サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【中編】
- カテゴリ:ストライクウィッチーズ
- コメント : 0
- 185: 2015/03/14(土) 23:37:18.73 ID:wxuZSAf+O
- エーリカ「ストライクウィッチーズぅ♪」 シャーリー「怪異の魔女!」
- 186: 2015/03/14(土) 23:41:40.04 ID:wxuZSAf+O
-
宿舎廊下
シャーリー「ふぁ~~…む(……やっぱ夜はねみぃ…)」ポリポリ
シャーリー(ていうか、見廻るまでもなく誰もトイレにすら起きる気配ないんだけど?)
シャーリー(皆そうとう消耗したんだな。 …聞いた話だと随分やばい奴だったらしいし)
シャーリー「……」
シャーリー(……結局エイラが予知した見えない攻撃は何だったんだろ?)
シャーリー(それにあの時のバルクホルンも――)
バタンッッ
シャーリー「っ!?(なんだ!?)」ピク
- 187: 2015/03/14(土) 23:45:34.18 ID:wxuZSAf+O
- シャーリー「……っ」キョロキョロ
シャーリー「!」
エイラ「~~ッ!!」バタバタ
シャーリー(エイラ!? ……トイレって様子じゃないな?)
シャーリー「おい、エ………っ!(くそ、大声は出せねぇ!)」
シャーリー(何する気か知らないけど、……とにかく追わなきゃな!)タタッ - 188: 2015/03/14(土) 23:51:17.33 ID:wxuZSAf+O
- 格納庫
エイラ「はぁ……はっ…」
エイラ「す、ストライカー…」
エイラ(一番速いのは……!)
エイラ「…シャーリー、ごめん!」
グイ
シャーリー「だーめだ」
エイラ「!?」ギク
エイラ「え!? なっ…??」
シャーリー「あたしの当番中に問題起こすなよー」 - 189: 2015/03/14(土) 23:57:37.28 ID:wxuZSAf+O
- エイラ「くっ、…離してくれぇ!」ジタジタ
シャーリー「……内緒にするからもう寝ような?」
エイラ「寝てられるかっ!!!」
シャーリー「ばっ…静かにしろって!?」
エイラ「頼むシャーリー、ストライカー貸してくれっ!?」ジタジタ
シャーリー「嫌だし、仮に貸してもお前じゃ満足に飛べないっての。 あたしだってまだ飛行テストしてないピーキーチューンなんだぞ?」
エイラ「じゃあ誰のでもいいからっ!!!」
シャーリー「よくねぇよ」 - 190: 2015/03/14(土) 23:59:04.35 ID:wxuZSAf+O
- シャーリー「……どうしたんだよエイラ? おかしいぞお前、…いっかい落ち着け」
エイラ「そんな場合じゃ――むぐ!?」
シャーリー「……さもないと中佐に突き出して懲罰房に放り込む」グググ
エイラ「ムー! ムー!!(それがどうしたぁ!)」ジタバタ
シャーリー「サーニャとも会えないぞ?」
エイラ「~!!」ガーン
シャーリー「騒ぐなよ?」
エイラ「……」コクン - 191: 2015/03/15(日) 00:11:02.83 ID:QEgHkaG7O
- シャーリー「……乱暴にしてごめんな」パッ
エイラ「…っぷぁ! ……はぁ~」
シャーリー「あたしのストライカーで何する気だったんだよ? …遊びに行くテンションじゃなかったけど」
エイラ「サーニャが危ない…」
シャーリー「ぇ?」
エイラ「…か、かもしれないんだ…」
シャーリー「…………なんで?」
エイラ「いや、……証拠はないけど…」
シャーリー「……魔法じゃないのか?」
エイラ「……」 - 192: 2015/03/15(日) 00:13:55.80 ID:QEgHkaG7O
- シャーリー「過保護だなぁ」ヤレヤレ
エイラ「っ!! ちが――」
シャーリー「興奮すんな。 約束」ピシッ
エイラ「っ……う、ぅん。 …ごめん」
シャーリー(本当にどうしちまったんだよ…、まったく)
エイラ「……私だって馬鹿な勘違いだって笑いたいけど、もし…まだなんにも終わってなかったら…」
シャーリー(!?)ピクッ
エイラ「…とにかく行かなくちゃいけないんだ。 早くっ!」
シャーリー「まてって。 他機の無断使用で夜の無断飛行なんて、あたしも擁護できないから」 - 193: 2015/03/15(日) 00:16:57.36 ID:QEgHkaG7O
- エイラ「離してくれっ!!!」
シャーリー「……もうはっきり言うけど、そんな顔して魔導エンジンなんて回したら今度こそ死ぬぞ? 昼間だって出られる状態じゃなかったくせに」
エイラ「っ……」
シャーリー「……」
エイラ「………じゃあ…どうすりゃ…」ガク
シャーリー「はぁー……(寝ろと言いたいけど)」
シャーリー(…昨日の今だから、あたしも気にならなくはない……な)
エイラ「……」ショボーン
シャーリー「…あたしが行くよ」
エイラ「えっ?」 - 194: 2015/03/15(日) 01:00:17.71 ID:QEgHkaG7O
- シャーリー「当たり前だろ? エイラが飛べないんだから、代わりにあたしが行くよ」
エイラ「ぇ……でも、…だってワタシの勘で…」
シャーリー「いいから。 急ぐんだろ? 飛行テストも兼ねてコッソリ飛ばしてくるよ」
シャーリー「だからもう変な気起こすなよ? できれば寝といて欲しいけど、心配ならおとなしくして待ってな」
エイラ「シャーリー…」
タッタッタッ
モブ兵「おいっ、そこに誰かいる――!? イェーガー大尉! ユーティライネン中尉!」
エイラ「!」 - 195: 2015/03/15(日) 01:04:40.88 ID:QEgHkaG7O
- モブ兵「おふたり共、この様な時間にいかがされました!?」
シャーリー「丁度いい! インカムかシーバー持ってる?」
モブ兵「…え?」ポケ
シャーリー「わるい、急いでるんだ。 早く!」
モブ兵「ぇ、あっ…し、失礼しましたっ! ………どうぞ」スッ
シャーリー「サンキュー! 今のはあたしの上官命令だからー」タッタッ
シャーリー「とぉ!」バッ
シュバッ
シャーリー「……さあ起きろ、あたしのマーリン」フィィン ピョコ
…ゴォォオォオオオオオ
- 196: 2015/03/15(日) 01:08:59.20 ID:QEgHkaG7O
- シャーリー「よぉし!」
エイラ「ぐわぁっ!? うるせぇ!」
モブ兵「…なんてエンジン音っ!! 耳が…」
シャーリー「まずはサーニャのコースを聞かなきゃ」スッ
『――…繰り返す! 格納庫に異変あり! 急行確認せよっ!! …どうした応答しろっ!?』ガザザッ
シャーリー「ナイスタイミング! ……管制、イェーガー大尉が緊急発進する」
『は? ………え! 大尉でありますか!? …え、じゃあまさかハンガーから漏れてる光は』
シャーリー「エンジンテストも兼ねるからコントロールよろしく!」 - 197: 2015/03/15(日) 01:11:14.99 ID:QEgHkaG7O
- 『何をおっしゃっているのです! 隊長から許可がありませんよ!?』
シャーリー「上官命令だ! あたしが責任とるっ!」
『ですが夜間は危険です!!』
シャーリー「だからせめて発進誘導は頼むよ? できればあたしも独りで飛び出したくはないからさ」
『………了解であります』
シャーリー「ごめんね。 ……それと力のある基地員を何人か起こして、こっちで待機させといて? エイラがストライカーを無断使用するかもしれないから」
『……お言葉ですが、何かトラブルでしたら――』
シャーリー「中佐達は寝かせておきたいからっ!!(いろいろな意味で)」 - 198: 2015/03/15(日) 01:12:51.45 ID:QEgHkaG7O
- シャーリー「最悪露見したら全部あたしのせいにすること! 命令! オーケー?」
『…………了解であります。 …発進進路クリア。 風、北北東に微弱』
シャーリー「シャーロット・E・イェーガー、発進!」
ガシャン
ブゥゥウウン
モブ兵「………」
エイラ「……サーニャ…」
モブ兵「……(もしかして自分、すごくやばいんじゃないか…?)」 - 204: 2015/03/20(金) 22:12:52.17 ID:4kpQpC4pO
- ――――
――
―
ビュゥゥウン
シャーリー「…初速は予想以上だ。 姿勢維持も問題なし!」ブゥゥウン
『……くれぐれも注意してください。 いくら大尉とはいえ、単独での夜間飛行は別であります』ガザ
シャーリー「了解! ところで、サーニャを追っかけたいんだけど位置教えてくれないか?」
シャーリー(――あっ! ていうか…)
『あの……恐縮でありますが、リトヴャク中尉に御用でしたらこちらから通信をお繋ぎしますが…?』
シャーリー(…だよな。 あたしバカだ)
シャーリー「ごめん。……とりあえず異常がないか確認おねがいします」
『了解であります』 - 205: 2015/03/20(金) 22:27:31.55 ID:4kpQpC4pO
- シャーリー「……はぁ (ただのテスト飛行になっちまったなぁ。 早く戻ってごまかさなきゃ)」
『――イェーガー大尉!』
シャーリー「お、大丈夫そうだった?」
『それが、中尉に通信が繋がりません!』
シャーリー「なんだって!?」
『前の定時連絡では問題なかったのですが…』
シャーリー(やばいっ!!!)
シャーリー「直ぐに警報を鳴らして中佐達を起こしてくれ!! ネウロイ出現は未確認なことも含めて現状を正確に報告するんだ!」
『りょ、了解っ! ………おい! 緊急警報だ!!』
シャーリー「あたしは全速でサーニャを追う! 哨戒コースを教えて!!」 - 206: 2015/03/20(金) 22:41:38.04 ID:4kpQpC4pO
-
アドリア海 某空域
サーニャ「…~♪」
サーニャ「~……?」ピク
サーニャ「……ぇ…なに…?」
サーニャ(短波反応が…乱れてる……?)
サーニャ「……」ス
サーニャ「…こちらサーニャ・V・リトヴャク。 …異常を観測しました」
サーニャ「…………」
サーニャ「………ぁの……もしもし…?」
『……』ザー
サーニャ「…繋がらない……どうして…?」 - 207: 2015/03/20(金) 22:47:11.16 ID:4kpQpC4pO
- サーニャ「……」フィィィン
サーニャ(…魔法が……何も見えない。…何かが干しょ――)
《~》
サーニャ「!」
サーニャ「……なに…!?」
《~~》
サーニャ「これって……このあいだの…?」 - 208: 2015/03/20(金) 22:50:25.13 ID:4kpQpC4pO
-
サーニャ「………聞こえる。 …今度はちゃんと…」
《《~~》》
サーニャ「…唄? ……違う、…なんだか哀しい――」
~フワッ
サーニャ「―― ?」
- 209: 2015/03/20(金) 23:13:33.77 ID:4kpQpC4pO
- ――――
――
―
シャーリー「……まだ見えないか。 下手にとばすと見落としそうだな、くそっ」ブゥゥン
シャーリー(今日が満月でまだよかったよ…)
シャーリー「……最後に定時報告があったらしいポイントはもう過ぎてるけど、…雲の下って事はないよな?」チラ
シャーリー「チッ、高積雲かよ。 どっちみちここからじゃ降りないと見えないな」
シャーリー(…考えたくないけど、最悪墜ちてるなら早いとこ海面を探さな――)
シャーリー「! …くっ、 なに考えてんだあたし!! ただ無線が切れてるだけじゃんか、エイラに感化されてるぞ!」ブンブン
シャーリー(でも確かに、昨日からあたしも気になる事が――)
《…~》
シャーリー「!」ビクッ - 210: 2015/03/20(金) 23:18:47.92 ID:4kpQpC4pO
- シャーリー「……? ……とにかくサーニャを見つけないと」
シャーリー(まず上からだ、月明かりにも慣れたからスピードを―― …~?)
ガクッ
シャーリー「ぉ……」グラ
シャーリー(なんだっ? やばいバランスが……っ!)
シャーリー「ぐっ…! あぶねっ!!」
ブゥゥウンッ
ぐわん
シャーリー「っ……。 ひぃ…ビビったぁ…」
シャーリー「気が緩んでたか…? あぁもう、何やってんだよあたしはっ!」ワシャワシャ - 211: 2015/03/20(金) 23:22:57.70 ID:4kpQpC4pO
- シャーリー「……」
シャーリー「コントロール、聞こえるか? こちらイェーガー機! …コントロールッ!」
『……』ザー
シャーリー「この辺はもう繋がらないか。 てことは近くは通った可能性が……ん?」
シャーリー「いたっ、…あれか? ……サーニャー!」
ビュゥゥウン――
- 212: 2015/03/20(金) 23:32:16.74 ID:4kpQpC4pO
- シャーリー「……」ジー
シャーリー「やっぱりサーニャだ! なんだよ無事じゃん。 …あんなとこで止まって何やってんだ?」
サーニャ「……」
シャーリー「おーーい! サーニャー!」ブゥゥウン
サーニャ「! ……ぇ?」クル
シャーリー「よぉ! 大丈夫か?」 - 213: 2015/03/20(金) 23:34:54.05 ID:4kpQpC4pO
- サーニャ「……シャーリーさん! どうして…?」
シャーリ「通信が途絶えたから念の為探しに来た。 エイラが心配して…――って!?」ギョ
シャーリー「…おい、サーニャ! 鼻血が出てるぞ!?」
サーニャ「えっ…? ……ぁ! え…??」ススッ
シャーリー「大丈夫か?」
サーニャ「ぇ、ぇ…と……多分、平気です」
サーニャ「あのっ! …それより、実はさっきから何か――………っ…が…?」
シャーリー「? …サーニャ、どうした?」 - 214: 2015/03/20(金) 23:38:39.14 ID:4kpQpC4pO
-
サーニャ「っ!? ……ぅぐ…っ」パシ
シャーリー「ぉ、おい――」
サーニャ「ごぼぁっ!!」ビチャ
シャーリー「…………はっ??」
サーニャ「ぅぶ……っ…」ガクン
シャーリー「(吐血!? …え? え??)ちょっ、おい!? サーニャッ!!!」ガシ - 215: 2015/03/20(金) 23:43:25.91 ID:4kpQpC4pO
- サーニャ「」ビクッ ビクッ
シャーリー「……な、なんだよこれ…!?」ゾワ
シャーリー(お、落ち着け……、まさかやられたのか!? ……あっ!! “見えない攻撃”!!?)
