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1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:06:31.93 ID:QiRrhyz/Q
女「そんな訳で、よろしくな」

男「……ちょっと待て、意味がわからない」

女「そりゃそうだろう」

男「何でお前と一緒に暮らさないといけないんだ?」

女「それにはな……深い理由があって……」

男「深い理由……?」



女「私の家とお前の家、借金があるらしくてな。タダ飯喰らいを追い出したかったらしい」



男「浅いにも程があるだろその理由」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:11:05.30 ID:QiRrhyz/Q
女「二人で協力して頑張れ、だとさ」

男「いや、だって……どこに住めばいいんだよ」

女「家は提供してくれるみたいだけど」

男「そっちの方が高くつくだろ!?」

女「うーん……ウチのお母さん凄い人だから。色んな知り合い居てさ」

男「安く借りられる、ってことか……」

男(凄い人なら借金しないで欲しいんだけどな)

女「まあ、そんな長い期間じゃないみたいだから」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:17:21.24 ID:QiRrhyz/Q
男「……ちょっとの間だけなんだな?」

女「うん。何か色々と忙しくなるみたいだから、その間だけ」

男「うーん……まあ、それならいいか。ちょっと面白そうだし」

女「実は私、一人暮らしとかしてみたかったんだよねー」

男「二人暮らしだけどな」

女「そうなんだよ、お前さえ居なければ完璧だったのに」

男「……………」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:18:07.77 ID:QiRrhyz/Q
女「一応幼なじみだし、他の奴に比べたらマシだけどな」

男「うーん……まあな。お前、俺しか友達居なかったし……」

女「あはは!そうそう、ずっと男にばっかりくっついてたよね」

男「その喋り方も俺の影響か……」

女「うーん、それはどうだろ?よくわかんないや」

男(出来ればもっと女の子らしく喋ってほしいんだけどな……)



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:20:02.26 ID:QiRrhyz/Q
女「本当は兄貴の家に行こうかと思ったんだけど、新婚だからさー」

男「あー……そりゃ行けないわな」

女「何でも、相手は元ニートで元メイドらしいぞ」

男「どんな人生歩んでるんだよその人」



女「あはは。まあ悪い人じゃないみたいだけど……あ、ここだここ」



男「かなり、立派じゃないか……?」

女「うーむ……恐るべし、ウチの母……」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:24:52.97 ID:QiRrhyz/Q
女「広っ……」

男「二人で住む広さじゃないな……」



女「男、男っ!テレビがでっかいぞ!!」



男「そういうとこしか見ないのかお前は」

女「うわー、これなら何年でも暮らしたくなるなー」

男「いや、それはちょっと……」

女「あ、アレアレ!アレ何だ!?」

男(人の話聞けよ……)
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:29:15.78 ID:QiRrhyz/Q
女「ベッド、ベッドがある!!」

男「ベッドくらいで騒ぐなよ……」

女「だって私の家はずっと布団だったんだぜ?私、これに憧れてたんだー」

男「そんなもんなのか」



女「えっへへー、ふかふか♪……あれ」



男「どうした?」

女「このベッド、かなりデカイんだけど……やっぱり高級品なのかな」

男「……だ、ダブルベッド……じゃないか、それ……」

女「…………何?そのダブルベッドって」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:34:11.09 ID:QiRrhyz/Q
女「ふ……二人で寝るのか?」

男「多分……そうだと思う…」

女「な、何考えてんだ母さんは!可愛い娘にこんな獣と二人で寝ろと……?!」

男「獣って何だよ獣って……いいよ、いざとなったらソファーで寝る」

女「え?い、いいよ別に。昔は、ほら、二人で寝たりしただろ」

男「急に下手になるなよ」

女「べ、別にアレだぞ!?一緒に寝たい訳じゃないからな!!」

男「……わかってるよ」

女「わ、わかってんなら、いい」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:39:32.41 ID:QiRrhyz/Q
女「で、まあ……家事は私がやる」

男「俺はバイトに出て金を稼ぐ」

女「こんな感じでやっていけば何とかなるだろ」

男「……お前、家事出来るっけ……?」

女「え?いや、まあ……料理はちょっと自信無いけど……」

男「……………」

女「だ、大丈夫だって。そのうち覚えるから」

男(暫くは惣菜にしといた方が無難だな)
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:43:55.59 ID:QiRrhyz/Q
男「じゃあまあ……とりあえず任せるぞ」

