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249: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:05:39 ID:LAfruxaA
………………一ノ瀬学園

成幸 「ああ。昨日偶然、駅前でチラシを見つけてさ。今週末らしいぜ」

成幸 「会場の公園、電車で三十分もかからないだろ?」

成幸 「緒方はうどんが大好きだから、教えてやったら喜ぶかなー、なんて……」

理珠 「日本中のうどんが集まる、夢の祭典……すごいです……!」

成幸 「当たり前のように大喜びみたいだな。よかった」

成幸 「そのチラシやるから、行ってこいよ。古橋かうるかでも誘ってさ」

理珠 「あ、でも……文乃は今ダイエット中で、誘うのはためらわれますし……」

理珠 「うるかさんは国体前の練習で週末も空いてないかと……」

成幸 「ん、そうなのか……」

成幸 「じゃあ、週末一緒に行くか?」

理珠 「へ?」

成幸 「息抜きにうどんを楽しんだ後、どこかで勉強して帰ろうぜ」

理珠 「は……は、はい……/// ぜひ、そうしましょう……//」
250: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:06:46 ID:LAfruxaA
関城 「緒方理珠ー! すごいものを見つけたわよー!」

バーン!!!!

成幸 「……お前はもう少し静かに登場できないのか、関城」

関城 「あら、唯我成幸もいたのね。ごきげんよう」

関城 「それより、緒方理珠、大変よ! 今週末とんでもないイベントが開催されるの!」

関城 「その名もうどんフェスティバルよ! うどんフェスティバル!」

関城 「あなたうどん大好きでしょ? ぜひ一緒に……って」

ハッ

関城 (緒方理珠がもうチラシを持っている!? ってことは、唯我成幸が……!?)

成幸 (なんだと!? 関城も同じチラシを持ってきたのか!? ってことは……)

関城 (私!)  成幸 (俺!)

関城&成幸 ((とんでもないお邪魔虫をしてしまったのではー!?))
251: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:07:50 ID:LAfruxaA
理珠 「あ、関城さん、ちょうどよかったです。今、成幸さんとそのイベントの話をしていて、」

理珠 「週末、成幸さんと一緒に行く予定だったので、関城さんも一緒にどうですか?」

関城 「ごふっ……こ、光栄な申し出だわ。嬉しすぎて吐血しそう……」

関城 「で、でも、あなたは唯我成幸とふたりで行きたいのではないかしら?」

理珠 「? なぜですか?」

成幸 「そ、そうだよな。どっちかといえば、友達の関城と2人で行きたいよな?」

理珠 「? そっちもなぜですか? 私にとってはお二人とも大切な友人ですが」

成幸 (言葉がドストレートだから!)  関城 (その言葉はとてつもなく嬉しいけれど!)

成幸&関城 ((そういうことじゃないーーーーー!!!))

理珠 「……むっ」 プイッ 「なんだか知りませんが、お二人だけで通じ合っている気がします」

理珠 「……もしかして、私は邪魔ですか? 本当は、お二人だけで行きたい、とか」

成幸&関城 「「そんなわけねーだろ!!」 ないわよ!!」

理珠 「そ、そうですか……。なら、いいじゃないですか。三人で行きましょう」

理珠 「楽しみですね、うどんフェスティバル。成幸さん、関城さん」
252: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:08:40 ID:LAfruxaA
………………少し後

成幸 「……なんというか、本当にすまん」

関城 「なんであなたが謝るのよ。こちらこそごめんなさいだわ」

関城 「あなたが緒方理珠を誘っていると知っていたら、あんな愚を犯さなかったというのに……」

成幸 「いや、それは俺の方だ。お前も、友達とふたりきりの方がよかっただろ?」

関城 「私はべつに……」

関城 「……というか、当日はふたりきりにしてあげるから、しっかり緒方理珠をエスコートしてあげるのよ?」

成幸 「なんでそんな話になるんだよ。っていうか、前のペンケースの時も思ったけどさ、」

成幸 「なんでお前はいちいち俺と緒方をふたりきりにさせたがるんだ?」

関城 (この男……。鈍いにもほどがあるでしょうに)

関城 (感情の機微にそう敏感でもない私が気づいてることに、どうして気づかないのかしら)

