- 1: 2019/05/23(木) 00:24:04.116 ID:aOz/eXYS0
- 男「ソーセージいかがっすかー! ぶっとくておいしいよー!」
女「アワビはいかがですかー! おいしいですよー!」
男「おい、ここは俺の縄張りだぞ! どこか行けよ!」
女「いいえ、私の場所よ! あんたこそどこか行きなさいよ!」
男「……」バチバチッ
女「……」バチバチッ
男「ふんっ!」
女「ふんっ!」
- 2: 2019/05/23(木) 00:27:07.212 ID:aOz/eXYS0
- 主婦「一ついただける?」
男「さあ、どうぞ! おいしいですよ!」
主婦「いただくわ」モグッ
主婦「!」
主婦「やだ! なにこれ! ぶっとくておいしいわ!」ハムッハムッ
主婦「やめられないッ! 止まらないィィィィィ!」モゴッモゴッ
男「……」ニヤッ - 3: 2019/05/23(木) 00:30:18.271 ID:aOz/eXYS0
- 少年「お姉さん、アワビくださいな」
女「はーい、おいしいわよ」
少年「いただきまーす!」ジュルッ
少年「!」
少年「うわぁ、濃厚だ~! お姉さんのアワビ、おいしすぎるよ~!」
女「でしょ? いっぱい買っていってね!」 - 4: 2019/05/23(木) 00:33:10.267 ID:aOz/eXYS0
- 男「ふぅ、今日もよく売れたぜ」
女「今日もよく売れたわ!」
男「……」
女「……」
男「お前ジャマなんだよ!」
女「そっちこそジャマなのよ!」
男「なんでここで売るんだ!」
女「ここが一番ベストなのよ! そっちこそなんでここで売るの!」
男「ここが一番いいからだ!」 - 5: 2019/05/23(木) 00:35:03.143 ID:aOz/eXYS0
- 男「……」
女「……」
女「あんたのソーセージ、そんなにうまいの?」
男「うまいとも!」
女「だったら……食べさせてよ!」
男「いいだろう」 - 10: 2019/05/23(木) 00:37:46.148 ID:aOz/eXYS0
- 男「ほらよ」
女「こ、これは……! なんて長くてぶっといの!」
女「いただきます!」モグッ
女「もご!?」
女「ぶっとい上に……すごくジューシィ! おいしい! おいしいわ!」モゴモゴ
男「そうだろう、そうだろう」 - 11: 2019/05/23(木) 00:40:22.338 ID:aOz/eXYS0
- 女「だったら今度は私のアワビを食べて!」
男「いただくよ」ジュルッ
男「うっ!」
男「おおおっ、なんてアワビだ! すさまじい弾力! 栄養が凝縮されてやがる!」
男「こんなうまいアワビ、生まれて初めて食った!」
女「そうでしょ、そうでしょ」 - 12: 2019/05/23(木) 00:42:43.351 ID:aOz/eXYS0
- 男「うまかった……」
女「おいしかったー……」
男「……」
女「……」
男「なかなかやるじゃねえか」
女「そっちこそ」
男「よかったら俺のソーセージ作り見る?」
女「うん!」 - 13: 2019/05/23(木) 00:44:40.426 ID:aOz/eXYS0
- 女「へえ~、洒落たキッチンね」
男「俺の売ってるソーセージは全部ここで作るんだ」
男「まず、こうやって豚肉を味付けして、よくこねる」コネコネ
男「んでもって、これを腸に詰めていく」グニグニ
男「これをさっと茹でりゃあ……出来上がり!」
女「わぁ~、すごい!」 - 14: 2019/05/23(木) 00:46:07.883 ID:aOz/eXYS0
- 男「豚肉はもちろん、小規模だがいい豚を育ててる養豚場から仕入れてる」
女「肉も厳選してるってわけね!」
女「ソーセージ作ってるところ見るの初めてだから、楽しかったわ」
男「あ、そうだ。よかったら、君がアワビ収穫するところを見せてくれないか?」
女「うん、いいよ!」 - 15: 2019/05/23(木) 00:48:25.454 ID:aOz/eXYS0
- ザザーン…
男「静かでいい海岸だね」
女「私のアワビはここで収穫してるの」
女「ただし、獲っていい数は厳密に掟で定められてて……」
男「どうして?」
女「決められた数以上獲ると、生態系が崩れてしまうからよ」
男「なるほどなぁ」 - 18: 2019/05/23(木) 00:51:48.194 ID:aOz/eXYS0
- 女「じゃあ、獲ってくるね」
ザブンッ
男「おおっ、素潜りか!」
シーン…
男(もう何分潜ってるんだ? なんて肺活量だ……)
ザバッ
女「獲れた!」
男「おおー……! かっこいい!」 - 19: 2019/05/23(木) 00:53:33.929 ID:aOz/eXYS0
- 男「今日は楽しかったよ」
女「うん、私も楽しかった!」
男「これからも二人で、あの場所でソーセージとアワビを売り続けよう!」
女「うん!」
男「じゃあねー」
女「またねー」 - 20: 2019/05/23(木) 00:56:22.178 ID:aOz/eXYS0
- ある日――
男「ソーセージいかがっすかー! ぶっとくておいしいよ~!」
男「……ん?」
女「……」
男「あれ? 今日はアワビ売らないの?」
女「うん、ちょっと不漁で……」
男「そっか……」 - 22: 2019/05/23(木) 00:58:25.519 ID:aOz/eXYS0
- 次の日――
男「あれ? 今日も売らないの?」
女「うん……今日はもう帰るね」
男「そっか……」
男「……」
男(気になるな……なにかあったのかな?)
