- 1: 2018/04/10(火) 22:24:05.582 ID:fBoTaDE30
- 魔王「え、ならないの?それ本気でいってるの?」
勇者「むぐむぐ……ぐ……(猿ぐつわされて話せない)」
魔王「私の犬を殺しておいてよくそんなことが言えるじゃん」
勇者「……」
魔王「私を殺せば良かったのに、なんで関係ない私の犬を殺したの?」
勇者「……」
魔王「楽しかった?私があんなに助けてほしいって請うたの」
魔王が勇者の顔を物のように掴む
勇者「っ……」
魔王「さぞ愉快だったでしょうねえ……」
- 2: 2018/04/10(火) 22:27:51.113 ID:fBoTaDE30
- 魔王「あなたが私の犬になったら……私の犬のように、あなたが私の犬を苦しめたように、あなたを苦しめて殺すわ……」
勇者「……っ(くそ……拘束されて逃げられない)」
魔王「それまでは安心して……♪」
勇者「……?」
魔王「あなたがわたしの犬になるまでは殺さないってことよ」
勇者「!……っ!!」
魔王「私の犬になるまで精々頑張ってね」 - 3: 2018/04/10(火) 22:31:12.292 ID:fBoTaDE30
- 魔王「さてどうしようか……犬だから私の犬みたいに、私への忠誠心を育てなくちゃね」
勇者「……」
魔王「誰が飼い主か分からせなくちゃ」
勇者「……(いままで勇者として頑張ってきたんだ、簡単に屈するか)」
魔王「じゃあね」
勇者「……?」 - 4: 2018/04/10(火) 22:33:52.659 ID:fBoTaDE30
- 勇者「……(くそあれからどれくらい経った?)」
勇者「(時間の間隔がない……)」
勇者「(一日?いや数日か?……喉が乾いた)」
勇者「……(まだやる気かよ)」
勇者「……(喉が枯れて息がしにくい)」 - 6: 2018/04/10(火) 22:37:01.802 ID:fBoTaDE30
- 勇者「っ……かはっ……けほっ!!……っ!!」
勇者「(喉が乾くってこんなに辛いの……?!)」
勇者「(誰か助けに来ないの……!?)」
勇者「(いや来るとすればあいつだけ……)」
勇者「(屈するもんか……このまま私は死ぬんだ……そうだ死んでやる)」 - 7: 2018/04/10(火) 22:40:35.611 ID:fBoTaDE30
- 勇者「かはー……かひゅ……かはー……」
魔王「久しぶりー」
勇者「!?!?……げほげほ!!」
魔王「ああ、そのままでいいよ、辛いよね」
勇者「かひゅー(ああこいつだ……私をこんな目にあわせてる奴……)」
魔王「お水もってきたよー」
勇者「!!、!?!、げほげほ(みず!みず!!?!むみずみず!!!)」 - 10: 2018/04/10(火) 22:42:31.797 ID:fBoTaDE30
- 魔王「ああ、ただじゃあげない、条件があるの」
勇者「!??(みず!みずみずみず!!!)」
魔王「私の言葉ちゃんと聞いてる?犬でもご主人の命令はちゃんと聞くよ?」 - 12: 2018/04/10(火) 22:48:56.777 ID:fBoTaDE30
- 勇者「!!?!?(条件?!?みず!!ほしい!!)」
魔王「一言『私の犬になります』って言うだけでいいの」
勇者「……けほけほ(なんでそんなこと言わなきゃ)けほけほ」
魔王「なんでって?意味なんてないよ、私が言ってほしいだけ」
魔王「こんな言葉ひとつであなたが私に服従するはずがない、そうでしょ?」
勇者「……(みずがほしい……言ってもいいか……どうせ私の気持ちは変わらないし……そうだよね)」 - 13: 2018/04/10(火) 22:54:09.737 ID:fBoTaDE30
- 魔王「じゃあ喋れるようにしてあげるね」
勇者「!!……おまえっ……げほげほ」
魔王「……ん?」
勇者「この……やろ(なに言ってんの私、みず貰えないじゃん)」
魔王「まだ……私に反抗するんだ……」
魔王「水欲しいんでしょ?それとももう少し時間が欲しい?」
勇者「それは嫌っっ!がはっ……お願い……」
魔王「じゃあ……言ってよ」
勇者「っ!……」
魔王「私の犬だって言ってよ……ね?」
勇者「わ……、私は……あんたの犬」 - 14: 2018/04/10(火) 22:57:04.715 ID:fBoTaDE30
- 魔王「約束の水だよ、沢山飲みな」
勇者「がぶがぶがぶ!!!」
魔王「やだ///犬みたいな飲みっぷりじゃん」
勇者「(みず!みずみずみず!!!)」
