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前スレ:

黒子「じゃっじめんと、ですの」


黒子「じゃっじめんと、ですの」【中編】



688: ◆NOC.S1z/i2 2012/12/10(月) 19:20:16.83 ID:sJbDR1DFo

 えー、今回は、特別編というかなんというか、ちょいと今までとは違うテイストで……


 タイトルは「ミカンですの」
689: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:21:03.91 ID:sJbDR1DFo

 その日、ジャッジメント支部に届けられたのは一箱のミカン箱。

「あれ、どうしたんですか、このミカン箱。なんか『日頃の働きに感謝御礼』って書いてありますけれど」

 いつものように姿を見せた初春が、先にいた固法に尋ねる。

「今朝方届けられたのよ。有難く戴きましょう」

「みかんか……休憩時間に食べましょうか」

「ええ。白井さんが来てからね」

「はーい」

 そしてそれぞれが書類仕事を始めて十分後。

「あれ?」

「どうしたの? 初春さん」

「ミカンの箱、開けました?」

「触ってもないけど」

「開いてますよ」

「え?」
690: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:21:36.02 ID:sJbDR1DFo

 初春の顔を見て、その視線の先に目をやる固法。
 確かに、ミカン箱が開いている。
 いや、これは開いているというのか。

 それはまるで。

 内側から無理矢理押し開いたような。

「こ、固法先輩」

 初春が呟く内容は、固法には予想できた。
 なぜなら、今この瞬間、二人は同じものを見ているからだ。
 とても、信じられないものを。

「ミカンが……ミカンが……」

 ミカンが箱からその姿を現そうとしていた。
 誰も触れていないミカンが、勝手に……




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

691: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:22:18.21 ID:sJbDR1DFo
 
「学園都市の技術の粋を尽くして製作されたミカンが脱走した」

「は?」

 急遽招集された超能力者一同の目が点になる。
 仕方なく、土御門はもう一度説明する。

「だからな、ミカン。ジャパニーズオレンジ」

「いやいや、わかンね」

 手を振る一方通行に土御門はにべもなく、

「わかれ」

「無理言うンじゃねェ」

「因みに自律行動が可能で、多少の自意識も持っている」

「それ、本当にミカンなの?」
 
 美琴の問いもスルー。

「学園都市のバイオ部門が総力を結集し、交配を重ねて作り上げた珠玉の名蜜柑らしい」

「くだらねェことやってンな、上も」


692: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:22:45.04 ID:sJbDR1DFo


「因みにミカン三世代で完成した」

「短か! 速攻じゃねえか! おい」

「ミカン物質は黙ってろ」

「未元物質だから! あと、読み方は〝ダークマター〟だから! 〝みげんぶっしつ〟じゃないから!」

「詳しいことは、この記録を見てくれ。研究者達がミカンの特徴をまとめたPVだ。本来なら闇のバイヤーに流されるモノだったらしい」

 土御門が一枚のディスクを多機能デッキに挿入する。
 即座に、壁に埋め込まれたディスプレイに映像が映る。

「俺の名はミカン三世……」
(♪マシーンエントラーイ ヤッパッパッ~♪)

 バチュン、と音がしてディスプレイのあった場所に大穴が開いた。

「……いい加減にしねえと本気でブ・チ・コ・ロ・ス」

 原子崩しの余韻もそのままに、麦野が土御門を睨みつけていた。

「やれやれ、ちょっとしたジョークで場を和ませ……」

 バチュン

「まともに話すか、この部屋が海綿のアップみたいに穴だらけになるのか、どっちがいいかにゃーん?」

 要は、バイオ技術の粋を集めて作られたスーパーミカンの鎮圧依頼である。
 正直、レベル5の出番だとは思えない。
693: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:23:12.36 ID:sJbDR1DFo
 
 素直に美琴がそう問うと、

「いやいや、ミカンの実力はマジだぜい?」

「つまり、根性の入ったミカンってことか」

 腕を組み、さも訳知り顔で頷く削板。

「すげェ、こいつ、納得してやがる」

「さすが原石、常識が通じねえ意味では俺以上か」

「さぁすがぁ、グンにぃ、根性力溢れてるぅ~☆」

「男に縁の無かった奴が一旦落ちるとこうなるんだねぇ……」

「麦野さん、お互い気をつけようね」

「いや、私は縁あるから」

「そうなの? いや、実は私もあるんだけど」

「なんだろうね、この見栄にまみれた女どもは」

「黙れミカン物質」

「おぉい! 定着させる気か!?」

694: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:23:38.80 ID:sJbDR1DFo

 その頃、初春たちは……

「ああああ!!」

「初春さん!!」

「あ、あ、手が……私の手がぁあああ」

 入口は既にミカンによって占拠されている。
 閉じこめられた形の固法と初春は絶望的な反撃を強いられていたのだ。

「そ、そんな、初春さんの手が……こんな……これじゃあ……」

「あああ……」

 初春の手……いや、指にはそれぞれミカンが刺さっている。
 つまり、十個のミカンが十本の指に刺さっているのだ。

「こんな指じゃ、キーボードが打てません!!」

「くっ、外部との情報のやりとりをシャットアウトするなんて……こいつら、プロだわ」 

「こんな手じゃ、ご飯を食べることも出来ませんよ」

「諦めちゃ駄目よ、初春さん、イザとなれば犬食いという手もあるわ」

「ポシンタンですか?」

「いや、そうじゃなくて」

 遅れましたの
695: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:24:06.33 ID:sJbDR1DFo

 二人の間に現れるのは、テレポーター白井黒子。
 出入り口がミカンで封鎖されていても黒子には一切関係ないのだ。

「白井さん、このミカン、徒者じゃないわ、気をつけて!」

 おいくらですの?

「無料じゃなくて」

「うう、白井さん、助けてください……」

 初春がミカンまみれですの
 
 黒子が手を差し伸べ、ミカンに触れる。
 消えるミカン。
 すると、どこからともなく飛んでくるミカンが初春の指に刺さる。

「はうっ、またミカンが」

 黒子がミカンを何処かへ飛ばす。
 ミカンが飛んでくる。
 初春の指に刺さる。

「あううう、もう駄目です。きっとこのまま私は、指先にミカンをつけたまま不自由に暮らしていくんです」

 黒子がミカンを飛ばす。
 ミカンが飛んでくる。
 初春の指に刺さる。
 黒子が飛ばす。
 飛んでくる。
 指に刺さる。
 飛ばす。飛んでくる。刺さる。
 飛ばす飛んでくる刺さる飛ばす飛んでくる刺さる飛ばす飛んでくる刺さる……
696: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:24:33.17 ID:sJbDR1DFo

 ……ぜぇぜぇ……

「白井さん、大丈夫ですか?」

 ……もう合計50kgぐらい飛ばしたような気がしますの

「最初のミカン箱にだってそんなに入っていなかったわよ。一体どこからそれだけの量が」

 三人の視線がミカン箱へ。

 そこには、ぐもももももと溢れ出すミカン。

 ミカン、絶賛増殖中ですの
 UNLIMITED MIKANですの

「あれ、ミカンなの?」

「……多分」

 初春は何かを食べながら言う。

「甘くて美味しいです」

「初春さん、まさかと思うけど、何食べてるの?」

「ミカン美味しいです」

 美味しいですの

「白井さんも!?」

「かざり、遊びに来たんだよ」

 第四の声。それは出入り口から。
 そこにいるのは、満面笑顔のインデックス。
697: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:25:00.68 ID:sJbDR1DFo

「ミカンごちそうさまなんだよ」

 入口を物理的に占拠していた大量のミカンを食べ尽くしたらしい。
 
 この瞬間、固法は勝利を確認した。

 インさん来た、これで勝つる!

「入口の横にミカンの山があるけれど、アレも食べていいのかな?」

 おそらくは、黒子が飛ばしたミカンだろう。

 てれてれ

 黒子が何かを想いだして身悶えする。

「どうしたの? 白井さん」

 佐天さんと一緒に来ましたの

「佐天さんは?」

 ドアの外で待ってましたの

 今はミカンの下である。ヘルマン・ヘッセもびっくり。

「とりあえず、ここにあるミカンは全部食べていいわよ」

「ありがとうなんだよ!」

「ミカンの下にあるものは食べちゃ駄目よ」

「わかったんだよ。鋭意努力するかも」

「絶対食べちゃ駄目よ?」

 そして魔術によって科学が救われようとしている頃……
698: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:25:45.17 ID:sJbDR1DFo



「で、いつ出発するンですかァ?」

「おい、これじゃあこの騒動、いつまで経っても終わらねえぞ」

「仕方ないだろ」

 土御門がドヤ顔で一同を見回す。

「未完の騒動なんだから」






                                             おあとがよろしいようで
699: 「ミカンですの」 2012/12/10(月) 19:26:12.55 ID:sJbDR1DFo

 以上、お粗末様でした。

 感想などあれば、レス下さると嬉しいです。

 では、また。
708: ◆NOC.S1z/i2 2012/12/26(水) 23:14:03.98 ID:dwqYDEPBo

今回のタイトルは「大掃除ですの」
709: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:15:30.33 ID:dwqYDEPBo
   
