女「今日はどんな事件があったの?」【短篇集・後編】

305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 20:08:37 ID:L2A7OWP6
【出題編:壁に穴あり】

女「所長、この部屋って殺風景ですよね」

男「探偵事務所がきらびやかだったら気持ち悪いだろう?」

女「いや、きらびやかにする必要はありませんけどね、なんか飾りましょうよ」

男「絵とか? 壺とか?」

女「壺って……」

男「花とか?」

女「んー、なんか、探偵っぽいもので」

男「探偵っぽいものなんてあるか?」

女「聖書の中に銃を隠すとか」

男「テレビの見すぎだ」


前編



306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 20:14:13 ID:L2A7OWP6
女「壁に絵とか、いいかもしれませんね」

男「小さめで地味なやつなら、まあ」

女「なにか探してきましょうか?」

男「……知りあいに美術鑑定士がいるから、そいつに頼んでみようかな」

女「センスのいいやつ、頼みますよ」

男「金がかかるなあ」

女「安物でいいですから、ちょっと飾りましょうよ」

男「絵か……美術館の事件があったな、そういえば」

女「お、ということは、怪盗ですね?」

男「近いような違うような」
307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 20:39:13 ID:L2A7OWP6
女「どんな事件ですか?」

男「知り合いの刑事が、いてな」

女「はあ」

男「××って国出身の刑事なんだが、その国の名前、知ってるか?」

女「初めて聞きました」

男「まあ、小国だしな」

男「昔一緒に働いていた同僚で、日本語も得意だったんだが、その国に帰ることになったんだよ」

女「はあ」

男「そのタイミングで、研修をしてほしいと頼まれてな」

男「一か月ほどその国に行ってたんだ」
308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 20:48:00 ID:L2A7OWP6
男「他には日本語をしゃべれるやつがいないから、ほとんどその刑事から通訳してもらってたんだが」

女「実際にその国で起こった事件ですか?」

男「ああ、おれの目の前で起こった事件だ」

女「ほうほう」

男「ある郊外の美術館に、侵入者があったらしい」

男「夜中に不審な車が出てくるのを目撃した警備員が通報し、中を確認したんだ」

女「警報とかは鳴らないんですか?」

男「セキュリティについては、少々甘い美術館だった」

男「まあ、それほど最先端技術は使われていない国だからな」

女「ははあ」
309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 20:55:27 ID:L2A7OWP6
男「それで警察が中を調べてみると、一つの部屋の壁に『穴』が見つかった」

女「穴?」

男「直径が約10センチ、深さは約60センチ」

女「なるほど、『壁に穴あり』ですね」

男「は?」

女「障子に目はありましたか?」

男「障子なんてものがある国じゃないよ」

女「冗談です」

女「直径ってことは、円形ですか?」

男「ああ、円柱型の穴だ」

男「その穴の付近には水が流れており、壁際を濡らしていた」

女「その穴は美術館の外まで貫いていましたか?」

男「いや、壁の途中までしか開いていない」
310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:09:00 ID:L2A7OWP6
男「さて、侵入者がこの穴を開けたのはなぜだろうか」

女「……」

女「その穴は、部屋の内側に開いていたんですよね?」

男「ああ」

女「侵入の為の穴ではない、ということですよね?」

男「そうだ」

男「別の経路から侵入したのち、この部屋に入り、穴を開けている」

女「美術品をその中に隠すため?」

男「違う」
311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:21:19 ID:L2A7OWP6
女「あ、爆弾でも仕掛けようと思ったんじゃないですか?」

女「でも時間が足りなくて、穴を開けただけで逃げてしまった」

男「違う」

男「爆弾を仕掛けるなら柱の近くにするだろうが、この穴は壁の真ん中あたりにあった」

女「ううむ」

女「その部屋の美術品に、盗まれているものは?」

男「なかった。美術館の唯一の被害が、この穴だったんだ」
312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:31:46 ID:L2A7OWP6
女「その『水』ってのは重要ですか?」

男「うーん、重要ではないかな」

女「穴から出てきた水ですか?」

男「いや、違う」

女「穴を開けたのはドリルかなにかの機械ですか?」

男「そうだ」

女「あ、じゃあ、ドリルの刃を冷やす冷却水かなにかですか?」

男「そう、その通り」

男「トイレからホースで水を引いてきて、その水がこぼれていたんだ」

女「じゃあ結構大がかりですね?」

男「犯人は複数犯だった」

女「証拠品は残ってない?」

男「ああ、きれいに片づけて帰っている」
313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:38:32 ID:L2A7OWP6
女「えーと、犯人たちの目的は達成されていないんですか?」

男「いや、達成されているんだ」

女「でも、穴は途中までしか開いてないんですよね?」

男「ああ」

女「穴の外側の方の壁に異常は?」

男「特になかった」

女「壁自体、厚さはどれくらいですか?」

男「1メートルといったところかな」

女「そのうち60センチくらい掘って、目的は達成された?」

男「ああ」
314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:48:40 ID:L2A7OWP6
女「その穴を開けること自体が目的だったんですか?」

男「……少し違う」

女「その場所であることが重要?」

男「この建物、という意味なら正解だ」

男「この壁でなくても良かった。例えば隣の壁でも」

女「侵入でもない、脱出でもない」

男「ああ」

女「あ、がれきはどこに?」

男「犯人が持ち去っている」

女「ひとかけらも残さず?」

男「ああ、現場にはコンクリート片はほとんど残されていない」
315: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 21:58:46 ID:L2A7OWP6
女「あの、ドリルって詳しくないんですけど、大きな音が出ますよね」

女「飛び散ったがれきと機械を片付けて出るのも、急がないと大変ですよね」

女「やっぱり作業中に中断して逃げてったって印象を受けるんですけど……」

男「一つ、この作業には、君が想像するような大きな音は出ていない」

女「え?」

男「二つ、機械はともかく、がれきを片付けるのにそれほど時間は取られない」

女「え?」
316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:08:38 ID:L2A7OWP6
男「コンクリートを粉々にするタイプのドリルだと、大きな音がする」

男「がれきの撤去も大変だ」

女「はあ」

男「しかし、ここで使われたタイプのドリルはそうではない」

男「つまり、粉々にするのではなく、そのまま取り出せるタイプの物だった」

女「はい?」

男「つまり、円柱形のコンクリートが作れるんだ」

女「……それを抱えて逃げればいいだけ、と」

男「ああ」
317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:14:01 ID:L2A7OWP6
女「え? でも貫通してなかったんですよね?」

女「奥でつながっているのでは?」

男「くさびを入れて叩けば、案外簡単にぽきっと折れるそうだ」

女「はあ」

男「このタイプの物は、音も小さめだそうだ」

女「はあ、じゃあ、一気にさっきの疑問は解決ですね」

男「ああ」

女「作業途中で逃げだしたのではなく、目的を果たして逃げた、と」

男「そう言っているじゃないか」

女「いえ、ちょっと納得できた、ということです」
318: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:21:10 ID:L2A7OWP6
女「穴を開けるのが目的ではない」

女「ということは、このコンクリートの円柱を持ち出すことが重要だった?」

男「そうだ」

女「そのコンクリートの中に、高価な宝石でも埋まっていたのですか?」

男「いや、違う」

女「ただのコンクリート?」

男「ああ」

女「そのコンクリートに価値がある?」

男「む」
319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:26:44 ID:L2A7OWP6
男「価値とはなんだ?」

女「えっと、金銭的な価値」

男「それはない」

女「芸術的な価値?」

男「それもない」

女「でもなんらかの価値はあるわけですか?」

男「わざわざ侵入して持ち帰っているくらいだからな」

男「犯人たちにとって必要だったんだ」
320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:31:33 ID:L2A7OWP6
女「そのコンクリートを持って帰ることで、誰かが金を得る?」

男「いいや」

女「誰かが出世する?」

男「いいや」

女「それ自体を欲しがっている人がいる?」

男「それも難しい質問だな」

男「コンクリート自体ではなく、このコンクリートの中の情報が重要なんだ」

女「情報……ですか……」

男「それを欲しがっているやつがいたんだ」
321: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:37:19 ID:L2A7OWP6
女「もしかしてその美術館というのは、最近できたものですか?」

男「ちょっと違う」

女「少し前までは、違う施設だったのを、作り変えた?」

男「そう、正解だ」

女「それは国の施設だった?」

男「ああ、どんどん近づいているな」

女「ある事実を隠そうとして、大急ぎで美術館に作り変えたものだった?」

男「ああ、そうだ」
322: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 22:44:27 ID:L2A7OWP6
女「犯人は隣国のスパイ? あるいは国家転覆を企むものですね?」

男「そう、おそらく後者が正解だろう」

女「犯人を知らないのですか?」

男「すぐにその国にいられなくなったからな」

女「どうして?」

男「クーデターが起こったからさ」

女「……同じ事件が日本でも起こったら、大問題になりますね」

男「ああ、この国で起こったとしたら、確かにそうだろうな」
324: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 23:14:51 ID:8rnD1.7.
むむむ
難しいぞ
325: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/30(水) 23:50:30 ID:MvZ1c4Cw
おつ!
耐震性とか違法建築的な捜査かと思ったけど…
なんかもっと規模でかい話のようですね
330: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 20:35:20 ID:U0zRCLbo
【解答編:壁に穴あり】

女「その美術館は、もともと軍の施設だったんですね」

女「それも、極秘の核実験施設」

男「ああ」

女「それをどこからか嗅ぎ付けたグループが、核保有の証拠を掴もうとして侵入した」

男「そうだ、あんな小国がこっそり核開発をしていたと知られたら、問題になる」

女「だから隠そうとして、美術館にしてしまった」
331: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 20:40:55 ID:U0zRCLbo
女「でも作り変えても意味はなく、犯人グループは美術館に侵入」

女「そして、証拠としてコンクリートの塊を持ち去った」

女「放射線の反応は、コンクリートに残りますもんね」

男「ああ、それを持ち去って調べれば、証拠が出ると考えたんだろう」

女「事実、その証拠が出たんですね」

男「ああ、それでクーデターが起こった」

女「怪盗かと思えば、とんでもない国家的事件じゃないですか」

男「ああ、その場に居合わせたのは運がいいのか悪いのか」

女「悪いに決まってますよ」
332: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 20:51:48 ID:U0zRCLbo
男「やっぱり、核兵器など持たない国がいいな」

女「そうですね」

男「こんな話を知っているか?」

女「なんですか?」

男「宇宙人が地球にやってきてこう言うんだ」

男「この星は兵器を多く持ちすぎている」

男「それを使って宇宙を侵略しようと企んでいるんだろう」

男「危険なので、その前に滅ぼすことにした、と」

女「はあ」
333: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 20:59:57 ID:U0zRCLbo
男「地球人は答える」

男「この兵器は国同士争い、牽制しあうために持っているのであって、宇宙侵略なんて考えていません」

男「宇宙人は一言、そんな話が信じられるか」

男「そして滅ぼされる地球、でしたとさ」

女「ブラックな話ですねえ」

男「客観的に見れば、確かにそうかもな、と」

女「明らかに量が多いですもんね」
334: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 21:07:53 ID:U0zRCLbo
男「さて、平和な絵でも飾ることにしようか」

女「例えばどんな絵ですか?」

男「白鳥、あるいはハトが羽ばたいている」

女「ありがちですね」

男「地球に羽が生えている、とか」

女「学生の課題レベルですよ、それ」

男「夕日が沈む海辺……」

女「あ、それはロマンチックでいいかもですね」

男「じゃ、それで」

女「都合よくそんな絵が見つかるんですか?」

男「また今度来た時をお楽しみに」
335: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 21:12:03 ID:U0zRCLbo
みなさんさすがです
眉唾ですが、コンクリートは1000年経っても放射線を発し続けるとか言いますもんね

ではまた ノシ
336: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 23:44:37 ID:uG5v/qJE
これわかった人凄いわ
339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 20:31:44 ID:39WwPJVc
【出題編:テロリストの私刑執行】

カランカラン

女「こんにちはー」

男「おう、いらっしゃい」

女「お、来てますね、絵」

女「あれ?」

男「……」

女「こっちの海辺の絵はいいとして、こっちの絵は拳銃じゃないですか」

女「平和には程遠い絵じゃないですか」
340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 20:51:27 ID:39WwPJVc
男「よく見てみな、弾丸が入っていない」

女「だからって……」

男「撃鉄も起きていない」

男「銃口にはコルクが詰められている」

女「……」

男「こんなものでは武器にはならない、世界は救えない、という風刺の絵だよ」

女「ううむ、なるほど」

男「探偵社には向いているだろう?」

女「わかりました、納得しました」
341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 21:18:12 ID:39WwPJVc
女「今日はなにか、事件がありましたか?」

男「特にないなあ」

女「じゃあ、海辺とか拳銃にまつわる事件は?」

男「拳銃が出てくる事件なら、あったなあ」

女「あ、じゃあそれ、教えてください!」

男「お前、短大に進むんだろ? 勉強はいいのか?」

女「話が終わってからします!」

男「やれやれ」
342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 21:26:14 ID:39WwPJVc
男「事件があった場所は小さな廃ビルの地下室だ」

男「事件に関わっていた人間は5人」

男「いずれも、とあるテロ集団の一員だ」

女「テ、テロですか!? 穏やかじゃないですね」

男「まずA、こいつはテロ集団の親玉で、かなり頭が切れる」

男「しかしドンと座って指示を出すカリスマというよりは、前線で暴れたいタイプだな」

女「はあ、頭の切れる暴れん坊とは厄介ですね」

男「次にB、こいつは参謀」

男「割と冷酷で、Aのそばについて離れない存在だったようだ」

女「ふむふむ」
343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 21:36:17 ID:39WwPJVc
男「続いてC、こいつは新入りで、人生にあまり執着しないタイプだ」

男「場合によっては鉄砲玉的な使い方をされたかもしれんな」

女「はあ、極道みたいですねえ」

男「それからD、こいつも新入りで女子大学生だ」

女「そんな人もテロ集団に!?」

男「人生に楽しみを見いだせられなかったタイプだな」

女「はあ、そんなもんですか」

男「最後にE、こいつが被害者だ」

男「もともとこのテロ集団の思想についていけないところがあって、新聞社に情報を売っていたのがバレたんだ」

女「あらら」
344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 21:43:21 ID:39WwPJVc
男「地下室にはこの5人がいた」

男「椅子に縛り付けられているE、拳銃を持っているA」

女「ひい」

男「それを取り囲むB、C、D」

男「裏切り者のEを処刑する、という場だったんだ」

女「部下にやらせる、とかではなかったんですね」

男「ああ、この時拳銃を握っていたのはボスであるAだった」
345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 21:56:23 ID:39WwPJVc
男「最後にワインが飲みたい、とEが言い出した」

男「Aは『それくらい叶えてやろう』と言い、新入りであるCとDにワインを取りに行かせた」

男「Cがワインを、Dがグラスを持ってきて、Eの目の前で注ぎ、飲ませてやった」

女「飲ませてあげたのは誰ですか?」

男「Bだったらしい」

女「Bは女性?」

男「ああそうだ、言い忘れていたかな」
346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:04:36 ID:39WwPJVc
男「するとEは突然むせて苦しみ出し、のたうち回り、血を吐いて死んだ」

女「……ひどい」

男「その場にいた全員が驚いたそうだ」

男「Aは取り乱し、『誰だこんなことをしたのは!?』と叫んだ」

男「Bは『ワインかグラスに毒が入っていたんだわ!』とCとDを睨んだ」

男「Cは苦しそうな表情で『そんな馬鹿な! 畜生!』と叫んだ」

男「Dは肩を抱いて震えていたそうだ」
347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:21:35 ID:39WwPJVc
男「さて、誰がEを殺したのか」

男「そして、この男を殺した理由はなんだろうか」

女「ううん、死刑囚の事件と似ていますね」

女「どのみち死ぬはずだったEをわざわざ毒で殺した、というのがそもそも変です」

男「ちなみに付け加えておくと、Aは実はEを殺すつもりではなかったんだ」

女「はい? だって処刑の場だったんですよね?」

男「Eが死んだのち、CとDに銃の中を見せたそうだ」

男「弾は入っていなかった」

男「『見ろ! おれは殺すつもりはなかったんだ! お前たちの忠誠心と精神力を見るための茶番だったんだ!』と」
348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:26:22 ID:39WwPJVc
男「つまり、その処刑のプレッシャーを感じさせ、テロ集団の一員として働けるかの力量を見るつもりだったんだな」