シャーリー「敵かっ!??」キョロキョロ
シャーリー(マジかよっ!? ……どうする!? 仮に普通のネウロイが相手でもこんな状態で、しかも夜間戦闘なんて無理だっ!!)
シャーリー「……ストライカーは脱げてない。サーニャはまだ無事(ということは…)」
シャーリー「ぐっ…!」フィィィイン
シャーリー「戦線離脱が最優先ッ!!!」シュバッ - 216: 2015/03/20(金) 23:46:20.83 ID:4kpQpC4pO
- ビュゥゥウン
シャーリー(万が一、基地まで追われたらやばい! …全速で逃げるっ!)ブゥゥン
《《~~》》
シャーリー「コントロール!! 聞こえるか、コントロール!? ……ちぃっ、繋がらねぇ!!」
~フワッ
シャーリー(一体何が起こって……)
シャーリー「――っ!!?」ゾク
シャーリー「んむ゛っ!? ……ぐっ…おえ゛っ!」ゲロ
シャーリー「…っはぁ……っ …なんだよ、…おぃ…??」
サーニャ「」ビクッ ビクンッ
シャーリー(サーニャ!!? やばい、今のも――)
シャーリー「ぎ……ぐっぞぉおお゛!!!」フィィイン - 221: 2015/03/22(日) 13:35:03.87 ID:BPtmdrY/O
- 基地 格納庫
美緒「……一体何が起きている?」
バルクホルン「いくらサーニャと通信が繋がらないからといえ、ネウロイが出たわけでもなく緊急警報。 さらに勝手な出撃……」
ミーナ「シャーリーさんにしては軽率すぎるから、何か考えか…心当たりがあったのだと思うけど」
ミーナ「……まさか彼女まで通信が途絶えるなんて…」
芳佳「坂本さんっ! やっぱり探しに行きましょう!?」
美緒「駄目だ」
芳佳「なんでですかっ!!?」
リーネ「よ、芳佳ちゃん……落ち着いて…」 - 222: 2015/03/22(日) 15:38:43.85 ID:BPtmdrY/O
- ミーナ「貴女も経験してる通り、夜の飛行は昼間と全く別よ。 状況を何も把握できていない今は危険すぎるわ」
芳佳「ここでじっとしてても何もわからないと思いますっ!! サーニャちゃんとシャーリーさんにもし――」
バルクホルン「気持ちはわかるが無理だ、宮藤。 ルッキーニを除いて全員魔法力が空だ」
芳佳「バルクホルンさん! ……で、でもっ!」
バルクホルン「特にお前やリーネ達は自殺になりかねないほど消耗している。 ハルトマンもこの騒ぎの中全く目を覚まさない」
ルッキーニ「じゃあ、あたしが行くよ!!」
ミーナ「ダメです。 単独飛行は許可できません」
ルッキーニ「なんで!!! あたしがシャーリー助けにいくっ!!」
リーネ「ルッキーニちゃん…」 - 223: 2015/03/22(日) 15:42:51.74 ID:BPtmdrY/O
- 美緒「早まるなルッキーニ! 今は2人との通信が途絶えた、…それだけが確かな事だ」
ミーナ「そうよルッキーニさん? ネウロイも未観測だし、シャーリーさんが危険に合ったとは決まってないわ」
ミーナ「この基地や…2人に本当に何かあった時に、今頼れるのは貴女しかいないの」
ルッキーニ「でも…っ……やだよぉ…」ポロポロ
ミーナ「今、偵察部隊の準備を急がせているから。 …我慢して頂戴?」
ルッキーニ「ぅ……しゃありぃ…」グスッ
ミーナ(私やトゥルーデもほんの僅かに余力はあるけど、こんな状況下で基地をこれ以上無防備にするわけには……)
ミーナ「…っ(本当は私だって今すぐ探しに行きたいわ!)」ギリッ
芳佳「サーニャちゃん…シャーリーさん……」
リーネ「……無事だといいけど…」 - 224: 2015/03/22(日) 15:53:03.29 ID:BPtmdrY/O
- 美緒「ユーティライネン中尉の様子はどうだ?」スタスタ
モブ兵「はっ。 …暴れるのは収まりましたが、あまり大丈夫とは言えない雰囲気であります」
エイラ「……サーニャ…………サーニャ…」ブツブツ
ペリーヌ「エイラさん、気を確かにお持ちなさい! どうしたというんですの!?」
美緒(恐らくこの異変を最初に勘付いたのはエイラだったんだろう。 ……見廻り中のシャーリーがその暴走を止めたか)
美緒「(やはりシャーリーは頼りになるな)……念の為もうしばらく用心しておけ」
モブ兵「はっ! 了解であります!」ビシッ - 225: 2015/03/22(日) 17:26:03.71 ID:BPtmdrY/O
- ガザザッ
『こちら管制、応答願います』
ミーナ「! 繋がったの!?」バッ
『はい。 たった今、イェーガー大尉との通信が回復しました! リトヴャク中尉も一緒のようです』
ルッキーニ「シャーリー!」
芳佳「やったぁー!」
リーネ「~はぁ……」ヘナ
バルクホルン「……まったく、心配させる」フン - 226: 2015/03/22(日) 17:27:35.45 ID:BPtmdrY/O
- ミーナ「…よかった。 無事なのね」ホッ
『いえ、それが……リトヴャク中尉は意識不明の状態にあり――』
エイラ「!!!?!?」ビクッ
芳佳リーネ「……っ!」
『…本人は否定しておりますが、恐らく大尉も負傷されている様相であります』
ルッキーニ「ぇ……!?」
バルクホルン「ぐっ!!」バンッ
『ネウロイは依然確認できず、現在基地へ帰還中との――』
ミーナ「位置はっ!!!!」
美緒「中佐、落ち着け!」 - 227: 2015/03/22(日) 17:29:45.40 ID:BPtmdrY/O
- ミーナ「ッ………トゥルーデ!!」
バルクホルン「ああ!」
ダダッ
美緒「おい、ミーナ!? 待てバルクホルン!」
ルッキーニ「シャーリー!!」シュタタ
美緒「くっ! …行くなルッキーニッ!!」グイ
ルッキーニ「いだっ!? …やだぁ! 離してっ!!」ジタジタ
美緒「事態の把握もできずに場が混乱するばかりか…。 ……中さ――」クル
ゴォォオオ
美緒「っ! ……仕方ない」
美緒「中佐ぁ!! バルクホルンッ!! シャーリー達を頼むが、無理はするなよぉ!?」 - 228: 2015/03/22(日) 17:33:00.95 ID:BPtmdrY/O
- バルクホルン「わかっている!」フィィィン
ミーナ「ええっ! すぐ戻るわ!」ゴォオオ
ガチャンッ
ブゥゥウン
ルッキーニ「~あたしもぉ!! ……シャーリーー!!」ジタバタ
美緒「状況を見ろっ! ルッキーニ!!」グィイ
ルッキーニ「やぁーッ!」
美緒「今は私とお前で――」
『はなせぇぇえぇええ!!!』
美緒 ルッキーニ「!?」ビクッ - 229: 2015/03/22(日) 17:34:51.32 ID:BPtmdrY/O
- エイラ「サーニャがぁ!! サーニャがぁ゛あぁあ゛!!!」バタバタ
モブ兵「お、落ち着いてください……中尉殿…!」グググ
ペリーヌ「え、エイラさん! …サーニャさんは中佐達に任せましょう? それに貴女は今ストライカーだって……」
エイラ「…うるさぁぁあぁあいっ!!」フィィィィイン ピョコ
ペリーヌ「!? …ちょっとエイラさん! 魔法はダメです!? お止しなさい…!!」
エイラ「邪魔すんなぁあああ!!!!」ブォン
モブ兵達「わぁっ!!?」
ガシャーンッ
- 230: 2015/03/22(日) 17:36:20.62 ID:BPtmdrY/O
- モブ兵達「」チーン
ペリーヌ「…きゃあー!! な、なんて事を…!」
エイラ「―ッ!!」ギロ
ペリーヌ「ひっ…!」ビクッ
エイラ「………サーニャッ!」ダダダッ
ペリーヌ「…ぉ…おそろしい……」ヘナヘナ
美緒「……エイラめ」チッ
ルッキーニ「……こわぃ…」ギュ
美緒「ルッキーニ、暴れるな? 上手く庇えなくなる」 - 231: 2015/03/22(日) 17:39:08.59 ID:BPtmdrY/O
- エイラ「…どいてくれぇー!!」ダダダッ
美緒「……許せ、エイラ」
エイラ「サーニャァアッ!!」フィィイン
美緒「…ッッ!!」シュッッ
ドスッ
エイラ「ァギ…ッ……!?」
エイラ「」ドサ
芳佳「さ、坂本さん!? …エイラさんが!」スタタ
美緒「当て身だ。 大事はない」 - 232: 2015/03/22(日) 17:41:15.54 ID:BPtmdrY/O
- リーネ「こ…怖かったぁ…」
美緒「魔法力循環による身体強化は消耗が少ないとはいえ、これ以上魔法力を消費すれば命の危険もあった。 ……止むを得まいが力ずくで黙らせる他無い」
美緒「仲間を心配する気持ちは全員一緒だ。 …私とて気持ちがわからないわけ無いんだ」
ルッキーニ「しょーさ……」
美緒「だが今は、私とルッキーニでここの統制と護りをしなければならない。 ……いいな?」
ルッキーニ「ぅじゅ……はぃ…」
『少佐ー! 基地員の方々、完全にのびていらっしゃいますわー!?』
美緒「他の男共に言って医務室へ運ばせろー!! ……エイラもあとで運ぶが、今は近くで横にしておこう」
美緒「それからサーニャ達のために医療班をここへ待機、なるべく近くの部屋に治療室を仮設する! とにかく警戒体制のまま4人の還りを待つぞ?」 - 236: 2015/03/24(火) 22:07:55.10 ID:hL7bqWVCO
- ――――
――
―
格納庫出口
美緒「……少し冷えてきたな」
美緒「…お前達、身体の方は大丈夫か? 辛ければ休んでも構わん。 夜明け以降に備えろ」
芳佳「大丈夫です! こんな時に寝てなんていられません!!」
リーネ「わ、…わたしも…っ!」
ペリーヌ「リーネさん、無理は体に悪いですわ」
リーネ「へ…平気です」 - 237: 2015/03/24(火) 22:11:26.28 ID:hL7bqWVCO
- 美緒「ルッキーニと私は恐らく徹夜になる。 覚悟しろ?」
ルッキーニ「うん…。 ……ねぇ少佐、…サーニャはネウロイにやられちゃったの?」
芳佳「……」
美緒「まだわからん。 ネウロイを観測したという報告は未だない」
ルッキーニ「じゃあ…」
美緒「…何があったか、シャーリーの報告頼みではあるが――」
ペリーヌ「少佐! 戻ってきましたわ!?」ビッ
ルッキーニ「!」
美緒「……ミーナ達に怪我はなさそうか。 シャーリーも飛べてはいる様だな(問題はサーニャだが…)」 - 238: 2015/03/24(火) 22:27:04.47 ID:hL7bqWVCO
-
――ブゥゥウン
芳佳「!!? …サーニャちゃんっ!!」
リーネ「っ…!!!」
美緒「ミーナ! これはいったい…!?」
ミーナ「直ぐに医務室に運んで!! 早く手当を!!」
芳佳「私が直ぐに治します!!!」バッ
美緒「やめろ!! 今のお前の魔法力では…!」
芳佳「やらせてくださいっ!!! 傷はどこですか!?」
シャーリー「……ち…違う。 …その血は…っ……吐いた…やつ」
バルクホルン「シャーリー!! 無理に喋るな!」 - 239: 2015/03/24(火) 22:29:51.20 ID:hL7bqWVCO
- 芳佳「と、吐血!!? うそっ!?」ガーン
シャーリー「…あ、…あたし…っ…ぅぷっ!?」ガクン
ドシャァ
バルクホルン「おい!!」
ルッキーニ「シャーリーッ!!?」バッ
シャーリー「うっ……おぇえ…! …げぁぼぉぉ…」ビチャビチャ
ルッキーニ「ッッ!!!!」
バルクホルン「こんな吐くまで飛ばして、無茶しすきだ!」
シャーリー「ケホッ……。 ち…ちがぅ……カハッ!」 - 240: 2015/03/24(火) 22:41:48.06 ID:hL7bqWVCO
- ルッキーニ「ぅ…ぅぇぇ゛え゛えん! しゃあり゛ぃ~!!」
シャーリー「っ…はぁ……ペッ! …大丈夫だよ、ルッキーニ……っはぁ…」
ルッキーニ「うわぁあぁああん」
シャーリー「…あたしの事より、……とにかくサーニャがやばい…」ゼェ ハァ
美緒「わかった。 ……医療班!!」
芳佳「坂本さんっ! 私も魔法で手伝います!!」ズイ
美緒「やめろ宮藤」
芳佳「でもっ! 血を吐いたなら肺や消化器で出血してるかもしれません!! 早くしないと――」
美緒「いい加減にしろ宮藤っ!! 今のお前では無謀なことがわからんか!?」 - 241: 2015/03/24(火) 22:48:45.52 ID:hL7bqWVCO
- 美緒「……先ほどのエイラと違って、お前の治癒魔法は消耗も激しいんだ」
芳佳「私は死んだっていいです!!」
美緒「っ! ……軽々しく口にするなっ!!!!」
芳佳「諦めるくらいなら死にますっっ!!!!」
美緒「みやふじぃっ!!!!」カッ
ペリーヌ「ひぃ……!」ビクビク
リーネ「……(芳佳ちゃん…)」フルフル
ミーナ「……」ブゥゥン
バチンッ
芳佳「あぶっ!?」
美緒「……ミーナ…!」 - 242: 2015/03/24(火) 22:51:20.03 ID:hL7bqWVCO
- ミーナ「………命を粗末にする人に、大切な仲間を預ける事はできません。 ……貴女はどうなの?」
芳佳「ぁ……」ヒリヒリ
美緒「待て、ミーナ!」
ミーナ「早く答えなさい! 一刻を争うの!!」
芳佳「…………やれますっ!」
ミーナ「では手伝いなさい、宮藤軍曹。 ただし魔法の使用には十分注意すること! 命令です」
芳佳「了解!」
ミーナ「…サーニャさんをお願い」 - 243: 2015/03/24(火) 22:53:32.16 ID:hL7bqWVCO
- 美緒「……」
ミーナ「坂本少佐、…頼めるかしら?」チラ
美緒「……わっかた、私も付こう。 宮藤に無茶はさせん」ハァ
ミーナ「ごめんなさい」
