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31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:36:45 ID:bgRCVaD6
………………海の帰り ショッピングモール駐車場 車内

桐須先生 「一体どうしたというのかしら。地獄から帰ってきたような顔だわ」

成幸 「……どちらかといえば、地獄に行かずに済んだ顔ですけどね」

桐須先生 「君が何を言わんとしているのかまったくわからないわ」

成幸 (もう二度と絶対、この人の運転する車には乗らない……。命がいくつあっても足りない)

桐須先生 「では、行きましょうか。シャツとメガネを新調しに」

成幸 「あ、はい……でも……」

桐須先生 「? 何かしら?」

成幸 「さすがに、上半身裸のまま、ショッピングモールに入るのは……」

桐須先生 「!? そ、そういえばそうね……私としたことが、失念していたわ」

桐須先生 (……というか、今さらなことだけれど、)

桐須先生 (生徒とはいえ、上半身裸の男子と同じ車に乗っていたのね、私) ドキドキ

桐須先生 「す、少し車で待っていなさい。すぐに服を買って戻ってくるわ」

成幸 「すみません、お願いします」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:37:44 ID:bgRCVaD6
………………ショッピングモール

桐須先生 (……とは言ったものの、よく考えたら私、男物の服なんて買ったことがないわ)

桐須先生 (そもそも唯我くんの趣味も分からないし……)

桐須先生 (どんな服を買っていったらいいのかしら……)

桐須先生 (……もしも、もしもよ、)

桐須先生 (私が選択をミスして、とてつもなく趣味の悪い服を買っていったりしたら、)

桐須先生 (……ダメよ。ただでさえ彼には情けない姿しか見せていないのだから、)

桐須先生 (これ以上教師としての威厳を失墜させることは許されないのよ)

桐須先生 (絶対に、彼に満足してもらえる服を買って行かなければ)

桐須先生 (ファストファッションはダメ。シンプルなものも多いけれど、変な装飾がついている可能性が高い)

桐須先生 (メンズファッションに疎い私が選ぶのだから、こういうときは、そう……)

桐須先生 (お高めのお店の服ならば、失敗はきっと少ないわ!)
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:39:14 ID:bgRCVaD6
………………駐車場 車内

成幸 「すみません、先生。助かりました」

桐須先生 「サイズなどは問題ないかしら?」

桐須先生 (無難。結局、お高そうなお店の店員さんにお任せしてしまったわ)

成幸 「はい、大丈夫です」

桐須先生 「そう。それはよかったわ」

成幸 「ただ……」

桐須先生 「ど、どうかしたかしら……」

成幸 「すごく着心地がよくて、高そうなんですけど……これ、いくらですか?」

桐須先生 「? どうしてお財布をだしているのかしら、唯我くん」

桐須先生 「今日は海でお世話になってしまったし、それは差し上げるわ」

成幸 「い、いやいや、そういうわけにはいかないですよ」

桐須先生 「却下。私の教師としての体面も少しは察しなさい」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:40:38 ID:bgRCVaD6
成幸 「でも……」

桐須先生 「口止め料、といったらいかがわしいけれど、」

桐須先生 「今日のことを黙っていてもらう担保だとでも思って頂戴」

桐須先生 「それに安物の服よ。社会人の私からしたら取るに足らないお金だわ」

桐須先生 (……本当は福沢諭吉先生が消えたのだけれど)

成幸 「……わかりました。じゃあ、お言葉に甘えて、頂戴します」

成幸 「ありがとうございます、桐須先生。俺、この服大事にしますね」

桐須先生 「っ……」 ドキッ 「お礼を言われるようなことではないわ」

桐須先生 「さ、今度は眼鏡よ。早く買いに行きましょう」

成幸 「はい!」

……コケッ

成幸 「うおっ!?」 (段差!?)

桐須先生 「!? 危ない……!」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:42:37 ID:bgRCVaD6
成幸 「ん……?」 (あれ、痛くない……? っていうか、やわらかい……?)

