- 1: 2012/07/02(月) 14:48:51.34 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「全く遅い子だね」
白雪姫「ごめんなさい…」
王妃「ほら、早くここを掃除しなさい」
白雪姫「はい…」
王妃「…」
ジロリ
白雪姫「ビクッ」
- 5: 2012/07/02(月) 14:49:52.41 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「…」
ハア…
王妃「あの子ももう16歳…」
王妃「…綺麗になったわね、白雪姫」
王妃「それにあんなに健気でいい子になって…だから余計辛いわ…」
王妃「私は貴方をおびえさせることしか出来ないのが…」
ガックリ
側近「もうしばらくの辛抱でございます」
王妃「そうね、隣国の王子なら、あの子を幸せにしてくれるわ」
側近「王様の手には絶対渡してはなりませぬ」
側近「共に最後まで頑張りましょう」
王妃「…側近、ありがとう。貴方が頼りよ…」
- 8: 2012/07/02(月) 14:51:25.83 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「私が王様に結婚した理由…」
王妃「他でもない…策略結婚よ…」
王妃「『…私と…と結婚しろ…さもなくば戦争だ…』ですって」
王妃「小国の私の祖国と大国のこの国が戦争したら…結果は見えているわ」
王妃「私には…大臣の旦那様と…お腹に赤ちゃんがいた…」
王妃「…結婚するために赤ちゃんは下ろしたの…」
王妃「こうしてこの国と私の祖国は不可侵条約を結んだ…」
王妃「…国民が…私の家族が…これ以上傷つけられずに済むなら…
私がどんな目にあっても良かったわ…」
王妃「この城で…皆から“魔女”と言われようとも…うとまれても」
王妃「ああ…白雪姫…貴方だけはいつも優しかったわ」
王妃「この…血の繋がっていない私をお母様と呼んで…いつもくっついて来て…」
王妃「可愛かったわ…ホントに…娘が出来たみたいで…」
王妃「自分の子とダブられていたのかもしれないけど」
王妃「祖国では夫を裏切り子を殺した罪人、
王宮では魔女と呼ばれる私の居場所は白雪姫の隣しかなかったわ」
- 9: 2012/07/02(月) 14:52:56.57 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「白雪姫のお陰で私は少しでも幸せを感じれたの」
王妃「でも…いつまでもそうは出来なくなったわ…」
側近「…王妃様…」
王妃「あのスケベ…あいつ…」
------------------------------------------------------------------------------------------
王『側近よ』
側近『はっ』
王『王妃をどう思う?』
側近『それは大変美しい…と思いますが』
王『ははっ、確かに気は強そうだがね』
王『あれは…前の王妃にうり二つだ』
側近『王様…』
王『でもな…あれは俺には心から笑ってくれん』
王『そっくりだが何かが全く違う』
側近『…』
- 11: 2012/07/02(月) 14:54:17.92 ID:BSNXIY2Q0
- 側近(そりゃそうだぜ、結婚してたのを離婚させて、子どもまで下ろさせて…)
王『でもな…あれ以上に似ている女を見つけた』
側近『誰ですか!?』
王『白雪姫だ』
側近『…なんですと…!?』
まっさお
王『よく考えれば娘だから似てるに決まっている』
王『あれは…成長したらますます美しくなる…前王妃のように』
王『しかも性格もこの上なく似ている』
王『笑い方も…好きなものも…』
側近『…おやめに…』
- 13: 2012/07/02(月) 14:55:29.09 ID:BSNXIY2Q0
- 王『側近…逆らうなら…わかっているな…』
側近『…』
王『お前の一族…皆殺しだぞ…』
側近(クソッ、あの時と同じかよ!!今の王妃様の時と…)
王『上手く俺と白雪姫をくっつけろ』
側近『そんな…』
王『そして、年頃の男を一切近づけるな』
王『あれは…そうだな、隠しておこうか』
王『世間には…死んだことにして…な』
王『そして、塔でも立てて、そこに住まわせよう』
王『王妃…あれもついでにサッサと殺せ』
王『あの女が一番たてつくに決まっている』
王『いい加減、あれの国に攻めないのも辛くなってきたのでな』
側近(この外道…!!)
ギリッ
- 14: 2012/07/02(月) 14:56:40.86 ID:BSNXIY2Q0
- 側近『王妃さま…』
王妃『おや、どうしたの側近?』
側近『いますぐ2人で話したいことがあるのです…緊急事態発生です』
王妃『そ…そう、しばらく1人で遊んでてね、白雪姫』
王妃『どうしたの?そんな顔して?』
側近『王妃様、すみません…』
ガバァ
王妃『ちょ、どうしたの!?顔をあげて、側近』
側近『王様の暴走を止められませんでした』
王妃『へ…?』
王妃『もしかして…また増税したの?民衆はあんなに苦しい生活を送っているのに…』
側近『いえ、増税ではありません』
- 16: 2012/07/02(月) 14:57:36.74 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『…新しい女の人を見つけたの?』
側近『…そうですが…』
王妃『はぁ…まあいいわ…で、相手は?』
側近『…白雪姫です…』
王妃『…!いま…なんて…?』
側近『貴方が娘のように可愛がっている…白雪姫です…』
王妃『そんな…あの人の実の娘よ!?』
側近『…あの王様は…いえ、あの人は狂っています…』
側近『王様は、姫様を一人占めにしたいがため、世間一般には死んだと公表し』
側近『塔にでも閉じ込めるつもりです!』
王妃『なんてこと…どうすればいいの…』
- 17: 2012/07/02(月) 14:58:43.25 ID:BSNXIY2Q0
-
王妃『…王様を暗殺するわ』
側近『ダメです!!』
王妃『決行するチャンスは…夜、共に寝るとき…』
側近『いくらなんでも無理です!!』
側近『あの人は昔、王子のころ最強の戦士と謳われた男ですぞ!!』
王妃『…』
側近『歳をとったとはいえ…この間の剣の舞を見る限り、腕は衰えておりません!!』
王妃『私だって…全く武芸に通じてないわけではないわ…』
側近『ですが…』
王妃『やるしかないわ…どうせ、あの人は私を殺す予定でしょ?』
王妃『…それに、万が一王を殺せたら…私がこの国の権力を握ることが出来る』
王妃『祖国も…白雪姫も守れる』
側近『でも、王妃様!王様は白雪姫の実の親ですよ!!』
王妃『実の親に犯される方が、殺される以上の悲劇よ』
- 19: 2012/07/02(月) 14:59:29.94 ID:BSNXIY2Q0
- 側近『しかし…それでは王妃様は…憎まれてしまいますぞ』
王妃『別にいいわ…私のことなんて気にしないで』
王妃『迎える結末が悲劇なら…全力で…その結末に抵抗するわ…』
王妃『悲劇を希望にかえれるように』
王『zzz』
王妃(今…眠っている…)
王妃(首を絞めるなら、今)
王妃(殺すなら、今!!)
グッ!!
王『!!』
- 20: 2012/07/02(月) 15:00:56.40 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『死ね!!』
王『ぐふっ…』
グォン!!
王妃(ぐっ…頭を…殴られた)
王妃(なんて力なの…)
王妃(早く…早く死んで…)
王『ぐ…ぐ…』
ガン!ガン!!
王妃(ダメだ…意識が)
王(いまだ!)
ゴフッ!!
王妃『ぐはっ!』
ガタン!!
王『お前、なかなかやるじゃないか』
王『昔…武芸でもやってたか』
王妃『く…』
- 21: 2012/07/02(月) 15:01:41.78 ID:BSNXIY2Q0
- 王『普通ならさっさと死ぬはず、あんなに殴ったのに…』
王『しかも…俺の足蹴りを食らってもいまだ立っている…』
王妃『…』
チャキ
王『ほう…まだ戦うのか…そんなちっぽけな小刀で…』
王妃『…黙りなさい!』
ブン!!
王『ふん』
スカッ
王妃『逃げるな!!』
ブン!!
王『ホイさっと』
グワン!
王妃『な…腕を掴まれた!?』
ガシィ
王『なかなかの身のこなしじゃないか…』
王『でも残念だったな…俺が相手で…』
- 22: 2012/07/02(月) 15:02:47.76 ID:BSNXIY2Q0
- 王『小刀は没収っと…』
王妃『くそっ…』
ギリリッ
王『おーこわっ』
王『そうだ、これ、返してあげるよ』
王妃『へ…?』
グサッ
王妃『…ゴホッ、ゴホッ』
ボタボタ…
王妃(小刀が…突き刺さっている…)
王妃(意識が…)
- 23: 2012/07/02(月) 15:03:30.89 ID:BSNXIY2Q0
- 王『白雪姫はどうした?』
側近『王妃様がいらっしゃらいので、泣きじゃくってベッドから出てきません』
王『はぁ~…王妃は今地下牢だが…』
側近『昨日から何も食べてはおりません』
王『面倒なことにしてくれたな、あの女…』
白雪姫『お母様…ぐすん…』
王妃(…とうとう幻覚も見るように…もう先は長くないわ…)
白雪姫『お母様…お母様…』
王妃(…)
王妃(本物なの…?)
