美琴「あ、あんた…どーせクリスマス暇なんでしょ?」
- カテゴリ:とある魔術の禁書目録
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- 180: 2009/12/25(金) 17:55:56.88 ID:h9gopHLKO
- 美琴「ん? あれは……お~い」
上条「……なんだ、ビリビリか」
美琴「ビリビリ言うな。どうしたのよ、しょぼくれた顔なんかして」
上条「何を言ってんですか、美琴センセー。今日も今日とて上条さんは元気いっぱい夢いっぱいですよ。は、はは……」
美琴「笑いが乾いてるんだけど……。はは~ん、さては……」
上条「な、なんだよ」
美琴「一人っきりのクリスマスが寂しくて、落ち込んでたとか……なんてね~」
上条「…………」
- 181: 2009/12/25(金) 18:05:39.64 ID:h9gopHLKO
- 美琴「あ、あれ? 図星?」
上条「は、ははは……クリスマスなんて幻想ですよ……。カップル共にはそれが分からんのですよ……」
美琴「なんていうか、掛ける言葉が見つかんないわ……」
上条「きっと君は来ぉな~い~。一人っきりのクリスマスイィ~ヴ……。この幻想は……上条さん、ぶち殺せませんでしたよ……」
美琴「あ、あははは……」
上条「あいつはあいつで用事があるとかでイギリスに帰っちまうしなぁ……」
美琴「……じゃ、じゃああんた、今日は一人なんだ?」 - 184: 2009/12/25(金) 18:13:53.92 ID:h9gopHLKO
- 上条「えーえー、上条さんは聖なる夜もオンリーロンリーグローリーを貫かせていただきますですよ」
美琴「そ、それならさ……」
佐天「お~い、御坂さーん」
初春「こんにちは~」
上条「御坂は友達とクリスマスパーティーかなんかか? うんうん、青春ですねぇ……。俺の分までしっかり楽しんでこいよな。じゃあ」
美琴「あ……」 - 186: 2009/12/25(金) 18:25:40.20 ID:h9gopHLKO
- 初春「すいません、お邪魔でしたか?」
美琴「……ううん。二人はどうしたの? これからどっか行くとか?」
佐天「あ、はい。これからセブンスミストにプレゼントを買いに。それで初春と交換し合おうと思いまして。ねー」
初春「はい♪」
美琴「仲がいいわよねー、あなたたち」
佐天「御坂さんは彼氏にプレゼント贈るんですか?」
美琴「はぁ!? べ、べべべ別にあいつはそんなんじゃないし! さっき一緒にいたのもただの偶然だし!」
初春「別にさっきの人が彼氏かどうかは聞いてなかったんですけど……」
美琴「……!」 - 188: 2009/12/25(金) 18:35:49.15 ID:h9gopHLKO
- 佐天「語るに落ちるってこういうことを言うんですねぇ。でもそれならチャンスじゃないですか」
美琴「……チャンス?」
初春「今日は聖なる夜ですよ?」
佐天「プレゼントを渡してそのまま告白! そして二人は……なんて素敵じゃないですか」
美琴「でも私は……」
初春「御坂さん」
美琴「……なぁに?」
初春「クリスマスは女の子が大胆になれる日なんですよ? 素直な想いを伝えるにはこれ以上はない日だと思います」 - 190: 2009/12/25(金) 18:42:18.26 ID:h9gopHLKO
- 美琴「でもプレゼントなんて、何を贈ればいいか分かんないし……」
佐天「あ、じゃあ御坂さんも私達と一緒に行きません? 私と初春でばっちりプロデュースしちゃいますよー」
初春「そうと決まれば早速GOです!」
美琴「え、あ、ちょっとー?」
佐天「まあまあここは一つ任せてくださいって」 - 193: 2009/12/25(金) 18:54:38.00 ID:h9gopHLKO
- ~セブンスミスト~
佐天「じゃ~ん! これなんてどうッスか?」
美琴「これは……サンタの衣装? その割りにはなんかいろいろと丈が短いような……」
初春「取り敢えず試着してみましょう」
美琴「いや、ちょっ……」
~試着中~
美琴「無理! なんかこれ、いろいろと無理だって!」
初春「うわあ~、可愛いです御坂さん!」
佐天「これで迫られたらどんな男の子でもいちころだね! もう寧ろ墜ちない奴は男じゃないね!」
初春「これ、白井さんが見たらどんな顔するんだろう……写メ撮ってもいいですか?」
