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小鳥「小鳥のヒヨコ」

1: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 22:54:12.82 ID:JGBD4hA80
夢を見た……。

とても、とても幸せな夢……。


 

 小鳥「逆に考えるんだ」


 小鳥「音無小鳥、第二形態です!」




具体的に言うと、こんな夢。


私がプロデューサーさんとドラマみたいなロマンス?

私がプロデューサーさんと結婚する?

第二形態? 第三形態?


ふふ……我ながら呆れた妄想だわ。

夢みたいな夢を見るなんて、悪い冗談よね。


AM5:00。いつもと同じ朝。

体を起こした私は、誰の温もりも感じない左手から、そっと目をそらした。


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2: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 22:56:46.64 ID:JGBD4hA80
※単独でも読めないことはないですが、上の二つを読んでもらったほうが話はわかりやすいです
3: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:02:16.57 ID:JGBD4hA80
なーんちゃって!


騙された? ねえ騙された?

残念! 彼はちゃんと隣にいますぅ。

右側に!


いやぁ、いつもは二人の位置が逆なんですけどね。

昨夜は激しかったから、なんとなくそのまま寝ちゃって……。

彼ってば、あんなに……。


きゃっ///

やだもう、恥ずかしい!

小鳥、そんなこと言えません!
4: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:04:23.96 ID:JGBD4hA80
たまにはこういうのも新鮮だけど。

いつもいるはずの左側にあなたがいないから……。

起きたとき、ほんとはすごく慌てちゃった。


今までのことが夢だったのかなんて、ほんの一瞬だけど思っちゃって……。

こんなこと、あなたには内緒です。


結婚して3ヶ月。

慌ただしくてあっという間だったけど、とても幸せな日々。

あなたがいて、私がいる、二人の日々。


いつもと逆の右側で眠るあなたは、夢みたいにいなくなったりしませんよね?


P「小鳥、さん……」

小鳥「……?」


寝言……みたい。ふふ。

あなたの夢の中の私は、今なにをしていますか?


小鳥「はい、私はここにいます」


ずっと一緒です。
5: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:05:39.18 ID:JGBD4hA80
 チュッ

まだ夢の中の彼に、一日の始まりのキス。

私は5時起き、彼は5時半起きだから、30分だけ彼は無防備。


私からキスすることなんて……ほら、夜の盛り上がってるときぐらい?

2X年も清純派で生きてきたから仕方ないし~?

だって、恥ずかしいものは恥ずかしいんです!


そんなわけで、もうずっと彼にリードされっぱなし。

自分が年上なんて実感できるのは……あ、やっぱり言いたくない。

絶対言わない。


一緒にいてこんなに幸せなのに……なんて罪な人。

だから、彼の知らないうちに私からキスして、ちょっとだけ仕返しのつもり。


私だけの秘密です♪
6: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:07:46.64 ID:JGBD4hA80
それじゃ早速、朝ごはんとお弁当を作りましょ。


朝食は、だいたいご飯・ご飯・パンのローテーション。

今日はパンの日だから、彼の好きなとろけるチーズのトーストとベーコンエッグ。

栄養のバランスを考えて、山盛りのサラダも毎朝欠かせません。

お野菜を美味しく食べてもらうのって、妻としての腕の見せどころよね。


さて、エプロンをつけて……。

ん? そうそう、忘れるところだったわ。


彼ってば、お料理中はダメって何度も言ってるのに……。

毎朝、私の不意をついて……キスしてくるんです。

あ、ノロケじゃないですよ。そんなつもり全然ないですから、ノロケなんて。
7: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:09:19.11 ID:JGBD4hA80
もちろん、私が怪我しないように気を使ってくれてますよ。

刃物を使ってたり、揚げ物をしてたり、そういうときは我慢してくれますから。


だったら、いつも我慢してくれればいいのに……。

私のエプロン姿が可愛いからって言って、聞かないんです。


それはまあ、私も悪いとは思いますよ? 可愛いくて。

あ、いえいえ。自分では全然少しも可愛いなんて思ってませんけどね。可愛いなんて。

でも、彼が可愛いって言うから仕方ないんです。

可愛いなんて、ほんとは嫌なのに……。可愛いなんて。


エプロンが似合うって言われて、もちろん悪い気はしません。

でも、私も彼も朝は忙しいんです。

だから、今日はちょっとだけ意地悪してあげます。

エプロンをつけなかったら、彼はどんな反応をするのかな? うふふ。
8: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:11:36.77 ID:JGBD4hA80
P「おはよう、小鳥さん」

小鳥「あ、おはようございます」

P「ん……?」


ふふ、きょとんとしちゃって。

なにもしてこないのは、それはそれでちょっと寂しいけど……。

彼のこんな顔を見れただけで……ん?


