武内P「鷺沢さん、もうやめてください」
- カテゴリ:アイドルマスター シンデレラガールズ
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- 536: 2017/12/22(金) 21:12:58.13 ID:hM2/6zoso
- 武内P「もう、お気持ちは十分伝わりました」
文香「……」
武内P「舞踏会の時のお礼は、はい、もう結構です」
文香「……」
武内P「もう、官能小説を私のデスクに置かないでください」
文香「……」
- 537: 2017/12/22(金) 21:15:30.32 ID:hM2/6zoso
- 武内P「あの、本当にお願いします」
文香「……」スッ
武内P「……普通、このタイミングで官能小説を差し出しますか?」
文香「……」ス・・・
武内P「そうですね、違いますよね」
文香「……」スッ
武内P「フェイントじゃないんですから、差し出さないでください」 - 538: 2017/12/22(金) 21:17:11.52 ID:hM2/6zoso
- 武内P「本の差し入れを辞める事は、出来ませんか?」
文香「……」フルフル
武内P「そう、ですか。出来ませんか」
文香「……」スッ
武内P「受け取りませんからね」
文香「……」ガーン!
武内P「……そんなにショックを受けないでください」 - 539: 2017/12/22(金) 21:19:14.06 ID:hM2/6zoso
- 武内P「内容が、官能小説でなければまだ、受け取れたのですが」
文香「……」ガーン!
武内P「何故、官能小説だけなのでしょうか」
文香「……」ガガーン!
武内P「ショックを受ける時間が長すぎます!」
文香「……」ズガガーン!
武内P「……手強い……!」 - 540: 2017/12/22(金) 21:21:15.27 ID:hM2/6zoso
- 武内P「私は受け取りません。いえ、受け取れません」
文香「……」ズガビガーン!
武内P「あの、どうしてこの世の終わりの様な顔を……」
文香「……」ガガズガビガガーン!
武内P「……ありがとう、ございます」
文香「……!」パアッ!
武内P「良い、笑顔です。……やりにくい……!」 - 541: 2017/12/22(金) 21:24:56.21 ID:hM2/6zoso
- 武内P「わかりました。百歩譲って、受け取るとしましょう」
文香「……」ニコニコ
武内P「しかし、鷺沢さん。これは、無いと思います」
文香「?」キョトン
武内P「この付箋です。なんですか、『ヌキ所!』とは」
文香「そこが……ヌキ所だと、その……わかりやすく」
武内P「その気遣いをもっと他の所に回していただきたかったです」 - 542: 2017/12/22(金) 21:28:49.96 ID:hM2/6zoso
- 武内P「そしてですね、最も問題なのが」
文香「……」
武内P「鷺沢さん、貴女の水着写真が挟まっている事です」
文香「文章だけだと……寂しいかと……」
武内P「貴女は、ご自分の言っている意味がわかっていますか?」
文香「美波さんが……そうしたら良い、と」
武内P「今、全ての線が一本に繋がりました」 - 543: 2017/12/22(金) 21:31:03.07 ID:hM2/6zoso
- 武内P「想定していた中でも、最悪のケースです」
文香「男の人は、喜ぶんですよ……ね?」
武内P「私は、プロデューサーです」
文香「……」
武内P「……」
文香「……使いましたか?」
武内P「使ってません!」 - 544: 2017/12/22(金) 21:34:18.24 ID:hM2/6zoso
- 武内P「鷺沢さん、もっと自分を大切になさってください」
文香「……大切にしている、つもりです」
武内P「ならば、こういった事はやめましょう」
文香「感謝の気持ちに大切なものを差し出すのは……」
武内P「……そうですね、その心がけ自体は素晴らしいと思います」
文香「……」スッ
武内P「これは水着写真……って、橘さんの写真じゃないですか!」
文香「大切な……お友達です」
武内P「感謝の気持ちが大きすぎます! 押しつぶされそうです!」 - 545: 2017/12/22(金) 21:37:12.32 ID:hM2/6zoso
- 武内P「鷺沢さん、もうお気持ちは十分に伝わりましたから」
文香「……」
武内P「官能小説だけ受け取りますから、写真はやめましょう」
文香「……」
武内P「これらの写真はお返しします」スッ
文香「……では、代わりにこれを」スッ
武内P「また水着写真……はい、新田さんのですね」ポイッ - 546: 2017/12/22(金) 21:41:01.53 ID:hM2/6zoso
- 武内P「しかし……何故、官能小説だけを?」
文香「どんな本が趣味に合うか……わからなかったので」
武内P「それで……あの、何故、官能小説だけを?」
文香「……」
武内P「何か、理由があるのですね」
文香「みなm」
武内P「はい、繋がった線が太くなりました」
文香「……あっ///」
