- 1: 2019/05/30(木) 18:14:17.558 ID:B/IKW1Pma
- JK「晴れてる。マジ快晴」
JK「嫌になる。告ったら爆笑されて、動画撮られてて拡散されて」
JK「彼女いるのにその気にさせて裏で笑われてたとかマジ最悪だし、教師も役に立たねえし」
JK『いま校舎の屋上にいる。本当に死ぬから』スマホポチポチ
JK「あいつらバカだからまた拡散するでしょ。そんで私が死んだら警察沙汰になっておしまい」
JK「本当かな。普通にシラ切られる気もするけど」
JK「もういい。生きてたってこんな事ばかりなら、どうでもいい」
??「ねえ?ちょっと待ってよ」
JK「え、誰?入口のカギ閉めたのに」
- 2: 2019/05/30(木) 18:15:02.976 ID:B/IKW1Pma
- 天使「見ての通りさ!白い服!白い羽!金色の輪!僕は天使だよ!」
JK「あ、私忙しいんで結構です」
天使「待って!?僕は怪しいキャッチじゃないし君死のうとしてるよね!?これから用事ある風に拒絶しないで!」
JK「うるさいなあ。あんたがあたしのなにを知ってんの」
天使「君はまだ死ぬ運命じゃない。君にはこれから多くの人々と一緒に幸せになる未来が待ってるのさ!」
JK「わー面白ーい生で見るとやばーいマジウケル」パチパチパチパチ
天使「一瞬テレビに出た中途半端な芸人を生で見て気を遣うみたいな反応やめてくれるかな」
JK「気が済んだ?あんたみたいな偽善者コスプレイヤーに付き合う気ないから。さよなら」ヒュッ
天使「あ!本当に飛び降りた!ええい、神よ!私に力を与えたまえ!」 - 5: 2019/05/30(木) 18:16:48.117 ID:B/IKW1Pma
- JK「ん……、ここは?」
JK「あたし死ななかったのかな。体も痛くないしケガもしてないけど、地面が変に熱い……」
JK「なんか暗い。手足は見えるのに、どこから光が来てるんだろ」
天使「ここは奈落の辺土。延々と闇が広がっているけど君自身の魂が光っているんだよ」
JK「なんなの?別にきいてないんだけど」
天使「拒絶の瞬発力高いね!油断してると心が折れそうだよ!」
JK「呼んでないし。でさ、マジ薄気味悪いんだけど」
天使「そうだね。奈落って言って、この辺はまだ地獄の一丁目と言ってもいいかもね」
JK「あんたのこと言ってんの。まあ、場所も薄気味悪いかな」
天使「僕の薄気味悪さは疑問形じゃないんだね」
JK「顔はいいけど笑顔がうさんくさい。国語の内山が自明自明ってうるさかったけどあんた見たら自明って理解した」
天使「論じるまでもなく見れば分かるレベルって言いたい?」
JK「だねー」
天使「あはは僕も伊達に天使じゃないよ!君の学びに役立てたなら何よりだよ!」 - 7: 2019/05/30(木) 18:19:18.311 ID:B/IKW1Pma
- JK「そんで奈落ってなに?ここどこ?」
天使「本来なら君が来るかもしれない場所だよ」
JK「は?あたしこんな所に一生用ないけど」
天使「あのまま死んでたらここに来てたんだよ」
JK「今ここにいるし、会話通じないんだけどこいつ……、でも本気で体光ってるっぽいし、土も本物みたい……」
天使「君があのまま死んだらここにたどり着く。そして、未来永劫ずっと過ごす場所だ」
JK「はあ?明確に嫌がらせじゃない?あんたあたしに喧嘩売ってる?」
天使「だから止めたんだよね。君はまだここに来ると決まった人間じゃないから」
JK「……あんたマジ気持ち悪いわ。脅してるつもりっぽいけど、あんたは何が目的なの?」
天使「もう一度言うね。自殺をやめてほしいんだ」
JK「へえ。それはお願いなの?強制じゃなくて?」
天使「お願いかな」 - 8: 2019/05/30(木) 18:20:55.260 ID:B/IKW1Pma
- JK「あんたがガチで天使なら私が死ぬ理由知ってんじゃないの?こんなクソみたいな世界、もう無理だわ」
天使「知ってるよ。君が死ぬ理由も、あの世界がクソなのも。だから、お願いだね」
JK「天使ってそんな事言うんだ?最低じゃない?」
