麦野「美琴、私のものになりなよ」【3】
- カテゴリ:とある魔術の禁書目録
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- 30: 2010/07/21(水) 00:15:09.34 ID:BIfS58go
―麦野宅 9:00―
カチャカチャ… カチャカチャ… ジュー…
麦野「ん……」 ゴロリ
麦野(……朝か……。美琴は……) チラリ
麦野(あれ……いない……) ムクリ
コトコトコト……トントントン
御坂「あ、沈利さんおはよー。もうすぐ朝ごはん出来るからね」
麦野「……はよ。何アンタ、ほんとに作ってくれてんのね」 ファ~ァ
御坂「沈利さんが作ってって言ったんじゃないの。顔洗って歯磨きしてきなさいよ」
麦野「はーい。シャワー浴びたいんだけど」
御坂「ご飯食べてから。私が片付けしてる間にしてね」
麦野「分かったわよ。顔洗ってくる」- 33: 2010/07/21(水) 00:18:14.95 ID:BIfS58go
ガチャッ バタン
キュッ ジャー
麦野(……新妻みたいね。でも起きたとき誰かが近くにいるのは悪くないわ……) バシャバシャ
麦野(今日の朝ごはんは何かしら。この匂いはお味噌汁ね。朝から手間かけてくれてるわ) ハミガキコニュルッ シャコシャコシャコ
麦野(こいつ寮出ていっそここで暮らせばいいのに) シャコシャコシャコシャコ
麦野(でも中学生を家に連れ込んで……変な噂でも立ちそうよね) シャコシャコシャコ
麦野(いやいや、まだ手は出してないわよ? ……キスして乳は揉んだけど……ペッティングはセーフかしら?) シャコシャコ…ペッ!
キュッ ジャー
麦野(けどどうせそのうち手出すんだから一緒か……出せんのかしら私に) ガラガラガラ…ペッ!
麦野(あいつの体綺麗だったな……。私とは全然違う……こんな血にまみれた体が触れたら申し訳なくなるわね……) ガラガラ…ペッ!
麦野(でも抱きしめたいな……もっと美琴に触りたいし……触って欲しい……悶々とするわねー……) ムラムラ
麦野(一週間前までは全然そんなこと考えなかったのに……) クスッ
ガチャッ バタン
- 34: 2010/07/21(水) 00:19:08.88 ID:BIfS58go
麦野「洗顔歯磨き終わったわよー」
御坂「よろしい。こっちもご飯できたわよ」
麦野「美味しそうね。今日のメニューはなにかしら」
御坂「焼き鮭と卵焼き、ほうれん草の胡麻和えに玉ねぎとジャガイモのお味噌汁」
麦野「やった、鮭だー!」 パァッ
御坂「……っ」
御坂(な、なんて可愛い反応なのかしら……。鮭大好物なのね。
確かに冷凍庫にまる一匹入ってたし切り身も山ほどあったけど)
麦野「ハッ……コホンッ、よ、よしそれじゃ食べましょうか。いただきます」 パチッ
御坂「はいいただきます」 パチッ
麦野「鮭~♪ 鮭~♪」 ホグシホグシ
御坂「そんなに鮭好きなの?」- 35: 2010/07/21(水) 00:22:32.08 ID:BIfS58go
麦野「うん、大好きー♪
こんなに魅力的な食べ物がこの世に他にあるかしら?いや無いわ。
ほどよく引き締まって脂の乗った身。様々な調理法で楽しめる食卓のエース。
美しい赤はまるでルビーを彷彿とさせる煌びやかな輝きを放っているわ。
世の中フグだの鯛だのマグロだの言ってるけどさ、結局最後は鮭なのよね。
だってこいつ赤い癖に白身魚なのよ? そういうひねくれたところもちょっと素敵。
知ってる? 鮭の身の赤ってこいつらが食う餌の色なの。オキアミとかを餌にしているから、
殻に含まれるアスタキサンチンが蓄積されて育つにつれて身が赤くなっていくのよ。
だから稚魚の鮭は白身なんだって。すごいわよねー、食べたもんの色が体に着くなんて。
ってことは私らがワインを毎日口にしたら肉の色がちょっと紫がかるとか?
まるで腐った肉みたいね。ビタミン取りまくったら黄色くなるとか? ないない。
まそんなことはどうでもよくってさ、やっぱ鮭と言えば焼き鮭よ。
ちょっと辛口くらいの塩気たっぷりがたまらない美味しさね。ご飯何杯でもいけるっていうか、
むしろご飯いらない。鮭をおかずに鮭を食える。
カラッと上げて甘酢あんかけにしたり、みぞれ煮にしたり、もちろんお鍋、ムニエルやカルパッチョも
素晴らしいわ。でもあえて私が推したいのは鮭フレーク。これね。
この鮭フレークをかけたご飯と塩鮭があれば私は生きていける。
毎食これでもいいくらい。いやいやほんと。これを生み出した人間は天才よ。人類最大の発明と
言っても過言では無いくらいよ。鮭という神が生み出した奇跡の産物と、鮭フレークという人類の英知の
集合体が食卓に揃った時そこは既にサンクチュアリなのよ。
つまり天然の塩鮭と科学の産物鮭フレークが交差する時物語は始まるの、分かる?
結局のところ何が言いたいかと言うと、鮭ってほんとに素敵よねってことで、大トロだのフグ刺しだのと
言う前にもっと身近にある鮭の偉大さに人類は気付くべきなのって話なのよ。
あなたもそう思うわよね?」
御坂「うん。沈利さんの言う通りだと思うわよ」 シレッ- 36: 2010/07/21(水) 00:23:56.97 ID:BIfS58go
麦野「よねー。あんたは話が分かる奴だと思ってたのよ」 ニコニコ
御坂(二度と鮭の話はふらないでおきましょう)
麦野「それはそうと美味しいわね。卵焼きも綺麗に焼けてるし、お味噌汁もしっかりダシが利いてるわ」 ズズッ
御坂「まあねー。昨日美味しいもん食べさせてもらったし、お礼よ。って言っても冷蔵庫の中身勝手に使っちゃったけど」
麦野「いいわよ充分充分。まさか本当に作ってくれるなんて思ってなかったし」
御坂「喜んでくれたみたいでよかった。また作りに来てあげるわよ」
麦野「あ、そか。アンタ今夜帰るんだっけ」
御坂「門限までにはね。まあ追い出されるかもしれないけど」
麦野「うちはいつ来ても構わないからね。ま、家賃代わりにアンタには色々と衣装を用意しておくけど」
御坂「はぁ? なんでよ。それなら家賃払うわよ」
麦野「私が見たいから。とりあえず裸エプロンとメイド服ね。これは家事するときは常に着てもらうから。
あとは状況に応じて色々と用意していくわ」
御坂「あんた女なのにそんなの見て嬉しいの? 男だけじゃないの?」
麦野「好きな子のエロい姿は見たいでしょ誰だって」- 37: 2010/07/21(水) 00:25:18.87 ID:BIfS58go
御坂「好きな子……」
麦野「あら、そこに食いついてくれて嬉しいな。ま結局脱がすんだけどねー」
御坂「勘弁してよ。沈利さんが着てくれるんだったら私も考えるけど」
麦野「はぁ? 嫌よふざけんな。どうしてアンタのメイドになんかならなくちゃいけないわけ?
アンタが私に媚びなさいよ。無い乳寄せて必死こいて私を誘惑するアンタが見たいの」
御坂「ほんと酷い人よねあんたって」
麦野「なんとでもいいな。私はアンタのあられもない姿を見られればそれでいいんだよ」
御坂「はぁ……何でこんな人好きになっちゃったんだろ」
麦野「その言い方は心外ね」
御坂「あっそ。いいよ別に。沈利さんは私に好きだって言ってくれるもんね。
素直に言われると嬉しいもんよ」
麦野「気付くのがちょっと遅かったわね」
御坂「遅くてよかったのよ。おかげで沈利さんと付き合えたんだもん」
麦野「あらあら可愛いこと言うじゃない」
御坂「もう言わないからね。さ、食べて片付けして遊ぼ遊ぼ」- 38: 2010/07/21(水) 00:27:24.16 ID:BIfS58go
―10:00―
御坂「さて、パパッと片付けも終わったわけだけど……」
麦野「今日今から何する? DVDでも見る?」
御坂「アダルトは無しよ」
麦野「さすがに持ってねえよ」
御坂「良かった。何があるの?」
麦野「んー、スプラッタ映画結構好きなんだけどね。あとは普通の洋画がそれなりに」
御坂「何でもいいわよ」
麦野「じゃあこのマキシマム・ザ・カミノウセキのDVDを……」
御坂「ちょっと待った。前も聞いたことあるわね。何なのそのバンド」
麦野「オシャレでPOPなバンドよ」 ニコッ
御坂「その笑顔は嘘をついてる顔だぜ」
麦野「ごちゃごちゃうっさい。何でもいいっつったのアンタでしょ。いいから見るわよ」 ウィーン…
御坂「ったく。まいいけど。沈利さんの好きなアーティストだからオシャレなのは当たってるかも……」- 39: 2010/07/21(水) 00:28:51.38 ID:BIfS58go
ワーワーガヤガヤ
御坂(お、始まった始まった……)
麦野「あ、美琴。ここ座りなよ」
御坂「ここって……沈利さんの脚の間じゃない」
麦野「後ろからギュッてしたげる」
御坂「い、いいわよ……」
麦野「いいから来る。アンタ抱き心地が程よいのよね」
御坂「……もう」 ポフッ
麦野「はいいらっしゃいませ。ん、アンタの髪いい匂いがする……」 スンスン
御坂「嗅がないでよ……くすぐったい」
麦野「あ、ほら始まったわよ。ちゃんと見ときなさいね」 ギュッ
御坂「聞いてないんだから……真っ暗よ?」
麦野もう出てくるわよ」
御坂(ふぅん、結構大きなとこでライブやってるのね。カミノウセキってどういう意味なのかしら)- 40: 2010/07/21(水) 00:31:03.87 ID:BIfS58go
ワァァァァァァァァァァァァッ!
御坂「お、きたきた」
御坂「何か赤青緑黄色の個性的な人たちね……」
麦野「あ、音量注意ね」
御坂「へ?」
ヴォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!
御坂「!?」 ビクゥッ
麦野「やっぱ朝一発目に聞くテッラのデスボイスはいいわねえ」
『異教徒燃やす燃やす~♪ 異教徒燃やす燃やす~♪』
御坂(なによこの歌。でも会場はめちゃめちゃ盛り上がってる……)
麦野「テンション上がるわよねー」
御坂(あがらないわよ)
御坂(ボーカルは緑色のトカゲみたいなオッサンがキャーキャーうるさいし、ギターボーカルは無駄に屈強だし、
ドラムの女の人はピアスだらけでなんか怖いしベースは一人だけ涼しげな顔してる……)- 41: 2010/07/21(水) 00:33:21.02 ID:BIfS58go
『恋の国バチカンから、魔術的な手段でやってきました★(キャピッ)』
ワァァァァァアアアア!
御坂(え、何この黄色い人。顔面ピアスまみれなのにそういうキャラなの?)
麦野「あはは、ヴェントウザ可愛いわねー」
御坂(あー、そういう演出か……しかしこういっちゃなんだけど、全然オシャレ感は無いわね。そこがいいとこなのかしら?)
麦野「アンタカミノウセキ聴いたことない?」
御坂「知らないわねー。人気あるの?」
麦野「まあ好きな人は好きって感じかしら」
『ぶっ信仰する 貴様らぶっ信仰する 貴様らぶっ信仰する 貴様らぶっ信仰する!』
御坂「っていうかすごいわね、人がもみくちゃで逆さまになってるじゃない」
麦野「楽しそうよね」
御坂「そう? 痛そう。沈利さんがこういう音楽聴くのって意外。クラシックとか好きそうなのに」
麦野「私暴力的なものが好きなのよ」
御坂「なるほど。妙に納得」- 42: 2010/07/21(水) 00:35:01.97 ID:BIfS58go
麦野「アンタはどんなの聴くの?」
御坂「私あんまり音楽聴かないからねー」
麦野「ははぁん、さては例のゲコ太のテーマとかじゃないでしょうねー?」
御坂「……」 ソッポムキッ
麦野(まじかよ……)
『ギロチンアスカロン~ギロチンアスカロン~♪』
ワァァァァァ モミクチャモミクチャ
御坂「い、いいでしょ別に!」
麦野「カラオケとか行かないの?」
御坂「あんまり行ったことないかも。黒子達とたまにって感じかしら」
麦野「私もそんな感じね。最近の曲よくわかんないのよ」
御坂「確かに。一一一(ひとついはじめ)とか流行ってるらしいけど全然知らないわ」
麦野「わかるわかる。常盤台の子もそんなの聴くの?」
御坂「そりゃお嬢様でも年頃の女の子だからね。まあ中にはクラシックしか聴きませんって子もいるけど」- 43: 2010/07/21(水) 00:37:10.62 ID:BIfS58go
麦野「そう」
御坂「うん」
麦野「…………」
御坂「…………」
麦野「美琴……」 スッ
御坂「ぁっ……んっ……」
麦野「ちゅっ……」
御坂「んぅ……チュッ」
麦野「ちゅっ……んちゅっ……ぴちゃっ……ちゅぷっ……」
御坂「ふぁ…ぁん……ちゅぅ……ちゅぷっ……」
麦野「美琴ぉ……ちゅぷっ……」 モニュッ
御坂「ンちゅ……ぁっ……!」
麦野「ペロッ……チュッ……ちゅぅっ……」 ムニュムニュ
御坂「沈利さん……胸は……ぁんっ!」
麦野「アンタ美味しそうなんだもん…ハァ…ムラムラしてきちゃった……ハァ……」
御坂「や、やだ……ダメ……」- 44: 2010/07/21(水) 00:39:01.83 ID:BIfS58go
麦野「最後まではしないから大丈夫よ……はむっ」 ムニムニ
御坂「そういう問題じゃ……はぁんっ……!耳は駄目ぇ……!」
麦野「いちいちうるさいわねえ。大人しくしなさいよ、耳ちぎるわよ」
御坂「んぅっ……! ふあぁ……」
麦野(あー、止まらなくなりそう……)
麦野「ね、御坂こっち向いてアンタも触ってよ……」
御坂「ん……服脱がしてもいい?」
麦野「あら積極的ね。いいわよ」
御坂「じゃあ手あげて……」
麦野「はいバンザーイ」
御坂「んしょ……うわ、沈利さんノーブラじゃない……」 ヌガシヌガシ
麦野「寝るときはね。楽だし。んなことよりほら、触って……」
御坂「う、うん……」 フワフワ
御坂(すごい……手に張り付いてきて……柔らかい……) ムニュッ…- 45: 2010/07/21(水) 00:40:20.92 ID:BIfS58go
麦野「んっ……。上手よ……。もっと強くして」
御坂「……こう?」 モニュモニュ
麦野「ふぁ……うん、気持ちいい……」
御坂(沈利さんの目が潤んでる……喜んでくれてるんだ……先っぽも触っていいかな) スッ
麦野「んぁっ……! きゅ、急にそんなとこ触らないでっ……!」
御坂「ご、ごめん……! 痛かった?」
麦野「ううん……変な声でちゃうから……」
御坂「出してよ。聞きたいもん……」 キュッ
麦野「ぁあんっ……! 」 ビクンッ!
御坂(沈利さんの体が熱い……じっとりしてきたし……感じてくれてるのかな)
麦野「美琴……アンタばっかずるいわよ。私もアンタに触りたい……」
御坂(沈利さんの感じてる声もっと聞きたいわね……普段強気なだけに……) ゴクリ
御坂「……えい!」 ハムッ
麦野「なっ……何をっ……! うぁっ……! な、舐めちゃ駄目ぇっ!」- 46: 2010/07/21(水) 00:42:27.72 ID:BIfS58go
御坂「ちゅぷ……チュパッ……沈利さんの乳首綺麗よね」 チュパチュパ
麦野「そ、そんなこと……! 離しなさいよっ……はぁっ……んっ……」
御坂(エッチな声出してる……。やっぱ気持ちいいのね。よし、もっと……)
麦野「いい加減に……!」 ガッ
御坂「え……きゃっ!」 ドサッ
麦野「しなさいよね……。ほんとに我慢できなくなったらどうすんのよ……」
御坂「……それは、困るけど……」
御坂(お、押し倒されちゃった……。どうしよ……このまま……) ドキドキドキ
麦野(首細いな……このまま絞め殺してしまいたいくらい、好き……) ドキドキドキ
麦野(あーもう―――っ……!)
麦野「アンタのせいだからねっ……! んちゅっ…!」
御坂「んっ……!」 チュゥッ
麦野「ハァ……チュプッ……ハァ……」 クチュッ
御坂「そ、そこは本当にダメっ!」- 47: 2010/07/21(水) 00:45:35.83 ID:BIfS58go
麦野「下着まで濡れてんじゃん。エッチ……」
御坂「ち、違うっ……!」
麦野「違わないよ、美琴っ!」 ガバッ
御坂「んっ……沈利さん?」
麦野「ヤバイどうしよう……すっごいアンタとしたい……」
御坂「な、何言って……!?」
麦野「だって……アンタの匂いとか、感触とか……忘れられそうにないんだ……」
御坂「そ、そんなこと言われたって……」
麦野(駄目……駄目よ……! こいつとするわけにはいかない……こいつとしたら……私としたら……。
こんなに綺麗なこいつが……汚れちゃう……)
御坂(でも沈利さんそんなに私のこと……。どうにかしてあげたいな……じゃ、じゃあこういうのどうだろう……)
麦野「あ……けど大丈夫よ、こうして抱きしめさせてくれれば、ちょっとは気もおさまるしね」
御坂「しなさいよ」
麦野「……は?」
御坂「沈利さんがしてるとこ、見ててあげる」- 48: 2010/07/21(水) 00:46:46.00 ID:BIfS58go
麦野「…………」 ポカーン
御坂「あ、あれ……?」
麦野「はぁぁああああ!?」
御坂「え……違った?」
麦野「いやまあ……あってるっちゃあってるけど……さすがの私もそういうプレイはまだ早いかなって……」
御坂「あ……わ、私何言ってんだろ……あわわ! ち、違う! 今の無し!」 アタフタ
麦野「いや……無しって言われても聞いちゃったしねえ……」
御坂「い……」 カァァ…
麦野「えっと……」 ポリポリ
御坂「いやぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!!!!!」 バタバタ- 49: 2010/07/21(水) 00:48:21.53 ID:BIfS58go
―11:30―
『また遊ぼうぜ、マキシマム・ザ・カミノウセキでしたー』
ワァァァァァァッ!
麦野「ふぅ、終わったわね。何回見てもテンション上がるわー」 ピッ
御坂「…………」 ズーン…
麦野「いつまで部屋の隅っこで落ち込んでんのよ」
御坂「だって……」 プゥ…
麦野「アンタの気持ちは嬉しかったわよ。その……そういう気分になったら今度は見ててもらうのも悪くないかな……なんて」
御坂「……ほんと?」 ジッ
麦野「もちろん。私もちょっと一人で先走りすぎちゃったね、ごめん」
御坂「ううん……沈利さんが私にそういう気持ちを抱いてくれるのは、嫌じゃない……」
麦野「こんなこと言うのも今更どうかと思うんだけど、私、アンタとセックスがしたいのよ?」
御坂「うん、そうね……」- 50: 2010/07/21(水) 00:52:01.12 ID:BIfS58go
麦野「アンタを抱かないって言ったのは、アンタに好きな人がいたから……。
今のアンタは私の恋人なんだから、そういう目で見ちゃうのよ」
御坂「わかってるわよ」
麦野「本当にそれでもいいの?」
御坂「……」
麦野(矛盾してるな私……。こいつとしたくてたまらないのに……したくない。
綺麗なままでいてほしいって気持ちと、こいつを汚したいって気持ち……どっちも私の本心だから)
御坂「……今更過ぎるじゃない。女の子のことを恋愛対象に見るっていうのは初めての経験だから、
どうすればいいのかわからないっていうとこは確かにあるわよ?」
麦野「そうよね。私も同じ」
御坂「まあ昨日もちょろっと言ったけどね。
だから正直なところ彼女がいるっていうことに対する実感てのはまだ無いのよ」
麦野「ええ」
御坂「けどね、今確かに自覚できることもあって。それはね……」
麦野「うん」
御坂「あんたのことが、世界中の誰より好きだってことなの」
麦野「……う、うん」 ドキッ- 51: 2010/07/21(水) 00:55:13.85 ID:BIfS58go
御坂「だからあんたが私とその……エ、エッチをしたいと思ってくれてるのは、嫌なことじゃないの。
怖いとかそういう感情ももちろんあるんだけど、結局私は、沈利さんとゆっくりと前に進んでいけたらいいなって、
そう思ってるだけなんだから」
麦野「……」
御坂(は、恥ずかしい……何マジになって語っちゃってんのよ私! 経験ない癖に説得力ないじゃない……)
麦野「……そうかもね」
御坂「ん?」
麦野「ううん、今の言葉でちょっとだけ楽になった。
恋人同士のコミュニケーションなんて、裸で互いを貪り合うことしか知らないから。
アンタにも同じように接することしかできなくて。アンタを年上としてリードしなくちゃいけないんだって
勝手に張り切ってたアホな私に気づけたわ。ありがとね、美琴」
御坂「年なんて関係ないでしょ? 私は今はもう胸を張って堂々と、沈利さんの恋人だって宣言できる。
誰に何て言われたって、私が自分に正直に沈利さんを選んだだもんね」
麦野「……後輩にも?」
御坂「う、うん……別の意味で怖いけど」
麦野「真剣に伝えればわかってくれるわよ」
御坂「まあ……肝心なとこではちゃんとマジメな子だから」- 52: 2010/07/21(水) 00:57:25.30 ID:BIfS58go
麦野「そっか……」
麦野(こいつは私が思ってるよりずっとずっと大人なのかしら……。
私はアンタの眩しさが怖くて、だからアンタとどう接すればいいのかをまだ掴めないのに……)
麦野「ねえ美琴」
御坂「うん?」
麦野「キスしてもいい?」
御坂「どうしてわざわざ聞くのよ」
麦野「アンタも求めてくれてるんだって証が欲しいの」
御坂「ばか、沈利」 スッ
麦野「呼び捨て……すんな」 カァッ
御坂「昨日言ったでしょ? あんたがしたいときは、私もしたいときなのよ……」
麦野「そうだったわね、美琴」
麦野(アンタは後戻りできなくなることが怖くないの? 私はまだ、ちょっとだけ―――)- 97: 2010/07/22(木) 01:43:08.92 ID:SkjVoX.o
―麦野宅 玄関先 16:30―
御坂「じゃあ今日のところは一旦帰るわね」
麦野「ええ、しっかり謝ってきなさい。もし追い出されたら、また戻ってきていいから」
御坂「ありがと。この家居心地よくて困るわねー」
麦野「でしょ。アンタのパジャマと歯ブラシと食器は買っておいてあげるからね」
御坂「うわそれ恋人っぽいわね! けどパジャマは自分で選ぶわよ」
麦野「なんでよ。めちゃめちゃエロいやつにしてやろうと思ってたのに」
御坂「超お断りよ!」
麦野「じゃあどんなのがいいわけ?」
御坂「……かわいいやつ……」 ボソッ
麦野「漠然としてるわねー。私のセンスで選ぶけどいいよね?」
御坂「布じゃないわよ? 服よ? いい?」
麦野「わかってるっつの。アンタにエロ路線は似合わないもんね」- 98: 2010/07/22(木) 01:45:03.59 ID:SkjVoX.o
御坂「そうそう。まあ別に私が買ってもってきてもいいけど」
麦野「それは却下」
御坂「なんで」
麦野「ここは私の城よ。つまり私がルールなんだよ。アンタは私が与えたものを着るしか選択肢は無い」
御坂「こわー……何着せられるんだか……」
麦野「なんて、うそうそ。何種類か写メで送るから」
御坂「そうして。じゃ、また来るわね」
麦野「次いつ会える?」
御坂「明日」
麦野「暇人かアンタは」
御坂「あんただって似たようなもんでしょうが」
麦野「まいいわ。暇ならおいでよ」
御坂「行く。門限までには帰らなくちゃいけないから平日は一、二時間しかいれないわよ?」
麦野「いいよ。お茶でもしましょ」
御坂「わかった。あんたも学校行きなさいよねー」- 99: 2010/07/22(木) 01:46:10.01 ID:SkjVoX.o
麦野「気が向いたらね。門限間に合わないわよ、行った行った」
御坂「ん……沈利さん……」 ギュッ
麦野「ちょっと……外なんですけど?」 ギュッ ナデナデ
御坂「だって今日はもう会えないじゃない……」
麦野「さびしがり屋さんね。メールしなさいよ」 ナデナデ
御坂「する……」
麦野「ゆっくり進んでいけばいいなんて……すごく甘えてくるじゃないの」
御坂「沈利さんとのスキンシップは好きよ。あったかいし柔らかい」
麦野「人を脂肪の塊みたいに言わないでちょうだい」
御坂「褒め言葉よ」
麦野わかってるわよ……」 チュッ
御坂「ん……」 チュッ
麦野「……よし。それじゃまたね、気をつけて帰りなさいよ」
御坂「うん、じゃね!」
タッタッタッタッ- 100: 2010/07/22(木) 01:48:52.52 ID:SkjVoX.o
麦野「…………」 ガチャッ バタンッ
ヘナヘナ ヘタリッ…
麦野「……」 フルフル…
麦野「彼女が……できちゃった……」 ポツリ
麦野(なんて濃い三日間だ……。久し振りにキスしちゃったし……)
麦野(わわわ! だ、誰かに言いたい!