魔王「私の声聞こえてる?犬みたいって罵倒されてるんだよ?」
勇者「がぶがぶがぶ」
魔王「ふふふっ……第一歩、踏み出せたね?」 - 16: 2018/04/10(火) 23:04:51.931 ID:fBoTaDE30
- 勇者「(あれから数日が経った……)」
勇者「(いや、一日しか経っていないのか一ヶ月か分からない……記憶があいまいで分からない……水も食事も不定期だし)」
勇者「(自分の記憶が信用できない……そういえば魔王は少し前に三日目だって言ってたような……)」
勇者「(でも魔王の洗脳の手口かも……信用はできないな……信用できるのは私だけ……私だけ……私だけ……私しかいない)」
勇者「(私だけが頑張らなくちゃ……私を助けられるのは私だけ……魔王の言うことなんか信用するな)」
勇者「(一日中魔王のこと考えてる……信用できるのは魔王の言うことだけだから気になっちゃう……いや、魔王なんか信用なんかするな馬鹿!相手の思う壺じゃん……!)」 - 17: 2018/04/10(火) 23:12:25.176 ID:fBoTaDE30
- 魔王「ちゃんと形だけでも私の犬としての態度とれば、水も食べ物もお風呂も用意してあげるんだからね」
勇者「……」ギラ
魔王「おおーいい目してるじゃん」
勇者「あんたなんか……」
魔王「うんうん、その意気だよ♪」
勇者「……(私は犬だって言っちゃった、水欲しさに……こんなやつに)」
魔王「あれ、泣いてるの?」
勇者「……泣く……もんかっ……!」
魔王「まあ、慣れれば平気だよ、形だけそういう態度とるのに慣れてないだけ」
魔王「すぐに馴れるよ」 - 18: 2018/04/10(火) 23:14:56.994 ID:fBoTaDE30
- 魔王「でもあなたの状況考えると、私の犬と変わらないよね」
魔王「私が水やりたい時に水やって」
魔王「私が許せばご飯も食べられるしお風呂も入れるし」
魔王「私に飼われてるのとおなじだね?」
勇者「……っ!!」 - 19: 2018/04/10(火) 23:21:42.030 ID:fBoTaDE30
- 魔王「また随分時間がたったね……」
魔王「水取らないと死んじゃうよ?」
勇者「……(ああ……わかんない……何日目?いやそんなこと関係ない)」
魔王「すっかり衰弱しちゃって、意地っ張りのお犬さん?」
勇者「……(訊きたい、今何日だ?何日経った?)」
魔王「私はあなたが立場をわきまえてちゃんとお願いするならどんな願いでも聞くんだよ?」
勇者「……(どんな願いでも……)」 - 20: 2018/04/10(火) 23:28:13.567 ID:fBoTaDE30
- 魔王「水、要らないの?また犬みたいにおねだりしてよ」
勇者「みず……いらない……」
魔王「……あ?」
勇者「いま何日……?ハー……、何日?何日経ったの?」
魔王「あは☆そんなこと?」
魔王「なんだ、てっきり私の洗脳が上手くいってないのかと思って心配しちゃったじゃん」
勇者「いいから……おしえて……、っ……お、教えてくだ……さい」
魔王「うんうん、ちゃんと言葉も使い分けてるね、偉い偉い」
魔王「じゃあ教えてあげるね、ビックリしないでね」
魔王「今日は~……四日目だよ!」
勇者「……っ!(四日目……?これで四日目?!)」
勇者「(そんな嘘だ……だってこんなに苦しいのに)」
勇者「(なにか、どうにかしなきゃ、このままじゃ狂うっ!)」 - 21: 2018/04/10(火) 23:33:45.122 ID:fBoTaDE30
- 勇者「(そうだ、手っ取り早い方法があるじゃん)」
勇者「(死ねばいい!このまま干からびて死ねばいいんだ!)」
勇者「魔王に反抗して死ねばいいんだ!」
魔王「大丈夫~?心の声漏れてるよ~?」
勇者「死ねば良かったんだ!そうだった!また教会の復帰ポイントまで戻ればいいんだ!」
勇者「そうしたらまたやり直せるんだ!全部なかったことになるんだ!ハハハッ!死ね!死ね!」
魔王「いいよ、希望にすがって、もっと狂って」 - 22: 2018/04/10(火) 23:38:06.074 ID:fBoTaDE30
- 魔王「じゃあ貴方に貴方の信じる希望を与えてあげる」
勇者「お願いすればいいのね?!犬みたいに?ハハハッ!後悔しないでよ?!」
魔王「いいよ、私はかまわない」
勇者「私は魔王さまの犬です!!ぶっ殺してください!!犬みたいになぶり殺してくだあさい!!」
プシューーーッ!!!
