- 1: 2019/04/24(水) 01:26:49.114 ID:1WnnlXEO0
- 新人「課長、言われていた資料を持ってきました」パサッ
上司「うむ、ありがと――」
上司「!」
上司「なんだこれ……バラバラじゃないか! 普通きっちり上下なんかを揃えて持ってくるもんだろ!」
新人「しかし、揃えろとは言われなかったので……」
上司「言われたことしかできねえのか!」
新人「できません」
- 5: 2019/04/24(水) 01:29:24.435 ID:1WnnlXEO0
- 上司「ほぉ~」
新人「……」
上司「まるで言われたことは絶対できる、というような口ぶりだな」
新人「できます」
上司「面白い……だったら試してやろう」
新人「なんなりと」 - 8: 2019/04/24(水) 01:32:25.911 ID:1WnnlXEO0
- 上司「この荷物を……C社のSさんのところまで持っていけ」
上司「……五分以内に」
新人「分かりました」
上司(できるわけがない……ここからC社までは車でも一時間は――)
ドヒュンッ!
上司(は、速いッ! 一瞬で部屋から飛び出していったぞ!) - 11: 2019/04/24(水) 01:35:20.815 ID:1WnnlXEO0
- 新人「戻りました」
上司「4分58秒……たしかに五分以内だな」
上司「だが、ちゃんと届けてるかどうかは確かめればすぐ分かるんだぞ?」
新人「お確かめ下さい」
上司「ふん……」ピッポッパッ
上司「あ、どうもSさん! 荷物は……え、届いてる!? 分かりました……」
上司「……やるじゃないか」
新人「どうも」 - 15: 2019/04/24(水) 01:38:23.217 ID:1WnnlXEO0
- 上司「ならば次の命令だ」
新人「なんなりと」
上司「この修正液……飲めるかね?」
新人「はい」ゴクゴク
上司「なっ!?」
新人「ごちそうさまです」
上司「……!」 - 19: 2019/04/24(水) 01:41:11.869 ID:1WnnlXEO0
- 上司「次だ!」
新人「どうぞ」
上司「この書類をコピーしたまえ! ただし手書きで!」
新人「分かりました」
シャシャシャッ ズバババババッ
新人「どうぞ」
上司「くうう……心なしかコピー機よりも出来がいい……!」 - 20: 2019/04/24(水) 01:43:06.419 ID:1WnnlXEO0
- 上司「この契約を取ってこい!」
新人「承知しました」タタタッ
新人「取って来ました」
上司「すげえ、しかも破格の条件で!」 - 22: 2019/04/24(水) 01:46:22.598 ID:1WnnlXEO0
- 上司「ならば……次の命令だ」
新人「どうぞ」
上司「部長になってみろ! 私を飛び越えて!」
新人「分かりました」
新人「なりました」
上司「やるじゃないですか、部長!」 - 24: 2019/04/24(水) 01:48:20.856 ID:1WnnlXEO0
- 上司「だったら社長になってみて下さいよ!」
新人「少々お待ち下さい」
新人「社長になりました」
上司「島耕作もビックリだよ!」 - 26: 2019/04/24(水) 01:51:31.110 ID:1WnnlXEO0
- 上司「次は会長に……いや、それじゃつまらんな。変化がないし、どうせ達成できてしまう」
上司「では社長、この会社を業界トップにして下さいよ!」
新人「分かりました」
新人「業界トップにしました」
上司「すげー、日経新聞の一面に出てる!」 - 30: 2019/04/24(水) 01:54:30.858 ID:1WnnlXEO0
- 上司「しかし、ここまで大きくなった会社……崩すのは相当難しいでしょう」
上司「この会社を倒産させて下さい!」
新人「分かりました」
新人「倒産させました」
上司「早い! まるでジェンガの如く倒産した……!」 - 31: 2019/04/24(水) 01:56:25.124 ID:1WnnlXEO0
- 上司「ホームレスになれ!」
新人「分かりました」
新人「お恵みを……」
上司「つい先ほどまで社長だったのがウソのようだ……!」 - 32: 2019/04/24(水) 01:59:22.908 ID:1WnnlXEO0
- 上司「とはいえ、このままではみんなが困ってしまうので……」
上司「もう一度、全ての状態を私が“言われたことしかできねえのか!”と叱った時の状態に戻せ!」
新人「分かりました」
新人「戻しました」
上司「時間でも巻き戻したのかってくらい見事に全て戻った!」 - 33: 2019/04/24(水) 02:02:16.962 ID:1WnnlXEO0
- 新人「お分かり頂けたでしょうか」
上司「!」
