FC2ブログ
1: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:12:25 ID:ugU
一足早いですが、未央誕SSということでひとつ。
2: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:12:51 ID:ugU
~屋上~

P「…寒いな」

…だが、星がよく見える。

吐く息もすっかり白くなって、ほんの気分転換のつもりが、油断すると洟を垂らしそうだ。

P「暖房の効きすぎた部屋に籠もって書類仕事ってのも、肩は凝るし眠気は来るしで…まぁ、歳末は何につけ忙しいんだけども」

ひとりごち、屋上の手すりに腕を乗せ、はぁっとため息を漏らす。

一瞬白い煙になったそれは、何処へともなく舞い上がり、消えていった。
3: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:13:15 ID:ugU
P「…与えられた役割ってもんがある。アイツらは精一杯頑張ってるんだ…俺も弱音なんて吐いてらんないよな」

ヨシ…と気合を入れ直す。
忙しくなるのはここからだ。

この業界、年末ほどあれやこれやで忙しくなる時期もそうはない。

クリスマス・ソングや何かの収録は、実は夏場の空いたスケジュールに無理やり詰め込んで終わらせていたりもするんだが、裏を返せばそれだけこの時期が忙しい証にもなるわけで。

ファンに笑顔を与えるのがアイドルで、そのアイドルの笑顔を守るのがプロデューサーで。

なら、空元気だろうと俺がアイツらの前で…弱みを見せるわけにはいかないよな。
4: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:13:35 ID:ugU
などと、どうにもみっともなく考えていると、ふいに。

未央「ほらほら、笑顔。忘れてるぞっ」ピトッ

P「おわっ!?」

首筋に缶コーヒーを押し当てられた。背後からの急襲に、思わずオーバーリアクションをかましてしまう。

未央「おっとと、ゴメン、そんなびっくりさせちゃうと思ってなかったもんですから」

P「いや…今のはまぁ…お前が悪いけど、うん」

未央「うんうん…って、そこフォローするとこでしょ普通!」

P「テンパっててうまい切り返しが思いつかなかったんだよ悪いか」

未央「あー…それは…確かに私が悪いか、あはは」
5: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:13:54 ID:ugU
P「屋上に用事か? 寒いだろうに」

未央「屋上にっていうか…プロデューサーに、かな。ほら、そのコーヒー、暖かいからカイロ代わりにと思って」

P「無理がありすぎるだろオイ」

未央「…てへ。」

悪戯がバレた子供のような顔で笑う。でも、その笑顔はどこか、寂しそうで、泣き出しそうで。

それで何となく、コイツがここに来た理由に察しはついていた。
6: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:14:17 ID:ugU
P「…担当アイドルに心配させるなんてな。俺も業界長いけど…こういうトコまだまだだな」

未央「いいよ、そのままで」

P「ん?」

未央「プロデューサーは、そのままでいいよ、大丈夫。ちゃんと心配くらい、させてよ」

P「…そっか」

未央「うん。……ねえ、星、綺麗だね」

P「ああ…冬は都会でも、何となく綺麗に見えるもんだな」

未央「…知ってる?ああして見える星って全部太陽みたいな大きさの恒星なんだって」

P「あー、授業で習った気もするな。先生の雑ウンチクが長くて半分くらい寝てた気もするけど」

未央「いけないんだ~、先生に言っちゃうぞ~」

P「いや、とっくに時効だろ…と言うか、お前は俺の学生時代の先生の顔知らないだろうに」

未央「…それもそっか」

P「ったく、コイツは」

未央「へへ」
7: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:14:38 ID:ugU
未央「でもさ。そんな大きな星でも、こうやって見るとちっぽけで…都会の空じゃ、頑張っても見えない事の方が多いじゃない」

P「そうだな…星の輝きが、ってより都会の空気が汚れてるからだろうけどな」

未央「…時々、思っちゃうんだ。いつか私もさ」

P「ん」

未央「そんな空気とか…都会のライトの灯りとか、そういうのに埋もれて、見えなくなっちゃう日が来るんじゃないかなって」

P「………」

未央「ダメだね私。プロデューサー励ましにここ来たのに、結局愚痴って、弱音吐いて…あはは、ゴメン、今のナシで」

P「埋もれねえよ」
8: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:14:59 ID:ugU
未央「えっ…」

P「誰が忘れたって、俺も、お前の仲間も…皆覚えてるさ、いつまでだって」

未央「そう…なのかな」

P「さっき、あの星々は太陽だって言ったな。なら、目を閉じたって残像が瞼の裏にくっきり映るはずだろ」

未央「…あ…」

P「消えないさ。焼き付いてるんだから。瞼じゃなく、皆の心にさ」

未央「プロデューサー、たまにだけど、台詞がちょっぴりクサイよね」

P「やかましい。そういうセンスないんだよ悪いか」

未央「んーん。…まぁ、悪くないかな。…なんちて」

P「お前な…」

わしゃわしゃっと乱暴に頭を撫でてやった。きゃーとかわーとかひとしきり騒いでいたが、思い切り撫でた。
9: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:15:17 ID:ugU
未央「ね、プロデューサー」

P「うん?」

未央「プロデューサーも、だからね」

P「だからね、って何がだよ」

未央「プロデューサーも、未央ちゃん座の大事な一部って事。一つでも欠けたら星座じゃなくなっちゃうんだからね」

P「それは…責任重大だな」

未央「そ!だからさ」

未央「これからも…一緒にいて、笑ってて欲しいなって。……いいでしょ?」

P「はぁ…」

また、思わずため息が出た。
10: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:15:30 ID:ugU
けど、きっとそのため息は、さっきまで一人きりで寂しく吐いていたため息とは違うもので。

だから俺は。

P「次、お前が泣いてたら…今度は俺がコーヒー攻撃してやる番だな」

照れ隠しで、そう答えてやった。

ざまみろ。ありがとな。

なんて、思いながらさ。

~終わり~
11: ◆6RLd267PvQ 19/11/30(土)01:16:48 ID:ugU
「ありがとう」。

そう歌ってくれるけど、その台詞、そっくりそのまま返したい。

なぁ未央。


では、お目汚し、失礼をば。

関連記事
タグ:

コメント

 

お知らせ

サイトのデザインを大幅に変更しました。
まだまだ、改良していこうと思います。

カテゴリ

今週の人気記事

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


※メールの打ち間違いにお気をつけください。
返事無い時は、メールの打ち間違いの可能性がありますので、再度送信していただくか、コメント欄をご使用下さい。

ブログパーツ ブログパーツ ブログパーツ アクセスランキング