関城 (緒方理珠は、まだ自覚もしていないけれど、あんなに分かりやすいサインを出しているというのに……)

関城 (いっそ、この鈍い男に緒方理珠の気持ちを言ってやれたら、どんなにすっきりするだろうか……)

関城 (……でも、違う。わかってる。それは私がやることじゃない)

関城 (緒方理珠が自分でやることだから)
253: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:09:44 ID:LAfruxaA
成幸 「関城?」

関城 「……言わないわ。言えないもの」

成幸 「そうかよ。全然、意味わかんねーけどな」

成幸 「……俺の方こそ、当日は仮病を使うから、緒方とふたりで行ってこいよ」

成幸 「俺は、偶然、流れで一緒に行くことになっただけだから」

成幸 「お前は、緒方を誘うためにわざわざチラシを持ってきたんだろ?」

成幸 「だったら……――」

関城 「――ダメよ。あなたも一緒に来なさい」

関城 「それだけは絶対譲れないわ」

成幸 「……わかった。じゃあ、お前も絶対来いよ。三人で行くんだからな」

関城 「ええ」

成幸 (こうなった以上、仕方ない! 三人で和気藹々とうどんを食べながら、)

関城 (隙を見て、ひとりで抜け出す! そうすれば、ふたりきりにしてあげられる!)
254: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:10:23 ID:LAfruxaA
………………物陰

理珠 「……ふたりで楽しそうに、私をのけ者にして」

理珠 「……ずるい、です。きっとふたりでどのうどんを食べるか相談しているんです」

理珠 「私だって、一緒にうどんフェスティバルの話をしたいのに……」

理珠 (そういえば、いつだか、うちで成幸さんと勉強しているとき、)

理珠 (関城さんがすごい勢いで成幸さんに興味を示していることがありましたね)


―――― 『君って どんな女の子がタイプなのかしら……?』

―――― 『や やっぱり恋人とは同じ大学行きたいわよね!?』

―――― 『は 初デートはどこがいいかしら!?』

―――― 『子供は何人欲しい!?』


理珠 (ま、まさか……)

理珠 (私が知らなかっただけで、ふたりは実は、もうお付き合いをしていて……!?)

理珠 (関城さんは、成幸さんがうどんフェスティバルに私を誘ったことを怒っているのでは!?)

理珠 (と、とと、とんでもないことをしてしまいました……)
255: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:11:14 ID:LAfruxaA
理珠 (ひょっとして、私はとんでもないお邪魔虫になってしまったのでは!?)

理珠 (というよりは、まるで関城さんと成幸さんの間に入り込む泥棒猫……)

理珠 (浮気相手!? 不倫相手!? 愛人!?!?)

理珠 (ま、まずいです……ど、どうしたら……)

ズキッ

理珠 「ッ……」

理珠 「………………」

理珠 (……なぜ)

理珠 (なぜ、こんなにも胸が締め付けられるのでしょう)

理珠 (なぜ、涙が出そうになっているのでしょう……)

グスッ

理珠 (……なぜ、こんなにも、嫌な気持ちになっているのでしょう)
256: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:12:13 ID:LAfruxaA
………………当日 会場の公園

成幸 「………………」

関城 「………………」

成幸 「……何で俺とお前がしっかり時間通りに来て、緒方が来ないんだ?」

関城 「知らないわよ。さっきからメッセージ送ってるけど、返信はないし」

関城 「そっちにも返信はないの?」

成幸 「ないな。ここ数日、なんか浮かない顔してたから心配だったんだが……」

関城 「……一体どうしたのかしら」

ヴヴッ……

関城 「! 緒方理珠から返信だわ!」

関城 「なになに……? “お店の都合で行けなくなりました。すみません”」

関城 「“おふたりだけで楽しんできてください”、って……」

関城 「………………」

成幸 「……えっと、つまり、緒方は来られない?」

関城 「そうみたいね」
257: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:13:01 ID:LAfruxaA
成幸 「………………」

関城 「………………」

成幸 「……ん、えっと、どうする?」

関城 「どうするもこうするも、緒方理珠がいないんじゃ、ねぇ?」

成幸 「だよなぁ……」

関城 「………………」

成幸 「………………」

成幸 「……でもまぁ、ボーッとしてても仕方ないし、ちょっと回ってみるか?」

成幸 「せっかく屋台もたくさんあるし、美味しそうだし」

関城 「………………」

関城 「そ、そうね……」
258: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:14:13 ID:LAfruxaA
………………物陰

