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421: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:23:42.26 ID:vsTCaTOpo
楓「はい、とても風が強くて……」

武内P「タクシーを呼ばれては?」

楓「貴方はどうするんですか?」

武内P「いえ、私は電車で……」

楓「だったら、私も負けていられません」

武内P「……あの、何故張り合う必要が?」
422: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:25:49.66 ID:vsTCaTOpo
楓「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「あの、駅は逆方向では」

楓「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

楓「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「……」

楓「ファンの方達と、笑顔で!」

武内P「通行人の方は、ほとんど居ませんが……」
423: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:28:51.77 ID:vsTCaTOpo
武内P「しかし……風邪を引いてしまいます」

楓「大丈夫です。傘が、私を守ってくれます」

武内P「あの、物凄い横殴りの雨なのですが」

楓「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

楓「此処は、ライトが暗すぎるわね」

武内P「……台風、ですから」
424: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:31:04.10 ID:vsTCaTOpo
武内P「! すみません、携帯が……」

楓「はい、どうぞ」

武内P「……部長が、車で送ってくださると」

楓「!?」

武内P「……」

楓「!!?」

武内P「……お断り、しておきます」

楓「まあ、せっかくでしたのに……」

武内P「……」
425: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:34:13.31 ID:vsTCaTOpo
武内P「……それでは、行きましょうか」

楓「ええ」

武内P・楓「……」


ズバンッ!


武内P「……一瞬、でしたね」

楓「……傘、壊れちゃいまいたね」

武内P・楓「……」
426: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:36:50.47 ID:vsTCaTOpo
武内P「……やはり、タクシーを呼びましょう」

楓「それしか、無さそうですね」

武内P「料金は、私が出しますので……」

楓「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「いえ、あの、逆方向なので……」

楓「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「……」
427: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:39:37.78 ID:vsTCaTOpo
武内P「それに、私の利用する駅は近いですし……」

楓「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

楓「料金は、私がおもちします」

武内P「私は、駅まで歩いてすぐなので……」

楓「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

楓「風が強くて、よく聞こえません」
428: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:42:37.33 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

武内P「タクシーを呼びました。すぐ、来るかと」

楓「お手数をおかけしました」

武内P「……」

楓「……?」


武内P「っ……!」

ダッ!


楓「!? 待ってください!」

ダッ!


武内P「何故、追ってくるんですか!?」

楓「逃げるからです!」
429: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:46:45.09 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

楓「……ふぅ……ふぅ……!」

武内P「……高垣さん、タオルを」

楓「ありがとう……ふぅ……ございます」

武内P「あの、私は電車で帰りますから」

楓「……ああ、誰かさんのせいで濡れてしまったわ」

武内P「私のせい、ですか!?」

楓「それに、急に走って疲れちゃいました」

武内P「……!?」
430: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:51:04.12 ID:vsTCaTOpo
楓「……」ジッ

武内P「……わかりました。タクシーが来るまで、此処に」

楓「?」

武内P「私は電車で帰りますからね?」

楓「タクシーが来るのに、ですか?」

武内P「はい」

楓「もう、ワガママを言って私を困らせて、楽しいですか?」

武内P「!? 待ってください! その発想はおかしいです!」
431: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:54:32.35 ID:vsTCaTOpo
楓「雨に濡れて、一人で帰れだなんて……」

武内P「いえ、それは――」

楓「くしゃみ!」

武内P「? あの、今のは?」

楓「あっ、間違えちゃった」

武内P「?」

楓「はっくしょん!」

武内P「高垣さん、酔ってるんですか!?」
432: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:58:28.75 ID:vsTCaTOpo
武内P「……わかりました。私も、タクシーで帰ります」

楓「うふふっ、最初から素直になれば良いんです」

武内P「……最初から、素直だったつもりです」

楓「あっ、タクシーが来ましたよ」

武内P「……」

楓「これで、やっと帰れますね」

武内P「……そう、ですね」
433: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 19:01:09.86 ID:vsTCaTOpo
楓「それじゃあ、先に乗ってください」

武内P「……」

楓「私が乗りこんだ瞬間、走りだすつもりでしたよね」

武内P「……」

楓「……」

武内P「いえ、そんな事はありません」

楓「はい、先に乗ってください」

武内P「……」
434: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 19:04:40.42 ID:vsTCaTOpo
武内P「……」

楓「反対側のドアから降りても、無駄ですよ」

武内P「……何故、でしょうか」

楓「私、一度やってみたかったんです」

武内P「……何をですか」

楓「前の男を追ってください、って」

武内P「……!」

楓「うふふっ♪」
435: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 19:07:25.08 ID:vsTCaTOpo
ガチャッ

楓「はい、乗ってください」

武内P「……」

楓「……!」

ぐいぐい!