桐須先生 「……いつまでもくっつかれていても、困るのだけれど」

成幸 「へ? わっ……わわっ、き、桐須先生……!?」 バッ

成幸 「す、すみません。つまずいた俺を、支えてくださったんですね」

成幸 (や、やば……俺、桐須先生に抱きついてたよ。怒られる……)

桐須先生 「………………」

桐須先生 「……ごめんなさい。あなたが眼鏡をかけていないことなんて、わかっていたことなのに」

スッ

成幸 「へ……? どうして手を出してるんですか?」

桐須先生 「瞭然。手を繋がないと、危なっかしくて仕方ないわ」

成幸 「!? 手、繋ぐんですか!?」

桐須先生 「それがどうしたというの。いいから、早くしなさい」 ギュッ

成幸 「わっ……わわわっ……」
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:44:36 ID:bgRCVaD6
………………ショッピングモール内

成幸 (う、海で人目を避けていたときならいざ知らず……)

成幸 (人がたくさんいるショッピングモールで手を繋ぐっていうのは、やっぱり、こう……)

成幸 (恥ずかしいというか、照れるというか……)

成幸 (桐須先生は美人だから、人目を集めるしなぁ)

成幸 (……でも、さすがは桐須先生。まったく動じてないみたいだ)

桐須先生 「………………」

桐須先生 (……せ、生徒とはいえ、男性と、手を繋いで)

桐須先生 (休日のショッピングモールを歩くなんて、これでは……まるで……)

ハッ

桐須先生 (……何を不埒なことを考えているの、桐須真冬。これはあくまで緊急的な措置)

桐須先生 (私が眼鏡を壊してしまったのだから、その責任を取る。それだけのこと――)

子ども 「あーっ。ねえ、ママ、カップルだよー」

桐須先生&成幸 「「っ……///」」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:46:08 ID:bgRCVaD6
………………眼鏡屋

成幸 (とはいえ、いざ眼鏡屋に来たものの)

成幸 (眼鏡なんて高級品、滅多に買わないし、買ったとしても安い店のセール品だしなぁ)

成幸 (こういうショッピングモールに入ってる眼鏡屋って、高いんだよなぁ)

成幸 (安い眼鏡を弁償してもらうのに、高い金額を払ってもらうわけにはいかないし……)

桐須先生 「どうかしたの? 早く選びなさい」

成幸 「あ、はい。でも……」

桐須先生 「好みに合わないのかしら? それなら、別のお店に足を伸ばしてもいいのだけれど」

成幸 「本当ですか!? それなら、壊れた眼鏡を買った店に行ってもらえると助かります」

桐須先生 「得心。それくらいお安い御用よ。では、車に戻りましょうか」

成幸 「!?」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:47:22 ID:bgRCVaD6
成幸 (ば、バカか俺は!? 別の場所に移動となったら車で移動することになる!)

成幸 (桐須先生の車に乗るのはもうごめんこうむりたい!)

成幸 「あ、いや! よくよく見てみるとー、オシャレな眼鏡がいっぱいだー!」

成幸 「桐須先生! ここで眼鏡選んでもいいですか!」

桐須先生 「……? それはもちろん、構わないけれど」

成幸 「わーい、ありがとうございます、先生!」

桐須先生 「あ、あまり、大声で先生と言わないでもらえると助かるわ」

成幸 「あっ……」 (そりゃそうだ。生徒と二人でお出かけなんて、いいことじゃないもんな)

成幸 「す、すみません……」

桐須先生 「いいわ。早く選びなさい」

成幸 「はい……」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:48:48 ID:bgRCVaD6
………………

店員 「では、二時間後には完成していますので、取りに来てください」

成幸 「はい、わかりました。お願いします」

成幸 (……結局、できるだけ安いフレームを選んだら、前のと同じような眼鏡になってしまった)

成幸 (まぁ、それは構わないんだけど、二時間か……)

成幸 (喫茶店にでも入って勉強でもしようかな)

成幸 (幸いにして、電車で勉強しようと思って道具は持ってきてあるし)

桐須先生 「……二時間。この時間を無駄に使う手はないわ。唯我くん」

成幸 「はい。もちろん勉強時間にあてるつもりです」

桐須先生 「そうしましょう。では、行きましょうか」 ギュッ

成幸 「!? ど、どうしてまた手を繋ぐんですか!? っていうか、“行きましょう”って……?」

桐須先生 「愚問。眼鏡が完成するまで、あなたをひとりにするわけにはいかないでしょう」
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:51:04 ID:bgRCVaD6
成幸 「い、いやいや、いくらなんでも大丈夫ですって。ショッピングモールから出ないですし」

成幸 「眼鏡の代金も払ってもらいましたし、もう先生はお帰りになって大丈夫ですよ」

成幸 「先生もお忙しいでしょうし……」

桐須先生 「はぁ? さっき段差でこけていた人間の言うべき台詞ではないわね」

成幸 「うっ……」

桐須先生 「あなたの眼鏡を壊してしまった私が責任を果たす必要があるわ」

桐須先生 「そうでなくとも、危険な状態にある生徒を残して帰れるわけがないでしょう」

桐須先生 「私は教師なのだから」

成幸 (かっこいい……)