美琴「ってもう撮ってるじゃない!?」 - 198: 2009/12/25(金) 19:28:10.21 ID:h9gopHLKO
- 美琴「ほんとに無理だってぇ……。こんなの私なんかじゃ似合わないし……」
佐天「…………」
初春「…………」
美琴「な、なによぅ」
佐天「ッてえーぃ!」
美琴「あいたっ!? な、なんでいきなりチョップ……?」
初春「御坂さんは一度自分の可愛さを知るべきです!」
佐天「えぇーい! こうなったらとことんやっちゃうよ、初春!」
初春「了解です、佐天さん!」
美琴「い、いやあぁ~……!」 - 219: 2009/12/25(金) 22:17:19.36 ID:h9gopHLKO
- ~上条宅前~
美琴「う~……ど、どうしよう……。あの二人の勢いに負けてあいつん家まで来たけど……」
初春『御坂さんは一度自分の可愛さを知るべきです!』
美琴「あいつも……可愛いって、思ってくれる、かな……」
いつも子供扱いばかりだけど、今日ぐらいちゃんと女の子として見てくれるかな……?
美琴「……っくしゅん! う~、いつまでもここでこうしてるわけにもいかないし……えい!」
胸の高鳴りを押さえ、勇気を出して呼び鈴を押す。
上条「はいは~い、なんでせうか~? 今、上条さんは機嫌が悪いので、何かの勧誘なら容赦しませんよ~、と……」
美琴「…………」
上条「…………」 - 223: 2009/12/25(金) 22:30:04.64 ID:h9gopHLKO
- 美琴「め、メリークリスマス……」
上条「…………」
美琴「……な、何か言いなさいよ……」
上条「これは……」
美琴「きゃっ!?」
上条「右手で触っても消えない……!? 幻想じゃないのか!?」
美琴「あ、あの……」
上条「あ、あぁ、わりぃ。御坂、だよな? 一瞬誰かと思った」
美琴「どういう意味よ」
上条「いや、いつもより可愛かったから、ちょっと分からんかった」
美琴「んなッ!?」 - 224: 2009/12/25(金) 22:39:10.84 ID:h9gopHLKO
- 美琴「な、なな……」
上条「つーかお前、すごい指先冷えてんじゃねえか。もしかしてその格好でここまで来たのか?」
美琴「う、うん……」
上条「はぁ、何やってんだよ。風邪ひいちまうだろ」
美琴「う……」
上条「とにかく上がれ。今、何か温かいもん用意すっから」
美琴「あ、ありがと……」 - 250: 2009/12/26(土) 00:37:34.52 ID:wx9b++xOO
- 上条「ほら、ホットココア。熱いから気をつけろよ」
美琴「あ、ありがと……ふー……」
上条「で?」
美琴「うん?」
上条「どうしたんだよ、急に?」
美琴「え、え~と……」
美琴(ど、どうしよう。佐天は……)
佐天『こう前屈みになってですね、上目使いでじっと相手を見つめてですね……』
美琴(えっと前屈みになって……)
上条「どうした? 腹でも痛いのか?」
美琴(上目使いで……)
上条「な、なんで上条さん、睨まれてるのでしょーか?」
美琴(全然駄目だよ、佐天さーん!) - 252: 2009/12/26(土) 00:53:35.14 ID:wx9b++xOO
- 美琴(くっ、くじけるもんですか。え~と最後は……)
佐天『プレゼントはわ・た・しって甘く耳元で囁いてとどめです。ベタかもしれませんが、ここまでされて嬉しくない男の子はいないと思いますよ』
美琴「ぷ、プレ、わた、あた……」
上条「顔真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃないか? どれ……」
美琴「ッ!! あたぁッ!」
上条「いたッ!? ……なんでおでこをど突かれるのでせうか。熱を計ろうとしただけなのに……」
美琴「ほ、北斗の拳の真似」
上条「指先一つであの世行き!? クリスマスになんてもん、プレゼントしてくれやがりますか!?」
美琴「う、うぅ~……。やっぱり無理ー!」
上条「あ、おい、御坂!?」 - 255: 2009/12/26(土) 01:07:26.02 ID:wx9b++xOO
- 美琴「はぁ……」
きらびやかにライトアップされた街の中を、とぼとぼと歩く。
街は聖夜を楽しむカップルで溢れ、浮かれた格好をした自分がいたたまれなくなり、逃げるようにいつもの公園へと足を向けた。
