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勇者「あなたはいつでもそうやって…」【後編】

前スレ:

勇者「あなたはいつでもそうやって…」【前編】



265: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:09:44.10 ID:y6+XiQLs0
都ー門ー

門番「誰だ貴様!! こんな夜更けに都に何の用だ!?」

僧侶「弐の国の王の命できた、名は僧侶…勇者様の守り手だ」

門番「勇者の守り手? 肝心の勇者様は来てないのか?」

僧侶「勇者様は伍の国に居る賢者に会いに行っている、私だけだ」

門番「魔族・魔物に侵攻されてるってのに助けに来てくれないのかよ、けっ…何が勇者だ」

僧侶「黙れ…」

門番「な、なんだよ?」ビクッ

僧侶「オレが魔族・魔物全て殺せば問題無いだろう」

門番「っ!!」ゾクッ

コイツ、何て目をしやがる…

今、話しているだけで刃を突き付けられている様だ。

門番「入れ…都には城から騎士達が来てくれてる」

僧侶「そうか、分かった」ザッ



門番「守り手? あれじゃあ、まるで…」

266: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:11:32.27 ID:y6+XiQLs0
ー都ー

僧侶「建物は壊れているが人は無事な様だ騎士達は…」

「なあ、あんたが僧侶かい?」

僧侶「そうだ、貴方は騎士か?」

騎士「やはり、他の騎士は教会にいる、着いて来てくれ…そこで話そう」

僧侶「分かった」

  ー教会ー

騎士長「弐の国からの使者だそうだな、勇者の守り手とか言ったか?」

僧侶「そうだ、力になりたい」

騎士長「はははっ!! 守り手!? 笑わせてくれる…お前に何が出来る?」

僧侶「………」スッ

ジャキッ!!

騎士長「なっ!? 何をする!?」

僧侶「オレは貴様より多く魔物を殺せる…それと、我が一族を笑うな…次は殺すぞ」

騎士長「分かった、分かった!!」

僧侶「……ところで城から来たと聞いたが王は無事なのか?」

騎士「いや、王も都にいる…城を捨て皆で都に来たんだ」

僧侶「最初から城を狙っていたのか? 城には何が…」

「それは私から話しましょう、守り手殿、騎士長の非礼を許して欲しい…」

僧侶「貴方は?」

「私は士の国の大臣…弐の国を救ったのは守り手殿と聞いております、よもや勇者様を抹殺しようとするとは…」

僧侶「いや、そういった輩は四百年前の戦いの際にも居ました…いつの世も同じです」

大臣「人の欲、野心は無くなりはせんでしょうな……」

僧侶「ところで狙われた理由は?」

大臣「はい…おそらく城の地下に安置してあった召喚石を狙ったのかと思われます…」

僧侶「召喚石…」


267: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:13:08.47 ID:y6+XiQLs0

大臣「魔物を召喚し意のままに操る…らしいのですが、伝説に過ぎない物だと王も気にしてはおりませでした」

大臣「ですが不吉な物に変わりはありませんので…何代か前の王は破壊を試みたらしいのですが、叶わなかったようです」

大臣「捨てるわけにも魔族に渡れば危険だと以降は地下に…ですが魔物が異常発生したとなれば力は本物かと」

僧侶「…何としても、その召喚石を奪取しなければ」

ガチャ!!

『魔物が、魔物が現れました!!』

大臣「都は障壁に囲まれている、門以外からは侵入出来ない筈だが何故!?」

『鳥類系の魔物が上空より魔物を投下しています!! 魔物が統率されているような感があります…』

大臣「召喚石の力は本物か…」

僧侶「魔物を操作している魔族も都に来ているかも知れません…私は行きます」

大臣「お頼みします僧侶殿……騎士長!!」

騎士長「はっ!!」

大臣「騎士達を率いて民を守れ!! 戦闘班と救助班に別れ行動しろ!! 上空の魔物は魔法隊で撃ち落とすのだ!!」

騎士長「了解致しました!! 皆!! 行くぞ!!」

『はっ!!』


騎士長「僧侶…先程は済まなかったな…」

僧侶「過ぎた事だ…騎士長、今は互いに力を尽くそう」

騎士長「ああ、俺達は魔物を退ける…僧侶は召喚石を持つ魔族を探してくれ」

僧侶「分かった…」ザッ

268: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:15:41.62 ID:y6+XiQLs0
『ゴアァァ!! グガァァ!!』

僧侶「やはり多いな…」ドッ

ザシザシュ!!

『ギャガァァァァ……』シュゥゥ

僧侶「急がねば…」ダッ

ーーーーー

『グルアァァァ!!』

騎士長「ドラゴンまで…やるしかないな」チャキッ

騎士長「魔法隊!! 撃て!!」


『魔雷!! 魔氷!! 魔炎!!』

ズギャア!! ヒョウ…パキパキッ!! ゴォォォ!!


『ヴルルルルル……』


騎士長「ダメか…皆退け!! 俺が時間を稼ぐ!!」


『……ッ!! はっ!! 皆!! 退くぞ!!』ダッ


269: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:17:18.94 ID:y6+XiQLs0
騎士長「くそったれが…死にたくねぇなぁ…」グッ

『ガァァァァ!!』ブンッ

ギャリッ!! ギリリッ!!


騎士長「ぐっ!!」ググッ


ドッゴォォッ!!

騎士長「ガッはぁっ!!」ドサッ


『グルルルル…』コォォォ

騎士長「ちっ…くしょうが…」ハァハァ


「剣技・風の太刀!!」ギンッ

ヒュウウウ… ズッバァァァ!!


『ゴアァァッ!!』ガクン

ブシャッ!!


「爺ちゃんみたいには行かないか…」
270: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:25:53.18 ID:y6+XiQLs0

『ヴルガァァァ!!』ヒュッ


「爪伸びんのか!!」チャキッ

ザウッ!! ギャン!!

『ガァァァッ!!』


「危ねぇ…早く仕留めないと、他の人達も助けなきゃ」ググッ


「剣技・雷光の太刀!!」ズッ


ドッ!! ギャギャリリリッッ!!!

「こっの野郎ぉぉぉっ!!」


ドギャッ!! ズッバァァァッ!!


『…グルアッ……』ピシッ


ズルッ……ドサッ!!


271: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:43:59.87 ID:y6+XiQLs0

「やった!!」

騎士長「おい嬢ちゃん…たすかっ…たぜ…」


「嬢ちゃんじゃない!! 剣士だ!! …っ!?」

剣士「怪我が酷いっ…!! オレは魔法使えないんだ……魔法使える人を」

騎士長「いや…俺ぁもうダメだ…身体の中が滅茶苦茶さ…」ハァハァ

剣士「そんなっ…」ジワッ

騎士長「なぁ嬢ちゃん」

剣士「……なに?」ポロポロ

騎士長「都の人達と騎士達の手助けを頼む…それ と 」

剣士「うんっ…うんっ…」グスグスッ

騎士長「奴らを…魔物を…やっつけてくれ…」ニカッ

剣士「……」グシグシ

剣士「分かった!! オレに任せろっ!! 全部やっつけるから!!」ニカッ

騎士長「おうっ、たのっむぜ……」ガクン

剣士「…………」ギリッ

ダダッ!!

272: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:45:50.48 ID:y6+XiQLs0
魔導師「弐の国ではしくじったが、この召喚石さえあれば人間なんぞ操らずとも良い…」ニヤッ

魔導師「魔物を率いるなど魔王にしか出来ない身技…奴もコレを使っていたのか…? しかし気分が良い」


魔導師「おい、魔導士!!」

「師よ、ここに…」

魔導師「守り手が来ている、お前が片付けろ…召喚した魔物は魔族ならば操れる、お前には魔人形があるが魔物も使え」

「はい、畏まりました」スウッ

魔導師「まずはこの国を落とす」ニヤリ


273: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:51:13.27 ID:y6+XiQLs0
ー時計台付近ー


ザシュ!! ザクッ!!…

僧侶「倒しても倒しても…全く厄介だな…」

僧侶「魔族はどこに…」

ズズン…ズズン!!

僧侶「ゴーレムか!!」

『オオォォォ!!』ブンッ


僧侶「殺陣・影断ち」シュッ

ズガン!!

動きは遅いから避けれはするが…

僧侶「殺技・針雨」ダッ

ガギガギガギンッ!!

攻撃が通らない…

『オォアアアア!!』ブンッ


僧侶「くっ…」シュッ

ズガンッ!! ズガンッ!!

ならば…

僧侶「剛殺技・拳槌」ダッ

タンッ… 「頭部を…砕くッ!!」

ズッ!! ドッゴォォッ!!

『…………』グラッ

ガラガラガラ……

 ブシュッ…

僧侶「っ!! 治癒・小…」パァァァ

魔導士「久しぶりだな、守り手…ゴーレムを素手で倒すとは…」スッ


274: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:52:59.63 ID:y6+XiQLs0
僧侶「壱の国に居た、魔導士か…」


魔導士「ふふっ、早速だが此処で死んで貰う」ゴゴ…

ザザザザサ……

『オォアアアア グルルルル』

僧侶「貴様が召喚石を持っているのか?」

魔導士「ふふっ、さぁどうだろうな」ニヤリ

僧侶「倒せば分かるか…」チャキッ

魔導士「ふふっ、やってみろ」


275: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:56:11.06 ID:y6+XiQLs0
ー教会前ー

『固まるな!! 散れ!! 魔法隊、怪我人を頼む!!』

『大丈夫か? 教会に避難させるんだ民の安全を確保しろ!!』


大臣「このままでは都も民も…僧侶殿…」

「大臣!! なにしょぼくれてやがる、今が踏ん張り所だろうが!! 騎士にだけ戦わせてちゃ王家の名が廃る、オレも出る!!」

大臣「若様!! 行ってはなりません!!」

王子「ばっか野郎!! 誰かがやらなきゃダメなんだ…コソコソ隠れたまま死んでたまるか!! 親父に言っとけ、根性無しってな!!」ザッ


ザザザザサ

『グルルル ギギャッ ヴゥゥ』

王子「魔物共、出やがったな…」チャキッ

王子「魔氷・大槍!!」カッ

ドスドスドスッ!!

『ギィィアアア…』シュゥゥ

王子「騎士達!! 大丈夫か!?」

『若!! 何故此処に!?』

王子「助けに来たに決まってんだろ!! 直ちに残った民を避難させろ!! そして教会は何としても死守するんだ!!」

『若… 皆、行くぞ!! 教会を守れ!! 民を守るんだ!!』


276: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:57:14.11 ID:y6+XiQLs0
ーーーーー

剣士「倒しても次から次に湧いてくる…どうしたら…」

『誰かぁぁ!!』

剣士「っ!!」ダッ

「ゴオァァァッ!!」

子供「神様っ!!」ギュッ

ズバンッ!!

剣士「大丈夫か!?」

子供「ありがとう…お姉ちゃん」グスッ

剣士「オレがあそこの教会まで連れて行く!! 父さん母さんは?」

子供「教会に行く時はぐれちゃった」ヒッグ

剣士「そうか、オレの背に掴まれ…教会に行けば会えるから」ニコ…

子供「…うんっ」グスッグスッ

277: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 21:59:00.85 ID:y6+XiQLs0
ー教会前ー

剣士「此処まで来れば大丈夫だ」ハァハァッ

タタタッ…

父「娘!! 良かった!!」

母「良かった、良かった…」ポロポロ

娘「お姉ちゃん、ありがとうっ」ニコ

剣士「良かったな!!」ニコッ

王子「何処の誰かは知らねぇが、民を助けてくれてありがとな!!」

剣士「オレは剣士、お前は?」

王子「この国の王子だ!! 教会前の魔物は殆ど倒した、数が減ってるみたいだ」

剣士「それより白いローブ来た兄ちゃん知らないか!? 探してんだけど見つからないんだ…」

王子「オレは見てねぇな…」

娘「私、時計台の方に走って行くの見たよ?」

剣士「本当か!? 早く行かないと!!」

王子「オレも行く!! 一人じゃ危ねぇぞ!?」

剣士「ダメだ!! また此処に魔物が現れるかも分からない…それと、騎士長が死んだ…」

王子「っ!! 騎士長が……分かったオレは此処に残る、剣士…気を付けて行けよ!!」

剣士「分かってる!!」ダッ

278: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 22:00:00.45 ID:y6+XiQLs0
ー時計台付近ー

魔導士「しぶといな…」

ザシュ ガギンッ!! グサッ!!

『ギャアァァ…』シュゥゥ

僧侶「ハァッ…ハッ…」

『魔炎・矢』

ドッドッ!!

僧侶「グッ…」ブシュッ…

僧侶「治癒・中…」ハァハァッ

ザンッ!!

『ゲギャ……』 バラバラ…

魔導士「ふふっ、流石にそれだけの魔人形と魔物に囲まれれば此方まで来れまい」

ギィン ギャリリッ!! ズキャ!!


僧侶「くそっ!!」

279: ◆jPpg5.obl6 2012/12/13(木) 22:24:32.85 ID:y6+XiQLs0
ー時計台ー

僧侶「このまでは……」ハァッハァッ

「僧侶!! 伏せろ!!」

僧侶「剣士か!?」バッ

剣士「剣技・風の太刀!!」ゴッ

ヒュゥゥゥ… ズババババババ!!


『ギィィィアアア…』シュゥゥ…


剣士「僧侶!! 行けっ!!」

魔導士「なっ!?」

僧侶「死ぬのは貴様の方だ…魔導士」ダンッ

 ジャキッ!!

魔導士「くっ!! 魔炎・円!!」 カッ

ゴォォォォッ!!

僧侶「……………」ボッ

魔導士「ヒッ…く、来るなぁ!!」バッ

僧侶「貴様は『この手』で殺す!!」


 ザシュッ!!


魔導士「この、殺人…者が…」

僧侶「違う、オレは『守り手』だ……永久に眠れ」

サァァァッ……


292: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:16:31.77 ID:ICPOHjnO0
数刻前ー伍の国ー

女商人「私はここまでだ…賢者はお前一人だけと言っていたからな」

勇者「ううん、ありがとう女商人…まず女王様に挨拶してから神の山に行くよ」

女商人「分かった、私は此処で待ってるからな…気を付けて行けよ!!」

勇者「うんっ!! 行ってくる!!」ザッ

ーーーーー

伍の国ー城ー


エルフ「勇者様ですね、女王から話しは聞いております、此方へ…」

勇者「はい、お願いします」

ー謁見の間ー

女王「勇者様、初めてまして…女王と申します」スッ

凄く綺麗…髪は銀色で、何か不思議な雰囲気だ…

女王「勇者様? どうなされました?」

勇者「あ、はいっ!! 初めてまして女王様」

女王「ふふっ…弐の王の言う通り、純真なお方ですね」ニコッ

勇者「あ、ありがとうございます、女王様は凄く綺麗ですね…見惚れてしまいました」

女王「ふふふっ、本当に真っ直ぐなお方…勇者様、私の下へ来たのは神の山へ行くためでしたね」

勇者「はい、賢者様は神の山へ私一人で来いと」

女王「守り手殿が居ないのはそういう事でしたか…」


293: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:18:12.23 ID:ICPOHjnO0
勇者「守り手…僧侶は魔族侵攻を止める為に士の国へ行っています」

女王「勇者様、申し訳ありません…魔族が本格的に動き出した以上、兵を割くわけにはいかないのです」

勇者「そんなっ!! 謝らなくて良いです…僧侶が、私の守り手が必ず魔族を倒しますから」ニコッ

女王「……!! 信頼、していらっしゃるのですね」

勇者「はい」

迷い無き瞳…

この子は強い、きっと大事な人がいるのでしょう。

女王「……話が外れましたね、エルフに馬車を用意させ神の山までお連れします」

勇者「ありがとうございます」

女王「勇者様、賢者様に会った時…辛くとも真実と向き合わなければなりません」

勇者「……? はい、分かりました!! では行って来ます」

女王「はい、お気を付けて」ニコッ

パタン……



女王「勇者様、心を強く持つのですよ……」

ーーーーー

ー神の山ー

エルフ「勇者様、着きました」

勇者「エルフさん、此処までありがとうございました」ペコッ

エルフ「いえ、そんな…それより直に日が落ちます、お気を付けて」

勇者「はい、行って来ます」ザッ
294: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:19:32.27 ID:ICPOHjnO0

ーーーーー


勇者「もう、日が落ちて真っ暗だ…けど今日のうちに行かないとダメなんだよね」ザッ

魔物が出ないから進むのは早いけど、賢者様はどこに居るんだろう…


ーーー

ザッザッザッ

あれは…賢者様の家かな?

  コンコンッ

「どうぞ、お入りなさい」

 ガチャッ

勇者「初めまして勇者です、あなたが賢者様ですか?」

「ええ、私が賢者です」ニコリ

勇者「魔王の事、鍵の事、そして世界の向こう側について…聞かなければならない事が沢山あります」

賢者「ふむ、その前に四百年前の話しをしなければなりません…魔王と勇者の戦いの真実を…」

勇者「……分かりました」

賢者「まず戦の切っ掛けは人間が魔族の地へ侵攻したからです、侵攻した国は消滅しました」

賢者「魔族の地へ侵攻した軍は全滅…後に一人の魔族が『魔王』と名乗り人間との全面戦争に突入しました」

295: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:21:29.53 ID:ICPOHjnO0
勇者「…そんなっ?」

賢者「醜い野心、自分達以外の種を無くし人間だけの世にしようとした…その結果が先の大戦です……此の、伍の国が閉鎖的なのも四百年前に人間から弾圧された過去があるからなのです」

賢者「勇者、貴方が守らんとする『人間』は貴方が思う程、美しくは無い…四百年前の勇者はその、『人間』の責任を全て負わされ、魔王と戦う事を余儀無くされました」

賢者「魔王は魔族を守る為に人間を、勇者は人々を守る為に魔族を…これが誰も知らぬ埋もれた歴史、そして四百年前の戦いの真実…」 

勇者「………………」

賢者「それでも人間の為に戦えますか?」

勇者「それでも私が戦いを止める理由にはなりません…『勇者』として人を守りたい気持ちは勿論あります、だけど……『私』にも守りたい人がいますから…」

賢者「守り手を愛しているのですね?」

勇者「…!! はい、愛してます!!」

賢者「なら、もう一つ伝えなければなりません」

296: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:31:59.88 ID:ICPOHjnO0
賢者「四百年前の魔王との決戦の際、守り手は死んだ、勇者を守って…」

勇者「……っ!!」

賢者「……………」ツー

勇者「っ!? まさか……貴方は…」

賢者「私は…四百年前の勇者……貴方と同じ『守り手』を愛した女…」

勇者「何故…」

賢者「生きていられるのか? ですか? 私は人間とも精霊とも言える存在…生きても死んでもいない」

賢者「伝えなければならなかった、私から貴方に四百年前の戦いの真実を…」

勇者「守り手は代々一人…じゃあ、僧侶は…」

賢者「私の子孫…になりますね」

勇者「私に一人で来いと言ったのは僧侶に会いたくないから、ですか?」

賢者「分からない……でも不思議なものね、四百年も生きているのにあの人の顔だけは忘れられないのだから」

勇者「……………」

297: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:35:02.59 ID:ICPOHjnO0
賢者「話しを戻しましょう…魔王は先程言った通り、魔族を守る為に立ち上がった一人の魔族です」

賢者「魔王は特別な存在です、圧倒的な力もそうですが、魔族は皆尊敬し慕っていました…人間の侵略から魔族を守った救世主なのですから」

魔王「ですが先日の弐の国に現れた魔族は魔王に忠実では無い様です…その魔族は召喚石と呼ばれる物を使い今まさに士の国を侵略しています」

勇者「…………」ググッ

勇者「では、向こう側とはなんですか?」

賢者「魔王が居る場所と言うより魔王自身が作り出した空間です、通じる場所は魔族の地にあります…魔族の地に入る為には鍵が必要です」

勇者「でも魔族の地なんて聞いたことが…」

賢者「それは魔王が敗れた直後、魔力を放ち魔族の地を覆ったのです、残された魔族を守る為に…探し出すには『鍵』である真実の羅針盤…これを使えば辿り着けるでしょう」スッ

賢者「魔族の地へ行き『扉』を見つければ魔王の下に辿り着ける…『勇者』であれば開くでしょう」

勇者「ありがとうござっ」グラッ


ゴゴゴゴゴゴ…!!!


