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後輩「ちょっと先輩!晩御飯どうするんですか!」【前編】

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:44:32.05 ID:hqlVYEyt0
先輩「あぁ? んなもんそこらへんのカップ麺でも食ってろよ」

後輩「もう無くなっちゃいましたよ。全部」

先輩「はぁああ? 何個か残ってただろ。イケル麺だかなんだか言うやつが」

後輩「今日のお昼の時点で残り一個でしたよ」

先輩「そうだっけ? まあ、そうなったら最後の一個食った奴がどうにかするのが筋だわな」

後輩「それ、先輩です」

先輩「……お前にもやっただろ」

後輩「一口だけですけど」


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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:45:25.78 ID:hqlVYEyt0
先輩「……あ、明日は作るから。今日はなんか頼むよ。今日はどうもダルい」

後輩「あー、またそんなこと言って」

先輩「いや、本当だって」

後輩「約束ですよ! じゃあ、ほら、指きりしましょ」

先輩「えー、ガキじゃねーんだから」

後輩「何言ってるんですか! ほら指きりげんまん! 嘘ついたら針千本のーます!」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:47:16.05 ID:hqlVYEyt0
先輩「おい、パソコンやらせろ」

後輩「嫌です。今私がやってるでしょ」

先輩「どうせエロサイトでも見てんだろ」

後輩「まさか、先輩じゃあるまいし」

先輩「誰がそのパソコン初期設定してやったと思ってんだ」

後輩「ガッツリ共同作業でした。っていうか先輩横から文句言うだけだったじゃないですか」

先輩「チッ、もういい。寝るから消せよ。眩しいんだよ」

後輩「布団にでも潜ってりゃいいじゃないですか。あと目隠しとか」

先輩「……お前私のこと嫌いだろ」

後輩「そんなことないですよ? むしろ好きです。大昔のアラン・ドロンの次くらいに」

先輩「お前たまに真顔でわけのわからん嘘つくよな……」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:49:41.06 ID:hqlVYEyt0
後輩「せんぱぁ~い」

先輩「なんだよ、気持悪い声出すなよ」

後輩「あのぉ、ひとつぅ、お願いがあるんですけどぉ」

先輩「倫理学か? それとも社会心理学? あるいは法学概論とか?」

後輩「……なんだ、わかってるんじゃないですか」

先輩「お前がまともに後輩してるのは過去問とレジュメねだる時だけだからな」

後輩「まあまあ、後輩への過去問引継ぎは先輩の義務ですよ。公共政策論のノートあります?」

先輩「あー、あれレジュメ配んねーもんな。まあ、どっかにあんだろ。勝手に探せよ」

後輩「あざーっす!」

先輩「まあ、私は落としたけどな。カタキを討ってくれ」

後輩「……そのノート、役に立つんですか?」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:51:02.76 ID:hqlVYEyt0
後輩「ううぅう……ぎぼぢわるい……」

先輩「吐くなよ。おい、吐くなよ。何度でも言うぞ、吐くなよ」

後輩「いやぁ、大分やばいっす……うっ!」

先輩「うっ!?」

後輩「……まだまだぁ」

先輩「はぁ……なんでいっつも吐くまで飲むんだよ」

後輩「先輩が止めてくれないから……」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:52:31.47 ID:hqlVYEyt0
先輩「止めたよ何度も! そっからジョッキ2杯行った馬鹿はどこのどいつだ!」

後輩「いやぁ~、覚えてないですぅ」

先輩「まったくこのアル中女が……よし、これからは厳しくいくからな。今度は力ずくでも止めるぞ。お前のためだ」

後輩「せんぱいこわ~い……うっ」ダバー

先輩「……あー、もうっ、アホッ!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:54:37.30 ID:hqlVYEyt0
後輩「日本をインドに!!」

先輩「……は?」

後輩「ノリ悪いなぁ」

先輩「な、なんの話だ?」

後輩「……もういいです。まあとにかく、カレーを作ります!」

先輩「おー、頑張れ」

後輩「で、カレーってどうやって作るんですか!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:56:14.77 ID:hqlVYEyt0
先輩「……知らないのか?」

後輩「はい」

先輩「じゃあなんで作ろうと思ったんだよ……」

後輩「いやなんか急に大学生ならカレーだろ! という強迫観念に襲われまして」

先輩「わけわかんねーなお前は……」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 19:59:29.91 ID:hqlVYEyt0
テレビ「ワーワー」

先輩「あれ、このタレントって謹慎中じゃねーのか?」

後輩「もう解禁なんじゃないんですか?」

先輩「そもそも何やったんだっけ? 喧嘩か?」

後輩「覚せい剤とかじゃありませんでした?」

先輩「ヤクザとつるんでバクチ打ってたって気もしてきたぞ」

後輩「素人の人妻と不倫した、とかどうですか?」

先輩「提案されてもなぁ。……気になるな。おいちょっとネットで調べろ」


後輩「……あー、謹慎中なのって別の人ですね。多分」

先輩「……なんだよそりゃあ」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:02:41.01 ID:hqlVYEyt0
後輩「あー」

後輩「ねむいー」

後輩「ねむいよー」

先輩「……」

後輩「なぁあああー……」

先輩「寝ろよ!」

後輩「いやだって、今日起きたの十二時まわってたし、今寝たら確実にこの二日で起きてる時間より寝てる時間の方が長いことに」

先輩「別にいいだろ。ハムスターだって一日12時間寝るんだ」

後輩「げっ歯類と同じにしないで下さい!」

先輩「まあお前はハムスターよりはカピバラよりだけどな」

後輩「どういう意味ですか!」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:04:26.75 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩って足ほっそいですよねー」

先輩「うん。知ってる」

後輩「わぁー予想外」

先輩「そりゃ毎日お前の足とケツ見せられてたら、自分に自信も持てるってなもんだ」

後輩「なっ! 失礼な! 先輩こそ逆に言えば貧乳のくせに!」

先輩「はっ。チチなんかどうせ脂肪の塊だろーが。腹についてるのか胸についてるのかの違いだけで」

後輩「うわぁ、開き直ってるぅ」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:06:31.24 ID:hqlVYEyt0
先輩「んなもんでわーわー騒ぐ男のほうがおかしいんだよ」

後輩「……先輩、なんか過去にトラウマでも?」

先輩「なっ、ね、ねーよ! なんだよトラウマって!」

後輩「先輩、くわしくは聞きませんから……」

先輩「こらっ! なんだその哀れみを込めた目は! なんにもねーつってるだろ!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:09:36.83 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩、ドイツ語教えてください。わけわかんないです」

先輩「無理」

後輩「いや、先輩第二言語ドイ語でしょ」

先輩「無理無理」

後輩「……あ、もう忘れたんですね、全部」

先輩「なにおう。こう見えても私は語学を落としたことはないんだぞ」

後輩「へー。じゃあ教えてくださいよ」

先輩「よぉーし。やー、いっひりーべでぃっひ」

後輩「ほうほう」

先輩「り、りーぷと、じーべん、どぅるひっ! えーっと……ツヴァイ!」

後輩「……いや、もういいです」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:12:11.35 ID:hqlVYEyt0
先輩「お前夏休みどうすんだ? 帰省すんのか?」

後輩「んー、めんどくさいなぁ。いや、盆くらい帰って来いとは言われてますけどね」

先輩「盆だけ帰るってもだりーな。それぐらいならいっそ来学期まで帰るだろ」

後輩「まあ、多分こっちでダラダラします」

先輩「そうか。じゃあ私もこっちにいるかな」

後輩「えー、せっかく一人でのびのびできると思ったのにぃ」

先輩「お前一人じゃ生活できねーだろ」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:14:25.05 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩の面倒見なくちゃいけないよりマシです。っていうかまるっきりこっちの言葉です」

先輩「なんだとー」

後輩「じゃあ、今日の晩御飯お願いしますね」

先輩「よーし、私に任せるなら晩飯はこのキャラメルだ。これと水で腹を膨らませよう」

後輩「……なんでインスタントカレーを無視するんですか」

先輩「じゃあ飯炊けよ。私が寝てる間に」

後輩「……やっぱり先輩一人じゃほっとけないです」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:17:23.98 ID:hqlVYEyt0
後輩「でぇ~、そのバイト先の人がすっごいカッコいいんですよぉ~」

先輩「……この間のコンビニ店員はどうした?」

後輩「いやぁ、なんかもうどうでもよくなっちゃいました」

先輩「本人のあずかり知らない所で勝手に惚れられて勝手に振られてちゃたまんねーなー」

後輩「別に惚れたとは言ってませんけどね」

先輩「それにしてもお前とっかえひっかえやれどこのどいつがカッコいい、あいつがカッコいい言ってるけど
   一人もモノにしてきたことねーな?」

後輩「えー? まあなんていうか、見てるだけで満足しちゃうんですよねー。相手も私のことなんか知らないだろうし。
   それに付き合いたいとかは……うーん……
   まあ、思わないこともないですけど、わざわざ自分で動こうとは思いませんね」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:19:50.12 ID:hqlVYEyt0
先輩「んなこと言ってたら一生彼氏なんかできっこねーぞ」

後輩「先輩にだけは言われたくないです」

先輩「はぁ? どういう意味だよ!」

後輩「そのまんまですよ。……っていうか、先輩好きな人とかいないんですか?」

先輩「好きな人ぉ? いねーなぁ」

後輩「芸能人じゃ阿部寛が好きなんですよね。まさかあのレベルを求めてないですよね」

先輩「んなわけねーだろ。私だって現実くらいわかってるつもりだぞ。
   そうでなくてもロクな男がいねーもんはしょうがねーだろ」

後輩「まー、先輩美人ですもんねー、そうそう釣り合う男の人なんていませんよねー」

先輩「……どんだけ棒読みだよ」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:22:03.91 ID:hqlVYEyt0
後輩「せんぱーい。ここ空いてますか?」

先輩「ん、おう。なんだ三人か?」

後輩「これ、いつも言ってる先輩」

男1「こんちわー」

男2「先輩って、廣田さんと相部屋の?」

先輩「これ言うな。なんだお前ら? 廣田の知り合いか?」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:23:54.81 ID:hqlVYEyt0
男2「藤原です。こっちが柳」

男1「サークルが一緒なんですよ」

先輩「ふーん、まあ座れや」

男1「あっ、じゃあとりあえずカバンだけ」

男2「俺らメシ買って来ますんでー」

後輩「私はお弁当だから、いってらっしゃーい」


後輩「しかし先輩相変わらずいっつも一人でご飯食べてますね」

先輩「うるせー」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:26:03.39 ID:hqlVYEyt0
男1「廣田の先輩、美人だったなぁ……」

男2「まあ、確かに美人だったけど、あの格好はどうなんだ?」

男1「すげぇダサかったなぁ……」

男2「なんか田舎のヤンキーみたい感じだよな。金髪だし」

男1「つっかけだし」

男2「いくら寮が近いつってもなぁ」

男1「ああいうの残念美人っていうんだろうな」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:27:29.60 ID:hqlVYEyt0
男2「でも残念美人って言葉は、もっとエロい身体のイメージだな。こう、色々もてあましてる的な」

男1「いや、全然分からん」

男2「どっちかっつーと廣田さんの方が近いよな」

男1「廣田、残念美人か?」

男2「美人は美人だろ」

男1「……ほっほー」

男2「なんだよその反応」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:30:34.62 ID:hqlVYEyt0
後輩「いだだだだだ無理無理無理無理」

先輩「お前どんだけ身体固いんだよ」

後輩「昔っからなんですよぉ。高校の体育テストでも長座体前屈マイナスでした」

先輩「いや、それは多分なんかの間違いだと……まあ、運動神経悪そうだもんなぁ、お前」

後輩「むぅ、そんなに言うなら、交代してください!」

先輩「別にいいけど、お前の助けはいらんぞ」グニャー

後輩「な゛ッ!!!」

先輩「まあ、これくらいはヨユーよ(ドヤァ」ガバァー

後輩「うわぁ、キモッ! え、なんかやってたんですか?」

先輩「こう見えても小学校の頃はバレエ少女だったからな」

後輩「へー! バレエ!? 凄い! 信じられない! 信じたくない!」

先輩「……喧嘩売ってんのか?」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:33:18.79 ID:hqlVYEyt0
後輩「んーんーんんーんーんんー」

