- 1: 2009/05/31(日) 14:06:31.93 ID:QiRrhyz/Q
- 女「そんな訳で、よろしくな」
男「……ちょっと待て、意味がわからない」
女「そりゃそうだろう」
男「何でお前と一緒に暮らさないといけないんだ?」
女「それにはな……深い理由があって……」
男「深い理由……?」
女「私の家とお前の家、借金があるらしくてな。タダ飯喰らいを追い出したかったらしい」
男「浅いにも程があるだろその理由」
- 3: 2009/05/31(日) 14:11:05.30 ID:QiRrhyz/Q
- 女「二人で協力して頑張れ、だとさ」
男「いや、だって……どこに住めばいいんだよ」
女「家は提供してくれるみたいだけど」
男「そっちの方が高くつくだろ!?」
女「うーん……ウチのお母さん凄い人だから。色んな知り合い居てさ」
男「安く借りられる、ってことか……」
男(凄い人なら借金しないで欲しいんだけどな)
女「まあ、そんな長い期間じゃないみたいだから」 - 8: 2009/05/31(日) 14:17:21.24 ID:QiRrhyz/Q
- 男「……ちょっとの間だけなんだな?」
女「うん。何か色々と忙しくなるみたいだから、その間だけ」
男「うーん……まあ、それならいいか。ちょっと面白そうだし」
女「実は私、一人暮らしとかしてみたかったんだよねー」
男「二人暮らしだけどな」
女「そうなんだよ、お前さえ居なければ完璧だったのに」
男「……………」 - 10: 2009/05/31(日) 14:18:07.77 ID:QiRrhyz/Q
- 女「一応幼なじみだし、他の奴に比べたらマシだけどな」
男「うーん……まあな。お前、俺しか友達居なかったし……」
女「あはは!そうそう、ずっと男にばっかりくっついてたよね」
男「その喋り方も俺の影響か……」
女「うーん、それはどうだろ?よくわかんないや」
男(出来ればもっと女の子らしく喋ってほしいんだけどな……)
- 12: 2009/05/31(日) 14:20:02.26 ID:QiRrhyz/Q
- 女「本当は兄貴の家に行こうかと思ったんだけど、新婚だからさー」
男「あー……そりゃ行けないわな」
女「何でも、相手は元ニートで元メイドらしいぞ」
男「どんな人生歩んでるんだよその人」
女「あはは。まあ悪い人じゃないみたいだけど……あ、ここだここ」
男「かなり、立派じゃないか……?」
女「うーむ……恐るべし、ウチの母……」 - 17: 2009/05/31(日) 14:24:52.97 ID:QiRrhyz/Q
- 女「広っ……」
男「二人で住む広さじゃないな……」
女「男、男っ!テレビがでっかいぞ!!」
男「そういうとこしか見ないのかお前は」
女「うわー、これなら何年でも暮らしたくなるなー」
男「いや、それはちょっと……」
女「あ、アレアレ!アレ何だ!?」
男(人の話聞けよ……) - 22: 2009/05/31(日) 14:29:15.78 ID:QiRrhyz/Q
- 女「ベッド、ベッドがある!!」
男「ベッドくらいで騒ぐなよ……」
女「だって私の家はずっと布団だったんだぜ?私、これに憧れてたんだー」
男「そんなもんなのか」
女「えっへへー、ふかふか♪……あれ」
男「どうした?」
女「このベッド、かなりデカイんだけど……やっぱり高級品なのかな」
男「……だ、ダブルベッド……じゃないか、それ……」
女「…………何?そのダブルベッドって」 - 27: 2009/05/31(日) 14:34:11.09 ID:QiRrhyz/Q
- 女「ふ……二人で寝るのか?」
男「多分……そうだと思う…」
女「な、何考えてんだ母さんは!可愛い娘にこんな獣と二人で寝ろと……?!」
男「獣って何だよ獣って……いいよ、いざとなったらソファーで寝る」
女「え?い、いいよ別に。昔は、ほら、二人で寝たりしただろ」
男「急に下手になるなよ」
女「べ、別にアレだぞ!?一緒に寝たい訳じゃないからな!!」
男「……わかってるよ」
女「わ、わかってんなら、いい」 - 32: 2009/05/31(日) 14:39:32.41 ID:QiRrhyz/Q
- 女「で、まあ……家事は私がやる」
男「俺はバイトに出て金を稼ぐ」
女「こんな感じでやっていけば何とかなるだろ」
男「……お前、家事出来るっけ……?」
女「え?いや、まあ……料理はちょっと自信無いけど……」
男「……………」