賢者「まさかっ!! 魔王っ!? 場所は士の国…!? 勇者、今から魔法で士の国へ跳びます私の手を!!」バッ

勇者「は、はいっ!!」ギュッ

298: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:37:18.17 ID:ICPOHjnO0
ー勇者到着前ー

僧侶「剣士、何故来たんだ? 訳は町長さんに伝えた筈だ…」

剣士「その町長さんに頼まれてきたんだ、着いて行きなさいって…都が落ちれば町も滅ぶから頼む、僧侶さん一人では…とか言ってたから」

僧侶「そうか、だが助かった…あのままでは死んでいた、ありがとう剣士」

剣士「っ!? 礼なんていいって!!」

僧侶「無いな…」ゴソゴソ

剣士「なにが?」

僧侶「魔物を召喚し操る石だ…」

剣士「それを持ってる奴のせいで、こんなに魔物が…そいつをやっつけないと終わらないのか」

僧侶「だが、一体何処に…」

剣士「教会、僧侶を狙っていたみたいだし…見通せる場所じゃないのか?」

僧侶「だが、時計台以外に高い建物は…見張り塔くらいか」

剣士「行こう、行かなきゃ分からない…」

僧侶「そうだな…剣士」

剣士「どうした?」

僧侶「頼むぞ…」ニコッ

剣士「…!! ああ、任せろ!!」ニカッ

タタタッ…

299: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:39:07.66 ID:ICPOHjnO0
ー見張り塔ー

剣士「魔物がいない、違ったのか?」

僧侶「いや、用心しろ…」


『オアアァァァッ!!』ギャンッ

ドッ!! ガガガッ!!

僧侶「大丈夫か!?」

剣士「ああ、出やがったな」

僧侶「やはり此処にいるのか…?」


『グォアアアア!!』

剣士「僧侶は見張り塔の上へ行け!! オレはコイツを何とかする!!」

僧侶「分かった、此処は任せた」

剣士「おうっ、早くぶっ倒して戻って来い!!」

僧侶「ああ、任せろ…」ダッ


『グガァァァ!!』ヒュンヒュン

剣士「腕四本・剣四本か…器用だな」ジャキッ


『ガッ!!』ブンッ

ギギンッ!! ギャリリッ!!

剣士「早い!! けど…剣技・氷牙の太刀!!」ズッ


ドッ!! ギャリッ!!

止められるのは分かってる、こっからだ…


パキンッ!! グッ…ズバッ!!

『グアァッ!!』ブシャッ


剣士「まず、腕一本…」ジャキッ

300: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:40:37.30 ID:ICPOHjnO0
「来たか守り手…弐の国では会わなかったな、私は魔術師…弟子は死んだか」

僧侶「弐の国での勇者抹殺は、貴様が仕組んだ事か?」

魔導師「お前によって阻止されたがな…あの大臣は…くくっ」ニヤニヤ

ザヒュッ!!

魔導師「危ないな…折角会えたんだ、そう急くなよ」

僧侶「黙れ…貴様の様な奴と話す事は無い」

魔導師「くくっ」ニヤニヤ

僧侶「貴様は勇者を傷付けた、彼女の優しい心までも…死を以て償え、魔導師!!」ズズッ

魔導師「済まない…これ以上付き合ってらないんだ」バッ

僧侶「………」ダッ

魔導師「なっ!?」ビョゥゥ

僧侶「大方、見張り塔に誘き出し教会を襲うつもりなのだろうが…貴様は召喚石に魔力を割いている」ヒュウウウ 

魔導師「くっ、魔物よ!! 来い!!」


『ギャアギャァ!!』バサッ…

  タンッ  トサッ

僧侶「移動魔法は使えず、魔物に乗るしか移動手段はない…」


だが、全てはコイツの推測!!

なのに、何の確証も無いのにコイツは…

躊躇い無く飛び降りたっ!!


魔導師「暗殺者風情が…」ゴゴゴッ

301: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:42:40.94 ID:ICPOHjnO0
剣士「ぐっ!!」ハァッハァ


『ググガァ!!』ビョウッ

ザシュ!! ギャギギャ!!


剣士「重いっ!!」ググッ

  ギィンッ!!……トサッ


剣士「っ!! 弾かれた!!」


『ウオァァァ!!』ゴウッ


       ー『嬢ちゃん…』ー


拾うには遠すぎる…いや、ある…剣はあるっ!! 

斬り落とした、この魔物の剣が!!


剣士「………」バッ 「剣技…」ガシッ


    ー『魔物を…やっつけてくれ…』ー


「浄炎の太刀!!」ダッ


ズギャッ!! ギィンッ!!

剣士「剣ごとっ!!燃え尽きろッ!!」ググッ


ザンッ!! ゴォォォォォッ!!

『ウギィアアアア…』シュゥゥ……


剣士「やっつけたよ……騎士長」グッ

302: ◆jPpg5.obl6 2012/12/14(金) 19:52:44.81 ID:ICPOHjnO0
ーーーーー

僧侶「貴様は逃がさん」ジャキ

魔導師「いいだろう…魔物よ、降ろせ」

『ギャアギャァ!!』ビョゥゥ

 スタッ…  タンッ…

魔導師「教会に居る奴等を殺し、お前の苦痛に歪んだ顔を見ようと思ったが、お前を殺した後で奴等も皆殺しだ」ニヤ


僧侶「屑め……貴様を殺すのに何の躊躇いも無い」スッ


ゴゴゴゴゴゴ!!!


魔導師「な、何だ、この強大な魔力は!?」


「『守り手』の言う通り、貴様は屑だ魔導師…四百年前の戦いの際にも貴様の様な下卑た魔族はいたがな…忌々しい」


魔導師「まさかまさかまさか」ガクガク


「死ぬがいい…闇雷・千雷」ズズ…

ズォォッ… ゴゴゴ…


僧侶「ッ!! 殺陣・影断ち!!」シャッ


ビガッ!! ズギャギャギャギャッ!!!

魔導師「魔…おッ!! ギャアアアアッ!!」


僧侶「何だ、あの凄まじい魔力は…」ハァッハァッ


「誇り無き魔族は要らん…」


僧侶「貴様が魔王…なのか?」


「ああ、如何にも我が名は魔王…貴様ら人間の脅威と恐怖の象徴…」ゴゴゴ
307: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:28:20.01 ID:xHAHqzya0
僧侶「魔王……」

魔王「召喚石か…確か魔女に与えた物だったな」スッ

僧侶「…何故、同族を殺した? 魔族は人間を殺せれば方法など問わないのでは無いのか?」

魔王「勘違いしているな、我の目的は人間を殺す事では無い…人間と言う『一つの種』を滅ぼし、魔族の世にする事だ…」

僧侶「…なっ!?」

魔王「エルフしかり他種族を滅ぼし、世を我が物にしようとした醜い『人間』を滅ぼすのだ…我は魔族を『守る為』に戦う」

僧侶「なにっ!?」

魔王「信じようが信じまいが関係ない、我の記憶を『見せて』やろう…」カッ
308: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:29:41.72 ID:xHAHqzya0
ーーーーー

何故こんな目に……俺が魔族だからか? 魔族だから殺されるのか?

人間が魔族の住む此の地に攻め込んできたから数日が経った。

最初は何とか防げたが敵は数が多い、それに統率がとれてる。

個人の力は魔族の方が上だが戦略もクソもない…

そして数多くの魔族が死んだ、父さんも母さんも俺を守って死んだ…

魔族は生きてちゃいけないのか?

殺されるのを待つだけなのか?

嫌だ、俺は生きたい…死にたくない。

戦おう、戦わなければ死ぬ…このままでは皆死んでしまう。


         ー醜い人間共ー


        ー皆…殺してやるー

ーーーーー


「皆ご苦労だった!! 俺達は人間に勝利した!! だが奴等はまたやってくる!!」

「ならば!! ならば此方から攻める!!」


ザワザワザワ……


「奴等人間がいる限り、俺達に平穏はやって来ない!!」


「奴等を…人間を滅ぼすのだ!! 魔族の為、死んでいった者達の為に!!」


『そうだ…奴等がいるから… 人間を滅ぼせ!! 人間を滅ぼせ!!』


「そして俺は、『人間』の恐怖と脅威の象徴として、これより」





「魔王と名乗る!!!!」

ーーーーー
309: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:31:58.28 ID:xHAHqzya0
僧侶「ぐっ!!」ズキッ

僧侶「今のが魔王の記憶…」ハァッハァッ

魔王「まるで其処にいる様な感覚だっただろう? それが真実だ…」

魔王「そして、『俺』が魔王になった理由だ!!」ゴッ

僧侶「ッ!! 真実だとしても…貴様の考えを認める訳にはいかない!!」ジャキッ

魔王「まあ良い、四百年前…俺は守り手と勇者に敗れた…奴等には『何か』があった、守り手よ…此処で死ね」ゴッ

310: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:36:56.65 ID:xHAHqzya0

『キラキラキラッ』

僧侶「魔王…此処で死ぬは貴様だ」ダッ

魔王「闇炎・這炎」ズズ…

ドッ!! ゴォォォォォッ!!!

僧侶「殺陣・翔」ダンッ

このまま…

僧侶「殺技・落葉!!」ズッ

ゴッ!! ザンッ!!!

魔王「その装束、背格好、業も全て四百年前の奴と瓜二つ…」

僧侶「……」ジャキッ

魔王「その瞳も…だが一つ違うのは、側に守る者無く死ぬ事か…」

僧侶「なにっ…!?」

魔王「禍雷・絶槍」ズズ…

ドッ!!


「神雷・極雷槍!!」カッ

ドッ!!


ゴッ……ズギャッ!! ギャリギギギッッ!!!

シュゥゥ……


「僧侶っ!!」

僧侶「勇者か!! 何故!?」

勇者「後で話す!! 今は…」グッ

僧侶「そうだな…」ジャキッ

魔王「勇者か…仕方ない此処で共に……ッ!? お前は…何故だ!! 何故「お前』が此処にいるっ!!」

「魔王……今の私は違う、今の私は賢者…」

魔王「精霊化…お前、人を捨てたのか!!」

311: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:42:18.02 ID:xHAHqzya0
賢者「『私』の役目はまだ終わってはいないから…」ゴッ

魔王「………………」

魔王「魔女…」

魔女「此処に…」スッ

魔王「『故郷』に戻り戦の準備をする、行くぞ…」

魔女「はい、魔王様…」

シュンッ……


僧侶「退いた…」

勇者「僧侶っ!! 大丈夫!?」

僧侶「ああ、大丈夫だよ」ニコッ

賢者「……………」

ーーーーー

『勇者!! 大丈夫か!?』

『ええ、私は大丈夫』ニコッ

『良かった、んじゃ行くか』ニコッ

ーーーーー

『勇者!! その子を頼む…』ニコリ…

『そんな…待って…いや、いやぁぁぁぁぁぁっ!!』

ーーーーー

勇者「この人が賢者様だよ」

僧侶「助かりました…貴方がいなければ私は…? 賢者様?」

賢者「……!! 貴方が守り手ね?」

僧侶「はい、『勇者』そして『彼女』の守り手です」

あの人と同じ…当たり前か、私とあの人の子孫なんだから。

「僧侶ぉ!!」タタッ

僧侶「剣士!! 無事で良かった」ニコリ

剣士「ヘヘッ、余裕だよ余裕!!」ニカッ

僧侶「剣士、彼女が勇者だ…そして隣にいるのが賢者様」

剣士「勇者ぁ? 何かちっちゃいなぁ…」

勇者「あんまり変わんないのに…」

剣士「賢者…様は色々デカいな…」ウン…

賢者「ふふっ、面白い子ね」

剣士「なあ勇者、教会に王子がいるんだ報告しに行こうぜ!!」

勇者「………」チラッ

賢者「行って来なさい」コクッ

勇者「分かった、一緒に行こう」

剣士「おうっ!!」

タタタッ……

312: ◆jPpg5.obl6 2012/12/15(土) 09:49:27.09 ID:xHAHqzya0
ー御先祖様と僧侶ー

賢者「…………………」

僧侶「………………」



賢者「私、まどろっこしいの好きじゃないの…だから話すわ」

僧侶「えっ?」

「私は四百年前の勇者で魔王を倒した、けど魔王の『魂』の意志は消えてはいなかった、私はそれを危惧して半精霊化して今まで過ごしてきた…そして貴方は四百年前の守り手と私の子孫よ」

僧侶「えっ? あの?」

賢者「なに!? もう一度話す!?」

僧侶「いや、いいです…」

賢者「なら良し」

僧侶「でも、旅の途中で…」

賢者「悪い!? してなかったらアンタ存在して無いのよ!!」

僧侶「ありがとうございます!!」

賢者「言っとくけど手を出したのは、私よ……」

僧侶「いや、そこら辺は別に……」

賢者「あの子が好きなんでしょ?」

僧侶「……はい」

賢者「あん?」

僧侶「好きです!!」

賢者「全く…あの人は私を守って死んだ…アンタは死んじゃ駄目よ、先祖なのに今まで放っといた私が言えた事では無いけどね……」

賢者「あの子を守って、あの子と生きて行きなさい……」

僧侶「はいっ!!」

319: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 00:48:21.49 ID:wtTyl0sP0
ー教会ー

王子「おっ!! 剣士!!」

剣士「何とか終わった、こっちは勇者だ!!」ニコッ

王子「勇者!? 来てたのか…」

勇者「話すと長くなるんですが…」

王子「堅苦しい喋り方しなくていい、オレの事は王子でいいから」ニカッ

勇者「分かった、私は伍の国に居たの…賢者様に会う為に、だけど話の途中で……」

王子「どうした…?」

剣士「勇者?」

勇者「話しの途中でこの都に魔王が現れたのを感知した賢者様と移動魔法で此処に来たの……」

王子「何だと!? なら、さっきの地鳴りは…」

勇者「魔王の力の影響だと思う」

剣士「でも、オレが行った時には居なかったぞ?」

勇者「魔王は戦争の準備をする為に魔族の地へ行ったの…」

剣士「戦争!? この都で起きた事が世界中で起きるのか!?」

王子「クソッ!! でも冷静にならねぇと…オレは親父に伝えてくる…」
320: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 00:52:15.98 ID:wtTyl0sP0
勇者「………」ギリッ

剣士「なあ、勇者?」

勇者「うん?」

剣士「大丈夫!! やっつければいいだけだ」ニカッ

勇者「…!! うんっ、そうだね!!」ニコッ

 タタタッ

僧侶「勇者、剣士」

勇者「僧侶、話しは…出来た?」

僧侶「ああ、話した…全てを聞いたよ」

勇者「そっか」ニコリ

僧侶「それより、賢者様が呼んでる…行こう」

剣士「オレも行っていいか? 報告済ませたし、後は王様達が何とかすんだろ?」

僧侶「……分かった、剣士も来てくれ」

剣士「よっしゃ!! じゃあ行こうぜ!!」

勇者「いいの?」

僧侶「賢者様の判断に任せるさ」


『おーい!!』


王子「もう行くのか!?」

勇者「うん、賢者様が呼んでるから」

王子「そうか…あっ!! あんたが僧侶だな!? 助かった…ありがとな!!」

僧侶「いや、魔王は戦争の準備をすると言っていた…急がないと」

王子「そうだな…親父は各国の王で話し合うと言ってたよ」

僧侶「そうか、なら…オレ達はオレ達がやれる事をする」

剣士「んじゃ、またな王子!!」

勇者「行こう、僧侶、剣士」ザッ





王子「オレも気張らねぇとな!!」グッ


321: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 00:55:22.38 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

賢者「来ましたか、では一旦私の家に移動します」

剣士「待ってくれ……頼みがあるんだ」

賢者「どうしました?」

剣士「騎士長を教会に運んで欲しいんだ……」

賢者「……分かりました、私がやります」パァァァ

シュン

賢者「この方ですね?」

剣士「うん…騎士長を頼む」ポロ

賢者「………」シュバッ


ー教会ー

シュバッ


大臣「むっ!!」バッ

「彼を弔って手厚く弔って欲しい…そう、剣士が言っておりました」スッ

大臣「……っ!! どなたかは存じませんが…ありがとうございます」ギュッ

大臣「民と部下を守り死んだと聞いた…騎士長、惜しい男を亡くした……」ツー

「勇者達は魔族の地に行く事になるでしょう、王にそう伝えて下さい」

大臣「ところで貴方は?」

「申し遅れました、私は賢者…勇者を導く者」

大臣「賢者様でおられましたか…必ずお伝えします…」

賢者「では…」バシュッ

大臣「我々には何が出来る? 騎士長よ…」グッ

ーーーーー

バシュッ

賢者「済みました、さあ行きましょう」

剣士「オレも…着いて行きたい」

賢者「何故です? 用は済んだのでは?」

剣士「騎士長と約束したから、それに戦う『覚悟』が出来たんだ…」ギュッ

僧侶「…いいでしょう、ではまず私の家へ戻り今度の事を話しましょう」

剣士「分かった」コク

勇者・僧侶「分かりました」コク


バシュッ

322: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:02:19.74 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