一瞬、赤い靄が視界を覆った - 23: 2018/04/10(火) 23:41:09.529 ID:fBoTaDE30
- 勇者「……(そうだ今頃神父が復活の儀式をしてるはず)」
勇者「……(私が生きる意思を持ってるなら加護は消えない、死ぬこともない)」
勇者「……(棺桶の蓋を開けたら全てをやり直すんだ)」
勇者「……(ああ、光だ、蓋が空いた)」 - 24: 2018/04/10(火) 23:45:13.286 ID:fBoTaDE30
- 勇者「……(なんか、変だ……)」
勇者「……(神父さまがトマトみたいに、顔が潰れて……赤い……)」
勇者「っ!?……うぇー!!!ゲロゲロゲロ!!!(死んでる……!酷い!)」
勇者「……(あと一人こっちを覗き込んでる……!だっ……だれだ!)」
魔王「ひさしぶりね?」 - 25: 2018/04/10(火) 23:45:35.398 ID:fBoTaDE30
- ここで終わり
- 26: 2018/04/11(水) 00:11:15.614 ID:iY++XvoO0
- 妄想捗ってきたからまたこれ最後
魔王「おかえりなさい、勇者さま☆」
勇者「あっ!ああっ!ああああああああああ!!!あああああ!!」
魔王「教会近くだったから神官ども皆殺しにして勇者のこと待ち伏せてたよ」
魔王「だから言ったじゃん」
魔王「あなたが私の犬になるまで終わらないの」
魔王「あなたが心の底から私を愛して、私に忠誠を誓ってから、あなたを殺すの」
魔王「愛してるのに、忠誠を尽くしてるのに、殺されちゃうの」
魔王「そして、あなたは私に忠誠を誓っているから、私の意思に従って復活を諦めるの」
魔王「あなたは私のことが大好きで私と一緒にいたいのにね?あなたは自分でそれを全部捨てて死ななきゃいけないの」
魔王「それはとてもとても辛いことだと思うの」
魔王「だからその時まで殺さない、失敗したら何度でもやり直す、何度も忠誠心を刷り込むの」
魔王「私も復活の魔法を使えるからね?私のこと愛してないのに自殺して逃げ出そうとしてもダメだよ?」
魔法「楽しみだなーこれから」
魔法「ねえ、楽しみじゃない?私を愛して忠誠を誓うの、楽しみでしょ?ねえ!!私の死んだ犬みたいに!!!?」 - 27: 2018/04/11(水) 00:30:43.197 ID:iY++XvoO0
- 魔王「ああ、誤解しないでね、私は貴方のこと愛してるの」
魔王「とてもとても愛してるの!私が私の犬を愛したように!」
魔王「こんな怖い思いさせてるのは貴方を教育するためなの、ごめんね」
勇者「……(はやく……魔王の犬にならなきゃ……でも、殺される)」
勇者「……(いや、もういや……はやく魔王のこと好きにならなきゃ……)」
勇者「……(こんなのはやく終わらせなきゃ……)」
勇者「……(でもこんな自分を愛してくれるなんて、魔王は凄いな……)」
勇者「……(本当に愛してるのかな?どうでもいいや、考えてること全部意味ない気がする)」
勇者「……(頭が壊れていく感覚がする……魔王は愛してくれるって、魔王は凄いな)」
勇者「……(わたし魔王のこと好きになれるかな、殺されるまで頑張ってみようかな)」
勇者「……(魔王は凄いな……あれさっきも考えたよこれ、いやでも魔王は慈悲深いな)」
魔王「あれ?どうしたの?」
勇者「えへへ……」
魔王「早く帰って、貴方についた汚い神父の体液を綺麗にしないとね……」
勇者「……うん……ふひひ」 - 29: 2018/04/11(水) 00:42:13.922 ID:iY++XvoO0
- 勇者「……(そういえば魔王は私が望んだものを与えなかったことはないな)」
勇者「……(いつも私がお願いすれば叶えてくれた)」
勇者「……(それに私のこと愛してるって……言ってた///)」
勇者「……(望めば……与えてくれるのかな)」ジロジロ
魔王「ふふっ、考えてること……わかるよ」
勇者「えっ」
魔王「全部わかるよ、あなたを一番理解してるのは私、だってわたし以上にあなたを愛してる人なんていないんだよ?」
魔王「あなたが望めば私はなんでも叶えるよ、だって貴方は私のかわいいお犬さん」 - 30: 2018/04/11(水) 00:49:34.300 ID:iY++XvoO0
- 私はその日、魔王のベッドで寝た
涙が止まらなかった
何日か夜を共にして
さらに深い愛と慈悲を知った
そして、私は勇者としての私を捨てた
おしまい - 31: 2018/04/11(水) 00:54:06.270 ID:xoR/RoQw0
- 乙!
俺はこういうの好きだよ
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