天使「だって、嫌がるのを無理矢理止めてもまた死ぬじゃん」
JK「分かってるんなら、もういいでしょ」
天使「まあまあ、ちょっとだけ見て行こうよ。地獄。このまま死ぬならどうせ来るところなんだし」
JK「確かに地獄だわ。あんたいつまでいるの?」
天使「君の冷たい視線で翼が凍り付きそうだよ^^」 - 9: 2019/05/30(木) 18:23:48.418 ID:B/IKW1Pma
- ギャアアア ギャアアアアア
天使「どう?これが地獄だよ」
JK「どうって……、多くの人々が地面でゴロゴロして叫んでるようにしか見えないけど」
天使「そうだね。僕達の立っている場所からはそう見える」
JK「人々も光ってるんだ。空黒いね」
天使「天の光が届かないし、彼らの光も跳ね返ってこないんだ。ほら、遠くの地平線は赤いだろ?」
JK「うん。あれってもしかして」
天使「正確には魂の光だよ。赤いのは血の色でね。地獄を照らすのは人間の魂が発する光だけさ」
JK「へー。何が楽しくてゴロゴロしてるのか分からないけど、私すごい思い直したい今」
天使「まあまあ、折角だからいいもの見せてあげる」
JK「は?なに肩掴んでんの……」
多くの人々「ギャアアアアア ギャアアア ギャアア」
JK「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 - 10: 2019/05/30(木) 18:26:52.099 ID:B/IKW1Pma
- 天使「ちょっと刺激が強すぎたかな。気分はどう?」
JK「……、あんた、私に何したの」
天使「あの人たちの魂と君を繋いだのさ。良かったよ、嬉しそうじゃなくて」
JK「笑えないんだけど。あいつら頭ん中でずっと殺し合いしてんの?」
天使「永遠にね。勘違いしないでほしいけど、あの人たちは自ら望んでこうなったんだ」
JK「嘘でしょ。どういう思考回路してたらあれ望むのか分かんない」
天使「あの人たちは、他人の幸せを全く願わないんだよ」
JK「そんな理由で?だったら、人間で当てはまらないやつとかいないでしょ」
天使「普通の人間は、自分たちが思う以上に他人を思いやるものさ。自分の事しか考えない人間というのは意外に少ないんだ。本来はね」
JK「あんなもん見せといて安っぽい説教じゃ納得できるわけないでしょ。どんな奴なのあいつら」
天使「平たく言えば、あの人たちは自分自身の欲望の奴隷なのさ。全ての欲望を満たさないと気が済まない、邪魔する奴は敵。そして自分は他人に何も与えない」
JK「まあまあまあ、最悪だけど。だからってあれはなくない?いくら何でもやり過ぎ」
天使「あの人たちは無限に死ぬ。いや、死すら拒絶する。何故なら、死はあの人たちにとって欲望を満たす邪魔だからだ。だから、無限に苦しみ続ける」 - 11: 2019/05/30(木) 18:29:25.145 ID:B/IKW1Pma
- JK「いや殺し合う必要なくない?あんたがやらせてるんでしょ」
天使「人間は死ぬと魂だけの存在になり、全ての望みが叶う。だけれども、善人はああいう人たちに寄り付きたいとは思わないんだ」
JK「そうだね。話繋がってないけど」
天使「すると、善人は悪い奴には近づきたくない。悪人は誰でもいいから自分の欲望を満たせる他人を求める。するとどうなるかわかる?」
JK「クズ同士でお互いを利用し合う感じになる?」
天使「ご明察。それで相手を思いやる発想が永遠にできないから、信頼関係が出来ない。友達もできない。俺の言う事を聞け私の言う事を聞けとなって諍いが起きて、最終的に殺し合いになる。そうなると際限が無いね?」
JK「わがままな奴だけだとそうなりそう」
天使「だよね。お互いを奴隷にし合おうとして争いが始まってお互いに死ぬことがないし、自分が悪いと思わないから改心もしない。これが永遠に続くのが地獄なのさ」
JK「でもさ、それだったらいい奴を騙して連れてくればとか考えないの?悪い奴ならありえるでしょ」
