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374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 21:56:34 ID:USYRGz46
………………駅前

~~♪

うるか 「おー、もうクリスマスソングが流れてるね」

あゆ子 「まだ一ヶ月くらい先だけどな。世間は気が早いな」

智波 「またあゆ子ってば、おばさんみたいなこと言って……」

あゆ子 「……ほほう。そんな生意気なことを言うのはこの口か?」 ウリウリ

智波 「あーうー……。やめてよあゆ子ー」

あゆ子 「……ま、それはそれとして、智波はクリスマスのご予定は?」

智波 「えーっ、それはもちろん、陽真くんとデートだけど?」

あゆ子 「……分かってて聞いたけど、ムカつくもんはムカつくな」

うるか 「まぁまぁ、川っち。海っちが幸せそうであたしは嬉しいよ」

智波 「……ありがと、うるか」 ニヤリ 「で? うるかはどうするの?」

うるか 「へ? 何の話?」

あゆ子 「唯我に決まってるでしょ。クリスマス、デートでも誘ったら?」

うるか 「………………」
375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 21:58:07 ID:USYRGz46
あゆ子 (あれ……?)

智波 (予想では……)


―――― うるか 『で、デートなんて……はうっ……』


あゆ子 (って反応だと思ってたけど……)

うるか 「……無理だよ。クリスマスは、家族の日だもん」

智波 (優しい顔して微笑んで……。なんか、いつものうるかと違う感じ?)

智波 「家族の日って、うるかの家はそういう決まりがあるの?」

うるか 「ううん。あたしん家じゃなくて、成幸の話」

うるか 「成幸にとって一番大事なのは家族だから」

うるか 「あたしは、成幸が幸せな時間を邪魔したくないんだ」

うるか (……ああ、なんか思い出しちゃうな)

うるか (あれは、去年のクリスマスイヴだよね……)
376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 21:58:48 ID:USYRGz46
………………昨年 12月24日

うるか 「へ……? ほ、補習!?」

担任 「ああ。他の教科もだが、英語だけはこのままじゃ進級できないレベルらしいからな」

担任 「英語の担当者から必ず来るようにとのことだ」

うるか 「でも、あたし、部活が……」

担任 「滝沢先生にも伝えてある。今日は部活停止だ」

うるか 「そんなぁ~……」

担任 「……進級したくないのか?」

うるか 「うぅ……わかりました。行きますよ……」

うるか (せっかくのクリスマスイヴなのに~……)
377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 21:59:29 ID:USYRGz46
………………教室

先生 「では、補習を始めましょうか」

うるか 「あ、あの、先生!」

先生 「なんですか?」

うるか 「あたししかいないんですけど、他に補習を受ける生徒は……?」

先生 「二学期末の補習なんてよっぽど成績が悪い生徒にしかしませんよ」

先生 「よっぽど成績が悪いのがあなただけ、ということです」

うるか 「……なるほど」

うるか (ま、マンツーマンで個人授業……。うー……)

先生 「あ、でも、すぐにもうひとり来ると思いますよ」

ガラッ

「遅くなりました、先生!」

うるか 「……!? 成幸!?」

成幸 「おお、武元か」
378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:00:05 ID:USYRGz46
うるか 「成幸も英語の成績が悪かったの?」

成幸 「いや、先生が補習をやると聞いてな。復習のために俺も受けさせてもらえるように頼んだんだ」

先生 「基礎的な部分しかやりませんから、唯我くんには必要ないと思いますけどね」

成幸 「すみません。HRの方が長引いて遅くなりました」

先生 「構いませんよ。ちょどいま始めようとしていたところですから」

先生 「では、改めて、始めましょう」

成幸 「はい、よろしくお願いします」

うるか 「お、お願いします……」

うるか (な、成幸とふたりで補習……これは……)

うるか (せんざいいちぐーのチャンス!!)

