守ることは出来なかった。


89 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:01:25.60



街に出た俺達は白井から伝えられた、アンチスキルと風紀委員の捜査網が一番手薄になる場所へと走る。


上条「さっきの爆発はどこで!?」

美琴「近くの学校の運動場! もちろん冬休みで誰もいなかったみたいだけど!」


人気のない運動場。
そこで爆発させたということは。


おそらくこれは警告。

朝の電話は嘘ではないという警告だ。


先程の爆発で街は騒然としているかと思ったが、そうではなく、むしろ落ち着いていた。
その理由は、さっきから街頭の電光掲示板やモニターに流れている文章にあった。

『先程の爆発はTV撮影用の演出です』

パニックになるのを避けるためだろうが、なかなかよく出来ている。


上条「美琴の能力で爆弾を探すことは出来ないのか!?」

美琴「街中じゃ難しいわね……!」


設置された爆弾が時限式であろうと、リモート式であろうと、それは電波を発しているはず。
美琴ならそれを特定できるかと思ったが、様々な電磁波が混在する街中から爆弾が出
す電波を探し出すのはほぼ不可能だった。
やはり人海戦術で探すしかないのか。

90 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:02:51.20

一方通行「おィ、三下ァ!!」


道路を挟んで向こう側の歩道から聞き慣れた声が。
美琴もそれを確認し、近くにあった看板を磁力を使って飛ばし道路を渡る。


一方通行「オマエらも“プレゼント”探しかァ?」

上条「あぁ、そっちはなにか見つかったか?」

結標「まだなにも……、これだけ能力者が集まってるってのに時代遅れな爆弾ひとつ見つけられないなんて、歯痒いわね」


この広い街の中で、探すのは小さな爆弾数個。
レベル5たる美琴の能力も、一方通行の能力も、今はなんの役にも立たない。


番外個体「それにしてもお姉さま、今日はいつにも増して凄い格好してるね?」

美琴「え………?」


なんと、美琴はさきほどのサンタコスのままで街に飛び出していた。
行き交う人の目が痛い。


「おー、なんていうかクリスマスだね」
「なに? なんかのイベント?」
「てかあれってもしかして御坂美琴じゃない? レベル5の……」
「え、マジ? なんか披露すんのかな?」
「あん? 超電磁砲?」
「結局、麦野はクリスマスもいつもの格好ってわけよ」
「超時間ないんで急いでくれません? ただでさえ超ご機嫌斜めだっていうのに…」


立ち止ったとたん、あっという間に人だかりができてしまった。

91 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:04:34.32

美琴「あ………、これは、えと、……………………………っくし!」

上条「すまん美琴、上着ぐらい持ってくるべきだったな」


さすがに見てられなかったので、とりあえず俺の着ていたジャケットを手渡す。
美琴は「それじゃ当麻が寒いじゃない」とか言って拒んでいたが、俺が強引に着せると急に大人しくなった。


美琴「………えへ(当麻の匂い……)」

上条「さて、これだけ人数がいるんだ、手分けして探すか」

一方通行「それはいいが、どうやら動いてンのは俺たちだけのようだぜェ」


上条「………どういうことだ?」

一方通行「さっきからアンチスキルを見かけねェ、せいぜい交通整理をしてる程度だ」

結標「風紀委員もよ、街中は至って普通なの」

打ち止め「道行く人達もみんな楽しそうだったよ、ってミサカはミサカは話の輪に入ってみたり!」


そんなわけないだろ、と喉元まで出かかった言葉を飲み込む。

そうだ、思えば寮を出てからここまで、一度もアンチスキルとは出会わなかった。


なにかが、変だ。


92 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:05:55.39

黒子「お姉様!!」

美琴「黒子! なにかわかった!?」


群集の向こうからテレポートしてきたのは美琴の後輩の白井黒子。
たしかこいつも風紀委員だったな。


黒子「あぁお姉様! なんて姿を大衆に触れさせていますの!」

美琴「アンタが着せたんでしょうが! それより、なにか進展は?」

黒子「そ、そうですの、その件で……」

上条「……………白井」


美琴には悪いが、先に俺の質問に答えてもらおう。
これは多分、そう単純な事件じゃない。

一方通行と頷きあい、白井に向き合う。


上条「白井、他の風紀委員やアンチスキルの人達はどこにいる?」

黒子「………どこに、と言われましても、爆弾の捜索に」

上条「いや、寮を出てから一度もアンチスキルを見てないから、ちょっと、な」

美琴「ちょ、ちょっと当麻、それどういう……」


どういう意味か、自分でもわからないさ

だが、嫌な予感がするのだ。

この事件はただの爆弾騒ぎじゃない。

93 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:25:22.47



そして、今日二度目の爆発音が轟いた。


94 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:37:38.40


音からして先程の爆発と同じくらいの規模だろう。
ビルの間から黒煙が昇る。
たしかあっちには公園があったはず……!


一方通行「チッ、どうやらおしゃべりしてる時間もねェようだなァ……」

上条「仕方ない、残りを探そう!」

美琴「黒子! 今の爆発で怪我人は……!?」


この事件には怪しいところが多々あるが、爆発が起こっていることは事実。
まずは爆弾を探し出すことが先決か。

しかし魔術師のやつ、今回はかなり派手に暴れるな。

まるで………。


黒子「………お姉様!」

美琴「どうしたの!?」


黒子「佐天さんが…………!」


95 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 22:56:49.54





滝壺「はまづら、どうかした?」

浜面「い、いや、なんでもないよ、はは……」


とあるカラオケ店にてクリスマス真っ最中の俺は、携帯電話を開いて愕然とした。


着信記録、5件

絹旗←New!
麦野
麦野
麦野
麦野


浜面(おいおい、今日は仕事は入らないはずだろ……)


これはもう、ブ・チ・コ・ロ・サ・レ・かくていね。
さーて、人生最後に歌う曲はなんにしようかなー。

やっぱ定番で決めますか。


96 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 23:08:17.14

誰かが部屋に入ってきた。

でも俺には見えない、聞こえない。


イントロが始まり、マイクを……………。


とられた。


俺からマイクを奪った人物は、リモコンでマイクの音量をどんどん上げていく。


さらば俺の鼓膜。


麦野「はぁまづらぁぁぁああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

浜面「ぎゃああああああああああああああ!!!!」


97 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 23:29:25.77


滝壺「むぎの?」

麦野「はーい仕事よ仕事、さっさと起きなさい起きて起きんかこの糞包茎野郎ォ」

浜面「あだだだだだだだ!!!」


ぐい、と耳を持って俺を持ち上げた女は俺の耳が奏でるミチミチという愉快な音も気にせず、そのまま俺を引きずっていく。


絹旗「私の電話さえも超無視した罰ですね、それにしても超楽しそうです」

フレンダ「麦野は要するにクリスマスで浮かれてる恋人たちをぶち壊したかっただけなわけよ…」


耳を引っ張られたままカウンターで精算を済ませた直後、視線の先を閃光が走った。


99 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/15(水) 23:51:31.41





初春「佐天さん! しっかりしてください!」


目の前を血だらけの少女が運ばれていく。
既に意識はなく、友人の問いかけにも反応を示さない。

被害者は4人。
いまのところ死者はでていないが、いずれも重傷を負い、すでに病院へと搬送された。

爆発によってえぐり取られた地面と、そこかしこにべったりと付いた生々しい血の跡。


美琴は、ほとんど無表情でその現場を見つめていた。
大事な友人が運ばれていく瞬間も。
瞬きひとつせず、目だけでその様子を追っていた。


上条「…………美琴」

美琴「………………さない………」


美琴の小さな肩がふるえる。
少し俯き、前髪で目は見えないが、その口元は傷がつきそうなほど固く結ばれている。


美琴「許さない…………! こんな、無差別に人を傷つけるなんて………!」

上条「美琴……」

美琴「行くわよ、当麻。もう誰も、死なせない、殺させない」

上条「あぁ、同感だ」


100 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 00:13:10.24


麦野「あら超電磁砲、こんなとこでなにやってんのよ?」

美琴「アンタ……」


突然、俺達の前に数人の女が立ちふさがった。
どうやら美琴の知り合いのようだが、あいにく今はそんな余裕はない。


上条「悪いが急いでるんだ、通してくれ」

麦野「へえ、旦那と一緒に血だまり巡りでもしてたわけ? 趣味悪いわね」

美琴「…! この……!!」

上条「よせ、美琴! そんな奴らにかまうな!」


リーダーと思われる女の暴言に、美琴が詰め寄る。
美琴はしばらくその女を睨みつけた後、ふいっと顔をそむけ、女たちを無理やり押しのけて歩きだした。


麦野「あら、いいの? せっかく協力してあげようと思ったのに」

美琴「誰がアンタなんかに……!!」

麦野「忘れた? ウチには、爆発物のプロがいるのよ?」


フレンダ「……………………………てへ」


101 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 00:39:40.22





フレンダ「爆発の規模と爆弾本体の大きさからして、これに使われているのは軍用の高性能爆薬なわけよ」

美琴「軍用……!」


背に腹は代えられず、俺達は現場から少し離れた場所で第七学区の地図を広げた。


フレンダ「問題はこの箱なわけよ、完全な絶縁体で出来てるのよね」

美琴「!」

麦野「ここは学園都市、別にアンタじゃなくても電流を操作することのできる能力者はいくらでもいる。それに配慮したわけね」

フレンダ「加えて振動にも反応するように出来てて、うかつに持ち上げればドカンってわけよ。ほら、水平でなくなるとこの金属球が配線に触れて通電しちゃうわけ」

美琴「念動力系の能力でそれは固定できないの?」

フレンダ「できないこともないけど、根本的な解決にはならないわけよ。そう、たとえば麦野の能力なら一瞬で爆弾を消してしまえるけど」


つまり、爆弾を発見したとしても俺達では解除は出来ないということか。
しかし見つけることさえできれば、あとはアンチスキルに任せるか、最悪でも周辺の市民を避難させる余裕が出来る。