武内P「乗ります。乗りますから、押し込まないでください!」

楓「よろしい」

武内P「……」

バタンッ
436: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 19:13:22.16 ID:vsTCaTOpo
武内P「……では、先に高垣さんの自宅に向かいましょう」

楓「あっ、少し寄る所が」

武内P「構いませんよ。まだ、時間も早いですし」

楓「ありがとうございます」


楓「運転手さん、この住所にお願いします」


武内P「スマートフォンに表示しておくとは、準備が良いですね」

楓「はい。台風ですし、せっかくの機会ですから」

武内P「? どこに行くつもりで――」


武内P「――近くの居酒屋の住所じゃないですか!」


楓「タイ風、ですよ」



おわり
437: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 20:55:28.75 ID:vsTCaTOpo
忘れてたので書きます
438: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 21:06:19.18 ID:vsTCaTOpo

「っ……!?」


 ガン、ガンとバスの車体にまた衝撃が加えられた。
 その衝撃を与えてくる影の正体は――怪人。
 頭部がウサギ、と言えば可愛らしいが、
その顔は醜く、残忍な性格を隠すことなくこれでもかと表している。


「……」


 プロデューサーさんが、ゆっくりと立ち上がった。
 揺れる車内を悠然と歩く姿に、私達は息を飲んだ。


「新田さん」


 唐突にかけられた、声。
 その声はいつものように低く、落ち着いている。
 私達が何かした時の方が、焦ってるんじゃないかしら。


「は、はいっ!」


 思考して、返事をするのが遅れてしまった。
 きっと、プロデューサーさんは大事な事を言う。
 プロジェクトのリーダーとして、聞き逃す訳にはいかない事を。


「私は、此処を離れます」
「離れるって……何を言ってるんですか?」


 今も、バスは高速で走り続けている。
 止まったら、ウサギの怪人によって私達は終わりだ。
 だから、離れるなんて、出来ないはずなのに……。


「皆さんをお願いします」


 そう言うと、プロデューサーさんは上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。
439: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 21:12:38.84 ID:vsTCaTOpo

「……」


 プロデューサーさんの腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っていた。
 

「私が、奴を倒します」


 右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえた。
 あの声は、確か……。
 プロデューサーさんは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』



 プロデューサーさんの体を光が包み込んでいく。
 光の粒子はやがて形を成していき、鎧を纏わせた。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあり、まるでスーツのよう。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 プロデューサーさんが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ない。


「……」


 だけど私は、確かにその向こう側に希望を見た。
440: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 21:24:28.59 ID:vsTCaTOpo

「だ、だけど……相手は物凄い速さで走ってるんですよ!?」


 今のプロデューサーさんは、とても強そうに見える。
 けれど、あのウサギの怪人よりも早く走れるというのか。
 あんな、高速で動く相手をどうやって……。


「はい。ですが――」


 カツン、カツンと歩く音が車内に響く。
 私達は、息を飲んで続くプロデューサーさんの言葉を待った。


「――私一人では、ありませんので」


 プシュウ、と音を立ててバス前方の出入り口が開いた。
 ウサギの怪人から逃げるため、景色が物凄い速さで流れていく。
 プロデューサーさんは、



「ピニャコラッター!」



 そう言うと、バスの車外へ躍り出た。
 いくら鎧を着ているとは言え、この速さで車外に出たらただでは済まない。
 そう思った私達の耳に届いた、低い、低い音声。



『ぴにゃぴっぴ』



 大きな、黒い影。
 その、巨大な黒い影はプロデューサーさんと地面の間に潜り込むと、
プロデューサーさんの体を乗せ、疾風のように走り出した。



『Unit debut!!』
441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 21:41:02.49 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

「……」


 吹き付ける風も、スーツのおかげでほとんど影響は無い。
 ピニャコラッターも、今か今かと暴れる時を待っている。
 エンジンのあげる唸り声が、今はとても頼もしい。


「さあ、行きましょう」
『ぴにゃー』


 私が声をかけると、ピニャコラッターが返事をした。
 このマシンは、ただの大型のバイクではない。
 人工知能を搭載した、正に、相棒とも呼ぶべき存在だ。


「……!」
『ぴ~――……』


 速度を落として左足を地面に付き、少々強引にUターン。
 スーツを纏った私の脚は、彼の重量を支えきる。
 それに、こんな所で倒れる訳にはいかない。


「ふっ!」
『――にゃ~!』


 彼も、私も。
 ターン終了と同時に、急加速。
 地面についていた左足が、アスファルトに擦れ火花を上げた。
 高速道路を逆走し、すぐに目標を捉えた。



「UUUUKYUUUUUUU!!」



 私達は、バスに体当たりをせんとしていたウサギの怪人に、



「善処します!」
『ぴにゃっぴ!』



 速度を緩めること無く、全力で突撃した。
442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 21:56:10.08 ID:vsTCaTOpo