美緒「いいさ、今更だ。 ……それより今はサーニャだ」
ミーナ「ええ。 …トゥルーデ!」
バルクホルン「今行く」
ルッキーニ「びぇぇえぇえん」
シャーリー「…ぅ……ケホッ」ゼーハー
バルクホルン「大丈夫かシャーリー? …サーニャを運んだら直ぐ戻る。 落ち着くまでじっとしていろ」サスサス
ミーナ「……誰か手の空いてる人はシャーリーさんに水とタオルを!!」 - 247: 2015/03/26(木) 22:41:17.41 ID:XS3XyYAqO
- ―明方―
エーゲル部屋
エーリカ「――ん……っん~~~!」ノビー
エーリカ「…よく寝たー。 ……今何時だろ…?」ヒョイ
エーリカ「あれ? まだ起床前じゃん。 …この時計ずれてる?」
エーリカ「(…人の気配!)トゥルーデいるの? 今何時ー?」ノソノソ - 248: 2015/03/26(木) 22:42:48.17 ID:XS3XyYAqO
- エーリカ「………」ソロー
エーリカ「……トゥルーデ?」ヒョコ
バルクホルン「…zz」
エーリカ「………えー? 寝てる…」
エーリカ「じゃあ本当に朝早いんだ。 ……へぇ~」
エーリカ「ぁ!」ニヤッ
エーリカ「シシシ…(何かドッキリを――)」ソォー
バルクホルン「zz…」スヤァ
エーリカ「………」
エーリカ「やめとこ。 ………お腹すぅいた~っと♪」テテテ - 250: 2015/03/26(木) 23:26:20.36 ID:XS3XyYAqO
- 食堂
エーリカ「~♪ おっいもっはど~~こだっ♪」ステテーン
エーリカ「……あれ、誰も朝食作ってないの?」
美緒「ん? …ハルトマンか」
エーリカ「おはよー少佐。 ……少佐って毎朝こんな早いの?」
美緒「今日は徹夜に近いがな」
エーリカ「うわ…」
美緒「かつてには3夜寝なかったこともある。 なんて事はない」
エーリカ「いや、昨日かなり疲れたじゃん…(……昨日だよね? 丸一日以上寝てたりして、私)」
美緒「私はまだ平気だが……お前はな。 どうだ、体調は?」 - 251: 2015/03/26(木) 23:29:59.73 ID:XS3XyYAqO
- エーリカ「? 別に平気だけど? ……あ、お腹は空いてるね」
美緒「流石だな。 回復も早くて助かる」
エーリカ「それよりさ、朝食が準備されてる様子ないんだけど?」
美緒「ああ。 作れる者がいない」
エーリカ「え~! うそぉ!?」ガーン
美緒「……実はな、昨夜――」
――――
――
―
エーリカ「じゃあ、昨日倒したネウロイは…」
美緒「違ったか、もしくは複数いたか」 - 252: 2015/03/26(木) 23:33:21.12 ID:XS3XyYAqO
- エーリカ「じゃあ、昨日倒したネウロイは…」
美緒「違ったか、もしくは複数いたか」
美緒「……確かな事は言えんが、昨晩サーニャ達を襲った“何か”が我々の警戒していたそれであった可能性は高い」
美緒「発生時間帯や唐突な被害……そしてサーニャを狙われた事も、これまでのエイラの言と一致する」
エーリカ「……サーニャンは大丈夫なの、少佐…?」
美緒「……」
エーリカ「……まさか」
美緒「………息はあるが未だ意識は戻らん」
エーリカ「…うそ……!?」
美緒「が、死の危険からは一先ず免れた。 宮藤が倒れるまで魔法をかけた甲斐あって、吐いた血の出所は治癒できた筈だ」
エーリカ「宮藤まで……」 - 253: 2015/03/26(木) 23:35:45.90 ID:XS3XyYAqO
- >>252
上部台詞2行重複ミス、失礼しました - 254: 2015/03/26(木) 23:39:30.87 ID:XS3XyYAqO
- 美緒「……中佐とバルクホルンが起きるまでは私とルッキーニ、そしてお前を含めたこの3人が残る戦力だ」
美緒「他のウィッチ達の回復を待つ間は、我々で部隊を護り抜くぞ(……もっとも、私も満足に戦闘などできそうにないが…)」
エーリカ「うん、了解。 ……で、ルッキーニは?」
美緒「部屋だ。 シャーリーにずっと付きっきりでいる」
エーリカ「そっか…」
美緒「恐らくシャーリーも眠っているだろうし、……1人で下手に思い詰めているかもしれんな」
エーリカ「……そうだね」
美緒「少し様子を見に行くか…」スタスタ
エーリカ「あ! 少佐、私も行くよ」
美緒「……腹ごしらえはいいのか?」クル
エーリカ「どうせ作れないし、そんなの後々!」 - 255: 2015/03/26(木) 23:55:19.53 ID:XS3XyYAqO
- シャッキーニ部屋
シャーリー「……」
ルッキーニ「……」
シャーリー「………ちょっとトイレに…」ムク
ルッキーニ「! 起きちゃダメぇー!!」グイー
シャーリー「……トイレだよ」
ルッキーニ「コレがあるから! あたしがやったげる!」シビーン
シャーリー(絶っ対に嫌だ) - 256: 2015/03/26(木) 23:58:07.14 ID:XS3XyYAqO
- シャーリー「……なあルッキーニ? あたしは病気も怪我もしてないし、もう平気だってば」
ルッキーニ「でも、シャーリーも血ぃはいたりしたら……」ウルッ
シャーリー(……まいったなぁ)
コンコンッ
『ルッキーニ、入るぞ?』
ルッキーニ「うじゅ?」
シャーリー「お? …少佐か? どうぞー」
『……シャーリー起きてるね?』
『のようだな』 - 257: 2015/03/27(金) 00:01:59.31 ID:6tjLBu9WO
-
ガチャ
美緒「失礼する」
エーリカ「やっほー!」
シャーリー「ハルトマン!? こんな朝早くに珍しいな…!」
エーリカ「あ、それ尿瓶? 今から使うの?」
シャーリー「使わないっての」
美緒「寝ていなくて大丈夫なのか?」
シャーリー「ちょっと前に起きたところです。 少し眠ったら落ち着いたんで、もう平気なんですけど」ムク
ルッキーニ「だめぇー!」グイー
シャーリー「……まぁ、その。 …こういうことでして…」アハハ… - 258: 2015/03/27(金) 00:05:04.96 ID:6tjLBu9WO
- 美緒「…なるほど、ならそのままで構わない」
シャーリー(あたしが困るんだけど…)
美緒「シャーリー。 …昨晩の事について聞きたい」
エーリカ「……」
シャーリー「……わかりました。 ただその前に、何か食わせてください」
美緒「かまわんが、…生憎と料理をできる者が残っていない」
シャーリー「てことは、適当なレーションとかか…」
美緒「いや、本日中の食事は向こう〈基地本部〉の物をこちらにも分けるよう言ってある」
シャーリー「そうですか。 …ここはあたし達しか入れないから、取りに行かなきゃなぁ」チラ - 259: 2015/03/27(金) 00:06:27.04 ID:6tjLBu9WO
- シャーリー「……ルッキーニ、悪いけど飯持って来てくれないか?」
ルッキーニ「うん」
美緒「…そうだな。 ハルトマン、お前も一緒に行ってこい」
エーリカ「へ?」
美緒「……」クイッ
ルッキーニ「……」
エーリカ「…!」ピーン - 260: 2015/03/27(金) 00:08:30.47 ID:6tjLBu9WO
- 美緒「お前には私のも頼みたいが、4人分も持つのは大変だろう。 2人は向こうで先に済ませるといい」
エーリカ「はーい」
ルッキーニ「ぇ…?」
美緒「…まだ起床前だが、そろそろ食事はできている筈だ。 男共が集まる前に食ってこい」
エーリカ「りょうかーい! 行くよ、ルッキーニ」
ルッキーニ「やだよ、あたしシャーリーと食べるもん」
エーリカ「どっちにしろ向こうに行かなきゃ。 献立も気になるし、ほらほら!」 - 261: 2015/03/27(金) 00:09:52.90 ID:6tjLBu9WO
- シャーリー「慌てなくていいからな、ルッキーニ」
ルッキーニ「うん。 …シャーリー、トイレはだいじょぶ?」
シャーリー「え? あ、あぁ。 もう平気、引っ込んだ。 ……だから行ってこい」
ルッキーニ「うん…」
エーリカ「いってきまーす」
ステテテ…
バタン
- 265: 2015/03/29(日) 20:59:58.58 ID:iYiIFJerO
- シャーリー「はぁ…。 …いしょっと」ムクリ
シャーリー「んー~~…っ!」ノビー
美緒「………何故わざわざルッキーニを離した?」
シャーリー「っくはぁ~~。 ……これ以上不安にさせたくないんで。 もう少しちゃんと掴めてからでないと」コキコキ
美緒「ということは…?」
シャーリー「はい。 あたしも何をされたのかわかりませんでした」
美緒「何を“された”か……敵の存在は?」
シャーリー「有視界には何も…。 正直サーニャの急変であたしも動揺してたから、見落としてたかもしれません」 - 266: 2015/03/29(日) 21:19:43.94 ID:iYiIFJerO
- シャーリー「――って、そうだ! 少佐、サーニャは!?」
美緒「宮藤の魔法で傷は癒えたが、意識がまだ戻らん」
シャーリー「なっ…!!」
美緒「ドクターが言うには、脳か神経に異常をきたした可能性もあるらしい。 しかし、そもそもの原因が一切不明故はっきりした事はわからないそうだ」
シャーリー「くっ…ちっきしょう!! あたしのせいだ…!」ギュッ
美緒「救えなかった悔しさは私も同じだが、我々に過失はない。 ましてやお前はサーニャを連れ帰った」
美緒「エイラの暴走も留め、最善を尽くしたお前の判断に間違いはなかった。 夜間廻りを任せたのは正解だったな」
シャーリー「……っくしょぅ…」ググッ - 268: 2015/03/29(日) 21:29:59.22 ID:iYiIFJerO
- 美緒「…シャーリー、判断を誤るなよ? 状況は恐らく切迫している。 迅速に事態を把握し、備える必要がある」
美緒「エイラが起きた際の不安もあることだし。 お前の協力は我々にとって不可欠だ」
シャーリー「…っ」
美緒「……」
シャーリー「………悔しいけど、今は確かに…それが最善ですね」ガクリ
美緒「そうだ」
シャーリー「……」
美緒「……」
シャーリー「………これは勘なんですが…」
美緒「…なんだ?」
シャーリー「正体はどうあれ、やっぱり敵はいます…」 - 269: 2015/03/29(日) 21:48:49.54 ID:iYiIFJerO
- 美緒「……」
シャーリー「……サーニャが気を失う直前、私に何かを言いかけてました」
美緒「それが敵だと?」
シャーリー「あたしが見つけた時、サーニャの様子が少し変だったんです。 今思えばあの時に何か察知していたのかも」
美緒「サーニャが何か知っているか…。 しかし今はなぁ」フム
シャーリー「数日前からエイラが騒いでたってのは間違いなくこれだ…」
シャーリー「……見えない敵、…攻撃。 ……絶対カラクリはある…」ボソ
美緒「何かわかるか?」 - 270: 2015/03/29(日) 21:54:34.52 ID:iYiIFJerO
- シャーリー「今のところ全く見当はつかないですけど、…気になってる事はいくつか」
美緒「……昨日のネウロイか?」
シャーリー「いえ、それとは違うんですけど。 それについても詳しく聞きたいですね?」
美緒「いいだろう」
シャーリー「……規格外の新種だったってのは聞いたんですけど、その…他に何かおかしな点はありませんでした?」
美緒「ふむ。 おかしなことか…」
シャーリー「何でもいいです。 普通のネウロイじゃ見ないような」
美緒「……攻撃射程が驚くほど広かったな」
シャーリー「それってビームですか?」
美緒「ああ。 接近する前にエイラが“件の予知”をみたので、圏外からリーネの魔弾による駆逐を試みた」 - 271: 2015/03/29(日) 21:59:23.07 ID:iYiIFJerO
- 美緒「初撃の後に敵の反撃が始まったんだが、高出力のビームが易々とこちらに飛んできた。 狙いも恐ろしく正確で……もしかしたらあれ以上の距離も撃てたのかもしれんな」
シャーリー「うぇ~、発見前に攻撃されてたら危なかったですね…」
シャーリー「……ん? 待ってください、少佐」
美緒「なんだ?」
シャーリー「そのネウロイ、何で最初っからしかけてこなかったんですか? 敵の射程圏内だったってことは気付かれてる筈ですよね?」
美緒「うむ……それなんだが、我々がちょっかいを出すまでネウロイは特定点で旋回を続けていた」
シャーリー「……??」
美緒「先行していたバルクホルンらが言うには、超スピードで真っ直ぐ飛行してきた後に同点で急停止したと…」
シャーリー「……どういうことだ…?」ウーン - 272: 2015/03/29(日) 22:12:56.02 ID:iYiIFJerO
- 美緒「内包していた奴も含めてその個体は間違いなく倒したが、……もしや同型が?」
シャーリー「……その新種がワンオフかどうかはわかりませんけど、サーニャをやった奴ではないと思います」
美緒「しかしエイラの予知もあった。 それ故に接近を避けたので事実は確認していないが」
シャーリー「…もしそうなら、サーニャやあたしにビームを撃たなかったのはおかしい。 逃げる際にも追い打ちっぽいことされたんですけど、ビームは一切なかった」
美緒「そうか…。 ……確かに夜間とはいえ、あれだけの図体を視認できない筈もないか…」
シャーリー「……」
シャーリー(……少佐達が戦ったネウロイは自衛行動で反撃したのか…? つまり侵略以外の目的があった…??)