女「CとDは新入りだった、と言ってましたもんね」

男「そのことはBももちろん知っていた」

男「だからAとBは殺す動機がない、と主張していたそうだ」

女「誰がですか?」

男「本人たちさ」

男「AとBは『犯人はCかDだ』と決めつけ、二人を閉じ込めて先に逃げたんだ」

女「つまり、CとDだけが捕まったんですか?」

男「捕まったというか、事情聴取だな」
349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:36:28 ID:39WwPJVc
女「つまり、その二人の主張を信じるのならば、CかDのどちらかがワインに毒を盛り、Eを殺したということになりますよね」

男「ああ」

女「でもBは? Bなら毒を盛るチャンスはあったんじゃないですか?」

男「そうだな、不可能ではなかった」

女「例えばEが死なないことを知っていて、E個人に恨みがあって……」

女「ううん、でもBは逃亡しているんですよねえ」

男「ああ、もうネタを割ってしまうが、犯人はCかDのどちらかだ」

男「ヒント多めにしてやろうか?」

女「ちょっと悔しいですけど、そうですね、情報が少なくて難しいですね」
350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:43:16 ID:39WwPJVc
男「ワインは残り少なかったから、もう瓶の中に残っていなかったんだ」

男「そのせいで、ワインの瓶かグラスか、どちらに毒を入れたのか解明できなかった」

女「つまり、毒の混入経路からは犯人を断定できないと」

男「ああ」

女「毒はそもそもなんだったんですか?」

男「青酸カリだ」

女「よくあるやつですね」

男「いやいや……」

女「小説によく出てくるやつですね」
351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 22:50:14 ID:39WwPJVc
女「毒の購入経路は?」

男「テロ集団の使っていたPCから、ネット取引が使われた痕跡は見つかっている」

女「PCが見つかっているんですか?」

男「というか、そもそもこの廃ビルを根城にしていて、PCが残されていたんだ」

女「持って逃げなかったんですねえ」

男「AとBも鬼畜ではなかったんだ」

男「すぐに警察と救急車を呼べば蘇生の可能性もゼロじゃないと判断し、すぐに逃げて、すぐに通報しているんだ」

女「はあ、鬼の目にも涙、みたいな」

男「まあ、その通報もむなしく、Eは死亡してしまったわけだが」
352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:00:24 ID:39WwPJVc
女「とりあえず犯人は、Eを殺すために毒を入れた、それは間違いないんですか?」

男「ああ」

女「間違いだったとかではなく?」

男「ああ、明確に『Eを殺す』ために毒を入れた」

女「Eを殺す動機があった?」

男「いや、なかった」

女「……え?」

男「Eに対する殺意はなかったんだ」

女「あれ?」
353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:08:34 ID:39WwPJVc
女「じゃあどういうことになります?」

女「Eはとばっちりで殺されたんですか?」

男「そうとも言える」

男「しかしこの場でEの飲むワインに毒を入れているんだ」

男「殺す動機はないが、実際に殺しているわけだ」

女「うーむ、難しいです」

男「もう少しヒントをあげようか」

女「ええ」

男「犯人は青酸カリを購入したつもりはなかったんだ」
354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:14:28 ID:39WwPJVc
女「……ただ漠然と毒物を購入したってことですか?」

男「それも違う」

女「販売した側は、なにかを売ると偽って青酸カリを売っていた?」

男「そう、それだ」

女「犯人は別の物のつもりで青酸カリを購入してしまい、使ってしまった」

男「ああ」

女「Eが死んだことは、犯人にとって予想外のことだった?」

男「いや、死ぬこと自体は予想の範囲内だった」

女「あれえ?」

男「Eを殺すために毒を入れたって言っただろ」
355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:25:51 ID:39WwPJVc
男「整理するぞ」

男「一つ、犯人は毒を入れることでEが死ぬことを予想していた」

男「二つ、犯人は毒物を『青酸カリ』だと理解して購入したわけではなかった」

男「それから三つ目の情報、犯人は毒物を『本来は別の目的のために購入していた』」

女「え?」

男「つまり、Eを殺すために購入したのではない」

男「違う目的のために購入し、しかしこの場面で突発的にEに使用したんだ」

女「……」
356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:31:08 ID:39WwPJVc
女「これは、予行練習のようなものだったんでしょうか」

男「……そうだ」

女「処刑が茶番だと知っていれば、こんなことは起こらなかったんでしょうね」

男「……そうだな」

女「もしかして、片方はこれが茶番劇だって知っていたんじゃないですか?」

男「鋭いな」

男「実はDは、AとBが話しているのを盗み聞きしてしまっていたんだ」

女「なるほど」

男「どうしてそれがわかった?」

女「それがあれば、犯人の断定がしやすいですから」

男「……なるほどね」
357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:33:03 ID:39WwPJVc
前の死刑囚毒殺の事件と似ていますが、今回は果たして……?
また明日です ノシ
358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/04(月) 23:57:05 ID:IUGUPSt6
乙です
これはわかったかも
359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 00:11:55 ID:V7kr7HvY
ニヤニヤ
362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 20:08:53 ID:D40RfOz6
【解答編:テロリストの私刑執行】

女「Dは処刑が茶番だと知っていた」

女「となれば、犯人は必然的にCですね」

男「そうだ」

女「Cは人生にあまり執着しないタイプって言ってましたよね?」

男「ああ」

男「お前は直前に聞いた話を忘れるかと思えば、細かいところをよく覚えていたりするな」

女「う、うるさいですね」

女「とにかく、Cは死を恐れていなかった、と」

女「しかし、どうせなら楽に死にたいですよね」

女「のたうち回って血を吐いて死ぬなんてまっぴらですよね」

男「そりゃそうだな」
363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 20:19:00 ID:D40RfOz6
女「だから、ネットで『自分で使うために』『安楽死の薬』を買ったんですね」

女「正確には、買ったつもりだった」

男「ああ、そうだ」

女「これを使えばいつでも楽に死ねる」

女「だけど本当に安楽死だろうか、一回試せばそれで最後だ」

女「お、ちょうど処刑されるやつがいるぞ」

女「どうせ死ぬんだろうから、こいつで試してみよう」

男「ははは、見てきたようだな」

女「そんな気軽なつもりで、Eのワインに毒を混入したんですね」

男「むしろ、銃で撃たれて死ぬよりも楽に死なせてやろう、とEの為を思って毒を入れたかもしれないな」
364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 20:27:21 ID:D40RfOz6
女「結果、本当は処刑なんか行われなかった、ということ」

女「安楽死どころか、とても苦しんで死ぬEの様子」

男「それを見たら言いたくもなるよな」

女「『そんな馬鹿な! 畜生!』でしたっけ」

男「言葉に如実に表れていたな」

女「なんにせよ、Eは災難でしたね」

男「テロ集団なんかに関わったばかりに、だから自業自得とも言えるが」

女「怖いですね、テロには参加しないことにします」

男「当たり前のことを改めて言われると、ちょっと怖いな」
365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 20:39:47 ID:D40RfOz6
女「人の命を簡単にどうこうしようだなんておこがましいと思うんですよね」

女「『どうせ処刑されるんだから』と、その命の終わりを自分が好きにするなんて、身勝手にも程がありますよ」

男「そうだな」

女「自分で好きにしていいとしたら、自分の命だけです」

男「なんだ? 自殺賛成論か?」

女「そこまでは言いませんが」

男「牛や豚の命は?」

女「食べるための殺生はいいと思いますよ?」

女「問題は『殺す』ことが目的の場合ですよ」

男「なるほどね」
366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 20:54:35 ID:D40RfOz6
男「若いなりにいろいろ考えてるんだ?」

女「なんか一言多い気がしますけど」

男「悪意ある事件や不条理な事件に、仕事柄多く出会う」

男「だけど多くは自分の近くで起きたものじゃないんだ」

女「はあ」

男「それは不幸中の幸いと言えるかな」

女「身近で起こらなければいい、という考えですか?」

男「いいや、事件が散らばっているということは、ずっと悲しい思いをしている人間は少ないと思えるからさ」
367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 21:06:36 ID:D40RfOz6
女「ハードボイルド探偵は、いつもいつも事件に巻き込まれていますけど?」

男「現実にはそんな疫病神がいなくていいじゃないか」

女「まあ、そうですけど」

男「お前を雇っても、いつも危ない事件が起こっていたら心配になるだろ?」

女「あら、心配してくれるんですか」

男「事件なんてものは、起こらない方がいいに決まっているんだ」

女「ここ、つぶれちゃいますよ?」

男「迷子犬を探し続けるだけの探偵社でも、いいだろ」

女「あはは、そうですね」
368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 21:22:48 ID:D40RfOz6
という感じでした
安楽死を望む人は多いと思いますが、現実はそう甘くないわけで

また週末に ノシ
371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 19:43:43 ID:f0RJfLOI
【出題編:悪魔からの手紙】

カランカラン

男「いらっしゃい」

女「所長、メール見てくれなかったんですか?」

男「メール?」

女「ほら、もう、携帯置きっぱなしだし」

男「ああ、すまんすまん、なんか急ぎの用だった?」

女「別にー」

女「アイス買って行きますけどバニラとチョコどっちがいいですかーっていうメールです」

男「え!? バニラ! 断然バニラ!」

女「いまさら言っても遅いですよ」
372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 19:56:01 ID:f0RJfLOI
男「え、チョコでも嬉しいけど、うん、別に、うん」

女「返事なかったんで、私の分しか買ってきませんでした」

男「……え?」

女「さあて、美味しい美味しいアイス食べましょ、一人で、うふふ♪」

男「……」

女「うそです、はい、所長の分のバニラ」

男「!」

男「い、いやあ、悪いねえ」ニコニコ

女「所長、やっぱりハードボイルドには程遠い探偵ですよね」

男「んー、美味しいなあバニラ」ニコニコ

女「まあそういうところが可愛いんですけども」
373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:02:50 ID:f0RJfLOI
女「でも、メールはちゃんと見ないとだめですよ?」

男「死にゃあしないよ」

女「損しますよ?」

男「うん、それはちょっと、反省した」

女「まったく……ずっと携帯見てる大人も気持ち悪いですけど、全く見ないのもちょっとね」

男「そうだ、メールを読んで死ぬ人間はいないが、手紙を読んで死ぬ人間はいると思うか?」

女「はい? 読まなくて、じゃなくて?」

男「そう、手紙を読んで死んだ人間の話だ」

女「それ、興味あります」

男「じゃあ話そうか」
374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:10:07 ID:f0RJfLOI
男「ある男の家に手紙が届いた」

男「男はそれを開封し、読んだ」

男「その手紙を最後まで読んだ後、男は死んでしまった」

男「さて、なぜ、男は死んだのだろうか」

女「え、それだけですか?」

男「それだけだ」

女「手紙を読んだ後、寿命で死んだとかいうオチじゃありませんよね?」

男「違うよ」
375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:16:14 ID:f0RJfLOI
女「手紙を出した人間は、イコール男を殺した犯人ということですか?」

男「そうだ」

女「事故や過失ではなく、その男を殺す目的で手紙を出した?」

男「そういうことだ」

女「えー、手紙で死ぬってどういうことなんでしょう……」

女「あ、男はなにか心臓の病気を抱えていたとか?」

男「いや」

女「じゃあ肺とか脳とか?」

男「死につながる病気を抱えていたという事実はなかった」
376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:28:48 ID:f0RJfLOI
女「んんー、なんか驚愕の手紙を読んで心臓発作を起こしたとかを想像したんですが」

男「違うな」

女「どんな死に様ですか?」

男「それは推理してみなさい」

女「その場に犯人はいましたか?」

男「いや」

女「被害者の男だけがその場にいたんですか?」

男「ああ」

女「自宅に手紙が届いたんですか?」

男「そうだ」

女「それは、もし自宅でなければ死ななかった?」

男「いや、そんなことはないかもな」
377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:39:32 ID:f0RJfLOI
男「ただ、もし人がたくさんいる中でこの手紙を開いていたら、助かっていたかもしれないな」

男「ただ残念ながら彼は一人暮らしだったし、お手伝いの女性もいたが週に一回しか通っていなかったんだ」

女「それは、他の人が近くにいれば、助けてくれていたかも、という意味ですか?」

男「そうかな」

女「一人だったから死んだ可能性はある?」

男「少し、ある」

女「ふうむ」
378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 20:58:53 ID:f0RJfLOI
女「毒の粉末かなにかを仕込んでおいて、開けたら飛散して吸い込んで中毒死、というのはどうです?」

男「うむ、違うけど近いな」

女「近いんですか」

男「手紙を読み終わったあと、死んだんだ」

男「そこが重要」

女「呪いの言葉でも書いてあったんですかね?」

男「まあ、近いかな」

女「お前を殺すぞ! みたいな言葉ですか?」

男「ああ、そういうことが書いてあった」
379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 21:09:04 ID:f0RJfLOI
女「例えばその手紙は、他の人物に送っても同じように死にますか?」

男「死なないだろうな」

男「いい発想だ」

女「お、なるほどなるほど」

女「この人だったからこそ、効く手紙だった、と」

男「そうだ」

女「それは心理面で? それとも物理面で?」

男「物理の方だな」

女「ほうほう」
380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 21:16:15 ID:f0RJfLOI
女「毒で死んだ、というのは間違っていますか?」

男「いや、それだけだと合っている」

女「粉末が飛んだのは、違う」

男「違う」

女「男は実は黒ヤギさんで、手紙を食べて毒が回って死んだ」

男「違う」

女「冗談です」
381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 21:37:55 ID:f0RJfLOI
女「あ、嫌がらせの手紙ってありますよね?」

女「例えば剃刀が入っていたりするやつ」

男「受け取ったことはないけどね」

女「あれみたいに、なにか刃とか針とかを仕込んでいたというのはどうでしょう?」

男「そう、正解だ」

男「手紙に小さな針がついていて、そこに毒が塗ってあった」

女「じゃあ、それで毒が体に入り、死んでしまったということですか?」

男「そうだ」

女「あれ? じゃあ他になにか謎が?」

男「あと一つ、足りないな」
382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 21:38:39 ID:f0RJfLOI
さてあと一つ、この事件に隠された真実はなんでしょうか
383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/08(金) 22:21:15 ID:Ey50ttOg
乙。今回難しいな。アナフィラキシー?
390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 19:25:55 ID:lrEPazFQ
【解答編:悪魔からの手紙】

男「なぜその男が死んだか、だ」

男「他の人間に送っても死なないと言っただろう」

女「あ、そうか、その人だから死んだっていうことは……」

男「普通手紙に針がついていたら、『見て』すぐにバレてしまうだろう」

男「見えないほど小さなものでは効果が薄いだろうし、そこをちゃんと触るかどうかもわからない」

女「……その男は、盲目だったんですね?」

男「そうだ」

女「その手紙は、点字で作られていたんですね?」

男「そうだ」
391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 19:33:16 ID:lrEPazFQ
女「手紙を読み終わったら死んだって言っていましたよね」

女「つまり、点字の最後の部分に針を仕込んでいた?」

男「そうだ」

女「遠隔殺人ってやつですか」

男「犯人は男が盲目で、一人で手紙を読むことを予測できていたんだ」

女「犯人は捕まっているんですか?」

男「いや、まだ捜査中だったはずだ」

女「手紙に証拠が残っていなければ、犯人を断定するのは難しいでしょうね」

男「恐ろしい仕掛けがあったもんだ」
392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 19:40:40 ID:lrEPazFQ
女「これはメールでは不可能な方法ですね」

男「ああ」

女「現代人はメールにばかり頼るけれど、私は手紙の手作り感は好きでした」

男「年賀状なんかも年々減る一方だからなあ」

女「あれ、所長、年賀状なんて出すタイプなんですか」

男「探偵社の宣伝も兼ねているからな」

女「なるほど」
393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 19:49:59 ID:lrEPazFQ
女「うかつに手紙を開けるのは怖いかもしれませんね」

女「探偵社なんてやっていたら、どこかで恨まれているかもしれませんよ?」

女「いつか捕まえた犯人から、とか」

男「そんな心配はないかなあ」

女「どうしてですか?」

男「舞い込んでくる仕事は基本的には他愛ないものが多いし」

女「はあ」ガッカリ

男「おれが暴いた重大事件の犯人は、5年や10年では出てこないよ」

女「……」キュン

男「その効果音はおかしくないか?」
394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 20:03:36 ID:lrEPazFQ
というお話でした
何人か真相に辿り着いた天才がいますね ノシ
395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/09(土) 22:01:55 ID:UjHf7Z.2
おつ
自分は凡才だった…
397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:09:21 ID:0vBf1B8U
【出題編:森林の溺死者】

