サーシャ「第一の解答ですが、私は既に上条当麻と付き合っています」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 01:01:58.33 ID:C/LkRa5B0
 まだ、少しだけ夏の暖かさが残った秋の歩道。開校記念日だか臨時休業だか何だか知らないが平日の朝から自由時間をえた上条当麻は常時食欲全開シスターの食料の買い出しへ出ていた。

「激安卵パック。おひとり様二つまでか……ふ、不幸だ」

 上条当麻が眺めるのは近所のスーパーの特売のチラシである。

 どれもこれも価格破壊的な値段が付いており、もちろん一人幾つまでと個数制限つきだ。

 健全な高校生が平日に休みを手に入れたというのに朝からスーパーに買い出し。

 当然、友人知人がスーパーの買い出しなど付き合ってくれるはずもなく。

「インデックスがいれば、4パック。あれも、これも……」

 がっくりと肩を落とし、上条当麻は重い脚を進める。

 上条当麻の同居人であるシスターインテグラルは現在絶賛休暇中の上条当麻の担任小萌先生の元へ遊びに行っている。

「不幸だ……」


注目記事




26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 01:16:30.47 ID:C/LkRa5B0
 不幸な自分なことだから、列に並べば自分の前で品物が売り切れ、レジに並ぼうとすれば長蛇の列。そんな目にあうのではないかと考えたり考えなかったりしたのだが、思いのほか買物はスムーズに進行し、終わってみれば買い物袋大×2が上条当麻の手には握られていた。

「ふっふっふ。これだけあればインデックスも満足するだろ」

 ルンルン気分で帰路を急ぐ。

 上条当麻は不幸な少年だ。少年の不幸なところはたまに、ごくたまに幸せを感じると調子に乗ってしまうところにある。

「……そういや、腹が減ったなー」

 上条当麻はちらりと自分が買った買い物袋を見る。

「いやいやいや。この買い物袋はこのままインデックスに見せるべきだと上条さんは思うわけですよ」

 誰に、説明するでもなく上条当麻は独り言を垂れ流す。

「決して。決してインデックスがいないのをいいことにちょっと贅沢してみようとか思ってないですよー」

 財布の中身を確認しつつうんうんと自分でうなずいてみせる。

「別に一人で遊びに行ったインデックスに対するあてつけとかそういうのではないですからー」

 早い話が上条当麻は善人なのだ。自分を納得させないとおいしいものも食べられない。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 01:26:24.93 ID:C/LkRa5B0
『あっ、上条ちゃんですか?』

 電話先の相手。小萌先生はどこか嬉しそうな様子で電話に出た。

「あ、あのインデックスはどうしてます」

 小萌先生が答える前に、電話口からとうまーとうまなのー? と声が聞こえてくる。

『シスターちゃんはですね。今どってもご機嫌なのですよ』

『あ、とうまー。聞こえてるー』

 いまだに科学に対して壁があるインデックスは電話が少し苦手だ。

「はいはい。聞こえてますよっと。こっちは今お前の食糧を買い込んだところだ。なんと買い物袋二つ分だ」

『ホント!? じゃあさ、今日はいっぱい食べられるね』

「いやいや。上条さんは今日お腹がペコペコだから、昼飯に全部食べてしまうかもしれないですよ」

『だめなんだよ! 当麻はその食糧私が帰るまでたべちゃダメだからね!』

「はいはい。わかりました」

『嘘ついたら、敬虔なる神の――』

「きるぞー。インデックスー」


――計画通り。

 上条当麻は自分を納得させると帰路を急ぐ。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 01:37:23.30 ID:C/LkRa5B0
 自室に戻るとスフィンクスが出迎えてくれた。

「何だお前。インデックスと一緒じゃなかったのか?」

 スフィンクスはおいて行かれたんだもんねとでも言いたげにふにゃーとと鳴いて顔をかく。

 いつもなら所かまわずない胸元にスフィンクスを入れて動き回っているのに。よほど小萌先生の家に遊びに行くのが楽しみだったのか。小さいものと割と小さい者同士。命を救ったり救われたりした関係からかあの二人は妙に仲がいい。

「えーと。確かこの辺に猫缶か何かがあったとはず」

 買い物袋を床に置き戸棚を漁る。

 置かれた買い物袋をこれなに? くえんの? といった感じにスフィンクスが猫パンチを加えるが上条当麻は気にしない。

「ほーれ。これでも食って大きくなれよー」

 今から御飯を食べに行く上条当麻はご機嫌だ。

「ガスの元栓よーし。スフィンクスよーし。インデックスいなーい。完ぺきではないですか」

 上条当麻は不幸な少年であるがゆえに買い物袋を放置したままだということに気付いていない。


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 01:55:49.64 ID:C/LkRa5B0
「さーて。街に出たのはいいものの、いったい何をたべればいいんでせう?」