先輩「おいどうした。苦しそうだな」

後輩「は?」

先輩「いや、あんなにうめき声をあげて……腹でも痛いのか」

後輩「なっ! 失礼な! 人の鼻歌をうめき声呼ばわりですか!?」

先輩「鼻歌ぁ? うそつけ。死にかけの牛にしかきこえねぇぞ」

後輩「なお悪くなってるじゃないですか!」

先輩「つーか何の曲だよそれ」

後輩「春よこい」

先輩「……」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:36:18.35 ID:hqlVYEyt0
ガタガタガタッ
後輩「うおわわわわわわわわわ!」

後輩「地震ですよ地震ですよ先輩地震ですよ!!!」ガシッ

先輩「知ってるよ……大騒ぎしすぎだ。あと離れろ。暑苦しい」

後輩「今のはでかいですよ! 震度5はあるかと!」ヒシッ

先輩「いや、私の勘では……2か3だな。ってか離れろっつーの!」

後輩「そんなことないですよ! テレビテレビ!!」


後輩「……」

後輩「あれっ」

先輩「な、3だろ」

後輩「あんなに揺れたのに!?」

先輩「この寮のボロさをわかってないな、お前は」

後輩「……ほんとに震度5がきたら潰れるんじゃないんですか、ここ」

先輩「……多分な」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:38:24.49 ID:hqlVYEyt0
男2「あれ、なんでこの人いるの?」

先輩「あぁ? この人ってなんだよ」

男2「あ、ごめんなさい」

後輩「先輩、去年落としたんですよね、58点かなんかで」

男1「えー、この授業楽勝だって聞いたから取ったんですけど」

先輩「楽勝だよ実際。私の知り合いで落とした奴いないもん」

後輩「……あの、なんでビミョーに誇らしそうなんですか?」

男1「あっ、じゃあ過去問とかあります?」

先輩「さぁー、探したらあるだろうけど、まさかタダとか言わねーよな」

後輩「柳君、私が先輩から奪ってくるから大丈夫だよ」

先輩「こら、勝手なマネすんなよ。私の貴重な昼飯を邪魔すんな。ここから何食分稼げるかの勝負なのに」

男2「……なんか怖い人だな」

後輩「まだまだ、こんなの猫被ってるよ。本性はもっとこう、蛇に近い」

先輩「聞こえてんだよ」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:40:19.20 ID:hqlVYEyt0
後輩「……せんぱーい」

先輩「……あー?」

後輩「ちょぉおー暇っすー」

先輩「へぇ、お前と意見が合うとは珍しいな」

後輩「なんかお話してー」

先輩「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。二人はとても仲がよく、同じ日に大往生を遂げました。おわり」

後輩「……ひどすぎる」

先輩「お前こそ、なんか暇つぶし考えろよ」

後輩「……ゴリラ」

先輩「いやそれ普通はリンゴとセットだろ……ラクダ」

後輩「ダライ・ラマ」

先輩「……マッコウクジラ」

後輩「らんら、らんら、るーんるーん。あー、んがついちゃったー」

先輩「……なんだそりゃ」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:42:14.43 ID:hqlVYEyt0
男2「先輩と廣田さんって声似てますよねー」

後輩「はぁ?」

先輩「そうかぁ?」

男1「あー、言われてみれば」

男2「口調が違いますけど、そこ直したら聞き分けつきませんよ」

先輩「そんなことはねーだろ」

後輩「そうそう、そんなことはねーだろぉ」

男1「おー。これ電話でこっそり入れ替わっても気づきませんよ」

先輩「マジかよ。よぉーし、じゃあ今度こいつにかかってきた電話に勝手に出てやろう」

後輩「ちょ、やめてくださいよ、そんなこと」

先輩「そんでもってここではとても口に出しては言えないあんなことやこんなことを……」

後輩「こら! もし本当にやったらこっちもやりますよ!」

先輩「冗談だよ」

後輩「先輩の場合、なんか冗談に聞こえないんですよ!」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:44:43.34 ID:hqlVYEyt0
ゴォオオオオオ
後輩「た、たらいまぁ……」

先輩「おお、大丈夫……じゃなさそうだな」

後輩「死ぬかと思いましたぁ……台風今何処ですか?」

先輩「もうすぐ上陸するぞ。直撃コースだ」

後輩「ひぃい。と、とりあえずお風呂入ってきますぅ…」


ギシギシギシ
後輩「……なんか、この寮ヤバイ音してませんか」

先輩「こんなもんだろ」

ミシミシミシ
後輩「か、風で揺れてますよ!」

先輩「そうだなぁ」

後輩「大丈夫なんですかここ……」

先輩「さあ……」

後輩「さあって……」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:46:40.71 ID:hqlVYEyt0
後輩「でも、台風が来た時って、なんかわくわくしませんでした?」

先輩「相変わらずガキっぽいなぁお前は」

後輩「子供の頃の話ですよ!」

先輩「まあやっぱり、普段と違うからな。非日常ってのは楽しいもんだ」

後輩「学校が休みになりますしね!」

先輩「……大学になるとあんまりうれしくないけどな」

後輩「……どうせ補講ですもんね」

パッ

後輩「うぎゃぁあああああああああ!」

後輩「せ、先輩! どこですか! せんぱぁあああああい!! あっ、いた!」ガシッ

先輩「うるせーな。停電しただけだろ」

後輩「うわあああああああああん! 暗いの怖いよぉおおおおおお!」ヒシッ

先輩「……お前、それ演技だろ」

後輩「あっ、バレました?」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:49:25.62 ID:hqlVYEyt0
先輩「おうおう兄ちゃん、金出しなー」

男1「はっ、な、なんすか?」

先輩「オラ、ジャンプしてみろよ。ポケットにも小銭入ってんだろ」

男2「こえー、カツアゲだぁ」

後輩「えー、要するに先輩の今月の食費が大ピンチということです」

先輩「このままじゃあ、こいつなんかに金を借りることになる。オラ、金だよ金」

男1「いや、普通に廣田に借りればいいじゃないですか」

男2「俺ら関係ないっすよ」

男1「部外者っすよ」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:51:21.74 ID:hqlVYEyt0
先輩「なに言ってやがる。こう見えても私こいつに結構奢ってるんだぞ。酒とか酒とかビールとか」

後輩「いや、私その分ちゃんとお返ししてますから。ギョーザとかチャーハンとかラーメンとか」

先輩「サークルメンバーの責任は連帯責任だろぉ?」

後輩「あっ、聞いてない」

男1「いやぁ、うちはそんなおカタイところじゃないんでぇー」

先輩「固かろうが柔らかかろうが関係ねーんだよ。こいつがお前らを連れて来た時点でもう変えられない運命なんだよこれは」

男1「そんな無茶な……」


男2「……大変だな、廣田さん。あの人と四六時中一緒って」

後輩「あ、分かる?」

先輩「なんだお前らその目は。なに若干かわいそうなひとを見るような目で見てんだコラ。同情するなら金をくれじゃねーんだよオイ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:53:43.47 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩、猥談でもしましょうか」

先輩「藪から棒どころかミサイルが出てきたレベルの振りだな」

後輩「……い、いきなりそっち系の下ネタですか?」

先輩「……」ピキピキ

後輩「……ごめんなさい」

先輩「実際なんなんだよいきなり」

後輩「いや、今日柳君達が女同士の猥談ってエグいんでしょ、とか言ってまして。よしここは一つ男の馬鹿な夢をかなえてやろうかと」

先輩「意味わかんねー」

後輩「そういうわけで、さあっ」

先輩「……いや、さあっ、って言われても」

後輩「ここは年上の先輩がリードしなきゃダメですよ!」

先輩「よし、寝ろ」

後輩「えー」

先輩「そういう話なら、ベッドの中でたっぷり教えてやるよ……」

後輩「……ベッドありませんけど」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:56:17.50 ID:hqlVYEyt0
男1「キャッキャッ」

男2「ウフフ」

後輩「キャッキャッ」

男2「ウフフ」

先輩「おうおう、てめーら楽しげになに相談してやがる」

後輩「あっ、先輩。サークル旅行の計画です」

先輩「……」スッ

男1「すげー、俺無言で真顔で中指立てられたの初めてだ」

先輩「死ね」スッ

男2「死ねって言われながら両手クロスで中指立てられたのも初体験です」

後輩「なんですか? 先輩行きたいんですか?」

先輩「だぁれが行くかよ。お前らみたいな馴れ合いサークルの旅行なんざ」

男1「いや、今から入ってもらうってのも全然アリですよ。メンバーは多い方がいいし」

先輩「やーだねー。っていうかそもそもお前らどういう活動してんだよ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:57:51.99 ID:hqlVYEyt0
男1「グッ……!」

男2「オゥフッ……!}

後輩「ミギャァッ……!」

先輩「……おう、思ったよりもクリティか」

男1「い、一応英語系の……」

先輩「おら、目ぇ見て話せや」

男2「実際、校内でダラダラしてあとたまに飲み会行ってるだけだよな」

後輩「サークルと言えるかどうか非常に微妙なとこです」

先輩「やっぱりな……」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 20:59:42.35 ID:hqlVYEyt0
男1&2「じゃー、また」

後輩「またね」

先輩「……なあ」

後輩「なんですか?」

先輩「ヤリサーじゃねぇだろうな」

後輩「なっ、そんなわけないじゃないですか!!」

先輩「誰ともやってねぇんだな?」

後輩「やってませんよ! いくら先輩とはいえ怒りますよ!」

先輩「……じゃあ、いいんだ」

後輩「まったく!」

先輩「そう怒るなよ。今日の晩飯私が作るからさ」

後輩「ぷんぷん!」

先輩「……やっぱ、ヤメだ」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:01:54.21 ID:hqlVYEyt0
チャプチャプ
後輩「細っ」

先輩「知ってる」

後輩「白っ」

先輩「知ってる」

後輩「すっべすべ」

先輩「……知ってる」

後輩「薄っ」

先輩「どこがだコラ」

後輩「じ、上下」

先輩「……テメー、沈めんぞ」

後輩「い、いやぁ、よく見たら下はそんなに薄くは……」

先輩「……本気で絞めるぞコラ」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:03:05.09 ID:hqlVYEyt0
後輩「っていうか当たり前ですけど……髪は金髪でもそっちは黒いんですね」

先輩「……んなとこ染めるほど馬鹿に見えんのか? 私が。っつーか、よく見んな! 気色悪い!」

後輩「いやぁ、こうやって一緒にお風呂に入りでもしないと先輩の全裸なんか拝めませんからねぇ」

先輩「拝まんでいい!」

後輩「あー、照れてるー」

先輩「……」

先輩「沈め!」バシャッ

後輩「がばっ!? ごぼば! ばぼばがばっ!」バシャバシャ

後輩「がぼばばっ……! ぶはぁ! 殺す気か!!」バッシャーン

先輩「馬鹿は死んでも治らないって言うだろ」

後輩「じゃあ尚更殺す意味ないでしょ! もーう許さん! おかえしだー!」バシャッ

先輩「あっ! こら! やめがごぼばっ!」バシャバシャ
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:05:29.48 ID:hqlVYEyt0
後輩「ちょっと、狭いですったら」

先輩「いいじゃねーか。寒いんだよー」

後輩「自分の布団があるでしょ。一人で寝なさい!」

先輩「これもかけたらもっとあったかいだろー」

後輩「ちょっと、あんまりくっつかないでくださいよ」

先輩「あったけー」

後輩「まったくもう……先輩?」

先輩「スー…」

後輩「早っ」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:07:32.15 ID:hqlVYEyt0
後輩「……」

後輩「ま、確かにあったかいか……」

後輩「……おやすみなさい」

先輩「うん、おやすみ」

後輩「わっ!」

先輩「はっはっはー、寝たと思った?」

後輩「おとなしく寝てくださいよ……」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:09:22.25 ID:hqlVYEyt0
後輩「ひぃいいいいいい」チラッ

先輩「……」

後輩「ひゃぁあああああ。きゃぁあああああああ」チラッ

先輩「……」ボリボリ

後輩「こらっ! 後輩が悲痛な叫び声をあげてるんだから、お尻掻いてないで振り向くぐらいしたらどうですか!」

先輩「ああ、悪い。F級ホラー映画でもやってるのかと思った。どうしたんだ? ゾンビでも出たか?」

後輩「れぽぉおおおとがぁああああ、おわらないんですぅうううううう」

先輩「そうか。よし、わかった。わかったわかった。うん、わかった」

後輩「たすけてくださぁいいいいいいい」

先輩「どう助けろって言うんだよ」

後輩「代わりに……」

先輩「はいボツ」

後輩「……ご飯」

先輩「……チッ」

後輩「やったー!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:12:06.87 ID:hqlVYEyt0
後輩「あ゛~……」

