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1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:00:47.322 ID:2TgV18p20
親分「このままじゃいかーん!!!」

子分A(まーた始まった……)

子分B(親分は酔うといつもこれっすからねえ……)

親分「このところ、俺たちの活動規模はどんどん縮小するばかりだ!」

親分「もっと活発に山賊っぽいことやって、存在感を示さねえと消滅しちまう!」

子分A「だけど、今の国王は徹底的に賊を討伐すると公言してますし……」

子分A「あまり騒ぎ起こして、騎士団が乗り込んできたら一巻の終わりですぜ」

子分B「今や山賊なんて、俺たちしか残ってないっすからねえ」

子分B「ある意味、王様のおかげで弱小の俺らが生き残れた部分もあるっすけど」

子分A「せっかくスルーされてるんですから、これからも細々やってった方が……」

親分「ええい、黙れ黙れ黙れぇっ!」
2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:04:13.267 ID:2TgV18p20
親分「こないだ、この山を旅人が通りがかったから、通せんぼして通行料を要求したら……」

旅人『あ、今もこういうのあるんだ~! いいですよ、払います払います!』

親分「なんて笑顔で言われちまったんだぞ!」

親分「それとふもとの村に金をもらいに行ったら……」

村長『今のご時世、山賊も大変じゃろう。ほら、ちょっと多めに持ってけ』

親分「って大金もらっちゃって……おかげで今年は無事冬を越せそうだ」

子分A「よかったじゃないですか」

子分B「村長さんいい人っすからねえ」

親分「まったくだ……ってこれじゃダメなんだよ!」

親分「山賊ってのは珍しがられたり同情されたら終わりなんだ!」

親分「恐れられる存在でなきゃならねえんだよ!」
4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:07:23.726 ID:2TgV18p20
親分「俺が若い頃なんざ、そりゃもう恐れられて……」

妻「誰が恐れられたって?」

親分「え」

妻「さっきから聞いてりゃ、酔っ払って子分にくだ巻いてみっともないったらありゃしない!」

妻「他の山賊と争っては負けてばかりで、いつもメソメソ泣いてたのはどこの誰だっけ?」

親分「す、すみません……」

子分A(おかみさんこえ~)

子分B(親分よりおかみさんのがずっと怖いっす!)
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:10:09.831 ID:2TgV18p20
子分A「さっきはおかみさんのおかげで助かったぜ」

子分B「ああなると朝まで説教コースっすからね」

子分A「だがよ、たしかにこのままじゃ俺たちの生活は立ち行かなくなる」

子分B「そうっすね」

子分A「それに親分とおかみさんは行き場のない俺たちを拾ってくれた人……なんとか恩返しをしたい」

子分B「その通りっす!」

子分A「よし、明日山を下りて、色々と情報収集してみようぜ!」

子分B「おうっす!」
6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:13:23.408 ID:2TgV18p20
次の日の夜――

―山賊のアジト―

子分A「親分!」

親分「あ、お前ら今日どこに行ってやがったんだ! 一緒にイノシシ狩りしようと思ったのに」

子分A「こいつと一緒に山を下りて、なにかいい儲け話がないか情報収集してたんです」

親分「お前たち……!」ジーン

子分A「感動するの早いです。そしたら、とんでもないことになってて……なぁ?」

子分B「そうっす!」

親分「どうしたんだよ」

子分B「なんと、巷じゃ海賊が大人気になってたんす!」

親分「なんだとぉ!?」
7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:16:51.700 ID:2TgV18p20
親分「なんで!? なんで海賊!?」

親分「この国ってそもそも海ないじゃん! 海賊なんかいないだろ! おかしいだろ!」

子分A「それが……あいつら陸でも色々やるようになったみたいで」

子分B「ちょっとした海賊ブームなんてのが起こってるんすよ」

親分「くっ……俺たち山賊は消滅寸前なのに、海賊はブームになるなんて許せん!」

親分「分かった、明日は俺も行くぞ!」

親分「なんで海賊が人気なのか、この目で見極めてやる!」

子分A「あ、親分はお尋ね者なんで、一応変装して下さいね」
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:17:51.884 ID:txyTaPqHr
きっとゴム人間が…
10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:20:14.154 ID:2TgV18p20
次の日――