- 24: 2012/07/02(月) 15:04:52.99 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫『お母様…お城のみんながいうの…お母様が悪いことしたから…』
白雪姫『だから閉じ込められてるって…』
王妃『し…白雪姫…』
白雪姫『私がイタズラしてもいつも許してくれる…』
グズグズ
白雪姫『…確かに罰は受けたりするけど』
白雪姫『何で…そんなひどいことしたの…?』
白雪姫『許してくれないの…?』
ボロボロ
王妃『…それほど酷いことを私はしたのよ』
王妃『まねしちゃだめよ』
ニコリ
- 25: 2012/07/02(月) 15:05:57.98 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫『…』
グズン、グズン
王妃『ほら、笑いなさい、私は元気だし…』
ズキズキ
王妃『私は…本当に大丈夫よ、それよりどうして貴方はここに忍び込んだの?』
白雪姫『私1人通れるくらいの抜け穴があるの…』
王妃『悪い子ね、こんな危ない所来ちゃダメよ』
王『そうだぞ!』
王妃『!?』
白雪姫『…お父様…どうして』
王『このイタズラ娘!』
白雪姫『ごめんなさい…ごめんなさい…』
ウワアアアン
白雪姫『でもお母様に会いたくて…』
王妃(白雪姫…)
- 27: 2012/07/02(月) 15:07:05.34 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(ごめんなさい…私は貴方を守れそうにないわ…)
王妃(…王様のあの目…)
王妃(あの表情…あれは娘を見る目なんかじゃない…)
王妃(一人の女を見る目…)
王妃(信じられない…こんな小さな子に…)
王妃(側近から最初聞いた時は正直半信半疑…
きっと側近じゃなかったら信じなかったわ…)
王妃(でも…こうして見ると…ますます真実味を帯びてくるわね…)
王妃(…やっぱり死ねないわ…)
王妃(私の祖国だけじゃない…)
王妃(この小さな…白雪姫が…この男とくっつくなんて…絶対許さない)
王妃(この子を…どうやったら救えるの…?)
- 28: 2012/07/02(月) 15:07:51.79 ID:BSNXIY2Q0
- 王『さて、どうして私を襲ったのかい?』
白雪姫『…ぐすっ…どういうこと…?』
王『丁度いいね、白雪姫、この女は私の首を絞めたんだよ』
白雪姫『…嘘つかないで…お母様はそんなことしないわ…』
王『悲しいことに…真実だよ』
ハアッ…
王『白雪姫…この女、お前の本当のお母さんに…そっくりだけど…中身はまるで違う』
王『この女はね、魔女だよ』
白雪姫『嘘よ!!お母様はいつも優しかったもん!!』
白雪姫『お母様は…本当のお母様は、この人だもん!!』
王『やれやれ、子どもだから仕方ないか』
王『王妃…白雪姫と会えるのもこれで最後だからな』
ニヤリ
- 29: 2012/07/02(月) 15:08:45.28 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(白雪姫…)
王妃(…考えなさい…何としてでも…)
王妃(この子の未来を守るのよ…)
王妃(…前の王妃と私が似ている…)
王妃(…白雪姫も似ている…)
王『お前はいつもつまらなさそうだ…』
王妃(…私に熱をあげていた頃…そんなことをいっていたわ…)
王妃(…この人は前王妃を溺愛していて…今でも彼女の愛情に飢えている)
王妃(前王妃に似ている私が相手にしなかったばっかりに…
白雪姫に関心がいってしまったのね)
王妃(…最終手段よ…これだけは絶対したくなかった)
王妃(…でももう、こうでもいわないと…それだけ王と溝が出来ている…)
- 32: 2012/07/02(月) 15:09:53.66 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(…白雪姫、貴方を私は…傷つける事になるけれど…
これしか貴方を守れる可能性がないわ)
王妃(私の不甲斐無さに腹が立つ…!最初から…)
ギュ
王妃(私がもっと王様の機嫌をとればよかったのよ…
そうしなかったから白雪姫を傷つける結果になるのよ)
王妃(ああ…神様、白雪姫…私を許して…)
王妃『王様…』
王『ん?』
王妃『王様はいつも私を見てくれないじゃない…』
王『…?』
- 33: 2012/07/02(月) 15:10:41.54 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『…私じゃなくて、私を前の王妃に見立てているだけじゃない!』
王妃『私は、私を愛してほしいの!!』
王妃『ああもう!!このガキなんかばっかり見て!!』
白雪姫『へ…?』
王妃『この子がそんなに大事!?』
王妃『ねえ!?私は好かれたかったからこいつと仲良くしてたの!!』
白雪姫『そんな…お母様…うそでしょ…?』
王妃(…ごめんなさい、ごめんなさい…)
ズキズキ
王妃『お黙りなさい!!』
白雪姫『ひっ…グスッ』
- 34: 2012/07/02(月) 15:11:40.72 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『…それだけ私は貴方を好きなのに』
王妃『貴方こそ、私を見てないじゃない!!』
王妃『だから、殺してやりたかった!!』
王妃『…王様…あなたを…私のものにしたかったから…!』
王妃『ねえ…嫉妬させないでよ…』
王妃『ねえ、私を…悪い女にさせないでよ…』
王『…へええ』
ニヤニヤ
王『…おい、守衛』
守衛『はっ』
王『王妃を出してやれ』
守衛『な…しかし…』
王『なかなか可愛い奴じゃないか…』
王(まあ…嫉妬の件は…面倒だがね…)
王(俺を愛するあまり…ってやつか、思ったより気分が良い)
- 35: 2012/07/02(月) 15:12:50.78 ID:BSNXIY2Q0
- ガチャン
王妃(…かかったな、馬鹿野郎)
王妃(でも…白雪姫…)
王妃(いいわ…私は嫌われても良い)
王妃(だから…せめていい所に何としてでも嫁がせてみせる)
ダダダッ
王妃『王様!!』
ガシィ
王『おう、積極的じゃないか』
王妃『…何を見ているの』
白雪姫『…お母様、悪い冗談でしょ』
王妃『私はあんたの母親になった覚えはないわ』
バシィ!
白雪姫『ううっ…うわあああん』
王『こらこら、いじめるんじゃない』 - 36: 2012/07/02(月) 15:13:43.63 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『なら、あんな子に出来る限り会わないで!!』
王妃『ねえ、王様ぁ』
うるうる
王『…わかった、わかった…』
ナデナデ
白雪姫『…ぐすん』
王妃『側近…側近…うわあああん』
側近『王妃様…』
王妃『私…あの子を殴ったわ…』
王妃『あの子を泣かせたのよ…』
ぼろぼろ
- 37: 2012/07/02(月) 15:14:36.50 ID:BSNXIY2Q0
- 側近『王妃様、しっかりてください』
側近『今回のことは私にも責任はあるのです』
ギリリッ
側近『だから…ご自分をお責めにならないように…』
側近『…王様が考えを改めるように説得してみます』
王妃『うっ…うっ…』
側近『…ですから、王様、今回の件は貴方にも問題はあるのです!』
王『ほう…側近の癖に、いうではないか』
側近『貴方が姫様を女とてみるからにございます!』
側近『お考えなおし下さい!!』
- 38: 2012/07/02(月) 15:15:20.57 ID:BSNXIY2Q0
- 側近『偉大な貴方様は天国に行かれるべきなのに、こんなことを続ければ…』
側近『やはり道徳に反します!!』
側近『神が許されるとお思いですか!?』
側近『お願いにございます、我が親愛なる王、しばらく距離を置きになって下さい!!』
王『側近、いうことはそれだけか?』
側近『ええ、まあ…』
王『…お前たち、側近を連れて行け』
兵士『え…はっ!』
バタバタ
側近『く…!』
グッ
王妃『おやめなさい!!』
王『王妃…』
側近『王妃様…』
- 39: 2012/07/02(月) 15:16:29.46 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『全ては私…私が側近に指示をしたのです』
王妃『王様、女を見くびってはいけませんわ』
王妃『…王様が白雪姫、あの小娘を女として見ているのは分かっているのですよ』
王『…ほう』
王妃『私は…許せませんわ!!』
王妃『あの女が王様の視界に入ること自体!!』
王『…お前、嘘をつくの上手いな』
王妃『!?』
王『可愛げのある奴と思った俺がばかだったわ』
王『白雪姫の為にやっただろう』
王『俺とくっつけさせたくないがためにねぇ』
ハァ~
- 40: 2012/07/02(月) 15:17:10.08 ID:BSNXIY2Q0
- 王『第一変だと思ったんだ、あんなに仲が良かったんだからさ…』
ジロリ
王妃(…しまった…墓穴を掘ったようね…どうすれば…)
王妃(…これだ)
王妃『いいですわ…そんなにおっしゃるならば…』
王妃『いいですか、貴方達!』
兵士『わっ、は!』
王妃『白雪姫を連れてらっしゃい!!』
ドンドン!!
兵士『わ、わかりました!!』
バタバタ
兵士『連れてまいりました!!』
王妃『こっちへきなさい!!!』
白雪姫『ガタガタ』
- 41: 2012/07/02(月) 15:18:14.17 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(可哀想に…こんなに震えて…)
王妃『…王様…私の思いをご覧ください…』
ガタッ!
王妃(ああ…ああ…誰か…助けて)
ガシィ
王妃『…殺しますよ、この子を』
白雪姫『あう…』
ガタガタガタ
王『やれるもんなら、やってみな。首にあてた小刀を引けばいい』
王妃『…』
白雪姫『お…お母様…』
ガタガタガタ…
王妃(…いやだ…これをしたらもう…この子との関係は…修正不能になってしまう)
王妃(…でも、今私がやらなきゃ…この子は…塔に閉じ込められて…)
王妃(…)
ギュッ
- 43: 2012/07/02(月) 15:18:57.65 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『うわあああああ』
ブン!!