男(ちょっとあの海岸に行ってみるか) - 24: 2019/05/23(木) 01:02:27.059 ID:aOz/eXYS0
- DQN「ヒャッハー! みんな、獲って獲って獲りまくれぇぇぇ!」
仲間A「おう!」
仲間B「こりゃ最高の穴場だぜ!」
女「やめてよ! そんなメチャクチャな獲り方されたら、この一帯のアワビが全滅しちゃう!」
DQN「うるせえよ! 獲りたいもんを好きなだけ獲って何が悪い!」ドンッ
女「あうっ!」ドサッ
DQN「ここは海だ……人を殺しちまっても沈めちまえば問題ねえ。なんならお前も沈めちまうか!」
女「ひ、ひいいっ……!」 - 26: 2019/05/23(木) 01:04:45.952 ID:aOz/eXYS0
- 男「やめろ!」ザッ
女「あっ!」
DQN「だ、誰だてめえは!?」
男「通りすがりのソーセージ売りさ」
男「アワビを乱獲する密漁者ども、俺が相手になってやる!」
DQN「ハァ? ソーセージ売りが俺らと戦うってか? ……やっちまえ!」
ウオオオオオオオ…!!! - 27: 2019/05/23(木) 01:07:02.652 ID:aOz/eXYS0
- 男「ほわたぁ~……」ヒュンヒュンヒュンッ
男「アチョッ!」ブオンッ
バキッ!
男「アチャーッ!」ブオンッ
ボゴッ!
ギャアアアア… グエエエエ…
DQN「な、なにい……!? 繋がってるソーセージをヌンチャクのように操って……!」 - 29: 2019/05/23(木) 01:12:16.603 ID:aOz/eXYS0
- 男「さて、残るはお前だけだな」ヒュヒュンッ
DQN「ち、ちくしょう!」ダッ
男「あっ!」
女「待ちなさい! 必殺……アワビ投げ!」ビュオオオンッ
ガツンッ!
DQN「ぐはっ……! なんて硬いアワビだ……」ドサッ - 30: 2019/05/23(木) 01:15:02.418 ID:aOz/eXYS0
- 男「大丈夫かい?」
女「うん、助けに来てくれて……ありがとう」
男「奴らは警察に突き出したし、もう密漁されることもないだろう」
女「これでまた、アワビを売ることができるわ!」
女「本当に……ありがとう」ギュッ
男「むひょっ!」
男「俺……前から君のことが好きだったんだ!」
女「私も……!」
男「じゃあ、さっそく……今夜は……」 - 31: 2019/05/23(木) 01:17:13.432 ID:aOz/eXYS0
- 男「……」
女「……」
男「大したソーセージじゃなくてごめん……」
女「こっちこそ……ごめんなさい」
おわり - 37: 2019/05/23(木) 01:39:31.220 ID:A01h3MzHd
- イイハナシダナー
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コメント
- とあるSSの訪問者 2019年12月02日
お知らせ
サイトのデザインを大幅に変更しました。まだまだ、改良していこうと思います。
腸に詰めて茹でるって、それはソーセージなんだろうか。