―町―

親分「町なんて久々に来たな……。で、海賊はどこにいるんだ?」

子分A「今日はパイレーツショーってのをやるみたいです」

子分B「もうすでに町民が大勢集まってるっす!」


ザワザワ… ガヤガヤ…


親分「若い女も多いな……いいなぁ。って今のアイツにいうなよ! 殺されちまう!」

子分A「言いませんよ」

親分「海賊のショーがどんなもんか見極めてやる! 行くぞ!」

子分A「へい!」

子分B「おうっす!」
11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:23:19.976 ID:2TgV18p20
パイレーツショーが始まった。

船長「みんな、よく集まってくれた!」

船長「今日も七つの海を駆けめぐった、俺たちの冒険ストーリーを聞いてくれ!」

ワァァァ……



親分「あいつが海賊どものボスか。派手な格好しやがって……」

子分B「華やかでスマートで、俺たちとは大違いっすねえ」

親分「うるせえ!」ゴンッ

子分B「いだいっ!」
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:26:19.066 ID:2TgV18p20
船長「……その時、敵船が近づいてきて俺たちの船に乗り込んできた!」

船長「俺たちはもちろん剣を持って応戦する!」

船長「戦いが始まったァ!」



子分A「いったいどうなっちまうんだ……!?」ワクワク

子分B「気になるっすねえ……」ドキドキ

親分「おい、お前ら」ギロッ

子分A「あ、海賊なんかの話に聞き入っちゃってすいませ……」

親分「聞こえなくなるから、喋るな」

子分A(親分も聞き入ってた……)
13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:29:34.000 ID:2TgV18p20
船長「ここからは我が船自慢の戦闘員に、戦闘を再現してもらおう」

部下「……」ジャキッ

部下「参る」ヒュルルルルッ

シュバッ ヒュバッ ヒュルルンッ

オオ~……!



子分A「あいつ、すげえ剣さばきだ……!」

子分B「かっこいいっす……」

親分「ふん、俺だってあれぐらい」

子分B「親分は棍棒じゃないっすか」

親分「うるさい」
15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:32:50.255 ID:2TgV18p20
ショーが終わり――

船長「さあさあ、海賊グッズの販売を行うよ~!」

部下「バンダナは100G、海賊シャツは500G、剣のレプリカは一振り1000Gだ」

ワイワイ… ガヤガヤ…



親分「物販までやってやがる!」

子分A「飛ぶように売れてますぜ」

子分B「羨ましいっす……」

親分(なんでだ? 海賊の何が皆をこうまで引きつけるんだ……?)
16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:35:17.405 ID:2TgV18p20
親分「おい、お前!」

市民「な、なんだよ」

親分「海賊のどこがいいんだ? あんな連中、しょせん海の荒くれ者じゃねえか」

市民「そりゃあ決まってんだろ?」

市民「大海原を船で駆け、波や嵐をくぐり抜け、色んな島を冒険して、他の海賊と戦い、宝を探し……」

市民「存在そのものにロマンがあるんだよ」

親分「ロマン……か」
17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:38:33.799 ID:2TgV18p20
親分「じゃあ、山賊はどうだ? どういうイメージを持ってる?」

市民「山賊ゥ?」

市民「一言でいうと、ダサイね」

親分「ダサ……!」

市民「やることといえば、旅人を襲ったり、町や村を襲撃したり、海賊に比べるとなんのロマンもない」

市民「ずっと山に引きこもってるから、体は臭そうだし、頭は悪そうだし、ろくなイメージもない」

市民「会ったことないけど、きっとこんな風に笑うんじゃない? ゲハハハハとか。グヒヒヒヒとか」

親分「な、な、な、なんだとぉ!?」ガシッ

市民「うわっ!」

子分A「ちょっ!」

子分B「ダメっすよ!」
19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:41:26.903 ID:2TgV18p20
親分「はなせぇ! はなせぇぇぇ!」ズルズル…

親分「なんで海賊ばかり人気が出るんだよぉぉぉぉぉ!!!」ズルズル…

子分A「さ、こっちへ!」

子分B「失礼しましたっす!」

ズルズル…



市民「なんだったんだ……?」
21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:45:19.710 ID:2TgV18p20
―山賊のアジト―

親分「……」

子分A「親分……」

子分B「ずっと考え込んでるっす……」

親分「よし、決めた!」

子分A「何をですか?」

親分「俺は……あの船長と勝負する!」

子分AB「え!?」

親分「山賊と海賊、どっちが優れてるか決着をつけてやる!」

子分B「なんか勝手にライバル視してるっすけど……」ヒソヒソ

子分A「とりあえず、やらせてやれ」ヒソヒソ
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:47:22.781 ID:2TgV18p20
―町―