 グイッ

小鳥「え? あの、今日はエプロンつけてないんですよ?」

P「そうですね」

 ギュッ

小鳥「あ……もう、また」

P「エプロンをつけてなくても可愛い小鳥さんが悪いんです」

 チュッ

小鳥「んん……!?」

 チュプ…レロ…チュル…

小鳥「ん……ちゅ、んむ……」


あれ? いつもは唇だけなのに。


小鳥「ふあぁ……」


な、なにやら作戦を間違えてしまったようです……。
9: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:12:51.74 ID:JGBD4hA80
危うく、朝ごはんどころじゃなくなるところでした。

あなたとの生活は、朝から刺激的すぎます。

……嫌じゃないですけど。


朝食とお弁当は私が作って、彼がお片づけ。

そのあいだに私が準備を済ませて、彼の身支度もお手伝い。


小鳥「ネクタイ曲がってますよ……はい!」

P「ん……ありがとう、小鳥さん」

小鳥「うん! 今日も私の旦那様はかっこいいです」

P「奥さんが可愛いですからね」


だって、私の第三形態は可愛い奥さんですから。

こんな子供みたいな夢を叶えてくれる、とても素敵な旦那様。


P「じゃあ、そろそろ行きますか」

小鳥「はい!」


大好きです♪
10: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:14:52.38 ID:JGBD4hA80
出勤は、もちろん手をつないで。

彼が左で、私が右。


残念ながら、結婚までに新築は間に合わなくて、今は彼のマンションで二人暮らし。

事務所からふた駅の、私たちのマイホームが完成するのは、まだ1ヶ月先。

都心の一等地だから、それはもう色々と大変だったけど……。

きっと、あなたと本当の家族になれる場所。


小鳥「子供は何人ぐらいほしいですか?」

P「まずは一人目が産まれないと。どれぐらい大変かわからないですし」

小鳥「そうですね」


私の年齢のこともあるから、たぶん何人もというわけには……。

なんで、もっと早くこの人と出会えなかったのかなって、少しだけ思う……けど。


バカみたい。

もっと早く出会っていたとして、同じように結ばれたなんて言い切れる?

わかるわけない。考えても仕方のないこと。


私にわかるのは、今が幸せということだけ。
11: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:16:41.13 ID:JGBD4hA80
お! あそこのビシッと凛々しいスーツ姿で、でもちょっぴり小柄で、

ぴょこぴょこ揺れてる触覚みたいな前髪が可愛らしくて、メガネが似合う知的な美人で、

でも、やっぱり可愛くて……抱きしめたいぐらいに。


うん! 律子さんですよ、律子さん!

って、どんだけ律子さん好きなんだよ、私!


小鳥「律子さん!おはようございます!」

律子「?」

P「おはよう、律子」

律子「あ、おはようございます」


そういえば、夫婦でラブラブ出勤時に遭遇するのは初めてかも。

ほんとごめんなさいねぇ。朝から見せつけちゃってぇ。


律子「朝から胸が焼ける……」


もう、律子さんったら。

相変わらず、聞こえるように心の声を言うのがお上手なんだから。

そんなことじゃ、いきおくれちゃうゾ!


律子「あ?」


あらやだ、この口ったら!

勝手に声に出しちゃって、とんだイタズラっ子ね! テヘペロ
12: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:18:41.65 ID:JGBD4hA80
P「律子も、今朝はずいぶん早いな」

律子「今日はみんな早出ですからね。私だけ遅くなるわけにもいきませんよ」

小鳥「休める時には休んでくださいね」

律子「わかってます」

P「俺も朝から一日戻れないからな。事務所の方は頼む」

律子「ええ、みんなのほうはお願いします」


彼は今日一日、うちの冠番組の特別企画でアイドルのみんなに同伴。

総勢12名によるシークレットゲリラライブを敢行するというもの。


一日で廻れる範囲ということで、首都圏近郊の10ヶ所。

みんなはロケバスで移動。

現地に先行させておくトラックのコンテナを簡易ステージに、突発路上ライブ!