ー魔族の地ー

魔王「皆!! 待たせたな、俺は…」

『魔王様!! 我々は待っておりました!! 顔を上げて下さい!!』

「けっ、なにしけた面してやがる」バシッ 

魔王「…永らく待たせた、魔剣士」

魔剣士「まあ、待ってた奴もいればオレみたいに寝てた奴もいるからな、気にすんな…」

魔剣士「これからどうする? すぐ攻めるか?」

魔王「いや、万全を期す為暫く時間が掛かる…少し待ってくれ」

魔剣士「ははっ、待つのは皆慣れてるから大丈夫だろうよ」チラッ


『ワァァァァ!! 魔王様ぁぁ!!』


魔王「…………」ググッ


魔王「俺はっ!! 魔王はっ!!」


       『………………………』


魔王「魔族の為…守る為……この戦いに勝利すると誓う!!」


      
『オオオオォォォッ!!』


ーーーーー

魔王「この戦いで全て終わらせる…」

魔女「魔王様、私に何か出来る事は御座いませんか?」スッ

魔王「ならば人間に言伝を頼む、そうだな……1ヶ月…1ヶ月後に戦争を開始する」

魔女「畏まりました魔王様、勇者は…」

魔王「無論俺がやる、奴は俺にしか倒せない…そして俺を倒せるのは勇者だけだ、守り手を殺せなかったのは痛いが……それに『賢者』、奴には何か策がある筈…」


勇者の前に、問題は賢者だ…愛する者を俺に殺されて尚、聖霊化して生き続けたのだ。


俺が葬るのが道理…


323: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:04:32.42 ID:wtTyl0sP0
神の山ー賢者の家ー

剣士「真実の羅針盤で魔族の地に行って、『扉』を見つけるのか…」

僧侶「その『扉』は『勇者』であれば開く…」

賢者「ですが、魔王自ら魔族・魔物を率いて此方に攻めてくる可能性も十分ある…」

勇者「では、どうしたら?」

賢者「万が一の為…私が残ります、魔王を倒すまでは行かないまでも策はあります」

賢者「それに『魔王』は『勇者』、そして『絆の力』でしか倒せない…分かりますね?」

勇者「はい、分かっています」

賢者「剣士には二人を『扉』が見つかるまで無事に行き届けて欲しいのです、無事見つかっても『扉』は魔族によって守られているでしょう、貴方はそれを打ち倒し二人に道を作らねばなりません」

剣士「よし、分かった!!」

勇者「賢者様っ!! 待って下さい!! それじゃまるで…」

僧侶「……………」

賢者「剣士は『覚悟』があると言った、勇者…貴方には魔王を倒す『覚悟』がありますか? 例え何があっても……」

勇者「でもっ!!」

僧侶「勇者、剣士は勇者を…オレ達を信じてるんだ、剣士は剣士に…勇者には勇者に出来る事をしなければならない」

僧侶「勿論オレもだ……だから例え何があろうと互いを信じるしか無い、それもまた、一つの『絆』なんだと思う」

剣士「勇者、オレは大丈夫だ!!」ニコッ
324: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:05:50.13 ID:wtTyl0sP0
勇者「僧侶…剣士…分かったよ、必ず魔王を倒して皆で戻って来よう」ニコリ

賢者「………私は少しやる事があります、勇者達は船で弐の国へ戻りなさい」

勇者「分かりました…僧侶、剣士、行こう、女商人が待ってるから」

僧侶「ああ、分かった」

剣士「んじゃ、行こうぜ!!」

ガチャ パタン……



賢者「あの子達、特に勇者と僧侶には私の時の様な思いは絶対にさせない…どうか私に力を……」ギュッ

ーーーーー

女商人「来たか!! 何で僧侶も? それに、そっちのちっこいのは?」

「ちっちゃくない!! オレは剣士だ!!」

女商人「はははっ!! 剣士か、よろしくな!! 疲れてんだろ? とりあえず乗れ」

僧侶「分かった、じゃあ少し休ませて貰う」

勇者「そうだね」

剣士「オレも眠たくなってきた…」

女商人「各自空いてる船室で休んでくれ、じゃあ弐の国へ戻る!!」
325: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:07:54.70 ID:wtTyl0sP0
ー???ー

「起きろ…」

僧侶「うっ、誰だ…」

「オレは先代の守り手、僧侶…お前の先祖だ」

僧侶「先代…ここは?」

先代「お前の心の深層…オレは思念が実体化した存在」

僧侶「ですが、一体どうやって?」

先代「勇者…いや、今は賢者か…」

僧侶「賢者様が…?」

先代「そうだとは思うが…まあいい、オレはお前に伝えなければならない事がある」

僧侶「……話して下さい」

先代「お前は死ぬ、魔王から勇者を守ってな…」

僧侶「先代も勇者を守って死んだと聞きました…何か関係が?」

先代「指輪だ…その月の指輪と太陽の指輪の力は『絆』だけではない」

僧侶「他にも何かがあると?」

先代「ある、命の行き着く先『守り手』の本懐…『自己犠牲』それが勇者を守り、魔王を倒す最期の手段」

僧侶「オレが死んだ時、オレの勇者に対する『愛』『信頼』そして未来への『希望』全てが、『力』となり月の指輪を通じ太陽の指輪へ流れ込んだ」

先代「そして、勇者はその力を解き放ち魔王を倒した…」

僧侶「オレが死なねば魔王は倒せないと?」

先代「指輪が『そう』出来ている様だった、作った錬金術師も想定外だったろう『絆』の先の『自己犠牲』など…それ程までに魔王は強い」

先代「オレや勇者よりも『信念』が強かったのかもしれん、魔族を守るという信念が…あの時のオレ達には『人間』が招いた魔族との闘争を『勇者』に背負わせるという事に疑問を感じていた…」

僧侶「先代……オレは死にません、勇者と共に生きると賢者様…いや、偉大なる『先祖』に誓ったのですから」

先代「そうか…オレは『此処』でお前を見守ろう、もう一人の『先祖』として」パァァァ





僧侶「オレは…オレは生きる!! 勇者と共に!!」ググッ
326: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:10:41.40 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

『オレは…オレは生きる!! 勇者と共に!!』


先代「聞いたか? 勇者?」フッ

勇者「はいっ、はいっ…」グスッ

先代「指輪で繋がっているのだから分かりそうなものだが…意外と抜けてるな」

しかし、勇者は本当に昔のアイツと似ているな。

泣き虫で…優しくて、『守り手』では無く個人として守ると言った僧侶の気持ちが良く分かる…

勇者「どうかしました?」グスッ

先代「いや、昔の賢者と似ていたからな…」

勇者「そうなんですか? 以外だなぁ……賢者様は物腰が柔らかくて、話す言葉は真っ直ぐで、綺麗だし…」

先代「アイツがか!?」

勇者「えっ? そうですけど?」

先代「随分変わったんだな…信じられん」

勇者「あのですね…えっと……」

先代「何だ? 言ってみろ」

勇者「魔王を倒してから僧侶の御先祖様が生まれたって言う事は……その…旅の途中に」

バシュッ

勇者「あれっ?」

ーーーーー

剣士「勇者、着いたぞ!!」ユサユサ

勇者「うっ、うぅん……」シパシパ

剣士「ぶつぶつ言っていたけど…夢でも見たか?」

勇者「えっ、いや!! 何でもないよ!!」カァッ

剣士「オレ達のやる事は決まったんだ、今はとりあえず休もうぜ」ニカッ

勇者「そうだね」ニコッ

327: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:17:21.50 ID:wtTyl0sP0
弐の国ー女傑商会ー

女商人「話しは船で僧侶から聞いた、私は今から城に行ってバカに伝えてくる…もう日も暮れた、皆は宿で休め…やる事は決まってるみてぇだからな」

僧侶「ああ、そうするよ…王への報告は任せる、じゃあ宿に行くか」

剣士「なぁ僧侶、勇者ぁ、腹減ったから何か食べに行こうぜ…」グゥ

勇者「そうだね、女商人またね!!」

女商人「おう!! またな!!」

ーーーーー

剣士「美味しかったぁ!!」

勇者「前に女商人と行った店なんだ、僧侶はどうだった?」

僧侶「美味しかったよ、久しぶりだな…あんなに食べたの」

勇者「ふふっ、良かった」ニコッ

剣士「じゃあ、宿行くか?」

僧侶「そうだな、早めに休もう…賢者様から連絡が来るかも分からない」

勇者「うん、そうだね」

ーーーーー

弐の国ー城ー

王「ついに魔王が…近いうちに諸国王で戦略会議があるだろうな」

女商人「私に何かやれる事はねぇか?」

王「まず武器が欲しいな、魔族はともかく魔物なら大砲で蹴散らせる筈だ」

女商人「ありったけくれてやる…金は『終わったら』寄越せ…」

王「ああ、後…」

女商人「なんだよ?」

王「その、あれだ…オレの様な素晴らしい人間でなければ、お前の様な奴を支える事は出来んだろう?」

女商人「何が言い 」

王「金ならある、オレと結婚しろ」

女商人「…!! バカッ!!」

女商人「お前の物は全部……全部、私の物だって…ちいせぇ頃から言ってんだろ!! もっと早く寄越せよ!! バッカ野郎!!」ポロ

王「悪かった、待たせたな……女商人」

328: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:21:31.77 ID:wtTyl0sP0
ー宿ー

ー勇者と剣士と僧侶ー


勇者「剣士は怖くないの?」

剣士「……怖い…けど、人を守る為に体を張った奴がいたんだ…その人と約束したんだ、魔物をやっつけて皆を守るって」

勇者「その人が騎士長さんなの?」

剣士「うん……皆を、約束を守るには、魔王を倒すしかない…でも自分じゃ倒せない……なら勇者に協力して少しでも早く戦いを終わらせるのがオレに出来る事なのかなって、そう思うんだ…」

勇者「剣士……」

剣士「それに、あの時…オレの中の『強さ』が変わったんだ」

剣士「僧侶を見た時にも感じた……勝つとか、倒すとかじゃないんだなって…オレが剣を振るう意味が変わったんだ」

勇者「剣士」

剣士「ん? どうした?」

勇者「絶対……絶対、皆で帰ろう!!」スッ

剣士「…!! おうっ!!」ガシッ

ーーーーー

勇者「すう…すぅ…」

剣士「勇者、疲れてんだな…何か眠れねぇ…少し外に出よう」

ガチャ パタン
329: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 01:26:34.27 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

僧侶「……………」

剣士「僧侶も眠れないのか?」

僧侶「んっ? ああ、疲れてる筈なんだけどな」

剣士「怖いのか?」

僧侶「ああ、怖い…」

剣士「僧侶も怖いのか…あんな戦い方見たから怖くないのかと思ってた」

僧侶「守る為にはどんな事でもやらなきゃならい時がある…」

剣士「僧侶はさ……人を…殺した事あるだろ?」

僧侶「ああ…分かるのか?」

剣士「武者修行中、色んな奴見たからな…でも僧侶は何か…違うんだ、優しい感じがする」

僧侶「そんな事は無いさ…」

剣士「ううん、爺ちゃんが言ってたんだ…本当に、本当に強い人は優しいって」

剣士「僧侶の事、誉めてたぞ…ああいう強さを求めなさいって」

僧侶「師範殿がそんな事を……オレはそんな…」

剣士「仕方ねぇなあ、怖がりの僧侶はこの剣士が守ってやるよ」ニコッ

僧侶「ありがとう…剣士」ニコ…

剣士「おうっ!! 後、僧侶はもっと笑った方が良いな」ウン


彼女は強いな…


自分の役目が一番危険かもしれないのに…


いや、守ってみせる…誰一人欠ける事なく笑える様に…


333: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:24:31.51 ID:wtTyl0sP0

「父よ、これで全ての修行を終えました」

「うむ、分かっているとは思うがこれよりお前は一族を背負わなければならない」


「未だ小さな争いは無くならない…それに、何やら大きな動きもある様だ、それを未然に防ぎ首謀者を抹殺せよ」

「……では行きます」

「これを持って行け、一族に伝わる装束だ、そしてこれより僧侶と名乗れ」スッ

「僧侶…はい、畏まりました」

ーーーーー

参の国ー王都ー

「此処にオレの協力者がいるとの話しだったが、名は錬金術師だったか」

娘「止めて下さい!!」

貴族「オレは貴族だ命令が聞けないのか? ん?」

僧侶「なあ、ここの貴族はあんなのばかりなのか?」

男「あ? ああ、アイツは気に入った女を強引に連れて行くんだ…でも誰も文句は言えないんだ……」

僧侶「そうか、なら仕方ないな」ザッ

男「おっ、おいアンタ何を」

僧侶「おい、その子の手を離せ」

貴族「貴族に逆らう」

僧侶「逆らうとどうなるってんだよっ!!」ゴッ


334: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:27:04.80 ID:wtTyl0sP0

貴族「此の場で首を斬り落としてやる!! 平民が!!」ジャキッ

僧侶「殺技・砕突」ガッ

   トンッ…ドッゴォ!!

貴族「ぐぉえぇぇ」ガクン

僧侶「殺技・駒脚」ヒュッ

  ドガンッ!!

貴族「げっはぁっ」ベシャッ

僧侶「次は無い…」ゴッ

貴族「ヒィィッ!!」

僧侶「おいクズ、何人の女を傷付けた? お前は殴られようが蹴られようが文句言えない事をしたんだ…」

ダダダッ

兵士「おい、貴様何をしている!?」

僧侶「コイツを殴った、見れば分かるだろ?」

兵士「その方は貴族だぞ!! お前っ」

僧侶「貴族なら何しても良いのか!? 兵士さん、アンタ結婚してるな?」

兵士「だから何だと言うんだ!?」

僧侶「愛する妻がこの貴族に辱めを受けたらアンタは耐えられるか!? 貴族だから仕方ないと、そう言えるのか!!」


   民衆『…………………………』


僧侶「大事にする物を間違えるな、オレを捕らえたければ捕らえろ」スッ

兵士「……行け、今はそんな気にはならん」

僧侶「……こいつはオレが王の下へ連れて行く、必ず罪を償って貰う」ザッ

娘「あ、あの…ありがとうございました!!」

僧侶「いや、礼は良い…」
335: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:29:05.98 ID:wtTyl0sP0

貴族「こっちは城じゃ」

僧侶「当たり前だ…城になど向かってない、お前は此処で死ぬ」ジャキッ

貴族「や、やめてくれ…」

  ザンッ!!

貴族「ぎぃやぁぁぁ!!」ブシャッ

僧侶「玉を斬り落としたらもう出来んだろ…同じ男として同情するが、その位の痛みで済んで良かったな」ザッ


ー錬金術師と僧侶ー

僧侶「ここか…」

  コンコン

「どうぞ、お入り下さい」

ガチャ

僧侶「初めまして、オレは僧侶だ」

「僕は錬金術師だよろしく」ニコ

僧侶「ところで陸の国が起こそうとしている事について教えてくれ、その為に来たんだ」

錬金術師「そうだったね、陸の国は新大陸を見つけたらしい」

僧侶「新大陸だって!?」

錬金術師「ああ、歴史的発見だよ…でも、そこには魔族と呼ばれる新たな種族がいたんだ」

僧侶「それで?」

錬金術師「もう分かる筈だ、侵略しようとしているのさ」

僧侶「そんな大それた事が起きていたとは…何故お前はそんな情報を?」

錬金術師「陸の王は強欲でね、今は不老不死がお望みらしい」

僧侶「なる程、それで…」

錬金術師「聞きたく無い事も聞かされるけどね…でも、今回の件は見過ごせない…只でさえエルフ差別とか問題になってるんだ、他種族を滅ぼすなんて許されはしない」

僧侶「そうだな…だが、陸の王にそれだけ気に入られてるのに何故この国に?」

錬金術師「逃げて来たのさ、それに君の一族の話しを聞いた時、陸の王を止められるのは君しかいないと思ってね」

僧侶「此の国の王には話したのか?」

錬金術師「いや、話してないよ…例え話しても無駄さ、陸の国の軍事力は他国より優れている…全ての国が協力しても五分だろう」

僧侶「……城塞への先入は簡単だが武器の規制が厳しいだろう、剣や短剣は…」

錬金術師「没収されるか有無を言わさず投獄だろうね…」

僧侶「何か無いか? 持っていても違和感は無く怪しまれない…そんな都合の良い武器が」

錬金術師「そうだね……ふむふむ…あるよ」

僧侶「どこに?」

336: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:32:38.82 ID:wtTyl0sP0
錬金術師「今から僕が作る、明日まで待ってくれ必ず君の望みの物を…」

僧侶「頼む、オレは宿で休むよ」

錬金術師「あぁ、そう言えば参の王が君に頼みたい事があるみたいだよ…ある貴族の振る舞いが目に余るって」

僧侶「貴族? ああ、それなら玉を斬り落としてやった」

錬金術師「……仕事が早いね」

僧侶「王の頼みなど知らなかった…偶然だよ、今頃は王の耳に届いているだろうし行く必要は無いな」

錬金術師「ははっ、君は凄いな」

僧侶「何がだ? 父にはいつも怒られたよ…冷静に行動しろと」

錬金術師「人を傷付けたのは誉められた事では無いにしろ、救われた人もいるんだ…君の『心』は間違っちゃいないさ」

僧侶「お前は不思議な奴だな錬金術師…」

錬金術師「まあ良く言われるよ、君は宿で休め…すぐに取り掛からないと明日に間に合わない」

僧侶「分かった…では明日のいつ来れば?」

錬金術師「昼には出来る」

僧侶「では、明日の昼に来るよ」

錬金術師「ああ、じゃあまた」

僧侶「ああ、またな」


翌日ー昼ー


僧侶「食事はあまり美味しく無かったな…さて行くか」ザッ



錬金術師「やあ、もう出来てるし調整も済んだよ」

僧侶「見せてくれ」

「これだ、着けてくれ」

僧侶「籠手? これが武器か?」

錬金術師「いや違う、肘を伸ばし手首を外側に向けて軽く振ってくれ…間違っても内側に拳を握ったりするなよ」

僧侶「……? 分かった」スッ

  ジャキッ!!

錬金術師「どうだい?」

僧侶「気に入った…凄い発想だな」

錬金術師「刃は出すと固定される、もう一度同じ動作をすると…」

 ガシュ…

僧侶「なる程……これなら」

錬金術師「喜んでる所申し訳無いが眠いんだ…もう行ってくれないか?」

僧侶「ははっ、分かった、ありがとう錬金術師」

ガチャ  パタン…


『陸の国が新大陸へ発見した!! だが現地の魔族に和平を持ち掛けた使者が殺された!! 陸の国は和平を諦め戦うそうだ!! 我々人間を守る為…』


僧侶「陸の国が情報を公開したのか!? 真実は捏造され、侵略は始まってしまった…」

337: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:47:55.70 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

数ヶ月後ー陸の国ー

僧侶「覚悟しろ陸の王…」

陸の王「儂を殺しても侵略は止まらんぞ」

僧侶「いや、国は混乱し進軍・援軍くらいなら暫くは抑えられる…貴様は間違っている…エルフ迫害、魔族虐殺…世界は人間だけの物ではない」

  ジャキッ!!

陸の王「暗殺者…他種族がいなくなれば平和になるのだ、考え直せ…」

僧侶「愚かな…人間同士の争いさえ無くならないと言うのに……」

   ザシュッ!!