 ……ファミレス。

 いやいやいや。ファミレスなんぞに行ったら、不良に女の子が絡まれていましてですね、その女の子がレベル5とかいう学園都市に7人しかいない超能力者だったりしましてですね、

電撃から全速力で逃げるという自分はまったく面白くないアトラクションに強制参加させられた挙句

「何アンタ。この時間に一人でファミレス? アッハハハ~おっかしー。友達いないのー?」とか言われちゃったりするんですよ。

 実際には、おそらくそこまでひどいことは言われないと思うのだが……上条当麻の中でビリビリはそういった位置づけになっていた。 

……世界一高いホットドック。

 ふと顔を上げるといつぞや食べたホットドック屋の屋台が目にとまった。どうにもそれなりに繁盛しているようで数人の学生が並んでいた。そういえば、前食べた時は、味なんてよくわからなかったなぁ。

 ニセンエン。いやいやいや。いくらお金が浮いたと言っても二千円はない。上条当麻はお腹がすいている。ホットドックではおなかは膨れない。

 さてどうしましょうかねと、ふと近くのオープンカフェに目をやった。

 あん?

 まず赤いマントが目についた。赤いマントの下にインナーそのもののようなすけすけのスーツ。

 もうこれだけでもいろいろアウトなのにとどめを刺すかの如く黒いベルトで構成された拘束服。

 どこかのコスプレ会場から抜け出してきたような少女がオープンカフェでフレンチトーストを頬張っていた。

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 02:16:03.34 ID:C/LkRa5B0
 上条当麻は不幸な少年だ。

 不幸であるがゆえに、周囲から奇異の目にさらされつつトーストを頬張る見た目いろいろアウトなこの少女を知っている。

 ミーシャ=クロイツェフ。ロシア協会のなんだか難しい名前の所属している少女だ。

 見た目アウトな上に、学園都市にいる。二重の意味でアウトなこの少女を上条当麻は見過ごせない。

「え、あ、ちょっとすいませんねっ」

 オープンカフェのイスをどかしつつ、道を作りつつ、奇異の目にさらされつつ、上条当麻はミーシャの元へ歩み寄る。


「えーと。ミーシャ?」

 ミーシャと呼ばれた少女は租借をやめ、口の中のものを飲み込んだ。

「第一の解答ですが私はミーシャではなくサーシャです。」

「ああ、悪ぃ」

 上条当麻は謝りつつサーシャの正面に座る。


「第一の質間ですがなぜあなたは私の正面の席に座るのですか?」

「第二の質間ですがなぜあなたは平日の昼下がりにこんなところにいるのですか?」

「第三の質問ですが……」

 サーシャは一旦言葉を切り

「追加のトーストはまだですか?」

 と上条当麻を認めサーシャの背後まで来ていた店員に振り返りもせず催促をするのだった。

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 02:30:50.68 ID:C/LkRa5B0
「……」

「……」

 店員と上条当麻は思わず顔を見合わせた。

 店員は「お連れ様でしょうか?」と聞くタイミングを逃し、バツが悪そうにもごもごしている。

 誰だってこんな冗談みたいな服を着ている少女の接客などはしたくない。

 カフェの奥からは生暖かい目でじゃんけんに負けた店員を観察するほかの店員たちの目があった。

「第三の質問をもう一度。追加のトーストはまだですか?」

「しょ……少々おまちくださいませ」

 店員は当初の目的を果たさぬままカフェの奥へと逃げていく。

 上条当麻は自分以外にも不幸な者がいるという事実を受け止め、心の中で祈った。「頑張れ店員さんっ!」と。

「えーと。サーシャ……。何、してんの?」

「第一の解答ですが、貴方は人の質問には答えないドクサレ野郎ですか? 私は見ての通り食事を摂っています」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 02:49:23.34 ID:C/LkRa5B0
 あれれ。この娘はこんな子でしたっけ? 

 上条さんの記憶ではクサレ野郎なんて言葉は使ってなかったような気がしたりしなかったりするのですがー。

 あれは天使が憑いていたからなんですかー。

「えーと。正面に座ったのはサーシャと話したかったからで、平日の昼下がりにいるのは今日が学校が休みだったからさ。そんなことより何でこんなところにいるんだ?」

「第二の解答ですが、その質問自体が私の人格を侮辱していますね」

「え?」


「貴方は私がこのような拘束服を好き好んで着用し、周囲の目に晒されることで快感を得る変態だとでも思っているのですか?