女「暑いですねえ」

男「ああ」

女「クーラーあんまり効いてませんねえ」

男「ああ」

女「プールとか、行きたいですねえ」

男「泳ぐのは好きなのか?」

女「ええ、わりと」

女「所長は泳げますか?」

男「まあ、泳げても泳げなくても人生に差異はない」

女「泳げないんですか?」

男「そうは言ってない」
398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:24:38 ID:0vBf1B8U
男「溺死というのは、数ある死に方の中でもかなり苦しい方だろうな」

女「息ができないというのは怖いですよねえ」

男「そんなところにわざわざ行くこともない」

男「おれは優雅に暮らして老衰でひっそりと死にたい」

女「所長らしいですね」

男「そうかな」

女「やっぱり泳げないんですね?」

男「そうは言ってない」
399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:33:02 ID:0vBf1B8U
男「森林で死んでいた男がいたんだ」

女「あれ、話を逸らしましたね?」

男「まあ聞け」

男「その男は森林のど真ん中にいたんだが、溺死していたんだ」

女「ほほう」

男「その付近に池や川はなかったし、もちろん海からも遠く離れている」

男「さて、その男はなぜ溺死したのだろうか?」

女「変なシチュエーションですねえ」
400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:39:40 ID:0vBf1B8U
女「えっと、その男は登山客でしょうか?」

男「うーん、少し違う」

女「持ち物に水筒などはありましたか?」

男「いや、付近には特に持ち物はなかった」

男「もともとは持っていたかもしれないがな」

女「それは、持ち去られたということですか?」

男「いや、違う」

女「ん?」
401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:45:22 ID:0vBf1B8U
女「溺死ということは肺に水が溜まっていたということですよね?」

男「ああ」

女「それは海水でしたか?」

男「いいや、海水ではなかった」

女「ただの水?」

男「ああ」

女「体は水に濡れていましたか?」

男「そうだな、びしょ濡れだった」
402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 18:56:43 ID:0vBf1B8U
女「服装は?」

女「普通の服ですか?」

男「そうだな、まあ普通の服と言っていいかな」

女「男が死んだ場所は、その発見された場所と同じですか?」

男「いや、違う」

女「犯人によって、その場所に運ばれたのですか?」

男「……違うな」

女「え?」

男「先に言っておくが、これは殺人事件ではない」
403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 19:05:08 ID:0vBf1B8U
女「事故ですか? 自殺ですか?」

男「事故だな」

女「事故死であっても、死んだのが違う場所なら、移動してきた手段が必要ですよね」

男「そうだな」

女「誰かが好意で男を運んだのですか?」

男「いや、違う」

女「なにかを隠すため、運ばれた?」

男「それも違う」

男「男を運んだのは、意図的ではなく、偶然が重なった結果だったんだ」
404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 19:10:16 ID:0vBf1B8U
女「偶然が重なった事故……」

男「そう、不運が重なった結果、わけのわからない状況になってしまったんだ」

女「森林ってことは、基本的には山ですか?」

男「そうだな、そんなに大きな規模ではないが」

女「池や川はなかったんですよね?」

男「ああ」

女「でも、ダムはあった?」

男「ああ、ダムがあった」

女「男はもともとそこで死んだ?」

男「ああ、正解だ」
405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 19:17:29 ID:0vBf1B8U
女「釣りにでも来ていたんですかね?」

男「おそらくな」

女「そこで足を滑らせて、ダムに落ちて、溺死してしまった」

女「それなら確かに事故です」

男「そうだ、しかしどうして森の中へ来たのか」

女「所長はもう、その謎を解いたんですよね?」

男「ああ、100%の確信はなかったがな」

女「その死体が発見される前、その山で、火事が起きましたね?」

男「おお、よくわかったな」

女「これって、かなり確率の低い偶然が重なっていますよね?」

男「はは、そうだな、確かに、宇宙的確率だ」

女「天文学的と言いたかったんでしょうか?」

男「そう、それそれ」
406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/12(火) 19:22:00 ID:0vBf1B8U
さて、男を運んだ偶然とは?
また明日です ノシ
410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 21:38:43 ID:gg0U1T0Y
【解答編:森林の溺死者】

女「ダムへ釣りに来た男は、ダムに転落して死んでしまった」

女「それだけなら、男はダムに浮かんでいるはずです」

女「でもそうならなかった」

男「そう、偶然が重なった」

女「溺死のあとどのくらい経ってからか、すぐかはわからないけれど、山火事が起きた」

女「そこは消防車が簡単には入っていけない場所ですね?」

男「ああ、山の奥だったからな」

女「だから出動したのは、消防ヘリ、そうですね?」

男「正解」
411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 21:46:17 ID:gg0U1T0Y
女「あれって、やり方は色々あるけどダムから給水したりするんですよね?」

男「ああ」

女「ホースだと入らないだろうから、大きなバケツ型ですかね?」

女「不運なことに、男の死体がその時給水されてしまったんですね」

男「ああ、おそらくな」

女「そのまま火事現場にヘリは飛び、水とともに森の中へ落とされてしまった」

女「その結果、森の中に溺死死体があるという状況になってしまったと」
412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 21:54:06 ID:gg0U1T0Y
男「消防隊員は気付かなかったのか、という謎が残るがなあ」

女「それだけ緊急の対応が必要な規模の火事だったんでしょうか」

男「山火事の中心地で溺死体を発見した人はびっくりしただろうな」

女「何事かと思ったでしょうね」

男「ま、泳げても泳げなくても、死ぬときは死ぬんだよ」

女「なんかそれ、無理やりこじつけてませんか」

男「おれは釣りもしないし、船にも乗らない」

女「飛行機にも乗らない?」

男「……それは……」
413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 22:00:37 ID:gg0U1T0Y
女「あーあ、所長とプール行きたかったなあ」

男「む」

女「海にも連れてってもらいたかったなあ」

男「……来年なら」

女「え! 来年なら連れてってくれるんですか!?」

男「今年はほら、勉強に集中しないといけないだろ」

女「やった! やった!」

女「……とびきりセクシーな水着、用意しときますねっ♪」

男「……」

女「あら、そんなに照れてる所長は珍しいですね」
414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 22:07:51 ID:gg0U1T0Y
男「……暑いな……」

女「当然ビキニですよねー、んで、こうちょっとスカートついてる可愛いやつでー」

男「……」

女「ふりふりーな、ひらひらーなやつでー」

男「……」

女「あ、色はどんなのが好きですか?」

男「泳ぐ練習しないとな」ボソッ

女「え? 何色ですか?」

男「なんでもねえよ」
415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 22:10:12 ID:gg0U1T0Y
そろそろ話を畳むことも想定しつつ……
また次の事件で ノシ
417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 19:53:25 ID:AQ9IbYpM
【出題編:いつものお客さん】

女「なんか今日、機嫌悪いですね?」

男「ん? ああ、ちょっとな」

女「なにかあったんですか?」

男「大したことじゃねえよ」

女「気になりますよ……」

男「大したことじゃねえって言ってんだろ」

女「気になりますよ……」

男「なんで二回言ったお前」

女「所長もじゃないですかあ」
418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:03:50 ID:AQ9IbYpM
男「ん、実はな、おれがよく行く店があるんだが」

女「いやらしいお店ですか?」

男「違うよ馬鹿」

男「まあ店員も、おれのことをよく知ってるわけだよ」

女「はあ」

男「んで今日、その店員が気を利かせたわけだ」

女「はあ」

男「それにおれは腹が立ってんの」

女「はい、なるほど、わかりません」
419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:13:15 ID:AQ9IbYpM
男「だからそっとしといて」

女「いやいやいや、これだけの情報で『はいそうですか』とは言えませんし」

男「察して」

女「察せませんよ、いくらなんでも」

女「え、なんですか、この辺のお店ですか?」

男「ああ」

女「いつもよく行くお店なんですよね?」

男「ああ」

女「昼間に?」

男「夜にも行くよ」
420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:20:37 ID:AQ9IbYpM
女「ん、なにかサービスを受ける店ですか?」

女「それとも、なにかを買う店ですか?」

男「買う店だな」

女「服屋とか?」

男「違う」

女「食べ物屋?」

男「違う」

女「雑貨屋?」

男「違うけど、近いかもしれん」
421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:27:05 ID:AQ9IbYpM
女「本屋?」

男「いや」

女「そこで買ったものは、今この部屋に残ってますか?」

男「……あんまり残ってねえなあ」

女「じゃあ消耗品ですね?」

男「まあ、そうかな」

女「んー、所長がよく行くお店……か」
422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:33:31 ID:AQ9IbYpM
男「『店』というのも、少し微妙な感じではあるが」

女「スーパーとか?」

男「違う」

女「あ、コンビニ?」

男「そ、正解」

女「所長コンビニよく行きますもんねえ」

男「ああ、便利だからな」

女「高くないですか? お金もったいなくないですか?」

男「便利だからな」
423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:41:12 ID:AQ9IbYpM
女「お菓子とかお酒とかよく買ってますよね」

男「ああ」

女「で、そこで、店員さんに覚えられてるんですか?」

男「ああ、もう顔なじみだな」

女「女性ですか?」

男「……いや」

女「今の間はなんですか?」

男「……別に」

女「……」
424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 20:48:25 ID:AQ9IbYpM
女「知ってます? コンビニの店員って、客にあだ名つけたりするんですよ」

男「え」

女「いつも何時に来るとか、いつもこれ買うとか、そういう情報で」

女「『丑三つ時のからあげ野郎』とか『早朝のハゲ』とか『中年ジャンプ』とか」

男「怖い」

女「所長はなんて呼ばれてるでしょうかねえ」

男「……」

女「で、そのコンビニで、店員さんが気を利かせてくれたのにそれが腹立たしい、と」

男「ああ」
425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 21:00:54 ID:AQ9IbYpM
女「いいあだ名をつけてくれたのに、気に入らなかったとか?」

男「勝手につけてるあだ名を客にバラしたら駄目だろう」

女「そっか」

男「ま、他の客にはやらないかもしれんな」

女「相手が所長だったから、気を利かせたんですか?」

男「ああ」

女「所長がいつも自分でやっていることなのに、店員さんが代わりにやってくれた?」

男「そういうことだ」
426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 21:09:08 ID:AQ9IbYpM
女「レシートを勝手に捨てておいてくれた?」

男「いや、違う」

女「それは割とみんなやってることか」

男「そうだろうなあ」

女「ていうか所長、財布にレシート溜まるタイプですよね」

男「そうかな」

女「お札よりもレシートが多いタイプですよね」

男「……否定できんな」
427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 21:33:03 ID:AQ9IbYpM
女「袋一つでいいんでしたよねー、とか言ってアイスとホットコーヒーを同じ袋に入れた」

男「もっとキレるわ」

女「袋いらないんでしたよねー、とか言ってエロ本にシール貼った?」

男「その場で暴れるわ」

男「いやちょっと待て、エロ本なんか買ってないから」

女「これどうせすぐ食べますよね? とか言って賞味期限ぎりぎりの物と交換された」

男「そんな店員がいたらそんなコンビニは二度と行かねえよ」
428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 21:41:14 ID:AQ9IbYpM
女「うーん、難しいですね」

女「所長、もしコンビニ店員にあだ名をつけられているとしたら、なんですか?」

男「それがわかれば、おれの怒っている理由がわかるかもしれないな」

女「え、そうなんですか?」

男「たぶんつけるとしたら……『偽善君』……かな」

女「あー」

男「……」

女「あー、それは、怒りますね」

男「だろう?」
429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 21:45:42 ID:AQ9IbYpM
というお話です
さて、所長はコンビニで何を経験したのでしょうか
まあ、事件というほどのものではありませんが……
430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/18(月) 22:02:24 ID:6umBsUzM
これは所長怒ってもいい
433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 19:44:10 ID:97KEmeOw
【解答編:いつものお客さん】

女「所長、そんなにお金に余裕あるんですか」

男「端数だけだよ」

女「あんまり仕事来ないのに」

女「切り詰めないと生活大変なんじゃ?」

男「そんな心配はいらん」

女「でも、募金って、財布に余裕がないとしちゃだめですよう」

男「いいんだよ、気持ちだよ気持ち、こういうのは」
434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 19:53:34 ID:97KEmeOw
女「いっつも募金してるんですか?」

男「おつりが端数のときは、まあ、だいたいは」

女「自分でも偽善だと思ってるんですか?」

男「そうだな、自己満足の偽善だろうな」

女「それを店員さんが勝手に募金箱に入れちゃったんですね?」

男「ああ、ついやっちゃった、みたいな微妙な顔してたけどな」

女「気まずいですねえ」

男「まあおれもその場では、平然としてたんだが」

女「やせ我慢ですね」

男「あとで思い返すとやっぱり腹が立ってな」
435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 20:11:03 ID:97KEmeOw
女「いつもぴったり払えるようにしておけばそんなトラブルは回避できるのでは?」

男「いつもぴったり?」

女「500円玉、100円玉4枚、50円玉、10円玉4枚、5円玉、1円玉4枚」

女「それで999円を常に小銭入れに入れておけば、どんな額でも払えますよ」

男「面倒くさい」

女「ま、いつも財布がレシートでいっぱいの所長には無理ですよね」

男「なんか腹立つな、それ」

男「なに、お前はいつもそんな細かい小銭を財布に入れてるの?」

女「いえ、私はそんな面倒くさいことしてません」

男「……あそう」
436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 20:22:19 ID:97KEmeOw
女「いいじゃないですか、やらない善よりやる偽善、とも言いますし」

男「間でピンハネしてる守銭奴もいるらしいが」

女「そ、そんな団体には募金しちゃだめですよ」

男「ちゃんと相手は選んでるよ」

女「人を思いやれるのが所長のいいところ、です」

男「悪人には付け込まれやすいけどな」

女「それは、私が守ります」
437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 20:32:38 ID:97KEmeOw
男「守る? どうやって?」

女「知りませんでした? 私、人の嘘を見抜くのが得意なんです」

男「へえ」

女「本当かよ、って顔ですね?」

男「む」

女「私、詐欺とかそういうのにかかったことありませんし、いい友達にも恵まれてますし」

男「ふうん」
438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 20:47:06 ID:97KEmeOw
男「あ、そういえば、おれ、結婚することになったんだが」

女「ええええ!? うそ!? え!? 誰と!?」

女「私というものがありながらなんという裏切り! 許すまじ!」

女「子宝に恵まれなくなる呪いを三重か四重にかけて―――」

男「嘘だよ」

女「あ……」

男「で、なにが得意なんだっけ?」

女「あ、えっと、所長相手には通用しないみたいで」

男「あそう」

男「ていうか、女子高生が『許すまじ』とか言うの、初めて聞いたわ」

女「えへへ」
439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/19(火) 20:48:26 ID:97KEmeOw
ではまた次の事件で ノシ
441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/20(水) 01:19:49 ID:qJHVkTjM
乙です
このSSがずっと続く呪いを三重にかけておきますね
443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 20:29:38 ID:nmMkLAcU
【出題編:可愛い坊ちゃんね】

女「あー、子どもが欲しいですねえ」

男「ぶふぉっ」ビチャビチャ

女「あらあら、なにやってるんですか汚い」フキフキ

女「そういう意味じゃありませんから、ご心配なく」

男「そ、そうか」

女「いやもちろんそういう意味でも言いたいですけどね?」

男「そ、そうか」

女「小さい子を連れているお母さんを公園で見まして」

男「欲しくなったの?」

女「はい、子ども欲しくなりました」
444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 20:35:45 ID:nmMkLAcU
男「子どもねえ」

女「所長は子どもが巻き込まれた犯罪とかも見てきたんでしょうか?」

男「まあ、それなりにな」

女「私が聞いても問題ない範囲の事件を教えてほしいです」

男「んん、ちょっとややこしい事件なんだが、じゃあ、一つ」

女「はい」

男「ある若い母親が、子どもを連れて近所を歩いていたんだ」

女「ほう」

男「引っ越しの挨拶なんかもしながら」

女「はあ、引っ越してきたばかりだったんですか」
445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 20:53:29 ID:nmMkLAcU
男「近所の人は『あら、可愛いお子さんですね』と言う」

男「母親は嬉しそうに頷いている」

男「ところがある人が声をかけると、母親は子どもを連れて慌てて逃げ帰ってしまったんだ」

女「なんと言われたんですか?」

男「『可愛い坊ちゃんね』と」

女「それがなにか問題が?」

男「その母親は、なぜそれを聞いて逃げ帰ってしまったんだろうか」

女「ふうむ」
446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 21:02:14 ID:nmMkLAcU
女「その母親っていうのは、本当の母親ですか?」

男「ああ、それについては間違いない」

女「母親は、なにか後ろめたいことがあったから逃げたんですか?」

男「いや、少し違うかな」

女「『可愛い坊ちゃんね』と言ったのは、女性?」

男「ああ」

女「若い女性?」

男「いや、この母親よりは上だ」

男「30代か40代だろう、という証言だ」
447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 21:10:06 ID:nmMkLAcU
女「その子どもっていうのは、小さい子ですか?」