女「……あ、ああ。どんとこい」

男「……因みに得意料理は?」

女「女さんの三分クッキング、バリエーションは豊富!」

男「カップラーメンは料理とは言わない」

女「お……お湯に浸すのも出来る……」

男「レトルトカレーも料理とは言わない」

女「……ごめん、やっぱり料理だけ手伝ってくれ……」

男「……了解」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:48:54.82 ID:QiRrhyz/Q
女「うーん……何か、お米がびちゃびちゃしてないか……?」

男「お前が水加減間違ったんだろ」

女「や、やっぱりそうなのかな」

男「因みに味噌汁も辛い」

女「嘘っ!?………うわ、しょっぱ……」

男「……………」

女「しょ、精進します……でもほら、この野菜炒めは美味いだろ?」

男「美味いな。……俺が作ったんだけある」

女「あ、あれ?そうだっけ……あはは」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:52:15.51 ID:QiRrhyz/Q
女「えーっと……お風呂、沸いたけど」

男「空焚きしなかったか?」

女「……最近はスイッチ式だろ。どっちから入る?」

男「先に入っていいよ。後でのんびり入るから」

女「あ、うん。……それじゃ先に入るね」

男「おー」



女(な、何か……今、変な会話してるみたいだったな……)
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 14:56:32.01 ID:QiRrhyz/Q
女「お、おお……シャンプーも高そうな奴だ……」

女「ふぅー……何か疲れたなあ……」

女(男と二人暮らし、か……)

女(何かちょっと楽しみ……かも……)

女「か、かも。だけどな!!飽くまで、かもだから!!」



男(風呂でもうるさいなアイツは……鴨?)
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:01:26.39 ID:QiRrhyz/Q
女「……お待たせ。次どうぞー」

男「……………」

女「ん?……ははーん、さては私のパジャマ姿に見とれてるな?」

男「いや……お前って着痩せするタイプなのかと思ってたけど」

女「へ?」

男「本当にペッタンコなんだな……」



女「う、ううううるさいやい!馬鹿!Aで悪いか!」



男(カップ数まで聞いてないんだけどな)
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:06:07.75 ID:QiRrhyz/Q
女「さ、先に言っとくけど。触ったりしたら、だ、駄目だからな」

男「触らないっての」

女「寝たふりして触るのも駄目だからな」

男「触らないって言ってるだろ……」

女「……じゃあ、いい。おやすみ」

男「おやすみ」



女(さ、触られたらどうしよう……)
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:12:14.55 ID:QiRrhyz/Q
男「……おはよう」

女「触らないのかよ!」

男「な、何だよ朝っぱらから……」

女「べ、別に……たいしたことじゃないけど……」

男「……それより、朝飯は?」

女「あ、そっか……めんどくさいな……」

男「母親のありがたさがわかるな、こういう時」

女「いいから手伝ってくれよ、目玉焼きの作り方教えてくれる約束だろ」

男(……卵焼きを作れるようになるまで、何日かかるかな……)
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:17:12.77 ID:QiRrhyz/Q
女「……焦げた……」

男「強火でやり過ぎなんだよ」

女「も、もう一回だ……もう一回……」



女「焦げた……」

男「…………」

女「もう一回……」

男「あれ、今何時だ?」

女「へ?……………あ」



女「遅刻遅刻!!朝飯は食パンな!!」

男「一昔前の少女漫画かよ」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:22:35.46 ID:QiRrhyz/Q
女「セーフ!!!!」

男「間に合ったな……頬っぺたにジャムついてるぞ」

女「え?あ……は、早く言えよっ」

男「全力疾走してたもんだから、つい……」

女「もう……あ、お前だってついてる」

男「嘘だろ?」

女「うっ……お前は本当に可愛くないな」

男「暗に自分は可愛いって言ってないか」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:27:59.66 ID:QiRrhyz/Q
男「じゃあ、俺はこのままバイトに行くから」

女「え……あ、そっか。じゃあ頑張れよ」

男「おー」



女(ちぇっ……一緒に帰れると思ったのに……)

女(あー……帰ったら洗濯とかしないといけないんだっけ……)

女(何か、大変だよな……親元から離れるのって……)
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 15:33:16.70 ID:QiRrhyz/Q
女(私の下着と男の下着が絡み合って……何か複雑だな……)