女「だ、大丈夫だって。そのうち覚えるから」
男(暫くは惣菜にしといた方が無難だな) - 33: 2009/05/31(日) 14:43:55.59 ID:QiRrhyz/Q
- 男「じゃあまあ……とりあえず任せるぞ」
女「……あ、ああ。どんとこい」
男「……因みに得意料理は?」
女「女さんの三分クッキング、バリエーションは豊富!」
男「カップラーメンは料理とは言わない」
女「お……お湯に浸すのも出来る……」
男「レトルトカレーも料理とは言わない」
女「……ごめん、やっぱり料理だけ手伝ってくれ……」
男「……了解」 - 36: 2009/05/31(日) 14:48:54.82 ID:QiRrhyz/Q
- 女「うーん……何か、お米がびちゃびちゃしてないか……?」
男「お前が水加減間違ったんだろ」
女「や、やっぱりそうなのかな」
男「因みに味噌汁も辛い」
女「嘘っ!?………うわ、しょっぱ……」
男「……………」
女「しょ、精進します……でもほら、この野菜炒めは美味いだろ?」
男「美味いな。……俺が作ったんだけある」
女「あ、あれ?そうだっけ……あはは」 - 38: 2009/05/31(日) 14:52:15.51 ID:QiRrhyz/Q
- 女「えーっと……お風呂、沸いたけど」
男「空焚きしなかったか?」
女「……最近はスイッチ式だろ。どっちから入る?」
男「先に入っていいよ。後でのんびり入るから」
女「あ、うん。……それじゃ先に入るね」
男「おー」
女(な、何か……今、変な会話してるみたいだったな……) - 40: 2009/05/31(日) 14:56:32.01 ID:QiRrhyz/Q
- 女「お、おお……シャンプーも高そうな奴だ……」
女「ふぅー……何か疲れたなあ……」
女(男と二人暮らし、か……)
女(何かちょっと楽しみ……かも……)
女「か、かも。だけどな!!飽くまで、かもだから!!」
男(風呂でもうるさいなアイツは……鴨?) - 42: 2009/05/31(日) 15:01:26.39 ID:QiRrhyz/Q
- 女「……お待たせ。次どうぞー」
男「……………」
女「ん?……ははーん、さては私のパジャマ姿に見とれてるな?」
男「いや……お前って着痩せするタイプなのかと思ってたけど」
女「へ?」
男「本当にペッタンコなんだな……」
女「う、ううううるさいやい!馬鹿!Aで悪いか!」
男(カップ数まで聞いてないんだけどな) - 43: 2009/05/31(日) 15:06:07.75 ID:QiRrhyz/Q
- 女「さ、先に言っとくけど。触ったりしたら、だ、駄目だからな」
男「触らないっての」
女「寝たふりして触るのも駄目だからな」
男「触らないって言ってるだろ……」
女「……じゃあ、いい。おやすみ」
男「おやすみ」
女(さ、触られたらどうしよう……) - 44: 2009/05/31(日) 15:12:14.55 ID:QiRrhyz/Q
- 男「……おはよう」
女「触らないのかよ!」
男「な、何だよ朝っぱらから……」
女「べ、別に……たいしたことじゃないけど……」
男「……それより、朝飯は?」
女「あ、そっか……めんどくさいな……」
男「母親のありがたさがわかるな、こういう時」
女「いいから手伝ってくれよ、目玉焼きの作り方教えてくれる約束だろ」
男(……卵焼きを作れるようになるまで、何日かかるかな……) - 48: 2009/05/31(日) 15:17:12.77 ID:QiRrhyz/Q
- 女「……焦げた……」
男「強火でやり過ぎなんだよ」
女「も、もう一回だ……もう一回……」
女「焦げた……」
男「…………」
女「もう一回……」
男「あれ、今何時だ?」
女「へ?……………あ」
女「遅刻遅刻!!朝飯は食パンな!!」
男「一昔前の少女漫画かよ」 - 50: 2009/05/31(日) 15:22:35.46 ID:QiRrhyz/Q
- 女「セーフ!!!!」
男「間に合ったな……頬っぺたにジャムついてるぞ」
女「え?あ……は、早く言えよっ」
男「全力疾走してたもんだから、つい……」
女「もう……あ、お前だってついてる」
男「嘘だろ?」
女「うっ……お前は本当に可愛くないな」
男「暗に自分は可愛いって言ってないか」 - 51: 2009/05/31(日) 15:27:59.66 ID:QiRrhyz/Q
- 男「じゃあ、俺はこのままバイトに行くから」