男「ああ、幼稚園入る前くらいだったかな」

女「その子の反応は?」

男「その子自体は、まだ自分の事態を把握できていなかっただろうな」

女「母親が逃げ帰る理由も?」

男「ああ」

女「母親はなにかを恐れていましたか?」

男「ああ」

女「それは、その女性に?」

男「……そうだ」
448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 21:26:56 ID:nmMkLAcU
女「その女性は、なにか奇抜な格好をしていましたか?」

男「いや、見た目ごく普通の女性だったそうだ」

女「……所長は、その母親からの相談を受けた立場でしょうか?」

男「ああ、随分前の事件だが」

女「解決は見たのですか?」

男「いや、単純な事件じゃなかったからね」

男「というかそもそも、この部分は事件として立証できない」

女「まあ……確かに」

男「なぜこの母親が恐怖を感じたかという点がポイントだ」
449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 21:42:33 ID:nmMkLAcU
女「この声をかけてきた女性は、なにかの事件に関わっていますか?」

男「……その立証はできない」

男「ただ、母親はそう感じたんだ」

女「あ、なるほど」

女「真実はさておいて、母親がこの女性に危険を感じたわけですね?」

男「ああ」

女「それは、格好ではなくて、なにに感じたのかが重要ですか?」

男「そうだな」
450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 21:54:03 ID:nmMkLAcU
女「格好でないとしたら、じゃあ、言葉ですよね」

女「えっと、『可愛い坊ちゃんね』でしたっけ」

男「ああ」

女「えっと、その子は確かに男の子でしたか?」

男「……そうだ」

女「じゃあ、なにも問題はないわけで……」

男「他の人が見た時、そうは声をかけなかった」

男「例えば、『可愛いお子さんですね』」

男「例えば……『可愛いお嬢さんですね』」

女「え!?」
451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:02:13 ID:nmMkLAcU
女「え、えっと、その子は女の子の格好をしていたんですか?」

男「ああ」

女「本当は男の子なのに?」

男「ああ」

女「時代を先取りしていますね」

男「いや、ちょっと」

女「その女性は、その子が本当は男の子だということを見抜いたんですね?」

男「ああ、そうだろうな」
452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:14:14 ID:nmMkLAcU
女「てことは、母親は、何らかの理由で子どもに女の子の格好をさせていた」

男「ああ」

女「そしてそれを隠して暮らそうとしていた?」

男「そうそう、近づいてきているぞ」

女「だけど、初見でそれを見抜いた女性がいたから、恐れた」

男「そうだ」

女「……ちょっと不思議な性質の家族ってことですか?」

男「それだけじゃない」

男「この家族は引っ越してきたばかり、と言ったな」

女「あ、はい」
453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:22:13 ID:nmMkLAcU
男「引っ越す前は、そんな女装なんてさせていなかった」

女「……」

女「前の家で、なにかがあったんですね?」

男「そうだ」

女「そのせいで引っ越して家を変えて、女の子として育てようとした……」

女「なのにそれがバレたから恐ろしくなった……」

男「前の街で(家で)巻き込まれた事件のせいだ」

男「それがなければ、静かに平和に暮らせたはずなんだ」
454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:33:37 ID:nmMkLAcU
女「前の家で起こった事件というのは、その子が男の子だから起こった事件だったんですか?」

男「普通なら、いや普通という言い方は違うかもしれないが、男でも女でも関係なかっただろう」

男「ただ今回の件に関しては、男の子であったことが不運だったかもしれないな」

女「なるほど」

女「子どもであることは関係ありましたか?」

男「ああ、関係大アリだった」

女「その事件の犯人は、捕まっているんですか?」

男「ああ、犯人は、一応な」
455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:44:23 ID:nmMkLAcU
女「じゃあ心配ないんじゃないですか?」

男「実行犯は逮捕されたんだが……」

女「……」

女「犯人は逮捕されているけど……って」

女「じゃあまだ、どこかに残っているかもしれないんですね?」

女「え、じゃあ、母親はその声をかけてきた女性が、もしかして『それ』だと思ったんですか?」

男「そうだ」

女「それは確かに……怖くもなりますよね……」
456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/24(日) 22:50:20 ID:nmMkLAcU

はてさて、女装少年の過去に何があったのでしょうか
また明日です ノシ
457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 00:29:05 ID:tgfdsSRc
母親に女装を強いられるといえば千早お姉さま...

それはともかく、ショタコンもロリコンも程度というのは大事だな

節度を守ってたのしいHENTAIライフを
459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 21:02:30 ID:e6lom.4o
【解答編:可愛い坊ちゃんね】

女「その子は過去に誘拐されたことがあるんですね?」

男「ああ」

女「しかも、身代金目的ではない誘拐」

女「つまり、人身売買のような」

男「そうだ、危うくその被害に遭うところだったんだ」

女「でもその犯人は捕まった」

女「売られることはなかった、ということですね」
460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 21:17:20 ID:e6lom.4o
男「そうだ、しかし……」

女「しかし、無差別に売ろうとしていたのではなく、すでに顧客がいた」

女「その子自体をターゲットにしている顧客が」

男「そうだ」

男「逮捕した誘拐の犯人から、すべての客を辿ることはできなかったんだ」

女「怖いですね」

男「ああ、つまり人を買おうとしている人間が、まだどこかをうろついているということだからな」

女「他にも誘拐していたんですか?」

男「何人かのうちの一人だったようだ」

女「じゃあ、組織は今も……?」

男「一部、残っているようだ」

女「……」
461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 21:33:19 ID:e6lom.4o
女「それで、『小さい男の子』だったために狙われたことが分かった母親は、女の子として生活させた」

男「まあ、偽装だな」

男「ちょっと行き過ぎた対応だとも思ったが」

女「いえいえ、また誘拐されるかも、と思えばこれくらいしますよ、きっと」

男「で、町を離れて安心したと思ったら……」

女「『可愛い坊ちゃんね』と」

女「そりゃあ恐怖でしょうね」

男「せっかく逃げたつもりが、また狙われると思っただろうな」

女「本当にその女性が顧客だったんですか?」

男「いいや、その証拠は何一つないんだ」
462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 21:43:08 ID:e6lom.4o
女「勘違いの可能性もあると?」

男「そうだな」

女「それでも、母親は平常心ではいられないでしょうね」

男「ああ、かなり取り乱していたよ」

女「それで、どうなったんですか?」

男「おれの知っているある街で生活させてある」

女「ある街?」

男「経歴もなにもかも、一切捨ててリスタートできる街だ」

女「そんなところがあるんですか?」

男「ああ、ちょっとツテでな」
463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 21:53:21 ID:e6lom.4o
女「その顧客っていうのは……」

男「ん?」

女「本当の顧客は、子どもができずに悩んでいた人でしょうか」

男「金持ちの道楽かもしれんがな」

女「子ども欲しさに、依頼してしまったんでしょうね」

男「今は顔を合わせずに簡単に依頼ができる」

男「犯罪が闇に隠れて、横行している」

女「怖いですね」

男「それを解消していくのが、おれたちの仕事だ」

女「はい」
464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 22:02:25 ID:e6lom.4o
男「で、なんだっけ」

女「?」

男「公園で子どもを見て、子どもが欲しくなったんだっけ?」

女「あ……」

男「口には少々気をつけるように」

男「それを聞いて、恐怖を感じる人間がいるってこと、忘れるなよ」

女「……はい、気をつけます」
465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 22:07:11 ID:e6lom.4o
というお話でした
ショタコンとロリコンには気をつけましょう
466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/25(月) 22:43:46 ID:DIve0XWQ
>>465


大事な所そこかよww
470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 03:37:16 ID:uzx4OyXk
おまけの庭師の回答が未だにわからない......ぐぬぬ
471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 18:35:24 ID:DRrDnlfc
>>470
庭師には、3本目の腕があった、という話です
極々稀に腕が3本、4本、または足が3本、4本で生まれてくる人がいるそうです
発達に差があれば、多くは手術で切除するそうですが

ご期待に沿えない小ネタかもしれませんが、「常識では考えられないことが世の中にはある」ということで一つorz
472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 18:38:36 ID:DRrDnlfc
【出題編:雨上がりのブラジャー】

女「所長のおじいさんも、探偵さんだったんでしたよね?」

男「ああ、そうだよ」

女「お父さんは普通のサラリーマン?」

男「ああ」

男「じいちゃんの仕事見てて、憧れたってのはあるな」

女「だから、この仕事を?」

男「ああ」

女「おじいさんも、まだ探偵を?」

男「まだイタリアで探偵事務所をやってたと思う」

女「格好いい!」
473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:06:51 ID:DRrDnlfc
女「やっぱり三代目って、優秀な人が多い印象があります」

男「三代目?」

女「探偵とか、泥棒とか、徳川将軍とか」

男「あー」

女「じっちゃんの名にかけて! とか言ってたんですか?」

男「いや、うちのじいちゃん、別に有名な探偵でもないし……」

女「三代目って、どうして優秀な人が多いんでしょう?」

男「おれは別に普通だが……」
474: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:13:26 ID:DRrDnlfc
男「単純に、数が増えるからじゃないか?」

女「数ですか?」

男「子どもが複数いて、さらにその子どもが複数いれば、自然と数は増えるだろう?」

男「優秀な人材が生まれる確率が増える、ということ」

女「あ、なるほど」

男「隔世遺伝、とも言うしね」

女「それって科学的に正しいんですか?」

男「知らないけど」

女「……」
475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:26:21 ID:DRrDnlfc
男「そういえば、じいちゃんから聞いた事件の話があるんだけど」

女「お、興味あります」

男「戦後の話なんだけど」

女「古っ!」

男「まあ事件と言っても他愛もない、変な出来事なんだけどな」

女「はい、聞かせてください」

男「雨上がりの街路樹に、ブラジャーを吊るす男の話だ」

女「はい?」
476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:38:38 ID:DRrDnlfc
男「雨上がりに、決まって街路樹にブラジャーを吊るす男がいたんだ」

男「こいつは変態でもなく、大真面目に、ある目的を持ってそれをやっていた」

女「変態じゃないんだ……」

男「この男の目的はなんでしょうか」

女「おじいさんは、その謎を解いたんですか?」

男「ああ、その時の話を苦笑しながらしてくれたよ」

女「じゃあ、私も頑張って解かないとな」
477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:45:34 ID:DRrDnlfc
女「戦後っていうのは大事ですか?」

女「今では起こらないような事件?」

男「そうだな、今どきこんなことをするやつはいないだろう」

女「まあすぐに捕まりますよね……」

男「しかし罪状が不明だ」

女「あ、そ、そうですね……」

男「盗品とは限らないしな」

女「あ、そう、なんらかの罪に問われる出来事でしたか?」

男「いや、じいちゃんも別に、謎が解けたからって警察に売った訳ではないらしい」
478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 19:53:45 ID:DRrDnlfc
女「それはブラジャーでないといけないのですか?」

女「パンツじゃダメなんですか?」

男「いや、パンツでもいいんじゃないかな」

女「所長だったらどっちがいいですか?」

男「は?」

女「ブラジャーとパンツだったらどっちを吊るしますか?」

男「おれは吊るさないよ」

女「いやそんな模範解答はいりませんので」

男「おれが吊るすメリットはない、ってこと」
479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 20:02:12 ID:DRrDnlfc
女「おじいさんも?」

男「じいちゃんも吊るすメリットはないね」

女「その男の人だからこそ意味があったんですか?」

男「そう」

女「女の人では?」

男「女の人でも意味があったかもね」

女「性別は問題じゃない?」

男「問題じゃない」

女「年齢は?」

男「年齢にも、特に関係がないな」
480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 20:11:44 ID:DRrDnlfc
女「それは、吊るしっぱなしですか? あとで回収するんですか?」

男「あとで回収していたらしい」

女「えええ……やっぱりただの変態なんじゃあ……」

男「変態じゃなかった」

女「いや仮にですよ、仮にちゃんとした目的があったとしても、変態ですよね」

男「……まあ……手段がちょっとな」

女「所長も、もし理由があったとしても、そんな変態行為をしないでくださいね」

男「……気をつけよう」
481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 20:20:20 ID:DRrDnlfc
女「誰か特定の人に対するメッセージでしょうか」

女「お前のブラは預かった、返してほしくば……みたいな」

男「いや、違うな」

女「暗号? 赤色のブラだったら『今日の取引は中止』みたいな」

男「いや、それも違う」

女「ていうか目立ちますよね、それ」

男「ああ」

女「目立つことが重要でしたか?」

女「つまり少数でなく、多数の人間に見てもらう意図があった?」

男「そう、そうだ、それが重要」
482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 20:30:55 ID:DRrDnlfc
女「例えば、ブラジャーを地面に捨てておくのではいけないんですか?」

男「んん、それじゃあ意味がなかったな」

男「どこかの誰かに拾われてしまうかもしれないし」

女「そっか」

男「まあ街路樹でなくとも、高いところに吊るしていたことに意味があるんだ」

女「頭に乗せておくのは?」

男「ううん、なしの方向で」

女「なしの方向ですか……」
483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 20:49:10 ID:DRrDnlfc
女「それは、晴れのときでは意味がないんですか?」

男「まあ晴れのときにはしなくていいんじゃないかな」

女「雨が降っているときは?」

男「降っているときでもいい」

男「しかしやはり、雨上がりにやることが一番メリットが大きいと言える」

女「雪のときは?」

男「雪のときは、男も家にいるんじゃないかな」

女「外でなにか仕事をしているんですか?」

男「そうだな」

女「雪のときにはお休み?」

男「ああ、雨のときも、たぶん休みだっただろうな」
484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 21:02:01 ID:DRrDnlfc
女「カメハメハ大王のようですね」

男「まあ、さして忙しい仕事をしていたわけではない」

女「その仕事に関わるんですよね? そのブラジャーって」

男「ああ」

女「雨上がり……雨上がり……」

男「戦後すぐっていうのも、ある意味重要かな」

女「あ、もしかして当時道路ってあんまり舗装されてませんでした?」

男「ああ、いいところに気が付いたな」

女「ん! ぴぴーんときましたよ!」

男「さすが」
485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/31(日) 21:09:41 ID:DRrDnlfc
さて、ぴぴーんときましたでしょうか
また明日(たぶん)です ノシ
491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 22:13:39 ID:SBINCEX2
【解答編:雨上がりのブラジャー】

女「雨上がりってことは、まだ地面は濡れてますよね」

女「しかも戦後で、道路がアスファルトとかで舗装されてないとしたら……」

男「としたら?」

女「水たまりがたくさんあるはず!」

男「そう、その通り」

女「男の狙いは、ブラジャーを高いところに吊るし、道行く人の目線を上げることにあったのです!」

男「ほほう」

女「そうすると、足元がおろそかになった人がバシャンと水たまりに足を突っ込んでしまう!」

女「そこですかさず男は言うのです」

女「『靴、磨きましょうか旦那』と!」
492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 22:22:56 ID:SBINCEX2
男「ご名答」

女「靴磨きの仕事をしている人だったんですね」

女「戦後、そういう人が多かったと聞きます」

女「戦争孤児の子なんかも、よくやっていたようですね」

男「だから、地面では意味がなかった」

女「それに、ブラジャーだと男の人がきっと目を奪われますもんね」

男「ああ」

女「革靴を履いているのは、だいたい男の人でしょうから」

男「そうだな」
493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 22:30:16 ID:SBINCEX2
女「しかし生きるためとはいえ、ちょっと卑怯な客引きですね」

男「ああ、客も苦笑いだろうな」

女「おじいさんも、引っかかったんですか?」

男「ああ、見事にやられたそうだ」

女「まあ、木の上にそんなものがあったら見ちゃいますよね」

男「男だと特に、な」

女「所長もやっぱり見ちゃいますか?」

男「不思議なものがあると、やっぱり気になるからな」

女「エッチ!」

男「いや、仕方ないだろ」
494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 22:41:44 ID:SBINCEX2
女「所長も革靴ですよね」

男「ああ」

女「ん、ちょっと汚れてませんか」

男「そうか?」

女「ちゃんと身だしなみは整えないと」

女「おしゃれは足元から、ですよ?」

男「ちょっとくらい汚れていた方が、舐めて綺麗にさせるとき、いいだろ」

女「……」

男「引きすぎだよ、冗談だよ」
495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 22:46:51 ID:SBINCEX2
所長ドS説
もっとなんか「すっきり!」ってのを目指したいですね
496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/01(月) 23:04:07 ID:4uTvDvK.