というサプライズ企画。


もちろん、関係各所の認可は取得済み。

さらなるファン層の獲得が建前だけど、現状での力試しのほうが目的としては重要みたい。

みんなには内緒だけどね。


事務仕事が滞らないように、律子さんは居残り組。

一日事務所にいるなんて、ほんと久しぶりじゃないかしら。
13: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:20:52.15 ID:JGBD4hA80
律子「それより……暑苦しいから、もっと離れて歩いてください」

小鳥「そんなこと言わずに、律子さんも手をつないで歩きましょうよぉ」

律子「……」

小鳥「ほらほら」

律子「はいはい、わかりましたよ」

律子「では、失礼します」


そうそう、そうやって素直に……って、あれ?


小鳥「な、なに人の旦那と手をつないでるんですか!?」

律子「あら、ごめんなさい。こちらのほうが近かったものだから」

P「おいおい、二人とも……」

小鳥「あなたも! まんざらでもないみたいな顔して!」

P「そ、そんなことは」

律子「嫌ですか? 私なんかじゃ」

P「嫌なんてことは……」

小鳥「むうぅ!」

P「頼むから、あんまりうちの奥さんをからかわないでくれよ」

律子「ふふ、仕方ありませんね」

律子「じゃあ、小鳥さんと手をつなぎます」

小鳥「最初からそうすればいいんです!」

律子「はいはい、世話の焼ける奥さんですね」

P「ははは……」
14: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:22:31.32 ID:JGBD4hA80
左手に彼、右手に律子さん。

そんな全私が羨むようなシチュエーションで、いつまでもツンツンしてるなんて無理。

5分も持たずにデレデレです。


小鳥「律子さん、律子さん!」

律子「はい?」

小鳥「今日はずっと手をつないで仕事しませんか?」

律子「はあ?」

小鳥「もう離したくないです」

律子「ちょっと。なんとかしてくださいよ、これ」

小鳥「『これ』なんて、ひどいですよぉ」

P「ははは。悪いけど、今日は小鳥さんのことは任せた」

律子「えぇー……」
15: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:25:06.27 ID:JGBD4hA80
もうすぐ事務所。停まってるロケバスが見える。

番組スタッフも、何人か待機してるみたい。


P「俺ちょっと挨拶してくるから、二人は先に事務所に」

律子「はい」

小鳥「わかりました」


左手が寂しくなっちゃった……。

でも、右手は離しませんから!


律子「離してくださいよ」

小鳥「イヤです!」

律子「はあ……」


嫌そうにしてても、結構しっかり握り返してきてますよね?

お姉さん、ちゃんとお見通しですよ? うふふ。
16: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:26:44.66 ID:JGBD4hA80
 ── 早朝 765プロ事務所 ──


今日は、アイドルのみんなも全員早朝集合。

あずささんは、家を出る前に伊織ちゃんが確保してきました。

さすが、竜宮小町の頼れるリーダー!


それにしても……ふふ、こんな時間だとみんな眠そう。


律子「寝惚けてるようなら、プロデューサー殿の代わりに私が同行するわよ?」


あ、みんな目が覚めた。

さすが、みんなの鬼軍曹・律子さん!


P「今日のスケジュールだが……」


ミーティングは簡単に済ませて、早速出発です。

みんな、頑張ってね!


P「いってきます、小鳥さん」

小鳥「はい、いってらっしゃい!」
17: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:28:49.38 ID:JGBD4hA80
みんなを送り出したら、私と律子さんもお仕事の準備です。

早朝の事務所。

あと何回この光景を見るんだろ。


小鳥「律子さん」

律子「はい?」

小鳥「私がいなくなったら……寂しい?」

律子「……」

律子「寂しいに決まってるじゃないですか……」ボソッ

小鳥「ふふ、ありがと」

律子「なんですか?」

小鳥「心配しなくても、ちゃんと顔を見せに来ますよ」

律子「ノロケ話と邪魔しに来る以外なら歓迎します」


当面は無理だけど、私は寿退社の予定。

今まで事務員を私一人でまかなえてたのが不思議だったということで、後任は二人採用するとのこと。


愛着のある事務所だから、寂しくないと言ったら嘘になるけど……。

やっぱり、彼の子供が欲しいから。


もう授かってるかもしれないけどね。

なんていうか、ほら……いつもコウノトリさんにお願いしてますから!

