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兄「俺の妹がこんなにヤンデレなわけがない」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:34:09 ID:8neBgSlb0
妹「朝ですよ」

兄「ん。おはよう」

妹「ご飯できてますから、降りてきてください」


兄「ん。おいしいな」

妹「ありがとうございます」

兄「今日も弁当作ってるのか?」

妹「はい。兄さんのために愛情たっぷりです」

兄「……その、そういうの入れるのはどうかと思う」

妹「ふふふ。愛情ですから……」

兄「そ、そうか……」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:34:27 ID:8neBgSlb0
妹「ふふふ。兄さんは可愛いなぁ」

兄「おい」

妹「あ、なんですか。せっかく兄さんのハメ撮り画像を眺めていたというのに」

兄「そういうの堂々としてるのはどうかと思う」

妹「兄妹なんだから気にしないでください」

兄「いや、それ以前の問題だと思う」

妹「そういうところ女々しいからモテないんですよ」

兄「む。……あ、そういえば」

妹「ふふ。可愛いなぁ。じゅるり」

兄「……会話よりも写真を優先したか」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:36:04 ID:8neBgSlb0
妹「今日も兄さんに近づく雌犬がいたので排除しておきました」

兄「……犯罪行為はしていないのだろうな」

妹「ええ、私は自分の手を汚さない主義なので」

兄「そういう意味で聞いたわけでは」

妹「どういう意味でしょう」

兄「俺はお前が怖いよ」

妹「褒め言葉と受け取っておきましょう」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:38:13 ID:8neBgSlb0
妹「今日も兄さんに近づく雌犬がいたので排除しておきました」

兄「……犯罪行為はしていないのだろうな」

妹「ええ、私は自分の手を汚さない主義なので」

兄「そういう意味で聞いたわけでは」

妹「どういう意味でしょう」

兄「俺はお前が怖いよ」

妹「褒め言葉と受け取っておきましょう」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:38:33 ID:8neBgSlb0
妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

兄「隣の部屋でうるさいな……」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

兄「おい、深夜だしもうちょっと静かに」

妹「うるさい。黙れ」

兄「…………」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

兄「……今日はもう無理か」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:40:41 ID:8neBgSlb0
妹「では、いってきます」

兄「おう」

妹は、今日も俺より先に学校に向かう。
手には弁当箱が二つ。一つは言うまでもなく自分のためのもの。
もう一つは……彼女の「兄さん」の分である。

妹「あ、にいさーん!」

妹は、「兄さん」の腕に勢いよく絡みついた。

「朝から激しいな。妹は」

爽やかに微笑み、「兄さん」は妹の髪をくしゃくしゃと撫で回す。
妹はそれを受け入れ、心の底からの笑顔を浮かべた。

妹「はい、兄さん! 今日のお弁当だよ!」

「また、変なもの入れたんじゃないだろうな……」

妹「変なものとは失礼な! 愛情だよ!」

そう言って、妹は「兄さん」にキスをする。「兄さん」は妹の頭を抱き寄せ、二人は深いキスをする。
これが彼らの一日の始まりの合図である。

兄「俺の妹がこんなにヤンデレなわけがない」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:44:27 ID:8neBgSlb0
妹「朝ですよ」

兄「おはよう」

妹「ご飯、できていますから」

兄「ん。いただきます」

妹「いってきます」

兄「あれ、今日は弁当作らないのか?」

妹「もう作りました。一刻も早く兄さんに会いたいですから」

兄「そうか……いってらっしゃ」

バタン

兄「……」モソモソ
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:51:41 ID:8neBgSlb0
兄「! お前は……」

妹の彼氏に出会ってしまった。

「……」

兄「ひ、久しぶり」

「……」

無視。

兄「おーい。俺のこと、覚えてないか?」

「……あ?」

物凄く鋭い目で睨まれた。

兄「い、いや、なんでもない……」

俺は、へたれだ。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 03:55:24 ID:8neBgSlb0
妹「もう、兄さん!」