閑散とした公園のベンチに腰掛け、一人、物思いに沈む。
美琴「なんで素直になれないんだろう……せっかくのクリスマスなのに……」
女の子にとって特別な日。
そんな日までこんな調子だと、あいつに自分の素直な気持ちを伝えるなんて夢のまた夢だ。
美琴(あ、やばい。泣きそう……)
涙を零さぬよう、星空を仰ぐ。
空は恋人達を祝福するかのように綺麗だった。
美琴「はぁ、さむ……」 - 270: 2009/12/26(土) 02:13:50.51 ID:wx9b++xOO
- 上条「そんな格好してたら寒いのは当たり前だっての」
美琴「え……?」
そんな言葉と共に、上着が肩に掛けられた。
美琴「あんた……どうして……?」
上条「心配だから追っかけてきた」
美琴「心配って、私が?」
上条「お前以外に誰がいるんだよ」
美琴「そ、そっか。……えへへ」
美琴(なんでだろ、さっきまで落ち込んでたのに……)
あいつの何気ない一言を聞いただけで心が軽くなる。 - 276: 2009/12/26(土) 03:32:13.80 ID:wx9b++xOO
- 上条「はっくしょい!」
美琴「ってあんた震えてるじゃない。自分の上着はどうしたのよ?」
上条「急いでたんで、それ一枚しか持ってこなかった。なぁに、問題なしですよ。上条さんは普段から鍛えて……ふあっくしょい!」
美琴「……ん」
上条「ッ!? あの~、御坂さん? 何故急に抱き着いてきたりされたのでせうか?」
美琴「こ、こうやってくっついてれば少しは温かいでしょ」
上条「いやしかしですね」
美琴「う、うるさいわね。これであんたに風邪でもひかれたら、後味悪いでしょ。だから……そう! 仕方なくってやつよ!」
上条「…………」
美琴「…………」 - 278: 2009/12/26(土) 03:47:30.81 ID:wx9b++xOO
- 美琴「……何か喋ってよ。黙られると、その……恥ずかしい、じゃない」
上条「あ~……そういえばさっき言いそびれたんだけど」
美琴「なぁに?」
上条(ちょっ、この体勢からの上目使いはまずいって!)
上条「その、な。似合ってるぜ、その服」
美琴「……えへへ、ありがと」
上条(だからここでその笑顔はやばいって!)
美琴「……ねぇ」
上条「ん?」
美琴「メリークリスマス……と、とうま」
上条「お、おう。その、メリークリスマス……み……」
美琴「み?」
上条「……御坂」
美琴「……ふふ、今はそれで許したげる♪」
fin - 280: 2009/12/26(土) 03:58:13.48 ID:0r2IKOBfP
- 乙。よかった
美琴は可愛いな - 281: 2009/12/26(土) 04:02:06.01 ID:pImjWbd1O
- あぁ~この上琴すっげー可愛かった~
乙! - 289: 2009/12/26(土) 06:35:16.40 ID:wx9b++xOO
- バイトが終わったので、家に着いて寝るまで、後日談を書きたいとおもいます。
多分それまでに終わらないような気もしますが、よろしければお付き合い下さい。 - 291: 2009/12/26(土) 06:45:14.32 ID:wx9b++xOO
- 上条「うだー……」
御坂サンタが家にやってきたその次の日、案の定俺は風邪をひき、一人寂しく寝込む羽目になったのだった。
上条「不幸……でもないか。御坂のサンタ姿を拝めたんだし。……可愛かったよなぁ、あいつ」
サンタの格好で抱き着く御坂の姿を思い返すが、途端に熱が上がったような気がしたので、すぐさま頭から追い払った。
上条「しかしこれはちょっとまずいような……。食うもんもないし。どうすっかなぁ……」
茹だった頭でぼんやりと考え事をしていたら、不意に呼び鈴がなった。 - 292: 2009/12/26(土) 06:59:37.84 ID:wx9b++xOO
- 美琴「おーい、生きてるー? ……あー、やっぱり寝込んでた」
上条「御坂? どうしてここに?」
美琴「あんたが風邪ひいてないか、やっぱり気になってね。そしたら案の定これよ」
上条「これぐらいどってことねぇよ。元気だけが取り柄のかみ……っくしょい!」
美琴「ほらほら、やせ我慢しないで大人しく寝てなさい。ご飯は食べた?」
上条「いや、食うもん無かったんで」