フレンダ「んで、ここからが大事なわけなんだけど」


102 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 00:49:58.13

フレンダ「こんなアナログな振動感知機、いまどき誰も使ってないわけよ」


フレンダと呼ばれた金髪の少女は、現場からぶん捕ってきた爆弾の残骸をいぶかしげに見つめる。


絹旗「そうですか? 超繊細な電子機器を使うよりは超頼れそうですが」

フレンダ「だってこの仕組みだと、他の爆弾の振動で誤作動しちゃうかもしれないじゃない?」

美琴「そっか、あれだけの爆発だと近くに置いてたら簡単に起爆しちゃうわね」


フレンダ「そう、“近く”に置いてちゃね?」


そうか。


近くには置けない。


つまりそれぞれの爆弾の設置場所は離れている。


103 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 01:05:11.57

フレンダ「もし他の爆弾も同じ仕組みで作ってあるなら、それぞれの爆弾の位置は必然的に離さなくっちゃいけないわけよ」

滝壺「ふれんだ、なんかかっこいい」

フレンダ「てへへ、んで、爆弾の振動のみならず、極力大きな振動があまりこないところに仕掛けたいから………」


フレンダは持っていたペンのキャップを外し、広げていた第七学区の地図を赤く塗りつぶし始めた。
その説明に皆食い入るように地図を見つめる。


フレンダ「高架下や大きな幹線道路沿い、建設現場の近くと今までの爆弾の振動が届いてしまういわゆる危険地帯をのぞけば……」


さきほどまで真っ白だった地図は、もうほとんど真っ赤になった。


上条「おお! これならなんとかいけそうだ!」

絹旗「ぐぬぬ、超やりますね……」

フレンダ「結局、ここまで絞れるわけよ、ただしこれは他の爆弾も同じ作りをしてるっていう前提だから確実じゃないけどね」

美琴「でも、凄い! 見直したわ!」

麦野「よし、じゃあ早くでましょ」

美琴「ね、ねぇ、麦野さん……」


104 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 01:19:26.71

美琴「なんでここまでしてくれるの……?」

麦野「………それが今回の仕事だからよ、なんか文句ある?」

美琴「仕事……」


その時、美琴の携帯電話が着信を告げた。
相手は、白井黒子。


美琴「もしもし、黒子!?」

黒子『お姉様、大変ですの! さきほど犯人から電話がありまして、すべての爆弾は午後8時に爆発すると……!!』

美琴「なんですって!?」

フレンダ「……、やっぱり次元式かぁ……」

絹旗「なにか超ひっかかることでも?」

フレンダ「箱自体が絶縁体なわけだから当然時限式だと思ってたんだけど、それっぽい装置は見当たらなかったわけよ……」

麦野「はぁ? じゃあどうやって起爆すんのよ?」


そうか。


今回の魔術師が爆弾を使うのはそういうわけか。


今は午後6時12分。

急がなければ。

108 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 10:46:09.34





上条「もしもし、爆弾の設置場所が絞れた!」

土御門『でかしたカミやん! すぐに一方通行にも送ってくれ!』

上条「あぁ、俺達は今から〇〇通りの商店街に向かう!」


再び走り出した俺達は、携帯電話を片手に爆弾の設置が予測される地帯へ。
しかし今日はクリスマス。
人混みを押しのけながら走るのはけっこうな重労働だ。


美琴「つかまって!」

上条「え!? うぉぉ……!」


差し出された手をとった瞬間、いきなり身体が浮かび上がった。


上条「おぉ、飛んでる……」

美琴「ちょっとはしたないけど、アーケードの上を行くわよ」


ふわりと商店街のアーケードの上に降り立った俺達はまた走り出した。
アーケードは透明な樹脂で出来ているため、下を歩く人達の様子がよく見える。

向こうからもよく見えるのだろう、たまに何事かといった表情で指をさしてくる人も。
それにしてもなんか皆、美琴のほうを見てるような。


………………あ。


上条「あの、美琴さん?」

美琴「なによ」

上条「その、………パンツが、見えてます」

109 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 11:02:24.60



美琴「――――――――!!」


今の美琴の格好は言うまでもなくセクシーサンタさん。
下の人達(おもに男達)の目はもっぱらその丈の短い服の内部へと注がれていた。


美琴「……………いいからさっさといくわよ!!」


たしかに、今はパンツがどうとかいってる場合じゃない。
急がなければ人の命がかかっているというのに。

なぜか俺の目もそっちに行ってしまう……。
あ、見えた。


美琴「もしもし、黒子!? 爆弾の場所がある程度絞れたわ!」

黒子『本当ですの!? すぐアンチスキルのほうに送ってくださいまし!』

美琴「わかった!」


―――――――これが見納めになるなんて、誰が思っただろう。


110 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 11:51:21.18




目的地に着いた俺達は携帯電話を構えたまま爆弾を探す。


土御門『しかし今回の魔術師は派手だな、普通敵地でこんなに目立つのは避けるもんだが……』

上条「確かにそうだ、アンチスキルや風紀委員が動けば困るのは自分だろうに……」


いくら俺達をおびき出すためとは言っても、ここまでする必要はなかったはずだ。
なにか他の目的があるのか? だとしたらいったい何のために……。


美琴「当麻!」


さきほどから携帯端末でなにかを探していた美琴が顔をあげた。
ないかを見つけたようだ。


上条「どうした!?」

美琴「商店街の外れに、テナントが全部出て無人になってるビルがあるの」

上条「怪しいな、だがそこで爆発してもあまり被害は……」

美琴「そのビル自体を倒壊させれば十分な被害が出るわよ、これを見て」


差し出された携帯端末の画面にはなにやら数字の羅列と一本の折れ線グラフ。
頭の悪い上条さんにはわかりません。


美琴「いろいろハッキングして調べたの、これはあのビルの電気使用量をグラフ化したものよ」

上条「電気使用量? あれ、なんかいきなり増えてるな」

美琴「そう、無人で誰も入った記録はないはずなのにここ2日間だけ電気使用量が一気に増えてるの」


無人のビルに人の入った形跡。
つまり………。


上条「急ごう! 美琴!」


111 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 12:01:40.29





その頃、土御門達はとある倉庫に身を隠していた。
その隣にはステイルともう二人、インデックスと神裂火織の姿もある。


土御門「ステイル、どうやら敵の目的は幻想殺しだけじゃないようだ」

ステイル「それはもとよりわかってるさ、しかしここまでおおっぴらに動くのは感心できないね、また戦争を起こすつもりか?」

イン「ねぇ、とうまは大丈夫なんだよね?」

神裂「大丈夫です、上条当麻は爆弾ごときで死ぬような男ではないはずです」

土御門「たしかに、爆弾ごときで死んでたら今まで何度死んでることか……」


とその時、土御門の携帯が光り出した。


土御門「もしもし、一方通行か、なにか見つかったか?」


112 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 12:13:00.88



一方通行『あァ、だがなンとも言えねェな、見つけたには見つけたが……』

土御門「どうした?」


一方通行『………こいつは偽物だ』


偽物? どういうことだ?


一方通行『形は爆弾のなりをしてはいるが、ただのハリボテだァ』

土御門「……だが、今までの2発は実際に爆発して……!」

一方通行『そォだ、しかも人の目の多い開けた場所でなァ』

土御門「……!」

一方通行『なァ、そりゃ爆発させるところは人の多いところの方が効率がいい。だが、人の目があるところでそンな大層な爆弾をどうやって仕掛けたンだろォなァ?』


確かにそうだ。
しかも今は……。


一方通行『しかも今はクリスマスでいつもよりも人が多い。 三下どもを追い込むまでに誰かが見つけて触りでもしたらなんの意味もねェ』

土御門「……つまり、どういうことだ?」


一方通行『奴らは大衆の目の前で、堂々と爆弾を設置したンだよ、能力もなにも使わずになァ』


113 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 12:26:34.10





土御門は一方通行からの通話を切ると、険しい顔で見つめている三人に向き直る。


ステイル「どうだい? なにか進展は……」

土御門「ステイル、俺達も動くぞ」


サングラスの奥で土御門の目が光る。
今までは“あの”幻想殺しのことだろうから簡単には死なないだろうと思っていたが事情が変わった。


土御門「その子は頼んだ、俺達はカミやんと合流する」

神裂「わかりました、気をつけて」


こおから先はただでは済まない。


嫌な予感がする。


土御門「チッ……電話がつながらない……!」


間に合うか…………!?


119 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:21:25.20





閑散としたビルの中、俺と美琴の足音だけがひどく大きく鳴り響く。
一見すると廃墟のようにも見えるこのビルは一カ月ほど前にテナントが一気に退去して以来放置され続けている。
テナントが一斉に退去した理由は、ついこの前に第八学区に出来たデパートに移転したからだとか。
俺と美琴が一昨日行った場所じゃねえか。そんなタイムリーな。


美琴「当麻! あれ!」


一階を探索し終え、二階へと足を踏み入れた俺達の目に飛び込んできたのは、窓際に置かれた二つの四角い箱。
どうやらこれ以上隠すつもりはないようだ。

よく見ると隣り合った二つの箱からいくつかの窓際の柱にむけて線が延びている。
柱に視線を移すと、そこにも白い箱がくっついていた。


美琴「やっぱり、このビルごと倒壊させるつもりね……」

上条「みたいだな、間に合ってよかった」


近づいてわかったが、この爆弾には時計が着いていた。
本体の上にある液晶画面が『00:32:57』と、午後8時までの残り時間を表示している。
左から順に時間、分、秒数だ。


美琴「もしもし黒子? ひとつ見つけたわ、すぐにアンチスキルを……」


窓から目の前の通りを覗くと、楽しそうに歩いている何組かのカップルが見えた。
商店街の端にあるとはいえ、クリスマスにはそれなりの人通りがあるようだ。


上条「美琴、下に行って誘導を…………」


そう言って振り返った時、俺は自分の目を疑った。

120 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:25:37.60



さきほどまで、確実に三十分以上の時間を表示していたはずの時計。


だが今は。


『00:00:03』


上条「………………………美琴!!!」


121 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:28:41.33



美琴「へ? ……………きゃっ!?」


美琴の体を抱き込み、床に伏せる。


122 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:29:57.67



瞬間、俺の瞼を激しい閃光が焼いた。


123 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:33:45.15



ぱしゃり。


124 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:36:06.69



…………静かだ。


爆弾は? 爆発したのか?


美琴は……、俺の腕の中にいる。


きょとんと、俺を見上げている。


少しだけ顔をあげてみる。


爆弾は、まだそこにあった。


125 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:39:09.86



『00:00:00』となっているはずの時計は。


『Merry X’mas!!』


ぱしゃり。


126 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:43:54.87



女「おつかれさまでーす!! 上条さん! 御坂さん!」


………………カメラ?


照明?   


マイク?


さっきまで俺達以外誰もいなかったはずのフロアには、先頭に立つ女を筆頭になにかしらの機械を持った人たちが十数人。


……………これは。


これは。


もしかして。


127 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:47:31.74

上条「………………………………………てれび?」


女「はい♪ びっくりさせちゃってごめんなさい! 実は今までの爆弾騒動は……」


全部、TV撮影のための演出なんです♪


上条・美琴「「はぁぁぁああああああああああああああああ!!??」」


128 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 15:54:52.22

美琴「あ、あのあのあの………」


いまだ現状を理解できていない美琴が口をパクパクさせていると、男たちの間から見知った顔が現れた。


黒子「すみませんお姉様、そういうことですの」

美琴「え、だって、さささ佐天さんは……?」


佐天「やっほー御坂さん、騙しちゃってすみません」


血まみれの女の子さえも現れる始末。
笑顔でぶんぶん手を振る姿は正直このうえなく不気味だ。


そうか。


やられた。


129 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 16:00:48.43


女「年末の企画で、ぜひ学園都市が誇るレベル5の一人、御坂さんに協力をと思いまして」


美琴「あは、は…………」


ぺたり、と床に座り込んだ美琴。


ああ。


まったく。


アンチスキルがあんまりいなかったわけだ。


全部許可をとってある演出なのだから。


誰からかはわからないが、ひとつの笑い声を皮切りに、現場は笑いの渦に巻き込まれた。


130 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 16:02:03.22



だが。


一方通行「オマエら、いますぐここから離れろォ」


132 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 16:04:00.05



ここで終わっていてくれれば、どんなに幸せなクリスマスだっただろうか。


俺の右手がまた不幸を呼び寄せたのか。


事件はこれだけでは終わらなかった。


134 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/16(木) 16:09:12.47
ああやっぱり…
137 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 19:13:04.16



「……アンタ、私のこと変だと思ってんでしょ」

「……どうしてさ」

「アンタは優しいから、私が、積極的に頼んだら断れないだけなのよ」

「……そう、かな」

「でも…! アンタは一緒にいてくれた…! それが、すごく、嬉しくて……!」


「だから…、私が素直なままでいれば、もっと、一緒にいれるかなって……!」


「ごめん…、自分勝手だよね、私、ホントに…」

「あのな、御坂」


なんで、もっと早く気付かなかったのだろう。
もっと早く気づいていれば……。


138 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 19:14:51.44





上条「一方通行、これはな……」


恐らくはまだ事の真相を知らないのであろう男に話しかけようとした時、俺の携帯が鳴りだした。
土御門からか、あいつもくだらねえ芝居うちやがって。


土御門『カミやん今どこだ!?』

上条「よう土御門、なんだよ、まったくくだらない冗談を……」

土御門『俺は冗談なんて一言も言ってない』

上条「はぁ? こっちではもうネタばらしされてんだよ、だから……」

土御門『ネタばらし……? ……………今すぐそこから離れろ! 早く!!』


はぁ? こいつはまだ演技続ける気か?
いくらなんでもこれ以上は……。

ため息もそこそこに、心配そうに見つめてくる美琴の頭を撫でながら振り返る。


…………ちょっと待て。


『00:00:14』


―――――――――嘘だろ、おい。


一方通行「チッ………! さっさと出ろォ! 死にたくなかったらなァ!!」

女「え? だって……そんな……!」

美琴「当麻……!」

上条「美琴、出るぞ!!」
139 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 19:25:40.75


全員が一階に辿り着いたのと同時に、頭上で爆弾が炸裂した。
ばらばらと落ちてくる破片をなんとか耐えながら出口へと向かう。


男「なんだよコレ!? 聞いてねえぞお!?」


それはこっちの台詞だ。
まさかこれも撮影の一部とか言うんじゃねえだろうな。

先に出口に辿り着いたアナウンサーが外でなにか叫んでいる。


女「ビルが………!!」


外に出た俺は、その女が指さすほうを見て愕然とした。


女「ビルが、倒れてくる………!!」


最悪なことに、ついさっきまで俺達がいたビルは、商店街の通りのほうへ傾きだしていた。
このままでは道行く人たちが下敷きに………!
なんとか一人でも、と身構える。

だが俺より先に動いた人物がいた。


美琴だ。


140 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 19:37:04.29


美琴「でやぁぁああああああ!!!」


美琴の体から紫電が走り、ビルの外壁を覆う。

傾き続けていたビルが止まった。
まさか、ビルの中の鉄筋を磁力で持ち上げているのか。


美琴「早く! 逃げて!!」


美琴の言葉に、呆然と様子を見ていた人たちが悲鳴をあげながら動き出す。
あっと言う間に通りには誰もいなくなった。

美琴以外は。


美琴「もう……ダメ……! 支えきれな………!!」


美琴から発せられていた電流が弱まり、止まっていたビルがまたゆっくりと動き出した。

このままでは美琴が……!