陸の王「グハッ……愚か者ッ が…」

僧侶「愚か者は貴様だ、眠れ…」


ー更に数ヶ月後ー


ー参の国ー


『魔族が攻めてきた!! 我々人間を滅ぼそうとしている!! 陸の国は魔族の侵攻で滅んでしまった!!』

『諸国王は協力し魔族との戦争開始を宣言した!!』



僧侶「戦争は止まらなかった、随一の軍事力を持つ陸の国が滅んだのだ…幾ら協力した所で勝ち目は無い」

兵士「僧侶様、国王がお呼びです…」

僧侶「何か策があるのか…今行く」

ー謁見の間ー

王「良く来てくれた、今日は魔族との戦争の事で頼みがあるのだ」

僧侶「頼み?」

王「遂に魔王を倒せる者が見つかったのだ…特別な力を持っている、我々が知っている魔法とは別種の力だ…その者はまだ年端の行かぬ少女、お前には少女の護衛を頼みたい」

僧侶「……いいでしょう」

王「やってくれるか!! 今後はその少女、いや『勇者』を守護するのだ」

僧侶「で、その勇者はどこに?」

王「城の外だ、馬車を用意してある…早速魔王討伐に行って欲しい」

僧侶「………その前に一つ良いか?」

王「む、なんじゃ?」

僧侶「一人の少女にそんな事を強いるなど…お前等は愚かだな…」

王「なんだと!?」

僧侶「黙れ!! 魔王は倒す!! 約束しよう!! だがオレは『勇者は守る』がお前等を守る為じゃあ無い」

僧侶「これからオレは『勇者』の『守り手』だ!!」ゴッ

 ガチャ…  バタン!!

「っ!!」 タタタッ……

僧侶「今の娘は…?」


338: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:49:27.19 ID:wtTyl0sP0
ー更に時は進みー

伍の国ー宿ー

勇者「どこ行くの?」

僧侶「ん? 散歩だよ…」

勇者「こんな夜更けに? アンタ時々居なくなるよね…」

僧侶「良いから、早く寝ろ」

勇者「私に何か隠してるでしょ?」

僧侶「隠してない、魔物との連戦で疲れてるだろ? 寝ろ…」

勇者「答えてよ!! アンタは私に何も教えてくれない!! いつも子供扱いして、私は勇者なんだよ? 私の『守り手』なんでしょ!?」

僧侶「なら見るか? オレが人を殺す様を…」

勇者「……え? な、何を言ってるの?」

僧侶「今からオレはエルフを奴隷として売り捌いている商人を殺しに行く」

勇者「………」ギュッ

僧侶「オレは話した、理解しろとは言わない…しなくていい」

僧侶「寝てろ、じゃあな」ザッ

勇者「…………私は」
339: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:51:37.63 ID:wtTyl0sP0
ーーーーー

僧侶「随分良い所に住んでるな?」

商人「ヒッ!! どこから入った!?

僧侶「見張りが居たんでな、壁を登って来たのさ」

商人「お、お前、暗殺者か!?」

僧侶「お前にとってはな…エルフを奴隷として扱い、売り物にするとは…救いがたいクズだな…」

商人「オレだけじゃない!!」

僧侶「お前以外の者は皆、何者かに殺されたぞ、残りはお前だけだ」

商人「そ、そんな…助けてくれ!!」

僧侶「皆、そう言って死んだそうだ…」

  ジャキッ!!

商人「たすきゃ」

  グサッ!!

僧侶「これで、奴隷商売する輩は居なくなるだろう…」スッ

『何だこのガキ!? おいガキを止めろ!!』

  ガチャ!!

勇者「僧侶!!」ポロ

僧侶「バカ!! 何故来た!!」

勇者「だって、だって」グスッ

『商人さんが死んでる!! 最近出てる暗殺者はコイツか!!』


僧侶「仕方ない…」チャキ

 ズバッ ザクッ 

『上へ急げ!! 侵入者だ!!』

勇者「うっ、うぅっ」グスッ

僧侶「っ!! 来い!!」ガシッ

僧侶「ちゃんと捕まってろよ!!」バッ

 ビョウゥゥゥ… ガサッ…

『どこに行った!! 探せ!!』

340: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:52:46.76 ID:wtTyl0sP0
僧侶「動くなよ…」ギュッ

勇者「なッんで人ッを殺ッすの?」ギュッ

僧侶「……お前には出来ないからさ」

勇者「なにを?」

僧侶「悪を見過ごす事だ…そしてお前は、どんな悪人だろうと殺す事は出来ない」

勇者「…………」グスッグスッ

僧侶「泣くな…」ナデ

僧侶「もう行ったな…宿に戻るぞ」ガサ

勇者「…………」グスッグスッ

僧侶「はぁ……」グイッ ヒョイッ

ザッザッザッ……

勇者「私……何にも知らなかったんだ、アンタと王様の話しを盗み聞きした時から……」

僧侶「もう一つ話す事がある」

勇者「……なに?」

僧侶「この戦争は人間から仕掛けた…魔族は自分達を守る為に戦っている、勇者…お前はそいつ等の尻拭いの為に使われてる」

勇者「そ、そんなのウソだよ!! だって、みんな魔族から攻めて来たって」

僧侶「それが嘘だ…どちらを信じるかはお前次第だがな」

勇者「もう、もう、分かんないよ…」グスッ

僧侶「泣くな…オレがいる、オレはお前を守る…それだけは信じろ」

勇者「うん、分かった」グスッ

僧侶「泣き虫だな、お前は…」
341: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 20:54:14.66 ID:wtTyl0sP0
ーーーーーー


錬金術師「やあ、久しぶりだね…何の用だい?」

僧侶「魔王を倒したい、力を底上げする様な都合の良い物を作ってくれ」

錬金術師「むちゃくちゃだなぁ、君は…まぁ良いよ、5日で作ろう」

僧侶「お前は凄いな…お前が魔王を倒してくれれば楽なんだが」

錬金術師「それは、君達にしか出来ないさ…君が勇者だね」

勇者「そうだけど、何?」

錬金術師「ふむ、君は僧侶を愛してるね?」

勇者「はぁっ!? な、なにを」カァッ

錬金術師「その反応で十分だ、よしっ今から取り掛かる…もう行ってくれ」

342: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 21:17:21.98 ID:wtTyl0sP0
ー宿ー

僧侶「錬金術師から物を受け取ったら魔族の地へ行く」

勇者「アイツ信頼していいの?」

僧侶「この籠手を一晩で作った奴だ信頼出来る、お前は早く寝ろ」

勇者「あ、アンタはさ…その」

僧侶「お前の事なら…」

勇者「な、なによ?」

僧侶「いや、お前を愛してる」

勇者「うっ、え、あのっ」カァッ

勇者「そ、僧侶!!」ガバッ

僧侶「なんだ?」

勇者「わ、私もアンタを愛してる!!」クワッ

僧侶「そうか、分かったから…退いてくれ」

勇者「や、嫌だ…アンタの子供が欲しい!!」

僧侶「お前、頭大丈夫か?」ナデ

勇者「うん、大丈夫…」テレッ

勇者「じゃなくて!!」クワッ

僧侶「はぁ、今じゃなくても良いだろ? 全部終わってか」

勇者「うるさいな!! いいでしょ!!」

僧侶「分かった、分かった…」

勇者「じ、じゃあ、するよ?」ギュッ

僧侶「ああ」ギュッ


ー5日後ー


僧侶「絆を力に変える指輪か…」

勇者「綺麗な指輪…」

錬金術師「気に入ってくれたみたいだね、僕の仕事は此処までだ、後は君達に任せるよ」

僧侶「済まないな、礼を言う」

勇者「ありがとう、ございました」

錬金術師「ふぅん、変わったね? 何かあったのかな? ふふっ」

勇者「僧侶!! 行こう!!」カァッ

僧侶「じゃあ、またな錬金術師」ザッ



錬金術師「ああ、また会おう…」


343: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 21:23:50.50 ID:wtTyl0sP0
勇者「いよいよだね」

僧侶「ああ、これが終われば全てが良くなる、そしたら三人で暮らそう」

勇者「うん…」ジワッ

僧侶「泣くな」ナデ…

勇者「大丈夫だよ、じゃあ行こう?」ニコッ

僧侶「……ああ」

ーーーーー

魔王「お前達が勇者と守り手か…」ズズズ…

勇者「魔王、此処で終わらせる!!」ゴゴッ

僧侶「勇者、お前は魔法を…オレは接近戦で行く」

344: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 21:29:03.72 ID:wtTyl0sP0

僧侶「殺技・血桜」タンッ

ヒュッ… ズギギャギャ!!

魔王「ぐっ…だが負けられん、魔族を守る為に!! 勇者!!貴様に『覚悟』はあるか!?」

勇者「…ッ!!」

僧侶「勇者!! 揺れるな!! 気持ちを強く持て!!」

魔王「己の戦う意味に疑問を持つ者に負ける訳がない!! 死ねッ!!」

魔王「禍炎・葬」ズズ…

僧侶「勇者っ!!」バッ

ドッ!! ゴォォアアアア!!!

僧侶「グッハァッ!!」

彼女だけは、彼女だけは…

オレの全てをくれてやる、月の指輪よ…

彼女に…力を与えてくれ……

  『キラッ…パァァァッ!!』

勇者「僧侶……? 僧侶ッ!! 僧侶ぉぉぉ!!!!」

魔王「守り手は死んだ、勇者!! 残るはお前だけだ!!」
345: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 21:34:05.36 ID:wtTyl0sP0
戦う意味とか、そんなのはもういい…

私は…魔王を倒すっ!!


勇者「魔王ォォォォォッ!!」カッ

『ギランッ!!』

勇者「神炎・迦具土!!」ゴッ


魔王「こ、これはっ!! 何ッだこの力は!! ぐぅッ!!」

勇者「滅びろッ!! 魔王ッ!!」ググッ


魔王「グッ、うおぉぉぉぉ…」


ズッ!! ゴッバァァァァァ!!!

ザァァァァァ……

魔王「我は滅びない、世界から人間を滅ぼし魔族の平穏を手に入れるまで」

魔王「貴様等人間は醜い!! 我は見てきたのだ!! その醜さを」

勇者「魔王…私は『人』を守る為に戦った…お前は『魔族』を守る為に」

魔王「貴様等人間が我々の暮らしを愚かな欲望で壊さなければ、こうはならなかった」

魔王「偽りの正義だ、しかし我々の真実など歴史の闇に葬られる…だが!! 何年何百年掛かろうと必ず蘇り人間を滅ぼす」


「これが我の誓い…だ」サァァァァ

ーーーーー

勇者「僧侶…ごめん…ごめんね」グスッ

僧侶「お前が無事ならいい…さ」

勇者「うっ、うぅっ」グスッグスッ

僧侶「勇者!! その子を…頼む…」ニコ…

勇者「いや……待って、いやぁぁぁぁぁ!!」

346: ◆jPpg5.obl6 2012/12/17(月) 21:48:22.22 ID:wtTyl0sP0
ー宿ー

僧侶「これは、先代と賢者様の記憶…先代は本当に賢者様を愛していたんだな…魔王の『信念』、オレ達の『信念』どちらも間違ってはいない」

僧侶「『大事な者』の為に、己の全てを全てを懸けて戦わなければ負ける…『覚悟』か…」

ーーーーー

ー戦略会議ー壱の国ー

壱の王「それでは戦略会議を始めます、諸国王…及びエルフの女王よ、遠方から来て戴き有り難う御座います」

弐の王「武器の手配は出来ています、魔族はともかく大型の魔物でも問題はないかと」

参の王「では、民の避難はどうしましょう?」

女王「都と城に避難させる準備は整っています、勇者様が魔王を打ち倒すまで各国籠城になるかと」

王子「父の代理で来た王子だ…です、勇者達と魔王が入れ違いになった場合勇者達はどうする…んですか?」

賢者「その為に私が残ります」

ズズズ…

賢者「何か来るっ!!」バッ

バシュッ!!

魔女「魔王様から言伝を頼まれました、魔王様は1ヶ月後に戦争を開始する…と」

『1ヶ月後… だが鵜呑みにする訳には』

魔女「信じるか否かはお任せします」

賢者「信じるわ」

『なっ!? 賢者様っ?』

魔女「……」

賢者「魔王に伝えて、『勇者』はあの時の『私』とは違うと…」

魔女「……用事は済みました…では1ヶ月後に」

バシュッ!!

賢者「諸国王及び、女王様…民の命を最優先に考え準備を、私は勇者達に伝えて来ます」

バシュッ!!

壱の王「では、準備に取り掛かりましょう、1ヶ月時間があるとはいえ時間が惜しい…」

弐の王「国と民の為、協力しなければならないでしょう」

参の王「エルフの女王よ…」

女王「……何でしょう?」

参の王「四百年前…いや、それは関係無い」

女王「……………」

参の王「『人』として、誠に申し訳無かった!!」

女王「…っ!! 何故…」

弐の王「女王よ済まない、皆切り出せずにいた…四百年前とは言えど差別・迫害、許される事では無い…戦争の際に協力して欲しいとは虫のいい話し…」

壱の王「忘れてはならないと、そう思ったのです…」

王子「女王様!! よろしくな!!」ニカッ

未来を創る者。

士の王が彼を代理にしたのは…

ふふっ、そういう事でしたか。

女王「ふふふっ…ええ、よろしくお願いします、諸国王達よ…『共に』参りましょう」
371: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:03:58.92 ID:K/8Rad+e0
弐の国

ー宿ー

バシュッ!!

勇者「賢者様!! 何かあったんですか?」

剣士「ふわぁぁ、勇者どうしたぁ?」

賢者「勇者、僧侶を呼んできなさい」 勇者「はい!!」タタッ

ーーーーー

賢者「三人揃ったわね…戦略会議中に魔王の使者から1ヶ月後に開戦すると告げられた…」

賢者「1ヶ月の間、三人にはやって貰う事があるわ」

勇者「何をすれば?」

賢者「まあ、簡単な話し修行ね」 剣士「修行?」

賢者「勇者は私と、剣士は師範殿と、僧侶は…」

僧侶「どうしました?」

賢者「僧侶は先代と…」

僧侶「……分かりました」

賢者「まず剣士、壱の国へ送るわ」 剣士「爺ちゃんとかぁ、よし!!」

バシュッ!!
372: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:06:07.06 ID:K/8Rad+e0
ーーーーー

王宮ー中庭ー

バシュッ

師範「誰だ!! 剣士っ!? 貴女は?」

賢者「私は賢者と申します、時間がありません…訳は剣士から聞いて下さい」

師範「うむ、分かった」

バシュッ

剣士「爺ちゃん、オレは勇者を助ける為に魔族の地に着いて行くんだ」

師範「…………」

剣士「だから守れる強さが欲しい、1ヶ月しか無いんだ…でも、強くなりたい」

師範「見ない内に変わったな…全ては分からんが、思いは分かった」


剣士「ありがとう爺ちゃん」


師範「場所を移す、流石に王宮ではまずいじゃろ」

ー平原ー

師範「此処なら良いじゃろ」


師範「では…参る……」ズオッ

やっぱり爺ちゃんは強い、肌で分かる。

師範「剣技・雷突」シュン

早いッ!! 剣士「雷一閃!!」ブンッ

ズギャギャギャ…!! 師範「双牙…」ガッ

剣士「くっ!!」タンッ

ザザンッ!!  剣士「危ねぇ!!」ハアッハアッ

師範「距離を取り過ぎじゃ…風の太刀」チャキッ

キィィィン……ドッ!!!

範囲が広い!! どうすれば…

そうだ……!!  剣士「風の太刀!!」チャキッ

キィィィン… ドッ!!

シン……  師範「ふむ…『此処』まで来たのか…」

剣士「爺ちゃん?」

師範「『教える』気でいたが…それではいかんな…」ズズズ

剣士「……うっ!!」ブルッ

師範「剣士、『斬る』…」

剣士「爺ちゃん……『覚悟』は出来てる」ジャキッ

373: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:07:30.68 ID:K/8Rad+e0
弐の国ー宿ー

賢者「僧侶と勇者は私と神の山へ行きましょう」

『分かりました』

バシュッ!!

ー神の山ー

賢者「王達は協力し魔族侵攻の対策を考え準備を始めています…ですが終わらせるのは貴方達の役目、勇者には私が持てる全てを教えます」

勇者「……はい!!」

賢者「僧侶はこの先の祠へ…そこに行けば分かります」

僧侶「はい、では行ってきます…」ザッ

賢者「……………」
374: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:09:53.12 ID:K/8Rad+e0
ーーーーー

ー祠ー

僧侶「此処に…先代が?」

先代「来たな…僧侶」ザッ 僧侶「……先代!!」

先代「話しはいい…来い」ジャキ   僧侶「……はい」ジャキ


『殺陣・影断ち』ヒュッ


ギャン!! ギャリリッ!! 

先代「遅い…殺技・落葉」ブンッ

ドギャッ!!


僧侶「ぐっ、重ッい…」ギリリ  先代「………」パッ

僧侶「剣を手放したっ!?」フラッ  先代「殺技・響掌」タンッ

スッ……ピタッ ズドッ!!  

僧侶「……っガッ」


全身に電撃が走った様な感覚ッ!!

変幻自在…全てが必殺、これが先代!!


先代「死ぬぞ? 勇者と生きるなど夢のまた夢だな…」

僧侶「ッ!! 殺技・紅桜…」ダッ  先代「………」スッ

ガシィッ!!

先代「突き刺す前に止められる」  僧侶「…翔脚!!」ギュン

これなら届くッ!!  

先代「殺陣・翔」ブワッ グイッ

僧侶「なっ!?」  先代「落ちろ…殺技・雷」

ブンッ!! ドッガァァァ……

スタッ…


先代「立て…『守り手』」


375: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:10:44.80 ID:K/8Rad+e0
ー魔族の地ー

魔王「『勇者』は違う…か、真実を知って尚、戦う覚悟があるのだな」

魔女「魔王様…」

魔王「どうした?」

魔女「いえ…私は此処で失礼します」

シュンッ…

魔王「………?」

魔剣士「おい、皆が呼んでるぞ」

魔王「ああ、今行く」ザッ

376: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:16:49.54 ID:K/8Rad+e0
神の山ー山頂ー


勇者「ハァッ…ハッ…」

賢者「今日はこの辺で終わり、私は剣士の所に行ってくるわ、あの子は治癒魔法使えないし」

勇者「分かりッました」ハァッハァッ

賢者「少し休んでから私の家に戻りなさい」

バシュッ

勇者「賢者様は強い…あれ位強く成らないと魔王は倒せないんだ……」

シュンッ…

勇者「ん? 賢者様?」クルッ


「魔雷・連弾」カッ

ドッ!! ガガガガ!!  勇者「くっ!! 魔族!?」

魔族「勇者、お前を殺せば…魔王様を倒せる者は居なくなる……」


賢者様との特訓で魔力が殆ど残って無い…

大きいのを一発打てば無くなる!!


魔族「闇炎・這炎!!」ゴッ


ズズズ…ゴォオオオオッ!!

迷ってられないっ!!  勇者「神氷・針柱」カッ


パキパキッ… キンッ!!ザンッザン…

魔族「くっ!!」ヒュン

防がれた…あの魔法は本来、魔王様しか使えない…

でも、まだ魔力は残ってる!!


