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1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:10:04.718 ID:x2ilBv2F0
国王「勇者よ、どうか魔王討伐を成し遂げて欲しい」

大臣「頼みますぞ」

勇者「分かりました」

女僧侶「かしこまりました」

国王「さて、残るメンバーをどうするかだが……」

勇者「私の仲間には、より優れた人材が必要です。中途半端な者ではかえって足を引っぱられてしまう」

勇者「国中から希望者を募り、勇者パーティー選考会を開くというのはどうでしょうか」

国王「面白いかもしれぬな。やってみよう」
2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:14:14.459 ID:x2ilBv2F0
国中にお触れが出された。

『勇者パーティーに入りたい優れた戦士、求む!



 勇者パーティーに入れば100万ゴールド進呈。

 さらにご家族の生活も一生保障します。

 旅の途中の活躍によって給金も支給し、魔王を討伐できれば成功報酬も用意しています。



 希望者は○月×日△時に、選考会会場にお集まり下さい』
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:17:01.393 ID:x2ilBv2F0
選考会場――

ワイワイ…

戦士「こんだけの好条件だ。なんとしても勇者パーティーに入ってやるぜ!」

武道家「いや、入るのは私だ!」

魔法使い「どんなことをやるのか分からないけど、絶対合格してみせる!」

ガヤガヤ…
7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:20:21.806 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「勇者様、ご挨拶を……」

勇者「まだ仲間でもない者たちに、私自ら声をかけることもないだろう。君がやってくれ」

女僧侶「分かりました」

女僧侶「えー、皆さん、はじめまして。勇者パーティーに所属しております女僧侶と申します」

女僧侶「本日は様々なテストを皆さまに行って頂き、その結果をもとに、合格者を発表いたします」

女僧侶「皆さま、悔いの残らないよう、全力を尽くして下さい」

勇者「ふああ……」
11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:23:29.225 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「まず最初の種目はランニングです」

女僧侶「およそ10kmの道のりを走っていただき、順位にもとづいて点数をつけさせて頂きます」



タタタタタッ…

斧戦士「ガッハッハ、いくぜぇ!」

盗賊「素早さ勝負なら、お手のもんだ!」

呪術師「ううむ……こういうのは苦手だ……」ゼェゼェ
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:27:17.499 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「続いては筆記試験です」

女僧侶「大陸の地理やサバイバル知識、魔法や魔物についての出題を解いて下さい」



カリカリカリ…

剣士「やべえ、全然分からない……」

魔術師「フフフ、魔法問題は私にとってはサービス問題だね」

冒険家「サバイバル知識なら任せておけ!」
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:30:01.824 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「実際に自分の武器や魔法を披露して頂きます。存分にアピールして下さい」



槍使い「せやぁっ!」ビュオッ

召喚士「出でよ、炎の精霊!」ボワァァァァァッ

大男「岩を砕いてやるぜぇ!」ドカァンッ



大臣「勇者様、なかなかの腕自慢が集まりましたな」

勇者「ぐぅ……」
17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:33:19.128 ID:x2ilBv2F0
昼になり――

女僧侶「これで選考試験のおよそ半分が終了しました」

女僧侶「お昼ご飯の時間としますので、皆さま自由に休憩なさって下さい」



ワイワイ…

格闘家「どうだった?」

女戦士「全然ダメ。なんとか後半挽回しなきゃ」

薬師「しかし、勇者様は全然顔出さないな。てっきり自分で審査するもんかと思ってたが」
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:35:43.840 ID:x2ilBv2F0
ドォォォォン…



ドヨッ…

戦士「な、なんだ?」

武道家「遠くから轟音のようなものが聞こえたが……」

魔法使い「何があったんだろう?」
21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:39:11.231 ID:x2ilBv2F0
兵士「――大変です、大臣!」

大臣「どうした?」

兵士「王国の南方地域が魔王軍の襲撃を受けていると急報が……」

大臣「なんだと!?」



ドヨドヨ…

「魔王軍だって!?」

「どうしよう、俺の故郷がある……」

「選考会どころじゃなくなったぜ!」
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:41:36.269 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「勇者様、魔王軍が!」