「なんだよ」

妹「今日も告白されたんだって!?」

「あー、うん。隣のクラスの子らしいけど」

妹「ちゃんと断ったんだよね?」

「あ、あー、多分な」

妹「そんな曖昧な。……まぁ、対策は打っておきましたけどね……あの子今頃柔道部の皆さんに……ふふふ」

「なんか言ったか?」

妹「いいえ、何も」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:00:55 ID:8neBgSlb0
「あれあれー、弟くんと妹ちゃんじゃないか」

「……姉ちゃんか」

妹「お久しぶりです」

「もうっ! そんな他人行儀は、メッ! 私たち幼なじみなんだからさー」

妹「そうですね」

幼なじみ姉「もー。しかしあれだね、君たち二人は昔からラブラブだねぇー」

幼なじみ弟「…………」

妹「そうです、ラブラブなんです。だからお姉さんは早くどこかに言ってください」

幼なじみ姉「そんな警戒しなくてもいいじゃないのさー。弟よ、妹ちゃんの胸が腕に当たっている気分はどうかね?」

幼なじみ弟「……いいから、放っておいてくれよ」

妹「……」ジー

幼なじみ姉「はいはい、おじゃま虫は退散しますよ。……避妊はするんだぞっ!」

妹「……」カァッ
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:05:07 ID:8neBgSlb0
兄「お」

幼なじみ姉「おっす!」

兄「久しぶりだな」

幼なじみ姉「だねー。百年ぶりくらいかなっ」

兄「相変わらずだな。その無駄なハイテンション」

幼なじみ姉「照れるなぁ~」

兄「褒めてない」

幼なじみ姉「……ああ、こういうの本当に懐かしいね。久しぶりっ」

兄「……だな」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:06:11 ID:8neBgSlb0
兄「そうか、お前の高校って俺のとことすごい近いじゃないか」

幼なじみ姉「本当だね。今度遊びにきなよ!」

兄「さすがに女子高には行けないだろう」

幼なじみ姉「あ、そういえばさっき妹ちゃんに会ったよ!」

兄「……そうか」

幼なじみ姉「あの子たちってまえーからラブラブだよねぇ」

兄「そうだなー」

幼なじみ姉「恋人がいない身としては羨ましくてしょうがないぜぃ!」

兄「そうだなー」

幼なじみ姉「……兄も恋人いないんだ?」

兄「まあな」

幼なじみ姉「ふーん」

兄「……?」

幼なじみ姉「寂しいやつめ!」

兄「お前が言うな
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:11:20 ID:8neBgSlb0
妹「ただいま」

兄「おかえり」

妹「ご飯、できてます?」

兄「おう」

妹「いただきます」

兄「……」モソモソ

妹「……」モソモソ

兄「今日も……幼なじみと会っていたのか?」

妹「はい」

兄「そっか」

兄「……」モソモソ

妹「ごちそうさま」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:14:42 ID:8neBgSlb0
幼なじみ姉「お」

兄「あ」

幼なじみ姉「最近よく会うねっ!」

兄「今まで会わなかったのが不思議でしょうがないな」

幼なじみ姉「ちょっとお茶しばかないかいっ?」

兄「いつの時代のナンパだ」

幼なじみ姉「へへ……ちょっと歩こうよ」

兄「おう」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:23:40 ID:8neBgSlb0
兄「この河は」

幼なじみ姉「へへ。昔ここで4人で遊んだよね」

兄「そんなこともあったな」

幼なじみ姉「あの頃はあんなに仲良かったのに、うちの弟は反抗期でさー」

兄「そうなのか」

幼なじみ姉「あれ? 妹ちゃんはそんなことない?」

兄「うちは、まぁ、普通だと思う」

兄「思春期になると、色々変わっちゃうんだろうな」

幼なじみ姉「そうなのかなー。あっ」

兄「うん?」

幼なじみ姉「弟だっ! よっ!」

幼なじみ「げっ、姉ちゃん」

妹「……」

幼なじみ姉「あれ、妹ちゃんもいる。二人は仲良しさんだねぇ~」

兄「……」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:27:01 ID:8neBgSlb0
幼なじみ姉「二人でなにしてるのさっ。って聞くのも野暮かな?」