勇者「避けられた…」ハァッハァッ  魔族「魔氷・大槍!!」
377: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:20:47.17 ID:K/8Rad+e0
ー先代が死んで技を伝える者は居ないの筈なのにー

ー何故、技は途絶えなかったんですか?ー


ーふふっ、それはねー


勇者「影断ち!!」シュン

魔族「なっ!?」


勇者「行けるッ!!」スチャ

魔族「魔雷・千槍!!」

ズザザザザッ!!

勇者「ガハッ…ッ!! 翔!!」ブワッ


魔族「なっ!? 止まらない…!! くっ、魔炎・」


ー私が教えたからよー


勇者「落葉!!」ブンッ

ビョゥゥ… ザンッ!!!  

魔族「うっ!! グハッ…」ドサッ


勇者「で、出来た…」ハァッハァッ


378: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:22:50.97 ID:K/8Rad+e0

魔族「魔王様…」

勇者「………何故」

魔族「私は魔王様を愛してる、あの方は一度勇者に負けた、もう魔王様が居なくなるのは私には耐えられない」

勇者「……あなたは?」

魔族「…私は魔女、魔王様に命を救われた、魔王様にならこの命を捧げてもいい……」

勇者「…私は、魔王を倒すよ」

魔女「勇者だから?」

勇者「違う、愛する人と生きる為」

魔女「……!! 確かにあの時の『勇者』とは違う、『人間』を守る事に疑問を持って戦っていたあの時とは…」

勇者「この戦いは、どちらも正しいし間違ってる…だから決めたの、我が侭でも何と言われようと」

勇者「私は『大事な人』の為に戦う!!」

魔女「そう…もし貴方が、もし貴方の様な人間がいれば四百年前の侵略行為も…あの方が魔王と名乗る事も無かったかもしれない……」

勇者「賢者様に聞いたよ、最初に仕掛けたのは人間だって、でも賢者様は『背負って』戦った…」

魔女「この闘争が終われば、片方の種族は滅びる…私は此処までね」サラサラ

勇者「っ!? 治」バッ

魔女「やめなさい、何も変わらない…人間と魔族は相容れる事は無い」

勇者「……」スッ

パァァァッ

魔女「魔力……何を?」

勇者「私の魔力は魔族は毒かもしれない、でも足しにはなる…せめて、貴方の愛する人の手の中で…『死んで』」クルッ

魔女「……ありがとう」ググッ

シュンッ…


勇者「…………」ポロ
379: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:23:48.97 ID:K/8Rad+e0
壱の国ー平原ー

剣士「雷光の太刀!!」

ダンッ!! 師範「ぬん!!」ガッ

ガギギキギッ!!

剣士「おりゃあああ!!」ググッ  師範「流水」フッ

ジャリィィッ!!

師範「砕の太刀…」ズズ

ダンッ!!  剣士「ッ!!」ジャキッ

ガッ!! ギャギンッ!!

剣士「くっ……」ググッ

ビキッ!! 剣士「剣がッ折れるッ」

スバァッ!! 剣士「うぐっ!!」ブシャ

師範「……………」

バシュ!!

「治癒・中」パァァァッ
380: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:25:59.89 ID:K/8Rad+e0
剣士「賢者…」

賢者「修行中に死ぬ何て笑えないわよ」

師範「済まぬ賢者殿、真剣の稽古でなければ伝わらんのだ」

賢者「それは良いです、ですが治癒魔法を使える人を呼ばないと」

師範「魔法は使えずとも、気を練れば多少の傷ならば塞げる、じゃが…」

賢者「なんです?」

師範「このバカ孫は剣技の修練ばかりで気の練り方を怠ってまして」

賢者「剣士!!!」

剣士「っ!! はい!!」ビックゥ

賢者「人を守なら、まず自分の身を守る術を身に付けなさい!! 分かった!?」

剣士「はい!! 分かりました!!」

賢者「よし」

師範「賢者殿、有り難う御座います」

賢者「いえいえ…!!」ピクッ

師範「どうなされた!?」

賢者「勇者が…!! 私は戻ります!」

バシュッ

382: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:30:29.89 ID:K/8Rad+e0
ー魔族の地ー

魔王「各国一斉に攻めるのでは無く、一国ずつ…確実に行く、エルフの国は最後だ」

魔剣士「分かった、ん?」

シュンッ

魔女「魔王…様」ハァッハァッ 

魔王「っ!? 魔剣士…外してくれ」

魔剣士「……分かった」ザッ

魔王「魔女…勇者に、挑んだのか?」

魔女「はい、申し訳御座いません」ギュッ

魔王「もう良い…」ギュッ

魔女「勇者が…魔力を分けて」

魔王「ああ、感じる…」 
383: ◆jPpg5.obl6 2012/12/18(火) 21:31:12.72 ID:K/8Rad+e0
魔女「私は、あの頃から…貴男が魔王と名乗る前より…」

魔王「………」

魔女「貴男を…愛しています」ポロ

魔王「魔女…」グッ 

魔女「戦争など無く、そのままの貴男と出会えていれば…良かったのに…」グスッ

魔王「ああ…そうだな…」ナデ

魔女「魔王様、生きて…貴男だけは生きて下さい…」

魔王「………」ツー  

魔女「ふふっ、魔王様も涙を…流すのですね……」ニコ…

魔王「その様だな…」グイッ 

魔女「そろ…そろわたし…は」パァァァ

魔王「…っ!! 魔女…」

魔女「は…い」サラ…

魔王「俺も…お前を愛している」ニコリ

魔女「っ……はいっ」ニコッ

サァァァァァ………

魔王「魔女……うぅっ!!」ググッ



魔王「ウオォォォォォォォァアッ!!!」


390: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:21:29.89 ID:IsPbjfU+0

ー神の山ー

バシュッ!!

賢者「勇者!! 無事!?」

勇者「……はい」グスッ

賢者「この魔力…魔女が来たのね?」

勇者「はい、魔女は魔王を『守る為』に来ました…魔女は…魔王を愛していました」グスッ

賢者「……そう」

賢者「勇者、私の家に戻りましょう…今日はゆっくり休みなさい」

勇者「はい、分かりました」グシグシ

391: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:24:27.48 ID:IsPbjfU+0
ー祠ー

僧侶「はぁっ…はっ…」グッ

先代「四度は死んだな…」

僧侶「ッ!! 殺技・翔牙!!」タンッ  先代「影断ち」シュンッ

僧侶「なっ!?」シュ

先代「遅い…血桜」タンッ

ドッ!! ザシュッ!! ザギャギャギャ!!

僧侶「ガフッ!!」ブッシャア…

先代「此処はお前の心の深層と繋ぐ場所…死にはしないが痛みはある、今日は此処までだ…」

僧侶「はい、ありがとうございました」フラッ

ザッザッ……


ブシュッ…ポタッポタッ

先代「…流石に無傷は無理か」

392: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:26:56.24 ID:IsPbjfU+0
ー賢者の家ー

僧侶「只今戻りました…」ハァッハァッ

賢者「ふふっ、かなりやられた様ね」

僧侶「ええ、技のキレから何もかも先代が上です、指輪の援助があると驕っていた様です」

僧侶「ところで勇者は?」

賢者「私との特訓の直後に魔族に襲撃を受けた…撃退はしたのだけど疲れて寝てるわ」

僧侶「襲撃…単独で、ですか?」

賢者「ええ、襲撃して来た魔族は戦略会議に現れた魔女だった様ね…」

僧侶「一体何故…」

393: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:28:39.42 ID:IsPbjfU+0
賢者「魔王と勇者の戦いを防ぐ為、魔女は魔王を愛していたと勇者が言っていたわ……」

僧侶「………」

賢者「幾ら考えても答えは出ないわ」

賢者「魔女は『愛する者』の為に戦った、そして勇者も…」

僧侶「……!!」

賢者「シャキッとしなさい僧侶…貴方は『誰』を守るの? 『誰』を愛しているの? それははっきりしてるでしょう?」

僧侶「はい、その思いだけは『揺れ』ません」ググッ

賢者「…!! そう、私は少し外に出るわ、食事の準備は出来てる…あなた達だけで食べなさい」

僧侶「分かりました」

賢者「すぐ戻るから…」

ガチャ パタン…
394: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:30:30.07 ID:IsPbjfU+0
勇者「うぅん…あっ、僧侶…」

僧侶「悪い、起こしたか?」

勇者「大丈夫だよ、あの…」

僧侶「賢者様に聞いたよ…勇者、辛かったな」ギュッ

勇者「うぅっ…」ギュッ

勇者「私と魔女には通じる想いがある、ただ立場が違うだけ」グスッ

僧侶「なあ、勇者…今まで一度も言わなかったな…」パッ

勇者「ん? なに、僧侶?」

僧侶「勇者……君を、愛してる」

勇者「……!! はいっ…私も、あなたを愛してますっ…」ポロ
395: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:33:16.52 ID:IsPbjfU+0
ーーーーー

賢者「『揺れません』…か」

『揺れるな勇者!! 気をしっかり持て!!』

賢者「私こそシャキッとしないとね…」

それよりあの二人、人の家でやらかしてんじゃないでしょうね…

まあ、勇者には無理か…


賢者「さて、戻らないと…」ザッ

ーーーーー

勇者「お帰りなさい、賢者様」ニコッ

賢者「まだ食べてなかったの?」

僧侶「ええ、すぐ戻ると言っていたので、待っていました」ニコリ

賢者「ふふっ、ありがとう…じゃあ、皆で食べましょう」ニコッ



ー勇者、僧侶、今この時を大切にしなさい…
396: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:35:08.37 ID:IsPbjfU+0
ー爺ちゃんと孫ー

師範「勇者様に何が…」

剣士「……爺ちゃん!!」

師範「なんじゃ!?」

剣士「分からない事考えても仕方ない!! 今、やれる事をしよう、勇者は絶対大丈夫だ!!」

師範「そうだな……じゃが!! 賢者殿も言っておったが、まず自分の身の守り方から覚えろ」

剣士「分かった、確か下腹に力入れて呼吸するんだっけ? それから溜めた力を傷付いた部分に流すイメージで傷を塞ぐ…」

師範「分かっとるなら初めからやらんか馬鹿たれ!!」
397: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:36:22.45 ID:IsPbjfU+0
剣士「だって戦闘中に意識す」

師範「だってじゃない!! はい、と言え馬鹿者!!」

剣士「はい、爺ちゃんはうるさいなぁ」

ガンッ!!  剣士「痛っ!!」

師範「全くお前は…今日はこれで終いじゃ、明日から呼吸を意識しながら剣を振れ」

剣士「えぇ…っ!! はい…」

師範「王都に戻るぞ」

剣士「家に帰るの? 母さんはいる?」

師範「いるじゃろ、久々に顔見せてやれ」ニコリ

剣士「おうっ!!」ニカッ
398: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:37:52.16 ID:IsPbjfU+0
ーーーーー

剣士「ただいま!!」

母「剣士!! お帰りなさい」ギュッ

剣士「へへっ、ただいま」グゥゥ

母「お話はご飯食べてから聞くわ、父様もお帰りなさい」ニコリ

師範「うむ、儂も腹が減った」

母「はいはい、今準備しますから」

ーーー

母「そう、勇者様と…」

剣士「うん…」

母「剣士が決めたなら良いわ、でも必ず帰って来なさい」

剣士「分かった」

母「何度も話したけれど、あの人は魔族から部下を守る為に死んだ」

母「人を守るのは尊い事だけれど死んでは駄目よ…」ポロ

剣士「大丈夫だよ、必ず生きて帰ってくるから…それに、旅立つのはまだ先だから」ギュッ

母「ふふっ、一緒に寝るのは久しぶりね…おやすみ、剣士」ナデ

剣士「おやすみ、母さん」ギュッ
399: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:47:08.21 ID:IsPbjfU+0
ー魔族の地ー

魔王「魔女は勇者に敗れた」

魔剣士「そうか……アイツはちっちぇ頃からお前に懐いてたな…」

魔王「ああ…そうだな」

魔剣士「なんだ? らしくねぇなぁ」

魔王「俺を何だと思ってるんだ? 魔王と名乗っているが、お前と同じ魔族だぞ?」

魔剣士「ははっ、お前のそういう所見た事ないからな」

魔王「俺は…魔女を愛している」

魔剣士「っ!!…そう…か…」

魔王「この闘争に勝てば、魔族の皆が何にも怯える事無く笑いあえる…特に魔女には笑って欲しかった……」

魔剣士「オレは…何も言えねぇよ、ただ勝たなきゃならねぇな」

魔王「そうだな……」

400: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:48:56.91 ID:IsPbjfU+0
タタタッ!!

魔族「魔王様!!」

魔王「どうした?」

魔族「闇神官を見たとの情報が入りました…」

魔剣士「奴は四百年前に魔王が処刑した筈だ、見間違いじゃあねぇのか?」

魔王「何処で見た?」

魔族「陸の国です…」

魔王「奴が生きているとして、何故滅びた陸の国に? 魔物しか居ない筈だ…」

闇神官ー四百年前に同胞の亡骸を使いおぞましい実験を繰り返し、さらに人間も実験台にした異常者…

それを知った俺はすぐに奴を処刑した、我々は魔族の平和の為に戦っているのだ、確かに人間は憎いがそんな事を許す訳には行かなかった。

例え人間であろうと死者は冒涜してはならない。
401: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:51:57.12 ID:IsPbjfU+0
魔剣士「どうする?」

魔王「奴を監視し」

闇神官「その必要は無いぞ、魔王」

魔剣士「てめぇ、生きてやがったのか!?」

魔王「何を企んでいる? 答えろ」

闇神官「ついに人間を滅ぼす兵器を創り出したのだよ」

魔王「それで?」

闇神官「1ヶ月後に戦争を始めるのだろう? 協力させて欲しい」

魔王「……いいだろう、だがこれ以降は此の地に足を踏み入れるな、四百年前の罪は許されない、何をしてもだ」

闇神官「まあ良い、人間さえ殺せれば良いからな…」

ザッザッ……

魔剣士「良いのか?」

魔王「いや、監視はさせる…頼むぞ」

魔族「畏まりました…」スッ

402: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 00:57:59.39 ID:IsPbjfU+0
十日後

ー伍の国ー

弐の王「各国に武器の輸出は済みました」

女王「弐の王よ、助かります…城壁・障壁の強化も終われば、侵攻を暫く防ぐ事は出来るでしょう」

壱の王「民の避難経路の準備も整った」

参の王「我々は民を守り、後は勇者様が魔王を倒すのみ」

王子「必ずやってくれるさ!! 情けない所は見せられねぇな……」グッ

女王「皆、信じましょう…それに準備はやり過ぎて悪い事はありませんから」

弐の王「そうだな、我々が民を守れなければ本末転倒」

参の王「勇者様に顔向け出来んからな」
403: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 01:00:16.63 ID:IsPbjfU+0
壱の王「まだ早いですが……」

諸王・女王『…………?』

壱の王「戦いなど無くとも情報交換・物資援助な」

王子「壱の王様っ!! 堅苦しいぜ!! 簡単に言えば皆仲良くしようって事だろ?」

『……!!』

壱の王「……!? はははっ!! そうだな、その通りだ!!」

参の王「ははっ、立場ばかり考えて大事な物を忘れていた…」

女王「ふふふっ、我々は駄目ですね…こんな時だからこそ、素直にならねばならないのに……」

弐の王「そうだな……言い方は悪いが国や政治の事など関係無く、王としてでは無く会いたい」

王子「オレはさ、正直嫌な王様もいるかと思ってた……でも、皆いい人だな!! 女王様はすっげぇ綺麗だし…代理になれて良かったぜ!!」ニカッ

弐の王「お前は凄いな、バカッぽいが…」

王子「バカじゃねぇよ!!」

女王「ふふっ、ありがとう…士の王子」ニコリ

王子「………」ポォーッ

女王「どうしました?」キョトン

王子「んっ? いやっ、何でも無い…です」カァッ

404: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 01:05:08.40 ID:IsPbjfU+0
ー祠ー

先代「拳槌」ゴッ  僧侶「影断ち」シュン

僧侶「双拳」タンッ

ドッゴォッ!! 先代「ぐっ…」ミシッ

僧侶「裂き太刀!!」ジャキ

ガギィッ!! 先代「まだ甘い」ググッ

僧侶「……っ!!」パッ

剣を手放した…ちゃんと学んでいるな…

先代「………」スゥ

僧侶「旋脚!!」バッ  先代「翔・落葉」ブンッ

ズッバァッ!! 僧侶「ガッハァ」ブシュッ

先代「大分良くなったな…」

僧侶「いえ、まだです…」

先代「焦るな…今日は此処までだ」

僧侶「はい、ありがとうございました」

ザッザッ…

先代「もうすぐ追い付かれるな…終わった後も修練してるのだろう、それに瞳の強さが前とは違う……」

405: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 01:06:44.58 ID:IsPbjfU+0
ーーーーー

ー賢者の家ー

勇者「お帰りなさい」ニコリ

僧侶「ただいま」ニコッ

賢者「二人共、話があるわ…座って頂戴」

僧侶「分かりました、何でしょう?」

賢者「前にも言ったけど、魔王自身が攻めて来た場合の話よ」

勇者「賢者様が残ると言ってましたが」

賢者「まずコレを…」チャリ

僧侶「首飾り…?」

賢者「私が此方で魔王と戦い…そして、もし私が敗れたら…あなた達を呼び戻す」

勇者「その為の首飾りですか?」

賢者「そうよ、でも魔王が攻めて来なければ各国を守護するわ」

僧侶「分かりました」

賢者「それと、急で悪いけど今から二人には私と戦って貰うわ」

『……!!』

賢者「着いて来なさい…」

406: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 01:13:18.84 ID:IsPbjfU+0
神の山ー山頂ー

賢者「来なさい…」ゴッ

僧侶「勇者、魔法で援護をオレは接近して攻撃する!!」

勇者「分かった!!」


僧侶「影断ち・双拳!!」タンッ 賢者「……影断ち」シュンッ

やはり賢者様が技を伝えたのか…

賢者「精霊術・鳳炎」カッ

ボウッ!! グォォォォッ!!

勇者「聖氷・凍壁!!」カッ

パキパキッ…ズドンッ!!

僧侶「翔・落葉」ダッ 賢者「翔脚」ダン

スドッ!! 僧侶「ぐっ…」


勇者「殺技・千突!!」ジャキッ

ジャギャギギギギン!!

賢者「くっ…翔」バッ 僧侶「翔・拳槌」ゴッ

ドッゴォッ!! 賢者「ぐっ!!」ズサッ

賢者「聖氷・千柱」カッ

パキパキッ ザンザンッ!!

勇者・僧侶「…っ翔!!」バッ

賢者「翔・円刃」ブゥン…

ドギャッ!!

