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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:37:34.66 ID:sPPQ5rfKO
"泣き方を覚えたの。
笑い方も覚えたわ。こんなにも人間らしくなってしまった、あたしは嫌?"

ミミズクと夜の王 - 真昼姫(ミミズク)

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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:39:29.28 ID:sPPQ5rfKO
「ねえ、西片」
「ん? どうしたの、高木さん」
「西片は私のこと、どう思う?」

唐突な質問にどう答えるべきか迷う。というよりも、オレ自身が結論を出せていないことについて考える。答えを用意してなかった。

「えっと……高木さんはクラスメイトで」
「うん」
「隣の席に座っていて」
「うん」
「しょっちゅう揶揄われて、それで」
「それで?」

それでなんだろう。それだけなのか。違う。

「オレはそれが、悔しくて」
「……うん」
「でも、嫌じゃなくて」
「……うん」
「むしろ嫌なのはやられっぱなしの自分で」

そう。オレの気持ち。現状を変えたかった。

「だからオレはこれまでと違う自分になりたくて。つまり高木さんはオレにとってそう思わせる存在で……ごめん。上手く言えない」

そういう存在がなんなのかオレは知らない。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:40:51.90 ID:sPPQ5rfKO
「私にとって西片はね」

伝えたいことがきちんと伝わっているか不安で横顔を伺うと、高木は何かを確かめるように、彼女から見たオレの印象を語り始めた。

「西片は私のクラスメイトで」
「うん」
「隣の席の男の子で」
「うん」
「反応が面白いからつい揶揄いたくなって」
「うん」

共通の認識に違和感はない。しかし俯いて。

「そんな意地悪な自分が、私は嫌いで」
「高木さん……?」

おかしい。どうして彼女は泣いているのか。

「だからどうしても西片をからかってしまう嫌な自分を私は変えたくて。つまり西方はさ。私にそう思わせるような存在なんだよ」

それは果たしてどんな存在なのか。考えて。

「高木さんは嫌な女の子じゃないよ」
「西片……」

少なくとも自分を責めて欲しくない。沽券。

「高木さんにそんなことをオレが言わせているんだとしたら、オレはそんな自分が許せない」

オレは情けない。弱い。けれど、最低限は。

「だから、もう二度と、そんなこと言うな」
「……わかった」

初めての強い言葉。従順に素直に、頷いた。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:42:31.39 ID:sPPQ5rfKO
「ごめん。偉そうに……」

無理に自分の主張を押し通して相手の意思を曲げることは良くない。けれど、どうしても曲げられないことがあって。それだけは譲れないことがあって。許せないことがあって。

「ううん……嬉しかった」

どうして嬉しいのだろう。ついさっきのオレは自分勝手な独裁者で独善の塊だったのに。
そこで気づく。揶揄われて嫌じゃない理由。

「人は独りでは、生きていけないから……」

すぐそこに触れられる存在に、手を伸ばす。

「なかなか独りじゃ決められないから……」
「うん……そうだね」

触れたくても触れられない意気地なしのオレの手を高木さんが取る。お互いに手を伸ばすからこそ触れられた。それがとても嬉しい。

「だから時には、相手に全てを委ねたくて」

それだけではあまりに情けないからオレは。

「高木さんにそう思って貰えるような存在に……オレはなりたいわけで」
「もうなってるよ」

勇気づけるように高木さんの握力が強まる。

「西片に支配されたいな」
「……からかわないでよ」

顔が熱い。高木さんが微笑む。オレの負け。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:44:16.70 ID:sPPQ5rfKO
「西片、さっき私に命令したでしょ?」
「ど、どうだったかな……」

惚けると、形の良いおでこを肩に当てつつ。

「結構怖かったんだよ?」
「あ、謝ったじゃん……」

やっぱり高圧的な態度は良くない。だけど。

「でも、すごく気持ち良かった」
「っ……な、なに言ってんのさ」

肩に触れる額の熱が伝わってジンジンした。

「……思わず漏らしちゃうほど」
「フハッ!」

見れば足元に水溜りが。またオレは負けた。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/27(日) 23:46:15.64 ID:sPPQ5rfKO
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「ごめんね、西片。またからかっちゃって」

繋いだ手の甲を湿った部分に押し付け囁く。

「ごめんね西片。汚いよね。嫌いだよね?」
「高木さん」

哄笑がぴたりとやむ。オレは彼女に命じる。

「同じことを言わせるな」
「っ……はい、ごめんなさい」

震える膝。広がる水溜り。そんな怖いかな。

「オレは高木さんを嫌わないよ」
「……ありがと」

柄じゃない。けれどそういう一面を持てた。

「はあ……怒るのって疲れるな」
「おしっこ漏らすのも疲れるよ」
「フハッ!」
「もうぐっしょりでぐったりだよ」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

汚いけど嫌ではない。それはきっと漏らしたのが高木さんだからで。むしろ愉悦を漏らすオレのほうが汚くて。醜くて。それでもさ。

「ふぅ……高木さんは綺麗だよ」
「西片も素敵だよ」

汚いオレは、汚い高木さんが嫌いではない。


【お漏らし上手な高木さん】


FIN

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