 私がオープンカフェにいるのはそちらのカフェが混雑していたためで他意はありません」

「いや、どうして学園都市にいるのかを聞きたかったんだけど」

「ならば最初からそう言いなさい」

 当然ながら、ロシア成教のシスターが全員こんな格好をしている訳ではない。

 ロシア成教とはそんな変態の集まりではないが上条当麻の中ではロシア正教=サーシャなわけでてっきりこれがデフォルトの修道服なのかと思っていた。

 補足しておくとサーシャが特別変態嗜好があるわけでもない。
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 03:12:00.13 ID:C/LkRa5B0
「けど、混んでるんだったら何もこの店で食べなくてもよかったんじゃないか?」

 上条当麻は窓ガラス越しに店内の様子を見た。なるほど確かに込んでいる。

 今も店員が忙しなく働いている。これではまだトーストは時間がかかりそうだが、まだ、オーダーをとってない客を待たせるのはいかがなものか。

 まぁ案内されず勝手に席に着いた自分も悪いのだが。


「第三の解答ですが、私はここのトーストが食べたかったのです。貴方がた日本人はもっと自国の特異性について理解するべきです」

 ふと、サーシャのイスを見ると白い太ももの横にガイドブックのようなものが見えた。

 なんだろう。シスターというものは万国共通で腹ぺこキャラなのか? と自然に笑みがこぼれる。

「第四の質問ですが、人の太ももをみて喜ぶとは貴方は本当に勤勉と言われる日本人ですか? ドクサレ野郎の間違いではないですか」

「いやいやいや。上条さんは子供の太ももをみて喜ぶ趣味はないですよ。ええ!!」

 本当は少し見ていただけに、妙に声が大きくなり周囲の注目は大きくなる。


「大変長らくお待たせしました。こちらフレンチトーストになります。お客様はご注文はお決まりでしょうか?」

 先ほどと同じ店員が上条当麻に水を向ける。

「えーと。コーヒーと彼女と同じものを」

「かしこまりました」

 店員は頭を下げ、店のほうへと戻っていく。必死で笑いをこらえている様子だったのはおそらく上条当麻の勘違いだ。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 03:26:17.76 ID:C/LkRa5B0
 サーシャがトーストに手をつけようとした時だ。上条当麻がいきなり自分の腹を叩いた。

「なんでもない! なんでもないぞ」

 必死で首をふり否定する。

「第五の質問ですが今のは空腹時の音をゴマかした音ですか?」

「いやー。はっはは。そんなわけないじゃないですか。大の男がそんな、ねぇ」

 事実としては、腹の虫がなったわけだが、さすがにそれは言いにくい。上条当麻とて年頃の男の子なのだから。

「第六の質問ですが先に食べますか?」

「え?」

 サーシャは自分の前に置いてあるトーストの皿を上条当麻のほうへ右手でスライドさせる。

「同じものを頼んだのですから。まだ手をつけてませんし」

「いいのか?」

「第四の解答ですが貴方は私を腹ぺこキャラか何かと勘違いしておりませんか? いいから黙って食え」

「おお……シスターだ。ここに神に仕える本物のシスターがいる」

 インデックスなら、きっと病気の時にでも聞けるか聞けないかの言葉を前に、上条当麻は感動する。
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 03:51:56.32 ID:C/LkRa5B0
つい数分前。シスターは万国共通で腹ペこキャラなどと思ったことを軽く後悔しつつ、フレンチトーストにかぶりつく。

 甘すぎず柔らかすぎずもふもふとした触感が食欲をそそる。

 ところで、上条当麻は不幸な少年だ。

 不幸な少年がただただ美味しいものを頬張るだけで、物語が進むのなら昼ドラは30話とかもたないのだ。

 上条当麻が先に出されていたポットの冷水に手を伸ばした時だ。ガラス越しの店内に見知った顔を発見した。

「うおぅ」

 反射的に頭をさげ、もう一度中の様子をうかがってみる。

 吹寄制理。


 背中まで届く長い黒髪に制服の上からでもわかる出るとこ出ている体。

肢体もすらっと伸びていて美人といって差し支えないルックスの持ち主だが、なぜか上条には風当たりが強いような強くないような……

 クラスのまとめ役であり、よくよく見れば見知った顔がちらほらと。

 
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 04:05:24.75 ID:C/LkRa5B0
 そのちらほらの中にサーシャを知る土御門がいないあたりが上条当麻が不幸とされる所以ではなかろうか。

 そもそもよくよく思い出してみれば、昨日の昼休み吹寄制理がサーシャの持っている雑誌とよく似た雑誌を

見ながらトーストがどうだのなんだの言っていたような気がしないでもない。

 上条当麻は昨日、例によって不幸に見舞われていたためイマイチクラスの輪に入れていなかった。

「時間差不幸かよっ!!」

「第七の質問ですが何を言っているのですか」

「悪い。オレにもよくわからん……」

 いまだにサーシャが学園都市にいる理由も聞き出せていないというのに、フレンチトーストなどのんきに食べている場合ではないのだ。

上条当麻はトーストに手を伸ばしまたかぶり付く。

 魔術サイドの人間が今まで学園都市に侵入してきて、何事もなかったためしなどない。

おそらく何らかの魔術サイドがまた学園都市でとある魔術を発動させようとしている可能性がある。

 上条当麻は先ほど飲み損ねた冷水を注ぎ直しつつ吹寄制理を観察する。
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 04:28:25.77 ID:C/LkRa5B0
吹寄制理はきょろきょろと辺りをうかがい、開いているテーブルを探している様子だ。