ドサドサッ…
407: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 01:15:31.74 ID:IsPbjfU+0
勇者・僧侶「ハァッハァッ」ググッ

賢者「此処まで!!」

『はい!!』

賢者「連携は良いわね、やっぱり必要なのは個人の力ね…」

僧侶「勇者も使えるなんて驚いたな…」

勇者「賢者様がね、せっかく良い剣持ってるんだからって教えてくれたの」

勇者「まだ全然だけど使える様にはなってきたよ」ニコッ

僧侶「凄いな…勇者、がんばろうな」ニコッ

賢者「じゃあ、戻って晩ご飯にしましょう」

勇者・僧侶「はい」

ザッザッ……

413: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:04:11.78 ID:74aUOq2O0
壱の国ー平原ー

剣士「すぅぅ…はぁぁぁ…」ググッ

剣士「雷一閃」ダッ

師範「流水」スゥ…

ここから…

剣士「双牙!!」ゴッ

ザンッザンッ!!   師範「ぐっ…むん!!」シュゥゥ

師範「乱れ風刃」スッ

ビョウッ!!  剣士「風の太刀」ズッ

ドウッ!!

流石に全部は消せないか…

ジャギャ!! ザザンッ!!

剣士「……っ!! フッ!!」シュゥゥ

師範「呼吸も大分安定してきたな」
414: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:05:39.74 ID:74aUOq2O0
剣士「でも、まだ足りない」ググッ

師範「焦りは隙を生む…心は穏やかに保て……」

剣士「……うん、分かったよ」スゥ

師範「うむ、それで良い…もう少し続けるか?」

剣士「うん」スチャ

師範「構えんでいい、離れて見ておれ…」ゴウッ

剣士「……っ!!」タッ

師範「剣技・羅刹の太刀」ザッ

ズンッ!! ゴッバァッ!!!

剣士「ッ!! 爺ちゃんの辺り一帯が抉れてる…すげぇ」

師範「周り全てが『敵』ならば使える技じゃ…死地に赴く者の技、出来れば使う機会が無いことを願う……」

剣士「爺ちゃん…」

師範「………今日はこれで終いじゃ、帰って休もう…母が待っとるぞ」ニコリ

剣士「うんっ!!」ニコッ

415: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:10:25.91 ID:74aUOq2O0
ー五日後ー

神の山ー山頂ー

勇者「聖炎・連槍」カッ

賢者「精霊術・地霊の護壁」カッ

ドッドッドッ!!

よしっ、これなら…

勇者「翔!! 神雷・極雷槍」カッ

賢者「考えたわね…」

ズズン…ドッゴォォォォッ!!

勇者「…………」スタッ

賢者「旋脚」シュッ  勇者「影断ち」

魔法に頼りがちだったのも克服したわね…
416: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:12:56.70 ID:74aUOq2O0

勇者「聖剣・雷爪!!」ダンッ

何より勇者は短期間で…

聖魔法と剣技の複合技を生み出した。


ジャギィィィッ!! 賢者「くっ!!」ググッ

勇者「ぐぅぅっ!!」ググッ

ガギャ!! ゴォッ!!

勇者「弾かれた…やっぱりまだ慣れないな…」

賢者「いえ、今のは良かったわよ、後はやはり慣れるまで続ける事ね」

勇者「はいっ!!」

賢者「威力・速さ共に申し分無いわ、あなたに殺陣・殺技を教えて正解だった、魔法の練度も上がってる」

勇者「それが無ければ思い付きませんでした、これなら前衛でも戦えます」

賢者「ふふっ、そうね…さあ、そろそろ戻りましょう」

勇者「はいっ!! 僧侶はどうなったかな…」

417: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:16:01.72 ID:74aUOq2O0
ー祠ー

先代「千突」ドッ   僧侶「雨弾き」チャキ

ギャギギギギ!!

僧侶「円刃」ブゥン

ギィィィンッ!! 先代「ふっ!!」ググッ

先代「影断ち・風当て」タンッ

スッ……ズンッ!!  僧侶「ぐはっ!!」ググッ

僧侶「影断ち・三日月!!」ジャキ

ザウンッ!! 先代「ぐあっ!!」

僧侶「響双掌!!」タンッ

トンッ…ドッズンッ!!!

先代「ガッハァッ!!」ガクン
418: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:21:00.69 ID:74aUOq2O0
僧侶「ハァッハァッ…」フラッ

先代「……見事だった」ググッ

僧侶「やっと此処まで…」ハァッハァッ

先代「だが…」ゴウッ

僧侶「っ!?」ゾワッ

先代「絶葬」スッ

ズッ!!……ザギャッ!!

僧侶「………ガッ…」ブシッ

ブッシャァァッ!!

今、何度突かれた? 気付けば目の前…

残像すら…見えなかった……

先代「これがオレの全てだ…ガフッ…やはり負担が大きいな…」ガクン

僧侶「ハァッ…ハァッ」ググッ

僧侶「絶ッ……葬…」スッ

先代「……!!」

シュッ!!…ザギャアッ!!

先代「……ウグッ…」ブシュッ

ブッシャァァッ!!

先代「ぐっ!!」ドサッ

僧侶「……や…った」バタッ

419: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:38:15.21 ID:74aUOq2O0
ー賢者の家ー

僧侶「ううっ…」

勇者「僧侶!! 大丈夫?」

僧侶「ああ、でも…やっと先代に届いたよ」

勇者「何時まで待っても帰って来ないから心配したんだよ?」

僧侶「ごめん、勇者…」

勇者「無理は駄目だよ? 賢者様も焦るのは駄目だって言ってたし…」

僧侶「ああ、そうだな…」

賢者「でも僧侶、あの人…先代と引き分けたのよ、素直に喜んで良いのよ」ニコリ

僧侶「……はいっ」ニコ

勇者「私も頑張らないとな…」

賢者「でも、ひとまず今日は休みなさい」

『はいっ』


勇者・僧侶・それに剣士、この子達なら必ず…

420: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:41:27.99 ID:74aUOq2O0
ー魔族の地ー

魔王「闇神官に不審な点はあるか?」

魔族「いえ、今のところは目立った動きはありません…協力的です」

魔剣士「ところで、兵器とやらは何だ?」

魔族「魔力を集め射出する大砲のようです、射程が長く城壁を崩すのに重宝するかと…すでに数百台受け取りました」

魔王「その大砲は調べたか?」

魔族「はい、問題は見つかりませんでした」

魔剣士「まあ、放っといて良いんじゃねぇか?」

魔王「……いや、引き続き監視を頼む」

魔族「はっ、承知しました」

ザッ

421: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:42:35.82 ID:74aUOq2O0
魔剣士「何ならオレが斬るか?」

魔王「そうだな、戦が始まれば動き出すかも知れん…また四百年前の様な事をすれば処刑する」

魔剣士「あの時、お前が処刑したのは奴じゃなく複製か何かか?」

魔王「それが濃厚だろうな…だが、何故…四百年後の今になって現れたのかは監視役に調べて貰う他無い」 

魔剣士「まあ、今は目先の戦に集中しねぇとな、お前も出るのか?」

魔王「賢者次第だ…勇者は此の地に来るだろう、その前に奴を葬り、その後で勇者と守り手を倒す…」

魔剣士「勇者・賢者共に此方に来た場合は?」

魔王「勇者はお前に足止めしてもらう、他の者では無理だ…」

魔剣士「分かった…出来ればればオレが死ぬ前に賢者を片付けてくれよ? まあ、死ぬ気はねぇがな」

魔王「もう誰も死なせはしない、大丈夫だ」

魔剣士「何があっても、お前だけは生きなきゃならねぇぞ」

魔王「…!! ああ、分かった」ググッ

422: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:45:42.12 ID:74aUOq2O0
ー開戦三日前ー

ー伍の国ー

女王「各国、全ての準備が整いましたね」

弐の王「後は細かい部分を確認し穴が無いようにしなければ」

参の王「やり過ぎて悪い事にはならないでしょう」

王子「ところでよ……弐の王様は結婚するんだろ?」

弐の王「おい…誰に聞いた?」

王子「えっ? そこの姉ちゃんが嬉しいそーな顔で、ニッコニコしながら言ってきたぜ?」

女商人「余計な事言うな!!」

ゴッ!! 王子「痛った!!」
423: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:47:42.68 ID:74aUOq2O0
弐の王「気持ち悪い…」

女商人「うっせぇハゲ!!」

弐の王「禿げてない、医者に眼を調べて貰ったらどうだ、んっ?」

女商人「この野郎っ……」フルフル

壱の王「ははっ、めでたいですな!! 式はいつですかな?」

弐の王「この戦が終われば直ぐに」

女王「ふふっ、では皆で行きましょう」ニコリ

参の王「ええ、そうですね」ニコ

王子「まだ痛ってぇよ…」サスサス

424: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:50:21.79 ID:74aUOq2O0

ー賢者の家ー

剣士「皆、久しぶりだな!!」ニカッ

僧侶「そうだな」ニコリ

賢者「修行は終わりよ、皆好きなように過ごしなさい…それと剣士にもこれを」チャリ

剣士「首飾り?」

勇者「もしもの為に賢者様が用意したの、私達を呼び戻すのに必要なんだって」

剣士「何か分んねぇけど、分かった」ウン

勇者「まあいいや、それより行きたい所があるの…」

僧侶「どこに行くんだ?」

勇者「弐の国の村に行きたい…戦いが始まる前に手を合わせたい…」

剣士「……オレも士の国の村に行きたいな…あと騎士長の墓にも」

賢者「なら私が連れて行くわ…僧侶は?」

僧侶「父上に、父上に挨拶を…」

賢者「…分かったわ、じゃあ弐の国から行きましょう」

バシュッ

425: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:51:19.41 ID:74aUOq2O0
弐の国ー村跡ー

僧侶「ちゃんと墓が建ってある、戦争の準備で忙しい筈なのに…約束を守ってくれたんだな」

勇者「…………」スッ

必ず誰も傷付かない世界にします。

例え理想論と言われようと…

剣士「…………」スッ

此処でも同じ事が……

安らかに眠って下さい…

勇者「賢者様、もう大丈夫です」

賢者「……そう、じゃあ次は士の国ね」

バシュッ

426: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:52:35.73 ID:74aUOq2O0
士の国ー村ー

剣士「あっ…町長さん!!」

町長「おお、剣士か僧侶さんも…そちらは勇者様ですかな?」

勇者「はい、あの時は来れず…すみませんでした」

町長「いえ、都に現れた魔王が退いただけでも良かった…それに、亡くなった者は此の村の者達だけです…士の王があれから直ぐに埋葬し墓を建てて下さいました」

剣士「そっか…」

僧侶「戦が始まれば沢山の人が傷付く…そうなる前に魔王を倒さなければ」

町長「そう願っています…えぇ、其方の方は?」

賢者「賢者と申します、私も力を尽くしますので」

剣士「オレも頑張るから、安心して待っててくれ!!」ニカッ

町長「ああ、応援しているよ」ニコリ

剣士「賢者様、騎士長の墓は城にある筈だから、城へ頼む…」

賢者「ええ、分かったわ…では町長さん、私達はこれで」

バシュッ

町長「皆様、お頼みします…」ギュッ

427: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:54:35.02 ID:74aUOq2O0
ー士の城ー

大臣「お久しぶりです皆さん、どうして此処に?」

剣士「騎士長に手を合わせたいんだ、オレ一人で行かせてくれ」

勇者・僧侶「分かった」

大臣「では此方へ…」

ー騎士長の墓ー

剣士「騎士長、オレ強くなったよ」

守る強さを教えてくれたのは騎士長なんだ、出来れば生きて会いたかったな…

戦いが終わったら、また来るよ。


ー嬢ちゃん…死んじゃあ駄目だぜー


剣士「…!! おうっ!!」

ザッ…


賢者「最後は僧侶の家ね…行くわよ」

僧侶「お願いします…」
428: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:55:56.68 ID:74aUOq2O0
バシュッ

父「むっ、僧侶……」

僧侶「父上…戦の前に挨拶に来ました」

賢者「私と剣士は宿に泊まるわ、勇者、あなたは一緒に居なさい」

勇者「はい」

賢者「剣士、行くわよ」

剣士「ん? 分かった、じゃあ明日な!!」

ガチャ パタン……
429: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:56:44.26 ID:74aUOq2O0
ーーーーー

父「あの方が我々の…」

僧侶「はい、私も驚きました」

父「僧侶、お前は勇者様を愛していると言ったな…」

勇者「…………」

僧侶「はい、愛しています…彼女と共に生きたい、だから私は戦えます」

父「そうか…それと僧侶、一族の務めとはいえ人を殺めるのは辛かっただろう、済まなかった…」

僧侶「いえ、いいのです…」

父「勇者様」

勇者「は、はいっ」

父「どうか、また二人で此処に来て下さい…それと今日は我が家でお休み下さい」

勇者「ひゃい、ありがとうございます」

父「では、私は自室へ戻ります」

ガチャン……

430: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:58:28.91 ID:74aUOq2O0
ー町の宿ー

剣士「なんでオレ達は宿なんだ?」

賢者「剣士はまだ子供ね、胸は大きいのに…」

剣士「胸は関係無いだろ!? それに、子供じゃない!!」

賢者「そうね、じゃあもう寝ましょ?」

剣士「おうっ、じゃあお休み!!」



やっぱり子供ね…
431: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 21:59:49.42 ID:74aUOq2O0
ーーーーー

ー僧侶の部屋ー


僧侶「じゃあ、寝ようか?」

勇者「えっ? うんっ」

僧侶の部屋綺麗だなぁ、

いつか私も此処に住むのかな…

僧侶「どうした?」

勇者「な、んでもない!!」カァッ

僧侶「ん? じゃあ、お休み」

勇者「……………」

何か、私はこのままじゃダメな気がする…
432: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 22:01:14.25 ID:74aUOq2O0
勇者「僧侶!!」ガバッ

僧侶「ゆ、勇者? どうした?」

まさか……

勇者「僧侶の子供が欲しい!!」クワッ

台詞まで同じか…

僧侶「勇者、大丈夫?」ナデ

勇者「うん、大丈夫…へへっ」テレッ

勇者「じゃないよ!!」クワッ

ダメだった…

僧侶「分かったよ、勇者……」ギュッ

勇者「……うん」ギュッ
433: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 22:02:23.53 ID:74aUOq2O0
ーーーーー

ー翌日ー

賢者「…………」

僧侶「な、何ですか?」

賢者「まさかあんた達が…」

僧侶「っ!! 何で…」

賢者「雰囲気よ、雰囲気…で、どっちから?」

僧侶「……アンタの子供が欲しい」ボソッ

賢者「なっ!? 何で知ってんの!!」

僧侶「夢で見たんです、先代の過去を…」

賢者「忘れろ…」

僧侶「私はアンタを愛してる」ボソッ

賢者「おいコラ」

僧侶「すみません…」

賢者「で、どっちから?」
434: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 22:03:53.82 ID:74aUOq2O0
僧侶「まだ聞く」

賢者「答えろ」

僧侶「……………」

僧侶「賢者様と同じでしたよ!! 行動も言動も!!」

賢者「へぇ、あの子も見かけに寄らずやるわね…」

僧侶「嫌だ、アンタの子供が欲しい」ボソッ

賢者「……………」

ドガッ!! 僧侶「痛った!! でも謝りませんよ!!」

勇者「うぅ…」カァッ

剣士「どうした?」

勇者「なな、なんでもないよ!!」

剣士「その、賢者様がオレを子供だって言うからさ…その…聞いたんだよ、そしたら二人は子供をつ」

勇者「剣士、違うよ」ニコ…

剣士「わ、分かった」ゾクッ

435: ◆jPpg5.obl6 2012/12/20(木) 22:12:48.62 ID:74aUOq2O0
剣士「それより勇者は家族と会わなくて良かったのか?」

勇者「うん、泣いちゃいそうだから…終わったら笑顔で会うんだ…」

剣士「そっか、絶対勝とうぜ!!」ニカッ

勇者「うん!!」ニコッ

僧侶「ごめんなさい…」

賢者「もう二度と言うなよ…」

僧侶「…………」

賢者「…………………」

ドガッ!! 僧侶「分かりました!!」
440: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:09:37.66 ID:4IshQt3v0
弐の国ー港ー

ー開戦ー

賢者「じゃあ、勇者達は船で魔族の地へ……気を付けて行くのよ」

勇者「はいっ!!」ニコッ

僧侶「行って来ます、賢者様も御無事で…」

賢者「私は大丈夫よ」ニコ…

剣士「じゃあ、行って来る!!」ニカッ

賢者「ええ、待ってるわ」ニコリ




賢者「さて、どう出る魔王…」
441: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:11:02.58 ID:4IshQt3v0
ーーーーー

魔王「賢者は弐の国にいる、出撃はまだだ…俺が賢者を倒したら、お前が軍を率いて出撃してくれ」

魔剣士「お前、一人でいいのか?」

魔王「ああ、任せておけ…すぐ戻る」

魔剣士「分かった、待ってるからな…」

魔王「俺が戻る前に勇者が来たら頼むぞ」

魔剣士「おうっ!! 『またな』!!」

魔王「ああ、『またな』」

ブンッ…

魔剣士「負けんなよ、魔王…」
442: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:14:53.93 ID:4IshQt3v0
ー弐の国ー

女商人「来やがった!!」

弐の王「数は!?」

女商人「それが、一人だけなんだ…何考えてんだアイツは…」

弐の王「まさか……魔王かっ!?」 

バシュッ!!

女商人「賢者っ!!」

賢者「私が、行きます…」

弐の王「……分かった、頼む…」

女商人「なんで魔王が…」

賢者「恐らく私を倒す為でしょう」

女商人「戻って来いよ……」

賢者「……大丈夫です、もし私が敗れても直ぐに勇者達が来ますから」

弐の王「賢者……」

バシュッ!!

443: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:16:05.56 ID:4IshQt3v0
ーーーーー

魔王「来たか、賢者…お前は俺が葬る」ズズ

賢者「魔王……」ゴォッ

魔王「禍雷・大雷」ズズ

賢者「影断ち・千突」ジャキ

スギャギャギャッ!!  魔王「むっ!?」

魔王「あの時とは違うか…」

賢者「精霊術・鳳炎」カッ

ボウッ!! グオォォォォ!!

魔王「闇地・崩」ズズ

ドッ!! ゴゴゴッ…ゴアァァァッ!!

ズッ!! ガァァァッ……

444: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:17:48.54 ID:4IshQt3v0
魔王「ふむ…ならば」ジャキ

賢者「……剣!?」

魔王「滅剣・炎魔!!」ズォッ

賢者「精霊剣・水精!!」キンッ

ガギャンッ!!! ドウッ!!