うるか (ほ、補習が終わった後、ふたりでデート、なんて……)

うるか 「にへへ……」

成幸 「……?」
379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:00:44 ID:USYRGz46
………………補習中

先生 「……と、いうわけで、この場合、"before I got home" から過去完了形と判断できます」

先生 「そこまで分かれば、この場合空欄に入るのは "had known" だと判断できるわけですね」

先生 「まぁ、実際の英会話でそんなことを意識するのはナンセンスですから、あくまで入試のテクニックと思ってください」

成幸 「なるほどなるほど……」 メモメモメモ

うるか 「………………」

うるか (き、基礎しかやらないとか言ってたのに……)

うるか (めちゃくちゃ難しいんだけど!?)

うるか (ってゆーか……)

成幸 「じゃあ先生、こっちの問題の場合は……」

先生 「これは過去完了進行形になりますから、やや複雑ですね」

先生 「つまり……」

うるか (ふ、ふたりで盛り上がっちゃって全然あたしの方を気に留めてない……)
380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:01:45 ID:USYRGz46
………………最終下校時刻

先生 「おや、もうこんな時間ですか。では、武元さん」

うるか 「ふぁい……」

先生 「今日の内容についての宿題です。冬休み明けまでに仕上げて提出してください」

先生 「二学期の赤点解消のための加点にしますから」

うるか 「……わかりました」

先生 「それでは、良い冬休みを。さようなら」

成幸 「さようなら、先生」

うるか 「………………」

クタリ

うるか (うぅ……こんな量の宿題、どうやって終わらせろって言うのさ……)

うるか (部活だってあるし、お正月は目いっぱい遊びたいのに……)

うるか (こんな状況じゃ、成幸をデートに誘うどころじゃないよ……)

うるか (お気楽なこと考えてた少し前の自分をひっぱたいてやりたいよ……)

成幸 「武元? どうかしたか?」
381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:02:34 ID:USYRGz46
うるか 「……宿題、出ちゃった」

成幸 「まぁ、宿題というと聞こえは悪いが、要は武元の進級のための加点材料だろ?」

成幸 「ちゃんとやって提出すれば赤点解消だろ? よかったじゃないか」

うるか 「……でも、こんな難しい内容、あたしわかんないもん」

成幸 「へ……? でも、今日先生が補習してくれた内容じゃないのか?」

うるか 「……補習って言ったって、ほとんど先生と成幸のマンツーマン授業だったじゃん」

ジトッ

成幸 「あっ……」

成幸 「……よく思い返してみれば、たしかに」

うるか 「……ふんだ」

成幸 (……しまったな。二学期の英語の範囲が微妙に理解しきれてなかったから補習に混ぜてもらったが)

成幸 (そのせいで、本当に補習が必要な武元の邪魔をしてしまったようだ……)

成幸 (一考の余地もない。これは完全に俺が悪いな……)

成幸 「スマン、武元。俺のせいでお前に迷惑をかけたようだ」

うるか 「……?」
382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:03:11 ID:USYRGz46
成幸 「……本当なら補習はお前のためのものだったのにな」

うるか 「……べつに、成幸は悪くないよ。先生だって、成幸に教えた方が楽しいだろうし」

うるか 「冬休みほとんど潰すことになるだろうけど、がんばって宿題終わらせるよ」

成幸 「いや……」

スッ

成幸 「……武元、この後予定はあるか?」

うるか 「へ……?」 カァアアアア…… 「へぇ!? こ、この後って……」

うるか 「今日は部活に出られないし、特に、予定とかはないけど……」

成幸 「よし、ちょうどいいな。いくら何でも、分からない宿題が大量に出されちゃお前もたまったもんじゃないだろう」

成幸 「俺が教えるから、その宿題、今日終わらせてしまおう」

うるか 「え……?」
383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:03:48 ID:USYRGz46
………………

成幸 「……ってことは、そこは?」

うるか 「“私は明日、役所に行く前に郵便局に行きます” かな……?」

成幸 「正解だ。明日行う予定に対して順番をつけるようなイメージだな」

成幸 「郵便局が1番目。役所が2番目って感じだ」

うるか 「ふむふむ……」

うるか (……はぁ)

うるか (ま、そんなコトだろーと思ったけどさ)