あいつらに……いやいや、笑われそうだしあの超電磁砲と付き合うことになったなんて言えるわけないっつの!)
麦野(よし……! とにかく初デートの計画をたてよう! うん!) グッ
ハーナテココローニキザンダユメモミライサエオーキーザーリーニシーテー!
麦野(メールだ……なんか久しぶりな気がするわね……) カチッ- 101: 2010/07/22(木) 01:50:12.61 ID:SkjVoX.o
――――――――――――――――――――
from:美琴
件名:祝メール第一号!
本文:
恋人としてのメールはこれが一通目だね(*>艸<)
実は今もまだすっごくドキドキしてるの…
沈利さんとこれからどんなことが出来るんだろう。
どんなところに行けるんだろう。
そんなことばっかり、ずっと考えてるよ(∩∀`*)
ふつつかものですが、末長くよろしくお願いしま
す(*>∀<*)
★貴女の美琴さんより★
――――――――――――――――――――
麦野(これは当然のごとく保護ね) ピッ
麦野(あーもうっ……ムカつくっ! 嬉しくて、腹立たしいっ!) メルメルメル
――――――――――――――――――――
to:美琴
件名:うん
本文:
嬉しくて何て返せばいいのかわかんない(笑)
アンタとしたいことはいっぱいある。
行きたいとこも冗談みたいに思い浮かぶわよ。
だからアンタのしたいこと、してほしいこと、それ
全部して・あ・げ・る・(*ゝω・*)-☆キャピッ
こちらこそ。
わがままで迷惑かけると思うけど、よろしくね。
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
麦野(ああ……幸せ) フフッ- 102: 2010/07/22(木) 01:51:14.55 ID:SkjVoX.o
―麦野のマンション前 16:50―
浜面「滝壺……今の見たか?」
滝壺「うん。たまたま通りかかったら……すごいもの見ちゃったね」
浜面「……き、訊くべきなんだろうか」
滝壺「はまづら、応援してる」
浜面「俺がかよ! あれってやっぱ、抱きあってたよな……」
滝壺「うん……」
浜面「キスも……してたよな……上の階だから見にくかったけど」
滝壺「そうだね」
浜面「滝壺、俺達も……」
滝壺「帰ってからね……ここじゃだめ」
浜面「わ、わかった……」
滝壺「いい子いい子」 ナデナデ
浜面(麦野……正直ビックリしたが……ゴクリッ、いいもん見させてもらいましたっ!) グッ- 103: 2010/07/22(木) 01:53:10.26 ID:SkjVoX.o
―常盤台中学学生寮 寮監室 17:20―
寮監「何をしに戻ってきた」
御坂「……申し訳ありませんでした……!」
寮監「謝罪の言葉などいらん。何をしに帰ってきたんだと聞いている」
御坂「……すみませんでした! 許してください!」
寮監「御坂。貴様私を恫喝し、寮の正面玄関を吹き飛ばしたな? それについてはどう弁明するつもりだ」
御坂「どんな罰でも受けます!」
寮監「……」 ギロッ!
御坂「……」 ジッ!
御坂(こわー……麦野さんより怖い……でも負けるわけにはいかないわよね!
悪いのは私だもん。許してもらえるなら何だってしてやるわよ!)
寮監「……何があったのか、言い訳をせんのだな」
御坂「え?」
寮監「門限破りも寮内での能力使用も多い寮則違反常習の貴様だが、私に反抗的な態度をとったことはなかった」
御坂「それは……」
御坂(単純に怖いからよ)- 105: 2010/07/22(木) 01:54:59.83 ID:SkjVoX.o
寮監「私も鬼ではない。何か事情があったのだろうと察するが、それでは寮の規則は守れない」
御坂「はい……」
寮監「風紀委員の活動や、申請し許可の下りた事柄を除き、一切の例外を認めるわけにはいかん。
だがお前の身に何かがあってあのような行為に及んだのか、やんごとない事情があるなら言ってみろ」
御坂「いえ……全部私の個人的な事情です……」
寮監「ならば話は終わりだ。荷物を纏めろ。退学は免れただけ幸運だったと思え。
次の行先は次の土日中に決めろ。それまでは待ってやる。お前ならどこの寮でも部屋を開けてくれる」
御坂「そ、そこをなんとか……!」
寮監「ダメだ」
御坂「お願いしますっ!」
寮監「頭を上げろ。もう話は終わった。私に謝る必要などない」
御坂「で、でも!」
寮監「いい加減にしろ御坂。これがお前への罰だ」
御坂「そ……そんな……」
御坂(せっかく黒子と仲直りできたのに……離れ離れなんて……)
白井「お待ちくださいましっ!」- 106: 2010/07/22(木) 01:56:50.46 ID:SkjVoX.o
バターンッ!
御坂「く、黒子!?」
白井「お姉様のピンチに颯爽と参上ですわ」 ガチャリッ
寮監「なんだ白井。今は取り込み中だ、後にしろ」
白井「寮監様、どうかお姉様に寛大なご処置をお願いいたしますのっ!」
寮監「お前には関係のないことだ」
白井「関係大ありですわ! お姉様はわたくしのルームメイト。
お姉様のいないお部屋などクリームの無いケーキ。いえ、タバスコの無いピザのようなものですわ!」
御坂「誰が刺激物よ。そもそもなくてもいいでしょそれ」
白井「嗚呼、お姉様からの久し振りのツッコミ……天にも昇る気分ですの!」 ホァァl…
寮監「わけのわからんことを言うな。お前の事情など知らん」
白井「寮監様、こちらを」
バサッ- 107: 2010/07/22(木) 01:58:25.16 ID:SkjVoX.o
寮監「なんだこの紙の束は」
白井「どうぞご覧くださいまし」
寮監「……これは」
白井「それはお姉様の退寮処分を反対する常盤台の学生による署名ですの」
御坂「え……」
寮監「これを一日で……だと。だがこれがなんだというんだ。こんなもので寮則が……むっ」
白井「気づかれましたわね。この寮には、お姉様が必要なんですの」
御坂「どういうこと?」
白井「常盤台中学と言えば学園都市でも有数の名門校。普段から嫉妬と羨望の的である常盤台は
長点上機や霧ヶ丘等と違い、中学でしかも女子校ですの。
学舎の園の中ならいざしらず、一般的な住宅街の端に建つこの寮は様々な輩から狙われています」
寮監「……」
白井「生徒全員が高レベルの能力者集団と言えども、所詮は中学生。
多数の人間にここに押し掛けられては面倒であることには変わりありませんの」
御坂「黒子?」- 108: 2010/07/22(木) 02:00:29.20 ID:SkjVoX.o
白井「学園都市第三位のレベル5であるお姉様がこの寮にいてくださっているからこそ、
わたくし達は毎日ベッドで健やかな安眠を得ることができるというものですわ。
その嘆願書は、そうしたわたくし達の安眠を守って欲しいという意味が込められておりますの」
御坂(私ゃ番犬かい)
白井「いかがです、寮監様。お姉様のしたことは、確かに処罰されるべきことではあるかもしれません。
しかし、これまでこの寮だけでなく常盤台の多くの後輩達を導いてきてくださったお姉様が、
ただ一度のミスで寮を追い出されるなんてあんまりですの。ここは一つ、別の罰でお姉様を
お許しくださいませんか? この通りですの」 ペコッ
御坂「黒子……」
寮監「くだらん……安全面は私がいる。それに御坂は退学になるわけではない」
白井「お姉様にこの寮に居てほしいと望んでいるのは、わたくしだけではなく皆の総意ですの。これを御覧あそばせ!」
バターンッ!
御坂「なっ……」
寮監「……お前たち」
キャッキャウフフ ミサカサマヨミサカサマ ミサカサマガコノリョウカライナクナッテシマウナンテ…
ザワザワザワザワ…
ナントカオチカラニ…! ミサカサマキョウモオウツクシイワネ! ミサカサマハァハァ…
ザワザワザワ…- 109: 2010/07/22(木) 02:02:01.16 ID:SkjVoX.o
御坂「みんな……どうしてここに」
白井「お姉様の退寮処分をお許し願おうと寮生がみな集まってくれましたの。
余所の寮から来られた方もいらっしゃいますわよ。ざっと100名ほどですかしら」
寮監「なんのつもりだ……」
白井「わたくしたち皆、お姉様と同じ罰をお受けするためにここに参りましたの」
御坂「はぁっ!?」
寮監「なんだと?」
白井「お姉様が退寮にならなくて済むなら、わたくし達はどんなことだってしてみせますの」
御坂「そ、そんな……みんなに迷惑かけられないわよ!」
白井「違いますのお姉様」
御坂「え?」
白井「みんなそれだけお姉様にこの寮に留まっていてほしいと思っているんですの。
みんな、お姉様のことが大好きなのですから」
御坂「……黒子、みんな……」
キャッキャッ ミサカサマー! コッチムイテクダサイー!
ザワザワザワザワ- 111: 2010/07/22(木) 02:03:31.03 ID:SkjVoX.o
白井「どうか寮監様! お姉様をお許しくださいませ! 今までお姉様に助けられてばかりだったわたくし達が
今度はお姉様をお助けしたいんですのっ!」
「「「「お願いします!」」」」
「「「「「お願いします!」」」」」
寮監「くっ!」
御坂「わ、私からもお願いしますっ! 私やっぱり、みんながいるこの寮が好きなんです!
どうか、ここに置いてください!」
寮監「っ……」
御坂「……」 ジー
白井「……」 チラッチラッ
寮監「ふんっ……」
白井「りょ、寮監様?」
寮監「御坂」
御坂「はい……!」
寮監「白井」
白井「は、はい!」
寮監「そして全員に罰だ! 今日一晩かけてこの寮の掃除をしろ! 隅々まで徹底的に!」
ザワッ…!- 113: 2010/07/22(木) 02:04:59.77 ID:SkjVoX.o
白井「それでは……退寮は……?」 オソルオソル
寮監「今回だけだっ! 次はないっ!」
白井「りょ、寮監さまー!」 ダキッ
ワァァァァァ! キャァァァァァァァアアアアアアッ! ミサカサマァァァァアァアアアアアアッ! ペロペロサセテェェッ!
寮監「ええい離せ! 日ごろの行いの賜物だな。首の皮一枚繋がったようだぞ御坂」
御坂「は、はい! ありがとうございます!」
白井「みなさんお聞きになりましてー!? さっそく掃除をいたしますわよー!」
ハーイッ!!!
御坂「ま、待ってみんな!」
ザワッ…シンッ……
御坂「ありがとうね、みんな……!」 グスッ
キャァァァアアアア! ミサカサマがナイテオラレルワー! ナミダモウツクシイワネ! ミサカサマハァハァ…
寮監「チリ一つ残すなよ。さ、取り掛かれ!」
御坂「はいっ!」- 114: 2010/07/22(木) 02:06:57.10 ID:SkjVoX.o
―常盤台中学学生寮 二○八号室 4:00―
アンニュイな女生徒「お疲れ様でした、御坂様」
穏和な女生徒「御坂様、おやすみなさいませ」 ペコッ
御坂「うん、ありがとね。他の子にもよろしく言っておいて」
快活な女生徒「どうかお気に無さらず。御坂様のお力になれて私達も嬉しいです」
生真面目な女生徒「はい、それでは失礼します」 ペコリッ
スタスタスタスタ…
御坂「うぁー! 終わったー!」 ボフッ!
白井「お疲れ様ですの。さすがにあの人数ですと早いですわね」
御坂「ね。まあそれでも朝方までかかったけど」 クスッ
白井(ああ……なんだか今日のお姉さまには妙に色気がありますの。これは恋を知った女の背中ですわっ!
失恋し、恋愛のなんたるかをその身に刻みつけましたのね!) ゴクリ…
御坂「ほんとありがとね。黒子」- 116: 2010/07/22(木) 02:10:46.18 ID:SkjVoX.o
白井「構いませんの。お姉様の危機に駆けつけるのはパートナーとして当然のことですもの」
御坂「あんたがいてくれてほんとよかったわ」
白井「お姉様……」
白井(ハァハァ……素直なお姉様が素敵過ぎて生きてるのが辛いですのー!
このしっとりと潤んだ瞳と艶やかな唇は誘っているとしか思えませんの!) ハァハァ
御坂「もう四時かー。あと二時間ちょっとしか寝られないわね」
白井「まあ一日くらい大丈夫ですの」
御坂「それもそうか。疲れたからシャワー浴びてもう寝よ」
白井「そうですわね」
御坂(そういえば今日は一人で寝るのよね……。昨日も一昨日も沈利さんに抱かれて寝てたから寂しいわ……) フゥ…
白井(お、お姉様が切なげな溜息をっ!? 失恋のショックで体を持て余していらっしゃるのね!?
いいですわよいいですわよ! 誰も触れたことのないお姉様の文字通り処女雪のような体に最初に触れるのは
この白井黒子ですの!)
白井「ではお姉様、シャワーをお先にどうぞ」
御坂「あ、ううん。黒子先にいいわよ。私沈利さんにお礼のメール送らないといけないし」
白井「わかりましたの。ではそうさせていただきますわね。しばしお待ちを」
白井(全身の隅々まで清めてお姉様をベッドでお迎え致しますの) ハァハァ
スタスタスタ ガチャッ パタン- 117: 2010/07/22(木) 02:12:14.84 ID:SkjVoX.o
御坂(やけに御機嫌だったわね。何かいいことでもあったのかしら)
御坂(黒子とどこ行くかも考えなくちゃね。さて、沈利さんに返信しよっと)
――――――――――――――――――――
to:沈利さん
件名:遅くなってごめんね(o≧口≦)o
本文:
なんとか退寮と退学は免れたよ(*´∀`)ノ
黒子や寮の子達が助けてくれたから。
さっきまで罰としてみんなで寮の掃除してた。
ホッとしたらまた沈利さんが恋しくなっちゃった
(´ε`*)
遅くにごめんね、また明日ね(*ゝω・*)ノ
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
御坂(沈利さんの寝顔可愛かったな……。黙ってたらすっごい美人なのに) クスッ
御坂(初デートどこに行こうかしら。沈利さんてどんなことするのが好きなんだろ)
メールゲコ!メールゲコ!
御坂(うそっ!? もう4時なのに起きてるの!?)- 119: 2010/07/22(木) 02:13:31.20 ID:SkjVoX.o
――――――――――――――――――――
from:沈利さん
件名:よかったじゃない
本文:
お疲れ様。可愛いこと言うわね。
そんなに寂しいなら私でオナニーしてもいいのよ
?(*ゝω・*)-☆キャピッ
――――――――――――――――――――
御坂(し、しないわよ……!) ドキドキドキ…
御坂(黒子もいるのに……できるわけないでしょ……) メルメル
御坂(く、黒子がいなくたってしないわよ!) メルメル
――――――――――――――――――――
to:沈利さん
件名:無題
本文:
しないわよ!(o≧口≦)o
沈利さんエッチだよ…(´・ω・`)
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
御坂(そんなこと言われたら眠れなくなるでしょ……) ドキドキ…
御坂(こりゃ徹夜を覚悟しないといけないかもしれないわね……)
メールゲコ!メールゲコ!
御坂(沈利さん……会いたいな) カチッ- 120: 2010/07/22(木) 02:15:13.69 ID:SkjVoX.o
――――――――――――――――――――
from:沈利さん
件名:なんだ
本文:
つまんないの。おかずに私の下着姿の写メでも
あげようと思ったのに。
なんて、男じゃないんだから別に嬉しくないわよ
ね(笑)
アンタが無事寮に残れることになって一安心。
なんか眠くなってきたから今日はもう寝ましょ。
ムラムラしてるんなら、言ってくれたらいつでも気
持ちよくしてアゲル(ハァト)
おやすみ!
――――――――――――――――――――
御坂(この人エロいわね……。うー、何してくれるんだろ……知りたいような知りたくないような) ドキドキ…
御坂(……っていうか、沈利さんもしかして私のこと心配して起きててくれたのかしら……) トクンッ
御坂(ヤバ……きっとそうだ……。もっと早く送っておけばよかった……) メルメルメル
御坂(でもこれ沈利さんに直接訊いたら怒られそう……ううん、絶対認めないと思う。
……次から気をつけよ。沈利さん私が思ってるよりずっと私のこと気にかけてくれてるんだろうな……) メルメル
御坂(情が深い人なのよね。大事にしてくれそうで嬉しいな……) ドキドキ…
御坂(……私も、沈利さんを大切にしよう……)- 121: 2010/07/22(木) 02:16:46.07 ID:SkjVoX.o
―麦野宅 4:30―
――――――――――――――――――――
from:美琴
件名:ありがとう(*>艸<)
本文:
下着姿は別にね(笑)
でも沈利さんの写真はほしいから今度プリクラで
も撮りましょ(*ゝω・*)ノ
心配してくれてありがとう(*´∀`)ノ
沈利さんの部屋で暮らしたいって気持ちもちょっ
とあるけど、やっぱりここが私の家だから、出て
いかなくてよくなったのは嬉しいなヾ(*´Д`*)ノ
沈利さんのエッチo(≧ε≦o)
また明日!おやすみー
――――――――――――――――――――
麦野(うまくいったみたいでよかったわね) カチッ
麦野(……っつか、結局あいつの着てたジャージで3回もしちゃったな……。
私ってやっぱ欲求不満だったみたいね)
麦野(あいつとのデートプラン考えるので一日終わっちゃったし……)
麦野(でもいい感じのができたし、明日あいつに提案してみよう。今週の土日だと予約とか無理だろうから来週かしらね)
麦野(うん……楽しくなってきたわ)
麦野(一緒に楽しもうね、おやすみ、美琴) クスッ- 181: 2010/07/24(土) 20:35:54.45 ID:UHou66Io
14日目
―第七学区 ファミリーレストラン『ジョセフ』 16:00―
麦野(美琴と付き合い始めてもう1週間か。早いもんね……) メルメルメル
――――――――――――――――――――
to:美琴
件名:じゃあ
本文:
デートのコースは大体そんな感じで。
あとはその場その場で楽しそうなことしましょ。
いよいよ今週の土曜日だもんね。
楽しみにしてるわよ
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
麦野(よし、これで初デートのコースは完璧。あとはあいつにサプライズでも用意してやろうかな)
麦野(けど最初にあまりにも気合入れすぎるのもよくないって聞くわね。デートコースもかなり削ったし)
麦野(まあ結局ほぼ毎日会ってるわけだし、ちょっとしたものならいいわよね)
麦野(この前の土日は後輩サービスとかで会えなかったし、付き合ってからは初めてまともに遊びにでかけるのか)
麦野(緊張するけど、やっぱすごい楽しみだわ。何着てこっかなぁ) フフッ- 182: 2010/07/24(土) 20:38:43.62 ID:UHou66Io
フレンダ「…………」
絹旗「…………」
滝壺「…………」
浜面「…………」
麦野「……ん? 何見てんの?」
フレンダ「いやその……なんか麦野機嫌いいなぁって」
絹旗「今も嬉しそうに携帯超見てましたよ。お相手は?」
麦野「な・い・しょ」 ウフフッ
フレンダ(キモいくらいに上機嫌……!? 何事って訳よ)
絹旗(こ、これは一体何の前触れなんでしょうか……超恐ろしいです)
浜面(最近麦野によく奢ってもらってるな……言われてみりゃ機嫌いいのか。
や、やっぱあのときのマンションの……) アセッ
滝壺(あ、今日のごきげんようは誰がゲストだったんだろう……) ポヘー
麦野「ねえフレンダ、一個質問していい?」
フレンダ「何ー? 結局、私の性感帯は太ももの内側だよ」
麦野「じゃあ今度そこ電子線でエグったげるね」
フレンダ「うぎゃぁっ! 想像しただけで痛いっ!」- 183: 2010/07/24(土) 20:40:46.71 ID:UHou66Io
絹旗「それで麦野、質問て何ですか?」
麦野「うん。女同士のセックスってどうやってすんの?」
浜面「ブボォッ!!!!!!!」 ブシャァァァァアアアアアアアアアア
滝壺「!」 ビクッ
絹旗「浜面の目と口と鼻と耳から色々な液体が……」 アセッ
麦野「きったねえな浜面ぁ。ちゃんと拭いときなさいよね。んで、知ってるのフレンダ?」
フレンダ「む、麦野……」 プルプル…
麦野「そんな100年越しの研究がようやく実を結んだ研究員みたいな目しないでくれる?
別にちょっとした興味よ。勘違いしないで」
フレンダ「ちぇー」 ブー
浜面「ピクピク……」 グッタリ
絹旗「浜面が鼻血を出しすぎて貧血に……」
麦野「いいから、どうなのよ」
フレンダ「んー、正直私もしたことないからなー」
麦野「はぁ!? アンタあんだけ私に変態行為要求しといて経験無しかよ!?」- 184: 2010/07/24(土) 20:43:06.32 ID:UHou66Io
絹旗「超同意見です。いや、熟知されててもそれはそれでリアクションに困りますけどね」
フレンダ「結局ぅ、初めてはぁ、心に決めた人に捧げるってぇ、決めてる訳よ~。む・ぎ・の☆」 クネクネ
麦野「キモい。アンタなら知ってると思ったんだけどなー」
滝壺「むぎの、どうしてそんなに知りたいの……?」
麦野「え、どうしてって……興味があるだけって言ったでしょ?」
麦野(あいつと付き合って1週間。キスは毎回してるけど裸はあれから一回も見てないし……色々溜まってきてるし
って違う違う! 念のためよ念のため! あいつとはまだそんな……)
滝壺「そっか」
滝壺(マンションで女の子と抱き合ってたこと聞いちゃ駄目かな……)
フレンダ「結局、やっぱ指と舌じゃない?」
麦野「突っ込むもんないもんね。オモチャとか使うのかしら」
浜面「……!」 ブシュッ!