 はぁー

 ごしごし

 はぁー

 ごしごし

 太陽の光をキラリと反射するガラスに、黒子はご満悦の表情で腰に手を当てて頷いた。

 完璧ですの
 ピカピカですの

「白井さーん」

 足下から聞こえる声に、黒子は視線を落とす。

「そろそろ終わりそうですかー?」

 黒子は立ち上がると、下に向かって大きく手を振る。

 終わりましたの
 
「それでは、ポイントチャーリーへと移動いたしましょう!」

 了解ですの
710: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:15:56.82 ID:dwqYDEPBo
 
 婚后光子率いる常盤台水磨部隊【ザ・ウォッシャー】は、速やかに次の建物へと移動する。
 それに従い、黒子も次の建物へとテレポート。

 黒子が次の建物の天辺にとりついたのを確認し、光子は湾内絹保に合図する。

「湾内さん、お願いいたします」

「了解ですわ」

 湾内が腕を上げると、周囲の女生徒が両手で抱えていたバケツから水柱が上がり、建物の天辺へと波のように襲いかかる。
 勿論、それは黒子を狙うものではない。
 黒子の足下、建物外壁を水柱は水流と化し、渦巻きながら流れていく。

「さすがは湾内さんですわ」

「あら、 泡浮さんこそ」

「泡浮さんの力が無ければ、こんなに重いバケツを持ってられませんもの」

 湾内絹保の「水流操作」で洗われる建物。その洗浄に使われる水は、 泡浮万彬の「流体反発」によって重さを軽減されているのだ。
 そして黒子は、湾内の水流操作では届かない細かい部分、天窓の隅などを掃除しているのだ。
 因みに黒子がやってる理由は、万が一足を滑らせて落下しても、空間移動を利用してあっさり着地できるからである。

 はぁー

 ごしごし

 はぁー

 ごしごし
711: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:16:26.46 ID:dwqYDEPBo
 
 黒子は一生懸命に天窓を磨く。
 今日は年末恒例、常盤台大清掃日なのだ。
 普段の清掃では寮内、校舎内に限られているのだけれど、そこは能力者を多数抱える常盤台。
 能力を活用して年に一度は自分たちだけで校舎全体の清掃を行っているのだ。

 因みに、美琴は別の場所で電撃による通電殺菌中である。

「おりゃああああ!!」

「さすがは御坂さま、これだけの量が一度に殺菌できるなんて」

「常盤台の誇るレベル5ですわ。ああ、素敵」

「……」

「どうかなされました? 食蜂さん」

「あれだけ踏ん張って叫んでてもぉ、『素敵』って言われるのが常盤台の乙女力よねぇ。時々怖いゾ☆」

「御坂さんと食蜂さんは別格ですもの」

「神と精霊と乙女の名の下に悪しき使いは去るんだよっ!」

 叫びながら殺虫剤を撒いているのはインデックスだ。
 その横ではプチケンティウスが時々発見したゴミを燃やしている。
712: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:16:52.82 ID:dwqYDEPBo
 
「……あの子の妙な元気力も、別格かしらぁ?」

「別の意味で、まさに別格ですわ」

「はぁ……。操祈、肉体労働には向いてないのにぃ」

 見るから怠そうな食蜂に、縦ロールの女生徒はとある忠告を思い出した。

 御坂美琴曰く、今の食蜂操祈を働かせる方法はこれだ、と。

「根性ですわ、食蜂さん」

「根性?」

「はい。根性力です」

「根性力だったら仕方ないわぁ」

 シャキンと立ち上がる食蜂。
 恋する乙女は無敵なのだ。

 そして黒子達は、おおかたの建物を終えていた。

 おー

 黒子はやり遂げた顔ですっくと立ち、周囲を睥睨している。
 高いところは気持ちいい。
 掃除を終えた所なのでさらに気持ちいい。
 誇らしげに胸を張り、黒子は景色を眺めていた。
713: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:17:19.51 ID:dwqYDEPBo
 
「……らいさん!」

 おー

「白井さん!」

 おー
 お?

「白井さん」

 なんですの?

 下からなにやら慌てて叫んでいるのは婚后さん。

「見えてます!」

 ???

「見えてますのよ!!」

 ???

「し・た・ぎ」

 慌ててスカートを抑えしゃがみ込む黒子。
 確かに言われてみれば、下からは丸見えだ。しかも、堂々と仁王立ちまでしていたのだから。

 見られましたの……
 てれてれ
714: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:17:45.78 ID:dwqYDEPBo
  
 それでも黒子は降りない。
 景色に見惚れているのだ。

 高いところに吹く風は気持ちがいい。季節を考えるとちょっと寒いけれど。
 実はちょっとどころじゃないけれど。
 いや、実際の所かなり寒いのだけれど。

 ぶるぶる

 黒子は建物から降りた。

 寒いですの

「ご苦労様ですわ」

 庭では、掃除後の炊き出しが始まっている。
 これもまた、常盤台恒例である。
 大鍋一杯のお汁粉が順に振る舞われていく。

 今年は何故か鍋が一個多くて、その鍋の前にはシスター姿の子が一人しかいないようだけど、黒子は気にしないことにした。

 あっつあつですの

 ふーふー

 ずるずる

 あつあつですの

「お餅も焼いてるわよ」

 いつの間にか、お姉さまも戻ってきている。
715: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:18:15.12 ID:dwqYDEPBo
 
「お餅を、汁粉に入れるとぜんざいになるのよ」

 本当は地方によって色々あるのだけれど、学園都市ではお餅が入ってないものがお汁粉、お餅が入っているとぜんざい。
 とってもわかりやすい。

「お餅を貰いましょう」

 はいですの

 汚くないゴミ(廃材、古紙など)を燃やしているドラム缶の上の鉄板でたくさんお餅が焼かれている。
 当番となった何人かの生徒が忙しくお餅をひっくり返していた。
 ぷくりぷくりと膨れるお餅。
 間に合わずに破裂してしまうお餅もいくつかある。

「御坂さま、白井さん。お餅を幾つ入れましょうか?」

 二つ下さいまし

 担当生徒にお餅を二つもらい、とぽん、とお汁粉に入れる。
 お餅のお焦げがぱりぱりといいながら甘い汁に浸っていく。

「じゃあ私も二つ」

 お姉さまも二つ。

 はふ。あつっ、あつっ。
 
 お姉さまがぜんざいを熱そうにしているから

 ふーふー

 黒子はお姉さまのぜんざいにふーふー。

 ふーふー

「ありがとね、黒子」

 てれてれ
 
716: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:18:41.87 ID:dwqYDEPBo
 
 そして黒子は自分のお餅を……
 
 あつっあつっ

 やっぱり熱い。

「ふーふー」

 お姉さまが冷ましてくれる。

 はふっ はふっ
 ずるっ

 熱々の甘々ですの

「美味しいね」

 はいですの

 ふーふー
 ずるずる
 はふはふ
 はふっはふっ

 お餅が無くなりましたの

 お代わりですの

717: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:19:11.29 ID:dwqYDEPBo
 
「白井さん、今度は幾つですか?」

 四つですの

「白井さん、二つで充分ですよ」

 いえ、四つですの。二と二で四つですの

「二つで充分ですって」

 お汁粉もいただきますの

「……わかりましたよ」
  
 いただきますの

 四つの香ばしい匂いを放つお餅が、所狭しとお椀に浮いている。

「黒子、さすがに食べ過ぎじゃない?」

 今日は黒子は、沢山働きましたの

「お腹痛くならないようにね?」

 はい、ですの

 はふっはふっ 

718: 「大掃除ですの」 2012/12/26(水) 23:19:41.62 ID:dwqYDEPBo


 空になった椀を隅のバケツに放り込んでぜんざいはおしまい。
 婚后さん達も食べ終えて、椀を所定の場所に集めている。
 椀は発泡スチロール製だから、このままゴミとして棄ててしまうのだ。

「お腹一杯になったね」

 ぽっかぽかですの

「黒子、暑くなったからって上着脱いだら駄目よ、風邪ひくわよ」

 お腹ぷっくぷくですの

「お餅食べ過ぎよ。部屋に戻ろうか」

 はい、ですの




 その夜黒子は、お腹がお餅のように膨れて破裂する夢を見ました。

 
719: ◆NOC.S1z/i2 2012/12/26(水) 23:20:17.16 ID:dwqYDEPBo

 以上、お粗末様でした。

 感想などあれば、レス下さると嬉しいです。

 では、また。
729: ◆NOC.S1z/i2 2013/02/02(土) 23:11:00.37 ID:/dhYxaCMo

今回はいつも以上に中身無しです

タイトル「にゃあにゃあですの」
730: 「にゃあにゃあですの」 2013/02/02(土) 23:12:15.50 ID:/dhYxaCMo
 
 今日も黒子はパトロール。

 なんとなく怪しそうな路地を見つけて入ってみる。

 ……怪しいですの

 確かに妙な気配。
 獣臭いというか……ネコ臭いというか。

 にゃあ

 ネコですの

「黒子にゃあ」

 フレメアですの

「だいたい久しぶり。見回りご苦労にゃあ」

 にゃあ

 ネコもいますの
731: 「にゃあにゃあですの」 2013/02/02(土) 23:13:06.51 ID:/dhYxaCMo
 
「学園都市生まれのスキルアウト育ち、ネコなやつらはだいたい友達にゃあ」

 それは初耳ですの

「嘘だから」

 嘘つきは脳から鉄針を突き刺しますの

「にゃあああああっ!!?!??」

 嘘ですの

「う、う……黒子が怖い……」

 泣く子ももっと泣くじゃっじめんとですの

 にゃあにゃあ

「うん、大丈夫」

 ネコに慰められているフレメア。

 そこで黒子は周囲に気付く。ネコまみれな周囲に。

 ネコだらけですの
732: 「にゃあにゃあですの」 2013/02/02(土) 23:13:39.51 ID:/dhYxaCMo
 
 黒子の言葉通り、時にはネコがあふれかえっていた。まるでネコの国である。
 人間はフレメアと黒子だけ。
 でも、フレメアは普段からにゃあにゃあ言っているのでちょっと怪しい。