天使「善人は誰かがひどい目にあってたら助け合う。自分の事しか考えない連中は他人の為に何か願おうと思わないから助け合わなくて、協力することがあってもすぐに裏切り合いが」
JK「もう分かった!死後の世界でクズは善人に勝てない!それで反省しない!ずっと地獄にしかいられない!OK!?」
天使「おわかりいただいてなによりだよ」 - 12: 2019/05/30(木) 18:31:18.751 ID:B/IKW1Pma
- JK「じゃあさ、自分で死のうとしたあたしは地獄来ないじゃん!思いやりもあるし!」
天使「もっとひどいことになる。だからここに来たんだ」
JK「は?なんで?」
天使「君は当てつけの為に自殺しようとしたよね。違うかな?」
JK「うん?まあ?そう、なるのかな?」
天使「すると、君は生きている人間を相手にあれをする事になるわけだ」
JK「ああ、言われてみれば?かも知れない?」
天使「そういうの、悪霊とか怨霊とか言うんだけど知ってるよね」
JK「ホラー映画かよ。でも復讐する奴決まってるしよくね?知らない奴まで関係ないし」
天使「知らない人は君の事をどう思うかな?死んでまで復讐する奴って」
JK「まあまあヤバいかな」 - 14: 2019/05/30(木) 18:33:21.793 ID:B/IKW1Pma
- 天使「明らかヤバい奴、だよ。だから自殺があると宗教のプロが寄り集まって来て色々な儀式をする。変な事をさせないためにね。手こずる時もあるけど、最終的には天国に送られる」
JK「地獄じゃないんだ。で?それだったら死んでもよくない?」
天使「天国にいる人々は基本的に善人だけど、だからこそ自殺した人には辛いんだ。会う人々は親身になって慰めようとしたり、なんで自殺したのかって怒ったり、本気で悲しんだりする、あるいは不自然なほどやさしかったりね」
JK「逆に怖いじゃんそれ」
天使「だから居づらくなるけれども、天国を出て行ったからって地獄に行くわけじゃない。真底の悪じゃなければ地獄を抜け出す正解に気付くし、変なのが苦しむだけの場所にわざわざ居続けたりしない」
JK「うん」
天使「そうして自殺した人間は天国にも地獄にも居場所を見つけられずに静寂を求めて無に向かって彷徨い続けることになる。最初に来た奈落の辺土が君が最後にたどり着く場所だ」
JK「他にもうちょっとマシな場所はないの?」
天使「月の砂漠というのがあるよ。真空で昼は直射日光ガン差しで夜は絶対零度みたいになるけど、百年もいれば慣れるみたいだね」
JK「へー……。そっかー……。巨大な岩盤浴スポットだと思えば奈落の方がマシかも……」 - 16: 2019/05/30(木) 18:36:15.949 ID:B/IKW1Pma
- 天使「もしかして凹んでる?」
JK「そりゃー、飛び降りちゃったしなー、って」
天使「飛び降りちゃったんだよねー」
JK「他人事みたいに言わないでよ」
天使「だって、僕は止めたし」
JK「じゃあ!なんで私にわざわざこんな話したの!?今から死ぬ私に嫌味でもいいに来たの!感じ悪いってレベルじゃないわよ!」
天使「実はね、君を止めたいと思ったのは僕じゃないんだ」
JK「え?どういうこと?」
天使「実は君を助けてほしいって人がいてね」
JK「マジ親切じゃん。陰陽師の友達とかいないけど誰?」
天使「気になる?」
JK「そりゃ気になるって。一応、お礼とか言わないとダメじゃん?」
天使「そっか。じゃあ、気が変わらないうちに会いに行こう」
JK「う、うん」 - 17: 2019/05/30(木) 18:39:08.061 ID:B/IKW1Pma
- 天使「こちら天国になります」
JK「コンビニでおつり渡すみたいに言わなくてよくない?って、綺麗な町じゃん。噴水すげえでかすぎ」
天使「では、ごゆっくり……」
JK「え?ちょっと待って、私を置き去りにして誰に会いに行けって言うのよ!?」
??「それはあなたが言う資格があるの?」
JK「うわびっくりした。いきなり後ろから話しかけないでよ。誰?」
少女「私が誰だか分かる?」
JK「いや分かんない。私さ、ちょっとお礼に言いに来た人がいるんだけど、あんたわかる?」