女「え……あ、そっか。じゃあ頑張れよ」
男「おー」
女(ちぇっ……一緒に帰れると思ったのに……)
女(あー……帰ったら洗濯とかしないといけないんだっけ……)
女(何か、大変だよな……親元から離れるのって……) - 54: 2009/05/31(日) 15:33:16.70 ID:QiRrhyz/Q
- 女(私の下着と男の下着が絡み合って……何か複雑だな……)
女「さて、今日は男も居ないし……私一人で料理を作らないとな」
女「メニューは……簡単だし、カレーかな……」
女「人参、玉葱、豚肉、ジャガ芋♪」
女「カレールー♪」
女「……ツッコミが居ないのって寂しいな……」 - 86: 2009/05/31(日) 21:05:39.61 ID:QiRrhyz/Q
- 男「ただいまー……」
女「お、おかえり」
男「早速だが飯にしようぜ……腹減った」
女「……あ、う、うん……」
男「………何だこれ……」
女「か、カレーだよ。見ればわかるだろ」
男「…………カレールー入れすぎだろ」
女「う……」
男「はあ……」
女(………………) - 88: 2009/05/31(日) 21:09:22.90 ID:QiRrhyz/Q
- 女「行ってきます」
男「日曜の朝っぱらからどこ行くんだ?」
女「別にー。何か用事がある訳じゃないよ」
女「えーっと……ここだよな」
女「今の時間だと兄貴は仕事かな……?」
ピンポーン
義姉「………………………はい」
女(うっ……機嫌悪そう……)
義姉(私は低血圧なのに……) - 90: 2009/05/31(日) 21:14:04.64 ID:QiRrhyz/Q
- 女「あ、あのっ……料理を……」
義姉「料理……?」
女「……という訳なんです」
義姉「大変ですね。相手が正常な味覚を持っている方だと」
女「あ、兄貴は異常なんですか……」
義姉「鯉以上の悪食です。……さて、始めましょうか」 - 96: 2009/05/31(日) 21:19:42.85 ID:QiRrhyz/Q
- 女「どうだ!これなら文句のつけようが無いだろ!!」
男「うん……美味いな」
女「だろ?いやー、兄貴もいい人を嫁さんにしてくれたよ」
男「……だけどさ……」
女「ん?」
男「二日連続でカレーはちょっと……」
女「仕方ないだろ、カレーしか教わらなかったんだから」 - 98: 2009/05/31(日) 21:24:29.95 ID:QiRrhyz/Q
- 男「じゃ、おやすみ」
女「うん」
女(ふー……やっぱり一緒に寝るのって照れるよな……)
女(私って結局、コイツのこと好きなのかな……)
女(恋愛なんてしたことないからわかんないけど)
男(何かぶつぶつうるさいなコイツ……) - 100: 2009/05/31(日) 21:29:03.96 ID:QiRrhyz/Q
- 女「男ー、帰ろうぜー」
男「ああ、今行く」
女「男さあ……恋愛って何だと思う?」
男「え?」
女「……何だよ、その顔は」
男「いや……まさか女の口からそんな言葉を聞くとは思わなくて……」
女「し、失礼な奴だな。私だって一応女の子なんだぜ?」
男(女の子が『なんだぜ?』とかあんまり言わないと思うけどな……) - 102: 2009/05/31(日) 21:34:57.24 ID:QiRrhyz/Q
- 女「実はさあ……クラスの女子が、この間彼氏出来たらしくて」
男「ふんふん。それで?」
女「今日にはもう違う奴と付き合ってたんだよ」
男「あー……居るな、そういう奴」
女「しかも前の恋人の悪口ばっか言ってるし……恋愛って何なのかなー、って」
男「うーん……そうだな……」 - 103: 2009/05/31(日) 21:39:46.50 ID:QiRrhyz/Q
- 男「……うん。多分だけど、彼女達にとって恋人は高価なバックみたいなものなんだ。
バックの中に何を入れるかなんて誰も考えない」
女「…………」
男「とりあえず見栄えがいいバックを選ぶ。内面は気にしない」
女「……それで?」
男「それを見せびらかしたり優越感に浸る為に買うんだからな。
中に何が入ってるかなんて誰も触れようとしなくなってる」
女(……………)
男「で、ブームが過ぎたら惜し気も無く捨てて、『時代遅れ』と罵るんだよ」
女「……うーん。それも、恋愛っていうのか?」
男「多分な。……少なくとも、彼女達にとってはそうなんだろ」 - 105: 2009/05/31(日) 21:45:06.68 ID:QiRrhyz/Q
