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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/02/17(木) 22:49:51.53 ID:jwMEVnf0O
『フータローくん、起きてる?』

白ヤギの私は黒ヤギさんへとLINEを送った。

『寝てる』

黒ヤギさんからLINEが届いて私は無視した。

『おい、既読スルーはやめろ』
『ごめん。もっかい送って』
『起きてるよ』

仕方がないので許してあげる。返事を書く。

『私も起きてるよ』
『だろうな』
『訊きたいことがあるんだけど』
『なんだ?』
『どうして白ヤギさんと黒ヤギさんはお互いの手紙を読まずに食べちゃったんだろうね』

他愛のない雑談。だけど彼は彼なりに返す。

『たぶん、読みたくなかったんだろうな』
『どうして?』
『さてな。良い内容じゃないと思ったとか』

ネガティヴだなぁ。フータローくんらしい。

『返事をするのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、どうでもいい内容だったのかも知れないよ』
『なるほど。でもわざわざお互いに手紙の内容を知りたがっているわけだから、恐らくそれなりに重要な報せだったんじゃないか?』

重要な報せなんて受け取る側次第だと思う。

SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1645105791
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/02/17(木) 22:52:51.54 ID:jwMEVnf0O
『じゃあ、重要なお知らせがあります』
『唐突だな』
『心して読むように』
『ああ。わかった』

文字を打ち込む指先が震える。送信を押す。

『好き』

すぐに既読がついたのに返事が来なかった。

『既読スルーはやめて』
『悪い。読む前に食っちまった』

消化される前に削除しておく。照れてない。

『で? ご用事はなんだ?』
『別にたいしたことじゃないよ』
『そうか。なら俺も大したことじゃないが』

そう前置きしたフータローくんから届いた。

『今のは……かなり効いた』
「あはっ」

思わず噴き出した。眠気が失せた。楽しい。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/02/17(木) 22:56:13.85 ID:jwMEVnf0O
『そう言えば話は変わるけどよ』

さっきのお手紙を削除してから彼は平然と。

『やぎさんゆうびんの作者は実はぞうさんって有名な童謡の作者でもあるんだぜ』

動揺しながら童謡の蘊蓄を語る彼に、私は。

『知ってる』
『なんだ。知ってたのか……』
『嘘つきの私はお鼻が長いからね』

嘘つきの私は、ピノキオ方式でぞうさんだ。

『ぞうさんの歌は周りと比べて鼻が長い子象が揶揄われても同じように鼻が長い母さん象を好きだと誇る素晴らしい歌詞だ。好きだと言われた母さん象はさぞ鼻が高いだろうよ』
「……フータローくん」

鼻が長いことは短所だけど、鼻が高いと言われたら誇らしくなる。そう言われるように。

『ありがとう。もう寝るね』
『ああ。おやすみ』
『フータローくん、好き』
『俺はお前のお母さんじゃない』

私は寝ない。寝れない。だからまた訊ねる。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/02/17(木) 22:57:54.83 ID:jwMEVnf0O
『フータローくん、起きてる?』
『寝た』
『寝る前にちゃんとトイレに行った?』
『いや、もう必要ない』
「ん?」

なんだろう。たぶん、よくないお知らせだ。

『俺のぞうさんは水浴びが大好きみたいだ』
「フハッ!」
『別に、それほど長くはないけどな』
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

よしよし。これで今晩はゆっくり寝れそう。

『ふぅ……私も象さんが欲しいな』
『あったら困る』
『どうして?』

既読がついても返事は来ない。それはちっとも寂しくなくて、私はお手紙を削除する。やぎさんゆうびんの歌詞は、ロマンチックだ。

『一花、もう寝たか?』
「おやすみ、フータローくん」

白ヤギさんの気持ちが届いた上で無視する黒ヤギさんの気持ちを考えて私は眠りにつく。


【白ヤギ一花のお手紙】


FIN

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