シャーリー(ネウロイが目的内外の分別を? そんなの聞いたことない! ……でももしそうなら、その目的とエイラの予知に何か関係が――)
ガチャッ
ルッキーニ「シャーリー!」ステテ
シャーリー「…ルッキーニ!?」 - 273: 2015/03/29(日) 22:21:37.08 ID:iYiIFJerO
- 美緒「……早いな」
エーリカ「ごめーん少佐。 ワゴン貸してもらえてさ、…皆の分まとめて持ってきちゃったよ。 食堂に置いてあるから」スタスタ
美緒「いや、十分だ。 すまんな」
ルッキーニ「一緒に食べよー?」
シャーリー「……そうだな。 そんじゃあたしはもう起きるぞ?」モソ
ルッキーニ「うじゅ? ……あ、だめだよシャーリー! ぜったいあんせい~っ!」ダキッ
シャーリー「あのなぁ、あたしはもう大丈夫だっつうの。 お前も今忘れてたじゃん」
ルッキーニ「でも…また夜みたいに……」ギュ
エーリカ(……あーなんか見た事あると思ったらこの過保護っぷり、トゥルーデとクリスだ)
美緒「もうその辺にしろ、ルッキーニ。 無理して床に伏す方が身体に障る」
ルッキーニ「ぅ…」
シャーリー「あはは、ありがとなルッキーニ! 飯食いに行こう」
エーリカ「そーそー、早く行こ? 私もいい加減限界だよぉ」 - 274: 2015/03/29(日) 23:12:45.71 ID:iYiIFJerO
- ―食後―
基地本部 廊下
シャーリー「……」スタスタ
エーリカ「…お、きたきた。 シャーリー!」ピョン
シャーリー「んあ? ハルトマン、なんか用か?」
エーリカ「サーニャンの所行くんでしょ? 私も行くよ」
シャーリー「……それでわざわざ待ってたのか?」
エーリカ「まーね。 …そういえばルッキーニは?」
シャーリー「眠そうにしてたから寝かしてきたよ」 - 275: 2015/03/29(日) 23:17:34.15 ID:iYiIFJerO
- エーリカ「相変わらず猫可愛がりしてるね~」
シャーリー「あのなぁ…」
エーリカ「少佐にバレたら怒られるんじゃない?」
シャーリー「とっくに気付いてるよ、多分。 あたしのせいでルッキーニも心労溜めてたから、大目に見てくれてるんだよ。 …ハルトマンも起きてきたし」
エーリカ「まぁ、本当ならまだ起床前だもんね」
シャーリー「……一応起床時刻は把握してるのな?」
エーリカ「あー! シャーリーもトゥルーデみたいな事いうんだから~!」
シャーリー「えー、あいつと同じかよ…」アハハ
バタンッ
シャーリー「? 物音だ」
エーリカ「…誰か起きてきたかな?」キョロ - 276: 2015/03/29(日) 23:22:44.79 ID:iYiIFJerO
- 芳佳「っ……!」スタタタ
シャーリー「……」
エーリカ「宮藤だね」
シャーリー「あいつまさか…」
エーリカ「多分、医務室に向かったんじゃない? 無茶しに」
シャーリー「…やっぱりそうだよな」ハァ
エーリカ「宮藤のそういうとこ、私は好きなんだけど?」チラ
シャーリー「わかるけど……。 …ったく、どいつも良い性格してるよなぁ」クシャクシャ
エーリカ「あ! シャーリー、やっぱりトゥルーデに似てきてるよ?」
シャーリー「…いいから。 宮藤止めに行くぞ!」ダッ
エーリカ「はいはーい! ミーナもいないから廊下も走り放題だね♪」 - 279: 2015/04/01(水) 20:43:19.31 ID:Jj3Wp+6kO
- 医務室
芳佳「サーニャちゃん!」ザッ
サーニャ「…」
芳佳「……サーニャちゃん…」
芳佳「…っ!」バッ
サーニャ「…」
芳佳「待ってて…、今助けるよ!」フィィン
サーニャ「…」
芳佳「……ぅ…っけほ! …はぁふ…」フィィィン - 280: 2015/04/01(水) 20:50:13.87 ID:Jj3Wp+6kO
-
バタバタバタッ
エーリカ「あー、やっぱり…」
シャーリー「…宮藤っ!」グイ
芳佳「シャーリーさん…!?」
シャーリー「よせ! 気持ちはわかるけど、いっかい落ち着け!」
芳佳「離してくださいっ!! 私が…私がやらなきゃ! サーニャちゃんを…!」ジタジタ
エーリカ(……サーニャン!!)
サーニャ「…」 - 281: 2015/04/01(水) 20:52:39.51 ID:Jj3Wp+6kO
- シャーリー「お前がもたないだろ!?」ググ
芳佳「でも!! 私が今やらなきゃ!」ジタジタ
シャーリー「そうじゃねぇ! 話を聞けって…!」
芳佳「離してぇ!!」
わしっ
芳佳「ひゃぅ…っ!!」ビクッ
シャーリー「………ぇ?」
エーリカ「ニッシッシ」ワキワキ
シャーリー「……なんでここで胸を…?」
エーリカ「落ち着いた、宮藤?」
シャーリー「いや、そんなわけ――」
芳佳「…………は、はい…」
シャーリー(えぇー……) - 282: 2015/04/01(水) 21:00:42.63 ID:Jj3Wp+6kO
- エーリカ「シャーリーも離して大丈夫だよ」
シャーリー「…お、おぉ……」パッ
芳佳「ハルトマンさん…」
エーリカ「少佐から聞いたよ。 敵にやられたサーニャンを、宮藤が倒れるまで治療してくれたって」
芳佳「……」
エーリカ「……サーニャンを救ってくれてありがとう、宮藤」
芳佳「…!」
エーリカ「…――」ダキッ
芳佳「!?」
エーリカ「本当に……っ…ありがと…ぅ」
シャーリー(…!?)
芳佳「ハルトマンさん…!」
エーリカ「…っ……」グス - 283: 2015/04/01(水) 21:03:43.39 ID:Jj3Wp+6kO
- シャーリー「……なぁ宮藤」ポン
芳佳「シャーリーさん…、私…」
シャーリー「…あたし等も皆同じ気持ちだよ。 仲間を失うのは恐いんだ、宮藤も入れてな」
芳佳「……」
シャーリー「サーニャのこと、あたしからも礼を言うよ。 ありがとう、…これからもよろしく頼む」
芳佳「ぅ……うぅ…っ…」ポロポロ
シャーリー「……よしよし、大丈夫。 大丈夫だ」ナデナデ
芳佳「ぅぅう…っ……」グス
シャーリー「……とりあえず、ドクターが来てから一度話し合っといた方がいい。 それまでは休んどけ?」
芳佳「ぅぐ……はぃ゛…」 - 285: 2015/04/01(水) 21:40:34.05 ID:Jj3Wp+6kO
- ――――
――
―
芳佳「……失礼しました…」
パタム
シャーリー「……ふぃ~」
エーリカ「宮藤はとりあえず大丈夫そうだね?」
シャーリー「…ハルトマン、お前泣いてたろ?」
エーリカ「ちょっとだけね」
シャーリー「……」
エーリカ「…シャーリー?」チラ
シャーリー「言わないって」 - 286: 2015/04/01(水) 21:45:34.17 ID:Jj3Wp+6kO
- エーリカ「んふふ~、貸しだね!」
シャーリー「いいよ、別に」
エーリカ「そう? ラッキー♪」
シャーリー「……」
エーリカ「…………シャーリーも、ありがとう」
シャーリー「んー?」
エーリカ「サーニャン助けてくれて」
シャーリー「……」 - 287: 2015/04/01(水) 21:47:57.35 ID:Jj3Wp+6kO
-
サーニャ「…」
シャーリー「……あたしは何も出来てないよ。 気付いたのはエイラだし」
エーリカ「………私なんて、呑気に寝てただけだから…」
シャーリー「……(気にしてんのか)」
エーリカ「サーニャン…」スッ
サーニャ「…」
シャーリー(皆かなりストレスかかってるな…。 早いとこなんとかしないと) - 292: 2015/04/02(木) 21:03:40.00 ID:0R/A6Zeh0
- ―起床時刻―
宿舎 廊下
そよそよ~
シャーリー「………」ノビー
シャーリー「……っはぁ~~」グデー
そよそよ~
シャーリー「…あぁ~、風が気持ちぃ(眠くなってきたぁ…)」
シャーリー「…………」
シャーリー「……ふわ…ぁ~――」
『あらあら、大きなあくび』
シャーリー「――~んむ…。 ん……、中佐?」グシグシ - 293: 2015/04/02(木) 21:11:48.81 ID:0R/A6Zeh0
- ミーナ「おはよう、シャーリーさん…」ツカツカ
シャーリー「あはは…、おはようございまぁす」
ミーナ「随分眠そうね? 体調はもう平気なの?」
シャーリー「ええ。 というか、元々なんかなってた訳じゃないんですがね。 少し眠ったら大丈夫でした」
ミーナ「そうなの? でも、検査は受けてないでしょ?」
シャーリー「…まぁ」
ミーナ「だったら早計な素人判断はよくないわ。 まだ一晩経っただけだし――」
ミーナ「………サーニャさんが、あれだけの被害を受けたんだもの…」
シャーリー(中佐…!) - 294: 2015/04/02(木) 21:24:30.62 ID:0R/A6Zeh0
- ミーナ「……」
シャーリー「…わかりました。 後でドクターの所に行ってきますよ」
ミーナ「ええ、そうして頂戴」
シャーリー「……ところで、中佐の方こそ大丈夫ですか?」
ミーナ「え…?」
シャーリー「今朝、鏡見ました? 隈が濃いですよ?」チョン
ミーナ「あらっ、やだ…!//」
シャーリー「………甘えてる身で言える事じゃないですけど、あまり無理し過ぎないでくださいね?」 - 296: 2015/04/02(木) 21:47:22.80 ID:0R/A6Zeh0
- ミーナ「ふふ、私は平気よ。 シャーリーさんのおかげで昨日は消灯時前には寝付けたし」
シャーリー(いやでも夜のことがあって、今起きてちゃ結局そんなに寝れてないじゃん…!)