先輩「お、38度6分。大台乗ったな。この分だと39度あるぞ」

後輩「死ぬぅぅ~……」

先輩「死なねーよ。ちょっと風邪ひいたくらいで大げさな。……医者行くか?」

後輩「ん~……いや、出かけるのもしんどいです」

先輩「そうか? じゃ、この薬箱らしきものに入っていたわけのわからん風邪薬っぽいなにかでも飲むか?」

後輩「……大丈夫なんですか? それ」

先輩「使用期限が……去年の8月か。そろそろいい具合に熟成して飲み頃だな」

後輩「……やめときます」

先輩「しょうがねーなー。買ってきてやるよ、クスリ……なんか他にいるもんあるか?」

後輩「果物と、ゼリーとアイスと……快気祝い用にいい肉とビール。あ、やっぱワイン。赤。いややっぱりロゼ」

先輩「調子乗んなコラ。ま、その分なら大丈夫そうだな……けど、帰ってくるまでちゃんと寝てろよ。ほら、冷えタオルも乗せとけ」

後輩「先輩……優しい」

先輩「……バーカ、さっさと治ってもらわねーと私にうつされんだろーが。バーカバーカ」

後輩「ふふ……」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:14:23.35 ID:hqlVYEyt0
後輩「不味いですねーこのサラダ。芯しか入ってませんよ」モグモグ

先輩「死ぬ」

後輩「え、そ、そこまで不味くはないかと……」

先輩「どうせ私なんてこの世に必要ない存在なんだ……」

後輩「ちょっと、どうしたんですか?」

先輩「誕生日だというのにだれも祝ってくれるわけでもなく、プレゼントをくれるわけでもなく……」

後輩「……いや、あの、誕生日なんて聞いたこともないんですけど。今日なんですか」

先輩「ああ、今日が誕生日だと自分でアピールする女のなんと醜いことよ……だが、それが真実……」

後輩「えーっと、じゃあ、おめでとうございます」パチパチ
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:16:32.27 ID:hqlVYEyt0
先輩「……終わりか?」

後輩「ダメですか?」

先輩「もっとこう、生まれてきてくれてありがとう御座います! とか、今日を国民の休日にしましょう! とかあんだろ」

後輩「特に後者はないっすねー」

先輩「あと、ごめんなさい! すぐプレゼント買ってきますから! 何がいいですか? 予算10万までOKです! とかよ」

後輩「いやぁ、もう何もかもないっすねー」

先輩「……チッ、もういいよ」

後輩「いや、あの……本当におめでとうとは思ってますよ?」

先輩「あーあ、下手な慰めはいらねーよ」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:18:30.22 ID:hqlVYEyt0
後輩「と、言うわけで、先輩があんまりスネるもんだから、一日遅れでパーティーです」

男1&2「お誕生日おめでとうございます!」

先輩「おうおう者ども今日はよく来てくれた。さ、さ、ゆるりと楽しむがよい」

男1「よぉーし飲むぞぉー」

男2「……ケーキにビールは流石にどうかと思うんだけど」

後輩「えーでは、プレゼントタイムです!」

男2「早ッ」

先輩「ほっほっほ、下々の者にこんな気遣いをさせて悪いのう。だが、せっかくの気持、受け取っておこうかのう」

後輩「皆で色々話し合った結果……これです!」

男1&2「ワーワー」

先輩「ほっほっほ、なにかのう。楽しみじゃのう。開けるぞよ。どらどら……」

肩叩き券

先輩「……わりゃぁああああああ!」ガシャーン

3人「ひぃいいいいいいい!」

先輩「コロス! 絶対コロス! 皆殺しだぁああああああ!」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:20:37.49 ID:hqlVYEyt0
後輩「……ごめんなさいですってば」

先輩「……」

後輩「ホントに時間がなかったんですよぉ」

先輩「……」

後輩「まあ、あの激怒の状態で食べ物の乗ってる机はちゃぶ台返ししなかったあたりさすがというか……」

先輩「……」

後輩「……あの、これ」

先輩「……あ?」

後輩「前、先輩が欲しがってたCDです。その……あとで渡すっていう作戦で……」

先輩「……それ、もう自分で買ったよ」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:22:41.78 ID:hqlVYEyt0
後輩「えっ……」

先輩「まったく……何もかもが段取りわりぃんだよ」

後輩「……ごめんなさい」


先輩「……ふう」

先輩「まあ、いいって。私だっていきなり誕生日だなんて言って悪かった。暴れたりして大人気なかったな。
   他にも色々……まあ、それなりに反省してるよ。こうやって、祝ってくれるだけでも嬉しいから。……ありがとうな」

後輩「せ、せんぱぁい……」ポロポロ

先輩「こ、こら、泣きながら抱きつくな!」

後輩「だいすきですぅうう~」

先輩「や、やめろ! 気持悪いんだよ! こら! 放せ!」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:25:07.82 ID:hqlVYEyt0
後輩「どひぃいいいいいいい」

先輩「……」

後輩「のぉおぁああああああああ。どぇええええええええ」

先輩「うるっせぇんだよ!」ブンッ

後輩「痛い! ちょっと先輩! 悲痛な叫びをあげている後輩に箱ティッシュ投げつけるってどういうことですか!」

先輩「レポートぐらい黙ってやれ!」

後輩「だってもうカツカツなんですよぉおおおお」

先輩「だからちょっとは計画的にやれと……あ? なんだよお前この授業諦めるって言ってたじゃねーか」

後輩「ええ、多分出席足りないです」

先輩「じゃあ、なんでレポート書いてるんだよ!」

後輩「え、いや、なんとなく……せっかく資料集めたし……ちょろっと書き始めたし……ひょっとしたら単位あるかも……」

先輩「その分の時間が無駄だろうが! 他にもあんだろレポートとかテストとか!」

後輩「まあ、そーなんですけどぉ、私って一旦やるって決めたら、もうやらなくてもよくなっても、やらないと気持悪いんで……」

先輩「はぁ? なんだそりゃ。損な性格だなそりゃぁ」

後輩「真面目って言って欲しいなぁ」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:27:34.31 ID:hqlVYEyt0
ガラッ
先輩「ただい…? おいなんでこんな暗……」

シーン

先輩「……ああ、あいつサークル旅行か」

先輩(まったく、自分ばっかり遊びやがって)

先輩「飯めんどくせーなー」


ティッティロティッティロティッティロティーン
先輩(あ? メール?)

後輩《先輩! ご馳走です!!》

先輩「……あのヤロー、カニ食ってやがんのか」

先輩「こちらときたら……」

ワカメラーメン

先輩「……《死ね》っと」

先輩「あー」

先輩「……寒」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:29:22.96 ID:hqlVYEyt0
テレビ「おおロミオ! どうしてあなたはロミオなの!」

テレビ「そう、私はロミオ……私はモンタギュー……これは変えられない運命……!」

テレビ「ああ! なんて恐ろしい運命!」

先輩「……」ボケー

テレビ「……だがしかしロミオとは世を忍ぶ仮の姿! 私の本当の名前はアルセーヌ・ルパン! 秘宝アイヌの涙を狙っていたのだ!」

テレビ「なにぃっ! キサマ謀ったな! このジュリエットを愚弄するとは、許さん! 肉団子にしてくれる!」

テレビ「はははは! そうこなくてはな!」

先輩「……なんだこりゃ」

先輩「ひどすぎる……」ボリボリ

先輩「……」

先輩「何故このひどさを直子と共有できない……! なんて恐ろしい運命……!」

先輩「……早く帰ってこないかな」

テレビ「ふはははは! さらばだ明智君! また会おう!」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:31:17.78 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩、ただいま帰りました!!」

先輩「おー、思ったより早かったカニ。外は寒いカニ。さあおこたに入るカニ」

後輩「……先輩、そんなにカニのこと妬んでるんですか?」

先輩「私は同じ八本足でもクモが笹船だとしたら、カニはノアの箱舟だというくらいに好きなんだ」

後輩「いや、全然伝わってこないんですけど」

先輩「お前今日からご飯を一粒ずつ数えて食え。そして一口ごとに私だけカニさまを食べてごめんなさいと言え」

後輩「まったく、そんなこと言ってるとお土産あげませんよ」

先輩「はっ。土産ごときで懐柔される私と思ったか。さあ早く出せ。さあ一刻も早く」

後輩「ふっふっふ、単純ですねぇ。はいっ! これです!」

先輩「なんだこりゃ? やたらでかいし、重いし……開けるぞ」

先輩「……」

でっかいカニの爪の置物

ガッ ブンッ ブンッ
後輩「ちょっ! あぶな! 振り回さないで下さいそんなもん!」

先輩「死ね! やっぱり死ね!」

後輩「た、高かったんですよそれ! いやぁー! 殺されるぅー!」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:33:40.98 ID:hqlVYEyt0
後輩「あー、頭いたー……飲みすぎたぁ……」

後輩「あ、先輩だ。おーいせんぱ……」

男3「ペチャクチャペチャクチャ」

先輩「ははは、馬鹿じゃねーのかそいつ」

男3「ナンダカンダナンダカンダ」

先輩「ひでーなそりゃー」

二人(笑)

後輩「……」

後輩「……誰だろう?」

後輩「楽しそうだな……」

後輩「むむむ……」

後輩「なんだこの気持ちは……」

後輩「……二日酔いかな?」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:35:40.17 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩、今日誰と話してたんですか?」

先輩「あ? なんの話だよ」

後輩「ほら、お昼ごはんの時、食堂で」

先輩「昼飯ん時……?」

後輩「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

先輩「お、おい。なんだその殺気は。一体どうしたんだ」

後輩「……なんか、知らない男の人と……」

先輩「あー?……あー。はいはい。そういや今日はあれと飯食ったんだっけか。忘れてた」

後輩「誰なんですか?」

先輩「ゼミの奴だよ。名前忘れたけど。今度の発表で組んでるから、その打ち合わせだよ。奢るっつーからさ。
   なんだ見てたのか? 声かけりゃあお前の分も奢らせたのに」

後輩「ふーん……」

先輩「なんだよその態度」

後輩「別にぃ……」

先輩「……変な奴だな」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:38:05.41 ID:hqlVYEyt0
後輩「えーっと、だからですねぇ、柳君が先輩のことが好きで、林さんが柳君のことが好きで、高田君が林さんのことが好きっていう状況です」

先輩「待て、誰だハヤシとかタカタって」

後輩「サークルの人です。それで、林さんが会ったこともない先輩に敵対してて、一方高田君が面識もない先輩の味方です。
   あと私と藤原君が中立です」

先輩「なんなんだよそれは……」

後輩「要するに三重の片思いが生み出したサークル内抗争です」

先輩「勝手に人のことをややっこしい人間関係に巻き込んでんじゃねぇよ!」

後輩「別に私が巻き込んだわけじゃ……というか、おかげでなんか変な雰囲気なんですよぉ。うちのサークル」

先輩「知るかよそんなもん! 私はカンケーねーだろ!」

後輩「いやぁ、柳君、先輩に紹介する前は林さんとそこそこいい感じで、皆付き合ってると思ってたんですけど
   そうでもなかったみたいで。でも林さんはそのつもりだったみたいで、先輩が寝取ったみたいに思ってるみたいで」

先輩「いやだから知らねーっつーの! 誰が寝取るかあんな男!」

後輩「それで林さんが一度会わせろとか言ってるんですよ。会ったら先輩のこと刺しかねない勢いで」

先輩「はぁ? なんだよそれ」

後輩「多分寮のこと知ってるから、下手すりゃ待ち伏せされますよ」

先輩「冗談じゃねぇーよぉー……」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:40:04.07 ID:hqlVYEyt0
女「……」

男1「……」

男4「……」

後輩「えーっと……」

男2「せっかく先輩来てくれたんだし、ここは皆お互い自分の考え言っちゃおう……よ?」

女「……抜け抜けとよく来れたもんね」

男1「……先輩に失礼なこと言うなよ」

女「ハァ? そもそもこの女のせいじゃん。なんかややこしくなったの」

先輩「……こっちの台詞だっつーの……」ボソッ

男1「それはお前、勝手すぎるだろ」

女「だって、実際そうじゃん」


男2「いきなり不穏な空気ですなぁ……」

後輩「嫌な予感しかしないよ……」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:42:54.56 ID:hqlVYEyt0
女「だから、この女が全部の原因でしょ。それは間違いないじゃん」