武内P「鷺沢さん、毒されすぎです」 - 547: 2017/12/22(金) 21:45:28.23 ID:hM2/6zoso
- 武内P「鷺沢さん、あまり新田さんの言う事を真に受けないでください」
文香「そう……なんですか?」
武内P「はい」
文香「……本当は、違うものでお礼をしようと思っていました」
武内P「! やはり!」
文香「ですが……美波さんに言われて、官能小説に」
武内P「新田さん……本当に、厄介ですね」
文香「最初は……体でお礼をしようと」
武内P「すみません新田さー――ん!」 - 548: 2017/12/22(金) 21:50:13.75 ID:hM2/6zoso
- 武内P「体でお礼……あの、仕事のお手伝い等、ですよ、ね?」
文香「いえ……私の体を差し出そうと」
武内P「誤解であって欲しかったです」
文香「……そう、本に書いてありました」
武内P「そういうシーンにばかり付箋がありました、ね」
文香「……///」
武内P「……鷺沢さんのご趣味でしたか」 - 549: 2017/12/22(金) 21:53:21.48 ID:hM2/6zoso
- 武内P「鷺沢さん」
文香「……」
武内P「あまり、人の言う事や、本に書いてある事を鵜呑みにしてはいけません」
文香「……」
武内P「良いですね?」
文香「……」
武内P「……今の言葉は鵜呑みしてください」 - 550: 2017/12/22(金) 21:59:36.70 ID:hM2/6zoso
- ・ ・ ・
武内P「鷺沢さん、この間私が言った言葉を守ってくれていますね」
文香「……」コクリ
武内P「はい、官能小説の差し入れもやめてくださいました」
文香「……」コクリ
武内P「ですが……あの、何故DVDを置くように?」
文香「自分で考えて……間を取ってみました」
武内P「……中身を確認する前で良かったです」
文香「!?」ガーン!
武内P「そんな顔をされても見ませんからね!?」 - 551: 2017/12/22(金) 22:04:10.93 ID:hM2/6zoso
- 武内P「鷺沢さん、これは完全に危険物ですから」
文香「!?」ガガーン!
武内P「頑張ったのに、という顔をしないでください」
文香「!?」ズガガーン!
武内P「くっ……!」
文香「!?」ズガビガーン!
武内P「本当に、手強い……!」 - 552: 2017/12/22(金) 22:08:01.50 ID:hM2/6zoso
- 武内P「うぐお……ぱ……」
文香「!?」ガガズガビガガーン!
武内P「パワーオブスマイル!」
文香「!」
武内P「……正気に、戻られましたか」
文香「……」コクリ
武内P「鷺沢さん。私は、貴女の笑顔はとても素敵だと思います」
文香「……」
武内P「なので、貴女のそんな顔は……見て、いられません」 - 554: 2017/12/22(金) 22:13:30.56 ID:hM2/6zoso
- 武内P「私は、貴女が笑顔で見られれば、それで十分なのです」
文香「……」
武内P「貴女の感謝の気持ちは十分に伝わりました」
文香「……」コクリ
武内P「! わかって、いただけましたか」
文香「……」スッ
武内P「いえ、あの……何故、DVDを差し出すのでしょうか?」
文香「笑顔で……撮りました」ニコリ
武内P「……良い、笑顔です」
武内P「助けてください、千川さ――ん!」
おわり - 510: 2017/12/22(金) 08:18:24.65 ID:0VWF6D8PO
- そろそろホラーもいってほしい
- 556: 2017/12/22(金) 22:22:14.29 ID:hM2/6zoso
-
わたしのプロデューサーさんは、とっても優しいです。
「緒方さん、お疲れ様です」
「はい……ありがとう、ございます」
引っ込み思案だったわたしがここまで頑張れたのも、かな子ちゃんや杏ちゃん、
それに、この人が居たら、です。
こんな事恥ずかしくて言えないけど、この気持ち、伝わってると良いな。
「……なんて」
「? どうか、しましたか?」
「あっ、いえ……何でもありません」
いけない、声に出ちゃってた。
うぅ……変な子に思われちゃったりしてないかな。
もしそう思われてても……えへへ、きっと、大丈夫。
――この人は、わたしを見捨てない。
だって、見捨てないって言ったもんね。
わたしがアイドルとして頑張る限り、見捨てないって。
だから、わたしはいつも頑張ってます。 - 557: 2017/12/22(金) 22:30:53.42 ID:hM2/6zoso
-
わたしのプロデューサーさんは、とっても忙しいです。
「……それでは、私は次の現場に」
「はい……あの、頑張ってください」
わたし以外にも、担当しているアイドルがいっぱい居ます。
だから、ずっとわたしに付きっきりという訳にはいきません。
だけど、必ず現場には顔をだしてくれます。
「はい。緒方さんも、頑張ってください」
「はい。約束……」
しましたもんね、頑張るって。
「? あの、何か?」
「い、いえ……何でもないです」
いけない。
こういうおまじないって、口に出したら効果を失っちゃうんだよね。