幼なじみ「かんけーねーだろ」

妹「デートですっ」

幼なじみ姉「ほうほう。しかし、あれだね。こんなところに四人で集まっていると、昔遊んだことを思い出すね」

妹「!」

妹が突如震えだし、幼なじみに体を寄せる。

幼なじみ「……チッ」

幼なじみは妹の震えを止めるように妹の体を包むように抱き寄せる。

幼なじみ姉「? なんだい、急にラブラブモードですか? お姉さん、恥ずかしくなっちゃうぞっ」

兄「幼なじみ姉」

俺は幼なじみ姉の手を引っ張った。

幼なじみ姉「わっ、なんだいっ!? 兄くんが急に大胆にっ」

俺は幼なじみ姉と共にその場から逃げるように去った。


その夜。妹は家に帰って来なかった。
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 04:59:58 ID:8neBgSlb0
妹「ただいま」

兄「遅いぞ」

早朝である。

妹「すみませんでした」

兄「……それだけか?」

妹「……?」

何がおかしいのだろうか、という顔。
妹は俺にどこまでも無関心だ。
彼女の目に写っているのはたった一人。
「兄さん」のみである。

兄「……おかえり。次から遅くなる時は連絡をするように」

妹「どうして?」

兄「え」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:01:41 ID:8neBgSlb0
妹「どうしてあなたに連絡をする必要があるのですか?」

兄「それは、家族だし」

妹「ただの血のつながりがあるというだけの家族が私を縛らないください。鬱陶しいです」

兄「ゆ、夕飯の……準備もしていたし」

妹「前にも言いましたよね? 別に私は作ってくださいなんて一言も言っていませんよね? 作ってあるから私は食べているだけです。おわかりですか?」

兄「……わかった」

妹「それでは、私は寝ますので。おやすみなさい」

兄「…………おやすみ」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:05:25 ID:8neBgSlb0
幼なじみ姉「兄くんっ」

幼なじみ姉「なんだか元気がないね」

兄「そうかな」

幼なじみ姉「うん」

兄「お前が言うなら、そうなんだろうな」

幼なじみ姉「それはどういう意味だい?」

兄「ん。なんとなくそう思った」

幼なじみ姉「……あのさっ」

兄「ん?」

幼なじみ姉「私さっ」

幼なじみ姉「えっと、えっとねっ」

兄「お、落ち着けよ」

幼なじみ姉「う、うん……私、君のことが好き」

兄「……え?」


妹「……」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:09:04 ID:8neBgSlb0
兄「ただいま」

妹「おかえりなさい。ご飯、できてますよ」

兄「ありがとう」

兄「……」モソモソ

妹「……」モソモソ

兄「……」モソモソ

妹「……」モソモソ

兄「ごちそうさま。部屋に戻るよ」

妹「はい」

妹「……」

妹「幼なじみ姉さんがあの人に告白。……邪魔者同士くっついてもらえるなんて、ありがたいですね」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:11:21 ID:8neBgSlb0
兄「おはよう」

妹「おはようございます」

兄「休日なのに、妹は朝早いな」

妹「これが普通です。あなたはいつも昼まで惰眠を貪っているというのに今日はどうしたんですか?」

兄「ん。ちょっと用事があってな」

妹「そうですか」

兄「夕方には帰るよ。行ってきます」

妹「……いってらっしゃい」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:13:54 ID:8neBgSlb0
私の兄はどうしてあんなに情け無いのだろう。
意気地がないし、冴えないし、見栄えも悪い。
そんな男でも彼女ができるというのだから驚きだ。

妹「まぁ、あの人にあの女なら、お似合いか」

あのいつもヘラヘラしている女。
私の兄さんの親族だから表面上は親しくしているが、あの女を見ているとなんだかイライラしてくる。
あの時だってそうだ。
あの女は私を見捨てた。
そして、あの人も私を──