ちょうどその時、一組のグループが食べ終わり席が空いた。吹寄制理は駆け寄るとクラスの仲間のほうへ顔を向け何やら言っているようだ。

おそらく「この席でいいよね」とかそんなやり取りをしているのだろう。

「ふぅ」

上条当麻は一息つくと一気に冷水を飲み干した。サーシャが少し不思議そうな顔をしているが危機は回避した。

あとはうっかり吹寄制理に見つかるといった愚行を避けるためになるべき目立たぬようにしていればいい。

目の前の赤マント拘束具小学生をどう目立たなくするのか上条当麻にはわからなかったが。


この時上条当麻は気がついていなかった。

まだ昼間だというのに随分といろいろな学校の生徒が町にいることに。

例えば先ほどのホットドック屋にしてもそう。カフェ店内にしてもそう。


「おまたせいたしましたトーストとコーヒーでございます」

三度目となった店員が額に汗を流しつつ皿とカップをテーブルに並べていく。

「ごゆっくりどうぞ」

三度目ともなるとさすがになれたのか笑みはなかった。
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 04:41:04.73 ID:C/LkRa5B0
「第八の質問ですがよくそんなものが飲めますね」

「ん? ああ。コーヒー?」

「肯定」

「なんだろうな。別にうまいって思って飲んでるわけじゃないっていうか……タバコとか酒なんかも飲み始めはそんなもんじゃねぇ?」

「私はシスターですから」

シスターだからその手の嗜好品は口にしたことがないということなのだろう。


「まぁ甘い物食ってる時は結構いいと思うんだけど……こっちも一個質問いいか」

「何でしょう」

「その質問三とか四とかずーっと続いたら質問百三十四とかになんのか?」

「第五の解答ですが初対面の人間にそこまで質問攻めすることもされることもありません。逆に親しい人間なら質問することなどありませんから」

 はむはむとサーシャは租借を再び開始する。
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 04:56:01.81 ID:C/LkRa5B0
「で、さ。結局のところサーシャはなんで日本のしかも学園都市にいるんだ? まさかここのトーストを食いに来たってわけじゃないんだろ」

そう。これを言いたいがために、奇異の目にさらされつつ食事をご一緒したのだ。

吹寄制理という危機をとりあえず排除した以上次なる危機に挑まなくてはならない。

「第六の解答ですが質問は一つということでした」

だからもう答えませんとでも言うようにフレンチトーストをもぐもぐさせるサーシャ。

上条当麻も租借中に話しかけるほど野暮ではない。

「確かに、先ほどはそう言ったんでせうが上条さんとしてはですね、

租借が終わったら是非どのようなことで学園都市に来たのかをですね話してもらえると、力になれるのではないかなと」 
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 05:27:36.79 ID:C/LkRa5B0
「第九の質問ですが、なぜあなたは一般人なのに魔術に関わろうとするのですか?」

サーシャの声色が若干変化したように上条当麻は感じた。

今まで、幾度となくいろんな人間から同じような質問をされてきた。諭されてきた。

曰く、上条当麻は一般人であると。

曰く、上条当麻は背負い過ぎると。

曰く、上条当麻は無茶をし過ぎると。

曰く、曰く、曰く。


「うーん。あんまりマジにとられても困るんだけどさ」

 ポリポリとこめかみあたりを書きながら上条当麻は続ける。

「別に関わろうとして関わってきたわけじゃないんだよ。どういうわけか科学側と魔術側は争ってる。

化学側でそのこと知ってるのはそうはいない。そんなとき魔術側がなんかしてきたら何とかするのは当たり前だろ?」

上条当麻は博愛主義者でもなければお涙頂戴の美化された自殺願望の持ち主でもない。

ただ、目の前に困っている人がいたら助けねばならない。それをやるべきことに分類することができる人間なのだ。


ただ、その考え方を素直に理解できる人間は科学サイド、魔術サイド両方ともそうはいない。

何時だったか海原光貴が言っていた時以上に上条勢力は大きくなっていた。
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 05:53:22.87 ID:C/LkRa5B0
例えば、二つの国が争っていたとしよう。