「おおおおっ!」
『ぴにゃ~っ!』


 高速で走る二つの物体の、正面衝突。
 勝ったのは、



「GYUUUUUUUU!?」



 私達だ。
 当然の結果です。
 何故なら、私達は一人ではないのだから。


「……!」
『ぴにゃっぴ!』
「GYUUUU!? GYUUUUUOO!?」


 ピニャコラッターは、ウサギの怪人をその前方に乗せ、バスから引き離していく。
 ウサギの怪人が暴れて脱出しようともがくが、それは叶わない。


「少し、お時間を頂けますか」
「GYUUUUU!? GYUUAAAA!?」


 私の両手が、ウサギの怪人を捕らえて離さないからだ。


『ぴにゃっ!』


 運転をピニャコラッターに任せ、距離を稼ぐ。
 ここまで来れば、もう心配は無いだろうか。



「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』



 私の声を聞いたピニャコラッターは、壁を駆け登る。
 私達は一塊となり、高速道路の外へと飛び出した。
443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 22:17:46.09 ID:vsTCaTOpo

 一塊だった私達の影が、空中で二つに分かれる。
 それは当然、私達と、ウサギの怪人にだ。


「……」


 ピニャコラッターの上に立ち、彼を足場にして跳び、


「――企画!」
「GYUUUAAA!?」


『CooL!!』


 ブルーの光を纏った右の脚をウサギ怪人の頭部に見舞う。
 やはり、不安定な体勢で放った一撃では、あまり効果は望めない。


「――検討中です!」
「UUUKYUUAAA!?」


『Cute!!』


 しかし、それでも私は追撃の手を緩める事はない。
 ピンクの光を纏った拳をウサギ怪人の腹部に突き刺しつつ、地面に叩きつける。
 落下の衝撃が合わさったそれでも、仕留めるには至らなかった。


「KYUUUUUUUUU!!」
「ぐおっ!?」


 私の下で、ウサギ怪人が力を振り絞り、暴れた。
 あの速度が出せるだけの脚だ。
 その脚力は相当なもので、蹴り上げられた拍子に距離を空けられてしまう。


「――待ってください!」


 しかし、ここで逃がすわけにはいかない。
 ここで逃したら、いつ、またアイドル達にその牙を向けるかわからないのだから。


『Passion!!』


 私に背を向けて逃走を図ろうとしたウサギ怪人の脚を
銃の形にしていた私の左手から放たれたイエローの光が撃ち抜いた。
444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 22:33:40.21 ID:vsTCaTOpo

「KYUUU……KYUUUUU!!」


 それでも、奴は諦めなかった。
 最初の時の速さは見る影もないが、それでも、走り出す。
 一瞬、このまま逃してやろうと、そんな思いに駆られた。


「……」


 だが、それは出来ない。
 彼は怪人で、アイドルから笑顔を……その生命を奪おうとする者。
 そして私は、そんな彼女達を守る……プロデューサーなのだから。


「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』


 呼ぶのが遅い、と言わんばかりに、ピニャコラッターが横に走り寄る。
 その背に跨り、私達は一つとなる。
 怪人を――倒すために。


『Tricoloooooor!!』


 ピンク、ブルー、イエローの3つの光を纏った‘私’は、ウサギの怪人に突撃した。
 3つの光の尾を引きながら、私はウサギの怪人を粒子にした感触を味わっていた。


『ぴにゃ~……』


 そんな私に、ピニャコラッターが声をかけてくる。
 彼のボディーを労るように撫でると、彼の鳴き声は止んだ。


 なくのはやめろ、ピニャコラッター。


 私達は、笑顔を守ったのだから。
445: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 22:49:02.06 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

「新田さん、ありがとうございました」


 合流したプロデューサーさんが、頭を下げてきた。
 それは、いつものとても丁寧なお辞儀。
 だけど、その表情はなんだか……。


「いっ、いえ……」
「……」


 プロデューサーさんがこんな表情をする理由が、私にはわからない。
 それなのに、今は、この人を放っておいては駄目な気がする。


「こちらこそ、ありがとうございました!」


 でも、こんな時にどんな顔をしたらいいかわからない。
 アイドルとして、リーダーとして、一人の人間として。
 こんな顔をしている人に、どんな表情を向ければ良いの?


「……」


 顔を上げて、プロデューサーさんを見る。
 私のそんな思いを察したのか、プロデューサーさんは右手を首筋にやって、困った顔をした。


「……新田さん」
「……」


 教えてください、プロデューサーさん。


「笑顔です」
「っ!?」


 思っていた事をズバリ言い当てられ、ビックリしちゃった。


「皆さんの笑顔のため、私はプロデューサーになったのです」


 だから、笑っていてください。
 そう言って笑ったプロデューサーさんの笑顔は、とても下手で、泣いている様に見えた。



おわり 

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