白雪姫『う…』
ツーッ
王『む…』
王妃『…次は切り傷ではすませませんよ』
王『…わかった、やめろ』
王妃『…ありがとうございます』
王妃『私が責任を持って、この子の面倒を見ますわ』
王『この子をどうするんだ…』
王妃『こき使わせるのです、私の離れの城でね』
王『…何!?』
王妃『おっと…反論なさらないでね』
- 44: 2012/07/02(月) 15:19:50.44 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『この子が殺されたくなければ…私の言う条件を飲みなさい』
王『くっ…わかった、何だ』
王妃『一つ目はあなた』
ニヤリ
王妃『私が貴方を愛するように、貴方も私を愛してね』
王『…』
ゾクッ
王妃『2つ目』
王妃『私の離れの城に来ないでね。白雪姫に会うためなんて、絶対ゆるさないわ』
王妃『これらを破ったらどうなるかわかるかしら』
王妃『…白雪姫を、最悪な目に合わせるからね』
王『…良いだろう』
王妃『ふふふっ…これで、貴方は私のもの…』
王『くそっ…恐ろしい女だ…』
王妃『ちがいますわ…私の、王様への愛ですわ…』
- 45: 2012/07/02(月) 15:20:35.18 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(あれから十数年…)
王妃(流石に一度も会わないってわけにはいかなかったけど)
王妃(それでも最小限に食いとどめたわ)
王妃(側近の努力で…私も毒殺もされずに済んだし…)
王妃(あの日の全力の演技のお陰で…とりあえず私は王様を愛している、
ということにはなってるし)
王妃(この間、隣国の王子に白雪姫の姿を少し、見せる事に成功したわ…)
王妃(そしてお城に手紙が届いたわ…婚約の許可の…)
王妃(隣国の王子の評判はすこぶる良いと聞くし…)
王妃(どうか、このまま上手くいって…)
- 46: 2012/07/02(月) 15:21:18.83 ID:BSNXIY2Q0
- 『こっちへきなさい!!!』
ブンッ!
(ああ…ああ…)
ポタポタ…
白雪姫「いやあああっ!!」
白雪姫(…まただわ…)
白雪姫(またあの夢を…)
白雪姫(…お母様…)
白雪姫(あんなにやさしかったのに…本当は…)
ポロポロ
白雪姫(お母様、私は貴方が大好きだった…)
白雪姫(私の思い違いだったのね…)
ポロポロ
白雪姫(だけどね、今でも、私のお母様は貴方ただ1人なのよ…)
グスン
- 47: 2012/07/02(月) 15:21:54.87 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「…」
フキフキ
女官(あれ、お姫さまよ)
女官(ああ、おいたわしい)
女官(あんなにお美しいのに…)
お手伝い(あの魔女に脅されてるらしいのよ、王様)
メイド(聞いたわ、姫様を殺されたくなかったら、姫様をこちらへよこせと)
女官(最低だわ、あの女、ホント屑!)
お手伝い(でも無理よ…私達じゃ歯向かえない…だって、魔女だもの…)
女官(ホント…悪知恵は働くのね…)
メイド(前王妃様にそっくりに化けて出てきた挙げ句、弱みを握ったそうじゃない)
メイド(あ、しかもね、毎夜鏡に話しかけてるのよ、世界で一番美しいのはだれって)
お手伝い(うわああ)
- 48: 2012/07/02(月) 15:22:26.61 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「白雪姫!」
白雪姫「はい、お母様」
王妃「まあ!なんて不出来な子!!」
王妃「雑巾がけも出来ないなんて!!」
白雪姫「すみません」
王妃「もう一度!!やり直しなさい!!」
白雪姫「はい…」
王妃「おっと」
ガシャーン
王妃「あら、ごめんあそばせ、雑巾のバケツの水をこぼしちゃったわ」
白雪姫「…」
- 49: 2012/07/02(月) 15:24:08.19 ID:BSNXIY2Q0
- 召使(おいおい…あたしらより綺麗に磨いてるのに…)
召使(サイッテー!!)
王妃(隣国の王子今日我が国に訪れる…)
コツコツ
王妃(そしてここを通りがかるはず)
王妃(ここで掃除している白雪姫をきっと見るわ)
王妃(王は…私を理由に、結婚を許可させないでしょう)
王妃(だから…少しでも、王子が無理にでも、この子を救い出そうとしてくれれば…)
王妃(この子は…こんな生活からもおさらばになれるわ…)
- 50: 2012/07/02(月) 15:24:44.22 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫(…なかなか綺麗にならないわ…)
白雪姫(…こことかに屑ゴミが…)
白雪姫(ああ、なかなか終わらないわ…)
白雪姫(今日は特に機嫌が悪かったみたいね…)
白雪姫(お父様と…喧嘩でもしたのかしら…?)
フキフキ
白雪姫(ふう…あらかた終わったかしら…?)
ピカピカ
コツコツ
白雪姫(あっ、誰か来たわ…お辞儀しないと)
白雪姫「いらっしゃいませ…お父様に御用事ですか?」
王子「君は…あの時の…?」
白雪姫「?」
- 51: 2012/07/02(月) 15:25:26.33 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「あ、はじめまして、隣国の王子です」
白雪姫「ま、まあ、王子様とは知らず、ご無礼を」
アセアセ
王子「い、いや、おきになさらず」
王子「それより、あなたは白雪姫でしょう?どうして…そんなボロを…?」
白雪姫(どうして私の名を知っているのかしら?)
白雪姫「…私掃除が趣味なので…」
王子「変わった趣味ですねえ、はははっ」
白雪姫「そうでしょう、ふふっ」
王子(なんて…健気な子だ…王から聞いていたが…助けを求めもしない)
王子(しかも、笑った顔…こっちが恥ずかしくなるくらい、美しい…)
王子(一刻も早く…この国の王妃の手から救い出したい…)
白雪姫「ではこれで失礼いたします」
- 52: 2012/07/02(月) 15:26:26.34 ID:BSNXIY2Q0
- トコトコ
王子「…」
王子「王様、貴方の娘さんを、白雪姫を是非とも僕の妻に迎えさせて下さい」
王「おお、今すぐにでも…と、いいたいところだが、私の妻がね…」
王「あいつが…姫を強制的にこき使っておるのはしっているな?」
王子「はっ、ここに訪れる前、手紙の返事で聞きました」
王「すまない…説得してみるが、あの女はどうしても私を手放したくがないため」
王「白雪姫を人質に取っているのだ」
- 53: 2012/07/02(月) 15:27:00.98 ID:BSNXIY2Q0
- 王「大切な1人娘、白雪姫の命が惜しければ、白雪姫の世話をみさせろといってな」
王子「…なんてやつだ…」
王「白雪姫に…自分の義理の娘に嫉妬し…彼女に苦しみを与えたい…ということだ」
王「とんでもない…奴だ」
王「…一刻も早く娘を救い出したいのに…自分が不甲斐無い…」
ギュウウウ
王子「…王様…」
王子「私、今から王妃様にあって、説得してまいります!!」
パタパタ
バタン
王(…まさかこんなところであの女の執着が役に立つとはね)
王(…何が妻としてだ…)
王(あの娘を貰うのは私の方だ…)
ニヤニヤ
- 54: 2012/07/02(月) 15:27:51.10 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「王妃様、私に娘を下さい!!」
王妃「すみませんが、王子様、あの子は愚かな子です」
王妃「何も指示したことができませんの」
王妃「お引き取りになって」
王子「いいえ、第一王妃が掃除なんてする必要はありません!」
王妃「はあ…卑しい子をそんなに欲しいのですか?」
王子「卑しいですって…そんなことはないですよ!」
王子「健気な素敵な子ですよ!」
王妃「ふふっ…そう思うなら…」
王妃「無理矢理にでも連れさらってみなさい」
王妃「この魔女と呼ばれる女が相手しますわよ」
王子「…受けて立ちます…」
バタン!!
王妃(…もうそろそろよ…まってて…白雪姫…)
- 55: 2012/07/02(月) 15:28:37.23 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「王様!」
王「おう、王子!結果は!?」
王子「無理矢理連れ去れと。」
王子「あの女…魔女が相手すると」
王「なんだと…」
王子「私、いったん帰国します」
王子「後、1週間の後、この国にまた訪れます!」
王「…そ、そうか」
王子「そして…魔女退治を行います」
王子「王様、貴方様も救ってみせます」
王子「この地にまた足を踏み入れる事をお許しください」
王「許可しよう…」
ワナワナ
- 56: 2012/07/02(月) 15:29:37.58 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「では、本日の所は失礼します」
王「…また会えるのを楽しみにしておるぞ…」
王子「はいっ」
スタスタ
王(…あの女…そう来たか…)
王(くそっ…あのアマ…最初からやっぱりか…)
王(あの時怪我させたのも…全て演技か…)
王(白雪姫を俺の手から引き離す…策略…)
王(くそう…騙されてた…本気で俺のことを好きだと思ったのに…)
王(…何が魔女だ…)
- 58: 2012/07/02(月) 15:30:07.27 ID:BSNXIY2Q0
- 王(俺は魔女くらい、今まで会ったことはあるわ)
王(本物なら…もっと“気”が違う…)
王(いくら魔女でなくとも無理に救おうでもしたら殺されかねない…)
王(あの女は武芸は並みの兵士よりずっと出来るからな…)
王(だから、今まで仕方なしに白雪姫を渡してやってたのだ)
王(…ふふっ、でももうあの女の陰謀をいとも簡単に壊せるぞ)
王(最初から殺す気がないのだ…)
王「楽勝ではないか…」
- 59: 2012/07/02(月) 15:31:41.55 ID:BSNXIY2Q0
- 狩人「お姫様」
白雪姫「あら、狩人様、何の御用事で?」
狩人「あんたさまの王様から指示があってですだ」
白雪姫「…お父様から?」
狩人「実はですだ…姫様、隣国の王子は知っておられますか?」
白雪姫「ええ」
狩人「彼が…姫様に婚約を求めておりますで…」
白雪姫「まあ…」
狩人「それを…貴方のお母様が妬んで…貴方様を殺そうとしております」
白雪姫「…本当ですの?」
狩人「私の仲間が、貴方様を森へ連れて行き、殺して心臓を取れと命令されたと
聞きました」
狩人「なので、私めは、とある場所にお姫様を極秘で
連れていくように命を下されたのですだ」
白雪姫「…そうなのですか」
- 60: 2012/07/02(月) 15:32:14.76 ID:BSNXIY2Q0
- 狩人「今は王妃様はいません」
狩人「逃げますぞ、お姫様」
白雪姫「ええ、分かりましたわ」
白雪姫(…本当なの、お母様…)
町人「なんだい?」
商人「そうそう、王妃様の話さ」
町人「王様もとんだ女もらっちまってね~」
商人「それがよ、税金の値上げ、あれの原因がその女らしいんだ!!」
- 62: 2012/07/02(月) 15:33:39.20 ID:BSNXIY2Q0
- 町人「なに!?」
商人「それだけじゃない。あの女が来た頃から数々の悪法ができたろ?」
町人「…まさか」
商人「ああ。王様の娘…姫様を人質にとってるとか」
商人「しかも散々コキつかってるらしいぜ。」
町人「なんてこった!!」
商人「でもな、隣国の王子さまが姫様をみそめたそうだ」
商人「今度あの王妃…もとい魔女と決闘するらしいぞ」
町人「…是非とも王子様には頑張ってもらいたいな」
王「側近、いるか?」
側近「はい、ここに」 - 63: 2012/07/02(月) 15:35:02.84 ID:BSNXIY2Q0
王「側近よ、私は王妃に関する情報を国中にまいた」
側近(…私に相談なしで…こいつめ…)
王「側近や、今すぐに王妃…魔女の討伐命令をくだせ」
王「白雪姫が殺された…いまこそ、民の怒りを、そして我が娘の無念を晴らすために…」
王「王妃を…あの魔女を殺せ」
ニヤリ
王「演説のセリフはこれで決まりかねぇ」
側近「王様…」
王「お前の娘…今何歳かな」
王「きっと楽しい未来が待っていることだろう…」
ギロッ
- 64: 2012/07/02(月) 15:36:14.06 ID:BSNXIY2Q0
- 側近(…クソッ!!)