だから、約束の事は大切に心にしまっておかなくちゃ。
――そうでないと、見捨てられちゃう。
よし、今日も頑張ろう。 - 558: 2017/12/22(金) 22:36:08.01 ID:hM2/6zoso
-
わたしのプロデューサーさんは、とっても責任感が強い。
「……すみません、今日は現場には向かえそうにありません」
「だ、大丈夫ですよ。忙しいから……しょうがないです」
二期生の事で、前よりももっと忙しそうにしてます。
だから、最近はこういう事が多くなってきました。
その度にこうやって謝ってくれるけど、逆に申し訳ない気持ちになっちゃいます。
「申し訳ありません」
「へ、平気です。頑張ります!」
「緒方さん……」
本当は、ちょっぴり寂しい。
でも、ワガママなんか言ったらダメだよね。
――見捨てられちゃうかもしれない。
「はい……頑張ってください」
頑張って、見捨てられないようにしないと。 - 559: 2017/12/22(金) 22:43:15.98 ID:hM2/6zoso
-
わたしのプロデューサーさんは、とっても不器用。
「緒方さん……すみません」
「い、いえ……気にしないでください」
今日は、お仕事に一緒に言ってくれるはずだったんです。
けれど、二期生の子達の方でトラブルがあったみたい。
それで、プロデューサーさんが行かなきゃいけないみたいなんです。
「トラブルですから、しょうがないです」
「ですが……」
「も、もう行かないとですよ!」
「……はい、申し訳ありません」
えへへ、わたしはワガママなんか言いませんよ。
安心して、他の子の所に行っても良いですよ。
――だけど、見捨てないでくださいね。
「緒方さん、頑張ってください」
「はい。頑張ります」
だって、こんなに頑張ってるんだもん。 - 560: 2017/12/22(金) 22:53:49.66 ID:hM2/6zoso
-
プロデューサーは、大嘘つき。
「担当を……変わる?」
どうして?
「緒方さんは、人気、実力共にトップアイドルの仲間入りを果たしました」
はい、だって、智絵里、頑張りました。
「しかし、現状……私は、貴女のプロデューサーとして相応しくありません」
なんで?
「スケジュール的な事も含め、貴女の専属プロデューサーを会社では――」
なんで?
あれだけ必死に、言われたとおり、 ワガママ言わずに頑張ってきたのに。
「――緒方さん……?」
「なんで、私を見捨てるんですか?」 - 561: 2017/12/22(金) 23:04:15.97 ID:hM2/6zoso
-
「いえ……見捨てるわけではなく……」
やっぱり、智絵里は見捨てられちゃうんだ。
約束したのに、えへへ、見捨てられちゃうんだぁ。
「見捨てるんですよ?」
「っ!? それは……」
「プロデューサーは、智絵里を見捨てるんです」
「……申し訳、ありません」
やっぱり、見捨てるんだ。
「ですが、これは貴女がアイドルとして、今以上に――!」
そんなの!
「そんなの、一度も、言わなかったです!」
「っ!?」
「頑張れって言うから頑張った! 寂しいけどワガママも言わなかった!」
「緒方さ――」
「なんで? なんで? 智絵里をどうして見捨てるの? なんで? なんでなんでなんで!?」
見捨てないで、って!
智絵里は、それしかお願いしなかったのに! - 562: 2017/12/22(金) 23:13:24.01 ID:hM2/6zoso
-
「……申し訳ありません」
モウシワケアリマセン。
何を……言ってるんだろう?
智絵里は、どうして見捨てるのかを聞いてるのに。
だって、それがわからないと、また見捨てられちゃう。
言われた通りに頑張ったのに見捨てられるなら、どうすればいいか教えてよ。
「ねえ、なんで? なんで見捨てるの?」
「……私の、力不足です」
……なーんだ、そうだったのか!
プロデューサーさんは、わたしを見捨てたくて見捨てるわけじゃないんだ!
「――えへへ、良かった! それなら、安心です!」
「緒方さん……? あの、何を――」
「――頑張ってください」
わたしは、頑張りましたよ? - 563: 2017/12/22(金) 23:23:26.34 ID:hM2/6zoso
-
わたしのプロデューサーさんは、とっても優しくて、
「プロデューサーさん。お願い、聞いてくれますよね?」
とっても忙しくて、
「忙しくても、頑張ってください」
とっても責任感が強くて、
「ワガママ言わずに、頑張ってください」
とっても不器用。
「引っ込み思案だったわたしでも出来ました。だから、きっと出来ます」
すごく驚いてるけど、そうすれば見捨てずに済みますよ!
わたしも、見捨てられず、とっても嬉しいです!
「緒方さん……!?」
だから、約束しましょう。
えへへ、おまじないですよ、プロデューサーさん。
「私は、約束通り頑張ります。だから、プロデューサーさんも頑張ってくださいね」
「幸せの――お呪い」
おわり
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