男1「先輩は関係ねーよ。お前が勝手に感情的になってるだけだろ」

女「ハァ!? アンタ、よくその口で言えんねそれ?」

男1「何がだよ。言っとくけど、俺も関係ねーよ。別に俺が誰を好きでも勝手だろ」

女「勝手に好きとか嫌いとか知らないけど、それで周りを振り回さないでって言ってんの!」

男1「振り回してんのはそっちだろうがよ!」

女「ナニ!? その言い方ぁ!?」

男2「ま、まあまあ二人とも、冷静に冷静に」


男4「……あの、なんか俺ここに居辛いんすけど」

後輩「……頑張って」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:45:27.96 ID:hqlVYEyt0
女「とにかく、もう柳君に会わないでもらえます?」

男1「だからさ、なんでお前がそんなこと言うわけ? 関係ないって言ってんだろさっきから」

女「関係なくないの!」

男1「関係ねーよ! なんでお前はいつもそんな勝手なんだ! 先輩に謝れよ!」

女「そっちこそ謝ってよ!」

男1「先輩、謝ることないっすよ! こいつちょっと今頭いっちゃってますから!」

女「いっちゃってるぅ!? 本気で喧嘩売ってんのぉ!?」

男1「お前落ち着いて自分の発言考えてみろよ!」

男2「どうーどうーどうー。両者クールに行きましょ。クールに。ね?」

女&男1「お前は引っ込んでろ!!」

男2「うーゴメンナサイー……」


男4「……あの、っていうかなんで俺が林さんのこと好きってバレてんの?」

後輩「いや、それは見れば……」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:47:28.04 ID:hqlVYEyt0
皆「ワーワーギャーギャー」

先輩「……おいコラ」

後輩「せ、先輩?」

先輩「さっきから傍から見てりゃぁ、ギャーギャーギャーギャーピーチクパーチク何わけわかんねぇこと言ってんだ?
   青春喧嘩ごっこなら、私抜きで自分らだけでやれや」

女「はぁ? 青春喧嘩ごっこぉ? なにそれぇ? なにキレてんですかぁ?」

先輩「とりあえずテメーは人を逆恨みする前に、そのからっぽの頭ん中どうにかしろや。
   自分が他人にどう思われてるのかぐらいちったぁ察しろ。空気を読め」

女「なっ、なっ……」プルプル

先輩「それからえーっと、高、高……高島?」

男4「……高田です」

先輩「ああもう、誰でもいいんだよ。お前こんな女のどこに惚れてんだ? 理解できねー。
   さっさと見切りつけて新しいの見つけろ。つーか女見る目ねーんだよお前」

男4「……初対面で、随分な言いかたっすね」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:49:31.30 ID:hqlVYEyt0
先輩「それから、柳。お前もお前で人の気持ちは考えろ。お前一人の問題じゃねーんだ。
   あと、私はお前にこれっぽっちも興味がないから諦めろ」

男1「……えっ」

先輩「以上。……もう帰るぞ私は」

後輩「あっ、ちょっと先輩! 待ってください! じゃ、じゃあ、あとはよろしく!
   柳君はざんねん! っていや、うん、なんていうか……ごめん!」ダッ


女「な、なんなのよあの女ー! ムッカつく! ムカつくムカつく!」シュッポーシュッポー

男4「ちょっとひどいよねぇ……」

男1「……」ウルウル

男2「……やっぱり怖い人だな」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:51:27.47 ID:hqlVYEyt0
後輩「……先輩?」

先輩「……あ?」

後輩「ヘコんでます?」

先輩「……なんで私が」

後輩「いやー、だって、先輩別にあんな憎まれ役になる気じゃなかったんでしょ」

先輩「……」

後輩「みんなと、ちゃんとした穏やかな人間関係作りたかったんじゃないですか? わざわざ全員で話し合いとか提案して」

先輩「……んなわけねーだろ」

後輩「……なんか、先輩が友達少ないのも納得です」

先輩「……喧嘩売ってんのか?」

後輩「不器用なんですよね。色々と」

先輩「殴るぞ。本気で」

後輩「でも、私はちゃんと先輩のことよくわかってますから。そこらへんは安心してください」

先輩「……」

後輩「先輩が、本当は優しい人で、みんなと仲良くしたいだけってのは、よく知ってますから」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:53:40.78 ID:hqlVYEyt0
先輩「……」

ゴッ

後輩「いったーい! ちょっと! 今私いい話してたんですけど!?」

先輩「警告はした」

後輩「前言撤回! やっぱり単なる鬼です先輩は! 悪魔!」


先輩「……つーかよぉ」

後輩「悪魔の言葉は聞きません! 立ち去れ! 立ち去れ!」

先輩「お前、なんか前一度私が男と飯食ってるの見てキレてたけどさぁ」

後輩「……そんなことありましたっけ?」

先輩「柳が私のこと好きってのは別によかったのか?」

後輩「……ちょっと意味わかんないんですけど」

先輩「いや……別にいいんなら、いいんだけど」

後輩「まあ、柳君は知ってる人だし……」

先輩「……あ、そう」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:55:37.47 ID:hqlVYEyt0
男2「いやぁー、一時はどうなることかと思ったけど、先輩を共通の敵にして、なんか仲良くなっちゃったね、あの3人。柳は泣いてたけど」

後輩「これでいいのかなぁー……」

男2「いいんじゃない? ま、どっちと付き合うかでまたモメそうだけど」

男2「……しかしまあ、羨ましいねぇー。三人とも、なんだかんだで青春真っ只中だねぇー」

後輩「あれが青春?」

男2「三角関係、いや四角関係の片思い、あれが青春じゃなくてなんなんだよ」

後輩「それもそっかあ」


男2「……ま、かく言う俺も一応その末席を汚してはいるかなぁー」

後輩「……えっ?」

男2「いやぁ、まあ、なんつーか、一言でいうなら、あれだよ。あれ」

後輩「どれ?」

男2「えー……好きです。付き合ってください」

後輩「……はぇ?」

男2「えーっと、言葉まんまです。そのまま受け取ってください」

後輩「ほぇぇえええ?」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:57:40.98 ID:hqlVYEyt0
後輩「せんぱーい……」

先輩「なんだよそのダルい声。寝ぼけてんのか?」

後輩「私……藤原君に告られちゃいました」

先輩「はぁっ!? マジかよ?」

後輩「マジマジです」

先輩「ふーん……え、で?」

後輩「で、って何がですか?」

先輩「いやだから、返事だよ。付き合うのか?」

後輩「いや……ごめんなさいしました」

先輩「えっ? なんで? お前確か藤原のことカッコいいーとか言ってたじゃねーか」

後輩「いや、顔はカッコいいと思いますよ。でも、なんていうか、なんとなく……」

先輩「なんとなくじゃ理由になんねーだろ!」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 21:59:25.58 ID:hqlVYEyt0
後輩「いやだって、そういう風に返事したから……」

先輩「はぁあ? ひどくね? それは」

後輩「んー、なんていうかですねぇ、告白されたとき、藤原君とそういう関係になってデートしたりキスしたりとかが
   一切合切これっぽっちも想像できなかったんですよね。だから、断りました。それだけです。いやマジで」

先輩「……よくわかんねーな。これからのことだろそれは」

後輩「えー、それでこれからもお友達でいましょーとかなんとか言ってぇ、別れてからそりゃ無理だろなぁーって思って
   そう考えたらマズッたかなぁとか思えてきて、ビール買ってきてテキトーに飲んで、風呂も入らず布団に入って至る現在、です」

先輩「……お前、ちゃんと考えたのか? その場のノリとか、返事考えるのが面倒くさいとかで断ったんじゃねーだろうな?
   そんなんじゃ、相手にも失礼だし、お前にとってもよくないぞ」

後輩「そんなことありませんよ……あ、やば、面倒くさいから、とは言ったかも」

先輩「……ひでぇ」

後輩「だって……本音なんですもん。友達としてはいい人だけど、付き合うのは……」

先輩「お前のサークルん中じゃ、割とまともな奴だったのに、可愛そうに」

後輩「……先輩は、私がOKした方がよかったんですか?」

先輩「……いや、そういうわけじゃねーけど」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:01:10.40 ID:hqlVYEyt0
後輩「……でも、あー、なんだろなー、この気持ちは。変な感じだなー」

先輩「……やっぱり、後悔してるんじゃないのか? そんな風にテキトーに断ったこと」

後輩「後悔じゃ……ないです。でも……藤原君、こんな返事されるとは思ってなかった、とか言ってて。
   断られるにしても、もうちょっとくらいはこっちのこと気遣ってくれると思ってたとかなんとかほざき倒しまして。
   あ、なんだ、私のこと分かってなかったんだなーって、思って。私のことそんないい人だと思っててバカだなーって。
   うーん、やっぱりこいつ、私のこと好きだなんて言っといて、私じゃない誰かのことが好きなんだなーとか
   こいつが見てるのはどの私なのかなー、本当の私も見て欲しいなーとか、そんな感じで」

先輩「……」

後輩「っていうか、私って普段みんなにどんな感じなの? とか」

後輩「むしろ、本当の私って? みたいな」

後輩「とかなんとか言っといて、結局私単にヤな女? とか」

後輩「そういうわけで……色々もやもやです」

先輩「……」

後輩「なんか……フッたのにフられた気分です」

先輩「最悪じゃねーか」

後輩「いやぁー、プラマイゼロでしょ」

先輩「最悪だよ」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:03:19.07 ID:hqlVYEyt0
後輩「……」

先輩「……」

後輩「あの……もうちょっと、くっついてもいいですか?」

先輩「……ああ」

後輩「ついでに、撫でてください」

先輩「……」ナデナデ


先輩「……もういいか?」

後輩「……泣いてないです」

先輩「いや、それは知らん」

後輩「……やっぱり泣きます」

先輩「いやだから知らんっての」

後輩「……私は……先輩が私のことを見てくれてたら、それでいいです」

先輩「……」

後輩「……寝ます」

先輩「ああ」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:05:45.70 ID:hqlVYEyt0
後輩「ほっほーう、これが噂のリクルートスーツですか」

先輩「社会と会社という名前の牢獄に投獄された囚人の囚人服だよ」

後輩「うわぁ、先輩がこんなの着るのヤダなぁ……なんか」

先輩「しょうがねーだろ」

後輩「しかし……髪が黒い先輩がこんなに違和感があるとは」

先輩「いやだからしょうがねーんだっつーの」

後輩「うーん、先輩がこれから就活とは……イメージが……」

先輩「……しょうがねーんだよ」

後輩「現実は厳しいですねぇ」

先輩「本当に厳しいのはこれからだよ」

後輩「……なんか、変な感じに寂しい」

先輩「……そうだな」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:07:31.29 ID:hqlVYEyt0
先輩「なんだよその袋」

後輩「えっへっへ、いいもの買ってきましたよ!」

先輩「……おっ、カニじゃねーか」

後輩「年末ですしね! ここはちょっと張り込みました!」

先輩「たまにはお前も気が効くな。よし、鍋しようぜ鍋」

後輩「その前に……」スッ

先輩「……なんだよその手は」

後輩「お金、半分出してください」

先輩「……前言撤回」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:09:08.03 ID:hqlVYEyt0
先輩「……なあ」

後輩「なんですか」

先輩「鍋、ちっちゃくね?」

後輩「まあ、一人鍋用の鍋ですから」

先輩「思いっきりはみ出してるじゃねーか」

後輩「鍋、この間割れちゃいましたもんね。っていうか割りましたからね、先輩が」

先輩「これじゃ火も通らねーぞ」

後輩「仕方ない、切りましょうか」

先輩「味が流れちまうだろーが」

後輩「仕方ないでしょ」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:11:08.28 ID:hqlVYEyt0
ギシギシ
後輩「せんぱーい! 硬くてきれませーん!」

先輩「そんななまくら包丁使って、のこぎりみたいな切り方してちゃあ、無理だろ」

後輩「じゃあ、どうすりゃいいんですか!」

先輩「えー、だから……こうやって包丁をあてて、刃の背の部分をなんかで叩けばいいんだ」

後輩「なんか叩くものありましたっけ……」

先輩「うーん……」

ガサゴソ
先輩「お、ハンマーがあったぞ」

後輩「……なんでそんなものが」

先輩「うってつけじゃねーか、さあ、これで一思いにやれ!」

後輩「よーし、行きますよ……おらぁあああああああああ!」

ガツンッ!
後輩「あっ! ほら先輩、切れましたよ!」

先輩「……そこまで力入れなくてもいいだろ」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:13:03.26 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩先輩、み……三宅君と、は……は某さんがですね」