ナマで!


今度、検査にでも行ってみようかな。
18: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:30:19.27 ID:JGBD4hA80
今日は彼の帰りが遅くなるから、律子さんを誘って二人でディナー。

せっかく誕生日を過ぎて20歳になったんだもの。そろそろお酒も、ね?

あわよくば、ほろ酔いの律子さんをお持ち帰り……なんて。うふふ。


律子「ほら、玄関ですよ玄関。靴脱いで!」

律子「同じこと何度も言わせない!寝転がるのはベッドに行ってから!」

小鳥「ふゎ~い……」


あれ? なにこのデジャブ?
19: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:31:56.16 ID:JGBD4hA80
 ── 夜 P自宅 ──


私のほうが酔い潰れて、自分の家にお持ち帰りされてたら世話ないわ……。

テイクアウトじゃなくて、テイクバックだけどね!

返品かよ!


ふう……独りぼっちの部屋で、ひとりボケツッコミは心が痛いわ。

おとなしく彼の帰りを待ちましょう……。


彼ったら、今日は仕事の報告の電話でも、いつもよりはしゃいでた。

ゲリラライブは行く先々でかなりの盛り上がりをみせて、確かな手応えを掴んだって。


当然ですよ。あなたと律子さん、そしてみんながどれほど頑張ってるか……。

一番近くではないけど、みんなに手が届くところで見守ってきた私だから。

みんなが絶対にトップアイドルになることを、他の誰よりも信じています。


その頃には、私は事務所にいないと思うけど。

どこにいても、大好きなみんなをいつも応援してるわ。
20: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:34:46.09 ID:JGBD4hA80
今朝の寝起きじゃないけど、右側にも左側にも彼のいないベッドは寂しい。

まだ帰れないのかな?

連絡……してみよう。


メールは……30分ぐらい前に送ったけど返信はまだ来ない。

電話は……あれ?

電源が入ってないか、電波が届かないって。


最後の現場はちょっと遠い所だったとは思うけど、電波が届かないような場所だったっけ?

打ち合わせとかで、電源切ってるのかな……。


 ♪~~

あ、狙いすましたタイミングで彼から着信!?

もう、そういうベタなのは……ん?

彼じゃなくて律子さん? なにかしら?


小鳥「はい、お電話お待たせしました、小鳥さんです」

律子『小鳥さん……!』

小鳥「律子さん? どうしました?」

律子『落ち着いて聞いてください……』

小鳥「え?」


───

──




うそ……よね?
21: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:37:05.60 ID:JGBD4hA80
ゲリラライブの日程をすべて終え、帰路についたロケバスが高速道路で事故に巻き込まれた。

事故の詳細や、みんなの安否はまだ不明。

律子さんの最初の電話で分かったのはそれだけ。

慌ててテレビのニュースを確認して、事の重大さを知った。


上空からの映像に映し出されたのは、大破した何台もの車。

高速の側壁が大きく破壊され、一般道に転落したらしき車も見える。


何度も目を疑ったけど、信じたくなかったけど……。

その中には、大破したロケバスも……あった。
22: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:40:54.86 ID:JGBD4hA80
律子さんが手配したタクシーに拾ってもらって、二人で急いで事務所に。

先に駆けつけていた社長が、ちょうど電話を切ったところだった。


高木「君たち……大変なことになってしまった……」

律子「みんなの安否は!?」

高木「まだわからない。現場の混乱がひどいようだ」

高木「はっきりするまでは、うちのみんなのことは報道を控えてもらうように手配はしたが……」

小鳥「今は……! 今はそんなこと!」

律子「小鳥さん……」

高木「そうだな……申し訳ない」

高木「君たちの気持ちを考えれば……言うべきことではなかった」

律子「……」

小鳥「いえ……私のほうこそ……」

高木「もう少し詳しいことが分かったら、現場に向かおう」

律子「事務所に誰も残らなくても?」

高木「連絡は私のところへ転送されるようにしておく」

小鳥「今すぐにでも……」

高木「現場がどうなっているのかわからない。もう少し待とう」

律子「そうですね……」

小鳥「はい……」
23: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:42:16.79 ID:JGBD4hA80
 prrrrr…prrrrr…

小鳥「……!」ビクッ

律子「あ、私が……」

律子「はい、765プロです。…………はい……はい! 全員無事が確認されたんですね!」

高木「そうか!」

小鳥「ああ……!」

律子「え? 男性? …………はい、プロデューサーが一人同行して……え!?」


彼? 彼に何かあったの?