理珠 「………………」

理珠 「ん、動き出しましたよ、文乃」

文乃 「……うん。わたしも見てるからわかるよ、りっちゃん」

文乃 「それはそれとして、どうしてわたしたちはこんな出歯亀みたいなことをしているのかな?」

文乃 「わけわかんないことしてないで、りっちゃんもふたりと合流したらいいじゃない」

理珠 「そんなことできません! さっきも言ったでしょう、文乃!」

理珠 「あのふたりはお付き合いをしているんです! 邪魔はできません!」

文乃 「あー……うん」 (これまたとんでもない勘違いをしちゃったもんだなぁ)

文乃 (どうしたものかなぁ……)

キリキリキリ……

文乃 (胃が痛いなぁ。とりあえず、今度成幸くん、一発ぶつ)
259: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:14:47 ID:LAfruxaA
理珠 「私は、ふたりの邪魔をしてしまったんです」

理珠 「ふたりは本当なら、ふたりきりでこのイベントに来たかったはずです」

文乃 (絶対違うと思う)

理珠 「ふたりは私を気遣って、私にも声をかけてくれましたが……」

理珠 「本当はふたりきりがいいはずなんです」

文乃 (ぜっっっっったい違うと思う)

理珠 「だから、私はこうして、せめてもの罪滅ぼしとして、ふたりが楽しくイベントを回れるように、」

理珠 「見守ってあげなければならないのです」

文乃 「……うん。話は分かったけど、どうしてわたしが呼ばれたのかな?」

理珠 「ひとりだと心細かったので」

文乃 「……あ、うん。まぁいいけどね」

文乃 (成幸くん、今度きれいに手刀をキメてやるから覚えてろ、だよ)
260: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:15:42 ID:LAfruxaA
………………

関城 「あっ……、あのうどん、緒方理珠が好きそうよね」

成幸 「ん? ああ、正統派のうどんって感じだな。たしかに好きそうだ」

関城 「せっかく来たわけだし、食べてみようかしら」

関城 「写真を撮って送ってあげたら、緒方理珠の奴喜ぶかしら」

成幸 「ああ、そりゃいいな。俺もどれか買って写真送ってやろうかな」

関城 「……よく考えたら、緒方理珠の心境を考えれば、私たちは目一杯楽しまないといけないわね」

成幸 「へ……?」

関城 「だってそうでしょ? 自分が行けなかったから私たちが楽しめなかった、なんてことになったら、」

関城 「緒方理珠はきっと申し訳ない気持ちでいっぱいになるわ」

成幸 「!? それもそうだな。じゃあ、俺たちは今日、目一杯楽しんだ風を装わなければならないのか」

成幸 「そうと決まれば善は急げだ。俺は別のうどんを買ってくるから、またここ集合な」

関城 「わかったわ、唯我成幸。これ以上ないってくらいうどんフェスティバルを楽しんでる写真を撮らなくてはね!」
261: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:17:05 ID:LAfruxaA
………………物陰

文乃 「何事か囁きあって別れたね。また集合するみたいだけど……」

理珠 「?」

文乃 「ああ、別々の屋台に並んだよ。それぞれ食べたいうどんを買ってるみたいだね」

理珠 「……それをシェアしたりするのでしょうか」

文乃 「えっ、いや、たぶんあのふたりのことだから、それはないと思うけど……」

理珠 「きっとするんでしょうね」

ズーン

理珠 「何と言ったって、あのふたりは恋人同士なのですから……」

文乃 (自分で言ったことで勝手にへこまないでほしいかな!?)