滝壺(オモチャ……?) ポカン
フレンダ「あー。でも結局、別に挿入しなくてもいいんじゃない? 触られるだけでも十分気持ちいいんでしょ?」- 185: 2010/07/24(土) 20:43:53.12 ID:UHou66Io
麦野「まあそうね。突かれてる時より指とかで丁寧にされてる時のほうが気持ちいいよ。
ね、滝壺?」
浜面「……!」 ビクンビクン
絹旗「浜面がもう駄目な感じに血の気が失せてますね……」
滝壺「えっと……わからない」
麦野「分からないってことはないでしょ。どーせ浜面のことだから猿みたいに求めてくんじゃないの?」
滝壺「私、はまづらと……その、してないよ」
麦野「あァ?」
フレンダ「え、マジで?」
絹旗(身内のそういう話はなんか恥ずかしいです……)
浜面「」
麦野「いやいや、アンタ浜面が寝かせてくれないみたいなこと言われて顔真っ赤にしてたじゃない」
滝壺「え? はまづらと朝までテレビゲームしちゃったのが恥ずかしくて……」
麦野「…………」
フレンダ「…………」
絹旗「…………」- 186: 2010/07/24(土) 20:45:16.62 ID:UHou66Io
麦野「なんだろ、滝壺が眩しいわ」
フレンダ「結局、私らなんてもう汚れきってる訳よ」
麦野「でもいつ性欲に我を忘れた浜面に乱暴に犯されるか分からないから適度に抜いてやんなよ」
フレンダ「滝壺のピュアさに感心した次の瞬間にそんなこと言えるなんて、麦野の精神タフすぎる訳よ」
滝壺「ぬく……?」
麦野「あーもういいや。脱線したけど、結局突っ込まないだけで普通に男女でするのと一緒なのかな」
フレンダ「そうなんじゃないの? 気持ちよければいいみたいな」
絹旗(あんまり混じりたくない会話です……。二人とも周りに人がいること超忘れてますね……)
麦野「うーん、そっかー……」
フレンダ「……?」- 187: 2010/07/24(土) 20:48:48.53 ID:UHou66Io
―ファミレス前 17:00―
麦野「じゃ、私行くとこあるからここでね」
フレンダ「どこ行くのー?お買いもの?」
麦野「まあそんなとこ。浜面ぁ、アンタはいつまで貧血起こしてんのよ」 ゲシッ
浜面「いてっ! あまりに刺激的な会話に耐えきれなかったぜ……」 フラフラ
麦野「そんなんじゃ滝壺の全裸見たら心臓止まるよ」
浜面「やめろー! 毎日悶々としてる俺をこれ以上惑わせるなーっ!」
麦野「ははぁん、アンタの態度によっちゃ滝壺の乳首の色からもっと下まで精彩に教えてやってもいいんだけどねー?」
浜面「やめれー!」
滝壺「あれ? きぬはた、どうして私の耳を塞ぐの?」
絹旗「滝壺さんは聞いちゃいけません! 耳が超汚れます!」
滝壺「?」
麦野「それじゃまたねー」 ヒラヒラ
フレンダ「あ、ちょっ麦野!」
麦野「~♪」
絹旗「鼻歌超歌いながら行っちゃいましたよ」- 188: 2010/07/24(土) 20:50:16.58 ID:UHou66Io
フレンダ「おかしい……」
浜面「何が?」
フレンダ「最近麦野の付き合いが悪い訳よ」
絹旗「はあ」
浜面「そうか?」
フレンダ「いつもだったらまだ解散するには早いし、今日も珍しく女同士がどうとか言ってたし……何かあるわね」
滝壺「ねえフレンダ。私この前見ちゃったんだけど……」
フレンダ「ん、何が?」
浜面「おい滝壺」
滝壺「別に悪いことじゃないから良いと思うけど……」
フレンダ「浜面は黙ってて! なになに? 教えて教えてー」
滝壺「うん、むぎのが先週むぎのの部屋の前で女の子と抱き合ってキスしてたよ」
フレンダ「」
絹旗「見間違いじゃないんですか?」
滝壺「うん、はまづらも見たよね?」- 189: 2010/07/24(土) 20:52:00.97 ID:UHou66Io
浜面「お? ああ、まあ……な」
フレンダ「がぁぁぁああ! 麦野に最初に目をつけてたのは私なのにー! 相手は!? 誰な訳よ浜面ァッ!」
浜面「お、落ち着けって。ありゃ確か……アレだ、前麦野がメールしてるっつってた常盤台の……」
フレンダ「超電磁砲(レールガン)!?」
滝壺「うん。制服は着てなかったけど、間違いないと思うよ」
フレンダ「な、なんてこと……! 麦野に限ってそのケは無いと信じてたのにー!」
絹旗「信じてたのにアプローチかけてたんですか?」
フレンダ「いつかを実を結ぶと思って」
絹旗「超哀れな……」
浜面「ああ、でもキスしてたのかはちょっと微妙だぞ。ほら、よくあるだろ、目にゴミが入ったとか」
フレンダ「あえて漫画の読み過ぎだとは突っ込まないでおく訳よ。
確かにそのセンも十分あり得る。よし、麦野を尾行しよう!」
絹旗「は?」- 190: 2010/07/24(土) 20:53:46.34 ID:UHou66Io
浜面「おいおい」
滝壺(帰ってお昼寝したいな……)
フレンダ「いいからっ! こんなこともあろうかと麦野のバッグに発信器を仕掛けといた訳よ」
絹旗「体張りますね。バレたら超死にますよ」
フレンダ「結局、盗聴器じゃないから大丈夫大丈夫。約6時間で風化する有機発信器な訳よ」
絹旗「それは何というかご都合主義的な……」
フレンダ「細かいことはいいのっ! 携帯でリアルタイムで位置情報が分かるから行くよ」 ダッ
絹旗「やれやれ、でも麦野がこの後超電磁砲と超イチャイチャするとこ見れるかもしれないのは楽しそうですね」
浜面「確かに、デレデレしてる麦野ってどんなんだ……気持ちわr……いやいや」
滝壺「むむ……かわいいかも」- 191: 2010/07/24(土) 20:56:27.82 ID:UHou66Io
―第七学区 裏通り 17:30―
麦野「……」 スタスタスタ
フレンダ「結構歩いてとっくに麦野の家通りすぎちゃった訳よ」 ヒソヒソ
絹旗「常盤台の学生寮もこっちには無いですし、人気はそこそこあるものの裏通りですよ。
なんか挙動不審な人多いですし……こんなところに超電磁砲が来るとは思えませんが」 ヒソヒソ
浜面「っつか、今日麦野が超電磁砲と会うって確証は無いだろ?」 ヒソヒソ
絹旗「確かに。けどじゃあ麦野はどうしてこんなところへ……」
フレンダ「しっ! あれ見て!」
麦野「…………」 キョロキョロ
絹旗「やばいですっ! 隠れて!」 サッ
浜面「急にキョロキョロし始めたぞ」
フレンダ「この辺りが目的地なのかも」
浜面「お、なんかでかい店に入っていくな」
絹旗「普通の本屋に見えますが……」
フレンダ「普通の本も売ってるけど、実はアダルトグッズショップな訳よ」- 192: 2010/07/24(土) 20:58:12.18 ID:UHou66Io
浜面「!?」
絹旗「なっ……!」 カァァ
滝壺(アダルト……大人っぽい雑貨屋さんかな)
浜面「おいおい……なんで麦野がそんな店に……」
フレンダ「まさか本当に超電磁砲と使うオモチャを買いに来たんじゃ……」 ワナワナ
滝壺(大人っぽいオモチャ……難しい知恵の輪とかパズルかな)
絹旗「ま、まだそうと決まったわけでは……」 ドキドキドキ
フレンダ「そうよ! 結局、麦野が新しい自慰を楽しむためのグッズを買いに来たに違いない訳よ!
決して超電磁砲と二人で使うものを買いに来たわけじゃないはず!」
滝壺(爺……? むぎののお祖父ちゃんにプレゼントするのかな。優しいねむぎの)
絹旗「っていうかあんなお店あったんですね……色んな意味でショックです」- 193: 2010/07/24(土) 21:00:29.15 ID:UHou66Io
フレンダ「学園都市は学生の街だから多くは無いけど、繁華街にはラブホテルもある訳よ。
一人暮らしの学生の悶々とした情熱を発散する方法も必要だからね」
絹旗「まあ浜面もエロいDVD借りてますしね」 ジトッ
浜面「こらっ! 男なんだから仕方ねえだろ! そんな汚いもの見るような眼で見るな!」
滝壺「……さいってー」 ボソッ
浜面「た、滝壺……」
滝壺「知らない」
浜面「ご、誤解だー!」
滝壺「知らない」
絹旗「誤解じゃないでしょう」
フレンダ「何やってんのもう。そんなことより追いかけよう」
絹旗「大丈夫ですか? 店内だと気づかれる確率上がりますよ」
フレンダ「大きい店だからだいじょぶだいじょぶ」- 194: 2010/07/24(土) 21:03:37.49 ID:UHou66Io
―第七学区 本屋『諫早書店』 17:40―
ワイワイガヤガヤ……
絹旗「確かに1階は超普通の本屋ですね。学生の姿も普通にあります」
フレンダ「まあここは普通に合法的なお店だしねー」
滝壺(オモチャ屋じゃない……あ、2階3階もあるんだ。そっちなのかな)
フレンダ「1階はね。ほら案内板見て、2階は女性向け書籍、グッズってなってる訳よ」
絹旗「や、やっぱり行くんですか?」
フレンダ「大丈夫だって。2階も手前は女の子向けの本が置いてあるだけだから。もう1個入口があって
その中が……ゲフンゴフン、な訳よ」
浜面「やけに詳しいなお前」
フレンダ「ギクッ!」
絹旗「ま、まさか……」
フレンダ「ち、違うもん! 私なんかどう見たってミドルティーンなんだから売ってくれない訳よ!」
浜面「じゃあなんでそんな詳しいんだよ」
フレンダ「3階男性向けコーナーで百合雑誌を買いに……百合姫とか」 ボソッ- 195: 2010/07/24(土) 21:05:01.93 ID:UHou66Io
絹旗「ぬう、聞きたくなかったです」
浜面「あーもういいぞ。それより麦野は何階にいるんだ?」
フレンダ「この発信器上下は分からないからなー。うーん、とりあえず1階ずつ見ていこうか」
絹旗「入れ違いにならないよう誰か入口付近で超張っといたほうがいいんじゃないですか?」
フレンダ「だね、んじゃ浜面よろしくー」
浜面「えー、俺かよ」
フレンダ「あったりまえでしょ。女性向けエロコーナーはあんたじゃ入れないでしょ!」
絹旗「フレンダ声大きいです、周りの男の人達から視線が……」 カァァ
浜面「分かったよ。んじゃ向かいのコンビニから入口見とくわ」 スタスタスタ
フレンダ「よし、野郎ども行こうぜ」
絹旗「野郎は一人もいませんが。あれ、滝壺さんは?」
フレンダ「あれ、さっきまでいたのになー。えーっと……いたいた」
絹旗「滝壺さーん、何読んで……」
滝壺「……」 (*・△・*)ワクワク
絹旗「ど、どうします? コ○コロコミックなんか超読んでますよこの人……」 ヒソヒソ
フレンダ「なんでこんな店に児童向けのコロ○ロが置いてあるのよ……。
そっとしておいてあげよ。ここから上は滝壺には刺激が強すぎるし……」 ヒソヒソ- 196: 2010/07/24(土) 21:08:03.60 ID:UHou66Io
絹旗「滝壺さん、私たちちょっと上行ってくるんでここで大人しく○ロコロ読んでてくださいね」
フレンダ「それ終わったら今度は電撃○王とかガ○ガンでも読んで時間潰しててね」
滝壺「うん、いってらっしゃい」 コクリ
滝壺「……」 ジー (*・△・*)ワクワク
フレンダ「よし、これで当分大丈夫」
絹旗「ざっと見たところ麦野はこの階にはいないようですし、やっぱ上ですか」
フレンダ「まあ麦野漫画読まないしね。この本屋基本的に普通の実用書とか文庫本は置いてないみたいだから。
間違いなく麦野の目的は上な訳よ」
スタスタスタ
絹旗「どっちから責めます? それとも手分けしますか?」
フレンダ「ん、ちょっと待ってあれ見て!」
絹旗「あれって……レジの店内カメラモニターですか?」
フレンダ「うん、3階のあの女の人、あれ麦野だよね?」
絹旗「えーっと……ああ、ほんとですね。あの無駄に存在感ある美人は麦野です」
フレンダ「3階……しかもあそこは私も御用達の百合ものコーナー……うう、なんか泣けてきた」
絹旗「気を超しっかり持ってください。とりあえず行きませんか?」
フレンダ「だね。はぁー、なんか片思いの人に実は彼女がいたのを知っちゃったみたいな気分な訳よ……」
絹旗「それ例えでもなんでもないですけどね。同情します……」- 197: 2010/07/24(土) 21:09:46.39 ID:UHou66Io
―『諫早書店』 3階 17:50―
麦野「……」 ジー
フレンダ「お、いたいた」 ヒソヒソ
絹旗「なんか薄っぺらい本をジーッと超見つめて微動だにしませんよ」 ヒソヒソ
フレンダ「百合もの同人誌コーナーだね。私も見たいなー……」
絹旗「ゲッ、フレンダそんなものにまで手ぇ出すんですか?」
フレンダ「そんなものって何よぅ。同人誌だからって馬鹿にしないでよね。
結局、麦野も中見ればいいのに……恥ずかしがってるのかな」
麦野「……」 コソコソ キョロキョロ
絹旗「同人誌持ったままキョロキョロし始めましたよ」
フレンダ「万引きする中学生みたいな訳よ」
麦野「……ゴクリッ」 ペラッ
絹旗「お、開きましたよ」
フレンダ「あー、分かる分かる。私も初めて百合本の中身確認した時はあんなだったなー」
麦野「……」 ピシャッ!
絹旗「すっごい勢いで閉じましたね」- 198: 2010/07/24(土) 21:12:11.77 ID:UHou66Io
フレンダ「思ったよりハードだったんじゃない? 私も初めての時は恥ずかしくて中身確認できなくてさー。
表紙に騙されて買って帰ったやつがウンコ食べるやつだった時はさすがの私もどうしようかと……」
絹旗「正直フレンダの経験談は超どうでもいいです……今度は別のを手にとりましたね」
フレンダ「お、読んでる読んでる。あはっ、耳赤くなってる訳よかーわいい」
絹旗「笑いごとなんですか? あれきっと超電磁砲と自分を重ね合わせてますよ」
フレンダ「そ、そうだった……。はあ……死にたい」
絹旗「そこまで落ち込まなくても……あ、ほらほら、レジに持っていってますね」
フレンダ「何買ったんだろ。棚のジャンル分け見たらどこ抜けてるか分かるかな。絹旗、麦野見張っといて!」 ダッ
絹旗「見なきゃいいのに……。私にはフレンダが自虐プレイしているようにしか見えません……」
麦野「……」 スタスタスタ
絹旗(おっと、帰るんですかね。……いや、2階で止まって……あれは入ろうか入るまいか超迷ってる感じです)
麦野「……」 クルッ スタスタスタ
絹旗(行った―――! 2階は女性向けコーナーということなのでBL本が置いてあるはず。
麦野はそっちの趣味は無いからきっとエロいグッズコーナーです。……マジですか麦野)
フレンダ「ふぇ~ん! 絹旗~!」 ガバッ!
絹旗「ちょっ!なんですかフレンダこんなところで!」- 199: 2010/07/24(土) 21:13:46.01 ID:UHou66Io
フレンダ「麦野が純愛もの買ってってた~!」 ビー
絹旗「麦野のくせにどの面下げて純愛とか……まあいいでしょう。
とりあえず離れてくれません? 超目立ってますよ」
フレンダ「グスッ……へ?」
ザワザワザワ…
オニャノコトオニャノコガ ハァハァ… ヨウジョモエー… ユリモエー… ハァハァ…
フレンダ「わわっ、麦野に勘付かれちゃまずい」 バッ
絹旗「ほんと無駄に勘がいいですからね。麦野は2階へ行きましたよ」
フレンダ「そっちも行っちゃうのかー……追いかけてみよっか」
絹旗「まだ行くんですか」
フレンダ「こうなったら麦野が超電磁砲とどんなプレイをするのか確かめてそれ想像しながら自分を慰める訳よ。
大丈夫、私はNTRもいけるようになってみせるっ!」 グッ
絹旗「もはや偉大な人物に見えてきましたよフレンダ。超愛ですね……」- 200: 2010/07/24(土) 21:15:25.79 ID:UHou66Io
―『諫早書店』 2階 18:10―
麦野「……」 コソコソ キョロキョロ
絹旗「案の定アダルトグッズコーナーの入口前でも迷ってますね」
フレンダ「けどあの感じだと行くね」
絹旗「中入ったらどうします?」
フレンダ「大丈夫でしょ。それなりに向こう側も広そうだし」
絹旗「いやそうじゃなくて。私たち18歳以上にはさすがに見えないんじゃ……」
フレンダ「いけるいける。結局、制服じゃなけりゃ入るだけなら注意されないよ」
絹旗「そんなもんですか」
フレンダ「そもそも裏通りに建ってる店だし、18禁なんてのもあって無いようなもんなんじゃない?
買う時もさすがに絹旗じゃ無理だけど、私とかなら年齢確認されないと思う訳よ」
絹旗「なるほど。まあ学生の街ですしね。あ、見てください。麦野入りましたよ!」
フレンダ「卑猥な単語列挙することにかけちゃ学園都市一位の麦野にしては決断が遅かったね。私たちも行こう」
タッタッタッ- 201: 2010/07/24(土) 21:16:44.06 ID:UHou66Io
麦野「……」 ジー
フレンダ「あそこは何コーナーだろ、私も入るの初めてだからなー……」
絹旗「あれは……あわわ……」 カァァ
フレンダ「あ、バイブか。あれならまだ一人で使うって可能性もある訳よ」
絹旗(私こんなとこで何やってんでしょう……)
麦野「……」 スッ
絹旗「なんか箱をマジマジと見つめてますね。気に入った形でも超見つけたんでしょうか」
フレンダ「結局、どうでもいいけど麦野の自慰ってすごそうよね。ゴリゴリやってそう」
絹旗「うげ、想像したくないです……」
麦野「……」 ポスッ
フレンダ「棚に戻したね。買わないのかな」
絹旗「本くらいなら可愛いもんですけど、あれ買われたら明日私はどんな顔して麦野を見ればいいんですか」
フレンダ「『涼しい顔してるくせに部屋ではアレ突っ込んでヒーヒー言ってんでしょこのエロメスがっ!』
っていう目で見ればいい訳よ」
絹旗「超ヒキます」- 202: 2010/07/24(土) 21:18:15.59 ID:UHou66Io
フレンダ「冗談冗談。私も麦野が男のモノを模したオモチャでグチュグチュやってるのは想像したくないな」
絹旗「超生々しい表現やめてください。お、今度は……な、なんですかあれ」
麦野「……ゴクリッ」 ジー
フレンダ「…………」 クラッ
絹旗「ちょちょちょ! なんですか? 貧血ですか?」 ウケトメ
フレンダ「ふぇ~! だってあれペ○バンだよ! あ、あんなの麦野が見てるなんてー!」 ビー
絹旗「見てるだけならいいじゃないですか。ほら自分で立ってくださいよ。また目立ちますよ……」
フレンダ「そだね……グスッ、最後まで見届ける訳よ」
絹旗「けど今度は手に取るどころか目を背けてますね」
フレンダ「さすがの麦野にもちょっときつかったかな。隣には双頭ディ○ド。はぁ……やっぱそういうことなのね」
絹旗「まあまあ。ただ百合ブームが麦野の中でキテるだけかもしれませんよ」
フレンダ「ふむ、一理あるなー。そうだったらいいのに」
絹旗(まあその可能性は薄いですけど……。あの人目に敏感な麦野が私たちの視線に気づいてない。
フリをしてるなら平静を装うはずですし、耳まで真っ赤にしてるあの感じだとかなりの緊張状態で
店内を超物色してます。やっぱ恋ですかね、麦野)
フレンダ「でも結局何も買わないみたいだね。出口向かってるよ」
絹旗(どんなのがあるか一応参考にってとこでしょうか。まあ純愛ものから入る人ですから、
いきなりオモチャなんて使いませんよね)
フレンダ「よし、私たちも戻ろっか」
絹旗「ですね……って、しまった滝壺さん!」
フレンダ「あっ! 漫画雑誌コーナーは入口前!」
絹旗「と、とにかく麦野を追いかけましょう!」 ダッ- 203: 2010/07/24(土) 21:19:53.14 ID:UHou66Io
―『諫早書店』 1階 18:20―
麦野「な、なんでアンタがここにいるの?」
滝壺「むぎの……」
ササッ
フレンダ「や、やばー。滝壺と麦野会っちゃった!」 ヒソヒソ
絹旗「滝壺さんの機転に超期待するしかないです! 様子を見ましょう」 ヒソヒソ
フレンダ「あーもう怖いなー。何喋ってんだろ……」 ハラハラ
麦野「ま、まさかアンタ後つけて……」
滝壺「後? どうして?」
麦野「……どうしてって……その」
滝壺「私ははまづらがこの本屋に用があるから一緒に来ただけだよ」
麦野「一緒にって……なんでわざわざこんなとこまで……」
滝壺「分からないけど、3階に用があるからここで待っててくれって言われたの」
麦野「そ、そう……」
麦野(3階って……まさかこれ買うとこ浜面に見られたりしてないわよね?
ううん、あいつのことだからどうせ18禁コーナーよ。大丈夫大丈夫。危ないわねー……)- 204: 2010/07/24(土) 21:21:31.10 ID:UHou66Io
滝壺「むぎのも何か買ったの?」 チラッ
麦野「な、なんでもないの!」 ササッ
滝壺「え、でもそれ……」
麦野「なんでもないったら。それよりあのバカは? 彼女待たせて何やってんだか」
滝壺「そろそろ戻ってくると思うけど……」
麦野「そ、そう。じゃあ私は帰るわね。滝壺、私とここで会ったことは誰にも内緒よ!」
滝壺「どうして?」
麦野「理由は聞かないで! 黙っててくれたら今度アイス買ったげるから」
滝壺「ほんと? いいよ」
麦野「じゃ、じゃあね! また明日」 イソイソ
滝壺「うん。バイバイ」
タッタッタッ
滝壺(アイス……嬉しいな)
絹旗「イソイソ帰っていきましたね」
フレンダ「ふう、なんとか大丈夫だったみたいだね。滝壺何か言われた?」
滝壺「誰にも会ってないよ?」- 205: 2010/07/24(土) 21:23:11.38 ID:UHou66Io
フレンダ「へ?」
滝壺(むぎの……私、アイスを守るよっ) グッ
絹旗「いやさっきまで麦野が……」
滝壺「誰にも会ってないよ」
フレンダ「ああ、口止めされてる訳ね……まあいいや、尾行がバレてないなら」
絹旗「しかし大した収穫はありませんでしたね。麦野が純愛百合同人誌を買っていったことくらいしか」
フレンダ「あとはまあアダルトグッズコーナーに入ったけど買わず……興味本位の可能性も捨てきれない訳よ」
滝壺(ハーゲンダッツにしようかな……でもパピコも好き。あ、スーパーカップもいいな……)
フレンダ「よし、今週の土日は朝から麦野ん家前に張りこむよ!
相手が超電磁砲なら土日しかデートできないだろうし、真実をこの手でつかみ取ろう!」 グッ
絹旗「もうそっとしておいてあげましょうよ。麦野がプライベートで誰と付き合おうと知ったことじゃないです。
別に麦野が女性と超恋人関係になることが仕事に影響するわけじゃないですし」
フレンダ「むう……私には影響するもん」 ショボン
絹旗「さ、帰りましょっか。浜面はどうせコンビニでエロ本の立ち読みでもしてるんでしょうし」
滝壺「……それは許せない」 ゴゴゴ…
絹旗「滝壺さん?」 ゾワリ…
フレンダ(私はちゃんとこの目で見るまで信じないからね、麦野っ!)- 207: 2010/07/24(土) 21:26:06.15 ID:UHou66Io
―麦野宅 19:00―
――――――――――――――――――――
from:美琴
件名:やほ(*´∀`)ノ
本文:
いよいよ今週なんだねー(*>艸<)
いっぱい沈利さんに甘えるね(∩∀`*)
お昼はどうする?
――――――――――――――――――――
麦野(ふふっ、美琴をめちゃめちゃ甘やかしたいわ……) メルメルメル
――――――――――――――――――――
to:美琴
件名:うん
本文:
知り合いに見られても知らないわよ(笑)
お昼は微妙な時間だし家で軽く済ませてきてね。
夜は期待してていいわよ。
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
麦野「さてと……」 イソイソ
麦野(今日買った女の子×女の子の本……) スッ
麦野(中学生の時コバ○ト文庫でそんなの読んだことあるわ……マリ○てだっけ?)
麦野(ああいうのが百合?っていうのか)
麦野(ここ1週間百合?っていうのを色々調べてみたけど、なかなか奥が深いのね)
麦野「しかし百合って何だ……。レズビアンじゃ駄目なわけ? まいいや」
麦野(あいつを頑張ってエスコートしてやらなくちゃね。私のほうが年上なんだから、それくらいはしないと)- 208: 2010/07/24(土) 21:28:09.25 ID:UHou66Io
―常盤台中学学生寮 二○八号室 19:30―
――――――――――――――――――――
to:沈利さん
件名:いいの(∩∀`*)
本文:
むしろ見せつけてやればいいのよ(´ε`*)
はーい(*´∀`)ノ
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ
御坂(沈利さんと付き合ってもう一週間なのか、早いわねー)
白井「お姉様、今週の土曜日はお暇ですの?
よろしければ第六学区にでも足を延ばして遊びに行きませんこと? 初春達も誘って」
御坂「ん? あー……ごめんねいつも誘ってもらってんのに。
今回も先約有りなのよ。」
白井「別に構いませんわよ。先日は色々とご馳走していただきましたし。
それはそうと、今回もまた麦野さんとお出かけになられますの?」
御坂「うん。第六学区の水族館にね。夜も沈利さんに泊めてもらうから帰らないけど心配しなくていいから」
白井「あら、それは楽しそうですわね」
白井(少々妬けますけれど、久しぶりにお姉様の下着チェックをするにはいい機会ですの) グヘヘ…
御坂「うん、お土産買ってきてあげるからね」- 209: 2010/07/24(土) 21:31:15.16 ID:UHou66Io
白井「お気づかいなく。ところでよくそんなに外泊申請が通るものですわね。
麦野さんはお姉様の御兄弟等の身内というわけでもありませんのに」
御坂「まあ沈利さんは身元もしっかりしてるしレベル5同士だからじゃない?
許可を出すのは寮監じゃなくて常盤台の先生達だし、言うほど厳しくないわよ」
白井「なるほどですの。
確かに常盤台の学校側としても、お姉様と麦野さんが友好的なのは喜ばしいことですものね」
御坂「そうとられると素直に喜べないわねー」
白井「まあまあ。お二人の仲がよろしいことは悪いことではありませんし」
御坂「そうだけどさー。ま、あんたに言っても仕方ないしね。さ、お風呂入ろっと」
白井「あらん、一緒に入ってもよろしくってー? お背中お流しいたしますわよ、黒子の肌で」 ウヘヘヘ
御坂「間に合ってるからいいわ」
白井「ちぃっ! それは残念ですの!」
ガチャッ パタン
白井「……ん? 間に合ってるとは?」
白井(……聞き間違いではありませんわよね……どういうことですのお姉様!)
白井(泡立てたボディソープで肌と肌を擦り合わせる素敵な遊びを間に合ってるだなんて……
聞き捨てなりませんわー!)
白井(……そういえばここ最近お姉様ったら麦野さんのことを『沈利さん』とお呼びするようになっておられますの……)
白井(最初はちょっと仲良くなっただけだと思っておりましたが……なんだか嫌な予感がしますの)
白井(しかしわたくしが言うのも何ですがお姉様にそっちのケがあるとはとても……いえ、恋は人を変えるもの。
これは少々確かめねばならないようですわね!) ゴゴゴゴゴゴゴゴ…- 266: 2010/07/26(月) 21:13:58.39 ID:3J.texQo
18日目 (土曜日)
―第七学区駅前 13:00―
御坂「~♪」
御坂(いよいよ沈利さんと初デートね。よく考えりゃ私まともなデート自体がそもそも初めて……) ドキドキドキ
御坂(途中で私服に着替えたけど変じゃないわよね……。Tシャツに短パンってラフ過ぎないかな?)