なにも……ないですよね?


律子「わかりました……はい、よろしくお願いします」

 ガチャ

高木「律子くん! 全員の無事が確認できたのかね!?」

律子「は、はい……アイドル12名と、同行の番組スタッフは……」

高木「そうか……だが」

小鳥「あの人は……?」

律子「……」
24: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:43:43.48 ID:JGBD4hA80
小鳥「律子さん!」

律子「みんなを救助していて、側壁周辺の崩落に……巻き込まれたと……」

小鳥「うそ……」

律子「……」

小鳥「嘘ですよね? 嘘って……嘘だって言ってください!」

律子「私だって! こんなこと……信じたく……」

高木「よさないか! ここで決め付けてもなんにもならない」

高木「彼女たちも心配だ。私たちも現場に向かおう」

律子「は、はい」

小鳥「……」


夢みたいに……いなくなったりしませんよね?

あなたを失ったら、私は……。
25: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:44:58.44 ID:JGBD4hA80
 ── 事故現場 一般道側 ──


日常とはかけ離れた光景。

金属とコンクリートの無秩序な山。

現実感なんてまるでなくて、サイレンや人々の喧騒だけが頭の中にこだまする……。


あの中に、彼がいる?

嘘よ。そんなことあるわけない。

だって、あんなところにいたら……。


高木「君たち! よく無事で……!」

律子「みんな!」


みんな……。

泣き崩れてる子もいるけど、12人全員いる。

でも、もう一人……いるはずの人がいない。
26: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:46:43.00 ID:JGBD4hA80
春香「プロデューサーさんが、私たちを全員避難させてくれて……」

春香「でも……急に足元が崩れて……」

律子「そんな……」

雪歩「私が! 私がグズグズしてたから……!」

雪歩「うぁ……ひぐっ、うあぁ……」ポロポロ

律子「雪歩……」


違うわ。雪歩ちゃんのせいじゃない。

自分を責めちゃダメ。

そう言葉をかけてあげたいのに……。


声なんて……出るわけない。
27: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:48:11.07 ID:JGBD4hA80
律子「小鳥さん……」

小鳥「……」


ごめんなさい。今、他の誰かを気遣うことなんて……。

私は……。


小鳥「あの人は、どこ?」

雪歩「え……?」

小鳥「あの中の、どこにいるの?」

雪歩「そんな……わか、わかり……」

小鳥「探さなきゃ……早く……」

律子「小鳥さん! 今近づいたら危険です!」

小鳥「離して!」

律子「真! 一緒に小鳥さんを止めて!」

真「う、うん!」

小鳥「離してよ!」

 バシッ

律子「きゃっ……!」

真「律子!」


今いきます……!
28: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:49:40.59 ID:JGBD4hA80
小鳥「──さん! どこですか!」

小鳥「小鳥です! 返事をしてください!」

消防隊員「お、おい! 危険だからさがりなさい!」

小鳥「返事をしてください!」

小鳥「返事……返事を……」

消防隊員「上がいつまた崩壊するかわからないんだ! 早くこっちに!」

 グイッ

小鳥「離して!」


あなたを……あなたを失ったら、私はどうすればいいんですか?

ずっと一緒って、そばにいるって……言ってくれたじゃないですか!

あなたは、私に嘘なんてつきませんよね?