妹「いけない」

昔のことはどうでもいいことだ。
私には兄さんがいる。
それだけでいい。
私にとって兄さんだけが全てなのだから。
もしそれを失ってしまったら、私は──
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:17:32 ID:8neBgSlb0
妹「あ」

幼なじみ姉「ありゃ」

あれから数週間後。私は、一番会いたくない人に会ってしまったようだ。

幼なじみ姉「今日は一人なんだ?」

妹「ええ」

幼なじみ姉「弟も寂しいんじゃないかにゃ~」

妹「……」

無視すればいい。なのに私は答えてしまった。

妹「……あなたこそ」

幼なじみ姉「え?」

妹「あなたこそ、あの人と一緒にいなくていいんですか?」

この時、こう言ってしまった事。これが私の人生最大の失敗だったのだろう。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:22:30 ID:8neBgSlb0
幼なじみ姉「あの人って?」

妹「私の、兄ですよ。血縁上の」

幼なじみ姉「ああ、兄くんのことか。今日は用事があるらしくて。……ずいぶん他人行儀なんだね?」

妹「人の家庭に口を出さないで下さい」

幼なじみ姉「いやいや、そういうつもりはないんだけどさ。昔は仲よかったのにね」

妹「!」

幼なじみ姉「ほら、この近くの河で遊んだ時なんかさ、君が兄くんにくっついて離れなかったじゃないか」

妹「……あなたが」

幼なじみ姉「え?」

妹「あなたがそれを言うんですか! 私を! あの人と一緒に私を見捨てたあなたが!」

幼なじみ姉「な、何を言ってるんだい?」

妹「もしかして、覚えていないんですか? ええ、そうでしょうね。あななたちにとって私なんて取るに足らない存在なんでしょうね。やっぱり私を見てくれるのは兄さんだけだ! 兄さんだけが私をっ」

幼なじみ姉「「兄さん」……兄さんって誰のことだい?」

妹「私にとって兄さんは一人だけ! 幼なじみ、幼なじみだけが私を見てくれるの! あの時だって私を助けてくれたのはっ」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:30:07 ID:8neBgSlb0
小さいころ。
私と兄と幼なじみと幼なじみ姉はとても仲が良かった。
毎日のように色んなところで4人で遊びに出かけたものだった。
その頃の私は兄が大好きだった。
いじめっ子にいじめられている私を体を張って助けてくれたり。
駄菓子屋で何回もくじを引いても当たらなくて泣いていた私の目の前で一発で当たりくじを引いて、景品のお菓子を私にくれた兄──兄さん。
兄さんは私のヒーローだった。

そんなある日、私たち四人は河に遊びに出かけた。
その日はとても暑い夏だった。
だから私たちは、河で泳ごうと思った。
みんなでお金を出しあって、2リットルのジュースを1本買って、私たちは河に向かった。
その河は水泳禁止の看板があったが、子供たちにとってその看板など意味を成さなかった。
私たちはひとしきり河で遊び、そろそろ日も暮れようかというころ、一人の子どもが河で溺れてしまったのだ。
それが私だった。
その頃の私はとても鈍臭く、遊び疲れていたこともあり底がつかない場所まで流され、パニックになってしまっていた。

そんな中、私は兄さんに目を向けた。兄さんなら私を助けてくれる。兄さんは私のヒーローだから。兄さん。助けて。兄さん。
しかし、私の目にうつったものは、あの女、幼なじみ姉と何かを話し、二人で背を向けてどこかに行ってしまう二人だった。
私は絶望した。どうして? 私は今こんなに苦しいのに、助けてって言ってるのに。どうして? どうして? どうして?
意識が途切れる前に見えたのは、私を助けようと河に飛び込んでくれる、幼なじみの姿だった。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:36:39 ID:8neBgSlb0
私は全てを吐き出した。
あの頃の怨嗟を。恨みを。妬みを。苦しみを。
しかし、この女はこう答えた。

幼なじみ姉「妹ちゃん。あなた、勘違いしてるよ」

勘違い? 勘違いしているのはこの女だ。私から「兄さん」を奪ってのうのうと生きている。……兄さん。

幼なじみ姉「河の流れってね。結構激しいんだ」

この女は何を言っている?