御坂(別に沈利さん男じゃないんだからスカート穿いたって嬉しいわけじゃないだろうし、大丈夫よね。
あ、けど好きな子のエロい格好は見たいとか言ってたような……)
御坂(沈利さん結構やらしいからなー……あんまり挑発するような格好はしないでおこう。うん)
タッタッタッ
麦野「おまたせー」
御坂「おーす。あ、今日はミニスカートなのね」
麦野「あんま見んな。太いのバレる」 ササッ
御坂「なんで穿くのよ。しかも全然細いってば。気にしすぎじゃないの?」
麦野「美脚のアンタには分からないわよ。っつかアンタこそ生足出しちゃって、誘ってんの?」
御坂「違うっつの。ほら、行きましょ」
麦野「はいはい」 スッ
御坂「あっ……手……」- 267: 2010/07/26(月) 21:16:17.55 ID:3J.texQo
麦野「嫌?」
御坂「そんなことないけど、恥ずかしいわね……」
麦野「見せつけてやろうなんて言ったやがったのはどこのどいつだっけ?」
御坂「そうだけどさ。周りの人からすりゃ別に見せつけられてもって感じじゃない?」
麦野「そうかしら、こんな可愛い女の子が二人手をつないで歩いてたら、男はそれだけで三日は抜けるわよ」
御坂「自分でそこまで言うか……」
麦野「なんて、女の子同士で手繋いで歩くのなんて別によくあることじゃない」
御坂「そうね、小学校くらいまではね」
麦野「何よ。いいだろ、誰も困らないんだし」
御坂「そりゃそうか。じゃ、今日はしっかり引っ張っていってね、沈利さん」
麦野「お姫様って柄かしら。まあいいわ、今日はたっぷり楽しみましょ」
御坂「うん!」- 268: 2010/07/26(月) 21:20:38.77 ID:3J.texQo
―駅前 同時刻―
サササッ!
白井「……見つけましてよ、お姉様」 ボソッ
白井(意気揚々と出かけて行かれたのでわざわざサングラスとトレンチコートで変装して尾けてみれば、
これはどういうことですの……?)
白井(確かに麦野さんと第六学区へ遊びに行かれるとおっしゃってましたが、まさか手を繋ぐなんて聞いていませんの)
白井(いえいえ、早まっては駄目よ黒子! 仲の良い女性同士なら手を繋ぐことも考えられない話ではありませんの。
小学校低学年の時まではわたくしもしていましたし……しかし、いつもわたくしが手を繋ぎたいと申しても
絶対に繋いでくれませんのに、お姉様ったら麦野さんには随分大胆ですのね……)
白井(ハッ! ま、負けては駄目ですの! お姉様が年下だから、先輩の麦野さんの自尊心を満たして差し上げようと
エスコートをお願いしているだけですの! 今日一日見届けさせてもらいますわよ!)
ギギギギッ!
白井「ん?」
白井(な、なんですのこの歯ぎしりの音は……)
フレンダ「……」 ギリギリギリ… ミシミシミシ
白井(な、なんですのあの金髪に帽子の方……? 一応年上に見えますけれど。
それにしても街灯を握り潰さんばかりの力で握っていますの……)
フレンダ(ななな! 何よこれぇっ!)
フレンダ(麦野が朝からにこにこ嬉しそうに出かけていったかと思えば……れれれ超電磁砲と手なんか繋いで―――!)- 269: 2010/07/26(月) 21:22:52.92 ID:3J.texQo
フレンダ(私だってまだ繋いだことないのにー!) ギリギリ…
フレンダ(わざわざ来る途中セブンスミストでキャップとジャージまで買って変装したんだから、
今日はたっぷり麦野を視姦……ゲフンゲフン調査してやる訳よ!) グッ
白井(ブツブツと独り言を……。ああいう方に好かれる方は大変ですわね。ストーカー予備軍ではありませんの?)
フレンダ「ん?」
フレンダ(何な訳よあのグラサンとコートのツインテール……じっとこっち見て。……ストーカー?)
フレンダ(あーやだやだ、変態ってのはいつの世もいる訳よ。見た目中学生くらいだってのに、結局世も末って感じよね)
白井(まああのような非常識な方は放っておいて、お姉様達の後を尾けるとしますの)
白井(それにしても……フヒヒッ、お姉様の生足ファッション、いいですわー!
嗚呼、その太股にお顔を挟んでフニフニしてほしいですのー!) ハァハァ
フレンダ(何あの子、ハァハァ言っててキモッ! まどうでもいい訳よ。麦野達の後を追わなくちゃ)
フレンダ(にしても結局……麦野のミニスカートキタ━━━(゜∀゜)━━━ !!!!!
何あのエロい太股! 胸もいつになく強調しちゃって谷間丸見えな訳よ! 挟まれたい!) ハァハァ
白フレ((いい思い出になりそうですの(な訳よ)!))- 270: 2010/07/26(月) 21:25:46.21 ID:3J.texQo
―電車内 13:15―
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
麦野「電車なんて久しぶりに乗ったわ。第六学区行くのも結構久しぶりかも」
御坂「私もそっちは滅多に行かないわねー。あ、でもこの前黒子連れて遊びに行ったわよ」
麦野「あらそう。何して遊んだの?」
御坂「えーっと、適当にアミューズメント施設はしごして、おやつ食べてって感じかな」
麦野「ふぅん」
御坂「あ、沈利さんもしかして焼きもち~?」 ニヤニヤ
麦野「べっつにー」 プィッ
御坂「妬かない妬かない。それより今日行く水族館てどんなところなの?」
麦野「ん、今フェアやってるらしくて、泳いでる魚を調理してくれるみたいだね」- 271: 2010/07/26(月) 21:27:00.46 ID:3J.texQo
御坂「何そのエグいフェア」
麦野「さすがに水槽で泳いでる奴をその場で釣って食べるわけじゃないと思うけど」
御坂「そりゃそうでしょ……。動物園で牛の檻の前でバーベキューするようなもんよ」
麦野「水族館ってデートっぽいと思ったんだけど……」 シュン…
御坂「あ、い、いいのよ全然! 魚もお寿司も好きだし! だから落ち込まないでよ!」
麦野「べ、別に落ち込んでなんかないわよ!」
御坂「…そ、そう?」
御坂(シュンってなってたくせに……。まあ確かに水族館は定番よね。けど魚なんて見て楽しいのかしら……?)
麦野(新鮮な鮭が食べられる! あれ、でも水族館に普通鮭の水槽なんてあるか……?) ハテ- 272: 2010/07/26(月) 21:29:17.28 ID:3J.texQo
―電車内 同時刻―
白井(キィィ! なんですのなんですのなんなんですのー!?
座席は空いているのですからあんなに詰めて座らなくてもよろしいんじゃありませんこと!?) ガァァ
フレンダ(あぁー! 超電磁砲私の麦野にくっつきすぎ! あんなに近づいたら麦野のいい匂いを嗅ぎ放題じゃない!
麦野はいつから女の子とそんな密着するようなエロい子になったの!?) ダァァ
白井フレンダ((しかも……)) チラッ
白井(なんでこの方この電車に乗ってますの? 第六学区なんて一人で遊びに行くようなところではありませんわよ)
フレンダ(電車の中でもサングラスって、結局アホだよね。なんか呼吸荒いし危ない人なんじゃないの?)
白井(大体電車の中でキャップって……しかも年頃の若い女性が上下ジャージで電車だなんて……)
フレンダ(チビのくせに何よロング丈のトレンチコートって。結局、コロンボでも目指してる訳?)
白井(華の休日にこういう無益な過ごし方をする方にだけはなりたくありませんわね)
フレンダ(どうせモテないから周りのカップル睨んで威嚇するような寂しい過ごし方してるんだろうなー……
こういう人にだけはならないように気をつけよっと)
白井(そんなことより、何を話しているんでしょうかお姉様達は、随分と楽しそうですわねー)
フレンダ(ま、こんな変態に構ってるのは時間の無駄な訳よ。それより、なんか仲よさそうだなー。
こんなこともあろうかと小型指向性集音マイクを持ってきているから問題ない訳よ) テレレッテレー!- 273: 2010/07/26(月) 21:32:12.71 ID:3J.texQo
白井(ゲェッ、な、なんですのあの方。電車の中だと言うのに何やら怪しげな機材を取り出しましたわよー!?
これはかなりの危険人物ですの……ありえませんの……) ヒキッ
フレンダ(あの子何こっち見てんだろ。わ、私をターゲットにするのはやめてほしい訳よ!
無視無視無視! 無線イヤホン着けてっと……どれどれ)
ガガー……ザザザ
麦野『美琴、カエルのヘアピンどうしてるの?』
御坂『沈利さんに買ってもらったアレ? 大事にとってるわよ。私の宝物だもん』
麦野『使ってよ。壊れたらまた買ってあげるからさ』
フレンダ(おーっし、感度良好!)
御坂『いや、白状すると、さすがにあれを着けて歩くのは私でもちょっと恥ずかしいかなって』
麦野『恥ずかしがってるアンタを見たいのに』
御坂『んなもん見てどうすんのよ』
麦野『おかずにする』
フレンダ「おかずぅっ!?」- 274: 2010/07/26(月) 21:33:31.12 ID:3J.texQo
ザワッ!
フレンダ(や、やばっ) コソコソッ
ザザザ……
麦野『な、何今の声……私の声大きかった?』
御坂『ううん。なんだろ、偶然じゃない?』
麦野『そうよね、いくらなんでもそんなでかい声でしゃべらないわよ。にしても今の声誰かに似てるような……』
白井(ほんとなんなんですのこの方……突然お、『犯す』だなんて意味の分からないことを叫んで……。
そろそろ警備員(アンチスキル)を呼んだ方がいいかもしれませんわね……)
フレンダ(危ない危ない……あまりに衝撃的な言葉に我を忘れてしまった訳よ)
ザザザ…
御坂『と、ところでおかずって何よ……』
麦野『アンタのことを妄想してオナニーすることよ』
御坂『な、なななっ!』- 275: 2010/07/26(月) 21:35:48.36 ID:3J.texQo
麦野『昨日なんか朝までしてたから眠くて眠くて……ふぁ~』
御坂『ばか……』
麦野『なんてね、冗談よ。そうやって困ってるアンタが可愛いから』 ナデナデ
御坂『どっちにしたって恥ずかしいもん……』 カァァ
フレンダ(ぐぐぐっ……血涙が止まらねえ訳よ。でも冗談か、よかったよかった。
だけど結局、麦野に頭を撫で撫でしてもらえるなんて至上の喜びな訳よ! う、羨ましい~!) プルプル…
白井(プルプルしていて気持ちが悪いですの……。
それはともかく、今お姉様頭を撫でられていましたわね……まあなんてこと。
お姉様もお姉様ですの、照れたりなんかしてわたくしがそんなことしようものなら有無を言わさず
アルゼンチンバックブリーカーの刑ですのにぃっ! エヘッ、でもその時はお姉様に密着できるからそれも
悪くありませんの。黒子ったらけ・な・げ) キャピッ
フレンダ(ゲッ、あいつキモッ……くねくねしちゃって、かよわい乙女の私には恐ろしい存在な訳よ)
ピロリロリーン♪
『まもなく第六学区中央駅。第六学区中央駅です』- 276: 2010/07/26(月) 21:36:49.73 ID:3J.texQo
ザザザ…
麦野『あ、もう着くね。なんかワクワクしてきた』
御坂『沈利さんでもワクワクとかするのね』
麦野『私ゃ冷血人間じゃねえんだよ。……ま、アンタと一緒だからね』
御坂『うん……私もよ』
フレンダ(くぅっ! イチャイチャしちゃってムカつくー! 超電磁砲そこ代われ! 私も麦野とデートしたいのにぃぃいい!)
白井(また手を繋いでいますの。寂しんぼうさん達ですの? う、羨ましくなんてないですわよ!)
スタスタスタ
白井フレンダ「「ん?」」 ピタッ
白井「ど、どうぞお先にですの」
フレンダ「あ、ありがとう」
白井(この方やっぱり第六学区へ……一体その格好で何しに行くつもりですの……? 怪しい、怪しすぎますのー!)
フレンダ(ほんと一人で第六学区で何する訳よこの子。怪しいなー……)- 277: 2010/07/26(月) 21:38:43.94 ID:3J.texQo
―第六学区 水族館『アドリア海の女王』 13:40―
ザワザワザワ ワイワイガヤガヤ
麦野「結構混んでるわね。晴れてるしイルカショーとかも並んでそうだな」
御坂「仕方ないわよ。むしろこれくらいのほうが休み満喫してる感じがして楽しくない?」
麦野「水槽の前で混むのは嫌よー」
御坂「ま確かにね。けどこれくらいなら大丈夫よ。さ、並びましょ」
麦野「オッケー。アンタなんか見たいやつとかある?」
御坂「んー、何がいるのかわかんないけど……可愛いやつ」
麦野「具体性の欠片も無いわね。言っとくけどカエルはいないわよ」
御坂「わ、分かってるわよ! っていうか別に魚なんか見ても可愛いとは思わないっつの」
麦野「そうねー。どちらかと言えば水槽の中で自由に泳ぐ魚達の全体像を見て綺麗だって思うのが正しい楽しみ方かしら」
御坂「そうよそうよ! 水族館に可愛いものなんて期待してないわよ!」
麦野「分かった分かった、ほら空いたわよ。纏めて買うからお金は?」
御坂「あ、今日は崩してきた」
麦野「えらいわね。イルカショーも見る?」
御坂「見たい見たい。ほんと小さい時に行ったっきりだから楽しめるかしら」
麦野「どうかしらね。私もそうだし、ま、行ってみましょ」- 278: 2010/07/26(月) 21:40:30.14 ID:3J.texQo
―水族館前 同時刻―
コソコソコソッ…
フレンダ(結構人いっぱいな訳よ。見失わないように気をつけないと。
指向性マイクも仕込んでっと……よしチケット売り場並ぼう)
白井(お姉様ったらあんなに麦野さんに密着して……いやらしいですの!
チケット売り場はこちらですわね)
スタスタスタ
フレンダ「あ」
白井「む」
フレンダ「先にどうぞ」
白井「それはどうも……」
フレンダ「……」
白井「……」
フレンダ(なんでこの子こんなとこにいる訳よ。一人で水族館て……遊園地よりマシだけどさ)
白井(一体どこまで一緒ですのこの方。一人で水族館なんて正気の沙汰とは思えませんの。
余程お魚のお好きな方なんですの?)- 279: 2010/07/26(月) 21:41:53.43 ID:3J.texQo
フレンダ(まあそんなことより麦野達は……お、いたいた。チケット買って入ってくな、急がないと)
白井(お姉様達はあそこですわね。むう、一見仲のよいお友達のように見えますが、背中から出ているピンク色の
オーラがどうにも腹立たしいですの)
係員「次の方どうぞー」
フレンダ「学生1枚」
係員「2000円になります」
フレンダ「はい」
係員「ではこちらが入場チケットでございます。
入場口を入ってすぐ写真撮影を行っておりますのでよろしければどうぞ」
フレンダ「お世話さまー」
白井(ぷぷっ、寂しい方ですの。周りは家族連れや学生ばかりですのに) ニヤニヤ
フレンダ(何ニヤニヤしてんだろこの子。魚フェチ?
怖いなー……まあ麦野にならうなぎを服に中に入れられても嬉しいけど) ニヤニヤ- 280: 2010/07/26(月) 21:43:25.83 ID:3J.texQo
係員「次の方どうぞー」
白井「学生1枚お願いしますの」
係員「2000円になります」
白井「はいですの」
係員「ではこちらが入場チケットでございます。
入場口入ってすぐ写真撮影を行っておりますのでよろしければどうぞ」
白井「どうもですの」
係員(なんか変な格好のお客さんだったな……)
スタスタスタ
写真係「ではでは撮りますよー! ハイチーズ!」 パシャッ
白井(ここが写真撮影の場所ですわね……。おっと、ちょうど次がお姉様達の番ですの。
魚と戯れるお姉様の写真もコレクションに加えたいですの)
フレンダ(麦野と写真かぁ、いいなぁ……まあ麦野の写真なんていくらでも持ってるけど。
ツーショットはまともなの無いんだよねー。額に入れて飾るのに)- 281: 2010/07/26(月) 21:46:53.32 ID:3J.texQo
写真係「ではお次の方こちらに立ってくださーい!」
フレンダ(む、麦野達の番だ!) コソッ
ザザザ…
麦野『美琴、もっとこっち来てよ』
御坂『えー、沈利さん当たってるわよ……』
麦野『ばぁか、当ててんのよ』 ギュッ
フレンダ「むぎっ……!」
白井「おねっ……!」
麦野御坂『『ん?』』
白井フレンダ((やっべぇっ!)) カクレミッ!
写真係『どうかされましたー?』
麦野『いえ何でも。すみません、もう一度お願いできますか?』
写真係「もちろん。気を取り直していきましょー! ハイチーズ!」- 282: 2010/07/26(月) 21:49:21.02 ID:3J.texQo
麦野『……』 ギュッ!
御坂『……』 ギュッ!
パシャッ!
写真係『ではこちらはお帰りの際出口にて1枚500円で販売しておりますのでよろしければどうぞ』
麦野『か、買う?』
御坂『う、うん……ほしいかも……』
麦野『ねえ今度ゲーセンでチュープリも撮ろうよ……』
御坂『い、いいわよ……』
スタスタスタ
フレンダ(な、なんてものを見てしまったんだろ……! 麦野と超電磁砲が寄り添ってツーショットなんて……!
うぅ……ショックだなぁ。……い、いやそれより!) チラッ
白井(な、なんという写真を撮っていますのお二人ってばっ! あんなにギュッと! ギュッと!
ああんっ! 黒子も壊れる程に愛されたいですのー! 3分の1も伝わらなくてもいいですのー!) キィィ!
フレンダ「ね、ねえ……」- 283: 2010/07/26(月) 21:52:17.84 ID:3J.texQo
白井(げぇっ! この方まだいましたの!? 一人での写真撮影なんて空気呼んで列抜けてさっさと前に進めばよろしいのに……」
フレンダ「もしかして超電磁砲の知り合いだったりする……?」
白井「!? な、何故それを……」
フレンダ「私は原子崩し……ええと、超電磁砲と一緒にいた女の子の友達なんだけど」
白井「麦野さんの!?」
フレンダ「あ、知り合いだった?」
白井「まあ少しだけ……」
白井(た、確かにそう考えてみればわたくしの行く先々にこの方がいるのも頷けるというものですの……)
フレンダ(やっぱそうだった訳よ。おかしいと思ったんだよねー、私と同じ方向見つめながらハァハァ言ってるし……)
白井(しかし認めたくはありませんが、わたくしの想像が正しければこの方……)
フレンダ(っていうか結局、この子って……)
白フレ((二人の後尾けてきたんじゃ……))
フレンダ(うひゃー、ヒクわー。いくら尊敬する先輩だからってプライベートの監視なんかしちゃう?
超電磁砲に同情しちゃう訳よ。え、私? 私はいいのっ、麦野への愛がそうさせるんだから)
白井(何て残念なお人なのでしょう。普通知り合いのプライベートを覗き見たりしますかしら。
麦野さんもお可哀想に。え、わたくしですの? 黒子はお姉様のパートナーですもの。
お姉様のことは何でも知っていないといけませんの!)- 284: 2010/07/26(月) 21:54:04.44 ID:3J.texQo
フレンダ「……」 ニコッ
白井「……」 ニコッ
フレンダ「そ、そうなんだー。二人とも仲いいんだねー。ところであなたって常盤台の学生さんだよね?
やっぱ何かすごい能力者なの?」
フレンダ(どうせ麦野のことだから超電磁砲なんてすぐ飽きてポイだよポイッ!
そしたらこの子達とも戦うことになるかもしれないし、情報拾っておかないといけない訳よ。
さすが麦野の頼れる相棒フレンダちゃん。麦野の頭撫で撫ではいただきよ!)
白井「いえいえ、わたくしなどお姉様に比べたら何て事ありませんの。
空間移動(テレポート)を少々嗜んでおりますの。レベルは4ですけれど。
それより貴女こそ、先ほどから持っておられるその機材はなんですの?」
白井(少々奇行の目立つ方ですし、お姉様に御迷惑がかからないよう確認しておかなくてはなりませんの)
フレンダ「へー! レベル4なんてすごいね! 私のこれは手製の小型指向性集音マイクだよ。
ふふん、結構器用でしょー。他にも超小型カメラとか色々あるよー」
フレンダ(レベル4空間移動能力者(テレポーター)!? すっげぇ訳よ!
いいないいなー! それがあれば麦野の下着も取り放題。麦野の体内に私の体液を転移させたりも出来る!
よし、ちょっと仲良くなってその力利用させてもらおう) フヒッ
白井「それはそれは、大したものですの」
白井(色々と犯罪じみた道具をお持ちですのね……。でもすっげぇですの!
その技術があればお姉様のあらゆる秘め事も24時間365日死角無しで撮影盗聴し放題ではありませんの!
少々お近づきになって機材をお借りできませんかしら) フヒッ- 285: 2010/07/26(月) 21:57:43.01 ID:3J.texQo
フレンダ「それほどでもないけどねー。よかったら一緒に聞く? 無線イヤホンもう一個持ってるし」
白井「いいんですの?」
フレンダ「いいよ。その代わり二人に見つかりそうになったらあなたの能力で私も一緒に逃がしてね。
あ、別に後を尾けてきたとかそんなんじゃないんだけど、なんとなく気まずいから」
白井「それくらいお安いご用ですの。わたくしこそこんな素晴らしいものをお借りしてありがとうございますの。
いえ別にわたくしも後を尾けてきたとかそういうわけではありませんけれど、少々気恥ずかしいですものね」
フレンダ(よーし、これで私の唾液を麦野の口内に転移させる計画の第一歩が始まった訳よ!)
白井(完ッ璧ですわ。これでお姉様ドキュメンタリー『お姉様とその生態』のクランクインが近付きましたの!)
フレンダ「じゃよろしくね。私はフレンダ」 ガシッ
白井「わたくしは白井黒子と申しますの。どうぞよろしく」 ガシッ
写真係「次の方どうぞー」
白井フレンダ「「はい?」」
写真係「さ、写真をお撮りしますよ。どうぞこちらへ」
白井「い、いえ私たちはその……」
フレンダ「ま、まあいいんじゃない? せっかくだから撮ってもらおうよ」- 286: 2010/07/26(月) 21:59:21.16 ID:3J.texQo
白井「そうですか? では……」
フレンダ(ちょっとでも仲良くなっとかないとね。あんたの能力たっぷり利用させてもらうんだから)
白井(どういうつもりですの? けれどこの方の技術を手に入れるためなら悪くありませんわね。
お姉様のためならこの方を欺いてみせますの!)
写真係「はいではもっと寄ってください! いきますよー! はいチーズ」 パシャッ
白井フレンダ「「……(ニコッ)」」 ウワッツラー
写真係「ではこの写真は後ほどお出口で……って、あれ?」
白井「急ぎませんと見失ってしまいますの!」 ダッ!
フレンダ「だね! 二人ともせっかちそうだからダッシュダッシュダッシュ!」 ダッ
白井「キック&ダッシュですのー!」 ダッ
写真係(変な子達だなー……)- 287: 2010/07/26(月) 22:01:01.81 ID:3J.texQo
―水族館館内『ラッコの水槽』 14:00―
プカプカ
ワイワイワイ… ガヤガヤ
御坂「キャ―――! 可愛い~!」
麦野「おい、水族館に可愛いもんは期待してないんじゃなかったの?」
御坂「だってこんな可愛いのいるなんて知らなかったんだもーん! 見て見て! ぐるぐる回ってる!
あーん、こんなのだったら一日中見てられるわ-!」
麦野「そうね。胴体長いわね」
御坂「見て見て!毛づくろいしてるわよ! 抱きしめたらプニプニもこもこで気持ちよさそう~。
可愛いなー、ね、沈利さん!」 パァッ
麦野「……そうね」
麦野(テメェのが兆倍可愛いっつの)
御坂「ねね、私デジカメもってきたんだ! 撮ろう撮ろう!」
麦野「あーはいはい、引っ張るな。はしゃいじゃって、ガキっぽいわよ」
御坂「沈利さんこそもっと笑って笑って! ラッコはあんま好みじゃない?」- 288: 2010/07/26(月) 22:02:56.68 ID:3J.texQo
麦野「楽しんでるからお構いなく。アンタ見てた方が面白いけどね」
御坂「なによぅ、私は見せもんじゃないわよー! ほら沈利さん撮るよ、もっとこっち寄って!」
麦野「背景にちゃんとラッコ入るんでしょうね?」
御坂「沈利さんとのツーショットいっぱい撮るために持ってきたんだから細かいことはいいの!
ハイチーズ!」 パシャッ!
麦野「撮れた?」
御坂「えっと……あ! ぷぷっ! 沈利さんまばたきしたでしょ! 半眼になってるわよー」 クスクスッ
麦野「ちょっ! テメ、消せよ!」 ガッ!