その中でも異質な人間の周りになぜか両国の人間が集まってくる。

方や、その国でも二十人しかいない実力者とその集団。

方や、その国でも七人しかいない実力者の第三位。

上げ出したら切りがないほどの錚々たる面々と面識を持っていながら自分はやるべきことをやっているだけだ。

こんな戯言が通るはずがない。

「第七の解答ですが……」

サーシャの無表情な顔全体がぷるぷると震える


「あなたが、そんな、ことだからっ! 私が、ここに、きたんで、しょうがっ」

言葉を区切るたびにガツンガツンとテーブルを叩くものだから、食器が音を鳴らす鳴らす。

一通り叩いて満足したのか今度は泣きそうな声になる。

「超機動少女カナミンのドレススーツを着て戦場を走りまわるか、この服を着て貴方の監視をするか……

第十の質問ですが私はどちらを選択するのが正解だったんでしょうね」

「ええっ! おれのせい? いや、すっごく申し訳ないけどその二択なのは多分アナタ様の上司に難があるのではないかと……」

心底恨めしそうな顔でそう言われ上条当麻としても申し訳なくはあるのだが訳のわからない二択なのはまぎれもなく彼女の上司がアレなのだ。

ロシア成教の特殊部隊『繊滅白書《Annihilatus》』に属する戦闘修道女であるサーシャ=クロイツェフにいったいどういった葛藤があり、

結果上条当麻の監視の任に就いたのかはわからない。わからないが、よほどドレススーツがいやだったに違いない。
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 06:34:34.75 ID:C/LkRa5B0
「そうです。そもそもあのクソ上司ときましたら、職権乱用でこんなわけのわからない服を着せられて、

私に何をさせるつもりなのでしょうか。いっそgo to hell してくれたほうが――」

「ストーップ! サーシャ。オレが悪かったから帰ってきてくれ」

上条当麻の声に、フォースの暗黒面から脱出したのか、サーシャは最後の一切れを口に入れる。

「それで、ちゃんと学園の許可とかは取って入ってきてるのか? 上条さんちはすでにシスター属性は余っているのですよ」

「第八の解答ですがその辺は上司が都合をつけやがりまして……学校にも通っても――」

「へぇ。いい上司じゃねぇか」

「……」

上条当麻は知らない。サーシャの上司が「サーシャちゃぁん♪ ここのぉ学校の制服がぁとっても可愛いのぉ。

日頃からそんなヘビーな拘束服を装着しているサーシャちゃんには物足りないかもしれないけど、たまには制服もいいんじゃない?」

等々の理由で都合をつけたことを。

100%の善意などこの世に存在しないのである。

どこの世界でも、部下は上司に玩具にされるのだ。

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/03(日) 07:05:02.13 ID:C/LkRa5B0
「おれの監視ってことは内の学校にくるのか?」

「正答。しかし、その限りではない。現在の段階は見。是即ち様子見」

「様子見ねぇ。じゃあ今日明日中にどうこうしなきゃならねーわけじゃないんだ」

なるほどと上条当麻は納得する。

ガイドブックを持っているあたり、建前では下見ということだが、実際は多少遊びたいという気持ちがあるわけだ。

そうでなくても学園都市は物珍しいものが多く、外部の人間にとっては魅力的な場所のはずだ。

外国人であるサーシャならばなおさらそうだろう。まるで、計ったかのように学校は休みで時間はある。

問題は……服だ。

幾らなんでも拘束具をきた小学生くらいの女の子と歩いていたらアンチスキルやジャッチメントに何を言われるかわからない。

というか、サーシャは今まで何も言われなかったのか?

「えーと。よかったら学園都市見て回るか? 地理関係は頭に入ってたほうがいいだろ」
187: 細かいことはのひとはスルーで 1/2 2010/01/04(月) 00:47:23.81 ID:K1HROnId0
「肯定。しかし……」

サーシャは自分の服装をみてふるふると首を振る。

上条当麻としては、オープンカフェに堂々と座れるのに移動には尻込みするサーシャの気持ちがいまいち理解できない。

乙女心ってのはよくわかんねぇなくらいにしか思わない。

サーシャが上条当麻を気遣っていることなど、鈍感、にぶちん、フラグクラッシャー等々の異名を取る少年にはわからないのだ。

「んー。まぁ確かに上条さんもその服と一緒に歩くのは多少遠慮したいので……服でも買いに行くか?」

「肯定。できるのであれば――」

サーシャはまるで倍速でビデオを再生するかのように椅子に置いていた雑誌をめくる。

最初見た時は気がつかなかったがページにはいくつか付箋がはってあるようだ。

「ここ。ここに行きたい」

サーシャは胸元で大きく雑誌を開いてみせる。

とある店の特集記事で店の外観の写真の上にごてごてしたゴシック体の景気のいい謳い文句が並んでいる。

「seventh mist」

ちょっと前にとある事件が起こった場所で上条当麻には記憶にはないが彼自身も事件に巻き込まれている。

写真を見る限りは事件があったことなど感じられないほど外観は修復されている。

「そんじゃ、とりあえず店を出るか。ここの代金くらいなら出してやるよ」

「第九の解答ですがその必要はありません」

サーシャは太ももに付けたいたベルトを取り外し、ベルトの内側から革製の定期入れのようなものを取り出した。

中には御坂美琴でも持っていなさそうなキラキラしたキャッシュカードが入っていた。

「繊滅白書支払のカードです。あのクソ上司からは無駄遣いしないように言われましたが問題ありません」

「いや、そういうのってダメなんじゃないか……実際」

「補足ですが始末書ならニコライ=トルストイ司教様へ行くので問題ありません。」

始末書の届け先はそうなのかもしれないが、始末書を書くのはサーシャ自身なんじゃないのか?