ワイワイ… ガヤガヤ…



子分A「あいつら、またここで海賊ショーをやるみたいですぜ」

子分B「行きましょうっす!」

親分「おう」
23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:50:11.542 ID:2TgV18p20
ワイワイ…

船長「今日はある島で、悪い海賊団と戦った時の話をしよう!」

ワァァァァ…

親分「ちょっと待てい!」

船長「誰だお前は?」

親分「俺はこの近辺の山を支配してる山賊だ」

ザワッ…

子分A「“支配”なんて大それたもんでもねえけど」

子分B「まあ、ここはカマしとくのが大事っすから」
24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:53:24.840 ID:2TgV18p20
船長「ああ、聞いたことがある。一度会いたかったんだ」

親分「えっ、ウソ!」ドキッ

親分(俺そんなにメジャーだったのか……)ドキドキ

船長「このあたりに、時代遅れにも未だに山賊をやってるマヌケ集団がいるってな」

親分「な、なんだとォ!?」

船長「山賊なんてはっきりいってイメージ最低だろ」

船長「野蛮で、下品で、不潔で、奪ったり襲ったりしか能がない……畜生以下の存在だ」

船長「この国にはもうほとんどいないらしいし、滅びゆく運命にあるんだよ、貴様らは」

親分「いわせておけばァ!」
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 18:56:26.733 ID:2TgV18p20
船長「じゃあ聞くが、貴様になにか輝かしい武勇伝はあるのか?」

親分「!」

船長「たとえば俺はある王国から依頼を受け、海戦に参加し、敵国の船を次々に襲撃して」

船長「その国の王直々に感謝された、なんてことがある」

船長「貴様らにそういうのがあるのか? どうせどこぞの村を襲った、とかそんなんばかりだろ?」

親分「……」

子分A(国から感謝って、んなもんあるわけねえ!)

子分B(終わったっす……)

親分「一つだけ……ある」

船長「ほう?」

子分A「え!?」

子分B「あるんすか!?」
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:00:38.457 ID:2TgV18p20
親分「もうだいぶ昔の話だが、この国の王がまだ幼い王子だった頃……」

親分「狩りかなにかの最中、俺の山で迷子になっちまってな」

親分「その王子が山の熊に襲われそうになってる時――」



王子『た、助けて……』

熊『ガアアアアアアッ!』

親分『なにやってやがる!』ボコッ



親分「俺が棍棒片手に乱入して、熊の頭をブン殴って、王子を助けたんだ!」
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:02:17.746 ID:2TgV18p20
王子『ありがとう……』

親分『おめえ、王子か? 山を舐めちゃいけねえぜ。さ、俺が安全なところまで送ってやる!』

王子『う、うん……』



親分「で、家来のもとに送り届けて、めでたしめでたし!」

親分「どうよ!」

船長「……」

子分A「あの、親分……」

子分B「それだけっすか?」

親分「うん、これだけ」
30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:05:13.027 ID:2TgV18p20
船長「……フッ」

親分「あ、笑ったな! なにがおかしいんだよ!」

船長「アッハッハッハッハッハ!」

船長「唯一の武勇伝が、山で熊から王子を守りましたって……とんだお笑い種だな!」

船長「海にはサメやシャチと、熊より恐ろしいのがいっぱいいるよ!」

親分「うぐぐぐ……こうなったら力ずくだぁっ! 海賊、俺と腕比べしやがれぇ!」

船長「いいだろう」

子分A「あーあ……」

子分B「結局こうなっちゃうっすね」
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:08:35.934 ID:2TgV18p20
船長「任せたぞ。適当に相手してやれ」

部下「はい」

親分「部下にやらせるだとォ!? 舐めやがって!」

親分「でやぁぁぁっ!」ブオンッ

部下「……」サッ

ガキィンッ!