上条「美琴……!」

一方通行「あンの野郎ォ………!」


またも俺よりも先に動いた人物がいた。

一方通行が通りへと飛び出していく。
一方通行が力尽きた美琴を抱えあげた瞬間、それは分厚いコンクリートによって俺の視界から消えた。


141 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 20:09:15.19

倒れたビルによって辺りは砂埃に包まれ、その粉塵を吸い込んでしまった人達が咳込んでいる。

美琴は。

一方通行は……。


しばらくして収まってきた砂煙の中から現れたのは、そのどちらでもなかった。


麦野「あらら、こりゃまた派手にやったわね……」

フレンダ「ちょっと遅かったみたいだね、出遅れちゃったわけよ……」

上条「おまえら………!」

麦野「なに泣きそうな顔してんのよ、あいつらがどういうやつだか、アンタのほうが知ってるでしょうが」


麦野はそう言って砂埃が完全に収まり、かわりに現れた瓦礫の山を指す。
差された先では、まるでそれを見計らったように瓦礫が崩れ落ち、中から美琴とそれを抱いた一方通行が現れた。
そうだ、どちらも学園都市230万人の頂点であるレベル5。
ビルが崩れた程度で死ぬようなタマじゃない。


美琴「あ、危なかった………!」

一方通行「後先考えずに飛び出すからだろォが、まったく余計な手間増やしやがって」

美琴「ごめんごめん、あ、あの、もう降ろして……」

一方通行「あァ?」

美琴「お、降ろしてください! 恥ずかしいから…………!!」


わかっている。

わかってはいるけれど、俺は少し一方通行に妬ましく思ってしまったり……。

142 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 20:24:01.25


打ち止め「お姉様、大丈夫!? ってミサカはミサカは救急箱片手に問いかけてみたり……」

美琴「うん、大丈夫、ありがとね」


頭を撫でられえへへーと無邪気に笑う打ち止め。
隣では番外個体が擦り傷を負った美琴の手当てをしている。

と、姉妹の観察をしていると後ろから肩を叩かれた。


土御門「カミやん、無事だったか……!」

上条「土御門、………とステイルか、これはいったい…?」

ステイル「言っただろ、今回の敵が使うのは爆弾、そしてその狙いは君達だと」

土御門「これで終わりとは思えない、気をつけて……」


気をつけてくれ、と土御門が言い終わるが早いか、またしても。


視界の中にあった風力発電の風車が轟音とともに爆散した。


土御門「チッ…! やっぱりか!」

上条「土御門!」

土御門「いいかカミやん、かいつまんで説明するからよく聞いてくれ」


143 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 20:41:14.18

土御門「敵は魔術師だ、そして、爆弾は魔術によって起爆される」


そう。 爆弾の残骸に時限装置もリモート式の受信機も付いていなかったのはそのため。
さらに箱を絶縁体で覆うことで、おそらく俺の近くにいるであろう美琴の能力の干渉を封じた。


土御門「だが、この広範囲に散っている爆弾に、魔術で直接信号を送るのは不可能だ、つまり……」

ステイル「信号の“中継地点”となる術式が、この第七学区のどこかにあるはずってことさ」


中継地点。

魔術師が爆弾を起動させようとして発した信号はまずそこに集められ、そこから指定した爆弾に発信すりょうになっている。
つまりその術式を破壊することが出来れば、これ以上の被害は食い止められる……!


土御門「俺達は今からその術式を破壊しに行く!」

ステイル「既にだいたいの場所はわかっているが、破壊するのはそう簡単じゃない」

土御門「だからカミやんは残りの爆弾の捜索を頼む!」

上条「残りの爆弾って、また探し出すのには時間が……」

一方通行「それに関しては解決済みだ、いいかァ」


一方通行が言うには、こうだ。

爆弾の設置場所や方法からして、この犯人はおそらくテレビ局の人間になりすましている。
つまり、爆弾が設置してあるのは番組側がもともと仕掛ける予定だった場所と同じはず。

俺は少し離れた場所で呆然としている女子アナウンサーとさきほど毒づいていたディレクターに声をかけた。

144 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 21:08:53.14

女「な、なに…?」

上条「今回、爆弾の設置を担当したのは誰ですか?」

男「爆弾? あぁ、その辺りは基本的に小道具の人が…、でも、運動場と公園以外はダミーのはずなんだけど…」

女「○○さんじゃない? 小道具の」

男「あぁそうだ、でも彼はいま本社にいるからここにはいないよ」


おそらくその人が犯人か。
次は……。


上条「残りの爆弾の場所って、わかります?」

男「残りの……、ちょっと待っててくれ」


ディレクターと思しき男性はそう言って近くにあったワゴン車から一枚の地図を持ってきた。


女「のこりとは言っても、もうほとんど…」

男「そうだな、いま風車が爆発したから、残りはふたつ」

女「あ、○○ビルの屋上のは?」

一方通行「それは俺がもう確認した、ちゃんとダミーだったぜ」

上条「と、なると……」


最後に地図上に残った赤い点。
ここだ。

145 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 21:30:19.27

一方通行「俺は犯人を抑える、爆弾は三下にまかせたぜェ」

上条「あぁ、じゃあ……」

美琴「待って! 私も行く!」

上条「美琴……」

一方通行「連れてってやれ、少なくとも今回はオマエよりは役に立つ」


出来るだけ美琴は危険な場所に連れて行きたくはないのだが……。
しかし、今回の相手は基本的には爆弾であり、魔術師ではない。


上条「わかった、行こう、美琴」

美琴「……うん!」

黒子「お姉様……」

佐天「御坂さん、あの……」

美琴「安心して、ちゃんと帰ってくるから。 黒子はあとでオシオキだからね?」


いたずらっぽく白井の頭を撫でる美琴は、時折俺よりも大人びて見える。
無理もないか、中学生とはいえあれだけのことを経験しているんだ。


女「あの、私も行きます、詳しい場所はわかりませんが、近くまでは案内できますんで」

上条「………お願いします。 でも、危ないんで最低限の案内でいいですからね?」

女「はい!」


と、そこにようやくアンチスキルの車両が数台現れた。
そのうちの一台が近くにきて、窓を開けた。

146 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 21:37:04.57

黄泉川「またか少年! 今度はなにが起こってんじゃん!?」

上条「黄泉川さん、すぐに○○通りの廃工場までお願いします!」

黄泉川「これはタクシーじゃない! と言いたいとこだけど、なんか理由がありそうじゃん!?」

上条「その通りです!」

黄泉川「話は車の中で! さっさと乗るじゃん!!」


急いでアンチスキルの車に乗り込み、シートベルトを締める。
事件は間違いなく、最終局面だ。
魔術師は一方通行とあの女の子達が抑えてくれる手はずになっているし、起爆の要所となる術式は土御門達が破壊する。

これが、最後の仕上げだ。


黄泉川「発進すんじゃん!! 舌噛まないようにね!!」


147 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 22:19:33.46




上条達が去った後、現場ではTV局のスタッフも撤退の準備を始めていた。
それぞれ「いったいなにが…」とか「俺達のせいじゃないよな?」などと口にしながら機材を車に詰め込んでいく。

金髪の少女はその中の一人に目をとめると脚線美が自慢の足でその人物のそれを思い切り薙ぎ払った。
そんなことなど予想していなかった人物はひとたまりもなく、その少女の足元に倒れ込んだ。


男「な、なにすんだ!?」

フレンダ「なにすんだ、って?」


様子を聞きつけた麦野と一方通行達が駆け付ける。
フレンダはそれを確認すると、倒れたままの男に小さな銃を突きつけた。


フレンダ「爆弾は基本的に小道具の人が扱ったって? 他の人は騙せても、このフレンダの目はごまかせないってわけよ」

男「……なんのことだ?」

フレンダ「アンタからは、何種類もの爆薬の臭いがすんのよ。 結局、染みついた臭いは消せるわけないのよね」

男「ほォ……」


その瞬間、男の纏っていた雰囲気が一変した。
男はゆっくりと立ち上がり、自分を囲んでいる能力者たちを見まわす。


男「こいつぁ驚いた、まさかソッチにも爆弾のプロがいたとはなぁ……」

一方通行「なァるほど、局の人間になり済ましてるとまではわかってたが、番組の担当者本人だったとはなァ」


148 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 22:42:36.84


男「苦労したよ、学園都市に潜入したのは二年前。 いつか必要になるからと送り込まれたが、こんな大きい仕事を任されるとはね」

結標「随分な余裕だけど、周りは見えてるのかしら? レベル5の超能力者が二人とレベル4が二人、ただの爆弾魔が勝てるとでも?」

男「はは……、ただの爆弾魔か、舐められたもんだ」


突然、男が片手を大きく上げた。
フレンダはすぐさま引き金を引き、男の頭を吹き飛ばして……。


――――――いるはずだった。


フレンダ(か、体が、動かない……!?)

一方通行「オマエ……なにしやがったァ……!」


男を取り囲んでいた全員が、突然、凍りついたように動きを停止する。


男「不用意に私の術式の範囲に入ってくるからさ、まったく無知なガキどもの相手は退屈過ぎんぜ」

麦野「チッ……テメエ……!」

男「さて、さっきの足払いの礼でもさせてもらおうか」


男はさきほどフレンダが落とした銃を拾うと、それをフレンダの額に突きつけた。


フレンダ「あ………あう………麦野ぉ……………」


149 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/16(木) 22:55:38.96



打ち止め「びりびりー、って、ミサカはミサカは変態さんにオシオキしてみたり!」

男「ぐぉぉ!?」


意外なことに、この状況を打破したのは第一位でもなく、麦野でもなく、遠くで様子を見ていた打ち止めだった。
電撃による一瞬の隙を逃さず、フレンダは銃を取り返し、一方通行は演算補助機のスイッチを入れる。
フレンダはまた銃を突きつけると、舌をペロ、と出してみせた。


男「あ……あぁ……」


さきほどまでの気勢はどこにいったのか、男は目に見えてわかるほどガクガクと震えている。


麦野「フレンダ、ちょっと待ちなさい」

フレンダ「麦野?」

麦野「さっきまでは普通にアタマ吹っ飛ばしてハイ終わりって思ってたんだけど」

フレンダ(あ、スイッチ入っちゃってる?)