そんな考えが上条当麻には浮かんだが、サーシャが伝票も持たずにレジへと向かうので、あわてて追いかける。

はたから見ると、手のかかる妹をおろおろと世話をする苦労症の兄のようでどことなく微笑ましい。




188: 細かいことはのひとはスルーで 2/2 2010/01/04(月) 00:50:14.88 ID:K1HROnId0
「seventh mist」はその名の通り第七学区にあるごく普通の洋服屋である。

普通といってもそこは学園都市。小さい子供から一般的な学生。常盤台のお嬢様まで。

幅広い層をカバーするために品揃えは豊富であり、ビル丸まる一つのなかに大量のチェーン店が入っている。

サーシャは普段の二割増しくらいのスピードで店内を闊歩し目移りのお手本のようにきょろきょろきょろきょろ。

当然ながら、サーシャのファッションはここでも目を引き、好奇の目にさらされるサーシャを適度に庇いつつ上条当麻も後をついて歩く。

その様は普段はわがままを言わない娘のわがままに困りつつもちょっと喜んでいる馬鹿親のよう。

「ちょっ……サーシャ。ストップ! ストッープ!」何とか左手で右手を捕まえる。「第一の質問ですが、何か?」

「うぉお。質問数がリセットされたな。それはあれか? 場所が変わるとリセットされるとかいう――」

「第一の質問をもう一度。何か?」

「カレーにスルーですねーっ!! 嬉しいのは何となくわかったから。とりあえず地図を見よう。なっ! そっちは多分、男性は侵入してはいけないデルタ地帯な気がするのです」

「第二の質問ですが、デルタ地帯とは」

「いやーはっは。地図はどこでだろうなー」

デルタ地帯とは、とある着衣物の売り場の俗称であり「ホワイトデルタ」や「ブラックデルタっ!」として一部の男性の間でまるでロボットや必殺技のようなイントネーションで呼称される。

とくにブラックデルタは普段生活する上で見ることは難しいためホワイトデルタよりも声量がアップすることが普通である。

わかる人にだけわかってもらえればいい。それ以上の説明は不要な代物であり、上条当麻も誤魔化すのに必死である。

「おお、あっちにエスカレーターがあるじゃんか」

エスカレーター付近に店内地図があるのは大体どこの店でも同じである。

「ほぉーらいくぞ。サーシャ」

「第二の質問を……まったく」サーシャは仕方なく質問をあきらめ上条当麻を追いかける。

地図を見た結果、上条当麻でも知っているような有名店が集中している5階に行くことになった。

上条当麻の記憶にはないがビリビリこと御坂美琴がパジャマを試着していたのもこのフロアの店である。

思いのほか知らない学校の生徒が多いが今のところ常盤台中学の制服は見ていない。

この時間に、こんなに学生が多いということは、どうも学校が休みだったり早く学校が終わったところは上条当麻の学校だけではないらしい。

学校の中には休日の制服着用が義務なところも多く、それが定着しているところも多い。

普通ならそんな規則は、まるで法定速度を守るドライバーがいないように、守る学生などいないのだが、

学園都市は学生の街であるため、都市の外より自分の学校に誇りを持っている生徒が多い。そのため制服で活動する生徒も多いのだ。

そりゃーそうじゃなないと大覇星祭みたいな全学校が合同で行う超大規模な体育祭なんてできないよな。と上条当麻は結論付け、店探しを続行する。

店員数がレジ以外にも余裕があり、なおかつサーシャを見ても引かない……

いや、引いてもいいから服を選べるだけの余裕のありそうなそんな店を。

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 00:59:11.43 ID:K1HROnId0
上条当麻の見つけた店の店員はまるで教育ママゴンのような顔をしていた。

絵にかいたような三角メガネ。ノリのきいたシャツをぴっちりと着こなし、棒ネクタイをこれでもかというほどきつく締めている。

どんな客でも対応しますというオーラが全身から湧き出ている。

「すいません」

「いらっしゃいませ。どういったものをお探し、あ、えー、お探しですか」

やっぱり引かれたー。

「えーと……この子を、とりあえず出歩いても犯罪じゃない程度に」

「かしこまりました」

上条当麻が見つけた如何にもやり手なおばちゃん店員はかしこまりましたの時点で完璧店員に戻っていた。

店員に連れられて行く間中、サーシャが「第三の質問ですが今のは私の人格を侮辱しているのですか上条当麻」

とかちょっと前に聞いた台詞をもごもごと言っていたが上条当麻は気にしない。驚異は去ったのだ。

金髪であるがゆえにまだ目立つかもしれないがそこはいつも腹ペこ外人シスターを連れまわしている上条当麻だ。

いまさら外人だの金髪だので道行く人に振り向かれようが何しようがどうということはないのだ。

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 01:13:12.68 ID:K1HROnId0
今さらであるが上条当麻は不幸な少年だ。