信じてます! 信じてますから……!
29: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:51:32.31 ID:JGBD4hA80
独りにしないでください……。

私はもう、独りじゃ生きていけません……。

隣に、あなたが……。


また、私の名前を呼んでください……。

あなたの声で……。


「小鳥さん……」


え?
30: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:53:10.92 ID:JGBD4hA80
P「聞こえました……小鳥さんの声」

小鳥「あ……ああ……」

消防隊員「生存者だ! 瓦礫の中に生存者がいるぞ! 救助急げ!」

小鳥「無事……無事なんですね!?」

P「無事と、言っていいのかな……?はは……」

小鳥「怪我を!?」

P「左脚が、痛くて動かないです……ぐっ! 生きてる証拠ですね……」

P「あとは大丈夫……死にはしません」

小鳥「ほんとですね!? 信じていいんですね!?」

P「小鳥さんに……嘘なんかつきませんよ」

小鳥「ああ……よかった……!」ヘタッ


瓦礫の中で姿は見えないけど……あなたの声は確かに聞こえる。

ここに、あなたがいる。

生きて……!
31: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:55:15.21 ID:JGBD4hA80
P「ほんとはね……もうダメかと思ったんです……」

小鳥「そんなこと言わないでください!」

P「でも……小鳥さんのことを考えたら……」

小鳥「私の……」

P「こんなところで死んでたまるか……絶対に生きてやる……って」

小鳥「ええ、そうです! 私を独りぼっちにしたら許しませんから!」

P「はは……約束したでしょ」

P「ずっと……一緒だって」

小鳥「はい……約束しました」

P「小鳥さんを残して……いなくなったりしませんよ……」

小鳥「はい……」ポロポロ

P「もう一度……約束」

P「ずっと一緒です」

小鳥「はい! ずっと……ずっと……!」ポロポロ


約束。

永遠に。
32: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:57:24.42 ID:JGBD4hA80
お医者様は奇跡と言ってた。

全身の打撲と、左脚脛骨の骨折で全治3ヶ月。

重症ではあるけど……。


落ちたのが比較的柔らかい車の屋根の上。

そこから車の間に入り込んだことで、瓦礫の下敷きにならなかった。

そんな幸運な偶然が重なって、状況からは考えられないほど軽度の怪我で済んだとのこと。


事故から1週間。精密検査の結果は……。

内臓、脳ともに異常なし! 後遺症の心配もなし!


私も、やっと安心できました!

もう、こんな辛い思いは……絶対に嫌ですからね!
33: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/27(木) 23:58:58.45 ID:JGBD4hA80
 ── 病室 ──


小鳥「は、はい……あ~~ん」

P「あ~~……んむ」モグモグ


普通にゴハンを食べられるようになったのが、よほど嬉しいようで……。

どうしても「あ~ん」をしてくれって言って聞かないんです。

一度看護師さんに見られて……もう、ほんとに恥ずかしかったんだから!


P「病院食でも、小鳥さんに食べさせてもらうだけで美味しくなりますね」

小鳥「そんなことで、味が変わったりなんてしませんよ」

P「実際に美味しくなってるんだから仕方ない」

小鳥「ふふ、もう……」


早く、元気に退院してくださいね。

私の手料理を、お腹いっぱい「あ~ん」してあげますから。


もうすぐ完成する私たちのお家。

一日でも早く、あなたと私と……。
34: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:00:25.85 ID:51pQiyBt0
小鳥「あの……話が」

P「なんですか?」

小鳥「や、やっぱり退院してから話します!」

P「悪い話じゃないんですよね?」

小鳥「違います!……と思います」

P「?」

P「それなら、まあ……」

小鳥「ほら、もっとたくさん食べて、早く元気になってください!」

P「そうですね。……あ」

小鳥「?」

P「小鳥さんから口移しだったら、もっと美味しくなるかも」

小鳥「ぶふっ!?」


さすがにそれは冗談が過ぎます!

って、あれ? 冗談ですよね?


小鳥「あの……」

P「ん?」ワクワク


OH……冗談じゃなかったみたい。

人が見てないからって、く……口移し?


で、でも……あなたから求められたら、ね?

やっぱりダメな私……。
35: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:01:57.13 ID:51pQiyBt0
ええい、ここまできて退けるか!

この人の美味しい食事のために、つまらない恥なんか捨てろ!