ミーナ「…昨晩はありがとう。 貴女がいなかったら取り返しのつかない事になっていたかもしれない」
シャーリー「………やれる事はやったつもりですけど、…正直不甲斐ないですよ」
ミーナ「そんなこと…」
スタスタスタ
美緒「その話の決着はつけなかったか? シャーリー」デン
ミーナ「美緒…!」 - 297: 2015/04/02(木) 21:51:07.73 ID:0R/A6Zeh0
- シャーリー「……少佐」
美緒「感傷するなとは言わん。 だが反省と後悔は――」
シャーリー「わかってますよ少佐。 …すみません」
美緒「ふむ…」
ミーナ(…美緒)
美緒「……今日は自己判断で休んで構わん」
シャーリー「…部屋の時と、言ってること変わってますよ」
美緒「臨機応変だ。 その代わり、お前が休んでいる時はルッキーニを起こせ」 - 298: 2015/04/02(木) 21:56:27.67 ID:W1/4U6Ys0
- シャーリー「…………いや、やっぱり寝るなら夜がいいです」
美緒「そうか。 まぁそこはお前に任す」
ミーナ「くれぐれも無理をしないでね、シャーリーさん?」
美緒「…ミーナもだ。 まだ幾らも回復していないのだろう?」ビシ
美緒「今日一日ぐらいなら私が持たせる。 無理をするな」
ミーナ「……いつかとは逆ね。 あの時貴女は私の話を素直に聞いたかしら?」
美緒「む…、それとこれとは…」
ミーナ「大丈夫よ、3日前に十分骨休めは出来てるわ」
シャーリー(……たはは、中佐も意地っ張りだな。 昨日あたしに“休みが必要”て言ったのに) - 299: 2015/04/02(木) 22:11:24.26 ID:W1/4U6Ys0
- ミーナ「それよりも、美緒だって寝ていないんでしょ?」
美緒「当たり前だ。 私まで寝てしまったら誰がここを護るんだ?」
シャーリー「……あれ? 一緒にメシ食ってから今まで何処に行ってたんですか? てっきり仮眠とってたのかと…」
ミーナ(まさか朝練をしてたなんて事ないわよね…?)ジト
美緒「いや、こんな状況なんでな。 基地内を警邏していた」
シャーリー「あっ、すみません少佐! あたし気づけなくて…」
美緒「いや、いい。 自ら直接確かめたくてやった事だ」
ミーナ「何か気になるの?」 - 300: 2015/04/02(木) 22:49:10.69 ID:W1/4U6Ys0
- 美緒「具体的な懸念があった訳ではなかったが……、どうも基地員たちの士気が低い様子でな」
ミーナ「ウィッチの負傷が影響しているのかしら…?」
美緒「そんなやわな面子ではない筈なんだが」
シャーリー「……」
ミーナ「…困ったわね、ウィッチーズがこんな時に…。 事故の発生に改めて気を配らないと」
シャーリー「あたしらの中から被撃墜者が出たことに、少なくとも動揺してるんですよ。 仕方ないと思いますけど」
ミーナ(501を強く支えてきた“共同体意識”が、こんな形で欠点になるなんて…) - 301: 2015/04/02(木) 22:54:22.31 ID:0R/A6Zeh0
- ミーナ「…とにかく今は隊の立て直しと情報収集に務めるべきね。 問題も山積みだから」
美緒「そうだな…。 宮藤達が心配だ」
シャーリー「あー宮藤は大丈夫そうです。 なのでリーネ達も様子見で、ルッキーニは任してください」
シャーリー「それとハルトマンも問題ない筈ですけど、一応気にしてやって下さい中佐」
ミーナ「ええ、わかりました。 ありがとうシャーリーさん」
美緒「とすると、懸念すべきはエイラか…」
シャーリー「……んが~~! そうだった、エイラがやばい!」ガクー
ミーナ「私達が戻った時からノビていたけど……何があったのかまだ詳しく聞いてなかったわね?」 - 302: 2015/04/02(木) 23:07:12.08 ID:0R/A6Zeh0
- 美緒「…そのことも含めて話がある。 来てくれ、中佐」クイ
ミーナ「…ええ(残念ながら予想はつくのよね…)」
スタスタスタ
シャーリー「……今日は濃い一日になりそうだなぁ(悪い意味で)」ア~
シャーリー「…………」
シャーリー「…やば、ちょっと挫けそう」
ドガッ
バタムッッ
シャーリー「ッ!!? な、なんだぁ!?」ビクッ - 303: 2015/04/02(木) 23:44:26.44 ID:0R/A6Zeh0
- バルクホルン「~~ッ!!」ズンズンズン
シャーリー「…! ……?」
バルクホルン「…~ッ」ズンズン
シャーリー「……」
バルクホルン「~~――」ズン
シャーリー「…うーぃ、ちょっと待った」ガシ
バルクホルン「…………離せ」
シャーリー「おはよ」
バルクホルン「……離せ」ギロ
シャーリー「(こいつもか…)ごめん、わかった離す」パッ - 304: 2015/04/02(木) 23:48:18.05 ID:0R/A6Zeh0
- シャーリー「…そんな意気込んでどこへ行くのかなと思ったんだ。 飯じゃないんだよな?」
バルクホルン「……ん、んん…。 まあな…」
シャーリー「(不安定だなぁ、大丈夫かよ)一回でいいからさ。 ゆっくり吸って、吐いてみ?」
バルクホルン「…すぅ……」
バルクホルン「………はぁー…」
シャーリー「…どぉ?」
バルクホルン「……すまない。 少し落ち着かせる」
シャーリー「あいよ」
バルクホルン「…………」
シャーリー「……」 - 306: 2015/04/03(金) 00:02:52.80 ID:OsHDOYL80
- バルクホルン「……ふぅー…。 ……くっ、何をやっているんだ私は」
シャーリー「…話しかけて平気か?」
バルクホルン「ぅ…! あ、あぁ……すまなかった、シャーリー」クル
バルクホルン「朝からみっともない所を見せた…」
シャーリー「別に。 ……用事はいいのか?」
バルクホルン「いいさ。 向こうが煩いからと、少し文句を言ってやろうと思っただけだ」
シャーリー「(少し…?)向こうって………あー、遺跡調査の連中か。 確かに起床前からやってたしなぁ」
バルクホルン「疲れていたとはいえ、あの程度の騒音で腹を立ててしまうとは…」 - 307: 2015/04/03(金) 00:12:44.79 ID:OsHDOYL80
- シャーリー「お前、昨日からちょこちょこ不機嫌だったけどさ……もしかしてアレか?」
バルクホルン「違う、それは先週終わっている。 そもそもPMSごときで私が揺らぐものか」
シャーリー「(鉄の女かあんたは)…あたしなんか胸は張るしお腹は痛いし、酷い時は吐き気もするけどなぁ」
バルクホルン「……個人差はある(…吐き気か。 ………――)」
バルクホルン「(――!!) そうだ! シャーリー、お前!? 身体はもう大丈夫なのかっ!?」
シャーリー「ん? ああ、寝たら落ち着いたよ」
バルクホルン「馬鹿を言え!! まだいくらも寝てないだろ!? あんな魔法力の使い方をしてすぐに戻る訳ない!」ガシ
シャーリー「含蓄あるなぁ」アハハ
バルクホルン「私は真面目に話しているっ!」 - 308: 2015/04/03(金) 00:14:10.34 ID:OsHDOYL80
- シャーリー「…いや、待てよバルクホルン。 心配してくれるのは有難いんだけどさ?」ポンポン
バルクホルン「っ! ……べ、別に特別な事でもないだろ!? 同僚の心配ぐらい…//」プイ
シャーリー「それでも感謝するさ。 背中さすってもらったし、ベッドにも運んで――」ニコ
バルクホルン「う、うるさいっ!!///」
シャーリー「……でも、あたしが吐いたのは魔法で無理したせいじゃないんだ」
バルクホルン「………?//」チラ
シャーリー「サーニャと同じさ。 敵にやられたんだよ」
バルクホルン「…なんだと!?」 - 309: 2015/04/03(金) 00:17:02.48 ID:OsHDOYL80
- シャーリー「正体は全っ然わかんねーんだけど、負傷したサーニャを担いで逃げる時に2回…――」
シャーリー「――……いや、もしかしたらその前にも1回あったかもしれない」
バルクホルン「敵は、ネウロイなのか?」
シャーリー「わからない。 …なんにも見えなかった」
バルクホルン「……サーニャは何と言っていた?」
シャーリー「何か言う前に血噴いて倒れちゃったよ。 戦闘態勢をとってた様子はなかったからネウロイじゃないかもしれない」
バルクホルン「…観測班も結局ネウロイを捉えることはなかったが、ネウロイ以外の可能性など私には考え付かん」
シャーリー「……ぶっちゃけ皆そうだろうな」
バルクホルン「くそっ! なんとか原因を掴まなければ…!」ダンッ
シャーリー「おーい。 また」
バルクホルン「あ、あぁ……すまない…」
シャーリー「……」 - 314: 2015/04/07(火) 16:39:11.77 ID:EUZoJqN6O
-
格納庫
シャーリー「はぁ~。 緊急時に備えて、とりあえずユニットはディチューンしとかねぇと…。 めんどくせ」スタスタ
シャーリー「――ん? 整備兵がいるな……チーフか?」
整備士長「……」カチャカチャ
シャーリー「おーいっ! チーフー!」
整備士長「? ……えっ、大尉!?」
シャーリー「よぉ! 忙しそうだな?」スタタ
整備士長「はっ!」ビシッ
シャーリー「そういうのいいって言ってるじゃん、チーフ」
整備士長「お言葉ですが、大尉殿こそ上官らしく呼び捨ててください。 隊長のお叱りを受けるのは我々です」
シャーリー「あはは、硬いなぁ! エンジン速組み勝負で接戦した仲じゃん!」ポンポン
整備士長「……あれは成り行きです」 - 315: 2015/04/07(火) 17:02:10.89 ID:EUZoJqN6O
- 整備士長「それより大尉! 負傷されたと聞きましたが…!?」
シャーリー「えっ?」
シャーリー(………まいったな、変に噂になってるのか)ポリポリ
整備士長「もう歩いても大丈夫なのですか?」
シャーリー「いやいや、別になんともないから! 負傷もしてないし」
整備士長「そうですか、安心しました。 …で、早速P51の調整ですか?」
シャーリー「あはは、まぁー……昨晩のテスト結果は最低だったからね…」 - 316: 2015/04/07(火) 17:59:04.43 ID:EUZoJqN6O
- シャーリー「…つうかそれより、これ――」チラ
整備士長「あ、はい。 ユーティライネン中尉のBf109ですが、どうにも…」
シャーリー「うぉ~…! フレーム変形してるし! 熱か、これ?」ツンツン
シャーリー「……あー、コネクトもほぼ駄目かもな? ショートか知らないけど、焼き切れてるじゃん」
整備士長「はい。 最悪、廃棄になるかと思います」
シャーリー「え? パーツ交換すりゃいいじゃん?」
整備士長「実は魔導機も沈黙したままなんです。 原因は調査中ですが、もしも損傷によるものだとしたら、こいつは終わりです」
シャーリー「マジかよ…、ブリタニア基地の頃と違って予備機はまだ配備すらされてないってのに」 - 317: 2015/04/07(火) 18:04:35.23 ID:EUZoJqN6O
- 整備士長「我々も最善を尽くしますが、今から間に合わせを手配した方がいいかもしれませんね?」
シャーリー(んー、でもユニットだけあっても履く奴の調子がなぁ…)
シャーリー「――あれ? …なあ、チーフ?」
整備士長「チーフはやめてください、大尉」
シャーリー「今“我々”って言ったけどさ、他の皆〈整備班〉は?」
整備士長「昨晩、ユーティライネン中尉に投げ飛ばされた者たちの穴埋め中です」
シャーリー「チーフ以外全員!?」
整備士長「大尉、チーフは――……はぁ。 もういいです」ガク
シャーリー「なんで整備班からそんなに人取るんだよ!? 優先順位おかしいぞ?」 - 318: 2015/04/07(火) 18:08:21.76 ID:EUZoJqN6O
- 整備士長「いや、実は……他の班には体調を崩している者が多くて。 自分達の班から人手を出さざるを得ないんです」
シャーリー「……流行病か? 大丈夫かよ」
整備士長「まったく恥ずかしいですよ。 501の基地員である我々が、こんな素人みたいな様…」
シャーリー(宮藤も魔法かけてまわる余裕はしばらく無いから気を付けねぇと。 ……ていうかやりかねないから釘差しに行っとくか)ポリポリ
整備士長「…大尉の発進ユニット、今お持ちします」ダッ