- 男「バックの中身とか、性能にこだわるのは大体大人の女性だからな」
女「なるほどねぇ……つまり私は大人の女性なのか……」
男「え?」
女「い、いや、別に!何でもない!!そ、それよりさ、今日の晩飯何がいい?」
男「……鶏肉のから揚げかな」
女「作れない」
男「えー……」
- 109: 2009/05/31(日) 21:50:44.45 ID:QiRrhyz/Q
- 女「わかったわかった。今度メールで姉さんに聞いとくよ」
男「姉さん?」
女「兄貴の奥さん。料理上手いんだぜ?」
男「ふーん……メールで聞いただけで作れるのか?」
女「私はもうアレだ、コックさんのレベル」
女「えへへ、焦げちゃった」
男「皿洗いでもしてろ見習いコック」 - 110: 2009/05/31(日) 21:55:26.32 ID:QiRrhyz/Q
- 男「じゃあバイト行ってくるけど……大丈夫か?」
女「え?大丈夫って……何が?」
男「いや、最近疲れてるみたいだからさ」
女「あはは!何言ってんだ、私の体力知ってるだろ?」
男「……それもそうか。じゃあ行ってくる」
女「おー。しっかり稼いでこいよ」
女「……ふー……掃除しなくちゃ……」 - 112: 2009/05/31(日) 22:00:31.33 ID:QiRrhyz/Q
- 男「ただいま……ん?」
女「………スー……」
男「寝てる……やっぱ疲れてるんだろうな」
女「……ふゃっ!?今何時!?」
男「22時前」
女「ご、ごめん!すぐ夕食作るから!」
男「いや、いいよ。洗濯とかもやるから、休んでろ」
女「えっ……」
男「疲れてるだろ、休め」
女「………う……でも、さあ……」 - 113: 2009/05/31(日) 22:06:12.79 ID:QiRrhyz/Q
- 女「……やっぱいいよ。私、やる」
男「……無理しなくていいっての」
女「無理なんかしてないって。男が洗濯したら私の下着で何するかわからないからな」
男「お前なあ……」
女「あはは、だから男こそ休みなよ。バイトで疲れてるだろ」
男「でも」
女「いいからいいから!早く寝ちゃえよ」 - 118: 2009/05/31(日) 22:12:04.15 ID:QiRrhyz/Q
- 女「……う、ひび割れ……」
女「よし、食器洗いも終わったし……寝るかな」
男「……グー……」
女(コイツも疲れてるんだろうけど)
女(ちょっとくらい……甘えたっていいよな、うん……)
ギュッ
女「……おやすみ……」 - 162: 2009/06/01(月) 01:10:39.74 ID:2iWRimrVQ
- 男「…………朝か……」
女「お、おは、よー……」
男「!? 今朝は早いな……」
女「う、うん、たまには」
女(う……何か恥ずかしくて顔が見れない……)
男「……女」
女「ふぇっ!?ななな、何だよ!」
男「焦げてる」
女「え?……あ……。それはそうと、食パンどこだっけ」
男「結局今朝も食パンかよ……」 - 164: 2009/06/01(月) 01:15:30.39 ID:2iWRimrVQ
- 女「大体、女の子と二人で生活なんて男の夢だろ?」
男「女の子にもよるだろ」
女「……何だよそれ。私じゃ不満だってのか?」
男「いや、そういう訳じゃないよ。ただ、料理くらいは……と」
女「じゃあ何か?料理が出来れば私は理想的な女の子なんだな?」
男「うーん……まあ、好印象にはなるな」
女「へ、へー……別に興味ないけど」
女(……もっと早く言えよそういうの……) - 166: 2009/06/01(月) 01:20:20.96 ID:2iWRimrVQ
- 女「姉さーん!!料理を教えてくださーい!!」
ガチャッ
兄「あ」
義姉「……ふぇ……?」
女「あ……う、わ……あ、あの、その……ごめんなさいっ!!」
義姉「ちょ、ちょっと待ってください!誤解です!」 - 169: 2009/06/01(月) 01:25:03.63 ID:2iWRimrVQ
- 女「つまり……ゴキブリが出て、つい抱き着いていただけ……と」
義姉「……お恥ずかしい話ですが」
兄「いきなり入るお前が悪い」
女「わ、悪かったって。それで、えっと……」
女(料理教えてくれ、なんて言える雰囲気じゃないよな……)
女「うーん……いいや、ごめん。出直すよ」
兄「……もう遅いし、送ってやるよ」
女「なあ、兄貴ー」
兄「うん?」
女「料理出来る女ってどう思う?」
兄「そりゃまあ理想だな」