成幸 (……かっこいいけど、それは自分の部屋をしっかり掃除できるようになってから言ってほしいなぁ)

桐須先生 「どうせ真面目なあなたのことだから、勉強道具を持ってきているのでしょう?」

桐須先生 「喫茶店にでも入って、落ち着いて勉強をしましょう。分からなければ私が教えるわ」

成幸 「……わかりました。すみません。お願いします」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:56:14 ID:bgRCVaD6
………………物陰

文乃 「………………」

文乃 「……気分転換がてら、ショッピングモールに来てみれば」

文乃 「唯我くんと桐須先生が楽しげに手を繋いでデートしてるって……」

文乃 「これは一体どういうことなのかな……?」

文乃 「っていうか、見つけたのがわたしで良かったよ。うるかちゃんとりっちゃんにはとても見せられないよ……」

理珠 「文乃? そんなところでどうしたのですか?」

うるか 「文乃っちー、今日アイス三段重ねサービスだってー!」

うるか 「早く食べにいこー!」

文乃 「三段重ねサービス!?」

ハッ

文乃 (うぅ……今すぐにでも食べに行きたい、けど……)
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:58:06 ID:bgRCVaD6
紗和子 「ねえ、緒方理珠? 私とアイスをシェアしましょうよ」

紗和子 「そうすれば、たくさんの味が食べられるわよ?」

理珠 「良い提案です、関城さん」 パァァァ 「みんなで分け合って色んな味を食べましょう」

文乃 (ちくしょー! だよ! 魅力的なこと話してるー! でもあれを看過できないよー!)

文乃 (桐須先生と成幸くんが手を繋いでいるところをりっちゃんとうるかちゃんが目撃したりしたら……)


――――理珠 『……な、成幸さん? どうして、桐須先生と仲睦まじく手を繋いでいるのですか……?』

――――うるか 『成幸のバカー! えっち! そんなに大人の女がいいのかー!」


文乃 「ぐはっ……」 (わたしの胃が、限界を迎える未来が見えたよ……)
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 01:59:19 ID:bgRCVaD6
うるか 「文乃っち? どうかしたの?」

文乃 「……ううん。なんでもないよ」

ニコッ

文乃 「ちょっと三人で先に行っててもらえるかな。わたしはお手洗いに行ってから合流するよ」

うるか 「んぅ? トイレだったら一緒に行くよ?」

文乃 「だ、大丈夫! 大丈夫だから! じゃあ、あとでアイス屋さんの前でね!」

シュバッ

うるか 「行っちゃった。文乃っち、お腹でも痛いのかなぁ」

紗和子 (でへへ、緒方理珠とアイスをシェア……間接キス……)

理珠 「うるかさん、行きましょう。関城さんがなんかキモいので」

うるか 「ふたりは本当に大親友なんだよね……?」
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:03:56 ID:bgRCVaD6
………………ショッピングモール内喫茶店

成幸 「………………」

カリカリカリカリ……

桐須先生 「………………」

成幸 (……いい。やっぱり桐須先生の前だとメチャクチャ集中できる)

成幸 (あいつらと違って、教える必要はないから自分のことに時間が割けるし、)

成幸 (何より桐須先生のピクリとも笑わない表情が適度な緊張感を与えてくれる)

成幸 (なんだったらこれから毎日家に伺って勉強したいくらいだ……)

桐須先生 (……唯我くん、集中できているようね)

桐須先生 (小美浪さんのメイド喫茶でもしっかり勉強できていたようだし、)

桐須先生 (この子は本当に、勉強をがんばろうという気概が凄まじいわ)

成幸 「……ん」

桐須先生 「? どうかした? 何か分からないところでもあったかしら?」

成幸 「あ、いや、ちょっとお手洗いに行こうかなと」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:04:45 ID:bgRCVaD6
桐須先生 「あら、そう。じゃあ、行きましょうか」 ギュッ

成幸 「!? いや、さすがに、ひとりで行けますよ!」

桐須先生 「何を顔を赤くしているの。男子トイレの中にまでは入れないけれど、」

桐須先生 「トイレの場所までの案内は必要でしょう?」

成幸 「だ、大丈夫ですよ! 場所は把握してますし!」

成幸 「先生はここで待っててください!」

桐須先生 「そう……?」 スッ 「気をつけていってらっしゃい」

成幸 「はい」
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:05:21 ID:bgRCVaD6
………………

成幸 (……はぁ。さすがにトイレの案内までお願いするのは恥ずかしすぎるよ)

成幸 (とはいえ、案内板も見にくいな。それっぽい方向に行けば大丈夫かと思ったけど……)