少女「それが人にものを聞く態度か!」バチーン
JK「痛!割とマジで痛いんだけど!?あんた誰!?」
少女「お礼と言ったね。あなたみたいなのがこんな所で誰に何のお礼を言いに来たんだ?」
JK「まあまあ怖いな……。言っていいけど、あんた何の関係があるの?」
少女「無いと言えば無いな。じゃあ、私は忙しいから」
JK「忙しいって、話しかけてきたのあんたでしょ!?なんで私が断られてるみたいになってるのよ!」
少女「……」スタスタスタ - 18: 2019/05/30(木) 18:41:45.774 ID:B/IKW1Pma
- JK「マジ訳分かんない……結局誰なのあいつ……」
JK「あいつ本当に行っちゃったし、天使もいないじゃん。ていうか、私視線集めてなくない?」
老人「お嬢さん、困りごとかな?」
JK「天国めっちゃ話しかけてくるじゃん。善人の世界大会かよ」
老人「儂でよければ助けになるがの」
JK(うーん、言いにくい。天使が言ってたことが本当なら黙っておいた方がいいかな)
JK「大丈夫です!お気遣いありがとうございます!」
老人「そうか。探している人が見つかるといいの」
JK「はい!頑張ります!」
JK(……って、人探してるとか言ってないけどさっきの話聞いてたのかな)
幼女「お姉ちゃん、どうして思っていることを言わないの?助けてくれた人にお礼が言いたいんでしょ?」 - 19: 2019/05/30(木) 18:44:08.959 ID:B/IKW1Pma
- JK「おぅふ。びっくりしたー。そうだけど、なんでわかるの?」
幼女「天国はね、他の人が考えてることが分かるんだよ!お姉ちゃん、悪い人じゃなさそうだけど何を隠してるの?」
JK「え」
幼女「あのね、お姉ちゃんが探してる人は」
母親「ごめんなさいね私の娘が失礼な事言って!ごゆっくりどうぞ!」ヨウジョカツギアゲー
幼女「お母さんこのお姉ちゃん」
母親「いいのよ!お姉ちゃんにはお姉ちゃんの事情があるの!ね!いい子だから!さようなら!」
JK「……ヤバい。全ての人に心読まれるとか究極に等しくない?」 - 20: 2019/05/30(木) 18:46:23.932 ID:B/IKW1Pma
- JK(あれから、私が悟りを開くのに時間はかからなかった。心を読まれたくないという気持ちが自明だった)
JK(いや、空気を読まれているのではないかとも思わなくもない。何故なら、見渡す限り誰もいないからだ)
JK(私はいつしか大草原のど真ん中に立っていた。見渡す限りの緑と青。これが、天国か)
JK(奈落の辺土、月の砂漠に続く自殺した人間がたどり着く静寂シリーズ第三弾、見渡す限りの大草原。バカな私にもそれぐらいの事は分かった)
JK(人なんか見たくもない。いや、見られたくないんだ。今は爽やかな光と風だけが友達になれそうだった)
少女「愛と勇気も友達になれないのかな?」
JK「うわ、あんたか。私に近づいても気分悪くなるだけだよ。クズみたいな私の心なんか知りたくないでしょ?」
少女「クズみたい?クズでなかったらなんなだというのか」
JK「はははごめん。クズ以外の何物でもないのかもね」 - 21: 2019/05/30(木) 18:48:24.981 ID:B/IKW1Pma
- 少女「本物のクズからはそんな言葉は出ない。突っ立ってないで座ったらどうだ」
JK「うん。私、疲れた」
少女「そうかい。これ飲むか?」
JK「なにこれラムネ?超懐い」
少女「いらないなら無理に飲まなくていい」
JK「いらないとか言ってないし」プシュ
少女「今日はいい風が吹いてる」
JK「いい風じゃない日もあるんだ?」
少女「気分の問題さ」 - 22: 2019/05/30(木) 18:50:38.553 ID:B/IKW1Pma
- JK「でも、いい風だと思う」
少女「私は暑いのが好きだよ。ここじゃ、夏は来ないから寂しい」
JK「ふーん。私は冬が好きだなあ」
少女「冬も来ないね」
JK「暑くなかったら何でもいい」ゴキュゴキュ