御坂「やーだ。これも思い出だもん」 ヒョイッ
麦野「ふざけんなっ! 美しくない私を写真に収めることは許さないわよ!」
御坂「沈利さんはどんな表情でも美人だから大丈夫よ!」
麦野「分かりきったこと言わないで! こら貸せ!」
御坂「貸さなーい。あ、ねえねえ、あっちにはカワウソがいるわよ! 行こう行こう!」 タッタッタッ
麦野「あーもうったく! 分かったから走るなっての」 タッタッタッ- 289: 2010/07/26(月) 22:04:16.09 ID:3J.texQo
―同時刻―
フレンダ「」
白井「」
フレンダ「のっけから飛ばしてる訳よあの二人……」
白井「確かにレベル5の集中力は伊達ではありませんの……お互いしか見えていないような……」
フレンダ「よ、弱気になってどうするの! 結局、すっごい仲の良い友達なだけなんだから!」
白井「そ、そうですわよね! 手を繋いで歩いたり、頬が当たるくらいに寄り添って写真を撮るくらいじゃ
まだまだ友達の域ですの!」
フレンダ「お、今度はカワウソの方に行った訳よ」
白井「お姉様ったらあんなにはしゃいで……まるで無邪気な子供のようですの」
フレンダ「麦野からすりゃ14歳なんて十分子供でしょ……」
ザザザ…
麦野『あら、この子達は結構可愛いわね』
御坂『ラッコよりこっちのほうが好き?』
麦野『どちらかと言えばね。んー、でも私早くペンギン見たいなー』
御坂『いいわね! ペンギンってヨチヨチ歩くからラブリー』- 290: 2010/07/26(月) 22:05:55.95 ID:3J.texQo
麦野『でもあいつら水中だとどや顔でミサイルみたく泳ぐわよ。
失速するとプカーッて水面に浮いてくるところが間抜けでいいよね』
御坂『何それすっごい見たい! 行きましょう行きましょう!』
麦野『急がなくたって逃げないわよ。落ち着いて楽しみなさいよ』
御坂『沈利さんの口から「落ち着け」だなんて。おっかしーの』 キャッキャッ
麦野『あんまり調子こいたこと言ってると上下に引き裂くわよ?』
御坂『ご、ごめんなさい。あまりに信じられない発言につい』
麦野『よし。次言ったら3分割』
御坂『もう、細かいこと気にすんじゃないの!』
白井「会話自体は確かに仲の良い友達同士という感じもしますが……」
フレンダ「だよね。まだ核心に触れてない感じな訳よ」
フレンダ(まああの麦野があんなに楽しそうにしてること自体が異常な訳だけど)- 291: 2010/07/26(月) 22:08:08.38 ID:3J.texQo
―水族館館内 『ペンギンの水槽』 14:20―
麦野「こ……これは……」 ホァァ
御坂「か、かわゆい……」 ポヘー
麦野「ねね、写真撮ろ撮ろ!」
御坂「お、ノってきたわねー。よし、沈利さんそこ立って、撮ったげるから!」
麦野「うん、お願いね」
御坂「いくよーん。ハイチーズ」 パシャッ!
麦野「ありがと。帰りペンギンのぬいぐるみ買おうっと」
御坂「随分気に行ったみたいね」
麦野「次はアンタも撮ったげるからそこ立ちな」
御坂「うん、可愛く撮ってよね」
麦野「よし、なら脱げ」
御坂「なんでよ!」
麦野「アンタの裸綺麗だし。一番綺麗な姿を撮ってあげる」 キャピッ☆
御坂「そ、そんなことこんなとこで言わないでよ!」 カァァ- 292: 2010/07/26(月) 22:10:19.28 ID:3J.texQo
麦野「ふふっ、ごめんごめん」 パシャッ!
御坂「なっ! 撮る前になんか言いなさいよ!」
麦野「美琴の照れ顔撮っちゃった」 バチコンッ☆
御坂「可愛くウィンクしても誤魔化されないからね! い、今すぐ消しなさい!」
麦野「消しません。携帯でも撮ったから今からこれ私の待ち受けよん」
御坂「だぁぁー! んなもん誰かに見られたらどうすんのよ! すっごい恥ずかしいじゃないのよ!」
麦野「アンタだって私の半眼撮っただろ。諦めなさい」
御坂「うう、余計なことするんじゃなかった……」
麦野「さ、次はあそこね。あ、鮫がいるみたい」
御坂「鮫かー。沈利さんっぽいよね」
麦野「あァ?!」
御坂「じょ、冗談じゃない」 ビクッ
麦野「私のどこがサメ肌だってのよ。しっとりもちもち卵肌でしょが」
御坂(そこじゃないわよ)- 293: 2010/07/26(月) 22:12:29.78 ID:3J.texQo
―同時刻―
フレンダ「ど、どう見てもイチャイチャしてるようにしか見えない訳よ……」
白井「お姉様の裸とか肌がどうとかおっしゃってましたわね……」
フレンダ「それにしてもペンギン可愛い訳よ」 ホワァ
白井「ですわねー。このデップリとした感じがなんとも愛らしいですのー」 ホワァ
フレンダ「あー、見て見てー! 飼育員さんが餌あげてるよー!」
白井「まあ本当。現金なものですわね、バケツの中に餌が入ってると分かっているのでしょう、
わらわらと集まっていきますの」
フレンダ「食べてる食べてるー! あはは、お腹空いてるのかな」
白井「お魚を丸呑みですの。あら、あちらは掃除をされている飼育員の方の後をペタペタ着いていってますわよ」
フレンダ「わぁかわいい! きゃははっ、あっち行きなって押しやられてる」
白井「それでも寄って行きますの。なかなか健気な子ですわね」
フレンダ「水族館なんて久しぶりに来たけど結構楽しいねー!」
白井「悪くありませんわ。あ、あっちにはタコがいますわよ!」
フレンダ「どこどこー! うわっ! うねうねしてる! 結局、白井さんのツインテールみたいだね!」- 295: 2010/07/26(月) 22:14:46.50 ID:3J.texQo
白井「んまっ! それは心外ですの! 」
フレンダ「冗談だよー。タコ焼き食べたくなってきた訳よ」
白井「現在フェア期間中ですから出口で食べられますわよ」
フレンダ「そうだったね。お腹空いてきちゃったなー」
白井「仕方ありませんわねー。飴でよろしければありますからこれでも嘗めてらしたら?」
フレンダ「わーい! 黒飴って、おばあちゃんみたーい! いただきー」 パクッ
白井「誰がお婆ちゃんですの!」
フレンダ「コロコロ……美味しいからいいのいいの。ありがとね。よし、次はあっち見よう!」 ダッ
白井「まったく、仕様のない方ですの。あらま大きな水槽がありますの。あれはマンタですわね」
フレンダ「ひらひらしてて綺麗だよねー。他にもいっぱい泳いでる。小さい鮫もいるね。
うぉっ! あの大きいの何ー!?」
白井「あれはジンベエザメですの。エイもマンタだけではなく他にも何種類か泳いでますわよ」
フレンダ「ほんとだ、微妙に違うね。白井さん詳しいね」
白井「これくらい常識ですの。そう言えば貴女お年はおいくつですの?」
フレンダ「ん? 16」
白井「私より3つも上ではありませんの。落ち着きのない方ですわねー」- 296: 2010/07/26(月) 22:16:51.66 ID:3J.texQo
フレンダ「うるさいなー。そんなことより結局、鯖はいないの鯖は?」
白井「鯖ですの? それでしたらあちらのようですわよ」
フレンダ「えー、いるんだ。行きたい行きたい!」
白井「鯖がお好きなんですの?」
フレンダ「正確には鯖缶がね。美味しいよねー」
白井「食べたことありませんの。でもフェアで鯖寿司とかもあるようですわよ」
フレンダ「お寿司かー。嫌いじゃないけどね。鯖に一番合うのはカレーな訳よ」
白井「あなたの舌がバカだということはよく分かりましたの」
フレンダ「失礼な! 白井さんの好物は何な訳よ!」
白井「わたくしは淑女らしく紅茶やケーキはもちろん、スコーンやブリオッシュ等が好きですの」
フレンダ「ブリ……何? 鰤の照り焼きの仲間?」
白井「魚類から離れてくださいませんこと? ブリオッシュとはパンに似たフランスの焼き菓子のことですの。
詳しくはwikipediaをご覧になってくださいまし」
フレンダ「ふぅん、まいいや。鯖カレーの方がおいしそうだし」- 297: 2010/07/26(月) 22:20:28.90 ID:3J.texQo
白井「だからなんでそのメニューに挑戦しようと思ったんですの……?」
フレンダ「美味しいんだってばー。今度試して……あ」
白井「どうしましたの?」
フレンダ「麦野と超電磁砲見失った……」
白井「あ……すっかり失念しておりましたの。あ、あなたがペンギンなどに気を取られているからですわよ!」
フレンダ「しょ、しょうがないじゃん可愛いんだもん! 白井さんだってなんだかんだ楽しんでた訳よ!」
白井「わ、わたくしは……! むぅ、確かにそれはそうですの……貴女だけを責めるのはお門違いというものですわね」
フレンダ「あはは、まあ気を取り直してがんばろ。……っと」 ブルルッ
白井「今度はなんですの? 急ぎませんと……」
フレンダ「ちょっとおしっこ行ってきてもいい? 結局、麦野達たぶん3時からのイルカショー見ると思うし大丈夫な訳よ」
白井「まったく。どうぞですの。ところで女性ならせめてお手洗いと言ってくださいましね」
フレンダ「細かいことはいいじゃない。ごめんねー。すぐ戻ってくるからー!」 タッタッタッ
白井「やれやれですの……」 フゥ…
白井(でも意外と人懐っこくて明るい方でしたわね。悪い人では無さそうですの)- 359: 2010/07/28(水) 21:23:16.51 ID:xQD8DnYo
―水族館館内『イルカショー会場』 14:40―
ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ…
御坂「ふぅ。結構いい席取れてよかったわね」
麦野「前から3列目、まずまずよね。あ、喉乾いてない? お茶あるけど」
御坂「ん、今は大丈夫。ありがと。イルカショー楽しみねー」
麦野「そうね」
麦野(楽しいな。こいつと過ごすこういう何気ない時間はほんと癒される……。
二人でゆっくりするのも好きだけど、やっぱたまには出掛けるのもいいわよね)
麦野(こいつは楽しんでくれてるのかしら。ううん、きっと同じ気持ちよね。
アンタとの時間を守るためなら、何でもできる。心からそう思えるよ、美琴……) クスッ
御坂(なんか機嫌よさそうだな沈利さん。初めて会った時からは考えられない笑顔よね。
この顔ずっと見てたいな……)
御坂(待てよ。アレを渡すなら今かしら……? き、緊張するわねえ……よし、一旦深呼吸を)
御坂「スー……ハー……」- 360: 2010/07/28(水) 21:25:17.57 ID:xQD8DnYo
スタスタ…
麦野「ん?」
御坂(なんかチャラそうなのが来たわねー……)
軽薄そうな男「ねえねえ、君たち何学区の子? 学校どこ?」
女好きな男「君たち可愛いねー。女の子二人なんて寂しいよね。よかったらこれから俺達と一緒に回らない?」
麦野(くそ、こんなところにまでこのテのアホがいるとは……っつかアンタらも男二人で来てんじゃん)
御坂「悪いけど間に合ってるわ。他当たってくれる?」
御坂(じゃないと沈利さんが何するか分からないし……)
軽薄そうな男「間に合ってるって? あ、もしかして男連れ? それなら……」
麦野「残念。そうじゃなくてね」 グッ
御坂「え……ちょっ……!」
チュゥゥゥゥウウウウウウウ…
女好きな男「」
軽薄そうな男「」- 361: 2010/07/28(水) 21:26:49.22 ID:xQD8DnYo
御坂「むー! むー!……んぅ……」 トロン…
麦野「……ぷはっ、こういうことなの、ごめんね」
御坂「…………ぁう」
軽薄そうな男「チッ、んだよそっちの趣味かよ。気持ちわりーな、いこーぜ」
女好きな男「すげー……はじめて見た」
スタスタスタ…
麦野「気持ち悪いとはなによ。男二人で休日に水族館にナンパしに来てるテメェらのほうがキモいっつの」
御坂「…………」 ポカーン
麦野「……いつまでぼけっとしてんの?」
御坂「ハッ……ば、馬鹿じゃないの!? こんな人ごみの中であんたって人はぁぁああ!」
ザワザワザワ… ヒソヒソヒソ… ビショウジョユリモエー…
麦野「う……こっちのほうが手っとり早いんだから仕方ないでしょ!」
御坂「…………ばか、不意打ちは反則よ……」 ドキドキドキ- 362: 2010/07/28(水) 21:28:19.51 ID:xQD8DnYo
麦野「したくなったのよ。駄目だった?」
御坂「……駄目じゃないけど……ドキドキする」
麦野「私だってしてるわよ……変な眼で見られるのもわかってたけど……でも、したかったの」
御坂「まったく……。ちょっとお花摘みに行ってくるわね」
麦野「ああ……。おしっこ?」
御坂「そうよ! なんで訊き返すかなー」
麦野「いや花摘むなんて古典的な表現初めて聞いたからなんとなくつい」
御坂「ったくもう。すぐ戻ってくるから」
麦野「ごゆっくりどうぞ。まだ始まるまでちょっとあるし」
御坂「はーい」
スタスタスタ…- 363: 2010/07/28(水) 21:30:17.21 ID:xQD8DnYo
麦野(気持ち悪い……ね。やっぱ普通はそう見られるのか……。
私はともかくあいつまでそんな風に言われるのは嫌だな……)
麦野(もう少し自重したほうがいいかな。こっちは普通に恋愛してるつもりだけど、他人から見ればそんなことないもんな。
おまけに私は暗部の人間。あいつと多少の距離をとって接さないと逆恨みしたクズ共に美琴まで危害を加えられるのは
ムカつくわ……。ま、レベル5のあいつがそれでどうにかなるなんて思わないけど……)
麦野(あいつ一途っぽいもんな……私の自惚れじゃなけりゃ、このままだとあいつ私の仕事手伝うとか言い出しかねない……。
いや、どちらかと言えばむしろ私に仕事辞めろなんて言い出すか……?)
麦野(……後には戻れないのよ、私は。あいつと遊びで付き合ってる訳じゃないけど……ずっと一緒にいられるかって言うと
結構厳しいのかしら……)
麦野(深みにハマっていってるのは私の方か? 学園都市に七人しかいないレベル5の、
アレイスター直属の最重要機密組織『アイテム』のリーダーであるこの私が……
学園都市で最も自由な人間の一人であるはずの私が……身動きを取れないなんて……)
麦野(美琴、アンタは私の足枷なのね。……とても愛しい私の鎖。私はどうすればいいのかしら……。
……ヤダな……アンタと離れたくないよ……)
麦野(私は学園都市やら暗部やら、わけのわからないしがらみを捨てて外に逃げ出せる程強い人間じゃないんだよ。
……アンタが欲しくて欲しくて……やっと手に入れたのに。
アンタを抱き寄せたまま生きていくことに初めから限界を感じてる……)
麦野(でも絶対に手放したくない……アンタが他の誰かのものになるなんて、死んでも考えたくない……だけど)
麦野(血に汚れて、人を壊すことしか知らない私は、アンタを綺麗なまま守りきれるのかな……。
ねえ美琴、教えてよ……私はどうしたらいい?)- 364: 2010/07/28(水) 21:35:19.24 ID:xQD8DnYo
―水族館館内トイレ 14:50―
チョロロロロ…
フレンダ「ふぅ……トイレ探すの手間取っちゃったな」
フレンダ(これからどうしよっかなぁ。だんだん見るの怖くなってきた訳よ。
あの二人が付き合ってるっぽいのは信じたくないけど、まあ雰囲気から感じ取れるし。
だからって私に何の報告も無いのはちょっと悲しいなー) ガラガラ…
フレンダ(まあ最近付き合ってこれから話してくれるのかもしれないけど、
どっちにしろ麦野の一番はもう私じゃなくて超電磁砲なんだよね……) ハァ…
フレンダ(私が一番になったことがあるかはともかく。
ショックだなぁ……結局、白井さんもそうなのかな。ま、あの子はどうでもいいか) フキフキ
フレンダ(もう麦野に直接訊く? あーでも泣かずに聞けるかな……) クイッ
ジャァァァァァアアア
カチャッ
フレンダ(ともかく、引き続きイルカショーで麦野の視姦を……)
御坂「……」
フレンダ「ひっ!」- 365: 2010/07/28(水) 21:37:43.11 ID:xQD8DnYo
バターンッ!
御坂「ん?」
フレンダ(な、なななんで超電磁砲がいる訳よ!)
御坂(気のせいかな……。どっかで見た人がいたような)
フレンダ(ドアの上の隙間から見えるかな……何してんだろ) グィッ
御坂(まいっか……。それより沈利さん、気づいてくれるかな……)
フレンダ(んー? リップ塗ってる。お化粧直しかな。けど超電磁砲ノーメイクだったような……)
御坂(……あいつは結局ヘアピンにしか気づいてくれなかったけど、沈利さんなら……) ドキドキ
フレンダ(色気づいちゃって中学生。麦野を誘惑しようって訳!?) キィィ!
御坂(今日は……絶対コレ渡すんだ) ソッ- 366: 2010/07/28(水) 21:38:29.05 ID:xQD8DnYo
フレンダ(ん? なんだろあの箱……まさか麦野へのプレゼント!? ……いや絶対そうだ)
御坂(受け取って……くれるかな……) カァァ…
フレンダ(むっかつくー! よぅしっ! アレをどっかで奪い取って捨ててやる訳よ! 麦野とのデートを台無しに……!)
御坂(きっと受け取ってくれるわよ……沈利さん、優しいもんね) フフッ
フレンダ(台無しに……)
御坂(おっと、そろそろ始まる時間ね。沈利さん待たせてるから急ごうっと!) ダッ
パタパタパタ…!
……ガチャッ
フレンダ「……何やってんだろう私……」- 367: 2010/07/28(水) 21:42:17.83 ID:xQD8DnYo
―水族館館内『イルカショー会場』 15:10―
ワーワー! バッシャーン! スッゲー!
御坂(ああー! もう始まってるし……!)
御坂「ごっめーん! 遅れちゃったわね……!」
麦野「丁度始まったとこよ。あらアンタ、化粧してきたの? でもちょっとグロス塗りすぎね」
御坂「……っ!」
御坂(こ、こんな一瞬で気付くなんて……)
麦野「何驚いてんのよ。今日一日アンタの顔ばっか見てんのに気付かないわけないでしょ」
御坂「そ……そうよね……! あはは、私ったら沈利さんに分かるようにちょっと濃く塗りすぎちゃって……」
麦野「あら。私のこと大好きなのね」
御坂「うっ……うん」
麦野「正直でよろしい」
麦野(ああもう……可愛いわねえ……。こんなの手放せるわけないでしょ……) スッ
御坂「あっ……沈利さん、あの……」- 368: 2010/07/28(水) 21:43:33.89 ID:xQD8DnYo
麦野「照れてるの……? いいじゃない見られても……キスしよ……」
御坂「ち、違うの! 沈利さんに渡したいものがあって……」 モジモジ
麦野「私に? なぁに?」
御坂「これ……もらって!」 ズイッ
麦野「ん、何よこの箱」
御坂「開けていいわよ……」 ドキドキ
麦野「どれどれ」 パリパリッ
御坂「……気に入ってもらえるか分からないけど……」
麦野「……これ」
御坂「……湯上りゲコ太ストラップ……。お揃いでどうかなって……」
麦野「……あれからまたお風呂通ってたの……?」
御坂「うん……沈利さんと一緒に着けたくて……」
麦野「…………」
御坂(や、やっぱり駄目かしら……? 子供っぽいわよね……?)- 369: 2010/07/28(水) 21:45:41.63 ID:xQD8DnYo
麦野「…………ぷっ!」
御坂「へ?」
麦野「あははははははっ! おっかし~っ! あははははははっ!
ひぃ~! お腹いたーい! これっ! お揃いって! カップルでゲコ太って……!
あははははははははははっ!」 ダンダンッ!
御坂「っ!」 カァァ
麦野「あーもう! アンタってどうしてそう予想外のことしてくれんのかしら。ふふふっ! いいね、可愛い」
御坂「いいわよもう! いらないなら返して!」
麦野「やーだ。私のものだもん。くくくっ、いいよいいよ。これお揃いで着けようっと。
うふふふっ、ゲコ太を恋人に渡す女かー。どういうセンスしてんだかねー」 ニヤニヤ
御坂「ば、バカにしてるでしょ!?」
麦野「してない。嬉しいよ、ありがと」
御坂「……うん」
麦野「じゃあお礼ってわけじゃないけど、私からも……」 ゴソゴソ
御坂「え?」
麦野「ほんとは食事の時渡そうと思ってたんだけどね。はい、サプライズでーす」- 370: 2010/07/28(水) 21:47:12.68 ID:xQD8DnYo
御坂「あ……」
麦野「まさかアンタに先手を打たれるなんてね」
御坂「開けてもいい?」
麦野「もちろん」
御坂「…………これ、時計……?」
麦野「そ。アンタアクセサリーは学校禁止でしょ。なんか身につけるもの渡したかったから」
御坂「あんたのことだから高いもんなんじゃ……」
麦野「大したことないわよ。いちいち値段きくな。安っぽかったら気楽に受け取るわけ?」
御坂「そういうつもりじゃないわよ。でもストラップとじゃ釣り合わないし」
麦野「そんなの気にすんなっての。大事なのは気持ちでしょ?
あんまり装飾過多なやつだと没収されたら嫌だし、シルバーのシンプルなもんにしたけど大丈夫?