魔王「はっ!!」グッ

ズバァッ!!  賢者「うっ!!」ググッ

賢者「ハァッ…ハァ」シュゥゥ

魔王「精霊化…厄介だな、だが死なない訳では無いだろう?」

賢者「くっ……」

あの時、魔王は剣技など使わなかった…

魔王も強くなっている。

私一人では太刀打ち出来ないか…

でも、全ての力を放てば…行ける!!
445: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:19:43.63 ID:4IshQt3v0
賢者「神術・」ゴゴゴ

魔王「…っ!? まさか……お前、最初から!!」

シュンッ…

賢者「誰!?」  魔王「誰だ!!!」

『魔人間が族にあギャアア!!私の人許さササなイコロしサれた』

『憎ニクいタス誰ケラ許しテい』

魔王「なんだ、アレは……」

賢者「魔族じゃない…何なの…」

『ウタ許ガタらル奴がてイナケり』

『ギャヤメテアア!ギィヤァ!!!』
446: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:21:38.51 ID:4IshQt3v0
ー数刻前ー

陸の国・跡ー洞窟ー


闇神官「…長かった、だがコレで全てが……」

闇神官「人間も魔族も全てが私に平伏すのだ…」

闇神官「人間と魔族の憎悪を『壷』に溜め続け、四百年待った」スッ

闇神官「もう十分だろう…この力を私に移せば魔王だろうが勇者だろうが、私を傷付ける事は叶わない…」

ズオォォォォッ……

闇神官「素晴らしい……さあ私に力を!!」

ズルルルルル……

闇神官「むっ!? 何だ!? おぅっ…げぎぃあぁ…」


「うぉがぁぁ!!!」

ミジミジッ…メキャッ!!

『グガァァァァッ!!』

447: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:22:48.31 ID:4IshQt3v0
魔族「な…何だアレは? 魔族でも魔物でも無い」

身体は大きくは無い、だが凄まじい力を感じる…魔力では無い……

『破壊』その物が目的のような…

何より不気味なのは身体中に浮き上がり蠢く、苦悶の表情を露わにした人面相…

此の洞窟自体、灯りが無く暗いと言うのにその暗闇の中でさえ浮き上がる程の闇…

凄まじい負の圧力を感じる…


魔族「魔王様に伝えな…」ブシュッ

魔族「な…が…魔…王さ」ドサッ

448: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:26:09.85 ID:4IshQt3v0
『ディィギオオォォ私オレあなた許さなころされ魔ゾクがイナいいなクエヶ』



『人間魔族居さえな助けけ戦は争てれば事にはこんな魔族人め間め許さ許さないない』



『あ殺してギャアア!!お前の人間共ダ人は殺され許さない恨むたぞるさア彼ギだぎゃああ…』

シュン…
449: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:28:18.03 ID:4IshQt3v0
『魔族は滅びろ』ズルル…

ゴッバァァァッ!!

魔王「狙いは俺か?」

賢者「精霊術・地霊の護壁」カッ

魔王「賢者ッ!?」

ビシッ!! ビシビシビキッ!!

賢者「受け切れない…」ググッ

魔王「闇地・獄門」ズズ…

ゴゴゴ…ズドンッ!!ズドンッ!!

賢者「魔王、『アレ』はなに!?」

魔王「恐らく闇神官だ…少しだけ奴の魔力を感じる、だが魔族では無い…もっと大きな…」

『人間は殺す』スッ
450: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:30:20.52 ID:4IshQt3v0
賢者「城を狙うつもり!?」

魔王「……滅剣・氷獄」ズズ…

ザシュッ!!…バキバキバキッ!!

魔王「効かん訳では無いらしい」

『魔は族許しササ無い』グルリ

魔王「なっ!?」

ギョガァァッ!!  魔王「くっ!!」ググッ

ドズンッ!! 魔王「ガッハッァ…」

賢者「自我が無い? 見境なく破壊するだけ…あの魔王すら……」

このままでは、人間どころか全てが…
451: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:33:21.06 ID:4IshQt3v0
賢者「……ッ!! 魔王!! 下がりなさい!!」

魔王「ちっ…」シュン

『マドゥルルキャアアアッ!!』

ビリビリビリ……

魔王「一体何なんだ…闇神官では無いのか、奴が操っているのか?」

『キャアアアッ!!まぞくは許しかな』

賢者「……………」

勇者・僧侶・剣士、後は頼むわよ…

賢者「影断ち」シュン

『勇者ガァァァ許しさなさジィ』

魔王「賢者…何を?」

賢者「このままじゃ、人間も魔族も全てが滅びる!! コイツは全ての憎悪その物、言わば『化身』よ…魔王!! アンタも『守りたい』のなら後は『頼む』わよ!!」

魔王「何を言って!?」

賢者「転移!!」カッ

化身『助け魔族が人間ワタシメ死ねナニヲシタの』

バシュッ!!

452: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:35:05.35 ID:4IshQt3v0
ー陸の国・跡ー

バシュッ!!

賢者「ここなら…」

もし、これで倒せなければ…

『全ての者達』が協力しなければ倒せない。

でも、やるしかない!!

化身『魔族が滅べば平和になる』

グオォォォォ!!

賢者「くっ!!」シュゥゥ

まず勇者達を首飾りの力で弐の国へ呼び戻す…
453: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 02:36:43.04 ID:4IshQt3v0
賢者「転移」カッ

これで、大丈夫…後は、

賢者「神術・十握の剣!!」カッ

ズッギャギギリャ!!!

化身『ナキャアアアッナ助けギィ殺すナ』

駄目…だった…で…も

賢者「神術・天ノ岩戸」カッ

ドズンッ!!ズドンッ!!ガンッ!!

これ…で暫く…は…

賢者「あなた…いま、いく…わ」

サァァァァァッ………

459: ◆jPpg5.obl6 2012/12/21(金) 23:58:07.29 ID:UTefq1KW0
ー弐の国ー

弐の王「何だあの化け物は…そして賢者は奴と消えた、一体何が起きたんだ」

女商人「賢者が城を守ってくれたのは間違いない…けど、まだ魔王が残ってる」

弐の王「いや、魔王に動きはない…それは有り難いんだが…何故だ?」

ーーーーー

魔王「………………」

憎悪の『化身』…

人間・魔族見境なく殺すつもりか?

そして賢者は俺に『頼む』と言った。

シュン…

魔剣士「魔王ッ!! 無事か!?」

魔王「ああ、だが…」

魔剣士「さっき闇神官を監視してた奴が死に体で戻って来てな、仲間に転移で飛ばして貰った」

魔王「……話してくれ」

魔剣士「闇神官の奴は四百年前から、死んでいった魔族・人間の怒りや憎しみ…負の念を『壷』とやらに集めていた」

魔剣士「その強大な憎悪を力に変え、自分に取り込もうとして……」

魔王「己の力にしようとしたが、呑み込まれたのか…」

魔剣士「そうだ、賢者は?」

魔王「……奴はもう」

460: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:01:14.78 ID:mdQHJOsV0
バシュッ!!

勇者「ッ!! 魔王!!」ジャキ

剣士「お前が…」ジャキ

僧侶「待てっ!! 勇者!! 剣士!!」

剣士「雷光の太刀!!」ダンッ

魔剣士「ちっ…めんどくせぇな」ジャキ

ガッギャァッ!! 剣士「この野郎ぉ!!」

魔剣士「ぐっ!! オラァッ!!」ググッ

ギャギンッ!!  剣士「くっ!! 弾かれた…」
461: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:03:02.28 ID:mdQHJOsV0
魔王「……………」

魔剣士「馬鹿力が…」ビリビリッ

僧侶「やめろっ!!!」ゴッ

剣士「っ!!」ビクッ

勇者「でも!! 賢者様が!!」

僧侶「落ち着け!! 魔王が賢者様を倒したとしたら…何故、無傷で城が残っている!?」

僧侶「何かが、『何か』があったんだ、魔王…賢者様に何があった?」

魔王「教えてやる、だが条件がある」

勇者「……なに?」 

魔王「何も言わず俺に着いて来い、其処で話す…」

僧侶「いいだろう」

勇者「……分かった」

剣士「分かんねぇ、けど…分かった」

魔王「行くぞ……転移」ゴッ

ブンッ…
462: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:06:11.34 ID:mdQHJOsV0
ー陸の国・跡ー

ブンッ…

魔王「此処だな……見ろ」

勇者「あれは、何かを封じ込めて…っ!!」ゾワッ

ドンッ!!ゴガンッ!!ドガッ!!

剣士「あの中には、『何』が居るんだ?」

魔王「人間・魔族、恨み怒りの化身…賢者は、そう言っていた」

僧侶「憎悪の化身…」

魔王「元々は闇神官という魔族が、四百年間…『壷』に溜めた負の力を我が物にしようとしていたらしいが、力に呑まれ魔族でも魔物でもない…本当の化け物になった…」

勇者「じゃあ、賢者様は…化身を封じて……」ポロポロ

魔王「完全に封じた訳ではない、ほんの一時だ…明日になれば封印は破られるだろう…」
463: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:07:34.17 ID:mdQHJOsV0
剣士「じゃあ、どうすりゃ良いんだよ…賢者様でも倒せなかったのに」

魔剣士「魔王、お前でも無理か?」

魔王「一人では無理だ………勇者」

勇者「…なに?」グシグシ

魔王「賢者は、俺に『頼む』と言った…『守りたい』なら、とも…」

勇者「賢者様…でも私は勇者、だから」

僧侶「勇者、もう答えは出てる」

勇者「………うん」

剣士「…そうだな」

魔剣士「どうする? 『人間』よ」

僧侶「魔王、協力してくれ…」

魔王「………」
464: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:08:17.00 ID:mdQHJOsV0
僧侶「四百年前、魔族に戦を仕掛けたのは我々人間だという事は知っている…それは『人間』の罪だ…済まない」
魔王「何を今更…消えはしない、我々魔族の痛みと苦しみは…」

勇者「それは人間も同じだよ…皆が戦を望んだ訳じゃないのだから」

魔剣士「まあ、そりゃそうだ…だが互いに戦い、傷付いた『歴史』は変わらねぇ」

僧侶「いや、『今』から変える事は出来る…幾ら言葉を重ねても、納得出来る答えなど見つかりはしないし、忘れる事も出来ないだろう」

魔王「ならば、どうする?」
465: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:09:17.14 ID:mdQHJOsV0
剣士「話そうぜ…例え気休めにしかならないとしても、全ての人に四百年前の大戦の『真実』をさ」

勇者「分かり合えなくても、『伝える』事は出来る、四百年前の戦とは違う……『今』、人間・魔族が何を守る為に戦おうとしているのかを…」

魔剣士「……魔王、コイツ等は嘘は言ってねぇ、どうする?」


ー生きて、貴男だけは生きて下さいー


魔王「いいだろう、なら…今から諸国王を魔族の地に呼ぶ、人間の『覚悟』見せて貰おう…」

466: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:12:50.42 ID:mdQHJOsV0
ー魔族の地ー

弐の王「俄には信じれん…我々が魔族の地に居る事もそうだが、理解が追いつかないな…」

参の王「我々が信じて疑わなかった『人間』の正義が偽りだったとはな」

壱の王「だが、僧侶の見た先代の記憶、そして魔王が語ったものは一致している…」

壱の王「陸の国は魔族から人間を守る為に滅びたと聞いていた…だが、その陸の国が侵略行為を働いていたとは」

女王「…………………」

王子「どうした…女王様?」

魔王「知っているのだ、エルフの女王は…人間の醜さをな」

勇者「えっ?」

僧侶「四百年前、エルフは…」

467: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:14:25.23 ID:mdQHJOsV0
女王「私が話します…」

女王「我々エルフは四百年前、人間によって奴隷にされる筈でした」

剣士「『筈』って?」

女王「それは先代の守り手様が奴隷商人を葬った為…皆は恐れ、以降エルフを奴隷にしようとする輩は居なくなったからです…」

女王「魔族達の中にも我々を救ってくれた者がいました…人間が魔族侵略を仕掛けた事も…幼い頃から聞かされていましたから」

王子「女王様…あの、魔王」

魔王「…何だ士の王子」

王子「オレは、全部魔族が始めた事だと思ってた…」

魔王「だろうな…」

王子「魔王、士の王の代理として、『今』を生きる者として言うよ…済まなかった!!」

諸国王『……!!!』

王子「人々に真実を伝え信じて貰うには途轍もない時間が掛かる、伝えたとしても過去に魔族に家族を殺された者達は信じないだろう…でも、オレは伝える!! 死ぬまでずっと!!」

女王「士の王子……」

飾りではない、何処までも真っ直ぐな言葉…
468: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:17:25.60 ID:mdQHJOsV0
王子「共に戦う事も、大した援助も出来ない、でも!! 勇者達と協力して化身を倒してくれ!!」

魔剣士「ほぉ…物怖じしてねぇな、素直なガキはすげぇな…」

魔王「士の王子…」

王子「な、なんだ?」

魔王「いいだろう、お前の様な『人間』は初めて見た…その言葉、決して忘れはしない」

王子「お、おうっ!!」

我々が同じ事を言っても魔王には届かなかったでしょう、

でもこの子の意志は魔王の心に届いた!!


469: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:19:56.62 ID:mdQHJOsV0
魔王「勇者…お前達も人間の為だけで無く、我々の為にも化身と戦ってくれるか?」

勇者「賢者様はきっと、コレに託したんだと思う…魔王、共に化身を倒そう」

僧侶「そうだな…」

剣士「後の事は化身をやっつけたら皆で考えようぜ!!」

魔剣士「ハハッ!! そうだな!!」

魔王「勇者・僧侶・剣士、礼を言う」

勇者・僧侶・剣士「……!!」

諸国王『っ!?』

魔剣士「魔王……」

魔王「では今日は休め、明日…化身と戦う、諸国王・女王も休んで行ってくれ…明日、部下に城へ送らせる」
470: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:21:29.48 ID:mdQHJOsV0
ーーーーー

魔王「誰だ?」

僧侶「夜更けに済まない…」

魔王「守り手か…何だ?」

僧侶「……明日は、頼む」

魔王「ああ…分かってる、俺は生きねばならない…魔女との約束だからな」

僧侶「お前は…愛していたのか?」

魔王「ああ、愛している」

僧侶「……必ず、勝とう」スッ

魔王「妙な気分だ…だが悪くは無いな」

スッ…ガシッ!!

『明日、必ず化身を倒す…!!』

471: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:23:04.41 ID:mdQHJOsV0
ー翌日ー

魔剣士「魔王!! 連絡が入った…そろそろ結界が破られる…」

魔王「分かった、魔剣士…行くぞ!!」

魔剣士「おうっ!!」

僧侶「魔王……頼む」

魔王「ああ…皆、行こう」

勇者・剣士「うん、行こう!!」

魔王「転移」

ブンッ…

472: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:24:33.37 ID:mdQHJOsV0
ー陸の国・跡ー

ドゴン!! ガギャン!! ドズン!!

ドッゴォォォッ!!

僧侶「出たな…化身!!」

化身『魔族がイナけれはば魔月』シュッ

魔王「闇地・獄門」ズズ  勇者「聖氷・凍壁」カッ

ドズン!!ドズン!! パキパキ…ズガン!!

ズガァァァッ!! 勇者「くっ、僧侶、剣士!!」

魔王「魔剣士!! 行け!!」


剣士「乱れ風!!」チャキ

ドヒュヒュッ!! ズッバァァァァ!!

魔剣士「豪雷剣」ダン

カッ!! ドズッギャリリリィィ!!
473: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:27:12.15 ID:mdQHJOsV0
化身『キャアアア!!』

魔剣士「かってぇな…」

剣士「でも効いてる!! 僧侶!!」

僧侶「影断ち・双響掌!!」タンッ

スッ…トンッ……ドッゴォォォッ!!

化身『きるルル…怨雷』

ゾリリ…ゴッシャアアアア!!

魔王「転移!!」カッ

ブンッ… 僧侶「済まない、助かった…」

勇者「僧侶…良かった、魔王!!」

魔王「分かった、皆時間を稼いでくれ!!」

魔剣士「おうっ!! 焔刃」ダンッ

剣士「よっし!! 連双牙!!」ダンッ

ザウッ!! ジャギンッ!! ズザザザザザッ!!

僧侶「千突!!」タンッ

ジャギャギャギャギャッ!!

化身『なんで私が俺がぎゅりら!!』ガクン
474: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:29:31.53 ID:mdQHJOsV0
僧侶「勇者!! 魔王!!」

勇者・魔王「合成魔法・天閻の業火」カッ

チリッチリッ…ゴッ!! ボォオオオオオッ!!

化身『ギィリャキィィヤアア!!』ガクガク

魔剣士「流石に今のは効いたか」

僧侶「もう一度今の流れで行くぞ!!」

剣士「分かった!! 風の太刀!!」

化身『コワくネレナイよ魔族が』シュッ

ビュンッ!!

魔剣士「腕が伸びやがった!!」

僧侶「勇者っ!! 影断ち!!」シュッ

ゾブッ!!……僧侶「ガッハッ…」ダラン

勇者「え? 僧侶? うっ…いやぁぁっ!!」
475: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 00:32:46.82 ID:mdQHJOsV0
魔王「くっ!! 転い…なっ!?」

シュルルル…ズブズブ……僧侶「呑…み込…む…つ」

ゾブンッ……

勇者「僧侶を…返せッ!!」ダンッ

剣士「ダメだ!! 勇者!!」

魔王「転移!!」

ブンッ…勇者「なんで? 止めないで!!」

魔剣士「バカ野郎!! お前が死んだら元も子もねぇだろうが!!」

勇者「……ッ!!」

ーキラキラキラッー 勇者「良かった…生き…てる…!! 僧侶…」ポロ

魔王「勇者!! 行けるか!!」

勇者「大丈夫!! 行ける!!」グシグシ

480: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:19:58.83 ID:QN30rmzM0

僧侶「ぐっ、治…癒・大」パァァァ

此処は…化身の内部か? あれは…!!

『オォォォォ……』

凄まじい…四百年、此だけの者達が恨み、憎み死んで行ったのか。

ーキラキラキラッー

指輪が輝いている…完全に取り込まれ無かったのは指輪の加護か?


それより、まず『此処』から出なければ…

ガッシィッ!! 僧侶「なにっ!?」
481: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:21:06.00 ID:QN30rmzM0
『儂が王になる筈だった、この殺人者が…』

僧侶「弐の大臣!! 魔導士…オレが殺した者達…化身に取り込まれたのか」

言い訳はしない、オレがやった事だ…

今、オレ達が戦っているのは戦の犠牲者、誰かを守り死んだ者、家族、愛する者を失った者達の『憎悪』。

だが、それだけは無い!!

己の欲望の為に人を、魔族を殺し、尚も己の罪を認める事無く牙を剥く亡者!!

僧侶「死して尚、醜いままだな…オレは貴様等に恨まれて当然かもしれん、だが貴様等は許されざる者…故に化身に捕らわれた」

僧侶「化身の力は憎悪だけではない、穢れた欲望…醜い心」ジャキ

ズッバァァァァ!!

『ギャアアアア……』シュゥゥ


僧侶「蘇りはしないのか…ならば」スッ

『オオォォォォ……』ズルル


僧侶「全て、倒す…!!」ジャキ

482: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:22:23.81 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

化身『罪を償え魔族…』ゴゴ

ズルズル……ドバッ!!

剣士「…!! 身体から魔物が!!」

魔剣士「クソがッ!! 化身だけでも厄介だってのに!!」

勇者「神氷・千槍」カッ

魔王「禍氷・針牢」ズズ

パキパキッ…ジャギンッ!! ガッゴォォ!!