女「さて、今日は男も居ないし……私一人で料理を作らないとな」

女「メニューは……簡単だし、カレーかな……」

女「人参、玉葱、豚肉、ジャガ芋♪」

女「カレールー♪」



女「……ツッコミが居ないのって寂しいな……」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:05:39.61 ID:QiRrhyz/Q
男「ただいまー……」

女「お、おかえり」

男「早速だが飯にしようぜ……腹減った」

女「……あ、う、うん……」



男「………何だこれ……」

女「か、カレーだよ。見ればわかるだろ」

男「…………カレールー入れすぎだろ」

女「う……」

男「はあ……」

女(………………)
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:09:22.90 ID:QiRrhyz/Q
女「行ってきます」

男「日曜の朝っぱらからどこ行くんだ?」

女「別にー。何か用事がある訳じゃないよ」



女「えーっと……ここだよな」

女「今の時間だと兄貴は仕事かな……?」

ピンポーン

義姉「………………………はい」

女(うっ……機嫌悪そう……)

義姉(私は低血圧なのに……)
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:14:04.64 ID:QiRrhyz/Q
女「あ、あのっ……料理を……」

義姉「料理……?」



女「……という訳なんです」

義姉「大変ですね。相手が正常な味覚を持っている方だと」

女「あ、兄貴は異常なんですか……」

義姉「鯉以上の悪食です。……さて、始めましょうか」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:19:42.85 ID:QiRrhyz/Q
女「どうだ!これなら文句のつけようが無いだろ!!」

男「うん……美味いな」

女「だろ?いやー、兄貴もいい人を嫁さんにしてくれたよ」

男「……だけどさ……」

女「ん?」

男「二日連続でカレーはちょっと……」

女「仕方ないだろ、カレーしか教わらなかったんだから」
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:24:29.95 ID:QiRrhyz/Q
男「じゃ、おやすみ」

女「うん」

女(ふー……やっぱり一緒に寝るのって照れるよな……)

女(私って結局、コイツのこと好きなのかな……)

女(恋愛なんてしたことないからわかんないけど)



男(何かぶつぶつうるさいなコイツ……)
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:29:03.96 ID:QiRrhyz/Q
女「男ー、帰ろうぜー」

男「ああ、今行く」



女「男さあ……恋愛って何だと思う?」

男「え?」

女「……何だよ、その顔は」

男「いや……まさか女の口からそんな言葉を聞くとは思わなくて……」

女「し、失礼な奴だな。私だって一応女の子なんだぜ?」

男(女の子が『なんだぜ?』とかあんまり言わないと思うけどな……)
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:34:57.24 ID:QiRrhyz/Q
女「実はさあ……クラスの女子が、この間彼氏出来たらしくて」

男「ふんふん。それで?」

女「今日にはもう違う奴と付き合ってたんだよ」

男「あー……居るな、そういう奴」

女「しかも前の恋人の悪口ばっか言ってるし……恋愛って何なのかなー、って」

男「うーん……そうだな……」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:39:46.50 ID:QiRrhyz/Q
男「……うん。多分だけど、彼女達にとって恋人は高価なバックみたいなものなんだ。

 バックの中に何を入れるかなんて誰も考えない」

女「…………」

男「とりあえず見栄えがいいバックを選ぶ。内面は気にしない」

女「……それで?」

男「それを見せびらかしたり優越感に浸る為に買うんだからな。

 中に何が入ってるかなんて誰も触れようとしなくなってる」

女(……………)

男「で、ブームが過ぎたら惜し気も無く捨てて、『時代遅れ』と罵るんだよ」

女「……うーん。それも、恋愛っていうのか?」

男「多分な。……少なくとも、彼女達にとってはそうなんだろ」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:45:06.68 ID:QiRrhyz/Q
男「バックの中身とか、性能にこだわるのは大体大人の女性だからな」

女「なるほどねぇ……つまり私は大人の女性なのか……」

男「え?」

女「い、いや、別に!何でもない!!そ、それよりさ、今日の晩飯何がいい?」

男「……鶏肉のから揚げかな」

女「作れない」

男「えー……」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:50:44.45 ID:QiRrhyz/Q
女「わかったわかった。今度メールで姉さんに聞いとくよ」