女「やっぱり……そうだよな……はあ」 - 170: 2009/06/01(月) 01:28:46.39 ID:2iWRimrVQ
- 女「……誰でも出来る50のレシピ、か……」
女「うーん……買っちゃおうかな……」
女(料理の出来る理想の女の子……)
女「あ、あの、……これください」
女(……買っちゃったよ……)
女「何か、ガラじゃないよな……こういうの……」 - 172: 2009/06/01(月) 01:33:54.13 ID:2iWRimrVQ
- 女「……適量って何だよ適量って」
女「その適量が知りたいからこの本買ったんだろ!」
女「だから少々ってどれくらいなんだよ!?」
女「……う、辛っ……」
女「……何で私って、こうなんだろ……」
女(こんなことなら、もっと家事を手伝っておくんだったな……) - 174: 2009/06/01(月) 01:39:00.79 ID:2iWRimrVQ
- 男「おいおい……洗濯物山積みだぞ……」
女「あ、ご、ごめん……あはは」
男「あははってお前……しっかり頼むぞ……」
女「う、うん……ごめん……」
男「とりあえず飯にしようぜ」
女「あ、晩飯も……ちょっと失敗した……」
男「……いや、それは仕方ないよ」
女「えっ……そ、そうかな」
男「元からあんまり期待してないからな」
女(……………) - 176: 2009/06/01(月) 01:44:29.25 ID:2iWRimrVQ
- 男「おやすみ」
女「うん、おやすみ」
女「……はぁ……」
女(……何かしんどいな)
女(頑張れば頑張る程裏目、っていうか)
女(……無駄な努力っていうか……)
女(あぁあ、もう!こんなの……私らしくないよな) - 178: 2009/06/01(月) 01:51:09.74 ID:2iWRimrVQ
- 女「でさでさ、このテレビなんだけど」
男「んー?」
女「凄いんだぜ、ニュースとか天気とか見られるんだ!」
男「うん……今や常識だよな……」
女「科学の進歩だよな……凄い凄い!」
男「やっぱり人の話聞かないのな」
女「これ、私の家に持って帰っちゃいけないかな?」
男「……駄目だろ……」 - 180: 2009/06/01(月) 01:56:05.39 ID:2iWRimrVQ
- 女「アイス買ってきたぞアイス」
男「アイス?何でまたいきなり」
女「何か今日暑いからさ……ガリガリとハーゲンダッツどっちがいい?」
男「落差のありすぎる二つだな……」
女「で、どっちがいい?ガリガリだよな、ガリガリだろ?」
男「……ガリガリでいいよ」
女「えへへ、やったー♪」
男(まあ、いいか……嬉しそうだし……) - 183: 2009/06/01(月) 02:01:11.78 ID:2iWRimrVQ
- 女「……………」
男「何だよ?」
女「……やっぱり悪いからさ、半分こにしないか?」
男「いや、いいよ別に」
女「遠慮しなくていいって。ほら、口開けろ」
男「……いや、いいっての」
女「ほら、食べろ、食べてくれよ!!」
男「何でそんなムキになってんだよ?!」
女「え、いや……別に……」
女(間接……とかは別に、考えてない……断じて……) - 185: 2009/06/01(月) 02:06:32.76 ID:2iWRimrVQ
- 男「いただきます」
女「う、うん……どうぞ」
男「…………う……」
女「な、何だよ……マズイならマズイって言えよ」
男「美味いな……これは」
女「……ほ、ホント?美味い?」
男「うんうん、美味い」
女「へ、へー……まあ当然だけどな……私が作ったんだし……」
女(う……やば、これ……顔赤らむなあ……) - 186: 2009/06/01(月) 02:11:51.50 ID:2iWRimrVQ
- 女(今日は何作ろうかな……)
女(うーん……肉じゃがとか好きかな、アイツ……)
女「ま、いいか……作ってみようっと」
女(む?何かちょっと楽しいな……)
女「ひょっとして私ってコックさんに向いてたりするのか?!」
女「痛っ!!……うー……指切った……」 - 211: 2009/06/01(月) 08:37:03.91 ID:2iWRimrVQ
- 女「い、いや、駄目だって……そんな、いきなり……」
女「まず、こ、告白して、デートして、手を繋いで、き……キスして」
女「そ、そこからだろ?じゅ、順序がおかし……」
女「だ、駄目だってば……やっ……」
ピピピピ!!!