一瞬ネウロを思い出した
498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:02:51 ID:L/ppiA5k
【出題編:見立て殺人の夜】

女「あれ、どうしたんですか、包帯なんて巻いちゃって」

男「ちょっとね」

女「すっ転んだんですか? いい年して」

男「表現が辛辣」

女「本当は?」

男「犬に噛まれた」

女「探し犬ですか?」

男「いや、ただ散歩中の犬に触ろうとしたら」
499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:09:08 ID:L/ppiA5k
女「所長って犬に嫌われるタイプなんですか?」

男「おれは動物好きなんだけどねえ」

女「ちゃんと消毒しましたか?」

女「気をつけてくださいよ、本当に」

男「ああ」

女「あ、そうだ、犬で思い出したんですけど、ちょっと前に読んだ漫画のことで」

男「漫画?」

女「犬に噛み殺されたような装飾をして、だけど本当は人間が殺していたっていう」

男「へえ」
500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:17:41 ID:L/ppiA5k
女「あと別の本では、えっと、獣を飼っている屋敷があって、人を襲ってしまって」

女「逆にその形跡を人間が隠そうとして、無理がある状況になってしまったり」

男「ふうん?」

女「そういうのって、あの、『見立て』って言うんでしょうか?」

男「どうかな、定義が難しいからね」

女「現実にはありますか?」

男「現実にはほとんどないんじゃないかな」

女「どうしてですか?」

男「労力に見あうメリットがないからだろうね」
501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:27:51 ID:L/ppiA5k
女「有名な見立て殺人って、ほとんどが小説ですか?」

男「まあ、そうだろうね」

男「童謡になぞらえて、っていうのは、海外では有名な一つのジャンルとして確立されているらしいし」

女「日本じゃあまりないですね」

男「マザー・グースみたいなものがないからかもしれない」

男「それから、まあ一部が有名すぎて、後追いが少ないのかもしれないな」

女「見立てって、現実にはほとんどないとして、フィクションで行われるのにはちゃんとした理由があるんですか?」

男「そうだな、その辺はちゃんと説明されていることが多いかな」
502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:36:44 ID:L/ppiA5k
女「例えば、見立てにはどんなものがありますか?」

男「7つの大罪になぞらえたもの、童謡になぞらえたもの、村に伝わる手毬唄になぞらえたもの……」

女「ほうほう」

男「タロットカード、星座占い、アルファベット、数字、そんなものもあるかな」

女「連続殺人であることが多いのですか?」

男「そうだな、まあ、推理小説なんていうのは大体が連続殺人だね」
503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:45:06 ID:L/ppiA5k
女「フィクションの世界では、見立てに見あったメリットがあるのでしょうか」

男「そうだね、例えば殺人の順を誤認させる、とか」

女「順ですか?」

男「ABCDの人物が順に殺され、それぞれに1234とナンバーが振られているとしよう」

男「そうすると1234の順に殺されたと考えてしまう」

男「しかし実際には1324の順だった、と」

女「それによって誤認させて、なにかメリットがありますか?」

男「被疑者Eには、その順で殺すことはできないアリバイがあった、なんていう風にね」

女「はあ、なるほど?」

男「あるいは単独犯に見せて、ACをBが殺していた、それをEが殺した」

男「しかし死んだ順はABCDだと思われているから、BにCは殺せないはずだ、とか」

女「むむう、難しくなってきました」
504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 22:51:35 ID:L/ppiA5k
男「あるいは殺した人間と装飾した人間が別の場合もある」

女「複数犯ですか?」

男「いや、一人はただ単に自分の殺人の目的を達成しただけ」

男「それを知ったもう一人が、弱みを握った証しに装飾を施す、と」

女「それは怖いですね」

男「あるいは協力するつもりで、かばうつもりでやる場合もあるかな」

女「……やっていることは一緒でも、理由は180度反対なんですね」

男「それから……一人目は偶然、そうなってしまった」

男「二人目からもなんらかの見立てをすれば、証拠を隠せる、というのもあるかな」

女「偶然を隠す、ということですね」
505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:00:39 ID:L/ppiA5k
男「どうして急にそんな話が出てきたの?」

女「あの、私が今読んでいる漫画に見立て殺人が出てきてましてね」

男「はあ」

女「探偵の謎解きよりも早く謎が解きたくて」

男「……」

女「ああ、ちょっと、呆れた顔しないでください!」

男「……やれやれ」

女「アメリカ人っぽいリアクションしないでください!」
506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:09:15 ID:L/ppiA5k
男「どんな事件?」

女「えっと、鮎釣りで有名な川があってですね」

女「そこで男が殺されるんですが、首にロープが絡まっていて、口には鮎が詰め込まれていて」

女「まるで鵜飼いのような見立てなんですよ」

男「ああ、鵜飼いね」

女「その見立てには理由があるみたいなんですけど、わかります?」

男「結末を知らないのか?」

女「来週までお預けなんです」

男「それを解け、とね」

女「えへへ」
507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:18:44 ID:L/ppiA5k
男「死因は絞殺?」

女「ええ、でも……」

男「でも?」

女「あ、えっと、所長が解き明かしてください」

女「読んだところまでは質問に答えられますので」

男「んん、絞殺は正解なんだな」

女「ええ」

男「じゃあ凶器はロープ?」

女「いいえ」

男「なるほどね」
508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:24:22 ID:L/ppiA5k
男「つまりロープは手近にあったもので、見立ての為に使われたということか」

女「ええ」

男「手で絞めたのかな?」

女「おそらく」

男「特徴的な手の痕だったから隠したかったとか?」

女「いえ、手の痕があるにはあったんですが、それで犯人を特定できるわけではないようでした」

男「鮎は? その辺にあったの?」

女「近くのビクに入っていたのを拝借したようです」

男「被害者は漁師?」

女「いいえ、近くにキャンプに来ていた人です」

男「鵜飼いの見立てで川の近くで死んでいた、かあ」

男「被害者は服が濡れていた?」

女「いいえ」
509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:33:44 ID:L/ppiA5k
男「殺されたのは、その人一人だけ?」

女「ええ、そうなんです」

男「じゃあさっき話していたような、死んだ順とかアリバイとかには関係がなさそうだな」

女「ええ……」

男「鵜飼い、鵜飼い……」

男「この道は『迂回』しろという犯人からのメッセージでは?」

女「それだったらガッカリですよう」

男「アルファベットで『U-KAI』、つまり『誘拐』がまだ起きるぞという宣戦布告?」

女「もう探偵役が犯人を指差すところまで、いっちゃってるんですよう」
510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:41:19 ID:L/ppiA5k
男「まあ、冗談は置いておいて」

女「はあ」

男「その被害者は、首以外になにか傷はあった?」

女「いえ、争った跡はありましたけど、他に傷は特に」

男「じゃあ、詰め込まれていた鮎は死んでいたの?」

女「あ、はい」

男「無理矢理詰め込まれていた?」

女「はい、何匹も無理矢理ぎゅうって」

男「なるほどねえ」
511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:48:29 ID:L/ppiA5k
男「ロープはおまけだろうね」

男「犯人は見立てに見せかけて、本当は鮎を口に突っ込みたかったんだ」

女「わ、わかるんですか!?」

男「容疑者の中に、おれみたいなやつはいなかったか?」

女「えっと、冴えない中年はいなかったですけど」

男「誰が冴えない中年か!」

男「そうじゃなくて、ほら、おれを見て、気付かないか?」

女「……?」

男「鈍いな、まだまだ」
512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/07(日) 23:49:45 ID:L/ppiA5k
このネタは知っている人が多いかもしれませんね
また明日(か明後日)です ノシ
514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 00:24:25 ID:PIjdU/RM
乙です。謎は解けたけど元ネタが気になる
515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 17:00:16 ID:WfDjCWmg
>>514
金田一少年の事件簿シリーズ
517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 21:15:38 ID:/f8yYAKA
【解答編:見立て殺人の夜】

男「手で首を絞めると言っても簡単じゃない」

男「多くは頭を殴ってから絞めるが、しかし他に傷もないという」

女「ええ」

男「なら、ある程度の抵抗はしたはずだよな、被害者は」

女「……はい」

男「その結果、被害者は犯人の証拠を持って死んでしまったんだろう」

男「そしてそれを隠すために、犯人は鵜飼いの見立てなんていうものを施したんじゃないか」

女「証拠って一体……」

男「つまり、犯人の『血』さ」
518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 21:22:49 ID:/f8yYAKA
男「揉みあいになって、必死に抵抗した被害者は、犯人の体のどこかを強く噛んだんだ」

女「!」

男「それにより、被害者の口の中に犯人の血が残った」

男「口の中では拭き取ることはできない」

男「焦った犯人は、手近なところにあった鮎を突っ込み、その魚の血でごまかそうとしたんだろうね」

女「ふぉおお! すっきりしました!」

男「と言っても、まあおれの仮定だからさ、来週の真実とは違っているかもよ?」

女「いえ、もうそれで満足です」

男「それはちょっとどうなの……」
519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 21:31:06 ID:/f8yYAKA
女「なるほど、証拠を隠すための見立て、というものもあるんですねえ」

男「言わなかったっけ?」

女「言ってたかもしれません」

男「ったく」

女「あれ?」

男「ん、どうした」

女「所長のそのケガ、本当に犬ですか?」

女「まさか被害者に噛まれたとかじゃ……」

男「……」ニヤリ

女「怖い怖い怖い! そんな! 嘘ですよね!?」

男「おれはなにも言ってねえよ」ニヤニヤ
520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 21:46:27 ID:/f8yYAKA
【おまけ:銃声は一発、弾は二発】

男「ちょっと冗談みたいな話をするぞ」

女「?」

男「あんまり真面目に考えて泥沼にはまらないように」

女「前置きが意味深ですね」

男「とある邸宅で銃声が鳴り響いた」

男「それを聞いた家政婦が部屋を見に行くと、主人が死んでいた」

男「犯人はすでに逃走していたが、被害者を調べてみると銃弾が二発見つかった」

男「しかし家政婦によると、銃声は確かに一発しか聞こえなかったという」

男「なぜこんなことが起こりえたのだろうか」
521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 21:56:37 ID:/f8yYAKA
女「すっごい急いで二発撃ったから聞こえなかったとかでは……」

男「ないな」

女「散弾銃だった?」

男「違う」

女「犯人が二人いて、同時に撃った」

男「それも違う」

女「二丁拳銃で撃って、片方はサイレンサー付きだった!」

男「面白いが、違うな」
522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 22:16:19 ID:/f8yYAKA
女「銃弾は同じものでしたか?」

男「いや、違う弾だった」

女「じゃあやっぱり、銃は二丁あったってことですよね?」

男「まあ、そうだな」

女「犯人は二人?」

男「いや、この時に邸宅に忍び込んでいた犯人は、確かに一人だった」

女「サイレンサー装備の銃で二発撃ってから、なんかクラッカーとかで音だけ鳴らして、犯行時間を誤認させようとした?」

男「それだと銃弾が違っていた説明がつかないんじゃないか」

女「あ、そっか」
523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 22:26:44 ID:/f8yYAKA
男「真面目に考えたらダメだ、冗談だと考えるんだ」

女「そんな真面目な顔で冗談って言われても……」

女「あ、屋敷の中に、血痕がたくさんあったとか?」

男「いや、主人の部屋だけだった」

女「なんだ……」

男「なんだと思ったんだ?」

女「外で撃たれて帰ってきて、部屋でまた一発食らって、かと思いまして」

男「よっぽど人の恨みを買う人間だな、それじゃ」

女「違いますよね」

男「違う、が、一番近い」

女「え?」
524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 22:33:59 ID:/f8yYAKA
男「おれはあえて必要な情報を言ってないだけで、現場の人間からしたら謎でもなんでもなかったんだよ」

女「一番近い……なんだろ……」

男「屋敷にはその部屋以外血痕は残っていなかった」

男「銃声も一発だけ」

男「しかし違う種類の弾丸が二発、体内に残っていた」

女「あ! え?」

男「わかった?」
525: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 22:41:46 ID:/f8yYAKA
女「いや、でも、え?」

男「言ってみろ」

女「その殺された主人って、かなりご高齢でしたか?」

男「ああ」

女「もしかして、軍人でしたか?」

男「そう、正解」

女「うわああああ! 騙された! もおおおおお!」

男「だから言ったろ、冗談みたいな話だって」
526: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/08(月) 22:46:11 ID:/f8yYAKA
というお話でした
ではまた ノシ
527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/09(火) 00:44:36 ID:38tQYv2Y
おつ!
おまけにあえて解答編をつけないのがなんかいいね
529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 18:41:57 ID:YOmyG/96
【出題編:これは自殺ではない】

女「所長の推理力って、やっぱりすごいんでしょうか?」

男「ん?」

女「いつも話してくれる事件のお話を聞いていても、やっぱりすごいなって思うんですけど」

男「そうかな、おれより鋭い刑事なんて、たくさんいたが」

女「刑事時代の同僚さんですか?」

男「ああ」

女「例えばどんな鋭い人がいましたか?」

男「そうだな……」
530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 18:49:59 ID:YOmyG/96
男「転落死の通報があってな、おれとそいつで現場に駆けつけたことがあったんだ」

男「当然救急車も呼ばれていたが、一目見て死んでいることは明らかだった」

男「何人かの警官が人垣を遠ざけていた」

男「そして現場を見て、そいつは言ったんだ」

男「『おい、こいつぁ自殺じゃねえぞ』ってな」

女「へえ」

男「事実、それは自殺ではなかったんだが、なぜそいつはそれを見破れたのか」

女「ははあ、なるほど」
531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 19:05:13 ID:YOmyG/96
女「死んでいたのは男性ですか? 女性ですか?」

男「男性だった」

女「死んでいた場所はビルの下とかですか?」

男「ビルではないな」

女「マンション?」

男「そう」

女「その男が住んでいたマンションでしたか?」

男「ああ、その通りだ」
532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 19:23:34 ID:YOmyG/96
女「靴は履いていませんでしたか?」

男「ああ、履いていなかった」

女「屋上に靴は?」

男「残っていなかった」

女「遺書も?」

男「ない」

女「えっと、靴はどこに?」

男「どこにもなかった」

女「どこにも……?」

女「ふうむ、その辺が重要そうですねえ」
533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 19:34:33 ID:YOmyG/96
女「死体は血に塗れていましたか?」

男「そうだな、血はそこらじゅうに散っていたよ」

女「落ちる前に死んだってことは?」

男「つまり、毒とか?」

女「あ、ええ」

男「毒を飲んでいた形跡もなかったし、別の殺された方をしていたわけでもない」

男「しかしまあ、その辺のことは検査で分かったことであって、その場ではちょっと判断がつかないな」

女「そっか」

女「頭に斧が刺さってたとかでも?」

男「ねえよ、怖いな」
534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 19:41:37 ID:YOmyG/96
女「首にロープが巻きついていた?」

男「いいや」

女「裸にされていた?」

男「いや」

女「服はちゃんと着ていたんですか?」

男「ああ」

女「ボタンが飛んでた、とか」

男「いや、きっちり締まっていた」

女「逆に無理矢理着せられているように見えたとか?」

男「死体に無理に服を着せたような形跡もないし、争って乱れた衣服でもなかった」

女「むむぅ」
535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 19:54:12 ID:YOmyG/96
女「所長はやっぱり、私の考えはお見通しって感じですね」

男「思考が割と判りやすい気がするな」

女「そんな単純そうですか?」

男「素直ということだ」

女「なるほど、褒め言葉として受け取りましょう」

女「あ、そういえば血がいっぱい出てたって言ってましたよね?」

男「ああ」

女「わかっちゃったかもしれないんですけど」

男「そうか、きっとそれは間違いだ」

女「ええ!?」
536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 20:05:02 ID:YOmyG/96
女「聞かずにわかるんですか?」

男「死んだ奴は、即死じゃないと思ってるだろ?」

女「……!?」

男「落ちてからもまだ意識があったと思ってるだろ?」

女「……違うんですか!?」

男「違う、即死だった」

女「ど、どうしてわかるんですか?」

男「明らかに頭から落ちてたからだよ」

女「そうじゃなくて、私が言いたかったことが」

男「顔に書いてあるからだよ、メッセージが」

女「!?」ペタペタ

男「比喩だよ」
537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 20:14:00 ID:YOmyG/96
男「ヒント、自殺ではないことを断定しただけであって、『殺人』であることを見抜いたわけじゃないぞ」

女「あれ?」

男「自殺でなければ、なんだ?」

女「えっと、殺人、それから、事故? あ、寿命?」

男「寿命で転落死ってことはないだろうけども」

女「じゃあ事故かもしれないわけですね?」

男「そう」

女「事故か殺人か、そのどちらかだろうっていう推測だったんですね?」

男「そういうことだな」
538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 20:24:22 ID:YOmyG/96
女「遺書とかがないから自殺じゃないって言っただけですか?」