側近(王妃様…すみません)
側近「…仰せの通りに」
ペコリ
王「よろしい」
ザワザワ、ガヤガヤ
町人「ちょ、押すな馬鹿!」
農民「おい、王様が今から緊急で演説なさるぞ!黙れ!!」
王「勇気ある国民諸君」
王「私は皆に謝らねばならない」
ガバッ
- 65: 2012/07/02(月) 15:37:23.85 ID:BSNXIY2Q0
- 王「あの女…王妃、いや魔女と結婚したばかり…貴方がたに苦労させてしまった…」
王「本当に申し訳ない…」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
王「しかし諸君…時はきた!!」
王「人質にされていた姫…我が娘は殺された!!!」
(なんてこった…ひでえ)
(お姫様が…)
(最低だな、本当に)
王「私はあの魔女を討つ!!!」
王「諸君の苦しみを…娘の無念を晴らすため!!!」
王「諸君にも…苦労をかけるが協力してほしいのだ!!!」
王「この通りだ!!」
- 66: 2012/07/02(月) 15:37:54.78 ID:BSNXIY2Q0
-
(…王様あんなに…土下座までして…)
(聞いたかい?俺らの救済法を制定したのはあの王様らしいぜ)
(そうそう、魔女の圧力をかいくぐってなんとか制定したそうだ)
(…あんないい王様いねえよ)
(そうだそうだ!)
(王様万歳!!)
(王様万歳!!)
ワーワー!!!
王(…ちょろいもんだ)
- 67: 2012/07/02(月) 15:38:41.57 ID:BSNXIY2Q0
- 側近「…大変なことになったぞ…」
側近「救済法を制定したのは王妃様なのに…」
側近「民の誤解を解かねば!!」
側近「…いや、もう無理だ」
側近「王妃様の所へなんとか駈けつけ、にがさねば…」
ドサッ!!
側近「…ナイフが壁に…」
側近「そうか…わかったよ」
側近「…私は今夜中に殺されるんだな…」
側近「あの王のことだ…このことを知るもの全員…殺してしまうだろう」
側近(しかし…どうやって伝えようか…)
側近(そうだ…伝書鳩…)
側近(あれを使おう…)
- 68: 2012/07/02(月) 15:39:35.06 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「…白雪姫の姿が見えないわ…」
王妃「井戸へいったのかしら…」
王妃「あれは伝書鳩…?側近から?」
王妃「なになに…?」
-----王妃様へ----
大変なことになりました
王様が動き出しました。どうもばれかかっているようです
私達の計略が
姫様を森の、あの7人の小人のいる小屋へ連れていったのです
7人の小人とは、王様の若かりし頃の戦友です
彼らは知恵、力共に人間以上です
王様は彼らに姫様をかくまってもらうようです
そして王子には、姫はあなたに殺されたと伝えるようです!!
王子は一週間後にこの国へ再びきます
- 70: 2012/07/02(月) 15:40:16.69 ID:BSNXIY2Q0
- 小人達の小屋は…森の奥に花が咲き乱れてる、泉のある所です
王妃様、小人達は知恵はあるといいましたが
生活リズムはめったなことがなくてはかえません
これは彼らのある意味、弱点なのです
昼は炭鉱で働き、夜に帰ってくるのです
ようするにその間白雪姫は家で1人
一週間のうちに姫様が王子に会えるように手を打たねば、
姫様を救うどころか、貴方様も確実に
王妃「…ここに血が付いている?」
王妃「ここから…字も止まっている…」
王妃「…まさか…側近…」
王妃「…ぐすっ…側近…無事でいてくれ…」
ガタン!ゴトン!!
王妃「!?」
- 71: 2012/07/02(月) 15:41:27.42 ID:BSNXIY2Q0
- <王妃!いや、魔女!!出てこい!!>
<お前のやったことなどお見通しだ!!>
<白雪姫様を散々いじめて!挙げ句の果てには森で心臓をとってこいなど!!>
<いま、お前を討伐する指示が出たぞ!!>
<堪忍して出てこい!!!>
<おい!!俺らの増税の原因もお前だそうだな!?>
王妃「…そういうことか…計ったな、王」
ギリッ
王妃「随分私の評判を使って散々やってくれたわね…」
王妃「…私が用意してないとでも思ったの?」
王妃「…貴重品をこの隠し扉に隠して…」
王妃「…この城を燃やそう…もう帰っては来れないのだから」
王妃「さて、もってく荷物の確認…」
ガサガサ
王妃「光玉…これで撹乱できるか…な」
- 72: 2012/07/02(月) 15:43:00.43 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「…ふっ、本物の剣を持つのは久しぶりだわ…」
ズシッ
王妃「…雑魚兵士ならよいのだけど…」
王妃「…ひさびさに腕がなるわね…」
バタン
白雪姫「わあ、綺麗な場所!」
狩人「でしょう。今からしばらくの間、ここで暮らすのですだよ」
白雪姫「まあ!」
狩人「あの小屋。あそこに王様の戦友の7人の小人がいます」
- 73: 2012/07/02(月) 15:43:45.23 ID:BSNXIY2Q0
- 狩人「あの者達は賢く、また力もあるし、親切ですだ」
狩人「彼らの言うことを聞けば、王妃様を恐れる必要もありますまい」
白雪姫「そう…ね」
狩人「お、丁度、小人達も帰ってきましたぞ」
狩人「では、お姫様、私はここで」
白雪姫「わざわざ、ありがとう」
狩人「なあに、お姫様のためですだ」
狩人「戸締りにはくれぐれも気をつけて」
白雪姫「ええ」
- 74: 2012/07/02(月) 15:44:16.06 ID:BSNXIY2Q0
- 兵士「おい、狩人」
狩人「へい」
兵士「お前だな!姫様の心臓をとるように命じられた魔女の仲間の狩人とは!!」
狩人「ちがいますだ!王様から…」
兵士「問答無用!!」
狩人「うっ!!」
グサッ!!
- 75: 2012/07/02(月) 15:44:47.81 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「はじめまして、小人さん」
小人「おお、あれの娘か!べっぴんじゃないか!!」
小人1「俺は小人1だ」
小人2「2ですぅ~」
小人3「3だ」
…
小人7「7だ。しばらくよろしくな」
白雪姫「ええ、よろしくお願いいたします」
小人4「わははっ、だいぶ腰の低いお姫様だ」
小人6「そうだなあ~。あんたの親父は最初の態度はひどいもんだったぞ」
小人5「ちょいちょいちょい、これから日がくれるから、まずは飯を用意しようぜ!!」
- 76: 2012/07/02(月) 15:45:27.18 ID:BSNXIY2Q0
- 小人達「おう」
白雪姫「あの…」
小人達「ん?」
白雪姫「私は作りますよ、料理は得意ですの」
小人達「やったあ!!」
小人1「いや~2の作るスープのだまの多さは以上で嫌だったところだ」
小人2「なんだってぇ~それを言うなら、1だって鳥さばくのへたくそじゃん!」
小人3「お前ら2人とも…料理下手過ぎなんだよ」
小人1、2「ぐうう」
「わははははっ」
白雪姫「ふふふっ…あはははっ…」
白雪姫「…」
- 77: 2012/07/02(月) 15:46:10.09 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「はあっ…ッ…」
王妃「…相手が弱くて助かった…」
王妃「…一体どうしようか…」
王妃「白雪姫に会って…いっそ真実を述べようか…」
王妃「…いや、ダメだわ…」
王妃「…私にいじめられた…傷はそれだけでイイの」
王妃「血のつながった父親が…まさかそんな人だったなんて…それこそ最大の悲劇よ…」
王妃「何のために悪魔になる決心をしたの…」
王妃「…悪役は最後まで徹底して悪を演じるものよ…」
王妃「…さて、薬草を探しましょう…」
ガサゴソ
- 78: 2012/07/02(月) 15:46:52.46 ID:BSNXIY2Q0
- 小人達「では白雪姫、いってくるよ」
小人達「夕方まで帰ってこないから、誰が来ても扉を開けてはいけないよ」
小人達「じゃあね、くれぐれも、開けちゃダメだよ!」
小人達「あ、今夜は第一の山場の話だから楽しみにしといてね!!」
白雪姫「わかったわ。今夜のお話、楽しみにしてますね」
バタン
白雪姫「お掃除はこれで終わりっと」
白雪姫「編み物でもしようかしら…」
白雪姫「こんな綺麗な服を着せてもらうなんて…何年ぶりかしら…」
白雪姫「…お母様…私は…貴方を今でも慕っております…」
白雪姫「昔…あんなによくして貰ったこと…1日も忘れてません…」
白雪姫「…王宮で1人ぼっちの私に…接してくれたあの日から…」
白雪姫「…お母様が来た直後のあの毎日は…本当に夢のようでした」
- 79: 2012/07/02(月) 15:47:43.92 ID:BSNXIY2Q0
- トントン
白雪姫「…」
「誰かいませんかぁ~」
白雪姫(お母様の声ではないわ…)
白雪姫(でも…警戒しないといけないのね…)
白雪姫(無視を決め込もう)
「お暇な貴方に、心ときめく商品を!」
白雪姫(…訪問販売?)