女(………例の如く夢オチか) - 213: 2009/06/01(月) 08:42:01.14 ID:2iWRimrVQ
- 女「大体、こんだけ一緒に居て手も握らないってどう思います?」
義姉「さあ……世の中にはいきなり来たメイドを雇った上に、襲わない人間も居ますから」
女「はあ……」
義姉「……で、その人のことが好きなんですか?」
女「え?!い、いや!そういう訳じゃなくてですね!」
義姉「好きでもない殿方に触れられたいのですか?痴女……という奴ですね」
女「……そ、そんな……」
義姉「時には、素直になるのも大事かと思いますが」
義姉(……私の言えた義理ではありませんけどね) - 279: 2009/06/01(月) 21:11:46.19 ID:2iWRimrVQ
- 女「んー……今日もいい天気だな」
男「そうだな、これくらいの気温がちょうどいい」
女「洗濯物干すかな」
男「……なあ」
女「んー?」
男「たまには、二人で出掛けてみないか?」
女「……え……それって……」
女(デート……だよな……) - 281: 2009/06/01(月) 21:16:38.80 ID:2iWRimrVQ
- 女「うわ……遊園地なんて何年ぶりだよ……」
男「俺も全く来てないな……久しぶりに見ると楽しめそうだ」
女「うん……何かちょっとワクワクしてきた」
男「してきたも何もさっきから興奮しっぱなしだろ」
女「あはは、まあねー」
女(ワクワクよりドキドキの方が強いんだけどね……) - 284: 2009/06/01(月) 21:24:06.20 ID:2iWRimrVQ
- 女「お、おい……止めよう、止めようってば……」
男「……怖いのか」
女「こ、怖い訳ないだろ!!この私が、たかがおば、お化け屋敷くらいで……」
男「じゃあ入ろうぜ」
女「え、あ……うん……」
女「きゃぁぁぁぁぁあ!!や、やだやだ来るなっ!!」
男「……いや、あれ作り物……」
女「もうやだもうやだぁ!早く出ようよぉ!!」
男「お前が歩かなきゃ出られないんだが」
女「やだ!お化けくるもん!!歩かない!!」
男「…………」 - 285: 2009/06/01(月) 21:30:34.55 ID:2iWRimrVQ
- 男「……………」
女「……も、もういい……降ろして……」
男「もう大丈夫なのか」
女「う、うん……ご、ごめんな、おんぶまでさせちゃって……」
男「気にすんなって。……あ、でも」
女「ん……?」
男「何で女の子背負ってるのに胸が当たらないんだ?」
女「うるせぇぇぇぇえっっ!!!」 - 286: 2009/06/01(月) 21:35:21.93 ID:2iWRimrVQ
- 女「うるさいよ!胸が無い女の子だって居るんだよ!!」
男「……………」
女「大体何で……何で巨乳ばっかり持て囃されるんだ!!」
男「さあ……」
女「胸が小さい方が軽いし、邪魔にならないし……最高じゃないか……」
男「そうは言ってもなあ」
女「……もういいっ!次行くぞ次!!」
男「はいはい」
男(……よし、いつものテンションに戻ったな) - 289: 2009/06/01(月) 21:43:20.60 ID:2iWRimrVQ
- 女「ジェットコースター、一時間待ちか……」
男「まあ気長に待とうぜ」
女「うん……そうだな」
女(……周りカップルばっか……)
男「…………ちょっと暑いな」
女(いや……でも……)
女(私たちも……恋人同士に見えるのかな……)
女「……えへへ」
男「……どうした?」
女「え?う、ううん、何でもない……何でもないよっ」
男(何か気持ち悪いなコイツ……) - 297: 2009/06/01(月) 22:30:18.05 ID:2iWRimrVQ
- 女「はー……歩き疲れたな」
男「そろそろ帰るか?」
女「お、おいおい!まだ観覧車乗ってないだろ?」
男「あー、そうだな……行くか」
女「うん。……その、話したいこともあるし」
男「……………」
女「……………」 - 298: 2009/06/01(月) 22:32:56.38 ID:2iWRimrVQ
- 女「……観覧車も久しぶり」
男「そうだな」
女「…………でさ」
男「うん」
女「明日で終わりなんだってね。……この生活」
男「……そうらしいな。俺も父親から連絡があった」
女「…………ねえ、男」 - 301: 2009/06/01(月) 22:36:48.57 ID:2iWRimrVQ
- 女「私との二人暮らしが終わるって聞いて……どう思った?」
男「どういう意味だ?」