先輩「あのな、物語を始めるときはまず登場人物の紹介からはじめよう。な?」

後輩「うちのゼミの人です。で、それでですね今日三宅君と、はなんとかさんが……」

先輩「……ゼミ員の名前ぐらい覚えようぜ」

後輩「ゼミでいきなり結婚宣言しまして! 既に婚姻届も出したとかでして!」

先輩「へー」

後輩「……うっすい反応ですね」

先輩「だって知らないもんそいつらのこと。心底どうでもいいんだけど」

後輩「前々から同棲しててデキ婚だそうでして! もう大騒ぎですよ!」

先輩「ふーん」

後輩「……あの、もうちょっとなんかないですか?」

先輩「ない」
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:15:40.90 ID:hqlVYEyt0
先輩「……お前さ」

先輩「もし私が誰かと同棲しだしたらどうする?」

後輩「はえ?」

先輩「いやだからさ、私がここから退寮して、どっかの男の家に転がり込んだらどうする?」

後輩「……ほえ?」

先輩「……なんだその反応」

後輩「え、ちょっと待ってください。整理しますので……」

先輩「そんなに複雑なこと言ったか……?」

後輩「えーっとえーっと……はぁあああああああああああ!? なんすかそれー!?」ガッ

先輩「お、おおおいおいおい、ちょちょちょちょっと待て!」ガクガクガク

後輩「誰と!? どこの馬の骨野郎の家に!?」ガクガクガク

先輩「まままてまてままて! そそんなわけねねねーだろろ! ももももしもの話だだだろうががが!」ガクガクガク

後輩「本当ですか! 本当なんですね!! そんな男はいないんですね!!!」ガクガクガク

先輩「いいいいねーよよよ! いねねねーからゆゆ揺さぶるるるるのをやややめろろろぉおお!!」ガクガクガク
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:18:24.83 ID:hqlVYEyt0
後輩「……ごめんなさい」

先輩「あ、あたまがくらくらする……お前、なんだよその反応?」

後輩「い、いや、自分でもなんか良くわかんないです……」

先輩「意味わかんねーな……」

後輩「……先輩、本当に私をおいて出てったりしないですよね?」

先輩「しねーよ。何回言わせるんだよ。つーか、なんでそんなに過剰反応するんだよ」

後輩「……私一人じゃ生きられませんよぉ」

先輩「……お前な」

後輩「……」

後輩「……もし、そんなことになったら」

後輩「……先輩を刺してでも監禁してでも止め」

先輩「い、いやいやいやいや!」

後輩「じ、冗談ですよ!?」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:20:23.31 ID:hqlVYEyt0
ガラッ
後輩「あ、先輩。おかえりなさい」

先輩「……」

後輩「どうしたんですか? なんか、随分疲れてるみたいですけど」

先輩「……いや、別に」

後輩「今日の面接どうでした?」

先輩「……」

後輩「えっと、ご飯は?」

先輩「……食べる」

後輩「じゃあ、すぐなんか作りますね」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:32:33.37 ID:hqlVYEyt0
後輩「……」モグモグ

先輩「……」モグモグ

後輩(こんなに落ち込んでる先輩って……初めて見たな)

先輩「……今日、グループ面接の時に高校の知り合いに会った」

後輩「えっ、偶然にですか。凄いですねそれは」

先輩「……そいつ、高校卒業するときに、ミュージシャンになるとか言ってたんだよな」

後輩「……へぇ」

先輩「大学行って、バンド組んで、ちっちゃいライブハウスでライブやって、インディーズでCD出して、
   大学卒業するころには絶対メジャーデビューする、とか言っててさ」

後輩「……」

先輩「まあ、要するに馬鹿なんだけどな」

先輩「でも……そいつが今日、バッチリスーツ着てよ『御社の経営理念に共感してー』とか言ってんだぜ」

先輩「もう笑うしかねぇだろ」

後輩「先輩……」

先輩「なんかもう、気抜けちゃって……」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:34:34.03 ID:hqlVYEyt0
後輩「……その人、先輩のどういう人だったんですか?」

先輩「……」

後輩「……付き合ってたんですか?」

先輩「……いや」

後輩「そうですか……」

先輩「あのヤロー、高校ん時『俺やっぱり巨乳がいいわー』とか言いやがったんだぞ、私に向かって」

後輩「……どういう状況ですかそれ」

先輩「ボッコボコにしてやった」

後輩「……よく分かりませんけど、それが先輩のトラウマの原因ですか」

先輩「あ? なんだよトラウマって」

後輩「いや、忘れてるんならいいです」

先輩「なんだよ、気になるだろ」

後輩「気にしないで下さいいい子だから」

先輩「なんだそりゃ」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:36:54.19 ID:hqlVYEyt0
先輩「はァー……」

後輩「今日はもう寝ましょうよ。疲れてますよ先輩」

先輩「……お前さぁ、子供の頃の夢ってなんかあったか?」

後輩「私ですか? そうだなぁ……お花屋さんだったかな?」

先輩「はっ、似合わねーなー。どこの花の子るんるんだよ」

後輩「は、花の子るんるんて……そういう先輩は?」

先輩「私か……私は……」

後輩「ほれ、私に言わせたんだから」

先輩「……ば、バレリーナになりたかった」

後輩「えっ」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:38:52.73 ID:hqlVYEyt0
先輩「えっ、ってなんだよ」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「う、ウッソー……」

後輩「……かわいー」

先輩「う、うるせー!」

後輩「私はまたてっきりティラノサウルスになりたい、とかじゃないかと」

先輩「意味が全然わかんねーよ……」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:41:07.75 ID:hqlVYEyt0
先輩「……ま、ティラノサウルスになった方がマシだったかな」

後輩「……は?」

先輩「結局私は、21年生きてきて、何になれたんだか」

後輩「……」

先輩「多分そのうち何かになるんだろうと思っていたけど……何にもなれてねーよ」

後輩「……先輩」

先輩「このままずーっと、おんなじだろうな。私は……死ぬまで」

後輩「先輩」

先輩「……いや」

先輩「大丈夫だよ、ちょっと疲れてるだけだから」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:43:16.52 ID:hqlVYEyt0
後輩「……私の先輩はもっとカッコいいです」

先輩「……あ?」

後輩「もっと、カッコつけで、いじわるで、服がダサくて、そのわりには実際カッコいいです」

先輩「……」

後輩「そんな、私の憧れの先輩です」

後輩「……私は先輩に会えてよかった」

後輩「先輩は、私の先輩になってくれたじゃないですか」

後輩「それだけで……十分です」

先輩「お前……」

後輩「もう、寝ましょう」

先輩「……ああ、そうだな」

後輩「おやすみなさい。先輩」

先輩「おやすみ。……直子」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:44:50.87 ID:hqlVYEyt0
後輩「スー……スー……」

先輩「……」

後輩「むー……にゃむ……ぐぷー……」

先輩「……私も、お前に会えてよかったよ」

先輩「……ありがとう」

後輩「にゃむ……むー……」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:47:15.27 ID:hqlVYEyt0
後輩「イヤース!」

先輩「イヤース!」

後輩「おめでとう先輩!」

先輩「おめでとう私!」

後輩「いやー案外早く内定出てよかったですねぇ」

先輩「これでもうスーツからおさらばだ! 卒業までずっとジャージでいるぞ私は!」

後輩「えー、やだー、ださーい」

先輩「そして来年スーツのお前を笑ってやる」

後輩「いやー、卒業してるっしょー先輩はー」

先輩「はっはっはー、それもそうだな!」

後輩「ははははは!」

先輩「……卒業できてなかったらどうしよう」

後輩「うっ……、だ、大丈夫ですよ。多分」

先輩「……せっかくのお祝いが寮で缶ビールによっちゃんイカだしよ」

後輩「き、急に決まったんだから仕方ないじゃないですか。今度また改めてお祝いしましょう」
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:49:37.89 ID:hqlVYEyt0
先輩「あー、色々しんどかったなぁー」

後輩「ほんと、お疲れ様です」

先輩「来年は我が身だぞ。わかってんのか」

後輩「えっ、ええ、ま、まあ」

先輩「つーか今から始まってんだぞ。セミナー行っただけで就活した気になってんなよ。もうお前の同級生は自己分析やってんぞ」

後輩「うっ、ぐっ……」

先輩「まあ、本番はまだまだだよ」

後輩「そ、そうですよね。うん。先輩はこれから遊べるんだから。旅行とか行きましょうよ。卒業旅行」

先輩「卒業旅行かぁー。いいなぁ。どこ行く? どこがいいカニ?」

後輩「……時期的にカニは無理かと」

先輩「伊勢とかどうウシアカフク? 北海道とかもありウニジンギスカン。いや、ここは宮崎も捨てがたいトリマンゴー」

後輩「……先輩、そんなに食いしん坊キャラじゃないでしょ」

先輩「よぉーし、ここはどーんと海外だな。ヨーロッパとか」

後輩「いいですねぇ。あ、私モンサンミッシェルに行きたいです。名物のでっかいオムレツが食べたい」
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 22:51:55.97 ID:hqlVYEyt0
先輩「ドイツのノイシュヴァンシュタイン城とか、スイスのアルプスとか。あっ、それよりパリだパリ! エッフェル塔! 凱旋門! ルーヴル美術館!」

後輩「シャンゼリゼ大通り! ノートルダム大聖堂! オペラ座! いっすねー! 行きましょうよ行きましょうよ!」

先輩「……んな金がどこにあるっていうんだよこのトンキチがぁああああ!! 行けて熱海ぐれぇええええだろぉおおおおお!!」

後輩「え、えー。なんつー理不尽なキレ方……あー、じゃ、お金貸しましょうか?」

先輩「はぁー? お前なんかに借りても、鎌倉までだろうがよ。どっかのネズミ王国ですら怪しいぞ」

後輩「……いや、私マジですけど」

先輩「どうマジなんだよ」

後輩「先輩と、ヨーロッパ各国めぐりツアー」

先輩「……いやいやいや。面白くないから、そういう冗談」

後輩「一度っきりなんですから。卒業旅行なんて。ここでお金は惜しまないですよ」

先輩「……何言ってんの? お前」

後輩「まあ、親の金ですけど……それでも、出世払い、っていう約束でなら、多分」

先輩「……お前、まさか、実家、金持ち?」

後輩「……えへ」

先輩「マジかよぉー……」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:01:32.74 ID:hqlVYEyt0
後輩「別に隠してたわけじゃないんですけどね」

先輩「なんでこんなボロい寮で、ビンボー学生生活なんかしてるんだ?」

後輩「そういう教育方針なんです。出す所では出してくれるけど、出さない所は絶対出さない」

先輩「ふーん……」

後輩「だから! 行きましょう! ヨーロッパ! 思い出作りましょう! 卒業旅行なら多分出してもらえます!」

先輩「……嫌だね」

後輩「なっ、なんでですか?」

先輩「後輩に金借りて、しかもそいつの親の金で、海外なんか行けるわけねーだろ。そこまで落ちぶれてねーよ」

後輩「そ、そんなこと言わないで下さいよ! 親の金って言っても私も返すつもりだし、先輩からだって返してもらうんですから!」

先輩「借りること自体がありえねーんだよ。そんなもんは」

後輩「そんな、そんな……」

先輩「身分相応ってもんがあるだろ。まあ、国内でも私は十分……」

後輩「そんなぁああ……」ポロポロ

先輩「うわっ! ちょ、なんで泣くんだよ!」
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:03:33.80 ID:hqlVYEyt0
後輩「私本気にしたのにぃ! 初めての海外旅行、先輩と一緒にパリに行けると思ったのにぃ!」

先輩「い、いや、色々飛躍しすぎだろ」

後輩「先輩と一緒にパリジェンヌになれると思ったのにぃ!」

先輩「そ、そりゃ無理だろ。日本人は日本人……」

後輩「やだぁああああああ! ヨーロッパ行くぅううううううう!」

先輩「うるせぇ! わがまま言うな!」

後輩「やだやだやだ! 絶対行く!」

先輩「うるせぇっつってんだよ!!」

ゴッ

先輩「あっ……わ、わりぃ。殴る気は……」

後輩「うっ……うっ……先輩のアホー!!!」ダッ

先輩「あっ! こら! どこ行くんだよ! 待て!」
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:05:49.86 ID:hqlVYEyt0
男2「こんな時間に呼び出されて、何かと思えば先輩と喧嘩したって……」