親分「うお! 俺の一撃を受け止めやがった……!」
32: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:10:18.371 ID:2TgV18p20
親分「うおおおっ! ぬおおおっ! があああっ!」ブンブンブンッ

部下「……」サッサッサッ



子分A「親分の攻撃が全然当たんねえ! 見切られてる!」



部下「こちらから行くぞ」シュバッ

親分「ひゃっ!」



子分B「ひええ、鋭すぎるっす!」

ワァァァァ…
34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:13:17.202 ID:2TgV18p20
――キィンッ! ボトッ

親分「ああっ、俺の棍棒……!」

部下「私の勝ちだ」チャキッ

親分「ぐ……!」



ワァァァァァ…

子分A「親分だってあれで結構強いのに、あいつ強すぎだろ……」

子分B「あの剣さばき、騎士団とかでも通用するっすよ、きっと」
35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:16:31.376 ID:2TgV18p20
船長「野蛮で下品で、華々しい武勇伝もなく、頼みの力ずくでも負ける……」

船長「どうしようもないな、山賊ってのは」

親分「ぐぅぅ……!」

船長「同じ賊同士、せめて忠告ぐらいしといてやろう」

船長「これからの時代、山に生きる山賊にいったい何ができるか……せいぜいよく考えることだ」

船長「それができなきゃ、貴様らは消えるしかない」

親分「……」

子分A「親分!」

子分B「親分!」
38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:20:20.373 ID:2TgV18p20
―山賊のアジト―

子分A「親分、あまり落ち込まないで下せえ」

子分B「そうっすよ!」

親分「落ち込んでなんかいねえよ」

子分A「え?」

親分「悔しいけど考えてるんだよ。山賊がこれからの時代、どうしたら生き残れるかって」

親分「あの海賊どもがショーなんてやってるのも、きっと考えた末の決断だろうからな」

親分「何とかして……お前らを食わせてやらなきゃならねえ」

子分AB「お、親分……!」ジーン
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:31:13.168 ID:2TgV18p20
妻「まあまあ、こういう時はメシをどんどん食べな! 食べて元気出さなきゃ!」ドカッ

親分「おう」

子分AB「いただきます!」

パクパク… モグモグ…

子分A「いやー、相変わらずおかみさんのメシはうまい!」

子分B「山の幸をパーフェクトに生かし切ってるっす!」

妻「フフッ、ありがとうね」

親分「……」

親分「これだ!」

妻「どうしたんだい、いきなり」
40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:32:44.585 ID:2TgV18p20
親分「お前のメシ……これは客を呼べる!」

親分「店を開こう!」

妻「ええっ!?」

子分A「あ、それいい!」

子分B「賛成っす!」

妻「だけど、店を開くったって、資金はどうすんだい?」

親分「建物なら俺らで作ればいいし、メシの材料もこの山で手に入れればタダだ!」

親分「この山は動物も植物も豊富だからなぁ!」

妻「あんたにしちゃ冴えてるじゃないか!」

親分「よーし、やるぞお前ら!」

子分A「へい!」

子分B「おうっす!」
41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:34:53.322 ID:2TgV18p20
―飯屋≪バンデッド≫―

親分「よっしゃ、できた!」

子分A「俺ら大工としてもやってけるかもしれませんね」

子分B「なかなかかっこいい店が出来たっす!」

妻「さてと、あたしは料理をするから、あんたらは宣伝を頼むよ」

親分「おう、任せとけ! 町へ行くぞお前ら!」

子分A「へい!」

子分B「おうっす!」
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:37:22.770 ID:2TgV18p20
親分「さあ、いらっしゃい! いらっしゃい!」

子分A「山賊がなんとメシ屋をオープンしたよ!」

子分B「絶対うまいから、来てみるっす!」



ワイワイガヤガヤ…

「山賊が飯屋?」

「店に入ったとたん襲われるんじゃないか?」

「絶対まずそう……」
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:39:48.229 ID:2TgV18p20
親分「ぐ……ダメだ……」

子分A「ちっとも客が来ないですね」

子分B「おかみさんの料理っすし、味は絶対いいんすけど……」

親分「くそっ……ここでも山賊ってイメージが足を引っぱるのか……」



「どれ、俺に食わせてみろ」



親分「お、お前は……!」
46: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:42:49.263 ID:2TgV18p20
親分「海賊……!?」

船長「時代遅れの山賊が、どんなことをやってるか見に来てしまったよ」

親分「ヒマな野郎だ……」

親分「じゃあ食え! 俺のカミさん特製、山の幸を使いまくった“山賊丼”だ!」ドンッ

船長「どれ……」モグッ

船長「……」モグモグ

親分「……」ゴクリ
47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:45:14.837 ID:2TgV18p20
船長「ほう、こりゃうまい!」

親分「ホントか!?」

船長「ああ、この俺の肥えた舌を満足させるとは……大したものだ!」

船長「これはまさに――」

船長「うまイレーツ!!!」ビシッ

親分(え、なにこれ)
48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:48:14.817 ID:2TgV18p20
船長「だが、しょせん野蛮な味……やはり俺の口には合わん」ゲフッ