男「いいや、違う」

女「めっちゃ可愛い奥さんが傍らで泣いてたから、こんな幸せな男が自殺するはずない、とか?」

男「それも違う」

女「洗濯物を握りしめてたから、干している最中に落ちた事故だ、とか?」

男「おお、それも面白いな」

女「違うんですか」

男「違うんだよなあ、でもそれもありそうだなあ」

女「楽しんでません?」

男「お前の成長を嬉しく思ってるだけだよ」
539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 20:38:27 ID:YOmyG/96
女「えっと、靴は履いてなかったんですよね」

男「ああ」

女「ということは靴下は?」

男「それも履いていなかった」

女「ベランダから落ちたのでしょうか?」

男「ああ、そうだった」

女「スリッパとかサンダルは?」

男「それも履いていない」

女「近くにスリッパやサンダルは?」

男「落ちてもいなかった」

女「それってちょっと、おかしいですよね」
540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 20:48:11 ID:YOmyG/96
女「普通ベランダに出るには、なにか履きますよね」

男「普通はそうだな」

女「しかも靴はないって」

女「その『ない』っていうのは、証拠になるから処分されたってことですか?」

男「いや」

女「家のどこにも靴がなかったんですか?」

男「そうだ、この被害者の靴は、家の中には一足もなかった」

女「……」

女「現場付近に車いすが落ちていた!」

男「NO」

女「あれえ!?」
541: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 21:02:31 ID:YOmyG/96
女「ヤバいです、ギブアップです」

男「車いす生活の男がいたとして、腕の筋肉は一定あるだろうから、自殺が不可能とは思えないな」

女「ううむ、いい線だと思ったんですけど」

男「だらしないなあ、さして鋭くないおれでも自殺ではないことはわかったのに」

女「あれ? 鋭い同僚の話だったのでは?」

男「お前が見ても、一般人が見ても、現場を見たら同じことを察するだろうさ」

男「ただそれをわざわざ声に出して言うかどうかは別だが」

女「え? あれ? もしかして、それってすごくしょうもない分析ですか?」

男「ある意味ジョークの切れ味は鋭い男だったよ」

女「……笑えないジョークだなあ」
542: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/15(月) 21:06:41 ID:YOmyG/96
はてさて、真実は
また明日か明後日に ノシ
546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 19:54:11 ID:WO2jf39U
解答編です
この事件は、書きながら「こんな落ちもアリだなあ」と色々浮気しそうになりました
547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 19:57:35 ID:WO2jf39U
【解答編:これは自殺ではない】

男「ちょうどそのころ、飛び降り自殺が増えていてな」

男「だから転落死だって通報があった時から、また飛び降り自殺ではないかと考えていたんだ」

女「ははあ」

男「しかし現場を見て、『ああこれは関連してないだろうな』と思い、つい口に出たんだろう」

女「靴がないってことは、履く必要がないということ」

女「足が不自由なわけでもなく……」

男「まあ、足が不自由だとしても、足があるなら靴は履くんじゃないかな」

女「確かに」
548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:06:22 ID:WO2jf39U
女「でも足のない転落死体というわけでもない」

男「腕の力でベランダを越えることも想像できないわけではないからな」

女「見てすぐに『自殺ではない』なんてブラックなジョークを飛ばすということは……」

女「転落して死んでいたのは、まだ小さな赤ちゃんだったんですね?」

男「ああ、そういうことだ」

男「おれは一度も大人だったとは言ってないしな」

女「靴下も靴も、まだ履く必要のない赤ちゃんなら、まあ自殺はしないでしょうね」
549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:12:54 ID:WO2jf39U
男「ベランダに出ていることを察知できなかった両親にも問題はあるが……」

男「事故か、あるいは育児疲れで親が突き落としたか、どちらかだろうなとは思ったよ」

女「可哀想ですね」

男「不幸な事故だ」

女「殺人ではなかったんですか?」

男「その証拠は一切なかった」

男「それに、あの両親が育児に疲れて故意に落とすなんて言うストーリーは思い描けなかった」
550: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:23:23 ID:WO2jf39U
女「マンションが実は二階建てだったってのも考えたんですが」

男「はは、二階から自殺ってのは、確かに考えにくいな」

女「でもそれだと靴の謎が解けませんしねえ」

男「死んでないかもしれないしな」

女「足折るくらいで済んでいたかも」

女「あとは、マンションの壁にベランダも窓もなかったとか」

男「そんな壁、ありうるか?」

女「建築法的にほぼ不可能でしょうね」

男「それに、窓がなくとも屋上が現場という可能性が残るぞ」

女「そっか、自殺っぽさが残りますね」

男「だろ」
551: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:29:59 ID:WO2jf39U
女「自ら『落ちて死ぬ』ことを選択する人がいますが、どう思いますか?」

男「怖くねえのかなって、思う」

女「高いところがですか?」

男「それもあるけど、意識を保ったまま地面に激突するってのが、さ」

女「落ちている最中に気絶したりするのでは?」

男「そんなの誰も、わかんねえよ」

男「激突の瞬間まで、意識がはっきりしているかもしれないだろ」

女「それは、確かに怖いですね」

男「おれならそんな選択はしない」
552: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:42:19 ID:WO2jf39U
女「ちょっと、自殺なんてだめですからね」

男「しないよ」

女「世の中に絶望したら、私に相談してくださいね」

男「……そうしよう」

女「私も、そうしますから」

男「……ときに」

女「はい?」

男「残暑が厳しいね」

女「あ、ええ、そうですね」
553: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:54:14 ID:WO2jf39U
男「おれはこの蒸し暑さに絶望しているんだけど、なにか自殺せずに済む妙案はないかな」

女「絶望の度合いが低いですね」

女「じゃあ、その絶望を希望に変えるのはいかがですか?」

男「ほう、どうやって」

女「冷凍庫にアイスがあります」

男「め、女神!」

女「安い女神ですねえ」

男「生きる希望が湧いてきた」

女「それはよかった」
554: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 20:56:40 ID:WO2jf39U
ネタが残り少なくなってきました……
ではまた ノシ
555: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 22:12:50 ID:DyJlfiMM
乙でした。個人的に二階建てのマンションって落ちも面白そうだった
556: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/17(水) 22:15:32 ID:YOn5Y6DA

今回は全然わからなかった
558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:30:07 ID:Ar/uTquM
【出題編:おじいちゃんはサッカー上手】

女「そういえば所長、この事務所にテレビは置かないんですか?」

男「んー」

女「ニュースとか見ないと時代の流れについていけないんじゃないですか?」

男「んー」

女「ちょっと、聞いてます?」

男「誰か依頼人が使わなくなったテレビを置いてってくれないかなー」

女「修理業者じゃないんだから……」

女「お金の問題ってことですか?」

男「まあ、ね」
559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:36:21 ID:Ar/uTquM
男「どうして? なにか見たいテレビでもあるの?」

女「いや、ほら、オリンピックとか、ワールドカップとか、盛り上がる大会を見たいじゃないですか」

男「甲子園とか?」

女「そうそう、甲子園とか」

男「大相撲とか?」

女「それは……ちょっと違います」

男「あそう」

女「所長もスポーツとか見たらいいのに」

男「スポーツねえ」
560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:42:05 ID:Ar/uTquM
男「そういえば、サッカーは好きなの?」

女「あ、ええ、人並みに」

男「サッカーが上手なおじいさんの話をしようか」

女「はあ、昔話かなんかですか?」

男「ちょっと変な話だよ」

男「ある公園で、サッカーをしているおじいさんと若い母親がいた」

男「たぶん親子、あるいは義理の親子だろうと推測される」

女「はあ」
561: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:52:59 ID:Ar/uTquM
男「その二人は休日になると、公園に出向いてきてはボールを蹴りあっている」

男「今までそんなに見かけなかったのに、急に頻度が増えたというんだ」

女「はあ」

男「しかも実は、その『おじいさん』は変装で、本当は若い母親の旦那だったんだ」

女「はあ?」

男「つまり、夫婦で『老人と若い母親』を演じ、サッカーをしていたというんだな」

女「なんか変な話ですね」

男「さて、その二人は一体何の目的があってそんなことをしていたのだろうか」
562: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:59:40 ID:Ar/uTquM
女「んーよく状況が呑み込めませんね」

女「おじいさんの変装をしていることに、なにか意味があるんですか?」

男「ああ、もちろん」

女「それは誰かからバレないためですか?」

男「バレない、とはなにが?」

女「本人であることを」

男「YESともNOとも言い難いな」

男「おじいさんの変装をしていることが重要なのであって、誰かから身を隠しているわけではない」

女「なるほど」
563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:10:35 ID:Ar/uTquM
女「その男の人の職業と関係していますか?」

男「いいや、別に」

男「ごく普通のサラリーマンだ」

女「借金取りから逃げているカモフラージュとかでは」

男「それもないな、特に問題のある家庭ではない」

女「母親の方の職業とかには……」

男「それも関係がない」
564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:18:27 ID:Ar/uTquM
女「母親の方は、旦那が変装をしていることを当然知っていたんですよね?」

男「ああ」

女「二人して、なんらかの理由でそんなことをやっていたんですよね?」

男「ああ」

女「二人に子どもは?」

男「いないようだ」

女「その二人が住んでいる家には、祖父母が同居していますか?」

男「いい質問だな」

男「この二人がサッカーをし始める前までは、祖父が同居していた」
565: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:26:10 ID:Ar/uTquM
女「ということは、同居しなくなったことがこの件と関係あるんですね?」

男「そうだな」

女「もしかして亡くなってしまったんですか?」

男「いいや」

女「おばあさんの方は、もう亡くなっていました?」

男「ああ、もともと同居していたのは、この夫婦と祖父だけだ」

女「そもそも、この夫婦が暮らしていたのは、そのおじいさんの実家でしたか?」

男「そうだ」

女「死んだのでもなく、でも家からおじいさんがいなくなった……」
566: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:34:39 ID:Ar/uTquM
女「地下室に監禁されていて、でもその事実を知られないために元気なふりをしている?」

男「違う」

女「おじいさんのサッカー選手になるという夢を叶えるため、息子が代わりに頑張ってアピールしている?」

男「バレるだろ、そんなアピール」

女「ですよねー」

男「おじいさんのメイキャップをしてプロバスケ選手がストリートバスケで無双するCMがあったな、そういえば」

女「そうそう、そんな感じで」

男「しかし男の方のサッカーの才能は、別にプロになれるようなレベルではなかったようだ」

女「むむう」
567: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:46:20 ID:Ar/uTquM
女「プロサッカーは別に関係ないんですね?」

男「ああ」

女「あ、そもそもその男の人の変装は、おじいさんそっくりでしたか?」

男「ああ」

女「じゃあやっぱり、いなくなったおじいさんのふりをしているんですよね?」

男「そうだ、それは確かだな」

女「つまり、いなくなったことを隠したかったんですよね?」

男「まあ、そうだ」

女「誰に対して?」

男「さあ、それが重要だ」
568: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:56:26 ID:Ar/uTquM
男「ちなみに言っておくが、犯罪めいたことは特にないからな」

女「あら、事件ではないんですね」

男「ちょっと不思議な話、というだけさ」

女「警察に隠したかった訳ではないんですよね?」

男「ああ」

女「ご近所に?」

男「うん、まあ、それで正解かな」

男「もっと具体的に掘れればいいんだけど」

女「ううむ」
569: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:05:07 ID:Ar/uTquM
女「あと、『いなくなった』のが、ちょっと消化不良ですね」

女「事件性がないのに、同居しなくなったというのは……」

女「一人暮らしを始めた……とか」

男「じゃないな」

女「じゃないですよねーおじいさんの一人暮らしってあんまり聞かないですよねー」

男「高齢というのをイメージするといいかもな」

女「高齢……高齢……」

女「徘徊老人!?」

男「んー違う」

女「あ、入院!?」

男「惜しい」
570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:15:42 ID:Ar/uTquM
女「入院が惜しい?」

男「まあ似たようなものといえるかもしれないがな」

女「あ、老人ホームに入った、とか?」

男「そう、正解だ」

女「老人ホームに入ったことを隠したかった?」

女「でも、わざわざ変装してまですることかなあ……」

男「それを隠したかった、というのももちろんあるんだが、重要なのは『おじいさんは元気だ』とアピールすることだったんだ」

女「ほほう」
571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:25:00 ID:Ar/uTquM
女「おじいさんはもともと、その公園によく来ていたのですか?」

男「頻繁に、という訳ではなかったようだが、散歩には時々訪れていたようだ」

女「それが老人ホームに入ることでぱったりとなくなると、まずいと思ったのでしょうか」

男「それは誰が?」

女「その夫婦が」

女「あるいは、おじいさん自身が?」

男「どちらも正解だ」
572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:34:54 ID:Ar/uTquM
女「その変装サッカーは、後ろめたさから来るものでしたか?」

男「いや」

女「では、誰かを喜ばせるため」

男「少し違う」

女「誰かを悲しませないため」

男「そう、近づいているぞ」

女「誰かを悲しませないために、元気でいることをアピールした?」

女「あ、それって、サッカーも関係していますか?」

男「そう、サッカーも、ある意味ではアピールなんだ」
573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:46:07 ID:Ar/uTquM
女「おじいさんが老人ホームに入ったのは、なんらかの事故が関係していますか?」

男「いや、関係していない」

男「ただ……」

女「ただ?」

男「夫婦がアピールしたかった相手には、もしかしたら違う伝わり方をするかもしれない」

女「夫婦はそれを恐れたんですね?」

男「ああ」

女「だから、『気にしなくていいんだよ』とアピールしたんですね?」

男「そうだ」

女「ふふふ、微笑ましい話じゃないですか」
574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 21:47:08 ID:Ar/uTquM
だいぶ開いてしまいましたが落ちてなくて安心しました
明日解答編予定です ノシ
579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 21:48:11 ID:rQ8buuF2
【解答編:おじいちゃんはサッカー上手】

女「もともとは散歩でおじいさんは公園に訪れていたんでしょう」

女「そこでおそらく、サッカーをしている子どもがいたのでしょう」

男「そうだ、ご明察」

女「わざとではないけれど、その子が蹴ったボールがおじいさんに当たってしまった」

女「あるいは、転がってきたボールを返そうとして転んでしまった」

男「後者が正解だ」

男「蹴ろうとして足を滑らせて、すってころりん、と」

女「あらあら」
580: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:02:48 ID:rQ8buuF2
女「おじいさんがけがをしてしまったことを心配する子ども」

女「『大丈夫、大丈夫』と元気に見せるおじいさん」

男「しかし、その件とは関係がなくおじいさんは老人ホームに入ることになっていた」

女「タイミングが悪いですよね」

男「もともと決まっていたことだそうだ」

女「もしぱったりとおじいさんが姿を見せなくなったら、その子は気にするでしょうね」

男「『老人ホームに入った』と言うと、さらに気になるだろうからな」

女「『あなたのせいじゃないんだよ』って言っても、やっぱり小さい子には心の傷になるかもしれない」

女「だからそれを聞いた夫婦は、その子の為に一芝居打つことにしたのね」

女「『おじいさんは元気でいるよ』と」
581: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:11:54 ID:rQ8buuF2
男「その子がその姿を見て安心したら、頃合いを見て施設に入ったことにしたらいい」

男「そんなその場しのぎの演出だったのさ」

女「その子には変装がばれていなかったんでしょうか」

男「さあ、どうかな」ニヤニヤ

女「あれ、なんですかその笑いは」

男「いや、別に」

女「あれ、そういえばその事件は誰が解いてくれと依頼してきたんですか?」

男「依頼人に関する情報は言えない決まりでね」

女「私にもですか」

男「優秀な助手であるお前にもだ」ニヤニヤ
582: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:12:32 ID:rQ8buuF2
みなさんさすがです
おまけもう一本投下します
583: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:19:57 ID:rQ8buuF2
【おまけ:謎のボランティア団体】

男「もし自分が犯罪を犯し裁判にかけられたとしたら、できるだけ軽い刑にしてほしいと願うか?」

女「なんかヤな質問ですね」

女「でもまあ、できることなら短い方がいいとは思いますけど」

男「例えば過失ではあったとしても、大切な人を死なせてしまったとしたら?」

女「っ、それは……」

男「どうかな」

女「自分のせいだとしたら、死刑でいいと考えます」

女「軽い刑で出てきたら、その人に申し訳ないと思っちゃうかもしれません」
584: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:32:29 ID:rQ8buuF2
男「あるところに恋人を死なせてしまった男がいたんだ」