美琴「じゃあちょっと待ってて。薬飲むにしてもお腹の中からっぽじゃ駄目だし」 - 294: 2009/12/26(土) 07:13:18.18 ID:wx9b++xOO
- 上条「…………」
美琴「なによ、きょとんとしちゃって」
上条「いや、なんか良き母親ってかんじだなぁと思って。御坂、絶対いいお母さんになれるぞ」
美琴「ッ!! 寝言言ってないで大人しく寝てなさい! ま、まったく……」
上条「何怒ってんだ、御坂のやつ? まあいいか。ここは一つ、あいつの厚意に甘えるとしますかね」 - 296: 2009/12/26(土) 07:25:16.99 ID:wx9b++xOO
- 美琴「はい、おじや出来たわよー」
上条「おぉ、ありがたい……」
美琴「……ちょっとあんた、ほんとに大丈夫? すごい辛そうだけど」
上条「さすがにやばいかも……。いつもの軽口トークも切れ味半減ですよ……」
美琴「今の台詞だけ聞くと平気そうにも思えるけど。……う~ん」
上条「飯食って寝れば治りますよ。というわけでいただきます」
美琴「…………」
上条「あの~、美琴センセー? そのおじや、俺に作ってくれたんじゃないのでせうか?」
美琴「そ、そうよね、相手は病人なんだし……深い意味なんて無いわよね。……うん」
上条「もしも~し?」 - 301: 2009/12/26(土) 07:51:54.71 ID:wx9b++xOO
- 美琴「は、はい、あ~ん」
上条「ッ!? いやいやいや、そんなことして頂かなくとも一人で食べられますって!」
美琴「起き上がるのも辛そうにしてるやつが何言ってんのよ。ほら、あ~ん」
上条「…………」
美琴「背筋に電気を流して脊髄反射で口をこじ開けて食べさせ―――」
上条「あ、あーん!」
美琴「素直にそうしていればいーの。……はい」
上条「……ん。アチアチ!」
美琴「あ、ごめん、熱かった? ふー……ふー……」
上条「ッ!? (そわそわしちゃう。だって男の子だもん!)」 - 302: 2009/12/26(土) 08:03:18.35 ID:wx9b++xOO
- 美琴「結構食べたわねー。うん、食欲があるんなら大丈夫かな」
上条「け、結構なお点前でした……」
美琴「お粗末さまでした。じゃあはい、後は薬飲んで安静にしてなさい。落ち着くまで傍にいてあげるから」
上条(いや、あなたに傍にいられると落ち着けないんですけど)
上条「で、ではお休みなさい」
美琴「おやすみ」 - 303: 2009/12/26(土) 08:23:45.65 ID:wx9b++xOO
- 美琴「ふぅ……部屋の片付けも大体済んだかな。あいつは……うん、よく寝てるわね」
上条「むにゃ……その幻想をぉ、ぶち殺すぅ……」
美琴「いったいどんな夢見てんのよ……。ふわ~ぁ……なんだか私も眠たくなっちゃった。少しだけ寝よっかな……」
美琴「おやすみなさーい……」 - 326: 2009/12/26(土) 14:57:30.95 ID:wx9b++xOO
- 上条「……ん、ん~。あー、よく寝たぁ。……うん? 御坂?」
美琴「ん……」
付きっきりの看病に疲れたのか、御坂はベッドに突っ伏したまま、眠っていた。
上条「気持ち良さそうに眠っちゃってまあ……」
美琴「ん~……ふふふ……」
楽しい夢でも見ているのか、覗く横顔は幸せそのものといったかんじだ。
上条「ありがとな、御坂」
髪を梳くように御坂の頭を撫でる。
日だまりの中で眠っていたせいか、御坂の髪は温かくてさらさらとしていた。
美琴「……ふにゃー」
上条「あーぁ、髪、食っちゃってんじゃねえか」
くわえた髪を払ってやろうて御坂の口許に指を掛ける。
美琴「はむ」
上条「ッ!?」 - 329: 2009/12/26(土) 15:07:05.04 ID:wx9b++xOO
- 上条「み、みみみ御坂サン!? なにゆえわたくしめの指をおくわえになられているのでせうか!?」
美琴「ん……む……」
寝ぼけているのか、まるで乳飲み子のように指をくわえる御坂。
上条「起きてーッ! 美琴センセー起きてーッ!! これ以上は上条さんの精神がなんかもういろいろとやばいからー!」
美琴「ん……ちゅ」
上条「ぐぬぬぬぬぬ……!」 - 331: 2009/12/26(土) 15:19:03.33 ID:wx9b++xOO
- 上条(落ち着け、落ち着くんだ、紳士・上条当麻。訓練された紳士はうろたえない!)