幼なじみ姉「溺れている人間って、無意識のうちに助けようとした人間を巻き込んじゃうんだって。パニックになっちゃうんだね。それで助けに行った人間も一緒に溺れてしまうっていうことがよくあるらしいんだ」

この女は何を言っている。

幼なじみ姉「うちの弟は君を助けるために、真っ先に飛び込んだ。……何も持たずにね。それってとても危険なことなんだ」

幼なじみ姉「あの時私も君を助けようと思った。でも兄くんが言ったんだ。浮輪みたいなものがないと、一緒に溺れてしまう! ってね」

うそだ……

幼なじみ姉「そこで私は思いついたんだ。空のペットボトルがあるじゃないか。それなら浮輪の代わりになる」

幼なじみ姉「弟は君の元までは辿り着いた。でも巻き込まれて一緒に溺れてしまったんだ。それを助けたのが、君の兄。兄くんだよ」

う、そ……
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:40:34 ID:8neBgSlb0
妹「嘘だ!!!!」

私はその場から走り去った。
一刻も早く兄さんに会いたい。
兄さん。兄さんが私を助けてくれたんだよね?
兄さんが私を救ってくれたんだよね?
兄さんは兄さんみたいに私を裏切らないよね?
兄さんは裏切ってなんかいないよね?
ねぇ、兄さん。兄さんってば。答えてよ!!!!

幼なじみ「…………」

私が兄さんを問い詰めると、兄さんは顔を歪め、私から逸らした。
それが兄さん、いや、幼なじみの、答だった。
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:47:58 ID:8neBgSlb0
妹「……どうして? どうして幼なじみは、ずっと黙っていたの?」

妹「幼なじみは知っていたよね? 私を助けてくれたのは兄だってこと」

妹「あなたも私を助けてくれようとしてくれていたのは聞いた」

妹「でもっ! 私を助けてくれたのは紛れもなく、兄だったんでしょ!?」

妹「あの時、私が目を覚ました時っ!」

妹「あなたは私を助けてくれたって言ってたよね!!」

妹「ねぇ、なんで!? なんで嘘をついたの!!!」

幼なじみ「……僕は、あいつが嫌いだった」

幼なじみ「妹にずっと慕われていて」

幼なじみ「妹はずっとあいつしか見ていなかった」

幼なじみ「だから僕が「兄さん」になれば」

パンッ!

私は、この十年の全てを込めて、幼なじみを叩いた。
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 05:53:43 ID:8neBgSlb0
私は間違っていたのか?
私は間違っていた。
私を救ってくれた人を無下にして、一体何をしていたのだろう。
私はずっと幼なじみに尽くしてきた。
幼なじみに寄り付く女は排除してきた。
幼なじみの写真を毎日撮って眺めていた。
幼なじみとキスをしてきた。
幼なじみと抱き合った。
兄を無視してきた。
兄なんていないものだと思っていた。
兄が私を心配してくれても、それを鬱陶しく思って跳ね除けた。
それでも兄は毎日私と話してくれた。
それでも兄は毎日私にご飯を作ってくれた。
それでも兄は毎日私を心配してくれていた。

私は、一体、何をしていたのだろう。

兄「ただいまー」

私は、これからどうすればいいのだろう。
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:00:13 ID:8neBgSlb0
妹「おかえり、なさい」

兄「ただいま」

妹「……」

妹の様子が変だ。

兄「ん。どうした。目が赤いぞ?」

妹「……なんでもない」

反応が弱々しい。

兄「そうか。今から夕飯作るから、待ってろ」

妹「うん」

そして聞き分けがいい。
いつもなら、「別に作って欲しいわけじゃないんですけど」
なんて一言があってもいいくらいなのに。
なにかあったのだろうか。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:12:21 ID:8neBgSlb0
今更だ。
あの時、私を助けてくれたのが、兄だった。
その兄に、私は今まで何をしてきた?
相手の好意を無視し
相手を傷つけ
相手をこけおろしてきた。
最低だ。
恩を仇で返すなんてものじゃない。
私のやってきたことは許されるものではないのだ。