「奥に隠れている可愛いお嬢さん」
「出ていらっしゃいな」
白雪姫(…ばれているの?)
「ふふっ、私はこう見えても販売のプロよ」
「留守か、留守じゃないかくらい、わかるわよ!」
「大丈夫、窓際にいらっしゃい!」 - 80: 2012/07/02(月) 15:48:23.98 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫(…)
そろそろ
「おやまあ!なんて綺麗なの!!」
白雪姫(…顔は帽子と髪で見えないわ…もしかしたら、お母様かもしれない…)
「貴方には、よい髪飾りをあげましょう」
「あ、櫛もありますわよ」
白雪姫(…手がボロボロ…お母様はこんな手では無かったわ…)
白雪姫(うでも…薄く血がにじんでいる…)
白雪姫(この人はお母様ではないわ…大丈夫ね…)
「そうそう、こうしお座りなさい」
- 81: 2012/07/02(月) 15:49:10.42 ID:BSNXIY2Q0
- 「まあ、大変綺麗な黒髪ね」
「ちょっととかしてあげるわね」
白雪姫(…)
バタン!!
王妃(…これでしばらくは起きないはず)
王妃(…まさか白雪姫にここまで手を出すとは思っていないでしょう?)
王妃(…あの人から守る…王子にこのことを少しでも広めなくては…)
王妃(ここで私から隠れていることを…)
王妃(…この森が…薬草や毒薬ばっかりでホントによかったわ)
王妃(髪から浸透する気絶薬を作れたから)
- 82: 2012/07/02(月) 15:49:58.77 ID:BSNXIY2Q0
- 小人達「ただいま~」
小人2「ううっ~おかな空いたよ~」
小人4「わははははっ、白雪姫どこだい、」
小人1「どこじゃねえぞ!!倒れてる!!」
小人3「なんだと!?」
小人7「おい、どけ」
小人5「ちょいちょい、看護は俺の担当だぞ、7」
小人7「呪文が入ってるかもれんぞ。呪文系は俺の専門だ」
小人1「とにかく、そばに落ちてるこの櫛が原因っぽいな」
小人2「う~ん…いくつかの薬草の臭いがするよ~」
小人7「…呪文もかかってないな」
小人5「ちょいちょい…心臓は動いてる…気絶…麻酔の効果があるようだな、これ」
- 83: 2012/07/02(月) 15:50:47.51 ID:BSNXIY2Q0
- 小人5「いくつかの薬草…毒草を混ぜてある」
小人5「人体に影響は無しだろうな…」
小人5「髪を洗えば多分すぐ目を覚ますだろう…」
小人3「…王にこのことを伝える」
がさぞこ
小人1「おう…頼んだぞ」
白雪姫「ごめんなさい、心配掛けてしまって…」
シュン
小人4「わはははっ、大丈夫だよ、でも今度はもっときをつけるんだ」
白雪姫「はい…」
小人3「そうだぞ…誰も入れるな…無視をしろ」
- 84: 2012/07/02(月) 15:51:32.35 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「分かったわ…」
小人5「ちょいちょい、ご飯たべようぜ~」
小人7「そうだな、とりあえず食べようぜ」
みんな「いただきまーす」
王妃「…あの子は目覚めたようね」
コソッ
王妃「やっぱり…あの小人達は…一筋縄ではいかないのね…」
王妃「…極秘の眠り薬…これをのませないといけないようね…」
- 85: 2012/07/02(月) 15:52:16.68 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「目が覚めない、となったら、お城では大騒ぎになるでしょう」
王妃「そして街中に噂を流すの…」
王妃「白雪姫は本当は生きていると」
王妃「…隣国に手紙を書かなくては…」
王妃「…私はここにいる…ここへ来い…とね」
王妃「王子が1人で来ないように…王様にも、会いたいと書き添えて」
白雪姫「今日も昼は1人ね」
白雪姫「今日は何をしようかしら」
白雪姫「そうだ、この服、繕ってあげようかしら」
- 86: 2012/07/02(月) 15:52:52.83 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「その後洗濯しましょう」
ガサッ!!
白雪姫(何!?)
白雪姫(お母様…?)
こっそり
白雪姫(あ…庭に人が倒れている…)
白雪姫(でも…無視を決めこまねば…)
白雪姫(…ダメだわ、やっぱり見捨てられないわ…万が一本当に病人だったら…)
白雪姫(でも…お母様だったら…)
白雪姫(…ああもう…!)
バタン!!
白雪姫「大丈夫ですか!?」
「あ…ああ、み、水を…」
- 87: 2012/07/02(月) 15:53:35.62 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「水ですね!!少し待って下さい!!」
タッタッタ…
白雪姫(汚れがひどくて顔が分からなかったわ…)
白雪姫(しかもボロボロの服…)
白雪姫(森で迷子になったのかもしれないわ…)
白雪姫「さあ、水ですよ!」
「ああ…ああ…ありがとう…」
「お礼に…売り物のリンゴをあげよう…」
白雪姫(…おかしいわ…)
白雪姫(倒れるほど喉が渇いて辛いなら、リンゴを私なら食べるわ…水気も多いし)
- 88: 2012/07/02(月) 15:54:37.07 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫(…ここはリンゴだけもらって、家へ帰ろう)
白雪姫「ありがとうございます。それではお気をつけて…」
「まちなさいな、この場で食べていきなさい」
ガシィ!
白雪姫「!?」
白雪姫(なんて…強い力かしら…振り切れない…)
「口にあったらあと2、3個あげますよ」
ニヤァ
白雪姫(…ああ、計略にはまったわ…)
白雪姫(…食べなかったらどうなるのかしら…)
白雪姫(もしかしたら…殺されるかもしれない)
白雪姫(いえ、食べても死ぬわ…どの道、死ぬのね…)
白雪姫(…ああ)
- 89: 2012/07/02(月) 15:55:10.16 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫(…ああ)
白雪姫「…ではお言葉に甘えて」
ガリっ!
