- 1: 2019/05/16(木) 00:31:15.563 ID:nwIxcbIe0
- ―会社―
男「悪いけど、これ頼むよ」
同僚女「分かりました」
男「ホント悪いね~」
同僚女「……」
男(ふぅ~、愛想のない女だ。仕事頼む時はいつも汗かいちゃうよ)
同僚女「ボソッ」
男「!」
男(ほら、なんか言った!)
- 5: 2019/05/16(木) 00:34:39.687 ID:nwIxcbIe0
- 男「やべっ、急がなきゃ!」タタタッ
ドンッ
同僚女「……」
男「あ、ごめん!」
同僚女「ボソッ」
男(またか! 聞こえないようになんか呟きやがって!) - 6: 2019/05/16(木) 00:37:21.393 ID:nwIxcbIe0
- 男「悪いんだけどさー……」
同僚女「はい」
男「これ……コピー頼める?」
同僚女「いいですよ」
男「あ、ありがとう」
同僚女「ボソッ」
男(“コピーぐらい自分でやれ”だなんていってんだろ!? 分かるんだよ!) - 7: 2019/05/16(木) 00:40:16.977 ID:nwIxcbIe0
- ――
男(ヤバイ……ヘマした。これは誰かに手伝ってもらわないと……)
男「あのー……」
同僚女「はい」
男「もう終業時間なんだけど、悪いけど俺と少し残業してくれない?」
同僚女「分かりました」
同僚女「ボソッ」
男(なんか言われた……まあ仕方ない) - 9: 2019/05/16(木) 00:43:17.316 ID:nwIxcbIe0
- 男「ごめんね、俺のミスに巻き込んじゃって」
同僚女「いえ」
同僚女「ボソッ」
同僚女「ボソボソッ」
男「……」
男(はっきり“なんでお前のために残業しなきゃならねえんだ”といってもらえた方がよっぽどマシだ……) - 11: 2019/05/16(木) 00:46:21.194 ID:nwIxcbIe0
- 男(ヤバイ……もうこんな時間になっちゃった)
男「ホントごめんね! この借りは絶対返すから!」
同僚女「いえ」
男「……」
同僚女「ボソッ」
男(ほら、また何かいった!)
男(確かに悪いのは俺だ……。だけどそれならはっきりいえばいいじゃねえか!) - 13: 2019/05/16(木) 00:49:47.329 ID:nwIxcbIe0
- 男「……あのさ!」
同僚女「?」
男「いつもいつもボソボソと……俺に文句があるなら、ちゃんとはっきりいってくれ!」
男「その方が俺としても悪いところ直せるし、お互いのためになると思うんだよ!」
同僚女「文句なんかいってませんよ」
男「!」
同僚女「被害妄想なんじゃないですか?」
男「~~~~!」 - 14: 2019/05/16(木) 00:52:54.853 ID:nwIxcbIe0
- 男「――くそっ!」
男「なんなんだ、あの女……! しらばっくれて……ムカつくなぁ」
男「なぁ、どうすればいい? どうすればあの女のボソボソをやめさせられる?」
友人「んー、盗聴器しかないんじゃないか?」
男「盗聴器!?」
友人「その同僚女の机にこっそり仕掛けてさ。ボソボソの内容をキャッチするんだよ」
友人「そしたら言い逃れできなくなるだろ」
男「なるほど……」 - 15: 2019/05/16(木) 00:55:33.860 ID:nwIxcbIe0
- 男「通販であっさり買えちまった……物騒な世の中だ」
男(この盗聴器が拾った音を、このイヤホンで聞くことができるんだな)
男(試しにテレビのある部屋に盗聴器を仕掛けて、トイレでテレビの音が聞こえるか試してみるか)
男「……」
男「あ、聞こえる! バッチリだ!」
男「よし、あの女がなにいってるのか盗み聞きしてやる!」 - 16: 2019/05/16(木) 00:56:58.466 ID:2tfqOcMMr
- wktk
- 17: 2019/05/16(木) 00:58:27.242 ID:nwIxcbIe0
- 翌日――
コソコソ…
男(早めに出勤して盗聴器を仕掛けられた)
男(はっきりいって変態チックな行為だが、かまやしねえ)
男(あとはあの女のボソボソ声を聞いて、“こう言ってただろ!”と指摘するだけだ!) - 19: 2019/05/16(木) 01:01:24.837 ID:nwIxcbIe0
- 同僚女「……」
男(来た来た……座った)
男(わざと……背中にぶつかる!)