勇者「ああ、聞いてる」

女僧侶「選考会はいったん中断して、ここにいる全員で魔王軍撃退に向かった方がよろしいかと!」

勇者「……」

勇者「私からみんなに挨拶させてもらうよ」

女僧侶「お願いします、勇者様!」
24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:44:34.649 ID:x2ilBv2F0
候補者全員の前に現れた勇者。

勇者「こんにちは、勇者です」

オオッ…

「勇者様だ!」 「選考会は中止か?」 「そりゃそうだろ……」

勇者「たった今、南方地域が魔王軍に襲撃されたという情報が入りましたが」

勇者「選考会はこのまま続行いたします」

ドヨッ…

「え!?」 「南方に故郷がある人もいるのに……」 「なんで!?」
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:47:11.788 ID:x2ilBv2F0
勇者「魔王軍が今の段階から本格的な侵攻に入るとは考えにくく、おそらくこれは腕試しのようなものでしょう」

勇者「また、南方地域は大きな都市もなく産業も乏しく、たとえ滅ぼされても被害は軽微です」

勇者「今すぐ救援に向かう必要は全くないと考えます」

勇者「それよりも、勇者パーティーの選考を進める方が先決です」

勇者「私も忙しい身ですし、二度もこんなことやりたくありませんしね」

勇者「よって、この場にいる者が南方地域に救援に向かうことは認めません」

勇者「もし、この指示が難しい場合は……その先は言う必要ないですよね。自分で考えてみて下さい」
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:50:26.386 ID:x2ilBv2F0
褐色戦士「しかし、俺のオヤジとお袋が!」

勇者「勇者の命令より肉親が大事なのですか? そのような人はパーティーには不要です」

弓使い「産業に乏しいっていってましたけど、漁業が盛んですよ!?」

勇者「私は魚嫌いですし、漁師が何人死のうと大した問題ではありません」

豪傑「あんたにゃ人の心がねえのか!?」

勇者「そこのあなた、不合格です。あと私を侮辱したので、多大な罰金を払って頂きます」

豪傑「な……ッ!」

勇者「では選考会を再開します。次の試験項目は……」

ドヨドヨ… ドヨドヨ…



女僧侶「……」
28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:53:07.133 ID:x2ilBv2F0
ゴシャッ!!!

勇者「ぶっ……!?」

女僧侶「……」ブンブン

勇者「モーニング……スター……?」

勇者「てめえ、何しやがるァァァァァ!!!」ジャキッ

女僧侶「……」ブンブンブンブンブン

ドゴォッ!!!

勇者「ぎゃぶっ!」ドサッ…
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:56:43.078 ID:x2ilBv2F0
女僧侶「ただいまの勇者様……いえ、勇者の発言」

女僧侶「不適切かつ配慮に欠く表現が多々ありましたことを深くお詫び申し上げます」

女僧侶「人々を救うことが使命である勇者が、今まさに魔王軍の脅威に晒されている人々よりも」

女僧侶「自分の都合を優先するなど言語道断であります」

女僧侶「勇者の驕り昂ぶりが現れた言葉遣いが随所にあり、重ね重ねお詫び申し上げます」

女僧侶「選考会はもちろん中断いたしますし、ここからは私が皆さまに指示いたします」

女僧侶「全員で南方地域に救援に向かいましょう! まだ間に合うはずです!」

オーッ!!!
30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 00:59:53.391 ID:x2ilBv2F0
……

……

女僧侶「ではこの四人で、魔王討伐に参りましょう。よろしくお願いします!」

豪傑「おっしゃあ! 絶対魔王をぶっ飛ばすぜ!」

魔法使い「魔法でサポートしてみせます!」

盗賊「鍵開けや抜け道の探索、索敵なんかは任せてくれよ」



大臣「改めて行われた選考会の末、実に納得いくメンバーになりましたな」

国王「うむ、この四人ならば必ずや魔王討伐を成し遂げてくれるだろう」
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/11/21(木) 01:02:14.741 ID:x2ilBv2F0
病院――

勇者「……」

ナース「お怪我、だいぶよくなられましたね」

勇者「……」

ナース「外の景色を見てらっしゃるのですか?」

勇者「うん……ほら、トンボが飛んでる」







<終わり>

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