 パクッ

小鳥「んん~~……」

P「ん……」

 ガチャ

春香「こんにちはー…………あ」

P「あ」

小鳥「ん!?」

春香「……」

亜美「なになに? どったのはるるん? うおっ!?」

真美「なに? うぇっ!?」

一同「……」

P「……」

小鳥「……」ゴクン

春香「お、おじゃましましたー……」

小鳥「ま、待ってー!」
36: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:03:24.51 ID:51pQiyBt0
春香「あはは。いやほんとに……空気読めなくてごめんなさい」ペコッ

P「いやいや、間が悪かっただけだから」

小鳥「え、ええ。なんというか……こっちこそごめんなさい」ペコッ


お見舞いに来てくれたのは、春香ちゃん、雪歩ちゃん、真ちゃん、やよいちゃん、

亜美ちゃん、真美ちゃんの6人。

他のみんなも、あとから来てくれるとか。


やよい「ラブラブですねー!」

小鳥「ら……あはは///」

P「おう、ラブラブだぞ」

真「うはぁ、ごちそうさまです」

雪歩「ほんとにお邪魔だったみたいですぅ」

小鳥「そんなことないってば」
37: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:05:19.21 ID:51pQiyBt0
春香「そういえば」

小鳥「?」

春香「小鳥さん、昨日具合悪そうだったけど、大丈夫でしたか?」

小鳥「え? ええ、大丈夫よ」

P「大丈夫じゃないですよ。体調悪いなら、ちゃんと休んでください」

小鳥「いや、そういうのじゃなくてですね……」

P「隠し事はダメですよ?」

小鳥「隠してるわけでは……」

P「……」

小鳥「うぅ……わ、わかりました! 話します!」

小鳥「うん、いずれみんなにも話すことだし」

P「?」

小鳥「その……来るべきものが来なくてですね……」

一同「ええ?」

P「それって……」

小鳥「検査してもらったら……」

一同「……」ゴクッ

小鳥「三ヶ月でした……」
38: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:07:34.78 ID:51pQiyBt0
一斉に広がる歓喜と祝福の声。

声量のある子たちだから、爆発でも起こったのかと思うぐらい。


看護師さんに怒られちゃいました……。


真美「ピヨちゃんがママかぁ」

亜美「そっかぁ、あのピヨちゃんが……大丈夫?」

小鳥「どういう意味よ」

春香「プロデューサーさん! パパですよ、パパ!」

P「そうだな。実感わかないけど」

小鳥「ごめんなさい。早めに相談しようとは……」

P「相談? 答えは決まってますよ」

P「俺たちの子供を、産んでください」

小鳥「はい……///」

一同「おおー!」

雪歩「なにかお祝いしないと!」

やよい「プロデューサーが退院したら、みんなでお祝いのパーティですね!」

P「はは、ありがとな」

真「男の子かな? 女の子かな?」

春香「そうだ、みんなで名前を考えようよ!」

真美「お、ナイスアイデア!」

亜美「はるるんみたいなドジっ子にならないような名前がいいね!」

春香「なんだって?」
39: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:09:49.88 ID:51pQiyBt0
名前か……。

まだ男の子か女の子かもわからない、まだ見ぬこの子の名前……。


小鳥「ありがとう、みんな」

小鳥「私は……この子の顔を見てから名前を決めてあげたいと思ってるの」

一同「……」

P「俺も、小鳥さんと同意見」

春香「そっか、そうですよね!」

春香「もう、すっかりパパとママですね」

小鳥「ふふ、そうね」

小鳥「この子が産まれたら、みんなで名前を考えましょうね」

春香「はい!」


パパとママと、お姉ちゃんたちみんなが、あなたを待っているわ。

だから、元気に産まれてきてね。

ママとの約束。
40: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:11:49.08 ID:51pQiyBt0
 ── 1ヶ月後 P新宅 ──


予定よりちょっとだけ遅くなったけど、ついに、ついに……。

私たちのマイホームが完成しました!


大きいとは言えないお家だけど、ここは都心の一等地。

(旦那の方が)20代の夫婦で、新築の一軒家!

どんな立派なお屋敷にだって負けません!


小鳥「私たち……三人のお家ですね」

P「ええ」

小鳥「素敵なお家をありがとうございます、パパ♪」

P「俺たちの子供を産んでくれる小鳥さんと、俺たちの子供へのプレゼントです」

小鳥「ふふ」

P「あれ? 少しお腹が膨らんできました?」

小鳥「そ、そうですか?」


4ヶ月だから、まだまだですよ。

でも、つわりが落ち着いてですね……お腹がすくというか……。

いや、なんでもないです!