あの頃の私は兄さんと結婚するものだと思っていた。
兄さんだけがいれば、それでいい。
兄さん以外はいらない。
だから兄さんのお嫁さんになる。
ずっとそう思っていた。

……だけど今の私は穢れている。
俗にいう純潔というものは失われてはいない。
しかし、幼なじみに体を許す気でいたのは確かだし、接吻は済ませている。
そして、幼なじみに近づく人間は排除してきた。
それも、自らを汚すようなことは一切せずに。

私は兄には相応しくない。
……相応しくない? 何を考えているのだろう。
兄にはもう彼女がいる。
私のような心も体も薄汚れたモノは兄の側にいてはいけない。
私は兄さんの前から消えなくてはいけない。

さようなら。兄さん。
ごめんなさい。兄さん。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:17:05 ID:8neBgSlb0
ここはお空の上。

私は空を飛んでいる。

とても気持ちがいい。

ふあふあ。

嫌なことなんて忘れてしまおう。

私は空を飛んでいる。

なんだか地面が近くなってきた。

ふあふあ。

私は空を飛んでいる。

とても気持ちがいい。

もうすぐ地面に着陸だ。

ふあふあ。

ぐしゃ。
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:24:44 ID:8neBgSlb0
兄「ったく……」

妹「え?」

私は、屋上から飛び降りて。
地面に落ちて。トマトのように潰れてしまったはずなのに。

どうして。

妹「どうして兄さんがここにいるんですかぁ!!!」

兄さんが私を掴んでいた。その手は私を決して離そうとしない。

兄「お前、様子がおかしかったからな。こんな時間に出掛けるなんておかしいと思ってあとつけてたんだよ」

弱々しく微笑む。
私はこの顔をどこかで見たことがあった。

──そうだ。あの日、あの河で、私が目を覚まして最初に見たのはこの弱々しくて、でも私を心配している、この顔だったんだ。
あの時は、幼なじみがまくし立てるように喋り始めて、忘れてしまっていたけれど。
ずっと勘違いしていたけれど。
私を見守ってくれていた。ううん。今でも見守ってくれているんだ、兄さんは。

妹「兄さぁん!」

私は兄さんに抱きついて泣いた。わんわんと泣いた。
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:33:42 ID:8neBgSlb0
妹「兄さん、ごめんなさい」

私は、今までずっと勘違いしていたこと。
兄さんを酷い扱いをしていたこと。

そして、兄妹ではなく男女として、兄に好意を抱いてしまっていること。
これまであんなに幼なじみにベタベタしていておいて、これだ。
自分の汚さに吐き気がする。
貞操観念なってあったものじゃない。
私は、汚い。

兄「うーん」

兄さんは何やら唸っている。
それは、こんなに気持ち悪い妹に好意を抱かれしまっているということを知ったらこうなるだろう。
これは墓まで持っていくべきだった。そう後悔していると

兄「あのさ。妹が謝る必要ないんじゃないの?」

は?
兄さんは訳の分からない言葉を、口にした。
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:43:45 ID:8neBgSlb0
兄「そもそも、その時のことをちゃんと説明しなかった俺と、幼なじみ姉が悪いんだし」