麦野「気が変わったわ」


フレンダ(………………………ご愁傷サマ)


151 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/16(木) 23:09:44.39
フレンダかっけ~
おっつ!
152 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/16(木) 23:15:29.10
魔/術/師
ですね分かります
153 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:02:17.07





目的地へと向かう車の中、窓の外を流れる景色は既に夜のそれとなっていた。
ほんの数時間前までは普通の日常を過ごしていたはずなのに。

やっぱり私も、けっこう不幸だ。

当麻は前の席で黄泉川さんに事の経緯を説明している。


上条当麻。


私のヒーロー。


女「ねえねえ、二人はいつから付き合ってるの?」


当麻の横顔に見惚れていると、ふいに隣に座る女性に話しかけられた。


美琴「え、えと、まだ二日しか……」

女「二日!?」


そんなに驚くことかな。
確かに付き合いだしたのは一昨日だけど、でも知りあってからはけっこう経ってるんだし……。


女「あ、ごめんね。 なんていうかもう、ずっと前からラブラブな感じに見えたから……」

美琴「あう………」


154 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:03:59.03

女「でも、意外。 レベル5の御坂さんが無能力者の彼と付き合ってるなんて」

美琴「た、たしかに当麻は能力はないけど、でも、すっごく強いんだから! それに、やたら正義感強くて、なんかいろんなことに巻き込まれるけど、でも、すごく優しくて……!!」

女「はいはいごちそうさま。 わかってるわよ、今日一日見てきたんだから」

美琴「あうあうあう………」


こういう人は苦手だ。
自分が思ってること、全部言わされてしまう。


女「彼が、大事?」

美琴「…………うん」

女「そう、大切にね?」


言われなくとも。

ただでさえ当麻はいろんな女の子から好かれてるんだ。
常に掴んでおかなきゃすぐにどっかいっちゃいそうだもの。


美琴「………うん」


―――――――――そう、ずっと。


ずっと、掴んでおかなきゃ。


155 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:19:03.41






女「ここです、この工場です」


目的地についた俺たちは車から降り、女子アナウンサーの後をついていく。
黄泉川さんは非常線を張るとのことで、車に残るそうだ。

問題の工場は工業団地の中にあり、両隣の工場にはまだ明りが点いていた。
女子アナウンサーは黄泉川さんから渡された懐中電灯で辺りを照らしながら、ずんずんと工場の中を突き進んで行く。


女「えっと、たしかこっちに………」


懐中電灯を持っている女子アナウンサーは自分の前しか照らさない。
そのため俺は途中、何度かわけのわからない機械に頭や足をぶつけてしまったが、美琴は「なにやってんのよ」と平然と歩いてきた。

どうやら自分から出ている電磁波の反射波で周りの障害物を把握出来ているらしい。
まるでコウモリだ。


女「ありました! あれです!」


広い工場の中ほどまで来た時だろうか、突然女子アナウンサーが前を指さした。
懐中電灯により暗闇から浮かびあがってきたのは、二十センチ四方くらいの箱。

――――――これが、最後の爆弾だ。


美琴「やっぱり、外側は絶縁体ね。 私の能力は干渉できないわ」


美琴は恐れずに爆弾に近づき、しげしげと眺めている。
女子アナウンサーは懐中電灯を近くの機械に固定し、どこかに電話をかけ始めた。


156 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:28:09.92


prrrrrrrr prrrrrrrrr


上条「お、俺にも電話か……」


タイミングよくかかってきた電話をとり、爆弾を見つけた旨を伝える。


土御門『そうか、こっちもたったいま術式を破壊した』

上条「そうか、てことはこの爆弾はもう爆発しないんだな?」

土御門『というか、もう術式を破壊する必要もなかったみたいだ』

上条「とゆーと?」

土御門『犯人の魔術師は既にアイテムが綺麗に三枚卸しにしてくれたらしい』

上条「おいおい……」


三枚おろしとは穏やかじゃないな。


土御門『犯人はディレクターの男だったらしい』


女「チッ……出ないな…………」


それを聞いた瞬間、俺の脳内は加速した。

157 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:36:29.54



『先程の爆発はTV撮影用の演出です』


「爆発の規模と爆弾本体の大きさからして、これに使われているのは軍用の高性能爆薬なわけよ」


『しかし今回の魔術師は派手だな、普通敵地でこんなに目立つのは避けるもんだが……』


「そう、無人で誰も入った記録はないはずなのにここ2日間だけ電気使用量が一気に増えてるの」


「はい♪ びっくりさせちゃってごめんなさい! 実は今までの爆弾騒動は……」


「年末の企画で、ぜひ学園都市が誇るレベル5の一人、御坂さんに協力をと思いまして」


158 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:37:39.59



「ビルが、倒れてくる………!!」


「言っただろ、今回の敵が使うのは爆弾、そしてその狙いは君達だと」


「敵は魔術師だ、そして、爆弾は魔術によって起爆される」

「だが、この広範囲に散っている爆弾に、魔術で直接信号を送るのは不可能だ、つまり……」


「爆弾? あぁ、その辺りは基本的に小道具の人が…、でも、運動場と公園以外はダミーのはずなんだけど…」

「○○さんじゃない? 小道具の」

「あぁそうだ、でも彼はいま本社にいるからここにはいないよ」


159 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:40:12.55



「あの、私も行きます、詳しい場所はわかりませんが、近くまでは案内できますんで」

「………お願いします。 でも、危ないんで最低限の案内でいいですからね?」


160 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:45:52.39



俺達はなんなく爆弾を見つけることが出来た。


なぜか。


関係者が案内してくれたからだ。


その関係者はなんと言っていた?


「あの、私も行きます、詳しい場所はわかりませんが、近くまでは案内できますんで」

「………お願いします。 でも、危ないんで最低限の案内でいいですからね?」


161 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:49:13.34


魔術師の狙いは俺達。


広範囲にちらばる爆弾に直接魔術で信号は送れない。


ならば近くならどうか。


最後の爆弾。


狙いは


俺達。


162 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:51:59.58



狙いは、俺と


その周りの人間。


163 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 00:55:00.13



次の瞬間。


五度目の爆発は、俺の目の前で起こった。


164 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:01:40.36



すべてがスローモーションで流れていく。


閃光で照らされる工場内。


噴き出す爆風。


衝撃波によって吹き飛んでいく機械。


165 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:03:01.25



美琴の華奢な身体が、宙を舞う。


166 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:09:50.35



使用用途のわからない機械に叩きつけられた美琴のまわりに、赤い華が咲いた。


そのまま、まるで無造作に投げられた人形のように床に倒れ伏す。


女「あーあ、小娘のほうがひっかかっちゃったかー」


167 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:16:00.71



上条「な………………」


なんだこれは。


なにが起こった?


女「ま、いっか、小娘のほうも標的だったんだし、これもアリだよね♪」


上条「あ、あああ……………」


女「どうよ? 目の前で最愛の人を殺された気分は?」


女「あの子、純粋で一途よねー、アンタのこと悪く言ったら顔真っ赤にして反論してきてさ」


女「ま、もうただのお肉の塊なんだけどね」


上条「うぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


169 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:23:09.05



俺は、走った。


目の前で笑う女に向って。


女「じゃ、君も死んでみよっか」


女が懐から拳銃を取り出す。


しかしそれさえ、興奮した俺の脳は捉えることが出来なかった。

まっすぐ、女に向って手を伸ばす。


その拳銃は火を噴く寸前、どこからか放たれた黄金色の光条によって消し炭となった。


女「な………!!」


美琴「へん……! ざまあ、みなさい……………!!」


俺の右手が、女の喉を捕えた。


170 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:35:03.45


女「かはっ……………!!」


そのまま女を押し倒し、右手に力を込める。


女「あ………ぐぅ………!」


喉を強く絞められ、女の目が血走ってきた。
しかし俺は力を緩めない。
このままではこの女は確実に死ぬ。
だが、力を抜くことが出来ない。
俺の両腕はまるで独立して生きているかのように女の首を絞め続ける。


美琴「だめ……! とうま……!」


今にも消えそうな声で俺を呼ぶ美琴。
それによって我に返った俺は、すぐさま両腕を離した。

女はまだ生きていた。
ただ、倒した時に頭を打った衝撃で気を失ったようだが。


上条「美琴!!」


美琴に近づいた時、なにかがぱしゃりと音をたてる。


…………これは、血だ。


171 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:44:46.41



美琴「当麻……」

上条「美琴! しっかり……!」

美琴「あは……最後の最後で…、やられちゃった……」


美琴の身体からは、なおも血が流れ続ける。


美琴「当麻……、私、もう………」

上条「な、なに言ってんだ、これくらいの傷、どうってこと……!」

美琴「ううん……わかるよ……」

上条「ばか野郎! ずっと…!」


上条「ずっと一緒に生きてくんだろ、美琴!?」

美琴「ごめん、当麻…」


美琴の身体から力が抜ける。
いつの間にか、俺達の周りには爆発を聞いて駆け付けた隣の工場の従業員が人垣を作っていた。


上条「頼む、救急車を…!」


なにやってんだよ。
なにボーっと見てやがんだよ。

助けろよ。

俺の力じゃどうしようもねえんだよ。

172 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:53:05.99





数十分後、俺は馴染みの病院にいた。

目の前に横たわるのは、生命維持装置に繋がれた美琴。


冥土返し『24時間以内に意識が戻らなければ、生存は見込めないんだね』


俺はどこかで期待していたのかもしれない。

今まで、なんだかんだで俺の周りの人間は生き残ってたりする。
だから美琴も、すぐに意識が戻ってまたいつもの日常が戻ってくるんだと。

だが、現実にそんな俺の期待など通用するわけもなく。


173 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 01:59:22.82



懸命な処置も虚しく、耳障りな電子音が心臓の停止を告げる。


美琴の身体から生命維持装置が外されていく。
待ってくれ、まだ外さないでくれ。
もしかしたら、もしかしたらまだ息を吹き返すかもしれないじゃないか。

おそらくそれは賭博に酔って追銭を繰り返すギャンブラーと似たような心境なのかもしれない。

そしてそれは大抵の場合、報われない。


12月25日。


俺はこの日、美琴を失った。


183 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:08:00.24

第三章「みさか」

184 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:08:36.28



俺には夏休み以前の記憶がない。


「私には御坂美琴って名前があんのよ!」


それが最初だった。

最悪な実験に果敢に立ち向かった美琴。ロシアにまでついてきた美琴。
付き合いだしてからは一緒にいるのが当たり前だった。
ずっとそれが続くのだと思っていた。

学園都市230万人の頂点、七人しかいないレベル5の第三位。
決して弱くはないそのチカラ。
だから、多少の事件に巻き込まれてもそう簡単に死ぬはずはないと思っていた。
それはある種、信頼にも似たもの。

だが、間違っていた。
どんなに強い能力を持っていても、その身体はまだ幼い女の子そのものだった。
美琴は死んだ、俺の目の前で。

「………ずっと、守ってくれる?」

「当然だろ?」

「ずっと一生よ? 途中でいなくなるなんて許さないんだからね?」

「あぁ、約束だ」

多くの魔術師を破ってきた。反則的な能力を持つ者達にも、神の右席さえも。
いつもこの右手が破ってきた。

だが、この右手は現実というモノの前ではなんの役にも立たなかった。

185 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:09:31.23


美琴が死んだあとのことは、よく覚えていない。

覚えているのは、いつも世話になっていた蛙顔の医者に掴みかかったこと。
その医者のせいではないことはわかっていた、その医者が美琴を救うために全力を尽くしてくれたことも。
だが、俺は言わずにはいられなかった。どんな傷でも治してきてくれたじゃないか、なぜ助けてくれないんだ、と。

そして病院内のどこかの廊下でアイツ達と出会った。
妹達。美琴のクローン達。学園都市に残った妹達全員が、そこにいた。
そしてその中の一人、御坂妹がその目に涙を溜めながら俺に詰め寄ってきた。

「どうして」

溢れ、行き場をなくした涙が御坂妹の頬を伝う。

「どうして、お姉様を守ってくださらなかったのですかっ……!」

答えられなかった。
皮肉にも感情の乏しいクローン達に涙を教えたのは、オリジナルである御坂美琴の死だった。

その後、妹達が去ったのを見計らって海原が姿を現した。
正確には海原ではない、いつかの魔術師。そいつは何も言わずに、俺の頬を殴りつけてきた。
避けなかった、避けられなかった。なぜなら、そいつも泣いていたから。

その日、俺が寮に戻ることはなかった。

186 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:10:28.60




「手は尽くした、でも、僕は神様ではなかったんだね……」

「あなたのせいではありません、いえ、誰のせいでも……」

「ありがとう、……電話をとってくれないかい?」

「ええ、どうぞ」


「…………もしもし、僕だ。たったいま、御坂美琴くんが亡くなった」

『なんだと!? 彼女はレベル5だぞ!?』

「レベル5とはいっても、身体はまだ子供なんだね」

『どうするんだ……、他のレベル5と違って御坂美琴は表に出せる存在。学園都市の宣伝文句でもあるんだぞ……』

「なら、少し僕に協力してくれないかな?」

『ほう、木原博士をあれほど嫌っていた冥土返しが学園都市の暗部に頼みごとか?』

「君達としても、彼女がいなくなるのは困るだろう?」

『面白い、一応聞いてやろうか。なにが必要だ?』

「君達のところで保管しているアレが欲しい」


そう、今すぐにだ。

187 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:11:26.69





気がつくと、私は学園都市にいた。

しかしなにかが違う。

誰もいない。
音がしない。
風もない。
ただ時間だけが過ぎていく空間。

「お姉様」

誰?