シュウウウ……

化身『人間よ滅びよ』ゴゴ

ズルズル…ドバッ!!

魔剣士「ダメだ!! これじゃ近づけけねぇ!!」

勇者「このままじゃ何時まで経っても化身に届かない…」

剣士「爺ちゃん……仕方ないよな」ダッ

魔剣士「お、おいっ!!」

剣士「勇者・魔王!! オレが魔物を何とかするっ!! そしたら、さっきの魔法を使うんだ!!」

魔王「分かった…」

勇者「そんなっ!! 剣士、ダメだよ!!」
483: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:23:36.57 ID:QN30rmzM0
剣士「オレは大丈夫!! 勇者・魔王!! 頼むぜ!!」ニカッ

ー死地に赴く者の技ー

剣士「羅刹の太刀!!」ダンッ

ズンッ!! ゴッシャアアアア!!!

シュウウウ……

剣士「やれっ!!!」

勇者「うぅっ!!」ググッ

剣士「勇者ッ!!! 打てっ!!」

魔王「俺達が負ければ、全てが滅ぶ!! 勇者、お前は何を守る!!」


ー守る強さに気付いたんだー


勇者「…くっ!! ああああっ!!」

魔王・勇者「合成魔法・天魔の砕雷!!」

カッ!! ドッジャギャギャッ!!

化身『ァギャッルルゥ』グラッ

ドサッ…
484: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:25:21.94 ID:QN30rmzM0
魔剣士「おい、バカ野郎!! 大丈夫か!!」ダッ

剣士「ガフッ…あ、れ生き…てる?」ハァッハァッ

魔剣士「喋るなッ!! 勇者!!」

勇者「よ、良かった…」タタッ

勇者「治癒・大」パァァァ

剣士「あっ、首…飾り…そっか、賢者様」ハァッハァッ

勇者「剣士…大丈夫!?」

剣士「首飾りが光ったんだ…オレを包んでくれた」

勇者「そっか…きっと賢者様が…」

魔王「ッ!? 転移!!」

ブンッ…!!

化身『許し許し罪は災火』

ボォオオオオオッ!!

魔剣士「まだ生きてやがる…」

勇者「魔王、助かったよ」

剣士「魔剣士、もう大丈夫だ…降ろしてくれ」クラッ

魔剣士「お前は此処で休め…」トサッ

剣士「そうも、行かないだろ?」ググッ

勇者「どうすれば…」

魔王「いや、かなり効いている…それに剣士が斬った化身の腕は戻っていない、治癒は出来ない様だ」

魔剣士「なら、全員で斬りまくれば」

勇者「弱ってる今なら行ける!!」

魔王「だが、守り手は……」

勇者「大丈夫!! 僧侶は大丈夫だよ…!!」

魔王「……よし、ならば…行くぞ!!」
485: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:26:37.86 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

僧侶「ハァッ…ハァッ…」

キリがない…四百年だ、四百年捕らわれた亡霊達…

『オオォォォォ……』

出口も無い…だが此処の亡霊達を減らせば化身は弱体化する筈だ。

だが、倒しても倒しても現れる…

サギャッ!! 僧侶「ぐっ!!」

『オオォォォォ……』

ドンッ!! ガスッ!! ズドッ!!

僧侶「ガッハァッ!!」ガクン

マズい…避けきれない…
486: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:30:15.77 ID:QN30rmzM0
パァァァァッ!!

僧侶「指輪が…」

賢者「立ちなさい、僧侶」

先代「立て、僧侶」

僧侶「賢者様、先代!! 何故!?」

賢者「指輪は繋ぐ物…僧侶、私達とあなたは魂で繋がってる…」

賢者「長くは具現化出来ない…行くわよ」

先代「勇者達も無事だ、行くぞ…」

僧侶「分かりました!!」
487: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:31:23.30 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

勇者「精霊剣・御霆」ダッ

ドンッ!! ザッギャァァァ!!

化身「ギィリャッ!!」

ブッシャアアア…

化身「勇者がイナケ凶ケレ爪」ズズ

ジャキッ!! ブンッ!!

魔剣士「オラッ!!」

ギャリリリッ!! 魔剣士「ぐっ!!」

魔王「滅剣・焔」ゴゴ

ズッバァァァァ!! ゴォッ!!

剣士「浄炎の太刀・双牙!!」

ザザシュッ!! ボウッ!!ゴォォッ!!

化身「ユう者ぁ許さしん」

魔剣士「まだ死なねぇのか!?」

化身『思い知るれ…怨鎖』ゴゴ

ギャンッ!! ギュルルリッ!!

勇者「速いッ!!」

488: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:32:22.52 ID:QN30rmzM0
ドチャッ!! 魔王「ガッハァッ!!」

魔剣士「魔王!!」

剣士「くっ!! 氷牙の太刀!!」

ズッバァァァァ!! パキンッ!!

剣士「勇者ッ!! 魔王を!!」

魔王「ガッガフッ!!」

ドサッ……

勇者「治癒・大!!」パァァァ

魔王「グフッ…ハァッガフッ」

勇者「傷が塞がらない…!!」

魔王「アレはそ…うい…うモノら…しい」ググッ

勇者「そんな…治癒・大」パァァァ

魔王「無駄だ…勇者、守り手に言ってくれ『頼む』と…」

勇者「魔王ッ!!」

魔王「転…移!!」

ブンッ…

化身『魔王許キャさん』ゴゴ

魔王「化身…くれてやる、俺の命を…」

489: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:34:21.42 ID:QN30rmzM0
化身『怨鎖ギィリャ怨怨鎖』ゴゴ

ギャンッ!! ギュルルリッ!!

魔剣士「クソッ!!」ダッ

ブッシャアアアッ!!

魔王「魔…剣士…」

魔剣士「ゴフッ…今だ…や…れ」

魔王「ああ…」


ー魔女済まない…出来れば、来世でー


魔王「煉獄…」ボウッ

カッ!! ズズ……ゴォォォオオッ!!

勇者「魔王……魔剣士」

剣士「勇者ッ!! まだ化身は生きてる!!」

勇者「そんなッ!?」

化身『はゃ焔助くりり怨鎖』グチグチッ

ギャンッ!! ギュルルリッ!!


ギャギャギャ!! 剣士「くっ!!」ググッ

490: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:35:48.14 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

ズッバァァァァ!! ドッゴォォォ……

賢者「……っ!!」

僧侶「どうしました!?」

賢者「魔王と魔剣士が…」

僧侶「くっ!!」

先代「僧侶!! 焦るな!!」

僧侶「でも早く出ないと!!」

賢者「どうやって!?」

僧侶「それはっ……」

賢者「……私の力でも此処から出す事は出来ないわ、出来たら最初からしてる……」
491: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:37:33.35 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

勇者「剣士!!」

剣士「大丈夫だ!! 何とか剣で防げた!!」

勇者「なら…影断ち!!」

化身『えおまかゅざルルゥ…』ガクン

行ける!!

勇者「神剣・叢雲!!」

カッ!! ザッギャァァァ!!

化身『………がり許さが』ゴゴ

勇者「なっ!?」

剣士「勇者、離れろ!!」

492: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:38:33.65 ID:QN30rmzM0
ーーーーー

カッ!! ズッバァァァァ!!

サァァァァ…

光が見える!!

僧侶「勇者か!!」

賢者「僧侶、今なら出れる!!」


先代「行け、『守り手』!!」

493: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:40:58.31 ID:QN30rmzM0
化身『人人ギャ禍津…穢れ火』

ドバッ!!

僧侶「うおおぉぉぉあ!!」

ズッバァァァァ!!

剣士「僧侶!!」

僧侶「魔王、魔剣士…済まない」

勇者「僧侶……」

化身『さつ、人者りてがあああ』


僧侶「化身……殺技・絶葬」


化身『かっかかかかしひはっ』

ブッシャアアアッ!!

化身『オオォォォォオオォォォォ』ピシッ


ブワァァァァ……ザァァァァァ………

494: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:43:57.24 ID:QN30rmzM0
ーーーー

ーーーーーー

ーーーーーーーーー

「ご飯出来たわよ」

子供「その後は?」

「後で母さんに聞きなさい」ニコ

子供「父さん、勇者様は勝ったの?」

「ああ、勇者様は勝ったよ、悪い奴を倒したんだ」

子供「すっごいなぁ…」

「僧侶、娘、ご飯冷めるわよ?」

「ああ今行くよ、勇者」

495: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:44:34.52 ID:QN30rmzM0
ーーーーーー

「やめろ、その子を虐めるな」

「うっせぇんだよ!!」

「闇炎・細矢」

ビュン!!

「ひぃぃ、コイツ魔法打ちやがった!!」

タタタッ…

「おい、大丈夫か?」

「………私達、会った事ある?」

「いや……お前、名前は?」

「私は……」

496: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 18:47:36.72 ID:QN30rmzM0



          ー終わりー
498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 19:16:49.93 ID:8RCwi7ddo


楽しかった
500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 20:42:03.81 ID:H85vv+Fco
おつかれ!
面白かったよ!
501: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 20:55:15.48 ID:QN30rmzM0
ありがとうございます!!

雰囲気が合わず残した物があるので、

お話しも終わったし、少し投下します
502: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 20:56:24.49 ID:QN30rmzM0
ー勇者と剣士ー


剣士「勇者はさぁ…僧侶が好きなんだよな?」


勇者「えっ!? うん…」


剣士「ふぅん…僧侶なぁ…」


勇者「な、なに?」


剣士「オレも好きだけどな!!」


勇者「えっ、剣士が!! 本当に!?」


剣士「だって、こう…ビシッ!!って感じで…な?」


勇者「何か分からなくもないけど…」


剣士「三人で結婚とか出来ねぇのかな…」

503: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 20:57:30.73 ID:QN30rmzM0

勇者「無理じゃないかな?」


剣士「このままじゃダメだ!!」


勇者「……剣士?」


剣士「僧侶んとこに行ってくる!!」スッ


ガッシィッ!!


勇者「明日は早いから、ね?」グイッ


剣士「分かったよ……」スッ


勇者「ふぅ…良かった………」パッ


剣士「と、見せかけて」ダッ


勇者「ちょっ!! オイ!!」ダッ

504: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 21:04:00.06 ID:QN30rmzM0
ー藁ダイブー


剣士「何でしなかったんだ?」 


僧侶「えっ? 何を?」


剣士「イーグルダイブ・藁ダイブ」


僧侶「正直な話しさ…」


剣士「うん」


僧侶「藁じゃ衝撃吸収無理だろ…」


剣士「…………」


505: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 21:09:47.99 ID:QN30rmzM0
ー続・藁ダイブー


僧侶「賢者様、何ですか?」


賢者「飛べ」


僧侶「えっ?」


賢者「ここから飛べ」


僧侶「嫌です……」


賢者「………………」


僧侶「………………………」


ドンッ!!  僧侶「危なっ!!」


僧侶「お前、バカじゃねぇの!?」


賢者「……………」


506: ◆jPpg5.obl6 2012/12/22(土) 21:18:45.52 ID:QN30rmzM0
ー続・続・藁ダイブー


僧侶「よしっ!!」ググッ


剣士「おぉ、遂にやるのか!?」


僧侶「ああ、下には勇者が待機してるから怪我しても大丈夫だ!!」


剣士「準備万端だな!!」


僧侶「…よし……っ!!」タンッ


勇者「ねぇ僧侶、まだ飛ばないの?」ヒョコ


剣士「…………………」

515: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:42:02.58 ID:Qe+Y4/UM0
ーーー

ーーーーー

ーーーーーーー

こうして魔王は勇者と協力して化身を倒し、

聖なる王と呼ばれる様になったのでした…

おしまい。


「この魔王ってのは強いんだろうなぁ」

「まあ、そうだろうな」

「魔剣士の方がオレは好きだな、オレも魔法使えねぇし…」

「お前は誰よりも速いし、力も強い…確かに魔剣士に似てるな」

「けっ、魔王様の生まれ変わりだ!! とか言われてる奴から言われてもなぁ…」

「周りが言ってるだけだ、俺は俺だ」

516: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:44:07.63 ID:Qe+Y4/UM0

タタタッ…

「なになに? また魔王様の話し?」


「こいつは魔剣士が好きらしい」


「私は絶っ対、魔王様の方がいい!!」


「魔王なんて魔剣士がいなけりゃ独りぼっちだったんだぞ!?」


「魔剣士なんていなくても魔女が魔王様を支えるもん」


「魔剣士は魔王復活まで寝てたらしいしな、魔女は待ってたらしいが…」


「幾ら友達でも四百年も待てるかよ…」


「魔女は魔王様が好きだっんたんだよ、きっと…」


「でも、どちらも死んだ…結ばれなかった」


517: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:46:34.74 ID:Qe+Y4/UM0
「…………………」


「でも、この二人は必ず結ばれるよ」


「何で、そんな事分かるんだよ?」


「じゃないと悲しいでしょ?」


「そうだな…でも……」


「なんだ?」


「でも、二人は幸せだったはずだ…魔王も魔女を愛していたと伝えられてるからな」


「いいなぁ…私も魔王様みたいな人と結ばれたい」


「……あっ!! 用事あったからオレは帰るわ、『またな』!!」


「ああ、『またな』」

518: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:47:47.51 ID:Qe+Y4/UM0
「ねぇ?」


「どうした?」


「魔王様と魔女ごっこしようよ」キラキラ


「……分かった、何ページだったかな…」


「116ページ」


「よく覚えてるな、お前…」


「いいから早く」


「分かった分かった…えぇと」


「本借して、じゃあここから…いくよ?」

519: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:49:29.18 ID:Qe+Y4/UM0
「私は…貴男が魔王と名乗る前より…」


「…………」


「貴男を…愛しています」ポロ


「魔女…」グッ


「戦争など無く、そのままの貴男と出会えていれば…良かったのに」グスッ


「ああ…そうだな…」ナデ


「魔王様…生きて…貴男だけは生きて下さい…」


「…………」ツー


「ふふっ、魔王様も…涙を…流すのですね……」


「その様だな…」グイッ


「魔王様…そろ…そろわたし……は」


「…っ!! 魔女…」


「は…い」


「俺も…お前を愛している」ニコリ


「っ……はいっ」ニコ…

520: ◆jPpg5.obl6 2012/12/23(日) 01:53:44.13 ID:Qe+Y4/UM0

「ん、涙が…止まらない」ツー


「……ねぇ?」


「な、なんだ?」グシグシ


「大好き」ニコッ


「ああ、俺もだ…」ニコリ




遠い未来の後日談

525: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:17:11.61 ID:BNDPlI2z0
ちょっとだけですが番外編を書きました。

剣士・勇者の続きです。
526: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:19:27.51 ID:BNDPlI2z0
ー愛…忍び寄る影ー


勇者「諦めて…くれないの?」ハァッハァッ


剣士「無理だ……」ハァッハァッ


勇者「そっか…」


剣士「ああ…」


剣士「クリスマスは僧侶の子…」


勇者「言わなくて良いから……」


剣士「子供が欲しい!!」


勇者「言わなくて良いから」


剣士「勇者も同じ事したんだろ?」


勇者「何故…それを……」


剣士「賢者様に聞いた」


勇者「あの野郎……」ギリッ


剣士「オレにも権利はあるぞ!!」ドンッ!!


勇者「声張らなくていいから…権利って?」


剣士「士の国で僧侶を助けた、オレにも僧侶の子供を授かる権利がある…」ウン

527: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:22:19.49 ID:BNDPlI2z0

勇者「何で…何で…こんな事に…」


剣士「同じ男を愛した…只それだけだよ、勇者…」ダッ


ガッシィッ!!


勇者「私も退けない…」ググッ


タタタッ…


壱の王女「お兄ちゃん、行こう?」


僧侶「うん、どこに行きたい?」


王女「んっとね……来たばかりだけど、お兄ちゃんにプレゼントあるからお城に戻ろ?」チラッ


剣士・勇者「まさか…そんなっ…」ゴゴ…


僧侶「プレゼント? 楽しみだな」ニコリ


王女「んじゃ、行こっ!!」ゴゴ…


王女「…………フッ…」ニヤリ


勇者・剣士「……っ!!」ゾワッ


つづく…

529: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:28:25.84 ID:BNDPlI2z0
化身との決戦前夜のお話し

ーーーーー

ー女王と王子ー


女王「眠れないのですか?」


王子「すっげぇ疲れてるけど、寝れないんだ…女王様は?」 


女王「貴方と少し話したかったのです」ニコリ


王子「そ、そうか!! あ、あの…そんな堅苦しい喋り方は止めてくれ、オレも慣れてないし…」


女王「私は昔から慣れてますから」ニコリ


王子「若いのに大変だな…」ウン


女王「ふふっ、もう慣れましたから」


王子「へぇ、オレも王様になったら、そんな話し方しなきゃダメなのかな…」


女王「……王子はそのままで素敵ですよ?」


王子「あ、ありがとう…」


女王「…………」


王子「………………」


王子「…女王様」


女王「はい?」


王子「初めて見た時から好きです…その笑顔も全て…」


女王「…………」


王子「っ…じゃあ、オレは寝るから」



女王「…私も貴方の瞳が、真っ直ぐで清い心が………」




おわり


530: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:40:46.23 ID:BNDPlI2z0
ー二人はいつまでもー


賢者「アンタとこうやって…ゆっくり過ごせる日を待ってた……」


先代「長かったな…本当に…」ナデ


賢者「うん、でも『今』アンタと居られて幸せ…」ギュッ


先代「オレもだよ…」ギュッ


僧侶「あの…」


賢者「なんだよ…邪魔すんな」


僧侶「指輪通して聞こえるので…」


賢者「じゃあ外せよ…」


僧侶「いや…そうしたいのは山々なんですけど…」


賢者「なんだよ?」


僧侶「外すと勇者が怒るので…」



終わり

531: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:49:55.11 ID:BNDPlI2z0
ー藁ダイブ4ー

その昔

先代「くっ、仕方ない」ダッ


ビョゥゥゥ……バサッ…


先代「撒いたか…」ガサッ


勇者「カッコいい……」ポッ


ーーーーー


賢者「だからアンタにも出来る」


僧侶「いや、もういいです…」


先代「怖いのか?」


僧侶「オレだって飛びたいです!! でも………」

532: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 01:53:11.40 ID:BNDPlI2z0
賢者「大丈夫よ…」


僧侶「賢者様……分かりました」


先代「ならば、一つだけ助言しよう」


僧侶「お願いします!!」


先代「自分と……藁を信じろ」


僧侶「……………」


賢者「素敵…」ポッ


僧侶「…………………」


ドンッ!! 先代「っ!! 危ねッ!!」


先代「……………オイ…」


僧侶「…………………チッ……」


つづく



533: ◆jPpg5.obl6 2012/12/24(月) 02:01:06.91 ID:BNDPlI2z0
以上です。 本当に短いな…


頭の中の彼女が呼んでるので寝ます。


読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございます…



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