まぁ幼なじみはあとでぶん殴るけど、と兄さんは付け加えた。

兄「妹が俺に好意を持ってくれてるってことは、うん、まぁちょっと嬉しいかな」

なんて、素っ頓狂なことを言い出した。

妹「え、えぇ? だって、兄さん、彼女、いるでしょ?」

だって私は幼なじみ姉さんに告白されている場面を見た。

兄「え? いないよ?」

あっさりと否定されてしまった。

妹「お、幼なじみ姉さんは?」

兄「あー。見てたのか? あれは、保留した」

え。

兄「だってあまりにも久々にすぎて、あいつといきなり恋人って言われてもピンとこなくてさ。だから、お友達からというころで。保留した。キープだ」

妹「に、兄さん!? それ最低だよ!?」

兄「おう、最低だぞ。俺は。お前と同じだな」

そう言って兄さんはニカッと笑った。
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 06:49:24 ID:8neBgSlb0
妹「プッ、ふふ。あはははははは」

私は釣られて笑ってしまった。

兄「だから、気にすんな」

笑いすぎて涙が出てしまった。

兄「兄はさ、妹を守ってやるもんなんだよ」

止まらない。

兄「だからさ。もっと俺に迷惑かけていいんだぞ」

視界がボヤケて兄さんの顔が見えない。

兄「もっと頼って。もっと大きくなれ。それまでは俺がいくらでも尻拭いしてやる」

兄さん。

兄「俺がお前の妹である限り、俺はお前をいつでも助けてやるよ」

大好き。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:01:03 ID:8neBgSlb0
兄「ということがありまして」

幼なじみ姉「うーん。大変だったみたいだね。……それもこれも、原因はこのバカ弟が」

幼なじみ「……申し訳ありませんでした」

幼なじみ姉「急に二人が仲良くなって、なーんか変だと思ってたんだよね」

兄「幼なじみ」

幼なじみ「はい」

兄「歯ァ、食いしばれ!」

幼なじみ「っ!!」

ポン

幼なじみ「……?」

兄「人を好きになるのはいいことだ。だけど」

兄「筋を曲げちゃ駄目だぞ。自分も相手も偽ってうまくいくわけがないんだ」

幼なじみ「はい……」

兄「男なら、真っ直ぐだ。目の前にあるものを見失うな」

幼なじみ「はいっ……!」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:07:06 ID:8neBgSlb0
幼なじみ姉「あらら、引っ込んじゃったよあの子。……あれで良かったの?」

兄「正直、まだ思うところないでもないが」

兄「あいつも俺の幼なじみだからな」

幼なじみ姉「そっか……ありがと」


幼なじみ姉「んでさ、妹ちゃんと付き合いだしたってホント?」

兄「ブッ、何言ってるんだ!」

幼なじみ姉「妹ちゃんが言ってたよ」

兄「う、嘘だ。あいつがそんなこと」

幼なじみ姉「うん、嘘。でもそんなに動揺してるのはどういうことかにゃ~」

兄「あ、あまりにも変なこと言うからだろっ」

幼なじみ姉「ハッ、私のこと振ったのって、まさかシスコンをこじらせて!」

兄「ん、んなわけ……!」

幼なじみ姉「……ちぇっ、ホントのこと、言わなきゃよかったかなぁ……それとも今度……包丁で……いや、兄くんの部屋にあるカメラで……」

兄「なんか言ったか?」

幼なじみ姉「ううん! なんでもなーい」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:13:46 ID:8neBgSlb0
妹「今日も兄さんに近づく雌犬がいたので排除しておいたよ」

兄「……いつも思うんだが、排除って何なんだよ」

妹「柔道部の皆さんに……」

兄「なっ」

妹「マネージャになりたがってる女の子がいます! って教えてあげるんだ」

妹「あの人ら、女の子に飢えてるからすごいよー」

兄「それは……」

妹「どんな手段使ってでもマネージャにしちゃうんだって」

妹「この前は、50万積んだらマネージャになってくれたって喜んでたよ」

兄「それって……どうなん?」

妹「あの人達がいいなら、いいんじゃない」

兄「うーん」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:18:54 ID:8neBgSlb0
あれから妹はおとなしくなった。

幼なじみに向けていた多大な愛情は鳴りを潜めた。
盗撮。
弁当に何かを入れる。
恋敵に近づく女の子の排除。
ストーキング。
これらの行為は一切行われることがなくなった。
……幼なじみに対しては。