例えば、いかにもやり手の店員さんが実はちょっとあれだったりしても

それはきっと店員さんが悪いのではなく上条当麻が悪いのだ。

試着室から出てきたサーシャを見て上条当麻は絶句した。

ワンピースだった。

ゴシックロリータの。

基本は黒をベースに袖とスカートのフリルが白。

頭には黒のカチューシャ。

いや、似合ってはいる。似合ってはいるのだが……見た目小学生にこの恰好をさせて隣を歩かせる。

犯罪じゃねぇか!!

思わずそう叫びたくなるが見た目デキル店員さんはどういった理由でこの服を選んだかについてこと細かく説明してくれていた。

上条当麻は校長の話を聞くとき以上にその話を聞き流すのだった。

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 01:28:17.90 ID:K1HROnId0
「あの……上条当麻。第三の質問ですが、どうですか」

上条当麻は比較的鈍い少年である。しかし、女の子が着替えてきてどうですかと聞いているときに何を聞いているのかくらいはさすがにわかる。

「非常に、よく、お似合いだと」

「そうですか。ならば今日はこの服で過ごすことが正答と判断し、その解を実行する」

上条当麻にしてみれば、あの服もこの服も派手さ加減であるとか目立つ要素は同じなのだが、

おそらくサーシャにとって上司に無理やりああいった服を着せられるのが嫌で、案外派手な服が嫌いではないのかもしれない。

なんだかんだで、あの服で常に行動しているのだから。


サーシャが着ていた拘束具は支払いの際に、見た目できる店員によって紙袋に入れられた状態で手渡された。

当然、なんだかんだで女性に接する機会の多い上条当麻はナチュラルに荷物持ちに徹することができた。
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 01:44:55.06 ID:K1HROnId0
「さてこれからどうすっかなー」

当初の目的は曲がりなりにも達成できた。ガイドブックの付箋はまだ何箇所かに付いていたし、まだ二時を回ったくらいだ。

時間はまだまだある。

「さて、サーシャはどうする」

「ん……」

どうやらまだ、欲しい服でもあるのか、決めあぐねている様子だ。

「まぁ、こんだけ広いと目移りするよなー。まあゆっくり見て回りゃいいさ」

上条当麻は魔術サイドがこうやって日常に溶け込んでくれることがうれしい。

科学とか魔術とか関係なしに。博愛主義者とは違うのだが、少なくともこうしている間は戦争など起きはしないだろう。

「では、もう少し見て回ることにする」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 02:08:14.45 ID:K1HROnId0
それからのサーシャはすごかった。買うわ買うわ。よほど、カードを使って始末書を書きたいのか。

カードをパンクさせたいのか。ストレスをため込んでいたのか。

サーシャはロシア正教のせいか涼しい感じの服装が好きなようで主にワンピースだとか秋物よりは夏物よりの服を中心に購入していた。

浴衣にも多少興味があったようでしばらく悩んでいたが、一度着付けてもらって満足したのか、帯にうんざりしたのか諦めたようだった。

テンションが上がりすぎて荷物持ちの上条当麻を引き連れたまま下着売り場に入ろうとしたりして、上条当麻を困らせたりもしたりした。


とりあえず……サーシャが涼しいカッコが好きなのはわかった……

そういや、水着みたいな服をつねに来ていたわけだからな。いや、だったらゴスロリはどうなるんだ? 

あれって暑そうに見えるけど案外涼しいのか?


荷物持ちの最中様々な雑念が浮かんできたが五割増しのスピードで買い物を続けるサーシャを見る限りそこまで動きづらそうでもない。

上条当麻はサー社が買い物をしている間の中盤から後半にかけて、アメリカ映画のホームドラマに出てくるパパのようになっていた。

クリスマスに娘にひきつられ買い物に行きプレゼントを天井近くまで積み上げるような。

それで情けない声でまってくれよぉ~と言いながらコケて娘にあきれられるのだ。

さすがに上条当麻は天井まで荷物を積みはしなかったが両腕に紙袋の紐を通し、開いた両手を頭の上にもっていき何とかバランスを取っている状態だった。


「第四の質問ですが……大丈夫ですか?」

不意にサーシャが我にかえってくれたおかげで、ようやく上条当麻はベンチで休憩することができた。


211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 02:26:47.59 ID:K1HROnId0
「いや、なに、このくらい。常時不幸な上条さんは楽勝ですよー」