「ここはネコエリアにゃあ」

 なるほど、学園都市内にはネコの支配する空間というのもあるのだろう。
 なにしろ、噂ではカブトムシの支配している空間まであると言われている学園都市だ。ネコならまだ哺乳類なだけマシだろう。

 にゃあにゃあにゃあ

 猫の声がとてもよく聞こえてくる。

 ネコさんが沢山いますの

 ♪にゃんにゃにゃーん にゃんにゃにゃーん

 お葬式ですの

 ♪にゃにゃにゃにゃーん にゃにゃにゃにゃーん にゃんにゃんにゃにゃにゃにゃん にゃにゃにゃにゃん

 結婚式ですの
733: 「にゃあにゃあですの」 2013/02/02(土) 23:14:11.69 ID:/dhYxaCMo
 
 色々とネコたちも忙しいらしい。イベント目白押しである。

 ♪にゃーんにゃっにゃにゃにゃにゃっにゃっにゃっにゃっにゃっにゃーん にゃにゃにゃ にゃーんにゃっにゃにゃにゃにゃっにゃっにゃっにゃっ

にゃっにゃーん

 ゼビウスですの!?!

 慌てて周りを見回す黒子だけど、ソルバルゥは飛んでない。おバキュラさまもない。むろんスペシャルフラッグなど見あたらない。
 お葬式はちょっぴり悲しいけど、仕方ない。結婚式はとってもおめでたい。

 でもゼビウスは困る。
 アンドアジェネシスはかなり困る。

「ネコが一杯増えて凄いことになってる!」

 何故か誇らしげなフレメア。
 しかしフレメアの言葉に間違いはなく、見渡すばかりのネコまみれ。学園都市中のネコを集めたような光景が広がっている。
 
 にゃあにゃあ

 困りましたの
734: 「にゃあにゃあですの」 2013/02/02(土) 23:15:03.76 ID:/dhYxaCMo
 いつの間にか帰り道もネコに阻まれている。

「黒子のお姉ちゃんもネコと一緒、にゃあ」
 
 黒子はお姉さまの所に帰りますの

「にゃあ、フレメアも帰る! だいたいお腹減ったし」 

 フレメアが黒子の差し出した手を握る。

 にゃあにゃあ

 ネコが並んでいた。

 お見送りですの

「にゃあ! また来るにゃあ!」

 また来ますの

 にゃあにゃあ

 そして二人は、ネコさん達にお別れした。
 また、今度。
 
735: ◆NOC.S1z/i2 2013/02/02(土) 23:16:32.01 ID:/dhYxaCMo
 
 以上お粗末様でした

 次回は、レベルアッパーか、カブトムシの予定

742: ◆NOC.S1z/i2 2013/02/24(日) 20:56:00.12 ID:+ldwSs2bo

今回は佐天さんがメインです
佐天さんが凄い能力を持つというネタです

タイトル「佐天無双ですの」

743: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:57:11.78 ID:+ldwSs2bo
 
  
 静まりかえったメインストリートに立つ二人の少女。
 そこには普段のような通行人はいなかった。
 
 為す術もなく立ちつくすのは白井黒子。
 その前に立ちはだかるは、佐天涙子。

「白井さん。私はもう、昨日までの私じゃないんですよ」

 佐天さん……

「周りを見てください。もう、わかっているんでしょう?」

 言われるまでもない。
 黒子にはわかっている。いや、現実が見えている。あっけないほどの、完膚無き敗北の姿が。

 倒れ臥す一方通行、垣根帝督、上条当麻、浜面仕上。
 佐天から距離を取って様子を窺っているのは御坂美琴、麦野沈利、絹旗最愛、結標淡希。

「レベル5の人たちすら、こうなんですよ?」

 レベル4に過ぎない白井黒子に勝ち目はあるのかと、言外に佐天涙子は問うている。

 そう。レベル5第一位第二位、そしてレベル5を下す可能性を持つ二人。
 それらを全て退けた佐天に、黒子は勝利、いや、抗することができるのか。
744: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:57:44.49 ID:+ldwSs2bo
 
 だが……
 いや、それだからこそ、黒子は言うのだ。

 じゃっじめんと、ですの

 ジャッジメントは退かない。退いてはならない。
 例え敗れることがあろうとも、退くことは決してない。それが黒子の誓い。それが風紀委員の誇り。

「そうですか、白井さんは、あくまでも私の邪魔をするんですね」

 佐天さん……今からでも

「遅くない、なんて言わないでくださいね」

 笑った佐天の表情は驚くほどに透き通っていて。
 それはまるで、全てを信ずる母親に託しきった赤子のように無防備で。 

「もう、何もかも手遅れなんです」

 力のない歪んだ笑いは自嘲か、それとも諦念か。

「私が、それに手を染めてしまった瞬間から」

 それでも黒子は言う。

 違いますの
745: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:58:11.39 ID:+ldwSs2bo
 
 きっぱりと、一歩も退かずに黒子は言う。

 それは、違いますの

「遅いんです!」

 吐き捨てるように、佐天は叫ぶ。

「もう、遅いんです!」

 それは悲鳴だった。
 己の所行を悔いることによる、しかし自らの責任を逃げずに受け止める痛みへの悲鳴だった。

 違いますの

 それでも、黒子は退かない。
 退いてしまえば、一人の友を失うと知っているから。
 たとえそれが、どのような茨の道であろうと。

「私が……私が初春を……」

 誰に向ける言葉でもなかった。強いて言うならば、それは自分自身に向けられた言葉なのだろう。
 自らを責め、抉る言葉。
746: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:58:37.40 ID:+ldwSs2bo
 
 違いますの

「同じ言葉ばかり……!」

 馬鹿にしているのか、と声を荒げようとして、佐天は気付く。
 それは黒子の決意なのだ。
 言葉を変えないのは、それが確固たるモノだから。
 他の言葉では表せないと、黒子自身が誰よりもよくわかっているから。

 違いますの

 ならば自分は、こう答えよう。

「違いませんよ」
 
 自分は既に手遅れだと言うことを証明しよう。
 救いの手を振り払おう。
 自らが、救うに値しない存在だと証明しよう。
 だから、自分を切り捨てて欲しいと訴えよう。

「白井さん……」

 名を呟いて、佐天は手を挙げる。
 いつの間に、こんなことになってしまったのだろう……

 そう、それが始まったのは……
747: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:59:04.73 ID:+ldwSs2bo
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「最近の初春は、鉄壁だね」

「いつまでも佐天さんの思うままにはいきませんよ」

「むう、生意気な」

 このところ連続してスカートめくりに失敗している佐天の不満顔に、初春は胸を張る。

「修行が足りませんね」

「むぅ……どうしてやろうか」

 よし、スカートをめくろう。

「だから駄目ですって」

「ぬう……」

 佐天は考える。
 鉄壁防御の初春に弱点はないのか。スカートをめくる隙はないのか。

 そして行き着いた先は……
748: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 20:59:31.74 ID:+ldwSs2bo
 
(無能力者は弱い、能力があれば捲れるんじゃないだろうか)
(力が欲しい。無能力者の私にはない力が)
(初春のスカートを捲れる力が!)