後輩「うっ……うっ……ごめん……」

男2「ちょっと期待したのになぁ」

後輩「……え?」

男2「いやいやこっちの話。……で? なんでそんなことになったの? あんなに仲良かったのに」

後輩「……卒業旅行、どこ行くかで、パリに行くって言ってたのに、先輩が私にお金借りるのはいやだって……」

男2「うーん、イマイチよく話が見えないんだけど」

後輩「だから、私がお父さんにお金借りて、それで先輩にも貸して、ヨーロッパ行こうって言ったら、先輩が嫌だって……」

男2「……はぁーん。なんとなーく分かったよ」

後輩「それで私が絶対行くっていったら、先輩怒り出して……」

男2「なるほどねぇー……あの人そういうの嫌いそうだもんなぁ」

後輩「なんで……? 私は、先輩と一緒に思い出作りたいだけなのに……」

男2「んー、まあ、俺は先輩の気持ち分かるよ。そりゃあ、誰だって後輩が親から借りてきた金をさらに借りて旅行とか、気が進まないよ」

後輩「……そうかなぁ」

男2「普通の人はそうなの」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:07:59.92 ID:hqlVYEyt0
後輩「私、普通じゃないの?」

男2「ま、先輩も普通じゃないけど、普通じゃないのにも色々あるんだよ」

後輩「……」

男2「……ヨーロッパとか、そんな無理しなくてもいいんじゃないかな」

後輩「……」

男2「先輩との思い出作りたいんだろ? それなら、別にどこに行ったって作れるはずだよ。……あの先輩となら」

後輩「……」

男2「旅なんて、どこに行くかより誰と行くかが大事なんだから。大事な人となら、どこに行っても楽しいし
  嫌いな奴なら、それこそアメリカでもフランスでも絶対楽しくないだろ」

後輩「それは……多分」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:10:11.34 ID:hqlVYEyt0
男2「そうやって、結局お金がなくて近場にしか行けませんでした、っていうのも大事な思い出になるんじゃないかな」

後輩「そう、かな……」

男2「まあ、もう一度先輩とよく話し合ってみなよ」

後輩「……うん。ありがとう、無理に呼び出して、話聞いてもらって。なんか楽になった」

男2「なぁーに。別に大したことしてないって」

後輩「帰って、お互いに納得いくまで先輩と話し合ってみる……じゃあ、またね」

男2「ああ、また」


男2「やれやれ……」

男2「まったく妬けるねぇ……」

男2「……」

男2「……ま、いっか」
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:13:23.94 ID:hqlVYEyt0
後輩「うぉおおおお! 先輩! ヒコーキ! 飛行機がいます!」

先輩「そりゃ空港なんだから当たり前だろ……」

後輩「私飛行機初めてなんですよねー! 楽しみです!」


後輩「おおおお、先輩先輩、スッチーがなんかやってますよ」

先輩「非常時の対応だろ。よく見とけよ、特にお前は。つかスッチーて、案外古いなお前は」

ポーン
後輩「お、お、い、いよいよ離陸ですか! えと、シートベルトはこれでいいんですよね?」

先輩「……頼むから静かにしてくれ」

ギュィイイイイイイン
後輩「は、はやいっ!!! 押し付けられるぅううううう!!」

先輩「……」

後輩「ぉおおおおおお! 飛びました! 先輩飛びました! 浮かびましたよ先輩!!!」

先輩「……誰か席代わってくれぇ……」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:15:36.68 ID:hqlVYEyt0
後輩「ああああああ! 先輩! 陸が見えましたよ! ほら! 島が! 山が! 海青っ!」

先輩「はいはい島島」

後輩「町ですよ! 町も見えました! わー、おもちゃみたい!」

先輩「はいはい町町」

後輩「ついに着陸ですね! ドキドキします!」

先輩「はいはいドキドキドキドキ」

ギュイイイイン ドッ ゴォオオオオオオ
後輩「ひぃいいいいいいいい!」

先輩「……うるせー」

後輩「ちゃ、着陸成功ですか?」

先輩「当たり前だろ」

後輩「わー!」パチパチ

先輩「いい加減にしろ!」ゴッ

後輩「痛! なにするんですか!」

先輩「こっちの方が恥ずかしいんだよ!」
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:17:28.66 ID:hqlVYEyt0
後輩「先輩ー! なんか戦闘機みたいなのがいますよ!?」

先輩「自衛隊か米軍だろ」

後輩「あっ! 飛びました! はえー! うるせー!」

先輩「お前の方がうるせーよ!」

後輩「あっ、ほらほら『めんそーれ』って書いてますよ! いらっしゃいって意味ですよね! 先輩撮って撮って!」

先輩「おい、まだここから乗り継ぎなんだぞ。あんまりはしゃぎすぎると後で疲れるぞ」

後輩「先輩先輩! ちんすこう売ってますよ! 買いましょう!」

先輩「帰りにしろ! なんで今買うんだよ」

後輩「いや、途中のお菓子に……」

先輩「土産もんだよそれは! 持って来たじゃがりこでも食ってろ!」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:18:05.36 ID:W8PCOLKQ0
後輩が可愛くて生きるのが辛い
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:20:27.21 ID:hqlVYEyt0
後輩「あっ! 見えました! 島ですよ島! 平べったい!! 珊瑚が!! 珊瑚礁が!!!」

先輩「お前スタミナあるなぁ」

後輩「わーちっちぇー、先輩これ飛行機行き過ぎちゃうんじゃないですか!?」

先輩「んなわけねーだろ……」

後輩「ぎゃぁああああ! 着陸だぁあああああ!!」


後輩「あっ! 先輩シーサーシーサー! 貝で出来てますよ!」

先輩「そりゃシーサーぐらいいるって沖縄なんだから……」

後輩「あははは、これちょっと先輩に似てますよ!」

先輩「……」ゴッ

後輩「いでっ! ちょっと! 文句があるなら口で言ってください!」
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:22:36.37 ID:hqlVYEyt0
後輩「案外そんなベラボーに暑くもないんですねー」

先輩「そうだなぁ。気温自体は東京とかわんねーしな」

後輩「流石に日差しは相当強いみたいですけど……」

カッ

先輩「……暑っ」

後輩「な、なんですかこの太陽は!」

先輩「暑い暑い暑い! むしろ痛い! 日差しが痛い!」

後輩「ぎゃぁあああ! 焼けるぅううう!」

先輩「お、おい! 日焼け止め出せ! こんなもんまともにいたら1時間で漁師色だぞ!」

後輩「まさか南国の太陽がこれほどのものとは……」

先輩「正直ナメてたなぁ……」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:26:27.27 ID:hqlVYEyt0
先輩「おい、次どこを曲がるんだよ」

後輩「……え、えーっとですねぇ。次の次の道を右だと思うんですけど」

先輩「思うんですけどって、しっかりしろよ。ナビ役なんだぞお前は」

後輩「そろそろ四つ角のはずなんですけど……あれっ、今どこだ?」

先輩「なっ、ちょっと待て! 現在地わかってねーのか?」

後輩「ま、まってください。あっ、ほらそこの四つ角……じゃないですね。なんでY字路なんだ?」

先輩「……まさか、本気で今どこかわかんねーのか?」

後輩「だ、だって! ずーっと同じようなサトウキビ畑ばっかりでどの道がどれやら……」

先輩「つ、使えねーなお前は……地図ぐるぐる回しやがって……」

後輩「なっ! 先輩だってわかってないんでしょ!」

先輩「やっぱナビ付を借りりゃよかったなぁ」

後輩「先輩がケチるから……」
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:29:29.39 ID:hqlVYEyt0
後輩「や、やっと着いた……」

先輩「何が空港から車で15分だよ。1時間ぐらいかかったじゃねーか」

後輩「まあ、相当迷ってましたからねぇ……」

先輩「あー、なんかもう疲れた……」


後輩「おー、結構いい部屋じゃないですか」

先輩「よっこいしょ、っと……」モフッ

後輩「なんか年寄り臭いなぁ。ベッドに飛び込むときはもっと元気じゃないと。よいしょっ、と」マフッ

先輩「……お前も随分大人しくなったじゃねーか」

後輩「いや、流石にちょっと疲れまして……」

先輩「だから言っただろ。まぁ、来るだけで一苦労だもんなぁ……」

後輩「これじゃイマイチリゾート気分が盛り上がりませんなぁ……あ、そうだ、海が見えるはずだけど」
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:36:54.38 ID:hqlVYEyt0
ガラッ
後輩「おっ……おおおおおおお」

後輩「先輩! 先輩! ちょっとちょっと!」

先輩「なんだようるせーな」

後輩「ほら! 海! 海です!」

先輩「あー? そりゃ海ぐらい……おお」


後輩「……綺麗ですね」

先輩「……青いな」

後輩「凄い色ですね……」

先輩「南の海なんだなぁ」

後輩「また、私達とんでもないとこに来ちゃいましたね」

先輩「……」
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:40:15.81 ID:hqlVYEyt0
ボクガウマレター コノシマノーソラーヲー
先輩「おい、うまいぞこれ」モグモグ

ボクーハドーレクライーシッテイルダロー
後輩「いやぁ~リゾートホテルのバイキングでオリオンビールに泡盛にワインとかたまりませんねぇ」

カガヤクーホシモー ナガレルクモーモー
先輩「お前は飲んでばっかだな」ガツガツ

ナマーエヲキカーレテモワカラーナイー
後輩「いやいやちゃんと食べてますよぉ。沖縄生ライブつきとかもうサイコーです」

デモーダレヨリーダレヨリモシッテイルー
先輩「ライブは別にいらんけどな私は」バクバク

カナシイトキモー ウレシイトキモー ナンドモミアゲテーイターコノソラヲー ハイッ!
後輩「イーヤァーサァーサァー!!」

先輩「満喫してんなぁ……」

後輩「なにやってんですか! 先輩も次は一緒に言ってくださいよ!」

先輩「え、えー」

後輩「えーじゃない!!」
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:44:18.42 ID:hqlVYEyt0
後輩「……先輩、まだ起きてます?」

先輩「……ん」

後輩「なんか……広くて落ち着きませんね」

先輩「いや、それほど広さは寮と変わらんと思うけど……」

後輩「……」

後輩「……なんか、変な感じ」

先輩「何がだ?」

後輩「こうやって、いつもと同じように先輩と同じ部屋で寝てるのに、東京から1500キロも離れてる所にいるなんて」

後輩「不思議な感覚です」

先輩「……そうだな」

後輩「……」

後輩「……明日も、晴れるといいですね」

先輩「……ああ」
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:47:53.51 ID:hqlVYEyt0
後輩「いやぁー見事に晴れましたね」

先輩「暑いわ!」

後輩「熱中症にならないようにしないと……」

先輩「焼けるわ!」

後輩「さあ、今日は忙しいですよ!」


-東平安名岬-
先輩「うぉおおああああああああ!!」

後輩「どぉああああああああああ!!」

先輩「青っ!!」

後輩「青っ!!!」

先輩「おい! 灯台登るぞ灯台!」

後輩「人力車いますよ! 人力車!」

先輩「よっしゃ! 乗るぞ! 乗れ乗れ! 走らせろ!」

後輩「わー! 鬼畜ー!」
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:51:19.45 ID:hqlVYEyt0
-車中-
後輩「いやぁああああ、綺麗でしたねぇええええええ!!」

先輩「すげぇーな! 絵葉書そのまんまだったじゃねーか!」

後輩「絵葉書より綺麗でしたよぉお!」


先輩「ところで……飯は?」

後輩「店らしきものは……ありませんね……」


-新城海岸-
先輩「おい、このカニのから揚げうめーぞ」バリバリ

後輩「このたこ焼きもなかなか」モグモグ

先輩「うろうろしてないで真っ直ぐきときゃよかったな」ボリボリ

後輩「先輩が海の家の食事なんかきっとマズイって言うから……」モギモギ
159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/09(日) 23:54:54.41 ID:hqlVYEyt0
「はい跳んで~」