シャーリー「あっ! いいよチーフ! あたし用事できたから、やっぱ後回しにする」 - 319: 2015/04/07(火) 18:39:06.06 ID:EUZoJqN6O
- 宿舎 医務室
シャーリー「…宮藤いるかー?」ガチャ
芳佳「え…? あ、はーい! ここにいます」
シャーリー「おー、いたいた。 ここか」スタスタ
エーリカ「私もいるけど?」
シャーリー「見ればわかるよ」
エーリカ「……やっぱりトゥルーデっぽいね」
シャーリー「おいおい、まだ言うのか」
エーリカ「ほーら、そういうとこ!」 - 320: 2015/04/07(火) 18:54:37.22 ID:EUZoJqN6O
- 芳佳「あ、あのシャーリーさん。 それで…私になにか用事ですか?」
シャーリー「ああ、そうそう。 ちょっとね」
芳佳「?」
シャーリー「なんか基地内で風邪だかなんだかが流行ってるみたいで、基地員の皆がけっこうやられちゃってるみたいなんだよ」
シャーリー「だからその、まぁ…なんていうか……あまり変な気起こすなよ? 今、宮藤の魔法力は冗談抜きでヤバいからさ」
エーリカ「…にしし、シャーリーは相変わらずだね?」
シャーリー「? なんだよハルトマン?」
エーリカ「その話なら大丈夫だよ、さっき私達もドクターから聞いたから。 ね、宮藤?」
シャーリー「え、そうなのか?」 - 321: 2015/04/07(火) 19:05:46.44 ID:EUZoJqN6O
- 芳佳「はい! さっきハルトマンさんと一緒にサーニャちゃんのことで色々と聞きに行ってきました!」
エーリカ「今後のこととかね。 …時間は取ってもらえたけど、向こうの対応でかなり忙しそうにしてたよ」
シャーリー「そんなに大勢いんのか?」
エーリカ「すごかったよ、みんな暗い顔して順番待ちしてたし」
シャーリー「…少佐が基地員の元気がないって言ってたのも体調不良のせいか?」
エーリカ「そんなとこだねー。 でも見た感じ咳や発熱してる様子じゃなさそうだし、夏風邪ってよりは疲労かな」
シャーリー「…!? ………あー、そっか。 ハルトマンも医学に明るいんだっけ?」
エーリカ「一応ね、でもテキトーだよ」 - 322: 2015/04/07(火) 19:25:17.27 ID:EUZoJqN6O
- 芳佳「……えーっと、アスピ…アスピぃ~~……これかな?」ゴソ
シャーリー「宮藤はさっきからなにやってんだ?」
エーリカ「薬の補充。 ドクターの診療を手伝うんだって」
シャーリー「え!? 待った、これ以上治癒魔法なんて使ったらヤバいってば!」
芳佳「はい、わかってます。 だから魔法は使いません! それでも私にできることで皆さんを助けたいんです!」
シャーリー「な、なんだそうなのか…よかった」
エーリカ「さすが、医者の卵だよね?」
シャーリー「……むしろ流石宮藤ってとこだろ」 - 323: 2015/04/07(火) 19:32:26.46 ID:EUZoJqN6O
- エーリカ「でも宮藤、それアスピリンじゃないよ」
芳佳「え? ち、違うんですか? 頭痛って書いてありますけど…」ス
エーリカ「それも鎮痛薬だけど……うん、アセトアミノフェンって書いてあるから違うね」ジー
芳佳「??」
エーリカ「これ、どこにあった?」
芳佳「え? あ、えっと…ここの棚です」
エーリカ「じゃあ多分同じところにぃ~――」ゴソゴソ
エーリカ「……バイエルアスピリン、これだ。 あ、あと一応これも」ヒョイ
シャーリー「……?」 - 324: 2015/04/07(火) 19:37:32.45 ID:EUZoJqN6O
- エーリカ「はい! これだよ」
芳佳「あ、ありがとうございます」
エーリカ「それと制酸薬も足りなくなると思うから、はい」
芳佳「制酸薬…?」
エーリカ「胃酸中和剤だよ」
芳佳「…あっ、そうですよね!? ありがとうございます!」
エーリカ「がんばれ~」
芳佳「い、行ってきます…」ステテ
ガチャ パタン
- 325: 2015/04/07(火) 19:51:59.35 ID:EUZoJqN6O
- シャーリー「………なんかすごいな? いつものハルトマンじゃないみたいだ」
エーリカ「ひどいなー」
シャーリー「…ていうか、一緒に行かないの?」
エーリカ「私はいいよ、ちょっと気だるいし。 めんどくさい」
シャーリー「正直なやつだなぁ」
エーリカ「……シャーリーは今平気なの?」
シャーリー「えぇ? なにが?」
エーリカ「起きた時は気にしてなかったんだけど、なんか私も調子良くないみたいなんだよね」 - 327: 2015/04/07(火) 22:01:22.87 ID:EUZoJqN6O
- シャーリー「おいおい、大丈夫か?」
エーリカ「うん、まぁ……たいしたことないと思うけどさ。 こんな状況の時に、寝てただけの私が休むのも悪いし」
シャーリー「……だれも責めたりしないって」
エーリカ「ちがうちがう、自分の問題だよ」
シャーリー「あんま気にすんなよ? 無理して心配増やす方が、あたしは問題だと思うけど」
エーリカ「ンフフ、ありがと。 まぁでも平気、生理みたいなもんだよ!」
シャーリー「そ、そっか…」
エーリカ「……でもシャーリーは平気なんだ?」
シャーリー「え? おお、まぁな。 昨日はゲロ吐いちまったけど」 - 328: 2015/04/07(火) 22:08:56.39 ID:EUZoJqN6O
- エーリカ「……」
シャーリー「…? どうした?」
エーリカ「うん、なんかさ…タイミングが合い過ぎてないかなって」
シャーリー「!」
エーリカ「なんかこの数日で、いろんなこと起きてない?」
シャーリー「……なるほど、偶然にしちゃ出来過ぎてるってか?」
エーリカ「確証はないけどね」
シャーリー「んー……いや、ちょっと調べてみる価値はありそうだな」 - 333: 2015/04/08(水) 17:43:17.97 ID:sPKijP6OO
- 廊下
シャーリー「…さて。 んじゃ、どうすっかな」ンー
シャーリー(今回の騒動……あたしなりにいくつか推理はあるけど、もっと情報が欲しいな)
シャーリー(とにかく事の頭っから関わった奴の話を聞きたい。 けどサーニャは無理だから――)
シャーリー「…エイラかぁ(あいつも今は無理かなー…)」
シャーリー「ん~…」
シャーリー「……色々と心配もあるし、とりあえず様子見に行ってみるか」 - 334: 2015/04/08(水) 17:46:02.12 ID:sPKijP6OO
- ――――
――
―
シャーリー「(…エイラのやつ、今のサーニャの状態知ったら絶対やばいだろな。 どう説明すりゃ――…いや、いっそ隠した方がいいか? )……ん~」スタスタ
シャーリー「…ん? 中佐達だ」
美緒「――ああ、これは一時凌ぎに過ぎんしな」
ミーナ「作用量ギリギリの投与だけど、オーバードースや依存後遺症の危険を考えると今回きりにするべきね」
美緒「うむ……では、効いているうちに話してしまうか?」
ミーナ「…それも危険じゃないかしら?」
美緒「だが隠すリスクも大きい。 サーニャが直ぐに回復する保証は無いからな」
ミーナ「……ええ、でも…」 - 335: 2015/04/08(水) 18:01:57.75 ID:sPKijP6OO
- シャーリー「少佐ー、中佐ー」スタタ
美緒「む? シャーリーか」
シャーリー「…どうしたんです2人して? エイラになんかあったんですか?」
美緒「丁度いい所へ来たな。 シャーリー、お前の意見も聞きたい」
シャーリー「え?」
ミーナ「実は、ついさっきエイラさんが目を覚ましたの」
シャーリー「おぉ、そうなんですか! ……大丈夫でした?」
美緒「いや、駄目だ」
シャーリー「…だよなぁ。 無理もないか」 - 336: 2015/04/08(水) 18:10:38.74 ID:sPKijP6OO
- ミーナ「かなり不安定な状態だったから、非常処置として鎮静剤を打ったわ」
シャーリー「…!」
美緒「甲斐あって今はどうにか落ち着いている。 私は今のうちにエイラに事実を受け入れさせるべきだと考えるが」
ミーナ「私はもう少し様子を見てからにした方がいいと思うの。 確かにいずれは話さなければいけない事だけど…」
シャーリー「……」
美緒「お前はどう思うシャーリー? 今回の事の大きさを鑑みるに、エイラをこのまま腐らせておく訳にはいかんだろう?」
シャーリー「…そうですね。 あたしも早いとこ手を打たないと、このままもっとヤバい事になるような気がします」
美緒「ああ、同感だ」
シャーリー「けど今エイラにサーニャの事を話す必要はないんじゃないですか?」
ミーナ「シャーリーさん…!」 - 337: 2015/04/08(水) 18:17:45.24 ID:sPKijP6OO
- 美緒「…何故だ?」
シャーリー「手を打つにしたって何が起きてるのかすらわからない状況ですし、まずはそっちの情報を集めるのが先だと思いますよ?」
シャーリー「エイラにリカバリーしてもらうのはそれからでも遅くないですって! それに中佐の心配するように万が一があったらもう聞き取りどころじゃなくなりますよ?」
美緒「むぅ…そうか」
シャーリー「てのが、あたしの考えです」
ミーナ「…美緒、どうかしら?」チラ
美緒「んー……確かにそうだな。 しかし何も分かっていないからこそ、一刻先が安全な保証はない。 この状態で敵が来たらどうする?」
シャーリー「そん時は、あたしがエイラの分までやりますよ!」 - 338: 2015/04/08(水) 18:41:51.05 ID:sPKijP6OO
- 美緒「……その台詞にどれだけの責任が伴うか分かっているんだろうな?」
シャーリー「勿論」
美緒「…いいだろう。 お前に任せる」
シャーリー「あいあいマーム!」
ミーナ「今なら落ち着いて話せると思うけど、少し朦朧としてるかもしれないから注意して」
シャーリー「その方がかえって好都合ですよ。 …中佐達は一歩下がっていて下さい」ガチャ
美緒「何故だ?」
ミーナ「…なるべくストレスをかけないようにって事ね? わかったわ」 - 340: 2015/04/08(水) 19:50:08.48 ID:sPKijP6OO
- エイラーニャ部屋
エイラ「……」ポケー
シャーリー「よ、エイラ。 邪魔するよ」
エイラ「…シャーリー?」
ミーナ「……」
美緒「……」
シャーリー「んー、少し顔色よくなったじゃん!」
美緒(…?) - 341: 2015/04/08(水) 19:52:18.71 ID:sPKijP6OO
- エイラ「……そうか…?」
シャーリー「なってるなってる。 でもドクターが言うには風邪もひいてるみたいだから、今日はまだじっとしてた方がいいぞ?」
美緒「……そうなのか?」ヒソ
ミーナ「いえ、知らないわ。 エイラさんは魔法力の過剰消費による体調不良だけの筈よ…」ヒソヒソ
エイラ「…うん、なんかちょっと頭がボーッとする。 変な感じだナ…」
シャーリー「(鎮静剤の作用か)気だるい時に悪いんだけどさ、ちょっとだけ聞いてもいいか? 急いでるんだ」
エイラ「……うん」
シャーリー「サンキュ。 …3日前の夜間紹介の事なんだけど、覚えてるか?」
エイラ「…3日前……」
シャーリー「ほら、えーっと…中佐が休んだ日の」 - 342: 2015/04/08(水) 19:56:46.80 ID:sPKijP6OO
- エイラ「……3日前…? ぅぅん…ワタシは確か…」ポケー
シャーリー「……」
ミーナ「…シャーリーさん、それ以上はサーニャさんの事に――」
美緒「待てミーナ。 暫くシャーリーに任せよう」ス
エイラ「……」
シャーリー「…ダメか」
エイラ「ごめんシャーリー……ワタシねむいぞ…」
シャーリー「あ、待った! じゃあ一昨日の夜はどうだ!? 少佐と飛んだんだろ?」
エイラ「少佐…? ………ああ、うん…そうだったカモな…」 - 343: 2015/04/08(水) 20:00:27.99 ID:sPKijP6OO
- シャーリー「なにかおかしな事とかなかったか? なんでもいい」
エイラ「……少佐に聞いてくれぇ…」
シャーリー「もう聞いたよ! お前の意見も聞きたいんだ!」
エイラ「…ゥ~……なんか、すごい嫌だったナー…」
シャーリー「嫌だった?」
エイラ「ずーっと…、ずーっと胸騒ぎがしてたんだ……嫌な感じだったぞ…」ポケー
シャーリー(胸騒ぎ…!?)
