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小日向美穂『夢幻』

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/12/21(木) 07:52:34.49 ID:WM4FKTfA0
   〇

 ミホはまず、ここはどこだろう? と思った。

 澄み切った空、青い草の匂い、穏やかな日差し。見覚えのない、だけど、どこか懐かしさを感じる景色が広がっている。
 直前までの記憶が定かではない。なぜ自分はこんなところにいるのか。
 ミホはきょろきょろと辺りを見回した。
 どの方角も、ただただ見渡す限りの草原が続いていて、村に帰ろうにもこれではどちらへ歩き出せばいいのかもわからない。

 どうしよう、と考えていると、視界の片隅に白い塊が映った。白いのは外套だ、人が倒れている。
 駆け寄ったミホが、その顔をのぞきこむ。金色の髪をした男の子だった。歳は自分と同じか、少し下ぐらいだろうか。その肌はまるで死人のように青白い。
 一瞬、悪い予感が脳裏をよぎるが、少年がかすかに身じろぎをするのを見て、ミホはほっと胸をなでおろした。

 さて、この少年は何者だろう。
 なんとなく、少し目を離したら消えてしまいそうな、はかなげな雰囲気がある。失礼かもしれないけど、本当に生きた人間だろうか、とミホは思った。
 少年のまとう白い外套は、見た目はぱりっとしているのに触れてみると驚くほどに柔らかかった。絹糸で織ったものかもしれない。すその端を手に取ると、薄手なのにそれ自体が熱を発しているかのように温かさが伝わってきた。
 貴族様だろうか。よく見れば、かたわらには細やかな装飾のほどこされた剣が落ちている。

 小さな村での閉鎖的な生活を送るミホにとって、貴族というのは噂話でしか聞くことのない、雲の上の存在だ。生まれてから一度だって見たことはない。でも、だからこそ、自分や村のみんなとは明らかに違うこの少年は、きっと貴族なのだろう、と思った。
 どなたかは知らないけど、やがて日も暮れるだろうし、こんなところで寝かせておくわけにはいかない。ミホは名も知らぬ少年の体を軽く揺さぶった。
「ううん」と小さなうなり声を上げて、少年がまぶたを開く。きれいだ、と思った。
 ミホは宝石のように輝くふたつの紫色の目を、呆けたように見つめていた。
 しばらくそうしたあと、はっと我に返る。
 目を開いたと言うことは、相手も自分を見ているのだと気付き、ミホの頬が羞恥に染まる。

「ご、ごめんなさい! 倒れていたから起こそうと思ったんだけど。あの、私はミホって言います。あなたは?」

 ミホは慌てて跳びすさり、深々と頭を下げた。

「ボクは……」

 少年が体を起こしながら、鈴の音のような透き通った声をもらす。
 ミホは胸に手を当てて、続きの言葉を待った。

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幸子「うおおおおお!!!」

1: ◆ikbHUwR.fw 2017/11/25(土) 13:04:36.30 ID:Yx7jb8M00
モバマスSSです。

夕美「うおおおおお!!!」


未央「うおおおおお!!!」



と若干の繋がりがあります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511582676

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杏「杏は天才だぜい」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 11:55:55.42 ID:F6tUihmD0
 その日、私――双葉杏は出席日数稼ぎのために学校へ行き、仕事の予定もレッスンの予定もなかったのでまっすぐに家に帰った。

 カバンを放り出し、楽な格好に着替えて、さて昼寝の一発でも決めようかという矢先、スマートフォンが着信を知らせる。発信元は千川ちひろさん、私の所属事務所である346プロダクションの事務員さんだ。

『これから健康診断に行ってもらえませんか?』

 とちひろさんは言った。
 しかし健康診断だったら、346プロのアイドルはみんな定期的に受けている。私が前回強制連行に近い形でひきずられていったのも、ほんの2ヶ月前かそこらの話だ。
 つまり緊急の健康診断を受けろということになる。それもちひろさんからの指示ということは、

「プロデューサーが倒れたの?」

『……現在、自宅療養中です』

「理由は?」

『インフルエンザです』

 まあ予想通り。そういえば、最近外国で新型が猛威を振るってるとかネットニュースで見た覚えがある。

「プロデューサーだけ?」

『いえ、他の社員やアイドルの子も、確認できているだけで合わせて10人以上が発症しています。予約はこちらで取ってありますので、身ひとつで行っていただければけっこうです』