美琴「んむ……ちゅ……」
上条「ああぁあぁ、舐めちゃだめえぇ」
再び熱が振り返し、頭の中が朦朧としてきた。
上条「相手は中学生相手は中学生相手は中学生……」
美琴「ん……とーまぁ」
上条「ぐわあぁ~……」
そこで名前ですか。そこで名前を呼んじゃうんですか。
上条(いかん、何がなんだかよく分からんくなってきた……こうなったら……こうなったらぁ……!) - 332: 2009/12/26(土) 15:29:11.58 ID:wx9b++xOO
- 上条「ふっ……ふっ……」
美琴「ん……ふわ~ぁ、よく寝たぁ。さて、あいつは……何してんの……?」
上条「よお、御坂、ふっ、いや、風邪とか煩悩を払うには、ふっ、やはり汗を流すのが、ふっ、一番だと思ってな。ふっ」
美琴「それで腹筋なんかやってるわけ?」
上条「あぁ」
美琴「あほか! 体力なんて使ったら余計熱が上がるだけでしょ!」
上条「いやしかしこうでもしないと俺の心の平穏がだな……」 - 337: 2009/12/26(土) 15:42:25.04 ID:wx9b++xOO
- 美琴「あーあー、汗びっしょりじゃない。しょうがないなぁ、寝る前に身体拭いた方がいいか。すぐ準備するからちょっと待ってて」
上条「いやいやいや、そんなことして頂かなくとも、上条さんはこれこの通り元気なわけでして」
美琴「こぉら」
上条「あう」
子供を叱るかのように、こつんと頭を小突かれる。
美琴「病人は大人しくしてなさい。……これは治るまで付きっきりで見てないとだめかなぁ」
上条「……こいつ絶対、天然の小悪魔だ……」
こうして俺は風邪が治るまでの間、己の煩悩と格闘し続けることとなったのだった……。 - 338: 2009/12/26(土) 15:51:30.07 ID:wx9b++xOO
- ~数日後~
美琴「っくしゅん!」
黒子「あら、お姉さま、風邪ですの?」
美琴「そうみたいね。……これはあいつのが移ったかな……」
黒子「……お姉さま、今、何と? ま、まさか……!」
美琴「ち、違うから! 黒子が考えてるようなことじゃないから!」
黒子「その反応……! きぃ――っ、あ、あ、あの類人猿んん!!」
美琴「あ、あはは……っくちゅん」
美琴「あいつの風邪、かぁ……ふふ♪」
fin - 385: 2009/12/26(土) 22:07:58.07 ID:wx9b++xOO
- 美琴「やっほー、来たわよー」
上条「早かったなー。まあ上がってくれ」
美琴「うん、お邪魔しまーす」
上条「そういえばお前、実家には帰らないのか? 年末年始くらい親御さんも顔、見たがってるんじゃないか?」
美琴「超能力者<レベル5>ともなると学外への外出許可を取るのが難しいのよ。そういうあんたは?」
上条「便りが無いのは元気な証拠ってやつですよ」
美琴「要するに帰るのがめんどくさい、と」
上条「そういうこと」 - 387: 2009/12/26(土) 22:12:23.43 ID:wx9b++xOO
- 美琴「わ、こたつじゃない」
上条「ふふ~ん、それだけじゃありませんよ。もれなくみかんと猫も付いてきます」
スフィンクス「にゃ~」
美琴「分かってるじゃない、あんた♪」
上条「ふふふ、上条さんに抜かりはありませんよ」 - 389: 2009/12/26(土) 22:17:49.63 ID:wx9b++xOO
- 美琴「はー……やっぱり冬はこたつでぬくぬくよねぇ」
上条「日本人に生まれてよかったと思える瞬間だよなぁ。それで何時頃出掛ける?」
美琴「まだちょっと早いし、まったりしてましょ。そういえばどこにお参りに行くの?」
上条「知り合いの巫女さんがバイトしてる神社」
美琴「……知り合いの巫女さん?」 - 392: 2009/12/26(土) 22:28:58.16 ID:wx9b++xOO
- 美琴「巫女さんが知り合いってどういう交遊関係よ……。あれでしょ、またどこかで人助けして知り合ったんでしょ」
上条「よく分かったな……って、美琴センセーは何故に怒ってるのでせうか?」