文乃 (まぁ、でもこれではっきりするかな)

文乃 「あのふたりが恋人同士なんてありえないって。見てれば分かるよ」

理珠 「そうでしょうか……」
262: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:18:12 ID:LAfruxaA
………………

成幸 「………………」

関城 「………………」

成幸 「……うどんを目一杯楽しそうに撮るって、どうしたらいいんだ?」

関城 「あなたたち以外まともに友達のいない私に分かるわけがないでしょう」

成幸 「悲しいことを自慢げに言うなよ……」

成幸 「とりあえず普通にうどんだけ撮って送るか。……いや、」

成幸 「関城、うどんの器を持て」

関城 「へ? いいけど……」 スッ

成幸 「で、笑え。良い感じに」

関城 「い、良い感じって……」

パシャッ

成幸 「……ん、まぁいいだろ。これを緒方に送る」

成幸 「ついでに、お前も俺を撮れ。ほら」 スッ
263: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:19:06 ID:LAfruxaA
………………物陰

ピロリン

理珠 「……関城さんと成幸さんからメッセージが届きました」

理珠 「写真付きです」

理珠 「今まさにふたりが仲睦まじく撮り合ってたお互いの写真です」

文乃 (……成幸くんほんと今度覚えてろよ、だよ)

理珠 「すごく楽しそうに見えます……。これも見間違いですか、文乃?」

文乃 「いや、それは……」

ピロリン

理珠 「……今度は、食べてる最中の写真です」

理珠 「美味しそうにうどんをすする関城さんと、鶏天にかぶりついてる成幸さんの写真が送られてきました」

理珠 「これは私に送るための写真というよりは、おふたりの思い出を保存するためのものなのではないですか?」

ズーーーーン

理珠 「やっぱり、本当に楽しそうです……」

文乃 (ほんと覚えてろよ成幸くん……) ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!
264: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:20:04 ID:LAfruxaA
………………

関城 「……ねぇ、唯我成幸」 ズルズルズル……

成幸 「うん?」 ズルズルズル……

関城 「なんかこうしてご飯食べながら写真を撮るって、本当に友達みたいね」

成幸 「なんだいきなり。そりゃ友達なんだから当たり前だろ」

関城 「……え、ええ。そうね」

関城 (……私って、やっぱり面倒くさい人間だわ)

関城 (こうして確認しないと、相手が本当に友達って思ってくれてるか分からないんだから)

成幸 「……緒方の奴、これで俺たちふたりだけでも楽しかったって伝わるかな」

成幸 「でも、あいつのことだから、写真のうどんを店の参考にしたいとか言い出しそうだな」

成幸 「ちゃんと味の記録とかもつけておいてやらないとな」

関城 「ふふ、そうね。あと二、三杯は食べなくちゃいけないわね」

成幸 「そうだな。ゆっくり美味しそうなの食べて回ろうかね」
265: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:21:01 ID:LAfruxaA
関城 「………………」 ジーーーッ

成幸 「……? どうかしたか、関城。じっとこっちを見て」

関城 「……うん。唯我成幸、その鶏天美味しそうね。少しちょうだい?」

成幸 「いいけど……。口つけちゃってるぞ?」

関城 「そんなの気にしないわよ。だって私たち友達なんでしょう?」

成幸 (こいつ、友達って言葉を神格化しすぎてないか……?)

成幸 「ほら、取って食べて良いぞ」

関城 「ん、ありがとう。……はむっ……あら、結構美味しいわね」

成幸 「だろ? お前のうどんのスープ、少しもらってもいいか」

関城 「どうぞ。好きなだけ飲んだらいいわ」

成幸 「じゃあお言葉に甘えて、と……」

成幸 「ん、うまいな。でも緒方んちのうどんの方が好みかな」

関城 「奇遇ね。私も同じ事を思っていたわ」
266: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:21:59 ID:LAfruxaA
………………

成幸 「ふぅー、美味しかった。でもまだまだ食べられるな」

関城 「量自体はそう多くないし、リーズナブルだものね」

成幸 「次はどんなうどんにするかなぁ。こうやってシェアすれば倍の味が楽しめるな」

関城 「じゃあ、私は今度はあの青森ミルクカレーうどんって奴にしようかしら」

成幸 「ん、じゃあ俺は、山梨ほうとう風うどんにしようかな」

関城 「………………」 (なにかしら。本来の趣旨から外れまくっている気がするけれど)

成幸 (うーん、本当なら緒方を楽しませるために来るつもりだったのに、)

関城&成幸 ((普通に楽しい……))

関城 「あ、せっかくだし空っぽの器も撮っておこうかしら」

成幸 「いいな、それ。じゃあせっかくだし一緒に撮るか」

パシャッ
267: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:23:47 ID:LAfruxaA
………………物陰