「しょうがないな……予約何時で取ってるの?」


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未央「うおおおおお!!!」

1: ◆ikbHUwR.fw 2017/05/30(火) 19:47:39.88 ID:8Wf6vO/d0
モバマスSSです。

夕美「うおおおおお!!!」



と若干の繋がりがありますが、未読でも問題ないです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496141259

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周子「エピュキュリアン」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/05/09(火) 05:28:15.33 ID:SEqu5qx+0
周子「エピクロス主義?」



志希「そ、人間は快楽を産出する行為をなすべきであるって思想。エピクロス主義者のことをエピュキュリアンともゆー。ホントはもっと細かな派生とか、それぞれに解釈の違いとかがあって、一概にこういうものとは言い切れないんだけどねー」

周子「なんか小難しいねー、つまりどういうこと?」

志希「自分が楽しいと思うことをやるのが結果的に体にもいいみたいな感じかにゃ?」

周子「たとえば?」

志希「気温の低いところで、暖かいものに触れると気持ちいいでしょ。寒さってのは人体に害だからね、自分の体を守ろうとする行為を快楽と感じるのだ」

周子「それはまぁ、わかるかな」

志希「空腹感なんかもわかりやすいかな。エネルギー不足の信号。だからおなかを空かせたごはんは美味しい」

周子「なるほど」

志希「同様に、苦痛だと感じることは体によくないとも言えるわけだねー。食欲がないときに無理して食べるとかね」

周子「ふーん?」

志希「ちょっと昔は食事に対する信仰ってのはやたらめったら強くてね。『体が弱ってるなら無理にでも食べるべきだ!』なーんて言う人が珍しくなかったらしいよ。だけど、食欲がないってのは、消化器官、胃とか腸が弱ってるのが原因の大半で、そんなところにがっつり食べ物押し込まれたら、一層胃腸にダメージが来る。当然だね。食欲がないのなら、食べないことが正しい。こんなのもエピクロスの一例」

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夕美「うおおおおお!!!」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/04/15(土) 11:23:22.23 ID:HjEM8U9J0
――4月15日、トレーニングルーム



『ボスッ! ドスッ!! ボゴォッ!!!』



未央(…………なんだこれ)



拓海「お、未央じゃねーか珍しいな」

未央「たくみん……なんか、ゆーみんが一心不乱に拳を振るってる姿が見えるんだけど、私の目が悪くなったのかな? それとも頭かな?」

拓海「ああ、アタシにもそう見えてるから、アタマがわりぃのはお互い様だな」

未央「そっか、ちょっと安心したよ…………説明を求めていい?」

拓海「そうだな……ちなみに未央は、今日が何の日か知ってるか?」

未央「そこの荒れ狂うフラワーガールの誕生日だよね。私もそれでお祝いに来たんだけど」

拓海「知ってるなら話が早いな。つまりそういうことだ」

未央「いや、わかんないよ! 誕生日を機にイメチェンなの? 方向性それでいいの?」

拓海「違う違う。夕美の、つーかアタシらのプロデューサーがさ、夕美の誕生日祝いで何かプレゼントしたいって思って、何を渡そうか悩んでたらしいんだよ」

未央「悩む必要ある? ゆーみんならお花あげれば確実に喜ぶでしょ」

拓海「そりゃそうだけどよ。花だと、夕美は日常的にあげたりもらったりしてるから、イマイチ特別感がねぇとかで」

未央「まぁ、わからなくもないけど」

拓海「そんで本人に訊いてみたらしいんだな。何か欲しいものあるかって」

未央「安全策ではあるね。それで?」

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北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/12/31(日) 21:30:00.39 ID:vyCd+JK40
「少し時間いいかな?」

 学校の帰り道、あてもなくぶらぶらと街を歩いていると、そんな声が耳に届いた。
 目を向けるとスーツ姿の男性がいた。年齢はよくわからない、20代中盤ぐらいだろうか?
 しゃれた仕立ての黒いスリーピースのスーツは、男性服にくわしくないアタシでも安いものではないとわかる。

「ナンパならどっか行ってよ。そーゆーの興味ないから」

 正直なところ、あまりいい印象は持たなかった。
 男は、いかにもお金のかかっていそうな格好をしているわりに、やたらと穏やかな顔つきをしていて、声からも妙な親しみやすさを感じた。それが、相手に警戒心を与えないよう、意識的に作っているものに思えたからだ。
 男は苦笑を浮かべて、「ナンパじゃない」と言った。