ばたり
王妃(ごめんなさいね…私の可愛い娘…こんなに辛い目に合わせて…)
小人1「たいへんだああ!!白雪姫がまた倒れてる!!」
小人6「よく外にでるねぇ~あの子、やっぱあの親父の子どもだわ」
小人3「そんな悠長なこといってる暇はない」
小人7「…昨日に引き続き、呪文はかかっていない」
小人2「ううん…やっぱり薬草と毒草の臭いが酷いよ…」
小人5「ちょいちょい…めんどうだ」
- 115: 2012/07/02(月) 17:04:18.32 ID:BSNXIY2Q0
- 小人5「無茶苦茶複雑な配合だ…この感じは見たことはない」
小人5「さらに…原因は身体の中だから…」
小人5「診断しづらい…解毒を作るのに一体どれくらい時間を費やすか…」
小人5「多分…強力な眠り薬…であることしかわからない…」
小人5「昨日のように何か落ちてればいいのだけど…」
小人5「そんなヘマはしてないと…」
小人4「王に…手紙かくよ」
小人1「…笑ってないお前って珍しいな」
- 116: 2012/07/02(月) 17:06:15.04 ID:BSNXIY2Q0
- 王「…予定外の出来事だ…」
王「あの女のことが分からなくなってきたぞ…」
王「本当に白雪姫を殺す気なのか…そうでないか…」
王「側近、狩人を殺したまでは計画通りだった」
王「問題は王妃、まさかあの人数を1人で切り抜けたとは…」
王「しかも、薬草、毒物の配合に長けているとは…かなりの戦闘技術をもってるな」
王「…だいぶ番狂わせだな…」
王「…王妃の国へ、連絡を送ろう…」
王「(貴方の国で一番の医者を連れてきて欲しい。)」
王「(それと貴方の娘…あれをどうにかしてほしい。)」
- 117: 2012/07/02(月) 17:06:51.88 ID:BSNXIY2Q0
- 王「(この国の側に来ないならば…魔女の仲間とみなし、
隣国と魔女討伐連合軍から除外する)」
王「(そしてその連合軍が貴方の国を攻めるだろう。国民を1人残らず殺してやる)」
王「(それがいやなら、条件をのめ。王妃を殺す手伝いをしろ)」
王「…ふふっ、祖国に捨てられる…か、可哀想だねぇ」
王「いや、ここに来た時から捨てられてるか、あはははっ」
王「それと…また噂の訂正と捏造を…」
- 119: 2012/07/02(月) 17:07:45.51 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(…顔を木の実の液で色を変えて…)
王妃(まさか…誰も私が王妃とは分かるまい…)
商人「なんだかお城が騒がしいのお」
町人「お姫様が殺されたと聞いたが…」
「いいえ、この噂は違うわ」
「実は、王妃様の先回りをして、森の小人の家に避難しているのよ」
町人「なんだと!?」
「ただ…生きているけれど、睡眠薬で眠らされているのよ」
商人「生きていらっしゃるのはよかったが…誰がそんな…」
「王妃様に決まっているわよ」
町人「くそっ、またあいつか!!」
町人「あいつのせいで、生活が苦しいんだ!」
商人「あの悪魔め…嗅ぎつけるのがはやすぎる」
- 120: 2012/07/02(月) 17:08:31.89 ID:BSNXIY2Q0
- 「…早く助けないと…王妃がまた襲いに行ってしまうわ…」
「今度こそ殺されてしまう…」
商人「大変だ!!」
町人「何とかしないと!!」
街娘「あれ、どうしたの?」
商人「かくかくしかじか…」
王妃(よしよし、そのまま広めなさい)
王妃(えっと…手紙手紙…)
- 121: 2012/07/02(月) 17:09:41.30 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(…隣国の王子様)
王妃(今週の日曜、日没以降に、小人の家がある森で待つ)
王妃(ゆっくり相手をしますわ…あ、…私の旦那様も連れてきてね…)
王妃(これでよし…鳩の足につけて…隣国へ…)
王「王妃の国からの返事か…」
王「…つまりは、こちらの条件を飲むのだな…」
王「その証拠に…お前は目の前にいる」
王「お前はかの有名な医者じゃないか。あそこの国出身だったのか」
- 122: 2012/07/02(月) 17:10:18.78 ID:BSNXIY2Q0
- 王「あと…この軍隊…」
王「よしよし計画通り」
王子(ああ…白雪姫…貴方は本当に死んでしまったのか…)
大臣「王子様、大変にございます!!!」
王子「…何?果たし状!?」
王子「隣国の王妃から!?」
大臣「そうでございます!!」
王子「…隣国の王様と提携しよう」
王子「父上にも事情を説明します」
王子「これは、もう個人の問題ではありません」
- 123: 2012/07/02(月) 17:12:13.93 ID:BSNXIY2Q0
- 医者「…これは、我が国の極秘の薬…」
王「おう…わかるか…」
医者「ええ。これは身体の外に薬をだせばすぐに目を覚まします」
小人達「そうですか…」
医者「まあ、解毒剤もあるので体外へ出せなければ城で調合しますよ」
医者「多分、お城に向かっている間に揺れるので、自動的に吐き出すでしょう」
小人達「王様、すまなかった」
王「いやいや…気にすんな。お前たちだからこのレベルですんだんだ」
王「一時的に城に戻すよ。お前たちも付いてきてほしい」
小人達「もちろん!」
- 124: 2012/07/02(月) 17:13:17.28 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「王様!」
王「これは、隣国の王子…こんなに軍隊を連れて…」
王子「魔女から果たし状がきたのですよ」
王子「この間王様は魔女退治を宣言なさったでしょう?
それで提携をお願いしようと来たところです」
王子「…白雪姫の無念を晴らすためにも…」
王「あ、その件だが」
王「白雪姫は生存しておるぞ」
王子「本当ですか!!」
王「ここだ…この馬にまたがっている…酷い睡眠薬を飲まされたようだがね」
王「すべては魔女のせいだ…」
王「危うく殺されるところだった」
王子「よかった…」
- 125: 2012/07/02(月) 17:13:52.83 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「zzz…」
王子「…可哀想に…くそっ、諸悪の根源め…」
王子「…貴方を救うと大見えを切ったのに…」
王子「…自分が情けない!」
王子「すまない…」
ガシッ
白雪姫「…げほっ、ごほっ!!」
王「おや…何かが口から…」
白雪姫「あら…ここは…?」
白雪姫「…王子様、な、何を…」
王子「…う、うわっすまない…思わず抱きしめってしまって…」
白雪姫「…おきになさらないで…」
カアアア
王「いやはや、若いっていいですなぁ」
王(…若造が…こいつ、後で殺してやる…)
- 135: 2012/07/02(月) 18:01:12.94 ID:BSNXIY2Q0
王妃(…あの医者は…私の城一番の医者…)
コソッ
王妃(…私の祖国が…私の敵にまわったのね…)
王妃(きっとあいつのことよ…父上を脅したのね…あの時のように…)
王妃(いいわ…丁度いい…心配事が1つ減ったわ…)
王妃(祖国は…これでしばらくは安泰ね…)
王妃(もう…どうなっても良いわ…)
王妃(結果が…白雪姫が笑える…未来があればいい)
- 136: 2012/07/02(月) 18:02:50.49 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「今日が約束の日です」
王「そうだな…あの女、どう出るか」
王子「どう出ても変わりはないです。必ず殺す」
王「…息子よ」
王子「!いま…なんと」
王「今日が無事に終わったら…私の娘と結婚式を盛大に挙げさせよう」
王子「…王…いえ父上…」
王(…まあ、今日、お前事故を装って殺す気だけどな。)
- 137: 2012/07/02(月) 18:03:29.63 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(…もうそろそろ時間ね…)
王妃(…嫌に静かね…)
『うおおおおおお!!!!!』
王妃(始まったわね…)
王妃(…あきれるわ、女1人に一体何国の軍隊をつれてるのよ…)
王妃(魔女狩り…まあ私は魔女では無いわけではないからいいのか)
王妃(…もともと私の家系は魔法が使えるのよ)
王妃(まあ、長年封印されてたけどね)
王妃(でも、なぜか封印が解けてた)
王妃(…お父様…大臣様…)
ギュ…
王妃(さあ…戦ってあげるわよ)
ザッ!!
- 138: 2012/07/02(月) 18:04:42.32 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「火の球!?」
王子「魔法だ!!」
王「全軍!ひるむな!!あれは脅しだ!!」
兵士「うわあああ!木が、ツタが!!」
兵士「龍だ!!氷の龍だ!!!」
王(…あいつは魔法が使えるのか?)
王(あの時は気は感じなかったのに今は感じる…一体どうしたんだ!?)
王子「くそっ!!魔女はどこだ!!」
小人「ぶつぶつ…」
小人「はっ」
小人「解除!!」
- 139: 2012/07/02(月) 18:05:44.58 ID:BSNXIY2Q0
- ガチッ!!
王子「…火や龍が消えた…」
小人「魔法は我々が解除しながら行きます!!」
小人「皆さん、ひるまずにいきましょう!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
ドドドドドドド
王妃「…来たな、王子」
王子「おい…散々悪事を働いてくれたな」
王妃「ははっ…わるいかしら?」
王子「…だまれ!!」
チャキ
- 140: 2012/07/02(月) 18:06:44.08 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「私が世界の中心なのよ」
王妃「お金も美貌も、何もかも私のもの」
王妃「白雪姫すらいなくなれば、全ては私の思うがまま」
王子「…残す言葉はそれでいいのか」
王妃「ええ。」
王子「行くぞ!!」
ブン!!
兵士長「剣をとれええええ」
王妃「風よ!!」
ゴオオオオ
兵士達「う…前に進めない!!!」
王妃「草木よ!!」
ザワザワ
兵士達「身体がしめられる!!」
- 141: 2012/07/02(月) 18:07:42.84 ID:BSNXIY2Q0
- 王「王妃、覚悟しろ!!」
ジャキン!
王妃「ふん」
さっ、さっ
王妃「雷よ!!」
バリバリ!!
王子「うわっ!!」
王「ぐあっ!!」
王妃「さあて、と…」
王妃「ぶつぶつぶつ」
ゴゴゴゴゴ
王子「この暗雲は…?何が起きるんだ!?」
小人「ま、まずい!!」
小人「最上級呪文だ!!」
小人「…嵐をおこすつもりだ!!」
- 143: 2012/07/02(月) 18:08:47.48 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(…嵐とツタでこの軍隊の動きを完全に封じて)
王妃(王子と少し戦って、死んだふりをして逃げよう)
小人「えええい!!!うっとうしい、このツタめ!!」
ブチブチ
王妃(!?)
小人「王様、王子様、助太刀します!」
小人「ぶつぶつ」
ドオン
小人「うおおおおおおおお」
ゴゴゴゴゴ…
王妃「…無効の呪文ね…しかも広範囲にわたっての…」
小人「これで魔法は使えまい!!」
ハアッハアッ
王妃(ああ…私はどうやら逃げれないようね)
王妃(…それでもいいわ)
王妃「ふふっ…これで十分だわ」
ジャキン
- 144: 2012/07/02(月) 18:10:10.40 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「覚悟なさい!!」
ブン
王子「く…女のくせに何でそんな大剣を…」
チキ…
王妃「遅いわよ」
ギン!
王子「うわっ」
ガチッ!!
王「王子!!」
ダダッ
王妃「邪魔よ」
バキィ!!
王「ぐふっ!」
- 145: 2012/07/02(月) 18:10:52.34 ID:BSNXIY2Q0
- 兵士たち「王様!!」
兵士長「お前ら、魔女に矢を放て!!」
王妃(…あの馬鹿兵士長!!今打ってどうすんの!!)
ビュンビュン
王妃(王子に死なれては困るのよ!!)
ザッ!!