男「姉さん?」

女「兄貴の奥さん。料理上手いんだぜ?」

男「ふーん……メールで聞いただけで作れるのか?」

女「私はもうアレだ、コックさんのレベル」



女「えへへ、焦げちゃった」

男「皿洗いでもしてろ見習いコック」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 21:55:26.32 ID:QiRrhyz/Q
男「じゃあバイト行ってくるけど……大丈夫か?」

女「え?大丈夫って……何が?」

男「いや、最近疲れてるみたいだからさ」

女「あはは!何言ってんだ、私の体力知ってるだろ?」

男「……それもそうか。じゃあ行ってくる」

女「おー。しっかり稼いでこいよ」



女「……ふー……掃除しなくちゃ……」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 22:00:31.33 ID:QiRrhyz/Q
男「ただいま……ん?」

女「………スー……」

男「寝てる……やっぱ疲れてるんだろうな」



女「……ふゃっ!?今何時!?」

男「22時前」

女「ご、ごめん!すぐ夕食作るから!」

男「いや、いいよ。洗濯とかもやるから、休んでろ」

女「えっ……」

男「疲れてるだろ、休め」

女「………う……でも、さあ……」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 22:06:12.79 ID:QiRrhyz/Q
女「……やっぱいいよ。私、やる」

男「……無理しなくていいっての」

女「無理なんかしてないって。男が洗濯したら私の下着で何するかわからないからな」

男「お前なあ……」

女「あはは、だから男こそ休みなよ。バイトで疲れてるだろ」

男「でも」

女「いいからいいから!早く寝ちゃえよ」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 22:12:04.15 ID:QiRrhyz/Q
女「……う、ひび割れ……」

女「よし、食器洗いも終わったし……寝るかな」



男「……グー……」

女(コイツも疲れてるんだろうけど)

女(ちょっとくらい……甘えたっていいよな、うん……)

ギュッ

女「……おやすみ……」
162: 1 2009/06/01(月) 01:10:39.74 ID:2iWRimrVQ
男「…………朝か……」

女「お、おは、よー……」

男「!? 今朝は早いな……」

女「う、うん、たまには」

女(う……何か恥ずかしくて顔が見れない……)

男「……女」

女「ふぇっ!?ななな、何だよ!」

男「焦げてる」

女「え?……あ……。それはそうと、食パンどこだっけ」

男「結局今朝も食パンかよ……」
164: 1 2009/06/01(月) 01:15:30.39 ID:2iWRimrVQ
女「大体、女の子と二人で生活なんて男の夢だろ?」

男「女の子にもよるだろ」

女「……何だよそれ。私じゃ不満だってのか?」

男「いや、そういう訳じゃないよ。ただ、料理くらいは……と」

女「じゃあ何か?料理が出来れば私は理想的な女の子なんだな?」

男「うーん……まあ、好印象にはなるな」

女「へ、へー……別に興味ないけど」



女(……もっと早く言えよそういうの……)
166: 1 2009/06/01(月) 01:20:20.96 ID:2iWRimrVQ
女「姉さーん!!料理を教えてくださーい!!」

ガチャッ



兄「あ」

義姉「……ふぇ……?」



女「あ……う、わ……あ、あの、その……ごめんなさいっ!!」



義姉「ちょ、ちょっと待ってください!誤解です!」
169: 1 2009/06/01(月) 01:25:03.63 ID:2iWRimrVQ
女「つまり……ゴキブリが出て、つい抱き着いていただけ……と」

義姉「……お恥ずかしい話ですが」

兄「いきなり入るお前が悪い」

女「わ、悪かったって。それで、えっと……」

女(料理教えてくれ、なんて言える雰囲気じゃないよな……)

女「うーん……いいや、ごめん。出直すよ」

兄「……もう遅いし、送ってやるよ」



女「なあ、兄貴ー」

兄「うん?」

女「料理出来る女ってどう思う?」

兄「そりゃまあ理想だな」

女「やっぱり……そうだよな……はあ」
170: 1 2009/06/01(月) 01:28:46.39 ID:2iWRimrVQ
女「……誰でも出来る50のレシピ、か……」

女「うーん……買っちゃおうかな……」

女(料理の出来る理想の女の子……)

女「あ、あの、……これください」



女(……買っちゃったよ……)

女「何か、ガラじゃないよな……こういうの……」
172: 1 2009/06/01(月) 01:33:54.13 ID:2iWRimrVQ
女「……適量って何だよ適量って」