後輩「とうっ!」

先輩「うりゃっ!」パシャッ

「はいもう一枚! 跳んで~」

後輩「はっ!」

先輩「にゃっ!」パシャッ

「もっと笑わなきゃ! はいもう一回!」

後輩「イヤスッ!」

先輩「にゃにゃっ!」パシャッ


後輩「いやぁー、いい写真を撮ってもらいましたねー」

先輩「……恥ずかしかったぞ、あれ」

後輩「旅の恥はかき捨てですよ! それより! シュノーケリングですよ!」

先輩「お前泳げんのか?」

後輩「こう見えても小学校時代は南三小の全魚人って呼ばれてましたからね!」

先輩「……全魚人?」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:01:38.10 ID:hGFhns7U0
後輩「せせせせんぱい! 魚が! 魚ががぼがぼ!」チャプチャプ

先輩「……」チャプチャプ

後輩「しょっぱっ! せんぱっ! 魚がばおばぼっぁ!」チャプチャプ

先輩「むおー」チャプチャプ

後輩「あうおあうあおうあおあうあ!!」チャプチャプ


-車中-
後輩「いやもう、ベラボーでしたね!」

先輩「あんなに魚いるもんなんだな」

後輩「ニモが! ニモがこっちにガン飛ばしてました!」

先輩「つーかお前、シュノーケリング中に無理やり喋んなよ」

後輩「あの感動を声にだせいでか!」

先輩「何語だそれ」
165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:04:19.80 ID:hGFhns7U0
-西平安名岬-
後輩「南国の夕日はまったりしてますねー」

先輩「あー……そうだな……」コックリ

後輩「っていうか、もう夕方って時間でもないですけど。やっぱり相当日の入りが遅いんですね」

先輩「うん……」コックリコックリ

後輩「……先輩?」

先輩「スー……」ピトッ

後輩「ありゃ」

先輩「スー……」

後輩「……珍しくはしゃいで、疲れたみたいですね」ツンツン

後輩「……」

後輩「……かわいいなぁ」プニプニ

先輩「ん゛ー……」
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:07:50.55 ID:hGFhns7U0
-ホテル-
後輩「あー疲れたぁ」

先輩「もー無理だぁ……お前に合わせてつい飲みすぎた……」

後輩「うはぁ、もうこんな時間か」

先輩「もう風呂いいやぁ。明日入ろう……」

後輩「……」

後輩「あの、先輩」

先輩「なんだよ。もう寝るぞ私は」

後輩「もうちょっと付き合ってくれませんか」

先輩「あ? なにをだよ」

後輩「深夜のお散歩」

先輩「はぁ? やなこった」

後輩「近くのビーチまで行ってみましょうよ」

先輩「なんでだよ。絶対にヤだね」
168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:11:03.46 ID:hGFhns7U0
後輩「……」

後輩「……だって」

後輩「明日帰っちゃうんだし」

先輩「……そりゃそうだけど」

後輩「それに……昨日曇ってたから星、見てないですし。宮古島来て星見ないとか」

先輩「……」

後輩「すぐそこじゃないですか」

先輩「……」

先輩「……じゃあ、行くか」

後輩「すみません」

先輩「……謝ることじゃねーよ」
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:13:21.81 ID:hGFhns7U0
後輩「しっかし暗いですね」

先輩「この懐中電灯の電池が切れたらどうする?」

後輩「こ、怖いこと言わないで下さい」

先輩「ヤシガニふんずけてもわかんねーぞ」


後輩「……えーっと、ここはもうビーチですか?」

先輩「ぽいな。ほら、海あるぞ」

後輩「よっこらしょっと」

先輩「お前もこの二日で随分年寄り臭くなったな」

後輩「いいんですよ! 地べたに座るときは!」

先輩「なんだその理論」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「静かですね」

先輩「……」カチッ
172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:15:41.06 ID:hGFhns7U0
後輩「あっ、なんで灯り消すんですか」

先輩「星見るんなら邪魔だろ」

後輩「そうですけど。先輩の顔も見えませんよ」

先輩「……」

後輩「……先輩?」

先輩「……」

後輩「先輩、そこにいるんですよね」

先輩「……」

後輩「ちょっ、先輩!? 先輩!!」

先輩「なんだようるせーな」

後輩「なんで黙るんですか!」

先輩「いやぁ、予想通りのリアクションをありがとう」
175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:18:20.64 ID:hGFhns7U0
後輩「まったくもう……あっ」

先輩「なんだよ」

後輩「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

先輩「おいどうした?」

後輩「先輩、顔何処ですか」サワサワ

先輩「あ? なにやってんだ。ほらここが顔……わっ! なにすんだ! 放せ!」

後輩「いいからいいから。目隠し外すのと同時に空見てください」

先輩「あー?」

後輩「行きますよー」

後輩「はいっ!」パッ

先輩「……」
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:20:41.23 ID:hGFhns7U0
後輩「どぉおおおおおうですかこの星空!! 目が慣れて来たらこれですよ!」

先輩「……いや、さっきから見てるし」

後輩「はぁあああ!? だったらもっと感動しなさいよ!」

先輩「……」

先輩「……言葉も出ねーんだよ」

後輩「え? なんて?」

先輩「なんでもねーよ」


後輩「あれさそり座ですよね! こっちがいて座! すごい! 星座が全部わかる!」

先輩「おい。あのもやもやしてるの何か分かるか」

後輩「え? 雲じゃないんですか?」

先輩「多分天の川だろ」

後輩「あっ、天の川ぁあ!? 実在したんですか!?」

先輩「いや、実在はするだろ」

後輩「すげーすげー!」
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:22:59.84 ID:hGFhns7U0
後輩「あああああ! 流れ星! 見ました!? 見ました!?」

先輩「見たよ。はしゃぎすぎだろ」

後輩「だって、流星群の日でもなんでもないのに!」

先輩「……ちなみに、あの動いてるの何か分かるか?」

後輩「え? どれ?」

先輩「あれだよあれ」

後輩「えー……あっ、見えました。飛行機じゃないんですか?」

先輩「はずれ」

後輩「えっ、じゃ、UFOですか!?」

先輩「んなわけねーだろ……多分、人工衛星だ」

後輩「……人工衛星?」

先輩「そう」

後輩「……見えるんですか、そんなもん」

先輩「見えてるだろ」

後輩「ひぇええ……」
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:24:40.55 ID:hGFhns7U0
後輩「っていうか、なんかミョーに詳しいですね」

先輩「え、い、いや、一般常識だろ、これぐらい」

後輩「さすが、ガイドブックと星の本で勉強してただけのことはありますね」

先輩「……なんで知ってんだよ」

後輩「へっへー。部屋で見つけてました」

先輩「……このっ!」バサッ

後輩「うわっ! ちょっ!」

先輩「砂まみれになっちまえ!」バサッ

後輩「こら! やめなさい! ええいお返しだ!」バサッ

先輩「なにを! やるかー!」バサバサ

後輩「こいつ! こいつ!」バッサバッサ

先輩「ペっペっ! 口に入った! ヤロー! 許さねぇ!」バサバサバッサ
185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 00:59:20.06 ID:hGFhns7U0
後輩「……はぁー」

先輩「お、観念したか」

後輩「……」

後輩「……明日、帰っちゃうんですよねぇ」

先輩「……まだ明日一日あるだろ」

後輩「いやぁ……」

後輩「なんか、こうやって先輩とじゃれあえるのも、あと僅かかと思うと」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……来年の3月だろ。まだまだだって」

後輩「来年の夏にはもう一緒に旅行にも行けないんですねぇ」

先輩「……」
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:02:46.86 ID:hGFhns7U0
後輩「……ずっと、このままでいれたらいいのに」

先輩「……」

後輩「ずっと学生のままでいれたらいいのに……」

先輩「……学生は皆そう思ってるよ」

後輩「世の中世知辛いですねぇ」

先輩「……そうだな」


後輩「……」

後輩「あの、先輩」

先輩「ん?」

後輩「抱きしめてもいいですか」

先輩「え……ダメ」

後輩「な、なんでですか!!」

先輩「い、いや、なんとなく」
187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:04:57.78 ID:72LZ3SMB0
きたか……!
189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:05:58.80 ID:hGFhns7U0
後輩「そんな理由じゃダメです! 抱きしめます! 抱きしめさせてくれなかった今から海に走って入水します!」

先輩「な、なんだよそりゃ。……まあ、別にいいけど」

後輩「じゃあ、遠慮なく」

後輩「……」ギュッ

先輩「……」

後輩「……ほっそ」

先輩「……知ってる」

後輩「……あったか」

先輩「それは……お前もだ」

後輩「南の島でこの体温はいりませんね」

先輩「……自分からやっといて……」
190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:09:08.36 ID:hGFhns7U0
ザー…… ザー……
後輩「夜の波の音って怖いですね」

先輩「……そうだな」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……うっ」

先輩「ん?」

後輩「……ううう」

先輩「泣いてんのか?」

後輩「ううううー……」

先輩「……」ポンポン

後輩「せんぱい……」

先輩「……」ナデナデ
192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:12:36.40 ID:hGFhns7U0
後輩「……うーうー」

先輩「……確かに、不思議な感覚だな」

後輩「うー……う?」

先輩「なんで私は今、宮古島でお前なんかと抱き合ってるんだ?」

後輩「うー……うううー」

先輩「どこでどう因果がめぐり合ってこうなったんだか……」

後輩「うう」

先輩「……どっかでなにかが間違ってたら、こうはなってなかったんだろうな」

後輩「うー……」

先輩「……不思議だな、人生って」

後輩「……そうですね」

先輩「……いきなり泣きやむなよ」
193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:15:57.51 ID:hGFhns7U0
後輩「……先輩」

先輩「あ?」

後輩「……また、一緒に来れますよね。旅行」

先輩「……」

先輩「当たり前だろ」

後輩「……はい」

先輩「そろそろ帰ろうか?」

後輩「そうですね。いくらなんでももう寝ないと」


後輩「あー、一気に眠くなってきたー」

先輩「……」

先輩「……ずっと一緒だよ。お前と私は」

後輩「え? なんか言いましたかー?」

先輩「いいや?」

後輩「?」
195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:19:20.33 ID:hGFhns7U0
-飛行機内-
先輩「ほら、お前の好きなスッチーがなんかやってるぞ」

後輩「いや別に好きってわけじゃ……それに来る時に見ましたもんね。知ってますよーだ」

先輩「もう飛行機慣れ気取りかよ」

後輩「慣れましたもーん」


ガタガタガタガタガタッ
後輩「ぎゃわわわわわわわ!!」

アナウンス「えー、現在気流の関係で少々揺れておりますが、飛行の安全に影響は全くありませんので……」

後輩「落ちるぅううう!」

先輩「うるせーな。落ちねーよ」

後輩「死ぬぅううううううう!!」

先輩「死なねーよ。パイロットを信じろよ」

後輩「助けてぇえええええええええええええ!!!」ヒシッ

先輩「……誰か席代わってくれぇ……」
196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:22:22.58 ID:hGFhns7U0
後輩「先輩、今日って何の日か知ってますか?」

先輩「クリスマス」

後輩「あれ、意外。先輩なら某国の陰謀によって洗脳された国民が経済を回すことに加担させられる忌まわしき日、とか言うと思ったのに」

先輩「そういう過剰反応こそみっともないと気付いたんだ」

後輩「予定は?」

先輩「無いッ」

後輩「男らしいですねー」

先輩「お前相手に見栄を張っても意味ないからな。どうせ同じ立場だし」

後輩「なっ、失礼な。予定ぐらいありますよ!」

先輩「へー、どんな?」

後輩「明石屋サンタを見ながらシャンパンをこう、くいっと」

先輩「……概ね予想通りだな」
198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:25:37.09 ID:hGFhns7U0
先輩「つーかシャンパンなんか買ってんのか?」

後輩「正確には今から買ってきます。ついでにケーキとチキンも買ってきますよ」

先輩「なんだよ、パーティーでもする気か?」

後輩「そりゃあ、もちろん」

先輩「なんでお前と二人でクリスマスパーティーなんかしなきゃいけないんだよ……」

後輩「……あれ、なんで『二人』なんです? 柳君とか藤原君も呼ぶつもりですけど」

先輩「えっ。……いや、別に」

後輩「あ、ひょっとして先輩、私と二人っきりでパーティーしたかったんですか?」

先輩「はぁ? ん、んなわけねーだろ」

後輩「そうですねぇー、いいですよ。二人きりでやりましょうか、パーティー」

先輩「い、いやいや、別に呼んだらいいだろあいつら」
199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:28:41.37 ID:hGFhns7U0
後輩「いや、やっぱり二人きりにしましょう」