親分「全部食っておいてなにいってやがる!」

船長「……ふん」

船長「さて俺はもう海に出る……貴様らとは二度と会うこともないだろう。さらばだ!」ザッ…

親分「……」

親分「あいつ、何しにきたんだ?」

子分A「さあ、単なる冷やかしじゃないですか?」
50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:50:23.986 ID:2TgV18p20
子分B「親分!」タッタッタ

親分「おう、どうした」

子分B「大変っすよ! 見て下さいっす! 山にいっぱい人がやってきたっす!」

親分「……え!?」



ワイワイ…

「海賊の船長さんが美味いっていってたからな……」

「一回だけ試しに食ってみよう」

「相当うまいらしいぜ!」
52: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:53:33.766 ID:2TgV18p20
「山賊丼ください!」

親分「あいよ!」

「山菜盛り合わせ!」

子分A「へい!」

「うまかったよ。はい、お勘定」

子分B「毎度ありがとうございましたっす!」



妻「ひええ~、忙しくなってきたね。だけどあたしも負けてられるかってんだ!」
53: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 19:57:17.823 ID:2TgV18p20
―山賊のアジト―

妻「いやぁ~……疲れた」

親分「お疲れさん」

子分A「まさか、こんなに客が来るとは思わなかったですぜ」

子分B「あの海賊の冷やかしが、かえって宣伝になったっすねえ」

親分「だが、これだけじゃ終われねえ」

子分A「え?」

親分「“新しい山賊”にはまだまだできることがあるはずだ」

子分A「たとえば?」

親分「俺たちにとって、この山は庭みたいなもんだ。それを生かせば――」
54: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:00:07.377 ID:2TgV18p20
妻「あいよ、肉と野菜を豊富に使った“山賊スペシャル”いっちょ上がりィ!」ドドンッ

客「お、うまそう~!」







親分「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい! 山菜、キノコ、猪肉、熊肉!」

子分A「どれも美味いよ~!」

子分B「さあ買った買ったっす!」

ワイワイ… ガヤガヤ…
55: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:02:26.745 ID:2TgV18p20
ザッザッザッ…

登山者A「いやぁ~、この山を歩きやすく整備してもらって助かります!」

登山者B「しかも、案内までして頂けるなんて……」

子分A「俺らにとっちゃ、この山は庭みたいなもんだからな!」







薬師「おおっ、これは貴重な薬草ですよ! これがあれば、大勢の人を救える!」

親分「ふうん、いつも踏み潰して歩いてたぜ」
57: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:05:21.118 ID:2TgV18p20
―山賊のアジト―

妻「柄にもなく家計簿なんてつけてみたけど、今月も大儲けだよ」

親分「いよっしゃあ!」

子分A「新しい山賊生活、絶好調ですね!」

子分A「ただ……俺らのやってることって山賊なのかなって気もしますけど」

親分「バーカ、山賊だよ」

親分「なにしろ俺らはちゃんと山賊って名乗ってるんだからよ!」

子分A「たしかに!」
58: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:08:03.148 ID:2TgV18p20
子分B「おやぶーん!」

親分「おう、どした」

子分B「大変っす! 山賊になりたいって奴らがいっぱい集まってきて……」

親分「ほう、おもしれえ」

親分「ちょうど人手が足りなかったところだ。見込みのありそうな奴は仲間にしてやらぁ!」

ワッハッハッハッハ……
60: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:13:23.801 ID:2TgV18p20
―王国城―

騎士団長「……」ザッザッザッ

騎士団長「……」ササッ

騎士団長「陛下」

国王「彼らの様子はどうだ?」

騎士団長「はい、“新しい時代の山賊”として上手くやっているようです」

騎士団長「彼らのおかげで、山々の開拓もはかどるのではないかと……経済効果も期待できます」

国王「そうか、“賊を刺激するには同じ賊で”という作戦は大成功だな」
61: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/22(日) 20:15:19.080 ID:2TgV18p20
騎士団長「それにしても、陛下も変わったことをなさる」

騎士団長「海賊の船長に扮して、山賊に発破をかけるとは……」

国王「一度ああいう格好をしてみたかったのでな。貴公にも付き合わせてしまった。それに……」

騎士団長「それに?」

国王「あの人は……余の命の恩人だからな」

国王「余を助けてくれたことを覚えてくれていた時は、嬉しくて思わず笑ってしまったよ」






― 完 ―

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