 何故か佐天は能力者を目指すことになった。
 とは言っても、目指したからと言ってなれるわけではない。目指すだけでなれるのなら、今頃学園都市は超能力者だらけだ。
 現実とは厳しいのである。
 だがしかし、抜け道というのは何処にでもあるわけで、能力育成についても例外ではなかった。

 幻想御手~レベルアッパー~ である。

 都市伝説もどきの噂として佐天もその存在は知っていた。
 服用者のレベルを飛躍的にアップさせ、無能力者であれば能力者にしてしまうと言う技術。
 それがいかなるモノなのかまではわからない。薬か、あるいは何らかの外科的手術か。

 いや、わからなかったのはついさっきまで。
 今の佐天は知っている。レベルアッパーを知っている。否、持っている。

 それはただの偶然か、あるいは彼女の執念が招いた必然か。

 そして佐天は……佐天涙子は、禁断の世界に足を踏み入れる。
 己の内に力を見出すために。
 あり得ざる能力を生み出すために。
749: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:00:10.91 ID:+ldwSs2bo
 
「ごめんね、初春」

 佐天の腕が上がる。
 それは抗えぬ力。
 いかなる防御すら瞬時に無効化し、スカートが、まくれ上がる。

「そんな……」

 茫然自失の初春。それもそうだろう。鉄壁と信じた守りが、砂上の楼閣のように容易く、あまりにも容易く崩されたのだから。
 
「そんな……どうして……」

 佐天は己の力を知った。
 これが、己の力。
 鉄壁の防御などこの力の前には存在しない。
 いついかなる場合も、どのような場所であろうともスカートをめくり上げる力。

 下着露出(パンツアッパー)

 ちなみに、レベルアッパーと間違えて入手したことは内緒である。
 開発者は木山先生。そして共同研究者、布束〝ギョロ目可愛いよギョロ目〟砥信。
 いつもいつも痴女扱いされることにキレた木山先生が、「だったらみんな露出すりゃいいんじゃね?」との想いで開発した優れものである。
 あと、「ゴスロリが変な格好なんて言うんじゃねえ。そやったらみんな変な格好にしたらぁ」 との想いも込められている。
750: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:00:37.46 ID:+ldwSs2bo
 
「この力で私は! 学園都市中のスカートを捲る!!」

 まくれ上がるスカート。次々と上がる少女の悲鳴。

「ちょ、なに、え、ぇえええ」
「きゃああああ、ってミサカはミサカは悲鳴を上げてみる」
「絶対等速さん! カメラ、カメラッスよ!!!」
「スカートがおかしいかも」
「捲れた。無様。」
「でかした、わっか君!」
「ふむ……突然足下から涼しくなったな」
「スカート捲れたまま平然と歩く美女だと……?」
「殿方がこちらを見ていますわ!」
「不埒な姦賊には相応の罰を!」
「ぶべっ!」

 誰かが婚后光子に吹き飛ばされる。

「はっはっー!! 見つからないように死角にテレポート! テレポート! テレポートぉっ」
「打ち止めのスカートを捲った奴がいるって聞いたンですけどォ?」
「……すんませんチョーシ乗ってましたごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 街の一角は混乱の極致である。
 そして駆けつける風紀委員。
751: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:01:04.60 ID:+ldwSs2bo
 
 じゃっじめんとですの!

「駄目です! 白井さん! それ以上近づくと佐天さんの射程距離に!」

 初春の忠告より一瞬早く、佐天の手が動く。
 しかし、能力発動の瞬間も佐天の感覚は空を切る。それは、スカートを捲り上げるのではなく、空を掴む感触。

「……そっか。白井さんの能力は瞬間移動でしたね」

 黒子には通じませんの、黒子は逃げ切りますの

 距離を取った黒子の手が上がろうとしたとき、

「どけっ! 白井!」

「女の敵に超オシオキです!」

 麦野と絹旗が黒子の左右へと展開する。

「てめえっ!」

「行きますッ!」

 原子崩しの予兆の輝き、絹旗の突進。
 が、しかし!
752: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:01:32.41 ID:+ldwSs2bo
 
「私の技は! 誰にもっ! 止めさせないっ!!」

 巻き上げられるように捲れる麦野のスカート。そして、捲れすぎて臍まで見えてしまう絹旗!

「なっ!」

「ぎゃうっ!?」

 思わずスカートを抑えた麦野の原子崩しが地面を貫き、臍まで見えた絹旗は真っ赤になって座り込む。
 
「原子崩しを撃つために私に腕を向けた瞬間、麦野さんのスカートは捲れ上がりますよ?」

「な……」

「そして、これがっ! 私の真力!!」

 そう。佐天の真の力はスカートめくりではない。それは、あくまでも真の能力への前奏曲(プレリュード)に過ぎない。
 彼女の能力の名は、下着露出(パンツアッパー)、その名を知れば容易に概要は想像できるだろう。
 いや、それどころではない。
 露出するのは下着ではない。
 繰り返して告げよう。露出するのは、下着では、ない!

「簡単なことですよ。作用と反作用。スカートを上へと捲る作用に対して生じる反作用、それは下への力!」
753: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:02:14.99 ID:+ldwSs2bo
 
「……そんな、まさか……」

「下へと向かうのは! 下着!」

 スカートは捲り上がり、下着はずり落ちる。それが佐天涙子の真の能力であった!

「て、てめぇえええ!!!」

「にゃああああああああ!!!!」

 半泣き状態でスカートを抑えていた二人。その姿が突如として消えた。

「大丈夫?」

 結標淡希である。

「借りができたね」

「超感謝です」

「気にしないで、それより今はあの人、佐天涙子の暴走を止めること。このままだと、学園都市からスカート着用者は消えかねないわ」

 もともとスカートを穿くことの少ない者はいいだろう。
 例えば滝壺理后、あるいは黄泉川愛穂。
 だが、スカートを穿いている者はどうなる。そして、スカートから覗く生足をこよなく愛する紳士達は!

754: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:02:40.96 ID:+ldwSs2bo
 
「許せねえ」

「ああ、てめえみてえなチンピラと同じ意見ってのは気にくわねえがな」

 浜面仕上、垣根帝督の二人が立ち上がった。

「女の子相手に乱暴はしたくないが、止めるぞ」

「はっ、そんな常識が俺に通用するとでも?」

 佐天涙子は慌てない。
 なぜなら、自分の力に絶対の自信を持っているから。

「スキルアウトと第二位さん?」

 だから佐天はただ、右腕を上げる。

 浜面と垣根は走る。
 佐天の能力はスカート特化、下着特化である。
 ズボンに対しては無力。ズボンを穿いている男にとっては恐れるべきものではない。
 もしかしたら、逆に脱がされるとかも知れないが、そこを恐れていては始まらない。
 第一、今周囲にいるのは麦野、絹旗、白井、結標、婚后達である。
 この場で例えズボンと下着を脱がされたとしても! それは一部の者にとってはご褒美に過ぎないのだから!!

 しかし、結論から言えば二人はもっと慎重に対処するべきだった。

 その能力はスカートに上向き、下着に下向きの力を与えるもの。そして、その力はズボンには無効。
 上向きの力は、ズボンをスルーして下着に掛かるのだ。
 つまり、男達の下着は上に向かって引っ張られる。
755: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:03:06.94 ID:+ldwSs2bo
 
 それも、急激に、凄まじい力で。
 佐天の真の能力は必要ない。第一波の力だけで、男達は倒れ臥す。

 具体的には、タマを締め付けられて。

 倒れ、ビクンビクンと痙攣している浜面と垣根。

「浜面ーーーっ!!」

「垣根ーーーーーっ!!」

 ビクンビクン

「……くっ……こうなったら俺が……」

 上条当麻。幻想殺しを持つ男。
 確かに、佐天の力が如何に強大とは言え、上条の幻想殺しをクリアできるものではない。
 上条はただ、佐天の能力から股間をカバーすればいいのだ。

 具体的には、股間を押さえながら走ることになる。

 股間を押さえながら、女子中学生に向かって走る男。

 ただの変質者である。
756: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:03:35.52 ID:+ldwSs2bo
 
「ちくしょおーーーーーっ!!!」

 それでも上条は走る。変質者にしか見えない姿で走る。
 誰かに動画を撮られていたら確実に捕まる姿で走る。
 そばで見ている美琴もちょっと引いているけれど、それでも走る。
「うわぁ」と麦野が呟いているけれど、それでも走る。
「超ないです……」と絹旗が呟いても、上条は走る。

 股間を押さえているため女走りになっているのが余計に変質者ムードを醸し出していても、それでも上条は走る!

「うおおおおおおおお!!!!」

 そして佐天に接近し、

「その幻想を!」

 幻想殺しの宿る腕を、つい癖で振り上げる。

「ぶち……」

 そして股間は無防備に。

「あ」

 美琴が呟いた次の瞬間、上条はもんどり打って倒れた。

 ビクンッビクンッ

 上条痙攣。
757: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:04:02.31 ID:+ldwSs2bo
 
「何やってンですかァ? アホですかァ?」

 心底面倒くさそうな口調で一方通行が、さっきまで死角移動を始末していた一方通行がやってきた。

「どうやらあの力、ベクトル操作の下位互換と見た。俺なら確実にキャンセルできる」

「……私も行くわ」

 美琴が一方通行の前に立った。

「あァ?」

「あんた、手加減下手でしょ。佐天さんに大きな怪我させたくないの」

「スカート捲れてもいいのかぁ?」

 どこかでアステカ訛りの「よっしゃ」という声が聞こえたような気がした。

「短パン穿いてるし」

 なら最初から美琴が行けと言う意見もあるが、短パンまでずらされる可能性もあるのだ。
 いたいけな女子中学生が辱めを受けていい世界などない。

「やべェと思ったらすぐ逃げろよ」

「ええ、わかってる」

 二人は走った。
758: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:04:29.06 ID:+ldwSs2bo
 
 ここで始めて、佐天の表情に焦りが生まれる。それもそのはず、一方通行には能力が通じないのだ。
 佐天の生み出す作用反作用をベクトル操作で打ち消しているのだ。

「くっ」

 佐天は考える。一方通行の演算を乱す方法を。
 そして、一つの手が。

「これでどうです!!」

 一方通行の視界に入った、全ての女性のスカートが捲れ、下着が下ろされそうになった。

「はっ、興味ねェ」

「ホモ!?」

「違ェ!!」

 ならば、と佐天は美琴に力を集中する。
 しかし、短パンは下着とは違い、腰の所での粘りが違う。簡単には下ろせない。
 逆にスカートは簡単に捲れ、美琴は抵抗すらしていないが、短パンが見えたところで恥ずかしいわけがないのだ。

「それならっ!」

 佐天は閃いた。短パンが脱がせないのならば、逆に吊ってしまえ、持ち上げてしまえ。
 そう、釣り上げて食い込ませ、超ハイレグにしてしまえ、と!