「お姉様」

声のした方を振り向くと、私がいた。いや、正確には私ではない。
常盤台の制服を着てはいるが、それとは不釣り合いな大きいゴーグル。
妹達、私の妹。

「お姉様、こちらに、来てしまったのですね」

「こちら?」

「お姉様、ミサカは……」

そのミサカは最後まで言葉を紡ぐことなく、俯いてしまった。
だが私はその言葉よりも先にその妹達が着ているサマーセーターについた缶バッジが気になった。
どこかで、あれを見た気がする。

突然、風が吹いた。

反射的に目を瞑った私の耳に飛び込んできたのは、さきほどまで無かったはずの街のざわめき。
目を開けるとそこはいつもの学園都市だった。
人々が往来し歩道を埋め、自動車が車道を走る。

「お姉様」

そんな喧騒の中でも、なぜかその妹達の声ははっきりと私の耳に届いた。

「少し、お茶でもしましょう」

188 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:13:10.33

とある喫茶店に入ってからしばらくして、注文した紅茶が二つ、テーブルに置かれた。

「この喫茶店は、ミサカのお気に入りなのです」

自分のことではないのに、なぜか胸を張って自慢そうにそう言う妹達。
やっぱり妹達の味覚の好みも私と似てくるんだろうか。

「へえ、私もここは結構来るのよ?」

「それはそうでしょう、この喫茶店はお姉様に教えてもらったのですから」

「へ? そうだっけ?」

「えぇ、初めて飲んだ紅茶は最悪でしたが、ここの紅茶には驚かされました」

「はは、そんなまずい紅茶、いったいどこで飲んだってのよ」

「研究所の中です」

その言葉を聞いた瞬間、ズキ、と頭の奥でなにかが蠢いた。
そしてそこから今までの記憶が溢れだす。

「お姉様」

「あ……あ……」

「お姉様、覚えておいでですか」

「そん、な……」

「ここはお姉様とミサカが初めてお茶をしたところです」

「あ……アンタは……!」

「ミサカの検体番号は」


「9982号です」


189 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:13:56.79





丸一日が過ぎたころ、俺はようやく寮に戻った。
自分の部屋の扉の前で立ち尽くす。
インデックスはどうしただろうか、まだ土御門達と一緒にいるんだろうか。
この扉を開けたら、なにごともなかったように美琴が出迎えてくれるんじゃないか。

扉を開け、一番に目に入ったのは、大きな箱。

一昨日の夕方、この箱の中から美琴が出てきた。あられもない格好で。
その姿に本能を抑えきれなかった俺は、獣のように襲いかかったのだ。

この部屋の時間はその時のまま止まっていた。

カーテンが開いたままのサッシから柔らかい夕日が差し込む。
俺は部屋に入ると、その箱によりかかるようにして座った。
携帯が鳴った。ディスプレイには『土御門』の文字。
だが、俺の目はそれよりも携帯に付いているストラップに釘付けとなっていた。

「アンタ生きてたんなら連絡くらいよこしなさいよ、馬鹿!」

「これ渡しとくわ、あの後偶然拾ったの。切れて短くなっちゃってるけど、文句は言わせないわよ」

いつまでたっても出ないからか、土御門からの電話が切れた。
思えば丸二日間寝ていない。

少し、眠ろう。

もしかしたらこれは全部悪い夢なのかもしれない。
目が覚めたら、インデックスを迎えに行こう。

どうせ学校は冬休みだ。
誰も咎めるものはない。

海原のやつ、遠慮なく殴りやがって。まだ痛えぞ。

190 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:14:57.29



「9982号……でも…アンタは……!」

「お姉様」

目の前に座っていた妹達、いや、9982号はゆっくりと立ち上がった。

「もう、お気づきなのでしょう?」

「……!」

「ここは、学園都市ではありません」

「わた、しは………」

「お姉様」

9982号が私に向かって手を差し伸べる。

「お姉様はもう、あの人達と同じ世界には存在しません」

「そう、ね………」

「ミサカはここでお姉様を待つつもりでした。 あの時言えなかったことをお伝えするために」

「あの時……」


……ん、まだなんかあるの?
……いえ

さようなら、お姉様。


「でも、こんなに早くお会いしたくはありませんでした」

「……でも、しかたないじゃない? それにアンタ達がいるなら寂しくはなさそうだしね」

「お姉様……」

そんな悲しい顔しないでよ。未練がない、と言ったらウソになるけど。
しかたないじゃない。人はいつかは死ぬんだから。
それにたった二日間だったけど、私は確かに当麻の隣に立つことができた。

差し出された手に自分の手を重ねようとした、その時。
私の手は、まるで立体映像のように妹の手をすり抜けた。

191 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:16:01.27

「え……?」

「………………お姉様」

最初は私と同じように驚いていた妹の顔に笑みが浮かんだ。
それは心から嬉しそうな、純粋な微笑み。

そして再び、突風とともに景色が変わった。

今度はどこかの果てしなく広い草原。
青く澄み渡った空に、美しく茂った草木が風で波を立てる。
目の前に立つ妹は、そっと差し伸べていた手を戻した。

「お姉様、お姉様はまだ、こちらのミサカ達と暮らす必要はないようです」

「え? それどういう……」

ふと自分の手を見ると、それは半透明になって景色を透かしていた。

「ちょうどいい機会なので、今、言わせてください」

「あ、あんた………」

私の身体はどんどん消えていく。
妹は屈託のない笑みを浮かべながら……。

「ミサカは、00001号から10031号のミサカ達は」

「少しの間でも、たとえ誰にも看取られることはなくとも」

「お姉様と同じ世界に生きることができて………」


――――――――幸せでした。


「また、お茶をしましょう。いつまでも、待ってます」

「………うん」


―――――また、ね。

192 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:17:11.39



あれから、5日が経った。

目が覚めても、なにも変わっていなかった。
インデックスを迎えに行く気にもならなかった俺は、この五日間なにをするでもなく街をさまよい歩いている。
昨日、運悪く御坂妹と出会ってしまった。

「すみませんでした」

「………え?」

「あなたの所為ではないのはわかっていたのに、ミサカはあなたに醜い言葉をぶつけてしまいました、と、ミサカは謝罪します」

「いや、いいさ、むしろ同情されるよりも海原みたいにぶん殴ってくれたほうがよかった」

「では、この場であなたを殴ってもいいですか?」

「……………いや、ええと」

冗談ですよ、と淡い笑みを浮かべる御坂妹。だがその笑顔はどこか切なげだった。
そして御坂妹は大きく深呼吸をして再び俺の目を見つめる。

「…………あなたは、奇跡を信じますか?」

その目はまっすぐ、俺の目を見ていた。
まるでごまかしを許さない、とでも言うように。

「……あったなら、美琴は」

「ミサカは信じます」

俺の言葉を最後まで聞かずに言い放つ。そちらから聞いてきたのにそれは少し失礼ではなかろうか。

「そしてそれは神や異能が偶然に作りだすものではなく、人の手によって必然的に起きるものだと」

「それではミサカは大事な用事があるので失礼します」

結局あいつは何が言いたかったんだろう。
それにいつもの虚ろな目は、確かになにかを見ていた。俺ではない、なにかを。

193 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:18:35.84

そして昨日に引き続いて今日も、会いたくない人物と会ってしまった。

「あら上条さん?」

「………白井か」

「なんかいつもに増してブッサイクな顔ですわね、まるでここ五日間まともに眠ってないような」

「あぁ、その通りだよ」

「あっそ、ですの。別にアナタが不摂生をしてようと私には関係ありませんわ」

「そうだな、その通りだ」

「それより、お姉様を知りません? あれから一度も寮に御戻りになられないんですの」

知らないかって? よく知ってるさ。
そうか、美琴は学園都市にとっても貴重な存在。おいそれとその死を公表することさえ出来ないのか。

「事件のあと帰り道で別れて、それっきりさ」

「そうですの? ワタクシてっきり上条さんの部屋に入り浸っているのではと思っていたんですが……」


「……と、これから支部に顔を出さなくてはいけないので、ごきげんよう」

俺は白井に真実を教えることが出来なかった。
白井は真実を知るまで、ずっと美琴の帰りを待つのだろう。
白井だけではない、いつも一緒にいる友人たちも、美琴を慕う常盤台の生徒達も。

194 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/17(金) 17:19:32.84

陽が沈みだした頃、俺はあの自販機の前にいた。
記憶を失った後、初めて美琴と出会った場所。
俺は携帯電話を取り出すと、美琴の携帯に電話をかける。

この五日間、気がつくとそうしていた。
いつか美琴が出てくれるのではないかと。結局、俺もまだ真実を受け入れられないでいるのだ。
もちろん電話には誰も出ない。一昨日からは電池が切れたのか、コール音さえもしなくなった。
いつまでこれを続けるのだろうか。これで最後にしよう。
これ以上続けても、自分を追い詰めるだけだ。

ため息をつきながら発信を切ろうとしたその時だった。


『もしもし、どしたの?』


「あなたは奇跡を信じますか?」

「ミサカは信じます。そしてそれは神や異能が偶然に作りだすものではなく、人の手によって必然的に起きるものだと」


199 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/17(金) 19:33:55.99
なんか目と鼻から汁が出てきて止まらないんだけど何これ
208 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:05:06.08



真っ白な部屋。

単調にリズムを刻む電子音。

「やぁ、目が覚めたかい?」

充満する薬品の臭い。
私を取り巻く白衣を着た数人の男たち。

「リアル………ゲコ太………」

ここは、どこだろう。
夢の中の学園都市は……。
私はたしか、爆発に巻き込まれて。

「不本意だけど、ちゃんと認識出来ているようだね」

自分の身体がズタズタに引き裂かれ、命が流れ出ていくのを感じた。
死んだ、はずだった。誰かの暖かい腕の中で。

「……………かなきゃ………」

「まだ覚醒には至ってないようだ、君、すぐに上部に連絡を。“成功した”と」

「わかりました」


行かなきゃ。


アイツに会いに、行かなきゃ。


209 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:05:54.98

最終章「Merry Xmas, Happy New Year」

210 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:06:45.55


電話の向こうから聞こえてきたのは、この五日間、渇望して止まなかった声。
たった五日間なのに、ひどく懐かしく感じる。
頭の中を、最期の瞬間が流れていく。


ずっと、ずっと一緒に生きてくんだろ、美琴!?