女「その適量が知りたいからこの本買ったんだろ!」

女「だから少々ってどれくらいなんだよ!?」



女「……う、辛っ……」

女「……何で私って、こうなんだろ……」



女(こんなことなら、もっと家事を手伝っておくんだったな……)
174: 1 2009/06/01(月) 01:39:00.79 ID:2iWRimrVQ
男「おいおい……洗濯物山積みだぞ……」

女「あ、ご、ごめん……あはは」

男「あははってお前……しっかり頼むぞ……」

女「う、うん……ごめん……」

男「とりあえず飯にしようぜ」

女「あ、晩飯も……ちょっと失敗した……」

男「……いや、それは仕方ないよ」

女「えっ……そ、そうかな」

男「元からあんまり期待してないからな」

女(……………)
176: 1 2009/06/01(月) 01:44:29.25 ID:2iWRimrVQ
男「おやすみ」

女「うん、おやすみ」



女「……はぁ……」

女(……何かしんどいな)

女(頑張れば頑張る程裏目、っていうか)

女(……無駄な努力っていうか……)

女(あぁあ、もう!こんなの……私らしくないよな)
178: 1 2009/06/01(月) 01:51:09.74 ID:2iWRimrVQ
女「でさでさ、このテレビなんだけど」

男「んー?」

女「凄いんだぜ、ニュースとか天気とか見られるんだ!」

男「うん……今や常識だよな……」

女「科学の進歩だよな……凄い凄い!」

男「やっぱり人の話聞かないのな」

女「これ、私の家に持って帰っちゃいけないかな?」

男「……駄目だろ……」
180: 1 2009/06/01(月) 01:56:05.39 ID:2iWRimrVQ
女「アイス買ってきたぞアイス」

男「アイス?何でまたいきなり」

女「何か今日暑いからさ……ガリガリとハーゲンダッツどっちがいい?」

男「落差のありすぎる二つだな……」



女「で、どっちがいい?ガリガリだよな、ガリガリだろ?」



男「……ガリガリでいいよ」

女「えへへ、やったー♪」

男(まあ、いいか……嬉しそうだし……)
183: 1 2009/06/01(月) 02:01:11.78 ID:2iWRimrVQ
女「……………」

男「何だよ?」

女「……やっぱり悪いからさ、半分こにしないか?」

男「いや、いいよ別に」

女「遠慮しなくていいって。ほら、口開けろ」

男「……いや、いいっての」

女「ほら、食べろ、食べてくれよ!!」

男「何でそんなムキになってんだよ?!」

女「え、いや……別に……」

女(間接……とかは別に、考えてない……断じて……)
185: 1 2009/06/01(月) 02:06:32.76 ID:2iWRimrVQ
男「いただきます」

女「う、うん……どうぞ」

男「…………う……」

女「な、何だよ……マズイならマズイって言えよ」

男「美味いな……これは」

女「……ほ、ホント?美味い?」

男「うんうん、美味い」

女「へ、へー……まあ当然だけどな……私が作ったんだし……」

女(う……やば、これ……顔赤らむなあ……)
186: 1 2009/06/01(月) 02:11:51.50 ID:2iWRimrVQ
女(今日は何作ろうかな……)

女(うーん……肉じゃがとか好きかな、アイツ……)

女「ま、いいか……作ってみようっと」



女(む?何かちょっと楽しいな……)



女「ひょっとして私ってコックさんに向いてたりするのか?!」

女「痛っ!!……うー……指切った……」
211: 1 2009/06/01(月) 08:37:03.91 ID:2iWRimrVQ
女「い、いや、駄目だって……そんな、いきなり……」

女「まず、こ、告白して、デートして、手を繋いで、き……キスして」

女「そ、そこからだろ?じゅ、順序がおかし……」

女「だ、駄目だってば……やっ……」

ピピピピ!!!