王妃(…なんとか体位を変えるのに成功したわ…)
グサグサ
王妃(クウッ…矢が刺さりまくってしまった…)
- 159: 2012/07/02(月) 19:05:58.40 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「助太刀すまない!!」
王妃(…私がかばったからよ…あんなの助太刀じゃないわよ…)
王(ちっ…殺す絶好のチャンスだったのに…あの女は邪魔ばかり…)
王(俺が直々にやるか…)
フッ
王「これでも食らえ!!!」
ブン!!
王妃「!?」
スカッ
王子「王様!お陰で魔女が離れました!!」
王妃(あいつ…うすうす感づいてはいたけど王子を殺す気だわ…事故を装って…)
王妃(いま、王子から離れなくてはいけない…) - 160: 2012/07/02(月) 19:10:37.16 ID:BSNXIY2Q0
- 兵士長「いまだ!!矢を準備しろおおお」
王妃(…兵士長もグルなのね…矢を広範囲に当たるように…弓矢隊を配列して…)
王妃(…何が何でも王子を殺してやると…)
王(矢を王子に当てて…あの女と戦っているうちにフラつきでもしたら)
王(我が剣の餌食にしてやる)
王妃(王子を殺させなど、しない)
ガバッ
王妃「王子いいいいい」
ダダダッ
ガチーン
王子「ぐっ…なんて力だ…」
ギリギリギリ
王妃(そりゃ、これくらいなくちゃ城から1人で逃げられないわよ)
兵士長「はなてえええ!!!」
ピュン!
王妃(来た!!)
グワン!!
- 164: 2012/07/02(月) 19:16:41.29 ID:BSNXIY2Q0
- 王子「うわっと…」
ドン
ドスドスドス
王子「ざまあないな、魔女…」
王子「わざわざ敵の盾になるなんてさ」
王妃「ぐっ…」
フラフラ
王妃(…力が…入らないわ…)
グラッ
王(いまだな、もうあの女が王子をかばえるとは思えない)
王「魔女め!!おりゃああああ!!」
ジャキン!
王妃(…あいつめ!!!)
王妃(動いて…私の身体!!)
ググッ
ドスッ!!
王妃「ぐはっ…」
ダラダラ - 165: 2012/07/02(月) 19:21:19.75 ID:BSNXIY2Q0
- 王(…しぶとい女め…王子を今日殺すのは無理そうだな…)
王(ま、この女、私の剣で串刺しにされたし、すぐに間違いなく死ぬ)
王(それだけでも大収穫だ)
王「堪忍しろ、魔女」
王子「これでとどめだ!!」
ブン!!
「やめて!!!!」
王子「!」
王「ど…どうしてきたんだ!!」
王妃(白雪姫…なぜ)
白雪姫「お母様!!目を覚まして!!」
- 166: 2012/07/02(月) 19:25:53.77 ID:BSNXIY2Q0
- 白雪姫「私は…貴方が大好きです!!」
白雪姫「今…いじめられても、貴方が私のことを嫌いでも!!」
白雪姫「私が幼いころ、いつも一緒に遊んでくださいました!!」
白雪姫「王宮で1人だった私にとって、どんなに楽しい日々だったか…」
白雪姫「だから…こんなことやめて、お城へ帰りましょう?」
ジッ
王妃(…あんなにいじめたのに、まだ好きと言ってくれるなんてね…)
王妃(よい子ね…私の自慢の娘だわ…)
王妃(今すぐ謝りながら抱きしめられるならどれほど良いかしら…)
王妃(…いけない…いま泣いてはいけない…)
王妃(しっかり…ここが最後の山場よ…)
ブルブル
- 167: 2012/07/02(月) 19:29:57.83 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「くくくっ、あっはははははっ!!!」
ドカッ!!
王子「うわっ、しまった!!」
グッ!!
王子「!魔女め、白雪姫を放せ!!」
王「おい、いい加減にしろ!!」
白雪姫「お母様…」
ポロポロ
王妃「ほんっとうに馬鹿な娘」
ケセセセッ
兵士「くそ…姫様を人質に…」
小人「うかつに近づけない…!!」
王妃(ごめんなさい…私の力不足で今まで大変苦労をかけさせてしまって…)
王妃(でも、これも最後よ…)
王妃(あなたをいじめるのも…これで…最後よ…)
- 169: 2012/07/02(月) 19:33:29.25 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃「王様…」
王「何だ」
王妃「要求があるのです。飲まないのなら、白雪姫を殺します」
王「くそっ…なんだ、いってみろ」
王妃「貴方の欲するものは決して欲してはならないもの!!」
王妃「釣り合う相手に渡しなさい!!」
王妃「さもなくば、あなたに地獄の苦しみを!!」
王「はぁ~」
王(…王子に白雪姫を渡せ…ということか…)
王「…お前の企みくらい、分かってたぞ」
王「…」
ギロッ
王妃「…」
ググッ
白雪姫「くうっ…」
- 172: 2012/07/02(月) 19:38:53.24 ID:BSNXIY2Q0
- 王「…ふうっ…分かった、要求を飲もう!!」
王妃「…ふっ、あはははははは…」
王妃「…ようやく…終わりました…白雪姫…」
ソッ
白雪姫「へ…?」
王妃(私は貴方の花嫁姿が見たかったけど…無理そうだわ)
王妃(幸せにおなり…白雪姫)
ニコリ
グラッ
バタン!!
白雪姫「お…お母様、」
白雪姫「お母様!!」
王子「…力尽きたのか」
- 173: 2012/07/02(月) 19:41:58.51 ID:BSNXIY2Q0
- 王「意外とあっけない最後だな」
王子「…こんな人だったが、主よ、彼女にも安らぎを…」
王「…さあ、終わった…皆、城に帰ろう」
白雪姫「…」
グズグズ
町人「あ、魔女討伐から帰ってきた!!」
商人「あれは…王妃の死体!!引きずられている!!」
町人「皆~魔女がしんだぞおおおお!!!」
- 174: 2012/07/02(月) 19:44:04.04 ID:BSNXIY2Q0
- (とうとう…平和が来たんだ…)
(やった…安らかな日々が戻るぞ!!)
(あれが隣国の王子と…姫様)
(なんて美しい2人だ)
(王様…あの方が指揮をとったそうだぞ)
(万歳!王様万歳!!)
(王子様万歳!!)
(万歳!!万歳!!!)
(魔女は死んだ!!万歳!!!)
数週間後
王「さてと…2人の結婚式が終わった…」
王「あのムカつく若造も王になった…」
王「フフフッ、叩き時か」
- 181: 2012/07/02(月) 20:17:25.59 ID:BSNXIY2Q0
- 王「浮かれているうちに、我が国の盗賊団を送り込む…」
王「そして内乱にまで勃発させる」
王「もちろん、我が国の軍も盗賊団を捕まえる、という名目で侵入」
王「隣国を滅茶苦茶にしてやれ」
ニヤリ
王「そして、とどめに全面戦争にまでやってやる」
王「はははははっ!!!」
――――約束を破りましたね
王「!?」
――――舐めてもらっては困ります
王「この声は…王妃!?」
- 182: 2012/07/02(月) 20:18:36.81 ID:BSNXIY2Q0
- 王「なぜだ!?あの時は小人が魔法を封印したはず…」
――――私は魔法を使えなくなりました
――――でも“呪い”まで封印してませんよね
王「…お前、黒魔術師か!?」
王「しかし…黒魔術は、老齢の魔術師でも難しいといわれている!」
――――お勉強をちゃんとしていないようですね
――――私の祖国の王家は…死神の血が混じっているのですよ
王「…まさか、…お前の祖国の別名…“死国”と呼ばれている理由がそれなのか!?」
王「伝説では無かったのか!?」
――――だから他国は我が国を恐れて近づかないのです
――――黒魔術なんて、生まれた時からできますよ
- 183: 2012/07/02(月) 20:19:35.25 ID:BSNXIY2Q0
- ――――まあ、近年は恐れられすぎたので、魔力は封印されてましたけどね
――――父上は私を娘と思ってくれていたようで、最後に封印を解いてくれたようでした
王「…」
フラフラ
王「…何しに来た」
――――当然、貴方を葬り去りに来ました
王「ぐっ…」
―――――ここまでですよ
―――――私が命と引き換えに貴方にかけた呪い
―――――貴方を死に誘うでしょう
王「ぐふっ…ぐっ…死にたくない…まだ…」
ブチブチ
王「うわああああ!!!いやだああああ身体がああああ」
ピキピキ
王「いだいよおおおおおおお!!!」
ドクドク
- 185: 2012/07/02(月) 20:20:31.76 ID:BSNXIY2Q0
- 王「死にだくないよおおおおお」
ピシィ、ピキッ
王「ぐああ、ああ、ああああ」
ドサッ
「王様!?」
「王様―!!」
ザワザワ
新王「白雪姫…可哀想に」
白雪姫「…お父様……グスッ」
新王「…ご両親が亡くなるのは大変辛いだろう」
新王「でもこれからは私が、貴方の支えになります」
新王「家族として…夫として」
- 186: 2012/07/02(月) 20:21:15.19 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「だから…気を落とさないで下さい」
新王「王は…貴方の泣き顔よりも笑顔が見たいと思いますから」
白雪姫「はい…」
グスン
新王「貴方の国は、私の国と統合し、新たな国を発足させます」
新王「白雪姫をこれからも守り、貴方の国をよりいっそう、豊かに」
新王「だから…安心して、お眠りください」
- 187: 2012/07/02(月) 20:21:56.29 ID:BSNXIY2Q0
- ―――数年後―――
白雪姫「ねえ、…」
新王「どうしたんだい?白雪姫」
白雪姫「お母様が亡くなったのは…だいたいここ辺りかしら」
新王「ああ…ここで、倒れたんだ…」
白雪姫「…実は私…お母様が私をいじめるのは何か深いわけがあると思っていたの」
白雪姫「…今でもそう思うわ…」
白雪姫「実は、お母様が死ぬ直前に呟いた言葉が頭にずっと引っかかってて」
新王「…白雪姫…」
新王(…深い理由か…)
新王(…そういえば、私と組み合っていた時…)
新王(体位を変えていたな…)
新王(あの時は疑問に思わなかったが…おかしい)
新王(わざわざ…矢が当たる方へ…体位を変えていた)
- 189: 2012/07/02(月) 20:23:27.83 ID:BSNXIY2Q0
- 新王(私を守るかのように)
新王(…王に向けた最後の言葉も…不可解な内容だった…)
新王(…しかもあの時、負傷者はいたが…死亡者がいなかった)
白雪姫「…あ!!」
白雪姫「…これを…見て下さい」
チャリン
新王「これは…ロケットだ。鎖に2つもついている?」
白雪姫「…ここに落ちていたの…」
白雪姫「お母様はよくこのロケットを見ていたわ」
白雪姫「誰にも中身はみせなかったけれど」
カチャリ
白雪姫「…」
新王「…君の絵だ」
新王「…言葉が彫ってある」
- 191: 2012/07/02(月) 20:24:42.29 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「(今度こそ、わが子を守る)」
新王「…」
白雪姫「…おかあさま…」
ポロポロ
新王「もうひとつは…」
新王「男の人と…王妃…」
新王「(夫を捨て、子どもを殺した自分を私は永遠に恨む)」
新王(王妃に…何があったんだ…白雪姫を憎んでいなかったのか…?)