ごめん、当麻……。


美琴は死んだ。
三日前、妹達が泣きながら骨壷を持って行ったのも目撃した。

誰だ。

いま電話に出たのは。
いや、俺はこうなることを期待して電話をかけていたんじゃなかったのか。

そして怖い。
あり得ないことを期待している自分が。

「みこ、と…………………?」

『なによ、アンタからかけてきたんでしょ?』

知らぬ間に、俺の目からは涙が溢れていた。
言葉が、出ない。

『アンタ、いまどこにいんのよ?』

答えなければ。
ここで答えなければ俺は一生、後悔する。なぜだかわからないがそんな気がするんだ。

「自販機………」

小さいながらもなんとか一言だけ、声を発することが出来た。
だがあとが続かない。唇が震える。

211 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:07:44.84


『自販機? ……あー、わかった。今すぐ行くから、そこにいなさいよ!』

そう言って電話は切れた。
俺はしばらく通話の切れた画面を見ていたが、やがて近くのベンチに腰を降ろす。
いつの間にか陽は沈み、電灯と自販機の明りが俺を照らしていた。

―――――あなたは、奇跡を信じますか?

あったなら、美琴は死んでいなかった。
それとも、俺の右手がそれを消してしまったのか?

―――――ミサカは信じます、そしてそれは神や異能が偶然に作りだすものではなく、人の手によって必然的に起きるものだと。

だとしたら、俺の右手では消せない。
消えるはずがない。ならばやはり奇跡なんて存在しないんじゃないか。

奇跡という言葉はいつも人の心を惑わす。
普段はそのものの存在さえ疑うというのに、なぜか人は簡単にそれを望んでしまうのだ。
ある者は怠惰に、ある者は必死に努力を積み重ねながらそれを願う。
そして願い叶わなかった時、どちらも口を揃えてこう言うのだ。

やはり奇跡など初めから起きるはずなかった。

美琴を失うまでは俺も多少なりとも信じていた。
だが、美琴は死んだ。
自分の力が及ばぬ部分を奇跡などで補おうとするから、可能性を断たれたとき必要以上に苦しむのだ。
だから俺は初めからそんなもの信じない。信じれば、傷つくのは自分だから。
安易な理想に浸るよりは、乾いた現実に身を任せたほうが楽だと知った。

ならば今の俺はなにを望むのだろう。

美琴の生存?
それこそ奇跡というものだ。

ならばなぜ俺はまだ此処にいる?
美琴がここにくるのを待っているのか?

いや。

ただ、声が聞きたいんだ。
アイツの底抜けに明るい声で。
また、俺の名前を呼んでくれたら……。

212 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:08:38.36


「とーま、こんなとこにいたんだ?」


うなだれていた俺の頭上から声をかけてきたのは、俺の部屋の居候であるインデックス。
いつの間にか俺の隣に腰を降ろし、一緒に連れてきた猫を膝に乗せる。


「とうま、とうまはいま、どんな気持ち?」


悲しい?

苦しい?

………死にたい?

でもねとうま、とうまは今までどれだけ頑張ってきたの?
私と出会ってから、いろんな「不幸」に巻き込まれてきたよね。
平凡で平和な学生生活を過ごすはずだったこの学園都市で。

でも、とうまは諦めなかった。

とうまは自分のことを不幸体質だって、俺の近くにいたら不幸に巻き込んでしまうって。
でもね、とうまはどれだけの人に幸せを振りまいてきたかわかってる?

短髪が死んだのも、自分の所為だって責め続けてる?
私が知ってるとうまは、そんな弱いとうまじゃない。こんなとうまは大っ嫌い。

そんなことしてたら、もし。

もし、短髪が帰ってきたときに、嫌われちゃうよ?

だから、今は現実と向き合って?
とうまはどこに電話をかけたの? そして誰がでたの?

213 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:09:40.68

「………なにが、言いたいんだ?」

「私はシスターだよ? 悩める子羊がいたら、それを救うのが私の役目」

「…………一人に、してくれ」


インデックスは最後に少しだけ、柔らかな微笑みを俺に向け、帰って行った。

そうさ、俺はいろんなことに巻き込まれてきた。
最後まであきらめず、やり通してきた。
だけど、今回は違うんだ。美琴はたしかに死んだんだ。

幻想なんだ。

これは。


二時間近くそのままでいた。
既に街は完全に夜に。俺はふらりと立ち上がり、自販機へ。
側面に付いた凹み。懐かしいな、と思いながらその凹みに手をやった時だった。

214 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:11:13.77



「ちょろっとー、買わないならどくどくー」


215 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:12:04.46



声とともに俺は横へはじかれた。
記憶の中と同じ、あの声で。


「なによその顔? もしかしてまた二千円札呑まれたっての?」

「美琴…………?」


見間違うはずのないその姿。
いたずらっぽい笑みを浮かべて俺を見る瞳。
すべて、俺が求めていたもの。

俺が何も言えずただ立ち尽くしていると、美琴は少しだけ顔を曇らせた。


「………………………悪いけど、今回は取り返してやれないわよ? 能力、失っちゃったから」


そう言って片手で自販機を撫でる。
俺の中で一つの可能性が組み立てられていく。
それは俺の意思を無視して言葉になり、目の前の美琴へと投げかけられた。

「シスターズ……………?」

「………………半分正解で、半分ハズレってとこかな」

煮え切らない返答に、俺の中でなにかが切れた。


「………誰なんだよ、お前は!? 美琴は死んだんだ!! 俺の目の前で!!
 俺はアイツを守りきれなかった! 生き返るはずなんてない!
 これ以上…………! これ以上俺の心を惑わすな!!」


そんな姿で目の前に出てこられたら期待してしまうではないか。
もう信じないと決めたのに。
これ以上、美琴の幻想を相手にしていれば傷つくのは俺だ。
俯き、かすかに震えている幻想に背を向け歩きだす。

「待って…………!」

あれほど聞きたかった声は今では俺の心を蝕むものでしかなかった。
少なくとも、この時までは。

216 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:13:00.06


「………待ってって言ってんでしょ無視すんなやゴルァァアアアアーー!!!!」

何事かと振り返った瞬間、美琴の凄絶なタックルが炸裂した。
見事に俺の鳩尾へと決まったそれはさらに俺の後頭部をベンチへ叩きつけ、またさらに身体全体を地面へと叩きつける。

………痛い。

非常に痛い。

これは、夢なんかじゃない。


「………あ、あれ? ちょっと当麻? 起きてよ!」


飛びかかった意識をなんとか取り返し、目を開く。
そこには視界いっぱいの美琴。

唇になにか暖かく柔らかいものが触れている。

唇だけではない。
俺の頬にも暖かい、……液体。誰かの涙。
ゆっくりと離れていく温もり。すぐそこに、美琴がいる。

「行かないでよ………馬鹿…………!」

「美琴……なのか………?」

217 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:13:58.69


そっと、右手を伸ばす。


触れる。


柔らかい。


暖かい。


消えない。
これは幻想なんかじゃない。


俺は無意識のうちに目の前の少女を抱き締めていた。
その存在を、温もりを確かめるように。

「当麻……私……!」

「美琴……なんだな…!? 本物、なんだよな……!?」

その言葉に、美琴の肩がびくりと揺れた。


「美琴……?」


「私は………!」


218 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:14:48.66


量産異能者「妹達」の計画よりも前。
御坂美琴のDNAマップを使用して、一体のクローンが作られた。

それはまだ検体番号を与えられる前のミサカ。
一年間近い培養期間を経て作られた、試験運用クローン。

だが、そのクローンは超能力どころか「命」さえも持つことは出来なかった。
原因は脳の発達不良。

もともと来たるべき「量産計画」に備えてデータを取ることが目的だったその個体は、失敗が明らかになった後も培養が続けられた。
そして、データを取り終えたその個体は破棄されることなく学園都市の暗部組織へと引き継がれた。
理由は素体である御坂美琴が研究所を襲撃し始めたため。

最終的に、彼女達は実験を中止に追い込んだ。
この一件で「妹達」の研究情報はほぼ失われてしまったため、この個体は重要な資料として保管されることとなる。


そしてこの12月25日、御坂美琴が死んだ。

学園都市にとってこれは予期せぬ大きな損失だった。
暗部との関わりを持たない、しかも容姿端麗で面倒見もいい御坂美琴はまさに学園都市の「広告塔」であったから。
第三位という高い位置にいる御坂美琴の代わりを探すのは絶望的である。
そこで白羽の矢が立ったのが、この個体だった。

学園都市きっての名医である冥土返しが提案したのは。


脳移植。


科学の栄華を誇るこの学園都市でも、人間の脳移植は極めて難易度の高いことである。
垣根帝督のように機械的な「復元」は出来ても、いくら同じ遺伝子を持つクローンとはいえ別の人体に挿げ替えるのは未だ例はない。

219 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:16:12.87


この措置を学園都市の上層部が認めたのは、希少なレベル5を出来る限り残したかったのと、この移植が成功すれば「命の予備」を作ることが可能になると考えたからである。
自分のクローンさえ作っておけば、脳が死なない限り蘇生が可能となる。夢のような話である。

そして、手術は成功した。

美琴が目を覚ましたのは昨日。
意識の戻った美琴の世話は基本的に妹達がすることとなった。
この計画を知らされたのは、学園都市の幹部と一部の暗部組織の構成員、そして「妹達」。
さらに美琴を看取った上条当麻にも知らされるはずだった。

それは土御門から伝えられる予定だったのだが、何度電話しても上条当麻が出なかったので報告が出来なかったわけだ。


「私は、私のカラダは、本物じゃない……!」

「美琴………」

「やっぱり、気持ち悪いかな………?」

そう言って俺から離れようとする美琴。
俺はその美琴の身体を逃すまいと強く抱き締め、腕の中へと引き戻した。

「当麻………?」

「馬鹿野郎……! 気持ち悪いわけ、ないだろうが……!」

「当麻……!」


221 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:17:01.65


再び美琴の目から涙が溢れる。

「私……、私、怖くて……!」

「うん」

「身体が自分のじゃないって知られたら、嫌われるかもしれないって……!」

「うん」

「でも、私は……!」

「うん」

「もう一度アンタに……、当麻に、会いたくて………!!」

「美琴……」

「もう一度、声が……聞きたくて……!」


もう一度、頭を撫でてもらいたくて。
もう一度、暖かい身体と腕で抱き締めてもらいたくて。
もう一度、もう一度………。

それは、俺がこの五日間ずっと願っていたのと同じもの。

もう叶わぬと諦めた。なくても生きていけると、目を背けた。
大切なものは、同時に足枷となる。だからもう二度となにも信じまいと。

だが、生きているとわかった瞬間、その決意は簡単に崩れ去った。
たとえ身体はクローンであっても、その記憶と、その想いは確実に美琴のもの。

人は弱い。頼るべきものが出来てしまった瞬間、人は同時に弱くなる。
知らないでいれば強いままでいられた。
知らないままでいれば我慢し続けることができた。

だが、俺は知ってしまった。
美琴という、暖かな帰るべき場所を。

もう俺は、ソレ無しでは生きられない。

222 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:18:34.66

守り続けよう。それは恐らく美琴の為ではなく、自分の為。
俺が、美琴が必要だから守るのだ。この腕の中の存在を。
一度は確かに失った、この儚い存在を。


「美琴……!」


そういえば一週間くらい前、美琴に想いを伝えたのもこの場所だった。


「美琴、また、俺と一緒にいてくれるか……?」

「………」

「…………美琴?」


あなたは奇跡を信じますか?