女(………例の如く夢オチか)
213: 1 2009/06/01(月) 08:42:01.14 ID:2iWRimrVQ
女「大体、こんだけ一緒に居て手も握らないってどう思います?」

義姉「さあ……世の中にはいきなり来たメイドを雇った上に、襲わない人間も居ますから」

女「はあ……」

義姉「……で、その人のことが好きなんですか?」

女「え?!い、いや!そういう訳じゃなくてですね!」

義姉「好きでもない殿方に触れられたいのですか?痴女……という奴ですね」

女「……そ、そんな……」

義姉「時には、素直になるのも大事かと思いますが」

義姉(……私の言えた義理ではありませんけどね)
279: 1 2009/06/01(月) 21:11:46.19 ID:2iWRimrVQ
女「んー……今日もいい天気だな」

男「そうだな、これくらいの気温がちょうどいい」

女「洗濯物干すかな」

男「……なあ」

女「んー?」

男「たまには、二人で出掛けてみないか?」

女「……え……それって……」

女(デート……だよな……)
281: 1 2009/06/01(月) 21:16:38.80 ID:2iWRimrVQ
女「うわ……遊園地なんて何年ぶりだよ……」

男「俺も全く来てないな……久しぶりに見ると楽しめそうだ」

女「うん……何かちょっとワクワクしてきた」

男「してきたも何もさっきから興奮しっぱなしだろ」

女「あはは、まあねー」

女(ワクワクよりドキドキの方が強いんだけどね……)
284: 1 2009/06/01(月) 21:24:06.20 ID:2iWRimrVQ
女「お、おい……止めよう、止めようってば……」

男「……怖いのか」

女「こ、怖い訳ないだろ!!この私が、たかがおば、お化け屋敷くらいで……」

男「じゃあ入ろうぜ」

女「え、あ……うん……」



女「きゃぁぁぁぁぁあ!!や、やだやだ来るなっ!!」

男「……いや、あれ作り物……」

女「もうやだもうやだぁ!早く出ようよぉ!!」

男「お前が歩かなきゃ出られないんだが」

女「やだ!お化けくるもん!!歩かない!!」

男「…………」
285: 1 2009/06/01(月) 21:30:34.55 ID:2iWRimrVQ
男「……………」

女「……も、もういい……降ろして……」

男「もう大丈夫なのか」

女「う、うん……ご、ごめんな、おんぶまでさせちゃって……」

男「気にすんなって。……あ、でも」

女「ん……?」

男「何で女の子背負ってるのに胸が当たらないんだ?」

女「うるせぇぇぇぇえっっ!!!」
286: 1 2009/06/01(月) 21:35:21.93 ID:2iWRimrVQ
女「うるさいよ!胸が無い女の子だって居るんだよ!!」

男「……………」

女「大体何で……何で巨乳ばっかり持て囃されるんだ!!」

男「さあ……」

女「胸が小さい方が軽いし、邪魔にならないし……最高じゃないか……」

男「そうは言ってもなあ」

女「……もういいっ!次行くぞ次!!」

男「はいはい」

男(……よし、いつものテンションに戻ったな)
289: 1 2009/06/01(月) 21:43:20.60 ID:2iWRimrVQ
女「ジェットコースター、一時間待ちか……」

男「まあ気長に待とうぜ」

女「うん……そうだな」

女(……周りカップルばっか……)

男「…………ちょっと暑いな」

女(いや……でも……)

女(私たちも……恋人同士に見えるのかな……)

女「……えへへ」

男「……どうした?」

女「え?う、ううん、何でもない……何でもないよっ」

男(何か気持ち悪いなコイツ……)
297: 1 2009/06/01(月) 22:30:18.05 ID:2iWRimrVQ
女「はー……歩き疲れたな」

男「そろそろ帰るか?」

女「お、おいおい!まだ観覧車乗ってないだろ?」

男「あー、そうだな……行くか」

女「うん。……その、話したいこともあるし」

男「……………」

女「……………」
298: 1 2009/06/01(月) 22:32:56.38 ID:2iWRimrVQ
女「……観覧車も久しぶり」

男「そうだな」

女「…………でさ」

男「うん」



女「明日で終わりなんだってね。……この生活」



男「……そうらしいな。俺も父親から連絡があった」

女「…………ねえ、男」
301: 1 2009/06/01(月) 22:36:48.57 ID:2iWRimrVQ
女「私との二人暮らしが終わるって聞いて……どう思った?」

男「どういう意味だ?」

女「悲しい、とか、嬉しい、とか……そういう意味」

男「……女は?」

女「……私は……」



女「……切ないよ」
303: 1 2009/06/01(月) 22:41:16.52 ID:2iWRimrVQ
女「出来れば、これからも一緒に居たい」

女「私の料理食べてもらって、二人で一緒に寝て」

女「……そんな生活が送りたい」



男「……そんなのは無理だ」



女「…………っ……」

女「…………う、うん、そうだよね……」

307: 1 2009/06/01(月) 22:46:17.06 ID:2iWRimrVQ
女「……変なこと言って……ごめん」

男「……いや」

女「そ、それよりほら!風景綺麗だよ!」

男「…………」



女(……綺麗、なんだろうな……)