「え、ええええ?!」

 さすがに美琴の足が止まった。
759: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:04:59.39 ID:+ldwSs2bo
 
「ちょ、ちょっと」

 慌てる美琴。

「な、なに、あ、駄目、ちょっと、これ」

 慌てる美琴。
 食い込む短パン!
 ガン見する一方通行!!

「おい」

 麦野のツッコミと共に、崩れ落ちる一方通行。

 ビクンッビクンッ
 一方痙攣。

 そして、その場から動けなくなっている美琴を回収する結標。
 着替えタイムを要求してその場を去る美琴。

「……スカートじゃない女も近づけないってことか……」

 麦野の呟きに、絹旗も頷く。

「男連中も超全滅です。というか、第一位第二位が駄目なら、誰が行くんですか?」

 行きますの

「白井?」

「超危険です。スカート捲れますよ? パンツ降りますよ?」

 じゃっじめんと、ですの
760: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:05:51.47 ID:+ldwSs2bo
 
「白井……」

「それが……超風紀委員、ですか?」

 じゃっじめんと、ですの

 黒子は一歩、そして一歩と佐天へと近づく。

「白井さん。私はもう、昨日までの私じゃないんですよ」

 佐天の言葉に、黒子は頷いた。

「ちょっと待ったぁ!」

 !?

 黒子を押しのけるようにして立つのは、レベル5第七位、削板軍覇。

「嬢ちゃんの仕事の邪魔をするつもりはねえ。が、第一位と第二位、そして上条の無念。この俺が晴らす」

 第七位様…… 

「あと、名前忘れたけど、何かもう一人」

 浜面ですの

「無茶だ」

 止めに入ろうとした麦野を制止する一人。
761: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:06:17.88 ID:+ldwSs2bo
 
「安心力たっぷりよぉ。レベル5第七位は無敵力なんだから」

「食蜂……」

「超心配です。いくらデタラメな第七位でも、男の弱点は……」

「だーいじょーぶ。心配要らないゾ☆」

 ほら、と食蜂が指さす方向、佐天の顔色に焦りが見える。

「……どういうことですか?」

 手応えはある。下着に力を注ぐ感覚はある。しかし、削板は顔色一つ変えていないのだ。

「どうした? 姉ちゃんの力、俺には通じないか?」

「なんで……」

「どういうことだ?」

 尋ねる麦野に食蜂は笑う。

「まさか、超ノーパン……」

 それならば、佐天は力の加減で気付いているだろう。
 削板は確実に下着をつけている。そして、力を注がれている。
 しかし、圧迫されていない。締め付けられていないのだ。
762: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:06:49.70 ID:+ldwSs2bo
 
 何かがおかしい。
 下着はつけているのに、つけていない感覚。
 つけていないのにつけている感覚。
 
 下着にして下着に非ず。
 下着に非ずして下着。
 
 その矛盾の前に、佐天の演算は空転する。

「……簡単よ、軍にいは、ふんどしなのよ!」

「!!」

 佐天はふんどしを知らない。知らないものは演算できない。
 第一位一方通行すら、知らない物質~未元物質~を初見で演算することは出来ないのだ。
 佐天にとって未知の物体~ふんどし~は解析不可能だ。

「よし、食蜂、一つ聞いていいか?」

「何かしらぁ? 役に立たない第四位さぁん?」

「なんで、削板の下着をお前が知ってるんだ?」

「」

「あ、それ、私も超気になります。食蜂さん?」

「」
763: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:07:17.86 ID:+ldwSs2bo
 
「あー、私も聞きたい。なんで?」

「え、どうして御坂さん、ここで復帰してくるの!?」

「私も気になるかも」
「まあ、殿方の下着に食蜂様がお詳しいとは……」
「ねえねえ何の話? ってミサカはミサカは興味津々」
「私も混ぜてくださいよぉ」
「え、食蜂さんが?」
「結局付き合ってるって訳よ」
「うそっ、第七位と?」
「五位と七位のカップルかぁ……」
「どうかなされたのですか?」
「大丈夫。そんなしょくほうを私は応援している」
「あ、 泡浮さん、湾内さん、こちらですわ」

 きゃいきゃいと集まる女性陣。

 いつの間にか話題は食蜂と削板の関係に。

「なになに、なにかあったの? 初春」

「あ、佐天さん、聞いてくださいよ。なんと、第五位と第七位のお泊まり愛ですよ」

「ええええ、マジ?」

「そうですよ、マジですよ」

 いつの間にか噂話に参入している佐天。
 スルーする初春。
764: 「佐天無双ですの」 2013/02/24(日) 21:07:50.80 ID:+ldwSs2bo
 
 置いてけぼりの削板。

「えっと……もおいいのか? 姉ちゃん?」

 そんな削板の呟きも聞こえないように、女達は食蜂を喫茶店へと連行する。

「尋問開始ですね」

「たっぷり聞き出すわよ」

「あ、黒子、一番大きいVIPルーム予約してきてくれる?」

 承知しましたの
 しゅん、と消える黒子。

「おーい」

 かしましくも去っていく女達。

「……なんだったんだ?」

 ま、いいか。
 と削板もその場を去る。


 ビクンッビクンッビクンッビクンッ

 後には、痙攣を続ける男四人が残されていたという。


                                    終われ
765: ◆NOC.S1z/i2 2013/02/24(日) 21:08:28.44 ID:+ldwSs2bo

 ……どうしてこうなった。

 以上、お粗末様でした。

 感想などあれば、レス下さると嬉しいです。

 では、また。
779: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/04(月) 00:24:36.37 ID:FuQsLJ9Bo

 今回ちょっと毛色が違います
 メインは垣根帝督です

 未元物質と心理定規について独自解釈有
 あと、キャラクターの過去とか捏造まみれ

 ……え、何を今更、ですか?



 タイトル「かぶとむしですの」
780: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:25:41.70 ID:FuQsLJ9Bo
 
 
 
 
 ――対象B、名前は垣根帝督、と記されています

 ――能力は?

 ――不明ですが、レベル5候補と言っていいほどの演算能力を引き出されています

 ――家族は?

 ――『置き去り』のようです

 ――ちっ、あのモヤシ餓鬼と一緒か……
 
 
 
 
781: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:26:18.75 ID:FuQsLJ9Bo
 
 風紀委員の見回り中、たまたまスイーツ木原の前を通った黒子は、そこに珍しい人物を見た。
 もっとも、その人物自体は黒子にとって珍しい相手ではない。こんな所で見かけたという事実が珍しいのだ。

「誰かと思えば、白井か」

 こんにちは、ですの

「風紀委員の見回り中か、ご苦労だな」

 寮監様は、お買い物ですの?

「昔の知り合いがいてな」

「よお、待たせたか? ん? 風紀委員の嬢ちゃんも一緒か、珍しいじゃねえか、てめえの連れとは」

「白井は見回り中に偶然通ったに過ぎん」

782: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:26:46.56 ID:FuQsLJ9Bo
 
 黒子は対照的な二人を見比べる。

 寮監様と木原様、お知り合いですの?

「さっきも言っただろう。昔の知り合いだ」

「ま、腐れ縁って奴だ。おかけでこいつは、ウチのプリン食べ放題なんだがな」

「それを言うな」

「嘘じゃねえだろ?」

 寮監様、羨ましいですの
 スイーツ木原のプリンは学園都市一番のプリンですの

「おいおい嬢ちゃん、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。よし、一個食っていけ」

 戴きますの
 

783: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:27:18.54 ID:FuQsLJ9Bo
 

 
  
 ――ねえねえ、ていとくん、ていとくん
 ――今日のご飯美味しかったね
 ――ねえねえ、ていとくん、ていとくん
 ――おとうさんとおかあさんって、知ってる?
 
 
 

 
784: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:28:13.76 ID:FuQsLJ9Bo
 
「やあ、そこのお嬢さん」

 寮監と別れた後、公園のベンチでプリンを食べ終え、見回りを再開した黒子の動きが止まる。

 お嬢さんじゃありませんの
 黒子ですの

「ああ、それは済まないね、お嬢……いや、黒子さん」

 風紀委員として様々な怪異を目撃してきた黒子もさすがにこれには驚いていた。
 今までだって色々なものはいた。

 猫とか、クローンとか、犬とかパンダとか浜面とか。
 かえるゲコ太とか、スズメちゅんすけとか、うさぎラビ太郎、ラスカルなのは、とか。

「ん? どうかしたのかね?」

 いえ、なんでもありませんの

 他人の姿をじろじろ見るのはマナー違反である。
 黒子は頑張って視線を外した。

 ……か、かぶとむし、ですの
785: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:28:42.22 ID:FuQsLJ9Bo
 
 どう見てもそれは、黒光りする立派なそれは、大きな、黒子の半分ほどもあるカブトムシなのだ。
 しかも、でかい。黒子が跨って乗れるほどの大きさである。

「どうしましたの? 貴方」

 女性の声に、黒子は二人を見回す。
 女性など何処にもいない。

「いや、どうやらこのお嬢さん……黒子さんを驚かせてしまったようでね」

「まあ、それはいけませんわ。ごめんなさいね、黒子さん。ウチの主人が馬鹿なことをやったみたいで」

 キョロキョロと辺りを丹念に見回した黒子は、ようやく声の主を見つける。
 そして、我が目を疑った。

「どうかしました? 黒子さん」
 
 ……冷蔵庫が喋ってますの

 白い家電がそびえ立っていた。
786: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:29:10.68 ID:FuQsLJ9Bo
 
 
 
 ――しらねえよ、そんなの、見たことねえし
 ――おれにはおかあさんもおとうさんもいないよ


 ――あのねあのね、おとうさんはね、とっても強くて大きくて格好いいんだよ
 ――おかあさんはね、美味しいご飯をくれるの
 ――ていとくんにもきっといるよ
 
 
 
787: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:29:49.40 ID:FuQsLJ9Bo
 
 失礼いたしましたの

 冷蔵庫にしか見えないけれど。
 大きなかぶとむしにしか見えないけれど。
 だけとその口調は紳士で、淑女で。
 礼儀正しくて。
 だから黒子は、礼儀を返すわけで。

 何か、御用ですの?