女「悲しい、とか、嬉しい、とか……そういう意味」
男「……女は?」
女「……私は……」
女「……切ないよ」 - 303: 2009/06/01(月) 22:41:16.52 ID:2iWRimrVQ
- 女「出来れば、これからも一緒に居たい」
女「私の料理食べてもらって、二人で一緒に寝て」
女「……そんな生活が送りたい」
男「……そんなのは無理だ」
女「…………っ……」
女「…………う、うん、そうだよね……」
- 307: 2009/06/01(月) 22:46:17.06 ID:2iWRimrVQ
- 女「……変なこと言って……ごめん」
男「……いや」
女「そ、それよりほら!風景綺麗だよ!」
男「…………」
女(……綺麗、なんだろうな……)
女(ぼやけちゃって……全然見えないけど……) - 308: 2009/06/01(月) 22:50:35.90 ID:2iWRimrVQ
- 女「……それじゃあ……バイバイ」
男「今生の別れみたいに言うなよ。……また明日、学校でな」
女「うん……じゃあな」
男「ああ」
女「……さて、と」
女「明日に備えて、今日は早く寝るか……」
女(……明日、言う……) - 391: 2009/06/02(火) 16:59:07.92 ID:JadQVTeyQ
- 女母「女、入るよ」
女「んー?はーい」
女「……どうしたの?」
女母「いやあ、感想を聞いておこうかと思ってねえ」
女「感想?……ああ、そういうこと」
女母「……どうだったんだい?」
女「楽しかったよ。……それから」
女「……幸せだった、凄く」 - 394: 2009/06/02(火) 17:06:37.68 ID:JadQVTeyQ
- 女「というか、借金とかも嘘なんだろ?」
女母「ん?」
女「前々から母さんは私と男をくっつけようとしてたじゃないか」
女母「そうだっけかねえ」
女「そんなことしなくても大丈夫だよ」
女母「…………」
女「私……本当は昔から、男のこと好きだったから」
女母「……そうかい。そりゃあよかった」 - 396: 2009/06/02(火) 17:13:48.41 ID:JadQVTeyQ
- 女「お、おはよう……男」
男「おはよう。……何だ寝不足か?」
女「う。い、いや、そうじゃなくて……ホームルーム始まるまで、時間あるか?」
男「あるけど」
女「大事な話が、あって……」
男「……わかった」 - 398: 2009/06/02(火) 17:18:17.43 ID:JadQVTeyQ
- 女「私は、ほら。こんな性格だから、まどろっこしいのは嫌いなんだ」
男「そんなのは百も承知だ」
女「あはは。……だからさ、あんまりかわいらしいのは期待しないでくれよ?」
男「……何の話?」
女「頬を赤らめてとか、俯きながらとかそういうのは出来ない」
女「……だけど、これだけは伝える」
女「私は、男が好きだ」 - 402: 2009/06/02(火) 17:24:44.37 ID:JadQVTeyQ
- 男「……………」
女「……何か言ってくれよ」
男「…………」
女「いいよ。……断られるって、何となくわかってたから」
男「……ありがとう、女」
女(……………)
男「それから……ごめん」 - 405: 2009/06/02(火) 17:32:25.63 ID:JadQVTeyQ
- 女「……何謝ってるんだよ、馬鹿」
男「いや……うん、そうだな……」
女「私が悪いんだよ。分不相応って言うか……ガラにも無いことしちゃったから」
女「じゃ、じゃあ、私……教室に戻るから」
男「……ああ」 - 410: 2009/06/02(火) 17:39:57.00 ID:JadQVTeyQ
- 女「……はあ……」
女(断られるってわかってた……?)
女(馬鹿じゃないの私……本当はちょっと、ちょっとだけ……)
女(……期待してた……くせに…)
女「…………っ……」 - 412: 2009/06/02(火) 17:46:40.48 ID:JadQVTeyQ
- 担任「ホームルームが始まる前に……皆に話がある」
男「…………」
担任「男」
男「……はい」
女「…………男…?」
男「……親の仕事の関係で……」
男「……転校することになりました」 - 415: 2009/06/02(火) 17:51:46.30 ID:JadQVTeyQ
- 女「……え……」
男「……………」
女(…………借金……仕事……)
女(アレって……本当だったのか…?新しい仕事の為に転校するの……?)
女(……じゃあ……さっきの、告白は?)