ひきつった笑いからは大丈夫な要素が感じられない。

「第五の質問ですが、貴方の目から見て私は不自然だったか」

「不自然?」

その質問自体は自然ではなかったが別段変ったところはなかっただろうと上条当麻は反芻する。

「補足一。私自身は今日の自分が自然ではなかったと感じている。捕捉二。私自身では解答を導くのが困難である。

結論。今日一緒にいた貴方に質問するのが最善」

矢継ぎ早にサーシャは言葉を告げた。

「そんなの、サーシャが楽しかったからに決まってるだろ」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 02:47:05.12 ID:K1HROnId0
何のことはない。一人の女の子が付箋をべたべた貼り付けたガイドブック片手に入りたい店に入って食べたい物を食べればそれはおいしいだろう。

ウキウキするだろう。楽しいだろう。

入ってみたい服屋で好きな服を選んで、着て、また好きな服を選べばそれは楽しいだろう。

上条当麻はサーシャの過去など知る由もないが、おそらくサーシャにはこういったことをした経験があまりないのではないだろうか。

まだ13歳くらいの女の子がだ。殲滅白書などといういかにも穏やかでない組織にいたのだ。

少なからず魔術の知識がある上条当麻にはそういった想像は難しくない。

もしも、今日みたいなことがはじめての体験だったのだとしたら、自分はその体験を共有するのにふさわしい人間だったのか。

結局、上条当麻にはわからないがそんなことはどーだっていいのだ。


「オレは楽しかったけどサーシャは楽しくなかったのか?」


この言葉一つで解決する。


周囲の人から奇異の目で見られて吹寄制理という危機を回避してサーシャの荷物持ち。

こう書くと普段の上条当麻なら不幸だ何だといったかもしれないが、楽しかったのだ。でなければわざわざ荷物持ちなどやったりしない。

無表情に見えてコロコロ感情が変わるサーシャは見ていて飽きないし、楽しい。

そういった感情がさっきの言葉には込められているのだ。

216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 03:03:53.08 ID:K1HROnId0
「私は……」

しばしの間沈黙が続く。

おそらく言葉を選んでいるのだろう。思案している様子がうかがえる。

「第十の解答ですが、私は多分楽しかったのだと思います。質問と解答が十までいったのはあなたが初めてだから」

そんなに質問と回答が続くわけがない。サーシャは上条当麻にそう言った手前からか、ほんのり顔を赤らめて俯いた。


「そうか。それならよかった」

上条当麻は満足そうに笑った。


「第六の質問ですが、今日のこれはいわゆるデートというやつなのでしょうか」

顔を赤らめ、俯いたままサーシャは質問する

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 03:19:11.65 ID:K1HROnId0
「うあおえうああぃうあぁあ」

意識するとダメな少年。上条当麻は訳のわからないうめき声を上げる。

投げるボールはいつもまっすぐなくせに、ストレートにめっぽう弱い。

いつもはストレートをストレートと認識できないほどだ。


「あ、ええと、デートだったのではないでせうか」

言葉はしどろもどろ、まともに目も合わせられない。

サーシャがうつむいていてくれてよかったと上条当麻は居もしない誰かに感謝する。


「第七の質問ですが、まだ行きたいところがあるのです」

サーシャは付箋付きのガイドブックをギュッと握りしめてから

「もう少しだけ付き合ってもらえますか?」

と尋ねた。
220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 03:27:56.24 ID:K1HROnId0
「ああ、もちろん。まだまだ時間はあるんだからな」

時計はまだ三時を指したあたりだ。時間はまだたっぷりある。


おそらくサーシャが「私は既に上条当麻と付き合っています」と言える日はまだ先のことだろう。

それまでに二人は、いくつもの質問をしいくつもの解答を出すのであろう。


サーシャは再び胸元で大きく雑誌を開いてみせる。

「次はここに行きたい」

「よしじゃあ行くか!」


二人のデートはまだ始まったばかりである。









224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 03:35:47.62 ID:O9OW0X6v0
もっと続いてほしかったんだが…

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 03:41:02.16 ID:dlu01DAt0
乙!俺たちの戦いはこれからだ的だなw
229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/04(月) 05:56:10.16 ID:HLMO8E9MO
なんにせよ乙でした

いいSSだった

 

注目記事!




関連記事
  タグ:

コメントの投稿



お知らせ
また、サイトを見やすいように改造しました

改造したところ:
カテゴリをあいうえお順にしました、

時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

旧ブログはこちら  旧ブログ

Twitter

SSなびのTwitterアカウントです

最新記事
ピックアップカテゴリ
カテゴリ
人気記事
RSSリンクの表示
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


※メールの打ち間違いにお気をつけください。
返事無い時は、メールの打ち間違いの可能性がありますので、再度送信していただくか、コメント欄をご使用下さい。