女(ぼやけちゃって……全然見えないけど……)
308: 1 2009/06/01(月) 22:50:35.90 ID:2iWRimrVQ
女「……それじゃあ……バイバイ」

男「今生の別れみたいに言うなよ。……また明日、学校でな」

女「うん……じゃあな」

男「ああ」



女「……さて、と」

女「明日に備えて、今日は早く寝るか……」

女(……明日、言う……)
391: 1 2009/06/02(火) 16:59:07.92 ID:JadQVTeyQ
女母「女、入るよ」

女「んー?はーい」



女「……どうしたの?」

女母「いやあ、感想を聞いておこうかと思ってねえ」

女「感想?……ああ、そういうこと」

女母「……どうだったんだい?」

女「楽しかったよ。……それから」



女「……幸せだった、凄く」
394: 1 2009/06/02(火) 17:06:37.68 ID:JadQVTeyQ
女「というか、借金とかも嘘なんだろ?」

女母「ん?」

女「前々から母さんは私と男をくっつけようとしてたじゃないか」

女母「そうだっけかねえ」

女「そんなことしなくても大丈夫だよ」

女母「…………」



女「私……本当は昔から、男のこと好きだったから」



女母「……そうかい。そりゃあよかった」
396: 1 2009/06/02(火) 17:13:48.41 ID:JadQVTeyQ
女「お、おはよう……男」

男「おはよう。……何だ寝不足か?」

女「う。い、いや、そうじゃなくて……ホームルーム始まるまで、時間あるか?」

男「あるけど」

女「大事な話が、あって……」

男「……わかった」
398: 1 2009/06/02(火) 17:18:17.43 ID:JadQVTeyQ
女「私は、ほら。こんな性格だから、まどろっこしいのは嫌いなんだ」

男「そんなのは百も承知だ」

女「あはは。……だからさ、あんまりかわいらしいのは期待しないでくれよ?」

男「……何の話?」

女「頬を赤らめてとか、俯きながらとかそういうのは出来ない」

女「……だけど、これだけは伝える」



女「私は、男が好きだ」
402: 1 2009/06/02(火) 17:24:44.37 ID:JadQVTeyQ
男「……………」

女「……何か言ってくれよ」

男「…………」

女「いいよ。……断られるって、何となくわかってたから」

男「……ありがとう、女」

女(……………)



男「それから……ごめん」
405: 1 2009/06/02(火) 17:32:25.63 ID:JadQVTeyQ
女「……何謝ってるんだよ、馬鹿」

男「いや……うん、そうだな……」



女「私が悪いんだよ。分不相応って言うか……ガラにも無いことしちゃったから」



女「じゃ、じゃあ、私……教室に戻るから」

男「……ああ」
410: 1 2009/06/02(火) 17:39:57.00 ID:JadQVTeyQ
女「……はあ……」

女(断られるってわかってた……?)

女(馬鹿じゃないの私……本当はちょっと、ちょっとだけ……)

女(……期待してた……くせに…)



女「…………っ……」
412: 1 2009/06/02(火) 17:46:40.48 ID:JadQVTeyQ
担任「ホームルームが始まる前に……皆に話がある」

男「…………」

担任「男」

男「……はい」

女「…………男…?」

男「……親の仕事の関係で……」



男「……転校することになりました」
415: 1 2009/06/02(火) 17:51:46.30 ID:JadQVTeyQ
女「……え……」

男「……………」

女(…………借金……仕事……)

女(アレって……本当だったのか…?新しい仕事の為に転校するの……?)



女(……じゃあ……さっきの、告白は?)