うるか (一瞬ドキッとしちったよ。デートにでも誘われるのかと思って)

成幸 「じゃあ、次の問題だけど……」

うるか (……ま、でも、悪くないかな)

うるか (ふたりっきりで勉強教わるのも、結構オツな感じ、なんてね) ニヘラ
384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:04:41 ID:USYRGz46
………………

うるか 「お、おおお……」

うるか 「……終わったーーーー!!!」

うるか 「ありがとー、成幸ー! おかげで宿題終わったよー!」

うるか 「これでお正月ものんびりできるしたくさん遊べるよー!」

成幸 「いやいや、元はといえば俺のせいだからさ。気にしなくていいよ」

成幸 「ふー、すっかり遅くなってしまったな。もう真っ暗だ」

うるか (えへへ、成幸、あたしのためにこんな夜遅くまで手伝ってくれて……)

うるか (これはもうクリスマスデートをしたと言ってもカゴンではないのでは……!?)

うるか (なんてねなんてねなんてねー!!)

成幸 「もう遅いし、そろそろ帰ろうぜ。送ってくよ」

うるか 「あ、う、うん!」

成幸 「……あ、でもその前に、ちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいか?」

うるか 「……?」
385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:05:12 ID:USYRGz46
………………学校 公衆電話

うるか 「寄りたいところって、ここ?」

成幸 「ああ、俺は携帯電話を持ってないからさ。連絡手段はこれしかないんだ」

成幸 「今からちょっと電話かけるから、えっと……」

成幸 「……向こうで待っててもらってもいいか?」

うるか 「へ? あ、うん。わかった」

うるか 「………………」

うるか (……あたしに電話の内容を聞かれたくないのかな?)

うるか (怪しい……) ピーン (ひょっとして、電話の相手は、女……!?)

成幸 「………………」

うるか (電話、かけたみたいだ。少し趣味が悪いかもしれないけど……)

コソコソコソ……

うるか (ちょと盗み聞きさせてね、成幸)
386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:05:56 ID:USYRGz46
成幸 「……あっ、水希か? 俺だよ」

うるか (“水希” って、たしか妹ちゃんの名前だ……)

ホッ

うるか (なーんだ。家に電話かけてるだけかー)

成幸 「わっ……ご、ごめん。そんな大声出すなって……」

成幸 「悪かったよ。でも、仕方なかったんだ。ごめんな」

うるか (……? 謝ってる? どうかしたのかな?)

成幸 「クリスマスパーティできなかったのは、本当にごめん。せっかくごちそう作って待っててくれたのにな」

うるか (へ……?)

成幸 「ケーキも……。うん。葉月と和樹にも謝るよ。わかってる」

うるか (ひ、ひょっとして……)

成幸 「……いつも苦労をかけてごめんな、水希。うん。今から帰るよ」

うるか (あ、あたしのせいで……)

うるか (あたしのせいで、成幸にとんでもない迷惑をかけちゃったんじゃ……)
387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:07:13 ID:USYRGz46
………………帰路

うるか 「………………」

成幸 「……冷えるなー」 ブルッ 「天気予報じゃ、雪が降るかもしれないとか言ってたもんな」

うるか 「………………」

成幸 「? 武元?」

うるか 「……あ、あのさ、成幸。あたし、ひとりで大丈夫だし、もう家に帰ったら?」

成幸 「へ? いやいや、さすがにこの時間だし、危ないだろ。家まで送ってくよ」

うるか 「いや、でも……」

成幸 「? なんかヘンだぞ? どうかしたのか?」

うるか 「………………」 スッ 「……ごめん、成幸。さっき、ちょっと電話、盗み聞きしちゃった」

成幸 「へ……?」

成幸 「……あー、聞かれたか。あんまりお前に聞いてほしくなかったんだけどな」

うるか 「……ごめん」

成幸 「いや、べつにそれはいいんだけど……」

成幸 「気にしなくていいからな? そもそもお前の補習を邪魔しちゃった俺が悪いんだから」
388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:07:52 ID:USYRGz46
うるか 「で、でも! そのせいで、成幸にも、成幸の家族にも迷惑かけちゃったし……」