先輩「ま、まあ別にいいけど……なんだよそのこだわりは?」

後輩「だって……先輩がこの寮にいる最後のクリスマスだから」

先輩「……そうだけど」

後輩「だから……二人きりがいいです。この、部屋で」

先輩「柳とかとも、一応最後だろ」

後輩「……柳君を呼びたいんですか?」ギロッ

先輩「い、いやいや。別にそんなことねーよ。そう睨むなって」

後輩「……まあ、とにかく」

後輩「ケーキ、買ってきますから」

先輩「あ、ああ。行って来い」

後輩「もちろんお金、半分出してくださいよ」


先輩「……」

先輩「なんか、最近あいつ時々怖いよな……」
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:31:48.56 ID:hGFhns7U0
男2「うぃー」

男1「うぇー」

男2「メリークリスマースカップル死ね」

男1「クリスマースメリーリア充爆発しろ」

男2「まさか大学生活3回目のクリスマスまで全部お前と一緒とは……」

男1「いや、去年までは廣田とか林とかいたからむしろ悪くなってる」

男2「……はぁー」

男1「……はぁー」
208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:55:04.46 ID:hGFhns7U0
男1「ま、フラレ男どうし楽しくやろうぜ」

男2「一緒にすんなよ。お前は二回も振られてんだろ。俺は一回だ」

男1「い、いや林には別に振られては……」

男2「『ごめん。冷静になって考えてみたんだけど、やっぱ、無いわ』って言われたんだろ?」

男1「う゛っ……」

男2「……林さんと高田の野郎、今頃ヤリまくってるんだろうなぁ」

男1「多分なぁ。なにしろ性なる夜だからな……」

男2「……」

男1「……」

男2「うぉおおおおおお! 飲むぞぉおおおおおおおおおお!!」

男1「ちくしょおぉおおおおお! 飲むぞぉおおおおおおお!!」
211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 01:57:22.26 ID:hGFhns7U0
男2「……ま、あれよ、お互い惚れた相手が悪いわな」

男1「うあー? どういうことー?」

男2「最近気付いたよ……あの二人の間に分け入ることなんて、無理無理」

男1「あー、そうだなー」

男2「……とにかく、あの二人の仲のよさっていうか、絆はほんと羨ましいぐらいだ」

男1「……確かになぁ」

男2「俺も誰かと絆結びてー」


男1「……なんかもう、俺もお前でいいような気がしてきた」

男2「いやぁ、俺にも選ぶ権利あるからぁ」

男1「うわー、また振られたよ」

男2「残念だな。まあ、飲め飲め」

男1「おうおう、とっとっと」
212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:00:25.39 ID:hGFhns7U0
後輩「イヤース!」

先輩「イヤース!」

後輩「卒業おめでとうございます先輩!」

先輩「卒業おめでとう私!」

後輩「いやぁー、ついにこの日が来てしまいましたねぇ」

先輩「なんか信じられねーなー、明日からもうここで寝ることもないとかな」

後輩「……そうですね」

先輩「おっと、湿っぽいのはまだまだだぞ」

後輩「そうですね! 飲みましょう! パーッと! 朝まで!」

先輩「寝るなよぉー? あと吐くなよぉー?」

後輩「吐きます! 吐くまで飲みます! むしろ吐いても飲みます!!」

先輩「や、やめろぉ!」
214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:02:32.74 ID:hGFhns7U0
後輩「はぁー、れんあい、におつすくあいっすねー」

先輩「ろれつ回ってねぇぞ。何言ってんのか全然わかんねぇよ」

後輩「なんろぉ、まだまだぁ。よってまへんよぉー。これあらしゅとこうを300キロでばくそーできあうよ」

先輩「寮の前の道を3キロでウォーキングも無理だろ今の状態じゃ」

後輩「あ゛ー、ねむいー」

先輩「……もう3時過ぎてるぞ。寝るか?」

後輩「なぁーに、なんのそのこれしきぃー。あけぼのでもこにしきでもどーんとこいやー」

先輩「本当に大丈夫かお前……」

後輩「……」

後輩「……だって、寝ると明日になっちゃうんだもん」

先輩「日付の上ではとっくになってるけどな」

後輩「……先輩が出て行く日になっちゃうんだもん」

先輩「……」

後輩「……なんとかなりませんか」

先輩「……ならねーな」
215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:06:08.11 ID:hGFhns7U0
後輩「……うっ」

先輩「……」

後輩「ううう……」

先輩「……」

後輩「……先輩、肩、抱いてください」

先輩「こうか?」

後輩「もっと、ぎゅって」

先輩「……」ギュッ

後輩「先輩……う、うううー」

先輩「泣くなよ」

後輩「……無理」

先輩「……そうか。じゃ、泣け」

後輩「……うっ、うわぁあああああん!」

先輩「う、うるせーな……」

後輩「うあああああああああ!!」
217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:09:23.58 ID:hGFhns7U0
後輩「スー……スー……う、ううん……」

先輩「寝たか……」

先輩「……」

先輩「キツイなぁ」

先輩「絶対来る日だとはわかっていたけど」

先輩「……キツイな」

先輩「あんなこと言っといて、気持よさそうに寝やがって……」スリスリ

先輩「……ほっぺた、柔らかいなこいつ」プニプニ

後輩「……うん……あ、先輩?」

先輩「あ、わり。起こしちまったか?」

後輩「今、何時ですか?」

先輩「まだ4時過ぎだよ」

後輩「そうですか……よかった」

先輩「何が?」
218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:12:15.34 ID:hGFhns7U0
後輩「いや、せっかく先輩と一緒にいられるのに、長く寝ちゃったら勿体無いと思って」

先輩「……」

後輩「いやー、案外あっという間でしたねー、3年間」

先輩「……そうだな」

後輩「最初、こんな怖そうな人と3年も一緒にいなきゃいけないのかと思ったら、本当に憂鬱でしたけど」

先輩「私、怖そうか?」

後輩「金髪だったし。っていうか今でも怖いです」

先輩「嘘つけ」

後輩「色々ありましたねー。……沖縄も、楽しかったです」

先輩「パリじゃなくて残念だったな」

後輩「もういいですそれは……うん、でも、いつかは一緒に行きたいです。パリ」

先輩「そうだな……いつか、な」

後輩「自分のお金で」

先輩「当たり前だ」
220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:15:31.65 ID:hGFhns7U0
後輩「はー……先輩、ホントに明日出て行くんですか?」

先輩「ホントに今日、出て行くよ」

後輩「……なんとかなりませんかね」

先輩「だからなんともなんねーっつーの」

後輩「……私、明日からどうやって生きていけばいいんですか。一人で」

先輩「大丈夫だよ」

後輩「……ずっと、先輩に頼って生きてきたのに」

先輩「……大丈夫」

後輩「大丈夫じゃないです」

先輩「……別に、永遠の別れでもあるまいし。ちょくちょくまた会えるだろ」

後輩「……そうかな?」

先輩「信用しろよ」

後輩「……はい」

先輩「頑張れよ? 色々と」

後輩「……はい」
221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:18:05.63 ID:hGFhns7U0
後輩「……あの、先輩、最後に、一つだけお願い、いいですか?」

先輩「……別に最後じゃねーけど、なんだよ」

後輩「目、瞑ってください」

先輩「あ? なんでだよ」

後輩「いいから」

先輩「……こうか?」

後輩「……」スッ

先輩「なにする気……んっ!?」





224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:22:30.71 ID:hGFhns7U0
先輩「……酒くさ」

後輩「あんまり驚かないんですね」

先輩「……いやぁ、まあ、5ミリくらいは予想してたからな」

後輩「……私、レズとかそんなんじゃないですよ」

先輩「……」

後輩「そんなんじゃないです」

先輩「説得力ねーな」

後輩「……だって、このままじゃ私達、単なる先輩と後輩じゃないですか」

先輩「……どういう意味だよ」

後輩「そんな、どこにでもある、ありきたりな関係じゃ、嫌なんです」

先輩「……じゃあ、やっぱレズじゃん」

後輩「違います! 違うんです、なんていうか、その……」

先輩「……」

後輩「上手く口じゃ言えないんですけど、もっとこう……」
225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:24:24.44 ID:hGFhns7U0
後輩「他の人って、結局他人じゃないですか。一期一会とか言って、せっかく出会っても、またねとか言ってあっさり別れて。
   そりゃ、それが普通だし、悪いこととは思わないけど……でも、私は……私は先輩ともっとこう、別れを散々惜しみたいんです」

先輩「……これ以上か?」

後輩「惜しみたいって言うか……ちょっと違うな……うーん、別れたとしても繋がってる何かが欲しいんです」

先輩「……」

後輩「それも、離れてても心は隣にーとかそういうんじゃなくて……手繰り寄せれば、いつでも近くにいけるような。
   実際に触れられて、話が出来て、一緒に歩けるような、そんな感じの何かが欲しいんです」

先輩「それは、普通に別れた後も付き合いが続いてるだけ、じゃないのか?」

後輩「でもそれは、普通の、そこら辺の先輩と後輩でもあることじゃないですか。
   私はもっと……もっと、特別な何かが欲しいんです。他の先輩後輩が持ってないような、何か。
   それは……恋愛でも、別にいいとは思いますけど……いや、やっぱりちょっと違う気がするんです」

先輩「……」

後輩「わかっては、もらえないと思いますけど……」

先輩「……」

先輩「……私はもう、お前と特別な関係になってると思ってるけど?」

後輩「えっ?」
231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 02:57:48.30 ID:7Z73TB6FO
先輩「私はお前が別にレズでもなんでもいいよ。実際どうかは知らないけど、お前はお前だ」

後輩「……いや、だから違うと」

先輩「そんな風に思えるってことは、もう普通の先輩と後輩なんかじゃないだろ?」

後輩「……先輩」

先輩「こういうのじゃ、ダメか?」

後輩「……わかんないです」

先輩「いいってことにしとけ」

後輩「……はい」

先輩「大丈夫、いつでも会えるって」

後輩「……そうかな」

先輩「それに、私はお前と、けっこう、わりと、そこそこいい思い出作れたよ」

先輩「会えないときは、この思い出を食いつぶしてりゃ、ちったぁガマンできるだろ」

後輩「……」
232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 03:00:31.96 ID:7Z73TB6FO
先輩「だから……大丈夫だよ。お前一人でも」

後輩「せんぱい……」

先輩「……いや、一人じゃないよ。この世界のどっかには、ちゃんと私がいるんだから」

後輩「う、うううううー」ポロポロ

先輩「私とお前は……いつも一緒だ」

先輩「だから、もう泣くなよ」

後輩「やっぱり大好きですぅうううう!」ガバッ

先輩「うぐぉっ! い、痛い。そ、そんなに抱きしめんな」ギシギシ

後輩「せんぱぁあああああああああああああい!」

先輩「く、くるしっ……! し、死ぬっ……!」ミシミシ

後輩「もう放さなぁああああああいい!」

先輩「は、はなせぇ……」ポキポキ
234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 03:03:53.39 ID:7Z73TB6FO
後輩「ふー」

後輩「先輩の荷物が無くなると部屋が広いなー」

後輩「まあ、それでも狭いけど」

後輩「……先輩の、痕跡が」

後輩「無いな」

後輩「……ほんとに行っちゃったんだな」

後輩「……」

後輩「……ぐすっ」

後輩「おっと、いけないいけない」

後輩「先輩に泣くなって言われたんだ」

後輩「これから就活も正念場なんだから、気合入れないと!」

後輩「……先輩」

後輩「……私、頑張ります」

後輩「だから」

後輩「……また、晩御飯でも、一緒に食べましょうね」
235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 03:06:02.68 ID:hGFhns7U0
これで一旦終わりです。gdgdで失礼しました。
実はまだ続くのですが、明日同じようなスレタイでやりたいと思います。
残ってたらここでやりますが。
238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 03:09:36.57 ID:4v5jjKUE0
おつおつ
明日楽しみにしてる
244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 04:06:38.27 ID:iI+92/7x0
辛抱たまらんわい……
続き期待
291: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/10(月) 12:36:48.97 ID:hGFhns7U0
ありがてぇ。ありがてぇ。
というわけで再開します。ゆっくり目に行きますがさるったら携帯に移行。
尚、これより先は可能性のあるパラレルワールドの一つ、程度にお考え下さい。
次スレ:

後輩「ちょっと先輩!晩御飯どうするんですか!」【後編】


 

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