少女「あんた、これからどうするの?ずっとここにいるつもりか?」
JK「分かんない。死んだのも自業自得だし、明らかヤバい奴じゃん私」
少女「あんたに話しかけた親子いただろ?」
JK「見てたんだ。お嬢ちゃん可愛かったね」
少女「あれ、無理心中だよ」 - 23: 2019/05/30(木) 18:52:32.150 ID:B/IKW1Pma
- JK「はあ!?なんで!?」
少女「娘が不治の病でね、母親があの子を抱えて入水したのさ」
JK「人殺しじゃん。なんで母親は天国にいるの?」
少女「娘が望んだのさ。母親と一緒の所に行きたいって。それで母親の方が天国に呼ばれたんだ」
JK「そんなケースありえるんだ……」
少女「この大草原にあの親子も来た。何十年も何百年も二人きりでここにいた。その間に母親は改心してここを出る事が出来たのさ」
JK「へー」
少女「だが、あんたには無理だ。あの母親と同じように自分勝手だけど、天国にいてくれと願う者は誰もいない。いたとしても、あんたがそれを拒む」
JK「よく出来てるよね。あたしみたいなクズにはピッタリだ」
少女「そうかい。あんたが自分で言うんだったら始末に負えないね。もう会う事もないよ」
JK「ラムネありがと。あと、お願いがあるんだけど」 - 26: 2019/05/30(木) 18:54:50.291 ID:B/IKW1Pma
- 少女「なんだ?聞きはするが、」
JK「私の心読めるじゃんか?あたしがお礼言いたかった人、あんたなら分かるだろうから、悪いけどよろしく言っといてくれる」
少女「――」
JK「ま、無理にとは言わないけど。どの面下げてさ、って感じだから。気が向いたらでいいし」
天使「だ、そうですよ」
JK「うわ、悪魔来た」
天使「誰が悪魔ですか」
JK「どうせあたしを天国から追い出しに来たんでしょ?感傷に浸ってるんだからもうちょっとゆっくりさせてよ」
天使「そうです。あなたを地上に叩き返せと神から命じられまして」
JK「地上に……、それってあたしが生き返れるって言ってる!?」
天使「ええ。時間がありませんから急ぎましょう」 - 27: 2019/05/30(木) 18:57:10.039 ID:B/IKW1Pma
- 少女「待て」
JK「あ、色々ありがと。時間ないみたいだから、じゃあね」
天使「はい。あと六時間ぐらいしか時間の余裕が無いので、行きましょう」
JK「ほぼ初対面の人間と六時間も話す用事なくね?なんで急かしたお前?」
少女「急ぐなら仕方がないな。元気でな」
JK「心読める上に話聞いてたのにも関わらず流れ保つ理由!!あんたもいいキャラしてるよね!?」
天使「この方ですよ。あなたを救ってほしいと願ったのは」
JK「マジで?なんで?」
少女「私は仏様に願ったつもりだったんだがね。なんでこんなチャラチャラした若造に頼らねばならんのだ」
JK「仏とか渋いけど正論だわ。あたしも最初こいつキャッチかなんかかと思ったし」
少女「なあ?やたらと大きい羽に趣味の悪い金色の輪っかで天使などと、どこぞの神様は見る目が無いんだろうかね」
JK「わかる。もうちょっとマシな奴いるよねって話なるよね」
天使「あ、お帰りの際はお呼び頂ければすぐ参りますので」
JK「回転寿司かっつの」
少女「さっさと行け。気の利かない」
天使「このひとたちこわい^q^」バササー - 28: 2019/05/30(木) 19:00:02.550 ID:B/IKW1Pma
- JK「で。改めて、かな。あんた誰?」
少女「わからんか?」
JK「……おかんに似てるとは思ってたけど、あんたあたしの親戚?割とマジで」
少女「お前は私の孫で、私はお前の祖母だ」
JK「あ、あー。そういうこと。理解した。なんでも願いが叶うっつって若作りしすぎじゃん?」
少女「あんたのお爺さん、私の旦那が若い女と駆け落ちして死んだんだ。あの人と出会う前の歳にしてもらったんだよ」
JK「は?見た目私より年下じゃん。その年齢で結婚するって犯罪だよね」
少女「昔は私の歳で嫁入りしたんだよ。家同士で決めた許嫁って奴さ」
JK「はー。江戸時代かよ」