成幸 (うーん、全然分からん。やっぱり桐須先生に案内してもらえばよかったか――)

? 「――ていっ」

ドスッ

成幸 「ふぐっ!?」

文乃 「やぁやぁ、こんにちは、成幸くん。奇遇だね」

成幸 「何事だよ!? ……って、古橋?」

文乃 「そうです。あなたの師匠、古橋文乃です」

成幸 「お前もここに来てたのか。で、どうして俺は手刀を入れられたんだ?」

文乃 「その質問に答える前に、わたしが質問させてもらってもいいかな?」

文乃 「唯我くん、君はどうして、桐須先生と仲良く手を繋いでデートなんかしてるのかな?」

成幸 「……!?」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:06:15 ID:bgRCVaD6
成幸 「いや、違うんだ、古橋。これには深い訳があってだな……!」

文乃 「うん。わたしにはその深い訳は分からないけど、何か事情があるんだろうな、って察することはできるよ」

文乃 「唯我くん、なぜか眼鏡してないしね」

文乃 「でもね、今日このショッピングモールにいるのはわたしだけじゃないんだよ?」

文乃 「りっちゃんとうるかちゃん、あとついでに紗和子ちゃんも一緒に来てるんだよ?」

成幸 「……? それが何か問題あるのか?」

文乃 「なんで君はそういうところとことんまで鈍いのかな!?」

文乃 「……ま、成幸くんは成幸くんだもんね」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:08:10 ID:bgRCVaD6
成幸 「ん……。なんか、すまん」

文乃 「べつに。わたしが勝手に右往左往してるだけ、とも言えるから」

文乃 「……アイス屋さんの周辺には来ないでね。たぶんわたしたちそこにいるから」

成幸 「お、おう。わかった。そっちの方には行かないようにするよ」

文乃 「よろしい。じゃあ、また予備校でね、成幸くん」

成幸 「あっ……、ち、ちょっと待ってくれ、古橋」

文乃 「? どうかしたの?」

成幸 「恥を承知でお願いしたいことがある」

成幸 「……俺を、トイレまで案内してくれないか? 実は眼鏡がなくて、遠くがほとんど見えないんだ」

文乃 「……は?」 ハァ 「本当に、君は手がかかる弟だよ、まったく」

……ギュッ

成幸 「す、すまん。ありがとう」

文乃 「いいよ。手を引くくらい。わたしは成幸くんのお姉ちゃんだからね」

文乃 (……絶対、りっちゃんとうるかちゃんに見られないようにしなきゃ)
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:09:12 ID:bgRCVaD6
………………喫茶店

桐須先生 「………………」

ソワソワソワソワ……

桐須先生 (……遅いわ。何かあったのかしら)

桐須先生 (道に迷ってるだけならいいけど、不貞の輩に誘拐されたとか、そういうこともあり得るわ……)

桐須先生 (彼は良い子である分、人の悪意や害意に鈍そうだもの)

桐須先生 (心配。やはり、探しに行くべきね)

ガタッ

成幸 「? 急に立ち上がって、どうしたんですか、先生?」

桐須先生 「!? 唯我くん、無事だったのね」

桐須先生 「随分と時間がかかっているようだったから、心配したわ」

成幸 「ああ……」 (古橋に捕まってた時間が長かったからな……)

成幸 「すみません。ちょっと道に迷ってしまって……」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:10:06 ID:bgRCVaD6
桐須先生 「……ま、まぁ、そんなところだろうと思っていたわ」

桐須先生 「だから送り迎えが必要だと言ったでしょう? まったく……」

成幸 「面目ないです……」

桐須先生 「まぁ、いいわ。ほら、まだ時間はあるんだから、勉強に戻りなさい」

成幸 「はい」

カリカリカリカリ……

成幸 (……そっか。先生)

成幸 (急に立ち上がったのは、俺を探しに行こうとしてくれたのか)

成幸 (……母さん以外で、こんなに俺に親身になってくれる大人がいるって)

成幸 (なんか嬉しいな)
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:12:22 ID:bgRCVaD6
………………眼鏡屋

店員 「お買い上げありがとうございましたー!」

成幸 (……ほんと、前とほとんど代わり映えしない眼鏡だ)

成幸 (まぁ、悪目立ちするよりいいか。こういう形の眼鏡、気に入ってるし)