これら全ては俺に向かうことになった。
しかし、あの屋上での一件もあり、俺が強く言うとそういう行為をやめてくれるようになった。
これは大きな進歩である。
では、それらのやり取りをここに公開するとしよう。
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:19:26 ID:8neBgSlb0
妹「ふふふ。兄さんは可愛いなぁ」

兄「おい」

妹「なーに? せっかく兄さんのハメ撮り画像を眺めていたというのに」

兄「そもそも、何もハメてないだろう」

妹「兄さんをハメて、撮った写真だからハメ撮りなんだよ」

兄「……そういうの、やめてくれないか?」

妹「ご、ごめんなさい。兄さんの気に触るようなことしてしまいましたか?」

妹「なんでもします。嫌わないでください」

兄「……いや。そこまででもないんだが」

妹「なーんだ。ならいいじゃない。うへへ。じゅるり」

兄「……悪化してないか、これ」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:19:54 ID:8neBgSlb0
妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

妹「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」

兄「隣の部屋でうるさいな」

兄「おい」

妹「ごめんなさいうるさかったですかくんかくんか」

兄「おい」

妹「迷惑かけてごめんなさい捨てないでくださいくんかくんか」

兄「……」

妹「兄さんのしてほしいこくんか言ってくださいくんかなんでも言うとおりにくんかします」

兄「だめだこりゃ」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:22:47 ID:8neBgSlb0
妹「朝だよ、兄さん」

兄「ん。おはよう」

妹「ん」

兄「って、布団に潜り込むな」

妹「んー」

兄「ん。おいしいな」

妹「ほんと? 嬉しいな。隠し味の効果かなっ」

兄「何を入れた」

兄「今日も弁当作ってるのか?」

妹「うん。兄さんのために愛情たっぷりだよ」

兄「……その、そういうの入れるのはどうかと思う」

妹「……だめ?」

上目遣いで妹は俺に問う。右手に握るは出刃包丁。
そして俺はこう思った。
俺の妹がこんなにヤンデレなわけがないってな。
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:24:16 ID:8neBgSlb0
おわり

はいごめんなさい。
時間守れてないしクソスレでした。
ヤンデレが対象を勘違いして、それに気づいたら可愛くなるんじゃね?
って思ったけど、文章力も構成力もないですね。
誰かこういうコンセプトで書いてくれ。
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 07:53:49 ID:syxmE+bR0
大層乙であった
72: sage 2011/06/26 08:34:19 ID:P7a1z9zp0
乙と言わずにいられない
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/26 08:54:13 ID:Qi5F83eQ0
面白かった、乙!

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コメント

  1. とあるSSの訪問者 2014年11月29日

    ただただ妹が気持ち悪い

    以上

  2. とあるSSの訪問者 2015年01月01日

    お前が気持ち悪いよ

  3. とあるSSの訪問者 2015年01月05日

    メンヘラ?

  4. とあるSSの訪問者 2015年01月07日

    一月前の※に返信してる奴が
    一番キモいと思います

  5. とあるSSの訪問者 2015年02月08日

    最後まで読めたから面白い

  6. とあるSSの訪問者 2015年04月19日

    妹の熱い手のひら返しに草

  7. とあるSSの訪問者 2015年08月21日

    妹がなんかもうすごいな
    笑いが止まらない

  8. クラシエ 2015年11月14日

    燃敷の皿子みたいだ

  9. とあるSSの訪問者 2015年12月05日

    何かまるで仮面ライダー○バみたいだな。
    つい思い出してしまったww まあともかく、乙!!

  10. とあるSSの訪問者 2016年01月21日

    ただただ全員気持ち悪いキャラクターとシナリオ書いて作者は何がしたかったの?

  11. たくおおおおおおお 2016年03月29日

    妹都合良すぎるだろ

  12. とあるSSの訪問者 2016年10月31日

    勘違いだろうがなんだろうが中古に価値はない

  13. とあるSSの訪問者 2017年07月16日

    手のひら返し乙wwwwwwwwwwwww

 

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