うるか 「ごめんね……。ごめんなさい、成幸」

成幸 「いや、だから、そもそも俺が悪いんだから、お前が申し訳なく思う必要はないんだけど……」

うるか 「……でも、あたしの宿題のせいで、成幸に迷惑かけちゃったのは事実だし……」

成幸 「うーん……」

パラッ……

成幸 「……うん?」

うるか 「あっ……」

パラパラ……パラ……

うるか 「雪……?」

成幸 「雪だな……」

うるか 「………………」 ポーッ 「キレー……」

成幸 「だなぁ……」

うるか 「……ホワイトクリスマスだね」
389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:08:26 ID:USYRGz46
成幸 「……なぁ、武元」

うるか 「? 何?」

成幸 「俺さ、電話で妹には怒られたし、下の弟妹にもこれから怒られるだろうし、悪いことしたなって思うけどさ」

うるか 「……うん」

成幸 「でもやっぱり、お前に宿題教えてよかったよ」

うるか 「へっ……?」


成幸 「だって、普通に帰ってたら、雪が降ったなんて絶対気づかなかっただろ?」


成幸 「武元に宿題教えて、帰るのが遅くなったから、この雪を見ることができたんだ」

成幸 「帰ってあいつらにも、ホワイトクリスマスだってことを教えてあげなくちゃな」

うるか 「成幸……」

成幸 「ほら、早く帰ろうぜ。武元の家までダッシュだ!」 タッ

うるか 「あっ……ま、待てー! 成幸ー!」 ビュン!!

成幸 「待てとか言っておいて一瞬でぬかすのは勘弁してくれないか!?」

うるか 「遅いよー、成幸ー! 早く帰らないと、雪やんじゃうよー!」
390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:08:59 ID:USYRGz46
………………現在

うるか (……なつかしいな。もう一年前か)

うるか (あれから色々あったよね。リズりんや文乃っちと友達になって……)

うるか (一緒に成幸に勉強教わるようになって……)

うるか (成幸に、名前で呼ばれるようになったり、“好きな人” の勘違いとか……)

クスッ

うるか (……ほんと、色々あったなぁ)

あゆ子 「おーい、うるかー?」

智波 「遠い目をしてどうしたの?」
391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:09:33 ID:USYRGz46
うるか 「……ううん。なんでもないよ」

うるか 「クリスマスじゃなくてもデートはできるしさ」

うるか 「クリスマスは、成幸にとって家族の日だから」

うるか 「だから、いいんだ」

智波&あゆ子 「「……?」」

うるか (……去年は、あたしのせいで家族と過ごせなかったけど)

うるか (今年は、成幸が、幸せなクリスマスを過ごせますように)


おわり
392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/25(火) 22:10:14 ID:USYRGz46
………………幕間  「ラスト」

智波 「あ、ラストクリスマスが流れてるよ。わたしこの曲好きなんだよねー」

あゆ子 「私も嫌いじゃないな。ただ、歌詞の内容は結構ダークな感じだよな」

智波 「ねー。わたしも明るいクリスマスソングだと思ったら、ねぇ?」

うるか 「メロディは明るい感じなのに、結構物騒な曲だよね」

あゆ子 「へ……? う、うるか!? あんた、洋楽が語れるだけの英語力が身についたの!?」

うるか 「むっ、川っち、あたしのことを見くびってるね?」 フフン 「いくらなんでもラストクリスマスくらいわかるよー、だ」

智波 「まぁ、有名ってレベルの曲じゃないもんね……」

うるか 「そもそもタイトルからして物騒じゃん!」 クワッ 「“最後のクリスマス” なんて、すごく怖いタイトルだよね!」

智波&あゆ子 「「………………」」

うるか 「……? 海っち? 川っち?」

智波 「……うん。やっぱり、うるかはうるかだね」 ポン

あゆ子 「安心したよ。アホなあんたはまだ健在だね」 ポン

うるか 「なに!? あたしなんかヘンなこと言った!?」

おわり

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