男「別れ話のもつれで揉みあいになり、弾みで頭を打って、な」

女「別れ話はどちらから?」

男「彼女の方からだそうだ」

女「それに怒って、という感じですか」

男「そうだ」

男「しかし男は殺意や動機などについてほとんど詳しい話をしていない」

男「『僕がやりました』と、ただそれだけだった」
585: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:41:47 ID:rQ8buuF2
男「だがしかし男は黙っているのに、陰で男の無実を証明しようとする団体が現れた」

男「女の方の不実や、男のアリバイ、様々な証拠が後から見つかったんだ」

男「しかし男の方には、身に覚えのない話ばかり」

女「弁護士が頑張っていたのでは?」

男「それも違う、弁護士の方にある団体から連絡が来たんだ」

男「ボランティアでやっている者だが、私たちの存在は明かさないでくれ、と」

女「ははあ、妙な話ですね」
586: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:48:36 ID:rQ8buuF2
男「無罪を勝ち取った暁にはお目にかかりたい、と言って一切裏で男のサポートをしていたんだ」

女「男のためを思って、でしょうか」

女「男はそれで喜んだんですか?」

男「いいや、男にも喜ばしい話ではない」

男「女が死んでしまった以上、死刑でもいいという考えだった」

女「じゃあどうして?」

男「さあ、どうしてだろうか?」
587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 22:55:39 ID:rQ8buuF2
女「その団体はいつもそんなことをしているんですか?」

男「いや、過去にその団体が暗躍した例はなかったようだ」

女「結局無罪にはなったんですか?」

男「ああ、一応はね」

女「なにか怪しい宗教は絡んでいる?」

男「いいや」

女「大きな金が動いている?」

男「それも違う」
588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 23:13:03 ID:rQ8buuF2
女「あ、そもそも男は客観的に見て、死刑判決が出そうな状況だったの?」

男「長くて20年、といったところだっただろうな」

女「……」

女「もしかして、男が死刑判決だったとしたら、そのボランティア団体は出てこなかった?」

男「出てこなかっただろうな」

女「……わかりました」

女「その団体は、『待っていられない人たち』では?」

男「……正解だ」

女「うああ、怖いなあ」
589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 23:16:27 ID:rQ8buuF2
ではまた ノシ
590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/30(火) 23:47:52 ID:toeM8HEA
おつ
おまけは解答編なしだっけ? わからん
団体は女のほうの親族で、自分らの手で復讐するために暗躍したとか?
594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 21:53:22 ID:/lDD0LJE
前回のおまけは>>590が正解です
どうせ死刑じゃないなら早く出て来させて自分らで殺す、という考えだったんでしょうね
595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 21:57:19 ID:/lDD0LJE
【出題編:死のプレゼント】

男「それはなにを読んでいるんだ?」

女「恋愛小説ですよ」

男「ミステリ物以外も読むのか」

女「そうですよう、乙女ですから」

男「一言多いんだよ」

女「多くないですよっ」

男「ですよですよ、うるさいんだよ」

女「所長こそ一言多いんですよっ」
596: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 22:06:31 ID:/lDD0LJE
パタン

女「はあ、いいなあ、こんな恋がしたいなあ」

男「……」

女「あ、所長になにか無理を言おうとしてるわけじゃないですからね、あしからず」

男「まだなにも言ってねえよ」

女「現実は小説ほど奇抜ではなく、平平凡凡な毎日だということもわかってますし」

女「私は別に物語のヒロインでもなく、ただの普通の美少女女子高生ってことも……」

男「自己評価が高いな、最近の若者にしては珍しく」

女「うふふ」

男「どんな恋なんだ?」

女「はい?」
597: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 22:25:01 ID:/lDD0LJE
男「その本の」

女「あ、ああ、これですか」

女「内気な男の子がですね、同じく内気な女の子に恋をしてしまって」

女「ちょっとずつアピールしようとするんですけど、うまくいかなくて」

女「こっそり後をつけたり、手紙を書いては破って捨てたり、授業中にちらちら見たり」

男「危ないやつだな」

女「不良に絡まれているところを助けに入ってボコボコにされちゃうんですけど、それでちょっと仲良くなって」

男「ありがちだな」

女「最終的にはちょっとラブラブになって終わるっていう……」

男「なるほど、そんなのが好きなのか」

女「ええ、まあ、割と気に入りました」
598: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 22:33:54 ID:/lDD0LJE
男「よし、じゃあ内気な男性の悲しい恋物語を聞かせてやろう」

女「え、所長の思い出話ですか!? 聞きたい!」

男「誰が内気か」

男「実際にあった事件のことだよ」

女「なあんだ、所長の恋バナも聞きたいのになあ」

男「そんなことは絶対話さねえぞ」

女「んもう」

男「なにが『んもう』だよ」
599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 22:43:03 ID:/lDD0LJE
男「とある郵便屋が、一人の女性に恋をしたんだ」

男「いつも配達に行く家の人で、いつも郵便屋を待っていた」

男「目を伏せてぼそぼそ喋る女性だったが、その内気さも気に入ったんだそうだ」

男「配達されてきた手紙をいつも楽しみにしている様子だったが、その内容を読む前に、いつも寂しそうな顔をしていたらしい」

女「誰かからの手紙を待っていたんでしょうか」

男「そうだ、そしてそれがなかなか届かないのを悲しんでいたんだろうな」

男「あるとき男は決心して、自分の気持ちを書いた手紙と、プレゼントを入れた封筒を配達物に紛れ込ませた」

男「男は、彼女が手紙の差出人が自分であることに気づいた後、どうするかドキドキしながら待った」

女「うぶですねえ」
600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 22:56:12 ID:/lDD0LJE
男「しかし女性が手紙を家に持って入った後、なかなか出てこなかったので振られたもんだと思ってその家を後にした」

男「しかし運命とは残酷なもので、その女性はその日のうちに首を吊って死んだそうだ」

女「へ?」

男「この女性を自殺に駆り立てた原因はなんだったのだろうか」

女「ス、ストーカーっぽくて怖かった、とか?」

男「違う、それじゃ安易なストーカー事件だろ」

女「郵便屋の男の手紙のせいだったんですか?」

男「そうだ」

女「郵便屋はそれを知っているの?」

男「いや、知らないまま、別の街に転勤していったそうだ」
601: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:03:12 ID:/lDD0LJE
女「もちろん男はそんなことを想定して手紙を渡したわけではなかったんですよね?」

男「ああ、想定外だっただろうな」

女「その女性は、プレゼント入りの手紙が彼からのものだと気付いたんですか?」

男「いや、気付かなかった」

女「でも自殺の原因は、その手紙?」

男「ああ」

女「じゃあなにか別の意味があると勘違いしてしまった?」

男「そう、そうだ」
602: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:10:35 ID:/lDD0LJE
女「そのプレゼントっていうのは重要ですか?」

男「ああ、重要だ」

女「それは一般的なものですか?」

男「片想いの最初のプレゼントとしてどうかは知らんが、まあプレゼントとして奇抜なものではなかったと思うな」

女「封筒に入るサイズのものだったんですよね?」

男「そうだ」

女「その封筒っていうのはこんな大きさの?」

男「いや、これくらいの、ハガキより少し大きい程度のかな」

女「案外小さいですねえ」

男「この中に入るサイズだ」
603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:19:17 ID:/lDD0LJE
女「指輪?」

男「違う」

女「それはちょっと重いか」

女「ヘアピン?」

男「違う」

女「鏡?」

男「違う」

女「日常的に使うものですか? アクセサリーとかですか?」

男「後者だな」

女「あ、ネックレス?」

男「お、正解」
604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:27:04 ID:/lDD0LJE
女「片想いで渡すにはちょっと重いかもですねえ」

男「そうだな」

男「その選択が、彼女を死に追いやってしまったんだ」

女「え、そのプレゼントがネックレスじゃなかったら、自殺なんてしなかったかもしれないんですか?」

男「そうだ」

女「それは……不運ですね」

男「まったくだ」

女「例えば指輪だったら?」

男「こんな悲劇は起こらなかっただろう」

女「ううむ」
605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:38:10 ID:/lDD0LJE
女「その女性は、手紙の内容を読まなかったんですか?」

男「……少しだけ、違う」

女「ん?」

男「『読まなかった』のではなく……」

女「『読めなかった』?」

男「そうだ」

女「言葉が違った?」

女「自分の使う言語と違う言葉だったから、意味を勘違いしてしまった、みたいな」

男「近いが違う」

女「えっと、二人は同じ国の人間ですか?」

男「そうだ」

女「だけど使う言語が違った?」

男「ああ、そうだ」
606: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/12(日) 23:54:00 ID:/lDD0LJE
女「それを男は知らなかった?」

男「そうだ」

女「あれ、でも、ぼそぼそと喋る女性だって言ってましたよね」

女「会話は成り立ってたんじゃ……」

男「そう、会話は、一応成り立っていた」

女「あ、読めなかったってそういうことですか!?」

女「その女性は目が不自由だったのね?」

男「そう、正解」
607: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:05:53 ID:uYmfvcYY
女「でも郵便屋の男は、それに気付いてなかったのね?」

男「そうだ」

女「郵便屋の男は普通の手紙を入れてしまったけれど、それは彼女には読めないものだった」

女「じゃあやっぱり、重要なのはプレゼントの方だったんですね」

男「そうだ」

女「男の手紙の内容は関係がない?」

男「ああ、普通のラブレターだったようだが、内容は特に関係がない」

女「女性は一体なにと間違えてしまったんでしょうか」

男「それもまた、一般的ではないだろうな」

男「特にこの国では」
609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:13:05 ID:uYmfvcYY
女「海外の話ですか?」

男「そうだ、一応な」

女「その女性には家族か恋人がいますか?」

男「家には一人暮らし、遠く離れて暮らしている恋人がいた」

女「両親やきょうだいは?」

男「両親はすでに他界、きょうだいはおらず一人っ子」

女「ふうむ」
610: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:27:34 ID:uYmfvcYY
女「それ以外に重要な人物は出てきませんか?」

男「ああ」

女「遠く離れている恋人というのが気になりますね」

女「いつも家の前で待っていたのは、その恋人からの手紙が届くのを待っていたからでは?」

男「お、正解」

女「じゃあどの道、郵便屋さんの恋心は叶わなかったということですね」

男「残念ながらな」

女「プレゼント入りの手紙が、恋人からのものだと勘違いしたんですか?」

男「ううん、少し違うかな」
611: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:34:15 ID:uYmfvcYY
女「あ、そか、恋人なら目が見えないことも知ってますよね」

男「ああ、当然だろうな」

女「点字の手紙って打てるんですか?」

男「専用の機械を使えば、割と簡単に作れるそうだが」

女「恋人の手紙を待っていたのに、なかなか届かないから悲しくなった?」

女「といっても自殺するには理由が希薄ですよねえ」

男「近いところまで来ているんだけどなあ」

女「恋人とは遠距離なんですよね?」

男「ああ」

女「それは、とってもとっても遠くですか?」

男「……そうだな」
612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:41:21 ID:uYmfvcYY
女「もしかして、『恋人はもう自分の元に帰ってきてくれない』と勘違いしたのでは?」

男「……正解だ」

女「本当はそんなことはなかった?」

男「そう、すべては彼女の勘違いがそうさせたんだ」

男「しかし二人が置かれている状況を考えれば、そう勘違いしてしまうのも無理はないのかもしれない」

女「もし恋人がもっと早くに手紙を送っていれば……」

男「あるいはこのタイミングで、送れていたら……」

女「うまくいかないんですね、いつも」

男「現実はシビアだな」

女「所長はそんな状況に巻き込まれないようにしてくださいね」

男「この国にいる限り、そんな心配は……」

女「100%ないとは言い切れないでしょう?」

男「まあ、な」
613: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/13(月) 00:42:14 ID:uYmfvcYY
という感じでした
恋人はどこにいるのか、ネックレスをなにと勘違いしたのか

解答編は明後日に ノシ
621: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 21:57:54 ID:qevoFixk
【解答編:死のプレゼント】

女「その女性はずっと恋人からの手紙を待っていたはずなんです」

女「『無事』を知らせてくれる手紙を」

男「ああ」

女「その恋人は、彼女が目が見えないことを知っていたので、点字の手紙を送ってきてくれるはずだった」

女「でも、いつまで経っても、点字の手紙は送られてこない」

男「日に日に精神は削られていたんだろうな」

女「その恋人というのは、戦地に兵士として赴いていた人なんですね」

男「ああ、そうだ」
622: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 22:06:57 ID:qevoFixk
女「そんな折、ネックレス入りの手紙が届く」

女「それを彼女は、戦地から送られてきた彼の識別票だと勘違いしてしまったんですね」

男「そうだ、悲しいことにな」

女「ドッグタグとも言うんでしたっけ」

男「ああ、戦場の兵士が死後も識別できるように配付されるタグだな」

男「その女性はその知識があった」

男「だからこそ、早とちりしてしまったんだ」

女「そんなことを知らなければ、勘違いすることもなかったのかもしれませんね」

男「しかし目の見えない彼女に、帰らない自分を待たせるわけにはいかないと思って、自ら教えていたのかもしれないぞ」

女「ああ……その気持ちは……少しわかります」
623: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 22:14:39 ID:qevoFixk
男「せめてプレート型でないネックレスや、別のものであったなら、なあ」

女「悲しい偶然ということですね」

男「男はプレゼントを贈る際には気をつけないといけない、という教訓だな」

女「ええ」

男「ところで、もうすぐ18歳だったな」

女「あ、ええ」

男「プレゼントだ、受け取れ」

女「え、このタイミングで!?」
624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 22:22:44 ID:qevoFixk
女「ちょ、ちょっとちょっと、今の流れはさすがにおかしくないですか?」

男「安心しろ、ドッグタグと間違えるようなネックレスじゃないから」

女「そんな心配はしてませんけどね!?」

女「むしろネックレスだった方がなんか清々しくて笑えますけどね!?」

男「あんまり高価なものは用意できなかったんで、少し悪いと思ったんだが」

女「あ、えっと、もらえること自体は嬉しいですけどね」

女「超嬉しいですけどね」
625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 22:30:03 ID:qevoFixk
女「わ、可愛い髪留めですね」

女「ありがとうございます!」

男「髪が伸びてきたからなあ」

女「伸ばしてるんですっ」

男「ま、気に入ったら使ってくれ」

女「はい、気に入りましたので毎日使います」

男「あ、そう」

女「♪」

男「ちなみにおれの誕生日は……」

女「知ってますので言わなくて大丈夫ですよう」

男「……あそう」

女「♪」
626: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/14(火) 22:31:15 ID:qevoFixk
あと一つ+おまけ一つくらいで終了だと思います
長い間ありがとうございました
627: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/15(水) 01:59:35 ID:RNRy.tOM
もうすぐ終わっちゃうのか、残念
二人の仲はどこまで進展するのか…

乙!
628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/16(木) 13:29:15 ID:MvH/J9cM

今回は正解した!