少女「私は惚れてたんだがね、あの人はそうでもなかったみたいだ。こっちに来た時、あの人は愛人を選んで二人して地獄に落ちたって知ったよ」
JK「なんかごめん」
少女「いいさ。向こうに帰っても変な事言うんじゃないよ」
JK「物理的に無理重すぎて唇持ち上がらない」
少女「ならいいけどね。あんたの母親は何も知らないし、仕事中に死んだことになってるから、くれぐれも頼むよ」
JK「了解っす」 - 29: 2019/05/30(木) 19:02:23.045 ID:B/IKW1Pma
- 少女「ところであんたが自殺しようとした理由聞いたよ。バカな男に騙されて恥かかされたんだってね」
JK「そういえばそうだった。生き返っても学校行きたくないんだけど」
少女「行きたくなければ行かなければいい。死んでまであいつらを無茶苦茶にしようとしたんだろ?もう十分さ」
JK「頑張って行けって言わないんだ」
少女「悪い奴ってのはね、自分を悪いと思わないんだ。反省しますと言わせたって、二度とやらないと言質を取ったって、心の底から思わないから別の悪いことをする。救いようのない連中だ」
JK「うん」
少女「悪い奴は自分の欲望に逆らえない、欲望の犬、欲望の奴隷だ。それでいて自分が強いという願望を満たす為に弱い奴をいたぶって満足する。他人を騙して自分は賢いんだと自分を褒めて悦に入る」
JK「わかりみが深い」 - 30: 2019/05/30(木) 19:04:33.556 ID:B/IKW1Pma
- 少女「そういう阿呆と面突き合わせても何も得るものはないのさ。勉強なんか学校に行かなくてもできる。将来を考えて勉強できるのは学校だけでもないだろう?無理する理由があるのか?」
JK「今の学校には未練ないかな。学費出してもらった親には悪いけど」
少女「だったら私が言ってやる。夢枕に立ってわざわざ金払って名も知らない阿呆に娘をいじめさせるのかって言ってやろう。金の話など子供の分際で気にするでないわ」
JK「ごめん」
少女「お前が謝る話でもない。私はそう思うというだけだ」
JK「あたし、専門学校に行きたいんだ。だから高校は卒業したい」
少女「専門学校?専門学校って何を学ぶんだ」
JK「あたしアイドル好きでさ、たくさん曲聞いてて私もこんなの作りたいなって思ったから」
少女「ふん。あんたは父親似で器量は十人並みだからステージに立たないのは賢いよ」
JK「どういう意味それ?」
少女「おっと、口が滑ったかな」 - 31: 2019/05/30(木) 19:07:05.257 ID:B/IKW1Pma
- JK「でさー、熊の頭の上に鳩とまってんの。可愛くない?」
少女「私の田舎では春になると熊が出ていたな。あんまりうまいもんでもなかった」
天使「あのーお客様、そろそろお時間の方が参りますがご延長の方はいかが致しましょうか?」
JK「いや帰るけど。さりげなく罠はめようとしないでくれる?」
少女「私は構わないが、お前が地上に叩き落されるぞ」
JK「それありだね。じゃあ延長で」
天使「行きましょうか」
JK「おばあちゃん面白いね。あたしが小さい時に死んじゃったから絡み無かったけど、楽しかったよ」
少女「私もだ。しかし、二度三度と会いたいもんでもない」
JK「そうだね。じゃあ、百年後ぐらいにまた会おう!」
少女「百年もこんな所にいる気はない。とっくに生まれ変わっているだろうよ」
JK「そっかー。寂しいけど、次はいい人生だといいね」
少女「次も、だ。間違わないでくれ」
JK「ウケる。マジおばあちゃんヤバすぎ」
少女「では、お前様頼んだぞ。しかし他にマシな奴はおらんかったのか」
天使「万難を排してお送りいたします^^」
JK「行こ。おばあちゃん、さようなら!」
少女「ん。達者でな」 - 32: 2019/05/30(木) 19:08:44.010 ID:B/IKW1Pma
- JK「……、夢か」
JK「なんか病院っぽい。夢だなこれ」
JK「誰もいない。寝よ」
スマホ「」ピンポーン