食事の栄養バランスに気をつけなくちゃね!
41: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:12:55.12 ID:51pQiyBt0
P「早く、元気に生まれてきてくれよ」

小鳥「もう。お腹の中で、ゆっくり元気に育ってからですよ」

P「あ、そうですね」

P「ごめん。今のナシだ、我が子よ」

小鳥「ふふ、なに言ってるんですか」

P「でも、早く会いたいですね……」

小鳥「ええ……」


───

──


42: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:14:29.84 ID:51pQiyBt0
 ── 数ヵ月後 病院 ──


陣痛が始まった。

30分ほど陣痛室で検査を受け、分娩室へ。


年齢と初産であることを考慮して、帝王切開を勧められたけど……。

私は自然分娩を選んだ。


不安がないわけじゃない。

でも……。


P「小鳥さん……!」


あなたがいてくれるから。

強く握り締められて手が痛いほどだけど……怖くはない。


P「もうすぐ産まれますよ! 俺たちの子供が……!」

小鳥「はい……!」

小鳥「んっ!くぅ……!」

P「頑張って……!」


大丈夫です。

どんなに辛くても、痛くても、苦しくても……。

耐えられます。


あなたがいて……あなたと私の子供が産まれるんだから。
43: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:15:25.77 ID:51pQiyBt0
───

──


44: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:16:10.59 ID:51pQiyBt0
 ── 数時間後 病室 ──


看護師さんの腕の中の、とても小さな女の子。

でも、とても元気に生まれてくれた。

彼と私の……赤ちゃん。


あなたの産声を聞いた瞬間、なんだか自分も生まれ変わった気がした。

たぶん、これが母親になるということ。


小鳥から産まれたヒヨコちゃん。

まだ名前もないあなたは……パパとママ、どちらに似ているのかな?


願わくば、パパのように強く優しい子に育って、ママのように幸せに……。

ううん、ママよりもっと幸せになってね。

それがママの幸せだから。


産まれてくれて、ありがとう。
45: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:18:22.03 ID:51pQiyBt0
P「俺……なんだか感動しちゃって……」ポロポロ

P「ありがとう……小鳥さん」ポロポロ

小鳥「ふふ……パパは泣き虫さんね」


泣いてるところ……初めて見た。

優しい涙。


つられて泣きそうになっちゃったけど、ママは我慢。

だって……小さなあなたは、もう泣き止んですやすや眠っているものね。


P「俺ももう父親ですからね! うん、娘に恥ずかしいところは見せられない!」グシッ

小鳥「じゃあ、さっきの泣いてるパパを、忘れないように覚えておかないと。ね?」

P「忘れてください!」

P「お前もだぞ。パパは泣き虫なんかじゃないからな?」

小鳥「ふふ」


忘れることなんてできません。

一生の記念日の、一生の思い出です。
46: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:19:38.35 ID:51pQiyBt0
小鳥「ありがとう、パパ」

P「ありがとう、ママ」

小鳥「ふふ」

P「ははは」


ありがとう、私のヒヨコちゃん。


またひとつ、私の幸せが増えました。

これからもきっと……もっと、もーっと増えると思います。



あなたたちがいてくれるから!




おわり
47: ◆PQxO3wwU7c 2013/06/28(金) 00:22:13.75 ID:51pQiyBt0
やっぱりピヨちゃんは書きやすい

他のキャラを書くつもりだったけど、急に話を思いついたのでこっちを書きました
第三形態ピヨちゃんです

これ以上書くことがあるかは疑問だけど、
せっかくここまでやったので、最後の第四形態もいずれ書いて完結させます

読んでくれたみんな、ありがとう

ピヨちゃんだけじゃなく、『真美「真美と兄ちゃんの、約束の日」』と
律子「私はあの人に勝ちたい……!」』のほうもよかったらよろしく
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/28(金) 00:25:32.18 ID:K00kPznUo
Pピヨはやっぱ正義と確信

2828が止まらないとはこの事なり

第四形態お待ちしております
50: VIPにかわりましてPIGがお送りします 2013/06/28(金) 01:49:06.04 ID:xTfQHvg5o
やはりピヨちゃんは正妻

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