ミサカは信じます。そしてそれは神や異能が偶然に作りだすものではなく、人の手によって必然的に起きるものだと。


「当たり前じゃない、ばか」


あの時と同じ街灯と自販機で照らされた舞台のうえで。


俺達は改めて恋人となった。


223 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:19:50.14





どれくらい抱きあっていただろうか。
ふと時計を見る。あと少しで日付が変わってしまいそうだ。

幸い、いまこの公園には俺達二人しかいない。
少しくらい抱きあっていても誰にも文句は言われないだろう。

「………ひゃあ!?」

俺は美琴を抱きあげると、側にあったベンチへと腰を降ろした。
さっき押し倒されたときに気付いたが、美琴は震えていた。
いまさらだが、美琴の格好は制服の冬服のみ。それではさすがに寒いだろうと上着を脱いで差し出す。

「そんな薄着じゃ寒いだろ、ほら」

「あ、ありがとう……」

どうせ拒んだところで無理矢理着せられるのがわかっているのか、今度は素直に受け取ってくれた。
それにしても、美琴の身体の震えは尋常ではない気がする。
それに額にはうっすらと汗が。

「美琴……?」

どうしたんだ? と聞いても首を振るだけで答えようとしない。
そういえば、それほどの大手術をした後、たった数日で出歩いて大丈夫なのか?
いや、そんなわけはない。つまり美琴は……。

タイミングよく、携帯が鳴った。
相手は御坂妹。

「もしもし!?」

『もしもし、落ち着いてよく聞いてください、……お姉様は生きてます』

224 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:20:43.47


「あぁ、俺もついさっき知った、それより……」

『お姉様が病院を抜け出したんです、まだ体調は万全ではないというのに……!』

「やっぱりか……、美琴はいま俺の隣にいるよ」

『…………そうですか、よかった、お姉様の様子は?』

「少し熱があるみたいだ、いまからタクシー呼んでそっちに向かうよ」

『申し訳ありません……、お姉様を、よろしくお願いします』

「あぁ」


御坂妹との電話を終えると、そのまま電話でタクシーを呼び、視線を美琴に戻す。


「美琴、なにか言うことは?」

「あう……」

「病院、抜け出したって?」

「あうあうあう………」


美琴は。


目を覚ましたあと、すぐに病室を抜け出そうとしていたらしい。
だがその時はさすがに身体が言うことを聞かず、そのせいでベッドから派手に落ちてしまい、その音を聞きつけた妹達に取り押さえられてしまった。
二日目になって少しだけ身体が動くようになった美琴は、厳重な(100人近い)妹達の警備をかいくぐって病院を抜け出した。
その後、寮に着替えに戻った美琴は携帯電話を忘れたことを思い出し、なんとその足でショップに行き番号そのままに新規契約してきたのだとか。

「だから、またペア契約しなおそうね?」

「あのな……、ったく」

でも、そのおかげで俺は今日、美琴と再会することが出来た。
いやしかし。そのために新規契約してくるとは、さすがお嬢様。


225 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:23:27.77

「でも、当麻に会いたかったんだもん………」

着信履歴の一件目が当麻だよ、えへへー、と、手のひらで買ってきたばかりの携帯電話を転がす美琴。
正直、ここが公共の場であるのと、タクシーを待っている状況であるのが幸いした。
これがもし自分の部屋だったらもう……。
押し倒して、ひん剥いて、俺の超電磁砲をぶーんぶーん。

「な、なに? 当麻、目が怖いよ………?」

まぁここは公園だし、街灯もあって比較的明るいし、美琴は病人だし。
それでも美琴を食い尽くそうっていうのなら、まずはそのふざけた幻想をぶっころり。

でも。

これくらいは許されるだろう。

「美琴……」

キスくらいは。

「当麻……」

ゆっくりと、顔を近づけあっていく。
もう少し。
もう少しでお互いの唇が触れ合うというところで。


「お姉様、やっと見つけましたわ! ……………アラ?」


激しいデジャヴ。

でも。


「ていっ」


ぐいっと服の胸元を引っ張られ、振り向きざまにキス。


「………当麻、愛してる」


俺の奇跡は、まだ始まったばかりだ。
226 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:24:31.08



~エピローグ~


「あーあ、年越しが病院なんて、最悪よねー」

「文句はナシ、ですの。まったくしばらく行方不明と思いきや、大怪我を負って入院しておられたとは」

「ごめんって。お詫びになんでも聞くからさー」

「で、では! お姉様の下着(使用済み)を……!」

「それはナシ」


1月1日。

あれから発狂して跳ねまわる黒子をなんとか宥めた私は、当麻が呼んだタクシーでこの病院へ戻った。
もちろん、当麻も一緒に。

入口で待機していた10032号は顔を般若のようにして私を待ち受けていて。
熱があるにもかかわらず、たっぷり30分間の説教をしてくれた10032号は、結局最後には笑って「おかえりなさい」と言ってくれた。

「ミサカ達は、お姉様の死に直面することで多くの感情を得ることができました。しかし、ミサカ達はこのようなことは二度と望みません、と、ミサカは釘を刺しておきます」

そう言った10032号の笑顔は、夢で見た9982号のそれと綺麗に重なった。
私の大事な妹。隣で見ていた当麻に「どっちが姉なんだか」と呆れられたのは癪だったけど。

227 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:25:54.44


「やっほー御坂さん! お見舞いに来ましたよー!!」

「あ、あの佐天さん、病院では静かに……」


黒子から私が入院してることを聞いた佐天さんと初春さんがお見舞いに来てくれた。


「聞きましたよ、御坂さん。夜の公園で抱きあってキスしてたって!」

「あ、あああああれはえっと、その……!」

「ふぇえ御坂さん、けっこう大胆……!」

「あうあうあう……」


また、扉が開く音がした。新しい来訪者。


「お姉様、会いたかったよー! ってミサカはミサカはー!」

「チッ、なンで俺まで……」

「一応ミサカも心配したんだよ? 一応ね」

「アンタ達……」

「上位個体、そこはミサカのポジションです、と、ミサカはお姉様の隣に陣取ります」


打ち止めと番外個体、一方通行に続けて妹達全員がぞろぞろと入ってきた。
後から入ってきた妹達はなにやら大きな箱を持っている。

228 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:27:15.62


「あわわわ、御坂さんがいっぱい……」

「こ、ここは天国ですの……!?」

「正月ということで、“おせち”を持ってきました、と、ミサカは自己の気の効き具合をアピールします」

「わーい! おせちー!」

「かなりの量があるので、ここにいる全員で食べましょう、と、ミサカは提案します」

「……あの、御坂さん、僕もご一緒に……」

「なンだいたのかァ、変態ストーカー野郎ォ」

「ロリコンに言われちゃおしまいね」

「そういうアナタはショタコン女じゃありませんの?」


……………病院で過ごす元旦なんて退屈だ、と思っていたけれど。


「おっ、いい匂いがするんだにゃー」

「おおー! これはもしかして日本の伝統おせち!? 短髪! 私も早く食べたいかも!」


………思ったよりも忙しくなりそう。


229 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:28:06.79


「うおっ!? なんだこの人数!?」

「当麻!」

「ほれ美琴、頼まれてた外泊許可書。ついでに餅も買ってきたから後で食うか」

「うん!」

「餅!? 今日は日本の味をいっぱい楽しめそうなんだよ!!」

「おまえはほどほどにしとけよー」

「…………当麻」

「ん、どうした、美琴?」


「……………ありがとう」


「………どういたしまして」


230 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:28:56.35





「………楽しそうですね」

「うん、思い切って提案してよかったよ」

「でも、能力、失ったって……」

「あぁ、あれは身体が馴染むまでは危険だから学習装置を応用してリミッターをかけただけなんだね。頃合いを見て外すよ」

「でも……、ホントに、奇跡です。あの手術が成功するなんて」

「君もまだまだだね。奇跡なんて言葉は、僕たち医者は使っちゃいけないんだよ?」

「あ……はい……」

「世の中にあるのは常に必然だ。奇跡に頼ってちゃ、患者は救えない」

「はい……」

「たとえば今回の手術も、仮にツリー・ダイアグラムに演算させたら99パーセント以上の確率で成功する、という結果をだしていたはずさ」

「……はい」

「でも」


もし。


神や異能によって偶然に作りだされるものではなく、人の手によって必然的に起きるものを奇跡と呼ぶのなら。


231 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/19(日) 12:34:42.50


何年も前、御坂美琴くんがDNAマップを提供したこと。


量産能力者計画の個体が残っていたこと。


僕がこの手術に携わったこと。


僕と彼らが旧知の仲であったこと。


あの子達全員が知り合えたこと。


そして、彼と彼女が出逢えたこと。


いろんな必然が重なって出来た今回の結果は。


「あー! それ私が食べようと思ってたのに!」

「ふふふ、プロの貧乏である上条さんに箸で勝てるわけありませんよ!」


―――――――――奇跡と、呼べるのかもしれないね?


Fin.


232 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/19(日) 12:42:32.40

面白かった
233 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/19(日) 12:43:01.69
GJです!
イイ最終回だった
感動しました!
美琴が死んでしまったときはどうなってしまうんだろうと軽く鬱ってましたけど、最後は2人でハッピーエンドに終わりことができて良かったです!
GJ!
241 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/20(月) 01:39:00.93
乙!いい物読ませてもらいました
ハッピーエンドでよかったよ、ほんと
244 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 19:38:16.04

おまけ

「ろみおとじゅりえったー」その1
245 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 19:39:16.14

上条「美琴が可愛すぎて生きるのがつらい」

御坂妹「さいですか」

上条「まだあまり体調良くないみたいでさ、少しとろーんとした目でさ、上目使い、これだよ」

御坂妹「現在看護にあたっている16820号も似たようなことを言っていました」

上条「俺が帰ろうとしたら涙目になりながら服の裾掴んで『帰らないで…』って!」

御坂妹「どうやら貴方は面会制限をする必要があるみたいですね」

上条「調子乗りました、すみません」ドゲザ

御坂妹「駄目です、お姉様が全快するまで面会を禁止します」

上条「マジですみませんでした、マジでチッ…反省してまーす」

御坂妹「では、もしお姉様が抱き着いてきたら貴方はその下半身のキレる若者を抑えることが出来ますか?」

上条「いや、無理」

御坂妹「退場」

ガシッ←待機していた妹達が上条を羽交い締めにする擬音

上条「お、おれが消えても、第二第三の俺が……!」ズルズル

御坂妹「現れるかヴォケ」
246 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 19:42:04.03

バターン!←病院の鋼鉄の城門が閉まる音(上条視点)


上条「くっ……美琴ぉ……!」


ガチャ


上条「ん?」

16820号「あ…すみませんもうしませんから許して……!」ズルズル


バターン!


16820号「あぁ……」ガク

上条「なにがあったんだ?」

16820号「ミサカはただ、お姉様が苦しそうにしていたので……」

上条「看病してたのか、それだけでつまみ出すなんて…!」

16820号「ただ、お姉様を気持ち良くしてさしあげようと、全身をくまなく舐めまわして……」

上条「どうだった?」

16820号「正直最高でした」グッ

上条「くっ……義妹に先を越されるとは……!」

16820号「そこに義をつける辺り徹底してますね」

上条「はっ! こ、この状況は漫画学園都市昔話で見たのと同じじゃないか!」
247 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 19:43:18.68

16820号「そはすなわち!?」

上条「ロミオとジュリエット!!」

16820号「おぉー!!」


上条「御坂妹はさしずめ意地悪な義母ってやつだ」

16820号「それシンデレラです」

上条「あれ? 毒リンゴ食ったんだっけ?」

16820号「白雪姫」

上条「ロミオと白雪姫? それはないだろ」プププ

16820号「ぶん殴るぞテメェ」バキィ

上条「痛い!痛い!」

16820号「あ、すみません、口より先に手が出るタイプでして」

上条「……じゃあ俺は口より先に」

16820号「それ以上言わないほうがいいですよ」

上条「…………チッ」


16820号「ろみおとじゅりえったー」


かくして上条当麻と16820号の美琴奪還作戦が始まった。
249 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/20(月) 19:54:25.85
なにこれ面白そう
上条さんどうしようもねえwwwwwwww

取り合えず全身くまなく嘗め回してる辺りの描写をねっちょり詳しくですねry
253 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 22:16:53.13

今日は暇なのでポチポチと

「ろみおとじゅりえったー」その2
254 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 22:18:21.34