あ、もちろんアンタの能力にも耐えられるように絶縁仕様よ。特注なんだからね」
御坂「そこまで考えてくれたんだ……やだ……どうしよ、嬉しい……!」 ジワッ…
麦野「ばか、なに涙ぐんでんのよ。着けてあげるから手出して」
御坂「グスッ……はい」
麦野「よっと……。うん、似合う」- 371: 2010/07/28(水) 21:49:51.89 ID:xQD8DnYo
御坂「ありがとう……一生大事にするからねっ!」
麦野「んな大げさな……。そんなもんより、私のことを大事にしてよね」 ツンッ
御坂「……当たり前でしょ、そんなの」
麦野「当たり前か……うん、そうよね」
御坂「ふふっ、腕時計ってあんまりしないけど、これはもうずっと着けとくわ! 寝るときも!」
麦野「寝るときは外せよ。っつか、やっぱモノあげるのって緊張するわね」 フゥ
御坂「どうして?」
麦野「気に入らないもんだったらどうしようとか考えるじゃない」
御坂「確かに……でも! 沈利さんが心をこめてくれるものだったら、何でも嬉しいに決まってるじゃない!」
麦野「……まあね。受け取る側としちゃそうだけど、渡す側はやっぱ考えちゃうよ。アンタもそうだったでしょ?」
御坂「うん……いや、ゲコ太は正直ないかなって思ってるとこだけど……」
麦野「なんで? アンタが好きなもんだろ。だったら愛せるよ」
御坂「……ずるいわねえ」- 372: 2010/07/28(水) 21:52:28.86 ID:xQD8DnYo
麦野「何が?」
御坂「沈利さんがかけてくれる言葉。全部嬉しいことばかりだから……」
麦野「…………」
御坂「沈利さんを好きになってよかったって、一緒にいる度に思わせてくれるのね」 クスッ
麦野「……ま、こんなこと言うだけで喜んでくれるんだったらいくらでも言ってあげるわよ」
御坂「ええ、たくさん聴かせてよね。何回言われても飽きないもん」
麦野「……ふん。ってかイルカショー全然見てないじゃない! ちゃんと見ないと……」 グッ
御坂「沈利さん……」
麦野「……な、何よ……」
御坂「……キス……して」
麦野「……さっき人前だからっつってアンタに怒られたんだけど?」
御坂「……一回したんだから何回したって一緒よ」
麦野「ふふっ、それもそうだね……―――」- 373: 2010/07/28(水) 21:56:00.65 ID:xQD8DnYo
―水族館館内『イルカショー会場』 15:20―
フレンダは今になってようやくイルカショーの会場前通路へと到着した。
水しぶきの上がる音が通路の向こうから聞こえてくる。
イルカショーはとっくに始まっている時間帯。こんなに時間に遅れたのには理由がある。
トイレの洗面台で御坂が丁寧に包装された小箱を見つめて頬を赤らめていた姿を目の当たりにして、
自己嫌悪に陥っていたからだ。
フレンダ(結局あれは、恋する女の横顔な訳よ……)
いかにして御坂と麦野を引き離すかを考えていた自分が恥ずかしくなったのだ。
そんなセコいことばかり考える矮小な人間だと知れば、麦野にどんな軽蔑の視線を送られるかを想像して
しばらくその場から動けなかった。
フレンダ(せめて麦野の口から……二人が付き合ってるのかどうかを聞かせてほしい訳よ)
結局のところ、麦野が愛したものを奪うなんてことが、自分にできるはずなどないのだから。
フレンダはトイレから飛び出し白井と別れた場所まで戻ると、そこに彼女の姿は無かった。
結構長い時間待たせてしまったから移動してしまっただろうか。
その場で5分ほど待っていたが、一向に現れなかったため、麦野達がいるはずの会場まで足を運んできたところだった。
フレンダはそこで、会場脇入場口に佇む白井の後姿を見つけた。
フレンダ「お、白井さんやっぱ先に来てたか。ごめんねー、ちょっと色々あって……白井さん?」
白井「……」- 374: 2010/07/28(水) 21:57:55.36 ID:xQD8DnYo
白井の反応がまるでない。
呆然とする視線の先にあるのは決して大きな水槽を縦横無尽に泳ぎまわるイルカなどではない。
フレンダは彼女の視線を追って客席の方を見る。
前から三列目、右端。
笑顔を浮かべ、イルカに夢中になっている観客達の中では異質な二人がそこにいた。
傍から見れば年の離れた女友達同士。だが友達同士では決してしない行為。
抱き合い、口づけを二人は交わしていた。
フレンダ「―――っ」
フレンダの中で何か一瞬で崩れ去った。
今まで積み上げてきたもの。
麦野になんと言われようと、確かに温めてきた淡い想いが今、現実という刃に切り捨てられた。
白井「……わたくし達は、とんだ道化ですわね」
ポツリと白井が呟く。
フレンダは言葉を返せなかった。
麦野が他の誰かに恋をすることなんて無いと信じていたから。
そんな根拠の無い理想を、彼女に押し付けていたから。
フレンダ「……ほんとにね」
自嘲を浮かべるフレンダ。
頬を一筋の涙が零れ落ちていく。
唇を離して見つめ合う二人の穏やかな表情に、胸が強く締め付けられた。- 375: 2010/07/28(水) 22:00:38.17 ID:xQD8DnYo
白井「麦野さんが、憎いですの」
切なげに白井が言う。
フレンダも肩をすくめて頷いた。
フレンダ「私も結局、超電磁砲が憎いよ」
麦野に愛されたのは同じ性別の人間だった。
相手が男だったら、こんな気持ちにはならなかっただろう。
仕方ないと、諦められただろう。
なのに
白井「貴女がもっと早く麦野さんをモノにしていればよかったですのに」
フレンダ「あんただって、超電磁砲と付き合ってくれてればよかった訳よ」
途轍もない悲しみかと言われれば、そんなことはない。
超電磁砲に対する憎悪が湧いてくるかと思えば、そうでもない。
愛した人が愛したものを、憎むことなんてしたくない。
だがそれを受け入れるほど大人にもなれない。
きっと眼の前の彼女も同じ気持ちだろう。
フレンダは、ぽろぽろと涙を零しながら白井の大きな瞳を見詰めた。
毅然と振る舞う白井の目にも、涙がジワリと浮かんでいた。
フレンダ「幸せそうな顔しちゃってさ……相手が女の子なんて、ばっかじゃないの……!」
白井「本当ですわよっ……! あんなにお姉様に笑顔を浮かべさせるなんて……腹立たしいですの!」- 376: 2010/07/28(水) 22:01:50.08 ID:xQD8DnYo
二人は笑い、憤り、涙を流す。
完膚無きまでの、失恋だった。
フレンダ「白井さん、これから暇? 私丁度今全部の予定がキャンセルになっちゃった訳なんだけど。
結局、よかったらご飯でも食べに行かない?」
フレンダは指で涙をぬぐいながら、白井に問いかけた。
ハンカチで涙を拭いていた白井が、虚を突かれたような表情になりながらも、次の瞬間には頬笑み頷いた。
白井「奇遇ですわね、わたくしもたった今時間が空いてしまったんですの。ご一緒させていただきますわよ」
ふいに、白井とは良い友人になれそうだと思うフレンダ。
幸い明日は日曜日。同じ苦しみを分かち合える者同士、今日は語り明かそう。
フレンダ「でもその前に……」
白井「ですわね」
まだ麦野達の口からその事実を確認した訳ではない。
それまで上っ面の会話しかしなかったフレンダと白井の気持ちが、ここにきてようやく合致した。
フレンダ「超電磁砲に確認しなきゃな訳よ。主に麦野はどんな風に攻めてくれるのか」
白井「おっしゃる通り。麦野さんに詳しくお聞きしなくてはいけませんの。主にお姉様の肢体の具合を」
おかず採集に余念の二人。
転んでもタダでは起き上がらないところが、二人のたくましいところであった。- 377: 2010/07/28(水) 22:03:03.36 ID:xQD8DnYo
フレンダ「とりあえずイルカショー終わったら声かけよ」
白井「でもせっかくのデートのようですし、お邪魔するのも無粋ではありませんこと?」
フレンダ「さっきまであわよくば邪魔する気まんまんだったけどね。けど確かにそうだわ。また次回一緒に……」
『ではそこのお客様ー! 是非こちらに来てイルカに餌をあげてみて下さい!』
突如、二人の元に届けられる声。
白フレ「「は?」」
ステージの方を見ると、トレーナーらしき女性がマイク片手にステージからこちらを手招きしているようだった。
観客席からも、視線がこちらに向けられていることから、自分達に向かって告げられた言葉だったらしい。
パチパチという拍手が2人の元へ届けられる。
白井「ど、どうしますの……」
フレンダ「いや、だって……えー」
おろおろとしている2人の元に駆け寄ってくる水族館スタッフ。彼らに引きずられるようにして、
フレンダは白井と共にステージの方までやってきてしまった。
チラリと麦野達が座っている付近を見ると、口元を引きつらせた2人のレベル5が世にも恐ろしい顔でこちらを睨んでいる。
フレンダは隣に立つ白井と顔を見合わせ、足元の水面から顔を出す愛らしいイルカの顔を眺めて現実から逃げ去ることにしたのだった。- 378: 2010/07/28(水) 22:04:32.46 ID:xQD8DnYo
―水族館館内通路 15:50―
フレンダ「ヤバいヤバイヤバイヤバイ!」
白井「どどどどうしましょう!? お姉様がものっすごい形相でこちらを睨んでいましたわよ!?」
フレンダ「や、やっぱりここは結局一度白井さんの能力で外に出て……」
御坂「見つけたわよ!
麦野「……やっぱアンタらだったか……」
白フレ「「!!?」」 ビクゥッ!
オソルオソル…
フレンダ「あ、あはは……奇遇だねえ……麦のーん」
麦野「そうね。今日はやけにどっかで聴いたことある声の金髪を目にすると思ったら……」 ハァ…
フレンダ(あ、あれ……問答無用で原子崩しかと思ったけど……あんまり怒ってない?)
白井「お、お姉様……」
御坂「どういうつもり黒子。それからそっちの……」
麦野「フレンダだよ。私の仕事仲間の」- 379: 2010/07/28(水) 22:06:07.35 ID:xQD8DnYo
フレンダ(仕事仲間……か)
御坂「ひさしぶりねー。さっきトイレで見たのはやっぱあんただったか」
白井「お、お姉さまこれは誤解ですの! わたくしとフレンダさんはお友達なんですの!
今日は2人でお魚を見に来ただけですわ!」
御坂「へえ~」 ジロッ
白井(まずいですのー……これはバレてますのー……いやしかし、結局お姉様にはお訊きしなければならないことが
あるのですから、別にバレても問題ないのでは……?)
麦野「で、アンタらの目的は? 私らの後尾けて何しよっての?」
フレンダ「そ、それは……」 チラッ
フレンダ(訊くの怖いけど……訊かないと駄目よねー……)
白井(……仕方ありません。少々予期せぬタイミングではありますが、観念するといたしましょう)
白井「お姉様、麦野さん。わたくしたち、本日は確かめたいことがあってここに参りましたの」
御坂「確かめたいこと?」 ドキッ
フレンダ「うん。麦野……答えてくれる?」
麦野「……え、ええ」 ドキッ
白井「では単刀直入に。……お二人はお付き合いされてますの?」- 380: 2010/07/28(水) 22:06:58.97 ID:xQD8DnYo
御坂「っ……」 カァァ…
麦野「っ……」
フレンダ「どうなの麦野? 今日一日の2人の様子を見せてもらったけど、どう見てもそういう風に見えたけど」
麦野「…………」
フレンダ(ヤダな……まだ違うって言われることを期待してる……。聴かなきゃよかったかな……)
麦野「…………うん」
フレンダ「っ!」 ズキッ
白井「……そうですの……」 ズキッ
御坂「ごめんね黒子、話すのが遅れちゃって。隠すつもりはなかったんだけど」
白井「別にそんな風には思っておりませんけど……」
フレンダ「……どうして女の子なの?」
麦野「女の子だから好きになったんじゃないわよ」
フレンダ「……じゃあどうして?」
麦野「美琴は私に無いものを持ってるから。それはもう絶対に私には手に入らないもので、
それを持つ美琴がキラキラ輝いて見えたから、私はそこに惹かれたんだと思う」- 381: 2010/07/28(水) 22:08:28.92 ID:xQD8DnYo
御坂「し、沈利さん……」 カァァ
フレンダ「そっか……」
白井(躊躇いが一切ありませんわね……妬けますの)
フレンダ(超電磁砲にそうとう惚れてるなこれ……。あーあ……麦野はこんなに穏やかな子じゃなかったのに。
あの触れれば切れるようなおっかない麦野はもういないんだね……寂しいけど、そういう麦野も魅力的な訳よ)
白井「そこまで素直に答えられてしまうとわたくしたちの立つ瀬はありませんわね。
せっかくですからお姉様もお聞かせ頂けます?」
白井(そしてわたくしに完膚無きまでの敗北をお与えくださいですの……。そうすれば、わたくしも諦めがつくと言うものですの)
御坂「うっ……わ、私も?」
フレンダ「そうだよねー。結局、麦野の片思いって可能性もあるんじゃないの~?」 ニヤニヤ
麦野「ねーよ」
フレンダ(自信満々な訳よ……そりゃそうだろうけど)
白井「さぁさぁお姉様。一思いにババーンっと吐いてくださいまし」
御坂「うう……でも」 カァァ…
麦野「私も気になるな。アンタ、私のどこが好きなの? んー?」
御坂「……か、」
白井「か?」 ニヤニヤ
フレンダ「か?」 ニヤニヤ
麦野「か~?」 ニヤニヤ- 382: 2010/07/28(水) 22:09:33.33 ID:xQD8DnYo
御坂「かわいくて優しいとこ……かな」 ポリポリ
フレンダ「いやないないそれは無痛いっ!」 ゴッ
麦野「即否定すんな!」
フレンダ「ぶん殴らなくてもいいのに……」 ダウー
白井(可愛いとはまた微妙なことを……お姉様のセンスはよく分かりませんの。
麦野さんは確かにお美しい方ですから、綺麗とか美人とかそういう方面なら分かりますが、可愛いとは……?)
御坂「見た目だけじゃなくって、意外とお茶目だし、なんだかんだ私のことすっごく世話焼いてくれるしね」
麦野「美琴……」 ドキドキドキ…
御坂「沈利さん……」 ドキドキドキ…
白井「な、なんですのこの空気……」 ヒソヒソ
フレンダ「し、知らない訳よ……もやだこのバカップル……」 ヒソヒソ
麦野「ハッ、コホンッ……まあそんなわけだから、普通に付き合ってるわよ。文句ある?」
フレンダ「いやもうなんかどうでもいい訳よ。そこまでイチャイチャを見せつけられると」
白井「ですわね。もう好きにしてくださいですの」
御坂「何よ張り合いないわねー。ところであんた達ってほんとに仲良かったの?」
白井「いいえ、今朝知り合ったばかりですの」
フレンダ「うんうん。でもこの後一緒にご飯な訳よ」- 384: 2010/07/28(水) 22:10:51.99 ID:xQD8DnYo
麦野「そう。ならせっかくの機会だし晩御飯一緒に食べる? 予約してあるけど別にキャンセルしてもいいわよ。ね、美琴」
御坂「うん。私達に気ぃ遣わなくていいわよ?」
白井「いえいえ、お気持ちだけ受けとっておきますの」
フレンダ「だね。私らは私らで楽しむ訳よ。2人の邪魔は出来ないし」
麦野「遠慮すんなっつの」
フレンダ「ありがと。でもほんとにいいよ。どーせ麦野のことだから高い店とか予約してるんでしょ?
高級ホテルの最上階の学園都市の夜景が一望できるレストランとか」
麦野「よくわかったわね」
フレンダ「マジなのね……。パスパス。今日は安い焼酎煽りながらあんたらの悪口で盛り上がるんだからね!
ね、白井さん!」
白井「そうですの。散々悪態をついてやるつもりですから覚悟して下さいましね」
麦野「……そう。ならまた今度ね」
御坂「やれやれ、何言われるんだかね。黒子、門限はどうすんのよ?」
白井「そんなもの無視ですの無視無視! フレンダさんとの女の友情を取りますのよ!」
御坂「そっか。あんま飲みすぎちゃ駄目よー」
白井「淑女たるわたくしがお酒に呑まれるなどという愚行を犯すはずがありませんの。ご心配には及びませんわ」- 385: 2010/07/28(水) 22:11:55.81 ID:xQD8DnYo
フレンダ「麦野こそその無尽蔵のエロ欲で超電磁砲壊さないようにね」
麦野「しねえよ! もう帰れよ!」
御坂(壊されるって……どんなことされるんだろ……) ドキドキ
フレンダ「あはは、じゃあ私たちは行く訳よ」
白井「デートのお邪魔をして申し訳ありませんでしたの」
御坂「いいわよ。じゃあね」
麦野「気をつけて帰るのよ」
フレンダ「はーい、バイバーイ」
スタスタスタ…
白井「……」
フレンダ「……」
白井「……」
フレンダ「……」
白井「フレンダさん……」- 386: 2010/07/28(水) 22:13:37.52 ID:xQD8DnYo
フレンダ「ん……?」
白井「わたくし……今夜は帰りたくありませんの」 グスッ
フレンダ「……どうして?」
白井「お姉様のいない部屋で、一人でお姉様を思い出すのが辛いですの……」 ポロポロ…
フレンダ「そか、同じ部屋なんだもんね。……よしっ! 今日は朝まで飲み明かそうぜ!」 キラッ
白井「よろしいんですの?」 ジワァッ
フレンダ「あーもう泣かない泣かない……。泣きたいのは……エグッ……私の方な訳よ……グスッ……!」
白井「泣いてなんかいませんの……グスッ!……フレンダさんこそ……ヒグッ……涙がこぼれていましてよ……グスッ」
フレンダ「……気のせいだもん! エグッ……よぅし、今日はやけ食いしてやる訳よ!」
白井「……グスッ……望むところですわ! そして明日からは、お姉様達の恋路を応援できるわたくしになってみせますのー!」
フレンダ「そうだそうだ……! 麦野の馬鹿やろー……!」- 387: 2010/07/28(水) 22:15:10.14 ID:xQD8DnYo
―水族館内『お土産ショップ』 16:30―
麦野「ふう、お魚フェアなかなか良かったわね」
御坂「そうね。沈利さん鮭ばっか食べてたけど」
麦野「エイとかマンボウの刺身とか珍しくて嫌いじゃないわよ?
アンタこそタコ焼きだのいかそうめんだの無難なもんばっか食べてたじゃないの」
御坂「んー、泳いでるの見たあとだとどうにも食欲がねー」
麦野「確かに。でもこの後食事だから丁度よかったわ」
御坂「そっか。予約してくれてるのよね?」
麦野「ええ。第五学区のホテルにね」
御坂「また高そうなところね……」
麦野「本当は第三学区の方がランクの高いホテルやレストラン多いんだけど、まあ遠いから仕方ないわ。
5時半にハイヤー手配してるからそれまでお土産でも見てましょ」
御坂「いいわね。何か買う?」
麦野「まずはペンギンのぬいぐるみね。あとはお菓子でも買っていこうかしら」- 388: 2010/07/28(水) 22:16:32.86 ID:xQD8DnYo
御坂「ペンギンいいわよねー、アザラシもなかなか。私も何か買おっかなぁ」
麦野「ふふっ、これ見て。このタコ。アンタこれ買いなさいよ」
御坂「えー? すっごい間抜け面なんだけど。にしてもこのタコの足が黒子の髪型に似てるわね」
麦野「そうね」
御坂「あ……」
麦野「……」
御坂「ねえ」
麦野「うん? あの子達のこと?」
御坂「うん……2人とも目が腫れてたし、やっぱり……」
麦野「やめろ」
御坂「でも……」
麦野「まあ私らの自惚れの可能性もあるけど、たぶんあいつらは私たちに対して本気だった。
でもだから何? 結局私らの気持ちがあいつらに向いてないなら、付き合うことは出来ないんだよ」
御坂「……それは」
麦野「アンタの時と同じね。分かるでしょ」
御坂「……うん」- 389: 2010/07/28(水) 22:18:20.99 ID:xQD8DnYo
御坂「そうか。そうよね。私があいつに失恋して、泣いてたときと同じなんだ……
それなのに、黒子にあんな辛い想いさせて私は……」
麦野「絶対に謝っちゃ駄目だよ。告白をしてこなかったことがあの子達の優しさなんだから。
……アンタと同じようにね」
御坂「分かってる。……でも何か出来ることはないの?」
麦野「無い。知ってるでしょ。同情や慰めの言葉を、好きだった相手からかけられることがどんなに惨めなことなのか」
御坂「…………」
麦野「気付いていても言わないことだって時には必要よ。
あいつらだってきっと私たちとの関係が壊れてしまうのを望んじゃいないの。
次会った時も、いつものように接してあげなさいよ」
御坂「辛いわね……」
麦野「互いにね」
御坂「けど辛いのは黒子達も同じか……体が一つじゃなかったら、黒子達の気持ちにも応えてあげられたのにって少し思った」
麦野「そんな能力が欲しいもんね。でも私は、例え体がいくつあっても、その全てでアンタを愛してあげたわよ。
私の心は、ここに一つしか無いんだから」
御坂「……ばか」
麦野「うん、自分でもそう思う。……なんかしんみりしちゃったな。こんなのあいつらだって望んで無いはずなのに」
御坂「確かにね。よし! 気を取り直して晩御飯を楽しもー! 今日のご飯は何かしら?」- 390: 2010/07/28(水) 22:20:58.51 ID:xQD8DnYo
麦野「えーっと……確かフレンチの店だったと思うけど」
御坂「は? 何でそんな曖昧な感じなのよ。予約してくれたんでしょ?」
麦野「夜景が見えるとこがよかったの。そこしか見てなかった……」
御坂「むむ。けど、た、確かに夜景っつったらもう最上級のデートコースよねっ!」 ドキドキドキ…
麦野「まあ概ね同意しておくわ。ところでアンタの理想のデートってどんなのだよ」
御坂「えー。そうねえ……食事だとやっぱり夜景の見える展望レストランでー。
遠くの海から2人の仲を祝福するかのように花火が上がって……ビルの壁面のろうそくが吐息で消えたり……」
麦野「あーもういいわ。お前バカだろ」
御坂「んなっ! 失礼ね! 憧れるくらいいいでしょ!」
麦野「少女趣味ここに極まるってか。ま、いいんじゃない。可愛い可愛い」 ナデコナデコ
御坂「すっごい馬鹿にされてる気が……」
麦野「馬鹿にはしてないわよ。バカだと思ってるだけ。
さ、お土産買って行きましょ。アンタの夢を少しだけ叶えてあげるわ」- 442: 2010/07/31(土) 01:45:41.44 ID:YCM4ZsUo
―第七学区 ファミリーレストラン『ジョセフ』 18:30―
白井「うぇっぷ……食べ過ぎましたの……気持ちが悪いですの……」 ウプッ
フレンダ「確かにー……調子に乗ってあんなに食べるんじゃなかった訳よ……」 ゲッソリ
白井「しかもわたくしとしたことがファミレスの高カロリー食品ばかりこんなに……体重計が恐ろしいですのー」
フレンダ「ハンバーグから始まりピザにポテトフライにドリアにパスタ。デザートにケーキとパフェとヨーグルト。
おまけにドリンクバー付き。麦野だったら自己嫌悪で死んでるところだね……」
白井「ああ、お姉様のように食べてもお肉の着かない体になりたいですの……」
フレンダ「いやいや、白井さんめちゃめちゃ細い訳よ」
白井「これでも努力してますの。おかげで胸は全然大きくなりませんけれど……」
フレンダ「私も。これはあれよ。麦野に吸い取られてるからよ!
私だって本来の胸の大きさはそれはそれはまんまるくてふっくらと……」
白井「言ってて虚しくなりませんこと?」
フレンダ「うん。なった。聞いてよ。麦野のサイズFだよF! 私なんかギリギリAなのに……」
白井(わたくしはAAですの……)- 443: 2010/07/31(土) 01:48:05.35 ID:YCM4ZsUo
フレンダ「大体麦野ってば完璧超人過ぎんだって。レベル5ってとこはもちろん、美人でスタイルいいし、勉強も出来るし
タフで頑丈だしすっごい力強いし。正直超電磁砲に負けてるとこが思いつかない訳よ」
白井「……」 カチンッ
白井「それは聞き捨てなりませんわね」
フレンダ「むむ?」
白井「お姉様だって確かにお胸は慎ましくていらっしゃいますけれど、スレンダーな肉体とあどけなさの残る
可憐なお顔立ちをしておられますの。面倒見がよくて優しくて、誰からも愛される素敵お姉様はいくら麦野さんと
言えども負けてる気がいたしませんわね」
フレンダ「……」 カッチーン
フレンダ「そんなこと無いもん! 麦野だってたまにご飯奢ってくれたりするし、ピンチの時にはいつだって助けに来てくれる訳よ!」
白井「それはお姉様だって同じですの! わたくしとは魂の絆で結ばれたパートナーですから。
大体原子崩しってなんですの? 要はビームを発射するだけの能力なのでしょう?
あらゆる方面への応用力が高いお姉様の方が実力は圧倒的に上ですの」
フレンダ「ふーんだ。麦野の能力をフルパワーで出したら超電磁砲なんて秒殺よ!」
白井「威力でしか語れないとはお下品ですの!
そもそもお姉様の魅力はレベル5程度で収まるようなものではありませんの!
フリフリのお洋服を2時間も迷って試着した挙句に色違いで3着も買ってくるような
微笑ましい一面も持ち合わせていますの! こんな愛らしい真似が麦野さんにできますかしら!?」 ガターッ!
フレンダ「む、麦野だってああ見えて毎週クレヨンし○ちゃん見てるし、
コ○ンではマジメに犯人予想しちゃったり幽○白書読んだ次の日はこっそりの霊○ポーズで
原子崩し撃っちゃうような可愛いとこがあるんだからっ!」 ガシャーン!- 444: 2010/07/31(土) 01:49:52.62 ID:YCM4ZsUo
アーデモナイコーデモナイ! オネエサマデスノ! メルトダウナー!