「人を捜しているんだが」

 どなたですの?

 くわがたとか、洗濯機を捜しているんだろうか。と黒子は一瞬失礼なことを考えてしまう。

「垣根帝督、という名前でね」

 !?
 第二位様ですの
788: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:30:16.75 ID:FuQsLJ9Bo
 
「あ、ああ、今は学園都市第二位らしいね。私たちも誇らしいよ」

 かぶとむしと冷蔵庫が、学園都市第二位と知り合い。
 黒子は考える。
 もしかすると、この人達は外見で判断しては行けないのかも知れない。
 かぶとむしではないのかも知れない。考えてみれば人語を解しているではないか。
 だから黒子は、素直に尋ねた。

 失礼ですけれど、どなた様ですの?

「垣根帝督の父です」

「母です」

 !?
 第二位様は、かぶとむしと冷蔵庫のお子様ですの。
 ……
 ……?
 ありえませんの 

「長い間眠っていたようで、会うのは久しぶりだがね」

「とっても楽しみなのよ」

 黒子の混乱を余所に、二人?はとても嬉しそうだった。

789: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:30:51.70 ID:FuQsLJ9Bo
 
 
 
 ――強くてかっこいい……
 ――美味しいごはん……

 
 

 ――所長、対象Bの能力が発現しました
 ――それが……
 ――はい、既知の能力には当てはまりません
 ――ええ、常識が通用しないと言ってもいいかも知れません

 
 
 

 ――これは、なにかな

 ――……かぶとむし。強くてかっこいいじゃん

 ――これは? 大きな箱があるけれど?

 ――冷蔵庫だよ、美味しいごはんが入ってる

 ――そうか

 ――お父さんは強くて大きくて格好いいものだって

 ――そうか

 ――お母さんは美味しいごはんをくれるって

 ――そうか

 ――あれ?
 ――なあなあ、所長。
 ――泣いてるの?

 ――いや
790: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:31:31.50 ID:FuQsLJ9Bo
 
「いやあ、前から気になってたんスよ」
 
「あ?」

「垣根さんの未元物質あるじゃないですか」

「ああ」

「なんでも作れるじゃないですか。常識に反したものまで」

「ふっ、俺の未元物質に常識は通用しねえ」

「自分もお世話になってます」

 黙っていた心理定規が口を挟む。

「わっか君、次、変なことに帝督巻き込んだら、クビよ?」

「……勘弁して下さい、ちょっとしたお茶目じゃないスか」

「アレは立派な変態行為よ」

「ちょ、ちょっと、自分は変態じゃないッスよ」

「変態」

「よぉ変態」
791: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:32:00.12 ID:FuQsLJ9Bo
 
「垣根さんまで!? いやいや、俺は変態じゃないでしょ、ほらほら、>>776さんだって認めてくれてますよ!!」

>>除去された変態性は査楽、絶対等速、佐天涙子に移り、

「ね? 絶対等速と死角移動と佐天涙子だけですよ?」

「それは、お前の影が薄いから忘れられただろだろ」

「そうね。帝督の言うとおりだと思うわ」

「ひでぇ……」

「で、君は何が聞きたいの?」

「いや、しょうもない好奇心なんスけどね?」

 わっか君の疑問を聞いた心理定規は、珍しく感心したような表情に。
 そして垣根も、軽く首を傾げている。

 未元物質垣根帝督が、その能力で一番最初に作ったものは何か?
 それがわっか君の好奇心だった。

「考えたこともなかったわ」

 心理定規が垣根に目を向ける。

「……最初に、か……」

 垣根は既に何かを思い出しているのか、その表情は妙に優しい。

「……」

「帝督?」

「垣根さん?」

「……ああ、最初に作ったのは……」
792: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:32:38.62 ID:FuQsLJ9Bo
 
 
 
 
 ――やめるわ、ここ

 ――は? しょ、所長?

 ――辞めるっつってんだよ
 ――こんなくそったれな、ゴミためみてえな研究所は辞めてやるっつってんだよ

 ――し、しかしですね

 ――あの餓鬼が何つくったか見てねえのか?

 ――かぶとむしと冷蔵庫って聞きましたけど

 ――バカヤロー、あれは、あいつなりの「おとうさん」と「おかあさん」なんだよ

 ――は?

 ――そんなイメージしかねえんだよ。ここにいるかぎり、そうなっちまうんだよ 
 ――だから辞めるんだよ
 ――ここのツートップ……かぶとむし作った餓鬼と、反射膜作った餓鬼は俺が連れて行くからな

 ――無茶ですよ! 上から睨まれますって
 
 ――知るかっ

 ――二人は無理ですが、しかし!!

 ――あん?

 ――……一人なら、誤魔化せるかも知れませんよ

 ――なに?

 ――木原さんが一人、私が一人なら。何とかなるかも知れません

 ――てめぇ……

 ――捕まっても、一人は逃がせますよ

 ――てめえ、バカだろ

 ――それはもう、木原さんの助手ですから。あ、逃げ切ったら、所長特製のプリン、食べさせてくださいね

 ――食べ放題だ、絶対食いに来いよ 


793: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:33:28.97 ID:FuQsLJ9Bo
 
「最初に作ったのは、かぶとむし。その次に作ったのは冷蔵庫だ」

「は?」

「え?」

 顔を見合わせるわっか君と心理定規。
 垣根に冗談を言っている様子はない。それどころか、普段滅多に見ない真面目な顔だ。

「かぶとむしって……あのかぶとむし?」

「冷蔵庫? 食べ物とかを冷やして保存する冷蔵庫?」

「そうだ」

「なんでまた、かぶとむしなんて……」

「強くて大きくて格好いいからだ」

「じゃあ、冷蔵庫は」

「美味しいご飯が入ってる」

 なにそれ、と言いかけて心理定規は口を閉じた。
 彼女の能力だからこそわかること。
 垣根帝督は、その二つに対して肉親相手への情愛と同じ心理距離を持っている、という事実。

「強くて大きく格好いい……美味しいご飯……」

 わっか君は照れたように言葉を続けた。

「ははっ、なんか、俺らが餓鬼の頃に見た、親父とお袋みたいッスね」

 垣根は一瞬驚いたように目を見開くと、次いで笑った。
 心理定規もわっか君も初めて見る、開けっぴろげで無防備な笑みがそこにあった。

「そうだよな。ああ、まったく、その通りだよな」
794: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:34:01.26 ID:FuQsLJ9Bo

 
 
  
 
 ――あ……
 
 ――抵抗はやめとけ

 ――なんで……こんな早く……まだ、研究所から出てもないのに……

 ――とっくに監視されてたんだよ。ほら、今なら減俸で許してくれるってよ
 ――それか、所長の逃げた先に心当たりあるならさっさと吐け
 ――あ、いや、今となっちゃあ元所長か

 ――この子は、渡さない

 ――あー、そういうの、要らないんで
 ――とっとしろや。女痛めつけるのは、こう見えても趣味じゃないんだよ

 ――た、隊長!! 

 ――あ? 何慌ててやがる? 抵抗した奴はいいから撃て……って、なんじゃそりゃああああ!!? ぐっがぁぁああ!!

 ――……かぶと……むし?

 ――帝督を助けてやってください
 
 ――え? 冷蔵庫?
 ――いや、違う、貴方達は……
 
 ――息子をお願いします

 ――隊長!? くそっ! 裏に回った連中を呼べ!! 木原はもういい! 目の前のこいつを捕まえろ! 邪魔する奴は殺せぇ!!

 ――この中に、早く!