理珠 「………………」 ズーン

理珠 「……完食後のきれいに空になった器を持ったツーショットが送られてきました」

文乃 「ち、違うよ? きっとふたりは来られなくなっちゃったりっちゃんのためを思って写真を送ってくれてるんだよ」

理珠 「そうでしょうか。でも、このメッセージを見る限りそうは思えません」


―――― 『緒方理珠! うどんフェスティバル、とっても楽しいわ!』

―――― 『あなたがいなくても私たちふたりはとっても楽しめてるから、心配しないでね!』

―――― 『PS.食べ物をシェアするのって楽しいのね! 色んな味が楽しめてオススメよ!』


文乃 「………………」 (ああ、どうしよう……)

シュッシュッ……

文乃 (今度会ったら紗和子ちゃんにもこの必殺の手刀をお見舞いしてしまうかもしれない……)

文乃 (あっ、紗和子ちゃんと成幸くんが別れた。またうどんを買いに行くのかな……?)

文乃 (このままじゃりっちゃんがダークサイドに落ちてしまう。わたしがなんとかしないと……)

文乃 「……りっちゃん、ちょっと待っててくれる? ちょっとお手洗いに行ってくるから」
268: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:25:40 ID:LAfruxaA
………………

成幸 「………………」 (……どうしよう、楽しい)

成幸 (受験生ってのもあって、最近まともに遊んでないせいかな……)

成幸 (友達との食べ歩きって、やっぱり楽しいよな。関城って、過激なところもあるけど基本的には常識人だし)

成幸 (たぶん一緒にいて楽ってのもあるんだろうな……)


  「……さて、お話聞かせてもらってもいいかな、成幸くん?」


成幸 「へ……? って、古橋!? なんでここに!?」

文乃 「なんでだろうね? それは正直わたしが一番聞きたいんだけど……」

文乃 「……とりあえず、お話を聞かせてもえるかな?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

成幸 「ひ、ひょっとして、怒ってる?」

文乃 「ううん、怒ってないよ。これっぽっちも怒ってないよ……」

文乃 「紗和子ちゃんとツーショット写真を撮ったこととか、全然怒ってないよ?」

成幸 「うそつけ! 絶対怒ってるだろ!?」
269: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:26:23 ID:LAfruxaA
………………

文乃 「……なるほど。よくわかったよ」

文乃 「つまり、成幸くんと関城さんが楽しそうな写真をりっちゃんに送ったのは、」

文乃 「りっちゃんに対する嫌がらせではなく、りっちゃんのためを思ってのことなんだね」

成幸 「と、当然だろ! 緒方のことだから、お店の都合で来られなくなったことに罪悪感を抱いているだろう?」

成幸 「その罪悪感を少しでも減らしてやろうと、緒方がいなくても楽しくやってるよって写真を送ってたんだよ」

文乃 「うん。わたしもそんなところだろうと思ってはいたけどね」

文乃 「……実はいま、この会場に、りっちゃんが来ています」

成幸 「へ!? 緒方が!? だってあいつ、お店の都合で来られないって……」

文乃 「嘘も方便、のつもりだったんだろうね、りっちゃんとしては」

文乃 「なんでそんな嘘をついたかっていうと、君と紗和子ちゃんに遠慮したからだよ」

成幸 「遠慮?」

文乃 「うん。早い話が、りっちゃんは君と紗和子ちゃんが付き合ってるって勘違いをしているんだよ」
270: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:27:55 ID:LAfruxaA
成幸 「は、はぁ!? 俺と関城が付き合ってる!?」

文乃 「勘違いの経緯はともかく、そんな勘違いをしているりっちゃんが、」

文乃 「君たちから送られてくる、とても楽しそうな、ある種ラブラブな写真をどう受け止めたと思う?」

成幸 「か、勘違いに拍車がかかりそうだな……」

文乃 「うん。と、いうことで、お店の用があるっていうりっちゃんのうそは、君たちを思ってのことだから、許してあげてほしいな」

文乃 「その上で、どうにかりっちゃんを君たちと一緒にしてあげられないかな」

文乃 「……りっちゃんはすごく頑なになってて、成幸くんたちの前に姿を現す気はないみたいなんだよ」

成幸 「……うーん、そうだなぁ」

成幸 「………………」

成幸 「……よし。一芝居打とう。関城には俺から説明するから、古橋、お前も協力してくれ」

文乃 「一芝居?」

成幸 「ああ。まずは緒方の勘違いを正すところから始めないとな……」
271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:28:38 ID:LAfruxaA
………………物陰