上条「ロミオとジュリエットか、ふふふ、即ち俺はお姫様ジュリエットの恋人のロミオ」

16820号「あの、一応言っておきますが」

上条「君はさしずめロミオの友人マキューシオ」

16820号「ミサカは死ぬ運命の噛ませ犬ですか、そこまで知っておきながら肝心なことを忘れているようなので一応言っておきますが」

上条「ほう、言っておくが美琴の心は俺のモノだぞ?」

16820号「ロミオとジュリエットは悲劇です」

上条「オーケー、前回の話はナシだ、やはりこれはドラクエだ」

16820号「逃げましたね」

上条「魔王(御坂妹)に囚われたお姫様(美琴)を助けに行くんだ」

16820号「魔王より強いお姫様ってどうなんですか」

上条「君はさしずめ宿屋の店員マキューシオ」

16820号「引きずってんじゃないですか、気に入ったんですか」

上条「響きがイイよね」

16820号「シェイクスピアに失礼なんで自重して下さい」
255 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 22:19:05.05

上条「てことで俺は勇者。さぁ、行くぞ女騎士」

16820号「女騎士ですか、及第点です。ですが一応電撃使いなので魔法使いのほうがいいです」

上条「魔法使いか、もう好きにすれば。武器は毒リンゴな」

16820号「なんでちょっと投げやりなんですか、好きにさせてもらいます。それともうひとつ」

上条「なんだいマキューシオ」

16820号「……」メキィ

上条「あふぅん!!」ズベシャ

16820号「今までの会話はMNWで10032号にも筒抜けです」

上条「……マジ?」

16820号「マジです」


美琴「ねぇ、当麻は?」

御坂妹「仲間を探しに行きました」

美琴「仲間?」

御坂妹「私は魔王のようです」

美琴「……はぁ?」

御坂妹「お姫様、面白そうなのでちょっと見に行ってみますか?」

美琴「あ、うん。気分転換に外の空気吸いたいし」


16820号「ろみおとじゅりえったー?」


続く
256 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/20(月) 22:27:11.88
やばいこの上条さん今までのSSで一番好きだw

ノリいいしエロいし美琴にベタ惚れだし煩悩に正直だし
なのに手は出せてないとか素晴らしくいいな。
257 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 23:19:11.70

「ろみおとじゅりえったー」その3
258 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 23:19:52.07

上条「勇者、女騎士、魔法使い、賢者、他になんかあったっけ?」

16820号「賢者と僧は一緒にされることもありますね」


ネーネー、モウチョットダケッテミサカハミサカハ-!
アーウッセェ、クソガキィ……


上条「あ、賢者」

16820号「賢者ですね」

一方通行「あァ?」

上条「一緒に魔王を倒しに行こう」

番外個体「えっ、なんかおもしろそう」

一方通行「三下オマエ、ついに頭が……」

上条「美琴が捕まったんだ、俺だけじゃ助けられねぇ、協力してくれ」キリッ

一方通行「またかァ……オマエちゃんと面倒見てンのかよ……」
259 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 23:20:48.12

上条「よし、賢者と2人の魔法使いが加わったぞ」

16820号「あ、まだそのノリだったんですか」スーハースーハー

上条「……なにやってんだ?」

番外個体「……パンツ? 誰の?」

16820号「お姉様分の補給です。ちなみに使用済みです」スーハー

上条「くれ」

16820号「やなこった」

一方通行「なァ三下、最近気づいたんだがよォ」

上条「なんだいマキューシオ」

一方通行「俺は噛ませ犬か」

上条「意外と知ってんだな、流行ってんの?」

16820号「少なくとも貴方の有るか無いかわからないくらい小さな脳の中では」

上条「あぁ、空前のブームだよ。で、どうしたアクセ。リーター」

一方通行「いま“ロ”って言った、ちっちゃく“ロ”って言った」

上条「気にすんなよ、で、どうしたアクセロリータ」

一方通行「最近悟ったンだ……、やっぱりロリは中学生までだよなァ」
260 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 23:21:21.23

16820号「……」ザザザ

上条「おぉ、ひいたひいた。え、ちょっと待って、だったら俺もロリコンになるの?」

番外個体「手遅れだと思うよ?」

一方通行「同士よ」

上条「待て、有り得ない。大きな栗の木の下でアナタと私が仲良く遊ぶくらい有り得ない。栗って当たったら痛いじゃん危険じゃん」

16820号「…」スーハー

上条「あ、ツッコミさえ来ない。なにこれ怖い」

一方通行「……同士よ」


美琴「ねぇ、アレなにしてるの?」

御坂妹「なんでも最近“ジュリエット”という女性にご執心のようでして」

美琴「…」ピシ

御坂妹「その女性と結ばれるために必死に仲間を集めているようです」

美琴「ほぉー…、私というものがありながら贅沢なモンね当麻……!」ゴゴゴ


打ち止め「ろみおとじゅりえったー?」


続く
261 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/20(月) 23:27:50.44

あれ? なんか本編よりこっちのが人気?

まあいいや今日は一気に書いたけど明日からまた忙しいので一日一ネタ書ければいいかな……
読んで下さってる人、ありがとうございます

今日はこれで
おやすみなさい
262 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/20(月) 23:34:54.46
どっちも面白いよ
シリアスだったしコメディ分多いのもギャップあって楽しい
264 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/21(火) 00:25:46.17
本編を経てこそのオマケだよ
どっちも好きだぜ

ギャグの台詞回しがいちいち笑えるww
268 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:02:07.29

だんだんギャグではなくカオスになってきたり

「ろみおとじゅりえったー」その4
269 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:02:41.84


16820号「ミ・ミ・ミサカの大爆笑♪」


上条「歳バレんぞ」

16820号「ミサカは永遠の14歳ですがなにか?」

上条「見た目とキャラのギャップ凄まじいな」

16820号「そう、ギャップ萌え。こんなミサカのお茶目な一面を見せれば、妹達を溺愛するお姉様のこと、きっとミサカの想いにも応えてくれるはずです」

上条「それは妹達の総意なのか?」

16820号「いえ、もっぱら私情ですね」


神裂「上条当麻、こんなところで何をしてるのです? あの娘の近くにいなくていいのですか?」

上条「あ、女騎士」

16820号「まさしく女騎士ですね」

神裂「はぁ?」
270 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:03:39.56

イン「とうま、短髪はもう大丈夫なの?」

ステイル「こんな馬鹿面見てちゃ治るものも治らないだろうさ」

上条「僧侶と遊び人だ」

16820号「僧侶と遊び人ですね」

ステイル「誰が遊び人だオイ」

上条「14で煙草吸ってて放火しまくってて落書きしまくっててどこが遊び人じゃねぇんだ」

神裂「女騎士………///」ポワワン

イン「僧侶、まぁ間違ってないかも!」

上条「よし、メンツが増えた」

16820号「これで卓2つ使えますね」

番外個体「えっ、麻雀?」
271 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:04:17.67

上条「魔王をロンしてお姫様をツモりに行くんだ」

イン「なるほど、で、なにするの?」

上条「魔王をロンしてお姫様を」

16820号「他のが思い付かなかったなコイツ」

神裂「行きましょう! 魔王を倒しに!」

上条「この人なんでこんな乗り気なの? 正直ひくわー」


ナナセン!
ギョワァァァァ……!


一方通行「ツッコミ不在だなァ」

打ち止め「ミサカがやるー!」ピョンピョン
272 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:05:02.06

一方通行「ガキに出来るかよ、試しに誰かボケてみろォ」

ステイル「イノウエンティウス」

打ち止め「ぶちころすぞハゲ」

一方通行「おィ、伏せ字」

ステイル「これツッコミっていうのかい? なんか理不尽に罵られただけな気がするんだが。そして少し傷ついたんだが」

打ち止め「バーwwwwwwコーwwwwドwwwwwwww」

ステイル「もういい僕帰る」グスン

上条「まぁ待ちなさいマキューシオ」

ステイル「噛ませ犬」

上条「はい」
273 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:05:29.60



美琴「海原さん、ちょっと協力してくれる?」

エツァリ「は、はい、喜んで!」

御坂妹「………ストーカー」ボソッ

エツァリ「」ビクゥッ

美琴「えっ、なに?」

御坂妹「いえこちらの話です(余計なこと言いやがったら下の皮まで剥がすぞクズ魔術師)」

エツァリ「…」ビクビク

美琴「当麻は私だけのモノなんだもん……、ジュリエットなんかに渡さないんだから……」

エツァリ(………中学生?)

御坂妹(多少アタマは弱いですがちゃんとした中学生です)


神裂「ろみおとじゅりえったー!」


続く
275 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:25:23.73

切れ味悪くなってきたから今日はこれで

「ろみおとじゅりえったー」その5
276 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:26:21.80


西暦199X年、世界は核の炎に包まれた。

(中略)

だが、人類は死に絶えてはいなかった!


テーテテテーテテテテテテテテテ…
テテテテーテーテテテテーテー


16820号「あ、違った、これスター○ォーズのテーマだった」

上条「壮大だなオイ」

16820号「あぁ、お姉様分が足りない」

番外個体「お姉様分?」

16820号「お姉様分が不足すると記憶力の低下、発汗、発熱などの症状が出ます」

上条「お姉様分はお姉様(美琴)に含まれてるのか?」

16820号「ははは、当たり前だろう」

一方通行「どっかで見たやり取りだなァ」
277 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:27:25.78

16820号「お姉様食べたいなぁ」

上条「なんか白井とは違う意味で危ない匂いがするな」

16820号「………お姉様の匂いがする」クンカクンカ

上条「おーいどこに、…………行っちまった」

一方通行「なァ、アイツらなンかどうだァ?」


ムギノー!
ウッセェサワグナアタマイタイ
ダイジョウブ、ワタシハソンナムギノモオウエンシテル


上条「むぎのんか」

一方通行「むぎのンだなァ」

上条「おーい、むぎのん」


.
278 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:28:28.40



美琴「もう……、10032号どこ行っちゃったのよ……」

ガサガサ

16820号「…」ヒョコ

美琴「あ、アンタどこ行ってたのよ! 病人一人にして!」

16820号「お姉様……」ハァハァ

美琴「え、なに? 10032号じゃないの?」

16820号「ミサカの検体番号は16820号です」ハァハァ

美琴「えっ、もしかしてさっきセクハラしてきた妹なの!?」

16820号「お姉様、力を抜いてください…」ペロペロ

美琴「ひゃあ!? あっ……ちょっとやめ……!」ゾワ


.
279 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/21(火) 21:30:39.98



上条「いきなりメルトダウナー撃たれるとは思わなかった」

麦野「綺麗に避けやがったけどね」

上条「てことで麻雀、じゃなかった、美琴が捕まってうんとこしょ」

絹旗「なんか超おもしろそうです」

麦野「アイテム雇うんだったら報酬が無いとねェ」

上条「報酬か……、なにがいいかな?」

番外個体「貧乏学生じゃなかったの?」

上条「きびだんごで」

麦野「テメェ私らをなんだと思ってんだ」

上条「猿」

麦野「…」カチーン

上条「犬」

一方通行「…」カチーン

上条「雉」

神裂「…」プツーン

麦野「コイツ幾つに刻もうか」

一方通行「とりあえず百くらいで」


美琴「いやぁぁあああああ!!!」


続く?
286 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 09:03:29.61

・このまま続編としてほのぼの上琴
・まったく別の方向でスレタイを目指す
・スレタイなんて関係なしに上琴

どれがいいかな?
基本いつも即興で書いてたから中長編でなければ即興のがいいの書けるかも
288 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/23(木) 09:23:51.60
ハッピーエンドなら真ん中もアリ
でも上下二つのが希望度は高いかな
290 : ◆aP6AvzX03I :2010/12/23(木) 17:44:00.66
では、ギャグの風味を取り入れながら続編の続編を書いてみます

おそらく地文は使わないかと

次回スレ:

上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」【後編】



この書き手のSS:

上条「よぉデレデレ」御坂「デ…デレデレって呼ぶなぁ//////」


上条「御坂はゲコ太が好きなのか。」


上条「ずっと一緒生きてくんだろ、美琴!?」 美琴「ごめん、当麻…」



 

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