ヒソヒソヒソ… ザワザワザワ… レベル5ッテ… アノレールガンガ… メルトダウナーガ…
店員「お、お客様、どうかなさいましたか……?!」
白井「はー……はー……な、なんでもないですの」
フレンダ「ふー……ふー……ごめんなさい、ちょっと熱くなって」
店員「そ、そうですか……他のお客様のご迷惑になりますので大声を出さないようにお願いいたしますね……」
白井「どうやらこの際貴女とはきっちりと決着を着けなくてはならないようですわね」
フレンダ「望むところな訳よ。麦野の可愛さに腰抜かさないでよねー」 ニヤッ
白井「そちらこそ、お姉様のあまりの魅力に眩暈を起こしても知りませんわよ」 ニヤッ
フレンダ「よし、ここじゃ迷惑だからうち来なよ」
白井「お邪魔いたしますの。言っておきますけれど、今夜は朝までお姉様の魅力を聞かせて差し上げますから、
覚悟しておいてくださいましね」
フレンダ「望むところよ。麦野の今日までの成長の記録を写真と映像と共に振り返ってあげる訳よ」
白井「上等ですの! すみませんですのー! お会計お願いいたしますのー!」
店員(今度はなんだ……)- 445: 2010/07/31(土) 01:51:16.48 ID:YCM4ZsUo
店員「はい。お会計4720円になります」
白井「今晩はお世話になるのでここはわたくしがお出ししますの」
フレンダ「いやいや! 年下に奢ってもらうなんて出来ない訳よ! ここは私がっ!」
白井「何をおっしゃってますの。手ぶらでお邪魔するというのに、そういう訳には行きませんの」
フレンダ「私の方が先輩だもん!」
白井「精神年令はわたくしのほうが上ですもの」
フレンダ「がぁぁ! 意味わかんない! 白井さん頑固過ぎ! 麦野か!」
白井「貴女こそ子供っぽい反応はおやめ下さいまし。まるでお姉様ですわよ」
フレンダ「むぅ……」
白井「ぐぐぐ……」
店員「あの……お支払いは……?」
店員(仲がいいのか悪いのかどっちなんだ……)
白フレ「「割り勘で!」」
店員「はっ、はいすみませんでした!」
店員(もう早く帰ってくれ……)- 446: 2010/07/31(土) 01:54:36.50 ID:YCM4ZsUo
―第五学区 スカイタワービル120階 高級フレンチレストラン『シャルル=ゴンクール』 20:00―
カチャッ…
御坂「ふぅ……美味しかった。ごちそうさま」
麦野「なかなか悪くなかったわね」
御坂「にしてもあんな長い車が来るなんてビックリしたわよ」
麦野「適当に手配したから知らなかった。っつかアレ恥ずかしいわね」
御坂「まあそれはそれとして、素敵なとこね。学園都市の夜景が一望できるわ」
麦野「思い出に残る初デートになったかしら」
御坂「うん。ありがとう。今日は一日すごく楽しかったわ」
麦野「まあ私もだけど。……素敵なストラップももらったしね」
御坂「ほんとに思ってるー?」
麦野「思ってるわよ。あーほら、なんていうのかしら。飼い犬が大好物の骨をくれたときの気持ち?」
御坂「私は犬か」
麦野「望むならバター犬にしてあげてもいいのよ?」 ククッ- 447: 2010/07/31(土) 01:56:51.14 ID:YCM4ZsUo
御坂「バター……犬? なにそれ。お菓子?」
麦野「アンタにゃまだ早かったみたいね。そのうち教えてあげるわ」
御坂「?」
麦野「ところで……これからどうする?」
御坂「どうするって、沈利さん家に泊めてくれるんじゃないの? 家でゆっくりしましょうよ」
麦野「えーっと……実はこのホテルに部屋とってあるんだけど……」
御坂「なっ……」
麦野「アンタさえよかったら……今日はここに泊らない……?」
御坂「よ、よかったらって言われても……寮には戻らないことになってるし……選択肢無いんだけどね」
麦野「照れること無いでしょ。家でだって一緒に寝るんだから」
御坂「だ、だって……ホテルってその……つまり」
麦野「この高級ホテルとラブホテルを同じレベルで考えるとはね……やっぱまだまだそっちはガキか」
御坂「ガキガキ言わないでよ! よ、よーし、行ってやろうじゃないの! へ、変なことしないでよね!」
麦野「今まで散々やってきたでしょが……」- 448: 2010/07/31(土) 01:58:06.40 ID:YCM4ZsUo
御坂「それとこれとは別! 今日は健全なデートなんだから! 沈利さんすぐ触ってくるから釘刺しとかないとね!」
麦野「はいはい分かった分かった。シャンパン用意してるから、一緒に飲もう。さすがにここじゃ飲めなかったし」
御坂「だから中学生に普通にお酒を勧めないでよね……」 ハァ
麦野「飲みたい気分なのよ。それに、私アンタをもう中学生扱いしてるつもりないからね」
御坂「え……」
麦野「アンタそこらのガキより無駄に大人びてるし。っつか年誤魔化してんじゃねえの?」
御坂「いやそれは沈利さn」
麦野「あァん?」
御坂「なんでもないですごめんなさい」
麦野「とにかく。私はアンタが中学生とかそんなことはもう気にしないことにしたの。
アンタが早く大人になるしかなかったのは察してるつもりだけど、私はそんなアンタに惚れたんだから」
御坂「う、うん……」
麦野「だからもう中学生だからとかどうとか言わないで。私がロリコンみたいじゃないのよ」- 449: 2010/07/31(土) 01:58:36.73 ID:YCM4ZsUo
御坂「ふふっ、そんなこと気にしてたの?」
麦野「気にしてるっていうか、なんか自分の性癖が心配というか……」
御坂「何でもいいよ。沈利さんが私のことを好きでいてくれるなら」
麦野「当然の前提でしょ。好きだから、変な不安が出てくるんだよ」
御坂「よくわかんないけど。ま、要はこの美琴センセーの可愛さにあてられちゃったわけねー?」
麦野「調子乗んな殺すぞ」
御坂「否定しないとこが沈利さんの可愛いとこよね。よし、部屋行って夜景見ながら乾杯しましょー」
麦野「なんでアンタが仕切るんだよ。それは私の役目。ほら、さっさと着いてきなさい」
御坂「はいはい。どこまでもお供しますわよ、お姉様」 クスクスッ- 450: 2010/07/31(土) 02:01:41.96 ID:YCM4ZsUo
―フレンダ宅 21:30―
フレンダ「……ん、うーん……」
すっかり夜も更けたころ、フレンダはベッドの上でごろりと寝返りを打って目を覚ました。
どことなく寝苦しさを感じて、けだるい体を起しながら頭を押さえる。
頭痛がする。どうやら飲み過ぎたようだ。
先ほどまで白井と2人飲んでいたテーブルを見ると、数本の空のウィスキーやワインの瓶とつまみのさきイカが乗っている。
あれからフレンダの家に着くなり、2人は怒涛の勢いで酒を飲み始めた。
まるで今日の出来事を早く記憶の彼方に追いやってしまいたいと言うかのように、互いの想い人との良い思い出を
語り合って酔い潰れていったのだ。
フレンダ「いつの間に私寝て……つっ……飲みすぎたかな」
そして気付けばこうである。途中から全く記憶が無い。
ふと室内を見渡すと、一緒に飲んでいたはずの白井の姿も無かった。
それにしてもやけに体がスースーする。
フレンダ「えーっと白井さんは……って、私何で全裸な訳よ!?」
チラリと自分の平坦な白い体を見下ろすと一糸纏わぬ姿がそこにある。
ピンク色の突起が色づく胸も、金色の茂みに覆われた秘部も全てがさらけ出されている。
その時、フレンダの視界の端に恐ろしいものが映った気がした。
フレンダ「ま、待てよ。ここはベッド……も、もしかして……」- 451: 2010/07/31(土) 02:05:35.31 ID:YCM4ZsUo
恐る恐る視線を向けると、そこには想像通りの光景が広がっていた。
白井「…………スー……ムニャムニャ」
生まれたままの姿で可愛らしく寝息をたてている白井の姿が隣にある。
ツインテールをほどき、シーツに振り乱されたゆるいウェーブヘアが妙に煽情的で、フレンダはゴクリと
生唾を飲み込みながら理解しがたい現状に首を傾げる。
フレンダ「何が起こったの……?」
白井「…………おねえさまぁん……ムニャムニャ」
フレンダ「……し、白井さん白井さん! 起きて起きて!」
規則正しく上下するぺったんこの胸に視線が引き寄せられるのをこらえながら、フレンダはその華奢な肩に
そっと手を添えて軽く揺すった。
このまま寝かせておいてあげたい気持ちもあるが、いかんせん状況が状況だ。
下腹部に特に痛みは感じないしシーツに血が着いているというわけでもないので、
酔った勢いでロストヴァージンということは無さそうだが、とんでもないことをやらかしてしまったのは間違いないだろう。
白井「……ぅうん……」
細い体をくねらせて艶めかしい声をあげる白井。
不覚にも、フレンダはこの中学一年生の幼い体にドキリと胸を高鳴らせてしまった。- 452: 2010/07/31(土) 02:07:05.93 ID:YCM4ZsUo
フレンダ(可愛い……)
常盤台の学生は一般の学生と違い恐ろしい速度でカリキュラムが進められている。
故に、パッと見は中学生でもその知識と経験から滲み出る雰囲気はある種独特の大人っぽさが感じられるのだ。
普段麦野以外の同性はおろか、ロリになど到底食指が動くはずもないフレンダであっても、
思わず唸ってしまうような色気が白井の寝姿に見てとれる。
フレンダ「って違う違う! 白井さん! 何があったの?!」
そんな自分の煩悩を振り払うように、もう一度肩をペチペチと軽く叩きながら白井に呼び掛ける。
やがて彼女は、眠たそうに眼を擦りながらムクリと体を起した。
白井「んぅ……もう、何ですのフレンダさんたら……」
ぼんやりとした声で問いかけてくる。
フレンダはどう訊いていいか分からなかったので、とにかく単刀直入に切り出してみることにした。
フレンダ「わ、私たち……なんでこんな格好をしてる訳よ……?」
フレンダの言葉に白井は自らの姿を確認する。
驚き声を荒げるかと思ったが、まるでそんなことは無く、ごく自然なことであるかのように
白井は頬を赤らめて恥ずかしそうに微笑んだ。
白井「あら、覚えていませんの? まったくフレンダさんったら……すごかったですのに……」- 453: 2010/07/31(土) 02:09:08.20 ID:YCM4ZsUo
唇を柔らかくほころばせ、紅潮した頬を押さえながらはにかむその様子に、フレンダは血の気が引いていくのを感じた。
フレンダ「な、何な訳よその反応!? 私白井さんに何しちゃったの!?」
色々とあらぬ妄想が膨らんでいく。
もしかすると思っている以上にとんでもないことをやらかしてしまったのかもしれない。
白井「白井さんだなんて……先ほどまでは黒子と呼んで下さっていましたのに」
ジッと黒い眼で上目づかいに見つめてくる。
酔った自分は一体どんなテクニックで彼女を虜にしてしまったのだろうか。
フレンダ(わ、私取り返しつかないことしちゃった……?)
フレンダはビクビクと震えながら必死で記憶を辿るも、とうとう思い出すことはできなかった。
フレンダ「ま、まさかねー。あはは、白井さん。私白井さんにマッサージしたとかそんなオチでしょ?」
漫画やドラマでよくある例のオチを期待しておっかなびっくり尋ねるが、白井はため息をついてやれやれと首を横に振った。
必死に他の可能性を探るも、何も思いつけずに言葉に詰まり、そしてとうとう白井はこんなことを言う。
白井「本当に覚えていませんのね。……まあ、わたくしも酔っておりましたから人のことは言えませんけれど。
フレンダさんたら……わたくしの全身に舌を這わせて……あんなに気持ちよかったのは初めてですの……」
フレンダ「」- 454: 2010/07/31(土) 02:10:30.80 ID:YCM4ZsUo
あまりにも生々しい内容に返す言葉の無いフレンダ。
現実は想像の斜め上だったようだ。
白井の華奢でか細い体のすべてをねぶりつくし、何度も絶頂に導いたであろう自らの指先を見詰める。
そのテクを、どうして麦野に使えなかったのか。
白井「蕩けそうでしたの。正直行為中はお姉様の顔が頭から吹き飛んでしまいましたの……」
恍惚とした表情で語る白井。まだ酒が残っているのか、少々テンションも上がってしまっているようだ。
フレンダ「な……な……」
だがフレンダの体から酒気はとっくに抜けていた。
というか、先ほどの言葉で一瞬にして吹き飛んだというのが正しい。
酔っ払っている場合ではない。麦野のために大事に取っておいた純潔を、白井に捧げてしまったのだから。
白井「後半はフレンダさんも可愛かったですわよ。あんなにおねだりされたらわたくしもさすがに理性を……ってあら、
何うなだれてますの?」
フレンダ「失恋のショックで今日会ったばかりの人と寝るなんて……私としたことが……」
白井の言葉を最後まで聴く前に、フレンダは膝から崩れ落ちていた。
どうやらもう言い逃れはできないようだ。
白井「まぁまぁ。舌で愛撫し合っただけですわよ」- 455: 2010/07/31(土) 02:12:56.76 ID:YCM4ZsUo
ケロリとそんなことを言う白井。
普段麦野に色々と変態的な言葉を向けているフレンダだが、いざ自分がその当事者となると意外とも諸いものだと思う。
しかも白井は自分より3つも年下なのにこの余裕の態度だ。
同じ女として精神的敗北を感じるフレンダだった。
フレンダ「うう……処女が無事だっただけヨシとしよう……」
その一点だけは死守したことをせめてもの慰めとして、フレンダはよろよろとフラつく体で無理矢理に自ら納得させようと試みる。
すると、
白井「なーんて。冗談ですの」
フレンダ「へ?」
次の瞬間、白井はペロリと舌を出して悪戯っぽく笑いかけてきた。
虚を突かれたように口を開くフレンダ。
冗談ということは、つまり先ほどまでの発言は真実ではないというわけだろうか。
フレンダは日本語の意味を理解するのも覚束ない程度には混乱していた。
白井「まあそういう雰囲気にはなりましたけど、フレンダさんったら突然吐いて倒れてしまいましたもの」
フレンダ「マ、マジ……?」
白井「ええ。わたくしも貴女も服を汚してしまいましたから、とりあえず服を洗濯機に入れて掃除をしましたの。
そうしたら貴女が呑気に寝てらっしゃるから、わたくしもお隣に失礼したんですの」- 457: 2010/07/31(土) 02:14:56.49 ID:YCM4ZsUo
フレンダ「な、なーんだ……よかったー……」
ほっと胸を撫で下ろすフレンダ。
くすくすと笑う白井の顔を見て、全身から力が抜けていくのを感じた。
白井「ふふっ、よかったですわね。それより、シャワーを浴びてらした方がよろしいのではなくて?
正直貴女、臭いますわよ。わたくしも先ほど勝手にお借りしましたの」
フレンダ「げっ、ご、ごめんね。ゲロぶっかけちゃったんだもんね……! すぐ行ってくる訳よ!」
しかし白井に自らの吐しゃ物を吐きかけてしまったことは事実のようだ。
吐息も心なしか酸っぱい臭いがする気がする。
フレンダはあわてて口元を押さえ、勢いよく立ちあがって浴室の方へ向かおうと駆け出す。
白井「フレンダさん」
その背中に、先ほどまでとは打って変わって冷静な白井の声が届けられた。
とっさに振り返ったフレンダの前にあった白井の笑顔はどこか切なげで、そして優しいものだった。
フレンダ「な、何? ほんとごめん! 服は弁償するからね! 他にも何か汚しちゃったものとか……」
白井「どうせ変装用に買ったものですから結構ですの。それより、ありがとうございました」- 458: 2010/07/31(土) 02:17:26.05 ID:YCM4ZsUo
ペコリと突如頭を下げる白井。
フレンダ「へ?」
またしてもポカンと口を開け放つフレンダ。
白井「貴女の温もりがあったおかげで……黒子は立ち直れそうですの」
フレンダ「白井さん……」
白井「これも何かの縁ですの。これからも、黒子とお友達でいてくださいましね」
少し遠い目で、白井は小首を傾げて微笑みを滲ませる。
フレンダ「……い、いいのかな。私で」
学校の友人とは比較的広く浅い付き合いをしているフレンダとしては、こんなに一人の人間と距離を縮めたことはなかった。
それが照れくさくて、フレンダは自慢の金髪をかきながらおずおずと尋ね返す。
白井「初対面の日の夜にゲロをブチまけられるような相手にはそうそう巡り合えませんもの」
茶化すような白井の言葉に、フレンダもどこか肩の荷が下りたような心持であった。
きっと一人で家に帰っていたら、こんな気分にはなれなかっただろう。
白井と二人楽しく飲み明かし、友人になれたことで互いに想い人への気持ちをうまい具合に発散することができたようだ。- 459: 2010/07/31(土) 02:18:51.12 ID:YCM4ZsUo
フレンダ「それはずっとこの先も言われそうな訳よ。けど、こちらこそありがとね。
何か気分がスッキリしたよ。麦野を応援しつつ超電磁砲から麦野を寝とるチャンスを待つ訳よ」
白井「奇遇ですわね。わたくしもお姉様をいかに略奪するかを考えていくつもりですの。
わたくしは諦めが悪いんですのよー」 ゴゴゴゴ…
そしてフレンダは新たな野望を胸に白井と笑顔を交わし合う。
それはどこか新しい悪戯を思いついた少年のような口調だった。
フレンダ「あはは、よし! これからもがんばろうね、黒子!」
白井「もちろんですわ!」
ガッシリと友情の握手を交わす二人。
レベル5の取り巻きとして、フレンダは彼女に不思議な親近感を抱いていた。
これからも仲良くやっていけそうな気がする。
フレンダ「んじゃ私はお風呂入ってきまーす」
色々なことが落着し、すっかり冷静になったフレンダは軽い足取りで洗面所の扉を開いて足を踏み入れる。
フレンダ(いやー、しかし黒子の冗談でよかった訳よ。いくら私でも記憶の無いうちに初エッチを……ん?)- 460: 2010/07/31(土) 02:21:15.94 ID:YCM4ZsUo
服は着ていないので棚からタオルを取り出し、浴室に入ろうとしたその時だった。
ふと見た鏡。白く透明感のある肌に、いくつか不可思議な場所がある。
フレンダ(あれー……? 何か私の首筋に赤い虫刺されみたいな痕が……あるような……ないような……あれー?)
首筋、まるで小さな虫に刺されたような赤い痕が、鎖骨の上や首回り、果ては胸元にいくつも着いている。
そう。
それはまるで
フレンダ「!!!?」
ハッとなってフレンダは勢いよく洗面所の扉を開いて、リビングで服を着ようとしていた白井にマジマジと視線を送る。
フレンダ「く、黒子っ!」
恐る恐る、だが確かめないわけにはいかないと、彼女の繊細な首筋付近を凝視する。- 461: 2010/07/31(土) 02:22:58.56 ID:YCM4ZsUo
白井「あら、どうかなさいまして?」
小首を傾げる白井。そこには確かに、自分のそれと同じような赤い痕が残っていた。
フレンダ「黒子……あ、あんたのその首筋の赤いのは……」
白井「クスッ」
ゴクリと唾を飲み込むフレンダの問いかけに、白井はクスリと小さな笑い声を零す。
フレンダ「ま、まさか……」
その蠱惑的な微笑み思わず見入るフレンダ。
彼女は口元にそっと人指し指を当てて唇を動かす。
白井「わたくし達はお友達ですの。それ以上のことなど、何もありませんわよ?」
到底年下とは思えない小悪魔の表情でフレンダを諭すように告げた。- 462: 2010/07/31(土) 02:26:18.95 ID:YCM4ZsUo
―第五学区 スカイタワービル100階 ホテル『グラストンベリ』 スイートルーム 22:00―
煌びやかな調度品の数々が並べられた高級ホテルのスイートルーム。
そこはキングサイズのベッドを部屋の中央に据え、ガラス張りの壁に囲まれた大理石の浴室や簡易キッチンを添えた
数十帖にも及ぶ巨大な部屋だった。
間接照明が上品に灯る薄暗い室内、小さなテーブルの上には一本数十万円は下らないシャンパンと、
飲みかけのグラスが二つ並んでいる。
夕食後、麦野は御坂を伴ってこの部屋を訪れた。
それからすぐ、数々の見事な装飾品になど目もくれず、あらかじめ麦野がホテルに預けていた高級シャンパンをそそくさと開けて飲み始めた。
しばらくはほろ酔い気分で会話に華を咲かせていた二人だったが、1時間程経過したところで雰囲気が変わる。
以前のように悪酔いこそしていないものの、少々酒の入った二人はふざけ合うようにして互いの体を触り合い、
気がつくと唇を合わせて抱き合っていた。
学園都市の夜景を一望できる窓の傍、二人掛けのソファで寄り添う御坂に麦野は、彼女の唇に自らのそれをあてがい、
貪るように舌を絡ませている。
御坂「ん……チュプッ……」
麦野「……んぅ……チュムッ……ピチュッ……」
静寂に包まれた空間に木霊する柔らかい水音が、麦野の脳髄を甘く蕩かせて御坂を抱きしめる腕に力を混めた。
それに反するように、御坂はトロンと瞳を潤ませて麦野に体を預けきっている。
その頭を麦野は優しく撫でながら、御坂の口内に侵入させているピンク色の舌を生き物の如く遊ばせ、
御坂の歯の一本一本を丹念になぞって愛撫する。
時折上あごをくすぐるように舌先でつついては、その度ピクンと跳ねる御坂の反応を楽しんでいた。- 463: 2010/07/31(土) 02:28:03.21 ID:YCM4ZsUo
御坂「……ふぁ……ンチュ……沈利さんの……嘘つき」
麦野「……チュプッ……何が?」
熱い吐息で麦野の高い鼻先をくすぐりながら御坂は恨めしげな視線でそう言う。
麦野はその様子を満足げに眺めながら、背中に優しく手を這わせる。
御坂「何もしないって言ったくせに……」
真っ赤になった頬を膨らませて、しかしさほど嫌がるそぶりは見せずに御坂。
麦野は悪戯っぽく笑い、御坂の頬をその細い指で軽くつねった。
麦野「何もしないなんて言ってないよ。っつか、本当に何もされたくなかったわけ?」
御坂「それは……」
Tシャツの胸元をキュッと掴みながら御坂が視線を反らした。
恋人同士が二人でホテルに入り、何も起こらない方が不自然だ。
もっとも、初め麦野は今日御坂とコトに及ぶつもりはなかった。
キスをして、互いの体に触れ合うことが出来ればそれで満足だったのだ。
だが御坂は当然そんな麦野の胸中を知る由もなく、今なお落ち着かない様子で時折巨大なベッドへと視線を送っている。
やがて麦野は御坂の頭をそっと撫でてクスリと笑みを零した。
麦野「キスくらいさせてよ。今日はもうそれでいいからさ」
御坂「え……?」- 465: 2010/07/31(土) 02:31:47.82 ID:YCM4ZsUo
意外そうに麦野を見やる御坂。
多少の期待はしてくれていたのだろうか。
そんな反応をされると、麦野としては少々複雑だった。
麦野「他のこともしてほしいのかにゃーん?」
口元をニヤニヤと釣りあげて御坂の頬をプニプニとつっつく麦野。
その表情と裏腹に、麦野はどこか空虚で掴みどころのない不安感を抱いていた。
あるいは恐怖と呼べるものだったのかもしれない。
御坂と性行為に及ぶことは、麦野にとっては一つの覚悟のいる行為だった。
麦野が御坂とコトに及ぶことに尻込みしているのは、何も彼女が中学生だからとかそういうことではない。
麦野にとって、御坂美琴は純粋性の象徴のようなものだったから。
序列第三位という圧倒的な能力を持ちながら、暗部に堕ちず堂々と太陽の下を歩いている御坂は、
同じ女性の能力者ということもあり、麦野はかねてより良くも悪くも強く意識していた相手だった。
同質の能力を持ちながらも立場は真逆。
だからこそそこに特別な不可侵性を感じていた。
かつて戦った時は、何者にも汚されていない彼女に嫉妬にも近い感情を向けていたのかもしれない。
しかし御坂と出会った後、麦野が彼女のどんな状況に在っても輝きを失わない純粋さに惹かれ、
自分では持ち得なかった綺麗なものに憧れたのも事実だ。
御坂「……ちょっと、してほしいかも」
故に、麦野は恐れていた。彼女を抱くことで、彼女が純粋なものでなくなってしまうような気がして。
言葉を詰まらせて、御坂が振り絞るようにそう言うも、麦野の理性のタガを引きちぎるには今一つ足りない。
麦野「……」- 466: 2010/07/31(土) 02:33:42.25 ID:YCM4ZsUo
顔を曇らせる麦野。
多くの人間の血を浴びたこの穢れた体で、御坂と交わることで彼女までが汚いものになってしまうのではないかという不安が拭えない。
そして同時に、御坂を自分の手で汚したいという欲望もまた沸いてくる。
誰にも触れられたことのない無垢な体を支配し、蹂躙し、調教するのはドSの麦野からすればこの上なく抗い難い快楽だろう。
頭の中で二つの意識がせめぎ合う。
麦野(美琴が求めてる……ここまで言わせてるのに、何もしないのもこいつを傷つけることになるのか……?)