美琴「別に怒ってまーせーんー。……あんたがそういうやつだってのは、よく知ってるしね」 - 397: 2009/12/26(土) 22:40:22.84 ID:wx9b++xOO
- 美琴「はぁ~、それにしてもやっぱりこたつに入っちゃうと駄目ね。出られなくなっちゃうもん」
上条「こたつの魔力はあなどれねえよなぁ。あ、お茶いれたけど、緑茶でよかったか?」
美琴「ん、ありがと。……はぁ~、ぬくぬく~」
上条「そうしてるとなんか猫みたいだな」
美琴「ん~」 - 399: 2009/12/26(土) 22:44:55.74 ID:wx9b++xOO
- 上条「はは、すっかり骨抜きだな。あ、みかん食うか?」
美琴「ん~、皮むくのがめんどくさい~」
上条「やれやれ、さすがの美琴センセーもこたつの魔力には勝てませんか」
美琴「勝てるやつがいたら見てみたいわ」 - 403: 2009/12/27(日) 00:16:58.99 ID:ICrdZ8y7O
- 上条「ほれ、皮むけたぞー」
美琴「んー」
上条「……食べさせてやろうか?」
美琴「な、なにばかなこと言ってんのよ……って、うわ、白い筋全部取ってある。几帳面ねぇ」
上条「そーかー? ほれ」
美琴「だ、だから自分で食べられるってば」
上条「そういう割りには両手をこたつに突っ込んだままのはどうしてなんですかー?」
美琴「…………」
上条「はい、あ~ん」
美琴「…………」
上条「あ~ん」
美琴「あ、あ~ん」
上条「ほい」 - 408: 2009/12/27(日) 00:34:30.10 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「……あ、甘い」
上条「もう一切れいくか?」
美琴「……あ~ん」
上条「ほいほい」
美琴「あ~……」
上条「と見せ掛けてフェイント!」
美琴「ん!」
上条「はっはっは、まだまだですな、美琴センセー。おぉ、このみかんの甘いこと」
美琴「むぅ~」 - 412: 2009/12/27(日) 01:09:54.25 ID:ICrdZ8y7O
- 上条「ほい、もう一切れ。ほーれほーれ」
美琴「む~……む!」
上条「はっ!」
美琴「甘い! はむっ!」
上条「ちょ……!」
美琴「むぐむぐ……ふっふ~ん、ざっとこんなもんよ」 - 413: 2009/12/27(日) 01:18:11.89 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「何よ、顔真っ赤にしちゃって」
上条「いやぁ……まさか指まで食べられるとは上条さん、思ってなかったもので」
美琴「…………」
美琴「……!? ちょ、なに訳分かんないこと言ってんのよ!」
上条「上条さん、不覚にもときめいてしまいましたよ」
美琴「も、もー、いいからそのみかん寄越しなさい」
上条「はいよ」 - 419: 2009/12/27(日) 03:00:54.48 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「…………」
上条「食べないのか?」
美琴「……あ、あ~ん」
上条「ッ!? いやいやいや、美琴センセー手ずから食べさせて頂くなんてそんな恐れ多い……」
美琴「やられっぱなしってのは、性に合わないの。いーから口、開けなさい。あ~ん」
上条「ちょっ、分かった。分かったから押し付けるのやめて」
美琴「あ~ん」
上条「あ~ん……うん、甘い。なんかもういろんな意味で」
美琴「ふふ~ん♪」 - 420: 2009/12/27(日) 03:17:06.45 ID:ICrdZ8y7O
- 上条「紅白でも見るか」
美琴「これ見るとなんか大晦日ってかんじよね。あ、一一一(ひとついはじめ)だ」
上条「好きなのか? このアーティスト」
美琴「友達がね。ほら、クリスマスにちょっと会ったでしょ。長い黒髪の……」
上条「あぁ、あの可愛い子」