 ――しかし、貴方達は

 ――息子を、お願いします
 
 
 
 
795: 「かぶとむしですの」 2013/03/04(月) 00:34:31.07 ID:FuQsLJ9Bo
 
 
 気がつくと、閉じこめられていた。
 
 泣きながら転げ出て、今まで自分のいたところが冷蔵庫の中だと気付いた。
 扉を開いて帝督を吐き出した冷蔵庫は傷だらけで、それでも敢然と立っていた。
 そして、冷蔵庫の前には同じく傷だらけのかぶとむしが、ピクリとも動かずに転がっていた。

「すまない……すまない……」

 一緒に冷蔵庫の中にいた女の人が泣いていた。
 見覚えのあるかぶとむしと見覚えのある冷蔵庫。

 垣根帝督は生まれて初めて、泣いた。

 それからもう二度と、泣かなかった。

 少なくとも、あと十五分は泣かない。

 黒子が、懐かしいかぶとむしと冷蔵庫を案内してくるまでは。





 未元物質に常識は通用しないのだ。

796: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/04(月) 00:35:42.31 ID:FuQsLJ9Bo
以上、お粗末様でした


 おー、ようやく800か


 感想などあれば、レス下さると嬉しいです。

 では、また。
806: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:32:47.33 ID:NGwKvEm2o

さて、今回はサブタイトル無しで行こうと思います。

理由は最後に。
807: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:33:28.33 ID:NGwKvEm2o
 
 後でお買い物に行きますの
 明日は、調理実習がありますの

 携帯電話から相手に話しかけているのは白井黒子。

 それでは、お買い物前に伺いますの
 今からですの

 電話相手に現在位置を告げた黒子は、ふと前方に目をやった。

 !

 黒子のはるか前方、歩道橋から荷物を抱えて降りてくるのは上条当麻。
 その手には同じくスーパーマーケットの買い物袋。スーパー玉○学園都市店の袋である。 
 因みに、黒子が行く予定なのは成○石井学園都市店。
 これが貧富の差。レベル0とレベル4の差。上条当麻と白井黒子の生活レベルの差なのだ。


808: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:33:55.58 ID:NGwKvEm2o
 
 バーゲンセールに勝利でもしたのか、上条の足取りは軽い。
 両手に抱えた大きな荷物を軽々と持っている。
 と、その瞬間、上条は躓いた。
 荷物の一番上に置かれた缶詰が宙に浮く。
 缶詰はシーチキン。海鶏ことシーチキン。マグロorカツオの正体を隠匿しつつもチキンを名乗る謎の缶詰である。
 宙に浮いた缶詰を掴もうとした上条の手元が狂い、缶詰をさらに弾き飛ばしたような結果となってしまう。
 そして、シーチキンは飛んだ。
 クルクルと回転しながら飛んでいくシーチキン。銀色の輝きが目に眩しい。
 後を追って宙に舞う上条。買い物袋を左手一本で持ち直し、右手を伸ばして全力ジャンプで横っ飛びである。
 伸ばした腕がシーチキンをキャッチ。

「取った!」

 叫んだはいいけれど、上条の身体は空中に位置している。そして上条は無能力者。
 予想される落下点には、いつの間に現れたのか、女性が一人。
 ロングヘアに隙のないビジネススーツとハイヒール。いかにも仕事の出来る女性のスタイルだ。

……拙い!

 このまま女性にぶつかるのは危ない。無傷で済むとは思えない。自分は自業自得でいいとしても、女性を傷つけるわけにはいかない。
 それが上条クオリティ。
 不幸は自分のもの。他人に及ばすものではない!
 その上条の視界に入る街路樹の枝。枝を掴めば女性にぶつかることは避けられそうだ。しかし、両腕は買い物袋とシーチキンで塞がれている。
 
809: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:34:22.29 ID:NGwKvEm2o
 
 上条の決断は早かった。

 再び宙に飛ぶシーチキン。さらばシーチキン。
 シーチキンを手放し、街路樹の枝を掴んだ……ら、買い物袋が限界突破して破けた。

「ふ、不幸だーーーーーっ!!!」

 どんな力学の成果か、車道側へと飛ばされた買い物袋はどさりと転がり、そしてあっけなく車に轢かれた。
 だがしかし。
 だがしかし!
 女性への激突は避けられた。女性一人を救うことは出来たのだ!
 上条は自分に言い聞かせると、女性の無事を確認しようと目を向ける。

 無事ですの

 声は上条の背後から。
 そこには、女性をテレポで避難させた黒子の姿。

「あれ?」

 上条は悟った。
 シーチキンと買い物袋の犠牲は全くの無駄であったと。
 上条が何もしなくても、黒子のテレポで逃げ切れたのだと。
810: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:34:48.24 ID:NGwKvEm2o
 
「ふ……」

 不幸ですの

 黒子の言葉と同時に枝が折れて上条は落下する。

「おうっ」

 強く打った腰をさすりながら立ち上がり、未練がましく路上に散った食料品を眺める。

「ああ……一週間分の買いだめが……」

 ご愁傷様ですの

 実際、上条は不幸と言うよりは不運だ。
 少なくとも、今の学園都市では不幸ではない。
 上条の不運体質は、その幻想殺しと共に知る人ぞ知るレアスキルとして認識されているのだ。
 カテゴリーとしては無能力者だが、レベル5一同には半ば仲間として認められているのだから。

「また愉快なことやってんのか」

 だからこそ、こうやって気軽に声もかけられる。
 声をかけたのは垣根帝督。

「相変わらず、貧乏くせえな」

「ひでぇな、おい」
811: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:35:15.80 ID:NGwKvEm2o
 
 知り合いの声に顔を向けた上条の動きが止まる。

「どうした? 変な顔して」

 変な顔と言われても。
 これは仕方ないだろ、と上条は思う。

「なに、それ」

「あ?」

 垣根は足元を見る。
 足下は白い。白いは甲殻。甲殻はカブトムシの表皮。

「なんでカブトムシに乗ってるんでせう?」

「ああ、上条は初めてだったか」

 カブトムシから降りると、胸を張ってカブトムシに手を伸ばす。

「紹介しよう、親父だ」

「」
812: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:35:42.37 ID:NGwKvEm2o
 
「驚く気持ちはわかるが」

 お袋だともっとビックリするぞ、とは垣根も言わない。

「白井は知ってるんだよな」

 お久しぶりですの

 頭を下げる黒子、その頭上から、

「誰かと思えば、幻想殺しと未元物質か」

 黒子の脇の女性の言葉に、三人がギョッとした視線を向ける。
 一歩離れて身構える黒子。

 どなたですの?

「空間移動。私の声に聞き覚えは?」

「……てめぇ」

 垣根が未元物質展開の準備を整え、上条が拳を握った。
813: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:36:09.34 ID:NGwKvEm2o
 
 あ

 黒子が突然頷いた。
 女性の声に気付いたのだ。
 機器を介していたので少し違って聞こえていたけれど、これは紛れもなく、ついさっきまで携帯電話で話していた相手ではないだろうか。

「気付いたかね、空間移動」

 アレイスター様ですの?

「うむ」

「はいぃぃっ!?」

 叫ぶ上条。
 アレイスターって。
 学園都市統括理事長のアレイスター?
 思わず垣根を見る上条。

「……アレイスターの名前を詐称するぶっ飛び馬鹿がいるとも思えねえが……」

 いや、それ以前に。
 
814: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 00:36:36.13 ID:NGwKvEm2o
 
「……なんでOLの格好なんだよ!」

「性別など、些少な事象に過ぎないと言うことだ」

「趣味か? 趣味なのか?」

「……」

「シカトしやがった、むかつくな、こいつ」

 趣味ですの?

「うむ」

「白井には返事するのか」

「必要以上に男と語る舌などない」

「最低だ、こいつ」

 似合っているのが余計に腹立たしい。
815: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:37:02.44 ID:NGwKvEm2o
 
「では、行こうか、空間移動」

 はい、ですの

「え?」

「白井? アレイスター、てめえ、何を」

 アレイスターが黒子になにやら耳打ちすると、二人の姿は消える。
 黒子のテレポートだが……

「……野郎、白井の力底上げしやがったな?」

 普段の黒子の限界距離ならば、垣根の未元物質で追えない距離ではないのだ。
 携帯電話を取り出す上条。

「垣根、御坂以外のレベル5に連絡頼む」

「ああ」
 
 
 
 
 



816: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:37:28.68 ID:NGwKvEm2o
 
 
 
 
 
 その夜、普通に寮へと帰ってくる黒子。
 門限には十分間に合う時間なので、咎められる筋合いではない。

 ただいま帰りましたの

「黒子?」

「黒子ちゃん?」

「心配したかも」

 出迎えたのは美琴、食蜂、インデックスの三人だ。
 三人のただならぬ様子にキョトンとしている黒子。

 逆に三人は、普段と全く変わりない黒子の様子に気勢を削がれている。

 考えてみれば、別に黒子は連れ去られたわけでもない。

「いや、女装趣味の若作りなオッサンについていったって、十分アレだろ」

 その翌日、美琴をはじめとする主だった者の集まる席で、垣根は真顔でそう言った。
 頷く上条。
 そんなものかと首を傾げる美琴と食蜂。
817: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:37:55.83 ID:NGwKvEm2o
 