女(……馬鹿か、私は)

女(関係無いに……決まってるだろ……)
416: 1 2009/06/02(火) 17:56:59.69 ID:JadQVTeyQ
女(……そうだ、関係無いのに……)

女(まだ、チラつく……)

女(……まだ……好きか嫌いか、言ってもらってない……)



担任「あー、という訳で……男は――」



女(……止めろ……そうだ、止めろ……)

女(これ以上、希望を持とうとするな……)

女(それがきっと、正しいから)
420: 1 2009/06/02(火) 18:03:38.68 ID:JadQVTeyQ
女(正しいん……だろうけど……)

ガタッ

女「男」

男「……どうした、女」



女「私のこと……好き?」



男「…………」

男「……好きだよ」
424: 1 2009/06/02(火) 18:09:21.10 ID:JadQVTeyQ
男「だから、待っててくれ」

女「…………」

男「迎えに来るから、待ってろ」

女「……うん。……待ってる……」



男「それからはまた……一緒に暮らそう」



女「……今度は、無期限じゃなきゃ嫌だぜ?」

男「ああ。今度は無期限……ずっと一緒に居よう」
431: 1 2009/06/02(火) 18:16:17.69 ID:JadQVTeyQ
女「……何だ、お前も来てたのか」

男「そういうお前もだろうに……何か、ここが落ち着くからな」

女「あはは、私もだよ。すっぱり別れられないところが私達らしいよな」

男「自分で言うなよ……」

女「……なあ、いつ引っ越すんだ?」

男「……明日」
436: 1 2009/06/02(火) 18:22:22.92 ID:JadQVTeyQ
女「……そっか。明日、行っちゃうのか」

男「ああ」

女「明日からしばらく、会えないんだな」

男「……そうなるな」

女「じゃあ……今日だけ……」



女「……今夜だけは、お前に甘えてもいいよな……?」
438: 1 2009/06/02(火) 18:28:02.91 ID:JadQVTeyQ
―二年後―

児童「せんせー、これわかんなーい」

女「ええ?あー、駄目駄目。まず自分でやってみなさい」

児童「ええー」

女「嫌だな、とか、苦手だな、って思ってた物が好きになったりするんだよ。意外に」

児童「例えばー?」

女「そうだな……料理、とか?」
440: 1 2009/06/02(火) 18:34:33.62 ID:JadQVTeyQ
「女先生……女先生……至急、職員室に……」



女「ありゃ?……私何かしたっけ……」

児童「どんな悪いことしたのー?あははー」

女「沢山ありすぎて見当がつかないな……」

児童「……………」



女「まあ、とにかく行ってくるか。……達者でな、お前たち」
444: 1 2009/06/02(火) 18:38:47.93 ID:JadQVTeyQ
女「……あ……」

男「やあ女先生、ご機嫌いかがですか?」

女「お、おま……お前……」

男「まさかお前が教師になるとは夢にも……あ、まだ研修生だっけ」

女「馬鹿っ!!そんなことどうでもいい!!」

男「あ、ああ……ごめん」

女「遅いんだよお前!二年も待たせやがって!!」
448: 1 2009/06/02(火) 18:43:15.67 ID:JadQVTeyQ
男「ま、まあ落ち着け……とりあえず」

女「無理だ、お前には言いたいことが沢山あるんだよ!!」

男「…………」

女「……まあいいよ。それは後にしといてやるから」

男「助かる」



女「今、ここで……キスしてくれ」
450: 1 2009/06/02(火) 18:47:39.35 ID:JadQVTeyQ
男「い、いや、ここ……職員室だし……」

女「……もう、我慢出来ないんだよ」

男「でもさ……」



女「嫌だってんなら、今この場で押し倒すぞ」



男「……相変わらずだな、お前…」

女「いいから、早く……してくれ」
453: 1 2009/06/02(火) 18:51:07.73 ID:JadQVTeyQ
男「……満足か?」

女「まあ、とりあえずこの場はな」

男「……………」

女「……また、一緒に暮らせるんだよな」

男「……そうだ」



女「それも、これからは……」

男「……ずっと、一緒に暮らせる」
456: 1 2009/06/02(火) 18:54:47.32 ID:JadQVTeyQ
女「よーし、じゃあ今日は久々にアレを振る舞ってやろう!」

男「先に言っとくが、仕事の後だぞ」

女「え?……あ、う、うん……わかってるよ」

男「…………で、アレって?」

女「んん?決まってるだろ?」



女「女さん特製の……手づくりカレー」
458: 1 2009/06/02(火) 18:59:45.43 ID:JadQVTeyQ
完結です。自分でも驚く程の低クオリティ。



読んでくれた人、保守してくれた人、いつもの絵師さん。ありがとうございました!



また機会があったらお会いしましょう!ノシ
459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/06/02(火) 19:00:27.63 ID:pZt4MQ360
おわりかよおおおおおお

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