最善の答えが見つからない。
御坂との距離の詰め方が分からない。
だが、それでも彼女の求めには応じてやりたかった。
御坂の体を上から眺めて行く。
綺麗な茶色い髪とガラスのヘアピン。小さな顔。大きな瞳。ピンク色の唇とそこから覗く白い歯にぬめった舌。
細い首は容易く絞め殺せそうな程に頼りなく、華奢な肩とわずかに覗く鎖骨が本能に訴えかけてくる。
わずかに膨らんだ貞淑な慎ましい胸は逆に煽情的に見えてきた。
くびれのあるしなやかなウエストに、張りのある小さめのお尻。短パンから伸びるスラリとした二本の足は、
白い太股が強調されて悩ましい。
潤んだ瞳でまっすぐにこちらを見つめる御坂のその様子に、麦野はクラクラと眩暈を起こして倒れそうになるのを必死にこらえた。
麦野(こいつにこんなに色気を感じてるのはきっと私くらいなんだろうな……)
ゴクリと生唾を飲み込み、麦野は御坂にもう一度向き直って両肩に手を添えた。
唇を少しだけ突き出して、御坂はそっと瞳を閉じた。
酒の所為にはしたくない。
真正面から、御坂の全てを手に入れる。
心臓から送り出される血液が、手を、足を、脳を巡り。顔は熱病に侵されたように赤く火照ってくる。- 467: 2010/07/31(土) 02:36:05.85 ID:YCM4ZsUo
麦野(わかったよ、美琴……指でするくらいなら、いいよね……)
御坂「早く来て……沈利さん……」
熱い吐息とともに艶めかしく動いた唇に、麦野は遂に頭の中で線が一本焼き切れる音を聞いた。
御坂の唇にそっと自らのそれを近づけて、5mmの距離を開けて麦野は最後に呟く。
麦野「美琴……止まらないよ。もう、止められないからね……ごめんね」
御坂「んっ……!」
柔らかく啄ばむように御坂と口づけを交わす。
フレーバー着きのリップだったのか、ほんのり桃の香りが鼻を通り抜けていった。
こんな子供じみた可愛い香りをさせているのにと、麦野はこの背徳的な行為に言い知れぬ興奮を覚えて
御坂をソファの背もたれに乱暴に押し付けた。
御坂「んぅ!……ちゅっ……チュプッ……ンチュッ……ふぁ……」
麦野「ハァ……チュッ……んう!……ハァ……チュプッ」
勢いを増していく二人の呼吸と鼓動。
麦野はぼんやりと霞がかっていく頭の中で、ただひたすらに御坂の名前を呼び続けていた。
欲しい。欲しい。欲しい。
御坂美琴の全てが欲しい。
彼女の口内に侵入させた舌でぬるりと唾液を舐めとりながら、丹念に、そして犯すように向こう側の舌をねぶる。
ドクドクと鮮明に聞こえてくるどちらのものとも知れない心臓の音は、規則的なリズムで麦野の理性を破壊していった。
唇を少しずつ下方へと移動させ、首筋を舌先でなぞってくすぐる。- 468: 2010/07/31(土) 02:38:37.20 ID:YCM4ZsUo
御坂「ぁっ……!」
ピクンッと跳ねる御坂の体。首を後ろに反らして、もっとして欲しいとねだるように体をくねらせた。
麦野は御坂の服の上から指先で全身を優しく撫でていく。
腕から始まり、背中、脇腹、そして胸元へ。
服と下着越しに感じる柔らかい感触に、麦野は荒ぶる呼吸を押さえつけながら一度唇を首筋から離して彼女のTシャツを脱がす。
恥ずかしそうに瞳を潤ませた御坂はこちらを見ず、いそいそとされるがままに服を脱いだ。
麦野「ブラ、可愛いわね」
御坂「沈利さんに見てほしくて……この前買ったの……」
麦野「そんなに私に犯されたかったのね」
御坂「違う……も……んぅっ!」
白い肌のわずかな膨らみを守るように着用されたる薄い水色のブラ。
麦野は下着の上からゆっくりとほぐすように御坂の胸に指を食いこませて揉みこんでいく。
舌先は再び御坂の肌の上を這いまわり。
鎖骨をゆっくりと丁寧に。そして首筋に戻って今度は強く吸う。
御坂「っ……ぁっ……ぁあ……」
やがて唇を離したそこには、隠しようも無いほどくっきりと赤いキスマークが着いていた。- 469: 2010/07/31(土) 02:41:41.97 ID:YCM4ZsUo
麦野「ふふっ、素敵な傷痕ね」
満足げに微笑んだ麦野は、心地良さそうに蕩けた瞳の横、形の良い耳元へと唇を近付ける。
御坂「はぁっ……んっ! 沈利…っ…さぁん……そんなとこ…ハァ…駄目ぇ……ハァ」
耳の形を確かめるようにして、そして少しわざとらしく音を立てながら、ピチャピチャと舌を蠢かせる。
同時に、背中に手をまわしてブラのホックを外し、空いた隙間から手を差し込んで御坂の乳房へと手を這わせていった。
麦野「おっぱい、小さくて可愛い……」
耳元で囁くと、吐息でくすぐったそうに身をよじらせながら御坂は嬌声をあげた。
御坂「ぅ……ん……そんなこと言わないで……ぁっ……!」
麦野「気持ちよさそうにしちゃって。ほんとはもっとしてほしいくせに」
御坂「ち…ハァ…がう……ハァ……んっ! ぁっ……!」
慎ましく、掌に軽く収まりきってしまう可愛らしい胸。
麦野は、甘い吐息を漏らして悦びの声を躊躇いがちに零す御坂の胸の感触に酔いしれていた。
小さくとも確かに柔らかく主張するそれはじっとりと汗で湿り気を帯びて麦野の掌に張り付いてくる。
上から下に掌で円を描くように押し上げて、時折指を沈みこませて絶妙に刺激を与える。
だがしかし、最も敏感なピンクの先端部にはまだ触れない。
もっともっと焦らして、御坂が涎を垂らしてモノ欲しそうな視線でこちらを見てくるまでは絶対に。
気が着くと麦野は口元に笑みを浮かべていた。
あの御坂が、自分の指と舌だけで蕩けきってしまっている。
無防備に弛緩した体には汗が滲み、濡れた瞳を懇願するように向けてくるのがたまらない。
ピンクの小さな乳輪を、指先でゆっくりとなぞりながら耳元の唇を首筋、脇腹へと下ろしてくる。
ソファの背もたれに体を預けている御坂は、虚空を見上げて声を押し殺すのが精一杯の様子だった。
左手で胸を、右手で太股をさすりながら麦野はその肢体に舌を這わせて愛撫を続ける。- 470: 2010/07/31(土) 02:43:09.45 ID:YCM4ZsUo
麦野「声、我慢しなくていいんだよ? 美琴の気持ちいい声、もっと聴かせて」
御坂「やぁ……っ! 恥ずかしい……ぅっ……ぁんっ……」
上気して紅潮する肌が愛おしい。
麦野はさらに焦らすように触れるか触れないかのタッチで御坂の胸の頂点をいじめるのだった。
御坂「そ……そこは……だめぇ……んっ……はぁっ……!」
麦野「乳首立たせて言うことじゃないわねー。目が嬉しそうに蕩けちゃってるけど?」
御坂「だって……沈利さんが……」
御坂の羞恥心を煽るように囁く麦野。
快楽に身を委ねつつある自らの精神に抗うように、御坂は反抗的な視線でこちらに視線を返すが、
麦野は小悪魔的な笑顔で優しく御坂の小さな乳首を摘みあげた。
御坂「はぁんっ……! だ、駄目だったら……ひぁっ……!」
麦野「私が何? 人の所為にしてんじゃないわよ。ふふっ……こんなにしてるくせに」
段々と気分が乗って楽しくなってきた麦野。
唇を御坂の胸元に寄せ、先ほどより少し赤くなっている乳首を口に含んで舌で転がす。
それに反して御坂は奥歯を噛んで必死に甘い声が出るのをこらえようとしているらしい。
麦野「ちゅぷっ……ピチャッ……体震えてるよー? どうしたのー?」- 471: 2010/07/31(土) 02:44:51.72 ID:YCM4ZsUo
わざとらしく楽しげに問いかける麦野。
御坂は両手で口元を押さえて、背中を反らしたままブルブルと首を横に振った。
その様子がたまらなくおかしくて。
麦野は右手で乳房を揉み、左手は全身をゆっくりと指先でなぞり、唇と舌でもう片方の胸を愛撫していく。
御坂「こ……こんな……の……ぁあんっ! はぁっ……んぁっ!」
麦野「処女のくせになかなか感度いいじゃない。どーせオナニーばっかしてたんだろうけど」
御坂「し……してな……ぅんっ! ぁっ! ぁっ!」
音を立ててその突起を吸い上げてやると、それに呼応するように御坂の体が跳ねた。
体温が高く、滲んだ汗と御坂の甘い匂いが混じって麦野の鼻腔を甘美に刺激してくる。
もやがかかったような視界と脳が、御坂をもっと攻め立てるようにと指示を飛ばす。
麦野は微笑んだまま御坂の太股の付け根まで指を移動した。
麦野「あれー? 上のお口は今忙しいみたいだね」
口元を歪めて心底楽しそうに言葉を繋いでいく麦野に、御坂は必死で口元を押さえて首を振る。
もうたまらない。我慢できない。
麦野「じゃ、こっちのお口はどうかにゃーん?」
麦野は舌舐めずりをすると、しなやかな指先で御坂の短パンのフロントのボタンを外した。
御坂「ひっ……!」- 472: 2010/07/31(土) 02:47:23.78 ID:YCM4ZsUo
ビクリと肩を跳ね上げる御坂。それが何を意味するのか、さすがに気付いたらしい。
不安げな表情でこちらを見てくるので、麦野は柔らかく微笑を滲ませて頭を撫でてやった。
麦野「大丈夫よ。優しくしてあげる」
そう言って麦野はもう一度御坂に口づけた。
少しこわばっていた御坂の体が再び弛緩してソファに体重を預けて行く。
麦野は彼女に唇を重ねたまま、短パンを脱がそうと少しずつずり下ろしていくと、御坂も腰を浮かせてそれに
協力する素振りを見せた。
どうやら覚悟は決まったらしい。
麦野は薄く瞳を開いて御坂の顔を見ると、彼女は涙を目尻に浮かべてこちらを見つめていた。
短パンを脱がし、麦野はむせかえるような御坂の甘い匂いと、汗の匂いを鼻から肺いっぱいに吸いこんで
下着越しにデリケートな部分に触れてみた。
御坂「っ……はぁ……」
グチュリと、水気を吸ったショーツは淫靡な音を立てた。
恥ずかしそうに麦野の服の裾を掴む御坂。
構わず麦野はその部分を撫でさすっていく。不安を取り除くように丁寧な口づけと共に御坂の頭を撫でてやりながら。
右手中指と薬指に御坂の熱い愛液が付着し、ヌルヌルと下着の上を滑る。
ゆっくりとほぐしていくように円を描いて、空いたもう片方の掌で再び胸元を包み込む。
御坂「ぁっ……ぁぅ…ハァ…ハァ……んぅっ!」
硬く尖っていく胸の先端部をコリコリと指の腹で押しつけ、熱い下腹部は柔らかく麦野の指を押し返してくる。
鼻先にかかる御坂の吐息は霧のように麦野の理性を覆い隠して。
麦野は円を描く指の動きに緩急を付けて刺激していった。
口腔内を犯す舌の動きは蛇のように滑らかで、御坂の身体は先ほどから幾度となく跳ねあがっては
麦野の服を強く掴んだ。- 473: 2010/07/31(土) 02:49:18.38 ID:YCM4ZsUo
麦野「濡れ過ぎでしょアンタ。何でこんな風になっちゃってんのかにゃーん?」
意地の悪い笑顔で麦野が問いかけると、御坂はキュッと唇を感じで瞳を強く閉じた。
麦野は少しだけ感動していた。
麦野(楽しい……。こんなにゾクゾクするセックス初めてだわ……)
こんな時に思い出したくもないが、今まで垣根と経験した4度の行為のどれよりも御坂を指で翻弄するこの瞬間が楽しい。
御坂「沈利さんが……ぁん……触るからぁ……はぁっ、んぅ!」
御坂がこの指で悦んでくれている。
御坂が何もかもを自分に預けてくれている。
そう思うだけで、麦野も自分の下腹部が熱を帯びてくるのを感じていた。
もっと御坂を気持ちよくしてやりたい。もっと御坂の奥へ行きたい。
欲望に後押しされるように麦野は御坂のブラと同じ水色のストライプのショーツを横にずらし、
そこにある彼女の最もデリケートな部分を覗き見た。
ピンク色にぬらぬらと煌めき蠢動するソレを目の当たりにして生唾を飲み込む麦野。
これが誰も見たことの無い御坂の最奥への入口。
黒いわずかな薄い毛に覆われて、その愛液に濡れた秘所に恐る恐る触れてみる。
御坂「ぁんっ!」
跳ねる体。
ぬるりとした熱い肉の感触に、麦野は頭がどうにかなりそうだった。
あの純真な御坂も、自分と同じ様に愛液で秘所を濡らしている。
彼女が同じ身体構造をした人間で、女であるという当然の事実を今更ながらに突きつけられて、
恐ろしい程の衝撃が体中を駆け巡っていった。
それは、強烈な違和感だった。思わず麦野の手が止まる。- 474: 2010/07/31(土) 02:51:04.66 ID:YCM4ZsUo
麦野「私が男だったら……」
御坂「え……」
ポツリと呟いた麦野の言葉に、肩で息をしながら御坂が不安げに顔を覗きこむ。
麦野は御坂を強く抱きよせながら、震える声で言葉を紡ぐ。
麦野「私が男だったら、アンタと一つになれたのに……アンタの温もりを、体の全てで感じられたのに……」
麦野は泣きたいような、悔しいような不思議な気分だった。
これは女同士のセックス。
完全に一つになれなくて。
貪るように相手を求めても、その距離がゼロに縮まることは永遠に無い。
その事実を認めるのが悔しいから、麦野は御坂の身体の奥まで潜り込もうと指でなぞり、舌を這わせた。
女同士では感じられない温もりがあるかもしれないのが怖いから、麦野は永遠に縮まることの無い最後のその距離を
埋めようと必死にもがく。
二本の足の間にあるはずのものは、女同士の自分たちには持ち得ないものだったから、
麦野はその悔しさが少し可笑しくなって涙を零しながら笑った。
麦野「ぅぐっ……何泣いてんだろね私は……。こんなの当たり前だろ……当たり前なのに……」
御坂「……沈利さん……」
抱き合い、キスをして、言葉を交わしても、決して埋まらない最後のその1マスが、麦野には悔しくてならなかった。
そんなことにこだわる女々しい自分が嫌になる。
御坂と快楽を追求し合うのは楽しいのに、最後の最後に待ち受けていたその現実は受け入れ難い。
だが、嗚咽し震える麦野を御坂は優しく抱きしめた。- 475: 2010/07/31(土) 02:52:27.72 ID:YCM4ZsUo
麦野「……美琴」
自分より4つも年下の、華奢な女の子の腕の中は、想像もつかない程温かく大きい。
縋るように麦野は御坂に抱きつき、その36.8度の体温をけっして逃がさぬように受け止める。
二人は互いの腕の中で、求めあうように言葉を交わした。
御坂「分かるわよ……沈利さんの気持ち。私も今きっと、同じ気持ちだから」
麦野「…………」
御坂「でも……あんたが女の子じゃなかったら、私はきっと好きにならなかったから。
あんたが女の子だから、沈利さんがこんなに温かいんだって知ることができたんだ」
今度は力強く、願うように。
御坂の言葉はいつだって力があった。
真っ直ぐに堂々と翔けていく御坂が眩しくて、それが自分とあまりにかけ離れているのが悔しくて、憎らしくて。
だけど、そんな御坂だから、自分は恋をした。
そんな御坂美琴に、ずっとずっと憧れていたんだ。
麦野「ぅ……グスッ……そんなの……私だってそうだよ……!」
御坂「沈利さん。悲しむことなんて無いわよ。私は沈利さんの温もりを知ってるから」- 476: 2010/07/31(土) 02:53:50.77 ID:YCM4ZsUo
クスリと優しく微笑む御坂。
麦野「わ、わかってるわよ……別に悲しかったわけじゃ……」
麦野はその愛しい顔を見ながら、つられるように恥ずかしげに微笑を返す。
御坂「だから続きをしよう……ねえ、沈利――――――」
麦野「っ……」
御坂が麦野の口元に唇を寄せる。
ゼロに程近い最短距離で、彼女は言った。
御坂「――――――私を、あなたのものにしてよ」- 477: 2010/07/31(土) 02:55:29.12 ID:YCM4ZsUo
その言葉は中学生の少女が放つものとは思えない程に慈愛に満ち溢れていて、
麦野は全てをかなぐり捨てるように御坂の唇にむしゃぶりついた。
自らが着ているブラウスのボタンを興奮に震える指で外して、深い谷間を作り上げる白黒のブラを脱ぎ捨てる。
ぐにゅりと形を変える程強くFカップの大きな乳房を御坂の身体に押し付けて肌と肌を擦り合わせた。
御坂「んっ……ピチャッ……チュプッ! あっ……はぁ……んっ!」
麦野「美琴…ハァ…もっと…ハァ…ンチュッ……ちゅぅっ」
舌で口内を蹂躙し、互いの唾液を喉の奥まで流し込んでいく。
少しでも御坂に近づきたい。
永遠に埋まらない1マスをどうしても埋めたいから、麦野は少し乱暴に御坂を抱き寄せる。
ショーツをずらし、再び愛液の溢れる秘所に指を当てがう。
麦野「アンタ……毛、薄いね……」
御坂「何……言ってんのよ、ばか」
茶化すような言葉に、抱きつく力を強めて応える御坂。
黒い薄い茂みの下ヒクヒクと蠢動する秘所に隠されるように存在する小さな突起。
柔らかな肉の唇に包まれた小指のつま先よりももっと小さなソレを、麦野はそっと中指の腹で押しつけてやる。
御坂「ん―――っ!!」
麦野「いつもこれでオナニーしてんの?」- 478: 2010/07/31(土) 02:57:05.36 ID:YCM4ZsUo
麦野の誘惑するような問いかけに御坂はブルブルと首を振る。
ツンツンと、軽くノックするようにそこを刺激する麦野。
御坂が正直に答えれば、いつでもそこを触ってやると言わんばかりの挑発。
それが分かっているのだろう、御坂は唇を噛んで快楽の誘惑に必死に耐えていた。
麦野「ねえねえ、最近はいつしたの?」
ねっとりと絡みつくような声で問いかける。
秘所から絶えず溢れてくる愛液をそこに塗りたくりながら、
ビクビクと身体を跳ね上げている御坂に意地悪く質問を続ける。
麦野「一つ応えるごとにどんどん気持ちよくなるよ?」
御坂「んっ……! ぁっ! ぁんっ! やっ……!」
麦野「ほらほら、いつしちゃったのー? んー?」
ぬるぬると円を描くように赤い蕾を焦らすかの如く刺激する。
その誘惑に耐えることが出来るはずもなく、御坂は顔を真っ赤にして唇を動かした。
御坂「き、昨日……!」
麦野「あらそうなのー。ふふーん、何考えながらしたの?」
御坂「ぁあんっ……! やっ! ら、らめっっ! そんなにしたら……!」- 479: 2010/07/31(土) 02:59:07.39 ID:YCM4ZsUo
クチュクチュという水音をわざと御坂に聞こえるように鳴らして、麦野の蹂躙は続く。
足の指先をつりそうなほど反らしている御坂は、喉から声を絞り出すように応えた。
御坂「し、沈利さんに……! こ、こうされるのを想像してっ! んあぁぁっ!」
麦野「そう。アンタも期待してたんだ。ふふっ、エッチなのはいけないと思うわよー?」
その答えに麦野は満足げに微笑むと、御坂の入口からゆっくりと中指を侵入させていった。
御坂「ああぁぁっ!」
ズブズブと沈み込んでいく中指。
それを締め付けてくる御坂の狭い膣内は熱く、麦野は愛液のぬるりとした感触の気持ちよさにクラリと眩暈を起こした。
自分のものとも違う、他人の内部は、こんなにも温かく柔らかいのかと、情欲は際限なく麦野の脳髄を蕩けさせていく。
御坂「はぁ……ぅっ!」
少しだけ、御坂は顔をしかめた。
そこから先は初めての証。処女膜をはがし、貫く儀式の場所。
指一本で限界の膣内は、さらに狭くきつく麦野の指に食らいついてくる。
麦野「……いいよね、美琴」
御坂「ま、待って沈利さんっ!」- 480: 2010/07/31(土) 03:00:56.39 ID:YCM4ZsUo
ギュッと麦野の腕に縋りついて不安げな視線を向けてくる御坂。
なだめるように口元に微笑みを滲ませ、麦野は小首を傾げる。
麦野「どした?」
御坂「い、痛くない?」
目尻に浮かんだ涙から、やはり初めてに対する恐怖心は少なからずあるようだ。
そんな様子を可愛いなと思いながら、麦野は額に軽く口づけてから自らの大きな胸元に
御坂の顔を抱え込むように押し付けた。
麦野「ちょっと痛いかもだけど、すぐ収まるから。辛いならやめてもいいけど……?」
御坂「だ、大丈夫……沈利さんに、初めてをあげたい……」
麦野「可愛いこと言うわ。好きよ、美琴」
麦野は中指に追従させるように薬指を秘所内へと侵入させる。
二本の指によって膣壁がこじ開けられ、ミチミチと奥へ奥へと突き進んでいく。
御坂「ぎっ……あぐっ……ぅぁああ……んぅ……!」
麦野の背中に爪を立てて痛みをこらえる御坂。
これだけきつければしっかり濡らしているとは言えかなり痛いだろう。
ギチリと御坂の処女をひきはがすように貫き、指が根元まで入ったことを確認して麦野は深く息を吐く。
今、御坂の処女を奪った。
麦野は背中に突き立てられる爪の痛みを心地よく感じながら御坂に囁きかける。- 481: 2010/07/31(土) 03:02:02.76 ID:YCM4ZsUo
麦野「奥までいったよ……痛かったね。大丈夫?」
御坂「うん……なんとか……」
眉間にしわを寄せる御坂に麦野は口付ける。
痛みだけで初めての行為を終わらせてやりたくない。
ちゃんと最後まで、気持ちよくさせてやりたい。
ゆっくりと味わうように御坂の唇を啄ばみ、麦野は御坂の内部で熱く包まれている中指と薬指を巧みに動かし始めた。
御坂「んあっ……はぁ……ぁっ!」
甘い声が漏れ始める御坂。もともと潤滑油となる愛液で十分に溢れていたし、
あまり抜き差しをしなければ中の傷に触れても痛くはないだろう。
さらに麦野は親指の腹を御坂の赤い蕾に押し当てる。
御坂「ぁあっ! そ、それは……だめえっ!」
ビクンッと跳ねる体。
クニクニと優しく押しつぶすように円を描き蕾を刺激する。
同時に膣内で指動かし、腹側の壁を擦りあげてやると、御坂は口を開け放って嬌声をあげた。
御坂「ぅぁっ! ぁんっ……! ぁっ! ぁっ! ぁっ!」
麦野「チュッ……ンチュッ……チュプッ……」- 482: 2010/07/31(土) 03:03:30.95 ID:YCM4ZsUo
舌を絡ませ合い、右手で御坂の身体を奏でていく。
ピクピクと痙攣しはじめたその様子から、彼女の絶頂が近いこと知った。
御坂「沈利……さんっ! ぁんっ! あぁっ! わ、私もうっ……!」
麦野「うん、いいよ。イクときはちゃんとイクって言いなね」
グチュグチュという水音が室内に響く。
同時にガクガクと震える御坂の体。麦野はあくまで力を入れ過ぎず、絶妙な刺激で御坂の秘所を攻め続けた。
御坂「沈利さんっ! ああぁっ! イ、イっちゃう……っ!」
麦野「うん。美琴がイくとこ見ててあげるわ」
その言葉と同時に、麦野は赤く充血した蕾をぐっと押し潰し、膣壁に蠢く指を押し付けた。
御坂「んあああああッッ!!」
背中を反らし、麦野の腕に縋りつきながら御坂は痙攣と共に絶頂を迎えた。
ビクビクと痙攣して御坂はグッタリとソファにもたれかかる。
キュッと膣内で指を締め付けられ、麦野は満足げに笑って指を引き抜いた。
愛液でベトベトになっている指先にはわずかに赤い血液が付着している。
麦野「これで完全に、アンタは私のもんか……」
その愛液と血が混ざったものをペロリと掬い取るように舐めて、麦野は一人ごちる。
もう絶対に誰にも渡さないと言わんばかりに。- 483: 2010/07/31(土) 03:04:42.31 ID:YCM4ZsUo
麦野「お疲れ様。大丈夫?」
上気した肌で大きく呼吸している御坂の姿を眺める。
汗で顔に張り付いた髪が煽情的だったが、意外とムラムラとした情欲は湧いてこない。
グッタリと疲れきっている御坂を見ているとゆっくり休ませてやりたいと思うからだろうか。
御坂「ハァ……ハァ……沈利……さん」
肩で息をしながら御坂が薄く目蓋を開いてこちらを見る。
その表情には満足げな笑みが浮かんでいた。
御坂「あんた…ハァ…上手過ぎ……ハァ」
麦野「そりゃどうも。女の身体だもん。私が気持ちいいとこはたぶんアンタも気持ちいいんじゃないかなって
思ってやってただけよ」
もちろん女同士の性行為に経験などあるはずもないので、自分自身の身体をどのようにされた快楽が得られるかという
ことを念頭に置いてやっていた。
どうやらそれは御坂にも有効だったようで、腰が抜けて立てない程に感じてくれたようだ。
御坂「……沈利さんは……いいの?」
自分だけが絶頂を迎えてしまったことに後ろめたいものでもあるのか、御坂はチラチラと上目づかいで問いかけてくる。
逆に良くないと答えたら何をしてくれるのか興味はあったものの、彼女の乱れっぷりを見て満足したところもあるので、
麦野はやんわりと首を横に振って頭を撫でてやる。- 484: 2010/07/31(土) 03:05:44.19 ID:YCM4ZsUo
麦野「私は大丈夫。アンタのイキ顔見れたしね」
御坂「うっ……だ、だって気持ちよかったんだから仕方ないでしょ……!」
麦野「冗談冗談」
御坂をなだめすかす麦野。
正直に言えば、まだ御坂に身体を舐めてもらったりするのは忍びないと思っているというのもあった。
だが御坂を満足させてやりたいという気持ちが強いも事実なので、それ以上麦野は何も言わない。
麦野「あ、ヤバ……」
少し沈黙が流れたので、麦野は何気なく今座っているソファを見る。
すると、あろうことか布張りの2人掛けソファには御坂の愛液で大きなシミができてしまっていた。
麦野「ねえこれ、アンタの能力で電気分解とかできない?」
焦ったように麦野。
別に弁償がどうとかそういうことではなく、ホテルの人間に女同士でセックスして愛液を零してしまいましたと告げるのが
恥ずかしくてたまらないからだ。
御坂「ええ? あっ、これは……」
自分の秘所から零れ出た愛液の量に、御坂は顔を真っ赤にして俯いた。
しかし、次の瞬間には麦野の手を取って苦笑いを浮かべる。- 485: 2010/07/31(土) 03:08:17.32 ID:YCM4ZsUo
御坂「ま、明日考えるわ。とりあえず、ベッドまで運んでくれない? 腰抜けちゃって立てないのよね……」
麦野「ビクンビクンなってたもんねー。よし、あとはベッドでいちゃいちゃしながら寝ましょ」
御坂「うん、シャワーはもう明日の朝でいいわ」
麦野「そうね。……って軽っ! アンタすごい軽い」
麦野は御坂を抱き上げると、驚愕を露わにして呟いた。
しかし、驚きの表情を浮かべているのは何も麦野だけではない。御坂もまた、驚いたように麦野を見上げていた。
御坂「沈利さん力強いわねー……」
華奢な御坂とは言え人一人を楽々細腕で抱えあげえているため、驚いている様子。
麦野は仕事柄ジムに通って身体をそこそこ鍛えているということと、生まれつきの体質から頑丈で力も強い。
ガタイを良くして女を捨てるのが死んでも嫌だった麦野は、パッと見は細身に映るので御坂の反応は当然と言えるだろう。
麦野「まあちょっとだけね。それより……美琴の処女奪っちゃった」
御坂「うん……しちゃったわね……」
麦野は御坂を見下ろしながら笑う。御坂も照れくさそうに笑みを零した
御坂にとって名実ともに初めての相手になれたのだ。
特に処女について思い入れの無い麦野も、なんとなく嬉しい気分になった。
そして
麦野「私以外を見ちゃ駄目よ? 良い子にしてたら、また気持ちいいことしてあげるからね」
御坂「うん……沈利さん、大好き!」
笑顔を向け合う二人。
互いの温もりがこんなにも心地いいものなのだと改めて再認識した夜となった。
女同士では埋まらないように思えた距離も、ほんの少しだけ縮まったような気がする。
御坂を好きになってよかったと、麦野は血の付着した指先をチラリと一瞥して考える。
そして麦野は、また一つ美琴から離れられない理由が出来てしまったなと思うのだった。
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