桐須先生 「きちんと見えてる? 問題はない?」

成幸 「はい。レンズが新しくなったから視界がクリアです。勉強にも集中できそうです」

桐須先生 「そう。それは何よりね。しっかり励みなさい」

成幸 「はい! この眼鏡で、絶対受験を成功させます! ありがとうございます、先生」

桐須先生 「お礼を言われる筋合いはないわ。眼鏡を壊してしまったのは私だもの」

フゥ

桐須先生 「ともあれ、無事今日中に眼鏡が仕上がって良かったわ」

桐須先生 「完成まで日を置くようだったら、毎日あなたの世話をしなければならないところだったもの」

成幸 「え……?」

成幸 「あ、あはは、先生もそういう冗談言うんですね」

桐須先生 「……?」
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:13:42 ID:bgRCVaD6
桐須先生 「不可解。私がいつどんな冗談を言ったというのかしら」

成幸 「へ? いや、だって、毎日俺のお世話を、って……」

桐須先生 「当然でしょう。もしも眼鏡が今日完成しないようだったら、私は毎日あなたの家に伺うつもりだったわ」

成幸 「そ、そうですか……」 (本気だったのか、この人)

成幸 (あっ、あっぶねー! 店にレンズの在庫があって助かったー!)

成幸 (さすがに毎日家に来られたら大変だし、何より先生に申し訳ないし)


―――― ((なんだったらこれから毎日家に伺って勉強したいくらいだ……))


成幸 (……ん、いや、まぁ、もしそうなってたら、勉強はめちゃくちゃはかどってたかもしれないな)

桐須先生 「? どうかしたかしら、唯我くん」

成幸 「あ、いや……。もし今日中に眼鏡が完成していなかったら、毎日先生に勉強を教えてもらえたのにな、って。そんなこと考えてました」

桐須先生 「……は?」

ハッ

成幸 (俺はアホか!? なに考えてたことをそのまま口に出してんだ!?)
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:14:37 ID:bgRCVaD6
桐須先生 「………………」 ゴゴゴゴゴゴ……

成幸 (こ、怖え……。まずい。なんとか言わないと……)

桐須先生 「……唯我くん」

成幸 「は、はいっ!」 ビクッ

桐須先生 「この後、時間あるかしら?」

成幸 「へ……? は、はい。家に帰って勉強するだけなので……」

桐須先生 「そう。じゃあ、今日はうちにきて、勉強していきなさい」

桐須先生 「……さすがに毎日というのは無理だけれど、今日は構わないわ」

成幸 「本当ですか!? じゃあ、お言葉に甘えて、この後お邪魔してもいいですか?」

桐須先生 「ええ。では、行きましょうか」

成幸 「はい!」
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:15:19 ID:bgRCVaD6
成幸 「ん……?」 (待てよ? この後先生の家にお邪魔するってことは……)

桐須先生 「どうかしたの? 唯我くん? 早く車に戻るわよ」

成幸 (そ、そうだったー!) ガーン (帰りも桐須先生の車に乗らなきゃってことじゃないかー!)

成幸 「あ、えーと、その……、やっぱり、おうちに伺うのは悪いかな、なんて……」

桐須先生 「無為。子どもが妙な気を遣う必要はないわ。行くわよ、唯我くん」 ガシッ

成幸 「ヒッ……」

ズルズルズル……

成幸 (だ、誰か、助けてー! 文乃姉ちゃーん!)
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:16:18 ID:bgRCVaD6
………………幕間 ショッピングモール アイスクリーム屋

文乃 「んー、美味しい~!」

文乃 「イチゴとクリームチーズのコラボが最高なんだよ!」

キュピーン

文乃 (……いま、なんか、手のかかる弟のヘルプの声が聞こえた気がするけど)

理珠 「文乃、文乃、このアイスも美味しいですよ。小豆の甘みが最高です。一口どうぞ」

紗和子 「この口の中でパチパチするヤツもなかなかよ。食べてみて」

うるか 「チョコチップもビターで美味しいよ~。はい、文乃っち」

文乃 「わーい、いただきまーす!」 ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

文乃 「美味しーい! 幸せ~。胃に染み渡る……」

文乃 (この幸せ空間から出られそうにないから、)

文乃 (勝手にがんばれ、愚弟! だよ!)


おわり
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 02:18:54 ID:bgRCVaD6
>>1です。
読んでくださった方ありがとうございます。
まだ投下したい話がいくつかありますので、
またお付き合いただければと思います。
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/09/12(水) 08:28:17 ID:eIWeZPq.
読んでるよ。いい感じだね、

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コメント

  1. とあるSSの訪問者 2018年10月06日

    やっぱり、先生が一番可愛い。
    しかし、このあと、部屋に勉強するスペースがあるかどうかw

  2. とあるSSの訪問者 2018年10月07日

    先生は好きだけど、、
    あの車だけには乗りたくないな

 

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まだまだ、改良していこうと思います。

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