白雪姫「王様」
白雪姫「私、お母様と暮らしたあの場所へ行きたい…」
ボロボロ
白雪姫「今も残っているでしょう?」
白雪姫「お願い、連れて行って…」
新王「…いいだろう。焼け跡しかないが僕も行こう」
新王「…本当のことが分かるかもしれない」
- 192: 2012/07/02(月) 20:25:37.33 ID:BSNXIY2Q0
- ―――焼け跡―――
白雪姫(…お母様…)
白雪姫(…ホントに…私のことが嫌いだったの…?)
白雪姫(実はずっと気になってたの…)
白雪姫(…多分、ここ辺りがお母様の部屋…)
白雪姫(何かあるかもしれない…)
ガサガサ
新王「…」
白雪姫「ダメだわ、やっぱり…なにもない」
新王「だろうね…」
ザクッザクッ
新王「全く…皆魔女を恐れて片づけなかったんだな…」
新王「がれきがそのまま残っている」
バキッ!!
新王「!!、危ないな…ん!?」
新王「…あ、こんな所に隠し扉が!!」
ドンドン - 193: 2012/07/02(月) 20:26:09.01 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「あけてみるよ」
白雪姫「ええ」
ガタン
新王「これは…」
白雪姫「…昔私がお母様に作った人形」
白雪姫「お母様に宛てた…手紙?」
新王「…間違いない、王妃は君を憎んではいなかったのだ」
新王「…でも一体どうしてあんな行動を…?」
新王「…白雪姫、何をよんでいるのかい?」
白雪姫「うっ…ぐずっ…うわああああん…」
新王「…えっと…日記?」
新王「…」
ピラピラ
- 202: 2012/07/02(月) 20:52:33.20 ID:BSNXIY2Q0
- ―――○月×日
本日をもってこの日記を終わらせる
理由はたった一つ、王様が自分の娘に前王妃を見出したため、
他の男に取られまいと監禁し、我が物にせんとするのを阻止するために
この国に来る前に私は離婚し、子を下ろした
絶望を抱き、この国に来た
私に唯一心を開いてくれたのは、白雪姫
彼女は私の唯一無二の娘
私は赤ちゃんを殺した。赤ちゃんを圧力から守れなかった
今度こそ、自分の子を守って見せる
今度こそ、私は守ってみせる
- 204: 2012/07/02(月) 20:54:31.47 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「…」
白雪姫「うわあああん、お母様、ううっ」
ボロボロ
白雪姫「どうして…言ってくれれば…」
ボロボロ
白雪姫「お母様…私のお母様…」
白雪姫「神様…もう一度お母様にあわせて…」
白雪姫「お礼を…いわせて…神様…」
ガクリ
新王「白雪姫…」
新王(…白雪姫、貴方を王妃から守りきったつもりだった…)
新王(しかし本当に貴方を守っていたのは、あの王妃だったのか…)
新王「…母親は強いものだな…」
新王「でも…どうして、打ち明けて下されば…」
新王「あるいは…」
新王「いえ、打ち明けるわけにはいかなかったのですね…」 - 205: 2012/07/02(月) 20:55:20.95 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「…く」
ボロボロ
新王「クソッ…」
ボロボロ
新王「…自分は愚かものだ…」
新王「きがつけなかった…何も…何も…」
新王「王妃様…私をお許しください…」
ジャキン
白雪姫「!!やめて!!!王様、ダメ!!」
新王「地獄で…私は裁かれます…」
ゴオッ!!!
――――――貴方は大馬鹿物ですか!?
――――――今、白雪姫も国民も身捨てて自分だけ死ぬつもりですか!?
――――――ああ、こんなことなら私があの時本気を出して
王様共々殺してあげればよかった!!!
- 206: 2012/07/02(月) 20:56:18.11 ID:BSNXIY2Q0
- 新王「…今の…声は…?」
ピタッ
白雪姫「…何をおっしゃっているのですか」
白雪姫「声なんて聞こえません」
白雪姫「いいから早く剣をしまって下さい!!」
白雪姫「私を1人にするつもりですか!?」
白雪姫「私は1人が嫌いなのです!!」
白雪姫「ですから…お願いですから…」
ポロポロ
新王「…白雪姫…すまなかった…」
新王「こんなことは二度としないから…」
ギュ…
白雪姫「…約束ですよ…」
新王(さっきの声は…王妃様、貴方なのですか…!?)
新王(…答えてください…) - 208: 2012/07/02(月) 20:57:40.19 ID:BSNXIY2Q0
- 新王(…白雪姫に、語りかけてあげてください…)
新王(彼女は…貴方と話したがっているのです…!)
新王(王妃様…!)
新王(あなたは…)
ゴオッ!!!
新王(…)
新王(…気のせいだったのか…?)
新王(…)
新王「白雪姫、行こう」
新王「王妃様の葬られている所へ」
白雪姫「はい…」
サクサクサク
- 211: 2012/07/02(月) 21:00:16.66 ID:BSNXIY2Q0
- …………
―――――――――フンッ、ようやくお墓参りに来てくれるのね
―――――――――いくら悪者でも墓くらいきて欲しかったわ!
―――――――――ま、王子が首を切ろうとしてくれたし、良かったことにしましょう
―――――――――ふふっ…なんだかんだ、本当のことを知ってほしかったみたいね、私
―――――――――情けないわ、今までここに残ってしまって
―――――――――…これで、本当に、さようならね
…………
- 212: 2012/07/02(月) 21:01:13.40 ID:BSNXIY2Q0
- 「ねえ、あのお話聞かせてよ」
「ん?」
「悪い魔女と白雪姫のお話!」
「ああ、いいよ」
「昔、ある国に王様がいました」
「王様には大層綺麗なお妃さまとお姫様がいました」
「そして同じころ少し北の国に魔女はいました」
「悪い魔女は、ある浅ましい野望があったのです」
「国を思うままに動かし、贅沢を尽くし、一番美しくありたいという…」
「ですからそのようすを見た魔女は妬み、お妃様を殺し、とり替わりました」
「さらにお姫様…美しい白雪姫をいじめました」
「………」
- 213: 2012/07/02(月) 21:03:19.94 ID:BSNXIY2Q0
- ---十数年前---
王妃『ほら、この花はね、こうすると…』
白雪姫『なになに?』
ワクワク
王妃『ピィ~』
白雪姫『わあ』
キラキラ
王妃『草笛よ』
ニコニコ
王妃『白雪姫はお庭に散歩に行ったことは?』
白雪姫『…いつもメイド達が汚れるし、はしたないから行くなって』
ショボン
王妃『ふふっ、まあそうね。』
王妃『ま、私がいるからこれからは思いっきり遊べるわよ』
白雪姫『ホント…?』
- 215: 2012/07/02(月) 21:04:17.89 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃『悪い奴はやっつけてやるわ』
ブンブン
白雪姫『かっこいい!わ、私もやりたい!!』
キラキラ
王妃『まあ、そのうち教えてあげるね』
ナデナデ
王妃(…私は赤ちゃんを殺してから…一刻も早く死なねばと思っていたわ)
王妃(いや…今でもそう思うの)
王妃(でも…この子を見ていると…生きる喜びを感じずにはいられないわ…)
王妃(私が一瞬でも息をするのを許されないほど罪深い存在でも)
- 217: 2012/07/02(月) 21:05:12.11 ID:BSNXIY2Q0
- 王妃(私は生きていてよかったと思える)
王妃(そして神様が生きる事を許してくれなくても、私は生きていたい)
王妃(私は…貴方を会えてよかった)
王妃(本当に、よかった)
王妃『白雪姫』
白雪姫『なに?お母様』
王妃『これからも、一緒にいようね』
ギュ…
白雪姫『うん!』
ニコッ
- 218: 2012/07/02(月) 21:08:31.35 ID:BSNXIY2Q0
- 終わりです
前のssがさるをくらいまった挙句、落ちたのがトラウマだったので気をつけた
つもりでしたが、やはりくらいました
なんとか最後までいけて良かったです。保守や支援してくれた方々、最後までお付き合いしてくれた方
本当にありがとうございました - 221: 2012/07/02(月) 21:09:18.00 ID:Y3fB2rDb0
- 乙
王妃が報われて良かった…
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お知らせ
サイトのデザインを大幅に変更しました。まだまだ、改良していこうと思います。