エイラ「…でもケッキョク、見つけたのはイルカの大群だけだったナ……」 - 344: 2015/04/08(水) 20:04:48.50 ID:sPKijP6OO
- シャーリー「イルカか。 …?」チラ
美緒「ああ、間違いない。 丁度エイラの予知が起こる前だ」コク
ミーナ「アドリア海には多いのよ。 ネウロイの侵略域から退去した群れだと思うわ」
シャーリー「…そうですか」
エイラ「……もうイイか? ネムイ…」ドサ
シャーリー「あ、あぁ。 オーケー、サンキューな(殆どなんも聞けてないけど、しょうがないか)」
エイラ「……」ポケー
シャーリー「ほら、ちゃんと布団かけろよ? 夏でも今日は冷えてるからさ」パサ
エイラ「…なぁ、シャーリー」
シャーリー「ん? どうした?」
エイラ「…………サーニャはどこだ?」
- 345: 2015/04/08(水) 20:14:18.04 ID:sPKijP6OO
- シャーリー「えっ」
美緒「……」
ミーナ「っ……」
シャーリー「…サーニャも休んでるよ。 ほらエイラもゆっくり――」
エイラ「下のベッド、ここはサーニャのだぞ……?」
シャーリー「今は別室で寝てるんだって。 お前の風邪が移ったらヤバイだろ?」
エイラ「……」
シャーリー「な?」 - 346: 2015/04/08(水) 20:16:41.25 ID:sPKijP6OO
- エイラ「……そっか、そーダナ…。 ワタシのせいでサーニャに迷惑かけちゃったな…」
シャーリー「大丈夫だって、もういいから――」
エイラ「…ごめんなサーニャ。 ……ごめん…ッ…、ワタシの…せいっで…サーニャ……ッ~」グス
シャーリー「!?」
エイラ「~ぅぅ……ッ…ごめ……サ…ニャ、…ごめん…~ぅぐ…ッ」ポロポロ
シャーリー「……エイラ、お前」
ミーナ「シャーリーさん」グイ
シャーリー「! 中佐?」
ミーナ「……」フルフル - 347: 2015/04/08(水) 20:18:46.65 ID:sPKijP6OO
- ミーナ「ここまでよ、暫くはそっとしてあげましょう?」
美緒「…そうだな」
シャーリー「……わかりました。 それじゃ、あたしは失礼します」スク
美緒「どうするつもりだ?」
シャーリー「自分のやれることをやりますよ。 …ちょっと確かめたいことがあるんで」スタスタ
ガチャ パタン
…タッタッタ――
ミーナ「シャーリーさん…」
美緒「ふむ……どうするべきか」ムゥ - 354: 2015/04/16(木) 22:12:10.94 ID:yX4M6mo2O
- 滑走路
ザザァーン…
シャーリー「……」
シャーリー「…なーんも掛かんねぇなー」
ザザァーン…
シャーリー「……」
シャーリー「タイミングが良すぎる、か…(だとすると、やっぱ――)」
『おい、シャーリー』 - 355: 2015/04/16(木) 22:19:55.70 ID:yX4M6mo2O
- シャーリー「ん…? おーバルクホルン、どうかしたか? こんなとこで」
バルクホルン「それはこちらの台詞だ。 お前こそ何をしている?」スタスタ
シャーリー「見たことない? 釣り」クイ
バルクホルン「…この非常時に何故そんなことをしているのかと聞いているんだ」
シャーリー「まあ、ちょっとな」
バルクホルン「隠すな! お前がふざけていないことぐらい、私にはわかる」
シャーリー「……」
バルクホルン「いったい何をしている? 答えろシャーリー」 - 356: 2015/04/16(木) 22:32:01.85 ID:yX4M6mo2O
- シャーリー「……あの時あたしもサーニャも、なんかしらをやられたんだ。 自然現象なんかじゃない」
バルクホルン「? …ああ、今朝に聞いた話だな」
シャーリー「でも、いったいなにをされたんだ?」
バルクホルン「それを調べているというのか? 釣りで…?」
シャーリー「…なあバルクホルン。 お前、マジで生理じゃないんだよな?」
バルクホルン「そ、それがどうした!?///」
シャーリー「ここ数日、皆の体調や精神が不安定過ぎると思ってさ」クイクイ
シャーリー「中佐、宮藤、サーニャ、ルッキーニ、……ハルトマンもそうらしい」
バルクホルン「なに?」 - 357: 2015/04/16(木) 22:49:53.35 ID:yX4M6mo2O
- シャーリー「始めは疲れか、そういうプライベートな事情だろと思ってたけど……ここへきて基地員も大勢ダウンしてる。 お前が情緒不安定なのも、もしかしたらさ…?」
バルクホルン「……なるほど、それが謎の襲撃の正体を掴むヒントになるか。 だがどうして釣りなんだ?」
シャーリー「被害調査だよ。 この辺にいるのは“あたし等”だけじゃないだろ?」
バルクホルン「!」
シャーリー「あたしが下手なだけかもしれないけど、もう2時間近くもやって全く反応ない」
バルクホルン「確かにこの辺りは沖に出なくとも海魚が見られる。 この基地をも含む規模で、何かが起こった――…いや、起きているのか!?」
シャーリー「かもな? んで、もしそうなら今回の騒動と関係ないなんて考えないだろ?」
バルクホルン「……そうだな、いくらなんでもタイミングが合い過ぎている。 いったい何が…?」
シャーリー「肝心のそこが分かんねぇんだよなー。 …あーもう止めた」ヒョイ - 361: 2015/04/17(金) 00:24:06.97 ID:wNOHHnSjO
- バルクホルン「んー…だがエイラ達が異変を察知した空域はここから離れているんだぞ? 本当にそんなことが――」キョロキョロ
バルクホルン「…!? あれは…!」
バルクホルン「おい、シャーリー!」
シャーリー「あーちょっと持って。 今糸が絡まっちゃってて――」
バルクホルン「後にしろ!!」グイ
シャーリー「ぐぉわっ! なんだよ!?」
バルクホルン「あそこだっ! 見ろ!」 - 362: 2015/04/17(金) 00:28:51.59 ID:wNOHHnSjO
- シャーリー「!? 魚が…!」
バルクホルン「全部死んで岸まで流れ着いている様だ。 多くはないが、あの数は普通じゃないぞ?」
シャーリー「……やっぱりか」
バルクホルン「…つまり、アドリア海中枢からここに至るほどの何かがサーニャを瀕死に追い込み、お前に嘔吐させたということなんだな?」
シャーリー「ああ。 …予想が当たったのに嫌な気分だよ、くっそ!」
バルクホルン「だがそれだけ巨大な規模となると……本当に作為的な物なのか? ネウロイに結びつく証拠も結局無いままだ、流石に何かしらの自然災害とも考えられるんじゃないか?」
シャーリー「……いや、違う。 あの時あたしとサーニャは攻撃されたんだ」
バルクホルン「どうして断定できる?」
シャーリー「エイラの未来予知は多分正確だった。 それで少佐達やハルトマンは止められたんだろ?」 - 363: 2015/04/17(金) 00:32:36.17 ID:wNOHHnSjO
- バルクホルン「ああ、それ以上進むと撃墜されると言われた。 だがそれは現象の効果エリア線と考えれ――…!? そうか!!」ハッ
シャーリー「…な? 本当はここまで届くんだよ、この辺の魚も死んでるし」
バルクホルン「だが、それならどうして私達は血を吐かずに意識を保っている!?」
シャーリー「それはわかんねぇけど……サーニャは多分そのラインを超えて、捕捉されたんじゃないかって思うんだ。それでやられたんだよ」
バルクホルン「……」
シャーリー「考えても見ろって。 エイラが止めたその辺を、ちょっと超えたら死ぬかもしんないのにギリギリ超えなきゃ平気って変だろ? 距離とダメージが比例するならわかるけど」
バルクホルン「それは、そうだな。 確かに」
シャーリー「けどまあ、その何かの余波っていうか影響がここまで届いてるからこうなってるんだろうけどさ」 - 364: 2015/04/17(金) 00:38:03.33 ID:wNOHHnSjO
- バルクホルン「…ここが狙われていないにしろ、早く正体を突き止めて対策を取らなければな」
シャーリー「ん~、いまいち手掛かりがなぁ…。 そもそも見えない……つーか全く自覚なくやられるってのが謎だ」ポリポリ
バルクホルン「……現象は起こるんだ、つまり起因するものが必ず存在する。 何も無いわけがないという意識で考えればいい」
シャーリー「…なにかわかったのか?」
バルクホルン「そこにある筈、しかし視認できない。 となれば対象はそれほどに微細という事だ」
シャーリー「うんうん」
バルクホルン「……ずばりウィルス。 我々の体調不良も細菌兵器の仕業に違いない!」
シャーリー「さ、細菌!?」
バルクホルン「目に見えぬ程となれば当然質量も小さい。 風に乗ってここまで来ることだって考えられる」
シャーリー「……まぁ、そうか」ムム - 365: 2015/04/17(金) 00:39:33.37 ID:wNOHHnSjO
- シャーリー「んー、ウィルスか…………ぁ! でもさ――」
バルクホルン「早速ミーナに報告して来よう!」
シャーリー「あっ! おい待てって!」
バルクホルン「事態は一刻を争う、直ちに対策を練る!」ダッ
シャーリー「ちょ……バルクホルン!!」
タッタッタッ――
シャーリー「…………本当にウィルスなのか?」 - 366: 2015/04/17(金) 00:50:29.53 ID:wNOHHnSjO
- シャーリー「……」
シャーリー(なんか引っ掛かるな。 あんまり納得がいかねぇ、なんでだ…?)
シャーリー「…自覚してないだけかもしんないけど、あたしは基地にいても健康だし。 特別に鬱屈もイライラもしてないと思う…」
シャーリー(個人差があるのか? ……病気になり難いとか? それとも体質? 抗体ってやつ??)
シャーリー「…………違うよな。 だってあたし、サーニャを連れて逃げる時はくらったんだ」
シャーリー(じゃあなんで今はピンピンしてるんだ? ……そうだ自分で言ったんじゃんか、サーニャとあたしは捕捉されてた! つまり相手の射程圏内だったからここより強くて――)
シャーリー(…てことはウィルスじゃないだろ!? 感染ってのは白か黒なんだから、距離なんて関係ないっ!)
シャーリー「いや、でも程度はあるのかも…?? ……だぁーーもうっ! 頭がこんがらがってきた!!」クシャクシャ - 370: 2015/04/21(火) 06:02:31.03 ID:0zYaFuyzO
- ――――
――
―
格納庫
シャーリー「……あーも~! 全然わかんね」ポイ
シャーリー「ユニットのディチューンもイマイチだし。 …もーこれでいいや」パタン
シャーリー「はぁ…」
シャーリー(そもそも基地員まで全員やられてるってのに、サーニャと一緒にいたあたしがゲロだけで済んだっつーのもなんか――)
。
◯
(整備士長『まったく恥ずかしいですよ。 501の基地員である我々が、こんな素人みたいな様…』)
◯
。
シャーリー「 ! 」ハッ - 371: 2015/04/21(火) 06:05:11.60 ID:0zYaFuyzO
- シャーリー「…………そっか。 あたしだけじゃないや、平気な奴」
シャーリー「…整備チームの皆は大丈夫っぽい。 なんで? ストライカーの整備士には感染しないウィルス……な訳ないし」
シャーリー(チーフ達とあたしの共通点……見えない敵、攻撃……死んでる魚…)
シャーリー「……それから」
。
◯
(シャーリー『――チッ、高積雲かよ』)
(エイラ『見つけたのはイルカの大群だけだったナ…』)
◯
。
シャーリー「っ!! もしかして…!?」
『お~い、シャーリー?』
タッタッタッ
シャーリー「……」 - 372: 2015/04/21(火) 06:06:14.74 ID:0zYaFuyzO
- エーリカ「いたいた、すぐ見つかって助かったよ」
シャーリー「……」
エーリカ「さっきミーナと話してたらトゥルーデが来てさ? 例の攻撃の正体がわかったって!」
シャーリー「……違う」ボソ
エーリカ「えっ?」
シャーリー「…そうじゃないっ!!」ダッ
エーリカ「あっ、ちょっと!」 - 373: 2015/04/21(火) 06:19:16.16 ID:0zYaFuyzO
- 滑走路先端
シャーリー「っはぁ……ふぅ…はぁ……(あたしらには無理でも、こいつなら…!)」フィィン ピョコ
シャーリー「~はぁふ……はぁ…(くそぉ、自分の息遣いが邪魔だ!)」
シャーリー「ッ…!」ピク
タッタッタッ
エーリカ「も~、急に走り出してなんだよぉ?」スタタ
シャーリー「……」
エーリカ「こっちは結構急ぎの用なんだからさ、話聞いてよ?」
シャーリー「…あたしの血液でも欲しいってんだろ」
エーリカ「え? なんでわかったの??」 - 374: 2015/04/21(火) 06:22:00.17 ID:0zYaFuyzO
- シャーリー「そんなウィルスも、あたしの体に抗体も多分無いよ」
エーリカ「……それってどういう――」
シャーリー「しっ! 静かに!」
エーリカ「!?」
シャーリー「……」ピョコ
エーリカ「…?」
シャーリー「…………――」ピョコ ピョコ
≪ … …≫
シャーリー「……やっぱり、そういう事か」 - 375: 2015/04/21(火) 06:23:43.98 ID:0zYaFuyzO
- エーリカ「…なにが??」
シャーリー「ハルトマン! 悪いけど先にあたしの話を聞いてくれ、医学的な検知ってやつの意見も聞きたい」
エーリカ「え? …なに? ていうか私は素人だってば」
シャーリー「んぁ、そっか。 …どうしよう。 多分間違いなさそうだけど、わかりそうな奴にちゃんと確認取りたいな…」
エーリカ「ねえ、なんの話さ? シャーリーってば!」
シャーリー「ああ、わりぃ。 …今から説明するよ。 エイラが予知して、サーニャを襲った謎の正体をな」 - 380: 2015/04/22(水) 00:16:23.08 ID:fGAaH6Ic0
- 通信室
ミーナ「…そういった状況ですから、遺跡調査に派遣されている人員を直ぐに撤退させてください」
『その必要はない。 調査は引き続き行う』
ミーナ「!? 危険です閣下!」
『リスクを負わずに得られるものがこの世にあるかね、ミーナ中佐? 我々に必要なのは撤収ではなくそれなのだよ』
ミーナ「(…リスクですって!? 自分の命じゃないのよ!!)……そこまでして、いったい何をお調べなのですか?」
『君達には直接関係の無いことだ』
ミーナ「…ここの責任者は私です。 基地内で行われる事項について把握する義務があります」 - 381: 2015/04/22(水) 00:20:28.75 ID:fGAaH6Ic0
- 『ほぅ…言うな中佐? だが私は君の上司だ。 これがお願いに聞こえるのなら君の評価は変えざるを得ないな、君の部下達もさぞかし残念がるだろう』
ミーナ「っ……」ギリ
『報告ご苦労だった、そのまま基地及び戦線防衛に尽力したまえ』
ミーナ「…了解、しました」
『うむ』ブツッ
ミーナ「……」
ミーナ「(なんだかきな臭い、…何か企んでるわね)……絶対に逃がさないわ」
ガチャッ
エーリカ「あ!」
シャーリー「うおっ! 中佐!?」
ミーナ「! シャーリーさん、エーリカ」 - 382: 2015/04/22(水) 00:30:06.96 ID:fGAaH6Ic0
- エーリカ「ミーナ通信機使うの?」
ミーナ「…いいえ、丁度終わったわ。 どこへ繋ぐの?」
エーリカ「ちょっと妹に挨拶」