「違うの? じゃあ、どちらさま?」

 男は返事の代わり、とでもいうように上着のポケットから名刺入れを取り出し、一枚抜いてアタシに差し出してきた。
 ふだん名刺なんて目にすることはないけど、たぶんよくある一般的な形式だと思う。社名と役職と名前が載っている。『Cinderella Girls Production』、女性アイドルを専門とした大手の芸能事務所だ。

「……芸能事務所の、プロデューサー?」

「知っててくれてよかった」

 当たり前だろう、と思った。CGプロと通称されるその事務所は、芸能通でなくとも、名前ぐらいは誰でも知っている。

「そのプロデューサーさんが、アタシになんのご用?」

「アイドルにならない?」と男は言った。「君には素質がある」

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夕美「クイズで」拓海「勝負?」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/02/21(火) 03:27:43.05 ID:BQArxL2K0
夏樹「さぁ、始まりました。346プロプレゼンツ、『クイズ・DE・タイマンバトル!』この番組はタイトルの通り、1対1のクイズバトルだ。司会進行はアタシ、木村夏樹が務めるぜ。本日対戦するのはこのふたり!」


夕美「相葉夕美だよっ」

拓海「向井拓海だ」


夏樹「続いては審査員、アタシから紹介するぜ、三村かな子、難波笑美、ヘレンさんの三人だ」


かな子「よろしくね」

笑美「夏樹ちゃんでもヘレンさんはさん付けなんやな」

ヘレン「ヘーイ!」


夏樹「よし、じゃあ早速勝負について――」

拓海「ちょっと待て、審査員ってなんだよ? クイズじゃねえのか?」

夏樹「あー……そのへんも含めて今から説明しようとしてたんだけどな、まぁいいや。このクイズは、問題を出して2人に回答してもらい、正解かどうか審査員に判定してもらうって形で行う」

夕美「クイズなのに正解が決まってないの?」

夏樹「審査員が正解だと思ったものが正解だ」

拓海「全然わかんねぇぞ? どういうことだよ?」

夏樹「ま、やってりゃわかる」

夕美「ぶん投げたね」

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美城専務「君に仕事を頼みたい」きらり「にょわ?」

2: ◆ikbHUwR.fw 2017/03/21(火) 03:36:49.21 ID:vaRfIaWv0
――専務室



『ガン! ガン! ガン!』

美城「……入りたまえ」

『ガチャ』

きらり「にゃっほーい! しつれいっしゃー☆ 専務さんおっすおっすぅ、急にお呼ばれしちゃってきらりびっくりしちゃったにぃ☆ なんだか学校の職員室みたいでどっきどっきぃ!」

美城「ふむ、職員室とは言いえて妙だな。しかし諸星君、私の知っている限りでは君の素行に問題があるという話は耳にしない。君でも教師に呼び出されるなどということがあるのか?」

きらり「きらりわるいことはしないにぃ☆ でもでもぉー、きらりちょっとだけ普通の子より力つおーいからぁ、そのつもりがなくてもたまーに物を壊しちゃうことがあるんだぁ☆」

美城「……なるほど、力が強いというのも考え物だな。ああ、力と言えば――ドアをノックするときはもう少し軽めでかまわない。あまり強く叩くとドアが痛む」

きらり「りょーかい☆ それでそれでぇ、専務さんきらりになにかご用かにぃ?」

美城「そうだな……ひとまずそこのソファにかけたまえ、楽にしてくれて構わない」

きらり「はーい、お邪魔しゃー☆ うっきゃー! 専務さんのお部屋のソファすっごい座り心地いいにぃ☆」

美城「それはなによりだ。さて本題だが……ひとつ、君に仕事を頼みたい」

きらり「にょわ? お仕事?」

美城「そうだ。私はつい先日、とあるパーティに出席してきたのだが」

きらり「専務さんパーティーでハピハピ?」

美城「いや……楽しめるようなものではなかったな。所詮はビジネス上の立場で招待されたものだ、仕事の延長と言っていいだろう」

きらり「うきゅ~、ざんねーん……それでそれで?」

美城「コムナ・ヴァイダンというファッションブランドを知っているか?」

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また、サイトを見やすいように改造しました

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時折修正していきますので、今後ともよろしくお願いします

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