文乃 「おまたせ、りっちゃん」

理珠 「ああ、文乃。戻ってきてくれたんですね」

理珠 「長いこといなくなってしまったから、私に愛想を尽かして帰ってしまったのかと思いました……」

文乃 「そんなことしないよ。ちょっとトイレが混んでてね、なかなか入れなかったんだ」

文乃 「で、ふたりの様子はどう?」

理珠 「うどんを買ってきて、ふたりで食べています。やっぱり楽しそうです」

文乃 「……本当かなぁ」

理珠 「えっ……?」

文乃 「本当にふたりが仲良しで、ラブラブで、楽しそうかどうか、」

文乃 「もっと近くで見てみない? りっちゃん」
272: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:30:17 ID:LAfruxaA
………………

関城 「………………」

成幸 「………………」

ピロリン

成幸 「……!」 ボソッ (……古橋から合図のメッセージが来た。始めるぞ、関城)

関城 (わ、わかったわ)

成幸 「……っあー、やっぱり、お前とふたりだけじゃ、つまらないなー」

関城 「そうねー。やっぱり、緒方理珠がいないと、つまらないわねー」

成幸 (うぅ……こんな説明的な台詞を、大声で言わなきゃいけないのか……)

成幸 (自分で思いついたこととはいえ、恥ずかしすぎる……)

成幸 「緒方がここにいてくれたらなー、きっとうどんももっと美味しくなるだろうになー」

関城 「本当だわー。あーあ、緒方理珠と一緒にうどんを食べたかったわー」
273: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:31:02 ID:LAfruxaA
………………物陰

文乃 「……だってさ。聞こえたよね、りっちゃん」

理珠 「わ、私がいないと、つまらない……?」

理珠 「あれは本当ですかね、文乃?」

文乃 「まぎれもない本心だと思うよ?」

理珠 「で、でも、やっぱり、ふたりは私がいなくても楽しそうでしたし……」

理珠 「ツーショット写真を撮るくらいラブラブなふたりが、私を必要とするとはとても……」

文乃 「………………」

プツン

文乃 「……うん。あのね、ちょっと本音で喋らせてもらうよりっちゃん」

理珠 「へ? 文乃?」

文乃 「わたしも、早く、いろんな、うどんを、楽しみ、たいんだよ、りっちゃん」

文乃 「だ・か・ら」

文乃 「さっさとふたりのところ行って謝って仲間に入れてもらってこーい!!」

ドン!!!
274: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:31:50 ID:LAfruxaA
理珠 「わっ……わわわっ……」

関城 「緒方理珠!」

成幸 「緒方!」

理珠 (な、何をするのですか文乃ー! 文乃が押したせいで、ふたりの目の前に飛び出してしまいました!)

理珠 (わ、私は、どんな顔をしてこのふたりと顔を合わせれば……)

成幸 「良かった! お店の都合が済んだんだな!」

理珠 「へ……?」

関城 「それでここに来られたのね! 良かったわ!」

理珠 「い、いえ、その……」

成幸 「ほら、緒方。ここ座れよ」

関城 「ここのおうどん、結構美味しいわよ。食べてみて」

理珠 「あ……えっと、あの……」 カァアア…… 「あ、ありがとう、ございます……」
275: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:33:11 ID:LAfruxaA
………………物陰

文乃 「……ふぅ。まぁ、変に関係がこじれる前に修復できて良かったよ」

文乃 (……ふふ、でも、こういう言い方したら、三人とも怒るかもしれないけど、)

関城 「ち、ちょっと落ち着いて食べなさい、緒方理珠。うどんは逃げないわよ」

理珠 「はむはむはむ……むぐむぐ……」

成幸 「ダメだ、聞きゃしねぇぞ。俺、水もらってくるから、関城は緒方を見ててやってくれ」

関城 「任されたわ!」

文乃 (……成幸くんがお父さんで、紗和子ちゃんがお母さん。りっちゃんが小さな娘さんみたい)

