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北上「離さない」【後編】

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北上「離さない」【前編】



285: ◆FlW2v5zETA 2016/09/19(月) 03:12:56.90 ID:E7lzRi1dO
1月3日。
天候、雨。____県某所。

白い車を空き地に停め。
冬の雨が冷たく降り注ぐ道を、ブーツを鳴らして歩く影が一つ。

長い三つ編みを揺らしながら、傘ではなく、花束とを持つその女は。
未だ住人の帰りを待つように時を止めた住宅地を、黙々と歩いていた。

散らばった戦火の残骸を、僅かに雪の名残が覆い隠し。
しかしそれも、やがてこの雨で溶けて行くのだろうか。
或いは、夜には溶けた雪が凍り。
雪解けの氷が、粉々に砕け積み上がる残骸を、固く閉ざすのか。


彼女の、心の如く。


ふと女が上を見上げれば、そこには燃えた木の枝が、その枝を天へと伸ばしていた。

そして過るのは、いつかの夏の記憶。
この木が咲かせる花を見つめながら、家までの道を歩いていた、いつもの夕暮れ。

たまにここを歩きながら齧っていたアイスの味や、友人と花火を見るために、自転車で駆け抜けた夜。
よく帰り道で聴いていた曲や、叶わなかった初恋に涙を流した日の、ひぐらしの声や。

地震や台風の警報でもなければ、消防や救急でもない。
町中に響く、インターネットで一度だけ聞いた事のあるサイレン。
創作物の中の出来事のような、爆発音と悲鳴。
そして、ガラスと肉の砕ける音。

それらの記憶がふと蘇り。
一瞬、女の目はその枝の向こうをキッと睨んだ。

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北上「離さない」【前編】

2: ◆FlW2v5zETA 2016/07/04(月) 07:07:47.53 ID:QBwtVvxaO
「整備くーん、戻ったよー。」
「北上さん、ご無事で何よりです。戦果はどうでした?」
「敵は潰したよー、今回もM・V・P。
まー、こっちは艤装が少し喰らったぐらいかなぁ。前に出てたから。」
「お怪我がなくて良かったです。艤装はこれなら大した事ないですね、すぐ直しますから。」
「ふふー、アタシの魚雷は伊達じゃないからね。これも整備くんのおかげだよ、ありがとね。」

北上さんは、ここの古参の一人だ。
練度も撃沈数もトップ、間違いなくエースと言える存在。
そして志願組でまだ若輩な俺にとっては、数少ない話の分かる人と言えた。

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