美琴「…………」 - 423: 2009/12/27(日) 04:12:00.03 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「あんた、ほんと女の子には目敏いわよね」
上条「? お前の友達だしな」
美琴「……あんたって、その、髪の長い女の子が、タイプ、なの?」
上条「いや、俺はお前の方が好きだぞ」
美琴「ッ!? な、なな……!」
上条「……?」 - 425: 2009/12/27(日) 04:29:07.74 ID:ICrdZ8y7O
- 上条「……あ! 髪型! 髪型の話だからな!?」
美琴「わ、分かってるわよ、そんなの! なにうろたえてんのよ、ばーかばーか!」
上条「うろたえてまーせーんー! 御坂サンこそ顔赤くしちゃってどーしちゃったんですかー!?」
スフィンクス「にゃー(小学生か、こいつら)」 - 430: 2009/12/27(日) 05:35:03.37 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「あ~……騒いだらなんかお腹空いてきちゃった」
上条「年越蕎麦でも食うか。細く長く生きられますようにってね」
美琴「あんたの場合、ほんと切実な願いよね、それ。……今年何回入院したの?」
上条「数えたくもありません……」
美琴「来年は少し自重しなさいよ。……その、心配してるやつだっているだろうし、さ」
上条「前向きに善処させていただきますよ」
美琴「まあ入院したら、その、お見舞いぐらい行ってあげるわよ」 - 431: 2009/12/27(日) 05:59:21.68 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「ふあ……お蕎麦食べたら、なんか眠くなってきちゃった……」
上条「寝るなー、御坂ー。今寝たら、絶対朝まで熟睡しちまうぞー……」
美琴「そういうあんたもかなり眠そうじゃない……。あーもうだめ……」
上条「こたつの魔力、恐る、べし……」
美琴「くぅ……」
上条「ぐぅ……」 - 433: 2009/12/27(日) 06:39:27.19 ID:ICrdZ8y7O
- 美琴「くぅ……」
上条「ぐぅ……」
美琴「ん~……トイレぇ……」
・・・・・・・
・・・・・
・・・
美琴「ふー……」
上条「……そげぶ……」
美琴「さむい……」
上条「ぐおー……」
美琴「…………」
・・・・・・・
・・・・・
・・・ - 434: 2009/12/27(日) 06:50:03.72 ID:ICrdZ8y7O
- 上条「……く、あぁ~……いけね、すっかり寝こけちま……」
美琴「すぅ……」
上条「え~と……何故に上条さんは抱き枕にされているのでせうか?」
美琴「ん~……ゲコ太ぁ」
上条「こいつ、俺をぬいぐるみか何かと間違えてやがる……ちょっ、すりすりすんな!」
美琴「ん~……ふふふふ……」
上条「はぁ……こりゃ起きたら新年一発目のビリビリだな」
美琴「くぅ……」
上条「今年も思いやられそうだ。まあ……」
美琴「ん~……」
上条「今年もよろしくな……美琴」
fin - 436: 2009/12/27(日) 07:08:06.57 ID:ICrdZ8y7O
- 取り敢えずキリがいいので、この辺で終わりとしておきます。
冬コミはレールガンのいちゃいちゃものが増えたらいいなぁ。
では家に帰って寝ます。
皆さん、乙! - 437: 2009/12/27(日) 07:11:35.79 ID:1VjmYfixO
- 乙
ニヤニヤがとまんね~
- 438: 2009/12/27(日) 08:25:35.81 ID:EIS+FwHjP
- 乙
上琴いいなあ - 441: 2009/12/27(日) 10:28:32.81 ID:cIeqcqGdO
- 全く上琴は素晴らしい
乙!
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