新人「私は言われたことは絶対できる、と……」
上司「ぬうう……!」
上司「では、もう一つだけ命令させて欲しい」
新人「なんなりと」 - 36: 2019/04/24(水) 02:05:36.305 ID:1WnnlXEO0
- 上司「私を……倒してみろ」
新人「……」
新人「よろしいのですか? 一度言ってしまうと、もう取り消せませんよ?」
新人「それに命令が“倒せ”だけだと、命の保証は出来かねますが」
上司「かまわん! 手加減せずに来い!」
新人「分かりました」 - 39: 2019/04/24(水) 02:07:51.503 ID:1WnnlXEO0
- 新人「シイッ!!!」
新入社員が繰り出す拳は、音速を遥かに超越(こえ)ていた。
拳は軽々と上司の顔面を粉砕する――
――はずだった。
新人「!?」
新人(消えた!?) - 40: 2019/04/24(水) 02:08:20.639 ID:wr7cSMOi0
- 唐突なバトルにワロタwww
- 43: 2019/04/24(水) 02:10:18.474 ID:1WnnlXEO0
- 上司はしゃがんでいたのだ。
しかし、これは愚策であった。屈んでしまうと次の行動に移りにくい。
新入社員の追撃を回避することは極めて困難になる。
新人「もらったァ!!!」
放たれる手刀。
鋼鉄をも切り裂く手刀が、一直線に上司めがけ振り下ろされる。
新人「真っ二つだッ!!!」 - 49: 2019/04/24(水) 02:13:32.037 ID:1WnnlXEO0
- ――パシィッ!
新人「な……ッ!」
真剣白刃取りの要領で、手刀は受け止められていた。
が、新入社員は微笑む。
新人(両手で手刀をキャッチしたせいで……ボディががら空きだッ!)
ドゴォッ!!!
新入社員の中段蹴りが、上司の腹部にクリーンヒット。
新人「決まったァ! 内臓破裂コォース!!!」 - 52: 2019/04/24(水) 02:16:35.268 ID:1WnnlXEO0
- しかし――
上司「この程度かね」
新人「バ、バカな……」
新人(なぜ俺の蹴りをまともに受けて平然としてるんだ!?)
上司「なぜ俺の蹴りをまともに受けて平然としてるんだ……ってとこか」
新人「う……うおおおおおおおおおおおッ!!!」
思考まで読まれ、もはやパニックに陥る新入社員。
矢継ぎ早に攻撃を繰り出すも、そんなお粗末な攻撃が当たるはずもなく。
上司「私の番だな」
新人(や、やられる……ッ!) - 54: 2019/04/24(水) 02:20:37.604 ID:1WnnlXEO0
- ピシッ
デコピンが、新人の額にぶつけられた。
これがもし本気だったら――新入社員の顔面は蒼白と化していた。
新人「う、く……」
上司「言われたことをできなかった経験は初めてかね?」
新人「なぜ情けをかけたのです!? 殺す価値もないということですか!?」
上司「逆だよ、殺すには惜しいと思ったんだよ」
新人「ど、どういうことだッ!」
上司「実をいうと、私は君のような才能を探していた」
新人「!」 - 56: 2019/04/24(水) 02:23:53.324 ID:1WnnlXEO0
- 上司「会社の課長というのは私の仮の姿でね」
上司「本業は、世界を脅かす悪の組織や怪物と戦っているのだよ」
上司「その傍ら、私の後継者となれるような人間を探していたのだが……」
上司「まだ未熟とはいえ、君ならば十分その素質がある!」
新人「……!」
上司「どうだね、手伝ってみないか」
新人「や、やります! やらせて下さい!」
上司「君ならば、そういってくれると思っていたよ」 - 57: 2019/04/24(水) 02:26:39.582 ID:1WnnlXEO0
- 上司「しかし、君の実力では奴らの相手はまだ早い。たちまち殺されてしまうだろう」
上司「しばらくは私の言う通り修行してもらう」
上司「そして――私とともに世界平和のために戦おう!」
新人「はいっ!」
新人「この“言われたこと”だけは……絶対にこなしてみせます!」
数年後、中年戦士と若き戦士が全世界を闇で覆う巨悪相手に大活躍することになるのだが、それはまた別の話。
― 完 ― - 62: 2019/04/24(水) 02:32:08.710 ID:DqhnhWeR0
- 流れ変わりまくってワロタ
乙 - 67: 2019/04/24(水) 04:05:19.235 ID:JcnB0VqLa
- 仕事出来ない奴に何も教えないで発狂する上司ばっかだから新人が辞めるんだよな
俺コミュ障なのにちゃんと教えて新人残すから教育係扱いされて鬱になって休職したわ
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