『あいつらネットで炎上してマスコミに報道されて警察に逮捕されて退学になるらしいよ!たのむ、生きてかえってきて!あんなやつらのために死ぬことないってみんな言ってるから!』 - 33: 2019/05/30(木) 19:10:20.522 ID:B/IKW1Pma
- 天使「こんな感じでよろしかったですか?」
少女「悪くはない。しかし、せっかく極楽でのんびりしていたのに出ていかねばならんとはな」
天使「これも『取り決め』ですから。地上に介入した以上は報いを受けて頂きます」
少女「分かっている。ところで、仏様にお願いしたのに西洋の天使様がいらっしゃったのも『取り決め』かな?」
天使「仰る意味がよくわかりませんが」
少女「お願いされた仏様が地上に介入すると『取り決め』で差しさわりがあるのではないか?だから頼まれていない者が横入りをする体で体裁を取り繕っているんだろう」
天使「いいえ?ましてや、天国に来た善人だからと言って地上を好き勝手にさせると世界の混乱につながるなんて話、聞いたこともないですね」
少女「ふん。転生すると記憶がなくなるからと言ってよく喋る」
天使「ここだけの話ですよ」
少女「お前なんぞ信じられるか。しかし、思し召しというのは誰様であっても奥が深いな」
天使「では……、どこがいいですか?世界中お望みの場所を選んでいただけますが」
少女「ふむ。ならば私はアイドルになりたい。名プロデューサーの作った曲でステージに出たい。そうすれば、世界のどこで生まれようと孫の作った曲を歌う機会もあるだろうからな」
天使「分かりました。良い人生を」 - 34: 2019/05/30(木) 19:11:58.019 ID:B/IKW1Pma
- 少女(あれから8年の月日が経ち、私は日本に転生して芸能史上最高美少女子役アイドルとして絶頂を極めていた)
少女(どんな『取り決め』だったのか知らないが、前世の記憶は残っているし心の声も読めるというのは大事故ではないだろうか)
新人プロデューサー「すいません!遅れました!申し訳ございません!」(人生終わる……!!)
少女「大丈夫です。お忙しいかと存じますし、私もいつもスケジュール通りではありませんので」(しかも孫の初プロデュースが私の新曲だ。やはり、仕向けたか)ゴゴゴゴ
新人プロデューサー(可憐な笑みの裏から溢れるオーラ、これが"史上最年少大御所"と呼ばれる天才子役アイドルの風格……!!!人生終わった……!!)
新人プロデューサー「で、では、以前お話させて頂いた曲と歌詞、本日お持ちしました!」(人生終わった……)
少女「早速拝見させていただいて宜しいですか?」(忙しいのは知っているから、そんなに気にするな)
新人プロデューサー「はい、こちらに!」(終わった……)
少女「うるさいですね……」(歌詞はこちらですね)
新人プロデューサー「は、大変、失礼いたしました!」(これが死か) - 35: 2019/05/30(木) 19:13:10.702 ID:B/IKW1Pma
- 少女「……孤独と向き合いながら見えない希望を信じて歩き続けるという歌詞の雰囲気がとてもいいですね」(いいな)
新人プロデューサー「はい!お分かりいただけて光栄です!」(すげえ初見でわかるとか)
マネージャー「私もいいと思います」("長老"なら天才だしいけるな)
少女「でも、感謝の気持ちもあるんでしょうか。足元に道があるのに気づいた時、一人じゃないのを知った、というのは」(裏で私を"長老"とか言ってるのかこいつらは)
新人プロデューサー「はい、それは昔に」(はい、それは昔に)
少女「私は気に入りました。次の新曲はこれで行きたいです」(皆まで言わなくていい)
新人プロデューサー「ありがとうございます!よろしくお願いいたします!」(いやっほおおおお)
少女「しかし、二度三度も会いたいもんでもないと言ったが、そうでもないな……」ボソ
新人プロデューサー「はい?」
少女「なんでもありません。こちらこそよろしくお願いいたします」ニコッ
おわり
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