「女装力とロリコン力の統括理事長さんねぇ……」

「ロリコン……」

「おィ、今俺を見ただろォ!?」

「話は変わるが打ち止め元気か?」

「よォし、戦争と行こォか、垣根くゥン」

 いつものような一方通行と垣根のじゃれ合いが始まったところで、麦野が美琴に尋ねる。

「白井に聞いてみれば? 美琴が聞けば素直に答えるでしょう、あの子」

「それが……」

「美琴?」

「内緒だって」

「え?」

818: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:38:22.10 ID:NGwKvEm2o
 
「統括理事長にあったことは認めたけれど、何をしていたのか聞いたら、『お姉さまには内緒ですの』だって……」

 美琴は既に涙目である。

「あの子、私に内緒するようになっちゃた……どうしよう……麦野さん……」 

「……えーと……」

「黒子が……黒子が悪い子になっちゃった……」

 ついに泣き出す美琴。助けを求めるように辺りを見回す麦野。

「ショックよね。御坂さん」

 垣根についてきた心理定規が言うが、麦野にはピンと来ない話だった。

「だけど、白井だって隠し事の一つや二つ……」

「麦野さん、想像してみなさい」

「なにを?」

819: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:38:51.30 ID:NGwKvEm2o
 
「……食蜂さん、お願い」

 心理定規に並ぶ食蜂。

「麦野さん、ちょっと想像力足りないかしらぁ? えいっ」

 構えたリモコンの先から迸る心理掌握の力。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ちょっとアンタ達、何やってんのよ」

「麦野には秘密って訳よ」

「むぎのには内緒」

「だいたい内緒、にゃあ」

「フレンダ? 滝壺? フレメア? アンタ達ねぇ……。あ、絹旗、アンタは……」

「麦野には超内緒です」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「絹旗が!! 絹旗が悪い子にぃ……」

「あ、麦野さん泣いちゃった……」
820: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:39:23.80 ID:NGwKvEm2o
 
「何やってンだ……お前ら……」

「えいっ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あなたには内緒だって、ミサカはミサカはプライバシー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「打ち止めァああああっ!!!」

 レベル5の三人が大泣きしているという地獄絵図が爆誕した。

「これが学園都市の誇る超能力者かい……」

「ステイルの言うとおりです。もう少し自分というものをしっかりと……」

「えいっ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ステイルとかおりには内緒なんだよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「インデックスううう!!」

「う~ううう、あんまりだ……HEEEEYYYY! あんまりだアアアア!」

821: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:39:59.54 ID:NGwKvEm2o
 
 ルーンの天才と聖人も泣いた。聖人の泣き方は何かおかしい。
 阿鼻叫喚である。

 どうしよう、楽しくなってきちゃった。と食蜂は心の底から思う。

「えいっ」

 犠牲者がそこから二人増えたところで、さすがに削板が止めたという。
 そして泣き終わって、泣き腫らした顔をどうにか戻すまで一時間。
 翌日の作戦会議で一時間。
 結局は、三時間弱にわたる会議だった。

 そして、翌日。
 窓のないビルでは……

「いいのか? アレイスター」

「何のことかな?」

 カプセルの中に浮かんだアレイスターと話しているのは上条のクラスメート土御門元春である。
 いや、今の土御門は上条のクラスメートではない。
 アレイスター直轄の「グループ」のリーダーである。
822: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:40:25.53 ID:NGwKvEm2o
 
「白井黒子のことだ。嗅ぎ回っているようだが?」

「構わん。あとしばらくの間の話だ」

「嗅ぎつけるより先にお役御免、というわけか」

「そういうことだ。白井黒子以外はどうだ?」

「布束砥信、雲川芹亜、木原那由他、枝先絆理、妹達、 姫神秋沙、ショチトル、トチトリ。そして、土御門舞夏」

 指を折りつつ名をあげる。

「今のところは皆、平穏無事だな」
 
「プラン通りだよ」

「なら、俺は現場に行かせて……」

 二人の間に突然現れる別の一人。
 結標淡希であった。

「どうした? 時間にはまだ早いが」

 窓も入口もないビルへの案内人として最近雇われるようになった結標である。ここへ土御門を運んだのも結標だ。

「それどころじゃないわ。嗅ぎつけられたみたいよ、あんたたちのやってること」
823: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:40:53.04 ID:NGwKvEm2o
 
「なに?」

 アレイスターが手を動かすと、何もなかった壁面にモニターが現れる。そこに映されているのは外の様子。
 そこには、レベル5の面々と魔術師、聖人が集まっていた。

「なにこれ」

「ふむ。音声を拾ってみるか」

 アレイスターが再びなにやら操作すると、今度はスピーカーが現れる。

『ここに黒子が入ったの?』

『死角移動にストーカーさせたンだ、間違いねェよ』

『許すまじ理事長』

『黒子誘拐! 理事長はロリコンだった』

『どうやって中に入るべきか……』

「凄いことになってるにゃー」

「これ、デマよね?」

「君たちには私がロリコンに見えるのかね」

「……」
824: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:41:21.71 ID:NGwKvEm2o
 
「よくわかった」

 因みに外では……

「まあ、とにかく、なんとかしてビルに入って」

 と絶句した麦野の視線を追う一同。
 そして同じく絶句する。

 いつの間にかビル周辺に等間隔で並んでいる、重機を人型に再構成したような機械たち。
 そのうち一台が集団に向き直る。

「なにあれ」

 食蜂がようやく呟いた瞬間。

 きゅいん
 音と高密度の衝撃が同時に走る。

「あァン!?」

 一方通行の手前で反射される砲撃。
825: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:41:47.24 ID:NGwKvEm2o
 
「今のって……」

 美琴の呟きに、一方通行は頷いて続ける。

「おィおィ、超電磁砲ですかァ?」

 動き出す別の一台から放たれる一条の輝き。立ちはだかる垣根。
 展開される未元物質が、原子崩しの光条をせき止めていた。

「洒落んなってねえな、こいつは……」

 麦野がゆらりと動き、構える。

「猿まねかよっ!」

 真の原子崩しがまた別の一台を貫いたかのように見える。だが、それも一瞬の幻覚。
 機体表面で弾かれる原子崩しは、宙へと虚しく駆け上っていく。

「今の……」

「ベクトル反射ねぇ……」
826: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:42:14.97 ID:NGwKvEm2o

「まさかこいつら」

 AI搭載駆動鎧〝MODEL LEVEL5〟

「なにあれ」

 ビル内部では、モニターを見ながら三人が会話を続けている。

「護衛用に作ってみたんだがね。どうやら暴走しているようだ」

「止めなくていいのか?」

「必要があるかね? 本物相手に」

「……高くつくと思うぞ」

「子供達の成長とは、心躍る情景じゃないか」

「言ってろ。俺は先に現場に行くぜよ」

「土御門」

「ん?」

「私はオムライスを頼む」

「んー」
827: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:42:56.79 ID:NGwKvEm2o
 
 ――十分後


「Finally, お帰りなさいませ、ご主人様」

「ただいま満席。こちらにお名前を書いてほしい。空席が出来たら。呼ぶから」

 ビルに突入した一同は、地下にあるメイド喫茶の前で呆然と突っ立っていた。
 店内には、必死で笑いを堪えている土御門が見えている。

 先にメニューをご覧下さいまし

「……黒子?」

 違いますの

「白井?」

 違いますの
 謎のメイド喫茶店員ですの

「いや、どうみても黒子ちゃん」

 統括理事長直営会員制メイド喫茶の一店員ですの

「何やってンだ、あいつ」

 お仕事中ですの
 失礼しますの

828: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:43:23.63 ID:NGwKvEm2o
 
「あ、御坂も来たのかー」

「舞夏? ここって」

「ん? 見ての通り、会員制メイド喫茶だぞ」

「会員制……」

「別にいかがわしい店じゃないからなー。普通のメイド喫茶だぞ。店員は各界選りすぐりだけどな」

「黒子が……」

「あー、あの子は、短期バイトしたお金でプレゼントを買いたいって言ってたぞ。奨学金じゃなくて、自分の働いたお金で買いたいって」

 舞夏の目が悪戯っぽく輝いた。

「そういえば、御坂の誕生日も近いなー」

 ぽん、と真っ赤になる美琴。

「あー、あんたはここにいなかった」

 麦野が美琴の肩に手を置いた。

「今日ここに来たのは私ら七人だけ。美琴はここには来なかった。それでどう?」
829: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:44:21.43 ID:NGwKvEm2o
 
 
 三日後。
 美琴は黒子からの誕生日プレゼントを受け取りました。

 その後、黒子の誕生日の一ヶ月前、メイド喫茶は新人を短期で一人雇ったそうです。 

 
830: ◆NOC.S1z/i2 2013/03/25(月) 00:51:29.62 ID:NGwKvEm2o
以上お粗末様でした


 今回のタイトルは
  「最終回ですの」

 というわけで一年以上もの間、お付き合いいただきましたが、これにて

 『黒子「じゃっじめんと、ですの」』

 終了とさせていただきます。

 また何か書くかも知れませんが、その時はよろしくお願いします。

因みに、禁書関係では

「インデックスの思い出」  

「ミサカとミカサ」

「ミサカの日々」

「ミサカの卵」 (以上、禁書総合スレ)

一方「俺にその資格があるとでも?」

なども書いてました。良かったら読んでやってください。

それでは、ありがとうございました。


html依頼は、3月最終日にします
839: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/25(月) 22:16:20.25 ID:FtSKyAXe0
楽しませてもらったぜー
プチイノケンペロペロ
841: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/29(金) 14:02:02.55 ID:nDg789XAO
お疲れ様でした
もうこれ本編で良いんじゃないかな

あと中二美琴ネタを取り扱っていただきありがとうございました

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