ミーナ「…? いいけど、あまり私情でここを使うのはやめなさい? その為の物だってあるんだから」
エーリカ「はーい」
ミーナ「…で、シャーリーさんは採血よね? 事情は聞いてるかしら?」
シャーリー「えっ? あぁっと、それなんですけど中佐…」
ミーナ「なに?」
シャーリー「ちょっと待ってもらえませんか? 多分ウィルスの線は考え難いですよ」
ミーナ「…と言うと?」 - 383: 2015/04/22(水) 00:51:28.65 ID:fGAaH6Ic0
- エーリカ「トゥルーデがひとりで突っ走っちゃったんだって? 私も聞いたけど、確かにシャーリーに一理あるよ」
シャーリー「それにあたしが比較的元気だからって、血を抜いて調べても何にもなんないと思いますよ?」
ミーナ「そう。 でもそれだけはっきり言うって事はシャーリーさん…?」
シャーリー「まだ確認中です。 混乱しないためにも確信を持ってから話します」
ミーナ「……(なるほど、それで)」チラ
エーリカ「?」
ミーナ「(…協力もしているみたいだし、大丈夫そうね)わかったわ。 バルクホルン大尉には私から伝えておくけど、先に会ったら上手く説得して頂戴?」
シャーリー「了解です」 - 384: 2015/04/22(水) 01:01:28.76 ID:fGAaH6Ic0
- ミーナ「…それじゃあ、私も急ぐから」スタスタ
エーリカ「ミーナどこ行くの?」
ミーナ「こっちも少しやる事があるの。 私に用がある時は、訪ねないで内線でお願い」ガチャ
パタン
シャーリー「……? 中佐も忙しそうだな」
エーリカ「こんな時だしね。 えーっと技術省に繋ぐにはー…」カチャカチャ
シャーリー「(通信兵も全員ダウンしてるのか? もし人払いしたんだとしたら、中佐はいったいどこに…?)」
エーリカ「…あ、もしもし? こちら501のエーリカ・ハルトマンですけど――」 - 389: 2015/04/25(土) 00:55:49.21 ID:of12V4IuO
- ――――
――
―
シャーリー「……まだかー?」ファ~
エーリカ「もうちょっと待って、もう解ったから」カチャカチャ
シャーリー「何回たらい回しにされてるんだよ…。 ハルトマン、自分の妹の連絡先把握してないのか?」
エーリカ「ごめんーって~……ぁ、もしもし? 501のハルトマンだけど、ウルスラいる!?」
シャーリー(切り出しが雑になってるし…)
『……ぇ、姉さま?』
シャーリー「お、きた!」
エーリカ「ウルスラ!? …やった、やーっとだぁ~」
ウルスラ『…どうしたんですか姉さま、突然ここへ直通信だなんて?』 - 390: 2015/04/25(土) 00:58:19.66 ID:of12V4IuO
- エーリカ「うちのシャーリーがさ、ウルスラに聞きたいことがあるって?」
ウルスラ『……イェーガー大尉がですか?』
エーリカ「ちょっと待ってー、今変わるから」
ウルスラ『ぁ…姉さま!?』
エーリカ「はい、シャーリー」クイ
シャーリー「…挨拶とかいいのか?」
エーリカ「急いでるんでしょ? ほーら!」
シャーリー「さ、サンキュー…」パシ - 391: 2015/04/25(土) 01:06:32.41 ID:of12V4IuO
- シャーリー「……あー、もしもし? イェーガーです。 どうも」
ウルスラ『ぁ、はい。 ねえさ……エーリカ・ハルトマンの妹のウルスラです。 お久しぶりですイェーガー大尉』
エーリカ「なんかぎこちないな~」
シャーリー「一回挨拶した程度なんだからしょうがないだろ!?」
ウルスラ『あの、それで……私にお聞きされたい事というのは…?』
シャーリー「あ、あーそうそう! えっと…その、ハルトマンの妹は読書家で色々詳しいって聞いたからさ」
ウルスラ『はあ……? 確かに、昔は本の虫でしたが』
シャーリー「それでちょっと聞きたいんだけど……あー、なんて言えばいいかな? えーっとぉ……」
エーリカ「じれったいな~」
ウルスラ『…あの、宜しければ順序立てて説明されてはいかがしょう? その方がお役に立てると思います』 - 392: 2015/04/25(土) 01:13:49.04 ID:of12V4IuO
- ――――
――
―
ウルスラ『……』
シャーリー「どうかな? あたしは経験上そうじゃないかと思ってるんだけど」
ウルスラ『…イェーガー大尉の仰ったことに関して学術的に有意なものは少ないですが、因果関係はある程度支持されています』
シャーリー「やっぱそうか!」
ウルスラ『ですが理論も本に書かれた知識同様、所詮は机上の物です。 あくまで“それ”を恣意的に起こせればの話ではあります』
シャーリー「…そこは、正直自信ないな。 あたしも信じたくないくらいだし…」
エーリカ「ウルスラはどう思う、他に何かあるかな?」 - 393: 2015/04/25(土) 01:25:43.07 ID:of12V4IuO
- シャーリー「うぉっ!? おいハルトマン、横からいきなり…!」ヨロ
ウルスラ『そうですね……。 敵対象を想定したとして、それが捕捉できない原因を距離が離れていること以外で考えるのはどうでしょう?』
エーリカ「…透明なネウロイってこと?」
ウルスラ『例えばそういうことです』
シャーリー「距離以外でか……う~ん…」
エーリカ「確かに見える所にいないんじゃなくて、敵も単に見えないだけって言うのはアリだね? そんなの居てほしくないけどさ」
ウルスラ『はい』
シャーリー「…でもそれだとまた色々辻褄が合わなくなるんだよなぁ。 攻撃の正体は多分間違ってないと思うし」
ウルスラ『対象が透明であるという仮説はあくまでも一例です、大尉』
エーリカ「えー? 私の意見は却下!?」ム
シャーリー「場合によってはそれも考えるよ」 - 394: 2015/04/25(土) 01:30:04.64 ID:of12V4IuO
- ウルスラ『申し訳ありませんが私も頂いた話だけではハッキリした事はわかりません。 …つまりは頭を柔らかくして考えることが、答えに近づくヒントになるのではというのが私の意見です』
シャーリー「…柔らかく……ん~」ポリポリ
エーリカ「というかさ? 考えるのもいいけど、とりあえず対策とってみてからでもいいんじゃない?」
ウルスラ『姉さまの言うことも最もですね。 あまり時間を使える事態でないのは確かだと思います』
シャーリー「……そうだな」
ウルスラ『でしたら私の方でその為に役に立ちそうな物が有るので、急いでそちらにお送りします』
シャーリー「お、まじで!?」
ウルスラ『はい。 数はあまりないのでウィッチの方々の分しか用意できませんが』 - 395: 2015/04/25(土) 01:36:02.99 ID:of12V4IuO
- エーリカ「さーっすがウルスラ! 用意がいいね!」
ウルスラ『本日中に輸送機で出しますので、検閲に時間を取られなければ明日にはそちらへ届くと思います』
シャーリー「サンキュー! ホント助かる」
エーリカ「どんな物なの? あまり使うの面倒なのはやめてよ?」
ウルスラ『大丈夫ですよ姉さま。 使い方は――』
――――
――
―
ノイエ・カールスラント領
某所
ウルスラ「――はい、それでは」
ウルスラ「…ぁ、姉さま? 大変な事態だと思いますけど、あまり無理はしすぎないでくださいね?」
ウルスラ「…………はい。 では失礼します」
ウルスラ「……」パチン
モブ博士「…501か、アドリア北西が何か物騒になっている様だね?」スタスタ
ウルスラ「! 博士」 - 396: 2015/04/25(土) 01:44:56.31 ID:of12V4IuO
- モブ博士「いやすまない、音漏れが聞こえてしまったのでね」
ウルスラ「…ヴェネツィアの事もありますし、ロマーニャ南北で戦線が多面化する恐れもあります」
モブ博士「妹さん達が心配かな?」
ウルスラ「……」
モブ博士「……ふぅ。 フリーガーシュレッグの開発は少し休憩だろうな」
ウルスラ「…博士。 アレを501基地に送りたいのですが」
モブ博士「わかった、10人分だね? 直ぐに用意しよう」
ウルスラ「いえ、11人分をお願いします」
モブ博士「! ……わかった」
『――それにしても無人機開発部の奴等はまたどこ行ってんだろうな?』
『無人機開発部って…確か連合上層に参加してる高官の膝下だよな? なんかロマーニャに遠征調査しに行ってるらしいぞ?』
ウルスラ「…?」
ガチャ
モブ研究員A「俺はどうも連中は嫌だな。 例の件じゃあのマロニーに一枚噛ませてたって噂もあるし」スタスタ
モブ研究員B「ははっ、ウォーロックは失敗したんだろ? ブリタニアの元大将はとっくに失脚したし、ガランド中将お抱えの我ら魔導機開発部には関係ないことさ」ヘラ
モブ研究員A「いやそれが、なんでも今度は扶桑の――」
ウルスラ「……」
モブ博士「…君達! 現場に休憩の空気は持ち込まないようにしなさい」 - 399: 2015/04/26(日) 12:02:00.10 ID:dmASoip8O
- 501基地
執務室
『なるほど。 相変わらず受難が多いな君は』
ミーナ「…やめてくださいガランド中将、自分では考えないようにしているんですから」
ガランド『ああそうだったか、すまない。 …それで? 秘匿のプライベートラインまで使ってまた何の用件かな?』
ミーナ「……今回の上層部の動き、中将なら何かご存知なのではと」
ガランド『フッ、それはどうかな? 私は彼奴らに内心煙たがられているからなぁ。 腹の底はわからないよ』
ミーナ「…隠さないでください」
ガランド『いや、本当に具体的な所はわからないさ。 だがな中佐――』
ガランド『もしかすると、随分ややこしい事になってるかもしれないぞ?』
ミーナ「……どういうことです?」 - 400: 2015/04/26(日) 12:28:53.41 ID:dmASoip8O
- ガランド『君達の基地となっているその古代遺跡が、表層でしかないことは知っているだろう?』
ミーナ「はい。 耳にされていると思いますが、先日ここのウィッチ達が地下区画を発見してひと騒動ありました」
ガランド『ひと騒動か……あの北郷の教え子が君にディープキスしたそうだな? 驚いたよ』
ミーナ「っ!!? ど、どうしてそんな事…!?////」
ガランド『君がこうして頼る程に、私の情報網は侮れないということだ』
ミーナ「ぃ、いえ…あのっ! 違うんですガランド中将!? あれは坂本少佐がワインで――///」
ガランド『クッフフ! 話が逸れたな、すまない』
ミーナ「~~っ……こ、この件についても今は考えないようにしていますので…」グヌ - 401: 2015/04/26(日) 12:48:42.27 ID:dmASoip8O
- ガランド『話の続きだが。 君も今言ったその報告……具体的には遺跡深層が活きていた事がきっかけなんだが、調査の名目でメスが入っている』
ミーナ「名目…? 実態調査ではないんですか!?」
ガランド『確かに調査には違いないだろうが、そこまでのんびりした話では無いな。 恐らく連中は“あたり”をつけてやっている。 だからこそ引かないんだ』
ミーナ「……いったい何の目的で?」
ガランド『残念だが詳細はわからない。 そもそも私は自国の空軍ウィッチを預かったまでの立場で、欧州連合のピラミッドに登ったことは無いのでな』
ミーナ(統合編成の立役者が随分なご謙遜だわ)
ミーナ「…ですがガランド中将の耳にも届いてないということは、やはりウィッチとは無関係なのでしょうか?」
ガランド『そこは難しい所だな』 - 402: 2015/04/26(日) 13:01:12.29 ID:dmASoip8O
- ミーナ「ぇ…?」
ガランド『彼奴らの調査対象はウィッチ、だが“我々”ではないのだろう』
ミーナ「……」
ガランド『…君はマレフィキウムという言葉を知っているか?』
ミーナ「? いえ……まさかラテン語ですか?」
ガランド『そう、帝国時代のロマーニャの公用語だ。 君達が見つけた宝の地図にも使われていたらしいな』
ミーナ「はい。 …そのマレフィキウムが何か?」
ガランド『少し前から上で耳にするようになってな。 私もなかなか多忙で辞書を引く暇もないんだが、どうやらタブーに関わる語彙らしい。 陛下の前で口にしたら叱られてしまったよ』
ミーナ「何をなさっているんですか…」ガク - 403: 2015/04/26(日) 13:16:57.80 ID:dmASoip8O
- ガランド『いや陛下なら存じているかと思ってそれとなく伺ってみたんだが、口をつぐまれてしまった』
ミーナ「…陛下の指示を無視してまだ飛んでいるからじゃないんですか?」
ガランド『フフ、かもしれんな。 …ああ、それともう一つ! “悪魔狩り”なら君も知っているな?』
ミーナ「悪魔狩り? ……ええ、はい。 ウィッチ達へのプロパガンダの為に昔からある、子供向けの作り話ですよね?」
ガランド『私も同じ認識だが、どうも連中はそれを真に受けている節がある』
ミーナ「…はい?」
ガランド『聞いたのはさっきのラテン語と丁度同じ頃だ。 ……これは少々クサイぞ中佐?」
ミーナ「……確かに、ややこしそうですね」
ガランド『まだまだ受難は続きそうだな』
ミーナ「ええ。 …それが私の仕事ですから」ハァ - 404: 2015/04/26(日) 14:00:17.03 ID:dmASoip8O
- ガランド『今の私に分かることはこれぐらいだな。 遺跡調査に出ている者達にはカールスラントの技術チームもいる様だから、君達にも情報開示するよう根回しはしてみよう』
ミーナ「よろしくお願いします」
ガランド『しかし結果を導くのは、現場にいる君達だ』
ミーナ「…わかっています。 501もウィッチーズも私が守り抜きます」
ガランド『任せるぞ中佐、君達の立場はできる限り私が守ろう』
ミーナ「はい。 ありがとうございます」
ガランド『…では、健闘を祈る』
プツッ……
ミーナ「……」
ミーナ「…さてと、今が頑張りどころね!」 - 405: 2015/04/26(日) 14:09:17.55 ID:dmASoip8O
- 医務室
芳佳「……」
サーニャ「…」
芳佳「サーニャちゃん。 私、家族も友達も……もう大切な人がいなくなっちゃうのは嫌だよ」
サーニャ「…」
芳佳「…誰にもあんな悲しい思い、して欲しくない」ギュ
サーニャ「…」
芳佳「……だから、だから必ず助けるよ。 サーニャちゃんが目を覚ますまで私が絶対に守るから!」
サーニャ「…」
芳佳(もう、誰も傷つけさせたくない…!) - 406: 2015/04/26(日) 14:12:10.06 ID:dmASoip8O
-
【中編おしまい】
次スレ:
サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【後編】
- 関連記事
-
- サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【中編】
- エーリカ「結局こうなるんだよね~」
- サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【前編】
- サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【後編】
コメント
お知らせ
サイトのデザインを大幅に変更しました。まだまだ、改良していこうと思います。