文乃 「……さて、わたしもいくつかうどん食べて帰ろうかな」

文乃 「あの三人にとっては、わたしは本当にお邪魔虫だろうし……――」

成幸 「――……あ、いたいた! おい、古橋。なんでそんなところで隠れてるんだよ」

文乃 「へ……?」

成幸 「お前も一緒に会場回るだろ? いま関城が緒方のこと見ててくれてるから、一緒にいてやってくれ」

成幸 「お腹が空いてたんだろうな。緒方がすごい勢いでうどんを食べてて手がつけられないんだ」
276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:34:01 ID:LAfruxaA
文乃 「………………」

文乃 「……わたしも、ご一緒してもいいの?」

成幸 「はぁ? 当たり前だろ? っていうか、今日はお前に迷惑かけたみたいだな。すまん」

成幸 「いつもありがとな、古橋師匠」

文乃 「……まぁ、わたしにかかればこれくらいのすれ違い、すぐ解消可能ってもんだよ」

文乃 (……えへへ、そっか)

文乃 (成幸くん、わたしも、誘ってくれるんだ……)

文乃 「……じゃあ、お言葉に甘えて、ご一緒しちゃおうかな」

文乃 「さっきから、メガ盛りMAXスタミナうどんっていうのが気になってるんだよね」

成幸 「……? お前、ダイエット中じゃないのか?」

文乃 「………………」

文乃 「……何か言ったかな? かな? 成幸くん?」 シュッシュッ

成幸 「何も言ってない! 何も言ってないから手刀の素振りをやめろ!」
277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:35:14 ID:LAfruxaA
………………

理珠 「………………」

ズルズルズル……モグモグモグ……ゴックン……

理珠 「……あの、関城さん」

関城 「ん? 何かしら?」

理珠 「じ、実は今日、お店の都合っていうのは、本当は……――」

関城 「――……なんか、気を遣わせちゃったみたいね」

理珠 「……?」

関城 「でも、それ空回りよ。だからこれからは、あんまり自分ひとりで思い詰めない方がいいと、私は思うわよ」

理珠 「……はい。その通りだと思います。今日もいっぱい、迷惑をかけてしまいました」

関城 「でも、私も同じだもの。同じように空回りして、あなたや唯我成幸たちに迷惑をかけてばかりね」

ニコッ

関城 「私たち、似たもの同士ね」

理珠 「……はい。本当に、そう思います」
278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:37:12 ID:LAfruxaA
理珠 「あ、あの、ひとつだけ確認させてください」

関城 「何?」

理珠 「関城さんは、成幸さんのことを、その……好き、だったりは……」

関城 「しないわ。少なくとも異性として意識したことなんて一度もないわ」

理珠 「そ、そうですか……」 ホッ 「よかったです」

関城 「へぇえ……」 ニヤリ 「“よかった” ってどういう意味かしら、緒方理珠?」

理珠 「へぇ!? い、いや、それは……その、べつに、大した意味じゃ……」

関城 「……ま、今はいいわ」

関城 「でも、どうして “よかった” って思ったのかは、しっかりと考えておきなさい」

関城 「いつかきっと、それがあなたにとって、とても大切なものになると思うから」

理珠 「……私にとって、とても大切なもの……」

関城 「いつか、わかるといいわね」

関城 (……そのときに、願わくは。この大親友が、笑っていられますように)

関城 (緒方理珠が、唯我成幸の隣で、幸せそうに、笑っていられますように)

おわり
279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:37:59 ID:LAfruxaA
………………幕間 翌日  なぜ?

文乃 「………………」

ズーン

文乃 「な、なんで体重増えてるの……!?」

文乃 「だって昨日は、スタミナうどんに豚キムチうどん、」

文乃 「かつとじうどんにスペシャルとろろうどん、天ぷらうどん天ぷら全乗せ、」

文乃 「他諸々……しか食べてないのに!」

文乃 「……なぜ???」


おわり
280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 21:41:12 ID:LAfruxaA
>>1です。
読んでくださった方、ありがとうございます。

理珠さんメインで書くつもりでした。
が、どちらかというと、関城さんメインになってしまいました。
わたしがいかに関城さんが好きか改めて認識した次第です。

また理珠さんメインで書くつもりです。
うるかさんメインもそろそろ投下できると思います。

また投下します。よろしくお願いします。

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