女(……馬鹿か、私は)
女(関係無いに……決まってるだろ……) - 416: 2009/06/02(火) 17:56:59.69 ID:JadQVTeyQ
- 女(……そうだ、関係無いのに……)
女(まだ、チラつく……)
女(……まだ……好きか嫌いか、言ってもらってない……)
担任「あー、という訳で……男は――」
女(……止めろ……そうだ、止めろ……)
女(これ以上、希望を持とうとするな……)
女(それがきっと、正しいから) - 420: 2009/06/02(火) 18:03:38.68 ID:JadQVTeyQ
- 女(正しいん……だろうけど……)
ガタッ
女「男」
男「……どうした、女」
女「私のこと……好き?」
男「…………」
男「……好きだよ」 - 424: 2009/06/02(火) 18:09:21.10 ID:JadQVTeyQ
- 男「だから、待っててくれ」
女「…………」
男「迎えに来るから、待ってろ」
女「……うん。……待ってる……」
男「それからはまた……一緒に暮らそう」
女「……今度は、無期限じゃなきゃ嫌だぜ?」
男「ああ。今度は無期限……ずっと一緒に居よう」 - 431: 2009/06/02(火) 18:16:17.69 ID:JadQVTeyQ
- 女「……何だ、お前も来てたのか」
男「そういうお前もだろうに……何か、ここが落ち着くからな」
女「あはは、私もだよ。すっぱり別れられないところが私達らしいよな」
男「自分で言うなよ……」
女「……なあ、いつ引っ越すんだ?」
男「……明日」 - 436: 2009/06/02(火) 18:22:22.92 ID:JadQVTeyQ
- 女「……そっか。明日、行っちゃうのか」
男「ああ」
女「明日からしばらく、会えないんだな」
男「……そうなるな」
女「じゃあ……今日だけ……」
女「……今夜だけは、お前に甘えてもいいよな……?」 - 438: 2009/06/02(火) 18:28:02.91 ID:JadQVTeyQ
- ―二年後―
児童「せんせー、これわかんなーい」
女「ええ?あー、駄目駄目。まず自分でやってみなさい」
児童「ええー」
女「嫌だな、とか、苦手だな、って思ってた物が好きになったりするんだよ。意外に」
児童「例えばー?」
女「そうだな……料理、とか?」 - 440: 2009/06/02(火) 18:34:33.62 ID:JadQVTeyQ
- 「女先生……女先生……至急、職員室に……」
女「ありゃ?……私何かしたっけ……」
児童「どんな悪いことしたのー?あははー」
女「沢山ありすぎて見当がつかないな……」
児童「……………」
女「まあ、とにかく行ってくるか。……達者でな、お前たち」 - 444: 2009/06/02(火) 18:38:47.93 ID:JadQVTeyQ
- 女「……あ……」
男「やあ女先生、ご機嫌いかがですか?」
女「お、おま……お前……」
男「まさかお前が教師になるとは夢にも……あ、まだ研修生だっけ」
女「馬鹿っ!!そんなことどうでもいい!!」
男「あ、ああ……ごめん」
女「遅いんだよお前!二年も待たせやがって!!」 - 448: 2009/06/02(火) 18:43:15.67 ID:JadQVTeyQ
- 男「ま、まあ落ち着け……とりあえず」
女「無理だ、お前には言いたいことが沢山あるんだよ!!」
男「…………」
女「……まあいいよ。それは後にしといてやるから」
男「助かる」
女「今、ここで……キスしてくれ」 - 450: 2009/06/02(火) 18:47:39.35 ID:JadQVTeyQ
- 男「い、いや、ここ……職員室だし……」
女「……もう、我慢出来ないんだよ」
男「でもさ……」
女「嫌だってんなら、今この場で押し倒すぞ」
男「……相変わらずだな、お前…」
女「いいから、早く……してくれ」 - 453: 2009/06/02(火) 18:51:07.73 ID:JadQVTeyQ
- 男「……満足か?」
女「まあ、とりあえずこの場はな」
男「……………」
女「……また、一緒に暮らせるんだよな」
男「……そうだ」
女「それも、これからは……」
男「……ずっと、一緒に暮らせる」 - 456: 2009/06/02(火) 18:54:47.32 ID:JadQVTeyQ
- 女「よーし、じゃあ今日は久々にアレを振る舞ってやろう!」
男「先に言っとくが、仕事の後だぞ」
女「え?……あ、う、うん……わかってるよ」
男「…………で、アレって?」
女「んん?決まってるだろ?」
女「女さん特製の……手づくりカレー」 - 458: 2009/06/02(火) 18:59:45.43 ID:JadQVTeyQ
- 完結です。自分でも驚く程の低クオリティ。
読んでくれた人、保守してくれた人、いつもの絵師さん。ありがとうございました!
また機会があったらお会いしましょう!ノシ - 459: 2009/06/02(火) 19:00:27.63 ID:pZt4MQ360
- おわりかよおおおおおお
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