ドンッ
男「あ、ごめん!」
同僚女「いえ」
男(言うぞ~! 言うぞ~~~~~! ――来いッ!) - 20: 2019/05/16(木) 01:04:03.110 ID:nwIxcbIe0
- 同僚女「ボソッ」
『あの人の体と触れ合っちゃった……』
男(――え!?) - 23: 2019/05/16(木) 01:07:20.995 ID:nwIxcbIe0
- 男(なんだ今のは……聞き間違いか?)
男「君、今……」
同僚女「なんでしょう?」
男「い、いや……なんでもない」
同僚女「ボソッ」
『また話しかけられちゃった……なんて素敵な声』
男「……!」 - 24: 2019/05/16(木) 01:10:17.524 ID:nwIxcbIe0
- 男「今晩……また残業頼めるかな?」
同僚女「いいですよ」
男「悪いね!」
同僚女「ボソッ」
『頼られちゃった……嬉しい』
男「……」
男(今日一日……ずっとこんな感じだった)
男(マジか……彼女は悪口じゃなく、“その逆”をボソボソとささやいてたのか) - 25: 2019/05/16(木) 01:13:17.982 ID:nwIxcbIe0
- 男「……」
『二人きりになっちゃった』ボソッ
『足引っぱらないようしっかり仕事しないと』ボソッ
『このままずっとこうしていたい』ボソッ
男(なんか……俺はやらかしてしまった気がする)
男(入っちゃいけない領域に踏み込んでしまったというか……そんな気がする) - 27: 2019/05/16(木) 01:16:28.276 ID:nwIxcbIe0
- 男(彼女は幻滅するだろうが……今すぐ謝ろう!)
男(もうこれ以上、彼女のボソボソを聞いちゃいけない!)
男「ごめんっ!」
同僚女「え?」
男「実は……さっきから、というか朝から……君のボソボソ声、全部聞こえてるんだ」
同僚女「……!?」
同僚女「ど、どういうことですか?」 - 28: 2019/05/16(木) 01:19:15.604 ID:nwIxcbIe0
- 男「俺は……てっきり君がいつも俺の悪口を言ってるんだと思って、机に盗聴器を仕掛けた」
男「そのペン立ての中に仕込んである」
同僚女「え……」ゴソッ
同僚女「ああああああああああっ!!!」
『ああああああああああっ!!!』
男「ぐわぁっ! 耳が、耳がぁ~~~~~!」 - 29: 2019/05/16(木) 01:22:23.649 ID:nwIxcbIe0
- 男(イヤホンを外して……)
男「こんなことして本当にごめん……」
同僚女「いえ、私も悪いんですから……」
同僚女「かえって興奮しちゃいましたし」ボソッ
男「え?」
同僚女「いえ、なんでもありません! なにもいってません!」 - 30: 2019/05/16(木) 01:25:12.352 ID:nwIxcbIe0
- 男「えぇと……君は俺に好意を持ってくれてたってことでいいのかな?」
同僚女「……はい」
男「だけど、なんであんなボソボソ声で? はっきりいってくれれば、盗聴なんかしなかったのに」
同僚女「だって……恥ずかしいですから」
同僚女「それに、私の気持ちなんか伝えてもしょうがないって、諦めてましたから」
同僚女「だから……ついボソボソと……」
男「……」
男(こうして改めて見ると、この子なかなか……) - 31: 2019/05/16(木) 01:29:10.930 ID:nwIxcbIe0
- 男「もうボソボソしなくていいんだ」
同僚女「え?」
男「俺も……君のその気持ちに応えたいと思う」
同僚女「それはまさか……」
男「ああ……俺たち、付き合ってみないか?」
男「そうすればもう、ボソボソとつぶやくこともないだろ?」
男「俺に対して思ったことは、いつでも堂々とハキハキと伝えてくれ!」
同僚女「はいっ、分かりました! よろしくお願いしますっ!」
男「こちらこそ!」
男(今夜はいい恋愛のパートナーと仕事のパートナーが同時に見つかった素晴らしい夜となった)
…………
…… - 32: 2019/05/16(木) 01:32:10.699 ID:nwIxcbIe0
- ―会社―
男(昨夜はお楽しみだったなぁ……)
同僚女「あのっ!」
男「ん?」
同僚女「昨日はベッドの中で気持ちよくしていただいて本当にありがとうございました!」
ザワザワ…
男(声でけえええええ!!!)
― 終わり ― - 33: 2019/05/16(木) 01:34:53.066 ID:jXB1dscCr
- 乙
天然ちゃんだったかw
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