せめてこのスレが埋まるまでやって欲しい
けど>>1が終わるっていうなら仕方ないのか…
630: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 21:40:38 ID:IVWEVxRs
【おまけ:猟師の油断】

女「所長って、もともと刑事だったんですよね?」

男「ああ」

女「その時に、銃を撃った経験はありますか?」

男「ん? 銃?」

男「訓練では山ほど撃ったさ」

男「でもまあ、犯人や容疑者相手に発砲したことはないよ」

女「なあんだ」

男「そもそも、銃なんか撃たない方がいいだろ」

女「まあ、そうですけど」
631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 21:48:58 ID:IVWEVxRs
男「なに、銃に興味があるのか?」

女「いや、ちょっと銃って格好いいなあと思ったものですから」

男「猟銃なら一般人でも持とうと思えば持てるんじゃないか?」

女「あー、猟銃かあ」

男「でもやっぱりピストルの方がいい、と」

女「あは、ばれてますね」

男「スパイみたいな小型銃が欲しい、と」

女「え」

男「顔に書いてある」

女「ええ~」
632: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 21:58:52 ID:IVWEVxRs
男「銃は怖いぞ、という話をしてやろう」

女「はあ」

男「山小屋に住んでいる男がいたんだ」

男「普段から猟をして暮らしている男だ」

女「ふむふむ」

男「ある日、猟銃を担いで山を登っているとクマを見つけたんだ」

男「チャンスだと思って銃を撃ったんだが、男が『しまった』と思ったがすでに遅く、男は死んでしまった」

男「この不幸な男の身になにが起こったのだろう」
633: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 22:14:34 ID:IVWEVxRs
女「男は『しまった』と思ったんですか?」

男「そうだ」

女「なにか致命的なミスをしていたんですか?」

男「そうだ」

女「むう、なんか簡単そうな気がします」

男「はは」

女「なんかこう、銃口に詰め物をしていたのを忘れていて、暴発しちゃったんじゃ?」

男「ううん、違うな」

女「あれ、自信あったのに」
634: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 22:21:31 ID:IVWEVxRs
女「それは普通の猟銃でしたか?」

男「ああ、ごく普通の」

女「仕掛けもない」

男「なかったな」

女「銃口を間違えて手前に向けたまま引き金を引いた?」

男「んな馬鹿な」

女「あれ? 弾が出ないなあ? チラッチラッ、みたいな」

男「んな馬鹿な」
635: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 22:32:32 ID:IVWEVxRs
女「『しまった!』と思ったのは撃つ直前ですか? 撃った後ですか?」

男「後かな」

女「撃たなければ死ななかった?」

男「そうだな」

女「クマは死んだんですか?」

男「ああ、眉間を打ち抜いていたそうだ」

女「それに怒った親熊か子熊が、襲ってきた!?」

男「いや、違う」
637: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 22:48:04 ID:IVWEVxRs
女「銃声は響いたんですか?」

男「ああ、よく響いたようだ」

女「それに驚いた山の動物たちが驚いて飛び出してきた、とか」

男「普通逃げるだろう」

女「そっか、そりゃそうか」

男「よく響いた、というのは、ちょっと重要だな」

女「あ、わかった」

男「お」
638: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 23:01:41 ID:IVWEVxRs
女「その猟師さん、もしかして手袋をしていたのでは?」

男「正解」

女「それはなんというか……ご愁傷様ですね」

女「猟銃には消音機みたいなのはないんですかね?」

男「さあ、どうだろうね」
639: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 23:06:31 ID:IVWEVxRs
上手く匂わせられたでしょうか

次がラストかなと思います
早めに投下できるよう頑張ります
640: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 23:14:08 ID:JAgDYc9E
待って
手袋がどうしたのさ‼
察しが悪くてすいません
641: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 23:22:37 ID:IVWEVxRs
女「分厚い上着も着ていたのでは?」

男「うん、それも正解」
642: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/25(土) 23:36:36 ID:UFwow/u.
駄目だ、わからん
648: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/26(日) 16:02:17 ID:87B16Hrw
クマー!!
650: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:09:12 ID:875DlPYA
雪崩が正解でした
最後の事件です
お楽しみください
652: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:12:39 ID:875DlPYA
【出題編:結婚詐欺師の幸福】

女「所長、結婚はいつにいたしましょうか?」

男「は?」

女「結婚」

男「血痕? 物騒な話だな」

男「血まみれの男の事件があったな、その話をしようか」

女「違います! メルヘンな方の結婚です!」

男「結婚がメルヘンだという認識がおれにはないんだけど……」
653: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:18:47 ID:875DlPYA
女「あれ? 私、期待していいんですよね?」

女「私、所長の特別な人ですよね?」

男「まだ早いよ」

女「まだ……」

男「『まだ』だよ、あんまり言うな、野暮になるから」

女「……♪」

男「……」

女「……♪」

男「機嫌がよさそうでなにより」
654: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:34:27 ID:875DlPYA
男「結婚はメルヘンじゃないって事件があるんだけど」

女「え、夢壊さないでくださいよ」

男「探偵事務所に勤めるつもりで『夢壊すな』とは無茶を言う」

女「んー」

男「まあ、お子様には早いかな」

女「そういう言い方はなしですよっ」

女「ああもう、聞きます聞きます!」

男「そうこなきゃあね」
655: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:45:21 ID:875DlPYA
男「あるところに結婚詐欺師の男がおりました」

女「あー、最初っから夢のない話ですねえ……」

男「その男には高嶺の花の女性がいて、結婚を申し込み続けたがずっと断られていたんだ」

男「顔も頭もそれほど悪くはない」

男「しかしその女性には振り向いてもらえなかったんだ」

男「なんとか振り向いてもらおうと、大金を稼ごうと思って」

男「それで結婚詐欺という手段に走ってしまったという訳だ」

女「はあ、愚かな男ですね」
656: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 22:57:00 ID:875DlPYA
男「さて、この男は最終的に幸せを掴むわけだが、一体どんな人生を送ったのだろうか」

女「え、幸せになるんですか?」

男「そう、最終的には」

女「ということは、途中に不幸もあったんですか?」

男「ああ、不幸も経験している」

女「最終的な幸せって、じゃあ、その女性と結婚したということ?」

男「いや、それは違う」

女「あれ?」
657: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:03:10 ID:875DlPYA
女「その高嶺の花とは結婚できなかった?」

男「ああ」

女「だけど幸せ?」

男「まあ、そうだな」

女「詐欺罪で立件されたことはあったんですか?」

男「いや、それはなかったんだ」

女「じゃあ不幸っていうのは逮捕とかではないんですね?」

男「ああ」

女「ていうか、犯罪者なのに捕まって不幸とか言うのは違うか」

男「そりゃそうだ」
658: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:11:55 ID:875DlPYA
女「捕まらなかっただけでも幸運じゃないですか?」

男「それはそうかもしれないな」

女「だけど他にも幸運があった訳ですか?」

男「ああ」

女「それは、詐欺を働いていたから舞い込んできたもの?」

男「そうだ」

女「堅実に生きていたら、それはなかった?」

男「ああ」
659: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:18:15 ID:875DlPYA
女「結婚はできなかったけど、お金持ちになれたから、幸せ、とか」

男「両方違う」

女「ん? 両方?」

男「『結婚できなかった』訳でもないし、『お金持ちになれた』訳でもない」

女「あれ? 詐欺師ですよね? お金は稼げなかったんですか?」

男「『稼げなかった』というのも、違う」

女「稼げたけど、なんらかの理由でそのお金は使ってしまった」

女「あるいは失ってしまった?」

男「失ったのが正解」

女「ああ、なるほど」

女「せっかく結婚詐欺で稼いだお金を、失ってしまったのが不幸だったわけですね」
660: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:24:16 ID:875DlPYA
女「となると……そのお金を失った原因と、幸せになった理由に、直接的な繋がりはありますか?」

男「ああ、ある」

女「お金を失ったのが先ですよね?」

男「ああ」

女「失くした、盗られた、使った……」

女「あ、使ったんじゃないんだっけ」

男「その中だと、盗られた、が正解かな」

女「ほほう、泥棒ですかね」

男「んーちょっと違うかなあ」
661: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:32:05 ID:875DlPYA
女「んーと」

女「男はお金を稼ぐために結婚詐欺を働いて、お金を貯めていて」

女「だけど誰かに盗られてしまって、不幸になったけど、最終的には幸せになった、と」

男「ああ」

女「働いた詐欺は一件ですか?」

男「いや、複数回」

女「めっちゃ格好いい、とかじゃないんですよね」

男「ああ、それなりだ」

女「そんな男に何回も詐欺ができるんですかねえ」

男「あれ、男を見た目で判断するタイプ?」

女「い、いや、そういう訳じゃないんですけど」
662: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:40:19 ID:875DlPYA
男「探偵の心得、その一」

男「人を見た目で判断しないこと」

女「ははあ」

男「それともう一つ、この男は最初からある程度の金を持っていた」

女「む?」

男「金ならあるよ、という安心感が、相手を信用させる材料になるんだ」

女「……なるほど」

女「一つ、思いついたことがあります」

男「ん?」

女「そのお金を盗ったのは、男が詐欺を働こうとした相手だったのでは?」

男「お、すごいな、正解」
663: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:47:47 ID:875DlPYA
女「詐欺師が詐欺にあう、という訳ですか?」

男「んん、それに近いな」

男「ただ、相手の女は詐欺師だったわけじゃない」

女「違うんですか?」

男「その相手は……なんのために金を盗ったのか」

女「そりゃ……金があったら欲しいでしょうよ」

男「違う、そんな目的じゃない」

女「自分の為に盗ったんじゃない!?」

男「ああ、違う」
664: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:53:18 ID:875DlPYA
女「世界の為に!?」

男「そんな大それたもんでもない」

女「あ、男のことを思って、詐欺の証拠を消し去ってあげようと思った?」

男「それも違う」

女「むう、なかなかいい線かと思ったんですけど」

男「ただ、『男の為を思って』というのはいい線だな」

女「え、そこが!?」
665: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:58:11 ID:875DlPYA
女「ねえ、もしかして男は自分が得た幸せのからくりを知らないのでは?」

男「ああ、知らない」

男「その方が幸せだろう?」

女「そうかも、しれませんね」

女「その『結婚詐欺師の男』って、この事務所に来た依頼人ですよね」

男「ああ、大分昔だが」

女「所長はもしかして、探偵の依頼が来ても『謎を解かない』ことが多いのでは?」

男「ああ、よくわかったな」

女「……事務所が貧乏な理由がわかりました」

男「ははは」

女「ま、なんにせよその依頼人の男は、『結婚できて幸せ』ってとこですかね」

男「そういうこと」
666: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/02(日) 23:59:35 ID:875DlPYA
というお話でした
解答編、明日に ノシ
667: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 11:09:35 ID:S7sEUjHw
相変わらず難しいな
さっぱりわからない
673: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:07:13 ID:7dDXCfz2
正解者に拍手!
最後ちょっと絞りすぎました
推理の楽しさが減っているような……すみません
674: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:11:45 ID:7dDXCfz2
【解答編:結婚詐欺師の幸福】

女「男が結婚詐欺をしようとしていた相手が、お金を持ち逃げしてしまった」

男「ああ」

女「ただそれは、自分の為でも世界の為でもなく、『男の為』だった」

男「ああ」

女「となれば、その女はお金を持ち逃げしてなにに使ったか」

女「これは予想なんですけど、結婚詐欺の相手に選ばれた女の人たちっていうのは……」

女「あまり美人なタイプではありませんでしたね?」

男「ああ、まあ言っちゃ悪いが、器量は良くても美人ではないタイプの人たちだったようだ」

女「だからその女の人は、『自分を磨く為』にお金を持って行った」

男「そう、その通り」
675: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:18:30 ID:7dDXCfz2
女「整形手術とかもしたんでしょうかね」

男「思いっきり、という訳ではないようだが、まあいろいろと手を加えたようだ」

男「まあ、元がそこまで悪いわけじゃなかったから、少し手を加えれば見事な美人になっていたよ」

女「エステとかも」

男「ああ、多分な」

女「そして、再び男のもとに戻った訳ですね」

女「結婚してくれって」
676: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:24:33 ID:7dDXCfz2
男「男は降って湧いた話に戸惑いつつも、大金を失い落ち込んでいた所だったから、よくわからないままに結婚したそうだ」

男「まあ美人が結婚を迫ってくるわけだし、悪い気はしないだろうな」

女「男の詐欺の為の口車とはいえ、その女の人には『結婚の話』がとても嬉しいことだったんでしょうね」

男「まあ、褒められておだてられて結婚しようと言われれば、嬉しいもんだろうな」

女「それも、まあもともとモテるタイプの人ではないのだから」

男「言われ慣れていなかったんだろうな」

女「しかし詐欺で得た金であること、その男が結婚詐欺師だということに気づいてしまったのでしょうか」

男「そこははっきりとは言ってくれなかったな」

男「ただ、この人に振り向かないそんな『ただの美人』よりも、私の方が幸せにできるだろうって、そう言っていた」
677: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:32:51 ID:7dDXCfz2
女「詐欺って言っても、そんなパッと知り合ってパッと結婚するわけじゃないでしょう?」

男「ああ」

女「少しずつお互いを知る中で、男に対する本当の愛情が生まれて」

女「それが詐欺だって知ったとしても、それでも好きだってこと、あると思うんです」

男「……そうなんだろうな」

女「復讐するのではなく、寄り添う」

男「まあ、結果的には良かったんだろうね」

女「また詐欺を働くことがなければ、ね」

男「……過去の詐欺については、見逃してしまったんだけどな」

女「……それまでに騙された人たちには……よくない結果でしょうけどね」
678: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:38:18 ID:7dDXCfz2
男「な、結婚なんて、みんながみんなハッピーとは限らないのさ」

女「でも所長は、その男の人に真実を伝えなかったんでしょう?」

男「まあな」

女「そういうとこ、ロマンチストですよね」

男「……んなことねえよ」

女「照れてますね」

男「照れてません」
679: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:46:31 ID:7dDXCfz2
女「結婚かあ」

男「まだ早いよ」

女「あっという間ですよ、時間なんて」

女「特に女性は、時間を大切にしたいんです」

男「どういうこと?」

女「若くいられるのは今だけ」

女「自分が一番魅力的な時間を、大切な人のために使いたいんですよ」

男「……そうか」

女「……淡白なリアクションですね」

女「……所長らしいですけど」
680: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:53:54 ID:7dDXCfz2
男「大学に入ったら、知識を広げること、交友関係を広げること」

女「?」

男「ただし男と二人で出かけないこと、遅くなるときは連絡すること」

女「……」

男「迎えが欲しいときは迷わず言うこと、合コンには参加しないこと」

女「うふふ」

男「後は……」

女「わかりました、わかりました」

男「……淡白なおれの、関白宣言」

女「あー、その一言、マジでいらなかったなあ」
681: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:56:21 ID:7dDXCfz2
以上です
ありがとうございました
おまけの(蛇足の)エピローグも良かったらどうぞ
682: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 22:58:59 ID:7dDXCfz2
【エピローグ】

カランカラン

男「おう、おはよう」

女「……おはようございます」

男「……どうした、浮かない顔して」

女「所長、この際だから言わせていただきますけどね」

男「ん?」

女「私より先に事務所に来れる余裕があるんだったら、ちゃんと朝ご飯食べてくださいよ」

男「た、食べたよ?」

女「うそです」
683: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:05:10 ID:7dDXCfz2
女「人参のソテー、また食べなかったでしょう」

男「た、食べた食べた、一個」

女「減ってなかったですよ?」

男「う」

女「私ちゃんと数えたんですから」

男「……」

女「もう、子どもみたい」

男「嫌いなんだよ、人参」

女「ええ、ええ、知ってますけどね」
684: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:13:35 ID:7dDXCfz2
男「まあ人参のことは置いといて」

女「もう」

男「事件の話を聞いてくれ」

女「え、事件ですか?」

男「いいか、被害者は男」

男「ビルの屋上から墜落して死亡」

男「多数の目撃者がいる」

女「はあ、屋上に遺書は?」

男「まあ最後まで聞け」
685: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:19:50 ID:7dDXCfz2
男「ビルの下は血だまり」

男「随分高いビルのようで、体が一部破損」

女「破損?」

男「つまり、離れている」

女「うえ」

男「離れた右手には、トランシーバーほどの小さな機械」

男「そして問題なのが、ビルの屋上にも多数の出血の跡があるってことだ」

女「え、じゃあ自殺に見せかけた殺しじゃあ」
686: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:27:29 ID:7dDXCfz2
女「男は靴を履いていましたか?」

男「わからん」

女「屋上の出血ってどのくらいですか?」

男「わからん」

女「男の年代は?」

男「サラリーマンぽいってだけだ、未成年ではないようだな」

女「あいまいですね、そもそもそれは事故なんですか? 殺人なんですか?」

男「わからん、それをお前が今から調べるんだよ」

女「え?」
687: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:33:16 ID:7dDXCfz2
男「今からこの場所に行ってきてくれ」ヒラッ

男「おれの名前を出したら、内緒で現場にも入らせてもらえるから」

女「え、え、え」

女「今起こってる事件なんですか?」

男「当たり前だろ、なんだと思ったんだよ」

女「あ……いえ……」

男「ほれ、早く行け、事件は待ってくれないからな」

女「はあ」
688: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/03(月) 23:43:57 ID:7dDXCfz2
男「気をつけてな」

女「はあい、では」

カランカラン

男「……」

男「大丈夫かな……」ソワソワ

男「初めてだし、やっぱ一緒に行った方が良かったか……」ソワソワ

カランカラン

女「なにか言いました?」

男「言ってない! 早く行け!」

女「えへへ、行ってきます」



★おしまい★
691: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/04(火) 00:18:34 ID:jGZvxdBw
はむちゃんはむはむ!!
楽しかった!!
お気に入りは死刑囚のやつです
694: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/04(火) 02:17:44 ID:TUZbuzfY
乙!いつも楽しみにしてましたわ
他のSSも読んでみるよ!
696: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/05(水) 05:31:37 ID:GmaYeImQ
面白かった!
こういう趣向の珍しいから、またネタが溜まったら読みたいなー
乙でした

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とあるSSの訪問者

これは面白かった
ウミガメのスープ系の問題解きがもっと出てきてほしいなあ


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また、サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
カテゴリをあいうえお順にしました、

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

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